説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション装置の制御方法

【課題】人間が携帯しながら携帯用ナビゲーション装置としても、また車内に持ち込んで車載用ナビゲーション装置としても、両方共に十分有効に利用することができる操作性が良好なナビゲーション装置及びナビゲーション装置の制御方法を提供する。
【解決手段】移動体の加速度を検出する第1検出手段14と、移動体の進行方向を検出する第2検出手段16と、移動体の三次元位置を検出する第3検出手段18と、第1、第2及び第3検出手段14,16,18の出力から移動体の位置を推定する位置算出手段20と、位置算出手段20で推定された移動体の位置と地図とを照合して移動体の現在位置を求める照合手段と、を有し、位置算出手段20は、モード選択手段を含み、モード選択手段は、移動体の移動方法から、移動体の適切な位置推定方法を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の衛星から送信されるGPS信号を受信してGPS航法により現在位置を演算するGPSナビゲーション装置が知られている。このGPSナビゲーション装置には、携帯用と車載用とがある。
【0003】
車載用ナビゲーション装置は、衛星からの信号電波を受信してGPS航法により測位を行い、現在位置、進行方向、走行速度などを検出する。また、車載用ナビゲーション装置は、車速センサからカウントされた車速パルスと方位センサから検出された進行方位に基づいて車両の走行軌跡を演算し、その走行軌跡と車載用ナビゲーション装置に記憶されている道路地図データとを照合してマップマッチングを行い、いわゆる自立航法により車両の現在地を検出する。つまり、車載用ナビゲーション装置は、GPS航法と自立航法とにより経路誘導を行っている。
【0004】
一方、携帯用ナビゲーション装置は、衛星からの信号電波を受信してGPS航法により測位を行い、現在位置などを検出する。しかし、この携帯用ナビゲーション装置は、車速センサ、方位センサなどを備えていないので、上述した車載用ナビゲーション装置のような自立航法による経路誘導は行えない。また、一般に携帯用ナビゲーション装置は、道路地図データを備えていないので道路地図上に現在位置を表示することができず、GPS衛星などを利用する衛星測位システムにより検出した現在位置を経緯度の数値で表示装置に表示している。
【0005】
GPS受信機の小型化に伴い、人間の歩行や歩行時の移動距離を求める目的で利用されることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−325736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、GPS衛星などを利用する衛星測位システム(GNSS)などによる衛星航法には、マルチパスの環境、或いは衛星信号を受信できない環境では、十分な測位性能が得られないことがある。一方、慣性センサによる自律航法には、計測される角速度、加速度などを積分して位置、方位角を求めるため、短時間での精度は良いが、計測値の誤差の影響で、測定位置の誤差は時間と共に増加することがある。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、その目的は、人間が携帯しながら携帯用ナビゲーション装置としても、また車内に持ち込んで車載用ナビゲーション装置としても、両方共に十分有効に利用することができる操作性が良好なナビゲーション装置及びナビゲーション装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係るナビゲーション装置は、移動体の加速度を検出する第1検出手段と、前記移動体の進行方向を検出する第2検出手段と、前記移動体の三次元位置を検出する第3検出手段と、前記第1、第2及び第3検出手段の出力から前記移動体の位置を推定する位置算出手段と、前記位置算出手段で推定された前記移動体の位置と地図とを照合して前記移動体の現在位置を求める照合手段と、を有し、前記位置算出手段は、モード選択手段を含み、前記モード選択手段は、前記移動体の移動方法から、前記移動体の適切な位置推定方法を選択する。
【0010】
本発明によれば、モード選択手段により移動体の適切な位置推定方法を選択することにより、人間が携帯しながら携帯用ナビゲーション装置としても、また車内に持ち込んで車載用ナビゲーション装置としても、両方共に十分有効に利用することができる操作性が良好なナビゲーション装置を提供することができる。
【0011】
(2)このナビゲーション装置において、前記モード選択手段は、前記移動体が有脚動物で、前記有脚動物が携帯しながらナビゲーションする携帯用モードと、前記移動体が車両で、前記車両内に持ち込んでナビゲーションする車載用モードとの移動方法の選択肢を含み、前記モード選択手段で選択された移動方法が前記携帯用モードでは、前記第1検出手段は歩数から前記有脚動物の移動距離を検出し、前記モード選択手段で選択された移動方法が前記車載用モードでは、前記第1検出手段は加速度から前記車両の前記移動距離を検出してもよい。
【0012】
(3)このナビゲーション装置において、前記第1検出手段と前記照合手段とが着脱可能に構成され、前記第1検出手段と前記照合手段とが結合状態では、前記モード選択手段は前記車載用モードを選択し、前記第1検出手段と前記照合手段とが分離状態では、前記モード選択手段は前記携帯用モードを選択してもよい。
【0013】
(4)このナビゲーション装置において、前記モード選択手段は、前記第1検出手段で検出される前記移動体の進行方向と交差する上下方向の加速度信号から前記携帯用モード或いは前記車載用モードを選択してもよい。
【0014】
(5)このナビゲーション装置において、前記第1検出手段は、前記携帯用モードでは前記有脚動物の腰の部位に固定され、前記車載用モードでは前記車両内に固定されてもよい。
【0015】
(6)本発明に係るナビゲーション装置の制御方法は、移動体の加速度を第1検出手段で検出すること、前記移動体の進行方向を第2検出手段で検出すること、前記移動体の三次元位置を第3検出手段で検出すること、前記第1、第2、及び第3検出手段の出力から前記移動体の位置を位置算出手段で推定すること、及び、前記位置算出手段で推定された前記移動体の位置と地図とを照合して前記移動体の現在位置を照合手段で求めること、を有し、前記位置算出手段は、モード選択手段を含み、前記モード選択手段は、前記移動体の移動方法から、前記移動体の適切な位置推定方法を選択する。
【0016】
本発明によれば、モード選択手段により移動体の適切な位置推定方法を選択することにより、人間が携帯しながら携帯用ナビゲーション装置としても、また車内に持ち込んで車載用ナビゲーション装置としても、両方共に十分有効に利用することができる操作性が良好なナビゲーション装置の制御方法を提供することができる。
【0017】
(7)このナビゲーション装置の制御方法において、前記モード選択手段は、前記移動体が有脚動物で、前記有脚動物が携帯しながらナビゲーションする携帯用モードと、前記移動体が車両で、前記車両内に持ち込んでナビゲーションする車載用モードとの移動方法の選択肢を含み、前記モード選択手段で選択された移動方法が前記携帯用モードでは、前記第1検出手段は歩数から前記有脚動物の移動距離を検出し、前記モード選択手段で選択された移動方法が前記車載用モードでは、前記第1検出手段は加速度から前記車両の前記移動距離を検出してもよい。
【0018】
(8)このナビゲーション装置の制御方法において、前記第1検出手段と前記照合手段とが着脱可能に構成され、前記第1検出手段と前記照合手段とが結合状態では、前記モード選択手段は前記車載用モードを選択し、前記第1検出手段と前記照合手段とが分離状態では、前記モード選択手段は前記携帯用モードを選択しでもよい。
【0019】
(9)このナビゲーション装置の制御方法において、前記モード選択手段は、前記第1検出手段で検出される前記移動体の進行方向と交差する上下方向の加速度信号から前記携帯用モード或いは前記車載用モードを選択しでもよい。
【0020】
(10)このナビゲーション装置の制御方法において、前記第1検出手段は、前記携帯用モードでは前記有脚動物の腰の部位に固定され、前記車載用モードでは前記車両内に固定されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。本実施の形態に係るナビゲーション装置2は、位置検出部10と、表示部12とを有する。位置検出部10と表示部12とは、着脱可能である。
【0022】
位置検出部10は、第1検出手段としての第1センサ信号検出手段14と、第2検出手段としての第2センサ信号検出手段16と、第3検出手段としての位置検出手段18と、位置算出手段としての制御手段20と、通信手段22とを有する。
【0023】
第1センサ信号検出手段14は、移動体の加速度を検出する。第1センサ信号検出手段14は移動体としての、例えば、携帯する人が立ったり座ったりするときの上下運動や歩行するときの水平運動,回転運動の変化を検出するものであり、あらかじめ定められた座標系の直交する3軸の加速度を検出する加速度センサを有する。
【0024】
第2センサ信号検出手段16は、移動体の進行方向を検出する。第2センサ信号検出手段16は、ジャイロスコープにより移動体の旋回角速度を検出し、この旋回角速度に基づいて移動体の旋回角度、すなわち進行方位(進行方向)を検出する。前記加速度センサと直交する各軸回りの角速度を検出するジャイロスコープを有する。
【0025】
位置検出手段18は、移動体の三次元位置を検出する。位置検出手段18は、GPS衛星から送信されるGPS信号を、アンテナ(図示せず)を通して受信する。
【0026】
制御手段20は、第1及び第2センサ信号検出手段14,16と位置検出手段18との出力から移動体の位置を推定する。制御手段20は、第1及び第2センサ信号検出手段14,16と位置検出手段18とから送信されてくる検出信号を、所定のタイミングでサンプリングし、移動体の位置情報(位置、速度及び方位角)を算出する。制御手段20は、これらの位置情報を通信手段22に出力する。制御手段20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)から構成される。制御手段20は、さらに、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、DSP(Digital Signal Processor)等から構成される。
【0027】
通信手段22は、位置検出部10と表示部12との間の所定のデータ通信方式に対応したインターフェース部と、表示部12から受信したデータを復調して、制御手段20に送信する復調部と、表示部12に送信するデータを変調し、所定の通信プロトコルに対応したフォーマットに変換する変調部とを備える。通信手段22は、有線或いは無線の何れであってもよい。
【0028】
ここで、制御手段20の詳細について説明する。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る制御手段の詳細を示す図である。制御手段20は、図2に示すように、モード選択手段24と、携帯用自律ナビゲーション26と、車載用自律ナビゲーション28と、測位演算30と、カルマンフィルタ32とを有する。
【0030】
モード選択手段24は、移動体の種類に応じ、移動体の移動距離の適切な検出方法を選択する。移動体の種類としては、例えば有脚動物、車両などが含まれる。以下の説明では、有脚動物として人を、車両として自動車を例示する。モード選択手段24は、複数のモードを自動的に選択する。モード選択手段24は、例えば、携帯用モードと車載用モードとを自動的に選択する。モード選択手段24は、人が携帯しながらナビゲーションする携帯用モードの選択肢を含む。モード選択手段24は、自動車内に持ち込んでナビゲーションする車載用モードとの選択肢を含む。携帯用モードでは、第1センサ信号検出手段14から出力される加速度と、第2センサ信号検出手段16から出力される角速度を携帯用自律ナビゲーション26へ送る。車載用モードでは、第1センサ信号検出手段14から出力される加速度と、第2センサ信号検出手段16から出力される角速度を車載用自律ナビゲーション28へ送る。
【0031】
携帯用自律ナビゲーション26は、検出された歩行振動である上下の加速度をフーリエ変換した周波数領域のパワースペクトル分布から、歩行者が歩行する歩数を検出する。携帯用自律ナビゲーション26は、検出された歩数と、予め設定されている人の歩幅34とから歩行距離を算出する。携帯用自律ナビゲーション26は、検出された角速度を積分することにより方位角を算出する。携帯用自律ナビゲーション26は、算出された方位角、及び算出された歩行距離から求めた位置と速度をカルマンフィルタ32へ出力する。
【0032】
車載用自律ナビゲーション28は、検出された加速度を積分して速度に、さらに速度を積分して移動距離を求める。車載用自律ナビゲーション28は、角速度を積分することにより方位角を求める。車載用自律ナビゲーション28は、算出された方位角、及び算出された移動距離から求めた位置と速度をカルマンフィルタ32へ出力する。
【0033】
測位演算30は、位置検出手段18の観測データを位置、速度、方位角の情報に変換しカルマンフィルタ32へ出力する。
【0034】
カルマンフィルタ32は、測位演算30より出力された位置、速度、方位角の情報を利用して、携帯用自律ナビゲーション26或いは車載用自律ナビゲーション28より出力された位置、速度、方位角の補正を行う。カルマンフィルタ32は、現在算出された位置情報(位置、速度、方位角)と、メモリ(図示せず)から読み出した過去の位置情報を合わせた複数の位置情報をカルマンゲンで重み付けして位置情報を算出し出力する。カルマンフィルタ32は、上記のようなフィルタ機能を有していれば、他のフィルタであってもよい。
【0035】
次に、図1に示す表示部12を説明する。
【0036】
表示部12は、通信手段36と、記憶手段38と、照合手段としての制御手段40と、表示手段42とを有する。
【0037】
通信手段36は、位置検出部10と表示部12との間の所定のデータ通信方式に対応したインターフェース部と、位置検出部10から受信したデータを復調して、制御手段40に送信する復調部と、位置検出部10に送信するデータを変調し、所定の通信プロトコルに対応したフォーマットに変換する変調部とを備える。通信手段36は、有線或いは無線の何れであってもよい。
【0038】
記憶手段38は、例えば、所定の範囲の地図データを記憶する。
【0039】
制御手段40は、入力した位置情報に基づいて記憶手段38から抽出した、現在位置を含む所定の範囲の地図データを映像データ及び音声データ(案内ガイダンス等)に変換し、表示手段42に出力する。制御手段40は、記憶手段38に記憶された地図上に、自位置を特定する補正された位置を重畳して表示手段42に表示する。制御手段40は、GPS測位データをCD−ROMに記憶されている道路地図データと照合してもよい。制御手段40は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、DSP等から構成される。
【0040】
表示手段42は、所定の範囲の地図を表示する。表示手段42は、液晶、電子ペーパー、音声、プロジェクタであってもよい。表示手段42は、地図を表示すると共に、その地図上に測位結果の自位置を重畳して表示する。表示手段42は、制御手段40により演算された現在位置を経緯度で表示する。
【0041】
本実施の形態に係るナビゲーション装置は上述のように構成されており、以下その制御方法について説明する。
【0042】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るモード選択手段のフローを示す図である。本実施の形態では、携帯用モード及び車載用モードのナビゲーション装置の制御方法を説明する。この処理は、ナビゲーション装置2の起動と同時にモード選択手段24が実行する処理である。この処理が開始されると、まず、モード選択手段24は、位置検出部10と表示部12とが結合状態か判断する(ステップS100)。制御手段20はモード選択手段24を含み、モード選択手段24は、人或いは自動車に応じ、位置情報の適切な検出方法を選択する。モード選択手段24は、位置検出部10と表示部12とが結合状態の場合、ステップS110へ進む。モード選択手段24は、位置検出部10と表示部12とが分離状態の場合、ステップS120へ進む。
【0043】
次に、車載用モードを適用する(ステップS110)。モード選択手段24は、位置検出部10と表示部12とが結合状態では、車載用モードを選択する。位置検出部10は、車載用モードでは自動車内に固定される。
【0044】
次に、携帯用モードを適用する(ステップS120)。モード選択手段24は、位置検出部10と表示部12とが分離状態では、携帯用モードを選択する。位置検出部10は、携帯用モードでは人の腰の部位に固定される。
【0045】
以降、人或いは自動車の三次元位置を位置検出手段18で検出する。次に、第1及び第2センサ信号検出手段14,16と位置検出手段18との出力から人或いは自動車の位置情報を制御手段20で推定する。次に、制御手段20で推定された人或いは自動車の位置情報を、通信手段22,36を介して制御手段40へ送り地図と照合して人或いは自動車の現在位置を表示部12に表示する。
【0046】
以上述べたように、モード選択手段24を設けることにより、位置検出部10と表示部12との状態(結合/分離)から、携帯用か車載用かを自動的に検出することにより、携帯用モードか車載用モードかを自動的に切替えることができる。
【0047】
(変形例)
図4は、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。本実施の形態に係るナビゲーション装置4は、位置検出部50と、表示部52とを有する。位置検出部50と表示部52とは、着脱可能に構成されている。
【0048】
位置検出部50は、第1センサ信号検出手段14と、第2センサ信号検出手段16と、位置算出手段としての制御手段54と、通信手段22とを有する。
【0049】
制御手段54は、モード選択手段24と、携帯用自律ナビゲーション26と、車載用自律ナビゲーション28とを含む。制御手段54は、位置算出手段としての機能を持たず、その機能を制御手段56に持たせてもよい。その場合は、モード選択手段24と、携帯用自律ナビゲーション26と、車載用自律ナビゲーション28とは、制御手段56に含まれる。
【0050】
表示部52は、通信手段36と、記憶手段38と、位置検出手段18と、位置算出手段及び照合手段としての制御手段56と、表示手段42とを有する。制御手段56は、測位演算30と、カルマンフィルタ32とを含む。制御手段56は、モード選択手段24と、携帯用自律ナビゲーション26と、車載用自律ナビゲーション28とを含んでもよい。
【0051】
携帯用モードでは、人が常に携帯する装置をなるべく軽くするために、位置検出手段18を分離して、第1及び第2センサ信号検出手段14,16を含む位置検出部50を人の腰などの部位に固定して、位置検出手段18は表示部52と一体にできる。
【0052】
本実施の形態によれば、移動体の適切な位置推定方法を選択することにより、人間が携帯しながら携帯用ナビゲーション装置としても、また車内に持ち込んで車載用ナビゲーション装置としても、両方共に十分有効に利用することができる操作性が良好なナビゲーション装置を提供することができる。
【0053】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。本実施の形態に係るナビゲーション装置6は、位置検出部58と、表示部12とを有する。位置検出部58と表示部12とは、着脱可能に構成されている。
【0054】
位置検出部58は、第1センサ信号検出手段14と、第2センサ信号検出手段16と、位置検出手段18と、位置算出手段としての制御手段60と、通信手段22とを有する。
【0055】
制御手段60は、モード選択手段62と、携帯用自律ナビゲーション26と、車載用自律ナビゲーション28と、測位演算30と、カルマンフィルタ32と、歩幅34を含む。
【0056】
モード選択手段62は、第1センサ信号検出手段14で検出される人或いは自動車の進行方向と交差する上下方向の加速度信号から携帯用モード或いは車載用モードを選択する。
【0057】
ここでモード選択手段62の詳細について説明する。
(携帯用モード)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る歩行時の第1センサ信号検出手段で検出される移動体の進行方法と直交する上下方向の加速度パターン(A)及びそのパワースペクトル分布(B)を示す図である。携帯用ナビゲーションに利用される携帯用モードについて説明する。第1及び第2センサ信号検出手段14,16と位置検出手段18とで検出された出力信号を、モード選択手段62に送る。図6に示すように、第1センサ信号検出手段14で検出された上下方向の加速度パターンから歩行振動を検出する。人が携帯して歩行する場合、検出される上下方向の加速度信号が正弦波パターンが示されて、パワースペクトル分布から0.5Hz〜2Hzの範囲内にピークが見られる。フーリエ変換により周波数領域のパワースペクトル分布から、人が歩行する歩数を検出する。検出された歩数と、予め設定されている人の歩幅34とから速度、位置を算出する。一方、第2センサ信号検出手段16より角速度を検出して、検出された角速度を積分することにより方位角を算出する。また、位置検出手段18により観測される位置、速度、方位角の情報を利用して、カルマンフィルタ32により、位置、速度、方位角の補正を行う。そして、補正された位置、速度、方位角を、通信手段22,36を介して表示部12に送る。表示部12の制御手段40で位置を求め、表示手段42に表示し地図上の自位置を特定する。検出誤差を少なくするために、第1及び第2センサ信号検出手段14,16と位置検出手段18とを含む位置検出部58を人の腰などの部位に固定する。
【0058】
(車載用モード)
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る車載時の第1センサ信号検出手段で検出される移動体の進行方向と直交する上下方向の加速度パターン(A)及びそのパワースペクトル分布(B)を示す図である。図8は、本発明の第2の実施の形態に係る車載時の第1センサ信号検出手段で検出される進行方向の加速度信号を示す図である。車載用ナビゲーションに利用される車載用モードについて述べる。第1及び第2センサ信号検出手段14,16と位置検出手段18とで検出された出力信号を、モード選択手段62に送る。図7に示すように、第1センサ信号検出手段14より検出される上下方向の加速度信号のパワースペクトル分布から、直流成分以外に、白色雑音しか見られない自動車走行振動を検出する。自動車内に持ち込んで走行する場合、図8に示すような進行方向の加速度を積分して速度に、さらに速度を積分して移動距離を求め速度、位置を算出する。一方、第2センサ信号検出手段16より角速度を検出して、検出された角速度を積分することにより方位角を算出する。また、位置検出手段18により観測される位置、速度、方位角の情報を利用して、カルマンフィルタ32により、位置、速度、方位角の補正を行う。そして、補正された位置、速度、方位角を、通信手段22,36を介して表示部12に送る。表示部12の制御手段40で位置を求め、表示手段42に表示し地図上の自位置を特定する。第1及び第2センサ信号検出手段14,16と位置検出手段18とを含む位置検出部10は車内に固定する。
【0059】
従って、検出される上下方向の加速度信号のパターン及びパワースペクトル分布から、携帯用モードか車載用モードかを自動的に検出することができる。その他の構成については、第1の実施の形態で説明した内容を適用することができる。
【0060】
本実施の形態に係るナビゲーション装置は上述のように構成されており、以下そのナビゲーション方法について説明する。
【0061】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係るモード選択手段のフローを示す図である。図10は、本発明の第2の実施の形態に係る静止時(A)と走行時(B)との第1センサ信号検出手段で検出される上下加速度信号比較を示す図である。本実施の形態では、携帯用モード及び車載用モードのナビゲーション装置の制御方法を説明する。まず、位置検出部58の第1センサ信号検出手段14により上下の加速度を検出する(ステップS200)。
【0062】
次に、制御手段60のモード選択手段62により加速度の分散値を求める(ステップS210)。
【0063】
次に、制御手段60のモード選択手段62により分散値と閾値を比較する(ステップS220)。図10(A)に示す静止時の上下加速度値の分散より、図10(B)に示す移動時の上下加速値の分散は、明らかに大きいことから、両者の分散値を閾値と比較することにより、分散値が閾値より大きい場合は移動状態で、それ以外は静止状態であるという判断ができる。閾値より分散値の方が大きい場合、ステップS240へ進む。それ以外の場合、ステップS230へ進む。
【0064】
次に、制御手段60のモード選択手段62により静止状態であると判別し(ステップS230)、終了する。
【0065】
次に、制御手段60のモード選択手段62により移動状態であると判別する(ステップS240)。
【0066】
次に、制御手段60のモード選択手段62により加速度パターン、パワースペクトル分析を行う(ステップS250)。
【0067】
次に、制御手段60のモード選択手段62によりピークを検出したか判断する(ステップS260)。
【0068】
ピークを検出した場合、ステップS270へ進み、携帯用モードを選択する(ステップS270)。
【0069】
ピークを検出できない場合、ステップS280へ進み、車載用モードを選択する(ステップS280)。
【0070】
以上述べたように、モード選択手段62を設けることにより、検出される上下方向の加速度信号のパターン及びパワースペクトル分布から、携帯用か車載用かを自動的に検出することにより、携帯用モードか車載用モードかを自動的に切替ることができる。
【0071】
本実施の形態によれば、移動体の適切な位置推定方法を選択することにより、人間が携帯しながら携帯用ナビゲーション装置としても、また車内に持ち込んで車載用ナビゲーション装置としても、両方共に十分有効に利用することができる操作性が良好なナビゲーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る制御手段の詳細を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るモード選択手段のフローを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の変形例に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る歩行時の第1センサ信号検出手段で検出される移動体の進行方向と直交する上下方向の加速度パターン(A)及びそのパワースペクトル分布(B)を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る車載時の第1センサ信号検出手段で検出される移動体の進行方向と直交する上下方向の加速度パターン(A)及びそのパワースペクトル分布(B)を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る車載時の第1センサ信号検出手段で検出される移動体の進行方向の加速度信号を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るモード選択手段のフローを示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る静止時と走行時との第1センサ信号検出手段で検出される上下加速度信号比較を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
2…ナビゲーション装置 4…ナビゲーション装置 6…ナビゲーション装置 10…位置検出部 12…表示部 14…第1センサ信号検出手段(第1検出手段) 16…第2センサ信号検出手段(第2検出手段) 18…位置検出手段(第3検出手段) 20…制御手段(位置算出手段) 22…通信手段 24…モード選択手段 26…携帯用自律ナビゲーション 28…車載用自律ナビゲーション 30…測位演算 32…カルマンフィルタ 34…歩幅 36…通信手段 38…記憶手段 40…制御手段(照合手段) 42…表示手段 50…位置検出部 52…表示部 54…制御手段 56…制御手段 58…位置検出部 60…制御手段 62…モード選択手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の加速度を検出する第1検出手段と、
前記移動体の進行方向を検出する第2検出手段と、
前記移動体の三次元位置を検出する第3検出手段と、
前記第1、第2及び第3検出手段の出力から前記移動体の位置を推定する位置算出手段と、
前記位置算出手段で推定された前記移動体の位置と地図とを照合して前記移動体の現在位置を求める照合手段と、
を有し、
前記位置算出手段は、モード選択手段を含み、
前記モード選択手段は、前記移動体の移動方法から、前記移動体の適切な位置推定方法を選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記モード選択手段は、前記移動体が有脚動物で、前記有脚動物が携帯しながらナビゲーションする携帯用モードと、前記移動体が車両で、前記車両内に持ち込んでナビゲーションする車載用モードとの移動方法の選択肢を含み、
前記モード選択手段で選択された移動方法が前記携帯用モードでは、前記第1検出手段は歩数から前記有脚動物の移動距離を検出し、
前記モード選択手段で選択された移動方法が前記車載用モードでは、前記第1検出手段は加速度から前記車両の前記移動距離を検出することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記第1検出手段と前記照合手段とが着脱可能に構成され、
前記第1検出手段と前記照合手段とが結合状態では、前記モード選択手段は前記車載用モードを選択し、
前記第1検出手段と前記照合手段とが分離状態では、前記モード選択手段は前記携帯用モードを選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記モード選択手段は、前記第1検出手段で検出される前記移動体の進行方向と交差する上下方向の加速度信号から前記携帯用モード或いは前記車載用モードを選択することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記第1検出手段は、前記携帯用モードでは前記有脚動物の腰の部位に固定され、前記車載用モードでは前記車両内に固定されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
移動体の加速度を第1検出手段で検出すること、
前記移動体の進行方向を第2検出手段で検出すること、
前記移動体の三次元位置を第3検出手段で検出すること、
前記第1、第2、及び第3検出手段の出力から前記移動体の位置を位置算出手段で推定すること、及び、
前記位置算出手段で推定された前記移動体の位置と地図とを照合して前記移動体の現在位置を照合手段で求めること、
を有し、
前記位置算出手段は、モード選択手段を含み、
前記モード選択手段は、前記移動体の移動方法から、前記移動体の適切な位置推定方法を選択することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置の制御方法において、
前記モード選択手段は、前記移動体が有脚動物で、前記有脚動物が携帯しながらナビゲーションする携帯用モードと、前記移動体が車両で、前記車両内に持ち込んでナビゲーションする車載用モードとの移動方法の選択肢を含み、
前記モード選択手段で選択された移動方法が前記携帯用モードでは、前記第1検出手段は歩数から前記有脚動物の移動距離を検出し、
前記モード選択手段で選択された移動方法が前記車載用モードでは、前記第1検出手段は加速度から前記車両の前記移動距離を検出することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置の制御方法において、
前記第1検出手段と前記照合手段とが着脱可能に構成され、
前記第1検出手段と前記照合手段とが結合状態では、前記モード選択手段は前記車載用モードを選択し、
前記第1検出手段と前記照合手段とが分離状態では、前記モード選択手段は前記携帯用モードを選択することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項9】
請求項7に記載のナビゲーション装置の制御方法において、
前記モード選択手段は、前記第1検出手段で検出される前記移動体の進行方向と交差する上下方向の加速度信号から前記携帯用モード或いは前記車載用モードを選択することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載のナビゲーション装置の制御方法において、
前記第1検出手段は、前記携帯用モードでは前記有脚動物の腰の部位に固定され、前記車載用モードでは前記車両内に固定されることを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−151731(P2008−151731A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342301(P2006−342301)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】