説明

パターン検査方法およびパターン検査装置

【課題】同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を確実に順次検査するための簡単な方法を提供すること。
【解決手段】1枚目の検査対象基板に対して、検査のためのカメラと検査対象となるパターンとの撮像距離を順次変化させて各撮像距離で撮像して合計で複数の画像情報を入力し、入力した複数の画像情報を予め登録してある登録画像情報と比較して、登録画像情報に最も類似した一画像の情報を複数の画像情報の中から選択して、検査判定するとともに、選択した画像情報に対応する撮像距離をカメラ最適高さとして特定し、2枚目以降の平面基板上の同一箇所に形成された同一パターンの形状検査において、カメラ最適高さとした撮像距離で検査することを特徴とするパターン検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の平面基板上の、同一パターンの形状を順次検査する方法と、そのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置等の平面表示装置の多色表示に使用されるカラーフィルタを製造する工程において、金属クロムや黒色顔料含有樹脂を用いたブラックマトリクスパターンを透明基板上に形成し、上記ブラックマトリクスパターンとの適正な位置合わせにより、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)で代表される着色パターンの繰り返し配列を同一面上に形成する。
上記工程は、感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィ法により、高精度で安定的に量産することが可能であり、特に高精度の位置合わせ機構を有する露光機を使用して、ブラックマトリクス形成工程で通常は同時に基板上に形成するアライメントマークと露光用に使用するフォトマスクに設けたアライメントマークとの安定した適正な相対位置関係を再現することで、パターン全体の位置精度を保証することができる。
【0003】
基板上に形成するアライメントマークは、上記の目的に適うように、良好な形状であることが特に重要であり、アライメントマークの形状が崩れたりパターンの一部が欠けたりすると、次工程でのアライメントマーク読み取りエラーを引き起こし、合わせ精度に悪影響を与えたりアライメントの実施を妨げたりする。従って、形状の良好さを厳格に保ちたいアライメントマークにおいては、製造工程の要因で形状を悪化させることのないように、そのパターン設計に特別の工夫を盛り込むことも行われた(特許文献1参照)。また、カラーフィルタ製造の全工程が終了後に行うことの多いパターン形状の検査に先立って、ブラックマトリクスパターン形成直後または着色パターン形成前に、アライメントマークのパターン検査を特化して行うことにより、アライメントマークのパターン形状が不良の基板を早めに排除して、後の工程でアライメント不良を生じないように予防することが行われる。
【0004】
透明な平面基板上にカラーフィルタを製造する場合に、上記アライメントマークのパターン検査は、特定のパターンのみに対する一時的、限定的な検査であり、大掛かりな検査装置を用いて実施することは、製造工程にかける負荷のバランスを失するため、比較的簡単な形態で検査を行うことが望ましい。図3は、従来のアライメントマーク用パターン検査における検査対象基板の固定方法とカメラの位置調節方法を説明するための概念図であって、(a)は、全体の撮像状態を示す斜視図であり、(b)は、(a)中に示す一点鎖線A−A’に沿う断面図である。
【0005】
図3(a)において、平面基板1は検査対象となるパターン2を有し、本図では複数の検査対象となるパターン2を複数のカメラ3によって撮像することができる。複数のカメラ3は撮像距離調節部4によりそれぞれ独立に調節可能なカメラ高さを平面基板に対して設定できる。撮像距離調節部4は、ボールネジを使用してカメラ取り付け部分の高さ方向の動きをモーターで制御する。平面基板1は、基板クランプ5に縁辺部を挟まれた状態で固定されたままブロック矢印の方向に平行移動でき、カメラ3による撮像の領域を選択できる。また、図3(b)に断面図で示すように、基板クランプ5に縁辺部を挟まれた平面基板1は安定した移動を補助するために基板全体を支えて水平移動を円滑に行う搬送用コロ6に載置されたまま、図3(b)の紙面に垂直な方向を移動できる。
【0006】
なお、液晶表示装置等の平面表示装置に使用されるカラーフィルタは、対象とする表示
装置の大型化と製造コストの削減のための面付け処理の進展により、カラーフィルタ製造工程で取り扱うマザー基板のサイズが次第に大きくなってきている。また、平面表示装置の軽量化、薄型化の要請にともなって、基板の厚さが薄くなる方向にカラーフィルタの製造環境が変化している。上述の基板の大型化、薄型化により、平面基板1の縁辺部を基板クランプ5で挟んで固定する保持形態の場合は、先端部の断面形状により微妙に個体差が生じ易くしかも一定の圧力が加わる傾向のある基板クランプと、下支えと横送りを担う搬送用コロ6との間の基板端近傍で、基板が撓むことが避けられず、図3(b)に破線の長円で示すように、一定程度の撓み領域7が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−194110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、平面基板の固定状態での移動において、基板端近傍で基板が撓むことにより、通常は基板端近傍に配置され形状の良好さを厳格に保ちたいアライメントマークをパターン検査する際に、カメラと検査対象パターンとの撮像距離が不適切となり読み取りに最適な画像を入力できなくなることがある。上記のような場合は、平面基板の形状やアライメントマークの設計位置が今までより変化した時に、基板の撓み状態が変化することにより、従来の撮像距離では不適切となるために発生するものである。従って、新たな品種に切り替わって検査を開始する際に、オペレーターが、カメラ高さを独立に調節できる撮像距離調節部4を再調整することにより、不具合を回避してきた。しかし、新品種への切り替えが多くなると、上記の再調整作業は繁雑となり、作業負荷の増加や検査装置の稼働率低下に繋がるばかりでなく、再調整作業に付随して基板の汚染を生じる機会も増えるため、品質維持の面でも好ましくない。
【0009】
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を確実に順次検査するための簡単な方法を提供することである。特にカラーフィルタ基板のアライメントマークの検査に最適な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を順次検査する方法であって、1枚目の検査対象基板に対して、検査のためのカメラと検査対象となるパターンとの撮像距離を順次変化させて各撮像距離で撮像して合計で複数の画像情報を入力し、入力した複数の画像情報を予め登録してある登録画像情報と比較して、登録画像情報に最も類似した一画像情報を複数の画像情報の中から選択して、検査判定するとともに、選択した画像情報に対応する撮像距離をカメラ最適高さとして特定し、2枚目以降の平面基板上の同一箇所に形成された同一パターンの形状検査において、カメラ最適高さとした撮像距離で検査することを特徴とするパターン検査方法である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記平面基板が、平面表示装置用カラーフィルタ基板であり、前記同一パターンが、平面基板上に複数の層を積層する際に位置合わせのための指標として設けるアライメントマークであることを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記撮像距離を変化させて複数の画像情報を入力する際の対応する撮像距離を、規定した下限値と上限値との間で一定のピッチで刻む複数の値
とすることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン検査方法である。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記登録画像情報に最も類似した一画像の情報を複数の画像情報の中から選択する方法が、パターンの縦、横のサイズとパターン面積とパターン形状とを総合的に比較、判断して選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパターン検査方法である。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を順次検査する装置であって、複数の平面基板を基板供給部から順次検査部へ搬送し、検査部での処理後に基板収納部へ搬送収納する搬送機構と、検査部へ順次搬送される平面基板との撮像距離を可変としたカメラと、カメラからの入力画像情報を処理して検査判定する情報処理部と、を備えた検査機構と、1枚目の検査対象基板に対して、撮像距離を変えて複数の画像情報を入力し、一画像の画像情報を選択して対応する撮像距離を特定し、2枚目以降の平面基板上の同一箇所に対して、特定した撮像距離で順次検査を指示する制御機構と、を有することを特徴とするパターン検査装置である。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、前記平面基板が、平面表示装置用カラーフィルタ基板であり、前記同一パターンが、平面基板上に複数の層を積層する際に位置合わせのための指標として設けるアライメントマークであることを特徴とする請求項5に記載のパターン検査装置である。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、前記カメラが、ラインセンサカメラであって、一定の撮像距離を保ったまま検査部上で平面基板を定速運動させることにより画像情報の入力を行うことを特徴とする請求項5または6に記載のパターン検査装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、平面基板上の一定位置に設けた同一パターンの検査に対して、平面基板の保持の際の撓みが一定状態となることを利用して、1枚目の検査対象基板においては撮像距離を変えた複数の画像情報を入力し、登録画像情報と比較することにより適正な画像とその画像に対応する撮像距離を特定し、2枚目以降の検査においては前記特定した撮像距離を用いて検査する方法であるので、同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の同一箇所に形成された同一パターンの形状を確実に順次検査するための簡単な方法を提供することができる。特にカラーフィルタ基板のアライメントマークの検査に最適な方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のパターン検査方法の一例について、その主要な手順を説明するためのフロー図である。
【図2】本発明のパターン検査装置の一例について、その主要部を説明するための構成図である。
【図3】従来のアライメントマーク用パターン検査における検査対象基板の固定方法とカメラの位置調節方法を説明するための概念図であって、(a)は、全体の撮像状態を示す斜視図であり、(b)は、(a)の一点鎖線A−A’に沿う断面図である。
【図4】本発明のパターン検査方法において、複数画像の比較により撮像距離を決定する方法を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に従って、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明のパターン検査方法の一例について、その主要な手順を説明するためのフ
ロー図である。
【0020】
複数の平面基板上の同一箇所に形成された同一パターンの形状を順次検査する目的で、同一仕様の一群の平面基板が準備されており、それらの一群の平面基板より一枚の平面基板を保持して移動し、検査用カメラの視野内に検査対象パターンを捉える位置関係になるよう検査部に配置する(S1)。なお、上記の他の平面基板も同様に順次同一方法で保持して検査部に配置できる状態に待機しておく。また、以後の説明も含めて、検査用カメラと検査対象パターンとの関係は一対の場合のみで説明するが、複数のカメラと一基板上の複数の検査対象パターンとの関係であっても同様の処理を行うものとする。
【0021】
次に、検査部へ配置した基板が一群の平面基板の1枚目かどうかで以下の処理を変える(H1)。ここで、一群の平面基板とは、少なくとも仕様が同一で同一品種とされる平面基板群であることを指し、なおかつ、通常は、本発明のパターン検査法を連続して適用すべき検査ロットでまとまった群であることを意味する。但し、検査ロットが不連続であるために、同一品種でありながら異なる群として扱う場合は、通常は、新規の群とみなすことができるが、同一品種の中の先行する検査ロットからの情報を利用することもできるので、実用上の環境を考慮して、適宜対応することができる。以下の説明は、同一品種でありかつ同一検査ロットである通常の群について述べるが、上記特殊なケースであっても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適用することは容易に考えられる。
【0022】
1枚目の検査対象基板に対しては、検査のためのカメラと検査対象となるパターンとの撮像距離Lを順次変化させて各撮像距離で撮像する。そのための準備として、撮像距離Lと撮像画像番号nとを、それぞれ撮像距離の下限値aと第一の撮像距離で撮像した画像番号という意味の1とで初期化する(S2)。その後、設定された撮像距離にカメラの高さ位置を調節して撮像し、撮像画像番号nの画像情報Dnを後述の画像情報の比較評価による撮像距離特定化のための処理部に入力する(S3)。さらに引き続き、撮像距離を変化させて次の画像を撮像して入力するために、撮像画像番号nを一つ繰り上げ(S4)、撮像距離Lをnの増加分に対応して一回のピッチ量pだけ大きく(S5)する。上記(S3)から(S5)の処理を繰り返して、撮像距離Lの設定値を順次大きくしていき、合計で複数の画像情報を入力するが、Lの値が、予め決めておいた撮像距離の上限値bを超えた時点で、画像情報Dnの入力を終える(H2)。
【0023】
次に、前記入力した撮像距離特定化のための複数の順次撮像画像情報D1、D2、・・、Dn、・・を、予め登録してある登録画像情報D0と比較評価して、登録画像情報D0に最も類似した一つの撮像画像情報Dkを複数の順次撮像画像情報の中から選択する(S6)。登録画像情報D0は、過去に形成したパターンの中から、または設計上の理想状態を表すパターンから、検査対象となるパターンの望ましい形状を示す情報を入力した画像情報である。
【0024】
前記登録画像情報D0の類似画像情報として選択された撮像画像情報Dkは、別途後述の検査機構において検査対象パターンとして検査され、良否判定される(S7)。良否判定の結果に従って、基板収納先を区別したり、特別のマーキングを加えたり、結果リストを出力することは、通常の検査における手段と同様であり、後述の2枚目以降の基板に対する通常検査での良否判定(S11)結果の取り扱いも同様であるが、説明は省略する。
【0025】
一方、前記選択された撮像画像情報Dkに対応する撮像距離L=a+(k−1)pをカメラ最適高さとして特定し(S8)、検査部からの基板の撤収(S9)を行う。前記新たに特定されたカメラ最適高さとしての撮像距離Lは、以後の同一検査ロットの2枚目以降の基板上の対象パターン検査において、固定した撮像条件の一つとして適用される。
【0026】
次に、検査部からの基板の撤収(S9)を行った基板が同一検査ロット内の最終かどうかの判断(H3)を行い、最終でなければ、対象基板を1つ繰り上げて(S10)、新たな基板について検査部への基板配置(S1)を行い、再び検査を続ける。しかし、2枚目以降の基板に対しては、(H1)の判定により、前記固定したカメラ最適高さとしての撮像距離Lを用いて、通常検査を行うことができる(S11)。通常検査では、1枚目の(S7)と同様に、撮像した画像情報を別途後述の検査機構において検査対象パターンとして検査し、良否判定する。その後、検査部からの基板撤収を行い(S9)、以後、対象基板を1つずつ繰り上げて次々に検査ロット内の基板をパターン検査にかけるが、最終基板であることを確認すれば(H3)、終了する。
【0027】
上述した本発明のパターン検査方法は、同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を確実に順次検査するための簡単な方法を提供することができる。平面基板1の縁辺部を基板クランプ5で挟んで固定する保持形態の場合は、先端部の断面形状により微妙に個体差が生じ易くしかも一定の圧力が加わる傾向のある基板クランプと、下支えと横送りを担う搬送用コロ6との間の基板端近傍で、基板が撓む。しかし、同一の基板クランプ5の組み合わせにより順次検査対象として検査部に配置される同一仕様の基板の撓み方は略同様となるため、検査ロットの1枚目で、撮像された画像情報に基いて撮像距離Lを特定すれば、2枚目以降の平面基板に対しても妥当な撮像距離とみなせる。また、平面基板の具体的な保持方法が上記の例とは異なる場合であっても、検査ロットの範囲で同一方法の保持を行う場合には、上記の例と同様に、検査ロットの1枚目で、撮像された画像情報に基いて撮像距離Lを特定すれば、2枚目以降の平面基板に対しても妥当な撮像距離とみなせることは容易に想定できる。
【0028】
特に平面表示装置用のカラーフィルタ基板の製造において複数の層を積層する際に位置合わせのための指標として設けるアライメントマークの検査に本発明の方法を適用することは、そのパターン位置が、通常は平面基板の基板端近傍で基板が撓み易い位置に設けることが多い上、パターン形状は他の層との位置合わせのための基本的な指標となる役割により格別の精度が要求されるため、最も相応しい。
【0029】
また、本発明のパターン検査方法の一例として、1枚目の基板を用いて以後にも適用する撮像距離を決めるための手順として、撮像距離Lを変化させて複数の画像情報を入力する際の対応する撮像距離を、規定した下限値aと上限値bとの間で一定のピッチpで刻む複数の値とした。例えば上記とは全く異なり、ランダムなL値の列を予め設定しておいて順次異なるL値に対応する画像情報を入力する方法も可能ではある。とはいえ、上記のように一定の規則性を有するL値の決め方を採用する方が、設定方法が簡単である上、複数の画像情報の変化の傾向が分かり易くなるので、異常な選択等が生じた場合にもその異常を発見し易い。上記下限値a、上限値b、ピッチpの具体的な値は、カメラの特性や検査対象パターンのサイズや検査を実施する系全体の配置等により決められるが、例えばピッチpとしては、0.1mm程度の刻みで行うことができる。
【0030】
また、登録画像情報D0に最も類似した一画像の情報Dkを複数の画像情報D1、D2、・・、Dn、・・の中から選択する方法は、特に限定されないが、例えば、パターンの縦、横のサイズとパターン面積とパターン形状とを、一般的な画像認識の手法を用いて、総合的に比較、判断して選択することができる。撮像距離Lを変えて入力した画像情報が、パターンのサイズや面積を変えたり、焦点ボケによるパターン輪郭線の不鮮明さやパターンコーナー部の曲率の変化となって現れるからである。
【0031】
図4は、本発明のパターン検査方法において、複数画像の比較により撮像距離を決定する方法を説明するための概念図である。登録画像の画像情報D0を、後述する検査装置の制御機構30に含まれる撮像距離特定化のための処理部31に一つのフォルダとして予め
入力しておく。また、本発明の検査手順に従って、順次撮像画像の画像情報D1、D2、・・、Dn、・・を同様に単独のフォルダ形式で入力し、上記撮像距離特定化のための処理部31において、登録画像の画像情報D0との類似性を比較評価する。上述の各種要素を総合的に比較、判断して選択することにより、類似画像判断が可能となる。図に示す例では、最も類似性が高いと判断した画像を○で、その他の画像を×で表現することができる。その結果、最も類似性の高い画像情報Dkを選択し、画像情報Dkを撮像した条件の撮像距離L=a+(k−1)p を本検査における以後の撮像距離Lとして改めて登録することができる。
【0032】
図2は、本発明のパターン検査装置の一例について、その主要部を説明するための構成図である。
本発明のパターン検査装置は、同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を順次検査する装置であって、複数の平面基板を基板供給部11から順次検査部12へ搬送し、検査部での処理後に基板収納部13へ搬送収納する搬送機構10と、検査部12へ順次搬送される平面基板との撮像距離を可変としたカメラ21と、カメラからの入力画像情報を処理して検査判定する情報処理部22と、を備えた検査機構20と、1枚目の検査対象基板に対して、撮像距離を変えて複数の画像情報を入力し、一画像の画像情報を選択して対応する撮像距離を特定するための処理部31、を備え、2枚目以降の平面基板上の同一箇所に対して、特定した撮像距離で順次検査を指示する制御機構30と、を有することを特徴とする。
【0033】
前記搬送機構10は、例えば前述の図3に示したように、基板クランプ5と搬送用コロ6を備えて、搬送用コロ6上を平面基板1の縁辺部を基板クランプ5で挟んだ状態で固定して、検査部12の領域内の平面基板をブロック矢印の方向に平行移動することができる。また、基板供給部11と基板収納部13は、平面基板の移動方向に平行な両側の縁辺部の下面を水平に支える突起を多段に有するカセット等が使用できる。カセットからの基板の出し入れには、カセットの上下動の機構や簡単なロボットアーム等を利用することができる。また、基板供給部11および基板収納部13が検査部12とつながる部分は通常利用される各種のコンベヤを用いることができる。なお、基板収納部13は、検査終了後に平面基板が戻る収納先であり、基板供給部11と兼ねたり、検査結果により複数の収納先に振り分けることができる。さらに、基板供給部11および基板収納部13は、カセットの形態でなく、前後の工程に配置される装置に直接繋げて、直接的な供給元と収納先とすることができる。
【0034】
前記検査機構20は、公知の検査機構を利用することが可能である。カメラ21の高さを制御して撮像距離を可変とするために、ボールネジを使用してカメラ取り付け部分の高さ方向の動きをモーターで制御することができる。カメラ21から入力した画像情報を情報処理部22で通常の各種画像処理ソフトを使って、欠陥の認識を行うことにより、良否判定することができる。カメラ21に関しては、エリアセンサによりパターン画像を同時に捉えることもできるが、ラインセンサカメラを用いて一定の撮像距離を保ったまま検査部上で平面基板を定速移動させることにより、逐次画像情報の入力を行うことができる。但し、撮像距離特定化のための1枚目の複数画像情報入力にあっては、複数段階の撮像距離での撮像に対応して、検査部とカメラとの平面位置関係を往復移動させることが必要である。ラインセンサカメラは、例えばCCD素子を横一列に並べた撮像装置を、平面基板の移動方向と垂直な方向に素子の並びが向くように配置し、エリアセンサカメラより短い露光時間で高解像度の画像を撮影できる。撮影中の基板の安定動作を搬送機構の動きで保証する必要はあるが、アライメントマーク等の比較的単純な形状のパターンを高精度で読み取る手段として適している。
【0035】
本発明のパターン検査装置は、主要な構成要素となる制御機構30に特色を有するもの
である。すなわち、制御機構30は、1枚目の検査対象基板に対して、撮像距離を変えて複数の画像情報を入力し、複数の画像情報の中から一画像の画像情報を選択し、選択した画像情報を撮像した際の対応する撮像距離を特定するための処理部31を備えている。また、2枚目以降の平面基板上の同一箇所に対する検査において、撮像距離を前記特定した撮像距離に固定して、各平面基板の検査を順次指示する。
【0036】
処理部31が行う機能、すなわち、1枚目の検査対象基板に対して、撮像距離を変えて複数の画像情報を入力し、複数の画像情報の中から一画像の画像情報を選択し、選択した画像情報を撮像した際の対応する撮像距離を特定する機能は、前述の本発明のパターン検査方法について説明した手順で実施でき、その実施のための記憶と論理演算と入出力のための回路または部品を前記処理部31に有する。
【0037】
上述した本発明のパターン検査装置は、同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を確実に順次検査するための簡単な装置を提供することができる。特に平面表示装置用のカラーフィルタ基板の製造において複数の層を積層する際に位置合わせのための指標として設けるアライメントマークの検査に本発明の装置を適用することは、そのパターン位置が、通常は平面基板の基板端近傍で基板が撓み易い位置に設けることが多い上、パターン形状は他の層との位置合わせのための基本的な指標となる役割により格別の精度が要求されるため、最も相応しい。
【符号の説明】
【0038】
1 平面基板
2 検査対象となるパターン
3 カメラ
4 撮像距離調節部
5 基板クランプ
6 搬送用コロ
7 撓み領域
10 搬送機構
11 基板供給部
12 検査部
13 基板収納部
20 検査機構
21 カメラ
22 情報処理部
30 制御機構
31 撮像距離特定化のための処理部
D0 登録画像情報
D1、D2、・・、Dn、・・ 撮像距離特定化のための順次撮像画像情報
Dk 登録画像情報の類似画像情報と選択された撮像画像情報
L 撮像距離
a 撮像距離の下限値
b 撮像距離の上限値
p 撮像距離を変化させる場合のピッチ量
n 撮像画像番号
k 最適画像番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を順次検査する方法であって、
1枚目の検査対象基板に対して、検査のためのカメラと検査対象となるパターンとの撮像距離を順次変化させて各撮像距離で撮像して合計で複数の画像情報を入力し、入力した複数の画像情報を予め登録してある登録画像情報と比較して、登録画像情報に最も類似した一画像の情報を複数の画像情報の中から選択して、検査判定するとともに、選択した画像情報に対応する撮像距離をカメラ最適高さとして特定し、
2枚目以降の平面基板上の同一箇所に形成された同一パターンの形状検査において、カメラ最適高さとした撮像距離で検査することを特徴とするパターン検査方法。
【請求項2】
前記平面基板が、平面表示装置用カラーフィルタ基板であり、前記同一パターンが、平面基板上に複数の層を積層する際に位置合わせのための指標として設けるアライメントマークであることを特徴とする請求項1に記載のパターン検査方法。
【請求項3】
前記撮像距離を変化させて複数の画像情報を入力する際の対応する撮像距離を、規定した下限値と上限値との間で一定のピッチで刻む複数の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン検査方法。
【請求項4】
前記登録画像情報に最も類似した一画像の情報を複数の画像情報の中から選択する方法が、パターンの縦、横のサイズとパターン面積とパターン形状とを総合的に比較、判断して選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパターン検査方法。
【請求項5】
同一仕様で形成され同一方法で保持された複数の平面基板上の、同一箇所に形成された同一パターンの形状を順次検査する装置であって、
複数の平面基板を基板供給部から順次検査部へ搬送し、検査部での処理後に基板収納部へ搬送収納する搬送機構と、
検査部へ順次搬送される平面基板との撮像距離を可変としたカメラと、カメラからの入力画像情報を処理して検査判定する情報処理部と、を備えた検査機構と、
1枚目の検査対象基板に対して、撮像距離を変えて複数の画像情報を入力し、一画像の画像情報を選択して対応する撮像距離を特定し、2枚目以降の平面基板上の同一箇所に対して、特定した撮像距離で順次検査を指示する制御機構と、
を有することを特徴とするパターン検査装置。
【請求項6】
前記平面基板が、平面表示装置用カラーフィルタ基板であり、前記同一パターンが、平面基板上に複数の層を積層する際に位置合わせのための指標として設けるアライメントマークであることを特徴とする請求項5に記載のパターン検査装置。
【請求項7】
前記カメラが、ラインセンサカメラであって、一定の撮像距離を保ったまま検査部上で平面基板を定速運動させることにより画像情報の入力を行うことを特徴とする請求項5または6に記載のパターン検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−220439(P2012−220439A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89114(P2011−89114)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】