説明

ピリダジノン誘導体

式(I)で表され、式中R、RおよびRは請求項1に示す意味を有する化合物は、チロシンキナーゼ、特にMetキナーゼの阻害剤であり、とりわけ腫瘍を治療するために用いることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、有用な特性を有する新規な化合物、特に医薬を調製するために用いることができるものを見出す目的を有していた。
【0002】
本発明は、キナーゼ、特にチロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼによるシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が作用を奏する化合物および化合物の使用、さらにこれらの化合物を含む医薬組成物、ならびに当該化合物の、キナーゼにより誘発された疾患の処置のための使用に関する。
特に、本発明は、Metキナーゼによるシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が作用を奏する化合物および化合物の使用に関する。
【0003】
細胞調節を行う主要な機構の1つは、膜を横切る細胞外シグナルの伝達によるものであり、これは次いで細胞内で生化学的経路を調整する。タンパク質リン酸化は、細胞内シグナルが分子ごとに伝播され、最終的に細胞応答をもたらす1つの経過を表す。これらのシグナル伝達カスケードは、高度に調節され、しばしば重複するが、これは、多種のプロテインキナーゼおよびホスファターゼの存在から明白である。タンパク質のリン酸化は、主にセリン、トレオニンまたはチロシン残基において発生し、したがって、プロテインキナーゼは、リン酸化部位のこれらの特異性によって分類される。即ちセリン/トレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼである。
【0004】
リン酸化が細胞内でのこのような普遍的なプロセスであるため、また細胞表現型がこれらの経路の活性により大きく影響されるため、多数の疾患状態および/または疾患が、キナーゼカスケードの分子成分における異常な活性化または機能的な変異のいずれかに起因すると、現在考えられている。したがって、これらのタンパク質およびこれらの活性を調整することができる化合物を特徴づけするために、顕著な注意が向けられた(概説については、Weinstein-Oppenheimer et al. Pharma. &. Therap., 2000, 88, 229-279を参照)。
【0005】
ヒト発癌におけるレセプターチロシンキナーゼMetの役割およびHGF(肝細胞増殖因子)依存性Met活性化を阻害する可能性は、S. Berthou et al.により、Oncogene、第23巻、No. 31, 5387〜5393頁(2004)に記載されている。この中に記載されているピロール−インドリン化合物である阻害剤SU11274は、癌に対処するのに潜在的に適する。
癌療法のための他のMetキナーゼ阻害剤は、J.G. Christensen et al.により、Cancer Res. 2003, 63(21), 7345-55に記載されている。
【0006】
癌に対処するための他のチロシンキナーゼ阻害剤は、H. Hov et al.によりClinical Cancer Research第10巻、6686-6694 (2004)に報告されている。インドール誘導体である化合物PHA−665752は、HGFレセプターc−Metを標的とする。さらに、HGFおよびMetが癌の種々の形態の悪性のプロセス、例えば多発性骨髄腫に顕著な寄与をなすことが、当該文献中で報告されている。
【0007】
したがって、チロシンキナーゼおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼ、特にMetキナーゼによるシグナル伝達を阻害、調節および/または調整する小化合物の合成が所望されており、本発明の目的である。
【0008】
本発明の化合物およびこれらの塩は、極めて有用な薬理学的特性を有し、同時に十分に耐容されることが見出された。
【0009】
本発明は特に、Metキナーゼによるシグナル伝達を阻害、調節および/または調整する式Iで表される化合物、これらの化合物を含む組成物、ならびに哺乳類におけるMetキナーゼにより誘発された疾患および愁訴、例えば血管形成、癌、腫瘍形成、成長および増殖(propagation)、動脈硬化、眼の疾患、例えば年齢により誘発された黄斑変性症、脈絡膜血管新生および糖尿病性網膜症、炎症性疾患、関節炎、血栓症、線維症、糸球体腎炎、神経変性、乾癬、再狭窄、創傷治癒、移植片拒絶、代謝性疾患および免疫系の疾患、また自己免疫性疾患、肝硬変、糖尿病および血管の疾患、また不安定性および浸透性などを処置するためのこれらの使用方法に関する。
【0010】
固形腫瘍、特に迅速に成長する腫瘍を、Metキナーゼ阻害剤で処置することができる。これらの固形腫瘍には、単球性白血病、脳腫瘍、尿生殖器腫瘍、リンパ系腫瘍、胃癌、喉頭癌ならびに肺腺癌および小細胞肺癌を含む肺癌が含まれる。
【0011】
本発明は、調節されていない、または乱れたMetキナーゼ活性と関連する疾患を防止および/または処置するための、Metキナーゼを調節、調整または阻害するための方法を対象とする。特に、式Iで表される化合物を、特定の形態の癌を処置するにあたり用いることもできる。式Iで表される化合物をさらに、特定の既存の癌化学療法において相加的な、または相乗的な効果を提供するために用いることができ、かつ/または特定の既存の癌化学療法および放射線療法の有効性を回復するために用いることができる。
【0012】
式Iで表される化合物をさらに、Metキナーゼの単離および活性または発現の調査のために用いることができる。さらに、これらは特に、調節されていない、または乱れたMetキナーゼ活性と関連する疾患についての診断法において用いるのに適する。
【0013】
本発明の化合物が異種移植腫瘍モデルにおいてインビボで抗増殖性作用を有することを、示すことができる。本発明の化合物を、過剰増殖性疾患を有する患者に投与して、例えば腫瘍成長を阻害し、リンパ球増殖性疾患と関連する炎症を低減し、組織修復などによる移植片拒絶または神経学的損傷を阻害する。本発明の化合物は、予防的または治療的目的に適する。本明細書中で用いる用語「処置」は、疾患の防止と既存の状態の処置との両方を指すのに用いられる。増殖の防止は、明白な疾患が発生する前に本発明の化合物を投与することによって達成され、これは例えば腫瘍の成長を防止し、転移性増殖を防止し、心血管手術に関連する再狭窄を軽減するためなどに行う。あるいはまた、患者の臨床的症状を安定化するかまたは改善することによって進行中の疾患を治療するために、当該化合物が用いられる。
【0014】
宿主または患者は、任意の哺乳類種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属し得る。動物モデルは、実験的調査のために重要であり、ここでこれらは、ヒト疾患の処置についてのモデルを提供する。
【0015】
本発明の化合物での処置に対する特定の細胞の感受性を、インビトロ試験により決定することができる。典型的に、細胞の培養物を、本発明の化合物と、種々の濃度において、活性剤が細胞死を誘発するかまたは遊走を阻害するのを可能にするのに十分な期間、通常約1時間〜1週間にわたり、混ぜ合わせる。インビトロ試験を生検試料から培養された細胞を用いて行うことができる。次に、処理の後に残留する生細胞を計数する。
【0016】
用量は、用いる特定の化合物、特定の疾患、患者の状況などに依存して変化する。治療的用量は、典型的には標的組織中の所望されない細胞集団を減少させ、同時に患者の生存能を維持するのに顕著に十分である。処置を一般的に、顕著な減少、例えば細胞負荷の少なくとも約50%の減少が発生するまで継続し、本質的に所望されない細胞が身体中でもはや検出されなくなるまで継続してもよい。
【0017】
シグナル伝達経路を同定するため、および種々のシグナル伝達経路間の相互作用を検出するために、種々の科学者は、好適なモデルまたはモデル系、例えば細胞培養モデル(例えばKhwaja et al., EMBO, 1997, 16, 2783-93)およびトランスジェニック動物のモデル(例えばWhite et al., Oncogene, 2001, 20, 7064-7072)を開発してきた。シグナル伝達カスケードにおけるいくつかの段階の決定のために、相互作用する化合物を用いて、シグナルを調整させることができる(例えばStephens et al., Biochemical J., 2000, 351, 95-105)。本発明の化合物をまた、動物および/または細胞培養モデルにおける、または本出願において述べる臨床的疾患におけるキナーゼ依存性シグナル伝達経路を試験するための試薬として、用いることができる。
【0018】
キナーゼ活性の測定は、当業者に十分知られている手法である。基質、例えばヒストン(例えばAlessi et al., FEBS Lett. 1996, 399, 3, 333〜338頁)または塩基性ミエリンタンパク質を用いるキナーゼ活性の決定のための一般的な試験系は、文献中に記載されている(例えば、Campos-Gonzalez, R. and Glenney, Jr., J.R. 1992, J. Biol. Chem. 267, 14535頁)。
【0019】
キナーゼ阻害剤を同定するために、種々のアッセイ系が利用可能である。シンチレーション近接アッセイ(Sorg et al., J. of Biomolecular Screening, 2002, 7, 11-19)およびフラッシュプレート(flashplate)アッセイにおいて、基質としてのタンパク質またはペプチドのγATPでの放射活性リン酸化を、測定する。阻害化合物の存在下では、低減された放射活性シグナルが検出可能であるか、またはシグナルは完全に検出不能である。さらに、均一時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術は、アッセイ法として適する(Sills et al., J. of Biomolecular Screening, 2002, 191-214)。
【0020】
他の非放射活性ELISAアッセイ法は、特定のホスホ−抗体(ホスホ−AB)を用いる。ホスホ−ABは、リン酸化された基質にのみ結合する。この結合を、第2のペルオキシダーゼ結合抗ヒツジ抗体を用いて、ケモルミネセンス(chemoluminescence)により検出することができる(Ross et al., 2002, Biochem. J.)。
【0021】
細胞増殖および細胞死(アポトーシス)の調節解除に関連する多くの疾患がある。関連する状態には、以下のものが含まれるが、これらには限定されない。本発明の化合物は、平滑筋細胞および/または炎症細胞の血管の内膜層中への増殖および/または遊走があり、例えば新生内膜閉塞性病変の場合などにおけるように、当該血管を通過する制限された血流をもたらす種々の状態の処置に適する。対象となる閉塞性移植血管疾患には、アテローム硬化症、移植後の冠血管疾患、静脈移植血管狭窄症、吻合部周囲の(peri-anastomatic)補綴再狭窄、血管形成術またはステント留置後の再狭窄などが含まれる。
【0022】
従来技術
癌に対処するためのジヒドロピリダジノン類は、WO 03/037349 A1に記載されている。
免疫系の疾患、虚血性および炎症性疾患を処置するための他のピリダジン類は、EP 1 043 317 A1およびEP 1 061 077 A1から知られている。
EP 0 738 716 A2およびEP 0 711 759 B1には、殺真菌薬および殺虫剤としての他のジヒドロピリダジノン類およびピリダジノン類が記載されている。
他のピリダジノン類は、US 4,397,854において強心薬として記載されている。
特開昭57-95964号公報には、他のピリダジノン類が開示されている。
【発明の概要】
【0023】
発明の概要
本発明は、式I
【化1】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、ArまたはHetを示し、
は、HまたはAを示し、
【0024】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、O、S、SO、SOおよび/またはCH=CH基により置き換えられていてもよい)、
あるいは、
3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
【0025】
Alkは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、O、S、SO、SO、C≡Cおよび/またはCH=CH基により置き換えられていてもよい)、
あるいは、
3〜7個のC原子を有する環状アルキレンを示し、
【0026】
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、この各々は、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されており、さらにHal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、O[C(RN(R)、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHet、CHOおよび/またはCOAにより単置換、二置換または三置換されていてもよく、
【0027】
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、この各々は、Hal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、O[C(RN(R)、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHet、CHOおよび/またはCOAにより単置換、二置換または三置換されており、
【0028】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、(Alk)SONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’、(Alk)BまたはArにより単置換されており、さらにHal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、O[C(RN(R)、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHetおよび/またはCOAにより単置換、二置換または三置換されていてもよい、単環式、二環式または三環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
【0029】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、OR、(CHN(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、O[C(RN(R)、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHet、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、CHO、COA、=S、=NH、=NA、オキシ(−O)および/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式、二環式または三環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
【0030】
Hetは、1〜4個のN、Sおよび/またはO原子を有し、A、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換または四置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
【0031】
B、B’は、各々、互いに独立して、(Alk)Het、(Alk)N(R、(Alk)OR、(Alk)SOA、(Alk)CH(OR)CHOR、R、(Alk)CO−ORまたは(Alk)CO−N(Rを示し、
ここで、NH基はまた、NCOOAまたはN−C(=O)Rにより置き換えられていてもよく、
【0032】
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、1、2、3または4を示し、
pは、0、1、2、3または4を示し、
qは、0または1を示す、
で表される化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物に関する。
【0033】
本発明はまた、これらの化合物の光学的に活性な形態(立体異性体)、鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマーならびに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物の用語は、相互の引力のために形成される、化合物上への不活性溶媒分子のアダクション(adduction)を意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば、一もしくは二水和物またはアルコキシドである。
薬学的に使用可能な誘導体の用語は、例えば、本発明の化合物の塩、およびまたいわゆるプロドラッグ(prodrug)化合物を意味するものと解釈される。
【0034】
プロドラッグ誘導体の用語は、例えばアルキル基もしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾され、生物体中で迅速に切断されて本発明の有効な化合物を形成する、式Iで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
【0035】
「有効量」の表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師により求められているかまたは所望されている生物学的または薬学的応答を生じる、医薬の、または薬学的に活性な成分の量を示す。
さらに、「治療的に有効な量」の表現は、この量を施与されていない対応する対象と比較して、以下の結果:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害もしくは副作用の改善された処置、治癒、防止もしくは解消、またはまた疾患、愁訴もしくは障害の進行の低減
を有する量を示す。
「治療的に有効な量」の表現はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0036】
本発明はまた、式Iで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率での混合物の使用に関する。
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
【0037】
本発明は、式Iで表される化合物およびこれらの塩、ならびに、請求項1〜16に記載の式Iで表される化合物、ならびに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化2】

式中、Rは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、式III
−CHL−R III
式中、RおよびRは、請求項1において示した意味を有し、
Lは、Cl、Br、Iまたは、遊離の、もしくは反応的に官能的に修飾されたOH基を示す、
で表される化合物と反応させ、
あるいは、
【0038】
b)ラジカルRを他のラジカルRに、アミノ基をアシル化することにより変換し、
あるいは
c)これを、加溶媒分解剤または水素化分解剤で処理することにより、この機能的誘導体の1種から遊離させ、
かつ/または
式Iで表される塩基または酸を、この塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0039】
本明細書中、ラジカルR、RおよびRは、他に明確に述べない限り、式Iについて示した意味を有する。
表現「カルバモイル」は「アミノカルボニル」を意味し、逆もまた同様である。
【0040】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直鎖状)または分枝状であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは、好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを示す。
【0041】
Aは、極めて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
環状アルキル(シクロアルキル)は、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを意味する。
【0042】
Alkは、好ましくは、1〜6個のC原子を有し、ここで1〜7個のH原子がOH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基がOにより置き換えられていてもよい、直鎖状または分枝状アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンまたは−(CHO(CH−を示し;さらに、CH基はまた、C≡CまたはCH=CHにより置き換えられていてもよい。
【0043】
Arは、好ましくは、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されているフェニルを示す。
Arは、特に好ましくは、(Alk)NRCO−B、(Alk)CONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されているフェニルを示す。
【0044】
Arは、極めて特に好ましくは、
4−[N−(3−ピペリジン−1−イルプロピル)アミノカルボニル]フェニル、
3−(2−アミノアセチルアミノ)フェニル、
3−(3−アミノプロピオニルアミノ)フェニル、
【0045】
3−(4−アミノブチリルアミノ)フェニル、
3−(4−ジメチルアミノブチリルアミノ)フェニル、
3−(3−ジメチルアミノプロピオニルアミノ)フェニル、
3−(2−ジメチルアミノアセチルアミノ)フェニル、
4−[5−(2−アミノエチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]フェニル、
4−(5−メチルアミノメチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
4−[5−(N−BOC−N−メチルアミノ)メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]フェニル、
4−[5−(アミノメチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]フェニル、
【0046】
4−[5−(2−メトキシエトキシメチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]フェニル、
4−[5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]フェニル、
4−[(2−メチルアミノアセチルアミノ)メチル]フェニル、
4−[(4−アミノブチリルアミノ)メチル]フェニル、
4−[(4−ジメチルアミノブチリルアミノ)メチル]フェニル、
4−[(2−ピペリジン−1−イルアセチルアミノ)メチル]フェニル、
4−[(3−ジエチルアミノプロピオニルアミノ)メチル]フェニル、
4−{[2−(4−メチルピペリジン−1−イル)アセチルアミノ]メチル}フェニル、
【0047】
4−[(4−N−BOC−アミノブチリルアミノ)メチル]フェニル、
4−(1−アザビシクロ[2.2.2]−オクト−3−イルアミノカルボニル)フェニル、
4−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチルアミノカルボニル]フェニル、
4−(3−1,2,3−トリアゾール−1−イルプロピルアミノカルボニル)フェニル、
4−(3−1,2,4−トリアゾール−1−イルプロピルアミノカルボニル)フェニル、
4−(2−モルホリン−4−イルエトキシメチル)フェニル、
4−(3−ジメチルアミノプロポキシメチル)フェニル、
4−(2−ジメチルアミノエトキシメチル)フェニル、
【0048】
4−(3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチルプロピルアミノカルボニル)フェニル、
4−[1−(1−エチルプロピル)ピペリジン−4−イルアミノカルボニル)フェニル、
4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアミノカルボニル)フェニル、
4−[3−(2−メチルピペリジン−1−イル)プロピルアミノカルボニル]フェニル、
4−{3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピルアミノカルボニル}フェニル、
4−[(ピペリジン−4−イルメチル)アミノカルボニル]フェニル、
4−(3−メチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニル、
4−(2−メチルアミノエチルアミノカルボニル)フェニル、
【0049】
4−[(ピペリジン−4−イル)アミノカルボニル]フェニル、
4−[(ピロリジン−3−イル)アミノカルボニル]フェニル、
4−[2−(BOC−メチルアミノ)エチルアミノカルボニル]フェニル、
4−(4−メチルピペラジン−1−イルアミノカルボニル)フェニル、
4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、
4−[(3−ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル)メチル]フェニル、
4−[(2−ジメチルアミノエチルアミノカルボニル)メチル]フェニル、
4−[(3−アミノプロピルアミノカルボニル)メチル]フェニル、
4−[(2−アミノエチルアミノカルボニル)メチル]フェニル、
【0050】
4−アミノカルボニルメチルフェニル、
4−[(4−ジメチルアミノブチルアミノカルボニル)メチル]フェニル、
3−ヒドロキシメチルフェニル、
4−[(4−アミノブチルアミノカルボニル)メチル]フェニル、
3−[(2−ヒドロキシエチルアミノカルボニル)メチル]フェニル、
4−{[ビス(1H−イミダゾール−2−イルメチル)アミノ]メチル}フェニル、
4−{[ビス−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アミノ]メチル}フェニル、
4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル、
4−(3−イミダゾール−1−イルプロピルアミノカルボニル)フェニル、
【0051】
4−(N−エトキシカルボニルメチル−N−メチルアミノカルボニル)フェニル、
4−(N−エトキシカルボニルメチルアミノカルボニル)フェニル、
3−[(2−1H−テトラゾール−5−イルアセチルアミノ)メチル]フェニル、
4−(2−メチルスルホニルエチルアミノカルボニル)フェニル、
4−[(2−ジメチルアミノアセチルアミノ)メチル]フェニル、
3−{[2−(2−オキソ−2H−ピリジン−1−イル)アセチルアミノ]メチル}フェニル、
3−[(2−アセチルアミノアセチルアミノ)メチル]フェニル、
4−[(3−ホルミルアミノプロピオニルアミノ)メチル]フェニル
を示す。
【0052】
Arは、好ましくは、Het、NHCOOAまたはNHCOO[C(RHetにより単置換されているフェニルを示す。
Arは、特に好ましくは、3位においてNHCOOAにより置換されているフェニルを示す。
は、好ましくはH、メチルまたはエチルを示す。
【0053】
他の置換基とは関係なく、Het、HetおよびHetは、例えば、各々の場合において互いに独立して、2−もしくは3−フリル、2−もしくは3−チエニル、1−、2−もしくは3−ピロリル、1−、2−、4−もしくは5−イミダゾリル、1−、3−、4−もしくは5−ピラゾリル、2−、4−もしくは5−オキサゾリル、3−、4−もしくは5−イソキサゾリル、2−、4−もしくは5−チアゾリル、3−、4−もしくは5−イソチアゾリル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−、5−もしくは6−ピリミジニル、さらに好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−もしくは−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−もしくは−5−イル、1−もしくは5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−もしくは−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−もしくは−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−もしくは−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−もしくは−5−イル、3−もしくは4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−インドリル、4−もしくは5−イソインドリル、インダゾリル、1−、2−、4−もしくは5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−もしくは7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−もしくは7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−もしくは8−キナゾリニル、5−もしくは6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−、−5−イルまたは2,1,3−ベンズオキサジアゾール−5−イルまたはジベンゾフラニルを示す。
【0054】
複素環式基はまた、部分的にまたは完全に水素化されていてもよい。
他の置換基とは関係なく、Het、HetおよびHetは、したがって、また、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−もしくは−5−フリル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−もしくは−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピロリル、1−、2−もしくは3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−もしくは−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−もしくは−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−もしくは−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−もしくは−6−ピリジル、1−、2−、3−もしくは4−ピペリジニル、2−、3−もしくは4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−もしくは−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−もしくは−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−もしくは−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−もしくは−5−ピリミジニル、1−、2−もしくは3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−もしくは−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−もしくは8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは、2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−もしくは−6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたはまた3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−もしくは−7−イル、さらに好ましくは、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニル、3,4−ジヒドロ−2−オキソ−1H−キナゾリニル、2,3−ジヒドロベンゾキサゾリル、2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾキサゾリル、2,3−ジヒドロベンズイミダゾリル、1,3−ジヒドロインドール、2−オキソ−1,3−ジヒドロインドールまたは2−オキソ−2,3−ジヒドロベンズイミダゾリルを示すことができる。
【0055】
Hetは、好ましくは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、(Alk)BまたはArにより単置換されている、単環式または二環式の芳香族複素環を示す。
Hetは、特に好ましくは、チアゾリル、チエニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリルまたはベンゾ−1,3−ジオキソリルを示し、この各々は、(Alk)BまたはArにより単置換されている。
【0056】
Hetは、好ましくはピペリジニル、ピペラジニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリアゾリル、モルホリニル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、テトラゾリル、2H−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはA、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換もしくは四置換されている。
【0057】
Hetは、特に好ましくはピペリジニル、ピペラジニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリアゾリル、モルホリニル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、テトラゾリル、2H−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはA、(CHN(R、(CHO(CHORおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換もしくは四置換されており、
ここで、Rは、H、メチルまたはエチルを示し、
ここで、NH基は、NCOOAにより置き換えられていてもよい。
【0058】
Hetは、好ましくは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する非置換の単環式または二環式の芳香族複素環を示す。
Hetは、特に好ましくは、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピリジニル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示す。
Halは、好ましくは、F、ClまたはBr、しかしまたI、特に好ましくはFまたはClを示す。
pは、好ましくは0、1または2を示す。
【0059】
式I
【化3】

において、ラジカル−CHRは、極めて特に好ましくは3−エトキシカルボニルアミノベンジルを示す。
【0060】
本発明を通して、1回よりも多く出現するすべてのラジカルは、同一であっても異なっていてもよく、即ち互いに独立している。
式Iで表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有していてもよく、従って種々の立体異性体形態で存在し得る。式Iは、すべてのこれらの形態を包含する。
【0061】
したがって、本発明は特に、少なくとも1つの前述のラジカルが前に示した好ましい意味の1つを有する、式Iで表される化合物に関する。いくつかの好ましい群の化合物を、以下の従属式Ia〜Inにより表すことができ、これは、式Iに適合し、ここで、一層詳細に表していないラジカルは、式Iについて示した意味を有するが、ここで、
【0062】
Iaにおいて、Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、OH、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)、
あるいは、
3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
【0063】
Ibにおいて、Arは、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されているフェニルを示し;
【0064】
Icにおいて、Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、(Alk)BまたはArにより単置換されている、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
Idにおいて、Hetは、チアゾリル、チエニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリルまたはベンゾ−1,3−ジオキソリルを示し、この各々は、(Alk)BまたはArにより単置換されており;
【0065】
Ieにおいて、Arは、Het、NHCOOAまたはNHCOO[C(RHetにより単置換されているフェニルを示し;
Ifにおいて、Arは、3位においてNHCOOAにより置換されているフェニルを示し;
【0066】
Igにおいて、Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する非置換の単環式または二環式の芳香族複素環を示し;
Ihにおいて、Hetは、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピリジニル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し;
【0067】
Iiにおいて、Hetは、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリアゾリル、モルホリニル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、テトラゾリル、2H−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはA、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換または四置換されており;
【0068】
Ijにおいて、Alkは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)、
あるいは、
3〜7個のC原子を有する環状アルキレンを示し;
【0069】
Ikにおいて、Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し;
【0070】
Ilにおいて、Alkは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し;
【0071】
Imにおいて、Rは、ArまたはHetを示し、
は、ArまたはHetを示し、
は、HまたはAを示し、
【0072】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し、
【0073】
Alkは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し、
【0074】
Arは、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されているフェニルを示し、
Arは、Het、NHCOOAまたはNHCOO[C(RHetにより単置換されているフェニルを示し、
【0075】
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、(Alk)BまたはArにより単置換されている、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する非置換の単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
【0076】
Hetは、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリアゾリル、モルホリニル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、テトラゾリル、2H−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはA、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換または四置換されており、
【0077】
B、B’は、各々、互いに独立して、(Alk)Het、(Alk)N(R、(Alk)OR、(Alk)SOA、(Alk)CH(OR)CHOR、R、(Alk)CO−ORまたは(Alk)CO−N(Rを示し、
ここで、NH基はまた、NCOOAまたはN−C(=O)Rにより置き換えられていてもよく、
【0078】
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、1、2、3または4を示し、
pは、0、1、2、3または4を示し;
【0079】
Inにおいて、Rは、ArまたはHetを示し、
は、ArまたはHetを示し、
は、HまたはAを示し、
【0080】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し、
【0081】
Alkは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し、
【0082】
Arは、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されているフェニルを示し、
Arは、Het、NHCOOAまたはNHCOO[C(RHetにより単置換されているフェニルを示し、
【0083】
Hetは、チアゾリル、チエニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリルまたはベンゾ−1,3−ジオキソリルを示し、この各々は、(Alk)BまたはArにより単置換されており、
Hetは、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピリジニル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し;
【0084】
Hetは、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリアゾリル、モルホリニル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、テトラゾリル、2H−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、これらの各々は、非置換であるか、またはA、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換または四置換されており、
【0085】
B、B’は、各々、互いに独立して、(Alk)Het、(Alk)N(R、(Alk)OR、(Alk)SOA、(Alk)CH(OR)CHOR、R、(Alk)CO−ORまたは(Alk)CO−N(Rを示し、
ここで、NH基はまた、NCOOAまたはN−C(=O)Rにより置き換えられていてもよく、
【0086】
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、1、2、3または4を示し、
pは、0、1、2、3または4を示す;
ならびに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体であり、すべての比率でのこれらの混合物を含む。
【0087】
式Iで表される化合物およびまたこれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されているような自体公知の方法により、正確には前述の反応に適する周知の反応条件の下で、製造される。また、ここで、ここではこれ以上詳細には述べない自体公知の変法を用いることができる。
【0088】
式IIおよびIIIで表される出発化合物は、一般的に知られている。しかし、これらが新規である場合には、これらを、自体公知の方法により調製することができる。
用いる式IIで表されるピリダジノン類は、商業的に入手できない場合には、一般的にW. J. Coates, A. McKillop, Synthesis, 1993, 334-342の方法により調製する。
【0089】
式Iで表される化合物は、好ましくは、式IIで表される化合物を式IIIで表される化合物と反応させることにより、得ることができる。
式IIIで表される化合物において、Lは、好ましくはCl、Br、Iまたは遊離の、もしくは反応的に修飾されたOH基、例えば1〜6個のC原子を有する活性化エステル、イミダゾリドまたはアルキルスルホニルオキシ(好ましくはメチルスルホニルオキシもしくはトリフルオロメチルスルホニルオキシ)または6〜10個のC原子を有するアリールスルホニルオキシ(好ましくはフェニルもしくはp−トリルスルホニルオキシ)を示す。
【0090】
反応を、一般的に、酸結合剤、好ましくは有機塩基、例えばDIPEA、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンの存在下で行う。
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩、またはアルカリもしくはアルカリ土類金属、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムもしくはセシウムの弱酸の他の塩を加えることがまた、好ましい場合がある。
用いる条件に依存して、反応時間は数分〜14日であり、反応温度は約−30℃〜140℃、通常−10℃〜90℃、特に約0℃〜約70℃である。
【0091】
好適な不活性溶媒の例は、炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
特に好ましいのは、アセトニトリル、ジクロロメタンおよび/またはDMFである。
【0092】
さらに、ラジカルRを他のラジカルRに変換することにより、例えばニトロ基をアミノ基に還元することにより(例えば不活性溶媒、例えばメタノールまたはエタノール中でのラネーニッケルまたはPd/炭素上での水素化により)、式Iで表される化合物を他の式Iで表される化合物に変換することが、可能である。
【0093】
さらに、遊離のアミノ基を、酸塩化物もしくは無水物を用いる慣用の方法においてアシル化するか、または、有利には不活性溶媒、例えばジクロロメタンもしくはTHF中で、および/または塩基、例えばトリエチルアミンもしくはピリジンの存在下で、−60℃〜+30℃の温度にて、非置換もしくは置換ハロゲン化アルキルを用いてアルキル化することができる。
【0094】
式Iで表される化合物をさらに、加溶媒分解、特に加水分解によって、または水素化分解によってこれらをこれらの官能的誘導体から遊離させることにより、得ることができる。
【0095】
加溶媒分解または水素添加分解に好ましい出発物質は、1つまたは2つ以上の遊離アミノ基および/または水酸基の代わりに対応する保護されたアミノ基および/または水酸基を含む物質、好ましくはN原子に結合したH原子の代わりにアミノ保護基を担持している物質、例えば式Iに適合するが、NH基の代わりにNHR’基(式中R’はアミノ保護基、例えばBOCまたはCBZである)を含む物質である。
【0096】
好ましいのは、さらに、水酸基のH原子の代わりに水酸保護基を担持している出発物質、例えば式Iに適合するが、ヒドロキシフェニル基の代わりにR”O−フェニル基(式中R”は水酸保護基である)を含む物質である。
【0097】
また、多くの−同一のまたは異なる−保護されたアミノ基および/または水酸基が、出発物質の分子中に存在することが可能である。存在する保護基が互いに異なる場合には、多くの場合において、これらを、選択的に切断して除去することができる。
【0098】
「アミノ保護基」の用語は、一般的用語において知られており、化学反応に対してアミノ基を保護(遮断)するのに適するが、分子中の他の位置において所望の化学反応が行われた後に容易に除去される基に関する。このような基の代表例は、特に、非置換または置換アシル、アリール、アラルコキシメチルまたはアラルキル基である。アミノ保護基は、所望の反応(または反応順序)の後に除去されるため、これらのタイプおよび大きさは、さらには重要ではない;しかし、1〜20個、特に1〜8個の炭素原子を有するものが好ましい。
【0099】
「アシル基」の用語は、本方法に関連して、最も広い意味で理解されるべきである。これは、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族または複素環式カルボン酸またはスルホン酸から誘導されるアシル基、ならびに特に、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基および特にアラルコキシカルボニル基を含む。このようなアシル基の例は、アルカノイル、例えばアセチル、プロピオニルおよびブチリル;アラルカノイル、例えばフェニルアセチル;アロイル、例えばベンゾイルおよびトリル;アリールオキシアルカノイル、例えばPOA;アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、BOCおよび2−ヨードエトキシカルボニル;アラルコキシカルボニル、例えばCBZ(「カルボベンゾキシ」)、4−メトキシベンジルオキシカルボニルおよびFMOC;ならびにアリールスルホニル、例えばMtr、PbfおよびPmcである。好ましいアミノ保護基は、BOCおよびMtr、さらにCBZ、Fmoc、ベンジルおよびアセチルである。
【0100】
「水酸保護基」の用語は、同様に一般的な用語において知られており、化学反応に対して水酸基を保護するのに適するが、分子中の他の位置において所望の化学反応が行われた後に容易に除去される基に関する。このような基の代表例は、前述の非置換または置換アリール、アラルキルまたはアシル基、さらにまたアルキル基である。これらは、所望の化学反応または反応順序の後に再び除去されるため、水酸保護基の性質および大きさは、重要ではない;1〜20個、特に1〜10個の炭素原子を有する基が好ましい。水酸保護基の例は、特に、tert−ブトキシカルボニル、ベンジル、p−ニトロベンゾイル、p−トルエンスルホニル、tert−ブチルおよびアセチルであり、ここで、ベンジルおよびtert−ブチルが、特に好ましい。アスパラギン酸およびグルタミン酸中のCOOH基は、好ましくは、これらのtert−ブチルエステル類(例えばAsp(OBut))の形態で保護されている。
【0101】
式Iで表される化合物を、(用いられる保護基に依存して、)例えば強酸を用いて、有利にはTFAまたは過塩素酸を用いて、しかしまた他の強無機酸、例えば塩酸または硫酸、強有機カルボン酸、例えばトリクロロ酢酸またはスルホン酸、例えばベンゼンもしくはp−トルエンスルホン酸を用いて、これらの官能的誘導体から遊離させる。追加の不活性溶媒の存在が可能であるが、常には必要ではない。好適な不活性溶媒は、好ましくは、有機、例えばカルボン酸類、例えば酢酸、エーテル類、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、アミド類、例えばDMF、ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン、さらにまたアルコール類、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロパノールおよび水である。前述の溶媒の混合物が、さらに好適である。TFAは、好ましくは、他の溶媒を加えずに過剰に用いられ、過塩素酸は、好ましくは、酢酸と70%過塩素酸との9:1の比率での混合物の形態で用いられる。切断のための反応温度は、有利には、約0〜約50℃、好ましくは15〜30℃(室温)である。
【0102】
BOC、OBut、Pbf、PmcおよびMtr基を、例えば、好ましくは、ジクロロメタン中のTFAを用いて、またはジオキサン中の約3〜5NのHClを用いて、15〜30℃で切断して除去することができ、FMOC基を、ジメチルアミン、ジエチルアミンまたはピペリジンをDMFに溶解した約5〜50%溶液を用いて、15〜30℃で切断して除去することができる。
【0103】
トリチル基を、アミノ酸ヒスチジン、アスパラギン、グルタミンおよびシステインを保護するために用いる。これらは、所望の最終生成物に依存して、TFA/10%のチオフェノールを用いて切断して除去され;トリチル基は、すべての前述のアミノ酸から切断して除去される;TFA/アニソールまたはTFA/チオアニソールを用いる際に、His、AsnおよびGlnのトリチル基のみが切断して除去されるが、これは、Cys側鎖上に残留する。
Pbf(ペンタメチルベンゾフラニル)基を用いて、Argを保護する。これを、例えばジクロロメタン中のTFAを用いて切断して除去する。
【0104】
水素添加分解的に除去可能な保護基(例えば、CBZまたはベンジル)を、例えば、触媒(例えば、有利には支持体、例えば炭素上の貴金属触媒、例えばパラジウム)の存在下での水素での処理により、切断して除去することができる。ここで、好適な溶媒は、前に示したもの、特に、例えば、アルコール類、例えばメタノールもしくはエタノール、またはアミド類、例えばDMFである。水素添加分解を、一般的には、約0〜100℃の温度および約1〜200バールの圧力において、好ましくは20〜30℃および1〜10バールにおいて行う。CBZ基の水素添加分解は、例えば、メタノール中の5〜10%のPd/C上で、またはメタノール/DMF中のPd/C上で、ギ酸アンモニウム(水素の代わりに)を用いて、20〜30℃で、良好に成功する。
【0105】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、これらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順により、種々の有機および無機酸類および塩基類から誘導し得るこれらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩形態は、大部分、慣用的な方法により調製される。式Iで表される化合物がカルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることにより、生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0106】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩は、同様に包含される。式Iで表される数種の化合物の場合において、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびこれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、ならびにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、ならびに他の有機酸およびこれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することにより、酸付加塩を生成することができる。
【0107】
したがって、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩には、以下のものが含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、限定を表すものではない。
【0108】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩が含まれるが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。
【0109】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される、式Iで表される化合物の塩には、第一、第二および第三アミン類、また天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0110】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;ならびにアリール(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、このような塩を用いて調製することができる。
【0111】
好ましい前述の薬学的塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
特に好ましいのは、塩酸塩、二塩酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびコハク酸塩である。
【0112】
式Iで表される塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることにより、調製する。塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することにより、遊離塩基を再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0113】
述べたように、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0114】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることにより、調製する。塩形態を酸と接触させ、慣用的な方法で遊離酸を単離することにより、遊離酸を再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0115】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、本発明はまた、多重塩(multiple salt)を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0116】
上記で述べたことに関して、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、式Iで表される化合物をこの塩の1種の形態で含む活性成分を意味するものと解釈されることが明らかであり、特に、この塩形態が、活性成分に対して、前に用いられていた活性成分の遊離形態または活性成分のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、このように解釈されることが明らかである。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、活性成分に前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて付与することができ、さらに、活性成分の薬力学に対して身体における治療的有効性に関する正の影響を有することができる。
【0117】
本発明はさらに、少なくとも1種の式Iで表される化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこれらの混合物を含む)、ならびに任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
【0118】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で、投与することができる。このような単位は、処置される状態、投与の方法、ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含んでもよく、または医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投薬単位の形態で投与してもよい。好ましい投与単位処方物は、前に示したように、毎日の用量もしくは部分的用量を含むもの、または活性成分のこの対応する部分である。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野において一般的に知られている方法を用いて製造することができる。
【0119】
医薬処方物を、すべての所望の好適な方法による、例えば経口(口腔内もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(口腔内、舌下もしくは経皮的を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与のために適合させることができる。このような処方物を、薬学分野において知られているすべての方法を用いて、例えば活性成分を賦形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と混ぜ合わせることにより、製造することができる。
【0120】
経口投与のために適合された医薬処方物を、別個の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;散剤もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして、投与することができる。
【0121】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと混ぜ合わせることができる。散剤を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することにより、製造する。風味剤、保存剤、分散剤および色素が、同時に存在してもよい。
【0122】
カプセルを、上記のように散剤混合物を調製し、成形したゼラチン殻をこれで充填することにより、製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態での高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールを、充填操作の前に散剤混合物に加えることができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有効性を改善することができる。
【0123】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤ならびに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが含まれる。これらの投与形態において用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。錠剤を、例えば散剤混合物を調製し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を加え、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることにより、処方する。
【0124】
散剤混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および随意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することにより、調製する。散剤混合物を、これを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、これをふるいを通して押圧することにより、顆粒化することができる。顆粒化の代替として、散剤混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、これを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0125】
顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化して、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。色素を、これらのコーティングに加えて、異なる投与単位間を区別することができるようにすることができる。
【0126】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投与単位の形態で調製し、したがって所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水性溶液に好適な風味剤と共に溶解することにより調製することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて調製する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより、処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に加えることができる。
【0127】
経口投与用の投与単位処方物を、所望により、マイクロカプセル中にカプセル封入することができる。処方物をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなどの中にコーティングするかまたは包埋することにより、調製することができる。
【0128】
式Iで表される化合物および塩、溶媒和物およびこれらの生理学的な機能性誘導体をまた、リポソーム送達系、例えば小さい単層の小胞、大きい単層の小胞、および多層の小胞の形態で、投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0129】
式Iで表される化合物および塩、溶媒和物およびこれらの生理学的な機能性誘導体をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパラタミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含することができる。化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合することができる。
【0130】
経皮的投与用に適合された医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。したがって、例えば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所的投与用に適合された医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0131】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは、局所的軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための処方物の場合において、活性成分を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を処方して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースを有するクリームを得ることができる。
【0132】
目への局所的適用のために適合された医薬処方物には、点眼剤が含まれ、ここで、活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解するかまたは懸濁させる。
口における局所的適用のために適合された医薬処方物は、薬用キャンデー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与のために適合された医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0133】
担体物質が固体である鼻腔内投与のために適合された医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子の大きさを有する粗末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した散剤を含む容器からの鼻の経路を介しての迅速な吸入により、投与する。担体物質としての液体を有する鼻腔内スプレーまたは点鼻剤としての投与に適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0134】
吸入による投与のために適合された医薬処方物は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、これは、エアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーにより発生し得る。
膣内投与のために適合された医薬処方物を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0135】
非経口投与のために適合された医薬処方物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液であって、これにより処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるもの;ならびに水性の、および非水性の無菌懸濁液であって、懸濁媒体および増粘剤を含むことができるもの、が含まれる。処方物を、単一用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与してもよく、使用の直前に無菌の担体液体、例えば注射用水を添加することしか必要としないようにフリーズドライした(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態において貯蔵してもよい。処方により製造される注射溶液および懸濁液を、無菌の散剤、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0136】
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して当該分野において普通である他の剤を含むことができることは、言うまでもない;したがって、例えば、経口投与に適する処方物は、風味剤を含んでいてもよい。
【0137】
式Iで表される化合物の治療的に有効な量は、例えば、動物の年齢および体重、処置が必要である正確な状態およびその重篤度、処方物の性質および投与の方法を含む多くの要因に依存し、最終的には、処置する医師または獣医師により決定される。しかし、腫瘍性成長、例えば結腸癌または乳癌の処置のための本発明の化合物の有効な量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳類)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。したがって、体重が70kgである成体の哺乳類についての1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり単一の用量として、または通常1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分または6回分)において投与し、したがって合計の日用量が同一であるようにすることができる。塩もしくは溶媒和物の、またはこの生理学的な機能的誘導体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態の処置に適すると、推測することができる。
【0138】
本発明はさらに、式Iで表される少なくとも1種の化合物および/または、その薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)ならびに少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む医薬に関する。
【0139】
本発明はまた、
(a)式Iで表される化合物および/または、その薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)の有効量、
ならびに
(b)さらなる医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなる、セット(キット)に関する。
【0140】
このセットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。このセットは、例えば、個別のアンプルを含むことができ、各々は、溶解したかまたは凍結乾燥された形態での、式Iで表される化合物および/または、この薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)の有効量、ならびに、さらなる医薬活性成分の有効量を含む。
【0141】
使用
本発明の化合物は、哺乳類のための、特にヒトのための、チロシンキナーゼにより誘発された疾患の処置における医薬活性成分として適する。これらの疾患には、固形腫瘍、眼性血管新生(糖尿病性網膜症、年齢により誘発された黄斑変性症など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)の成長を促進する腫瘍細胞、病理学的血管新生(または血管形成)の増殖が含まれる。
【0142】
本発明は、式Iで表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、癌の処置または防止のための医薬を調製するための使用を包含する。処置のために好ましい癌腫は、脳腫瘍、尿生殖路癌、リンパ系の癌、胃癌、喉頭癌および肺癌の群に由来する。癌の好ましい形態の他の群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫および乳癌である。
【0143】
また、包含されるのは、本発明の請求項1に記載の化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、血管形成が関与する疾患を処置または防止するための医薬を調製するための使用である。
血管形成が関係するこのような疾患は、眼の疾患、例えば網膜血管化、糖尿病性網膜症、年齢により誘発された黄斑変性症などである。
【0144】
式Iで表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物を、炎症性疾患を処置または防止するための医薬を調製するために用いることもまた、本発明の範囲内にある。このような炎症性疾患の例には、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎、遅延型過敏症応答などが含まれる。
【0145】
また、包含されるのは、式Iで表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、哺乳類におけるチロシンキナーゼにより誘発された疾患またはチロシンキナーゼにより誘発された状態を処置するかまたは防止するための医薬を調製するための使用であり、ここでこの方法に対して、本発明の化合物の治療的に有効な量を、このような処置を必要とする疾患を有する哺乳類に投与する。治療的な量は、特定の疾患によって変動し、過度の努力を伴わずに当業者により決定することができる。
【0146】
本発明はまた、式Iで表される化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、網膜血管化を処置または防止するための医薬を調製するための使用を包含する。
眼の疾患、例えば糖尿病性網膜症および年齢により誘発された黄斑変性症を処置または防止するための方法は、同様に本発明の一部である。炎症性疾患、例えば関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎および遅延型過敏症応答の処置または防止、ならびに骨肉腫、骨関節炎およびくる病からの骨の病態の処置または防止のための使用もまた、同様に本発明の範囲内にある。
【0147】
表現「チロシンキナーゼにより誘発された疾患または状態」は、1種または2種以上のチロシンキナーゼの活性に依存する病理学的状態に言及する。チロシンキナーゼは、直接または間接的に、種々の細胞活動のシグナル伝達経路に関与し、当該細胞活動には、増殖、付着および移動ならびに分化が含まれる。チロシンキナーゼ活性と関連する疾患には、腫瘍細胞の増殖、固形腫瘍、眼の血管新生(糖尿病性網膜症、年齢により誘発された黄斑変性症など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)の成長を促進する病理学的血管新生が含まれる。
【0148】
式Iで表される化合物を、癌、特に迅速に成長する腫瘍を処置するために、患者に投与することができる。
したがって、本発明は、式Iで表される化合物ならびにこれらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が作用を奏する疾患を処置するための医薬を調製するための使用に関する。
【0149】
好ましいのは、ここではMetキナーゼである。
好ましいのは、式Iで表される化合物ならびにこれらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、請求項1に記載の化合物によりチロシンキナーゼを阻害することによって影響される疾患を処置するための医薬を調製するための使用である。
【0150】
特に好ましいのは、請求項1に記載の化合物によるMetキナーゼの阻害によって影響される、疾患を処置するための医薬を調製するための使用である。
特に好ましいのは、疾患が固形腫瘍である疾患を処置するための使用である。
【0151】
固形腫瘍は、好ましくは肺、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、子宮頸部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃および/または喉頭の腫瘍の群から選択される。
固形腫瘍はさらに、好ましくは肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択される。
【0152】
好ましいのは、さらに、血液および免疫系の腫瘍を処置するための、好ましくは急性脊髄性白血病、慢性脊髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択される腫瘍を処置するための使用である。
【0153】
式Iで表される開示した化合物を、抗癌剤を含む他の既知の治療剤と組み合わせて投与することができる。ここで用いる用語「抗癌剤」は、癌を処置する目的で癌を有する患者に投与されるすべての剤に関する。
【0154】
本明細書中で定義した抗癌処置を、単一の療法として適用してもよいか、またはこれは、本発明の化合物に加えて、慣用の手術もしくは放射線療法もしくは化学療法を伴ってもよい。このような化学療法には、1種または2種以上の以下の分類の抗腫瘍剤が含まれ得る:
【0155】
(i)医学的オンコロジーにおいて用いられる、抗増殖剤/抗悪性腫瘍剤/DNA損傷剤およびこれらの組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびニトロソ尿素);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えばフルオロピリミジン類(fluoropyrimidines)、例えば5−フルオロウラシルおよびテガフール、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素およびゲムシタビン);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン類、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシンおよびミトラマイシン);有糸分裂阻害薬(例えばビンカアルカロイド類、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン、並びにタキソイド類、例えばタキソールおよびタキソテール);トポイソメラーゼ阻害薬(例えばエピポドフィロトキシン類(epipodophyllotoxins)、例えばエトポシドおよびテニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカンおよびカンプトテシン)並びに細胞分化剤(例えばオールトランスレチノイン酸(all-trans-retinoic acid)、13−シス−レチノイン酸およびフェンレチニド(fenretinide));
【0156】
(ii)細胞分裂阻害剤、例えば抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)およびヨードキシフェン(iodoxyfene))、エストロゲンレセプター下方調節剤(downregulator)(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン薬(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲステロン類(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボロゾールおよびエキセメスタン)並びに5α−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
【0157】
(iii)癌細胞侵入を阻害する剤(例えばメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばマリマスタット、およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターレセプター機能の阻害剤);
【0158】
(iv)成長因子機能の阻害剤、例えばこのような阻害剤には、成長因子抗体、成長因子レセプター抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツズマブ[Herceptin(登録商標)]および抗erbbl抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤およびセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、例えば上皮成長因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えばN−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)および6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI1033))、例えば血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、および例えば肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤が含まれる;
【0159】
(v)抗血管新生薬、例えば血管内皮成長因子の効果を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ[Avastin(登録商標)]、化合物、例えば公開された国際特許出願WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856およびWO 98/13354に開示されているもの)、並びに他の機構により作動する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンジオスタチン);
【0160】
(vi)血管損傷剤、例えばコンブレタスタチンA4、並びに国際特許出願WO 99/02166、WO 00/40529、WO 00/41669、WO 01/92224、WO 02/04434およびWO 02/08213に開示されている化合物;
【0161】
(vii)アンチセンス療法、例えば上に列挙した標的に向けられるもの、例えばISIS2503、抗Rasアンチセンス;
【0162】
(viii)遺伝子療法方法であって、以下を含むもの、例えば、異常な遺伝子、例えば異常なp53または異常なBRCA1もしくはBRCA2の置換のための方法、GDEPT(遺伝子に向けられた酵素プロドラッグ療法)法、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌性ニトロレダクターゼを用いるもの、および化学療法または放射線療法に対する患者の耐性を増大させるための方法、例えば多剤耐性遺伝子療法;並びに
【0163】
(ix)免疫療法であって、以下を含むもの、例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を増大させるためのex-vivoおよびin-vivo方法、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインによるトランスフェクション、T細胞アネルギーを低下させるための方法、サイトカインをトランスフェクトした樹状細胞などのトランスフェクトした免疫細胞を用いる方法、サイトカインでトランスフェクトした腫瘍細胞株を用いる方法、および抗イディオタイプ抗体を用いる方法。
【0164】
以下の表1からの医薬を、好ましくは、しかし排他的にではなく、式Iで表される化合物と組み合わせる。
【0165】
【表1】

【0166】
【表2】

【0167】
【表3】

【0168】
【表4】

【0169】
【表5】

【0170】
【表6】

【0171】
【表7】

【0172】
【表8】

【0173】
【表9】

【0174】
【表10】

【0175】
このタイプの組み合わせ処置を、その処置の個別の成分を、同時に、連続的に、または別個に投薬することにより達成することができる。このタイプの組み合わせ生成物は、本発明の化合物を用いる。
【0176】
アッセイ
例に記載する式Iで表される化合物を、以下に記載するアッセイにより試験し、キナーゼ阻害活性を有することを見出した。他のアッセイは、文献から知られており、当業者が容易に行うことができた(例えば、Dhanabalら、Cancer Res. 59:189-197; Xinら、J. Biol. Chem. 274:9116-9121; Sheuら、Anticancer Res. 18:4435-4441; Ausprunkら、Dev. Biol. 38:237-248; Gimbroneら、J. Natl. Cancer Inst. 52:413-427; Nicosiaら、In Vitro 18:538- 549を参照)。
【0177】
Metキナーゼ活性の測定
製造者のデータ(Met、活性、upstate、カタログNo.14-526)に従って、Metキナーゼを、バキュロウイルス発現ベクター中の「N末端6Hisタグ化」組換えヒトタンパク質として、昆虫細胞(Sf21; S. frugiperda)におけるタンパク質産生およびその後のアフィニティークロマトグラフィー精製のために発現させる。
【0178】
キナーゼ活性を、種々の入手可能な測定システムを用いて測定することができる。シンチレーション近接法(Sorgら、J. of. Biomolecular Screening, 2002, 7, 11-19)、フラッシュプレート法またはフィルター結合試験においては、基質としてのタンパク質またはペプチドの放射性リン酸化を、放射性標識したATP(32P−ATP、33P−ATP)を用いて測定する。阻害化合物が存在する場合には、低下した放射性シグナルを検出することができるかまたは、放射性シグナルを全く検出することができない。さらに、均一時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術を、アッセイ法として用いることができる(Sillsら、J. of Biomolecular Screening, 2002, 191-214)。
【0179】
他の非放射性ELISAアッセイ法は、特異的なホスホ抗体(ホスホ−AB)を用いる。ホスホ抗体は、リン酸化された基質にのみ結合する。この結合を、第2のペルオキシダーゼ結合抗体を用いて、化学発光により検出することができる(Rossら、2002, Biochem. J.)。
【0180】
フラッシュプレート法(Metキナーゼ):
用いる試験プレートは、Perkin Elmer製の96ウェルのFlashplate(登録商標)マイクロタイタープレート(カタログNo. SMP200)である。以下に記載するキナーゼ反応の成分を、アッセイプレート中にピペットする。Metキナーゼおよび基質ポリAla−Glu−Lys−Tyr(pAGLT、6:2:5:1)を、試験物質の存在下および不存在下で、100μlの合計容積において、放射性標識33P−ATPと共に、3時間室温にてインキュベートする。反応を、150μlの60mMのEDTA溶液を用いて終了させる。室温でさらに30分間インキュベートした後に、上清を、吸引しながら濾別し、ウェルを、各々の回において200μlの0.9%NaCl溶液で3回洗浄する。結合した放射性の測定を、シンチレーション測定器(Topcount NXT, Perkin-Elmer)により行う。
【0181】
用いる最大値(full value)は、阻害剤を伴わないキナーゼ反応である。これは、ほぼ6000〜9000cpmの範囲内にあるはずである。用いる薬理学的なゼロ値は、0.1mMの最終濃度のスタウロスポリンである。阻害値(IC50)を、RS1_MTSプログラムを用いて決定する。
【0182】
ウェルあたりのキナーゼ反応条件:
30μlのアッセイ緩衝液
10μlの10%のDMSOを含むアッセイ緩衝液中の試験するべき物質
10μlのATP(最終濃度1μM、0.35μCiの冷33P−ATP)
50μlのアッセイ緩衝液中のMetキナーゼ/基質混合物;(10ngの酵素/ウェル、50ngのpAGLT/ウェル)
【0183】
用いる溶液:
−アッセイ緩衝液:
50mMのHEPES
3mMの塩化マグネシウム
3μMのオルトバナジウム酸ナトリウム
3mMの塩化マンガン(II)
1mMのジチオトレイトール(DTT)
pH=7.5(水酸化ナトリウムを用いて調整)
【0184】
−停止溶液:
60mMのTitriplex III(EDTA)
33P−ATP:Perkin-Elmer;
−Metキナーゼ:Upstate, カタログNo. 14-526, Stock1μg/10μl;比活性954U/mg;
−ポリ−Ala−Glu−Lys−Tyr、6:2:5:1:SigmaカタログNo. P1152
【0185】
インビボ試験
実験手順:雌のBalb/Cマウス(ブリーダー:Charles River Wiga)は、到着時に5週齢であった。これらを、7日間本発明者らの維持条件に順応させた。その後、各々のマウスに、100μlのPBS(Ca++およびMg++を含まない)中の400万個のTPR−Met/NIH3T3細胞を、骨盤領域に皮下注射した。5日後、各々の群の9匹のマウスが、110μl(範囲:55〜165)の平均腫瘍容積を有するように動物を3つの群に無作為に分けた。100μlのビヒクル(0.25%のメチルセルロース/100mMの酢酸緩衝液、pH5.5)を、毎日対照群に投与し、ビヒクル(容積は同様に100μl/動物であった)に溶解した200mg/kgの「A56」または「A91」を、各々の場合において胃管により、毎日処置群に投与した。9日後、対照は、1530μlの平均容積を有しており、実験を終了した。
【0186】
腫瘍容積の測定:長さ(L)および幅(B)を、Vernierキャリパーを用いて測定し、腫瘍容積を、式L×B×B/2から計算した。
維持条件:ケージあたり4匹または5匹の動物、市販のマウスフード(Sniff)で飼育した。
【0187】
本明細書中、すべての温度を、℃で示す。以下の例において、「慣用的な精製操作(work-up)」は、以下のことを意味する:所要に応じて水を加え、pHを所要に応じて、最終生成物の構成に依存して2〜10の値に調節し、混合物を、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて蒸発させ、残留物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、および/または結晶化により精製する。シリカゲル上でのRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール9:1。
質量分析法(MS):
EI(電子衝撃イオン化)M
FAB(高速原子衝撃)(M+H)
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)
APCI−MS(大気圧化学的イオン化−質量分析法)(M+H)
【0188】
HPLC方法:
方法A:勾配:4.5分/流:3ml/分、99:01〜0:100
水+0.1%(容積)のTFA:アセトニトリル+0.1%(容積)のTFA
0.0〜0.5分:99:01
0.5〜3.5分:99:01→0:100
3.5〜4.5分:0:100
カラム:Chromolith SpeedROD RP18e 50-4.6
波長:220nm
【0189】
方法B:勾配:4.2分/流:2ml/分、99:01〜0:100
水+0.1%(容積)のTFA:アセトニトリル+0.1%(容積)のTFA
0.0〜0.2分:99:01
0.2〜3.8分:99:01→0:100
3.8〜4.2分:0:100
カラム:Chromolith Performance RP18e;長さ100mm、内径3mm波長:220nm
滞留時間Rt.、単位[分]。
【0190】

出発化合物の調製
一般的な作業手順1(GWP1):
【化4】

1〜1.2当量のグリオキシル酸および酢酸(2当量)を、1当量のアセトフェノンに加え、混合物を、95〜100℃にて3〜24時間撹拌する。反応混合物を冷却し、水(アセトフェノン1gあたり3〜5ml)を加え、混合物を、氷冷しながら25%アンモニア溶液を用いて中和し、1当量の水酸化ヒドラジンを加える。混合物を3時間還流下で撹拌し、この間ペースト状の沈殿物が生成し、これは、ある場合において水を加えなければならないことを意味する。冷却後、沈殿物を吸引により濾別し、水で洗浄し、乾燥する。
【0191】
4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ベンゾニトリル
【化5】

50gの4−アセチルベンゾニトリルを、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:50.4gの暗い黄色の固体、ESI 198、Rt.=2.27分(方法A)。
当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0192】
3−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ベンゾニトリル
【化6】

7.3gの3−アセチルベンゾニトリルを、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:4.12gの茶色の固体、ESI 198。
当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0193】
3−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)安息香酸
【化7】

15gの3−アセチル安息香酸を、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:12.3gのベージュ色固体、ESI 217、Rt.=2.05分(方法A)。
当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0194】
4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)安息香酸
【化8】

50gの4−アセチル安息香酸を、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:37.3gの淡い茶色の固体、ESI 217、Rt.=2.09分(方法A)。
当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0195】
3−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ニトロベンゼン
【化9】

18gの3−ニトロアセトフェノンを、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:15.3gの茶色固体、ESI 218、Rt.=2.15分(方法A)。
当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0196】
4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ニトロベンゼン
【化10】

15gの4−ニトロアセトフェノンを、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:20.1gの茶色固体、ESI 218、Rt.=2.16分(方法A)。当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0197】
6−(4−ヨードフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン
【化11】

7.8gの4−ヨードアセトフェノンを、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:6.4g、ESI 299、Rt.=2.58分(方法A)。
当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0198】
3−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)フェニル酢酸
【化12】

5gの3−アセチルフェニル酢酸(Can. J. Chem.; 82; 12; 2004; 1760 - 1768に記載されている調製物)を、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:3.5gの茶色固体、ESI 231、Rt.=2.05分(方法A)。
当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0199】
4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)フェニル酢酸
【化13】

15gの4−アセチルフェニル酢酸(Can. J. Chem.; 82; 12; 2004; 1760 - 1768に記載されている調製物)を、GWP1に従ってピリダジノンに変換する。
収量:13.0gのベージュ色固体、ESI 231、Rt.=2.05分(方法A)。当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0200】
3−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)安息香酸メチル
【化14】

12.3g(57mmol)の3−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)安息香酸を、240mlのメタノールに溶解し、30mlの塩化チオニルを加える。反応混合物を、70℃にて24時間撹拌する。反応溶液を蒸発させ、残留物をジエチルエーテルで消化し、残留物を真空中で乾燥する。
収量:13gのベージュ色固体、ESI 231、Rt.=2.20分(方法B)。当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0201】
以下の化合物を、同様にして調製する:
4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)安息香酸メチル
【化15】

ESI 231、Rt.=2.28分(方法A)。
【0202】
[4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)フェニル]酢酸メチル
【化16】

ESI 245、Rt.=2.15分(方法B)。
【0203】
[3−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)フェニル]酢酸メチル
【化17】

ESI 245、Rt.=2.23分(方法A)。
【0204】
(3−ヒドロキシメチルフェニル)カルバミン酸エチル
【化18】

50g(406mmol)の3−アミノベンジルアルコールを、窒素雰囲気下で750mlのジクロロメタンに懸濁させ、混合物を、室温にて30分間撹拌し、その後0℃に冷却する。49g(452mmol)のクロロギ酸エチルを、ゆっくりと滴加する。添加した後、反応混合物を20時間撹拌し、同時にゆっくりと室温に加温する。300mlの1Mの炭酸カリウム溶液を、生成した懸濁液に加える(ガスが発生する!)。有機相を分離して除去し、水性相を200mlのジクロロメタンで抽出し、混ぜ合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸留により除去する。
収量:67.7gの油、これは結晶化して、ベージュ色固体を生成する。ESI 196、Rt.=1.98(方法B)。
【0205】
{3−[6−オキソ−3−(4−シアノフェニル)−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル
【化19】

15g(76mmol)の6−(4−シアノフェニル)−2H−ピリダジン−3−オン、22.2g(114mmol)の(3−ヒドロキシメチルフェニル)カルバミン酸エチルおよび29.9g(114mmol)のトリフェニルホスフィンを、250mlのTHFに溶解する。窒素雰囲気下で、反応混合物を0℃に冷却し、18ml(174mmol)のアゾジカルボン酸ジエチルをゆっくりと滴加し、反応混合物を室温にて72時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させる。200mlのイソプロパノールを残留物に加え、混合物を15時間撹拌する。沈殿物を吸引により濾別し、イソプロパノールで洗浄し、真空中で乾燥する。
収量:19.7gの黄色固体、ESI 375、Rt.=2.80(方法A)。生成物を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0206】
以下の化合物を、この手順に従って調製する:
【表11】

【0207】
2−(3−アミノベンジル)−6−[4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン
【化20】

2.5g(10mmol)の6−[4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン、1.85g(15mmol)の3−アミノベンジルアルコールおよび3.9g(15mmol)のトリフェニルホスフィンを、窒素雰囲気下で60mlのTHFに懸濁させ、混合物を、室温にて10分間撹拌する。次に、2.9g(15mmol)のアゾジカルボン酸ジイソプロピルを、15分にわたり滴加する。反応混合物を室温にて3時間撹拌し、その後蒸発させる。残留物を約70mlの2−プロパノールに吸収させ、混合物を15分間撹拌する。残留物を吸引により濾別し、2−プロパノール、次にMTBEで十分洗浄する。残留物を真空中で乾燥する。
収量:2.68gのわずかに茶色がかった結晶、ESI 360。
【0208】
クロロギ酸3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−エチル二塩酸塩
【化21】

10mlのアセトニトリルに溶解した9.7g(61.2mmol)のN−メチル−N´−(3−ヒドロキシプロピル)ピペラジンを、100mlのアセトニトリルおよび40mlの4NのHClをジオキサンに溶解した溶液に滴加し、内部温度が40℃を超えない水浴を用いて冷却する。10mlのアセトニトリル中の8ml(66.3mmol)のクロロギ酸トリクロロメチルを、その後氷冷しながら2〜10℃の内部温度にて滴加し、その後混合物を室温にて15時間撹拌する。生成した沈殿物を吸引しながら濾別し、アセトニトリルで洗浄し、残留物を真空中で乾燥する。
収量:13.27gのピンク色粉末。
【0209】
(3−{3−[4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル二塩酸塩(「A1」)の調製
【化22】

180mg(0.5mmol)の2−(3−アミノベンジル)−6−[4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンおよび184mg(0.625mmol)のクロロギ酸3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロパン−1−エチル二塩酸塩を、ジクロロメタンに懸濁させ、121μl(1.5mmol)のピリジンを加え、混合物を室温にて3時間撹拌する。反応混合物は、当該プロセスにおいて固体となる。反応混合物を、ジクロロメタンおよび2NのNaOHに吸収させる。水性相をジクロロメタンで抽出する。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。油性残留物のMTBエーテルおよび石油エーテルでの処理の間、結晶化が開始する。混合物をMTBエーテルと共に沸騰させ、冷却し、分離する。その後、残留物を、高温にて2−プロパノール中の8mlのHClに溶解する。高温の溶液を濾過し、MTBEに滴加する。無定形の沈殿物が生成する。これを吸引により濾別し、MTBEで洗浄し、真空中で乾燥する:
【0210】
収量:196mgの「A1」、二塩酸塩、無色固体として;ESI 544。
1H-NMR (d6-DMSO): δ [ppm] = 11.49 (1H, b), 9.696 (1H, b), 8.164 (1H, d), 8.07-8.13 (5H, m), 7.460 (1H, s), 7.416 (1H, d), 7.262 (1H, t), 7.140 (1H, d), 7.008 (1H, d), 5.315 (2H, s), 4.132 (2H, t), 3.2-3.8 (11H, m, 重畳水信号による), 2.797 (2H, m), 2.686 (3H, s), 2.032 (2H, m).
【0211】
4−[1−(3−エトキシカルボニルアミノベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]安息香酸
【化23】

42g(22mmol)の4−[1−(3−エトキシカルボニルアミノベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]安息香酸メチル(酸化トリフェニルホスフィンで汚染されている)を、300mlのテトラヒドロフランおよび30mlの水に溶解し、1.6g(66mmol)の水酸化リチウムを加え、混合物を室温にて15時間撹拌する。反応混合物を蒸発させる。残留物を400mlの水および200mlの酢酸エチルに溶解し、有機相を分離し、水性相を2×200mlの酢酸エチルで抽出する。有機相を廃棄し、濃HClをpH4〜5にて水性相に加える。この操作の間、沈殿物が沈澱し、これを吸引により濾別し、水で洗浄し、乾燥する。
収量:5.1gの淡いベージュ色の結晶;ESI 394;Rt.=2.55分(方法B)。
【0212】
以下の化合物を、同様にして得る:
【表12】

【0213】
(3−{3−[4−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A2」)の調製
【化24】

197mg(0.5mmol)の4−[1−(3−エトキシカルボニルアミノベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]安息香酸を、2mlのDMFに懸濁させ、30μl(0.5mmol)のエタノールアミン、112μl(1mmol)の4−メチルモルホリン、70mg(0.5mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび194(1mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を加える。反応混合物を室温にて24時間撹拌し、分取HPLCにより精製する。
【0214】
収量:164mgの「A2」、白色固体として;ESI 437;Rt.=2.36分(方法A)。
1H-NMR (d6-DMSO): δ [ppm] = 9.584 (1H, s), 8.504 (1H, t), 8.141 (1H, d), 7.94-8.02 (4H, m), 7.476 (1H, b), 7.387 (1H, d), 7.240 (1H, t), 7.111 (1H, d), 6.982 (1H, d), 5.296 (2H, s), 4.75 (1H, sb), 4.095 (2H, q), 3.529 (2H, m), 3.349 (2H, m), 1.216 (3H, t).
【0215】
以下の化合物を、同様にして調製する:
【表13】

【0216】
【表14】

【0217】
【表15】

【0218】
【表16】

【0219】
【表17】

【表18】

【0220】
(3−{3−[3−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノブチルカルバモイル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A43」)の調製
【化25】

197mg(0.5mmol)の3−[1−(3−エトキシカルボニルアミノベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]安息香酸を、2mlのDMFに懸濁させ、115μl(0.6mmol)のN−tert−ブチルオキシカルボニル−1,4−ジアミノブタン、112μl(1mmol)の4−メチルモルホリン、70mg(0.5mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび194(1mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を加える。反応混合物を室温にて24時間撹拌し、分取HPLCにより精製する。
【0221】
収量:157mgの「A43」、白色固体として;ESI 564;Rt.=2.95分(方法B)。
1H-NMR (d6-DMSO): δ [ppm] = 9.592 (1H, s), 8.551 (1H, t), 8.296 (1H, s), 8.141 (1H, d), 8.048 (1H, d), 7.911 (1H, d), 7.589 (1H, t), 7.462 (1H, b), 7.399 (1H, d), 7.247 (1H, t), 7.151 (1H, d), 6.982 (1H, d), 6.774 (1H, m), 5.311 (2H, s), 4.100 (2H, q), 3.349 (2H, m), 2.948 (2H, q), 1.40-1.58 (4H, m), 1.370 (9H, s), 1.223 (3H, t).
【0222】
以下の化合物を、同様にして調製する:
【表19】

【0223】
[3−(3−{4−[(4−tert−ブトキシカルボニルアミノブチルカルバモイル)メチル]フェニル}−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチル(「A54」)の調製
【化26】

120mg(0.295mmol)の4−[1−(3−エトキシカルボニルアミノベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]フェニル酢酸を、2mlのDMFに懸濁させ、68μl(0.354mmol)のN−tert−ブチルオキシカルボニル−1,4−ジアミノブタン、66μl(0.59mmol)の4−メチルモルホリン、41mg(0.3mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび114(0.59mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を加える。反応混合物を室温にて24時間撹拌し、分取HPLCにより精製する。
収量:58mgの「A54」、白色固体として;ESI 600(M+Na);Rt.=2.87分(方法B)。
【0224】
以下の化合物を、同様にして調製する:
【表20】

【0225】
[3−(3−{4−[(4−tert−ブトキシカルボニルアミノブチルカルバモイル)メチル]フェニル}−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチル(「A60」)の調製
【化27】

0.5mmolの3−[1−(3−エトキシカルボニルアミノベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]フェニル酢酸を、2mlのDMFに懸濁させ、0.6mmolのN−tert−ブチルオキシカルボニル−1,4−ジアミノブタン、1mmolの4−メチルモルホリン、70mg(0.5mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1mmolのN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を加える。反応混合物を室温にて24時間撹拌し、分取HPLCにより精製する。
収量:117mgの「A60」、白色固体として;ESI 579;Rt.=2.92分(方法B)。
【0226】
以下の化合物を、同様にして調製する:
【表21】

【0227】
【表22】

【0228】
{3−[3−(4−アミノメチルフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル(「A73」)の調製
【化28】

26mmolの{3−[6−オキソ−3−(4−シアノフェニル)−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルを、300mlのメタノール性アンモニア溶液(10%)に溶解し、4gのラネーNiを加え、混合物を、室温にて16時間水素雰囲気下(5bar)で水素化する。触媒を分離し、メタノールで洗浄し、濾液を蒸発させる。
収量:9.3gの「A73」;ESI 379;Rt.=2.13分(方法B)。当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0229】
同様の手順により、化合物{3−[3−(3−アミノメチルフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル(「A74」)を得る。
【化29】

ESI 379;Rt.=2.27分(方法A)。当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
【0230】
[3−(3−{4−[(2−アセチルアミノアセチルアミノ)メチル]フェニル}−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチル(「A75」)の調製
【化30】

61mg(0.52mmol)のN−アセチルグリシンを、2mlのDMFに懸濁させ、106μl(0.95mmol)の4−メチルモルホリン、66mg(0.47mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび184mg(0.95mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を加える。反応混合物を室温にて10分間撹拌し、その後180mg(0.48mmol)の{3−[3−(4−アミノメチルフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルを加え、混合物を室温にて24時間撹拌する。
反応混合物を、分取HPLCにより精製した。
【0231】
収量:57.9mgの「A75」、白色固体;ESI 478;Rt.=2.41分(方法A)。
1H-NMR (d6-DMSO): δ [ppm] = 9.585 (1H, s), 8.374 (1H, t), 8.108 (1H, s), 8.053 (1H, d), 7.838 (2H, d), 7.469 (1H, s), 7.34-7.42 (3H, m), 7.231 (1H, t), 7.074 (1H, d), 6.975 (1H, d), 5.263 (2H, s), 4.324 (2H, d), 4.100 (2H, q), 3.714 (2H, d), 1.865 (3H, s), 1.217 (3H, t).
【0232】
以下の化合物を、同様にして調製する:
【表23】

【0233】
【表24】

【0234】
以下の化合物を、{3−[3−(3−アミノメチルフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルを用いて、同様にして調製する。
【表25】

【0235】
【表26】

【0236】
【表27】

【0237】
{3−[3−(3−アミノフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル(中間体「13」)の調製
【化31】

1g(2.5mmol)の{3−[3−(3−ニトロフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルを、10mlのTHFに溶解し、1gのラネーニッケルを加え、混合物を、室温にて6時間水素雰囲気下で水素化する。反応混合物を濾過し、濾過残留物をTHFで洗浄し、濾液を蒸発乾固させる。
収量:950mgの「13」、帯黄色油として;ESI 365;Rt.=2.19分。
【0238】
同様の手順により、中間体{3−[3−(4−アミノフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル(「14」)を得る;ESI 365;Rt.=2.19分。
【0239】
(3−{3−[3−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノブチリルアミノ)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A111」)の調製
【化32】

138mg(0.68mmol)の4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)酪酸を、2mlのDMFに懸濁させ、138μl(1.23mmol)の4−メチルモルホリン、86mg(0.617mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび239mg(1.23mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を加える。反応混合物を室温にて10分間撹拌し、その後274mg(0.62mmol)の{3−[3−(3−アミノフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルを加え、混合物を室温にて24時間撹拌する。
反応混合物を、分取HPLCにより精製する。
収量:108mgの「A111」、白色固体として;ESI 550;Rt.=2.98分(方法B)。
【0240】
以下の化合物を、同様にして調製する:
【表28】

【0241】
{3−[3−(4−アミノフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルを用いて、以下の化合物を同様にして調製する:
【表29】

【0242】
{3−[3−(3−ヒドロキシメチルフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル(「A122」)の調製
【化33】

2g(5.1mmol)の3−[1−(3−エトキシカルボニルアミノベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]安息香酸を、60mlのTHFに懸濁させ、12.7ml(12.7mmol)のボラン/THF複合体(1M)を、窒素雰囲気下で氷冷しながら滴加する。混合物を、0℃にて15時間撹拌する。6mlの2NのHClを反応混合物に加え、これを次に室温にて12時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、残留物を酢酸エチルに溶解し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。生成物を、分取HPLCにより精製する。
収量:10.7mgの「A122」、白色固体として;ESI 380;Rt.=2.56分(方法B)。
【0243】
{3−[3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル(「A123」)の調製
【化34】

3g(7.6mmol)の4−[1−(3−エトキシカルボニルアミノベンジル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]安息香酸を、90mlのTHFに懸濁させ、19.1ml(19.1mmol)のボラン/THF複合体(1M)を、窒素雰囲気下で氷冷しながら滴加する。混合物を、0℃にて15時間撹拌する。9mlの2NのHClを反応混合物に加え、これを次に室温にて12時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、残留物を酢酸エチルに溶解し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。生成物を、分取HPLCにより精製する。
収量:15.9mgの「A123」、白色固体として;ESI 380;Rt.=2.55分(方法B)。
【0244】
(3−{3−[4−(2−ジメチルアミノエトキシメチル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A124」)の調製
【化35】

100mg(0.264mmol)の{3−[3−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルを、2mlのDMFに溶解し、53mg(1.32mmol)のパラフィン油中の水素化ナトリウム(60%)を、冷却しながら加え、混合物を、室温にて10分間窒素雰囲気下で撹拌する。76mg(0.53mmol)の塩化2−ジメチルアミノエチル塩酸塩を加え、混合物を、最初は室温にて15時間撹拌する。30mlの水を反応溶液に加え、混合物を、2NのNaOHを用いてpH 9とし、酢酸エチルで抽出する。有機相を蒸発させ、残留物を分取HPLCにより精製する。
収量:6mgの「A124」、トリフルオロ酢酸塩;ESI 451;Rt.=2.13分(方法B)。
【0245】
以下の化合物を、同様にして調製する:
【表30】

【0246】
(3−{3−[4−(4−アミノブチルカルバモイル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A129」)の調製
【化36】

100mg(0.177mmol)の(3−{3−[4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノブチルカルバモイル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチルを、4mlのジクロロメタンに溶解し、500μlのトリフルオロ酢酸を加える。反応物を、室温にて20時間撹拌する。反応混合物を蒸発させ、真空中で乾燥する。
【0247】
収量:94mgの「A129」、トリフルオロ酢酸塩、白色固体として;ESI:464;Rt.=2.29分(方法A)。
1H-NMR (d6-DMSO): δ [ppm] = 9.602 (1H, s), 8.605 (1H, t), 8.150 (1H, d), 8.007 (2H, d), 7.955 (2H, d), 7.646 (3H, b), 7.497 (2H, d), 7.385 (1H, d), 7.251 (1H, t), 7.137 (1H, d), 6.989 (1H, d), 5.307 (2H, s), 4.106 (2H, q), 3.317 (2H, m), 2.836 (2H, m), 2.733 (6H, d), 1.594 (4H, m), 1.227 (3H, t).
【0248】
以下の化合物を、同様にして調製する:
【表31】

【0249】
【表32】

【0250】
【表33】

【0251】
【表34】

【0252】
【表35】

【0253】
【表36】

【0254】
(3−{3−[4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A163」)の調製
1.前駆体:
1.1 N−ヒドロキシ−4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ベンズアミジン
【化37】

36g(0.183mol)の4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ベンゾニトリルおよび59.4g(0.56mol)の炭酸カリウムを、1lのメタノールおよび44mlの水に溶解し、38.1g(0.55mol)の塩化ヒドロキシルアンモニウムを加える。反応混合物を15時間還流させる。冷却後、メタノールを蒸留して除去し、100mlの水を加え、混合物を室温にて1時間撹拌する。懸濁液を吸引により濾過し、沈殿物を真空中で乾燥した。
収量:38gの帯黄色固体。
【0255】
1.2 6−[4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン
【化38】

38.1g(0.165mol)のN−ヒドロキシ−4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ベンズアミジンを、250mlの酢酸に懸濁させ、250mlの無水酢酸を加える。反応混合物を、120℃にて24時間撹拌する。その後、混合物を室温に放冷し、生成した沈殿物を吸引により濾別し、少量の酢酸で洗浄し、真空中で乾燥する。
収量:21.9gのベージュ色固体;ESI 255。
【0256】
2.
【化39】

127mg(0.5mmol)の6[4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンおよび117mg(0.55mmol)の(3−クロロメチルフェニル)カルバミン酸エチルを、1mlのDMFに溶解し、163mg(0.5mmol)の炭酸セシウムを加え、混合物を室温にて15時間撹拌する。15mlの水を反応混合物に加え、生成した沈殿物を吸引により濾別し、水で洗浄し、真空中で乾燥する。残留物をイソプロパノールと共に沸騰させ、冷却後濾過し、イソプロパノールおよびMTBEで洗浄し、乾燥する。
収量:139mgの「A163」、無色結晶として、ESI 432。
【0257】
(3−{3−[5−(2−メトキシエトキシメチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−メチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A164」)の調製
1.前駆体:
1.1 [3−(3−シアノ−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチル
【化40】

窒素雰囲気下で、1g(8.3mmol)の6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−カルボニトリル(WO 2002/079200に従って調製した)を、50mlのTHFに懸濁させ、2.4g(12.4mmol)の(3−ヒドロキシメチルフェニル)カルバミン酸エチルおよび5g(12.4mmol)のトリフェニルホスフィンを加える。1.95ml(12.4mmol)のアゾジカルボン酸ジエチルを、2〜10℃にて氷冷しながらこの懸濁液に滴加する。懸濁液を室温にて15時間撹拌する。懸濁液を濾過し、濾過残留物をジクロロメタンで洗浄し、濾液を蒸発乾固させ、酢酸エチルに吸収させ、有機相を1NのHClおよび飽和炭酸水素ナトリウム溶液で抽出する。その後、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させる。
生成物重量:2.2gの淡い茶色の固体;ESI 299;Rt.=2.54分(方法B)。
【0258】
1.2 {3−[3−(N−ヒドロキシカルバミミドイル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル
【化41】

1g(3.35mmol)の[3−(3−シアノ−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチルおよび1.17g(16.8mmol)の塩化ヒドロキシルアンモニウムを、150mlのエタノールに懸濁させ、2.3ml(16.8mmol)のトリエチルアミンを加える。反応混合物を、室温にて48時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させ、真空中で乾燥する。当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
生成物:淡い茶色の固体、ESI 332;Rt.=2.08分(方法B)。
【0259】
2.
【化42】

200mg(0.6mmol)の{3−[3−(N−ヒドロキシカルバミミドイル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル、82μl(0.72mmol)の3,6−ジオキサヘプタン酸、101mg(0.72mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび140mg(0.72mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を、10mlのジクロロメタンに懸濁させ、混合物を、室温にて15時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させ、水を加え、水性相を酢酸エチルで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させる。残留物を10mlのキシレンに吸収させ、15時間還流する。反応混合物を蒸発乾固させ、分取HPLCにより精製する。
収量:120mgの「A164」、白色固体として;ESI 430;Rt.=2.54分(方法B)。
【0260】
以下の化合物を、同様にして得る。
【表37】

【0261】
[3−(3−{4−[5−(2−メトキシエトキシメチル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]フェニル}−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチル(「A166」)の調製
1.前駆体:
(3−{3−[4−(N−ヒドロキシカルバミミドイル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル
【化43】

5g(13.4mmol)の{3−[3−(4−シアノフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルおよび4.6g(67mmol)の塩化ヒドロキシルアンモニウムを、300mlのエタノールに懸濁させ、9.3ml(67mmol)のトリエチルアミンを加える。反応混合物を室温にて48時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させ、真空中で乾燥する。酢酸エチルを当該物質に加え、残留物を吸引により濾別し、真空中で乾燥する。当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
生成物:4gの白色固体;ESI 408;Rt.=2.13分(方法B)。
【0262】
2.
【化44】

150mg(0.6mmol)の(3−{3−[4−(N−ヒドロキシカルバミミドイル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル、50μl(0.44mmol)の3,6−ジオキサヘプタン酸、62mg(0.44mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび86mg(0.44mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を、6mlのジクロロメタンに懸濁させ、混合物を室温にて15時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させ、水を加え、水性相を酢酸エチルで3回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させる。残留物を、10mlのキシレンに吸収させ、15時間還流する。反応混合物を蒸発乾固させ、分取HPLCにより精製する。
【0263】
収量:7mgの「A166」、白色固体として;ESI 506;Rt.=2.93分(方法B)。
1H-NMR (d6-DMSO): δ [ppm] = 9.529 (1H, s), 8.09-8.18 (5H, m), 7.476 (1H, b), 7.395 (1H, d), 7.244 (1H, b), 7.136 (1H, d), 6.986 (1H, d), 5.309 (2H, s), 4.921 (2H, s), 4.095 (2H, q), 3.746 (2H, m), 3.523 (2H, m), 3.260 (3H, s), 1.215 (3H, t).
【0264】
以下の化合物を、同様にして得る。
【表38】

【0265】
(3−{6−オキソ−3−[4−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A170」)の調製
【化45】

500mg(1.23mmol)の(3−{3−[4−(N−ヒドロキシカルバミミドイル)フェニル]−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチルを、20mlのDMFに溶解し、300μlのピリジンを加える。その後、128μl(1.35mmol)のクロロギ酸エチルを加え、溶液を100℃にて24時間撹拌する。10mlの1NのHClおよび水を、反応混合物に加える。バッチを蒸発乾固させ、酢酸エチルを加え、混合物を水で抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させ、分取HPLCにより精製する。
収量:7mgの「A170」、淡黄色固体として;ESI 434;Rt.=2.65分(方法B)。
【0266】
{3−[3−(4−{[ビス(1H−イミダゾール−2−イルメチル)アミノ]メチル}フェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル(「A171」)の調製
【化46】

180mg(0.48mmol)の{3−[3−(4−アミノメチルフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルおよび55mg(0.57mmol)のイミダゾール−2−カルボキサルデヒドを、窒素雰囲気下で100mlのフラスコ中で2mlのDMFに溶解し、約5〜10℃に冷却し、159mg(0.713mmol)のトリスアセトキシホウ水素化ナトリウムを加え、混合物を室温にて15にわたり撹拌する。さらに90mg(0.42mmol)のトリアセトキシホウ水素化ナトリウムを加え、混合物を室温にてさらに24時間撹拌する。反応混合物を、分取HPLCにより精製する。
収量:52mgの「A171」、トリフルオロ酢酸塩、黄色固体として;ESI 539;Rt:=2.25分(方法A)。
【0267】
化合物
【化47】

を、トリフルオロ酢酸塩として同様にして得る。
【0268】
(3−{6−オキソ−3−[4−(1H−テトラゾール−5−イル)フェニル]−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A172」)の調製
【化48】

100mg(0.27mmol)の{3−[3−(4−シアノフェニル)−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチルを、3mlのトルエンに懸濁させ、52mg(0.8mmol)のアジ化ナトリウムおよび110mg(0.8mmol)の塩化トリエチルアンモニウムを加える。混合物を100℃にて24時間撹拌し、その後反応混合物を蒸発させ、分取HPLCにより精製する。
収量:17mgの「A172」、白色固体として;ESI 418;Rt.=2.54分(方法B)。
【0269】
(3−{6−オキソ−3−[4−(4−ピロリジン−1−イルフェニル)チアゾール−2−イル]−6H−ピリダジン−1−イルメチル}フェニル)カルバミン酸エチル(「A173」)の調製
1.前駆体:
[3−(6−オキソ−3−チオカルバモイル−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチル
【化49】

200mg(0.67mmol)の[3−(3−シアノ−6−オキソ−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチルを、1mlのDMFに溶解し、219mg(2mmol)の塩化ジエチルアンモニウムおよび165mg(2mmol)の硫化ナトリウム水和物を加える。黄色の懸濁液を、55℃にて2時間撹拌する。10mlの水を、反応混合物に加える。沈殿物を吸引により濾別し、水で洗浄し、真空中で乾燥する。当該物質を、さらに精製せずにさらに反応させる。
収量:104mg、黄色結晶、ESI 333;Rt.=2.42分(方法B)。
【0270】
2.
【化50】

104mg(0.31mmol)の[3−(6−オキソ−3−チオカルバモイル−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチルを、2mlのEtOHに懸濁させ、100mg(0.37mmol)のα−ブロモ−4−(1−ピロリジノ)アセトフェノンを加える。反応混合物を80℃にて15時間撹拌する。生成した沈殿物を吸引により濾別し、エタノールで洗浄し、真空中で乾燥する。
収量:72mgの「A173」、黄色結晶として;ESI 502;Rt.=3.33分(方法B)。
【0271】
{3−[6−オキソ−3−(4−ピリジン−4−イルチアゾール−2−イル)−6H−ピリダジン−1−イルメチル]フェニル}カルバミン酸エチル(「A174」)の調製
【化51】

100mg(0.30mmol)の[3−(6−オキソ−3−チオカルバモイル−6H−ピリダジン−1−イルメチル)フェニル]カルバミン酸エチルを、2mlのEtOHに懸濁させ、101mg(0.36mmol)の2−ブロモ−1−(4−ピリジニル)エタノン臭化水素酸塩を加える。反応混合物を80℃にて15時間撹拌する。生成した沈殿物を吸引により濾別し、エタノールで洗浄し、真空中で乾燥する。粗生成物を、分取HPLCにより精製する。
【0272】
収量:77mgの「A174」、白色固体として;ESI 434;Rt.=2.31分(方法B)。
1H-NMR (d6-DMSO): δ [ppm] = 9.603 (1H, s), 8.78-8.83 (3H, m), 8.293 (2H, d), 8.229 (1H, d), 7.450 (1H, b), 7.416 (1H, d), 7.268 (1H, t), 7.226 (1H, d), 6.992 (1H, d), 5.304 (2H, s), 4.102 (2H, q), 1.223 (3H, t).
【0273】
4−[1−(1H−インダゾール−5−イルメチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル]−N−(3−ピペリジン−1−イルプロピル)ベンズアミド(「A175」)の調製
1.前駆体:
【化52】

2.5g(11.6mmol)の4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)安息香酸を、30mlのDMFに懸濁させ、2g(13.9mmol)の3−ピペリジノプロピルアミン、3.9ml(34.7mmol)の4−メチルモルホリン、3.2g(23.1mmol)の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールおよび4.5g(23.1mmol)のN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N´−エチルカルボジイミド塩酸塩を加え、混合物を室温にて15時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させ、酢酸エチルを加え、混合物を1NのHCl、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固させる。
収量:400mg、ESI 341;Rt.=1.69分(方法B)。
【0274】
2.
【化53】

窒素雰囲気下で、38mg(0.11mmol)の4−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)−N−(3−ピペリジン−1−イルプロピル)ベンズアミドを、1mlのTHFに懸濁させ、27mg(0.18mmol)の(1H−インダゾール−5−イル)メタノールおよび88mg(0.34mmol)のトリフェニルホスフィンを加える。53μl(0.34mmol)のアゾジカルボン酸ジエチルを、2〜10℃にて氷冷しながらこの懸濁液に滴加した。懸濁液を室温にて15時間攪拌した。反応混合物を蒸発させ、分取HPLCにより精製した。
5.4mgの「A175」、トリフルオロ酢酸塩が得られる;ESI 471;Rt.=1.82分(方法B)。
【0275】
以下の化合物を、上記の例と同様にして得る。
【表39】

【0276】
【表40】

【0277】
薬理学的データ
Metキナーゼ阻害(酵素アッセイ)
【表41】

【0278】
【表42】

【0279】
【表43】

【0280】
【表44】

【0281】
以下の例は、医薬に関する:
例A:注射バイアル
100gの式Iで表される活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの2回蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
【0282】
例B:座剤
20gの式Iで表される活性成分の100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性成分を含む。
【0283】
例C:溶液
1gの式Iで表される活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの2回蒸留水中に溶液を調製する。pHを6.8に調整し、溶液を1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
【0284】
例D:軟膏
500mgの式Iで表される活性成分を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0285】
例E:錠剤
1kgの式Iで表される活性成分、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して、錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性成分を含むようにする。
【0286】
例F:糖衣錠
例Eと同様にして、錠剤を圧縮し、次に、慣用の方法で、スクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび染料の被膜で被覆する。
【0287】
例G:カプセル
2kgの式Iで表される活性成分を、硬質ゼラチンカプセル中に、慣用の方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性成分を含むようにする。
【0288】
例H:アンプル
1kgの式Iで表される活性成分を60lの2回蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移送し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
は、ArまたはHetを示し、
は、ArまたはHetを示し、
は、HまたはAを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、O、S、SO、SOおよび/またはCH=CH基により置き換えられていてもよい)、
あるいは、
3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示し、
Alkは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、O、S、SO、SO、C≡Cおよび/またはCH=CH基により置き換えられていてもよい)、
あるいは、
3〜7個のC原子を有する環状アルキレンを示し、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、この各々は、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されており、さらにHal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、O[C(RN(R)、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHet、CHOおよび/またはCOAにより単置換、二置換または三置換されていてもよく、
Arは、フェニル、ナフチルまたはビフェニルを示し、この各々は、Hal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、O[C(RN(R)、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHet、CHOおよび/またはCOAにより単置換、二置換または三置換されており、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、(Alk)SONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’、(Alk)BまたはArにより単置換されており、さらにHal、A、OR、N(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、Het、O[C(RN(R)、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHetおよび/またはCOAにより単置換、二置換または三置換されていてもよい、単環式、二環式または三環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
Hetは、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、非置換であるか、またはHal、A、OR、(CHN(R、SR、NO、CN、COOR、CON(R、O[C(RN(R)、O[C(RHet、NHCOOA、NHCON(R、NHCOO[C(RN(R、NHCOO[C(RHet、NHCONH[C(RN(R、NHCONH[C(RHet、OCONH[C(RN(R、OCONH[C(RHet、NRCOA、NRSOA、SON(R、S(O)A、CO−Het、CHO、COA、=S、=NH、=NA、オキシ(−O)および/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換もしくは三置換されていてもよい、単環式、二環式または三環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
Hetは、1〜4個のN、Sおよび/またはO原子を有し、A、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換または四置換されていてもよい、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
B、B’は、各々、互いに独立して、(Alk)Het、(Alk)N(R、(Alk)OR、(Alk)SOA、(Alk)CH(OR)CHOR、R、(Alk)CO−ORまたは(Alk)CO−N(Rを示し、
ここで、NH基はまた、NCOOAまたはN−C(=O)Rにより置き換えられていてもよく、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、1、2、3または4を示し、
pは、0、1、2、3または4を示し、
qは、0または1を示す、
で表される化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項2】
Aが、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、OH、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)、
あるいは、
3〜7個のC原子を有する環状アルキルを示す、
請求項1に記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項3】
Arが、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されているフェニルを示す、
請求項1または2に記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項4】
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、(Alk)BまたはArにより単置換されている、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示す、
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項5】
Hetが、チアゾリル、チエニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリルまたはベンゾ−1,3−ジオキソリルを示し、この各々が、(Alk)BまたはArにより単置換されている、
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項6】
Arが、Het、NHCOOAまたはNHCOO[C(RHetにより単置換されているフェニルを示す、
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項7】
Arが、3位においてNHCOOAにより置換されているフェニルを示す、
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項8】
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する非置換の単環式または二環式の芳香族複素環を示す、
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項9】
Hetが、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピリジニル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示す、
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項10】
Hetが、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリアゾリル、モルホリニル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、テトラゾリル、2H−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、これらの各々が、非置換であるか、またはA、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換または四置換されている、
請求項1〜9のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項11】
Alkが、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、OH、F、Clおよび/またはBrにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)、
あるいは、
3〜7個のC原子を有する環状アルキレンを示す、
請求項1〜10のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項12】
Aが、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示す、
請求項11に記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項13】
Alkが、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示す、
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項14】
が、ArまたはHetを示し、
が、ArまたはHetを示し、
が、HまたはAを示し、
Aが、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し、
Alkが、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し、
Arが、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されているフェニルを示し、
Arが、Het、NHCOOAまたはNHCOO[C(RHetにより単置換されているフェニルを示し、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有し、(Alk)BまたはArにより単置換されている、単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族複素環を示し、
Hetが、1〜4個のN、Oおよび/またはS原子を有する非置換の単環式または二環式の芳香族複素環を示し、
Hetが、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリアゾリル、モルホリニル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、テトラゾリル、2H−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、これらの各々が、非置換であるか、またはA、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換または四置換されており、
B、B’が、各々、互いに独立して、(Alk)Het、(Alk)N(R、(Alk)OR、(Alk)SOA、(Alk)CH(OR)CHOR、R、(Alk)CO−ORまたは(Alk)CO−N(Rを示し、
ここで、NH基はまた、NCOOAまたはN−C(=O)Rにより置き換えられていてもよく、
Halが、F、Cl、BrまたはIを示し、
mが、0、1または2を示し、
nが、1、2、3または4を示し、
pが、0、1、2、3または4を示す、
請求項1〜13のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項15】
が、ArまたはHetを示し、
が、ArまたはHetを示し、
が、HまたはAを示し、
Aが、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキル(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し、
Alkが、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキレン(ここで、1〜7個のH原子は、Fおよび/またはClにより置き換えられていてもよく、
かつ/またはここで、1つまたは2つのCH基は、Oにより置き換えられていてもよい)を示し、
Arが、(Alk)NRCO−B、(Alk)NRSO−B、(Alk)CONBB’、AlkSONBB’、(Alk)O−B、(Alk)NBB’または(Alk)Bにより単置換されているフェニルを示し、
Arが、Het、NHCOOAまたはNHCOO[C(RHetにより単置換されているフェニルを示し、
Hetが、チアゾリル、チエニル、ピリジル、オキサジアゾリル、ベンゾ−1,2,5−チアジアゾリルまたはベンゾ−1,3−ジオキソリルを示し、この各々が、(Alk)BまたはArにより単置換されており、
Hetが、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピリジニル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、
Hetが、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロオキサジアゾリル、ピリジニル、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリアゾリル、モルホリニル、イミダゾリル、ジヒドロイミダゾリル、テトラゾリル、2H−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、ベンゾ−1,3−ジオキソリル、インダゾリルまたはベンゾ−2,1,3−チアジアゾリルを示し、これらの各々が、非置換であるか、またはA、OA、OH、Hal、B、(CHOB、COOAおよび/または=O(カルボニル酸素)により単置換、二置換、三置換または四置換されており、
B、B’が、各々、互いに独立して、(Alk)Het、(Alk)N(R、(Alk)OR、(Alk)SOA、(Alk)CH(OR)CHOR、R、(Alk)CO−ORまたは(Alk)CO−N(Rを示し、
ここで、NH基はまた、NCOOAまたはN−C(=O)Rにより置き換えられていてもよく、
Halが、F、Cl、BrまたはIを示し、
mが、0、1または2を示し、
nが、1、2、3または4を示し、
pが、0、1、2、3または4を示す、
請求項1〜14のいずれかに記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項16】
以下の群
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

から選択される、請求項1に記載の化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体もしくは立体異性体、またはすべての比率でのこれらの混合物。
【請求項17】
請求項1〜16に記載の式Iで表される化合物、または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体もしくは立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化2】

式中、Rは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、式III
−CHL−R III
式中、RおよびRは、請求項1において示した意味を有し、
Lは、Cl、Br、Iまたは、遊離の、もしくは反応的に官能的に修飾されたOH基を示す、
で表される化合物と反応させ、
あるいは、
b)ラジカルRを他のラジカルRに、アミノ基をアシル化することにより変換し、
あるいは
c)これを、加溶媒分解剤または水素化分解剤で処理することにより、この機能的誘導体の1種から遊離させ、
かつ/または
式Iで表される塩基または酸を、この塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の化合物、および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物、ならびに、任意に賦形剤および/または補助剤を含む、医薬。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物、ならびに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が作用を奏する疾患の処置のための医薬の製造のための使用。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物、ならびに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物によるチロシンキナーゼの阻害により影響される疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
請求項1〜15のいずれかに記載の化合物によるMetキナーゼの阻害により影響される疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
処置するべき疾患が固形腫瘍である、請求項20または21に記載の使用。
【請求項23】
固形腫瘍が、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭頸部、食道、子宮頸部、甲状腺、腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖路、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群に由来する、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
固形腫瘍が、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫および乳癌の群に由来する、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
固形腫瘍が、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群に由来する、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
処置するべき疾患が血液および免疫系の腫瘍である、請求項20または21に記載の使用。
【請求項27】
腫瘍が、急性脊髄性白血病、慢性脊髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群に由来する、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される少なくとも1種の化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物、ならびに少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む、医薬。
【請求項29】
(a)請求項1〜16のいずれかに記載の式Iで表される化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物、塩および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の有効量、
ならびに
(b)さらなる医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなる、セット(キット)。

【公表番号】特表2010−528995(P2010−528995A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509701(P2010−509701)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003550
【国際公開番号】WO2008/145243
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】