説明

フォトマスク製造方法、フォトマスク、フォトマスク欠陥検査装置判定方法、及びフォトマスク欠陥検査装置判定装置

【課題】電子回路基板の製造と共にマスク欠陥検査装置自体の検査を実行可能なフォトマスクを製造するフォトマスク製造方法、そのフォトマスクを用いたフォトマスク欠陥検査装置判定方法、及びフォトマスク欠陥検査装置判定装置を提供する。
【解決手段】電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記電子回路基板における電子回路領域を避けて配置したマスクパターンを示すマスクパターンデータを作成する作成段階と、前記作成段階により作成されたマスクパターンデータが示すマスクパターンを、フォトマスクに転写する転写段階と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク製造方法、フォトマスク、フォトマスク欠陥検査装置判定方法、及びフォトマスク欠陥検査装置判定装置に係り、特に、欠陥検査装置を検査でき、製品の製造にも用いることができるフォトマスク製造方法、フォトマスク製造情報により製造されたフォトマスク、そのフォトマスクを用いたフォトマスク欠陥検査装置判定方法、及びフォトマスク欠陥検査装置判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクに転写されたマスクパターンに欠陥があるか否かを検査するフォトマスク欠陥検査装置がある。このフォトマスク欠陥検査装置を用いた検査方法には、ダイtoダイ検査方法と、データ比較検査方法の2種類の検査が知られている。
【0003】
このうち、ダイtoダイ検査方法は、フォトマスク上に形成された各々のチップ領域に対応するマスクパターンが各々のチップ領域同士で一致するか否かを比較し、これが不一致であればフォトマスクに欠陥があることを検知する検査方法であり、ひとつでも異なるものがあれば、そのフォトマスクに欠陥があると判定する方法である。
【0004】
一方、データ比較検査方法は、作成した検査用データとマスク全体との比較を行うことで欠陥検査を行う方法である。
【0005】
フォトマスク欠陥検査装置は、上述したようにフォトマスクの欠陥を検査する装置であるが、このフォトマスク欠陥検査装置自体に異常があれば、欠陥のあるフォトマスクを正常なフォトマスクと判定する事もあり得る。これに関連して、特許文献1には、フォトマスク検査装置用欠陥マスクが開示されている。
【0006】
フォトマスク欠陥検査装置自体の検査は、フォトマスク上の各々のチップ領域に形成されるパターンをあえて異なるものにしておくことで意図的にエラーを検出することを試み、それがエラーと認識されれば正常に動作していると判定するようになっている。
【0007】
このようなフォトマスク欠陥検査装置自体の検査は製造工程を一時的に止めて行う必要があるので、一般的に、フォトマスク欠陥検査装置自体の検査はある一定の期間をおいて行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−94005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、定期的にフォトマスク欠陥検査装置自体の検査を行なう場合、フォトマスク欠陥検査装置自体の検査を行ってから次の検査までの間にフォトマスク欠陥検査装置に異常があると、フォトマスクの欠陥を正常に認識できなくなるおそれがあり、それにより欠陥のあるフォトマスクによって形成された電子回路基板が出荷されてしまうという問題があった。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑み、マスク欠陥検査装置の検査を実行可能なフォトマスクを製造するフォトマスク製造方法、フォトマスク製造情報により製造されたフォトマスク、そのフォトマスクを用いたフォトマスク欠陥検査装置判定方法、及びフォトマスク欠陥検査装置判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、機能回路パターン領域を備えた複数のチップパターン領域を有し、前記複数のチップパターン領域のうち少なくともひとつに前記機能回路パターンを避けて、又は前記複数のチップパターン領域間の領域に少なくともひとつのダミーパターンが形成されたフォトマスクを用いたフォトマスク欠陥検査装置の検査方法は、前記フォトマスクの欠陥検査を行うと共に、前記ダミーパターンを利用することで前記フォトマスクの欠陥検査に用いるフォトマスク欠陥検査装置の検査をも行うことを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、ダミーパターンを利用することで電子回路基板の製造と共にマスク欠陥検査装置自体の検査を実行可能となる。
【0013】
請求項2の発明は請求項1の発明において、前記ダミーパターンは、前記複数のチップパターン領域のうち少なくともひとつに前記機能回路パターンを避けて形成されており、前記フォトマスクの欠陥検査、及び前記フォトマスク欠陥検査装置の検査は、前記複数のチップパターン領域に形成されたパターン同士の比較により行うことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明によれば、ダミーパターンが機能回路パターンを避けて形成されているので、このフォトマスクはフォトマスク欠陥検査装置の検査だけではなく電子回路基板の製造にも用いることができる。
【0015】
請求項3の発明は請求項1の発明において、前記ダミーパターンは、前記複数のチップパターン領域間の領域に少なくともひとつ形成されており、前記フォトマスクの欠陥検査、及び前記フォトマスク欠陥検査装置の検査は、予め用意された所望のフォトマスクのパターンと前記フォトマスクのパターンとの比較により行うことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明によれば、ダイtoダイ検査によりフォトマスク欠陥検査装置の検査を行なうことができる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記ダミーパターンの形状は円状であることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明によれば、ダミーパターンの形状を円状とすることができる。
【0019】
請求項5の発明は請求項1の発明において、前記ダミーパターンは、各々大きさの異なる径を備えた複数の前記円状のパターンからなることを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明によれば、ダミーパターンは、各々大きさの異なる径を備えた複数の前記円状のパターンとすることで、汎用性を高めることができる。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記ダミーパターンは、前記フォトマスク欠陥検査装置が検出可能な最小サイズであることを特徴とする。
【0022】
請求項6の発明によれば、フォトマスク欠陥検査装置のベストパフォーマンス状態を確認することが可能となる。
【0023】
上記目的を達成するために、請求項7の発明は、電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記電子回路基板における電子回路領域を避けて配置したマスクパターンを示すマスクパターンデータを作成する作成段階と、前記作成段階により作成されたマスクパターンデータが示すマスクパターンを、フォトマスクに転写する転写段階と、を有する。
【0024】
請求項7の発明によれば、作成段階では電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記電子回路基板における電子回路領域を避けて配置したマスクパターンを示すマスクパターンデータを作成し、転写段階では、前記作成段階により作成されたマスクパターンデータが示すマスクパターンを、フォトマスクに転写する。このように欠陥検査用パターンを電子回路基板における電子回路領域を避けて配置することで、電子回路基板の製造と共にマスク欠陥検査装置自体の検査を実行可能なフォトマスクを製造することができる。
【0025】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記フォトマスクが、複数の電子回路基板を1つのフォトマスクで製造するために用いられるフォトマスクの場合には、前記マスクパターンに、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含まれるようにしてもよい。
【0026】
請求項8の発明によれば、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含むことで、ダイtoダイ検査方法を1つのフォトマスクにより実行することができる。
【0027】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記欠陥検査用パターンは、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置されるようにしてもよい。
【0028】
請求項9の発明によれば、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置することで、電子回路基板における電子回路領域を避けて配置することができる。
【0029】
請求項10の発明は、請求項7〜請求項9のいずれか1項の発明において、前記欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとして配置されるようにしてもよい。
【0030】
請求項10の発明によれば、欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとすることができる。
【0031】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、前記ピンホール、又は前記ピンドットのサイズを、前記フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとするようにしてもよい。
【0032】
請求項11の発明によれば、フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとすることで、フォトマスク欠陥検査装置のベストパフォーマンス状態を確認することが可能となる
上記目的を達成するために、請求項12の発明は、請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載のフォトマスク製造方法により製造されたフォトマスクである。
【0033】
請求項12の発明によれば、請求項7〜請求項11による効果と同様の効果が得られるフォトマスクを提供することができる。
【0034】
上記目的を達成するために、請求項13の発明は、電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記フォトマスクを用いて製造された電子回路基板における電子回路領域を避けて配置した製造兼検査用フォトマスクに対して光を照射することにより得られる透過光を示す第1透過光情報を取得する第1透過光取得段階と、前記欠陥検査用パターンが配置されてない他のフォトマスクにより得られる透過光を示す第2透過光情報を取得する第2透過光取得段階と、前記第1透過光情報と、前記第2透過光情報とが、一致しない前記検査用フォトマスク上の位置を検出する位置検出段階と、前記欠陥検査用パターンが配置された位置を示す位置情報が記録された記録手段により示される前記欠陥検査用パターンが配置された全ての位置が、前記位置検出段階により検出された場合に、前記フォトマスク欠陥検査装置が正常であると判定する判定段階と、を有する。
【0035】
請求項13の発明によれば、第1透過光取得段階では、電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記フォトマスクを用いて製造された電子回路基板における電子回路領域を避けて配置した製造兼検査用フォトマスクに対して光を照射することにより得られる透過光を示す第1透過光情報を取得し、第2透過光取得段階では、前記欠陥検査用パターンが配置されてない他のフォトマスクにより得られる透過光を示す第2透過光情報を取得し、位置検出段階では前記第1透過光情報と、前記第2透過光情報とが、一致しない前記検査用フォトマスク上の位置を検出し、判定段階では、前記欠陥検査用パターンが配置された位置を示す位置情報が記録された記録手段により示される前記欠陥検査用パターンが配置された全ての位置が、前記位置検出段階により検出された場合に、前記フォトマスク欠陥検査装置が正常であると判定するので、マスク欠陥検査装置の検査を実行可能なフォトマスクを用いたフォトマスク欠陥検査装置判定方法を提供することができる。
【0036】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記製造兼検査用フォトマスクが、複数の電子回路基板を1つのフォトマスクで製造するために用いられるフォトマスクの場合には、前記製造兼検査用フォトマスクに、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含まれるようにしたフォトマスクであり、前記第1透過光取得段階では、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンに対して光を照射することにより得られる透過光を示す前記第1透過光情報を取得し、前記第2透過光取得段階では、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンに対して光を照射することにより得られる透過光を示す前記第2透過光情報を取得するようにしてもよい。
【0037】
請求項14の発明によれば、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含むことで、ダイtoダイ検査方法を1つのフォトマスクにより実行することができる。
【0038】
請求項15の発明は、請求項14の発明において、前記欠陥検査用パターンは、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置されるようにしてもよい。
【0039】
請求項15の発明によれば、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置することで、電子回路基板における電子回路領域を避けて配置することができる。
【0040】
請求項16の発明は、請求項13〜請求項15のいずれか1項の発明において、前記欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとして配置されるようにしてもよい。
【0041】
請求項16の発明によれば、欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとすることができる。
【0042】
請求項17の発明は、請求項16の発明において、前記ピンホール、又は前記ピンドットのサイズを、前記フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとしてもよい。
【0043】
請求項17の発明によれば、フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとすることで、フォトマスク欠陥検査装置のベストパフォーマンス状態を確認することが可能となる
上記目的を達成するために、請求項18の発明は、電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記フォトマスクにおける電子回路領域を避けた位置に配置した製造兼検査用フォトマスクに対して光を照射することにより得られる透過光を示す第1透過光情報を取得する第1透過光取得手段と、前記欠陥検査用パターンが配置されてない他のフォトマスクにより得られる透過光を示す第2透過光情報を取得する第2透過光取得手段と、前記第1透過光情報と、前記第2透過光情報とが、一致しない前記検査用フォトマスク上の位置を検出する位置検出手段と、前記欠陥検査用パターンが配置された位置を示す位置情報が記録された記録手段により示される前記欠陥検査用パターンが配置された全ての位置が、前記位置検出手段により検出された場合に、前記フォトマスク欠陥検査装置が正常であると判定する判定手段と、を有する。
【0044】
請求項18の発明は、請求項13と同様に作用するので、請求項13と同様の効果が得られる。
【0045】
請求項19の発明は、請求項18の発明において、前記製造兼検査用フォトマスクが、複数の電子回路基板を1つのフォトマスクで製造するために用いられるフォトマスクの場合には、前記製造兼検査用フォトマスクに、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含まれるようにしたフォトマスクであり、前記第1透過光取得手段は、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンに対して光を照射することにより得られる透過光を示す前記第1透過光情報を取得し、前記第2透過光取得手段は、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンに対して光を照射することにより得られる透過光を示す前記第2透過光情報を取得するようにしてもよい。
【0046】
請求項19の発明は、請求項14と同様に作用するので、請求項14と同様の効果が得られる。
【0047】
請求項20の発明は、請求項19の発明において、前記欠陥検査用パターンは、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置されるようにしてもよい。
【0048】
請求項20の発明によれば、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置することで、電子回路基板における電子回路領域を避けて配置することができる。
【0049】
請求項21の発明は、請求項18〜請求項20のいずれか1項の発明において、前記欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとして配置されるようにしてもよい。
【0050】
請求項21の発明によれば、欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとすることができる。
【0051】
請求項22の発明は、請求項21の発明において、前記ピンホール、又は前記ピンドットのサイズを、前記フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとするようにしてもよい。
【0052】
請求項22の発明によれば、フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとすることで、フォトマスク欠陥検査装置のベストパフォーマンス状態を確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、マスク欠陥検査装置自体の検査を実行可能なフォトマスクを製造するフォトマスク製造方法、そのフォトマスクを用いたフォトマスク欠陥検査装置判定方法、及びフォトマスク欠陥検査装置判定装置を提供することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態に係るフォトマスクの一例を示す図である。
【図2】実施形態に係るフォトマスクの一例を示す図である。
【図3】フォトマスク製造処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】ダイtoダイ検査方法を実行するフォトマスク欠陥検査装置判定装置の一例を示す図である。
【図5】データ比較検査方法を実行するフォトマスク欠陥検査装置判定装置の一例を示す図である。
【図6】フォトマスク欠陥検査装置判定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0056】
まず、図1、図2を用いて、本実施の形態に係るフォトマスク製造方法により製造されたフォトマスクについて説明する。
【0057】
図1、図2は、いずれもフォトマスクの一例を示すものであり、図1に示されるフォトマスク26は、遮光膜であるクロム上にフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターン(ピンホールPH)が配置された例を示している。一方、図2に示されるフォトマスク26は、ガラス上に欠陥検査用パターン(ピンドットPD)が配置された例を示している。
【0058】
さらに、図1、図2に示されるいずれのフォトマスク26も、図1(a)、図2(a)に示されるように、複数の電子回路基板(図では基板パターンA〜Iまでの9つ)を1つのフォトマスクで製造するために用いられるフォトマスクである。なお、ひとつのフォトマスク内に形成されるパターンA〜Iは全ての領域で同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。但し、各フォトマスク26に示されるマスクパターンは、欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含まれるようになっている。
【0059】
図1(b)、図2(b)に示されるように、欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンは、基板パターンAとなっており、それ以外の基板パターンB〜Iは、図1(c)、図2(c)に示されるように、欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとなっている。なお、欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンを例えば一つおきにA、C、E、G、Iとし、欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンを一つおきにB、D、F、Hというように、交互に配置するようにしても良い。
【0060】
さらに、図1(b)、図2(b)に示されるように、欠陥検査用パターンの種類とサイズを示す文字がフォトマスクに記載されている。欠陥検査用パターンの種類は、図1(b)に示される「PD」がピンドットを示し、図2(b)に示される「PH」がピンホールを示している。そして、ピンドット、ピンホールはいずれも例として複数(図では3つ)配置されており、そのサイズとして、それぞれ大きい方から段階的に直径が、1.5、1.0、0.5であることが記載されている。このサイズはフォトマスク欠陥検査装置が検出可能な最小のサイズとするようにしても良く、この例の場合では0.5が検出可能な最小サイズとしている。
【0061】
このように、フォトマスクに直径の異なるピンドット、又はピンホールを設けることで、そのフォトマスクを汎用的に使用することが可能となる。具体的に、異なるフォトマスク欠陥検査装置において、各々が検出可能な最小欠陥サイズが異なっている場合に、各々が検出可能な最小欠陥サイズのピンドット、又はピンホールを設けた1つのフォトマスクにより、各々のフォトマスク欠陥検査装置を検査することが可能となる。なお、ピンドット、又はピンホールのサイズを、検出可能な最小欠陥サイズとしているが、これは、使用するフォトマスク欠陥検査装置のベストパフォーマンス状態を確認することが可能となるためである。
【0062】
図1(b)、図2(b)に示されるピンドット、ピンホールは、分かりやすくするために大きめに描いているが、これら欠陥検査用パターンは、このフォトマスクにより製造された電子回路基板における電子回路領域を避けて予め配置される。具体的には、図1(b)、図2(b)の破線に囲まれる内部領域に電子回路基板として動作させるための回路パターン(製品パタ−ン、アライメントパタ−ン、PCMパタ−ン等)が配置される。
【0063】
また、ピンドット、ピンホールをスクラブラインに対応するフォトマスク上の位置に配置するようにしてもよい。さらに、ピンドット、ピンホールを基板パターンA〜Iの境界領域に対応するフォトマスク上の位置に配置するようにしてもよい。なお、図1、図2に示されるフォトマスク26からは、同図に示されるように、9つの電子回路基板を製造することができる。
【0064】
なお、後述するダイtoダイ検査方法の場合、欠陥検査用パターンは、電子回路領域以外の領域(チップ領域の素子が形成されない領域)に配置され、かつスクライブラインには配置されない。一方、後述するデータ比較検査方法の場合、欠陥検査用パターンは、電子回路領域以外の領域(チップ領域の素子が形成されない領域)、スクライブライン、及びPCM内に配置される。このようにデータ比較検査方法の場合は、ダイtoダイ検査方法の場合と異なり、配置可能な領域が広いので、欠陥検査用パターンの配置自由度が大きい。このように、欠陥検査用パターンは、電子回路基板における電子回路領域を避けて配置されるが、これを換言すると電子回路領域に影響を及ぼさない領域である。
【0065】
また、欠陥検査用パターンとして、ピンホール、ピンドットが示されているが、それに限るものではなく、欠陥検査装置が検出可能なパターンであれば、如何なるパターンであっても良い。
【0066】
上述したフォトマスクを製造するフォトマスク製造処理の流れを示すフローチャートを、図3に示す。同図に示されるフローチャートは、一般的なフォトマスク製造装置により実行される処理の流れを示している。
【0067】
まず、ステップ101で、欠陥検査用パターンが配置されたマスクパターンデータを作成する。これは予め上述した欠陥検査用パターンのサイズや配置する位置をフォトマスク製造装置に入力しておくことで、回路を示すパターンと重畳されるようにしてマスクパターンデータが作成される。
【0068】
次のステップ102で、マスクパターンデータに基づき、転写するための作業データを作成する。具体的に、マスクパターンデータを転写する装置に対応したジョブを作成する(EB変換等)。
【0069】
次のステップ103で、マスクパターンデータが示すマスクパターンを、レジスト(感光剤)が塗布されたフォトマスクに転写する。そして、ステップ104で、転写が完了したフォトマスクに対して、現像・エッチング・レジスト除去を行ない、ステップ105でフォトマスクの寸法が正しい寸法となっているか否かを検査する寸法検査を行なう。
【0070】
次のステップ106で、寸法検査に合格しなかったと判定された場合、処理を終了し、不合格とされたフォトマスクは、寸法を修正された後に、ステップ107からの処理が再開される。
【0071】
一方、ステップ106で寸法検査に合格と判定された場合は、ステップ107で現像、パターン欠陥検査前洗浄を行い、ステップ108で、転写されたパターンに欠陥がないか否かを検査するパターン欠陥検査を行なう。
【0072】
次のステップ109で、パターン欠陥検査に合格しなかったと判定された場合、処理を終了し、不合格とされたフォトマスクは、パターンを修正された後に、ステップ110からの処理が再開される。
【0073】
一方、ステップ109でパターン欠陥検査に合格と判定された場合は、ステップ110でペクリル貼り付け前洗浄を行い、ステップ111で、ペクリルの貼り付けを行ない、その後、ステップ112で、フォトマスク表面とペリクル膜面の表面異物検査が行なわれ、その検査に合格したフォトマスクに対して出荷検査としてマスク外観検査を行なう。このようにして製造されたフォトマスクは、出荷検査票が添付され、出荷されることとなる。
【0074】
次に、図4、図5を用いて、フォトマスク欠陥検査装置判定装置について説明するが、その説明に先立ち、フォトマスク欠陥検査装置によるフォトマスクに対する検査と、フォトマスク欠陥検査装置が正常か否かを判定するための検査について説明する。
【0075】
フォトマスク欠陥検査装置によるフォトマスクに対する検査工程は、フォトマスクを用いた電子回路基板の製造工程に含まれている。すなわち、フォトマスクの製造と共に行なわれている。一方、フォトマスク欠陥検査装置が正常か否かを判定するための検査は、ある一定の期間をおいて定期的に行なわれる。
【0076】
従って、フォトマスク欠陥検査装置が異常となると、次の検査までは異常が発見されないため、フォトマスクの検査が正常に行なわれなくなることから、欠陥のあるフォトマスクを用いて電子回路基板が製造される可能性がある。
【0077】
そこで、本発明では、上述したようにフォトマスクに欠陥検査用パターンを配置することで、電子回路基板の製造工程に含まれる、フォトマスク欠陥検査装置によるフォトマスクに対する検査工程で、フォトマスク欠陥検査装置が正常か否かを判定するための検査も行えるようにした。
【0078】
以上を踏まえ、図4、図5を用いて、フォトマスク欠陥検査装置判定装置について説明する。なお、このフォトマスク欠陥検査装置判定装置は、フォトマスクを検査する欠陥検査装置としての機能も兼ねている。
【0079】
図4に示されるフォトマスク欠陥検査装置判定装置10は、ダイtoダイ検査方法を実行するフォトマスク欠陥検査装置判定装置の場合の構成を示している。一方、図5に示されるフォトマスク欠陥検査装置判定装置50は、データ比較検査方法を実行するフォトマスク欠陥検査装置判定装置の場合の構成を示している。
【0080】
最初に図4のフォトマスク欠陥検査装置判定装置10について説明する。同図に示されるように、フォトマスク欠陥検査装置判定装置10は、全体制御部12、ステージ制御部14、比較論理部16、画像センサ18、20、対物レンズ22、24、30、32、X−Yステージ28、光源40、反射鏡34、36、及びモニタ44を含んで構成される。また、同図に示されるように、X−Yステージ28上には本実施の形態に係るフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンが配置された製造兼検査用フォトマスク26(以下、単にフォトマスクと表現することがある)がセットされている。
【0081】
このうち、全体制御部12は、フォトマスク欠陥検査装置判定装置10全体を制御し、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信インタフェース等を含んで構成される。なお、ROMは書き換え可能なROM(フラッシュメモリ等)となっている。
【0082】
比較論理部16は、画像センサ18から得られる画像情報と、画像センサ20から得られる画像情報を比較し、異なる場合に全体制御部12にその旨を通知する。
【0083】
画像センサ18、20は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を用いて構成される。画像センサ18、20で得られた画像情報は、比較論理部16及び全体制御部12に送信される。対物レンズ22、24は、フォトマスク26に対して光を照射することにより得られる透過光を画像センサ18、20に集光させるために用いられる。一方、対物レンズ30、32は、反射板34、36からの光をフォトマスクに照射するために用いられる。
【0084】
光源40は、フォトマスク26を照射するために用いられ、反射板34、36は、光源40からの光をフォトマスク26に向けて反射するために用いられる。
【0085】
ステージ制御部14は、X−Yステージを移動させるために用いられ、X−Yステージ28の位置を座標を表す位置情報(x、y)として全体制御部12に出力するようになっている。X−Yステージ28は、フォトマスクの外周のみを保持する金属フレームによって構成されている。
【0086】
モニタ44は、画像センサ18、20から出力された画像情報に基づき、画像を表示するために用いられる。
【0087】
以上がダイtoダイ検査方法を実行するフォトマスク欠陥検査装置判定装置10の構成となっている。このフォトマスク欠陥検査装置判定装置10で例えば図1に示すフォトマスクを検査する場合、基板パターンAとそれ以外の基板パターンB〜Iとでダイtoダイ検査方法が行なわれる。すなわち、欠陥検査用パターンをフォトマスクを用いて製造された電子回路基板における電子回路領域を避けて配置した製造兼検査用フォトマスクが、基板パターンAが配置された位置に対応するフォトマスクであり、欠陥検査用パターンが配置されてない他のフォトマスクが、基板パターンB〜Iが配置された位置に対応するフォトマスクである。
【0088】
そして、全体制御部14は、基板パターンAが配置された位置に対応するフォトマスクに対して光を照射することにより得られる透過光を示す第1透過光情報を取得する。また、全体制御部14は、基板パターンB〜Iのいずれか1つが配置された位置に対応するフォトマスクに対して光を照射することにより得られる透過光を示す第2透過光情報を取得する。第1透過光情報と第2透過光情報とを全体制御部14が比較することでダイtoダイ検査方法が行なわれる。検査する際の組み合わせとしては(A、B)、(A、C)…(A、I)の組み合わせで、順番に検査するようにしても良い。
【0089】
次に、図5を用いて、データ比較検査方法を実行するフォトマスク欠陥検査装置判定装置50の構成について説明する。なお、この説明では、図4で説明した符号が付されたものについては省略されている。
【0090】
図5に示されるフォトマスク欠陥検査装置判定装置50は、データと比較する検査方法であるので、図4における画像センサ18、対物レンズ22、30、及び反射板36に代えて、パターンデータ60、及びパターンデータ発生部52が新たに追加される。パターンデータ60は、欠陥検査用パターンが配置されてない他のフォトマスク(図1(a)に示されるフォトマスクから欠陥検査用パターンを除いたフォトマスク)により得られる透過光を示す透過光情報(第2透過光情報)が記録されている。記録されている透過光情報は、パターン発生部52により全体制御部12が画像センサ20から得られる画像情報と比較可能な情報に変換されて、比較論理部16、及び全体制御部12に出力される。
【0091】
以上がデータ比較検査方法を実行するフォトマスク欠陥検査装置判定装置50の構成となっている。このフォトマスク欠陥検査装置判定装置50で例えば図1に示すフォトマスクを検査する場合、図1(a)に示されるフォトマスク全体のパターンデータを上記パターンデータ60に記録しておく。
【0092】
そして、全体制御部14は、図1(a)に示されるフォトマスクに対して光を照射することにより得られる透過光を示す第1透過光情報を取得する。さらに、全体制御部14は、欠陥検査用パターンが配置されてない他のフォトマスクにより得られる透過光を示す第2透過光情報を、全体制御部14はパターンデータ発生部52から取得する。第1透過光情報と第2透過光情報とを全体制御部14が比較することでデータ比較検査方法が行なわれる。
【0093】
データ比較検査方法の場合、上述したパターンデータを作成する必要があるので、その作成作業の工数を鑑みれば、パターンデータを作成する必要のないダイtoダイ検査方法の方が検査方法として好適である。さらに、ダイtoダイ検査方法によって検査する場合に要する検査時間は、データ比較検査方法によって検査する場合に要する検査時間よりも短いので、ダイtoダイ検査方法による検査の方がより好ましい。
【0094】
以上説明したフォトマスク欠陥検査装置判定装置10、50で実行されるフォトマスク欠陥検査装置判定処理の流れについて、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は全体制御部12が有する上述したCPUにより実行される。また、この処理はフォトマスク自体の検査を行うものでもあるので、電子回路基板の製造工程において行なわれる処理である。
【0095】
まず、ステップ201で、検査用欠陥パターンが配置されたフォトマスクに対して照射することにより得られる透過光を示す第1透過光情報を取得する。そして、ステップ202で、検査用欠陥パターンが配置されていない他のフォトマスクにより得られる透過光を示す第2透過光情報を取得する。
【0096】
これらステップ201、202は、並行して行なわれる処理である。具体的にダイtoダイ検査方法の場合は、X−Yステージ28が移動すると、フォトマスク26も移動し、それに合わせて画像センサ18、20から画像情報が出力されるため、第1透過光情報及び第2透過光情報は並行して取得されることとなる。
【0097】
一方、データ比較検査方法の場合も、X−Yステージ28の移動に合わせてパターン発生部52から第2透過光情報が出力されるため、この場合も第1透過光情報及び第2透過光情報は並行して取得されることとなる。なお、パターン発生部52から予め第2透過光情報を出力させておき、それを全体制御部12のRAMに保持させておいた後に、比較するようにしても良い。
【0098】
次のステップ203で、第1透過光情報と第2透過光情報とが一致しているか否か判定する。一致していない場合、欠陥は検出されたこととなるため、ステップ204で、一致しなかった位置をステージ制御部14から出力された位置情報(x、y)をRAMに記憶する。一方、ステップ203で第1透過光情報と第2透過光情報とが一致している場合には、欠陥は検出されていないため、そのままステップ205に進む。
【0099】
ステップ205で、全領域からの透過光情報の取得が終了したか否か判定する。全領域とは、例えば図1に示されるフォトマスクをダイtoダイ検査方法で検査する場合は、基板パターンAに対応する領域全体を示す。この場合、基板パターンBも同じX−Yステージ28にセットされているので、全領域は基板パターンBに対応する領域全体を示すものでもある。
【0100】
一方、図1に示されるフォトマスクをデータ比較検査方法で検査する場合は、図1に示されるフォトマスク全体を示す。
【0101】
全領域からの透過光情報の取得が終了していない場合には、ステップ201に戻り、そのまま処理を継続する。一方、全領域からの透過光情報の取得が終了した場合は、ステップ206で、欠陥検査用パターンが配置された全ての位置が一致しない位置として検出されたか否か判定する。なお、欠陥検査用パターンが配置された位置を示す位置情報は、全体制御部12の上述したROMに記録されているので、その位置情報が示す位置とステップ204で記憶された位置情報とを比較することで判定できる。
【0102】
ステップ206で肯定判定、すなわち欠陥検査用パターンが配置された全ての位置が一致しなかった位置として検出された場合には、欠陥検査用パターンをもれなく検出しているため、ステップ208でフォトマスク欠陥検査装置は正常と判定して処理を終了する。
【0103】
一方、ステップ206で否定判定、すなわち欠陥検査用パターンが配置された全ての位置が一致しなかった位置として検出されなかった場合には、欠陥検査用パターンを検出できていないため、ステップ207でフォトマスク欠陥検査装置に異常ありと判定して処理を終了する。
【0104】
なお、欠陥として検出された位置の画像を、上述したモニタ44に表示するようにしても良い。表示することで、図1(b)、図2(b)に示した欠陥検査用パターンの種類(PD、PH)とサイズを示す文字(1.5等)を目視で確認することができる。もちろん、欠陥検査用パターンによる欠陥ではない本来の欠陥も確認することができる。
【0105】
以上説明した処理により、フォトマスク欠陥検査装置の検査のために意図的に形成した欠陥検査用パターンに起因して生じるチップ間パターンの不一致(以下、検査不一致)の検出と、単なるチップ間パターンの不一致(以下、単純不一致)の検出とを、確実に区別して認識することができる。
【0106】
具体的に、まずデータ比較検査方法による検査方法では、パターンデータにより示される欠陥パターンと同じ位置に欠陥がみつかれば検査不一致であり、欠陥パターンと異なる位置に欠陥がみつかれば単純不一致と判定できる。
【0107】
一方、ダイtoダイ検査方法の場合、パターンデータが存在しないため、不一致した位置を上述したように目視により確認し、欠陥パターンの位置は検査者が既知のため、欠陥パターンと同じ位置に欠陥がみつかれば検査不一致であり、欠陥パターンと異なる位置に欠陥がみつかれば単純不一致と判定できる。或いは、データ比較検査方法のように、パターンデータのうちの欠陥パターンの位置のみをデータ化しておき、そのデータを用いることによっても判定が可能である。
【0108】
上述したように、本発明によれば、フォトマスクに対する検査工程で、フォトマスク欠陥検査装置が正常か否かを判定するための検査もできるため、電子回路基板の製造と共にフォトマスク欠陥検査装置自体の検査を実行可能である。
【0109】
以上説明した実施例では、フォトマスクに欠陥検査用パターンを配置した例を示したが、欠陥検査用パターンをウェハに配置することで、ウェハ欠陥検査装置にも適用することができる。
【0110】
また、図3、図6で説明したフローチャートの処理の流れは一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で処理順序を入れ替えたり、新たなステップを追加したり、不要なステップを削除したりすることができることは言うまでもない。
【0111】
以上説明したように、本発明においては、機能回路パターン領域を備えた複数のチップパターン領域(図1、2では基板パターンA〜Iまでの9つ)を有し、前記複数のチップパターン領域のうち少なくともひとつに前記機能回路パターンを避けて(図1(b)、図2(b))、又は前記複数のチップパターン領域間の領域(基板パターンA〜Iの境界領域)に少なくともひとつのダミーパターン(PH、PD)が形成されたフォトマスクを用いたフォトマスク欠陥検査装置の検査方法は、前記フォトマスクの欠陥検査を行うと共に、前記ダミーパターンを利用することで前記フォトマスクの欠陥検査に用いるフォトマスク欠陥検査装置の検査をも行うことを特徴とする。
【0112】
また、本発明においては、前記ダミーパターンは、前記複数のチップパターン領域のうち少なくともひとつに前記機能回路パターンを避けて形成されており、前記フォトマスクの欠陥検査、及び前記フォトマスク欠陥検査装置の検査は、前記複数のチップパターン領域に形成されたパターン同士の比較(例えば、図1、2において(A、B)、(A、C)…(A、I)の組み合わせ)により行うことを特徴とする。
【0113】
また、本発明においては、前記ダミーパターンは、前記複数のチップパターン領域間の領域に少なくともひとつ形成されており、前記フォトマスクの欠陥検査、及び前記フォトマスク欠陥検査装置の検査は、予め用意された所望のフォトマスクのパターン(パターンデータ60)と前記フォトマスクのパターンとの比較により行うことを特徴とする。
【0114】
また、本発明においては、前記ダミーパターン(PH、PD)の形状は円状であることを特徴とする。
【0115】
また、本発明においては、前記ダミーパターンは、各々大きさの異なる径(図1、2では1.5、1.0、0.5)を備えた複数の前記円状のパターンからなることを特徴とする。
【0116】
また、本発明においては、前記ダミーパターンは、前記フォトマスク欠陥検査装置が検出可能な最小サイズ(図1、2では0.5)であることを特徴とする。
【符号の説明】
【0117】
10、50 フォトマスク欠陥検査装置判定装置
12 全体制御部
14 ステージ制御部
16 比較論理部
18、20 画像センサ
22、24、30、32 対物レンズ
26 フォトマスク
28 X−Yステージ
34、36 反射板
40 光源
44 モニタ
60 パターンデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能回路パターン領域を備えた複数のチップパターン領域を有し、前記複数のチップパターン領域のうち少なくともひとつに前記機能回路パターンを避けて、又は前記複数のチップパターン領域間の領域に少なくともひとつのダミーパターンが形成されたフォトマスクを用いたフォトマスク欠陥検査装置の検査方法は、
前記フォトマスクの欠陥検査を行うと共に、前記ダミーパターンを利用することで前記フォトマスクの欠陥検査に用いるフォトマスク欠陥検査装置の検査をも行うことを特徴とするフォトマスク欠陥検査装置の検査方法。
【請求項2】
前記ダミーパターンは、前記複数のチップパターン領域のうち少なくともひとつに前記機能回路パターンを避けて形成されており、
前記フォトマスクの欠陥検査、及び前記フォトマスク欠陥検査装置の検査は、前記複数のチップパターン領域に形成されたパターン同士の比較により行うことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク欠陥検査装置の検査方法。
【請求項3】
前記ダミーパターンは、前記複数のチップパターン領域間の領域に少なくともひとつ形成されており、
前記フォトマスクの欠陥検査、及び前記フォトマスク欠陥検査装置の検査は、予め用意された所望のフォトマスクのパターンと前記フォトマスクのパターンとの比較により行うことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク欠陥検査装置の検査方法。
【請求項4】
前記ダミーパターンの形状は円状であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフォトマスク欠陥検査装置の検査方法。
【請求項5】
前記ダミーパターンは、各々大きさの異なる径を備えた複数の前記円状のパターンからなることを特徴とする請求項4に記載のフォトマスク欠陥検査装置の検査方法。
【請求項6】
前記ダミーパターンは、前記フォトマスク欠陥検査装置が検出可能な最小サイズであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフォトマスク欠陥検査装置の検査方法。
【請求項7】
電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記電子回路基板における電子回路領域を避けて配置したマスクパターンを示すマスクパターンデータを作成する作成段階と、
前記作成段階により作成されたマスクパターンデータが示すマスクパターンを、フォトマスクに転写する転写段階と、
を有するフォトマスク製造方法。
【請求項8】
前記フォトマスクが、複数の電子回路基板を1つのフォトマスクで製造するために用いられるフォトマスクの場合には、前記マスクパターンに、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含まれるようにした請求項7に記載のフォトマスク製造方法。
【請求項9】
前記欠陥検査用パターンは、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置される請求項8に記載のフォトマスク製造方法。
【請求項10】
前記欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとして配置される請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のフォトマスク製造方法。
【請求項11】
前記ピンホール、又は前記ピンドットのサイズを、前記フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとした請求項10に記載のフォトマスク製造方法。
【請求項12】
請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載のフォトマスク製造方法により製造されたフォトマスク。
【請求項13】
電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記フォトマスクを用いて製造された電子回路基板における電子回路領域を避けて配置した製造兼検査用フォトマスクに対して光を照射することにより得られる透過光を示す第1透過光情報を取得する第1透過光取得段階と、
前記欠陥検査用パターンが配置されてない他のフォトマスクにより得られる透過光を示す第2透過光情報を取得する第2透過光取得段階と、
前記第1透過光情報と、前記第2透過光情報とが、一致しない前記検査用フォトマスク上の位置を検出する位置検出段階と、
前記欠陥検査用パターンが配置された位置を示す位置情報が記録された記録手段により示される前記欠陥検査用パターンが配置された全ての位置が、前記位置検出段階により検出された場合に、前記フォトマスク欠陥検査装置が正常であると判定する判定段階と、
を有するフォトマスク欠陥検査装置判定方法。
【請求項14】
前記製造兼検査用フォトマスクが、複数の電子回路基板を1つのフォトマスクで製造するために用いられるフォトマスクの場合には、前記製造兼検査用フォトマスクに、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含まれるようにしたフォトマスクであり、
前記第1透過光取得段階では、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンに対して光を照射することにより得られる透過光を示す前記第1透過光情報を取得し、
前記第2透過光取得段階では、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンに対して光を照射することにより得られる透過光を示す前記第2透過光情報を取得する請求項13に記載のフォトマスク欠陥検査装置判定方法。
【請求項15】
前記欠陥検査用パターンは、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置される請求項14に記載のフォトマスク欠陥検査装置判定方法。
【請求項16】
前記欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとして配置される請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載のフォトマスク欠陥検査装置判定方法。
【請求項17】
前記ピンホール、又は前記ピンドットのサイズを、前記フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとした請求項16に記載のフォトマスク欠陥検査装置判定方法。
【請求項18】
電子回路基板を製造する際に用いられるフォトマスクの欠陥を検査するフォトマスク欠陥検査装置の検査をするための欠陥検査用パターンを、前記フォトマスクにおける電子回路領域を避けた位置に配置した製造兼検査用フォトマスクに対して光を照射することにより得られる透過光を示す第1透過光情報を取得する第1透過光取得手段と、
前記欠陥検査用パターンが配置されてない他のフォトマスクにより得られる透過光を示す第2透過光情報を取得する第2透過光取得手段と、
前記第1透過光情報と、前記第2透過光情報とが、一致しない前記検査用フォトマスク上の位置を検出する位置検出手段と、
前記欠陥検査用パターンが配置された位置を示す位置情報が記録された記録手段により示される前記欠陥検査用パターンが配置された全ての位置が、前記位置検出手段により検出された場合に、前記フォトマスク欠陥検査装置が正常であると判定する判定手段と、
を有するフォトマスク欠陥検査装置判定装置。
【請求項19】
前記製造兼検査用フォトマスクが、複数の電子回路基板を1つのフォトマスクで製造するために用いられるフォトマスクの場合には、前記製造兼検査用フォトマスクに、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンと、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンとが少なくとも1つずつ含まれるようにしたフォトマスクであり、
前記第1透過光取得手段は、前記欠陥検査用パターンを含む電子回路基板を構成するパターンに対して光を照射することにより得られる透過光を示す前記第1透過光情報を取得し、
前記第2透過光取得手段は、前記欠陥検査用パターンを含まない電子回路基板を構成するパターンに対して光を照射することにより得られる透過光を示す前記第2透過光情報を取得する請求項18に記載のフォトマスク欠陥検査装置判定装置。
【請求項20】
前記欠陥検査用パターンは、スクライブラインに対応する前記フォトマスク上の位置に配置される請求項19に記載のフォトマスク欠陥検査装置判定装置。
【請求項21】
前記欠陥検査用パターンは、ピンホール、及びピンドットの少なくとも一つを示すパターンとして配置される請求項18〜請求項20のいずれか1項に記載のフォトマスク欠陥検査装置判定装置。
【請求項22】
前記ピンホール、又は前記ピンドットのサイズを、前記フォトマスク欠陥検査装置が欠陥として検出可能な最小のサイズとした請求項21に記載のフォトマスク欠陥検査装置判定装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−203449(P2011−203449A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70081(P2010−70081)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】