説明

ナビゲーション装置

【課題】渋滞情報の表示が不必要なとき、渋滞情報を表示させないことによって自車位置周辺の地図の視認性を向上させることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】車両の位置21が目的地23から所定距離の範囲内であるとき、自車位置周辺の地図20には渋滞情報を表示しない。渋滞情報を表示していないことをユーザが認識できるようにするため、渋滞情報非表示通知ダイアローグ24が表示モニタ16に表示される。車両の位置が目的地より所定距離より離れている場合、自車位置周辺の地図20に渋滞情報25a〜25dを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通の渋滞情報を表示モニタに表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面に表示された地図上に渋滞区間(たとえば、特許文献1)あるいは、渋滞傾向表示マーク(たとえば、特許文献2)を表示するナビゲーション装置が従来技術として知られている。
【特許文献1】特開2006−71555号公報
【特許文献2】特開2006−17482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
地図上に渋滞区間あるいは渋滞傾向表示マークを表示すると、地図が見づらくなるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、車両の現在地を検出する現在地検出手段と、設定された目的地までの推奨経路を探索する探索手段と、車両の現在地周辺の地図および地名を表示モニタに表示させる地図表示制御手段と、渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段とを備え、地図表示制御手段は、車両の現在地と目的地までの間の距離が所定値以内になると、渋滞情報の表示を中止することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、地図表示制御手段は、車両の現在地と目的地までの間の距離が所定値以内になって、渋滞情報の表示を中止したとき、その旨をユーザに通知するための渋滞情報非表示通知を表示させることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1また2に記載のナビゲーション装置において、地図表示制御手段は、車両の現在地と目的地までの間の距離が所定値以内になると、地図上の地名を消去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、目的地から車両の現在地までの距離が所定距離内である場合、自車位置周辺の地図に渋滞情報を重ねて表示しないようにした。これにより、自車位置周辺の地図の視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。このナビゲーション装置1は、自車位置周辺の地図に重ねて渋滞情報を表示することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、VICS(登録商標)(道路交通情報システム)情報受信部19およびディスクドライブ110を有している。ディスクドライブ110には、地図データが記憶されたDVD−ROM111が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示などを行うことができる。
【0010】
ディスクドライブ110は、DVD−ROM111から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM111以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドを設定するための入力スイッチを有し、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を操作することにより、目的地を設定する。また、ユーザは、入力装置18を操作することによって、表示モニタ16に表示された地図をスクロールさせたり、地図の縮尺率を変更させたりすることができる。
【0012】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1はGPSセンサ14cにより検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このような経路演算を以下、経路探索と呼ぶ。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0013】
VICS情報受信部19は、図示しないVICS情報センタから供給される渋滞情報などのVICS情報を受信し、制御回路11に出力する。このVICS情報は主に高速道路上に設置されている電波ビーコンや主に一般道路上に設置されている光ビーコン、またはFM多重放送によって送信される。電波ビーコンや光ビーコンは設置地付近を通過する車両に対してVICS情報を送信し、FM多重放送はそれらよりも広域の通信エリアをカバーする。ナビゲーション装置1は、これらによって送信されたVICS情報をVICS情報受信部19により受信する。VICS情報には、リンクごとの渋滞情報が含まれている。これにより、渋滞している地図表示上の道路に渋滞情報を表示させることができる。たとえば、渋滞している道路に沿って、渋滞や混雑を示す矢印を表示させることができる。また、VICS情報受信部19で受信したVICS情報は、経路探索に反映される。渋滞している区間におけるリンクのリンクコストを渋滞の程度に応じて重み付けを行い、重み付けしたリンクコストで、経路探索が行われる。
【0014】
図2を参照して、本発明の実施形態における渋滞情報表示制御処理について、説明する。ここで、ユーザは、目的地に至る推奨経路を探索し、推奨経路にしたがって走行しているものとする。また、目的地周辺の道路は渋滞しているものとして説明する。
【0015】
図2(a)は、車両が目的地に近い位置を走行しているときの自車位置周辺の地図を表示した表示モニタ16の表示画面を示す図である。表示画面には、自車位置周辺の地図20に重ねて、車両の現在地に自車位置マーク21と推奨経路22とが表示される。また、車両は目的地に近い位置を走行しているので、表示画面には、目的地を表す目的地マーク23が表示される。実際の地図には地名が表示されるが、地図を見やすくするため、便宜的に地図20の地名を省略する。
【0016】
上述したように、目的地周辺の道路は渋滞している。しかし、本発明の実施形態のナビゲーション装置1では、車両の位置が目的地から所定距離(たとえば1km)の範囲内であるとき、自車位置周辺の地図20に渋滞情報を表示しない。渋滞情報を表示しないことをユーザに通知するため、渋滞情報非表示通知ダイアローグ24が表示モニタ16に表示される。
【0017】
図2(b)は、車両が目的地から離れているときの自車位置周辺の地図を表示した表示モニタ16の表示画面を示す図である。表示画面には、自車位置周辺の地図20に重ねて、車両の現在地に自車位置マーク21と、推奨経路22とが表示される。
【0018】
本発明の実施形態のナビゲーション装置1では、車両の位置が目的地より所定距離(たとえば1km)より離れている場合、自車位置周辺の地図20に渋滞情報を表示する。したがって、図2(b)に示す地図20には、渋滞区間を示す矢印(以下、渋滞情報表示矢印)25a〜25dが表示される。ユーザは、推奨経路22上の道路が渋滞している場合、再経路探索することによって、渋滞を回避する経路を探索することができる。
【0019】
次に、本発明の一実施形態における渋滞情報表示処理について図4のフローチャートを参照して説明する。図4の処理は、経路誘導が開始させるとスタートするプログラムであり、制御回路11により実行される。
【0020】
ステップS401では、現在地検出装置14により車両の現在地を検出する。ステップS402では、現在地と目的地との間の距離を算出する。ステップS403では、目的地から開始地点までの距離が所定距離、たとえば1km以内であるか否かを判定する。現在地から目的地までの距離が1km以内である場合はステップS403が肯定判定され、ステップS404へ進む。現在地から目的地までの距離が1kmより大きい場合はステップS403が否定判定され、ステップS405へ進む。ステップS404では、地図に重ねて表示される渋滞情報を非表示にするとともに、渋滞情報非表示通知ダイアローグを表示する。そして、リターンする。ステップS405では、自車位置周辺の地図に重ねて渋滞情報を表示する。そして、リターンする。
【0021】
以上の実施形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)目的地23から車両の現在地21までの距離が所定距離内である場合、自車位置周辺の地図20に渋滞情報25a〜25dを表示しないようにした。これにより、渋滞情報25a〜25dの表示が不必要なとき、渋滞情報25a〜25dを表示させないことによって自車位置周辺の地図20の視認性を向上させることができる。
【0022】
一方、目的地23から車両の現在地21までの距離が所定距離内である場合、自車位置周辺の地図20に渋滞情報25a〜25dを表示すると、以下の問題が生じる。図3(a)は、車両が目的地に近い位置を走行しているときの自車位置周辺の地図20に渋滞情報を重ねて表示した表示モニタ16の表示画面を示す図である。図3(a)の地図は図2(a)の地図に対応する。図3(a)に示すように、地図20に重ねて渋滞情報表示矢印26a〜26fが表示されているため、地図20の視認性が悪くなっている。
【0023】
ユーザが、図3(a)に示す表示画面を見て、渋滞を回避する経路を探索するために再び経路探索を行った場合、図3(b)に示す推奨経路27が探索される。推奨経路27は渋滞している道路を通過する経路である。目的地周辺では、再経路探索しても、ユーザは結局、渋滞している道路を通過して目的地へ向かうことが多い。このように、目的地周辺では、渋滞を表示しても渋滞を回避して目的地に到達できない場合が多いので、渋滞情報の表示が不必要である場合がある。
【0024】
(2)渋滞情報を非表示にするとき、渋滞情報を表示していないことをユーザが認識できるようにする渋滞情報非表示通知ダイアローグ24を表示モニタ16に表示させるようにした。したがって、渋滞情報はないから渋滞情報が非表示であるか、渋滞情報はあるが渋滞情報が非表示であるかをユーザは区別することができる。
【0025】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
−他の実施の形態1−
目的地から車両の現在地までの距離が所定距離内である場合、自車位置周辺の地図に渋滞情報を表示しないようにするとともに、地図に表示される地名も非表示にするようにしてもよい。これにより、地図上の道路の視認性が良好になり、目的地に確実に到達することができる。
【0026】
−他の実施の形態2−
目的地から車両の現在地までの距離が所定距離内である場合、自車位置周辺の地図に渋滞情報を表示しないようにするとともに、目的地周辺の駐車場の満車情報を表示するようにしてもよい。渋滞情報を表示しないことによって、駐車場の満車情報が見やすくなるからである。目的地周辺の駐車場の満車情報は、たとえば、不図示の無線通信装置を用いて情報センタなどから取得される。
【0027】
−他の実施の形態3−
目的地から車両の現在地までの距離が所定距離内である場合に限らず、推奨経路を通過する道路に渋滞情報が表示され、渋滞を回避しようして再経路探索を行った場合、再経路探索された推奨経路が通過する道路における渋滞情報を表示しないようにしてもよい。渋滞情報が表示されていても渋滞している道路を通過しなくてはならないので、渋滞情報を表示しても仕方がないからである。この場合、地図の視認性を優先する。また、渋滞を回避しようして再経路探索を行い、再経路探索した推奨経路が通過する道路における渋滞情報を表示しないようにしてもよい。渋滞情報が表示されていても渋滞している道路を通過しなくてはならないので、渋滞情報を表示しても仕方がないからである。この場合、地図の視認性を優先する。
【0028】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0029】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本願発明の現在地検出手段は現在地検出装置14に対応し、探索手段および地図表示制御手段は制御回路11に対応する。渋滞情報取得手段はVICS情報受信部19に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における渋滞情報表示制御処理を説明するための図である。
【図3】渋滞情報を表示した自車位置周辺の地図を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態における渋滞情報表示処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
14 現在地検出装置
16 表示モニタ
19 VICS情報受信部
20 地図
25a〜25d,26a〜26f 渋滞情報表示矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
設定された目的地までの推奨経路を探索する探索手段と、
前記車両の現在地周辺の地図および地名を表示モニタに表示させる地図表示制御手段と、
渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段とを備え、
前記地図表示制御手段は、前記車両の現在地と前記目的地までの間の距離が所定値以内になると、前記渋滞情報の表示を中止することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記地図表示制御手段は、前記車両の現在地と前記目的地までの間の距離が所定値以内になって、前記渋滞情報の表示を中止したとき、その旨をユーザに通知するための渋滞情報非表示通知を表示させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1また2に記載のナビゲーション装置において、
前記地図表示制御手段は、前記車両の現在地と前記目的地までの間の距離が所定値以内になると、前記地図上の地名を消去することを特徴とするナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−92559(P2009−92559A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264617(P2007−264617)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】