説明

ハイブリッド車両の駆動制御装置

【課題】エンジンの始動頻度を低減することのできるハイブリッド車両の駆動制御装置を提供すること。
【解決手段】車両1の走行時における動力源としてエンジン5と電動機であるMG2とが用いられると共にMG2は発電機能を備えており、さらに、エンジン5を停止させた状態で車両1を走行させることができるハイブリッド車両の駆動制御装置2において、エンジン5を停止させた状態での車両1の走行であるEV走行時に、車両1が走行している道路の情報に基づいてMG2の温度を予測し、予測したMG2の温度が所定値以上になる場合には、MG2による発電を禁止する。これにより、EV走行時におけるMG2の温度上昇を抑制することができ、エンジン5を始動させて潤滑油を循環させることにより行うMG2の冷却が必要になる頻度を低減することができる。この結果、エンジン5の始動頻度を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両では、燃費の向上等を目的として動力源として内燃機関であるエンジンの他にモータを用いる、いわゆるハイブリッド車両が増えている。このようなハイブリッド車両では、駆動系の構成や駆動制御の方法によって様々な形態が存在する。例えば、特許文献1に記載されたハイブリッド車では、モータ走行時にモータの温度が所定値以上になった場合や、モータの温度の変化率より所定時間後にモータの温度が所定値以上になると判定された場合には、エンジンを始動することにより、モータの温度が高くなり過ぎることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−94626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、モータ走行時に、モータの温度が所定値以上になると判断された場合に、エンジンを始動することのみでモータの温度が高くなり過ぎることを抑制する場合、頻繁にエンジンが始動する場合がある。モータ走行が可能な条件を満たすことにより、モータで発生する動力のみで走行するモータ走行中に、このように頻繁にエンジンが始動した場合、運転者に違和感を与えてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エンジンの始動頻度を低減することのできるハイブリッド車両の駆動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係るハイブリッド車両の駆動制御装置は、車両の走行時における動力源としてエンジンと電動機とが用いられると共に前記電動機は発電機能を備えており、さらに、前記エンジンを停止させた状態で前記車両を走行させることができるハイブリッド車両の駆動制御装置において、前記エンジンを停止させた状態での前記車両の走行時に、前記車両が走行している道路の情報に基づいて前記電動機の温度を予測し、予測した前記電動機の温度が所定値以上になる場合には、前記電動機による発電を禁止することを特徴とする。
【0007】
また、上記ハイブリッド車両の駆動制御装置において、前記電動機による発電を禁止する場合は、発電を禁止する期間を前記電動機の予測温度に基づいて設定することが好ましい。
【0008】
また、上記ハイブリッド車両の駆動制御装置において、前記車両が走行している道路の情報は、前記車両に備えられるカーナビゲーションシステムの地図情報より取得することが好ましい。
【0009】
また、上記ハイブリッド車両の駆動制御装置において、前記エンジンを停止させた状態での前記車両の走行時には、前記電動機は前記車両が降坂走行をする際に発電を行い、前記電動機の予測温度が所定値以上になることにより前記電動機の発電が禁止された場合には、前記降坂走行時における前記電動機での発電を禁止することが好ましい。
【0010】
また、上記ハイブリッド車両の駆動制御装置において、さらに、前記電動機の温度を取得する電動機温度取得部を備えており、前記エンジンを停止させた状態での前記車両の走行時に、前記電動機温度取得部で取得した前記電動機の温度が前記所定値以上になった場合には、前記電動機による発電を禁止することが好ましい。
【0011】
また、上記ハイブリッド車両の駆動制御装置において、前記電動機温度取得部は、前記電動機に供給されるオイルの温度に基づいて前記電動機の温度を取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るハイブリッド車両の駆動制御装置は、エンジンを停止させた状態での車両の走行時における電動機の温度上昇を抑制することができ、エンジンを始動させて潤滑油を循環させることにより行う電動機の冷却が必要になる頻度を低減することができるため、エンジンの始動頻度を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置を備える車両の概略図である。
【図2】図2は、車両の走行状態とMG2の温度との関係を示す説明図である。
【図3】図3は、回生の禁止を導入する際における車両の走行状態とMG2の温度との関係を示す説明図である。
【図4】図4は、実施形態に係る駆動制御装置の処理手順の概略を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係るハイブリッド車両の駆動制御装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
〔実施形態〕
図1は、実施形態に係るハイブリッド車両の駆動制御装置を備える車両の概略図である。本実施形態に係る駆動制御装置2は、同図に示す車両1に搭載されており、この車両1は、内燃機関であるエンジン5と、電気で駆動するモータジェネレータ10とを備えている。このように車両1は、走行時における動力源としてエンジン5とモータジェネレータ10とを併用、または選択して使用する、いわゆるハイブリッド車両として設けられている。このうち、モータジェネレータ10は、動力分割統合機構30、減速機構50、及び差動装置55と共に、駆動装置20を構成しており、車両1は、エンジン5とモータジェネレータ10とを、車両1の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)90によって協調制御することにより走行する。
【0016】
また、モータジェネレータ10は、電源として車両1に搭載されるバッテリ(図示省略)から供給された電力を機械的動力に変換する電動機としての機能と、入力された機械的動力を電力に変換する発電機としての機能とを兼ね備えており、第1のモータジェネレータ10であるMG1と、第2のモータジェネレータ10であるMG2との2つのモータジェネレータ10が設けられている。このうち、MG1は、主に発電機として用いられ、MG2は、主に電動機として用いられる。
【0017】
また、駆動装置20には、エンジン5及びモータジェネレータ10が出力した機械的動力を、車両1の駆動輪62に伝達する際における動力伝達機構として、エンジン5が出力した機械的動力を分割する動力分割統合機構30と、動力分割統合機構30から伝達された回転を減速しトルクを増大させる減速機構50と、減速機構50から伝達された機械的動力を左右の駆動輪62に分配して出力する差動装置55が設けられている。
【0018】
このうち、動力分割統合機構30は、2つのシングルピニオン式の遊星歯車機構により構成されている。詳細には、動力分割統合機構30は、エンジン5が出力した機械的動力を、MG1を駆動する機械的動力と減速機構50を駆動する機械的動力に分割可能な動力分割遊星歯車31と、MG2が出力した機械的動力を、回転速度を減速しトルクを増大させて減速機構50に伝達可能な減速遊星歯車41との2つの遊星歯車機構により構成されている。
【0019】
これらの動力分割遊星歯車31と減速遊星歯車41とのうち、動力分割遊星歯車31は、互いに同軸的に配置されたサンギア32及びリングギア33と、これらのギアの間に介在する複数のプラネタリギア34と、プラネタリギア34を自転可能に、且つ、サンギア32やリングギア33の回転軸を中心として公転可能に支持するプラネタリキャリア35とを有している。同様に、減速遊星歯車41は、互いに同軸的に配置されたサンギア42及びリングギア43と、これらのギアの間に介在する複数のプラネタリギア44と、プラネタリギア44を自転可能に支持するプラネタリキャリア45とを有している。
【0020】
このように設けられる動力分割遊星歯車31と減速遊星歯車41とは、同心配置されており、動力分割遊星歯車31のリングギア33と減速遊星歯車41のリングギア43は、一体に結合されている。また、この一体に結合されたリングギア33、43の外周側には、減速機構50が有するカウンタシャフト53を駆動するカウンタドライブギア48が設けられている。
【0021】
また、エンジン5の出力が駆動装置20に入力される際における回転軸として設けられる駆動装置20の入力軸22は、動力分割遊星歯車31のプラネタリキャリア35と一体回転可能に接続されている。これにより、動力分割遊星歯車31は、エンジン5の出力を、プラネタリキャリア35が支持するプラネタリギア34から、サンギア32に伝達する機械的動力と、リングギア33に伝達する機械的動力に分割可能になっている。
【0022】
また、MG1は、この動力分割統合機構30に接続されており、MG1の駆動軸12は駆動装置20の入力軸22と同軸の中空状に形成され、且つ、動力分割遊星歯車31のサンギア32と一体回転可能に接続されている。これらにより、エンジン5から動力分割遊星歯車31に入力された機械的動力は、プラネタリキャリア35、プラネタリギア34及びサンギア32を介してMG1に伝達可能になっており、MG1は、エンジン5から伝達された機械的動力によって発電可能になっている。
【0023】
一方、減速遊星歯車41のプラネタリキャリア45は、駆動装置20のハウジングに固定されており、減速遊星歯車41のサンギア42は、MG1の駆動軸12と同様に中空状に形成されるMG2の駆動軸14に結合されている。また、サンギア42は、プラネタリキャリア45が支持するプラネタリギア44を介してリングギア43に回転を伝達可能に設けられているため、減速遊星歯車41は、MG2が出力した機械的動力を、サンギア42及びプラネタリギア44を介して、リングギア43に伝達可能になっている。その際に、減速遊星歯車41は、MG2が出力した機械的動力の回転速度を減速し、トルクを増大させてリングギア43に伝達することができる。
【0024】
このリングギア43は、動力分割遊星歯車31のリングギア33と一体に結合されているため、動力分割統合機構30は、MG2から減速遊星歯車41のリングギア43に伝達された機械的動力と、エンジン5から動力分割遊星歯車31のリングギア33に伝達された機械的動力とを統合して、カウンタドライブギア48から減速機構50に伝達可能になっている。
【0025】
また、減速機構50は、動力分割統合機構30のカウンタドライブギア48に噛み合うカウンタドリブンギア51と、カウンタドリブンギア51と結合されているカウンタシャフト53と、カウンタシャフト53に結合され、差動装置55が有するリングギア56に噛み合うファイナルドライブギア54とを有している。このため、減速機構50は、動力分割統合機構30のリングギア33、43から伝達された機械的動力を、回転速度を減速しトルクを増大させて差動装置55のリングギア56に伝達可能になっている。
【0026】
また、差動装置55は、リングギア56と、このリングギア56と同軸になる向きで設けられると共に車両1の左右の駆動軸61とそれぞれ結合されている左右一対のサイドギア58と、これら2つのサイドギア58と直交して噛み合う2つの差動ピニオン59とが設けられている。また、左右の駆動軸61は、それぞれサイドギア58に結合されており、さらにこの駆動軸61は、車両1の左右の駆動輪62にそれぞれ結合されている。
【0027】
さらに、駆動装置20には、エンジン5で発生する動力によって駆動するオイルポンプ70が設けられており、オイルポンプ70は、駆動装置20の各部を潤滑する潤滑油を、駆動装置20内に対して循環させることが可能になっている。オイルポンプ70は、このようにエンジン5の動力で駆動することにより、潤滑油を循環させることが可能になっているが、エンジン5で発生する動力は、駆動装置20の入力軸22と一体回転可能に設けられるポンプ駆動軸71によって、オイルポンプ70に伝達可能になっている。オイルポンプ70は、駆動装置20におけるエンジン5が位置する側の反対側に配設されており、ポンプ駆動軸71は、駆動装置20の入力軸22と同軸上に設けられると共に、中空状に形成されるMG2の駆動軸14の内側を通って、オイルポンプ70に接続されている。
【0028】
また、潤滑油が流れる経路であるオイル経路74には、潤滑油を冷却するオイルクーラ75が設けられている。このオイルクーラ75は、当該オイルクーラ75に流入した潤滑油を冷却してオイル経路74に対して流すことが可能になっている。また、駆動装置20では、主に電動機として用いられるMG2の温度が高くなり易くなっている。このため、潤滑油の流れ方向におけるオイルクーラ75の下流側に位置し、オイルクーラ75で冷却された直後の潤滑油が流れるオイル経路74は、MG2に、或いはMG2の近傍に接続されており、温度が低下した潤滑油をMG2に供給することによってMG2の冷却が可能になっている。さらに、このように、温度が高くなり易くなっているMG2には、当該MG2の温度を検出するMG温度センサ78が設けられている。
【0029】
また、車両1には、車両1の走行時に運転者が操作をする操作手段が設けられており、その一部は、ECU90に接続されている。例えば、ECU90には、アクセルペダル80の開度を検出するアクセルセンサ81や、車両1に備えられ、地図情報を表示したり車両1の走行位置を表示したりするカーナビゲーションシステム85等が接続されている。
【0030】
また、車両1は、エンジン5で発生する動力とモータジェネレータ10で発生する動力とを用いて走行可能なハイブリッド車両となっているが、エンジン5やモータジェネレータ10を制御するECU90には、ハイブリッド走行の各種制御を行うハイブリッド制御装置95が接続されている。MG2に設けられているMG温度センサ78は、このハイブリッド制御装置95に接続されており、カーナビゲーションシステム85は、このハイブリッド制御装置95にも接続されている。
【0031】
このように、ハイブリッド走行の制御が可能なハイブリッド制御装置95と、車両1の各装置の制御が可能なECU90とのそれぞれのハード構成は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部等を備えた公知の構成であるため、説明は省略する。
【0032】
本実施形態に係る駆動制御装置2は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の走行時は、運転者が操作をするアクセルペダル80の操作量であるアクセル開度をアクセルセンサ81で検出し、この検出結果をECU90で取得する。ECU90は、このように取得したアクセル開度や車速等に基づいて、目標駆動力を設定し、目標駆動力を発生させることができる動力をエンジン5やモータジェネレータ10に発生させる。
【0033】
また、このエンジン5やモータジェネレータ10で発生する動力の配分は、ハイブリッド制御装置95で行う。ハイブリッド制御装置95は、運転者の操作状態や車両1の走行状態、さらに、モータジェネレータ10で動力を発生する際における電源であるバッテリ(図示省略)の充電状況を、ECU90より取得する。
【0034】
これらの情報を取得したハイブリッド制御装置95は、取得した情報に応じて、エンジン5とモータジェネレータ10との協調制御を行うことにより、運転操作の状態や車両1の走行状態等に応じて、要求駆動力を発生しつつ燃料消費量の低減が可能になる走行制御を行う。即ち、ハイブリッド制御装置95は、取得した各種情報に応じてECU90に制御信号を送信し、ECU90を介してエンジン5やモータジェネレータ10を制御することにより、要求駆動力を発生しつつ燃料消費量の低減が可能になる走行制御を行う。この場合、モータジェネレータ10は、主にMG2で動力を発生し、MG1はMG2で使用する電気の発電用に用いられる。
【0035】
具体的には、エンジン5とMG2との双方で動力を発生する場合には、車速や要求駆動力に応じてエンジン5で発生する動力の一部を、動力分割遊星歯車31のプラネタリギア34やサンギア32を介してMG1に伝達することにより、エンジン5で発生する動力の一部はMG1での発電に使用される。これにより、駆動輪62側には、エンジン5の残りの動力と、MG2で発生した動力とが減速機構50等を介して伝達され、駆動輪62は、この伝達された動力によって駆動力を発生する。
【0036】
また、この車両1は、走行状態によってはエンジン5を停止し、モータジェネレータ10で発生する動力のみによる走行であるEV走行も行う。つまり、車両1の走行中に、予め定められたエンジン停止条件を満たした場合に、エンジン5を停止してEV走行を行う。このEV走行では、主にMG2で発生する動力によって走行する。エンジン停止条件としては、例えば、(1)車両1が発進してから車速が所定速度に達していない、(2)一定期間継続して車速が所定速度以下になった、(3)車速及びブレーキ操作情報から車両1が減速状態、または制動状態にある、(4)運転者の手動操作によって車両1の走行モードとしてEV走行が選択された、などの条件を設定することができる。ハイブリッド制御装置95は、車両1の走行時における状態が、このエンジン停止条件を満たしたと判断した場合には、ECU90に対してエンジン5の停止要求を行う。これにより、ECU90でエンジン5の停止制御を行い、エンジン5を停止させる。
【0037】
また、車両1の減速時は、車両1の走行時の慣性エネルギが、駆動輪62から入力される回転トルクとなって差動装置55や減速機構50を介して動力分割統合機構30に伝達され、MG2に伝達されることにより、MG2でこの回転トルクによって発電を行う。つまり、車両1の減速時は、MG2を発電機として使用し、MG2で発電を行う。
【0038】
一般的に、回転トルクを発電機に入力することによって発電機で発電を行う場合は、発電機は回転トルクに対する抵抗力を発生するが、MG2で発電を行う場合も、入力される回転トルクに対して抵抗力を発生する。この抵抗力は、駆動輪62から入力される回転トルクに対する抵抗になるため、駆動輪62の回転に対する抵抗力になり、換言すると、車両1の慣性エネルギに対する抵抗になる。このため、駆動輪62は、路面に対して制動力を発生することになる。車両1の減速時は、このように車両1の慣性エネルギを用いてMG2で発電をすることにより、回生制動を行う。
【0039】
車両1の走行時は、これらのようにエンジン5とモータジェネレータ10との協調制御を行うが、車両1の走行状態によっては、エンジン5を停止してMG2のみでEV走行を行う。この場合、エンジン5で発生する動力によって駆動するオイルポンプ70も停止するため、オイルポンプ70で潤滑する潤滑油によって、駆動装置20の各部を潤滑したり、MG2を冷却したりすることができなくなる。このため、EV走行時にMG2の温度が所定値以上になった場合にはエンジン5を始動してオイルポンプ70を駆動させることにより、潤滑油を循環させ、MG2を冷却する。
【0040】
一方、EV走行中に運転者が大きな加速要求を行わず、バッテリの充電量も十分な状態である場合に、MG2の温度を低下させることを目的としてエンジン5を始動させる場合、EV走行を行っているにも関わらず、エンジン5の始動や停止を頻繁に繰り返すことになる可能性がある。この場合、運転者に対して違和感を与えることにつながるため、本実施形態に係る駆動制御装置2では、EV走行時には、MG2の温度上昇を極力抑える制御を行う。
【0041】
EV走行時にMG2の温度が上昇する状況としては、MG2で動力を発生させる場合のみでなく、回生を行う場合も温度が上昇する。つまり、モータジェネレータ10は、バッテリから供給される電気によって動力を発生するのみでなく、外部から入力される力を用いて発電をするときも温度が上昇する。また、車両1の走行時における回生制動は、車両1の慣性エネルギを用いてMG2で発電をすることによって行う。このため、MG2は、動力を発生するのみでなく、回生制動時も温度が上昇する。
【0042】
MG2の温度上昇の抑制は、MG2で発生する動力を低減するか、回生制動を低減することにより実現できるが、EV走行は、MG2で発生する動力のみを用いて走行するため、EV走行時は、MG2で発生する動力を低減させることは不可能になっている。このため、EV走行時に、MG2の温度上昇を抑える場合には、MG2で回生を行うことによる回生制動を低減させる。
【0043】
具体的には、ハイブリッド制御装置95で、カーナビゲーションシステム85より地図情報を取得し、走行中の道路を走行し続けた場合におけるMG2の温度変化を、取得した地図情報に基づいて予測する。さらに、この予測したMG2の温度変化に基づいて、MG2の温度が上昇し過ぎないように、EV走行中のMG2の制御を行う。
【0044】
図2は、車両の走行状態とMG2の温度との関係を示す説明図である。ここで、車両1が走行する道路100に応じた走行状態に対するMG2の温度変化について説明する。まず、車両1の走行状態を区分けすると、道路100の勾配状態ごとに区分けすることができ、平坦な道路100を走行する走行状態である平坦走行Fltと、車両1の走行方向に対する登り坂を走行する走行状態である登坂走行Clbと、車両1の走行方向に対する下り坂を走行する走行状態である降坂走行Dwnと、に区分けすることができる。
【0045】
EV走行時には、これらの走行状態に応じてMG2の制御を行う。この走行状態に応じたMG2の制御について説明すると、平坦走行Fltと登坂走行Clbとを共に定速走行によって行う場合には、共に走行時における駆動力として用いる動力をMG2で発生させる。その際に、登坂走行Clb時は、平坦走行Flt時よりも大きな動力を発生させる必要がある。また、MG2は、動力の発生時は発熱をするため、平坦走行Flt時や登坂走行Clb時は温度が高くなるが、登坂走行Clb時は、平坦走行Flt時よりも大きな動力を発生させるため、MG2の温度は、平坦走行Flt時よりも登坂走行Clb時の方が上昇し易くなる。
【0046】
また、MG2は、車両1の減速時には回生を行うが、車両1が定速で降坂走行Dwnを行う場合も回生を行う。即ち、降坂走行Dwnを行う場合は、道路100の高低差によって加速力が発生するため、降坂走行Dwnでは、減速力を発生させても定速走行が可能になる。また、定速で降坂走行Dwnを行う場合には、減速力を発生させる必要がある。このため、これらの場合はMG2で回生して発電を行うことにより減速力を発生させ、定速で降坂走行Dwnを行う。従って、EV走行時に降坂走行Dwnを行う場合も、MG2は温度が上昇する。
【0047】
EV走行中は、このようにMG2の温度は、いずれの走行状態の場合も上昇し、また、温度の上昇の度合いは、車両1の走行状態、つまり、走行する道路100の状態によって変化する。このため、ハイブリッド制御装置95で、カーナビゲーションシステム85より地図情報を取得する場合は、車両1の走行方向における道路100の坂角度や距離の情報等、MG2の温度変化に関わる道路100の情報を取得する。ハイブリッド制御装置95は、このように取得した道路100の情報に基づいて車両1の走行状態を予測し、MG2の温度を予測することにより、MG2の温度変化を予測する。
【0048】
EV走行の通常の制御時に、道路100の情報に基づいて予測したMG2の温度であるMG2予測温度110は、道路100の状態に応じた車両1の走行状態である平坦走行Flt、登坂走行Clb、及び降坂走行Dwnに応じて、MG2の温度の上昇の度合いが変化する。つまり、MG2予測温度110における登坂走行Clb時は、平坦走行Flt時よりも温度の上昇の度合いが大きくなる。また、降坂走行Dwn時もMG2予測温度110は上昇するため、EV走行中のMG2予測温度110は、いずれの走行状態の場合も上昇する。
【0049】
このため、エンジン5を始動することなくEV走行を継続し続けた場合は、MG2予測温度110は、MG2の温度が上昇し過ぎていると判断することのできる所定の温度X℃以上になる。このX℃としては、例えば、MG2の冷却を行わない状態で運転可能なMG2温度の上限値が設定される。このように、EV走行を継続し続けた場合、バッテリに充電されている電気は、回生時以外は消費されるのみなので、EV走行を続けるに従って充電量が低下し、MG2を駆動させることができなくなる。車両1は、EV走行中は、このようにバッテリの充電量が低下し、バッテリの充電量が低下し過ぎることによりEV走行を行うことが出来なくなったら、エンジン5を始動してエンジン5の動力を用いて走行すると共に、このエンジン5で発生する動力を用いてMG1で発電をする。この場合、バッテリの充電量が、MG2を駆動可能な充電量になるまではMG2を駆動しないため、MG2予測温度110は低下する。
【0050】
EV走行時には、MG2の温度はMG2予測温度110で示すように、車両1の走行状態に関わらず上昇するため、MG2の温度はX℃以上になり易くなることが予測される。このため、本実施形態に係る駆動制御装置2では、EV走行時におけるMG2の温度上昇を抑えるために、道路100の情報に基づいて予測するMG2の温度がX℃以上になる場合には、MG2による回生の禁止を導入する。
【0051】
図3は、回生の禁止を導入する際における車両の走行状態とMG2の温度との関係を示す説明図である。EV走行時における回生の禁止を導入する制御について説明すると、EV走行中にカーナビゲーションシステム85より取得する道路100の情報に基づいて予測するMG2予測温度110が、X℃以上になる場合には、MG2の回生を禁止する。つまり、MG2で動力を発生せず、回生も行わない場合には、MG2は発熱を行わないため、温度が徐々に低下する。また、EV走行中における平坦走行Flt時と登坂走行Clb時は、MG2によって動力を発生させる必要がある。
【0052】
これに対し、降坂走行Dwn時は、必ずしも回生を行う必要はないため、MG2の温度がX℃以上にならないようにする場合には、回生を禁止することによってMG2による発電を禁止し、MG2の温度上昇を抑制する。換言すると、MG2の予測温度が所定値以上になることによりMG2の発電が禁止された場合には、降坂走行Dwn時におけるMG2での発電を禁止する。
【0053】
このように、MG2の回生を禁止する場合には、EV走行中の回生を完全に禁止してもよく、または、走行状態に応じて回生を禁止する期間を適宜設定してもよい。MG2の回生を禁止する期間を設定する場合には、MG2予測温度110に応じて設定するのが好ましい。即ち、回生を禁止することにより、MG2による発電を禁止する場合は、発電を禁止する期間をMG2予測温度110に基づいて設定するのが好ましい。具体的には、MG2予測温度110がX℃を大幅に超える場合には、回生を禁止する期間を長くし、MG2予測温度110がX℃を超える量が小さい場合には、回生を禁止する期間を短くする。このように、EV走行中におけるMG2の回生の禁止を導入することにより、道路100の情報と、回生の禁止状態とを合わせて予測したMG2の温度である回生禁止導入時予測温度112が、MG2の温度がX℃以上にならないようにする。
【0054】
図4は、実施形態に係る駆動制御装置の処理手順の概略を示すフロー図である。次に、本実施形態に係る駆動制御装置2の制御方法、即ち、当該駆動制御装置2の処理手順の概略について説明する。本実施形態に係る駆動制御装置2では、まず、EV走行がONであるか否かを判定する(ステップST101)。つまり、現在の車両1はEV走行を行っているか否かを判定する。ハイブリッド制御装置95では、エンジン停止条件が満たされたと判断した場合には、ECU90に対してエンジン5の停止要求を行うと共に、EV走行の実行状態を示すフラグであるEV走行フラグをONにする。なお、このEV走行フラグは、車両1がEV走行の実行状態にあるか否かを示すフラグとしてハイブリッド制御装置95に設定されており、EV走行を行う場合にはONに切り替え、EV走行の実行状態にない場合にはOFFに切り替える。このため、EV走行がONであるか否かを判定する場合には、このEV走行フラグに基づいて行う。この判定により、EV走行はONではないと判定された場合(ステップST101、No判定)には、この処理手順から抜け出る。
【0055】
これに対し、EV走行がONであると判定された場合(ステップST101、Yes判定)には、地図情報を取得する(ステップST102)。詳しくは、カーナビゲーションシステム85で用いられる地図情報を用いて、車両1が現在走行中の道路の走行し続ける場合における当該道路の坂角度や、各角度における走行距離等の道路情報を、ハイブリッド制御装置95で取得する。
【0056】
次に、MG2の温度変化を予測する(ステップST103)。この温度変化の予測は、カーナビゲーションシステム85で用いられる地図情報に基づいて取得した道路情報より、車両1の走行状態をハイブリッド制御装置95で予測し、さらにこの走行状態に基づいて、MG2の温度変化を予測する。
【0057】
次に、MG2の予測温度はX℃以上になるか否かを判定する(ステップST104)。この判定を行う場合における所定値であるX℃は、MG2の冷却を行わない状態で運転可能な温度の上限値として予め設定されてハイブリッド制御装置95に記憶されており、ハイブリッド制御装置95は、予測したMG2の温度が、このX℃以上になるか否かを判定する。
【0058】
この判定により、MG2の予測温度はX℃以上になると判定された場合(ステップST104、Yes判定)には、MG2の回生禁止を導入する(ステップST105)。これにより、EV走行時においてMG2が発熱する機会が低減するため、実際に車両1がEV走行を行う場合におけるMG2の温度上昇が抑えられる。
【0059】
これに対し、MG2の予測温度はX℃以上にはならないと判定された場合(ステップST104、No判定)には、MG2の回生を許可する(ステップST106)。MG2の予測温度はX℃以上にはならないと判定された場合には、EV走行時に回生を行った場合でもMG2の温度が高くなり過ぎないと判定されたことになるため、この場合は、必要に応じて適宜回生制動を行いながら、EV走行を行う。
【0060】
MG2の予測温度に応じて、回生禁止を導入したり(ステップST105)、回生制動を行ったり(ステップST106)しながら、EV走行を継続している場合には、EV走行を行いながらMG2の温度を取得する(ステップST107)。ハイブリッド制御装置95には、MG2の温度を検出するMG温度センサ78が接続されているため、このMG温度センサ78で検出したMG2の温度を、ハイブリッド制御装置95で取得する。ハイブリッド制御装置95は、このようにMG2の温度を取得する電動機温度取得部としても設けられている。
【0061】
次に、MG2の温度はX℃以上であるか否かを判定する(ステップST108)。つまり、MG温度センサ78での検出結果より取得したMG2の温度が、X℃以上であるか否かをハイブリッド制御装置95で判定する。この判定により、MG2の温度はX℃以上ではないと判定された場合(ステップST108、No判定)には、この処理手順から抜け出る。
【0062】
これに対し、MG2の温度はX℃以上であると判定された場合(ステップST108、Yes判定)には、エンジン5を始動する(ステップST109)。即ち、ハイブリッド制御装置95からECU90に対してエンジン5の始動要求を行うことにより、ECU90でエンジン5の始動制御を行う。エンジン5の始動制御を行う場合には、MG1を制御してMG1の回転数を車速に応じた回転数にし、MG2で発生した動力をエンジン5に伝達しつつ、エンジン5の燃料噴射制御や点火制御を行う。これにより、エンジン5を始動させる。このようにエンジン5を始動した場合、エンジン5で発生する動力によってオイルポンプ70は駆動するため、オイルポンプ70は、駆動装置20の潤滑油を循環させる。これにより、オイルクーラ75で冷却した潤滑油がMG2に流れ、MG2は、この潤滑油によって冷却される。
【0063】
エンジン5を始動させたら、エンジン5が運転することによって冷却されている状態におけるMG2の温度を、MG温度センサ78での検出結果よりハイブリッド制御装置95で取得する(ステップST110)。
【0064】
次に、MG2の温度はY℃以下であるか否かを判定する(ステップST111)。この判定は、MG2の温度はX℃以上であるか否かの判定を行う場合(ステップST108)と同様に、MG温度センサ78での検出結果より取得したMG2の温度が、予め設定されてハイブリッド制御装置95に記憶されているY℃以下であるか否かを、ハイブリッド制御装置95で判定する。この判定に用いるY℃は、MG2の冷却を行わない状態での運転を許容できるMG2温度の上限値として、予め設定されている。また、このY℃は、X℃よりも低い温度となって設定されている。
【0065】
この判定により、MG2の温度はY℃以下ではないと判定された場合(ステップST111、No判定)には、エンジン5で発生する動力によって駆動するオイルポンプ70による潤滑油でのMG2の冷却を継続しつつ、MG2の温度を取得し(ステップST110)、MG2の温度はY℃以下であるか否かの判定(ステップST111)を繰り返す。
【0066】
これに対し、MG2の温度はY℃以下であると判定された場合(ステップST111、Yes判定)には、エンジン5を停止する(ステップST112)。即ち、潤滑油で冷却されることにより、MG2の温度が低下したと判断したら、ハイブリッド制御装置95からECU90に対して、エンジン5の停止要求を行うことにより、ECU90でエンジン5の停止制御を行う。これにより、走行中の車両1は、エンジン5が停止し、温度が下がったMG2によってEV走行を継続する。
【0067】
以上の駆動制御装置2は、EV走行に、車両1が走行している道路の情報に基づいて予測したMG2の温度がX℃以上になる場合には、MG2の回生を禁止することによってMG2による発電を禁止するため、EV走行時におけるMG2の温度上昇を抑制することができる。エンジン5を停止してEV走行を行っている場合において、MG2の温度がX℃以上になった場合には、エンジン5を始動させることによりオイルポンプ70を駆動し、潤滑油を循環させることによってMG2を冷却するが、MG2の温度上昇を抑制する制御を行うことにより、EV走行時にMG2の冷却が必要になる頻度を低減することができる。この結果、エンジン5の始動頻度を低減することができる。
【0068】
また、車両1の外部の電源からバッテリに対して充電可能な車両1の場合、バッテリは十分な充電量である場合が多いため、このような車両1でEV走行を行っている場合に、エンジン5を頻繁に始動した場合、運転者は違和感を覚え易くなる。従って、このように、車両1の外部の電源から充電可能な車両1の場合には、エンジン5の始動頻度を低減することにより、このエンジン5を頻繁に始動することに伴う運転者の違和感を抑制することができる。この結果、車両1の走行時における快適性を向上させることができる。
【0069】
また、EV走行時のMG2の温度を予測する際に用いる道路の情報は、カーナビゲーションシステム85の地図情報より取得するため、EV走行時に必要な動力や回生の度合いを、より正確に予測することができる。従って、EV走行を継続した場合におけるMG2の温度の変化を、より正確に予測することができ、MG2の温度上昇を、より確実に抑制することができる。この結果、エンジン5の始動頻度を、より確実に低減することができる。
【0070】
また、EV走行時には、MG2は車両1が降坂走行Dwnをする際に回生をすることにより発電を行い、MG2の発電が禁止された場合には、降坂走行Dwn時における回生を禁止するため、MG2の温度が高くなると予測される場合における発電を、より確実に抑制することができる。この結果、MG2の温度が高くなり過ぎることをより確実に抑制することができ、EV走行時におけるエンジン5の始動頻度を、より確実に低減することができる。
【0071】
また、EV走行時にMG2による発電を禁止する際に、発電を禁止する期間をMG2の予測温度に基づいて設定する場合には、MG2で極力発電を行いつつ、MG2の温度上昇を抑制することができる。従って、EV走行時におけるバッテリに充電されている電気の消費電力を抑えることができ、MG2で動力を発生する機会を増加させることが可能になることにより、燃料消費量を低減させることができる。この結果、エンジン5の始動頻度を低減することによる燃焼消費量の低減と共に、より確実に燃費の向上を図ることができる。
【0072】
なお、上述した駆動制御装置2では、EV走行時に取得したMG2の温度がX℃以上になった場合には、エンジン5を始動することによりMG2の冷却を行っているが、MG2の温度がX℃以上になった場合には、回生を禁止することにより、MG2による発電を禁止してもよい。つまり、実施形態に係る駆動制御装置2では、道路の情報に基づいて予測したMG2の温度がX℃以上の場合には、MG2の回生を禁止することにより、MG2の温度上昇を抑制しているが、予測したMG2の温度と実際のMG2の温度とは、異なっている場合がある。このため、予測したMG2の温度に基づいて回生の実行と禁止とを切り替えることによってMG2の温度上昇を抑制する場合、温度上昇の抑制が不十分の場合がある。また、EV走行時における車両1の走行状態によっては、MG2の温度が上昇し過ぎるため、回生を禁止しても、MG2の温度がX℃以上になってしまう場合も考えられる。このため、これらの場合には、道路情報に基づいて予測したMG2の温度のみでなく、実際のMG2の温度がX℃以上の場合にも、MG2の回生を禁止してもよい。これにより、MG2の温度が上昇し過ぎることを、より確実に抑制することができる。この結果、MG2の温度が上昇し過ぎることに起因するMG2の損傷を抑制することができる。
【0073】
また、ハイブリッド制御装置95は、MG2に供給されるオイルである潤滑油の温度に基づいてMG2の温度を取得してもよい。つまり、MG2は、オイルポンプ70で循環する潤滑油によって冷却されるため、この潤滑油の温度を検出することにより、MG2の温度を推測することができる。このため、MG2の温度を検出することが困難な場合には、MG2に供給される潤滑油の温度を検出し、この潤滑油の温度に基づいて推測したMG2の温度に応じてエンジン5の始動や回生を切り替えてもよい。このように、MG2に供給される潤滑油の温度に基づいてMG2の温度を推測して取得することにより、駆動装置20の構成に関わらず、MG2の温度に応じてMG2の回生を禁止したり、エンジン5を始動したりすることができる。この結果、MG2の温度が上昇し過ぎることに起因するMG2の損傷を、より確実に抑制することができる。
【0074】
また、上述した駆動制御装置2では、駆動装置20は動力分割統合機構30を用いてMG2と駆動輪62との間で回転トルクを伝達可能に、双方を接続しているが、駆動装置20は、動力分割統合機構30以外を用いてMG2と駆動輪62と接続する構成にしてもよい。駆動装置20は、エンジン5を停止した状態でMG2によって発生した動力を駆動輪62に伝達することにより駆動輪62で駆動力を発生させたり、車両1の走行時における運動エネルギを駆動輪62からMG2に伝達することによりMG2で回生させたりすることができるように設けられていれば、その構成は問わない。
【符号の説明】
【0075】
1 車両
2 駆動制御装置
5 エンジン
10 モータジェネレータ
20 駆動装置
22 入力軸
30 動力分割統合機構
31 動力分割遊星歯車
41 減速遊星歯車
50 減速機構
55 差動装置
61 駆動軸
62 駆動輪
70 オイルポンプ
71 ポンプ駆動軸
74 オイル経路
75 オイルクーラ
78 MG温度センサ
80 アクセルペダル
85 カーナビゲーションシステム
90 ECU
95 ハイブリッド制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行時における動力源としてエンジンと電動機とが用いられると共に前記電動機は発電機能を備えており、さらに、前記エンジンを停止させた状態で前記車両を走行させることができるハイブリッド車両の駆動制御装置において、
前記エンジンを停止させた状態での前記車両の走行時に、前記車両が走行している道路の情報に基づいて前記電動機の温度を予測し、予測した前記電動機の温度が所定値以上になる場合には、前記電動機による発電を禁止することを特徴とするハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項2】
前記電動機による発電を禁止する場合は、発電を禁止する期間を前記電動機の予測温度に基づいて設定することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項3】
前記車両が走行している道路の情報は、前記車両に備えられるカーナビゲーションシステムの地図情報より取得することを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項4】
前記エンジンを停止させた状態での前記車両の走行時には、前記電動機は前記車両が降坂走行をする際に発電を行い、
前記電動機の予測温度が所定値以上になることにより前記電動機の発電が禁止された場合には、前記降坂走行時における前記電動機での発電を禁止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項5】
さらに、前記電動機の温度を取得する電動機温度取得部を備えており、
前記エンジンを停止させた状態での前記車両の走行時に、前記電動機温度取得部で取得した前記電動機の温度が前記所定値以上になった場合には、前記電動機による発電を禁止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。
【請求項6】
前記電動機温度取得部は、前記電動機に供給されるオイルの温度に基づいて前記電動機の温度を取得することを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド車両の駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−166737(P2012−166737A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30755(P2011−30755)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】