説明

ナビゲーション装置

【課題】車両で実際に走行した経路の軌跡データを記憶しておき、後日、それを再利用できるようにし、経路を記憶するための記憶装置を有効に利用する。
【解決手段】実際に走行した経路の軌跡データを生成して記憶する軌跡記憶手段14を備えたナビゲーション装置1であって、さらに、実際に走行した経路の軌跡データを記憶し、新たに記憶しようとする軌跡データと前記記憶した経路の軌跡データの類似度を判別する類似経路判別手段16を備えており、経路の軌跡データを記憶する際、記憶容量が不足する場合、前記類似経路判別手段16が判別した類似度の高い経路の軌跡データを削除して前記新たな軌跡データを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両で実際に走行した経路の走行軌跡を記憶しておき、後日、それを再利用できるようにしたナビゲーション装置に関し、記憶した走行軌跡を削除する際に必要性の高い走行軌跡を残し、必要性の低い走行軌跡から順に削除するようにしたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目的地として、以前行った所と同じ場所に行くことがあり、そのような場合、再び、出発地と目的地を指定して経路探索を行うのは手間や時間がかかる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1(特開2006−30108号公報)に示されるように、目的地を指定して経路探索を行った際に、目的地に至るまでの軌跡に関する情報を記憶しておき、その後、同じ目的地を指定した際に、記憶しておいた走行軌跡を読み出して案内経路として設定するようにしたナビゲーション装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−30108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示されるようなナビゲーション装置のように走行した経路の走行軌跡を順次記憶する場合、記憶装置に記憶する走行軌跡のデータ量が膨大になってしまうという問題点が生じる。このため、走行軌跡を記憶する記憶容量が不足し、新たな走行軌跡を記憶できないという問題が生じる。
【0005】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、記憶した走行軌跡を削除する場合には、新たに記憶しようとする走行軌跡と、過去に記録した走行軌跡との類似度を判別し、類似度の高い経路の走行軌跡データから削除するようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、車両で実際に走行した経路の走行軌跡を記憶しておき、後日、それを再利用できるようにし、走行軌跡を記憶するための記憶装置を有効に利用できるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、現在位置を検出する現在位置検出手段と、該現在位置検出手段により検出された現在位置の移動に伴い逐次第1地点から第2地点に至る走行軌跡を記憶手段に記憶する制御手段を備えたナビゲーション装置において、
前記制御手段が新たに記憶する走行軌跡と、既に前記記憶手段に記憶されている走行軌跡の類似度を判別する類似経路判別手段を備え、前記制御手段は、新たに走行軌跡を記憶する際に、前記類似経路判別手段が判別した類似度の高い走行軌跡を削除して前記新たな走行軌跡を記憶することを特徴とする。
【0008】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記制御手段は、新たに走行軌跡を記憶する際に前記記憶手段の記憶容量を検出し、該記憶容量が不足しない場合、前記類似経路判別手段による判別を行うことなく前記新たな走行軌跡を記憶することを特徴とする。
【0009】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記走行軌跡は、前記第1地点から第2地点に至る経路上で得られたノードおよびリンクの何れか一方または両方の連続したデータであることを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記類似経路判別手段は、前記制御手段が新たに記憶しようとする走行軌跡と、既に前記記憶手段に記憶された走行軌跡のノードおよびリンクの何れか一方または両方を比較し類似度を判別することを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、前記類似経路判別手段は、前記制御手段が新たに記憶しようとする走行軌跡の終点ノードまたは終点リンクに付された名称と、前記記憶手段に記憶された走行軌跡の終点ノードまたは終点リンクに付された名称とを比較し、前記名称が一致した場合、類似度が高いと判別することを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーション装置において、走行軌跡が存在しない場合は、記憶日時の古い走行軌跡から順に削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1にかかる発明においては、前記制御手段は、前記類似経路判別手段が判別した類似度の高い走行軌跡を削除して前記新たな走行軌跡を記憶する。
【0014】
かかる構成によれば、車両で実際に走行した走行軌跡を記憶しておき、後日、それを再利用できるようにし、走行軌跡を記憶する際に、類似度の高い走行軌跡、すなわち、必要性の低い走行軌跡を削除することができ、記憶装置を有効に利用することができるようになる。
【0015】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、制御手段は、新たに走行軌跡を記憶する際に前記記憶手段の記憶容量を検出し、該記憶容量が不足しない場合、前記類似経路判別手段による判別を行うことなく前記新たな走行軌跡を記憶する。
【0016】
従って、記憶手段の記憶容量が不足していない場合は、類似経路判別手段の判別に関係なく走行軌跡を記憶することができる。
【0017】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、走行軌跡は、前記第1地点から第2地点に至る経路上で得られたノードおよびリンクの何れか一方または両方の連続したデータである。
【0018】
従って、走行した経路上において、都度、検出した現在位置に対応したノードおよびリンクの何れか一方または両方のデータを採取し連続したデータとすることで走行軌跡とすることができる。
【0019】
請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、類似経路判別手段は、前記制御手段が新たに記憶しようとする走行軌跡と、既に前記記憶手段に記憶された走行軌跡のノードおよびリンクの何れか一方または両方を比較し類似度を判別する。
【0020】
従って、類似度の高い走行軌跡から順に削除して新たな走行軌跡を記憶することができるようになる。
【0021】
請求項5にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、類似経路判別手段は、前記制御手段が新たに記憶しようとする走行軌跡の終点ノードまたは終点リンクに付された名称と、前記記憶手段に記憶された走行軌跡の終点ノードまたは終点リンクに付された名称とを比較し、前記名称が一致した場合、類似度が高いと判別する。
【0022】
従って、名称が一致した走行軌跡を削除して新たな走行軌跡を記憶することができるようになる。
【0023】
請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーション装置において、削除する走行軌跡が存在しない場合は、記憶日時の古い走行軌跡から順に削除する。
【0024】
従って、古い走行軌跡を削除した後に、新たな走行軌跡を記憶することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0026】
図1は、本発明の一実施例にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、自動車等の車両に搭載されることにより車載用として使用されるナビゲーション装置であってもよく、車両から取り外されユーザが携帯し使用できるタイプのものであってもよく、また、携帯電話などの携帯電子機器を端末装置として使用する通信型のナビゲーション装置であってもよい。以下の説明においては、これらを総称してナビゲーション装置1という。
【0027】
制御手段10は、CPU、RAM、ROMからなるプロセッサで構成され、RAM、ROMに記録された制御プログラムに従ってナビゲーション装置1の各部の動作を制御する。
【0028】
現在位置検出手段11は、例えばGPS受信機等で構成され、地球上空を周回している複数のGPS衛星からの時刻情報を含む電波を受信し、それをもとに現在位置情報を算出するものである。
【0029】
さらに、現在位置検出手段11は、舵角センサ、加速度センサ、距離センサや方位センサなどからなる自立航法手段を併用するようにしてもよい。この場合、車両の走行距離と走行方位とをそれぞれ検出し、これらの値を基準位置に対して積算することによって現在位置を求める。この現在位置検出方法は、GPS受信と組み合わせることで、GPS電波を受信できないトンネル内や、誤差が生じやすい高層ビル街において効果を発揮する。
【0030】
地図記憶手段12は、各道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとし、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路ノードデータと道路リンクデータを含む道路データを記憶する。道路ノードデータには、道路ノードの番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれる。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノードの番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータにはさらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所など名称等のデータが付与される。道路種別は、高速道路や有料道路の別および国道や都道府県道などの別を含む情報であり、各種道路の名称も含まれる。
【0031】
地図記憶手段12は、さらに海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、施設の位置、形状、名称を含む施設データからなる背景データの他、地図画像を見やすく表示するためにベクター形式で記憶された地図画像データを含んでいてもよい。
【0032】
これらの道路データと背景データおよび地図画像データは、ナビゲーション装置1を使用する際に、ナビゲーション装置1の現在位置を含む所定範囲の地図が地図記憶手段12から抽出され、現在位置を示す現在位置マークや案内経路の画像が重ね合わされて表示手段19に表示される。地図画像は車両の走行に伴ってスクロールされ、現在位置検出手段11が検出する現在位置を表示画面の中心にして表示する。その際、現在位置検出手段11が検出する位置情報には誤差が含まれるため、現在位置が道路からずれている場合には、マッチング処理手段18によってマッチング処理され、表示手段20に表示された道路上または経路上に修正される。
【0033】
また、地図記憶手段12は、後述する軌跡生成手段15により生成される軌跡データの端点の名称として、予め、店舗名、施設名等の地点情報を記憶している。
【0034】
経路探索手段13は、入力手段21の操作により出発地や目的地が指定されると、地図記憶手段12に記憶されている道路データを参照し、出発地から目的地に至るまでの最適経路を探索し、案内経路データを作成するものである。この最適経路の探索は、現在位置またはユーザによって指定された出発地に対応する道路ノードからユーザによって指定された目的地に対応する道路ノードまでに至るリンクとノードをダイクストラ法などの各種の手法によって探索し、リンク長(リンクコスト)や所要時間などを累積し、総リンク長または総所要時間などが最短となる経路を案内経路とし、当該経路に属する道路ノードやリンクを案内経路データとして提供するものである。
【0035】
そのようにして探索された経路は、経路案内手段19により、表示手段20に地図画像とともに表示され、また、車両の進行に応じて交差点拡大図が表示されたり、音声案内によって目的地まで案内される。
【0036】
軌跡記憶手段14は、後述する軌跡生成手段15により生成された走行軌跡データ(以下、軌跡データと称する)を記憶する。
【0037】
軌跡生成手段15は、所定の条件に従って実際に走行した経路の軌跡データを生成して軌跡記憶手段14に記憶する。例えば、軌跡生成手段15は、図示しない車両状態検出手段の検出に基づき、エンジン始動地点からエンジン停止地点までを一区切りとした軌跡データを生成し記憶する。さらに、現在位置検出手段11の検出に基づき、車両の現在位置の変化がなくなった時点を車両の停車と判定し、さらに図示しない時間計測手段による計測に基づき、エンジン始動地点から所定時間以上継続して停車した地点までを一区切りとした軌跡データを生成し記憶する。あるいは、1日の走行経路をノード単位で記憶し、ユーザが、記憶された軌跡データの始点および終点を指定できるようにしてもよい。
【0038】
また、出発地と目的地を設定して経路探索した案内経路に基づいて、経路案内を受けながら走行した経路の軌跡データを記憶することもでき、その場合は出発地から目的地までを一区切りとした軌跡データを生成し記憶する。
【0039】
ここで、軌跡記憶手段14に記憶された軌跡データについて図2を用いて説明する。
【0040】
図2に示す軌跡データ(軌跡データ1から軌跡データ7)は、軌跡生成手段15が、実際に走行した経路に基づき生成するものであり、軌跡データには、始点および終点の名称と、始点から終点に至る経路の情報が記憶された経路データが記憶されている。経路データには、始点および終点に対応したノードデータと、始点から終点に至る経路上で得られた通過ノードのノードデータ、通過リンクのリンクデータを連続したデータと、通過したノードやリンクの交差点名称や道路名称が含まれている。
【0041】
軌跡データの始点および終点(以下、軌跡データの端点と称する)の名称は、軌跡生成手段15が、地図記憶手段12に記憶された地点情報を参照して、端点に対応した名称を付加して軌跡記憶手段14に記憶する。このとき、端点の名称となる文字列をユーザが入力手段20を用いて自由に入力することもできる。
【0042】
経路データには、さらに、始点から終点に至る経路を案内する案内データを記憶することができる。案内データとは、始点から終点までの経路画像や、始点から終点までの経路上における交差点等の案内地点に対応する案内ポイントおよび右折や左折、直進などを案内する案内画像および音声データであり、軌跡記憶手段14に記憶された軌跡データを利用して経路案内を行う場合、利用者により選択された軌跡データに含まれる案内データを用いて経路案内が行われる。
【0043】
このように、走行した経路の軌跡データを記憶するにあたって、軌跡生成手段15は、実際に走行した経路の軌跡データを軌跡記憶手段14に順次記憶していくが、そのまま全ての軌跡データを記憶すると膨大なメモリが必要になる。軌跡記憶手段14の記憶容量には限りがあり、新たな経路の軌跡データを記憶する際に、記憶容量が不足する事態が生ずる。
【0044】
本発明においては、軌跡生成手段15が、新たな軌跡データを軌跡記憶手段14に記憶するにあたり、軌跡記憶手段14の記憶容量を検出し、軌跡記憶手段14の記憶容量の余裕が十分でないことが検出されると、類似経路判別手段16が、軌跡生成手段15により生成され軌跡記憶手段14に新たに記憶される軌跡データと、軌跡記憶手段14に既に記憶されている軌跡データの類似度を判別し、軌跡データ削除手段17は、軌跡記憶手段14に記憶されている軌跡データのうち、類似経路判別手段16により類似度が高いと判別された軌跡データから削除を行う。すなわち、記憶した軌跡データを削除する際に必要性の高い軌跡データを残し、必要性の低い軌跡データから順に削除を行う。
【0045】
類似度の判別には、種々の方法を採ることができる。例えば、軌跡記憶手段14に記憶された軌跡データのノード、リンクを各ノード、各リンクごとに比較し、一致するノード、リンクの締める比率(一致度)が所定の比率以上であった場合は類似度が高いと判別し、所定の比率以下であった場合は類似度が低いと判別する方法を採ることができる。また、この比率の値を類似度として決定し、個々の軌跡データごとに類似度を判別してもよい。
【0046】
また、軌跡データの始点または終点に地点名称や施設名称が付与されている場合、あるいは、軌跡データの終点ノードや終点リンクに、当該ノードの交差点名称や地点名称、リンクの道路名称が付加されている場合などにおいては、それらの名称と一致する名称を有する軌跡データは、類似度が高いデータと判別し、一致しないデータは類似度が低いデータと判別するようにしてもよい。
【0047】
但し、軌跡データの始点および終点の名称が一致する場合であっても、始点から終点に至るまでの経路が異なることも考えられる。こうした場合は、始点および終点の名称が一致し、さらに始点から終点までの経路上のノードデータおよびリンクデータの一致率を比較して、一致率が所定の比率以上であるときは類似度が高いと判断することができる。
【0048】
図2に記憶されている軌跡データを参照すると、始点が自宅であり終点がAAマートである軌跡データが2つ記憶されており(軌跡データ1、軌跡データ6)、これら2つの軌跡データの始点から終点に至る経路上のノードおよびリンクも所定の比率以上で一致するときは、これら2つの軌跡データは類似度が高いと判断でき、次に軌跡生成手段15が生成し軌跡記憶手段14に新たに記憶しようとする軌跡データの始点および終点名称も自宅とAAマートであり、新たに記憶する軌跡データと軌跡記憶手段14に記憶された軌跡データ1、軌跡データ2の始点から終点までの経路上のノードおよびリンクの一致率も所定の比率以上であれば、軌跡データ削除手段17は、軌跡データ1および/または軌跡データ2を削除し、軌跡生成手段15は、新たな軌跡データを軌跡記憶手段14に記憶する。
【0049】
軌跡生成手段15は、新たな軌跡データを軌跡記憶手段14に記憶するにあたり、軌跡記憶手段14の記憶容量を検出し、軌跡生成手段15により記憶容量の余裕が十分でないことが検出されると、軌跡データ削除手段17は、上記のようにして類似経路判別手段16が、類似度が高いとした軌跡データを優先的に削除する。類似度が高いと判別された軌跡データが複数ある場合、あるいは、同じ類似度の軌跡データが複数ある場合には、最も新しい軌跡データを残して他の軌跡データをすべて削除してもよい。
【0050】
また、上記によらず、類似度の高い順に、新たな軌跡データが記憶できる空き容量が確保できるまで軌跡データを削除するようにしてもよい。
【0051】
なお、削除できる軌跡データ、すなわち、類似度が高い軌跡データが存在しない場合は、最も古い軌跡データから順に削除するようにしてもよく、また、その際、新たな軌跡データの保存が必要か否かをユーザに問い合わせるようにしてもよい。
【0052】
図3は、以上説明した過去の軌跡データを削除して新たな軌跡データを記憶する場合の手順を示すフローチャートである。
【0053】
軌跡生成手段15は、軌跡記憶手段14に新たな経路の軌跡データを記憶する際、ステップS21で軌跡記憶手段14の記憶容量が足りるか否かを判別する。記憶容量が足りていれば、新たな走行軌跡を記憶してステップS21の処理に戻る。
【0054】
記憶容量が足りない場合は、ステップS22の処理に進み、類似経路判別手段16は、軌跡生成手段15により新たに記憶しようとする軌跡データと、既に軌跡記憶手段14に記憶されている軌跡データの類似度を判別し、削除できる軌跡データ、すなわち、新たに記憶しようとしている軌跡データと類似度が同じか、あるいは、所定の範囲の類似度を有する軌跡データがあるか否かを判別する。
【0055】
削除できる軌跡データがない場合、軌跡データ削除手段17は、最も記憶日時が古い、すなわち、保存期間が長い軌跡データから順に削除し、軌跡生成手段15は、ステップS26の処理で新たな軌跡データを軌跡記憶手段14に記憶して処理を終了する。削除できる軌跡データがある場合は、ステップS24の処理で、削除対象、すなわち、経路の類似度が一致または所定の範囲の軌跡データを抽出する。
【0056】
次いで、軌跡データ削除手段17は、ステップS25の処理で抽出した削除対象の軌跡データから類似度の高い順に削除する。そして、軌跡生成手段15は、ステップS26の処理に進み、新たな軌跡データを軌跡記憶手段14に記憶して処理を終了する。
【0057】
なお、上記実施例の説明においては、目的地を設定せずに走行した経路の走行軌跡を記憶する例を説明したが、本発明はこれに限ることなく、目的地を設定して経路探索し、その結果として探索された経路情報に基づいて走行した経路の軌跡データを記憶する場合にも適用することができる。その場合、前述したように、出発地から目的地までの軌跡データを一区切りとして記憶するように構成すればよい。
【0058】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるナビゲーション装置によれば、車両で実際に走行した経路の軌跡データを記憶しておき、後日、それを再利用できるようにし、軌跡データを記憶する際に、記憶容量が十分にない場合、必要性の低いデータを削除することができ、記憶装置を有効に利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例にかかるナビゲーション装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図2】軌跡データの一例を示す図である。
【図3】経路記憶の際に、過去の経路データを削除して新たな経路データを記憶する場合の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1: ナビゲーション装置
10: 制御手段
11: 現在位置検出手段
12: 地図記憶手段
13: 経路探索手段
14: 軌跡記憶手段
15: 軌跡生成手段
16: 類似経路判別手段
17: 軌跡データ削除手段
18: マッチング処理手段
19: 経路案内手段
20: 表示手段
21: 入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置を検出する現在位置検出手段と、該現在位置検出手段により検出された現在位置の移動に伴い逐次第1地点から第2地点に至る走行軌跡を記憶手段に記憶する制御手段を備えたナビゲーション装置において、
前記制御手段が新たに記憶する走行軌跡と、既に前記記憶手段に記憶されている走行軌跡の類似度を判別する類似経路判別手段を備え、前記制御手段は、新たに走行軌跡を記憶する際に、前記類似経路判別手段が判別した類似度の高い走行軌跡を削除して前記新たな走行軌跡を記憶することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、新たに走行軌跡を記憶する際に前記記憶手段の記憶容量を検出し、該記憶容量が不足しない場合、前記類似経路判別手段による判別を行うことなく前記新たな走行軌跡を記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記走行軌跡は、前記第1地点から第2地点に至る経路上で得られたノードおよびリンクの何れか一方または両方の連続したデータであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記類似経路判別手段は、前記制御手段が新たに記憶しようとする走行軌跡と、既に前記記憶手段に記憶された走行軌跡のノードおよびリンクの何れか一方または両方を比較し類似度を判別することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記類似経路判別手段は、前記制御手段が新たに記憶しようとする走行軌跡の終点ノードまたは終点リンクに付された名称と、前記記憶手段に記憶された走行軌跡の終点ノードまたは終点リンクに付された名称とを比較し、前記名称が一致した場合、類似度が高いと判別することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記削除する走行軌跡が存在しない場合は、記憶日時の古い走行軌跡から順に削除することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−25845(P2010−25845A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189653(P2008−189653)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】