説明

パターン形成方法

【課題】ドライエッチングによる樹脂膜のパターン形成方法において、高い選択比が得られる方法の提供。
【解決手段】ドライエッチングによる樹脂膜のパターン形成方法において、レジストとしてノボラック樹脂を用い、エッチングガスとしてハロゲン系ガスを用い、かつ、樹脂膜が含フッ素芳香族系樹脂を含む樹脂膜であることを特徴とするパターン形成方法。特にドライエッチングの圧力範囲が、1〜100Paであることが好ましい。また前記含フッ素芳香族系樹脂が、フッ素原子が芳香環に直接結合した分子構造を有する含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライエッチングによる樹脂膜のパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体等の製造に用いる材料のうち、低誘電率材料の開発が盛んである。特に含フッ素樹脂を用いた低誘電率材料は、誘電率が低いことと、加工の自由度が高いことから注目を集めている(例えば特許文献1〜3を参照。)。
【0003】
これらの低誘電率材料を用いて半導体素子を製造する際に微細加工が必要である。加工精度の点から一般的にはドライエッチングによる加工が採用されている。しかし含フッ素樹脂を用いた低誘電率材料のドライエッチングによる微細加工に関する技術はほとんど知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−74750号公報
【特許文献2】国際公開第03/8483号パンフレット
【特許文献3】特開2005−105115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
含フッ素樹脂を用いた低誘電率材料のドライエッチングによる微細加工において、レジストを用いてパターンを形成する場合に、一般に選択比が低く、プロセスコストが高くなる要因となっていた。ここで選択比とは、エッチング対象のエッチング速度とレジストのエッチング速度の比である。すなわち選択比が高ければ、レジストがエッチングされる速度よりも、エッチング対象がエッチングされる速度が速くなる。このため所定量のエッチングを行う際にレジストを薄くすることが可能となり、プロセスコストを低く抑えることができる。
【0006】
すなわち本発明は、ドライエッチングによる樹脂膜のパターン形成方法において、高い選択比が得られる方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の要旨を有する。
【0008】
1.ドライエッチングによる樹脂膜のパターン形成方法において、レジストとしてノボラック樹脂を用い、エッチングガスとしてハロゲン系ガスを用い、かつ、樹脂膜が含フッ素芳香族系樹脂を含む樹脂膜であることを特徴とするパターン形成方法。
【0009】
2.ドライエッチングの圧力範囲が、1〜100Paである上記1に記載のパターン形成方法。
【0010】
3.前記含フッ素芳香族系樹脂が、フッ素原子が芳香環に直接結合した分子構造を有する含フッ素ポリマーを含む上記1または2に記載のパターン形成方法。
【0011】
4.前記含フッ素ポリマーが、含フッ素ポリアリーレンおよび/または含フッ素ポリアリーレンエーテルである上記3に記載のパターン形成方法。
【0012】
5.前記ハロゲン系ガスが、ハロゲン原子含有化合物と酸素とを含む上記1〜4のいずれかに記載のパターン形成方法。
【0013】
6.前記ハロゲン原子含有化合物が、フッ素原子含有化合物である上記1〜5のいずれかに記載のパターン形成方法。
【0014】
7.前記フッ素原子含有化合物が、SF、CF、CHF、CHF、Cからなる群から選ばれる1種以上である上記1〜6のいずれかに記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ドライエッチングによる樹脂膜のパターン形成方法において、高い選択比が得られる。その結果レジストの使用量が少量となり、プロセスコストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のパターン形成方法は、ドライエッチングによる樹脂膜のパターン形成方法において、レジストとしてノボラック樹脂を用い、エッチングガスとしてハロゲン系ガスを用い、かつ、樹脂膜が含フッ素芳香族系樹脂を含む樹脂膜であることを特徴とする。以下にその詳細を説明する。
【0017】
[ドライエッチング]
本発明のパターン形成方法は、レジストを用い、エッチングガスによりエッチングを行うドライエッチングである。本発明におけるドライエッチングとしては、エッチングガスをプラズマ化し対象をエッチングする反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)が好ましい。プラズマ発生法としては、容量結合型(平行平板型)(Capacitive Coupled Plasma-RIE)、誘導結合型(Inductive Coupled Plasma-RIE)、ECR−RIE(Electron Cyclotron Resonance-RIE)が例示できる。
【0018】
本発明に用いるドライエッチング装置に特に制限はないが、エッチング装置、アッシング装置が使用できる。エッチング装置としては、プラズマエッチング装置、反応性イオンエッチング装置、スパッタエッチング装置、イオンミリング装置が例示できる。
【0019】
より具体的にはプラズマエッチング装置としては、バレル(円筒)型プラズマエッチング装置、平行平板型プラズマエッチング装置、発生域分離型プラズマエッチング装置が例示できる。また反応性イオンエッチング装置としては、平行平板型RIE装置、バレル型RIE装置、ドライオード構造RIE装置、マグネトロン応用RIE装置、マイクロウェーブRIE装置、電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチング装置、ヘリコン波励起プラズマ(HWP)エッチング装置、高周波誘導結合プラズマ(ICP)エッチング装置、電磁結合型プラズマ(TCP)エッチング装置、表面波プラズマ(SWP)エッチング装置、極超短波(UHF)励起プラズマエッチング装置が例示できる。
【0020】
アッシング装置としては、平行平板型プラズマアッシング装置、縦形バレルプラズマアッシング装置、横形バレルプラズマアッシング装置、マイクロウェーブプラズマアッシング装置、高密度プラズマアッシング装置が例示できる。
【0021】
[エッチングガス]
本発明において、エッチングガスとしては、ハロゲン系ガスを用いる。ここでハロゲン系ガスとは、ハロゲン原子含有化合物を含むガスである。またエッチングガスとしては、ハロゲン原子含有化合物以外のガスを含んでいてもよく、ハロゲン原子含有化合物のみであってもよい。ハロゲン原子含有化合物以外のガスとしては、酸素、水素、ヘリウム、アルゴン、メタン等が例示できる。これらのガスは複数を併用してもよい。
【0022】
本発明においては、選択比を高くできることから、ハロゲン系ガスがハロゲン原子含有化合物と酸素とを含むことが好ましい。さらにハロゲン原子含有化合物と酸素とからなる混合ガスであることが好ましい。
【0023】
ハロゲン原子含有化合物は、フッ素原子含有化合物、塩素原子含有化合物、臭素原子含有化合物、ヨウ素原子含有化合物が例示できる。
【0024】
フッ素原子含有化合物としては、F、HF、NF、SiF、SF、ClF等の非炭素系フッ素原子含有化合物;CF、C、C、C、C10、C12、C、C、C、C、(CFO等のフッ化炭素系化合物;CHF、CH、CHF、CHF、C、C、C、CF、CHF、C、CF、C等の水素化フッ化炭素系化合物;CClF、CCl、CClF、CClF、CCl、CCl、CCl、CClF等の塩素化フッ化炭素系化合物;CHClF、CHClF、CHClF、CHClF、CClF等の水素化塩素化フッ化炭素系化合物;CBrF、CBr等の臭素化フッ化炭素系化合物;CI等のヨウ素化フッ化炭素系化合物等が例示できる。
【0025】
また塩素原子含有化合物としては、Cl、HCl、BCl、SiCl等の非炭素系塩素原子含有化合物;塩素化フッ化炭素系化合物;水素化塩素化フッ化炭素系化合物;CCl、CCl、CCl、COCl等の塩素化炭素系化合物;CHCl、CHCl、CHCl等の水素化塩素化炭素系化合物;CBrCl等の臭素化塩素化炭素系化合物等が例示できる。
【0026】
また臭素原子含有化合物としては、臭素化フッ化炭素系化合物、臭素化塩素化炭素系化合物、Br、HBr、BBr等が例示できる。またヨウ素原子含有化合物としては、ヨウ素化フッ化炭素系化合物、I、HI、IBr、ICl、CHI、CI、CI等が例示できる。
【0027】
本発明においては、前記ハロゲン原子含有化合物のうちフッ素原子含有化合物が、選択比を高くできる点で好ましい。このうち非炭素系フッ素原子含有化合物、フッ化炭素系化合物、水素化フッ化炭素系化合物からなる群から選ばれる1種以上を用いることが特に好ましく、SF、CF、CHF、CHF、Cからなる群から選ばれる1種以上を用いることがさらに好ましい。本発明においては、エッチングガスとして、CFと酸素との混合ガスを用いることが最も好ましい。
【0028】
本発明において、エッチングガスのうちハロゲン原子含有化合物の割合は、1〜100容量%が好ましく、50〜99容量%がより好ましい。
【0029】
[エッチング条件]
本発明におけるエッチング条件は、プラズマが発生する条件であることが好ましい。特に圧力範囲は、やや高めに設定することが選択比を高くできる点で好ましい。具体的な圧力範囲としては、1〜100Paが好ましく、2〜50Paがより好ましい。本発明においては、前記ガス組成と圧力条件が選択比に大きな影響を与える。100Paを超えて高い圧力とすると実用上充分なエッチング速度が得にくいことがある。圧力を低くするとエッチング速度が下がり、また、選択比を高くしにくいことがある。
【0030】
またプラズマを発生させる際の出力(高周波出力)としては、電極面積[cm]で規格化した値として、0.04〜0.66W/cmが好ましく、0.1〜0.55W/cmがより好ましい。この出力は大きい方がエッチング速度を速くすることができるが、製造する素子等に欠陥を与える可能性が大きくなりやすい。出力が小さいとエッチング速度が下がり実用的ではなくなる。
【0031】
またガス流量は、標準圧力におけるガス容量[cm]を装置の反応室(チャンバー)容量[L]で規格化した値として、0.15〜20sccm/Lが好ましく、1.4〜14sccm/Lがより好ましい。このガス流量が大きいとガスの利用効率が下がりやすい。またガス流量が小さいと選択比を高くしにくいことがある。
【0032】
[レジスト]
本発明においては、レジストとしてノボラック樹脂を用いる。ノボラック樹脂系レジストを選択することにより、選択比を高くすることができる。レジストとしては、ネガ型とポジ型があるが、微細加工が可能な点からポジ型が好ましい。ノボラック樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が例示できる。ノボラック樹脂系レジストに添加されると好ましい成分としては、感光剤としてジアゾナフトキノン系化合物が好ましい。
【0033】
ノボラック樹脂系レジストとして市販されているものとしては、東京応化工業社製のOFPRシリーズ、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のAZシリーズ、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ社製のマイクロポジットシリーズ、住友化学社製のスミレジストシリーズ等が例示できる。
【0034】
[樹脂膜]
本発明においては、樹脂膜として含フッ素芳香族系樹脂を含む樹脂膜を用いる。エッチングの対象となる樹脂膜が含フッ素芳香族系樹脂を含み、かつ、前記レジストとの組み合わせを採用することで選択比を高くすることができる。含フッ素芳香族系樹脂とは、分子内にフッ素原子および芳香環を有するポリマーを含む樹脂である。すなわち本発明において対象となる樹脂膜は、分子内にフッ素原子および芳香環を有するポリマー(芳香環を有する含フッ素ポリマー。以下、「含フッ素芳香族ポリマー」という。)を主成分として含む。ここでポリマーが樹脂の主成分であるとは、樹脂中で50質量%以上、好ましくは80質量%以上が当該ポリマーであることを意味する。ポリマーは1種のみを用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
本発明において、芳香環は炭素原子からなる芳香環であっても、窒素原子等のヘテロ原子を含む芳香環であってもよく、さらにこれらが混在していてもよい。本発明において含フッ素芳香族ポリマーは、フッ素原子が芳香環に直接結合した分子構造を有することが好ましい。この場合、芳香環に結合していない(鎖状炭素に結合した)フッ素原子が存在していてもよい。また芳香環は芳香環を構成する原子の全てにフッ素原子が結合していなくてもよい。また芳香環の全てにフッ素原子が結合していなくてもよい。
【0036】
前記含フッ素芳香族ポリマーの複数の芳香環は連結基により結合することが好ましい。ここで連結基としては、単結合、アルキレン基、エーテル性酸素原子、スルフィド等の他に、スルホン、カルボニル、エステル、アミド等の原子団が例示できる。
【0037】
本発明において含フッ素芳香族ポリマーとしては、含フッ素芳香族ポリイミド、含フッ素ポリベンゾオキサゾール、含フッ素ポリベンゾイミダゾール、含フッ素ポリフェニレンスルフィド、含フッ素芳香族ポリスルホン、含フッ素芳香族ポリエーテルスルホン、含フッ素芳香族ポリエステル、含フッ素芳香族ポリカーボネート、含フッ素芳香族ポリアミドイミド、含フッ素芳香族ポリアミド、含フッ素芳香族ポリエーテルイミド、含フッ素ポリアリーレン、含フッ素ポリフェニレンオキシド、含フッ素芳香族ポリエーテルエーテルケトン、含フッ素ポリアリーレンエーテル等が例示できる。このうち含フッ素芳香族ポリイミド、含フッ素ポリベンゾオキサゾール、含フッ素芳香族ポリエーテルスルホン、含フッ素芳香族ポリエーテルイミド、含フッ素ポリアリーレン、含フッ素芳香族ポリエーテルエーテルケトン、含フッ素ポリアリーレンエーテルが選択比の観点から好適に例示できる。さらに含フッ素芳香族ポリマーが含フッ素ポリアリーレンおよび/または含フッ素ポリアリーレンエーテルであることが、誘電率、吸湿性等の観点も含めて最も好ましい。
【0038】
前記含フッ素ポリアリーレンエーテルとしては、1または複数の芳香環を有し、任意の1または複数の芳香環に3以上の酸素原子が直接結合しているポリフェノール型構造単位と;1または複数のフッ素原子が結合した1または複数の芳香環を有し、かつ、フッ素原子が結合した芳香環と前記酸素原子とが結合した含フッ素アリール型構造単位とを有するポリマーが、選択比が大きく、誘電率が低く、吸湿性が低いという点から好適に例示できる。このようなポリマーとしては特許文献1〜3に記載されたポリマーが例示できる。
【0039】
[パターン形成方法]
本発明のパターン形成方法は、ドライエッチングの通常の手順に従えばよい。具体的には以下に例示の方法で形成できる。まず基材上に含フッ素芳香族ポリマーを用いて樹脂膜を形成する。例えば電子回路を形成したシリコンウエハー上に、含フッ素芳香族ポリマーの樹脂溶液を塗布する。塗布方法としてはスピンコート、ディップコート、ダイコート等が挙げられる。ベークや光照射を行うことで樹脂溶液を硬化させることができる。樹脂膜の厚さは例えば1〜500μmである。その後レジストを塗布する。塗布方法は樹脂溶液と同様である。レジストをベークにより硬化させ、露光、現像を行い、レジストにパターンを形成する。またレジストは印刷によりパターンを形成してもよい。レジストの厚さは例えば1〜500μmである。ただし樹脂膜とレジストの厚さの比としては、樹脂膜/レジストで1/2〜100/1が好ましく、2/1〜10/1がより好ましい。
【0040】
パターンが形成されたレジストを有する状態でドライエッチングを行う。エッチング条件は、装置により適宜選択される。例えば平行平板型RIE装置を用いた場合、高周波出力を0.04〜0.66W/cmの範囲で設定し、圧力範囲を1〜100Paで設定する。エッチングガスとしてCFと酸素との混合ガスを用い(混合ガス中のCFの割合は例えば10〜99容量%で調整する。)、ガス流量を0.15〜20sccm/Lとする。エッチング後アッシング等でレジストを除去し、目的の樹脂膜のパターンが形成される。適当なエッチング条件を選択することでレジストはほとんどエッチングされずに樹脂膜を選択的にエッチングすることができる。
【0041】
[用途]
本発明のパターン形成方法を用いて製造される樹脂膜の用途としては、保護膜、燃料電池等の各種電池用膜材料、光導波路、非線形光学材料、被覆材、電子用部材、封止剤、オーバーコート材、透明フィルム材、耐熱・低吸湿フィルム材、耐候性塗料、撥水材、撥油材、防湿コート材、非粘着コート材等が挙げられる。特に、電子デバイス用または多層配線板用の絶縁膜、フィルム、または光伝送体の用途が好ましい。
【0042】
本発明のパターン形成方法を用いて製造される樹脂膜は多くの電子部品、電気部品、光学部品に適用可能である。電子部品としては、ダイオード、トランジスタ、化合物半導体、サーミスタ、バリスタ、サイリスタ等の個別半導体、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)、SRAM(スタティック・ランダム・アクセス・メモリ)、EPROM(イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ)、マスクROM(マスク・リード・オンリー・メモリ)、EEPROM(エレクトリカル・イレイザブル・プログラマブル・リード・オンリー・メモリ)、フラッシュメモリ等の記憶素子、マイクロプロセッサ、DSP、ASIC等の理論回路素子、MMIC(モノリシック・マイクロウェーブ集積回路)に代表される化合物半導体等の集積回路素子、混成集積回路(ハイブリッドIC)、発光ダイオード、電荷結合素子等の光電変換素子、アモルファスシリコンTFT(薄膜トランジスタ)、ポリシリコンTFT等のディスプレイ用素子等が挙げられる。
【0043】
本発明のパターン形成方法を用いて製造される樹脂膜を適用可能な電子・電気部品のうち、多層配線板としては、電子デバイス等を実装するための各種基板であり、プリント配線板、ビルドアップ配線板、MCM用基板、インターポーザー等の高密度配線板等が挙げられる。これらの電子・電気部品における絶縁膜としては、バッファコート膜、パッシベーション膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、アルファ線遮蔽膜等が挙げられる。
【0044】
前記光伝送体とは、光を通過させて伝送、分岐、増幅、または分波/合波等の機能を有する部材をいう。光伝送体は、例えば、光ファイバ、ロッドレンズ、光導波路、光分岐器、光合波器、光分波器、光減衰器、光スイッチ、光アイソレータ、光送信モジュール、光受信モジュール、カプラ、偏向子、光波長変換素子、光変調素子、光集積回路、光/電気混載回路または基板等のそのものやその光伝送部分をいう。
【0045】
前記光伝送体で使用される光の波長は、600〜1,600nmの範囲内にあることが好ましい。この中でも、レーザ等の部品の入手が容易であるので、650nm帯、850nm帯、1,300nm帯または1,550nm帯が好ましい。
【実施例】
【0046】
本発明を以下の実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0047】
[露光]
露光はUL−7000(Quintel社製)を用い、超高圧水銀灯の光を照射して行った。なお未露光部分については、金属箔またはマスクを用いて遮光部分を形成した。
【0048】
[実施例1]
ペルフルオロビフェニル(225g)、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン(40g)および粉末状のモレキュラーシーブス4A(153g)をジメチルアセトアミド(2388g)中に投入し、撹拌した。60℃に保ち炭酸ナトリウム(153g)を添加し、反応させた。0.5N塩酸水を用いて再沈殿を行い、樹脂中間体(242g)を得た。前記樹脂中間体(120g)および4−アセトキシスチレン(30g)をジエチレングリコールジメチルエーテル(1344g)中に投入、撹拌した。室温下、48質量%水酸化カリウム水溶液(64g)を添加し、反応させた。0.5N塩酸水を用いて再沈殿を行った。得られた樹脂(含フッ素ポリアリーレンエーテル)を洗浄、乾燥後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解、ろ過し、23質量%の樹脂溶液を得た。
【0049】
上記樹脂溶液を用い、6インチシリコンウェハ上にスピンコート法によって湿潤膜を形成した。スピン条件は1,000〜3,000回転で30秒とした。ホットプレートによる100℃で90秒のプリベークの後、縦型炉を用い250℃で30分、窒素雰囲気下でのファイナルベークを行った。得られた樹脂膜の厚さは約2μmであった。
【0050】
得られた樹脂膜上に、レジストとしてノボラック樹脂系レジストであるOFPR−800LB−130(東京応化工業社製)を毎分2,000回転30秒でスピンコートし、90℃120秒ホットプレートで加熱した。これに照射エネルギーが100mJ/cmの露光を行った。テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液に100秒浸漬して現像を行い、毎分2,000回転30秒でスピンドライした後に120℃60秒のホットプレートによる加熱を行った。レジストの膜厚は約4μmであった。
【0051】
続いて、RIE−10NR(SAMCO社製)を用いてドライエッチングを行った。このときのエッチング条件は、ガス流量は酸素が25sccm、CFが25sccm、圧力は10Pa、高周波出力200W/cmとした。膜厚を測定したところ、樹脂膜のエッチング速度は0.44μm/分、レジストのエッチング速度は0.38μm/分であった。また、このときのエッチング選択比は1.16であった。
【0052】
[実施例2〜8]
実施例1と同様に、ドライエッチングの条件を変化させて比較例(酸素のみ)と実施例2〜8を実施した。結果を表1に記載する。本発明によれば比較例と比較して充分な選択比が得られることがわかる。
【0053】
【表1】

【0054】
[実施例9、10]
実施例1と同様の手法にて厚さ約2μmの樹脂膜を形成した。得られた樹脂膜上に、レジストとしてノボラック樹脂系レジストであるAZ−6130(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を毎分3,000回転30秒でスピンコートし、90℃60秒ホットプレートで加熱した。これに照射エネルギーが42mJ/cmの露光を行った。TMAH水溶液に100秒浸漬して現像を行い、毎分2,000回転30秒でスピンドライした後に120℃120秒のホットプレートによる加熱を行った。レジストの膜厚は約3μmであった。
【0055】
実施例1と同様のドライエッチングの検討を実施した。結果を表2に記載する。
【0056】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は樹脂膜のパターン形成に有用な方法である。特に低誘電率樹脂材料を用いて半導体素子を製造する際の微細加工に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライエッチングによる樹脂膜のパターン形成方法において、レジストとしてノボラック樹脂を用い、エッチングガスとしてハロゲン系ガスを用い、かつ、樹脂膜が含フッ素芳香族系樹脂を含む樹脂膜であることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
ドライエッチングの圧力範囲が、1〜100Paである請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記含フッ素芳香族系樹脂が、フッ素原子が芳香環に直接結合した分子構造を有する含フッ素ポリマーを含む請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記含フッ素ポリマーが、含フッ素ポリアリーレンおよび/または含フッ素ポリアリーレンエーテルである請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記ハロゲン系ガスが、ハロゲン原子含有化合物と酸素とを含む請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記ハロゲン原子含有化合物が、フッ素原子含有化合物である請求項1から5のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記フッ素原子含有化合物が、SF、CF、CHF、CHF、Cからなる群から選ばれる1種以上である請求項1から6のいずれかに記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2009−26810(P2009−26810A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185810(P2007−185810)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】