説明

ナビゲーション装置

【課題】簡単な手続き自車両および他車両の乗員の乗車状況を出力できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車両の乗員が保持している記憶媒体に記録されている個人情報を無線通信により読み取る読取装置3と、読取装置により読み取られた個人情報に乗車の有無を付した乗員情報を生成して他車両に搭載されたナビゲーション装置に送信するとともに、他車両に搭載されたナビゲーション装置から乗員情報を受信する通信装置17と、通信装置から送信した乗員情報および通信装置により受信した乗員情報に基づき自車両および他車両の乗員の乗車状況を出力する出力装置10、11、2および13を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載されてユーザを目的地まで案内するナビゲーション装置に関し、特に他の車両に搭載されたナビゲーション装置と連携して情報を共有する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置を用いて、複数車両間で通話またはメッセージを送受信する技術が知られている。例えば、特許文献1は、連絡を取りたい相手の車両を直接指定し、その相手に通話またはメッセージを送ることができる車両間情報通信システムを開示している。
【0003】
この車両間情報通信システムは、グループ化された各車両の情報はグループリストとして通信センタにグループ登録され、サーバに記憶される。グループ登録された車両の各々の位置情報は通信ネットワークを介して通信センタに送信される。そして、通信センタからグループ登録された車両のすべての位置情報が送られ、ナビゲーション装置の表示画面に表示される。ナビゲーション装置の画面に表示された車両をタッチパネルによって選択すると、選択した車両と通話またはメッセージの送信をすることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−286557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のナビゲーション装置においては、グループメンバーの登録操作は、ホストユーザ(グループ登録するメンバーのひとり)が代表してまとめて行う必要があるため、代表者が事前に登録するメンバー情報を入手しなければならず、手続きが面倒であるという問題がある。
【0006】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、簡単な手続きで自車両および他車両の乗員の乗車状況を出力できるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明に係るナビゲーション装置は、自車両の乗員が保持している記憶媒体に記録されている個人情報を無線通信により読み取る読取装置と、読取装置により読み取られた個人情報に乗車の有無を付した乗員情報を生成して他車両に搭載されたナビゲーション装置に送信するとともに、他車両に搭載されたナビゲーション装置から乗員情報を受信する通信装置と、通信装置から送信した乗員情報および通信装置により受信した乗員情報に基づき自車両および他車両の乗員の乗車状況を出力する出力装置とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るナビゲーション装置によれば、自車両の乗員が保持している記憶媒体に記録されている個人情報を読み取り、他車両と交換するようにしたので、簡単な手続きで自車両および他車両の乗員の乗車状況を出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、ICタグ読取/書込装置1、ICタグ検知アンテナ2、ICタグ情報処理部3、ICタグ情報保存部4、GPS(Global Positioning System)受信機5、現在位置検出部6、入力部7、地図データ保存部8、地図データ読出部9、描画制御部10、モニタ11、音声再生装置12、スピーカ13、カメラ14、画像処理装置15、他車両通信制御部16、通信装置17および中央制御部18を備えている。
【0010】
ICタグ読取/書込装置1は、この発明の読取装置に対応し、非接触型のICタグに記憶されている情報を読み取り、また、情報をICタグに書き込む。このICタグ読取/書込装置1には、複数のICタグ検知アンテナ2が接続されている。複数のICタグ検知アンテナ2を車両内に取り付けることにより、読取感度の向上および読取範囲の拡大が図られている。このICタグ読取/書込装置1でICタグを読み取ることにより得られた信号は、ICタグ情報処理部3に送られる。
【0011】
ICタグ情報処理部3は、ICタグ読取/書込装置1から送られてくる信号を処理することによりICタグに記憶されている情報を再生する。このICタグ情報処理部3において得られた情報は、ICタグ情報として、中央制御部18を介してICタグ情報保存部4に送られる。
【0012】
ICタグ情報保存部4は、ICタグ情報処理部3から中央制御部18を介して送られてくるICタグ情報を保存する。このICタグ情報保存部4に保存されたICタグ情報は、中央制御部18によって読み出され、後述する種々の処理に使用される。
【0013】
GPS受信機5は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、この受信したGPS信号に基づき自己の現在位置を検出する。このGPS受信機5で検出された自己の現在位置は現在位置信号として現在位置検出部6に送られる。
【0014】
現在位置検出部6は、GPS受信機5から送られてくる現在位置信号、図示しない方位センサから送られてくる方位信号および図示しない車速センサから送られてくる車速信号に基づき自車の現在位置を算出し、現在位置データとして中央制御部18に送る。
【0015】
入力部7は、例えば操作パネル、タッチパネルまたは音声入力装置などの少なくとも1つから構成されており、ユーザが種々の指示をナビゲーション装置に入力するために使用される。この入力部7から入力されたデータは、入力データとして中央制御部18に送られる。
【0016】
地図データ保存部8は、例えばHDD(Hard Disk Drive)から構成されており、地図データを格納している。地図データには、道路データ、道路属性データおよび施設データなどが含まれる。この地図データ保存部8に格納されている地図データは、地図データ読出部9によって読み出される。なお、地図データ保存部8としては、DVD(Digital Versatile Disk)に記録されている地図データを再生するDVDドライブから構成することができる。この場合、DVDドライブに装着されるDVDに地図データが格納される。地図データ読出部9は、地図データ保存部8に保存されている地図データを読み出し、中央制御部18に送る。
【0017】
描画制御部10は、中央制御部18から送られてくる表示データに応じた描画データを生成し、映像信号としてモニタ11に送る。モニタ11は、この発明の表示装置に対応し、例えば液晶ディスプレイ装置から構成されており、描画制御部10から送られてくる映像信号にしたがって、他の種々の画像を表示する。このモニタ11に表示される画像には、地図、自車位置マーク、目的地までの経路、カメラ14で撮影された画像、他車両から送られてくる画像、その他のメッセージなどが含まれる。これら描画制御部10およびモニタ11は、この発明の出力装置の一部に対応する。
【0018】
音声再生装置12は、中央制御部18から送られてくる音声データに基づき音声信号を生成する。この音声再生装置12で生成された音声信号は、スピーカ13に送られる。スピーカ13は、この発明の音声出力装置に対応し、音声再生装置12から送られてくる音声信号を音声に変換して出力する。これにより、案内音声または警告音声などが出力される。これら音声再生装置12およびスピーカ13は、この発明の出力装置の他の一部に対応する。
【0019】
カメラ14は、車内を撮影する。この撮影により得られた映像信号は、画像処理装置15に送られる。画像処理装置15は、カメラ14から送られてくる映像信号を処理して画像データを生成する。この画像データは、中央制御部18および描画制御部10を介してモニタ11に送られる。これにより、カメラ14によって撮影された映像がモニタ11に表示される。
【0020】
他車両通信制御部16は、具体的には中央制御部18と通信装置17との間の信号の送受を制御する。通信装置17は、例えば携帯電話から構成されており、他車両に搭載されたナビゲーション装置との間の通信を制御する。
【0021】
このナビゲーション装置が搭載された車両を特定するための車両情報、車両の位置、乗車人数および乗員を表す乗員情報、カメラ14から画像処理装置15を介して得られた画像情報などから成る車両付加情報を他車両へ送信する場合、および、他車両から車両付加情報を受信する場合は、他車両通信制御部16および通信装置17を使用して他車両との間で直接通信が行われる。なお、車両情報、グループ走行する車両台数および他車両を特定するための情報は、入力部7から予め入力され、中央制御部18の内部のメモリ(図示しない)に記憶されているものとする。
【0022】
中央制御部18は、この発明の制御部に対応し、例えばマイクロコンピュータから構成されている。この中央制御部18は、ナビゲーション装置の全体を制御する。例えば、中央制御部18は、通常のナビゲーション機能を実現するための処理を行う他、他車両に搭載されたナビゲーション装置と連携する機能を実現するための処理を実行する。
【0023】
通常のナビゲーション機能を実現する場合は、中央制御部18は、GPS受信機5から現在位置検出部6を介して得られる現在位置データによって示される現在位置の周辺の地図データを、地図データ保存部8から地図データ読出部9を介して取得する。そして、この取得した地図データを、描画制御部10を介してモニタ11に送る。これにより、モニタ11に、自車位置を含む周辺の地図が表示される。また、中央制御部18は、案内音声を発生するタイミングであれば、案内音声を表す音声データを、音声再生装置12を介してスピーカ13に送る。これにより、スピーカ13から案内音声が出力される。
【0024】
次に、他車両に搭載されたナビゲーション装置と連携して動作する場合について説明する。図2は、グループ走行する車両と各車両の乗員の例を示す。車両Xは、定員4名で、ICタグを所持した乗員A、乗員B、乗員C、乗員Dが乗車している。車両Yは、定員6名で、ICタグを所持した乗員F、乗員G、乗員H、乗員I、乗員Jおよび乗員Kが乗車している。車両Zは、定員2名で、ICタグを所持した乗員Lおよび乗員Mが乗車している。
【0025】
乗員は、予め配布されたICタグを所持している。ICタグに記録されるICタグ情報は、例えば以下の情報から構成されている。
(1)カードID :4桁の数字(0001〜9999)
(2)個人名 :フルネームを漢字またはアルファベットで記録
(3)個人名のよみ :ローマ字またはひらがな
(4)免許証保有の有無 :普通自動車の運転免許を取得しているか否かの情報
(5)自動車所有者 :車両所有者(運転者)であるかどうかの情報
(6)乗車車両 :乗車している車両名(または、グループ車両番号)
(7)顔写真 :顔を撮影した画像データ
【0026】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。以下では、図2に示した車両および乗員でグループ走行が行われるものとし、車両Xに搭載されているナビゲーション装置の動作を説明する。車両Xの運転手である乗員Aが乗車し、ナビゲーション装置が起動されると、中央制御部18はナビゲーション機能を実現する処理(説明は省略)を開始するとともに、以下の処理を開始する。
【0027】
まず、自車両の乗員情報が取得される(ステップST10)。すなわち、ICタグ読取/書込装置1は、車両Xの乗員が所持しているICタグに記録されている個人情報を読み取ることにより得られた信号をICタグ情報処理部3に送る。ICタグ情報処理部3は、ICタグ読取/書込装置1から送られてくる信号を処理することによりICタグに記憶されている個人情報を再生し、ICタグ情報として中央制御部18に送る。
【0028】
中央制御部18は、ICタグ情報処理部3から送られてきたICタグ情報を取り込むとともに、ICタグ情報の件数をカウントする。例えば、車両Xに乗員Aと乗員Cとが乗車していれば、乗員Aおよび乗員CのICタグの情報を取得し、ICタグ情報の件数を「2」とする。
【0029】
次いで、自車両の乗員情報が登録される(ステップST11)。すなわち、中央制御部18は、ステップST10において、ICタグ情報処理部3から取り込んだICタグ情報をICタグ情報保存部4に格納する。例えば、車両Xの全席に乗員が乗車していれば、ICタグ情報の件数は4件であり、乗員4名分のICタグ情報がICタグ情報保存部4に格納される。そして、この際に、本人が車両内にいるかまたは車両から離れているかを示すフラグ(以下、「乗車ステータス」という)をICタグ情報に付加し、乗員情報としてICタグ情報保存部4に格納、つまり登録する。乗車ステータスには、着席している状態を示す「乗車中」または車両に乗車したが現時点では車両から離れている状態を示す「降車中」が存在する。例えば、車両Xの乗員Aが出発するまでの間にトイレへ行き、車両から離れた場合は、乗員Aの乗車ステータスは、「降車中」となる。
【0030】
次いで、自車両の乗員情報が送信される(ステップST12)。すなわち、中央制御部18は、自車両の車両情報に、ナビゲーション機能により得られた自車両の現在位置およびICタグ情報保存部4に保存された乗員情報を付加した車両付加情報を生成し、他車両通信制御部16に送る。他車両通信制御部16は、中央制御部18から送られてきた車両付加情報を通信装置17に送る。これにより、通信装置17によって、車両付加情報が、中央制御部18の内部のメモリに予め記憶されている車両情報によって示される他車両へ送信される。例えば、全員が乗車していれば、車両Xに乗員A、B、CおよびDの乗員情報を車両Xの最新の車両付加情報として車両Yおよび車両Zへ送信する。これにより、車両Xの乗員状況を時々刻々他車両へ通知することができる。
【0031】
次いで、他車両の車両付加情報が取得される(ステップST13)。すなわち、通信装置17は、他車両のナビゲーション装置から送信されてくる他車両の車両付加情報を受信する。例えば、車両Xの通信装置17は、グループ走行する他の車両Yおよび車両Zから送信されてくる車両付加情報を受信する。通信装置17は、受信した車両付加情報を、他車両通信制御部16に送る。他車両通信制御部16は、通信装置17から送られてくる他車両の車両付加情報を中央制御部18に送る。
【0032】
次いで、他車両の車両付加情報が登録される(ステップST14)。すなわち、中央制御部18は、ステップST13で受信した車両付加情報を、車両毎にICタグ情報保存部4に格納する。これにより、車両XのICタグ情報保存部4には、グループ走行する他の車両Yおよび車両Zの車両付加情報が格納される。
【0033】
次いで、乗員情報の通知が行われる(ステップST15)。すなわち、中央制御部18は、ステップST11において登録された乗員情報およびステップST14で登録された車両付加情報をICタグ情報保存部4から取得し、これらの取得した乗員情報および車両付加情報に基づき生成した表示データを描画制御部10に送るとともに、乗員情報および車両付加情報に基づき生成した音声データを音声再生装置12に送る。
【0034】
描画制御部10は、中央制御部18から送られてくる表示データに応じた描画データを生成し、映像信号としてモニタ11に送る。モニタ11は、描画制御部10から送られてくる映像信号にしたがって、自車両および他車両の乗員の乗車状況を表示する。また、音声再生装置12は、中央制御部18から送られてくる音声データに基づき音声信号を生成し、スピーカ13に送る。スピーカ13は、音声再生装置12から送られてくる音声信号を音声に変換して出力する。
【0035】
図4は、モニタ11に表示される自車両および他車両の乗員の乗車状況の幾つかの例を示す。図4(A)は、自車両X、他車両Yおよび他車両Zといった車両毎に、現在の乗車状況、つまり乗員情報の乗車ステータスが「乗車中」となっている乗員の氏名を表示した例である。なお、例えば車両Xの乗員D、車両Yの乗員Hだけが未乗車の場合は、図4(A)に示す例から、乗員Dおよび乗員Hが除かれた表示となる。この表示によれば、一目で自車両および他車両の乗員状況を把握できる。
【0036】
図4(B)は、乗員毎に、乗員情報の乗車ステータスおよび乗車車両に基づき、自車両X、他車両Yおよび他車両Zの乗員が乗車中か降車中かという乗車ステータスおよび乗車する車両名をリスト形式で表示した例である。なお、例えば車両Xの乗員Dおよび車両Yの乗員Hだけが未乗車の場合は、図4(B)に示す例の乗員Dおよび乗員Hの乗員状況は「降車中」の表示となる。この表示によれば、一目で自車両および他車両の乗員の乗車状況を把握できる。
【0037】
また、モニタ11には、乗員情報および車両付加情報に基づき、次のような表示をすることもできる。図4(C)は、各車両の走行順をイラストアイコン化して表示した例である。この表示は、ナビゲーション機能により得られた自車両の位置、ステップST13で取得された他車両の車両付加情報中の車両位置に基づき、自車両および他車両の位置関係を判定することにより行うことができる。
【0038】
また、詳細表示する場合は、入力部7からの指示により図4(C)に示すアイコンを選択し、選択されたアイコンに対応する車両について、図4(D)に示すような乗員の車内座席配置を表示し、さらに、入力部7からの指示により図4(D)に示す乗員を選択し、選択された乗員について図4(E)に示すような個人単位で乗員の個人情報を表示するように構成することもできる。以上の表示により、一目でグループ走行している車両の位置関係および所望の車両の乗員の乗車状況を把握できるとともに、グループ走行している乗員の個人情報を知ることができる。
【0039】
また、音声による通知は、次のように行われる。すなわち、モニタ11に表示がなされたことを音声で通知し、この音声による通知の内容は、乗員人数の変化などを補足する内容である。例えば、音声による通知としては、乗員情報の乗車ステータスを参照し、「乗車中」となっている乗員の氏名を通知したり、または、「降車中」となっている乗員の氏名を通知したりするように構成できる。この音声による通知により、モニタ11の画面を見なくても、自車両および他車両の乗員の状態を確認できる。また、入力部7から自車両の乗員状況の確認などが入力されたこと応じて、モニタ11への表示および音声による通知を行うように構成することもできる。
【0040】
具体的な例として、車両Xにおいて乗員Dが未乗車である場合を考える。この場合、乗員情報の乗車ステータスが「降車中」となるので車両Xの乗員Dの乗車ステータスは「降車中」となり他の乗員A、BおよびCの乗員情報とともに、車両Xの乗員情報が車両Yおよび車両Zへ通知される。各車両においては、乗員D(車両X)が未乗車である旨を、図4(B)に示すようなモニタ11の表示で確認できる。また、この未乗車通知は、音声でも各車両に同時に伝えられる。
【0041】
上述した乗員情報の通知が完了すると、次いで、グループ全員が乗車しているかどうかが調べられる(ステップST16)。すなわち、当該車両の使用者は、自車両およびグループ走行する他車両の乗員が全員揃ったかどうかを確認し、入力部7から確認結果を入力する。この入力部7から、全員揃っていない旨が入力された場合は、シーケンスはステップST10に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0042】
一方、ステップST16において、全員揃った旨が入力された場合は、他車両へ出発が通知される(ステップST17)。すなわち、中央制御部18は、出発する旨のメッセージを生成し、他車両通信制御部16に送る。他車両通信制御部16は、中央制御部18から送られてきた出発する旨のメッセージを通信装置17に送る。これにより、通信装置17によって、出発する旨のメッセージが、中央制御部18の内部のメモリに予め記憶されている車両情報によって示される他車両(車両Yおよび車両Z)へ送信される。以上により、車両Xに搭載されているナビゲーション装置の処理は終了する。
【0043】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、車両台数と参加人数から車両定員を意識することなく分散乗車することが可能となり、集合から出発までの時間短縮を図ることができるとともに、乗員情報を全員が把握できる。また、記録媒体としてICタグを利用したので、個人情報を自動的に取得することが可能になり、面倒な登録作業が不必要となる。また、乗員情報を画面表示するように構成したので、乗員が全員揃っているかどうかを点呼して確認するまでもなく画面上で乗車と同時に確認できる。さらに、乗員情報の画面表示と同時に音声でも乗員状況を通知するように構成したので、画面を見ることなく乗員が全員揃っているかを確認できる。
【0044】
なお、上述した実施の形態1に係るナビゲーション装置では、記録媒体としてICタグを用い、このICタグに記録されている内容を無線通信により読み取るように構成したが、記録媒体として、例えば携帯電話を利用し、この携帯電話に記録されている、内容を例えばBluetoothによる無線通信によって読み取るように構成できる。この場合も、上述した実施の形態1に係るナビゲーション装置と同様の作用および効果を奏する。
【0045】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置は、実施の形態1に係るナビゲーション装置において、カメラ14で撮影された画像を他車両に送信するようにしたものである。この実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成と同じである。
【0046】
次に、実施の形態2に係るナビゲーション装置の動作を説明する。このナビゲーション装置は、図3に示したフローチャートのステップST12、ST13およびST15を以下のように変更することにより実現されている。以下、図3に示したフローチャートを参照しながら、変更されたステップ以外のステップの説明は簡略化し、変更されたステップを中心に説明する。
【0047】
まず、自車両の乗員情報が取得される(ステップST10)。次いで、自車両の乗員情報が登録される(ステップST11)。次いで、自車両の乗員情報が送信される(ステップST12)。すなわち、中央制御部18は、自車両の車両情報に、ナビゲーション機能により得られた自車両の現在位置およびICタグ情報保存部4に保存された乗員情報に加え、カメラ14から画像処理装置15を介して得られた車両内の様子を示す画像情報を付加した車両付加情報を生成し、他車両通信制御部16に送る。他車両通信制御部16は、中央制御部18から送られてきた車両付加情報を通信装置17に送る。これにより、通信装置17によって、車両付加情報が、中央制御部18の内部のメモリに予め記憶されている車両情報によって示される他車両へ送信される。例えば、車両Xは、自車内の様子を撮影した画像情報を車両Xの車両付加情報として車両Yおよび車両Zに送信する。
【0048】
次いで、他車両の車両付加情報が取得される(ステップST13)。すなわち、通信装置17は、他車両のナビゲーション装置から送信されてくる、他車両の車内の様子を示す画像情報を含む他車両の車両付加情報を受信する。例えば、車両Xの通信装置17は、グループ走行する他の車両Yおよび車両Zから送信されてくる他車両の車内の様子を示す画像情報を含む車両付加情報を受信する。通信装置17は、受信した車両付加情報を、他車両通信制御部16に送る。他車両通信制御部16は、通信装置17から送られてくる他車両の車両付加情報を中央制御部18に送る。
【0049】
次いで、他車両の車両付加情報が登録される(ステップST14)。次いで、乗員情報の通知が行われる(ステップST15)。すなわち、中央制御部18は、ステップST11において登録された乗員情報およびステップST14で登録された車両内の様子を示す画像情報が付加された車両付加情報をICタグ情報保存部4から取得し、これらの取得した乗員情報および車両付加情報に基づき生成した表示データを描画制御部10に送るとともに、乗員情報および車両付加情報に基づき生成した音声データを音声再生装置12に送る。これにより、例えば図5に示すような、図4(A)に示した表示に加え、車内の様子を示す車両内画像および表示している車両の示すメッセージが表示される。
【0050】
次いで、グループ全員が乗車しているかどうかが調べられる(ステップST16)。このステップST16において、グループ全員が乗車していることが判断されると、シーケンスはステップST10に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST16において、グループ全員が乗車していないことが判断されると、次いで、他車両へ出発が通知される(ステップST17)。その後、車両Xに搭載されているナビゲーション装置の処理は終了する。
【0051】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置によれば、グループ走行中の全乗員は、モニタ11を通して他車両の車内の様子をより具体的に知ることができる。したがって、例えば、初対面の人同士が互いに顔を確認するといった利用が可能になる。
【0052】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置は、実施の形態1に係るナビゲーション装置において、乗員の差異の有無を検出して出発可否を判断するようにしたものである。この実施の形態2に係るナビゲーション装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成と同じである。
【0053】
次に、実施の形態2に係るナビゲーション装置の動作を、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。この図6のフローチャートに示す処理は、図3のフローチャートに示した実施の形態1に係るナビゲーション装置の処理が終了した後、具体的には、他車両への出発の通知(ステップST17)に引き続いて実行が開始される。なお、以下においては、図3のフローチャートに示した実施の形態1に係るナビゲーション装置と同一または相当する処理を実行するステップには、図3のフローチャートで使用した符号と同一の符号を付して説明は簡略化する。
【0054】
図3のフローチャートに示した実施の形態1に係るナビゲーション装置の他車両への出発の通知(ステップST17)が終了すると、引き続いて、全乗員の乗員情報が設定される(ステップST20)。すなわち、中央制御部18は、ICタグ情報保存部4に格納されている自車両の乗員情報および他車両の乗員情報を、全乗員情報として、ICタグ情報保存部4に格納する。この時点ではグループの全員が乗車しているので、グループ全員の乗員情報が全乗員情報としてICタグ情報保存部4に格納される。図2に示した乗員状況では、車両X、YおよびZの3台に乗車している4名、6名および2名の合計12名分の乗員情報が全乗員情報としてICタグ情報保存部4に格納される。
【0055】
次いで、自車両の乗員情報が取得される(ステップST10)。次いで、自車両の乗員情報が登録される(ステップST11)。次いで、自車両の乗員情報が送信される(ステップST12)。次いで、他車両の車両付加情報が取得される(ステップST13)。次いで、他車両の車両付加情報が登録される(ステップST14)。
【0056】
次いで、乗員差異の抽出が行われる(ステップST21)。すなわち、中央制御部18は、ステップST11でICタグ情報保存部4に格納した乗員情報およびステップST14でICタグ情報保存部4に格納した他車両の車両付加情報と、ステップST20でICタグ情報保存部4に格納した全乗員情報とを比較し、乗車していない人数および乗車していない人の氏名を検出する。すなわち、全乗員情報として格納された乗員に対する乗員情報の乗車ステータスが「降車中」となっている数および乗員の氏名を検出する。
【0057】
例えば、ステップST20の処理が実行されてから時間が経過し、サービスエリアなどに着くと乗員状況が変化するが、例えば、図3に示す車両Xの乗員Dおよび車両Yの乗員Hだけが未乗車の場合は、乗員Dおよび乗員Hの乗車ステータスのみが「降車中」となっているため、乗車していない人数として2名、乗車していない人の氏名として乗員Dおよび乗員Hが検出される。また、出発時刻が近づき、全員が乗車すると、図3に示す乗員状況となり、全乗員情報と差異がないことになる。
【0058】
次いで、差異がないかどうかが調べられる(ステップST22)。すなわち、中央制御部18は、ステップST21で検出された乗車していない人数が「0」であるか否かを調べ、「0」であれば、ステップST11でICタグ情報保存部4に格納した乗員情報およびステップST14でICタグ情報保存部4に格納した他車両の車両付加情報と、ステップST20でICタグ情報保存部4に格納した全乗員情報とに差異がないと判断する。
【0059】
このステップST22において、差異があることが判断されると、次いで、出発不可能の通知が行われる(ステップST24)。すなわち、中央制御部18は、出発が不可能である旨のメッセージを生成し、ステップST21で検出した乗車していない人数および乗車していない人の氏名とともに、表示データとして描画制御部10に送る。描画制御部10は、中央制御部18から送られてくる表示データに応じた描画データを生成し、映像信号としてモニタ11に送る。モニタ11は、描画制御部10から送られてくる映像信号にしたがって、出発が不可能である旨のメッセージ、乗車していない人数および乗車していない人の氏名を表示する。
【0060】
また、中央制御部18は、出発が不可能である旨のメッセージを生成し、ステップST21で検出した乗車していない人数および乗車していない人の氏名とともに、音声データとして音声再生装置12に送る。音声再生装置12は、中央制御部18から送られてくる音声データに基づき音声信号を生成し、スピーカ13に送る。スピーカ13は、音声再生装置12から送られてくる音声信号を音声に変換して出力する。これにより、出発が不可能である旨のメッセージ、乗車していない人数および乗車していない人の氏名が音声で出力される。その後、シーケンスはステップST10に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0061】
上記ステップST22において、差異がないことが判断されると、次いで、出発可能の通知が行われる(ステップST23)。すなわち、中央制御部18は、出発が可能である旨のメッセージを生成し、表示データとして描画制御部10に送るとともに、音声データとして音声再生装置12に送る。描画制御部10は、中央制御部18から送られてくる表示データに応じた描画データを生成し、映像信号としてモニタ11に送る。モニタ11は、描画制御部10から送られてくる映像信号にしたがって、出発が可能である旨のメッセージを表示する。音声再生装置12は、中央制御部18から送られてくる音声データに基づき音声信号を生成し、スピーカ13に送る。スピーカ13は、音声再生装置12から送られてくる音声信号を音声に変換して出力する。これにより、出発が可能である旨のメッセージが音声で出力される。
【0062】
次いで、他車両へ出発が通知される(ステップST17)。すなわち、通信装置17によって、出発する旨のメッセージが、中央制御部18の内部のメモリに予め記憶されている車両情報によって示される他車両(車両Yおよび車両Z)へ送信される。以上により、車両Xに搭載されているナビゲーション装置の処理は終了する。
【0063】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置によれば、グループの全乗員が乗車したことを自動的に判定することができるので、乗員の積み残しが発生することなくグループ走行する各車両の出発が可能となる。
【0064】
なお、上述した実施の形態3に係るナビゲーション装置では、全乗員情報をICタグ情報保存部4に格納されている自車両の乗員情報および他車両の乗員情報から作成するように構成したが、予め入力部7から入力するように構成することもできる。
【0065】
また、実施の形態3に係るナビゲーション装置においては、グループ走行する他車両の乗員情報を含めて全乗員情報を生成するように構成したが、自車両の乗員情報のみで全乗員情報を生成するように構成することもできる。この構成は、図6に示すフローチャートのステップST13、ST14およびST17の処理を省くことにより実現できる。
【0066】
また、実施の形態3に係るナビゲーション装置においては、全乗員情報を用いて各車両で、グループの乗員が全員揃ったかどうかを確認するように構成したが、車両毎に、車両の乗員が揃ったことを検知し、その旨を他車両に通知し、全ての他車両から乗員が揃った旨の通知を受信したときに、出発可能と判断するように構成することもできる。
【0067】
さらに、上述した実施の形態1〜3に係るナビゲーション装置では、モニタ11による表示、スピーカ13から出力される音声の両方を用いて通知しているが、いずれか一方を用いるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置において、グループ走行する車両と各車両の乗員の例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置におけるモニタの表示例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るナビゲーション装置におけるモニタの表示例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 ICタグ読取/書込装置、2 ICタグ検知アンテナ、3 ICタグ情報処理部、4 ICタグ情報保存部、5 GPSアンテナ、6 現在位置検出部、7 入力部、8 地図データ保存部、9 地図データ読出部、10 描画制御部、11 モニタ、12 音声再生装置、13 スピーカ、14 カメラ、15 画像処理装置、16 他車両通信制御部、17 通信装置、18 中央制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の乗員が保持している記憶媒体に記録されている個人情報を無線通信により読み取る読取装置と、
前記読取装置により読み取られた個人情報に乗車の有無を付した乗員情報を生成して他車両に搭載されたナビゲーション装置に送信するとともに、他車両に搭載されたナビゲーション装置から乗員情報を受信する通信装置と、
前記通信装置から送信した乗員情報および前記通信装置により受信した乗員情報に基づき自車両および他車両の乗員の乗車状況を出力する出力装置
とを備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
記憶媒体は、非接触型のICタグから成る
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
出力装置は、自車両および他車両の乗員の乗車状況を表示する表示装置から成る
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
出力装置は、自車両および他車両の乗員の乗車状況を音声で出力する音声出力装置から成る
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
車内を撮影するカメラを備え、
通信装置は、前記カメラで撮影することにより得られ車内の映像を、他車両に搭載されたナビゲーション装置に送信するとともに、他車両に搭載されたナビゲーション装置から映像を受信し、
出力装置は、通信装置から送信した乗員情報および前記通信装置により受信した乗員情報に基づき自車両および他車両の乗員の乗車状況を出力し、さらに、前記通信装置から送信した映像および前記通信装置により受信した映像を出力する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
グループ走行する全車両の乗員と現時点における乗員とを比較し、差異が検出された場合に、出発不可能である旨を出力装置で出力する制御部
を備えたことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−96527(P2010−96527A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265240(P2008−265240)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】