説明

ナフタレンを有する光学活性化合物、液晶組成物、液晶表示素子、成形体

【課題】
重合性、重合体の重合速度、重合度、重合体の透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水性、ガス透過性、融点、ガラス転移点、透明点、耐熱性、耐薬品性等を有する光学異方性を有する化合物、組成物、重合体、または重合体を含む成形体を提供する。
【解決手段】
式(1)で表される化合物。
【化68】



[式(1)中、Q1は、水素、ハロゲン、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり;Qは、−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;Q3は、式(T1)または(T2)で表される基であり、式(T1)と(T2)中、Rbは水素、ハロゲン等であり、Aは独立して1,4−シクロヘキシレン等であり、Zは独立して炭素数1〜20のアルキレン等であり、Yは独立して炭素数1〜20のアルキレン等であり、rは、0〜5の整数である。]により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−ナフチル−4,4,4−トリフルオロ−ブタン酸誘導体に関する。
また、本発明は、当該化合物を含む組成物に関する。当該組成物を重合することで製造できる成形体、例えば液晶光学素子等に関する。さらに、本発明は、医薬組成物や農薬組成物の中間体として使用する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板、N型c−プレート等の光学補償板、配向膜、カラーフィルター、接着剤、機械的異方性を持つ合成高分子、化粧品、装飾品、偽造防止装置等に、光学異方性を有する成形体が用いられる。近年、このような成形体に、重合性を有する液晶性化合物が利用されている[特開平7−17910号公報(特許文献1),特開平8−3111号公報(特許文献2),特開平9−316032号公報(特許文献3)等を参照]。この重合性を有する液晶性化合物は、液晶状態で光学異方性を有し、重合することによって光学異方性が固定化される。光学異方性を有する成形体に要求される光学的特性はその目的により異なり、化合物を最適化する際、光学異方性に加えて、重合性、重合体の物理的・化学的な特性等も求められる。これらの特性としては、具体的には、化合物の重合速度、重合度、重合体の透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水性、ガス透過性、融点、ガラス転移点、透明点、耐熱性、耐薬品性等が挙げられる。
【0003】
また、非重合性の液晶組成物は、例えば、電場によって駆動する液晶表示素子の液晶層部分に利用される。そして、このような非重合性の液晶組成物は多数の化合物を混合して調製される。
非重合性の液晶組成物は素子に用いられる場合、素子の種類により素子中で螺旋構造を示す必要がある。この螺旋構造は、光学活性等の所定の特性を有する化合物を液晶組成物に添加することで誘起され、螺旋構造のピッチ(p)は光学活性化合物の添加量(濃度c)と螺旋誘起力(Helical Twisting Power、HTP)に依存する(p=HTP−1×c−1)。螺旋構造を持つ液晶組成物は様々な用途(素子)に利用でき、例えば、PC(相転移、Phase Change)表示素子、ゲスト・ホスト表示素子、TN表示素子、STN表示素子、SSCT(Surface Stabilized Cholesteric Texture)表示素子、PSCT(Polymer Stabilized Cholesteric Texture)表示素子等に利用できる。
【0004】
また、光学活性を有する化合物は、光学活性医薬品の構成成分あるいはその原料として汎用性が高く、その製造法に関する研究が続けられている。
【特許文献1】特開平7−17910号公報
【特許文献2】特開平8−3111号公報
【特許文献3】特開平9−316032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような状況の下、光学異方性に加えて、重合性、重合体の重合速度、重合度、重合体の透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水性、ガス透過性、融点、ガラス転移点、透明点、耐熱性、耐薬品性等を有する光学異方性を有する重合体、または重合体を含む成形体が求められている。
また、光学違法性を有する重合体を含有する偏光板、光学補償板、配向膜、カラーフィルター、ホログラフ素子、液晶表示素子、接着剤、機械的異方性を持つ合成高分子、化粧品、装飾品、偽造防止装置、非線形光学素子、光学記憶素子が求められている。
【0006】
液晶組成物に光学活性化合物を添加する場合、液晶組成物の粘度、相溶性、比抵抗値等の他の諸物性に悪影響が及ばない様に、添加される光学活性化合物の添加量を最小限にする必要がある。また、一般的に光学活性化合物は通常液晶組成物に対する溶解度が低いから、光学活性化合物の添加量を大きくする事は困難である。したがって、少ない添加量でも液晶組成物が螺旋構造を示すことができるようにするために、HTPが大きく、他の液晶化合物との溶解性に優れる光学活性化合物が求められている。また、このような化合物を含有する液晶組成物および液晶表示素子が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、例えば、本発明の3−ナフチル−4,4,4−トリフルオロ−ブタン酸誘導体が、HTPが大きく、他の化合物との相溶性が優れていることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
[1] 式(1)で表される化合物。
【化26】



[式(1)中、Q1は、水素、ハロゲン、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンまたはCNで置き換えられてもよく;
は−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;そして
3は、式(T1)または(T2)で表される基であり;
−Z−(A−Z)−Y−Ra (T1)
−Z−(A−Z)−Rb (T2)
{式(T1)および式(T2)中、Raは、式(P1)〜(P8)で表されるいずれかの基であり;
【化27】



(式(P1)〜(P8)中、Wは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)
bは、水素、ハロゲン、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンまたはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、または炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−CF=CF−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
Yは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよく;そして
rは、0〜5の整数である。}]
[2] Raが式(P2)〜(P6)
【化28】


(式(P2)〜(P6)中、Wは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表される基のいずれかであり;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキル若しくは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合または炭素数1〜5のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜11のアルキレン、炭素数2〜12のアルケニレン、または炭素数2〜12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい、[1]に記載の化合物。
[3] Raが式(P2)、(P3)、(P5)または(P6)
【化29】

(式(P2)、(P3)、(P5)および(P6)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。)で表される基であり;
bは、水素、ハロゲン、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンまたはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、以下の構造を有し、
【化30】


Zは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−または−CHO−であり;
Yは独立して、単結合、−O(CH)−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、または−O(CH10−であり;そして
rが0〜3である、[1]に記載の化合物。
【0009】
[4] 式(1−1)〜式(1−6)いずれかで表される化合物。
【化31】

[式(1−1)〜式(1−6)中、Q1は、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
は−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;
aは、式(P1)〜(P8)
【化32】



(式(P1)〜(P8)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表されるいずれかの基であり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はフッ素、塩素、炭素数1〜5のアルキル、または炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−CF=CF−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はフッ素、塩素で置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい。]
[5] Raが式(P2)〜(P6)
【化33】

(式(P2)〜(P6)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表される基のいずれかであり;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はフッ素、塩素、炭素数1〜5のアルキル若しくは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合または炭素数1〜5のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はフッ素、塩素で置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜11のアルキレン、炭素数2〜12のアルケニレン、または炭素数2〜12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい、[4]に記載の化合物。
[6] Raが式(P2)、(P3)、(P5)または(P6)
【化34】

(式(P2)、(P3)、(P5)および(P6)中、Wは水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。)で表される基であり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、以下の構造を有し、
【化35】


Zは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−または−CHO−であり;
そしてYは独立して、単結合、−O(CH)−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、または−O(CH10−である、[4]に記載の化合物。
【0010】
[7] 式(1−2)、式(1―3)、式(1―5)、または式(1―6)で表される化合物。
【化36】


[式(1−2)、式(1―3)、式(1―5)、および式(1―6)中、Q1は、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
は−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;
aは、式(P1)〜(P8)
【化37】



(式(P1)〜(P8)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表される重合性基のいずれかであり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環において任意の水素はフッ素、塩素、炭素数1〜5のアルキル、または炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はフッ素、塩素で置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい]
[8] Raが式(P2)〜(P6)
【化38】


(式(P2)〜(P6)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表される重合性基のいずれかであり;
1は、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜10のアルキニルであり、または炭素数1〜10のアルコキシであり、これらのアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の水素はフッ素、塩素、炭素数1〜5のアルキル若しくは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合または炭素数1〜5のアルキレンであり、任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はフッ素、塩素で置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜11のアルキレン、炭素数2〜12のアルケニレン、または炭素数2〜12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい、[7]に記載の化合物。
[9] Raが式(P2)、(P3)、(P5)または(P6)
【化39】

(式(P2)、(P3)、(P5)および(P6)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。)で表される重合性基であり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;そして
Aは独立して、以下の構造を有し、
【化40】


Zは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−または−CHO−であり
Yは独立して、単結合、−O(CH)−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、または−O(CH10−である、[7]に記載の化合物。
【0011】
[10] 式(1―5)、または式(1―6)で表される化合物。
【化41】



[式(1―5)および式(1―6)中、Q1は、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜5のアルキル、炭素数2〜5のアルケニル、炭素数2〜5のアルキニルであり、または炭素数1〜5のアルコキシであり;
は−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜7のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、または炭素数1〜7のアルコキシであり;
Aは独立して、1,4−フェニレンであり;そして
Zは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−または−CH2O−である。]
【0012】
[11] 光学活性を有する[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物から選択された化合物を3〜90重量%、および、式(M1)もしくは(M2)

c−Xa−(Aa−Za)−Aa−Xa−P1 (M1)
1−Xa−(Aa−Za)−Aa−Xa−P1 (M2)

[式(M1)および(M2)中、Pは、式(P9)〜(P12)で表される基の何れかであり;
【化42】



{式(P9)〜(P12)中、Wは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキルである。}
cは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−、で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであるが、任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
aは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
aは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCOO−、−COOCHCH−、−CH=CHCOO−、または−OCOCH=CH−であり;そして
sは独立して、0〜3の整数である。]
で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を10〜97重量%含有する組成物。
[13] 式(M1)が式(M1a)、(M1b)または(M1c)で表される化合物を含む、[12]に記載の組成物。
【化43】



[式(M1a)、(M1b)および(M1c)中、Pは独立して、式(P9)〜(P12)で表される基の何れかであり;
【化44】



{式(P9)〜(P12)中、Wは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のフルオロアルキルである。}
cは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−、で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
bは独立して、1,4−シクロへキシレン、または1,4−フェニレンであり;
は独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルであり;
aは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
pおよびqは独立して、0または1であり;そして
mは0〜5の整数である。]
【0013】
[14] 式(M2)が式(M2a)、(M2b)または(M2c)で表される化合物を含む、[12]または[13]に記載の組成物。
【化45】



[式(M2a)、(M2b)および(M2c)中、Pは独立して、式(P9)〜(P12)で表される基の何れかであり;
【化46】



{式(P9)〜(P12)中、Wは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のフルオロアルキルである。}
bは独立して、1,4−シクロへキシレン、または1,4−フェニレンであり;
は独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルであり;
aは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;そして
mは0〜5の整数である。]
【0014】
[15] [1]〜[11]のいずれかに記載の化合物から選択された化合物を0.1〜20重量%、および、式(M3)
d−(Ac−Zb)n−Rd (M3)
[式(M3)中、Rdは、水素、ハロゲン、−C≡C−CN、−CN、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−CF=CF−、または−SiH−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、または−SiH−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CHCH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、1,4−フェニレンにおいて任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−OCHF、または−OCHFで置き換えられてもよく;
bは独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数2〜4のアルケニレン、または炭素数2〜4のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−、−S−、−CF=CF−、−CO−、または−SiH−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;そして
nは2、3または4である。]
で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を80〜99.9重量%含有する組成物。
[16] 式(M3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物が式(2)、(3)または(4)
【化47】

[式(2)、式(3)および式(4)中、Rは独立して、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニレン、または炭素数2〜10のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
は独立して、フッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;
環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;
環Eは1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく;
およびZは独立して、−(CH−、−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または単結合であり;そして
およびLは独立して、水素またはフッ素である。」
で表される化合物である[15]に記載の組成物。
【0015】
[17] 式(M3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物が、式(5)または(6)
【化48】

[式(5)および式(6)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニレン、または炭素数2〜10のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
は−CNまたは−C≡C−CNであり;
環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;
環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;
は−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合であり;
、LおよびLは独立して、水素またはフッ素であり;そして
b、cおよびdは独立して0または1である。]
で表される化合物である[15]に記載の組成物。
[18] 式(M3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物が、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、または式(11)
【化49】

[式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、および式(11)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニレン、または炭素数2〜10のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環Mおよび環Pは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはデカヒドロ−2,6−ナフタレンであり;
およびZは独立して、−(CH−、−COO−、または単結合であり;そして
およびLは独立して水素またはフッ素であるが、LとLの少なくとも一つはフッ素である。]
で表される化合物である[15]に記載の組成物。
【0016】
[19] 式(M3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物が、式(12)、式(13)、または式(14)
【化50】

[式(12)、式(13)、および式(14)中、RおよびRは独立して、炭素数1〜10、炭素数2〜10のアルケニレン、または炭素数2〜10のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環Q、環Tおよび環Uは独立して、1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そして
およびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。]
で表される化合物である[15]に記載の組成物。
【0017】
[20] 液晶組成物である[12]〜[19]のいずれかに記載の組成物。
[21] 非重合性液晶組成物である[12]〜[19]のいずれかに記載の組成物。
[22] [12]〜[20]のいずれかに記載の組成物を重合することで得られる重合体。
[23] 重量平均分子量が2,000〜1,000,000である[22]に記載の重合体。
[24] 重量平均分子量が2,000〜500,000である[22]に記載の重合体。
[25] [12]〜[21]のいずれかに記載の組成物を配向させた後、電磁波の照射により液晶の配向を固定化した光学異方性を有する成形体。
[26] 固定化した液晶の配向がツイスト配向である[25]に記載の成形体。
[27] [25]または[26]に記載の成形体を含む光学素子。
[28] 波長350〜750nmのうち、一部またはすべての領域の光を選択的に反射する可視光域で円偏光二色性を示す[27]に記載の光学素子。
[29] 波長100〜350nmの紫外光域で円偏光二色性を示す[27]または[28]に記載の光学素子。
[30] [12]〜[19]のいずれかに記載の組成物、[22]〜[24]のいずれかに記載の重合体、[25]もしくは[26]に記載の成形体、または、[27]〜[29]のいずれかに記載の光学素子を含む液晶表示素子。-
【0018】
本明細書中、アクリル酸とメタクリル酸の両者を示すために「(メタ)アクリル酸」のように表記することがある。
本明細書中、「アルキル」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。「アルケニル」とは、1〜3個の2重結合を有する直鎖または分岐鎖のアルケニル基が挙げられ、具体的には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、1,3−オクタジエニル、2−ノネニル、1,3−ノナジエニル、2−デセニル等が挙げられる。「アルキニル」とは、1〜3個の3重結合を有する直鎖または分岐鎖のアルキニル基が挙げられ、具体的には、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、1−オクチニル、6−メチル−1−ヘプチニル、2−デシニル等が挙げられる。
【0019】
本明細書中、「アルキレン基」とは、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等の直鎖または分枝状のアルキレン基などが挙げられる。「アルケニレン基」とは、直鎖または分岐鎖のアルケニレン基であり、例えば、ビニレン、プロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、3−ペンテニレンなどが挙げられる。「アルキニレン基」とは、直鎖または分岐鎖のアルキニレン基であり、エチニレン、プロピニレン、1−ブチニレン、2−ブチニレン、1−ペンチニレン、2−ペンチニレン、3−ペンチニレンなどが挙げられる。
【0020】
本明細書中、液晶性化合物とは、液晶相を持つ化合物および液晶相を持たないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。また、本明細書中、液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子を、それぞれ単に、化合物、組成物、素子と表記することがある。
また、本明細書中、式(1)で表わされる化合物等を、「化合物(1)」、「式(1)の化合物」等と表記することがある。
【0021】
「任意の−CH−は−O−、−CH=CH−などで置き換えられてもよい」の意味を一例で示す。C−において任意の−CH−を−O−または−CH=CH−で置き換えた基の一部は、CO−、CHO(CH−、CHOCHO−、HC=CH(CH−、CHCH=CH(CH−、およびCHCH=CHCHO−である。このように、前記「任意の」は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。なお、化合物の化学的安定性を考慮した場合、酸素と酸素とが隣接した基よりも酸素と酸素とが隣接しない基の方が好ましい。したがって、例えば、酸素と酸素とが隣接したCHOOCH−よりも、酸素と酸素とが隣接しないCHOCHO−の方が好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の好ましい態様に係る化合物およびこの化合物を含む組成物は、良好な液晶相温度範囲、配向性を示すことができる。
本発明の好ましい態様に係る化合物およびこの化合物を含む組成物は、他の液晶性化合物によく溶解し、また、液晶組成物中低温で結晶化しにくいので、使用可能温度範囲(ネマチック相温度範囲)を広げることができる。
また、本発明の好ましい態様に係る化合物およびこの化合物を含む組成物は、例えば、光学異方性に加えて、重合性、重合体の重合速度、重合度、重合体の透明性、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水性、ガス透過性、融点、ガラス転移点、透明点、耐熱性、耐薬品性等の好ましい物理的・化学的特性を有する光学異方性を有する重合体、または重合体を含む成形体を提供できる。
本発明の好ましい態様に係る化合物およびこの化合物を含む組成物は、電磁波の照射で重合できる重合性液晶化合物を含有する組成物である。
本発明の好ましい態様に係る化合物およびこの化合物を含む組成物は、光学異方性を有する重合体を含有する偏光板、光学補償板、配向膜、カラーフィルター、ホログラフ素子、液晶表示素子、接着剤、機械的異方性を持つ合成高分子、化粧品、装飾品、偽造防止装置、非線形光学素子、光学記憶素子を提供できる。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、HTPが大きく、他の液晶化合物との溶解性に優れる光学活性化合物、およびこのような化合物を含有する液晶組成物および液晶表示素子を提供できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、広範囲な液晶相温度範囲および適度な螺旋ピッチを有し、液晶表示素子に用いることができる組成物等を提供できる。
【0024】
また、本発明の好ましい態様によれば、汎用性の高い光学活性医薬品の構成成分あるいはその原料を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
1.本発明の化合物
本発明の化合物は、上記式(1)で表される3−ナフチル−4,4,4−トリフルオロ−ブタン酸誘導体である。
【0026】
式(1)中、Q1は、水素、ハロゲン、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンまたはCNで置き換えられてもよい。これらの中でも、好ましいQ1は、炭素数1〜10のアルキル、または炭素数1〜9のアルコキシである。
また、式(1)中、Qは−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−である。これらの中でも、好ましいQは−COO−である。
【0027】
式(1)中、Q3は、式(T1)または(T2)で表される基である。
式(T1)におけるRは、式(P1)〜(P8)で表されるいずれかの重合性基であり、式(P1)〜(P8)中、Wは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである。好ましくは、式(P1)〜(P8)中、Wは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のフルオロアルキルであり、さらに好ましくは、独立して、水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。なお、Wの立体配置の区別を有する場合、シスおよびトランスの混合であっても、それぞれ単独であっても構わない。
が式(P1)〜(P4)で表される重合性基である場合、Rはカチオン重合に適している。他方、Rが式(P5)〜(P8)で表される重合性基である場合、Rはラジカル重合に適している。この際、重合開始剤の添加、あるいは反応温度の上昇によって、より敏速に重合できる。
【0028】
式(T1)におけるRは、水素、ハロゲン、−CN、または炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンまたはCNで置き換えられてもよい。好ましくは、Rbがフッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数1〜10のフルオロアルキル、または炭素数1〜10のフルオロアルコキシである。
【0029】
式(T1)および(T2)中のAは、環構造の2価基である。具体的には、Aは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、またはテトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、または炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。
好ましくは、Aは以下の構造を有する。
【化51】


さらに好ましくは、Aが1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、基中の任意の水素がフッ素、塩素、メチルまたはトリフルオロメチルで置き換えられた1,4−フェニレンである。最も好ましくは、Aは以下の構造を有する。
【化52】

【0030】
式(T1)および(T2)中のAにおいて、シクロへキシレンのような立体配置の区別を有する場合、シスおよびトランスの混合であっても、それぞれ単独であっても構わない。本発明の第1の態様の化合物の各元素は、同位体元素を自然に存在する割合より多く含んでも、物性に大きな差異はない。
【0031】
式(T1)および(T2)中のZは結合基である。Zは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−CF=CF−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。特に、好ましくは、Zが単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CHO−、および−OCHである。
また、Zが、単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−(CHO−、−O(CH−、―CH=CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCHCH=CH−、−CH=CHCHO−、−OCHCH=CH−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−CH=CHCOO−または−OCOCH=CH−であると、本発明の化合物(1)は液晶性を向上させる傾向があり好ましい。Zがフッ素を含む結合基、例えば−CFCF−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCFO−、−OCFCHCH−であると、本発明の第1の態様の化合物の光学異方性を小さくなる、あるいは誘電率異方性を大きくなる傾向があり好ましい。Zが三重結合を含む結合基、例えば−C≡C−、−C≡CCOO−、−OCOC≡C−であると、本発明の化合物(1)において大きな光学異方性を誘起する傾向がある。
【0032】
式(T1)中のYは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい。また、Yが不斉炭素を含む場合、ラセミ体であっても光学活性体であっても良い。
【0033】
式(T1)中のrは、0〜5の整数であり、1〜3の整数であることが好ましい。
【0034】
式(T1)、または(T2)で表される基は上記のいずれの構造でも好適に使用できるが、好ましくは下記式(1−a)〜(1−m)で表される基である。
【0035】
−Z−Re (1−a)
−Z−Ph−Re (1−b)
−Z−Ch−Re (1−c)
−Z−Ph−Z−Ph−Re (1−d)
−Z−Ch−Z−Ph−Re (1−e)
−Z−Ph−Z−Ch−Re (1−f)
−Z−Ch−Z−Ch−Re (1−g)
−Z−Ph−Z−Ph−Z−Ph−Re (1−h)
−Z−Ch−Z−Ph−Z−Ph−Re (1−i)
−Z−Ph−Z−Ch−Z−Ph−Re (1−j)
−Z−Ph−Z−Ph−Z−Ch−Re (1−k)
−Z−Ch−Z−Ch−Z−Ph−Re (1−l)
−Z−Ph−Z−Ch−Z−Ch−Re (1−m)
[式(1−a)〜(1−m)中、Phは置換されても良い1,4−フェニレン、Chは置換されても良い1,4−シクロヘキシレン、ZおよびYは前記と同一の意味を示し、Rは、Y−RaまたはRbを示す。]
【0036】
上記式(1−a)〜(1−m)で表される基の中で、特に好ましくは(1−b)、(1−d)および(1−h)で表される基である。
【0037】
2.本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物(1)等は、青木らのChemistry Letters, 1, 113 (1993)、Liquid Crystals, 18, 197 (1995)、フーベン・バイル(Houben-Wyle, Methoden der Organische Chemie, Georg-Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセセス(John & Wily & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(John & Wily & Sons, Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Pergamon Press)等に記載された有機合成化学的手法を適宜組み合わせることで製造できる。具体的には、本発明の化合物(1)は、6員環や縮合環構造を含む有機残基を結合することで製造できる。ここで、縮合環とは2以上の環が縮合したものをいい、例えばナフタレンなど6員環構造を構成要素としているものである。
以下、本発明の化合物(1)の具体的な態様である、化合物(1A)〜(1S)の合成例に基づき、本発明の化合物(1)の製造方法を示す。なお、これらの合成例においてMGおよびMGは6員環や縮合環を一つ以上含む有機残基であり、互いに異なっても同一でも良い。
【0038】
[化合物(1A)〜(1J)]
化合物(1A)〜(1J)は以下に示すスキームで合成できる。
【化53】

ボロン酸(i1)と臭化物(i2)の交錯カップリング反応でZが単結合である化合物(1A)を合成できる(スキーム1)。
また、カルボン酸(i3)と水酸基を持つ化合物(i4)との脱水縮合反応で、結合基が−COO−である化合物(1B)をし、さらにカルボニル基をフッ素アニオンでフッ素化することで、結合基が−CFO−である化合物(1C)を合成できる(スキーム2)。
臭化物(i5)と化合物(i4)および塩基(B)から、結合基に−CHO−を持つ化合物(1D)を合成できる(スキーム3)。また、臭化物(i5)にPPhを作用させてホスホニウム塩(i6)を合成し、このホスホニウム塩(i6)と塩基から得られるイリドにアルデヒド(i7)を作用させウイティッヒ反応を行うことで、結合基が−CH=CH−である化合物(1E)を合成できる(スキーム3)。結合基が−CHCH−である化合物(1F)は化合物(1E)を還元することで合成できる(スキーム3)。
ジケトン(i8)をフッ素アニオンでフッ素化することで、結合基が−CFCF−である化合物(1G)を合成できる(スキーム4)。この際、反応は2段階で進行するので、フッ素アニオンの力価を調整すれば、結合基が−CFCO−である化合物(i9)を取出せる(スキーム4)。
リチオ化物(i10)にテトラフルオロエチレンと(i11)とを順次作用することで、結合基が−CF=CF−である化合物(1H)を合成できる(スキーム5)。
アルキン(i12)と臭化物(i2)を遷移金属触媒の存在下、交錯カップリング反応することで、結合基が−C≡C−である化合物(1J)を合成できる。
【0039】
[化合物(1K)〜(1P)]
化合物(1K)〜(1P)は以下に示すスキームで合成できる。
【化54】

アルデヒド(i13)のウイティッヒ反応によりカルボン酸(i14)を合成し、このカルボン酸(i14)と化合物(i4)との脱水縮合反応で、結合基が−CH=CHCOO−である化合物(1K)を合成できる(スキーム7)。また、結合基が−CHCHCOO−である化合物(1L)は化合物(1K)を還元して合成でき、さらに化合物(1L)のカルボニル基をフッ素アニオンでフッ素化することで、結合基が−CHCHCFO−である化合物(1M)を合成できる。
アルキン(i12)をリチオ化しCOを作用することで合成したカルボン酸(i15)と化合物(i4)との脱水縮合反応で、結合基が−C≡CCOO−である化合物(1N)を合成できる(スキーム8)。さらに、化合物(1N)カルボニル基をフッ素アニオンでフッ素化することで、結合基が−C≡CCFO−である化合物(1P)を合成できる。
【0040】
[化合物(1Q)〜(1S)]
化合物(1Q)〜(1S)は以下に示すスキームで合成できる。
【化55】

臭化物(i16)と化合物(i4)と塩基とから−(CHO−基を持つ化合物(1Q)を合成できる(スキーム9)。また、臭化物(i16)にPPhを作用させて合成したホスホニウム塩(i17)と塩基とから得られるイリドに、アルデヒド(i7)を作用させウイティッヒ反応を行うことで結合基が−(CHCH=CH−である化合物(1R)を合成できる(スキーム9)。また、結合基が−(CH−である化合物(1S)は化合物(1R)を還元することで合成できる(スキーム9)。
塩化物(i18)と化合物(i4)と塩基から−CH=CHCHO−基を持つ化合物(1T)を合成できる(スキーム10)。
【0041】
上記の方法等で合成できる化合物(1)のうち、好ましい化合物の具体例は下記式(1−1)〜(1−8)で表される化合物である。但し、Q、Q、A、Z、Y、R、Rは[1]項の記載と同一の意味を示し、複数のA、Zは同一でも異なっても良い。
【化56】

【0042】
式(1−1)〜(1−6)中、好ましいAの構造は以下の構造である。なお、下記環構造において結合位置の左右の区別はなく、いずれでも構わない。
【化57】


また、式(1−1)〜(1−6)中、好ましいZは単結合、−COO−、または−CHO−である。
式(1−1)〜(1−6)中、好ましいYは、単結合、−O(CH)−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、または−O(CH10−である。
式(1−1)〜(1−6)中、好ましいRは(P2)、(P3)または(P5)である。
式(1−1)〜(1−6)中、好ましいRは水素、フッ素、塩素、−CN、−CF、−OCF、炭素数1〜7のアルキル、または炭素数1〜7のアルコキシである。
【0043】
化合物(1−1)〜(1−6)の中で特に好ましくは、化合物(1−2)、(1−3)、(1−5)または(1−6)である。
【0044】
化合物(1)、および、化合物(1)を含む本発明の組成物の螺旋の向きはいずれでも良く、それらから製造される円偏光分離素子は螺旋の方向に従って、左円偏光あるいは右円偏光を選択的に反射する。
【0045】
3.本発明の組成物
本発明の組成物は、2つ以上の化合物を含有し、少なくとも1つの化合物が本発明の化合物(1)である組成物である。
本発明の組成物が液晶組成物である場合、当該組成物は、少なくとも1つの化合物(1)と、重合性液晶もしくは非重合性液晶組成物とを含むことが好ましい。
【0046】
本発明の組成物に含まれる重合性液晶としては、式(M1)および(M2)から選択される少なくとも1つの重合性化合物が好ましい。
b−Xa−(Aa−Za)s−Aa−Xa−P1 (M1)
1−Xa−(Aa−Za)s−Aa−Xa−P1 (M2)
[式(M1)および(M2)中、Pは独立して、式(P9)〜(P12)
【化58】

で表される化合物の何れかであり;Wは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはフルオロアルキルであり;Rbは独立して、水素、フッ素、塩素、−CNまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて、任意の−CH−は、−O−、−COO−、若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Aaは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであるが、任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、若しくは炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;Xaは独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH−は、−O−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく;Zaは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−、−CHCHCOO−、−COOCHCH−、−CH=CHCOO−、または−OCOCH=CH−であり;sは独立して、1〜3の整数である。]
【0047】
式(M1)および(M2)で表される好ましい化合物は、化合物(M1a)〜式(M2c)である。また、本発明の組成物において、化合物(M1a)〜(M2c)の好ましい含有量は10〜99重量%であり、より好ましくは10〜97重量%であり、さらに好ましくは50〜95重量%である。
【0048】
本発明の組成物に含まれる非重合性液晶としては、式(M3)から選択される少なくとも1つの重合性化合物が好ましい。
c−(Ac−Zb)n−Rc (M3)
[式(M3)中、Rcは独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル、ハロゲン、−C≡C−CN、または−CNであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、若しくは−SiH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Acは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、若しくは−SiH−で置き換えられてもよく、任意の−CHCH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、1,4−フェニレンにおいて任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そしてこれらの環において任意の水素はハロゲン、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−OCHF、若しくは−OCHFで置き換えられてもよく;Zbは独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH−は−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CO−、若しくは−SiH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;そしてnは2、3または4である。]
【0049】
式(M3)で表される好ましい化合物は、化合物(2)〜(14)である。また、本発明の組成物において、化合物(2)〜(14)の好ましい含有量は0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0050】
物性を改善する目的で、本発明の組成物に、重合開始剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、フィラー、紫外線吸収剤、増感剤などを添加してもよい。添加物の化学構造や組成は限定されない。組成物が液晶組成物の場合には、各成分の含有量は、液晶組成物の液晶性を損なわない程度である。非重合性である公知の液晶化合物の具体例は、データベースLiqCryst(登録商標、LCI Publisher, Hamburg, Germany)およびその掲載文献に開示されている。
【0051】
組成物の特性を最適化するために、化合物(1)以外の光学活性化合物を添加しても良い。光学活性化合物の好適例は、式(OP−1)〜(OP−24)である。ただし、これらの式中、Akは炭素数1〜15のアルキルおよびアルコキシを、Me、EtおよびPhはそれぞれ、メチル、エチルおよびフェニルを示す。重合性基Pは、重合性を示せばいずれの構造でも良いが、特に、下記で示す基が好ましい。tは2〜8の整数である。
【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【0052】
本発明の組成物の使用中の取り扱いを容易にするため、あるいは保存中の重合を防止するために、本発明の組成物に安定剤を添加しても良い。公知の安定剤のいずれも使用できるが、例えば、4−エトキシフェノール、ハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)などである。
【0053】
本発明の組成物を溶媒に溶かして基板等に塗布することもできる。溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ブチルセルソルブなどを単独溶媒あるいは複数の混合溶媒が挙げられる。
【0054】
本発明の組成物は、スピンコート、ロールコート、カテンコート、フローコート、プリント、マイクログラビアコート、グラビアコート、ワイヤーバーコード、デップコート、スプレーコート、メニスカスコートや流延成膜法などの方法で薄膜展開し、溶媒を除去する方法で基板等に塗布できる。
【0055】
塗布前に基板表面を配向処理することによって、本発明の組成物を基板上で配向させることができる。処理方法は、例えば、ポリイミド、ポリアミドやポリビニルアルコールなどからなる薄膜を形成して、それをレーヨン布などでラビング処理したものや、酸化ケイ素を斜方蒸着したもの、延伸フィルム、あるいは光配向膜やイオンビームなどを用いたラビングフリー配向である。この他の処理方法として、基板を直接レーヨン布などでラビング処理が挙げられる。なお、基板表面の処理を行わなくてもよい場合もある。
【0056】
組成物の配向は電磁波の照射で固定できる。この際、電磁波の波長は300nm以上、特に365nm付近が好ましい。照射時の温度は、組成物が液晶状態である温度であるが、熱重合を防ぐために、100℃以下が好ましい。
【0057】
光学活性化合物を含む本発明の組成物は、塗布された基板上で螺旋構造を示す。組成物が重合すればツイスト配向を有する成形体を製造できる。例えば、本発明の組成物は、式「λ=屈折率×らせんのピッチ」を満足する波長(λ)を持つ光において、円偏光分離機能を持つ。このような組成物は輝度向上フィルムとして使用できる。なお、本発明の組成物において、光学活性化合物の種類および添加量を適時選択することで、螺旋方向およびピッチを最適化できる。
【0058】
本発明の成形体は、本発明の組成物を基板上に塗布して塗膜を形成させ、その組成物が液晶状態で形成するネマチック配向を光の照射により固定化することで製造できる。基板は、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどである。具体的な商品名ではJSR(株)の「アートン」、日本ゼオン(株)の「ゼオネックス」および「ゼオノア」、三井化学(株)の「アペル」などである。基板は一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであってもよい。基板は、事前に鹸化処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
【0059】
本発明の成形体の厚さは、要求特性と成形体の光学異方性値により異なる。好ましくは0.05〜50μmであり、より好ましくは0.1〜20μmであり、さらに好ましくは0.5〜5μmである。好ましい位相差値は0.05〜50μmであり、より好ましくは0.1〜20μmであり、さらに好ましくは0.5〜10μmである。成形体のヘイズ値は、1.5%以下、より好ましくは1.0%以下である。成形体の可視光領域での透過率は80%以上、より好ましくは85%以上である。十分な偏光性能を得るために、1.5%以下のヘイズ値が好ましい。80%以上の透過率は、この成形体を液晶表示素子に用いる際、明るさを維持するために好ましい条件である。
【0060】
4.本発明の重合体
本発明の重合体は、本発明の化合物(1)を含む組成物をラジカル重合あるいはカチオン重合することで製造できる重合体である。この重合体は、螺旋構造を持つ共重合体であることが好ましい。
【0061】
化合物(1)とネマチック液晶組成物とを混合して得られた組成物はコレステリック相を示す。この組成物の薄膜を、基板上へのコーティングにより形成し光を照射し重合することで、固定化されたコレステリック相(ツイスト配向)を得ることができる。これは、反射型偏光板、カラーフィルター、装飾品、IDカード等の偽造防止、非線形光学素子、光記憶装置等に利用できる。また、ピッチを基板と垂直方向に傾斜することで広波長域反射偏光板(Broadband reflective polarizer)を製造できる。ピッチの傾斜化は、当業者に公知の技術を用いて製造できる。
【0062】
本発明の重合体を製造する際の重合は、電磁波等のエネルギーを照射することで実施できる。照射される電磁波は、例えば、紫外線、赤外線、可視光線、X線、γ線である。その他、イオンやエレクトロンといった高エネルギー粒子を照射しても良い。重合は空気中で行えるが、窒素やアルゴン等の不活性気体中で光を照射することで重合時間を短縮できる。
【0063】
本発明の重合体において、機械的強度、熱的強度、塗布性、配向性などを調整する目的で液晶性を持たない重合性化合物を添加してもよい。添加される化合物は、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、ビニルエーテル化合物、オキシラン化合物、オキセタン化合物が好ましい。重合体の機械的強度および熱的強度をより高めるために、多官能性のアクリレート、ビニルエーテル、オキシラン、およびオキセタンが添加されてもよい。
【0064】
本発明の重合体において、基板等への塗布を容易にするため、あるいは液晶の配向を制御するために、界面活性剤を加えてもよい。界面活性剤の添加量は界面活性剤の種類や目的により異なるが、本発明の液晶組成物に対して、0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
【0065】
本発明の重合体の製造に用いられる光ラジカル重合開始剤の例は、チバ・スペシャリティー(株)のダロキュアーシリーズから1173および4265、イルガキュアーシリーズから184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、および2959などであるが、公知のいずれのものも使用できる。
【0066】
本発明の重合体の製造に用いられる光ラジカル重合開始剤のその他の例は、4−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物などであるが、公知のいずれのものも使用できる。
【0067】
本発明の重合体の製造に用いられる光カチオン重合開始剤の例は、UCC(株)のサイラキューアーUVI−6990および6974、旭電化(株)のアデカオプトマーSP−150、152、170および172、ローディア(株)のPhotoinitiator 2074、チバ・スペシャリティー(株)のイルガキュアー250、みどり化学(株)のDTS−102などであるが、公知のいずれのものも使用できる。
【0068】
熱可塑性を有する本発明の重合体は、接着剤、機械的異方性を持つ合成高分子、化粧品、装飾品、偽造防止装置、非線形光学材料、情報記憶材料などに利用できる。これらは分岐構造の少ない線状の高分子であり、単官能性化合物を主体とする組成物から得られる。これらの重量平均分子量は5×10〜1×10であり、好ましくは2×10〜5×10であり、より好ましくは2×10〜5×10である。
【0069】
5.本発明の光学素子および液晶表示素子
本発明の光学素子は、本発明の成形体を含む素子である。本発明の光学素子としては、例えば、液晶表示素子用の偏光板、光学補償板、輝度向上フィルム、ネガティブc−プレートなどには熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は網目構造を持つ高分子であり、複官能性化合物を主体とする組成物を重合することで、重合度の高い重合体として得られる。これらの重合体は溶媒に溶けにくく硬度が高い。これらの重合体の分子量は測定が困難で規定し難いが、無限大に近いことが好ましい。
【0070】
また、本発明の液晶表示素子は、本発明の重合体、成形体または光学素子を含む液晶表示素子である。また、本発明の液晶表示素子は、化合物(1)を含む非重合性液晶組成物で調整した組成物を構成要素とした液晶表示素子である。
本発明の液晶表示素子に使用される組成物は上述の方法によって調製される。上述の方法において、例えば、組成物に含まれる化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させて調整できる。
【0071】
高い透明点または液晶相の低い下限温度を有する化合物は、組成物におけるネマチック相の広い温度範囲に寄与する。好ましい組成物は、小さな粘度と素子のモードに適した光学異方性を有する。化合物の大きな誘電率異方性は、組成物の低いしきい値電圧に寄与する。このような組成物によって、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、駆動電圧が小さい、消費電力が小さい、電圧保持率が大きいなどの特性を有する素子を得ることができる。
【0072】
さらに、前記組成物に適当な添加物を加えて組成物の物性を調整してもよい。当業者によく知られている添加物としては、例えばメロシアニン、スチリル、アゾ、アゾメチン、アゾキシ、キノフタロン、アントラキノン、テトラジンなどの化合物である二色性色素があるが、これらの化合物を添加してGH素子用の組成物を調製してもよい。液晶のらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えるために、化合物(1)がキラルドーパントとして添加されてもよい。
TN素子およびTN−TFT素子用の好ましいピッチは40〜200μmの範囲である。STN素子用の好ましいピッチは6〜20μmの範囲である。BTN素子用の好ましいピッチは1.5〜4μmの範囲である。PC素子用の組成物にはキラルドーパントを比較的多量に添加することが好ましい。ピッチの温度依存性を調整する目的で本発明の化合物以外の化合物を添加してもよい。この添加剤の好ましい例は上記の光学活性化合物(Op−1)〜(Op−12)である。
【0073】
6.その他
本発明の化合物は、主に液晶表示素子に用いられる組成物に含有される光学活性化合物として開発されたものであるが、類似骨格を有する医薬化合物、農薬化合物、染料化合物等の中間体としても有用である。
【0074】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。実施例において、相転移温度は、偏光顕微鏡を備えた融点測定装置およびDSCで測定し、合成した化合物の化学構造は、H−NMRおよび13C−NMRで確認した。C、N、Ch、Iは、それぞれ、結晶、ネマチック相、コレステリック相、等方性液体を示す。HTPは、母液晶ZLI−1132に化合物(1)を混合して得たコレステリック液晶組成物の螺旋誘起力を、式[p=HTP−1×c−1]から算出した。ここで、cは化合物(1)の重量%、pはピッチ(μm)である。pは、カノ(Cano)の楔セルにコレステリック液晶組成物を注入・放置し、得られたグランジャン線の間隔と楔セルの2枚のガラス板のなす角度から求めた。
【実施例】
【0075】
[実施例1]
化合物(+)−(1−5−1,R=H)の合成
(第1段)
【化63】


窒素雰囲気下、マグネシウム0.5g(22.0mmol)をテトラヒドロフラン(THF)5mlに加え、(ex1−1)5.0g(21.1mmol)のTHF20ml溶液を滴下した。滴下後2時間加熱還流を行いグリニャール試薬を調製した。窒素雰囲気下、60%−水素化ナトリウム0.9g(22.0mmol)にTHF5ml加え、トリフルオロ酢酸2.5g(22.0mmol)のTHF15ml溶液を滴下し、トリフルオロ酢酸ナトリウムを調製した。これを氷浴上、先のグリニャール試薬を滴下し、24時間攪拌した。攪拌後、6M塩酸を加えトルエンで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去し、減圧蒸留により(ex1−2)3.0g得た。
【0076】
(第2段)
【化64】

窒素雰囲気下、60%−水素化ナトリウム0.5g(12.4mmol)にTHF15mlに加え、ジエチルホスホノ酢酸エチル2.8g(12.4mmmol)のTHF30ml溶液を滴下した。滴下後2時間室温で攪拌した後、第1段で合成した(ex1−2)3.0g(11.8mmol)のTHF50ml溶液を滴下し、55℃で2日間攪拌した。攪拌後、1M塩酸を加えトルエンで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去し、減圧蒸留により(ex1−3)2.9gを得た。
【0077】
(第3段)
【化65】


第2段で合成した(ex1−3)2.9g(8.9mmol)をエタノール60mlに溶解し、酢酸4.3gと5wt%−パラジウム/カーボン触媒0.4gを加え、反応系内を水素置換した後、室温で4日間攪拌した。パラジウム/カーボン触媒をろ別し、水を加え、トルエンで抽出した。次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去し、粗製の(1−5−1,R=C)(油状液体)2.8gを得た。(1−5−1,R=C)2.8g(8.6mmol)をエタノール30mlに溶解し、水酸化カリウム1.4g(25.8mmol)の25ml水溶液を加え、2.5時間加熱還流した。水およびジエチルエーテルを加え、氷浴上6M塩酸を加え酸性化し、エーテルで抽出後食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去し、再結晶により精製し、(1−5−1,R=H)(融点:142.3〜145.1)を得た。次に、エタノールに(1−5−1,R=H)2.3g(7.6mmol)と(R)−(+)−α−メチルベンジルアミン0.9g(7.6mmol)を溶解し、再結晶を繰り返すことにより光学分割を行い、目的物の(+)−4,4,4−トリフルオロ−3−(6−メトキシナフタレン−2−イル)ブタン酸((+)−(1−5−1,R=H))0.4gを得た(表7中、1−5−1のR=Hの化合物)。合成された当該化合物の融点は129.9〜132.0℃であった。
【0078】
[実施例2]
化合物(+)−(1−7−1,R=OC13)の合成
【化66】

窒素雰囲気下(+)−(1−5−1,R=H)5.0g(16.8mmol)、4−(4−ヘキシルオキシフェニル)フェノール(ex2−1)4.5g(16.8mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)3.1g(25.2mmol)を塩化メチレン200mlに加え、氷浴上攪拌した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)3.5g(25.2mmol)の塩化メチレン50ml溶液を滴下し、滴下後室温で攪拌した。不溶物を濾別し、ろ液を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶剤を留去し、残査をカラムクロマトグラフィー、再結晶により精製し、目的物である(+)−(1−7−1,R=OC13 8.0g(14.5mmol)を得た(表9中、1−7−1,R=OC13の化合物)。
合成された当該化合物の融点は107.8〜108.5℃であった。また、当該化合物をZLI−1132に1重量%溶解した組成物を調整し、Canoのくさび法(応用物理:1974(年),43(巻),125(頁)です)に準じて測定された、25℃における螺旋ピッチからHTPを算出したところ、その値は12.3μm−1であった。
【0079】
[実施例3]
化合物(+)−(1−6−1,R=OC13)の合成
実施例2に記載のスキームと同様に、(+)−(1−6−1,R=OC13)を得た(表8中、1−6−1,R=OC13の化合物)。
合成された当該化合物の融点は82.5〜83.0℃であった。また、実施例2に記載の方法と同様に算出されたHTPは、9.86μm−1であった。
【0080】
[実施例4]
化合物(+)−(1−6−7,R=OC13)の合成
実施例2に記載のスキームと同様に(+)−(1−6−7,R=OC13)を得た(表8中、1−6−7,R=OC13の化合物)。
合成された当該化合物は室温で液体であった。また、実施例2に記載の方法と同様に算出されたHTPは、23.2μm−1であった。
【0081】
[実施例5]
化合物(+)−(1−7−8,R=OC13)の合成
実施例2に記載のスキームと同様に(+)−(1−7−8,R=OC13)を得た(表9中、1−7−8,R=OC13の化合物)。
合成された当該化合物の融点は101.0〜102.5℃であった。また、実施例2に記載の方法と同様に算出されたHTPは、27.0μm−1であった。
【0082】
実施例1〜5の方法に準じて、化合物(1)の具体的な化合物である、表1〜12に記載された化合物(1−1−1)〜(1−8−20)をを合成する。表1〜12中、構造式中二つのA〜A、Z〜Z、Y、RおよびRは同一で、R中の略号と構造の対比を以下に示す。
【化67】

表1〜12に記載された各々の化合物の立体配座はいずれでもよい。また、表1〜12の式中、環および連結基の構造中の黒丸は、隣接基との結合部位を示す。また、表1〜12の式中、Zが単結合の場合にはその記載を省略する場合もある。
【0083】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の化合物、組成物、重合体、および重合体を用いた成形体は、偏光板、光学補償板、輝度向上フィルム、配向膜、カラーフィルター、ホログラフ素子、液晶表示素子、接着剤、機械的異方性を持つ合成高分子、化粧品、装飾品、偽造防止装置、非線形光学素子、光学記憶素子等に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物。
【化1】


[式(1)中、Q1は、水素、ハロゲン、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンまたはCNで置き換えられてもよく;
は−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;そして
3は、式(T1)または(T2)で表される基であり;
−Z−(A−Z)−Y−Ra (T1)
−Z−(A−Z)−Rb (T2)
{式(T1)および式(T2)中、Raは、式(P1)〜(P8)で表されるいずれかの基であり;
【化2】



(式(P1)〜(P8)中、Wは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)
bは、水素、ハロゲン、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンまたはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキル、または炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−CF=CF−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
Yは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよく;そして
rは、0〜5の整数である。}]
【請求項2】
aが式(P2)〜(P6)
【化3】


(式(P2)〜(P6)中、Wは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表される基のいずれかであり;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキル若しくは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合または炭素数1〜5のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜11のアルキレン、炭素数2〜12のアルケニレン、または炭素数2〜12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
aが式(P2)、(P3)、(P5)または(P6)
【化4】

(式(P2)、(P3)、(P5)および(P6)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。)で表される基であり;
bは、水素、ハロゲン、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンまたはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、以下の構造を有し、
【化5】


Zは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−または−CHO−であり;
Yは独立して、単結合、−O(CH)−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、または−O(CH10−であり;そして
rが0〜3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(1−1)〜式(1−6)いずれかで表される化合物。
【化6】

[式(1−1)〜式(1−6)中、Q1は、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
は−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;
aは、式(P1)〜(P8)
【化7】



(式(P1)〜(P8)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表されるいずれかの基であり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はフッ素、塩素、炭素数1〜5のアルキル、または炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−CF=CF−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はフッ素、塩素で置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい。]
【請求項5】
aが式(P2)〜(P6)
【化8】


(式(P2)〜(P6)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表される基のいずれかであり;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はフッ素、塩素、炭素数1〜5のアルキル若しくは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合または炭素数1〜5のアルキレンであり、このアルキレンにおいて任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はフッ素、塩素で置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜11のアルキレン、炭素数2〜12のアルケニレン、または炭素数2〜12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
aが式(P2)、(P3)、(P5)または(P6)
【化9】

(式(P2)、(P3)、(P5)および(P6)中、Wは水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。)で表される基であり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、以下の構造を有し、
【化10】


Zは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−または−CHO−であり;
そしてYは独立して、単結合、−O(CH)−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、または−O(CH10−である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
式(1−2)、式(1―3)、式(1―5)、または式(1―6)で表される化合物。
【化11】


[式(1−2)、式(1―3)、式(1―5)、および式(1―6)中、Q1は、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
は−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;
aは、式(P1)〜(P8)
【化12】



(式(P1)〜(P8)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表される重合性基のいずれかであり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであり、これらの環において任意の水素はフッ素、塩素、炭素数1〜5のアルキル、または炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はフッ素、塩素で置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい]
【請求項8】
aが式(P2)〜(P6)
【化13】


(式(P2)〜(P6)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロアルキルである)で表される重合性基のいずれかであり;
1は、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜10のアルキニルであり、または炭素数1〜10のアルコキシであり、これらのアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;
Aは独立して、1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の水素はフッ素、塩素、炭素数1〜5のアルキル若しくは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
Zは独立して、単結合または炭素数1〜5のアルキレンであり、任意の−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−若しくは−OCO−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はフッ素、塩素で置き換えられてもよく;そして
Yは独立して、単結合、炭素数1〜11のアルキレン、炭素数2〜12のアルケニレン、または炭素数2〜12のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンにおいて任意の−CH2−は−O−、−COO−、もしくは−OCO−で置き換えられてもよい、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
aが式(P2)、(P3)、(P5)または(P6)
【化14】

(式(P2)、(P3)、(P5)および(P6)中、Wは独立して、水素、フッ素、塩素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルである。)で表される重合性基であり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニルまたは炭素数2〜10のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はフッ素、塩素またはCNで置き換えられてもよく;そして
Aは独立して、以下の構造を有し、
【化15】


Zは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−または−CHO−であり
Yは独立して、単結合、−O(CH)−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、−O(CH−、または−O(CH10−である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
式(1―5)、または式(1―6)で表される化合物。
【化16】



[式(1―5)および式(1―6)中、Q1は、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜5のアルキル、炭素数2〜5のアルケニル、炭素数2〜5のアルキニルであり、または炭素数1〜5のアルコキシであり;
は−COO−、−CHO−、−C=C−または−C≡C−であり;
bは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜7のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、または炭素数1〜7のアルコキシであり;
Aは独立して、1,4−フェニレンであり;そして
Zは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−OCH−または−CH2O−である。]
【請求項11】
光学活性を有する請求項1〜10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の化合物から選択された化合物を3〜90重量%、および、式(M1)もしくは(M2)

c−Xa−(Aa−Za)−Aa−Xa−P1 (M1)
1−Xa−(Aa−Za)−Aa−Xa−P1 (M2)

[式(M1)および(M2)中、Pは、式(P9)〜(P12)で表される基の何れかであり;
【化17】



{式(P9)〜(P12)中、Wは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキルである。}
cは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−、で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
aは独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキセニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、またはフルオレン−2,7−ジイルであるが、任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく;
aは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
aは独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCHCOO−、−COOCHCH−、−CH=CHCOO−、または−OCOCH=CH−であり;そして
sは独立して、0〜3の整数である。]
で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を10〜97重量%含有する組成物。
【請求項13】
式(M1)が式(M1a)、(M1b)または(M1c)で表される化合物を含む、請求項12に記載の組成物。
【化18】



[式(M1a)、(M1b)および(M1c)中、Pは独立して、式(P9)〜(P12)で表される基の何れかであり;
【化19】



{式(P9)〜(P12)中、Wは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のフルオロアルキルである。}
cは、水素、フッ素、塩素、−CN、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニル、炭素数2〜20のアルキニルであり、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−、で置き換えられてもよく、これらのアルキル、アルケニルおよびアルキニルにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
bは独立して、1,4−シクロへキシレン、または1,4−フェニレンであり;
は独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルであり;
aは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;
pおよびqは独立して、0または1であり;そして
mは0〜5の整数である。]
【請求項14】
式(M2)が式(M2a)、(M2b)または(M2c)で表される化合物を含む、請求項12または13に記載の組成物。
【化20】



[式(M2a)、(M2b)および(M2c)中、Pは独立して、式(P9)〜(P12)で表される基の何れかであり;
【化21】



{式(P9)〜(P12)中、Wは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のフルオロアルキルである。}
bは独立して、1,4−シクロへキシレン、または1,4−フェニレンであり;
は独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、または炭素数1〜3のハロゲン化アルキルであり;
aは独立して、単結合、炭素数1〜20のアルキレン、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく;そして
mは0〜5の整数である。]
【請求項15】
請求項1〜11のいずれかに記載の化合物から選択された化合物を0.1〜20重量%、および、式(M3)
d−(Ac−Zb)n−Rd (M3)
[式(M3)中、Rdは、水素、ハロゲン、−C≡C−CN、−CN、炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニレン、または炭素数2〜20のアルキニレンであり任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、−CF=CF−、または−SiH−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり、これらの環において任意の−CH−は、−O−、−S−、−CO−、または−SiH−で置き換えられてもよく、これらの環において任意の−CHCH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、1,4−フェニレンにおいて任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、−CF、−CHF、−CHF、−OCF、−OCHF、または−OCHFで置き換えられてもよく;
bは独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数2〜4のアルケニレン、または炭素数2〜4のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−、−S−、−CF=CF−、−CO−、または−SiH−で置き換えられてもよく、このアルキレンにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;そして
nは2、3または4である。]
で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を80〜99.9重量%含有する組成物。
【請求項16】
式(M3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物が式(2)、(3)または(4)
【化22】

[式(2)、式(3)および式(4)中、Rは独立して、炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニレン、または炭素数2〜10のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
は独立して、フッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;
環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;
環Eは1,4−シクロヘキシレン、または1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく;
およびZは独立して、−(CH−、−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または単結合であり;そして
およびLは独立して、水素またはフッ素である。」
で表される化合物である請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
式(M3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物が、式(5)または(6)
【化23】

[式(5)および式(6)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニレン、または炭素数2〜10のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
は−CNまたは−C≡C−CNであり;
環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;
環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;
は−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合であり;
、LおよびLは独立して、水素またはフッ素であり;そして
b、cおよびdは独立して0または1である。]
で表される化合物である請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
式(M3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物が、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、または式(11)
【化24】

[式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、および式(11)中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数2〜10のアルケニレン、または炭素数2〜10のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環Mおよび環Pは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、またはデカヒドロ−2,6−ナフタレンであり;
およびZは独立して、−(CH−、−COO−、または単結合であり;そして
およびLは独立して水素またはフッ素であるが、LとLの少なくとも一つはフッ素である。]
で表される化合物である請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
式(M3)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物が、式(12)、式(13)、または式(14)
【化25】

[式(12)、式(13)、および式(14)中、RおよびRは独立して、炭素数1〜10、炭素数2〜10のアルケニレン、または炭素数2〜10のアルキニレンであり、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、これらのアルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンにおいて任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環Q、環Tおよび環Uは独立して、1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そして
およびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、または単結合である。]
で表される化合物である請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
液晶組成物である請求項12〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
非重合性液晶組成物である請求項12〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
請求項12〜20のいずれかに記載の組成物を重合することで得られる重合体。
【請求項23】
重量平均分子量が2,000〜1,000,000である請求項22に記載の重合体。
【請求項24】
重量平均分子量が2,000〜500,000である請求項22に記載の重合体。
【請求項25】
請求項12〜21のいずれかに記載の組成物を配向させた後、電磁波の照射により液晶の配向を固定化した光学異方性を有する成形体。
【請求項26】
固定化した液晶の配向がツイスト配向である請求項25に記載の成形体。
【請求項27】
請求項25または26に記載の成形体を含む光学素子。
【請求項28】
波長350〜750nmのうち、一部またはすべての領域の光を選択的に反射する可視光域で円偏光二色性を示す請求項27に記載の光学素子。
【請求項29】
波長100〜350nmの紫外光域で円偏光二色性を示す請求項27または28に記載の光学素子。
【請求項30】
請求項12〜19のいずれかに記載の組成物、請求項22〜24のいずれかに記載の重合体、請求項25もしくは26に記載の成形体、または、請求項27〜29のいずれかに記載の光学素子を含む液晶表示素子。-

【公開番号】特開2007−39411(P2007−39411A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227810(P2005−227810)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【Fターム(参考)】