ビームプロファイル検証方法
【課題】 ビームの光量データを関数によって表現することでビームのプロファイルを高解像で検出するとともに、複数のビームが重畳している状態でも個々のビームのプロファイルを検証することが可能なビームプロファイル検証方法を提供する。
【解決手段】 画像形成装置の書込み光学系によって出射されるビームを受光する受光工程と、受光されたビームのビーム情報を格納するビーム情報格納工程と、格納されたビーム情報をビームの光量の分布を表す光量データ41に処理するとともに、光量データ41を近似する関数を光量データ41に収束するように関数を処理するビーム情報処理工程と、ビーム情報処理工程によって処理されることで光量データ41に収束した関数に基づいてビームのプロファイルを検出するビーム情報検出工程とを備える。
【解決手段】 画像形成装置の書込み光学系によって出射されるビームを受光する受光工程と、受光されたビームのビーム情報を格納するビーム情報格納工程と、格納されたビーム情報をビームの光量の分布を表す光量データ41に処理するとともに、光量データ41を近似する関数を光量データ41に収束するように関数を処理するビーム情報処理工程と、ビーム情報処理工程によって処理されることで光量データ41に収束した関数に基づいてビームのプロファイルを検出するビーム情報検出工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置の書込み光学系から出射されるビームを高精度に検証するビームプロファイル検証方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真方式の画像形成装置を組み立てる前には走査光学系の各種光学素子の性能を評価するために、走査光学系から出射されるビームを走査させる回転多面鏡を固定し、静止しているビームをスリットによって一部遮断し、通過する光量を測定した後にスリットを移動させるという動作を順次繰り返して、測定した光量をつないでビームのプロファイルとする方法や、走査光学系から出射されるビームを2次元CCDカメラ等によって取得し、取得した2次元の光量分布を閾値処理してビーム径を検出する方法や、走査光学系のビームを連続点灯させて静止しているスリットを横切るように移動させ、その時通過するビームの光量の時間的変化によりビームの光量分布を評価する方法があった。
【0003】特開平8−247732号公報では、レーザプリンタ等の走査光学系におけるレーザビーム径測定装置において、ビーム径が感光体面上の結像点からずれてサイドローブが発生しているビームでも、ビーム径をサイドローブも含めて検出することができるものが記載されている。
【0004】また、特開2000−180757号公報では、ハイパワー半導体レーザを用いることなくビームを複数照射することによってスポット上のビーム照射を可能とし、複数のビームを主走査方向に重ね合わせて1つの走査ビーム照射領域を形成したり、印刷スピードを向上させるために副走査方向に複数光源を用いたりして、画像形成の高解像化および消費電力や発熱等の問題を解決するべく光源の光量の減少を図るものが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の特開平8−247732号公報記載のものにあっては、実際の画像形成時の点灯パターンは隣接するビームが部分的に重なり合うため、サイドローブが埋没した場合に、ビームのプロファイルを個々に検出することはできなかった。
【0006】また、特開2000−180757号公報に記載のものにあっては、画像形成時と同様な状態でビームのプロファイルを検証する際、ビームを走査させる回転多面鏡に生じる軸ぶれや面倒れなどの各面のばらつき、光源の相対的な応答ばらつき、光源点灯のための同期ばらつきなどが時系列的に生じ、複数の光源を同時に点灯した場合と個々に点灯した場合とで同一状態で点灯させることは困難であるために、ビームの光量が重なった状態での光量の分布状態とそれぞれのビーム位置やビーム径などを測定する必要があったが、複数の光源の同時点灯により重畳した光量分布状態で個々のビームのプロファイルを検出することはできなかった。
【0007】そこで本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、ビームの光量データを関数によって表現することでビームのプロファイルを高解像で検出するとともに、複数のビームが重畳している状態でも個々のビームのプロファイルを検証することが可能なビームプロファイル検証方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のビームプロファイル検証方法は、画像形成装置の書込み光学系によって出射されるビームを受光する受光工程と、前記受光工程によって受光された前記ビームのビーム情報を格納するビーム情報格納工程と、前記ビーム情報格納工程によって格納された前記ビーム情報を前記ビームの光量の分布を表す光量データに処理するとともに、前記光量データを近似する関数を前記光量データに収束するように前記関数を処理するビーム情報処理工程と、前記ビーム情報処理工程によって処理されることで前記光量データに収束した前記関数に基づいて前記ビームのプロファイルを検出するビーム情報検出工程とを備えることを特徴とする方法を用いている。
【0009】この方法により、ビームの光量データを関数によって近似し、ビームのプロファイルを仮設定した後、関数内のパラメータを変化させることによって関数を実際に検出されたビームの光量データに収束させて、収束後の関数から関数表現のために連続値として高分解能であり受光系の感度ばらつき等を除去したビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0010】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数が点像分布関数であることを特徴とする方法を用いている。
【0011】この方法により、ビームを出射する光源に円形開口等が固定され、点像として仮定できる光学系の場合に、ビームの光量データを点像分布関数で近似してサイドローブの影響を付加して収束させるのでビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0012】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数がフラウンホーファー回折に基づいた関数であることを特徴とする方法を用いている。
【0013】この方法により、ビームを出射する光源に矩形開口が固定され、フラウンホーファー回折の影響を示す光学系の場合、ビームの光量データをフラウンホーファー回折に基づく関数で近似して、サイドローブの影響を付加して収束させるのでビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0014】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数が、ビームの位置を表すパラメータとビームの振幅を表すパラメータとビームの幅を表すパラメータとを備えることを特徴とする方法を用いている。
【0015】この方法により、ビームの光量データを近似する関数を光量データに収束した後に各々のパラメータよりビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0016】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報処理工程によって前記関数を前記光量データに収束するように処理させた際のノイズ成分を表すオフセット項を前記関数が備えることを特徴とする方法を用いている。
【0017】この方法により、ビームを取得する際のノイズ成分を除去したビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0018】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報処理工程によって前記ビーム情報格納工程で格納された前記ビーム情報から前記ビームの重心が求められ、前記重心が前記ビーム情報処理工程によって前記光量データに収束するように処理される前記関数の位置を表すパラメータの初期値として設定されることを特徴とする方法を用いている。
【0019】この方法により、予めビーム情報から求められたビームの重心をビームの位置を表す関数のパラメータの初期値として設定されることにより、関数の収束速度を向上させるとともに関数が異なる位置で収束することを回避することができることとなる。
【0020】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記光量データが複数の範囲に区切られ、前記複数の範囲のうちの少なくとも1つの範囲内で前記ビーム情報処理工程によって前記関数が前記光量データに収束するように処理されることを特徴とする方法を用いている。
【0021】この方法により、ビームの特徴量に寄与する領域のみで関数を収束させて、ビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0022】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報処理工程によって、前記ビーム情報から前記ビームの最明値が求められるとともに前記最明値から前記光量データの閾値が求められ、前記閾値より大きい光量を有する前記光量データの範囲内で前記関数が前記光量データに収束するように処理されることを特徴とする方法を用いている。
【0023】この方法により、ビームの光量データのばらつきが関数の収束に影響することを低減し、ビームの主となる光量データの範囲で関数を収束させて、関数の一致率を向上し、高精度にビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0024】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビームが複数であって前記複数のビームは前記複数のビームの少なくとも一部が重畳して前記受光工程によって受光され、前記複数のビームの数と同じ数の前記関数を和算することによって前記複数のビームによる前記光量データに収束するように処理される関数が表されることを特徴とする方法を用いている。
【0025】この方法により、ビームが走査ビームなど時間的に変化する系においてビームを複数の光源から重畳するように出射され、重畳した状態で複数のビームの相対位置や光量データを動的に検出する場合に、個々のビームを関数で代用し、各関数の和を一の関数として、多重露光されたビームに収束させ、収束後の各々の関数をビームの光量データとして用いることにより多重露光された状態で、個々のビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0026】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報処理工程によって、前記複数のビームの重畳している部分での最大の光量よりも大きい光量を有する前記複数のビームの前記光量データの範囲から前記閾値が設定されるとともに前記閾値より大きい前記光量を有する前記光量データの範囲内で前記複数のビームの各々の重心が求められ、前記各々の重心が、前記複数のビームの数と同じ数の前記関数の各々の位置を表すパラメータの初期値として前記複数のビームと同数の前記関数の各々に設定されることを特徴とする方法を用いている。
【0027】この方法により、ビームの重畳している範囲での最大の光量よりも大きい光量で閾値を設定し、その閾値よりも大きい光量でビームの重心を求め、求められた重心を関数の位置を表すパラメータの初期値とすることで収束速度と検出精度を向上することができることとなる。
【0028】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記複数のビームのうち隣接する前記ビームの各々の前記重心の相対位置が、主走査方向と副走査方向との少なくとも一方の方向にずれている場合、前記ビーム情報処理工程によって、前記ビーム情報は前記プロファイルを検出する対象の前記ビームの重心を含む前記光量データに処理されるとともに、前記和算された関数は前記光量データに収束するように処理され、前記ビーム情報検出工程によって、前記和算された関数のうち前記プロファイルを検出する対象の前記ビームを表す前記関数に基づいて前記プロファイルを検出する対象の前記ビームのプロファイルが検出されることを特徴とする方法を用いている。
【0029】この方法により、重畳している複数のビームの重心の位置がずれている場合でも、対象とするビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0030】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数が、2次元の関数であることを特徴とする方法を用いている。
【0031】この方法により、2次元の関数として収束させることにより、相対的に影響を与えている隣接するビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0032】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数の前記パラメータに制約条件が与えられることを特徴とする方法を用いている。
【0033】この方法により、関数の収束条件を制限することにより、関数が対象外のビームに収束したり、収束後に負の値となったりする等の不具合を回避して、ビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0034】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報格納工程が、前記ビーム情報処理工程によって処理された前記関数から前記関数のパラメータのみを格納することを特徴とする方法を用いている。
【0035】この方法により、関数のパラメータのみを格納することで、格納されるビームのプロファイル情報の容量を大幅に低減することができることとなる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0037】図1〜図20は本発明の一実施形態に係るビームプロファイル検証方法を説明する図である。
【0038】図1に示すように、本発明の一実施形態のビームプロファイル検証方法は、画像形成装置の書込み光学系10の回転するポリゴンミラー11によってレーザダイオード(LD)12から出射されたビームを反射し、反射されたビームをfθレンズ13に透過させ、fθレンズ13を透過したビームは対物レンズ21を透過した後に受光工程によって2次元CCDカメラ20で受光する。
【0039】2次元CCDカメラ20によって受光されたビームはデジタル情報に光電変換され、ビームのデジタル情報に変換されたビーム情報はコンピュータ30に送信される。
【0040】コンピュータ30では、画情報を表示する表示部31や図示しない入出力部、記憶部、論理演算部、制御部等を備え、ビーム情報や検出されたビームのプロファイル等を格納するビーム情報格納工程、ビーム情報や関数を演算等によって処理するビーム情報処理工程、ビーム情報を検出するビーム情報検出工程が行われる。
【0041】コンピュータ30に送信されたビーム情報は、ビーム情報格納工程によってコンピュータ30内に格納される。コンピュータ30内に格納されたビーム情報はビーム情報処理工程によって処理されることで、図2R>2に示すようなビーム画像40が取得され、表示部31に表示される。さらにビーム情報処理工程によってビーム画像40の最も明るい部分の最明値または重心の位置が導出され、その座標を通る主走査方向または副走査方向のビームの光量データ41が取得される。図3に取得されたビームの光量データ41を示すが、光量データ41は2次元CCDカメラ20の画素ばらつき等によって、ビームの径を導出する際に通常用いられる光量の最明値から1/e2の光量の範囲でばらつきを生じることがある。
【0042】そのため、例えば(1)式に示すガウシアンビームの関数を設定し、ビーム情報処理工程によって以下のように処理を行う。
【0043】
【数1】
【0044】(1)式中の振幅Aはビームの光量、幅Bはビームの径、対称軸Cはビームの位置、定数項Dは2次元CCDカメラ20の暗電流ノイズなどのオフセット量に起因するパラメータとする。各パラメータA、B、C、Dに初期値を適当に与えておくことによって、図4に示すような、光量データ41とガウシアンビームの関数によって表された関数データ42との関係が得られる。
【0045】光量データ41の値をIK、関数データの値をfK、横軸方向の近似範囲をWとすると、図4の横軸に示す各位置における光量データIK、関数データfKの差dは(2)式のように示される。
【0046】
【数2】
【0047】(2)式中のdの値が小さくなるようにパラメータA、B、C、Dを変化させて、dの値が最小となった時点、即ち図5に示すように光量データ41に関数データ42を収束させた時点での関数がビームのプロファイルとされる。関数の収束結果である近似解を導出する方法としては準ニュートン法やLevenberg−Marqurdt法などが用いられる。
【0048】ビーム情報検出工程では、dの値が最小となった時点で、関数のパラメータA、B、C、Dの(A+D)の値をビームの光量の最明値、f(x)=(A+D)/e2を満たすxの幅をビームの径、Cをビームの位置としてビームのプロファイルとしての特徴量が検出される。f(x)=(A+D)/e2を満たすxの導出には、逆関数の導出やNewton−Paphson法などが用いられる。
【0049】図6に示すように、LD12の出射端に円形開口のアパーチャ14が設置されている場合には、fθレンズ13等を透過して結像するビームは点像として仮定され、ビームの像にはサイドローブが生じるために、取得された光量データ41には図7に示すようにサイドローブ部43が生じるのでサイドローブ部43の光量の分布も近似する。円形開口による回折像の光量の分布を示す式としては点像分布関数としてのBessel関数が用いられ、ビームの特徴量に起因する関数としてパラメータA、B、C、Dを反映させると、(3)式のように表せる。
【0050】
【数3】
【0051】(3)式中の各パラメータA、B、C、Dを変化させることによって図8に示すように関数データ45を光量データ44に収束させ、収束した時点での関数のパラメータA、B、C、Dからビームのプロファイルとしての特徴量を検出する。
【0052】図9に示すように、矩形開口のアパーチャ15が設置されている場合には、fθレンズ13等を透過して結像するビームの像はフラウンホーファー回折像の光量の分布となり、ビームの特徴量に起因する関数としてパラメータA、B、C、D、近似範囲Wを反映させると(4)式のように表せる。
【0053】
【数4】
【0054】(4)式中の各パラメータA、B、C、Dを変化させることによって図10に示すように関数データ47を光量データ46に収束した時点での関数のパラメータA、B、C、Dからビームのプロファイルとしての特徴量を検出する。
【0055】なお、矩形開口のアパーチャ15が設置されている場合の書込み光学系10のビームにガウシアンビーム(1)式、円形開口(3)式、矩形開口(4)式の関数を(2)式によって図11に示すように収束させた場合、それぞれの関数によって得られた差を比較すると、ガウシアンビーム(1)式に対して円形開口(3)式では20%、矩形開口(4)式では30%、一致度が向上した結果が得られている。
【0056】なお、(1)式、(3)式、(4)式はパラメータA、B、Cを反映させた関数として設定することで、メカニカルシャッターなどにより遮光して2次元CCDカメラ20等の暗電流画像を取得し、ビーム画像40から画像間差分によって差し引くなどの処置を施した場合のノイズ成分に起因するオフセットを無視することができる。
【0057】また、ビーム情報をビーム情報処理工程によって処理することで取得される図2に示すようなビーム画像40から、ビーム画像40の重心の位置を導出して、重心の値を関数の位置を表すパラメータCの初期値として代入して近似、収束することで、関数の収束前の位置を仮設定し、収束させる関数とビームの光量データの組み合わせ違いを回避し、さらに収束にかかる時間を短縮することが可能となる。パラメータDは、定数項として関数に反映することでビーム画像40に影響する暗電流ノイズなどのオフセット量を想定することができる。
【0058】関数(1)式、(3)式、(4)式などをビームの光量データ41、44、46に収束させる範囲は、予め任意の幅で複数に区切られ、これらの範囲のうち少なくとも1つの範囲内で収束させてもよい。例えば、図12に示すようにこれらの範囲は、ビーム情報処理工程によってビーム情報から求められた最明値48から最明値48の70%までの光量を有する最明値近傍の範囲49、最明値48の10%から20%までの光量を有する最明値48の1/e2近傍の範囲50、51で区切られ、これらの範囲で関数を光量データに収束させることもできる。
【0059】また、図13に示すように、関数データを光量データに収束させる範囲は、光量の最明値48から最明値48の1/e2の光量よりも大きい光量を有する範囲52の幅で区切られ、範囲52で関数を収束させることで、範囲52外のばらつきを生じている範囲も収束させて範囲52での収束が低減されるということから回避することができる。
【0060】図14に示すように、ビームが例えば2つのLDから出射され、矩形開口15を通過して2つのビームの少なくとも一部が受光工程によって2次元CCDカメラ20で重畳するように受光される場合、図15に示すような光量データ53を取得する。なお、LDから出射されるビームの数は複数であれば、2つ以外であってもよい。また、ここでは、出射される複数のビームを矩形開口15に通過させた場合の例を示しているが、円形開口14等を通過させた場合に適用されてもよい。
【0061】本実施形態においては、2つのビームは矩形開口15を通過したビームであるから(4)式の関数が異なる位置において2つ設定される。設定された2つの関数をf1、f2、関数f1のパラメータをA1、B1、C1、D1、関数f2のパラメータをA2、B2、C2、D2、近似させる範囲をWとして(5)式、(6)式のように設定する。なお、A1、A2はビームの振幅、B1、B2はビームの幅、C1、C2はビームの位置、D1、D2はオフセットとする。
【0062】
【数5】
【0063】
【数6】
【0064】そして、2つの関数(5)式、(6)式の和である関数Fは(7)式のように示され、(7)式中の各パラメータに初期値を適当に与えることによって図1515に示すように関数Fは表され、関数Fの各パラメータを変更することによって図16に示すように関数Fによる関数データ54を2つのビームの光量データ53に収束させる。
【0065】
【数7】
【0066】光量データ53に収束後の関数FのパラメータA1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2を収束後の関数f1、f2のパラメータとして代入することで2つのビームのそれぞれのビームの径や位置などの特徴量を検出することができる。従って、ビームが重畳した状態でもそれぞれのビームの特徴量を検出することが可能となる。
【0067】なお、2つの関数f1、f2のパラメータC1、C2には、図17に示すように2つのビームが重畳していない範囲55でビーム情報処理工程によって閾値処理をされ、その範囲55で検出されたそれぞれのビームの重心が代入されてもよい。そうすることでそれぞれの関数の収束前の位置を仮設定することができる。
【0068】2つのビームが、例えば図18に示すように主走査方向にずれている場合は、光量データは閾値処理をされた範囲55で検出されたそれぞれのビームの重心を通る光量検出位置56、57で取得される。図18中の上側のビームのプロファイルを検出したい場合には、上側のビームの重心を通る光量検出位置56で取得された図19に示す光量データ58に関数Fを収束させ、収束後に関数FのパラメータA1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2のうち関数f1のパラメータA1、B1、C1、D1を収束後の関数f1のパラメータとして代入することで上側の関数データ59から上側のビームの径や位置などの特徴量を検出することができる。下側のビームのプロファイルを検出したい場合には、下側のビームの重心を通る光量検出位置57で取得された光量データを用いることで検出することができる。
【0069】なお、例えば(8)式に示すように、関数は、主走査方向x、副走査方向yの2次元の関数であってもよい。
【0070】
【数8】
【0071】(8)式は、ビームが矩形開口を通過する場合に用いる関数である(4)式を2次元表示したものであり、Aはビームの振幅、Bは主走査方向のビームの幅、Cはビームの主走査方向の位置、Dはノイズ等のオフセット量、Eは副走査方向のビームの幅、Fはビームの副走査方向の位置、W1は主走査方向の近似範囲、W2は副走査方向の近似範囲である。
【0072】図20に示すように、2つのビームがずれている場合において、図20中の上側のビームのプロファイルを検出したい場合には、上側のビームの重心を通る光量検出位置60で取得された光量データに2次元表示とした2つの関数の和の関数を収束させ、収束後の関数データからビームの径や位置などの特徴量を検出することができる。
【0073】関数のパラメータはビームのプロファイルに関するものであるから、収束条件をA>0、B>0、C>0、D≧0(2次元の関数の場合には、A>0、B>0、C>0、D≧0、E>0、F>0)として制約し、円形開口や矩形開口の回折像の光量の分布を示す式を用いる場合は、受光系より取得されるデータがデジタルデータである為x=CとならないようにC≠整数とし、ビームが2つの場合には収束途中で位置が入れ替わることのないようにC1<C2の制約を付加して収束させることによって、収束速度、信頼性を向上させることができる。
【0074】なお、走査光学系では1ライン分のビームの個数が何千にもなるので、それぞれのビームの光量データに収束させた関数データをビーム情報格納工程において記憶部に格納していては記憶容量が膨大になり、また、格納したデータを圧縮するにしても処理時間が多大にかかってしまうため記憶容量を大幅に低減するために関数のパラメータA、B、C、D、E、Fのみを格納してもよい。ビームのプロファイルを取り出すときはビーム情報格納部からパラメータを読み出して関数に代入することで取得することができる。
【0075】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、2次元CCDカメラ等によってビームを受光する際の各画素のばらつきを平滑化することが可能となり、画素のばらつきに起因するビームの径やビームの光量の最明値、ビームの位置のばらつきを低減し、ビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0076】また、請求項2記載の発明によれば、ビームを出射する光源に円形開口のアパーチャなどが設定されている場合に、サイドローブなどのビームの特性を示す関数で近似、収束させることが可能となる。
【0077】また、請求項3記載の発明によれば、ビームを出射する光源に矩形開口のアパーチャなどが設定されている場合に、サイドローブなどのビームの特性を示す関数で近似、収束させることが可能となる。
【0078】また、請求項4記載の発明によれば、ビームの特徴量として必要なビームの位置、ビームの光量、ビームの径を示すパラメータを収束時に変化させることで、収束後に個々のパラメータからビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0079】また、請求項5記載の発明によれば、2次元CCDカメラなどの受光デバイスに起因する暗電流ノイズ等を示す項を設けているので、関数を近似、収束した後にノイズ成分を除去してビームの特徴量を検出することが可能となる。
【0080】また、請求項6記載の発明によれば、関数の収束前の位置を仮設定することにより、収束させる関数とビームの組み合わせ違いを回避するとともに収束速度を向上させて収束にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0081】また、請求項7記載の発明によれば、ビームの特徴量に寄与する領域のみの収束によって、収束にかかる処理時間を短縮できるとともに他の領域でも収束させるために全体として収束率が減少することを回避し、またビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0082】また、請求項8記載の発明によれば、ノイズなどに影響される範囲を除いてビームを収束させることによって、収束の精度を向上させるとともに収束にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0083】また、請求項9記載の発明によれば、複数のビームが重畳している状態で、個々のビームの特徴量を検出することが可能となる。
【0084】また、請求項10記載の発明によれば、複数のビームが重畳している部分の最大の光量よりも大きい光量で閾値を設定し、その閾値よりも大きい光量を有する範囲で重心を検出し、その重心位置を関数の初期位置とすることで、収束速度と検出精度とを向上させることが可能となる。
【0085】また、請求項11記載の発明によれば、隣接して影響しあう複数のビーム同士の相対位置が主走査方向及び副走査方向にずれている場合、対象とするビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0086】また、請求項12記載の発明によれば、関数を2次元とすることによって、ビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0087】また、請求項13記載の発明によれば、対象とするビームとは別のビームに収束したり、収束後にデータが負となったりする等の不具合を回避することが可能となる。
【0088】また、請求項14記載の発明によれば、記憶するデータの容量を大幅に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るビームプロファイル検証方法を説明する図である。
【図2】ビームの画像を示す図である。
【図3】ビームの光量データを示す図である。
【図4】光量データと関数データを示す図である。
【図5】光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図6】円形開口のアパーチャを示す図である。
【図7】円形開口のアパーチャを通過したビームの光量データに生じるサイドローブを示す図である。
【図8】図7に示す光量データとその光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図9】矩形開口のアパーチャを示す図である。
【図10】矩形開口のアパーチャを通過したビームの光量データとその光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図11】矩形開口アパーチャを通過したビームの光量データとその光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図12】関数データを光量データに近似させる範囲を示す図である。
【図13】関数データを光量データに近似させる1/e2の光量よりも明るい範囲を示す図である。
【図14】2つの光源から重畳するように出射されたビームの画像を示す図である。
【図15】2つのビームによる光量データとその光量データに収束させる関数データを示す図である。
【図16】図15に示す関数データを2つのビームによる光量データに収束させた状態を示す図である。
【図17】2つのビームが重畳していない部分の光量データの範囲を示す図である。
【図18】2つのビームのそれぞれの重心を通る光量検出位置を示す図である。
【図19】2つのビームによる光量データとその光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図20】2つのビームの位置のずれとビームの光量検出位置を示す図である。
【符号の説明】
10 書込み光学系
41、44、46、53、58 光量データ
42、45、47、54 関数データ
49、50、51 範囲
48 最明値
52 範囲
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置の書込み光学系から出射されるビームを高精度に検証するビームプロファイル検証方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真方式の画像形成装置を組み立てる前には走査光学系の各種光学素子の性能を評価するために、走査光学系から出射されるビームを走査させる回転多面鏡を固定し、静止しているビームをスリットによって一部遮断し、通過する光量を測定した後にスリットを移動させるという動作を順次繰り返して、測定した光量をつないでビームのプロファイルとする方法や、走査光学系から出射されるビームを2次元CCDカメラ等によって取得し、取得した2次元の光量分布を閾値処理してビーム径を検出する方法や、走査光学系のビームを連続点灯させて静止しているスリットを横切るように移動させ、その時通過するビームの光量の時間的変化によりビームの光量分布を評価する方法があった。
【0003】特開平8−247732号公報では、レーザプリンタ等の走査光学系におけるレーザビーム径測定装置において、ビーム径が感光体面上の結像点からずれてサイドローブが発生しているビームでも、ビーム径をサイドローブも含めて検出することができるものが記載されている。
【0004】また、特開2000−180757号公報では、ハイパワー半導体レーザを用いることなくビームを複数照射することによってスポット上のビーム照射を可能とし、複数のビームを主走査方向に重ね合わせて1つの走査ビーム照射領域を形成したり、印刷スピードを向上させるために副走査方向に複数光源を用いたりして、画像形成の高解像化および消費電力や発熱等の問題を解決するべく光源の光量の減少を図るものが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の特開平8−247732号公報記載のものにあっては、実際の画像形成時の点灯パターンは隣接するビームが部分的に重なり合うため、サイドローブが埋没した場合に、ビームのプロファイルを個々に検出することはできなかった。
【0006】また、特開2000−180757号公報に記載のものにあっては、画像形成時と同様な状態でビームのプロファイルを検証する際、ビームを走査させる回転多面鏡に生じる軸ぶれや面倒れなどの各面のばらつき、光源の相対的な応答ばらつき、光源点灯のための同期ばらつきなどが時系列的に生じ、複数の光源を同時に点灯した場合と個々に点灯した場合とで同一状態で点灯させることは困難であるために、ビームの光量が重なった状態での光量の分布状態とそれぞれのビーム位置やビーム径などを測定する必要があったが、複数の光源の同時点灯により重畳した光量分布状態で個々のビームのプロファイルを検出することはできなかった。
【0007】そこで本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、ビームの光量データを関数によって表現することでビームのプロファイルを高解像で検出するとともに、複数のビームが重畳している状態でも個々のビームのプロファイルを検証することが可能なビームプロファイル検証方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のビームプロファイル検証方法は、画像形成装置の書込み光学系によって出射されるビームを受光する受光工程と、前記受光工程によって受光された前記ビームのビーム情報を格納するビーム情報格納工程と、前記ビーム情報格納工程によって格納された前記ビーム情報を前記ビームの光量の分布を表す光量データに処理するとともに、前記光量データを近似する関数を前記光量データに収束するように前記関数を処理するビーム情報処理工程と、前記ビーム情報処理工程によって処理されることで前記光量データに収束した前記関数に基づいて前記ビームのプロファイルを検出するビーム情報検出工程とを備えることを特徴とする方法を用いている。
【0009】この方法により、ビームの光量データを関数によって近似し、ビームのプロファイルを仮設定した後、関数内のパラメータを変化させることによって関数を実際に検出されたビームの光量データに収束させて、収束後の関数から関数表現のために連続値として高分解能であり受光系の感度ばらつき等を除去したビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0010】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数が点像分布関数であることを特徴とする方法を用いている。
【0011】この方法により、ビームを出射する光源に円形開口等が固定され、点像として仮定できる光学系の場合に、ビームの光量データを点像分布関数で近似してサイドローブの影響を付加して収束させるのでビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0012】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数がフラウンホーファー回折に基づいた関数であることを特徴とする方法を用いている。
【0013】この方法により、ビームを出射する光源に矩形開口が固定され、フラウンホーファー回折の影響を示す光学系の場合、ビームの光量データをフラウンホーファー回折に基づく関数で近似して、サイドローブの影響を付加して収束させるのでビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0014】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数が、ビームの位置を表すパラメータとビームの振幅を表すパラメータとビームの幅を表すパラメータとを備えることを特徴とする方法を用いている。
【0015】この方法により、ビームの光量データを近似する関数を光量データに収束した後に各々のパラメータよりビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0016】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報処理工程によって前記関数を前記光量データに収束するように処理させた際のノイズ成分を表すオフセット項を前記関数が備えることを特徴とする方法を用いている。
【0017】この方法により、ビームを取得する際のノイズ成分を除去したビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0018】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報処理工程によって前記ビーム情報格納工程で格納された前記ビーム情報から前記ビームの重心が求められ、前記重心が前記ビーム情報処理工程によって前記光量データに収束するように処理される前記関数の位置を表すパラメータの初期値として設定されることを特徴とする方法を用いている。
【0019】この方法により、予めビーム情報から求められたビームの重心をビームの位置を表す関数のパラメータの初期値として設定されることにより、関数の収束速度を向上させるとともに関数が異なる位置で収束することを回避することができることとなる。
【0020】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記光量データが複数の範囲に区切られ、前記複数の範囲のうちの少なくとも1つの範囲内で前記ビーム情報処理工程によって前記関数が前記光量データに収束するように処理されることを特徴とする方法を用いている。
【0021】この方法により、ビームの特徴量に寄与する領域のみで関数を収束させて、ビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0022】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報処理工程によって、前記ビーム情報から前記ビームの最明値が求められるとともに前記最明値から前記光量データの閾値が求められ、前記閾値より大きい光量を有する前記光量データの範囲内で前記関数が前記光量データに収束するように処理されることを特徴とする方法を用いている。
【0023】この方法により、ビームの光量データのばらつきが関数の収束に影響することを低減し、ビームの主となる光量データの範囲で関数を収束させて、関数の一致率を向上し、高精度にビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0024】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビームが複数であって前記複数のビームは前記複数のビームの少なくとも一部が重畳して前記受光工程によって受光され、前記複数のビームの数と同じ数の前記関数を和算することによって前記複数のビームによる前記光量データに収束するように処理される関数が表されることを特徴とする方法を用いている。
【0025】この方法により、ビームが走査ビームなど時間的に変化する系においてビームを複数の光源から重畳するように出射され、重畳した状態で複数のビームの相対位置や光量データを動的に検出する場合に、個々のビームを関数で代用し、各関数の和を一の関数として、多重露光されたビームに収束させ、収束後の各々の関数をビームの光量データとして用いることにより多重露光された状態で、個々のビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0026】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報処理工程によって、前記複数のビームの重畳している部分での最大の光量よりも大きい光量を有する前記複数のビームの前記光量データの範囲から前記閾値が設定されるとともに前記閾値より大きい前記光量を有する前記光量データの範囲内で前記複数のビームの各々の重心が求められ、前記各々の重心が、前記複数のビームの数と同じ数の前記関数の各々の位置を表すパラメータの初期値として前記複数のビームと同数の前記関数の各々に設定されることを特徴とする方法を用いている。
【0027】この方法により、ビームの重畳している範囲での最大の光量よりも大きい光量で閾値を設定し、その閾値よりも大きい光量でビームの重心を求め、求められた重心を関数の位置を表すパラメータの初期値とすることで収束速度と検出精度を向上することができることとなる。
【0028】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記複数のビームのうち隣接する前記ビームの各々の前記重心の相対位置が、主走査方向と副走査方向との少なくとも一方の方向にずれている場合、前記ビーム情報処理工程によって、前記ビーム情報は前記プロファイルを検出する対象の前記ビームの重心を含む前記光量データに処理されるとともに、前記和算された関数は前記光量データに収束するように処理され、前記ビーム情報検出工程によって、前記和算された関数のうち前記プロファイルを検出する対象の前記ビームを表す前記関数に基づいて前記プロファイルを検出する対象の前記ビームのプロファイルが検出されることを特徴とする方法を用いている。
【0029】この方法により、重畳している複数のビームの重心の位置がずれている場合でも、対象とするビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0030】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数が、2次元の関数であることを特徴とする方法を用いている。
【0031】この方法により、2次元の関数として収束させることにより、相対的に影響を与えている隣接するビームの特徴量を高精度に検出することができることとなる。
【0032】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記関数の前記パラメータに制約条件が与えられることを特徴とする方法を用いている。
【0033】この方法により、関数の収束条件を制限することにより、関数が対象外のビームに収束したり、収束後に負の値となったりする等の不具合を回避して、ビームの特徴量を検出することができることとなる。
【0034】また、本発明のビームプロファイル検証方法は、前記ビーム情報格納工程が、前記ビーム情報処理工程によって処理された前記関数から前記関数のパラメータのみを格納することを特徴とする方法を用いている。
【0035】この方法により、関数のパラメータのみを格納することで、格納されるビームのプロファイル情報の容量を大幅に低減することができることとなる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0037】図1〜図20は本発明の一実施形態に係るビームプロファイル検証方法を説明する図である。
【0038】図1に示すように、本発明の一実施形態のビームプロファイル検証方法は、画像形成装置の書込み光学系10の回転するポリゴンミラー11によってレーザダイオード(LD)12から出射されたビームを反射し、反射されたビームをfθレンズ13に透過させ、fθレンズ13を透過したビームは対物レンズ21を透過した後に受光工程によって2次元CCDカメラ20で受光する。
【0039】2次元CCDカメラ20によって受光されたビームはデジタル情報に光電変換され、ビームのデジタル情報に変換されたビーム情報はコンピュータ30に送信される。
【0040】コンピュータ30では、画情報を表示する表示部31や図示しない入出力部、記憶部、論理演算部、制御部等を備え、ビーム情報や検出されたビームのプロファイル等を格納するビーム情報格納工程、ビーム情報や関数を演算等によって処理するビーム情報処理工程、ビーム情報を検出するビーム情報検出工程が行われる。
【0041】コンピュータ30に送信されたビーム情報は、ビーム情報格納工程によってコンピュータ30内に格納される。コンピュータ30内に格納されたビーム情報はビーム情報処理工程によって処理されることで、図2R>2に示すようなビーム画像40が取得され、表示部31に表示される。さらにビーム情報処理工程によってビーム画像40の最も明るい部分の最明値または重心の位置が導出され、その座標を通る主走査方向または副走査方向のビームの光量データ41が取得される。図3に取得されたビームの光量データ41を示すが、光量データ41は2次元CCDカメラ20の画素ばらつき等によって、ビームの径を導出する際に通常用いられる光量の最明値から1/e2の光量の範囲でばらつきを生じることがある。
【0042】そのため、例えば(1)式に示すガウシアンビームの関数を設定し、ビーム情報処理工程によって以下のように処理を行う。
【0043】
【数1】
【0044】(1)式中の振幅Aはビームの光量、幅Bはビームの径、対称軸Cはビームの位置、定数項Dは2次元CCDカメラ20の暗電流ノイズなどのオフセット量に起因するパラメータとする。各パラメータA、B、C、Dに初期値を適当に与えておくことによって、図4に示すような、光量データ41とガウシアンビームの関数によって表された関数データ42との関係が得られる。
【0045】光量データ41の値をIK、関数データの値をfK、横軸方向の近似範囲をWとすると、図4の横軸に示す各位置における光量データIK、関数データfKの差dは(2)式のように示される。
【0046】
【数2】
【0047】(2)式中のdの値が小さくなるようにパラメータA、B、C、Dを変化させて、dの値が最小となった時点、即ち図5に示すように光量データ41に関数データ42を収束させた時点での関数がビームのプロファイルとされる。関数の収束結果である近似解を導出する方法としては準ニュートン法やLevenberg−Marqurdt法などが用いられる。
【0048】ビーム情報検出工程では、dの値が最小となった時点で、関数のパラメータA、B、C、Dの(A+D)の値をビームの光量の最明値、f(x)=(A+D)/e2を満たすxの幅をビームの径、Cをビームの位置としてビームのプロファイルとしての特徴量が検出される。f(x)=(A+D)/e2を満たすxの導出には、逆関数の導出やNewton−Paphson法などが用いられる。
【0049】図6に示すように、LD12の出射端に円形開口のアパーチャ14が設置されている場合には、fθレンズ13等を透過して結像するビームは点像として仮定され、ビームの像にはサイドローブが生じるために、取得された光量データ41には図7に示すようにサイドローブ部43が生じるのでサイドローブ部43の光量の分布も近似する。円形開口による回折像の光量の分布を示す式としては点像分布関数としてのBessel関数が用いられ、ビームの特徴量に起因する関数としてパラメータA、B、C、Dを反映させると、(3)式のように表せる。
【0050】
【数3】
【0051】(3)式中の各パラメータA、B、C、Dを変化させることによって図8に示すように関数データ45を光量データ44に収束させ、収束した時点での関数のパラメータA、B、C、Dからビームのプロファイルとしての特徴量を検出する。
【0052】図9に示すように、矩形開口のアパーチャ15が設置されている場合には、fθレンズ13等を透過して結像するビームの像はフラウンホーファー回折像の光量の分布となり、ビームの特徴量に起因する関数としてパラメータA、B、C、D、近似範囲Wを反映させると(4)式のように表せる。
【0053】
【数4】
【0054】(4)式中の各パラメータA、B、C、Dを変化させることによって図10に示すように関数データ47を光量データ46に収束した時点での関数のパラメータA、B、C、Dからビームのプロファイルとしての特徴量を検出する。
【0055】なお、矩形開口のアパーチャ15が設置されている場合の書込み光学系10のビームにガウシアンビーム(1)式、円形開口(3)式、矩形開口(4)式の関数を(2)式によって図11に示すように収束させた場合、それぞれの関数によって得られた差を比較すると、ガウシアンビーム(1)式に対して円形開口(3)式では20%、矩形開口(4)式では30%、一致度が向上した結果が得られている。
【0056】なお、(1)式、(3)式、(4)式はパラメータA、B、Cを反映させた関数として設定することで、メカニカルシャッターなどにより遮光して2次元CCDカメラ20等の暗電流画像を取得し、ビーム画像40から画像間差分によって差し引くなどの処置を施した場合のノイズ成分に起因するオフセットを無視することができる。
【0057】また、ビーム情報をビーム情報処理工程によって処理することで取得される図2に示すようなビーム画像40から、ビーム画像40の重心の位置を導出して、重心の値を関数の位置を表すパラメータCの初期値として代入して近似、収束することで、関数の収束前の位置を仮設定し、収束させる関数とビームの光量データの組み合わせ違いを回避し、さらに収束にかかる時間を短縮することが可能となる。パラメータDは、定数項として関数に反映することでビーム画像40に影響する暗電流ノイズなどのオフセット量を想定することができる。
【0058】関数(1)式、(3)式、(4)式などをビームの光量データ41、44、46に収束させる範囲は、予め任意の幅で複数に区切られ、これらの範囲のうち少なくとも1つの範囲内で収束させてもよい。例えば、図12に示すようにこれらの範囲は、ビーム情報処理工程によってビーム情報から求められた最明値48から最明値48の70%までの光量を有する最明値近傍の範囲49、最明値48の10%から20%までの光量を有する最明値48の1/e2近傍の範囲50、51で区切られ、これらの範囲で関数を光量データに収束させることもできる。
【0059】また、図13に示すように、関数データを光量データに収束させる範囲は、光量の最明値48から最明値48の1/e2の光量よりも大きい光量を有する範囲52の幅で区切られ、範囲52で関数を収束させることで、範囲52外のばらつきを生じている範囲も収束させて範囲52での収束が低減されるということから回避することができる。
【0060】図14に示すように、ビームが例えば2つのLDから出射され、矩形開口15を通過して2つのビームの少なくとも一部が受光工程によって2次元CCDカメラ20で重畳するように受光される場合、図15に示すような光量データ53を取得する。なお、LDから出射されるビームの数は複数であれば、2つ以外であってもよい。また、ここでは、出射される複数のビームを矩形開口15に通過させた場合の例を示しているが、円形開口14等を通過させた場合に適用されてもよい。
【0061】本実施形態においては、2つのビームは矩形開口15を通過したビームであるから(4)式の関数が異なる位置において2つ設定される。設定された2つの関数をf1、f2、関数f1のパラメータをA1、B1、C1、D1、関数f2のパラメータをA2、B2、C2、D2、近似させる範囲をWとして(5)式、(6)式のように設定する。なお、A1、A2はビームの振幅、B1、B2はビームの幅、C1、C2はビームの位置、D1、D2はオフセットとする。
【0062】
【数5】
【0063】
【数6】
【0064】そして、2つの関数(5)式、(6)式の和である関数Fは(7)式のように示され、(7)式中の各パラメータに初期値を適当に与えることによって図1515に示すように関数Fは表され、関数Fの各パラメータを変更することによって図16に示すように関数Fによる関数データ54を2つのビームの光量データ53に収束させる。
【0065】
【数7】
【0066】光量データ53に収束後の関数FのパラメータA1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2を収束後の関数f1、f2のパラメータとして代入することで2つのビームのそれぞれのビームの径や位置などの特徴量を検出することができる。従って、ビームが重畳した状態でもそれぞれのビームの特徴量を検出することが可能となる。
【0067】なお、2つの関数f1、f2のパラメータC1、C2には、図17に示すように2つのビームが重畳していない範囲55でビーム情報処理工程によって閾値処理をされ、その範囲55で検出されたそれぞれのビームの重心が代入されてもよい。そうすることでそれぞれの関数の収束前の位置を仮設定することができる。
【0068】2つのビームが、例えば図18に示すように主走査方向にずれている場合は、光量データは閾値処理をされた範囲55で検出されたそれぞれのビームの重心を通る光量検出位置56、57で取得される。図18中の上側のビームのプロファイルを検出したい場合には、上側のビームの重心を通る光量検出位置56で取得された図19に示す光量データ58に関数Fを収束させ、収束後に関数FのパラメータA1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2のうち関数f1のパラメータA1、B1、C1、D1を収束後の関数f1のパラメータとして代入することで上側の関数データ59から上側のビームの径や位置などの特徴量を検出することができる。下側のビームのプロファイルを検出したい場合には、下側のビームの重心を通る光量検出位置57で取得された光量データを用いることで検出することができる。
【0069】なお、例えば(8)式に示すように、関数は、主走査方向x、副走査方向yの2次元の関数であってもよい。
【0070】
【数8】
【0071】(8)式は、ビームが矩形開口を通過する場合に用いる関数である(4)式を2次元表示したものであり、Aはビームの振幅、Bは主走査方向のビームの幅、Cはビームの主走査方向の位置、Dはノイズ等のオフセット量、Eは副走査方向のビームの幅、Fはビームの副走査方向の位置、W1は主走査方向の近似範囲、W2は副走査方向の近似範囲である。
【0072】図20に示すように、2つのビームがずれている場合において、図20中の上側のビームのプロファイルを検出したい場合には、上側のビームの重心を通る光量検出位置60で取得された光量データに2次元表示とした2つの関数の和の関数を収束させ、収束後の関数データからビームの径や位置などの特徴量を検出することができる。
【0073】関数のパラメータはビームのプロファイルに関するものであるから、収束条件をA>0、B>0、C>0、D≧0(2次元の関数の場合には、A>0、B>0、C>0、D≧0、E>0、F>0)として制約し、円形開口や矩形開口の回折像の光量の分布を示す式を用いる場合は、受光系より取得されるデータがデジタルデータである為x=CとならないようにC≠整数とし、ビームが2つの場合には収束途中で位置が入れ替わることのないようにC1<C2の制約を付加して収束させることによって、収束速度、信頼性を向上させることができる。
【0074】なお、走査光学系では1ライン分のビームの個数が何千にもなるので、それぞれのビームの光量データに収束させた関数データをビーム情報格納工程において記憶部に格納していては記憶容量が膨大になり、また、格納したデータを圧縮するにしても処理時間が多大にかかってしまうため記憶容量を大幅に低減するために関数のパラメータA、B、C、D、E、Fのみを格納してもよい。ビームのプロファイルを取り出すときはビーム情報格納部からパラメータを読み出して関数に代入することで取得することができる。
【0075】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、2次元CCDカメラ等によってビームを受光する際の各画素のばらつきを平滑化することが可能となり、画素のばらつきに起因するビームの径やビームの光量の最明値、ビームの位置のばらつきを低減し、ビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0076】また、請求項2記載の発明によれば、ビームを出射する光源に円形開口のアパーチャなどが設定されている場合に、サイドローブなどのビームの特性を示す関数で近似、収束させることが可能となる。
【0077】また、請求項3記載の発明によれば、ビームを出射する光源に矩形開口のアパーチャなどが設定されている場合に、サイドローブなどのビームの特性を示す関数で近似、収束させることが可能となる。
【0078】また、請求項4記載の発明によれば、ビームの特徴量として必要なビームの位置、ビームの光量、ビームの径を示すパラメータを収束時に変化させることで、収束後に個々のパラメータからビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0079】また、請求項5記載の発明によれば、2次元CCDカメラなどの受光デバイスに起因する暗電流ノイズ等を示す項を設けているので、関数を近似、収束した後にノイズ成分を除去してビームの特徴量を検出することが可能となる。
【0080】また、請求項6記載の発明によれば、関数の収束前の位置を仮設定することにより、収束させる関数とビームの組み合わせ違いを回避するとともに収束速度を向上させて収束にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0081】また、請求項7記載の発明によれば、ビームの特徴量に寄与する領域のみの収束によって、収束にかかる処理時間を短縮できるとともに他の領域でも収束させるために全体として収束率が減少することを回避し、またビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0082】また、請求項8記載の発明によれば、ノイズなどに影響される範囲を除いてビームを収束させることによって、収束の精度を向上させるとともに収束にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0083】また、請求項9記載の発明によれば、複数のビームが重畳している状態で、個々のビームの特徴量を検出することが可能となる。
【0084】また、請求項10記載の発明によれば、複数のビームが重畳している部分の最大の光量よりも大きい光量で閾値を設定し、その閾値よりも大きい光量を有する範囲で重心を検出し、その重心位置を関数の初期位置とすることで、収束速度と検出精度とを向上させることが可能となる。
【0085】また、請求項11記載の発明によれば、隣接して影響しあう複数のビーム同士の相対位置が主走査方向及び副走査方向にずれている場合、対象とするビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0086】また、請求項12記載の発明によれば、関数を2次元とすることによって、ビームの特徴量を高精度に検出することが可能となる。
【0087】また、請求項13記載の発明によれば、対象とするビームとは別のビームに収束したり、収束後にデータが負となったりする等の不具合を回避することが可能となる。
【0088】また、請求項14記載の発明によれば、記憶するデータの容量を大幅に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るビームプロファイル検証方法を説明する図である。
【図2】ビームの画像を示す図である。
【図3】ビームの光量データを示す図である。
【図4】光量データと関数データを示す図である。
【図5】光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図6】円形開口のアパーチャを示す図である。
【図7】円形開口のアパーチャを通過したビームの光量データに生じるサイドローブを示す図である。
【図8】図7に示す光量データとその光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図9】矩形開口のアパーチャを示す図である。
【図10】矩形開口のアパーチャを通過したビームの光量データとその光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図11】矩形開口アパーチャを通過したビームの光量データとその光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図12】関数データを光量データに近似させる範囲を示す図である。
【図13】関数データを光量データに近似させる1/e2の光量よりも明るい範囲を示す図である。
【図14】2つの光源から重畳するように出射されたビームの画像を示す図である。
【図15】2つのビームによる光量データとその光量データに収束させる関数データを示す図である。
【図16】図15に示す関数データを2つのビームによる光量データに収束させた状態を示す図である。
【図17】2つのビームが重畳していない部分の光量データの範囲を示す図である。
【図18】2つのビームのそれぞれの重心を通る光量検出位置を示す図である。
【図19】2つのビームによる光量データとその光量データに収束させた関数データを示す図である。
【図20】2つのビームの位置のずれとビームの光量検出位置を示す図である。
【符号の説明】
10 書込み光学系
41、44、46、53、58 光量データ
42、45、47、54 関数データ
49、50、51 範囲
48 最明値
52 範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】画像形成装置の書込み光学系によって出射されるビームを受光する受光工程と、前記受光工程によって受光された前記ビームのビーム情報を格納するビーム情報格納工程と、前記ビーム情報格納工程によって格納された前記ビーム情報を前記ビームの光量の分布を表す光量データに処理するとともに、前記光量データを近似する関数を前記光量データに収束するように前記関数を処理するビーム情報処理工程と、前記ビーム情報処理工程によって処理されることで前記光量データに収束した前記関数に基づいて前記ビームのプロファイルを検出するビーム情報検出工程とを備えることを特徴とするビームプロファイル検証方法。
【請求項2】前記関数が点像分布関数であることを特徴とする請求項1に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項3】前記関数がフラウンホーファー回折に基づいた関数であることを特徴とする請求項1に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項4】前記関数が、ビームの位置を表すパラメータとビームの振幅を表すパラメータとビームの幅を表すパラメータとを備えることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項5】前記ビーム情報処理工程によって前記関数を前記光量データに収束するように処理させた際のノイズ成分を表すオフセット項を前記関数が備えることを特徴とする請求項4に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項6】前記ビーム情報処理工程によって前記ビーム情報格納工程で格納された前記ビーム情報から前記ビームの重心が求められ、前記重心が前記ビーム情報処理工程によって前記光量データに収束するように処理される前記関数の位置を表すパラメータの初期値として設定されることを特徴とする請求項4または5に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項7】前記光量データが複数の範囲に区切られ、前記複数の範囲のうちの少なくとも1つの範囲内で前記ビーム情報処理工程によって前記関数が前記光量データに収束するように処理されることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項8】前記ビーム情報処理工程によって、前記ビーム情報から前記ビームの最明値が求められるとともに前記最明値から前記光量データの閾値が求められ、前記閾値より大きい光量を有する前記光量データの範囲内で前記関数が前記光量データに収束するように処理されることを特徴とする請求項7に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項9】前記ビームが複数であって前記複数のビームは前記複数のビームの少なくとも一部が重畳して前記受光工程によって受光され、前記複数のビームの数と同じ数の前記関数を和算することによって前記複数のビームによる前記光量データに収束するように処理される関数が表されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項10】前記ビーム情報処理工程によって、前記複数のビームの重畳している部分での最大の光量よりも大きい光量を有する前記複数のビームの前記光量データの範囲から前記閾値が設定されるとともに前記閾値より大きい前記光量を有する前記光量データの範囲内で前記複数のビームの各々の重心が求められ、前記各々の重心が、前記複数のビームの数と同じ数の前記関数の各々の位置を表すパラメータの初期値として前記複数のビームと同数の前記関数の各々に設定されることを特徴とする請求項9に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項11】前記複数のビームのうち隣接する前記ビームの各々の前記重心の相対位置が、主走査方向と副走査方向との少なくとも一方の方向にずれている場合、前記ビーム情報処理工程によって、前記ビーム情報は前記プロファイルを検出する対象の前記ビームの重心を含む前記光量データに処理されるとともに、前記和算された関数は前記光量データに収束するように処理され、前記ビーム情報検出工程によって、前記和算された関数のうち前記プロファイルを検出する対象の前記ビームを表す前記関数に基づいて前記プロファイルを検出する対象の前記ビームのプロファイルが検出されることを特徴とする請求項10に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項12】前記関数が、2次元の関数であることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項13】前記関数の前記パラメータに制約条件が与えられることを特徴とする請求項4から12の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項14】前記ビーム情報格納工程が、前記ビーム情報処理工程によって処理された前記関数から前記関数のパラメータのみを格納することを特徴とする請求項4から13の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項1】画像形成装置の書込み光学系によって出射されるビームを受光する受光工程と、前記受光工程によって受光された前記ビームのビーム情報を格納するビーム情報格納工程と、前記ビーム情報格納工程によって格納された前記ビーム情報を前記ビームの光量の分布を表す光量データに処理するとともに、前記光量データを近似する関数を前記光量データに収束するように前記関数を処理するビーム情報処理工程と、前記ビーム情報処理工程によって処理されることで前記光量データに収束した前記関数に基づいて前記ビームのプロファイルを検出するビーム情報検出工程とを備えることを特徴とするビームプロファイル検証方法。
【請求項2】前記関数が点像分布関数であることを特徴とする請求項1に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項3】前記関数がフラウンホーファー回折に基づいた関数であることを特徴とする請求項1に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項4】前記関数が、ビームの位置を表すパラメータとビームの振幅を表すパラメータとビームの幅を表すパラメータとを備えることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項5】前記ビーム情報処理工程によって前記関数を前記光量データに収束するように処理させた際のノイズ成分を表すオフセット項を前記関数が備えることを特徴とする請求項4に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項6】前記ビーム情報処理工程によって前記ビーム情報格納工程で格納された前記ビーム情報から前記ビームの重心が求められ、前記重心が前記ビーム情報処理工程によって前記光量データに収束するように処理される前記関数の位置を表すパラメータの初期値として設定されることを特徴とする請求項4または5に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項7】前記光量データが複数の範囲に区切られ、前記複数の範囲のうちの少なくとも1つの範囲内で前記ビーム情報処理工程によって前記関数が前記光量データに収束するように処理されることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項8】前記ビーム情報処理工程によって、前記ビーム情報から前記ビームの最明値が求められるとともに前記最明値から前記光量データの閾値が求められ、前記閾値より大きい光量を有する前記光量データの範囲内で前記関数が前記光量データに収束するように処理されることを特徴とする請求項7に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項9】前記ビームが複数であって前記複数のビームは前記複数のビームの少なくとも一部が重畳して前記受光工程によって受光され、前記複数のビームの数と同じ数の前記関数を和算することによって前記複数のビームによる前記光量データに収束するように処理される関数が表されることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項10】前記ビーム情報処理工程によって、前記複数のビームの重畳している部分での最大の光量よりも大きい光量を有する前記複数のビームの前記光量データの範囲から前記閾値が設定されるとともに前記閾値より大きい前記光量を有する前記光量データの範囲内で前記複数のビームの各々の重心が求められ、前記各々の重心が、前記複数のビームの数と同じ数の前記関数の各々の位置を表すパラメータの初期値として前記複数のビームと同数の前記関数の各々に設定されることを特徴とする請求項9に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項11】前記複数のビームのうち隣接する前記ビームの各々の前記重心の相対位置が、主走査方向と副走査方向との少なくとも一方の方向にずれている場合、前記ビーム情報処理工程によって、前記ビーム情報は前記プロファイルを検出する対象の前記ビームの重心を含む前記光量データに処理されるとともに、前記和算された関数は前記光量データに収束するように処理され、前記ビーム情報検出工程によって、前記和算された関数のうち前記プロファイルを検出する対象の前記ビームを表す前記関数に基づいて前記プロファイルを検出する対象の前記ビームのプロファイルが検出されることを特徴とする請求項10に記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項12】前記関数が、2次元の関数であることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項13】前記関数の前記パラメータに制約条件が与えられることを特徴とする請求項4から12の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【請求項14】前記ビーム情報格納工程が、前記ビーム情報処理工程によって処理された前記関数から前記関数のパラメータのみを格納することを特徴とする請求項4から13の何れかに記載のビームプロファイル検証方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2003−14583(P2003−14583A)
【公開日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−203801(P2001−203801)
【出願日】平成13年7月4日(2001.7.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年7月4日(2001.7.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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