説明

パーティクル分布解析支援方法及びその方法を実施するためのプログラムを記録した記録媒体

【課題】1枚の対象基板の測定結果だけで,パーティクル分布が異常か否かを極めて容易に判定できるようにする。
【解決手段】パーティクル分布解析を行う対象基板について,その基板上のパーティクル座標データからパーティクル相互間距離についてのヒストグラムデータを作成するとともに,その対象基板上のパーティクルと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた複数枚の仮想基板について,パーティクル相互間距離のヒストグラムデータを作成する。これら対象基板と各仮想基板のヒストグラムデータ群との差異に基づいて,対象基板のヒストグラムデータについて仮想基板のランダムなヒストグラムデータ群からの距離を数値化した判定データを算出して表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,基板処理装置で処理される基板上のパーティクル分布解析を支援する方法及びその方法を実施するためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ,液晶基板,太陽電池用基板などの基板に所定の処理を施す基板処理装置においては,特定の搬送処理やプロセス処理を行った基板上のパーティクル(異物)を測定し,その測定結果に基づいて,その装置の性能を評価することが行われている。
【0003】
このようなパーティクル測定結果としては,パーティクルの数やサイズ(粒径),基板上のパーティクル分布などがある。これらの測定結果は,装置固有の情報(装置の形状,使用ガス,搬送経路,搬送方法など)とともに解析され,装置やプロセスの異常の種類や原因を究明するために用いられる。
【0004】
これらのパーティクルの測定結果のうち,パーティクル分布は自然状態ではランダムな分布に近く,装置やプロセスの異常など特異的な原因があると,基板上のパーティクル分布に偏りが発生する傾向があるため,このパーティクル分布の異常を判定することによって異常の有無を判定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−98123号公報
【特許文献2】特開平10−326812号公報
【特許文献3】特開2009−68946号公報
【特許文献4】特開2008−78392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,パーティクル分布は,その他の測定結果(サイズや数など)に比べて解析も容易ではなく,その特徴も非常に分かり難いので,異常か否かの判定も難しいという問題があった。従って,パーティクル分布の解析や異常判定には装置やプロセスに関する高度な知識と経験が必要であり,人によって判定結果にばらつきが発生する場合もあった。
【0007】
このため,従来はパーティクルの測定結果のうち,専らパーティクルの数やサイズ,成分などに注目して解析が行われており(例えば上記特許文献1,2参照),パーティクル分布が異常か否かについての解析手法は確立されていないのが現状である。
【0008】
なお,基板上のパーティクル分布ではなく,欠陥の分布については,従来より解析手法も開発されている(例えば上記特許文献3,4)。ところが,これらはいずれも解析の対象となる基板以外にそれと比較や分類するために他の基板(例えば正常な基板など)のパーティクル測定結果も必要となり,例えば対象基板1枚分の測定結果だけで,そのパーティクル分布の異常を判定することはできない。
【0009】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,1枚の対象基板の測定結果だけで,パーティクル分布が異常か否かを極めて容易に判定できるパーティクル分布解析支援方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,基板上のパーティクル分布解析を支援する方法であって,前記パーティクル分布解析を行う対象基板について,その基板上のパーティクル座標データからすべてのパーティクルについてそれぞれの相互間距離を求め,そのパーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを作成して記憶部に記憶する対象基板データ作成ステップと,前記対象基板上のパーティクルと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた複数枚の仮想基板について,これらの基板上のパーティクル座標データから前記パーティクル相互間距離を求め,そのパーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを前記仮想基板の枚数分だけ作成して前記記憶部に記憶する仮想基板データ作成ステップと,前記対象基板のヒストグラムデータと前記各仮想基板のヒストグラムデータについて,前記仮想基板のヒストグラムデータ群の平均との差異を表す差異データを作成して前記記憶部に記憶する差異データ作成ステップと,前記対象基板と前記各仮想基板の前記差異データに基づいて,前記対象基板のヒストグラムデータについての前記仮想基板のヒストグラムデータ群からの距離を数値化した判定データを算出して前記記憶部に記憶する判定データ作成ステップと,前記判定データを表示部に表示する表示ステップと,を有することを特徴とするパーティクル分布解析支援方法が提供される。
【0011】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板上のパーティクル分布解析を支援する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって,前記パーティクル分布解析支援処理は,前記パーティクル分布解析を行う対象基板について,その基板上のパーティクル座標データからすべてのパーティクルについてそれぞれの相互間距離を求め,そのパーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを作成して記憶部に記憶する対象基板データ作成ステップと,前記対象基板上のパーティクルと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた複数枚の仮想基板について,これらの基板上のパーティクル座標データから前記パーティクル相互間距離を求め,そのパーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを前記仮想基板の枚数分だけ作成して前記記憶部に記憶する仮想基板データ作成ステップと,前記対象基板のヒストグラムデータと前記各仮想基板のヒストグラムデータについて,前記仮想基板のヒストグラムデータ群の平均との差異を表す差異データを作成して前記記憶部に記憶する差異データ作成ステップと,前記対象基板と前記各仮想基板の前記差異データに基づいて,前記対象基板のヒストグラムデータについての前記仮想基板のヒストグラムデータ群からの距離を数値化した判定データを算出して前記記憶部に記憶する判定データ作成ステップと,前記判定データを表示部に表示する表示ステップと,を有することを特徴とする記録媒体が提供される。
【0012】
このような本発明によれば,対象基板のパーティクル分布について,仮想基板のランダムなパーティクル分布からの統計的な距離を数値化することによって,対象基板のパーティクル分布が異常か否かを極めて容易に判定でき,ひいては異常原因究明の作業効率を向上させることができる。これにより,装置やプロセスに関する高度な知識と経験がなくても異常判定を行うことができ,その判定結果のばらつきも防止できる。また,パーティクル分布の特徴が出やすいパーティクル相互間距離のヒストグラムデータを用いてパーティクル分布を定量化するので,判定精度を効果的に高めることができる。
【0013】
また,対象基板のパーティクル測定結果が分かれば,そのパーティクル座標データからパーティクル相互間距離のヒストグラムを作成し,それと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた複数の仮想基板についてのパーティクル相互間距離のヒストグラムを作成することができ,これらを用いて差異データや判定データを作成することができる。このように,本発明によれば,対象基板以外のパーティクル測定結果がなくても,1枚の対象基板のパーティクル測定結果だけで,パーティクル分布の異常判定をするための判定データを作成できる。
【0014】
上記差異データ作成ステップは,前記仮想基板のヒストグラムデータ群について,各階級における頻度の平均値と標準偏差を算出するステップと,前記対象基板と前記仮想基板のヒストグラムデータについての各階級における頻度を,前記仮想基板のヒストグラムデータ群についての前記平均値と前記標準偏差で標準化して前記記憶部に記憶するステップと,前記対象基板及び前記仮想基板について標準化した前記各ヒストグラムデータから,頻度の符号反転数及び二乗和平方根を算出するステップと,前記仮想基板の標準化したヒストグラムデータ群について,前記符号反転数及び前記二乗和平方根の平均値と標準偏差を算出するステップと,前記対象基板及び前記仮想基板の標準化した全ヒストグラムデータについての前記符号反転数及び前記二乗和平方根を,前記全仮想基板についての前記平均値と前記標準偏差で標準化し,これらを前記差異データとして前記記憶部に記憶するステップと,を有するようにしてもよい。これによれば,仮想基板のヒストグラムデータ群についての平均値と標準偏差で標準化することによって,パーティクル数や基板の大きさに依存しないヒストグラムデータや差異データを作成することができる。
【0015】
また,上記判定データ作成ステップは,前記差異データから,マハラノビスの距離を算出し,これらを判定データとして前記記憶部に記憶するようにしてもよい。これにより,判定データを判定し易い数値で表すことができる。この場合,前記表示ステップは,前記判定データを前記表示部に表示し,前記判定データが予め設定された閾値以上の場合はさらにその判定データが異常であることを示す表示をすることが好ましい。これによれば,パーティクル分布に異常があるか否かを一見して判定できる。
【0016】
また,上記表示ステップは,前記パーティクル相互間距離について算出された前記対象基板及び前記全仮想基板についての前記符号反転数の差異データと,前記パーティクル相互間距離について算出された前記対象基板及び前記全仮想基板についての前記二乗和平方根の差異データとをそれぞれ,縦軸と横軸のいずれかにとって前記各差異データをグラフ化したものを前記表示部に表示するようにしてもよい。また,上記表示ステップは,前記パーティクル位置の動径について算出された前記対象基板及び前記全仮想基板についての前記二乗和平方根の差異データと,前記パーティクル位置の偏角について算出された前記対象基板及び前記全仮想基板についての前記二乗和平方根の差異データとをそれぞれ,縦軸と横軸のいずれかにとって前記各差異データをグラフ化したものを前記表示部に表示するようにしてもよい。これによれば,視覚的にもパーティクル分布に異常があることを容易に判定できる。また,対象基板の差異データが仮想基板の差異データからどのくらい離れているかについても視覚的に判定できる。
【0017】
また,上記表示ステップは,前記パーティクル相互間距離について算出された,前記全仮想基板のヒストグラムデータについての各階級の頻度の平均をとった前記仮想基板の平均ヒストグラムと前記対象基板のヒストグラムとをそれぞれ重ねて前記表示部に表示してもよい。また,上記表示ステップは,前記パーティクル位置の動径について算出された,前記全仮想基板のヒストグラムデータについての各階級の頻度の平均をとった前記仮想基板の平均ヒストグラムと前記対象基板のヒストグラムとをそれぞれ重ねて前記表示部に表示してもよい。また,上記表示ステップは,前記パーティクル位置の偏角について算出された,前記全仮想基板のヒストグラムデータについての各階級の頻度の平均をとった前記仮想基板の平均ヒストグラムと前記対象基板のヒストグラムとをそれぞれ重ねて前記表示部に表示してもよい。これらによれば,仮想基板の平均ヒストグラムと対象基板のヒストグラムとの差異を視覚的に判定することができる。
【0018】
また,上記表示ステップは,前記パーティクル位置の動径について算出された,前記対象基板のヒストグラムデータの各階級うち,前記全仮想基板のヒストグラムデータの平均からの頻度の差異が大きい順に,1又は複数の階級の動径を前記パーティクル座標データのマップに重ねて前記表示部に表示してもよい。また,上記表示ステップは,前記パーティクル位置の偏角について算出された,前記対象基板のヒストグラムデータの各階級うち,前記全仮想基板のヒストグラムデータの平均からの頻度の差異が大きい順に,1又は複数の階級の偏角を前記パーティクル座標データのマップに重ねて前記表示部に表示してもよい。これによれば,基板上のどの部分にパーティクル分布の異常があるか一見して判定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば,1枚の対象基板のパーティクル測定結果だけで,そのパーティクル分布の解析結果を数値化できるので,特に専門的な知識や経験がなくても,パーティクル分布が異常か否かを極めて容易に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態にかかるパーティクル分布を解析する基板の処理を行う基板処理装置の構成例を示す断面図である。
【図2】同実施形態におけるパーティクル分布解析支援装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】パーティクル分布の具体例を示す図である。
【図4】パーティクル座標を直交座標で表したときのパーティクル座標データを説明するための図である。
【図5】パーティクル相互間距離を説明するための図である。
【図6】対象基板データの作成要領を説明するための図である。
【図7】仮想基板データの作成要領を説明するための図である。
【図8】対象基板と仮想基板のヒストグラムの差異データの作成要領を説明するための図である。
【図9】パーティクル相互間距離についての解析結果の表示例を示す図である。
【図10】パーティクル座標を極座標で表したときのパーティクル座標データを説明するための図である。
【図11】パーティクル位置の動径と偏角についての解析結果の表示例を示す図である。
【図12】パーティクル位置の動径と偏角についての順位マップの具体例を示す図である。
【図13】同実施形態にかかるパーティクル分布解析支援処理を示すメインルーチンのフローチャートである。
【図14】図13に示す対象基板データ作成処理の具体例を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図15】図13に示す仮想基板データ作成処理の具体例を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図16】図13に示す差異データ作成処理の具体例を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図17】図13に示す判定データ作成処理の具体例を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図18】図13に示す解析結果の表示処理の具体例を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図19】対象基板のパーティクル相互間距離とヒストグラムデータの例を示す図である。
【図20】仮想基板のパーティクル相互間距離とヒストグラムデータの例を示す図である。
【図21】パーティクル相互間距離についての標準化ヒストグラムデータと差異データの例を示す図である。
【図22A】パーティクル相互間距離についての標準化差異データの例を示す図である。
【図22B】パーティクル位置の動径についての標準化差異データの例を示す図である。
【図22C】パーティクル位置の偏角についての標準化差異データの例を示す図である。
【図23】パーティクル分布の解析結果の他の表示例を示す図である。
【図24A】パーティクル分布の解析結果の具体例であって,異常がない場合の判定データの具体例を説明するための図である。
【図24B】図24Aの例についての差異マップを示す図である。
【図25A】パーティクル分布の解析結果の具体例であって,異常がある場合の判定データの具体例を説明するための図である。
【図25B】図25Aの例についての差異マップを示す図である。
【図25C】図25Aの例についての順位マップを示す図である。
【図25D】図25Cの順位マップから分かる異常部分を示す図である。
【図26】パーティクル分布が特徴的な偏りとなる4つの分布パターンを示す図である。
【図27】図26の分布パターンについて作成した差異マップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
(基板処理装置の構成例)
まず,本発明にかかるパーティクル分布解析支援方法で解析する基板の処理を行う基板処理装置について図面を参照しながら説明する。図1は,基板処理装置の概略構成を示す断面図である。この基板処理装置100は,半導体ウエハである基板Wに対して所定のプロセス処理を行う複数(ここでは6つ)のプラズマ処理装置PM〜PMを備える処理ユニット110と,この処理ユニット110に対して大気圧雰囲気中で基板Wを搬出入させる搬送ユニット120と,基板処理装置100全体の動作を制御する制御部170とを備える。
【0023】
ここでの各プラズマ処理装置PM〜PMはプラズマエッチング装置として構成した場合を例に挙げる。各プラズマ処理装置PM〜PMはそれぞれ同様に構成される。すなわち処理室210を備え,その内部に配置した基板W上に処理ガスのプラズマを生起して基板表面にプラズマエッチング処理を施すように構成される。
【0024】
なお,図1に示す基板処理装置100は,プラズマ処理装置を6つ設けた場合を例に挙げているが,これに限定されるものではなく,5つ以下のプラズマ処理装置を備えたものであってもよい。また,図1に示す基板処理装置100には,必ずしも同様のプラズマ処理装置を設けなくてもよく,エッチング以外のプロセス処理を行う処理装置(例えば熱処理装置,成膜装置など)を設けてもよい。
【0025】
上記搬送ユニット120の搬送室130は,例えばNガス等の不活性ガスや清浄空気が循環される断面略矩形状の箱体により構成されている。搬送室130の一側面には,複数のカセット台132A〜132Cが並設されている。これらカセット台132A〜132Cには,カセット容器134A〜134Cを載置される。搬送室130には,基板Wの投入口としての3つのロードポート136A〜136Cが各カセット台132A〜132Cに対応するように設けられている。
【0026】
図1では,例えば各カセット台132A〜132Cに3台のカセット容器134A〜134Cをそれぞれ1つずつ載置することができる例を挙げているが,カセット台とカセット容器の数はこれに限られず,例えば1台又は2台であってもよく,また4台以上設けてもよい。
【0027】
各カセット容器134A〜134Cには,少なくとも1ロット分(例えば25枚)以上の基板Wを等ピッチで多段に載置して収容できるようになっており,内部は例えばNガス雰囲気で満たされた密閉構造となっている。そして,搬送室130はその内部へロードポート136A〜136Cを介して基板Wを搬出入可能に構成されている。
【0028】
搬送室130内には,例えば屈伸・昇降・旋回可能に構成された多関節アームよりなる搬送ユニット側搬送機構160が設けられている。この搬送ユニット側搬送機構160は,基板Wをその長手方向(図1に示す矢印方向)に沿ってスライド移動しながら搬送するように構成されている。具体的には搬送ユニット側搬送機構160は基台162上に固定され,この基台162は搬送室130内の中心部を長手方向に沿って設けられた図示しない案内レール上を例えばリニアモータ駆動機構によりスライド移動可能に構成されている。搬送ユニット側搬送機構160は例えば図1に示すような2つのピックを備えるダブルアーム機構であってもよく,また1つのピックを備えるシングルアーム機構であってもよい。
【0029】
搬送室130の一端部には,パーティクル測定室(Particle Monitor)135が配設されている。パーティクル測定室135では,基板W上のパーティクルの分布,個数,サイズを測定できるように構成されている。本発明ではこれらのうちパーティクル分布について解析するものである。
【0030】
パーティクル測定室135は,基板Wを載置する回転自在な載置台135aと,基板Wへ向けてレーザ光を照射する光源135bと,光源135bから照射されて基板W上で散乱した散乱光を受光する受光部135cと,この受光部135cで受光した受光信号を処理する信号処理部135dとを備える。
【0031】
これら光源135b,受光部135c,信号処理部135dは光学系ユニットとして構成され,光学系ユニットごと基板Wの半径方向へ移動可能に構成されている。これにより,載置台135aに基板Wを保持して回転しながら光学系ユニットを基板Wの中心から端部までの間で移動することによって,基板Wの表面全体のパーティクルを測定できる。
【0032】
信号処理部135dは制御部170に接続される。これにより,制御部170は信号処理部135dを介して基板W上のパーティクルに関するデータ(例えばピクセルデータ)を受信する。制御部170は,受信したデータに基づいて基板表面上のパーティクル座標データ(パーティクルマップ)を作成し,測定結果記憶部174に記憶する。ここでのパーティクルマップは,パーティクル座標データをマップ化したものである。なお,パーティクル測定室135の構成は,上述したものに限られるものではない。
【0033】
搬送室130の他端部には,基板Wの位置決め装置としてのオリエンタ(プリアライメントステージ)137が設けられている。オリエンタ137は,例えば内部に回転載置台138と基板Wの周縁部を光学的に検出する光学センサ139とを備え,基板Wのオリエンテーションフラットやノッチ等を検出して位置合せを行う。
【0034】
次に,処理ユニット110の構成例について説明する。本実施形態にかかる基板処理装置100がクラスタツール型であることから,処理ユニット110は図1に示すように,断面多角形(例えば六角形)に形成された共通搬送室112を備える。共通搬送室112の周囲には各プラズマ処理装置PM〜PMが各ゲートバルブ240を介して接続されている。
【0035】
また,共通搬送室112の周囲には,第1,第2ロードロック室114M,114Nの先端がそれぞれゲートバルブ(真空圧側ゲートバルブ)240を介して接続されており,第1,第2ロードロック室114M,114Nの基端は,それぞれゲートバルブ(大気圧側ゲートバルブ)118を介して搬送室130における断面略多角形状の長辺を構成する他側面に接続されている。
【0036】
共通搬送室112は,その内部を所定の真空圧力に制御できるように構成されており,プラズマ処理装置PM〜PMの各処理室210間,又は各処理室210と各第1,第2ロードロック室114M,114Nとの間で基板Wを搬出入する機能を有する。
【0037】
第1,第2ロードロック室114M,114Nは,基板Wを一時的に保持して圧力調整後に,次段へパスする機能を有している。第1,第2ロードロック室114M,114Nの内部にはそれぞれ,基板Wを載置可能な受渡台116が設けられている。
【0038】
共通搬送室112内には,例えば屈伸・昇降・旋回可能に構成された多関節アームよりなる処理ユニット側搬送機構150が設けられている。処理ユニット側搬送機構150は,2つのピック152A,152Bを有しており,一度に2枚の基板Wを取り扱うことができるようになっている。
【0039】
処理ユニット側搬送機構150は基台154に回転自在に支持されている。基台154は,共通搬送室112内の基端側から先端側にわたって配設された案内レール156上を例えば図示しないスライド駆動用モータによりスライド移動自在に構成されている。なお,基台154には例えばアーム旋回用のモータなどの配線を通すためのフレキシブルアーム158が接続されている。
【0040】
このように構成された処理ユニット側搬送機構150によれば,この処理ユニット側搬送機構150を案内レール156に沿ってスライド移動させることにより,第1,第2ロードロック室114M,114N及びプラズマ処理装置PM〜PMの各処理室210にアクセス可能となる。例えば処理ユニット側搬送機構150を第1,第2ロードロック室114M,114N及び対向配置されたプラズマ処理装置PM,PMの各処理室210にアクセスさせる際には,処理ユニット側搬送機構150を案内レール156に沿って共通搬送室112の基端側寄りに位置させる。
【0041】
また,処理ユニット側搬送機構150を他の4つのプラズマ処理装置PM,PM,PM,PMの各処理室210にアクセスさせる際には,処理ユニット側搬送機構150を案内レール156に沿って共通搬送室112の先端側寄りに位置させる。これにより,1つの処理ユニット側搬送機構150により,共通搬送室112に接続されているすべての処理室210と第1,第2ロードロック室114M,114Nにアクセス可能となる。
【0042】
なお,処理ユニット側搬送機構150の構成は上記のものに限られず,2つの搬送機構によって構成してもよい。すなわち,共通搬送室112の基端側寄りに屈伸・昇降・旋回可能に構成された多関節アームよりなる第1搬送機構を設けるとともに,共通搬送室112の先端側寄りに屈伸・昇降・旋回可能に構成された多関節アームよりなる第2搬送機構を設けるようにしてもよい。また,処理ユニット側搬送機構150のピックの数は,2つに限られることはなく,例えば1つのみとしてもよい。
【0043】
上記各プラズマ処理装置PM〜PM,オリエンタ137,パーティクル測定室135,搬送機構150,160など各部は,制御部170からの制御信号に基づいて制御される。制御部170は,所定のプログラムに基づいて各部を制御することによって,基板の処理を実行するようになっている。
【0044】
制御部170は,オペレータによる種々のデータの入出力などを行うための入出力部172,基板を処理するための処理条件(処理レシピ),上記パーティクル測定室135で測定したパーティクル座標データ(パーティクルマップ)などのデータを記憶する測定結果記憶部174を備える。制御部170には上記の他,図示はしないが,基板処理装置100の各部を制御するためのコントローラなどを備える。
【0045】
コントローラには,搬送機構150,160,オリエンタ137のコントローラの他,各部の制御を行うコントローラも含まれる。なお,プラズマ処理装置PM〜PMの各部の制御は,プラズマ処理装置PM〜PMごとに制御部を設けて制御するようにしてもよい。この場合には上記制御部170は,プラズマ処理装置PM〜PMの制御部と接続し,データや信号のやり取りを行いながら基板処理装置100を制御する。
【0046】
入出力部172は,例えばキーボードやマウス,又はタッチパネルなどの入力部,各種の情報を表示出力するためのディスプレイなどで構成される表示部,フロッピー(登録商標)ディスク,CD−ROMなどの記録媒体を読み書きするためのドライブ装置などを備える。
【0047】
このような構成の基板処理装置100において,基板のパーティクルを測定する場合には,その対象基板をパーティクル測定室135に搬送して載置台135aに載置する。そして,パーティクル測定室135において,載置台135aに基板Wを保持して回転しながら光学系ユニットを基板Wの中心から端部までの間で移動することによって,基板Wの表面全体のパーティクルを測定する。そのとき測定されたパーティクルに関するデータ(例えばピクセルデータ)は制御部170に送信され,制御部170によってパーティクル座標データ(パーティクルマップ)が作成され,測定結果記憶部174に記憶される。
【0048】
なお,測定結果記憶部174は,必ずしも制御部170に設けられる必要はなく,制御部170にネットワークを介して接続したデータ処理用のコンピュータであるデータ処理装置(例えばAGC(アドバンスド・グループ・コントローラ)に設けるようにしてもよい。この場合には,制御部170は,基板処理装置100で測定されたパーティクルに関するデータ(パーティクル座標データなど)をネットワークを介してデータ処理装置に送信し,データ処理装置は受信したデータをハードディスクなどの記憶装置の測定結果記憶部174に記憶する。
【0049】
データ処理装置は,例えばフロッピー(登録商標)ディスク,CD−ROMなどの記録媒体を読み書きするためのドライブ装置を備え,測定結果記憶部174に記憶されたパーティクル座標データ(パーティクルマップ)は,記録媒体に記憶できるようになっている。
【0050】
このようなデータ処理装置は,パーティクル分布解析支援装置として構成してもよい。
また,この機能の他,プロセスデータなどの解析処理,統計処理,プロセスデータやその解析/統計結果の集中モニタリング処理,更には解析/統計結果をレシピに反映させる処理等を行うように構成してもよい。データ処理装置は,1台のコンピュータで構成してもよく,複数台のコンピュータで構成してもよい。また,サーバとクライアントに分けて機能を分散させるように構成してもよい。
【0051】
(パーティクル分布解析支援装置の構成例)
次に,本発明にかかるパーティクル分布解析支援装置の構成例について図面を参照しながら説明する。図2は,本実施形態にかかるパーティクル分布解析支援装置の構成を示すブロック図である。
【0052】
図2に示すようにパーティクル分布解析支援装置300は,オペレータによる入力及び表示等の出力を行うための入出力部310,演算処理部330の演算処理に必要なデータ等を記憶する記憶部320,各種の演算処理を行う演算処理部330,演算処理部330による演算結果を一時的に記憶するメモリ340を備える。
【0053】
入出力部310は,例えばキーボードやマウス,又はタッチパネルなどの入力部311,各種の情報を表示出力するためのディスプレイなどで構成される表示部312,表示結果を印刷するプリンタ部313を備える。なお,入出力部310は上記の他,図示はしないが,フロッピー(登録商標)ディスク,CD−ROMなどの記録媒体を読み書きするためのドライブ装置などを備える。
【0054】
記憶部320は,例えばハードディスクなどで構成され,パーティクル分布解析支援処理を実行するためのプログラムなどの必要なプログラムを記憶するためのプログラム記憶部321の他,パーティクル分布解析支援処理を実行する際に使用するファイルやデータを記憶するデータ記憶部322を備える。
【0055】
データ記憶部322は,パーティクル測定室135における測定結果などのデータを記憶する。具体的には例えば基板処理装置100の制御部170の測定結果記憶部174(又は制御部170にネットワークで接続された上記データ処理装置の記憶部)に記憶された測定結果をフロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROMなどの記録媒体を介して取り込んだものを記憶する。
【0056】
なお,これに限られるものではなく,例えば基板処理装置100の制御部170とパーティクル分布解析支援装置300とをネットワークで接続する場合には,パーティクル分布解析支援装置300は,制御部170からネットワークを介して受信したパーティクル座標データ(パーティクルマップ)などの測定結果をデータ記憶部322に記憶するようにしてもよい。また,上記ネットワークにデータ処理装置を接続してデータ処理装置側で測定結果を記憶する場合には,パーティクル分布解析支援装置300は,データ処理装置からネットワークを介して受信した測定結果をデータ記憶部322に記憶するようにしてもよい。
【0057】
演算処理部330は,例えばCPU(中央処理装置)などで構成され,プログラムに基づいて本実施形態にかかるパーティクル分布解析支援処理を行うようになっている。演算処理部330は,プログラム記憶部321に記憶されたパーティクル分布解析支援処理プログラムを実行することにより,その処理を実行するための種々の処理部として機能するものである。具体的には演算処理部330は,対象基板データ作成部331,仮想基板データ作成部332,差異データ作成部333,判定データ作成部334,表示制御部335として機能する。
【0058】
以下にこれら機能をパーティクル分布解析支援処理の流れに沿って説明する。ここでは,パーティクル分布解析を行うにあたり,その分布の特徴を示す指標としてパーティクルの相互間距離を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0059】
先ず,対象基板データ作成部331は,パーティクル分布を解析する対象基板WTについて実際に上記パーティクル測定室135で測定された測定結果からパーティクル座標データ(パーティクルマップ)を取得し,これに基づいて対象基板WTのパーティクル分布の特徴を示す指標(パーティクル相互間距離,パーティクル位置の動径及び偏角など)のヒストグラムデータを作成する。
【0060】
具体的には例えば図3に示すような対象基板WTのパーティクル分布を図4に示す直交座標(XY座標)で表したパーティクル座標データから,図5に示すように各パーティクルの相互間距離を算出する。図5はパーティクルP1とその他のパーティクルP2〜P9の相互間距離を観念的に示した図である。こうして,図6に示すように1枚の対象基板について,すべてのパーティクルP1〜PNについて他のすべてのパーティクルとの相互間距離を算出する。そして,その相互間距離に基づいて1つのヒストグラムデータを作成し,これを対象基板データとしてデータ記憶部322に記憶する。ここでのヒストグラムデータは,パーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときの各階級の頻度で表したものである。
【0061】
このようなパーティクル相互間距離のヒストグラムデータは,図6に示すように横軸がパーティクル同士の距離なので,原点に近いほど近距離関係の頻度を示し,原点から遠いほど遠距離関係の頻度を示す。また相互間距離d=0の値は,着目しているパーティクル自身の頻度なので,同座標に複数のパーティクルがない場合は,基板上のパーティクル数と一致する。
【0062】
次に上記仮想基板データ作成部332は,上記対象基板WTと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた複数枚(M枚)の仮想基板WVについてそれぞれ,上記と同様にパーティクル相互間距離を算出し,これをヒストグラムデータにする。ここでの仮想基板WVのパーティクル分布は,現実に存在する基板ではなく,コンピュータで計算により作成する仮想的な基板のパーティクル分布である。
【0063】
具体的には,上記対象基板WTと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた仮想基板WVの1枚あたりについて,上記対象基板WTの場合と同様に,すべてのパーティクルP1〜PNについて他のすべてのパーティクルとの相互間距離を算出し,これから1つのヒストグラムデータを作成する。こうして,図7に示すようにM枚の仮想基板WV1〜WVMについてそれぞれヒストグラムデータを作成し,これらを仮想基板データとしてデータ記憶部322に記憶する。
【0064】
このようにランダムなパーティクル分布で得られた仮想基板WV1〜WVMのヒストグラムデータは平均すると,パーティクル数に応じて特定の形状に帰着する。この仮想基板WVの平均のヒストグラムの特定形状と,対象基板WTのヒストグラムの形状との差異を定量化してそれを判定するための判定データを作成することで,パーティクル分布の異常を判定できる。このようなヒストグラムの差異の定量化は,次の差異データ作成部333,判定データ作成部334によって実行される。
【0065】
先ず差異データ作成部333は,図7に示す仮想基板WV1〜WVMのヒストグラムデータから平均値を算出し,その平均ヒストグラムと図6に示す対象基板WTのヒストグラムとの差異を示す差異データを作成してデータ記憶部322に記憶する。差異データは,図8に示すように対象基板WTのヒストグラムデータと仮想基板WVのヒストグラムデータの平均との差異を定量化するためのものである。このような差異データとしては,例えば各ヒストグラムの単純平均の総和,絶対平均の総和,二乗和平方根,各ヒストグラムが交差する点の数である交点数など様々なものが考えられる。
【0066】
本実施形態では,これらのうち二乗和平方根と交点数の2種類を差異データとして用いる。二乗和平方根は,2つのヒストグラムの形状の差異が大きいほどその値も大きくなるので,差異データとして有効に用いることができるからである。また,交点数は,2つのヒストグラムの形状が近いほど多くなる傾向があり,ヒストグラムの差異もより顕著に表れるので,こちらも差異データとして有効に用いることができるからである。
【0067】
次に上記判定データ作成部334は,仮想基板WV1〜WVMと対象基板WTとの差異データを統計的手法(例えばマハラノビスの距離)によって判定し易いように数値化した1つの指標で表し,これを判定データとしてデータ記憶部322に記憶する。このように,差異データを判定し易い指標で表すことによって,対象基板WTのヒストグラムデータがランダム分布の仮想基板WVのヒストグラムデータ群からどれだけ離れているかを容易に判定できる。また,数値化した判定データは所定の閾値と比較することができるので,その閾値を超えるか否かによって,異常の有無を容易に判定できる。
【0068】
特に本実施形態ではパーティクル分布の特徴が現れやすい相互間距離を指標として,判定データを算出しているので,この判定データの数値には,後述するようにパーティクル分布に異常がある場合と異常がない場合との差異が大きく現れる。このため,パーティクル分布(パーティクルマップ)を見ただけでは異常か否かを判定し難いようなものであっても,極めて容易に判定できる。
【0069】
次に上記表示制御部335は,上記判定データとヒストグラムデータや差異データをマップ化した表示データを作成し,表示部312に表示する。このような表示データを表示部312の画面312aに表示した場合の具体例を図9に示す。図9では,基板上に視覚的に表したパーティクルマップ312b,差異データをマハラノビスの距離で算出したパーティクル相互間距離の判定データ312c,パーティクル相互間距離のヒストグラム312d,差異データをマップ化して対象基板WTの差異データと仮想基板WV1〜WVMの差異データ群を視覚的に表した差異マップ312eを,画面312aに表示した場合の例である。なお,判定データが予め設定された閾値以上か否かを判断して,その閾値以上である場合はその判定データが異常であることを示す表示をすることが好ましい。判定データが異常であることを示す表示としては,その判定データを例えば下線,太字,塗りつぶし,反転文字,飾り文字などで強調して表示することが挙げられる。これにより,異常か否かを一見して判定できる。
【0070】
なお,ここでの差異マップ312eは,ヒストグラムの差異データとして二乗和平方根と交点数をそれぞれ算出し,横軸に二乗和平方根の差異データをとり,縦軸に交点数の差異データをとったものである。なお,ここでの差異データは全仮想基板WV1〜WVMについての平均値と標準偏差を用いて標準化したものを使用している。従って,差異マップの原点が平均で標準偏差が1となる。これにより,パーティクル数や基板の大きさに依存しないデータを作成することができる。この標準化についての計算方法の詳細は後述する。
【0071】
図9に示す表示データの見方については,以下の通りである。先ず判定データ312cは,例えば閾値として4以上の数値であればパーティクル分布に異常があると判定し,4未満の数値であればパーティクル分布に異常がないと判定することができる。これによれば,図9に示す判定データ312cは閾値を大きく超える数値357.2であるため,パーティクル分布に異常があることが一見して判定できる。なお,異常判定の閾値については上記に限定されるものではない。
【0072】
また,差異マップ312eでは,対象基板WTの差異データが,パーティクル分布の集中度合いがランダムな仮想基板WVの差異データ群からどれだけ離れているかを視覚的に確認できる。仮想基板WVの差異データ群から離れるほど,パーティクル分布に異常が大きいと判定できる。例えば図9に示す差異マップ312eによれば仮想基板WVの差異データ群から離れたところに対象基板WTの差異データがあることが分かる。これにより,視覚的にもパーティクル分布に異常があることを容易に判定できる。
【0073】
さらに,図9に示すように,差異データについても仮想基板WVの平均と標準偏差で標準化したものを用いることで,差異マップ312eの原点が仮想基板WVの平均となる。これにより,対象基板WTについて原点からの距離を見るだけで,仮想基板WVの平均からの距離を確認できる。
【0074】
また,ヒストグラム312dでは,対象基板WTのヒストグラムと仮想基板WVの平均ヒストグラムとは,どの相互間距離あたりで差異が大きいのか視覚的に確認することができる。例えば図9に示すヒストグラム312dでは,対象基板WTのヒストグラムは距離500以下の部分で仮想基板WVの平均のヒストグラムを上回っているので,近距離関係にあるパーティクルが多い分布であることが分かる。
【0075】
なお,ここまではパーティクル分布の特徴を示す指標として,パーティクルの相互間距離を用いて分析する場合を説明したが,これに限られるものではない。例えば図10に示すようにパーティクル座標データ(パーティクルマップ)として基板中心を極とする極座標で表したときのパーティクルの位置の動径又は偏角をパーティクル分布の特徴を示す指標としてもよい。これら動径と偏角についてもそれぞれ,相互間距離の場合と同様に対象基板WTのヒストグラムデータと複数枚の仮想基板WVのヒストグラムデータを作成して,これらの差異データ,判定データ,表示データを作成することができる。これら動径と偏角について表示部312の画面312aに表示した表示データの具体例を図11に示す。
【0076】
図11では,差異データからマハラノビスの距離を算出したパーティクル位置の動径方向の判定データ312f,偏角方向の判定データ312g,動径のヒストグラム312h,偏角のヒストグラム312i,差異データを視覚的に表した差異マップ312jを,画面312aに表示したものである。差異マップ312jは,ヒストグラムの差異データとして二乗和平方根を動径と偏角についてそれぞれ算出し,横軸に動径の差異データをとり,縦軸に偏角の差異データをとったものである。なお,ここでの差異データは全仮想基板WV1〜WVMについての平均値と標準偏差を用いて標準化したものを使用している。従って,差異マップの原点が平均で標準偏差が1となる。
【0077】
図11に示す表示データの見方については,以下の通りである。先ず動径方向の判定データ312fは上記閾値を超えない数値1.4であるのに対して,偏角方向の判定データ312gは上記閾値を大きく超える数値128.3である。このため,動径方向よりも偏角方向にパーティクル分布の異常があることが一見して判定できる。
【0078】
また差異マップ312jによれば,仮想基板WVの差異データ群から離れたところに対象基板WTの差異データがあることが分かる。これによって,視覚的にもパーティクル分布に異常があることが容易に判定できる。さらに,図11に示すように差異データについても仮想基板WVの平均と標準偏差で標準化したものを用いることで,パーティクル数や基板の大きさに依存しないデータを作成することができる。この標準化についての計算方法の詳細は後述する。
【0079】
また,差異マップ312jによれば,横軸が動径なので,対象基板WTの差異データがランダムなパーティクル分布の仮想基板WVに比して,中心方向(動径が小さい方向)への集中度合いが強いほど,対象基板WTの差異データは差異マップ312jのより左側にプロットされる。これに対して,周縁部(動径が大きい方向)への集中度合いが強いほど,対象基板WTの差異データは差異マップ312jのより右側にプロットされる。また,縦軸が偏角なのでクラスタ状など特定の角度方向の集中度合いが強いほど,対象基板WTの差異データは差異マップ312jのより上側にプロットされる。このように差異マップ312jでは,どの位置にプロットされるかによって,ある程度集中度合いのパターンを推測することができる。
【0080】
また判定データ312gの数値が大きい偏角方向についてのヒストグラム312iを見れば,対象基板WTのヒストグラムと仮想基板WVの平均ヒストグラムとの差異は,偏角が−60度〜−120度あたりが最も大きくなっていることがわかる。これにより,この角度にパーティクル分布の異常が大きいことも分かる。
【0081】
このような異常位置を基板上に視覚的に表すようにしてもよい。すなわち,パーティクルの位置の動径と偏角についての対象基板WTのヒストグラムデータの各階級うち,全仮想基板WV1〜WVMのヒストグラムデータの平均からの頻度の差異が大きい順に,1又は複数の階級の偏角をパーティクルマップに重ねて表示する順位マップを作成するようにしてもよい。
【0082】
例えば図12は,図11に示す動径方向と偏角方向についてのヒストグラム312h,312iの差異が最も大きい階級の動径を示す太い円(点線)R1及び偏角を示す太い直線(点線)a1,次に大きい階級の動径を示す細い円(点線)R2及び偏角を示す細い直線(点線)a2とをパーティクルマップに重ねて表示した順位マップ312kの例である。これによれば,基板上のどの部分にパーティクル分布の異常があるか一見して判定することができる。なお,図9と図11はまとめて1つの画面に表示してもよい。
【0083】
(パーティクル分布解析支援処理の具体例)
次に,パーティクル分布解析支援装置300によって行われるパーティクル分布解析支援処理について図面を参照しながら説明する。図13は,パーティクル分布解析支援処理のメインルーチンを示すフローチャートである。図14〜図18はそれぞれ,図13に示す対象基板データ作成処理,仮想基板データ作成処理,差異データ作成処理,判定データ作成処理,解析結果の表示処理についてのサブルーチンを示すフローチャートである。
【0084】
パーティクル分布解析支援処理は,所定のプログラムに基づいて演算処理部330が対象基板データ作成部331,仮想基板データ作成部332,差異データ作成部333,判定データ作成部334,表示制御部335として機能し,所定のタイミングで必要なデータを記憶部320に記憶し又は記憶部320から読み出して実行される。
【0085】
ここでのパーティクル分布解析支援処理は,1枚の対象基板WTとM枚(例えば50枚)の仮想基板WV1〜WVMについて,パーティクル相互間距離,パーティクル位置の動径及び偏角の3種類のヒストグラムをそれぞれ作成する場合を例に挙げて説明する。対象基板WTのヒストグラムと仮想基板WV1〜WVMの平均ヒストグラムとの差異は,上記3種類のヒストグラムについてそれぞれ,二乗和平方根と交点数の2種類の差異データを作成して判定することにする。
【0086】
パーティクル分布解析支援処理は,先ず図13に示すようにステップS100にて対象基板データ作成処理を行う。対象基板データ作成処理では,パーティクル分布解析を行う1枚の対象基板WTについて,例えば図6に示すようなヒストグラムデータを作成する。
【0087】
具体的には図14に示すように,ステップS110にて上記対象基板WTのパーティクル測定結果からパーティクル座標データを取得する。例えば操作者による入力部311の操作によって,パーティクル分布解析を行う対象基板WTのパーティクル座標データが入力されると,ステップS120以降の処理が自動的に実行される。ここでのパーティクル座標データは,図4に示すように基板上を直交座標(XY座標)で表したときの各パーティクルの座標データである。
【0088】
ここでは,上記基板処理装置100のパーティクル測定室135での測定結果から得られるパーティクル座標データ(パーティクルマップ)を用いる。この場合には,パーティクル分布解析支援装置300は制御部170とネットワークを介して接続し,パーティクル座標データを制御部170との通信によって受信してもよい。
【0089】
続いてステップS120にてパーティクルの相互間距離のヒストグラムデータを算出する。具体的には上記パーティクル座標データからパーティクル相互間距離を下記数式(1)によって算出する。下記数式(1)においてpx(i),py(i)はそれぞれi番目のパーティクルPiのX座標,Y座標であり,px(j),py(j)はそれぞれj番目のパーティクルPjのX座標,Y座標である。dijは,パーティクルPiとパーティクルPjの距離である。diiはパーティクルPi自身であるため,距離はゼロになる。こうして算出されたパーティクル相互間距離を図19に示す。図19に示すものはパーティクル数をNとしたときのパーティクルP1〜PNの相互間距離である。
【0090】
【数1】

・・・(1)
【0091】
そして,このパーティクルの相互間距離のヒストグラムを作成する。具体的には,パーティクルの相互間距離を複数(例えば1000)の階級に分け,各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを作成する。ヒストグラムデータの具体例を図19に示す。図19に示すヒストグラムデータにおいて,dは0〜Dの階級であり,例えば1000階級に分ける場合はD=1000である。Fc(d)は階級dの頻度である。これにより,図6に示すような対象基板WTのヒストグラムが作成される。
【0092】
続いてステップS130にてパーティクル位置の動径方向のヒストグラムデータを算出する。具体的には上記直交座標(XY座標)を対象基板WTの中心を極とする極座標になるように座標変換して,その極座標のパーティクル位置の動径Rをr=0〜D/2までの複数の階級に分けて,各階級のパーティクル数を頻度とするヒストグラムデータを作成する。
【0093】
続いてステップS140にてパーティクル位置の偏角方向のヒストグラムデータを算出する。具体的には上記極座標のパーティクル位置の偏角aをθ=−180度〜+180度までの複数の階級に分けて,各階級のパーティクル数を頻度とするヒストグラムデータを作成する。こうして,1枚の対象基板WTについて3種類のヒストグラムデータが作成される。
【0094】
次に,図13に示すメインルーチンのステップS200による仮想基板データ作成処理に移る。仮想基板データ作成処理では,上記対象基板WT上のパーティクルと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させたM枚(ここでは50枚)の仮想基板について,例えば図7に示すようなヒストグラムデータを作成する。
【0095】
具体的には図15に示すように,ステップS210にて上記M枚の仮想基板WV1〜WVMについてそれぞれ,その基板上のパーティクル座標データを作成する。ここでのパーティクル座標データは,対象基板の場合と同様に図4に示すように基板上を直交座標(XY座標)で表したときの各パーティクルの座標データである。
【0096】
続いてステップS220にてパーティクルの相互間距離のヒストグラムデータを算出する。具体的にはステップS210の場合と同様に上記パーティクル座標データからパーティクルの相互間距離を上記数式(1)によって算出する。こうして,算出したパーティクル相互間距離を図20に示す。
【0097】
そして,このパーティクルの相互間距離のヒストグラムを作成する。具体的には,パーティクルの相互間距離を複数(例えば1000)の階級に分け,各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを作成する。ヒストグラムデータの具体例を図20に示す。図20に示すヒストグラムデータにおいて,dは0〜Dの階級であり,1000階級に分ける場合はD=1000である。F’cm(d)はm枚目の仮想基板WVmについての階級dの頻度である。これにより,図7に示すような仮想基板WV1〜WVMのヒストグラムが作成される。
【0098】
続いてステップS230にてパーティクル位置の動径方向のヒストグラムデータを算出する。具体的には上記直交座標(XY座標)を仮想基板WVの中心を極とする極座標になるように座標変換して,その極座標のパーティクル位置の動径Rをr=0〜D/2までの複数の階級に分けて,各階級のパーティクル数を頻度とするヒストグラムデータを作成する。
【0099】
続いてステップS240にてパーティクル位置の偏角方向のヒストグラムデータを算出する。具体的には上記極座標のパーティクル位置の偏角aをθ=−180度〜+180度までの複数の階級に分けて,各階級のパーティクル数を頻度とするヒストグラムデータを作成する。ステップS250にてすべての仮想基板についてヒストグラムデータが作成されたか判断する。未だすべての仮想基板についてのヒストグラムデータが作成されていない場合はすべて作成されるまで上記ステップS220〜S240が繰り返される。こうして,M枚の仮想基板WV1〜WVMについてそれぞれ3種類のヒストグラムデータが作成される。
【0100】
次に,図13に示すメインルーチンのステップS300による差異データ作成処理に移る。差異データ作成処理では,対象基板WTのヒストグラムデータと仮想基板WV1〜WVMのヒストグラムデータとの差異を示す差異データを作成する。ここでの差異データとしては,二乗和平方根と交点数(符号反転数)の2種類をそれぞれ算出する。なお,各ヒストグラムデータから差異データを作成するのに先立って,各ヒストグラムデータを標準化する。
【0101】
具体的には図16に示すように,ステップS310にて上記M枚の仮想基板WV1〜WVMについての3種類のヒストグラムデータ(相互間距離,動径,偏角)を各階級の平均値と標準偏差で標準化する。このとき,平均値と標準偏差は仮想基板WV1〜WVMについてのヒストグラムデータから算出したものを用いて標準化する。例えばパーティクル相互間距離のヒストグラムデータについては,下記数式(2)によって平均値〈Fc’(d)〉と標準偏差σFc’(d)を算出し,これを用いて下記数式(3)によって標準化する。こうして標準化したパーティクル相互間距離のヒストグラムデータを図21に示す。パーティクル位置の動径と偏角についてのヒストグラムデータも同様に標準化する。
【0102】
【数2】

・・・(2)
【0103】
【数3】

・・・(3)
【0104】
続いてステップS320にて対象基板WTの3種類のヒストグラムデータ(相互間距離,動径,偏角)を標準化する。このとき,仮想基板WVで用いた平均値と標準偏差で標準化する。例えばパーティクル相互間距離のヒストグラムデータについては,上記数式(2)によって平均値〈Fc’(d)〉と標準偏差σFc’(d)を算出し,これを用いて上記数式(3)によって標準化する。こうして標準化したパーティクル相互間距離のヒストグラムデータを図21に示す。パーティクル位置の動径と偏角についてのヒストグラムデータも同様に標準化する。
【0105】
次いでステップS330にてパーティクル位置の動径についての計算か否かを判断する。ステップS330にて動径についての計算でないと判断した場合,すなわちパーティクル相互間距離,偏角についての計算と判断した場合はそのままステップS350の処理に移る。これに対して,ステップS330にて動径についての計算であると判断した場合は,ステップS340にて対象基板WTと仮想基板WV1〜WVMについての標準化したヒストグラムデータにさらに各階級(動径の距離)をかけ算したものを標準化ヒストグラムデータとした上で,ステップS350の処理に移る。
【0106】
このように動径についての計算だけ,標準化したヒストグラムデータとして各階級(動径距離)をかけ算したものを用いる理由は,図11及び後述する図27に示すようなパーティクル位置の動径方向と偏角方向の差異マップ312jにおいて,パーティクル分布が動径方向について基板の中心側に偏っているか,周縁側に偏っているかを判定し易くするためである。すなわち,ヒストグラムを標準化すると,無次元量になるため,偏る方向までは分からないので,各階級をかけ算することで,中心側から周縁側への距離の次元をもつことができるようになる。このため,それをグラフに表示すれば,例えば図27の横軸に示すように,パーティクル分布が周縁部側に偏るほど差異データがゼロから右側に偏る傾向になり,パーティクル分布が中心部側に偏るほど差異データがゼロから左側に偏る傾向になる。このため,差異データがどちら側に偏っているかによって,パーティクル分布が中心部に偏っているか,周縁部に偏っているかを判定できる。
【0107】
これに対して,偏角についての計算は,標準化したヒストグラムデータとして各階級(偏角の角度)をかけ算しないものを用いている。これは,偏角は基板上を360度で一周する性質があるため,各階級をかけ算すると,かえって傾向が読みにくくなる場合があるからである。例えば差異データが−180度付近で集中する場合と,+180度付近で集中する場合とではほぼ同じ偏角なので,本来は同じ位置に集中すべきである。ところが,偏角について標準化したヒストグラムデータに各階級をかけ算してしまうと,これらの差異データは差異マップ312jにおいてまったく正反対の位置に集中してしまう。これでは偏角方向の偏りについては傾向を正しく判定することができない。このため,偏角の計算については,標準化したヒストグラムデータに各階級をかけ算しないものを用いることにした。なお,図27の差異マップ312jについての詳細な説明は後述する。
【0108】
次いでステップS350にて対象基板WTと仮想基板WV1〜WVMの3種類の標準化ヒストグラムデータ(相互間距離,動径方向,偏角方向)について「頻度の二乗和平方根」と「頻度の符号反転数(交点数)」を求める。標準化ヒストグラムデータは,仮想基板のヒストグラムデータの平均と標準偏差で標準化したものであるので,各ヒストグラムデータについての「頻度の二乗和平方根」はそのヒストグラムデータと仮想基板のヒストグラムデータの平均との差異を表すデータ(差異データ)になる。また,各ヒストグラムデータについての「頻度の符号反転数」は,そのヒストグラムデータと仮想基板のヒストグラムデータの平均との交点数になるので,これも仮想基板のヒストグラムデータの平均との差異を表すデータ(差異データ)となる。
【0109】
例えばパーティクル相互間距離の「頻度の二乗和平方根」は,下記数式(4)によって算出することができる。「頻度の符号反転数(交点数)」については符号が反転する回数をカウントすることで得られる。こうして得られたパーティクル相互間距離の差異データを図21に示す。
【0110】
【数4】

・・・(4)
【0111】
次いでステップS360にて仮想基板WV1〜WVMの差異データ「頻度の二乗和平方根」「頻度の符号反転数(交点数)」について,その平均値と標準偏差によって標準化する。続いてステップS370にて対象基板WTの差異データ「頻度の二乗和平方根」「頻度の符号反転数(交点数)」について,上記仮想基板で用いた平均値と標準偏差によって標準化してデータ記憶部322にする。
【0112】
こうして得られたパーティクル相互間距離,パーティクル位置の動径方向,偏角方向についての標準化差異データはそれぞれ図22A,図22B,図22Cに示すようになる。このように,パーティクル相互間距離,パーティクル位置の動径方向,偏角方向の3種類の指標ごとに,1枚の対象基板WT及びM枚の仮想基板WV1〜WVMについてそれぞれ,「頻度の二乗和平方根」「頻度の符号反転数(交点数)」の2つずつの標準化差異データが得られる。
【0113】
次に,図13に示すメインルーチンのステップS400による判定データ作成処理に移る。判定データ作成処理では,対象基板WTと仮想基板WV1〜WVMとの差異を,上記差異データ作成処理によって求めた標準化差異データを用いて統計的手法によって数値化する。ここでは統計的手法としてマハラノビスの距離を用いる。
【0114】
具体的には図17に示すように,先ずステップS410にてパーティクル相互間距離についてのマハラノビスの距離Mcを求める。図22Aに示す仮想基板WV1〜WVMについての2種類の標準化差異データ(二乗和平方根,符号反転数(交点数))を用いて下記(5)式によって相関行列Φを求め,この相関行列Φを用いて下記(6)式によって対象基板WTについてのマハラノビスの距離を求め,データ記憶部322に記憶する。
【0115】
【数5】

・・・(5)
【0116】
【数6】

・・・(6)
【0117】
続いて,ステップS420にてパーティクル位置の動径方向についてのマハラノビスの距離MRを求め,ステップS430にてパーティクル位置の偏角方向についてのマハラノビスの距離Maを求める。これらステップS420,S430ではそれぞれ,ステップS410と同様に図22B,図22Cに示す仮想基板WV1〜WVMについての2種類の標準化差異データ(二乗和平方根,符号反転数(交点数))を用いて相関行列Φ(ファイ)を求め,この相関行列Φを用いて対象基板WTについてのマハラノビスの距離MR,Maを求め,データ記憶部322に記憶する。
【0118】
次に,図13に示すメインルーチンのステップS500による解析結果の表示処理に移る。解析結果の表示処理は,図18に示すようにステップS510にて判定データとしてのマハラノビスの距離Mc,MR,Maを表示するための表示データを作成する。この場合,これらの判定データは図9及び図11に示すように分けて表示してもよく,また図23に示すようにまとめて表示するようにしてもよい。図23は図9及び図11に示す判定データ,差異マップ,ヒストグラムなどをすべてまとめて表示した場合の例を示す。
【0119】
次いでステップS520にてパーティクル相互間距離について図9,図23に示すような差異マップ312eの表示データを作成する。具体的には,図22Aに示す標準化差異データの二乗和平方根と符号反転数(交点数)をそれぞれ横軸,縦軸にとって,対象基板WTと仮想基板WV1〜WVMのデータをすべてプロットする。
【0120】
次いでステップS530にてパーティクル位置の動径方向,偏角方向について図11,図23に示すような差異マップ312jの表示データを作成する。具体的には図22Bに示す動径方向の二乗和平方根と図22Cに示す偏角方向の二乗和平方根をそれぞれ横軸,縦軸にとって,対象基板WTと仮想基板WV1〜WVMのデータをすべてプロットする。
【0121】
次いでステップS540にてパーティクル相互間距離について図9,図23に示すようなヒストグラム312dの表示データを作成する。具体的には図19に示す対象基板WTのヒストグラムデータと,図20に示す仮想基板WV1〜WVMのヒストグラムデータの各階級を平均したヒストグラムデータについて,ヒストグラムを重ねた表示データを作成する。
【0122】
次いでステップS550にてパーティクル位置の動径方向,偏角方向についてそれぞれ図11,図23に示すようなヒストグラム312h,312iの表示データを作成する。具体的には上述したパーティクル相互間距離の場合と同様に,動径方向,偏角方向のそれぞれについて,対象基板WTのヒストグラムデータと,仮想基板WV1〜WVMのヒストグラムデータの各階級を平均したヒストグラムデータについて,ヒストグラムを重ねた表示データを作成する。
【0123】
次いでステップS560にてパーティクル位置の動径方向と偏角方向のヒストグラム312h,312iについて,頻度が多い階層順に所定順位だけ,その動径の直線とその偏角の円をそれぞれパーティクルマップに重ねて表示する,図12,図23に示すような順位マップ312kの表示データを作成する。
【0124】
次いでステップS570にてステップS510〜S560において作成した判定データ312c,312f,312g,差異マップ312e,312j,ヒストグラム312d,312h,順位マップ312kを,例えば図23に示すようにパーティクル分布解析結果レポートとして表示部312の画面に表示する。なお,判定データが予め設定された閾値以上(ここでは4以上)の場合はその判定データを強調表示(ここでは下線)することが好ましい。これにより,異常か否かを一見して判定できる。こうして図18に示す解析結果の表示処理が終了すると,図13のメインルーチンに戻り,一連のパーティクル分布解析支援処理を終了する。
【0125】
このようなパーティクル分布解析支援処理によれば,操作者は入力部311の操作によって,パーティクル分布を解析したい対象基板のパーティクル座標データを入力すると,図13に示す各処理が自動的に実行され,最終的なパーティクル分布解析結果レポートが表示部312に表示される。これにより,操作者はこのレポートを見てパーティクル分布に異常があるか否か,異常部分の特定などを容易に判断することができる。なお,最終的なレポートは,操作者による入力部311からの操作に応じて,プリンタ部313によって印刷出力するようにしてもよい。
【0126】
ここで,上記パーティクル分布解析支援処理を用いて得られる解析結果の他の具体例について図面を参照しながら説明する。ここでは,パーティクルマップだけを見ても異常か否かを判別し難い例を比較しながら説明する。図24A,図24Bは,パーティクル分布に異常が見られない例である。図25A〜図25Dはパーティクル分布に異常がある場合である。
【0127】
図24A,図25Aは,パーティクル分布解析結果レポートのうちパーティクルマップ312bと各判定データMc,MR,Maを示したものである。図24B,図25Bは,パーティクル分布解析結果レポートのうちの差異マップ312eを示したものである。
【0128】
このような解析結果によれば,先ず図24A,図25Aに示すパーティクルマップ312bを比較してみると,一見しただけではその差異が見分け難い。これに対して,図24A,図25Aの判定データ(Mc,MR)を比べてみると,図24Aでは閾値4よりかなり小さい値(0.03,0.20)であるのに対して,図24Bでは閾値4より大きい値(4.14,6.85)になっている。これにより,図24Aは正常であり,図25Aに異常があることを容易に判定することができる。
【0129】
また,図24B,図25Bの差異マップ312eを比較してみると,図24Bは対象基板WTの標準化差異データが,仮想基板WVの標準化差異データの平均を示すマップの中心(原点)から非常に近いのに対して,図25Bは中心から右下側に離れていることが分かる。この差異マップ312eでは,対象基板の標準化差異データがマップの中心から離れるほどランダムな仮想基板からの差異が大きいことを示している。従って,これによっても,図24Bの場合は正常で,図25Bの場合に異常があることを一見して判定できる。
【0130】
そこで,異常があると判定できる図25A,図25Bの場合には,さらに対象基板WTと仮想基板WVの平均のヒストグラムのうちの最も差異が大きい動径と偏角を,図25Aのパーティクルマップ312bに重ねて表示した順位マップ312kを図25Cに示す。
これによれば,最も差異の大きい動径を示す円(点線)R1と最も差異の大きい偏角を示す直線(点線)a1の交点部分に異常があることが分かる。これは図25Dに示すパーティクルマップ上に囲んだ部分Qである。なお,図25Dは,図25Aのパーティクルマップ312bに異常位置を示す部分Qを重ねて表示したものである。従って,この部分Qに異常の大きな原因となっているクラスタ状のパーティクルが集中していることが分かる。このように,順位マップ312kによれば,異常の原因となっている位置も容易に特定できる。
【0131】
このように,本実施形態にかかるパーティクル分布解析処理によれば,パーティクルマップを見ただけでは判定が難しいパーティクル分布の解析も容易に判定できる解析結果を得ることができる。これにより,熟練者でなくても,パーティクル分布の異常を容易に判定することができる。
【0132】
また,パーティクル位置の動径方向,偏角方向の差異マップ312jについては,パーティクル分布がどのように偏っているかをある程度分類することもできる。ここで,図26に示すようにパーティクル分布が特徴的な偏りとなる4つの分布パターンについて対象基板WTをそれぞれ複数枚用意して,パーティクル分布解析処理を行って得られた差異マップ312jを図27に示す。
【0133】
図26に示す分布パターンのうち,(A)センタ集中は,パーティクルが基板のセンタ部分に集中して偏っている場合であり,(B)エッジ集中は,パーティクルが基板のエッジ部分に集中して偏っている場合である。(C)ライン集中は,パーティクルが基板のある方向の直線に沿って集中して偏っている場合であり,(D)コーナー集中は,パーティクルが基板のあるコーナー部分に集中して偏っている場合である。
【0134】
図26に示す(A)〜(D)の対象基板WTについて図27に示す差異マップ312jによれば,それぞれの分布パターンごとに特定部分に集中していることが分かる。図26を大局的に見れば,偏角方向をとる縦軸では角度方向の相関があり,動径方向をとる横軸ではプラス側は周縁部への相関があり,マイナス側は中心部への相関がある。
【0135】
このため,例えば解析したい対象基板WTについての動径と偏角についての標準化差異データを,図27に示す差異マップ312jの中にプロットすることで,ある程度の分布パターンを推測できる。例えばプロットした対象基板WTのデータが,(A)〜(D)のどの分布パターンの特定部位に近いかによって,分布パターンを推測できる。
【0136】
このように,図27に示す差異マップ312jにおいて,パーティクル分布の偏りの傾向,特に中心方向と周縁を判定できるのは,以下の理由による。本実施形態で使用する標準化ヒストグラムデータは,ランダムな集団からの偏差を表しているが,このランダムな条件での平均と標準偏差で標準化しているため,無次元量となる。ここで,各階級をかけ算しない標準化ヒストグラムデータを用いる場合(パーティクル間距離やパーティクル位置の偏角方向)は,ランダムな集団から外れるほど差異データの値が大きくなる。ところが,その差異データの値は無次元量なのでどちらの方向に偏りがあるかは分からない。
【0137】
これに対して,パーティクル位置の動径方向では基板の中心部側か周縁部側かについても重要な情報になる。このため,標準化したヒストグラムデータの値に対し,各階級(動径の距離)をかけ算することで,これらの値に「距離」という次元を持たせることができる。
【0138】
例えば基板の直径を1000とすると,ランダムな集団の動径方向の平均位置は基板の周縁部と中心部のちょうど中心(動径=500)になる。これに対して,より中心部側に集中している分布パターンでは,階級値の小さい部分(中心側)のヒストグラムデータの値が大きく,階級値の大きい部分(外周部側)のヒストグラムデータの値は小さい。このため,各階級とヒストグラムデータの値をかけ算したものを用いることで,ランダムな条件での結果に比べて,小さな値として出力することが可能になる。その上でランダムな条件で再度標準化するので,分布異常の強さと方向を同時に表現することができる。
【0139】
これにより,図27に示す差異マップ312jにおいて,横軸の動径については,原点に集中するランダムな条件の集団に対して,大きくなるほど周縁部に集中し,小さくなるほど中心部に集中することを表すことができる。これに対して縦軸の偏角については,階級をかけ算してないので,いかなる角度方向であっても,ランダムな条件に比べ集中が見られれば大きくなる。
【0140】
なお,パーティクル分布解析結果の表示については図9,図11,図23に示すものに限られるものではない。判定データ,ヒストグラム,差異マップ,順位マップなどのうち必要なものを操作者の操作に応じて選択的に表示するようにしてもよい。
【0141】
また,上記実施形態では,対象基板WTのヒストグラムと仮想基板WV1〜WVMのヒストグラムとの差異データとして,二乗和平方根と交点数(符号反転数)の2種類を例に挙げて説明したが,これに限られるものではない。例えば上記の代わりに各ヒストグラムの単純平均の総和と絶対平均の総和の2種類を用いるようにしてもよい。また例に挙げた各差異データのうちの2種類ではなく,1種類だけを用いるようにしてもよい。
【0142】
また,上記実施形態により詳述した本発明については,複数の機器から構成されるシステムに適用しても,1つの機器からなる装置に適用してもよい。上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体をシステムあるいは装置に供給し,そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体等の媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することによっても,本発明が達成され得る。
【0143】
この場合,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり,そのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体等の媒体としては,例えば,フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD+RW,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどが挙げられる。また,媒体に対してプログラムを,ネットワークを介してダウンロードして提供することも可能である。
【0144】
なお,コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより,上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく,そのプログラムの指示に基づき,コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0145】
さらに,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムが,コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後,そのプログラムの指示に基づき,その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0146】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は,基板処理装置で処理される基板上のパーティクル分布解析支援方法及びその方法を実施するためのプログラムを記録した記録媒体に適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
100 基板処理装置
110 処理ユニット
112 共通搬送室
116 受渡台
120 搬送ユニット
130 搬送室
132A〜132C カセット台
134A〜134C カセット容器
135 パーティクル測定室
135a 載置台
135b 光源
135c 受光部
135d 信号処理部
136A〜136C ロードポート
137 オリエンタ
138 回転載置台
139 光学センサ
150 処理ユニット側搬送機構
152A,152B ピック
154 基台
156 案内レール
158 フレキシブルアーム
160 搬送ユニット側搬送機構
162 基台
170 制御部
172 入出力部
174 測定結果記憶部
210 処理室
240 ゲートバルブ
300 パーティクル分布解析支援装置
310 入出力部
311 入力部
312 表示部
312a 画面
312b パーティクルマップ
312c,312f,312g 判定データ
312d,312h,312i ヒストグラム
312e,312j 差異マップ
312k 順位マップ
313 プリンタ部
320 記憶部
321 プログラム記憶部
322 データ記憶部
330 演算処理部
331 対象基板データ作成部
332 仮想基板データ作成部
333 差異データ作成部
334 判定データ作成部
335 表示制御部
340 メモリ
Mc,MR,Ma 判定データ
PM1〜PM6 プラズマ処理装置
WT 対象基板
WV1〜WVM 仮想基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のパーティクル分布解析を支援する方法であって,
前記パーティクル分布解析を行う対象基板について,その基板上のパーティクル座標データからすべてのパーティクルについてそれぞれの相互間距離を求め,そのパーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを作成して記憶部に記憶する対象基板データ作成ステップと,
前記対象基板上のパーティクルと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた複数枚の仮想基板について,これらの基板上のパーティクル座標データから前記パーティクル相互間距離を求め,そのパーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを前記仮想基板の枚数分だけ作成して前記記憶部に記憶する仮想基板データ作成ステップと,
前記対象基板のヒストグラムデータと前記各仮想基板のヒストグラムデータについて,前記仮想基板のヒストグラムデータ群の平均との差異を表す差異データを作成して前記記憶部に記憶する差異データ作成ステップと,
前記対象基板と前記各仮想基板の前記差異データに基づいて,前記対象基板のヒストグラムデータについての前記仮想基板のヒストグラムデータ群からの距離を数値化した判定データを算出して前記記憶部に記憶する判定データ作成ステップと,
前記判定データを表示部に表示する表示ステップと,
を有することを特徴とするパーティクル分布解析支援方法。
【請求項2】
基板上のパーティクル分布解析を支援する方法であって,
前記パーティクル分布解析を行う対象基板について,その基板上のパーティクル座標データからすべてのパーティクル位置の動径と偏角を求め,その動径と偏角をそれぞれ複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度とした前記動径のヒストグラムデータと前記偏角のヒストグラムデータを作成して記憶部に記憶する対象基板データ作成ステップと,
前記対象基板上のパーティクルと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた複数枚の仮想基板について,これらの基板上のパーティクル座標データから前記パーティクル位置の動径と偏角を求め,その動径と偏角をそれぞれ複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度とした前記動径のヒストグラムデータと前記偏角のヒストグラムデータをそれぞれ前記仮想基板の枚数分だけ作成して前記記憶部に記憶する仮想基板データ作成ステップと,
前記対象基板のヒストグラムデータと前記各仮想基板のヒストグラムデータについて,前記仮想基板のヒストグラムデータ群の平均との差異を表す差異データを作成して前記記憶部に記憶する差異データ作成ステップと,
前記対象基板と前記各仮想基板の前記差異データに基づいて,前記対象基板のヒストグラムデータについての前記仮想基板のヒストグラムデータ群からの距離を数値化した判定データを算出して前記記憶部に記憶する判定データ作成ステップと,
前記判定データを表示部に表示する表示ステップと,
を有することを特徴とするパーティクル分布解析支援方法。
【請求項3】
前記差異データ作成ステップは,
前記仮想基板のヒストグラムデータ群について,各階級における頻度の平均値と標準偏差を算出するステップと,
前記対象基板と前記仮想基板のヒストグラムデータについての各階級における頻度を,前記仮想基板のヒストグラムデータ群についての前記平均値と前記標準偏差で標準化して前記記憶部に記憶するステップと,
前記対象基板及び前記仮想基板について標準化した前記各ヒストグラムデータから,頻度の符号反転数及び二乗和平方根を算出するステップと,
前記仮想基板の標準化したヒストグラムデータ群について,前記符号反転数及び前記二乗和平方根の平均値と標準偏差を算出するステップと,
前記対象基板及び前記仮想基板の標準化した全ヒストグラムデータについての前記符号反転数及び前記二乗和平方根を,前記全仮想基板についての前記平均値と前記標準偏差で標準化し,これらを前記差異データとして前記記憶部に記憶するステップと,
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項4】
前記判定データ作成ステップは,前記差異データから,マハラノビスの距離を算出し,これらを判定データとして前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項5】
前記表示ステップは,前記判定データを前記表示部に表示し,
前記判定データが予め設定された閾値以上の場合はさらにその判定データが異常であることを示す表示をすることを特徴とする請求項4に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項6】
前記表示ステップは,
前記パーティクル相互間距離について算出された前記対象基板及び前記全仮想基板についての前記符号反転数の差異データと,前記パーティクル相互間距離について算出された前記対象基板及び前記全仮想基板についての前記二乗和平方根の差異データとをそれぞれ,縦軸と横軸のいずれかにとって前記各差異データをグラフ化したものを前記表示部に表示することを特徴とする請求項3又は4に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項7】
前記表示ステップは,
前記パーティクル位置の動径について算出された前記対象基板及び前記全仮想基板についての前記二乗和平方根の差異データと,前記パーティクル位置の偏角について算出された前記対象基板及び前記全仮想基板についての前記二乗和平方根の差異データとをそれぞれ,縦軸と横軸のいずれかにとって前記各差異データをグラフ化したものを前記表示部に表示することを特徴とする請求項3又は4に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項8】
前記表示ステップは,
前記パーティクル相互間距離について算出された,前記全仮想基板のヒストグラムデータについての各階級の頻度の平均をとった前記仮想基板の平均ヒストグラムと前記対象基板のヒストグラムとをそれぞれ重ねて前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項9】
前記表示ステップは,
前記パーティクル位置の動径について算出された,前記全仮想基板のヒストグラムデータについての各階級の頻度の平均をとった前記仮想基板の平均ヒストグラムと前記対象基板のヒストグラムとをそれぞれ重ねて前記表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項10】
前記表示ステップは,
前記パーティクル位置の偏角について算出された,前記全仮想基板のヒストグラムデータについての各階級の頻度の平均をとった前記仮想基板の平均ヒストグラムと前記対象基板のヒストグラムとをそれぞれ重ねて前記表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項11】
前記表示ステップは,
前記パーティクル位置の動径について算出された,前記対象基板のヒストグラムデータの各階級うち,前記全仮想基板のヒストグラムデータの平均からの頻度の差異が大きい順に,1又は複数の階級の動径を前記パーティクル座標データのマップに重ねて前記表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項12】
前記表示ステップは,
前記パーティクル位置の偏角について算出された,前記対象基板のヒストグラムデータの各階級うち,前記全仮想基板のヒストグラムデータの平均からの頻度の差異が大きい順に,1又は複数の階級の偏角を前記パーティクル座標データのマップに重ねて前記表示部に表示することを特徴とする請求項2に記載のパーティクル分布解析支援方法。
【請求項13】
基板上のパーティクル分布解析を支援する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって,
前記パーティクル分布解析支援処理は,
前記パーティクル分布解析を行う対象基板について,その基板上のパーティクル座標データからすべてのパーティクルについてそれぞれの相互間距離を求め,そのパーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを作成して記憶部に記憶する対象基板データ作成ステップと,
前記対象基板上のパーティクルと同数のパーティクルを計算上ランダムに分布させた複数枚の仮想基板について,これらの基板上のパーティクル座標データから前記パーティクル相互間距離を求め,そのパーティクル相互間距離を複数の階級に分けたときに前記各階級のパーティクル数を頻度としたヒストグラムデータを前記仮想基板の枚数分だけ作成して前記記憶部に記憶する仮想基板データ作成ステップと,
前記対象基板のヒストグラムデータと前記各仮想基板のヒストグラムデータについて,前記仮想基板のヒストグラムデータ群の平均との差異を表す差異データを作成して前記記憶部に記憶する差異データ作成ステップと,
前記対象基板と前記各仮想基板の前記差異データに基づいて,前記対象基板のヒストグラムデータについての前記仮想基板のヒストグラムデータ群からの距離を数値化した判定データを算出して前記記憶部に記憶する判定データ作成ステップと,
前記判定データを表示部に表示する表示ステップと,
を有することを特徴とする記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−13624(P2012−13624A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152463(P2010−152463)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】