説明

バッチローダーを有する二本アーム・サブストレート取扱いロボット

【課題】ロボットに基づいたサブストレートの大量移送のための改良技術を提供する。
【解決手段】サブストレート取扱いロボット20は第一アーム22と第二アーム26が接続されているアーム駆動機構34を含む。複数サブストレート・バッチローダー24が第一アーム22に接続され、単一面エンド・エフェクタ28が第二アーム26に接続されている。複数サブストレート・バッチローダー24は保持するサブストレート数を示す真空信号を生じる。真空信号インタープリータがサブストレート装荷数に応じて、第一アーム22の運動を代える。第二アーム26に接続されている対象物センサー58は、複数サブストレート・バッチローダー24に隣接するカセットの中のサブストレート数を査定する。サブストレート装荷順コントローラが、カセットの中のサブストレート数に応じて、アームの運動を制御し、複数サブストレート・バッチローダー24の完全装荷を促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の簡単な記述
本発明は、一般的に物質移動用自動化システムに関する。詳細には、本発明は、バッチローダーを有する二本アーム・サブストレート取扱ロボットに関する。
【0002】
発明の背景
ロボットは、各種産業工程において利用される。例えば、電子産業においてロボットがサブストレートの取扱いに使用される。用語サブストレートには、半導体ウェファー、液晶表示装置、フラットパネル表示装置、ディスク駆動装置、その他類似物などの素子が含まれる。サブストレートは通常、カセットに保管される。半導体ウェファーの場合は、ウェファーのカセットが作業現場に渡される。カセットから一枚のウェファーを取り出してプリ−アライナーに渡すにはロボット・アームが使用される。ウェファー がプリアラインされると、ロボット・アームがウェファーを試験装置に渡す。試験が完了したとき、ロボット・アームを用いて、ウェファーは元のカセットか又は違うカセットに戻される。現存ロボットはカセットの中のサブストレートを個々に操作する能力はあるけれども、一組のサブストレートを一つのカセットから別のカセットに移すこと又は他の型の大量移送作業を実行するには比較的能率が悪い。
【0003】
こうして、ロボットに基づいたサブストレートの大量移送のための改良技術を提供することが強く望まれる。大量移送技術は、各種数値組合せのサブストレートを移送する能力があって移送作業を最適化出来るのが、理想的である。大量移送技術は、任意の所与の時刻に移送されるサブストレート数を決定しそれにしたがってその運動速度を調節するための低コスト機構を有するのが好適である。このような装置は、既知の材料と技術を使用し別途既存のロボット処理と互換性がなければならない。
【0004】
発明の概要
本発明の装置は、アーム駆動機構を有するサブストレート取扱いロボットを含む。第一アームは、アーム駆動機構に接続されている。複数サブストレート・バッチローダーが第一アームに接続されている。第二アームもまた、アーム駆動機構に接続されている。単一面エンド・エフェクタが第二アームに接続されている。複数サブストレート・バッチローダーは、複数サブストレート・バッチローダーが保持するサブストレート数を示す真空信号を感知する。真空信号インタープリータが、サブストレート装荷数に応じて第一アームの運動を選択的に代える。対象物センサーが第二アームに接続されている。対象物センサーは、複数サブストレート・バッチローダーに隣接するカセットの中のサブストレート数を査定する。サブストレート装荷順コントローラが、カセットの中のサブストレート数に応じ、第二アームが、複数サブストレート・バッチローダーの完全装荷を促進する方法で、カセットからサブストレートを取り出すよう、第一アームと第二アームを制御する。
【0005】
本発明の方法は、第一サブストレートを保管場所から単一のパドルで取り出すステップを含む。一組のサブストレートが保管場所から複数サブストレート・バッチローダーを用いて取り出される。複数サブストレート・バッチローダーが保持するサブストレート数を示す真空信号が得られる。複数サブストレート・バッチローダーの運動は、複数サブストレート・バッチローダーが完全に装荷されていないことを真空信号が示したとき、代えられる。
【0006】
本方法はまた、保管場所にあるサブストレート数を査定するステップを含むこともある。個々のサブストレートは保管場所から複数サブストレート・バッチローダーの完全装荷を促進するよう取り出すことができる。
【0007】
本発明は、ロボットに基づくサブストレートの大量移送に関する改良技術を提供する。本発明の大量移送技術により、各種数値組合せのサブストレートに関し移送作業を最適化することが可能になる。複数サブストレート・バッチローダーに付属する真空センサーが、任意の所与の時刻に移送中のサブストレート数の低コスト査定を便利にする。この情報に基づいて、ロボットの運動が代えられる。有利なことに、本発明は既知の材料と技術を使用しており別途既存処理と互換性がある。
【0008】
発明の詳細な説明
図1は、本発明の一実施例にしたがう二本アームバッチ装荷ロボット20の透視図である。ロボット20は、複数サブストレート・バッチローダー24を支える第一アーム22を含む。このロボットはまた、単一面エンド・エフェクタ28を支える第二アームをも含む。
【0009】
第一アーム22は、アーム駆動機構34に接続された近接端32を有する基礎アーム30を含む。基礎アーム30はまた、遠隔端36を含む。第一アーム22はまた前アーム38を含む。前アーム38の近接端40は基礎アーム30の遠隔端36に接続されている。前アーム38の遠隔端42バッチローダー支持機構44を支える。
ここで、上記の第一アーム22・基礎アーム30・前アーム38は、請求項の記載における第一の関節状アーム・第一の上方アーム・第一の前アームに各々相当する。
【0010】
第二アーム26は、近接端48及び遠隔端50を有する基礎アーム46を含む。前アーム52は基礎アーム46の遠隔端に接続された近接端54を有する。対象物センサー58が、前アーム52の遠隔端56に接続されている。図1はまた、モーター及びその他の部品を囲うハウジング60をも示す。
ここで、上記の第二アーム26・基礎アーム46・前アーム52は、請求項の記載における第二の関節状アーム・第二の上方アーム・第二の前アームに各々相当する。
【0011】
当業者は、図1の装置に伴う数多くの利点を認識するであろう。複数サブストレート・バッチローダー24により、一組のサブストレートを移送し、それにより処理効率を上げることが可能になる。単一面エンド・エフェクタ28により、ロボット20が在来サブストレート取扱作業を実行することが可能になる。本発明のその他の長所及び利点は以下の記述において焦点を当てる。
【0012】
図2は、ロボット20の側面図である。図は、ハウジング60、アーム駆動機構34、単一面エンド・エフェクタ28及び複数サブストレート・バッチローダー24を示す。
【0013】
図3は、第一アーム22及び第二アーム26の分解図である。図は、第一アーム22とその基礎アーム30を示し、基礎アームの遠隔端36はピボット機構70を受ける。前アーム38の近接端40もまた、ピボット機構70に付着されている。同様に、第二アーム26の遠隔端50は開口部51を有していて前アーム52に伴うピボット機構72を受ける。
【0014】
図3はまた、アーム駆動機構34の一部をも示す。アーム駆機構は、アーム22及び26に動力を与える二重シャフト駆動機構74を含む。駆動シャフトハウジング76が、二重シャフト駆動機構74を囲む。駆動シャフトハウジング76は、モーターハウジング枠78の上に乗る。モーター(示さず)はモーターハウジング枠78内部に置かれている。モーターハウジング外枠80がモーターハウジング枠78を囲う。
【0015】
図4Aは、ロボット20の一部の断面図である。詳説すると、この図は第一アーム22及びハウジング60の一部を断面図で示す。この図は、二重シャフト駆動機構74を第一シャフト82とともに示す。シャフト82は、プーリー86に連結されたベルト84に接続されている。同様の配置が第二アーム26についても使用されている。本発明に関して用いられる内部アーム駆動機構は、本発明にしたがって任意の数の構成を使うことができるので、無形である。本発明は、ロボット・アーム運動を目指したものではなく、以下に記述するように、複数サブストレート・バッチローダー24の使用、及びこれら素子の関連利用を目指すものである。
【0016】
使用された特定の内部アーム駆動機構は、本発明の作用にとって重要ではないけれども、一つの特定構成が便利であると思われた。4Bは、複数ウェファーを動かすのに平滑な運動と十分なトルクとを与える道具である調和駆動機構(歯車減速装置)の用法を示す。歯車減速装置は、強力な駆動システムを備え、ベルト疲労の問題を回避し、比較的小型である。加えて、これは保守のため容易に接触出来るようアームベースの中に収容されている。
【0017】
図4Bは、プーリー86が、調和駆動88の入力部分を駆動するシャフト87を回転することを示す。調和駆動88の出力部分は放射状リンク89に付着されており、これは翻ってスペーサー91を通してアームベース30に付着されている。
【0018】
図5は、本発明の一実施例にしたがう単一面エンド・エフェクタの分解図である。素子28は、第二アーム26に付着するためコネクタ90を有する。中間支持部材92がコネクタ90に付着されている。単一面パドル92が中間支持部材92に付着されている。対象物センサー58が単一面パドル92の基底に接続されている。対象物センサー58は、光センサー、レーザー・センサー、又は類似のものでよい。対象物センサー58は、サブストレートが、カセットのような保管場所に保管されているか否かを識別するため使用される。第二アーム26は各種の姿勢を通じて操作され、対象物センサー58の対象物保管場所識別を可能にする。図5はまた、パドル96が真空開口部98を含むことを示す。真空開口部は真空ポンプ(示さず)に連結されている。真空ポンプは、サブストレートをパドル96に確保する吸引力を設定する。
【0019】
図6は、本発明の一実施例にしたがう複数サブストレート・バッチローダーを示す。素子24は、第一アーム22との接続のため第一アームコネクター100を含む。第一アームコネクター100の上にスタンドオフ102が置かれている。高架ベース部材104がスタンドオフ102の上に置かれている。第一パドル106が第一アームコネクター100と高架ベース部材104との間に置かれて固定されている。第一パドル106は、パドル96の真空開口部98に対して記述したような方法で作動する真空開口部108を含む。図6は、複数サブストレート・バッチローダー24がまた任意の数の追加パドル116を含んでもよいことを示す。各追加パドル116は、隣接パドルに関してスタンドオフとして働くパドル台面117を含む。各追加パドル116はまた、真空開口部108をも含む。パドルキャップ118は、パドル116の垂直整列を確保するため使用される。複数サブストレート・バッチローダー24の中の各パドルは、内部真空チャンネルを含む。O−リングを用いて構成部品の間の真空チャンネルを封止する。
【0020】
図7は、二本アームバッチ装荷ロボット20の簡略化された表現である。
図は、簡略化された形で複数サブストレート・バッチローダー24と単一面エンド・エフェクタ28を示す。前述のように、これらの構成部品はアーム駆動機構34に付着されている。アーム駆動機構234は、真空センサー119を含むのが好適である。真空センサーは、以下にさらに記述するように、複数サブストレート・バッチローダー24の各種真空装置に関連する真空信号を測定するため使用される。図7は、二本アームバッチ装荷ロボット20が、一組のサブストレート141を保持するカセット140との関連で働くことを示す。
【0021】
図7はまた、二本アームバッチ装荷ロボット20が、汎用コンピュータ120の形の制御回路により制御されることを示す。コンピュータ120は、一組の入出力装置122を有していて、ロボット20と連絡する。入出力装置122はまた、キイボード、マウス、モニター、プリンター、及び類似のものなどの品目を含む。ロボット20に出入する信号は、入出力装置122を通って交換される。制御信号には、真空センサー119からの真空センサー信号及び対象物センサー58からの対象物感知信号が含まれる。これらの信号は、バス126を通って汎用処理装置(CPU)に渡される。バス126はまた、メモリ(例えば、RAM、固定ディスク、又は類似のもの)128に接続されていて、CPU124がメモリ128の中に記憶されたプログラムを実行することが出来るようになっている。入出力装置122、CPU124、及びメモリ128との関連でのコンピュータの作用は、周知の技術である。本発明の一側面は、コンピュータ120が実行する特定の型のプログラムを指向している。
【0022】
本発明にしたがうと、メモリ128は、サブストレート装荷順コントローラ・プログラム130、真空信号解釈プログラム132、及び運動制御装置プログラム134を記憶するのが好適である。運動制御装置プログラムは、アーム駆動機構34用制御信号を発生するための標準プログラムである。周知のように、運動制御装置134は、マップセンサー121からの情報に依存する。
【0023】
サブストレート装荷順コントローラ130は、CPU124が実行して、ロボット20が実行すべき最適移送順を選択する。サブストレート装荷順コントローラ130は、部分的充填カセットを扱うとき、使用すべきアームを決定する。例えば、対象物センサー58がカセットの底のスロットに3枚のサブストレート、これら3枚の上にはサブストレートが無く、さらにその上に5枚のサブストレートのグループを検出したとき、コントローラ130は、単一面エンド・エフェクタ28が最初のサブストレート3枚を個々に動かすことを選び、空のスロットは飛ばして、次いで複数サブストレート・バッチローダー24を用いて5枚のグループを動かすことが出来る。こうして、対象物センサー58の蓄積した情報に基づいて、コントローラ130は、複数サブストレート・バッチローダー24の利用を最適化する一組のルールを実行する。これらルールの実行は、一般的に、サブストレートのグループが複数サブストレート・バッチローダーを用いて遅れて送られるよう、サブストレートを動かす単一面エンド・エフェクタ28の用法を生じる。
【0024】
CPU124が実行するとき、真空信号インタープリータ132は、真空センサー119からの制御信号を処理する。真空センサー119は、バッチローダー24の個々のパドルの各真空開口部に結びついている。バッチローダー24の有するブレードは、すべてが単一真空源につながれているので、サブストレートの存在検出に用いられる真空センサーは1個だけである。5枚のウェファーのうち4枚だけが存在すると、ウェファーのないブレード上の「真空漏洩」が真空信号変化に反映される。真空漏洩は残りのサブストレートにおける吸引力低下を生じる。この状態に応じ、真空信号インタープリータはアーム22を減速して、サブストレートの安全移送を保証する。所与の時刻に運ぶサブストレート数については一般的に対象物センサー58が情報を与えることは遵守する。しかし、真空信号インタープリータ132は冗長フェールセーフ機構として働くか、又はその代わりに、対象物センサー58が利用出来ないとき補完機構として働く。真空信号インタープリータ132は、サブストレートを運んでいないパドルを判定する簡単な回路として実現できる。このような状態に応じて、ロボット・アームの代替運動を調節することが出来る。言い換えると、この実施例において、真空信号はバッチローダーの中の欠けたサブストレートの特有数にマップされない。その代わり、サブストレートが1枚だけ欠けるときは、アームの運動を調節する。
【0025】
当業者は、本発明がロボットに基づくサブストレートの大量移送に関する改良技術を提供することを理解するであろう。本発明の大量移送技術により、各種数値組合せのサブストレートの移送が可能になり移送作業が最適化される。複数サブストレート・バッチローダーに付随する真空センサーは、所与の時刻に移送中のサブストレート数の低コスト査定を便利にする。この情報に基づいて、ロボットの運動を代えることができる。有利なことに、本発明は既知の材料と技術を利用しているので、別途既存のロボット処理と互換性がある。
【0026】
これまでの記述は、説明目的のため、本発明の完全な理解を目指して特有の命名法を用いた。しかし、当業者には、本発明を実行するために特定の細部まで必要としないことは明らかであろう。別の例においては、基礎になる発明から不要に注意を外らすのを避けるため、ブロック図の中に周知の回路及び素子を示した。このように、本発明の特定実施例に関するこれまでの記述は、例証と説明を目的として示したものである。これらは、本発明を開示した細部の形で網羅し又は限定する意図のものではなく、上述の技術の観点から明らかに多くの変更及び変形が可能である。本実施例は、本発明の原理及びその実用を最も良く説明し、それにより当業者が、意図する特定用途に適した各種変更を加えた本発明及び各種具体化を最も良く利用出来るようにするため、選んで記述したものである。本発明の範囲は、請求事項及びその等価物により定義されることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明を良く理解するためには、付属図面との関連でなされる以下の詳細説明を参照しなければならない。ここで、
【図1】本発明の一実施例にしたがう二本アームバッチ装荷ロボットの透視図である。
【図2】図1の装置の側面図である。
【図3】図1の装置の二本アーム構造の分解図である。
【図4A】図1の装置の一部の断面図である。
【図4B】図1の装置の一部の断面図である。
【図5】図1の装置にしたがって使用される単一面エンド・エフェクタの分解図である。
【図6】図1の装置にしたがって使用される複数サブストレート・バッチローダーの分解図である。
【図7】汎用コンピュータの形の制御装置に関連して作動する図1の装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端と近接端を有するアーム接続器と、ここで前記近接端はアーム駆動機構に結合するように適合され、
前記末端上の第1のスタンドオフと、
前記スタンドオフの上部に載置される第1のパドルと、ここで前記第1のパドルは、第1のスタンドオフ上で端部のスタンドオフとして機能することが可能な第1のパドル台を組み込むものであり、
上記第1のパドル上に整列された複数のパドルと、ここで、各パドルは第1のスタンドオフと整列する端部のスタンドオフとして機能するパドル台を組み込み、そして
パドルの垂直配列を確保するパドルキャップ、
以上を具備する、伸張性の複数基板・バッチローダー。
【請求項2】
第1のパドル台が別個の高架台部材である請求項15のバッチローダー。
【請求項3】
パドルは真空を有する請求項15のバッチローダー。
【請求項4】
各パドルは吸入を行い、そして基板をパドルに固定する真空開口を有し、
各パドル台は、内部真空チャンネルを有し、そして
Oリングが前記パドル、パドル台、スタンドオフおよびパドルキャップ間の真空チャンネルをシールするものである、請求項15のバッチローダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−251790(P2010−251790A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142639(P2010−142639)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【分割の表示】特願2000−559040(P2000−559040)の分割
【原出願日】平成11年7月9日(1999.7.9)
【出願人】(398029692)ブルックス オートメーション インコーポレイテッド (81)
【Fターム(参考)】