説明

バイアス電圧設定機構を備えた増幅回路

【課題】 外部から製品仕様等に応じた所望のバイアス電圧に容易に設定することができるとともに、回路に悪影響を与えることのないバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路を提供する。
【解決手段】 入力信号Vinを増幅して出力信号Voutとして出力する第1の増幅素子11と、AGC電圧などの制御信号に基づいて前記出力信号Voutからバイアス電圧Vbを生成するバイアス電圧設定部と、前記バイアス電圧Vbを前記第1の増幅素子11の入力部に印加させるとともに、第4の抵抗R4などのバイアス電圧設定用部品が前記バイアス電圧設定部に外付けされたときに前記バイアス電圧設定用部品の容量成分C1が前記入力部に対して等価的に接続されるのを遮断するハイインピーダンス素子(第3の抵抗R3)とを有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビチューナー用のRFアンプなどの増幅回路に係わり、特にバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は従来の増幅回路の一例としてのAGC回路を示す回路構成図である。
図4に示すAGC回路1は、アンテナ同調回路2とRF複同調回路3との間に設けられた利得設定機能付きの増幅回路として構成されている。
【0003】
このAGC回路1は一点鎖線で囲まれた部分が一つのパッケージ1Aとして構成されている。前記パッケージ1Aの内部には、半導体プロセス工程により一体的に製造された第1の増幅素子4、第2の増幅素子5、第1の抵抗r1および第2の抵抗r2などが設けられている。
【0004】
前記第1,第2の増幅素子4,5は2ゲート型のMOSFETで構成されている。アンテナ同調回路2からの出力は入力信号Vinとして第1の増幅素子4の第1のゲート端子g1に入力され、第2のゲート端子g2にはAGC(自動利得制御)電圧が入力される。前記第2の増幅素子5はバイアス電圧を制御するFETであり、この第2の増幅素子5によりAGC電圧のレベルに応じて制御されたバイアス電圧Vbが前記第1の増幅素子4の第1のゲート端子g1に印加されるようになっている。
【0005】
前記AGC回路1は、前記入力信号Vinの強弱、すなわち電波の受信状態(電界レベルの強弱)に応じ、前記電波が強いときには増幅度を下げるように機能し、また電波が弱い場合には増幅度を上げるように機能する。
このようなAGC回路1は例えば以下の特許文献1などに記載されている。
【特許文献1】特開2001−156565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記AGC回路1は、例えばテレビチューナーなどに搭載されるが、テレビチューナーとしての製品仕様等に応じて前記バイアス電圧Vbを変更することが求められる場合がある。上記AGC回路1は、前記バイアス電圧Vbが主として固定抵抗である前記第1の抵抗r1と第2の抵抗r2との抵抗分割比で設定される構成である。
【0007】
このため、外部から前記バイアス電圧Vbを変更したい場合には、前記第1の抵抗r1と第2の抵抗r2との抵抗分割比を変更する方法がある。具体的には、図4に示す前記パッケージ1Aの外部に、例えば前記アンテナ同調回路2の出力端子とグランド(GND)との間に第3の抵抗r3を前記第1の抵抗r1に対して並列接続されるように外付けして第1の抵抗r1側の合成抵抗値を下げる第1の方法と、前記アンテナ同調回路2とRF復調回路3との間に第4の抵抗r4が前記第2の抵抗r2に対して並列接続されるように外付けして第2の抵抗r2側の合成抵抗値を下げる第2の方法とが考えられる。
【0008】
しかし、上記第1および第2の方法を用いた場合には、以下の示すような問題が生じる。
【0009】
前記第1の方法、すなわち前記第1の抵抗r1に対して第3の抵抗r3を外付けする方法では、図4に示すように第3の抵抗r3や内部の回路パターンなどが有する容量成分Cが、等価的にアンテナ同調回路2の出力とグランドとの間に接続される状態となる。前記容量成分Cはアンテナ同調回路2における同調周波数の可変範囲を低減させるような作用をするため、アンテナ同調回路2に悪影響を与えるという問題がある。
【0010】
また前記第2の方法、すなわち前記第2の抵抗r2に対して第4の抵抗r4を外付けする方法においても、第4の抵抗r4が有する容量成分が、上記同様に同調周波数の可変範囲を低減させるように作用するため、アンテナ同調回路2に悪影響を与える。さらには、AGC回路1の入力端と出力端との間が前記第4の抵抗を介して接続されてしまうため、AGC回路1の入出力間に帰還回路が形成されることになる。このため、帰還容量の増大に伴うAGC電圧変化による波形変化、あるいは異常な発振現象などを生じさせるという問題がある。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、外部から製品仕様等に応じた所望のバイアス電圧に容易に設定することができるとともに、回路に悪影響を与えることのないバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、入力信号を増幅して出力信号として出力する増幅素子と、制御信号に基づいて前記出力信号からバイアス電圧を生成するバイアス電圧設定部と、前記バイアス電圧を前記増幅素子の入力部に印加させるとともに、バイアス電圧設定用部品が前記バイアス電圧設定部に外付けされたときに前記電子部品の容量成分が前記入力部に対して等価的に接続されるのを遮断するハイインピーダンス素子と、を有することを特徴とするものである。
【0013】
本発明のバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路では、増幅回路の出力側から入力側に信号を伝える帰還路にハイインピーダンス素子が設けられているため、出力側に外付けされた電子部品が有する容量成分の影響が入力側に伝わるのを防止することができる。このため、入力側に設けられるアンテナ同調回路に与える悪影響を低減することができる。
【0014】
上記においては、前記増幅素子、前記バイアス電圧設定部および前記ハイインピーダンス素子が1つのパッケージ内に収納されていることが好ましい。
【0015】
上記手段では増幅回路を小型化することができ、様々なテレビチューナーに使用することできる。
【0016】
例えば、前記増幅素子が第1及び第2のゲート端子を有する第1のFETであり、前記バイアス電圧設定部が、一端がグランド側に接地された第1の抵抗と、前記第1の抵抗の他端にソース端子が接続された第2のFETと、前記第2のFETのドレイン端子と前記増幅素子の出力部との間に接続された第2の抵抗とで形成されるものとして構成することができる。
【0017】
上記手段では、簡単な構成で確実に動作する増幅回路を提供することができる。
また前記ハイインピーダンス素子が、前記第1のFETの第1のゲート端子と前記第2のFETのドレイン端子との間に接続されるとともに高抵抗からなる第3の抵抗であることが好ましい。
【0018】
上記手段では、各種の抵抗が出力側に外付けされた場合であっても、前記抵抗が有する容量成分が入力側に与える影響を確実に遮断することができる。
【0019】
さらに上記において、前記パッケージの周囲には、少なくとも前記第1のFETの第1のゲート端子に接続される第1の外部端子と、前記第1のFETのドレイン端子に接続される第2の外部端子と、前記第1のFETのソース端子及び前記第1の抵抗の一端に接続される第3の外部端子と、前記第1のFETの第2のゲート端子及び前記第2のFETのゲート端子に接続される第4の外部端子と、前記第2のFETのドレイン端子に接続される第5の外部端子と、前記第2のFETのソース端子に接続される第6の外部端子が設けられているものが好ましい。
【0020】
上記手段では、内部に増幅回路を備えたパッケージの外部に外付け抵抗を容易に取り付けることが可能となる。よって、増幅回路のバイアス電圧を仕様に応じた電圧値に確実に設定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路では、パッケージの周囲に外付け抵抗を取り付けるだけで所望のバイアス電圧に確実に設定することができる。
【0022】
また増幅回路において、前記外付けした抵抗に起因する影響が及ぶことを遮断することができるため、例えば入力側に設けたアンテナ同調回路における同調周波数の可変範囲の低減などの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明のバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路を示す回路構成図、図2はバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路の他の動作状態を説明するための図1同様の回路構成図である。
【0024】
図1においては、増幅回路10の一例としてのAGC(自動利得調整)回路が、アンテナ(ANT)同調回路20とRF複同調回路30との間に設けられる実施態様として示されている。このようなAGC回路は、国内仕様または海外仕様のテレビチューナーなどに搭載される。
【0025】
前記増幅回路10は、例えばシリコン基板上にスパッタリングや蒸着などの成膜手段を用いて形成する半導体プロセス工程により一体的なパッケージ10Aとして製造されている。前記パッケージ10Aの内部には第1の増幅素子11、第2の増幅素子12、第1の抵抗R1、第2の抵抗R2および高抵抗値からなる第3の抵抗(ハイインピーダンス素子)R3などが設けられている。
【0026】
前記第1の増幅素子11は第1,第2のゲート端子g1a,g1bと、ドレイン端子d1と、ソース端子s1とを備えた2ゲート型のMOSFETで構成されている。また前記第2の増幅素子12は,ゲート端子g2、ドレイン端子d2およびソース端子s2を一つづつ備えた通常(1ゲート型)のMOSFETで形成されている。
【0027】
前記パッケージ10Aの周囲には、第1ないし第6の外部端子10a,10b,10c,10d,10eおよび10fが設けられている。そして、第1の増幅素子11および第2の増幅素子12の各端子は、前記パッケージ10Aに設けられたいずれかの前記第1の外部端子10aないし第6の外部端子10fにそれぞれ接続されている。
【0028】
例えば、一方の第1の増幅素子11では、第1のゲート端子g1aが第1の外部端子10aに、前記ドレイン端子d1が第2の外部端子10bに、前記ソース端子s1が第3の外部端子10fに、前記第2のゲート端子g1bが第4の外部端子10eにそれぞれ接続されている。
【0029】
また他方の第2の増幅素子12では、前記ゲート端子g2が前記第1の増幅素子11の前記第2のゲート端子g1bとともに第4の外部端子10eに接続され、前記ドレイン端子d2は第5の外部端子10cに、前記ソース端子s2は第6の外部端子10dにそれぞれ接続されている。
【0030】
前記第1の抵抗R1は前記第2の増幅素子12のソース端子s2と前記第3の外部端子10fとの間に接続されており、前記第2の抵抗R2は前記第1の増幅素子11のドレイン端子d1と前記第2の増幅素子12のドレイン端子d2との間(第2の外部端子10bと第5の外部端子10cとの間)に接続されている。さらに前記第3の抵抗R3は前記第1の増幅素子11の第1のゲート端子g1aと前記第2の増幅素子12のドレイン端子d2との間(第1の外部端子10aと第5の外部端子10cとの間)に接続されている。
【0031】
上記のような構成からなる増幅回路10は、アンテナ同調回路20とRF複同調回路30との間に設置される。すなわち、前記増幅回路10の第1の外部端子10aにアンテナ同調回路20の出力端子が接続され、第2の外部端子10bにRF複同調回路30の入力端子が接続されており、アンテナ同調回路20から出力される入力信号Vinは第1の外部端子10aを介して第1の増幅素子11の入力部に入力され、増幅後の出力信号Voutが第2の外部端子10bを介して後段に設けられたRF複同調回路30に向けて出力される。また前記第3の外部端子10fがグランド(GND)に接地されており、第4の外部端子10eには外部からのAGC電圧(制御電圧)が印加されている。
【0032】
なお、第1の増幅素子11のドレイン端子d1(第2の外部端子10b)とグランド(GND)との間には直列接続されたインダクタLとコンデンサCが設けられており、その接続部には所定の電源電圧である+B電圧が印加されている。
【0033】
上記増幅回路10の動作について説明する。
AGC電圧は、RF復同調回路30側に設けられた図示しない利得制御回路から出力されており、前記パッケージ10Aの前記第4の外部端子10eを介して前記第1の増幅素子11の第2のゲート端子g1bと前記第2の増幅素子12のゲート端子g2のそれぞれに入力される。
【0034】
ここで、前記AGC電圧が前記第2の増幅素子12のゲート端子g2に入力されると、前記第2の増幅素子12のドレイン端子d2−ソース端子s2の間の電圧は、前記AGC電圧に応じた所定のドレイン−ソース間電圧VDSに設定される。前記ドレイン端子d2の電圧Vd2は、前記第2の増幅素子12に流れるドレイン電流をId1とすると、以下の数1で示される値に設定される。
【0035】
【数1】

【0036】
そして、この第2の増幅素子12で設定された前記ドレイン端子d2の電圧Vd2は、前記第3の抵抗R3を介して前記第1の増幅素子11の第1のゲート端子g1aにバイアス電圧Vb(=Vd2)として印加される。すなわち、前記第1の抵抗R1、第2の増幅素子12および第2の抵抗R2はバイアス電圧設定部として機能している。
【0037】
第1の増幅素子11のドレイン端子d1には、所定の+B電圧がインダクタLを介して印加されている。このため、入力信号Vinが前記第1のゲート端子g1aに入力され、且つ前記AGC電圧が第2のゲート端子g1bに印加されると、前記第1の増幅素子11のドレイン端子d1には前記入力信号Vinが前記AGC電圧に応じて増幅された出力信号Voutとして出力される。
【0038】
次に、製品仕様に応じて前記バイアス電圧Vbを小さくする場合について説明する。
図1に点線にて示すように、前記バイアス電圧Vbを小さくする場合には、前記パッケージ10Aに設けられた第6の外部端子10dと第3の外部端子10fとの間にバイアス電圧設定用としての第4の抵抗R4が外付けされる。前記第4の抵抗R4は、前記第1の抵抗R1に対して並列的に接続される関係にある。このため、前記第2の増幅素子12のドレイン端子d2の電圧Vd2は、以下の数2で示される値に設定することができる。
【0039】
【数2】

【0040】
ただし、Rxは第1の抵抗R1と第4の抵抗R4とを並列接続したときの合成抵抗であり、以下の数3で示される値である。
【0041】
【数3】

【0042】
第1の抵抗R1と前記合成抵抗RxとはR1>Rxの関係があるため、合成抵抗Rxにおける電圧降下はR1の電圧降下よりも小さい。このため、前記第2の増幅素子12の出力電圧、すなわちドレイン端子d2の電圧Vd2を小さくすることができる。よって、前記第3の抵抗R3を介して第1の増幅素子11の第1のゲート端子g1aに印加されるバイアス電圧Vb(=Vd2)の値を小さくすることができる。
【0043】
ここで、前記第3の抵抗R3は例えば数MΩ程度の高抵抗で形成されている。このため、外付けされた第4の抵抗R4が有する容量成分C1(図1に点線で示す)が、上記従来のように増幅回路10の前記入力部に対して等価的に接続されること、すなわち前記アンテナ同調回路20の出力とグランドとの間に接続されることを遮断することができる。すなわち、前記高抵抗からなる第3の抵抗R3は、外付け抵抗(第4の抵抗R4)が有する容量成分の影響が入力側に伝わることを防止するハイインピーダンス素子として機能している。
【0044】
よって、前記容量成分C1がアンテナ同調回路2に悪影響を与えることを防止すること、すなわち同調周波数の可変範囲を低減させるような作用を起こすような不具合の発生を抑えることができる。
【0045】
次に、製品仕様に応じて前記バイアス電圧Vbを高める場合について説明する。
図2に示すように、前記バイアス電圧Vbを高める場合には、前記パッケージ10Aに設けられた第2の外部端子10bと第5の外部端子10cとの間にバイアス電圧設定用としての第6の抵抗R6を外付けすることにより実現することができる。
【0046】
すなわち、前記第6の抵抗R6は前記第2の抵抗R2に対して並列的に接続される関係にあるため、前記第1の増幅素子11のドレイン端子d1と前記第2の増幅素子12のドレイン端子d2との間の合成抵抗Ryが小さくなる。このため、前記第1の増幅素子11のドレイン端子d1とグランド(GND)との間の総合的な抵抗値が小さくなるため、第2の増幅素子12に流れるドレイン電流Id1を大きくすることができる。よって、前記第1の抵抗R1における電圧降下が大きくなるため、前記第2の増幅素子12のドレイン端子d2の電圧Vd2を高めることができる。よって、前記第3の抵抗R3を介して第1の増幅素子11の第1のゲート端子g1aに印加されるバイアス電圧Vb(=Vd2)の値を高めることが可能となる。
【0047】
この場合においても、前記第3の抵抗R3は高抵抗で形成されているため、上記同様外付けされたバイアス電圧設定用の第6の抵抗R6が有する容量成分C2(図2に点線で示す)が、前記増幅回路10の前記入力部に対して等価的に接続されることを遮断することができる。よって、前記容量成分C2がアンテナ同調回路2に悪影響を与えること、すなわち同調周波数の可変範囲を低減させるような作用の発生を防止することができる。
【0048】
図3は本発明の増幅装置におけるAGC電圧に対する利得制御比GRの特性を示すグラフである。図3において曲線Aは図1および図2に示す第5の外部端子10cと第6の外部端子10dとの間に第5の抵抗R5(バイアス電圧設定用)が設けられていない場合を示し、曲線Bは第5の外部端子10cと第6の外部端子10dとの間に第5の抵抗R5(バイアス電圧設定用)を設けた場合を示している。また曲線Cは第5の抵抗R5として前記曲線Bとは大きさが異なる抵抗を接続した場合を示している。
【0049】
このように前記第5の外部端子10cと第6の外部端子10dとの間にバイアス電圧設定用として第5の抵抗R5を接続すると、AGC電圧に対する利得制御比GRの特性を、第5の抵抗R5を有しない曲線Aから曲線Bや曲線Cに変更することができる。よって、前記第5の抵抗R5を適宜選択することにより、製品仕様に応じた利得制御比GRを有する増幅回路10とすることができる。
【0050】
なお、前記バイアス電圧設定用の第5の抵抗R5は必要に応じて単独で接続するものであってもよいし、前記第4の抵抗R4と第5の抵抗R5と組み合わせた状態で使用するもの、あるいは前記第6の抵抗R6と第5の抵抗R5とを組み合わせた状態で使用するものであってもよい。このように第4ないし第6の抵抗R4,R5,R6を自在に組み合せることにより、様々な特性カーブを有する前記利得制御比GRとすることができ、国内仕様または海外仕様など様々なテレビチューナーに合った増幅回路10とすることができる。
【0051】
この場合においても、外付けされた第5の抵抗R5が有する容量成分C3は、高抵抗で形成され前記第3の抵抗R3を介して前記アンテナ同調回路20の出力端に接続される。よって、上記同様に等価的に前記第5の抵抗R5の容量成分Cが前記アンテナ同調回路20の出力とグランド(GND)との間に接続されることを防止できる。よって、前記容量成分Cがアンテナ同調回路2に悪影響を与えること、すなわち同調周波数の可変範囲を低減させるような作用の発生を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明のバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路を示す回路構成図、
【図2】バイアス電圧設定機構を備えた増幅回路の他の動作状態を説明するための図1同様の回路構成図、
【図3】本発明の増幅装置におけるAGC電圧に対する利得制御比GRの特性を示すグラフ、
【図4】従来の増幅回路の一例としてのAGC回路を示す回路構成図、
【符号の説明】
【0053】
10 増幅回路
11 第1の増幅素子
12 第2の増幅素子(バイアス電圧設定部)
20 アンテナ同調回路
30 RF複同調回路
g1a 第1の増幅素子の第1のゲート端子
g2a 第1の増幅素子の第2のゲート端子
d1 第1の増幅素子のドレイン端子
s1 第1の増幅素子のソース端子
g2 第2の増幅素子のゲート端子
d2 第2の増幅素子のドレイン端子
s2 第2の増幅素子のソース端子
R1 第1の抵抗(バイアス電圧設定部)
R2 第2の抵抗(バイアス電圧設定部)
R3 第3の抵抗(ハイインピーダンス素子)
R4 第4の抵抗
R5 第5の抵抗
R6 第6の抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を増幅して出力信号として出力する増幅素子と、制御信号に基づいて前記出力信号からバイアス電圧を生成するバイアス電圧設定部と、前記バイアス電圧を前記増幅素子の入力部に印加させるとともに、バイアス電圧設定用部品が前記バイアス電圧設定部に外付けされたときに前記バイアス電圧設定用部品の容量成分が前記入力部に対して等価的に接続されるのを遮断するハイインピーダンス素子と、を有することを特徴とするバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路。
【請求項2】
前記増幅素子、前記バイアス電圧設定部および前記ハイインピーダンス素子が1つのパッケージ内に収納されていることを特徴とする請求項1記載のバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路。
【請求項3】
前記増幅素子が第1及び第2のゲート端子を有する第1のFETであり、前記バイアス電圧設定部が、一端がグランド側に接地された第1の抵抗と、前記第1の抵抗の他端にソース端子が接続された第2のFETと、前記第2のFETのドレイン端子と前記増幅素子の出力部との間に接続された第2の抵抗とで形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路。
【請求項4】
前記ハイインピーダンス素子が、前記第1のFETの第1のゲート端子と前記第2のFETのドレイン端子との間に接続されるとともに高抵抗からなる第3の抵抗であることを特徴とする請求項3記載のバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路。
【請求項5】
前記パッケージの周囲には、少なくとも前記第1のFETの第1のゲート端子に接続される第1の外部端子と、前記第1のFETのドレイン端子に接続される第2の外部端子と、前記第1のFETのソース端子及び前記第1の抵抗の一端に接続される第3の外部端子と、前記第1のFETの第2のゲート端子及び前記第2のFETのゲート端子に接続される第4の外部端子と、前記第2のFETのドレイン端子に接続される第5の外部端子と、前記第2のFETのソース端子に接続される第6の外部端子が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載のバイアス電圧設定機構を備えた増幅回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−43540(P2007−43540A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226660(P2005−226660)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】