説明

ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】現在走行している道路自体の通行方向を運転者が把握することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】図4(a)に示す表示例のような表示を行う。つまり、交差点101から交差点103に向かって自車両105が走行している状況において、交差点101と交差点103の間の道路について、現在の走行方向ではハウスナンバーが1800から1700に変化する旨の表示を行う。このようにハウスナンバーが表示されることにより、表示されない場合と比較して、運転者はハウスナンバーの増減の方向を知ることができるため、ハウスナンバーを手がかりに目的場所を容易に特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地理情報を報知するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の現在位置付近の地図を表示装置に表示させるとともに、その車両が現在走行している位置をその表示装置の地図上に重ねて表示させる機能を有したナビゲーション装置が知られている。一方で、ナビゲーション装置を使用する運転者は、最終的に到着すべき目的地は認識しているが、その目的地に至る経路まではあまり把握していないという場合も多い。そのような場合、現在位置付近の地図が表示され現在位置が示されるだけでは、運転者は、経路途中で様々な不安を抱くことが考えられる。例えば、現在どの地点に向かって走行しているのだろうかという不安や、現在何という道路を走行していて事前に聞いていた道路と一致しているのだろうか等の不安である。下記に示す特許文献1では、そのような不安を解消するために、現在位置だけではなく、現在向かっている方向の先にある地名を表示する点が提案されている。また、下記に示す特許文献2では、現在走行している道路名称を表示する点が提案されている。
【特許文献1】特開平9−222329号公報
【特許文献2】特開平8−35850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在向かっている方向の先にある地名や、現在走行している道路名称を表示するようになっていたとしても、現在走行している道路自体の通行方向(上り方向なのか下り方向なのか、アドレス番号が増加する方向なのか減少する方向なのか等)を運転者が把握できない場合がある。例えば、道路Aを下り方向に進まなければならないと聞いていたのだけれども、現在向かっている方向の先にある地名(表示された地名)が初めて聞く地名であるため、その地名と現在走行中の道路A(表示された道路名称)との位置関係を把握できず、現在走行中の道路Aの通行方向が正しいかどうかわからないというような場合である。
【0004】
本発明は、このような問題にかんがみなされたものであり、現在走行している道路自体の通行方向を運転者が把握することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することができる請求項1に記載のナビゲーション装置は、位置特定情報取得手段と、道路情報取得手段と、報知手段と、制御手段とを備える。位置特定情報取得手段は、現在地を特定するために必要な位置特定情報を取得する手段であり、道路情報取得手段は、通行方向の区別された道路情報を取得する手段であり、報知手段は種々の情報を報知するための手段である。また、制御手段は、位置特定情報取得手段によって取得される位置特定情報と道路情報取得手段によって取得される道路情報とに基づいて車両の走行中の道路を特定することによってその道路の通行方向を特定し、その通行方向を表す情報を報知手段に報知させる手段である。
【0006】
このようなナビゲーション装置を用いれば、現在走行中の道路の通行方向が報知されるため、運転者は現在走行中の道路の通行方向を確実に知ることができる。
上記課題を解決することができる請求項2に記載のナビゲーション装置は、位置特定情報取得手段と、道路情報取得手段と、報知手段と、制御手段とを備える。位置特定情報取得手段は、現在地を特定するために必要な位置特定情報を取得する手段であり、道路情報取得手段は、通行方向の区別のない道路情報を取得する手段であり、報知手段は種々の情報を報知するための手段である。また、制御手段は、位置特定情報取得手段によって取得される位置特定情報と道路情報取得手段によって取得される道路情報とに基づいて車両の走行中の道路を特定するとともに、車両の変位からその道路の通行方向を特定し、その通行方向を表す情報を報知手段に報知させる手段である。
【0007】
このようなナビゲーション装置を用いても、現在走行中の道路の通行方向が報知されるため、運転者は現在走行中の道路の通行方向を確実に知ることができる。
ここで、制御手段が報知手段に報知させる「通行方向を表す情報」というのは、「車両の現在の通行方向は、道路情報に関連したアドレス番号が増加する方向であるのか減少する方向であるのかという情報」であるとよい(請求項3)。
【0008】
このような情報を報知するようになっていれば、運転者の目的とする場所が現在走行中の道路上にあってその場所のアドレス番号を運転者が知っている場合に、場所の特定が容易になる。なぜなら、例えば、アドレス番号が1250番である場所を目的としており、現在位置が1100番である旨の標識が路側にあったとする。その場合において、現在走行中の道路の進行方向が、アドレス番号の増加方向であると運転者がわかれば、そのまま走行を続ければ良いと判断できるからである。
【0009】
また、制御手段が報知手段に報知させる「通行方向を表す情報」というのは、「道路情報に関連したアドレス番号の全部又は一部のアドレス番号の並び」であってもよい(請求項4)。ここで言う「アドレス番号の並び」というのは、例えば、[1250番→1300番]や[1350番,1400番,1450番]、というように、番号の並び順から、現在走行中の道路に関係するアドレス番号を知ることができるとともにアドレス番号が増加するのか減少するのかを知ることができるようになった並びのことを意味する。なお、例示したものは、読む方向(左から右)と、実際の通行方向に対応したアドレス番号の推移とが対応していることを前提とした表現方法である。したがって、例示したものは、いずれも「アドレス番号は増加」と運転者は判断できる。
【0010】
このようなアドレス番号の並びを報知するようになっていれば、請求項3に記載のナビゲーション装置の場合と同様、運転者の目的とする場所が現在走行中の道路上にあってその場所のアドレス番号を知っている場合に、場所の特定が容易になる。
【0011】
なお、アドレス番号の並びを報知手段に報知させる場合には、その報知させるアドレス番号間隔を車両の走行速度に対応させて選択するようになっているとよい。つまり、さらに、車両の走行速度に関する情報である走行速度情報を取得する走行速度情報取得手段を備えるようにナビゲーション装置を構成し、制御手段は、報知手段に報知させるアドレス番号を、走行速度情報取得手段によって取得された走行速度情報によって特定される車両の走行速度に対応したアドレス番号間隔で選択するようになっているとよい(請求項5)。例えば、走行速度が速い場合(40km/以上の場合)は[1200番→1500番]というように番号間隔を広めに報知し、走行速度が遅い場合(40km/未満の場合)は[1200番→1250番]というように番号間隔を狭めに報知することである。
【0012】
このようになっていれば、走行中、報知されるアドレス番号の変化の頻度を一定に抑えることができるため、運転者は、目的としているアドレス番号の場所を、より容易に把握することができる。
【0013】
ところで、アドレス番号というのは、当該道路付近の土地の番地や電柱の番号等、場所を特定可能な番号であればどのようなものであってもよいが、特にハウスナンバーであるとよい(請求項6)。このハウスナンバーというのは、主に建物を単位として規則的に設定された番号である。
【0014】
このようになっていれば、車両走行中にユーザがハウスナンバーを手がかりとして目的の建物を特定する際に特に都合がよい。
また、上述した道路情報というのは、特に、ノード間を結ぶリンクデータであって通行方向を表す情報が付加されたものであるとよい(請求項7)。
【0015】
一般的にナビゲーション装置が利用する道路情報は、ノードに関するデータとリンクに関するデータとを含んでいる。したがって、上述した道路情報が、リンクデータであって通行方向を表す情報が付加されたものであれば、道路データ記憶媒体等が記憶するデータを減らすことができる。また、道路データ記憶媒体等から読み込むデータ量も減らすこともできる(∵例えば、現在の走行道路を特定する処理の際にリンクデータと同時に通行方向を表す情報も読み込むことが可能になり、通行方向を表す情報を特定する情報を共通化できるため)。
【0016】
なお、上述した制御手段としての機能をプログラムによって実現してもよい(請求項8)。このようなプログラムを、ナビゲーション装置が内蔵するコンピュータに実行させれば、そのナビゲーション装置は、上述した本発明のナビゲーション装置と同様の作用及び効果を奏する。また、プログラムはネットワーク等を用いて流通させることも可能である上、ナビゲーション装置におけるプログラムの入れ替えは、部品の入れ替えに比較して容易である。したがって、ナビゲーション装置の機能向上を容易に行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0018】
[第一実施形態]
[構成の説明]
図1は、ナビゲーション装置20の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
ナビゲーション装置20は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、利用者からの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置20とは別体となったリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、パケット通信網等に接続して外部と通信を行う外部通信機24と、地図データや音声データ等が記録された地図記憶媒体からデータを入力する地図データ入力器25と、地図や各種情報の表示を行うための表示部26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部27と、利用者が発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン28と、車内LANに接続された各種ECU等と通信を行う車内LAN通信部33と、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部通信機24,地図データ入力器25,マイクロフォン28,車内LAN通信部33からの入力に応じて各種処理を実行し、外部通信機24,表示部26,音声出力部27,車内LAN通信部33を制御する制御部29とを備えている。
【0020】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21cからの出力信号に基づいて制御部29が、車両の位置,方位,速度等を算出する。なお、GPS受信機21aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式の何れであってもよい。
【0021】
操作スイッチ群22は、表示部26の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。尚、タッチパネルと表示部26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0022】
リモコン23aは、複数のボタンから構成されており、何れかのボタンが押下されるとそのボタンの種類に応じた信号が赤外線等の近距離無線通信を介してリモコンセンサ23bに届くように構成されている。
【0023】
リモコンセンサ23bは、リモコン23aから送られる信号を受信し、受信した信号を制御部29へ出力するようになっている。
外部通信機24は、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介してVICSの情報センタから事故情報や渋滞情報等を取得する。
【0024】
地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、背景データ、道路データ、名称データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0025】
表示部26は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等からなり、表示部26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。
【0026】
マイクロフォン28は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部29に出力するものである。利用者はこのマイクロフォン28に様々な音声を入力することにより、ナビゲーション装置20を操作することができる。
【0027】
車内LAN通信部33は、車内LANに接続された各種のECU(エンジンECU、AT−ECU、ブレーキECU等)や各種のセンサ(方向指示器センサ、ドア開閉センサ等)との通信を担う。
【0028】
制御部29は、CPU,ROM,RAM,SRAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。例えば、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示部26に表示する現在地表示処理や、地図データ入力器25に格納された地図データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて現在位置から目的地までの最適な経路を算出する経路算出処理や、その算出した経路を表示部26に表示させたり音声出力部27に音声として出力させることにより経路を案内する経路案内処理等を実行する。
【0029】
[動作の説明]
次に制御部29が実行するハウスナンバー表示処理1について、図2のフローチャートを用いて説明する。なお、ハウスナンバー表示処理1は、現在地表示処理や、経路案内処理等において表示部26に現在位置付近の地図が表示された際に実行が開始される。通常のナビゲーション装置が備えている機能を実現するための処理(例えば、現在地表示処理、経路算出処理、経路案内処理等)については説明を省略する。
【0030】
制御部29は、ハウスナンバー表示処理1の実行を開始すると、まず走行中のリンクを特定する(S110)。これは、位置検出器21からの信号に基づき現在位置を算出し、その現在位置に対応する位置に存在するリンクを、地図データ入力器25を介して地図データ記憶媒体から入力した地図データに基づいて特定することである。なお、マップマッチングの技術を組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0031】
続いて、特定したリンクが変化したか否か、及び、現在位置の行政区画が変化したか否かを判定する(S120)。リンクが変化したか否かを判定するというのは、前回、S110を実行した際に特定したリンクと、今回、S110を実行した際に特定したリンクとが異なるか否かを判定することである。行政区画が変化したか否かを判定するというのは、前回、S110を実行した際に車両が存在した行政区画と、今回、S110を実行した際に車両の存在する行政区画とが異なるか否かを判定することである。ここで言う「行政区画」というのは、国、州、地域、市、町、村等を意味する。リンク又は行政区画が変化したと判定した場合は(S120:Yes)、S130へ処理を移行し、リンク及び行政区画は共に変化しなかったと判定した場合は(S120:No)、S110へ処理を戻す。
【0032】
リンク又は行政区画が変化したと判定した場合に進むS130では、S110で特定したリンクに関連づけられて設定されているハウスナンバーを、リンクデータテーブルを参照して取得し、表示部26に表示する。そして、S110へ処理を戻す。
【0033】
ここで、図3を用いてリンクデータテーブルについて説明する。図3(a)は、リンクデータテーブルのテーブルレイアウト図であり、図3(b)は、リンクデータテーブルのレコード(リンクデータ)を構成する各データの関係を例示した説明図である。リンクデータテーブルは、地図データ記憶媒体に記憶されているテーブルであり、リンクデータテーブルを構成するリンクデータ(各レコード)は、少なくとも、リンク番号、開始ノード番号、終了ノード番号、開始ハウスナンバー、終了ハウスナンバー、道路種別等から構成される。
【0034】
リンク番号は、リンクを一意に特定するための番号である。開始ノード番号は、リンクの両端のノードのうち、走行方向の上流側に存在するノードの番号である。終了ノード番号は、リンクの両端のノードのうち、走行方向の下流側に位置する存在するノードの番号である。開始ハウスナンバーは、リンク端のうち、走行方向上流側のリンク端付近のハウスナンバーである。終了ハウスナンバーは、リンク端のうち、走行方向下流側のリンク端付近のハウスナンバーである。道路種別は、リンクに対応する道路の道路種別(一般道、高速道等)を表す情報である。なお、本実施形態で用いるリンクデータテーブルでは、走行方向毎にリンクが設定されおり、例えば、リンク番号がL10006であるリンクとリンク番号がL10005であるリンクは、センターラインや分離帯によって分離された道路(走行方向の異なる道路)それぞれに対応したリンクである。
【0035】
次に、図4を用いて表示例を二つ説明する。なお、ハウスナンバーの表示方法について、運転者がどちらの表示例の表示方法で表示させるのかを選択できるようになっているとよい。
【0036】
図4(a)は、第一表示例である。交差点101から交差点103に向かって自車両105が走行している状況において、交差点101と交差点103の間の道路について、現在の走行方向ではハウスナンバーが1800から1700に変化する旨の表示がなされている。なお、他にも、道路名称(”AAA Street”)と都市名称(”SAN FRANCISCO”)と州名称(”CA”)と国名(”USA”)も表示されている。
【0037】
図4(b)は、第二表示例である。交差点111から交差点113に向かって自車両115が走行している状況において、交差点111と交差点113の間の道路について、現在の走行方向はハウスナンバーが”down”(減少)方向である旨の表示がなされている。なお、他にも、道路名称(”AAA Street”)と都市名称(”SAN FRANCISCO”)と州名称(”CA”)と国名(”USA”)も表示されている。
【0038】
このようにナビゲーション装置20では、現在走行中の道路について、ハウスナンバーの増減(例えば”down”)や、ハウスナンバーの並び(例えば”1800→1700”)が表示部26に表示されるようになっている。このため、運転者は現在走行中の道路の通行方向を、ハウスナンバーを基準にして認識することができる。
【0039】
なお、ハウスナンバーの増減が表示されるようになっている場合には、特に、運転者の目的とする場所が現在走行中の道路上にあってその場所のハウスナンバーを運転者が知っている場合に目的場所の特定が容易になる。なぜなら、例えば、ハウスナンバーが1250である場所を目的場所としており、現在位置のハウスナンバーが1100である旨の標識が路側にあったとする。その場合において、現在走行中の道路の進行方向が、アドレス番号の増加方向であると運転者がわかれば、そのまま走行を続ければ良いと判断できるからである。
【0040】
また、ハウスナンバーの並びが表示されるようになっている場合には、ハウスナンバーの増減が表示される場合と異なり、現在位置のハウスナンバーの標識がなくても、運転者は目的場所の特定が容易である。
【0041】
[第二実施形態]
次に第二実施形態について説明するが、第一実施形態と同様の部分については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0042】
[構成の説明]
構成は第一実施形態と同様である。
[動作の説明]
次に制御部29が実行するハウスナンバー表示処理2について、図5のフローチャートを用いて説明する。ハウスナンバー表示処理2は、現在地表示処理や、経路案内処理等において表示部26に現在位置付近の地図が表示された際に実行が開始される。
【0043】
制御部29は、ハウスナンバー表示処理2の実行を開始すると、まず走行中のリンクを特定する(S210)。これは、位置検出器21からの信号に基づき現在位置を算出し、その現在位置に対応する位置に存在するリンクを、地図データ入力器25を介して地図データ記憶媒体から入力した地図データに基づいて特定することである。なお、マップマッチングの技術を組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0044】
続いて、特定したリンクが変化したか否か、及び、現在位置の行政区画が変化したか否かを判定する(S220)。リンクが変化したか否かを判定するというのは、前回、S210を実行した際に特定したリンクと、今回、S210を実行した際に特定したリンクとが異なるか否かを判定することである。行政区画が変化したか否かを判定するというのは、前回、S210を実行した際に車両が存在した行政区画と、今回、S210を実行した際に車両の存在する行政区画とが異なるか否かを判定することである。ここで言う「行政区画」というのは、国、州、地域、市、町、村等を意味する。リンク又は行政区画が変化したと判定した場合は(S220:Yes)、S230へ処理を移行し、リンク及び行政区画は共に変化しなかったと判定した場合は(S220:No)、S210へ処理を戻す。
【0045】
リンク又は行政区画が変化したと判定した場合に進むS230では、走行速度を取得する。これは、車内LAN通信部33を介して、図示しないスピードセンサから信号を取得することによって行う。
【0046】
続いて、リンクに関連して設定されているハウスナンバーの表示方法を決定する(S240)。表示方法の決定というのは、車両の走行速度に応じ、表示するハウスナンバーの間隔を変更するための情報を決定することである。具体的には、開始ハウスナンバーと終了ハウスナンバーとの間を走行速度に応じて分割する分割数を決定することである。例えば、走行中の道路に対応するリンクの開始ハウスナンバーが1800で、終了ハウスナンバーが1700であった場合、時速40km/h以上であれば分割せずにハウスナンバーを「1800→1700」と表示する。一方、時速40km/h未満であれば分割数を2と決定してハウスナンバー1800−1700の間を、1800−1750と、1750−1700とに分割し、車両位置に応じて「1800→1750」及び「1750→1700」のいずれかを表示する。表示例は、後述する。
【0047】
表示方法(分割数)を決定すると、その決定した表示方法(分割数)によってハウスナンバーを表示する(S250)。具体的には、S210で特定したリンクに関連づけられて設定されているハウスナンバー(開始ハウスナンバー及び終了ハウスナンバー)を、リンクデータテーブルを参照して取得する。そして、決定した分割数によってハウスナンバーの範囲を上述したように分割して表示部26に表示させる。分割したもののいずれを表示部26に表示させるかは、車両の現在位置の情報を用いて判断する。その後、S210へ処理を戻す。
【0048】
ここで、図6を用いて表示例を二つ説明する。なお、いずれの表示例の方法によってハウスナンバーが表示されるのかは、車両の走行速度によって決定される(S240)。
図6(a)は第三表示例である。交差点121から交差点123に向かって自車両125が走行している状況において、交差点121と交差点123の間の道路について、現在の走行方向ではハウスナンバーが1800から1700に変化する旨の表示がなされている。なお、他にも、道路名称(”AAA Street”)と都市名称(”SAN FRANCISCO”)と州名称(”CA”)と国名(”USA”)も表示されている。また、走行速度(”50Km/h”)が自車両125のアイコンの下に表示されている。
【0049】
図6(b)は、第四表示例である。交差点131から交差点133に向かって自車両135が走行している状況において、交差点131と交差点133の間の道路について、現在の走行方向ではハウスナンバーが1800から1750に変化する旨の表示がなされている。なお、他にも、道路名称(”AAA Street”)と都市名称(”SAN FRANCISCO”)と州名称(”CA”)と国名(”USA”)も表示されている。また、走行速度(”30Km/h”)が自車両135のアイコンの下に表示されている。
【0050】
このようはハウスナンバー表示処理2が実行されるナビゲーション装置20では、表示部26に表示させるハウスナンバーが車両の走行速度に応じて変化するようになっている。したがって、表示されたハウスナンバーの変化の頻度を一定に抑えることができるため、運転者は、目的としているハウスナンバーの場所を、より容易に把握することができる。
【0051】
[第三実施形態]
次に第三実施形態について説明するが、第一実施形態と同様の部分については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0052】
[構成の説明]
構成は第一実施形態と同様である。ただし、リンクデータテーブルに格納されたリンクデータの設定方法が第一実施形態とは異なり、走行方向の相違にかかわらず隣接した道路に対して共通のリンクが設定されたものとなっている。図7を用いてそれを説明する。図7(a)は、リンクデータテーブルのテーブルレイアウト図であり、図7(b)は、リンクデータテーブルのレコード(リンクデータ)を構成する各データの関係を例示した説明図である。リンクデータテーブルは、地図データ記憶媒体に記憶されているテーブルであり、リンクデータテーブルを構成するリンクデータ(各レコード)は、少なくとも、リンク番号、開始ノード番号、終了ノード番号、開始ハウスナンバー、終了ハウスナンバー、道路種別等から構成される。
【0053】
リンク番号は、リンクを一意に特定するための番号である。開始ノード番号は、リンクの両端のノードのうち、いずれか一方のノードの番号である。終了ノード番号は、リンクの両端のノードのうち、いずれか一方のノードの番号である。開始ハウスナンバーは、開始ノード番号が付された方のリンク端付近のハウスナンバーである。終了ハウスナンバーは、終了ノード番号が付された方のリンク端付近のハウスナンバーである。道路種別は、リンクに対応する道路の道路種別(一般道、高速道等)を表す情報である。したがって、本実施形態で用いるリンクデータテーブルでは、走行方向の相違にかかわらず隣接した道路には共通のリンクが設定されおり、例えば、センターラインや分離帯によって分離された二つの通行方向の異なる道路に対し、共通する単一のリンクが設定されている。もちろん、センターラインや分離帯が設置されていない道路(通行方向が規制されていない道路)についても単一のリンクが設定されている。
【0054】
[動作の説明]
次に制御部29が実行するハウスナンバー表示処理3について、図8のフローチャートを用いて説明する。ハウスナンバー表示処理3は、現在地表示処理や、経路案内処理等において表示部26に現在位置付近の地図が表示された際に実行が開始される。
【0055】
制御部29は、ハウスナンバー表示処理3の実行を開始すると、まず走行中のリンクを特定する(S310)。これは、位置検出器21からの信号に基づき現在位置を算出し、その現在位置に対応する位置に存在するリンクを、地図データ入力器25を介して地図データ記憶媒体から入力した地図データに基づいて特定することである。なお、マップマッチングの技術を組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0056】
続いて、特定したリンクが変化したか否か、及び、現在位置の行政区画が変化したか否かを判定する(S320)。リンクが変化したか否かを判定するというのは、前回、S310を実行した際に特定したリンクと、今回、S310を実行した際に特定したリンクとが異なるか否かを判定することである。行政区画が変化したか否かを判定するというのは、前回、S310を実行した際に車両が存在した行政区画と、今回、S310を実行した際に車両の存在する行政区画とが異なるか否かを判定することである。ここで言う「行政区画」というのは、国、州、地域、市、町、村等を意味する。リンク又は行政区画が変化したと判定した場合は(S320:Yes)、S330へ処理を移行し、リンク及び行政区画は共に変化しなかったと判定した場合は(S320:No)、S310へ処理を戻す。
【0057】
リンク又は行政区画が変化したと判定した場合に進むS330では、リンクを順方向(開始ノード番号から終了ノード番号の方向)に進んでいるか、逆方向(終了ノード番号から開始ノード番号の方向)に進んでいるかを特定する。特定は、車両の現在位置の推移に基づいて行う。
【0058】
続く、S340では、走行速度を取得する。これは、車内LAN通信部33を介して、図示しないスピードセンサから信号を取得することによって行う。
続いて、リンクに関連して設定されているハウスナンバーの表示方法を決定する(S350)。表示方法の決定というのは、車両の走行速度に応じ、表示するハウスナンバーの間隔を変更するための情報を決定することである。具体的には、開始ハウスナンバーと終了ハウスナンバーとの間を走行速度に応じて分割する分割数を決定することである。例えば、走行中の道路に対応するリンクの開始ハウスナンバーが1800で、終了ハウスナンバーが1700であってリンクの順方向に走行していた場合、時速40km/h以上であれば分割せずにハウスナンバーを「1800→1700」と表示する。一方、時速40km/h未満であれば分割数を2と決定してハウスナンバー1800−1700の間を、1800−1750と、1750−1700とに分割し、車両位置に応じて「1800→1750」及び「1750→1700」のいずれかを表示する。
【0059】
表示方法(分割数)を決定すると、その決定した表示方法(分割数)によってハウスナンバーを表示する(S360)。具体的には、S310で特定したリンクに関連づけられて設定されているハウスナンバー(開始ハウスナンバー及び終了ハウスナンバー)を、リンクデータテーブルを参照して取得する。そして、決定した分割数によってハウスナンバーの範囲を上述したように分割し、S330で特定したリンクの方向を考慮してハウスナンバーを表示部26に表示させる。リンクの方向を考慮というのは、リンクを順方向(開始ノード番号から終了ノード番号の方向)に進んでいるのであれば、開始ハウスナンバーから終了ハウスナンバーの方向に向かっているように表示させ、リンクを逆方向(終了ノード番号から開始ノード番号の方向)に進んでいるのであれば、終了ハウスナンバーから開始ハウスナンバーの方向に向かっているように表示させる。表示部26に表示させる具体例については、第二実施形態の場合と同様であるため説明を省略する。なお、分割したもののいずれを表示部26に表示させるかは、車両の現在位置の情報を用いて判断する。その後、S310へ処理を戻す。
【0060】
このようなナビゲーション装置20であっても、上述した第二実施形態のナビゲーション装置20と同様の効果を奏する。なお、本実施形態では、走行方向の相違にかかわらず隣接した道路に対して共通する単一のリンクが設定されているため、リンクデータテーブルのレコード数は第二実施形態のものと比較して少ない。
【0061】
以上、本実施形態では、第二実施形態と同様に、車両の走行速度に応じ、表示するハウスナンバーの間隔を変更する例を説明したが、無論、第一実施形態と同様、走行速度とは関係なく、単に特定したリンクのハウスナンバーの増減(例えば"down")や、ハウスナンバーの並び(例えば"1800→1700")を進行方向に基づき表示部26に表示されるようにしてもよい。
【0062】
[他の実施形態]
(1)上記いずれの実施形態においても、ハウスナンバーを並び表示させる例として、”1800→1700”というのを示したが、もちろん他の形式であってもよい。例えば、”1350,1400,1450”というような、当該リンクの両端のハウスナンバーと中央のハウスナンバーとを表示させるようになっていてもよいし、当該リンクに対応するハウスナンバーが少ないのであれば、全てのハウスナンバーを表示させてしまってもよい。そして、これらの表示方法を運転者が操作スイッチ群22によって自由に選択できるようになっているとよい。
【0063】
(2)上記いずれの実施形態においても、表示部26にハウスナンバーを表示するようになっていたが、表示部26に表示させた情報と同様の情報を音声出力部27から音声によって出力させるようになっていてもよい。
【0064】
このようになっていれば、運転者は表示部26に視線をやらなくてもハウスナンバーの増減等を知ることができ、より運転に集中することができる。
(3)上記いずれの実施形態においても、アドレス番号の一例としてハウスナンバーを適用した場合について説明したが、もちろんハウスナンバー以外のものであってもよい。例えば、道路付近の土地の番地や電柱の番号等、場所を特定可能な番号であればどのようなものであってもよい。
【0065】
このような番号をハウスナンバーの代わりに用いる場合でも、上述したナビゲーション装置20と同様の効果を奏する。
(4)上記いずれの実施形態においても、まず特定したリンクが変化した場合、及び/又は、現在位置の行政区画が変化した場合に現住所と共に進行方向を示した形態でハウスナンバーを表示したが、表示のタイミングはこれらに限らず、ユーザ操作に基づいて行ってもよい。このようになっていれば、ユーザは適宜所望のタイミングで現住所と共にハウスナンバーを表示し、進行方向も含めた現在位置の確認が可能となる。
【0066】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲に記載した用語との対応を示す。位置検出器21が位置特定情報取得手段に相当し、地図データ入力器25が道路情報取得手段に相当し、表示部26及び音声出力部27が報知手段に相当し、車内LAN通信部33が走行速度情報取得手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施形態のナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】ハウスナンバー表示処理1を説明するためのフローチャートである。
【図3】第一、第二実施形態のリンクデータテーブルを説明するためのテーブルレイアウト図である。
【図4】ハウスナンバー表示処理1による表示例である。
【図5】ハウスナンバー表示処理2を説明するためのフローチャートである。
【図6】ハウスナンバー表示処理2による表示例である。
【図7】第三実施形態のリンクデータテーブルを説明するためのテーブルレイアウト図である。
【図8】ハウスナンバー表示処理3を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
20…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示部、27…音声出力部、28…マイクロフォン、29…制御部、33…車内LAN通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて用いられるナビゲーション装置であって、
現在地を特定するために必要な位置特定情報を取得する位置特定情報取得手段と、
通行方向の区別された道路情報を取得する道路情報取得手段と、
種々の情報を報知するための報知手段と、
前記位置特定情報取得手段によって取得される前記位置特定情報と前記道路情報取得手段によって取得される前記道路情報とに基づいて前記車両の走行中の道路を特定することによってその道路の通行方向を特定し、その通行方向を表す情報を前記報知手段に報知させる制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
車両に搭載されて用いられるナビゲーション装置であって、
現在地を特定するために必要な位置特定情報を取得する位置特定情報取得手段と、
通行方向の区別のない道路情報を取得する道路情報取得手段と、
種々の情報を報知するための報知手段と、
前記位置特定情報取得手段によって取得される前記位置特定情報と前記道路情報取得手段によって取得される前記道路情報とに基づいて前記車両の走行中の道路を特定するとともに、前記車両の変位からその道路の通行方向を特定し、その通行方向を表す情報を前記報知手段に報知させる制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段が前記報知手段に報知させる前記通行方向を表す情報というのは、前記車両の現在の通行方向は、前記道路情報に関連したアドレス番号が増加する方向であるのか減少する方向であるのかという情報であること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記制御手段が前記報知手段に報知させる前記通行方向を表す情報というのは、前記道路情報に関連したアドレス番号の全部又は一部のアドレス番号の並びであること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
さらに、前記車両の走行速度に関する情報である走行速度情報を取得する走行速度情報取得手段を備え、
前記制御手段は、前記報知手段に報知させる前記アドレス番号を、前記走行速度情報取得手段によって取得された前記走行速度情報によって特定される前記車両の走行速度に対応したアドレス番号間隔で選択すること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記アドレス番号は、ハウスナンバーであること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のナビゲーション装置において、
前記道路情報は、ノード間を結ぶリンクデータであって前記通行方向を表す情報が付加されたものであること、
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のナビゲーション装置の前記制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−145234(P2008−145234A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331951(P2006−331951)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】