説明

ハイブリッド車両

【課題】幅方向の張り出しを小さくし、特にクランク軸の一方側に偏って張り出すことがないハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】エンジンと、モータと、双方の動力を後輪WRに伝達する機構と、クランク軸の回転に伴ってエンジンと機構を潤滑するオイルポンプ9と、を備える車両であって、オイルポンプ9は、その軸91の一端に、モータの動力を後輪WRに伝達するモータドリブンギヤ59と一体に回転するプライマリドライブギヤ58に接続されてモータの動力により回転するオイルポンプドリブンギヤ92がワンウェイクラッチ94を介して設けられ、オイルポンプ軸91の他端に、エンジンのカムチェーン39に接続されエンジンの動力により回転するオイルポンプドリブンスプロケット93がワンウェイクラッチ95を介して設けられ、モータドリブンギヤ59はクランク軸の一方側に配置され、カムチェーン39他方側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関と電動機の2つの駆動源を有するハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両用パワーユニットとして、例えば特許文献1のハイブリッド車両用パワーユニットが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1のハイブリッド車両用パワーユニットは、電動機からの駆動力をワンウェイクラッチを介してオイルポンプを駆動する第1の駆動経路と、内燃機関からの駆動力をワンウェイクラッチを介してオイルポンプを駆動する第2の駆動経路と、を備えており、これらのワンウェイクラッチはオイルポンプを駆動するオイルポンプ駆動軸で軸方向に連設(並設)されている。このオイルポンプは内燃機関のクランク軸の一方側に設けられ、クランク軸の一方側での張り出しが大きくなっている。四輪車両の内燃機関は二輪車両の内燃機関に比べて大型であり、配置スペースを確保し易いためクランク軸の一方側での配置ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4203527号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、二輪車両においては、幅方向の張り出しは極力避けたいものであり、特にクランク軸の一方側に偏ることは望ましくない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、幅方向の張り出しを小さくし、特にクランク軸の一方側に偏って張り出すことがないハイブリッド車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、内燃機関と、電動機と、前記内燃機関と前記電動機の動力を被駆動部に伝達する動力伝達機構と、クランク軸の回転に伴って前記内燃機関と前記動力伝達機構を潤滑するオイルポンプと、を備えるハイブリッド車両であって、
前記オイルポンプは、オイルポンプ軸の一端に、前記電動機の動力を前記被駆動部に伝達する伝達部材と一体に回転する出力部に接続されて前記電動機の動力により回転する第1入力部が第1ワンウェイクラッチを介して設けられ、前記オイルポンプ軸の他端に、前記内燃機関のカムチェーンに接続され前記内燃機関の動力により回転する第2入力部が第2ワンウェイクラッチを介して設けられ、
前記伝達部材は前記クランク軸の一方側に配置され、前記カムチェーンは前記クランク軸の他方側に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両において、前記オイルポンプ軸は、前記電動機の動力により回転する前記第1入力部と前記内燃機関の動力により回転する前記第2入力部のうち回転速度の速い方に伴って回転することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両において、オイルポンプ本体は、前記クランク軸を支持するクランクケースと前記伝達部材との間に位置し、前記第1入力部は前記オイルポンプ本体と前記伝達部材との間に位置することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両において、前記第1入力部は前記シリンダの一方側に配設され、前記第2入力部は前記シリンダの他方側に配設されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両において、前記オイルポンプ本体は前記第1入力部と前記第2入力部の間に位置することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両において、前記第1入力部よりも前記第2入力部の方が高回転可能なギヤ比であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両において、前記動力伝達機構のカウンタ軸の端部には、潤滑油を受ける飛沫オイル回収部材が設けられ、
前記飛沫オイル回収部材に収容された潤滑油は、前記カウンタ軸内の油路を介して潤滑されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両において、前記カウンタ軸の下方には車速検出用ギヤがクランクケースの下面に貯留する潤滑油に浸かる位置に設けられ、
前記クランクケースから前方に延設されたリブが、前記動力伝達機構の変速ギヤ列へ指向していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のハイブリッド車両によれば、クランク軸の回転に伴って内燃機関と動力伝達機構を潤滑するオイルポンプのオイルポンプ軸上に第1入力部が設けられ、第1入力部は電動機の動力を被駆動部に伝達する部材と一体に回転する出力部と接続されるので、電動機によりEV走行する場合であってもオイルポンプを駆動して内燃機関と動力伝達機構を潤滑油で潤滑することができる。これによりEV走行時にクランク軸が停止している状態であっても、内燃機関と動力伝達機構を潤滑することができる。
また、オイルポンプ軸の一端に電動機の動力により回転する第1入力部が第1ワンウェイクラッチを介して設けられ、オイルポンプ軸の他端に内燃機関のカムチェーンに接続され内燃機関の動力により回転する第2入力部が第2ワンウェイクラッチを介して設けられるので、オイルポンプは電動機と内燃機関のいずれか一方により選択的に駆動され、内燃機関と動力伝達機構を潤滑することができる。
さらに、伝達部材はクランク軸の一方側に配置され、カムチェーンはクランク軸の他方側に配置されるので、幅方向の張り出しを小さくし、特にクランクの一方側に偏って張り出すことを防止することができる。
【0016】
請求項2に記載のハイブリッド車両によれば、オイルポンプは電動機の動力により回転する第1入力部と内燃機関の動力により回転する第2入力部のうち回転速度の速い方に伴って回転するので、走行状態に応じて適切な潤滑を行うことができる。
【0017】
請求項3に記載のハイブリッド車両によれば、オイルポンプ本体は、クランク軸を支持するクランクケースと伝達部材との間に位置し、第1入力部はオイルポンプ本体と伝達部材との間に位置するので、オイルポンプ本体を限られたスペース内に配置することができる。
【0018】
請求項4に記載のハイブリッド車両によれば、第1及び第2入力部をシリンダを挟んで対極位置に配設したので、必要スペースをシリンダの左右に分配することができオイルポンプを小型化することができる。
【0019】
請求項5に記載のハイブリッド車両によれば、オイルポンプ本体は第1入力部と第2入力部の間に位置するので、オイルポンプ本体を限られたスペース内に配置することができる。
【0020】
請求項6に記載のハイブリッド車両によれば、第1入力部よりも前記第2入力部の方が高回転可能なギヤ比であるので、エンジン始動後はカムチェーンによってオイルポンプが駆動され適切な潤滑を行うことができる。
【0021】
請求項7に記載のハイブリッド車両によれば、動力伝達機構のカウンタ軸の端部には、潤滑油を受ける飛沫オイル回収部材が設けられ、飛沫オイル回収部材に収容された潤滑油は、カウンタ軸内の油路を介して潤滑されるので、飛散した潤滑油を効率的に回収し潤滑することができる。
【0022】
請求項8に記載のハイブリッド車両によれば、カウンタ軸の下方には車速検出用ギヤがクランクケースの下面に貯留する潤滑油に浸かる位置に設けられ、クランクケースから前方に延設されたリブが、動力伝達機構の変速ギヤ列へ指向しているので、車速検出用ギヤの回転を利用して変速ギヤ列に効率的に潤滑油を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るハイブリッド車両の一実施形態による二輪車の側面図である。
【図2】図1に示す二輪車のパワーユニットの軸方向断面図である。
【図3】図1に示す二輪車のパワーユニットの部分断面図である。
【図4】パワーユニットの変速機構の断面図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】図4のVII−VII線断面図である。
【図8】パワーユニットの変速部のニュートラルにおける断面図である。
【図9】パワーユニットの変速部のドライブモードが選択された状態の断面図である。
【図10】パワーユニットの変速部の低速モードが選択された状態の断面図である。
【図11】図3の部分拡大図である。
【図12】パワーユニットを部分的に切り欠いたものを側方から見た側面図である。
【図13】図12の部分拡大図である。
【図14】カウンタ軸端部の部分拡大図である。
【図15】図1に示す二輪車のパワーユニットの軸直行方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のハイブリッド車両の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のハイブリッド車両の一実施形態の側面図である。
【0025】
本発明のハイブリッド車両は自動二輪車であり、この自動二輪車1の車体フレーム2は、フロントフォーク24を操向可能に支承するヘッドパイプ21と、該ヘッドパイプ21から後下がりに延びるメインフレーム22と、メインフレーム22の後部に連設されて後上がりに延びる左右一対のリヤフレーム23とを備え、フロントフォーク24の下端に前輪WFが軸支され、フロントフォーク24の上部にはバー状の操向ハンドル25が連結され、フロントフォーク24には、前輪WFの上方を覆うフロントフェンダ26aが支持される。また、この自動二輪車1には、フロントフェンダ26aの上方から後下方に延設されて乗員の脚部を保護するレッグシールド26bが設けられている。
【0026】
メインフレームの下方22には、シリンダ軸線Cを略水平方向としクランク軸50(図2参照)が車体の幅方向に指向して配設されたエンジン(内燃機関)5が配置されており、このエンジン5は、前記ハンガプレート27…およびピボットプレート28で支持されるようにして車体フレーム2に懸架される。
【0027】
前記ピボットプレート28には、リヤフォーク29の前端部が上下に揺動可能に支承されており、リヤフォーク29の後端に後輪WRが軸支される。また車体フレーム2におけるリヤフレーム23…およびリヤフォーク29間にはリヤクッション30が設けられる。
【0028】
前記エンジン5は、モータ(電動機)6と動力伝達機構7とともに後述するパワーユニットPを構成するものであり、動力伝達機構7の出力はドライブチェーン31を介して被駆動部としての後輪WRに伝達される。
【0029】
またエンジン5の上方には、スロットル機構32と、スタータモータ33、メインフレーム22に固定されたエアクリーナー36とが配置されており(図12も参照)、後輪WRの上方には、燃料タンク34が配置され、該燃料タンク34の前方に配置される収納ボックス35および前記燃料タンク34の上方が、たとえばタンデム型である乗車用シート36で開閉可能に覆われる。
【0030】
以下、本実施形態のハイブリッド車両のパワーユニットについて図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2及び図3は図1に示す二輪車のパワーユニットの断面図であり、Oが幅方向の中心を示す車体中心線である。
パワーユニットPは、主として、駆動源としてのエンジン5及びモータ6と、エンジン5とモータ6の動力を後輪WRに伝達する動力伝達機構7と、エンジン5と動力伝達機構7との間でエンジン5の動力を変速して動力伝達機構7に伝達する変速機構としての2段遠心クラッチ8と、オイルポンプ9と、を備えて構成されている。
【0031】
モータ6及びスタータモータ33には不図示のバッテリが接続され、バッテリは、モータ6が発動機として機能する際、及びスタータモータ33が始動機として機能する際は、これらに電力を供給し、モータ6が発電機として機能する際は、回生電力が充電されるように構成されている。なお、バッテリは、例えば図1のB1で示す燃料タンク34と軸方向に隣接する空間に搭載してもよく、B2で示したように左右のレッグシールド26b内の空間に搭載してもよい。
【0032】
エンジン5の吸気管内には空気量を制御するスロットルバルブ321(図15参照)が回動自在に設けられている。このスロットルバルブ321は、スロットル機構32内に収容され、搭乗者が操作するスロットルグリップ(不図示)の操作量に応じて回動される。なお、本実施形態ではTBW(スロットル・バイ・ワイヤ)システムを搭載し、乗員が操作するアクセルの開度を検知し、この検知されたアクセル開度および各種センサからの信号に基づいて最適なスロットルバルブ321の開度を算出し、該算出されたスロットル開度に基づいてアクチュエータ320(図12参照)でスロットルバルブ321の開閉を行っている。なお、図12中、符号321はエンジン5とエアクリーナー36を接続する吸気通路322を構成するスロットルボディであり、323はスロットルバルブ軸、324はインジェクター、570はエンジンハンガー、558は排気管を示している。を示している。
【0033】
エンジン5は、クランク軸50にコンロッド51を介して連結されたピストン52を備えている。ピストン52は、シリンダブロック53に設けられたシリンダ54内を摺動可能であり、シリンダブロック53はシリンダ54の軸線Cが略水平になるように配設されている。シリンダブロック53の前面にはシリンダヘッド55aとヘッドカバー55bが固定され、シリンダヘッド55aおよびシリンダ54ならびにピストン52で混合気を燃焼させる燃焼室が形成されている。なお、図1に示すように、ヘッドカバー55bの左右にはレッグシールド26bが設けられている。
【0034】
シリンダヘッド55aには、燃焼室への混合気の吸気または排気を制御するバルブ551、552(図15参照)と、点火プラグ56とが配設されている。バルブ551、552の開閉は、シリンダヘッド55aに軸支されたカム軸37の回転により制御される。カム軸37は一端側に従動スプロケット38を備え、従動スプロケット38とクランク軸50の一端に設けた駆動スプロケット40との間には無端状のカムチェーン39が掛け渡されている。また、駆動スプロケット40に隣接してクランク軸50には、スタータモータ33に接続される始動用ドリブンギヤ41がスプライン嵌合により一体に取り付けられている。
【0035】
クランク軸50は軸受42、42を介して左クランクケース57L、右クランクケースR(以下、左クランクケース57Lと右クランクケース57Rを合わせてクランクケース57と呼ぶ。)にそれぞれ支持され、クランクケース57の幅方向左側にはステータケース43が連結されており、その内部にアウターロータ形式のモータであるオルタネータ44(交流発電機ACG)が収納されている。クランクケース57の幅方向右側には、2段遠心クラッチ8を収納するクランクケースカバー80が連結されており、さらにクランクケースカバー80の右側端部は軸受45を介してクランク軸50を支持するクラッチカバー85が連結されている。シリンダブロック53の側方に位置するクランクケースカバー80内の前方の空間にはモータケース60が連結されている。モータケース60の内部には、モータ出力軸61にモータドライブギヤ62が取り付けられたモータ6が一体に収容されている。
【0036】
そして、クランク軸50の左側端部には、オルタネータ44を構成するインナーステータ441に対向するアウターロータ442が取り付けられ、その右側端部には、2段遠心クラッチ8の第1クラッチインナ81がスプライン嵌合されている。また、クランク軸50には、コンロッド51と第1クラッチインナ81との間に、プライマリドライブギヤ58と外周軸46がクランク軸50と相対回転自在にその外周を覆うように配置されている。
【0037】
プライマリドライブギヤ58は、後述する動力伝達機構7のメインシャフト70に取り付けられたプライマリドリブンギヤ72と噛み合うとともに、プライマリドライブギヤ58にはプライマリドライブギヤ58より大径のモータドリブンギヤ59が隣接して一体で回転するように取り付けられている。
【0038】
モータドリブンギヤ59は、モータドライブギヤ62と噛み合い、内径部が右側に開口する空間を有して構成され、該空間に収容されたワンウェイクラッチ47を介して外周軸46に接続されている。
【0039】
このワンウェイクラッチ47は、外周軸46の回転数がモータドリブンギヤ59の回転数より高いときに接続されて外周軸46の動力がモータドリブンギヤ59に伝達され、モータドリブンギヤ59の回転数が外周軸46の回転数より高いときに切り離されて動力伝達が遮断される。
【0040】
2段遠心クラッチ8は、例えば図4〜図7に示すように、第1クラッチインナ81と、第2クラッチインナ82と、遊星歯車機構83と、ラチェット式のクラッチ機構84と、を備えて構成されている。前述したように第1クラッチインナ81はクランク軸50にスプライン嵌合されてクランク軸50と一体に回転する。一方、第2クラッチインナ82は外周軸46の外周にスプライン嵌合して外周軸46と一体に回転するように構成されている。
【0041】
遊星歯車機構83は、サンギヤ831と、リングギヤ832と、サンギヤ831とリングギヤ832間に噛合されるプラネタリギヤ833と、プラネタリギヤ833を支持するプラネタリキャリア834と、を備えて構成され、プラネタリキャリア834が第2クラッチインナ82と接続され一体に回転するように構成されている。
【0042】
リングギヤ832は、第1クラッチインナ81と第2クラッチインナ82のクラッチアウタとして機能しており、第1クラッチインナ81の回転数が第1の所定の回転数に達すると、第1クラッチインナ81のウエイトがリングギヤ832の内周面に接して接続状態になり、さらに第2クラッチインナ82の回転数が第1の所定の回転数より早い第2の所定の回転数に達すると、第2クラッチインナ82のウエイトがリングギヤ832の内周面に接して接続状態になる。サンギヤ831は、ラチェット式のクラッチ機構84に接続されている。
【0043】
ラチェット式のクラッチ機構84は、外周軸46の外周に相対回転自在に配置されフランジ部840を有するラチェット支持部材841と、フランジ部840により支持される複数のラチェット843と、クランクケースカバー80から延設されたラチェット受け部844と、を備えて構成され、ラチェット支持部材841の外周に遊星歯車機構83のサンギヤ831がスプライン嵌合して一体に回転するように構成されている。そして、サンギヤ831からの動力によりラチェット支持部材841が反時計回りに回転しようとするとき、ラチェット843はクランクケースカバー80から延設されたラチェット受け部844の溝845と係合してラチェット支持部材841の回転がロックされ、逆にラチェット支持部材841が時計回りに回転しようとするとき、ラチェット843はラチェット受け部844の溝845と係合せずにラチェット支持部材841が空転する。なお、各溝845には防振ゴム846が焼き付けられている。
【0044】
このように構成された2段遠心クラッチ8は、クランク軸50が第1の所定の回転数未満であるときには、クランク軸50と一体回転する第1クラッチインナ81がリングギヤ832の内周面に接せず非接続状態となり、クランク軸50の動力は動力伝達機構7に伝達されることはない。
【0045】
一方、クランク軸50が第1の所定の回転数に達すると、第1クラッチインナ81のウエイトがリングギヤ832の内周面に接して接続状態となる。このとき、リングギヤ832は時計回りに回転し、リングギヤ832に噛み合うプラネタリギヤ833を介してプラネタリキャリア834も時計回りに回転し、サンギヤ831には反時計回りの回転トルクが作用する。そして、サンギヤ831とスプライン嵌合するラチェット支持部材841を介してラチェット843には反時計回りの回転トルクが作用し、ラチェット843がラチェット受け部844の溝845と係合するためサンギヤ831はロックされる。従って、クランク軸50からプラネタリキャリア834に伝達された動力は減速されて、プラネタリキャリア834と一体に回転する外周軸46に伝達される。そして、外周軸46の回転数が、モータ6のモータドライブギヤ62と噛み合うモータドリブンギヤ59の回転数より高いときには、ワンウェイクラッチ47が接続され、クランク軸50の動力がモータドリブンギヤ59と一体に回転するプライマリドライブギヤ58に伝達され、さらにプライマリドライブギヤ58との噛合によりプライマリドリブンギヤ72を介して動力伝達機構7に伝達される。
一方、モータ6の駆動によりモータドリブンギヤ59の回転数が外周軸46の回転数より高いときには、ワンウェイクラッチ47が切り離され、クランク軸50の動力が動力伝達機構7に伝達されることはない。
【0046】
また、第1クラッチインナ81の接続により、プラネタリキャリア834に連れまわされる第2クラッチインナ82の回転数が第2の所定の回転数に達すると、第2クラッチインナ82のウエイトがリングギヤ832の内周面に接して接続状態となる。このとき、第2クラッチインナ82を介してリングギヤ832とプラネタリキャリア834は一体に回転するとともにサンギヤ831も一体となる。即ち、遊星歯車機構83が一体となる。このとき、サンギヤ831とスプライン嵌合するラチェット支持部材841を介してラチェット843には時計回りの回転トルクが作用し、ラチェット843がラチェット受け部844の溝845と係合せずにラチェット支持部材841が空転する。従って、クランク軸50から遊星歯車機構83に伝達された動力は減速されずに、プラネタリキャリア834と一体に回転する外周軸46に伝達される。そして、外周軸46の回転数が、モータ6のモータドライブギヤ62と噛み合うモータドリブンギヤ59の回転数より高いときには、ワンウェイクラッチ47が接続され、クランク軸50の動力がモータドリブンギヤ59と一体に回転するプライマリドライブギヤ58に伝達され、さらにプライマリドライブギヤ58との噛合によりプライマリドリブンギヤ72を介して動力伝達機構7に伝達される。
一方、モータ6の駆動によりモータドリブンギヤ59の回転数が外周軸46の回転数より高いときには、ワンウェイクラッチ47が切り離され、クランク軸50の動力は動力伝達機構7に伝達されることはない。
【0047】
モータ6は、前述したように、モータ出力軸61にモータドライブギヤ62が取り付けられて構成され、モータドライブギヤ62がクランク軸50周りに設けられたモータドリブンギヤ59と常時噛み合っている。これにより、モータ6の動力は、モータドライブギヤ62とモータドリブンギヤ59との噛合によりモータドリブンギヤ59に伝達され、モータドリブンギヤ59と一体に回転するプライマリドライブギヤ58から、プライマリドライブギヤ58との噛合によりプライマリドリブンギヤ72を介して動力伝達機構7に伝達される。ここで、モータドリブンギヤ59はワンウェイクラッチ47を介して外周軸46に接続されるため、モータドリブンギヤ59の回転数が外周軸46の回転数より高いときにのみ、モータ6の動力が動力伝達機構7に伝達される。このとき、ワンウェイクラッチ47が切り離されているため、モータ6の動力が外周軸46に伝達されることはない。一方、外周軸46の回転数がモータドリブンギヤ59の回転数より高いときには、クランク軸50の動力が動力伝達機構7に伝達されるので、モータ6はクランク軸50に連れまわされる。このとき、バッテリのSOCに応じてモータ6でアシストしてもよく、回生充電してもよく、零トルク制御により負荷を軽減することもできる。
【0048】
次に、動力伝達機構7について説明する。
動力伝達機構7は、メインシャフト70とカウンタシャフト71との間に変速部73を備えて構成され、メインシャフト70の右側端部には、前述したようにクランク軸50の外周に配設されたプライマリドライブギヤ58と噛み合うプライマリドリブンギヤ72が取り付けられ、カウンタシャフト71の左側端部には、ドライブスプロケット74が取り付けられ、メインシャフト70に伝達された動力がドライブスプロケット74に巻き掛けられたドライブチェーン31(図1参照)を介して、駆動輪WRに伝達される。また、カウンタシャフト71の右側端部には、サブシャフト75に回転自在に配設された車速検出用入力ギヤ76と噛合する車速検出用出力ギヤ77が設けられている。また、クランクケース57には、車速検出用入力ギヤ76と対向する位置に速度を検出する検出部78が設けられている。
【0049】
変速部73は、メインシャフト70の外周に相対回転自在に配設された低速駆動ギヤ731と、メインシャフト70の外周に配置されメインシャフト70と一体回転しその軸線に沿って摺動自在に設けられた高速駆動シフターギヤ732と、カウンタシャフト71の外周にスプライン嵌合されてカウンタシャフト71と一体に回転する低速従動ギヤ733と、カウンタシャフト71の外周に相対回転自在に配設された高速従動ギヤ734と、カウンタシャフト71の外周に配置されカウンタシャフト71と一体回転しその軸線に沿って摺動自在に設けられたシフター735と、を備えて構成されている。ここで、低速駆動ギヤ731と低速従動ギヤ733は常時噛合して低速ギヤ対736を構成し、高速駆動シフターギヤ732と高速従動ギヤ734は常時噛合して高速ギヤ対737を構成している。
【0050】
変速部73は、通常では高速ギヤ対737を使用したドライブモードで走行するように設定されており、より大きなトルクが必要な場合に低速ギヤ対736を使用した低速モードで走行がなされる。従って、乗員がシフトペダル(不図示)を揺動させることにより、ニュートラルから、ドライブモード、低速モードへとギヤチェンジがなされる。
ニュートラルでは図8に示すように、高速駆動シフターギヤ732と低速駆動ギヤ731が係合しておらず、且つ、シフター735と高速従動ギヤ734も係合していない。そのため、例えメインシャフト70が回転しても低速ギヤ対736と高速ギヤ対737のいずれを介してもカウンタシャフト71に動力伝達がなされることはない。
【0051】
そして、乗員がニュートラルからドライブモードを選択するため、シフトペダル(不図示)を一方側に揺動させると、図9に示すように、シフター735が高速従動ギヤ734側に摺動し、高速従動ギヤ734に形成された係合部734aとシフター735に形成された係合部735aが係合する。これにより、メインシャフト70に入力された動力が、図中矢印で示したように、高速駆動シフターギヤ732から高速ギヤ対737、シフター735を介してカウンタシャフト71のドライブスプロケット74に伝達される。また、乗員がニュートラルに戻すため、シフトペダルを他方側に揺動させると、シフター735がニュートラル位置に戻り、係合部731aと係合部732aの係合が解除される。
【0052】
一方、乗員がドライブモードから低速モードを選択するため、シフトペダルをさらに一方側に揺動させると、図10に示すように、シフター735がニュートラル位置に戻り係合部734aと係合部735aの係合が解除され、且つ、高速駆動シフターギヤ732が低速駆動ギヤ731側に摺動し、低速駆動ギヤ731に形成された係合部731aと高速駆動シフターギヤ732に形成された係合部732aが係合する。これにより、メインシャフト70に入力された動力が、高速駆動シフターギヤ732、低速ギヤ対736を介してカウンタシャフト71のドライブスプロケット74に伝達される。また、乗員が低速モードからドライブモードを選択するかニュートラルに戻すため、シフトペダルを一方側又は他方側に揺動させると、前述したドライブモード又はニュートラルとなる。
【0053】
このように構成されたハイブリッド車両のパワーユニットPでは、以下の第1及び第2伝達経路の2通りの伝達経路で動力を伝達して自動二輪車1の走行を行なうことができる。
(1)第1伝達経路は、いわゆるエンジン走行における伝達経路であり、エンジン5の動力が、クランク軸50、2段遠心クラッチ8、外周軸46、ワンウェイクラッチ47、モータドリブンギヤ59(プライマリドライブギヤ58)、プライマリドリブンギヤ72、動力伝達機構7を介して駆動輪WRに伝達される伝達経路である。この第1伝達経路においては、2段遠心クラッチ8と動力伝達機構7の変速部73においてそれぞれ2段階の変速を行うことができる。なお、第1伝達経路で動力を伝達しながら走行中に、モータ6を駆動することでアシスト走行を行なうことができ、また、モータ6を負荷として回生充電することもできる。
(2)第2伝達経路は、いわゆるEV走行における伝達経路であり、モータ6の動力が、モータ出力軸61、モータドライブギヤ62、モータドリブンギヤ59(プライマリドライブギヤ58)、プライマリドリブンギヤ72、動力伝達機構7、ドライブチェーン31を介して駆動輪WRに伝達される伝達経路である。このとき、前述したように、モータ6の動力は、ワンウェイクラッチ47の空転によりクランク軸50に伝達されることはない。また、この第2伝達経路においては、動力伝達機構7の変速部73において2段階の変速を行うことができる。
【0054】
この第1及び第2伝達経路の切替はワンウェイクラッチ47により機械的になされ、ワンウェイクラッチ47の外径側のモータドリブンギヤ59の回転数と内径側の外周軸46の回転数に基づき、外周軸46の回転数がモータドリブンギヤ59の回転数より高ければ第1伝達経路により動力が伝達され、モータドリブンギヤ59の回転数が外周軸46の回転数より高ければ第2伝達経路により動力が伝達される。
【0055】
このように構成されたパワーユニットPは、図2に示すように、モータ6及び2段遠心クラッチ8がエンジン5に対し車体の幅方向一方側に偏寄して配置され、エンジン5のピストン52の中心とモータ6との間に車体中心線Oが位置している。
【0056】
次に本発明のオイル潤滑について図11〜図15を参照して説明する。図12、15において、矢印はパワーユニットが車両に搭載された状態における方向を示している。
オイルポンプ9は、図11に示すように、オイルポンプ本体90と、オイルポンプ本体90を挟んでオイルポンプ軸91上の右側端部に設けられた第1入力部としてのオイルポンプドリブンギヤ92と、左側端部に設けられた第2入力部としてのオイルポンプドリブンスプロケット93と、を備えて構成され、図12に示すように、側面視でモータ6の下方で且つ後方に配置され、パワーユニットPの各部、例えばエンジン5、動力伝達機構7にオイルを供給する。
【0057】
オイルポンプドリブンギヤ92は、オイルポンプ軸91上にワンウィクラッチ94を介して設けられ、エンジン5及びモータ6からの動力を動力伝達機構7に伝達するプライマリドライブギヤ58に常時噛み合っている。ワンウェイクラッチ94は、外径側のオイルポンプドリブンギヤ92の回転数が内径側のオイルポンプ軸91の回転数より高いときに接続されてオイルポンプドリブンギヤ92の動力がオイルポンプ軸91に伝達され、オイルポンプ軸91の回転数がオイルポンプドリブンギヤ92の回転数より高いときに切り離されて動力伝達は遮断される。
【0058】
オイルポンプドリブンスプロケット93は、オイルポンプ軸91上にワンウィクラッチ95を介して設けられ、カム軸37の従動スプロケット38とクランク軸50の駆動スプロケット40に掛け渡されたカムチェーン39に接続されている。ワンウェイクラッチ95は、外径側のオイルポンプドリブンスプロケット93の回転数が内径側のオイルポンプ軸91の回転数より高いときに接続されてオイルポンプドリブンスプロケット93の動力がオイルポンプ軸91に伝達され、オイルポンプ軸91の回転数がオイルポンプドリブンスプロケット93の回転数より高いときに切り離されて動力伝達は遮断される。
【0059】
従って、オイルポンプ軸91の端部に設けられたオイルポンプドリブンギヤ92とオイルポンプドリブンスプロケット93の回転差に基づき、オイルポンプドリブンギヤ92の回転数がオイルポンプドリブンスプロケット93の回転数より高いときには、ワンウェイクラッチ94が接続されてオイルポンプドリブンギヤ92の動力が、ワンウェイクラッチ94を介してオイルポンプ軸91に伝達される。このとき、ワンウェイクラッチ95は切り離されるためオイルポンプ軸91の動力がオイルポンプドリブンスプロケット93に伝達されることはない。一方、オイルポンプドリブンスプロケット93の回転数がオイルポンプドリブンギヤ92の回転数より高いときには、ワンウェイクラッチ95が接続されてオイルポンプドリブンスプロケット93の動力が、ワンウェイクラッチ95を介してオイルポンプ軸91に伝達される。このとき、ワンウェイクラッチ94は切り離されるためオイルポンプ軸91の動力がオイルポンプドリブンギヤ92に伝達されることはない。なお、オイルポンプドリブンギヤ92よりもオイルポンプドリブンスプロケット93の方が高回転可能なギヤ比に設定されている。
【0060】
このように構成されたオイルポンプ9は、オイルポンプ本体90が、クランク軸50を支持するクランクケース57とモータドリブンギヤ59との間に位置し、オイルポンプドリブンギヤ92はオイルポンプ本体90とモータドリブンギヤ59との間に位置している。また、オイルポンプドリブンギヤ92は、クランク軸50の軸線方向においてシリンダ54に対し一方側に配設され、オイルポンプドリブンスプロケット93は他方側に配設されている。そして、エンジン走行時はクランク軸50の回転によりオイルポンプドリブンスプロケット93から動力が入力され、モータ走行時はプライマリドライブギヤ58の回転によりオイルポンプドリブンギヤ92から動力が入力される。また、モータアシスト走行時は、高回転側であるオイルポンプドリブンスプロケット93から動力が伝達され、走行状況に応じて適切な潤滑がなされる。
【0061】
また、図13及び図14に示すように、動力伝達機構7のカウンタ軸71の右側端部には、プライマリドライブギヤ58やプライマリドリブンギヤ72等のギヤから飛沫するオイルを受けてカウンタ軸71内に形成された油路710内へ案内する飛沫オイル回収部材79が設けられている。飛沫オイル回収部材79は、回転止め790により回転しないようにクランクケース57に固定されており、受け部795がプライマリドライブギヤ58やプライマリドリブンギヤ72に向かって開口している。
【0062】
また、図15に示すように、クランクケース57には、下面571から前方に動力伝達機構7の低速及び高速ギヤ対736、737からなるギヤ列へ指向するリブ572が延設され、クランクケース57とリブ572により形成された空間には車速検出用入力ギヤ76の一部が浸るようにオイルが貯留している。従って、車速検出用入力ギヤ76の回転により、オイルが動力伝達機構7のギヤ列に供給される。
【0063】
以上説明したように、本実施形態のハイブリッド車両によれば、オイルポンプ9は、オイルポンプ軸91上に第1入力部としてのオイルポンプドリブンギヤ92が設けられ、オイルポンプドリブンギヤ92は、モータ6の動力を変速機7に伝達するドリブンギヤ59と一体に回転する出力部としてプライマリドライブギヤ58と接続されるので、モータ6によりEV走行する場合であってもオイルポンプ9を駆動してエンジン5と変速機7を潤滑することができる。これによりEV走行時にクランク軸50が停止している状態であっても、エンジン5と変速機7を順滑することができる。
【0064】
また、オイルポンプ軸91の一端にモータ6の動力により回転するオイルポンプドリブンギヤ92がワンウェイクラッチ94を介して設けられ、オイルポンプ軸91の他端にエンジン5のカムチェーン39に接続されエンジン5の動力により回転するオイルポンプドリブンプーリ93がワンウェイクラッチ95を介して設けられるので、オイルポンプ9はエンジン5とモータ6のいずれか一方により選択的に駆動され、エンジン5と変速機7を順滑することができる。
【0065】
さらに、モータドリブンギヤ59はクランク軸50の一方側に配置され、カムチェーン37はクランク軸50の他方側に配置されるので、幅方向の張り出しを小さくし、特にクランク軸50の一方側に偏って張り出すことを防止することができる。
【0066】
また、オイルポンプ9はモータ6の動力により回転するオイルポンプドリブンギヤ92とエンジン5の動力により回転するオイルポンプドリブンスプロケット93のうち回転速度の速い方に伴って回転するので、走行状態に応じて適切な潤滑を行うことができる。
【0067】
また、オイルポンプ本体90は、クランク軸50を支持するクランクケース57とモータドリブンギヤ59との間に位置し、オイルポンプドリブンギヤ92はオイルポンプ本体90とモータドリブンギヤ59との間に位置するので、オイルポンプ本体90を限られたスペース内に配置することができる。
【0068】
また、オイルポンプドリブンギヤ92とオイルポンプドリブンスプロケット93をシリンダ54を挟んで対極位置に配設したので、必要スペースをシリンダ54の左右に分配することができオイルポンプ9を小型化することができる。
【0069】
また、オイルポンプ本体90はオイルポンプドリブンギヤ92とオイルポンプドリブンスプロケット93の間に位置するので、オイルポンプ本体90を限られたスペース内に配置することができる。
【0070】
また、オイルポンプドリブンギヤ92よりもオイルポンプドリブンスプロケット93の方が高回転可能なギヤ比であるので、エンジン始動後はカムチェーン37によってオイルポンプ9が駆動され適切な潤滑を行うことができる。
【0071】
また、動力伝達機構7のカウンタ軸71の端部には、ギヤから飛沫するオイルを受ける飛沫オイル回収部材79が設けられ、オイル回収部材79に収容されたオイルは、カウンタ軸71内の油路710を介して潤滑されるので、飛散したオイルを効率的に回収し潤滑することができる。
【0072】
また、カウンタ軸71の下方には車速検出用入力ギヤ76がクランクケース57の下面571に貯留するオイルに浸かる位置に設けられ、クランクケース57から前方に延設されたリブ572が、動力伝達機構7の変速ギヤ列へ指向しているので、車速検出用入力ギヤ76の回転を利用して動力伝達機構7の変速ギヤ列に効率的に潤滑油を供給することができる。
【0073】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 自動二輪車(ハイブリッド車両)
2 車体フレーム
5 エンジン(内燃機関)
6 モータ(電動機)
7 動力伝達機構
8 2段遠心クラッチ(変速機構)
9 オイルポンプ
39 カムチェーン
50 クランク軸
54 シリンダ
57 クランクケース
58 プライマリドライブギヤ(出力部)
59 モータドリブンギヤ(伝達部材)
71 カウンタ軸
76 車速検出用入力ギヤ(車速検出用ギヤ)
79 飛沫オイル回収部材
91 オイルポンプ軸
92 オイルポンプドリブンギヤ(第1入力部)
93 オイルポンプドリブンスプロケット(第2入力部)
94 ワンウェイクラッチ(第1ワンウェイクラッチ)
95 ワンウェイクラッチ(第2ワンウェイクラッチ)
571 下面
572 リブ
710 油路
736 低速ギヤ対(変速ギヤ列)
737 高速ギヤ対(変速ギヤ列)
O 車体中心線
P パワーユニット
WR 後輪(被駆動部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、電動機と、前記内燃機関と前記電動機の動力を被駆動部に伝達する動力伝達機構と、クランク軸の回転に伴って前記内燃機関と前記動力伝達機構を潤滑するオイルポンプと、を備えるハイブリッド車両であって、
前記オイルポンプは、オイルポンプ軸の一端に、前記電動機の動力を前記被駆動部に伝達する伝達部材と一体に回転する出力部に接続されて前記電動機の動力により回転する第1入力部が第1ワンウェイクラッチを介して設けられ、前記オイルポンプ軸の他端に、前記内燃機関のカムチェーンに接続され前記内燃機関の動力により回転する第2入力部が第2ワンウェイクラッチを介して設けられ、
前記伝達部材は前記クランク軸の一方側に配置され、前記カムチェーンは前記クランク軸の他方側に配置されることを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】
前記オイルポンプ軸は、前記電動機の動力により回転する前記第1入力部と前記内燃機関の動力により回転する前記第2入力部のうち回転速度の速い方に伴って回転することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
オイルポンプ本体は、前記クランク軸を支持するクランクケースと前記伝達部材との間に位置し、前記第1入力部は前記オイルポンプ本体と前記伝達部材との間に位置することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記第1入力部は前記シリンダの一方側に配設され、前記第2入力部は前記シリンダの他方側に配設されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
オイルポンプ本体は前記第1入力部と前記第2入力部の間に位置することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項6】
前記第1入力部よりも前記第2入力部の方が高回転可能なギヤ比であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項7】
前記動力伝達機構のカウンタ軸の端部には、潤滑油を受ける飛沫オイル回収部材が設けられ、
前記飛沫オイル回収部材に収容された潤滑油は、前記カウンタ軸内の油路を介して潤滑されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項8】
前記カウンタ軸の下方には車速検出用ギヤがクランクケースの下面に貯留する潤滑油に浸かる位置に設けられ、
前記クランクケースから前方に延設されたリブが、前記動力伝達機構の変速ギヤ列へ指向していることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−235056(P2010−235056A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87778(P2009−87778)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】