フォトレジスト組成物のための溶解速度調整剤
多環式オレフィンモノマー、及び所望によりアリル的又はオレフィン的モノマーのオリゴマー、並びに多環式オレフィンモノマーを、Ni又はPdを含有する触媒の存在中で、或いはアリル的モノマーの場合、フリーラジカル開始剤の存在中で反応させることを含むこのようなオリゴマーを製造する方法。オリゴマーは、フォトレジスト組成物中に溶解速度調整剤として含めることができる。フォトレジスト組成物は、更にポリマーの結合樹脂、光酸発生剤、及び溶媒を含むことができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連する出願との相互参照
本出願は、2003年2月20日に出願された“Dissolution Rate Modifiers for Photoresist Composition”と題する米国特許仮出願60/448,612及び2003年10月17日に出願された“Dissolution Rate Modifiers for Photoresist Composition”と題する米国特許仮出願60/512,126に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、一般的にフォトレジスト組成物のための溶解速度調整剤に、そして更に具体的には、酸に不安定なペンダント基を有する適度に低分子量の分子を含んでなる溶解速度調整剤に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
I線(365nm)及びG線(436nm)照射のために、ジアゾナフトキノン及びノボラック(DNQ−ノボラック)に基づく多成分ポジ型フォトレジストが、電子工業界で普通に使用されている。この場合、DNQは、ノボラックポリマー結合剤又は基剤樹脂に対する溶解速度調整剤(DRM)として作用する。従って、DNQ−ノボラックを含んでなるポジ的に作用する(又はポジ型)のスピンコートされたフィルムの非露光区域は、典型的には水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液である現像剤中に溶解することが妨害される。然しながら、照射された場合、DNQは、光化学反応を受け、水の存在中でカルボン酸誘導体を形成する。この酸は、実際上ポジ的に作用するノボラックポリマー結合剤樹脂の水性のTMAH中への溶解を促進する。この種類の溶解速度の挙動は、当技術においてMeyerhoferプロットと呼ばれる、フィルムの露光及び非露光区域の両方に対する加えられたDNQの関数として図式的に表現することができる。
【0004】
1980年代に、より微細な形状を製造するためのIから248nmの波長のG線への一般工業界の転換に応じて、そしてより敏感なフォトレジストを要求する生産性の需要に応えて、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(PHS)結合剤樹脂誘導体に基づく多成分の化学的に増幅されたポジ型フォトレジストが開発された。PHS結合剤樹脂は、PHSに、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(又はPGMEA)のような有機溶媒中の溶解度を与える酸に不安定な基で保護されている。典型的には、この種類のフォトレジストは、光子を吸収し、分解し、そして最終的にプロトンを生じる化合物である光酸発生剤(又はPAG)と共に処方される。次いでプロトンは、加熱によって、結合剤樹脂の酸に不安定な基を触媒的に脱保護して、ウエハの露光された領域に、脱保護された結合剤樹脂及びもう一つの当量の酸を形成する。次いで酸は、次の酸に不安定な基を脱保護する。この過程は、多くの酸に不安定な基が脱保護されるまで継続する。この様式で、最初の光化学的事象が、化学的に増幅される。
【0005】
次いでフォトレジストを含有するウエハは、水性TMAHで現像され、これは、露光された領域を溶解し、シリコンウエハ上に3Dのレリーフパターンを与える。一つのこのような例示的PAGは、トリフェニルスルホニウムノナフレート(nonaflate)である。このような化学的に増幅される248nmのポジ的に作用するフォトレジストの感受性は、処方中に溶解速度調整剤(DRM)を組込むことによって向上された。ポジ的に作用する処方において、これらのDRMは、非露光領域の溶解速度を抑制し、そして理想的には露光された領域の溶解速度を向上するように作用するものである。
【0006】
より小さい形状の大きさに対する需要が1990年代後半に起こったために、工業界は、193nmの照射に対する化学的に増幅されるフォトレジストを開発することによって対応した。不幸にも、この波長において、PHS誘導体は不透明すぎる。候補者として考えられる四つのポリマー結合剤樹脂のプラットフォームが193nmにおいて十分な透明度を示すことが同定された。これらは、アクリル酸ポリマー、環式オレフィン/無水マレイン酸コポリマー、環式オレフィン/無水マレイン酸/アクリル酸ターポリマー、及びビニル付加環式オレフィンポリマーであった。これらのポリマーの全ては、ポリマーの骨格に酸に不安定な基を追加することによって化学的に増幅されるフォトレジストとして開発された。上述した248nmのフォトレジストに場合のように、193nmのポジ型レジスト処方に使用されたDRMは、非露光領域の溶解速度を抑制し、これは膜減り量を制約した。このような193nmのフォトレジストのために開発されたDRMのいくつかの例は、コール酸、デオキシコール酸、ウルソコール酸及びリトコール酸から誘導された胆汁酸エステルを含む。これらの化合物の脂肪族炭化水素的特質は、193nmにおいて高い透明度を与え、そしてその多環式構造及び低い炭素と水素の比は、これらが良好なドライエッチング耐性を示すべきであることを示唆する。
【0007】
次の世代の光リソグラフィーに対して、157nmにおける露光が最も使用される可能性がある。この波長において、193nmで使用された結合剤樹脂は、不透明すぎ、そして従って使用不可能である。同様に、先に記載したようなコール酸エステル又は多環脂肪族化合物のようなDRMは、不透明すぎるものである。例えば図1に例示した構造のいくつかのフッ素化された化合物は、157nmにおいてDRMとして作用するために十分に透明でありうる。
【0008】
理想的なDRMは、以下の基準に合致するものである:
・非露光状態のレジストの溶解を抑制する
・露光状態のレジストの溶解を増加する
・光学密度を低下するか、又は少なくとも増加しない
・エッチング耐性を増加するか、又は少なくとも減少しない
・エッチング後、表面の粗さを減少するか、又は少なくとも増加しない
・結合樹脂と親和性である、即ち相分離しない。
【0009】
更に、理想的なDRMは、適用後ベーク又は露光後ベーク中のフォトレジストフィルムからの蒸発を受けないものである。然しながら、上記の化合物に見られるような光学密度を低く保つためのフッ素の導入は、多くの場合化合物の揮発性を増加する。
【0010】
化学的に増幅されるレジストが、使用される波長に関わらず、自己アニール性である能力を有する必要があることが文献において知られている。即ちフォトレジストフィルムがある温度、典型的にはそのガラス転移温度より上に加熱された場合、フィルムは稠密化し、そして存在する自由空間の量を減少させる。これは重要である。なぜなら、より少ない自由空間を含有するフィルムは、フィルムを通して移動し光化学的に発生した酸をクエンチし、それ故、作像に必要な脱保護の化学反応を停止することができるアミンのような空気中の塩基に対する感受性がより少ないからである。然しながら、化学的に増幅されるフォトレジストフィルムは、酸に不安定な基の分解温度近辺に加熱することはできない。従って、フォトレジストフィルム中の結合剤樹脂のガラス転移温度が、結合剤樹脂の酸に不安定な基の熱分解温度(典型的には200℃〜220℃間)より低いことが重要である。ビニル付加環式オレフィンポリマーのガラス転移温度は、300℃を十分に超えることができる。従って、フォトレジスト結合剤樹脂のガラス転移温度を低下するDRMのような添加剤が好ましいものである。
【0011】
Varanasiらへの米国特許第6,124,074号は、酸で触媒されたポジ型のフォトレジスト組成物を開示し、これは、193nmの照射で作像可能であり、そして環式オレフィンポリマー、光酸発生剤及び複数の酸に不安定な連結基を含有する、疎水性の非ステロイド系多環脂肪族成分の組合せの使用によってフォトレジスト構造を形成するために現像可能である。環式オレフィンポリマーは、好ましくは、i)極性官能分子を有する環式オレフィン単位、及びii)アルカリ水溶液中の溶解性を阻害する酸に不安定な分子を有する環式オレフィン単位を含有する。
【0012】
Goodall等への米国特許第6,136,499号は、光酸開始剤及びペンダントの酸に不安定な基を含有する繰返し単位を含んでなる多環式ポリマーを含む照射感受性フォトレジスト組成物を開示している。作像照射源に露光した場合、光酸開始剤は酸を発生し、これはペンダントの酸に不安定な基を開裂し、ポリマー中の複数の変化を起こす。ポリマーは、作像源に露光された区域で水性の塩基中に可溶となる。
【0013】
然しながら、先に記載したフォトレジスト組成物のいずれもは、157nmの光で使用した場合、上記に記述した理想的なDRMの基準に合致しない。従って、157nmで理想的なDRMの特徴を提供するフォトレジスト組成物に対する必要性が、当技術において存在する。
【0014】
概要
本発明の例示的な態様は、以下の式A、B、C,D及び/又はE:
【0015】
【化1】
【0016】
の一つ又はそれより多くによるモノマーから誘導される繰返し単位を包含するオリゴマーを含む溶解速度調整剤を提供する。
本発明の態様によるオリゴマーは、式A、B、C,D又はEによるモノマーの一つ又はそれより多くを包含するモノマーから誘導される繰返し単位を包含し、但し、Aが存在しない場合、Eが含まれなければならず、そして存在するいずれもの他のモノマーは、B、C及びDからのみ選択され、更にDが選択された場合、B又はCの一つも更に選択されなければならないことを条件とする。式A〜Eにおいて、mは、0〜5の整数であり;Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、又は−NH−であり、式中、少なくとも一つのR1、R2、R3、R4置換基は、独立に、酸に不安定な基によって所望により保護された1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたカルビノールであり;そして残りのR1、R2、R3、及びR4は、独立に、水素、ハロゲン、或いは1〜約20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に、0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルである。少なくとも一つのR5、R6、R7、又はR8は、独立に酸に不安定な部分を含有し、そして残りの1以上のR5、R6、R7、又はR8は、独立に水素、ハロゲン、又は1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に、0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルである。R9、R10、R11、又はR12基は、水素原子、ハロゲン、1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、及び任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有し、そしてエポキシ、ヒドロキシ、及び/又はカルボン酸官能基を所望により含有するヒドロカルビルから独立に選択される。アリル的モノマーにおいて、Yは、酸に不安定な基によって所望により保護された1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたカルビノールであり、そしてXは、OH、CN、OC(O)R13、C(O)OR13、OR13、N(R13)2であり、ここでR13は、1〜約12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分枝鎖又は環式の脂肪族ヒドロカルビル基であり、そして所望により前記ヒドロカルビルの少なくとも一つの炭素原子は、1、2、又は3個のフッ素原子を含有する。オリゴマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された約3000より少ない重量平均分子量(Mw)を有する。
【0017】
本発明の他の例示的な態様は:
I)式A〜Eによる1以上のモノマーを含んでなるモノマー混合物を形成すること;
II)フリーラジカル開始剤を、前記モノマー混合物に重合を起こすために十分な量で加えること;
III)前記開始剤が重合を起こすことができる温度にII)の混合物を加熱すること;
を含む先に記載したオリゴマーを製造する方法、並びに得られたオリゴマーを提供する。
【0018】
本発明の更なる例示的な態様は:
i)本質的に少なくとも一つの式A、B、及び/又はCのモノマーによる1以上のモノマー及びエチレン的に不飽和な物質からなるモノマー混合物を形成すること;そして
ii)Ni錯体の添加が、Ni錯体に配位結合することが可能な15族及び16族元素を含有する準安定なキレート化リガンドの添加を必要とする、Ni又はPd錯体を含有する触媒を、モノマー混合物に加えること;
を含む先に記載したオリゴマーを製造する方法、並びに得られたオリゴマーを提供する。
【0019】
本発明のもう一つの例示的な態様は:
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)官能基を含有する架橋剤;
D)架橋剤中の官能基と反応性である官能基を含有する1以上のネガ型作像ポリマー樹脂;及び
E)先に記載した溶解速度調整剤;
を含むネガ型フォトレジスト組成物を提供する。
【0020】
本発明の例示的な態様は、更に:
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)照射に露光された場合に開裂し、ポリマーを、非露光ポリマーより現像剤に更に溶解性であるようにすることができる基を含有する分子を含有する官能基を含む1以上のポジ型作像ポリマー;及び
D)先に記載した溶解速度調整剤;
を含むポジ型フォトレジスト組成物をも提供する。
【0021】
本発明の例示的な態様は:
(a)サブストレートを、先に記載したネガ型フォトレジスト組成物又はポジ型フォトレジスト組成物を含有するフィルムでコーティングして、フィルムを形成すること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させて、画像を形成すること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;そして
(d)画像を現像すること;
を含むポジ型又はネガ型レジストの画像を生成する方法を更に提供する。
【0022】
本発明の例示的な態様は:
(a)先に記載したネガ型又はポジ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;
(d)画像を現像して、サブストレートを露出させること;そして
(e)サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること;
を含む集積回路の組立て方法、並びに先に記載した方法によって提供された集積回路を含む集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボードを更に提供する。
【0023】
本発明の例示的な態様によって更に提供されるものは:
(a)先に記載したポジ型又はネガ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;
(d)画像を現像して、サブストレートを露出させること;そして
(e)サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること
を含む集積回路を組立てる方法、並びに先に記載した方法によって提供された集積回路を含む集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボードである。
【0024】
例示的な態様の説明
他に示さない限り、本明細書中で使用される成分の量、反応条件、等に言及する全ての数字、値及び/又は表現は、全ての場合用語“約”によって修飾されていると理解されるべきである。
【0025】
各種の数字的範囲が、本特許出願において開示される。これらの範囲は連続しているために、これらは、それぞれの範囲の最小ないし最大値間のあらゆる値を含んでいる。他に明確に示されない限り、本明細書及び特許請求項中に規定される各種の数字的範囲は、このような値を得ることにおいて遭遇する各種の測定の不確実さを反映した概数である。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語“オリゴマー”は、付加反応から形成された分子又は分子の混合物を指す。本発明中で使用されるようなオリゴマーの非制約的例は、2以上の多環式オレフィンモノマーの相互の、及び所望により、少なくとも一つの多環式オレフィンモノマーともう一つのエチレン的に不飽和なモノマー及び/又は連鎖移動剤との付加から得られる分子である。多くの態様において、本発明によるオリゴマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレンを標準として使用してTHF中で決定されるような約3,000より少ない数平均分子量(Mn)を有するものである。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語“硬化”(又は“硬化すること”)は、得られたフィルムの所望する物理的及び化学的特性の発生となる光定義可能な誘電性組成物の成分の架橋を指すことを意図し、このようなものの非制約的例は、低い誘電率、低い水分取込み特性、低い引張応力及び化学薬品に対する耐性である。ポリマー組成物を加工する場合、組成物は、一つの加工工程で部分的に硬化され、そしてその後の加工工程で硬化は‘完結’する。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語“多環式オレフィンモノマー”は、少なくとも二つの分子内配置された環構造及び重合可能な二重結合を含有する分子を指す。本発明による多環式オレフィンモノマーの非制約的例は、ノルボルネン型又は以下の式:
【0029】
【化2】
【0030】
に示すような少なくとも一つのノルボルネン部分を含有するノルボルネン官能性モノマーを含む。
更なる非制約的例として、本発明による簡単な多環式モノマーは、普通ノルボルネンと呼ばれる二環式モノマー、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンである。使用される場合、酸に不安定な官能基は、以下の式(I):
【0031】
【化3】
【0032】
に記述される、1以上の酸に不安定な置換された多環式モノマーを含む反応媒体を重合することによってポリマー鎖に導入することができ、式中、Z及びmは、以下で定義され、そしてRp、Rq、Rs及びRtは、独立にH、ヒドロカルビル、フッ素化されたヒドロカルビル又は酸に不安定な官能基を含有する基である。
【0033】
本開示の文脈から、用語“低分子量”が、約150〜3000間の分子量を持つ分子であることは理解されるものである。
本明細書中で使用される場合、“ヒドロカルビル”は、炭素(多くの場合1〜約20個の炭素原子)及び水素のみを含有する基のラジカルを指し、非制約的例は、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、及びアルケニルである。用語“フッ素化されたヒドロカルビル”は、各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を指す。
【0034】
本明細書中で使用される場合、“アルキル”は、例えばC1〜C25の炭素鎖の長さを有する直鎖又は分枝鎖の非環式或いは環式の飽和の炭化水素基を指す。適したアルキル基の非制約的な例は、−(CH2)3CH3、−(CH2)4CH3、−(CH2)5CH3、−(CH2)10CH3、−(CH2)23CH3、及びシクロヘキシルを含む。用語“アルキロイル”は、1以上のヒドロキシル基を含むアルキル基を指す。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語“アリール”は、制約するものではないが、フェニル、ビフェニル、ベンジル、キシリル、ナフタレニル、アントラセニル等のような基を含む芳香族基、並びに制約するものではないが、ピリジニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、等を含む複素環式芳香族基を指す。
【0036】
本明細書中で使用される場合、“アルカリール”は、少なくとも一つのアリール基、例えばフェニルで置換され、そしてC2〜C25のアルキル炭素鎖の長さを有する直鎖又は分枝鎖の非環式アルキル基を指す。アリール基は、所望する場合更に置換されていることができる。アリール基に対する適した置換基の非制約的例は、制約されるものではないが、ヒドロキシル基、ベンジル基、カルボン酸基、及び脂肪族炭化水素基を含む。
【0037】
本明細書中で使用される場合、“アラルキル”は、少なくとも一つの直鎖又は分枝鎖の非環式アルキル基で置換されたアリール基、例えばC2〜C25の炭素鎖の長さを持つアルキル置換基を有するフェニルを指す。アリール基は、所望する場合更に置換されていることができる。アリール基に対する適した置換基の非制約的例は、ヒドロキシル基、ベンジル基、カルボン酸基、及び脂肪族炭化水素基を含む。アルキル基は、ハロゲンで置換されていることができる。
【0038】
本明細書中で使用される場合、“アルケニル”は、1以上の二重結合を有し、そしてC2〜C25のアルキレンの炭素鎖の長さを有し、そして芳香族の特質を有しない直鎖又は分枝鎖の非環式或いは環式の炭化水素基を指す。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語“ノボラック樹脂”及び同様な用語は、アルデヒド及び一価又は多価のフェノールの縮合によって得られる樹脂の普通に知られたファミリーを指す。
【0040】
本発明の態様は、基剤樹脂又はポリマー結合剤、光酸発生剤(PAG)、適したスピン用溶媒、塩基クエンチ剤及び増感剤のような添加剤、並びに1以上の以下に記述する置換された基をその上に含有する光学的に透明なDRMを含むフォトレジスト組成物を指向する。
【0041】
本発明の概念によれば、フッ素化された環式オレフィン繰返し単位を含有する低分子量オリゴマーは、フォトレジストの、特に193nm及び157nmの光リソグラフィーのために製造された環式オレフィン基剤結合剤樹脂のための溶解速度調整剤として使用される。このようなオリゴマーは、ホモオリゴマーであることができるが、本発明の多くの態様において、コオリゴマーが使用される。従って、提供されるものは、非露光状態におけるフォトレジスト組成物の溶解速度を抑制し、そしてフォトレジスト結合樹脂又はポリマーの露光された状態におけるフォトレジスト組成物の溶解速度を増加するオリゴマー又は(コ)オリゴマーと記されるコオリゴマーのDRMである。
【0042】
本発明による特別な態様は、157nm及び183nmの光で使用された場合、先に記述した理想的なDRMの基準に合致するフォトレジスト組成物を提供することを指向する。この態様において、フォトレジスト組成物は、1以上の多環式オレフィンモノマーのオリゴマーを含む。
【0043】
本発明のいくつかの態様によるオリゴマーのDRMは、フッ素化された酸に不安定な基の置換基を有する少なくとも一つのモノマーから製造される。いくつかの態様において、(コ)オリゴマーは、フッ素化された酸に不安定な基の置換基を含む少なくとも一つのアリル型モノマー、例えば以下の式Eによるモノマーを含むモノマーから製造することができる。このようなアリルモノマーを含有する態様において、式A、B又はCによる少なくとも一つのノルボルネン型モノマーも更に含まれる。非制約的な例として、本発明の態様は、少なくとも一つのフッ素含有の酸に不安定な保護された式Aによる化合物、及び式Eによるアリル型モノマーのような直鎖オレフィンを包含することができる。本発明の態様は、使用されるモノマーが、フッ素化された酸に不安定な保護された置換基を含む式Aから誘導されたホモオリゴマーを含む。少なくとも一つの以下の式A:
【0044】
【化4】
【0045】
のモノマーについて考えると、式中、mは、0〜約5の整数であり;Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、又は−NH−を表し、そして式中、少なくとも一つの置換基、R1、R2、R3、又はR4は、独立に1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたアルキロイル分子であり、そして所望により、しかし多くの場合、光酸発生剤から発生される酸によって開裂可能な酸に不安定な基(即ち、遮断又は保護基)で保護されている。残りのR1、R2、R3、又はR4基は、独立に、水素原子、ハロゲン、又は、1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、或いはその任意の水素原子においてO、S、N、又はSi、等で置換された1〜約20個の炭素原子を有する置換されたヒドロカルビル基、或いは各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルから選択される。当技術において、そして文献において既知のいずれもの酸に不安定な基を、本発明において使用することができる。本発明の特別な態様において、酸に不安定な基を含有する分子は、R1、R2、R3、及び/又はR4中に含まれる。これらの態様において、酸に不安定な基を含有する分子は、−((CH2)nO)n’−CH2−C(OR’)(CF3)2を含むフッ素化された化合物を包含することができ、式中、R’は、酸に不安定な基であり、n及びn’は、0〜約10の整数であり、そしてR’は、制約されるものではないが、−CH2OCH3(ジメチルエーテル)、−CH2OCH2CH3(メチルエチルエーテル)、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、−CH2COO(t−Bu)、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル(Dcpm)、又はジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)基を含み、或いはR’は、−C(O)OR’’であり、ここでR’’は、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル(Dcpm)、又はジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)基、或いはこれらの組合せ;並びに−((CH2)n−C(O)OR##)のようなフッ素化されていない酸に不安定な基であり、式中、nは上記で定義したとおりであり、そしてR##は、C2−C10の直鎖、分枝鎖又は環式アルキル或いはシクロアルキルの酸に不安定な基であり、所望によりO、S、N、又はSi原子を置換基として、或いは異種原子を炭素−炭素鎖に沿って含有し、このようなものの非制約的な例は、t−ブチル及びメチルシクロペンチルである。本発明の特別な態様において、酸に不安定な基は、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、及び/又は−C(O)OC(CH3)3である。好ましくは、フッ素化されたR1、R2、R3、又はR4基の少なくとも約60%又は70%、そして多くの場合少なくとも約80%又は90%が酸に不安定な基によって保護されている。
【0046】
特別な態様において、式Aは、以下の式A1:
【0047】
【化5】
【0048】
を表し、式中、n及びR’は、上記で定義したとおりである。
いくつかの態様において、式Aは、以下の式:
【0049】
【化6】
【0050】
のような式A2、A3、又はA4の一つ又はそれより多くを表す。
本発明の一つの態様において、少なくとも一つの以下の式B:
【0051】
【化7】
【0052】
による更なるモノマーをコオリゴマーを形成するために使用することができる。
式Bにおいて、m及びZは、上記のとおりに定義され、そしてR5、R6、R7、及びR8の少なくとも一つは、独立に光酸発生剤から発生される酸によって開裂利可能である酸に不安定な分子を含有する。式Iに関して本明細書中で先に記述したもののような、文献において、そして当技術において既知のいずれもの既知の酸に不安定な基を本発明において使用することができる。残りの1以上のR5、R6、R7、又はR8基は、独立に水素、又は1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子において、O、S、N、又はSi、等で置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルであることができる。
【0053】
本発明の特別な態様において、式Bのモノマーは、以下の式B1:
【0054】
【化8】
【0055】
によって表される。式B1において、n’’は、0〜5の整数であり、そしてRa、Rb、及びRcは、独立にC1〜約C20の直鎖又は分枝鎖のヒドロカルビル基を表すか、或いはここでこれらが接続している共通の炭素といっしょに選択されたRa及びRbは、4〜12個の炭素原子を含有する飽和の環式基を表すことができる。
【0056】
いくつかの態様において、酸に不安定な基を含有する式Bのモノマーは、以下の式B2:
【0057】
【化9】
【0058】
によって表されるモノマーであることができ、式中、Rxは、第三ブチル基又はメチルシクロペンチル基である。
本発明の更なる態様において、以下の式C:
【0059】
【化10】
【0060】
によって記載されるようなもう一つの所望によるコモノマーを使用することができる。式Cにおいて、m及びZは、上記のように定義され、そしてR9〜R12は、得られたコオリゴマーの親水性を調節することができるように独立に選択される。R9、R10、R11、又はR12は、独立に水素原子、ハロゲン、又は1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子において、O、S、N、又はSi、等で置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビルであることができる。R9〜R12が、本質において実質的に炭化水素である場合、得られたポリマーの親水性は低く、一方R9〜R12が、実質的に異種原子を含有する場合、得られたポリマーの親水性は増加する。従って、R9、R10、R11、又はR12の少なくとも一つは、エポキシ、ヒドロキシル、及び/又はカルボン酸官能基を所望により含有することができる。式A、B又はCによるそれぞれのモノマーが、それぞれが、少なくとも部分的に、ノルボルネン構造を有することにおいて、ノルボルネン型モノマーであることは理解されるものである。
【0061】
本発明の更なる態様は、本発明による溶解速度調整剤中に含めることができるもう一つのモノマーを指向する。この態様において、少なくとも一つの以下の式D:
【0062】
【化11】
【0063】
の官能性のアリル型モノマーが含まれる。式Dにおいて、Xは、OH、CN、OC(O)R13、C(O)OR13、OR13、又はN(R13)2を表し、ここでR13は、1〜約12個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖或いは環式脂肪族ヒドロカルビル基であり、そして所望により前記ヒドロカルビルの少なくとも一つの炭素原子は、1、2、又は3個のフッ素原子を含有することができる。この態様の好都合な化合物は、アリルアルコール、アリルニトリル、及びシアン化アリルを含む。
【0064】
先に記述したように、溶解速度調整剤のコオリゴマーを製造するために使用することができるもう一つのフッ素化されたモノマーは、以下の式E:
【0065】
【化12】
【0066】
によって表される少なくとも一つのアリル型モノマーであり、式中、Yは、1〜約10個の炭素原子を有し、そして光酸発生剤から発生された酸によって開裂可能である酸に不安定な基によって所望により保護されることができるフッ素化されたカルビノール分子である。適した酸に不安定な基の例は、当技術において、そして文献において既知であり、そして更に式Aの酸に不安定な基に関して本明細書中で先にも記述され、そして従って、Yは、nが、0〜10の整数であり、そしてR’が、制約されるものではないが、−CH2OCH3(ジメチルエーテル)、−CH2OCH2CH3(メチルエチルエーテル)、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル(Dcpm)、又はジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)基を含む−(CH2)n−C(OR’)(CF3)2、或いはR’’が、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル(Dcpm)、又はジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)基である−C(O)OR’’、或いはこれらの組合せを含む。これらの酸に不安定な基の中で、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−C(O)OC(CH3)3が好都合である。
【0067】
本発明のいくつかの態様において、フッ素化されたアリル型モノマーは、以下の式E1又はE2:
【0068】
【化13】
【0069】
によって定義され、式中、Meはメチルである。
本発明のいくつかの態様において、オリゴマー又はコオリゴマーの溶解速度調整剤は、式Aのフッ素化されたノルボルネン型モノマー、或いは式B及び/又は式Cのモノマーを伴う式Eのフッ素化された型のモノマーのいずれかから誘導され、但し、少なくとも大部分の、好ましくは少なくとも約60%、ある場合には約70%、他の場合には少なくとも約80%、そしてある状況では約90%のフッ素化されたカルビノール基が、酸に不安定な基によって保護されることを条件とする。
【0070】
各種のフッ素化されたカルビノールモノマーは、酸に不安定な基を直接フッ素化されたカルビノールモノマーに加え、そしてその後、それを(コ)オリゴマー化するか、或いは最初にフッ素化されたモノマーをオリゴマー化して、オリゴマー又はコオリゴマーを形成し、そしてその後、それを化合物と反応させて、前述の酸に不安定な化合物を形成するかのいずれかによって保護することができる。この後者の方法は、事後オリゴマー化保護と呼ばれ、ここにおいてヒドロキシルの水素が、保護する酸に不安定な基によって置換される。
【0071】
本発明の一つの態様において、式A〜Eによるモノマーは、図15のモノマーの構造A〜Jの一つ又はそれより多くを含むことができる。
本発明のオリゴマーのDRMは、適当な標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、一般的に約150〜約3,000、そして好ましくは約500〜約2,000の比較的低い重量平均分子量を示す。一般的にコオリゴマーであるオリゴマーのDRMは、従って式A〜Eによって表される1以上のモノマーから誘導される多数の繰返し単位を含有する。このようなオリゴマーのDRMは、このようなオリゴマーのDRMが、式D及びEによるモノマーのみを有することができない場合、式A又はEのいずれかから誘導されるフッ素化された酸に不安定な基のモノマーを含んでならなければならない。従って、本発明の態様によるオリゴマーのDRMは、式A、B、C、D又はEによるモノマーの一つ又はそれより多くを包含するモノマーから誘導される繰返し単位を包含し、但し、Aが存在しない場合、Eが含まれなければならず、そして存在するいずれもの他のモノマーは、B、C及びDからのみ選択されることを条件とし、更にDが選択された場合、B又はCの一つも更に選択されなければならないことを条件とする。式Aのモノマーの繰返し基の数は、ゼロ、又はDRMを形成する繰返し基の全数の約1%、又は約5%、又は約10%〜約90%、又は約95%、又は約99%又は100%、ある場合には約20%〜約85%、他の場合には少なくとも30%、ある状況では少なくとも40%〜70%まで、そしてある場合には約80%までであることができる。式(I)による繰返し基の数は、先に引用した値のいずれかの間で変化することができる。
【0072】
式E型のモノマーが使用されない場合、その繰返し基の数は、ゼロであり;さもなければ、DRMを形成する繰返し基の全数の約1%、又は約5%、又は約10%〜約85%、又は約90%、又は約95%、又は約99%の範囲であることができる。式Eによる繰返し基の数は、上記に引用した値のいずれかの間で変化することができる。先に記述したように、式Aのモノマーが使用されず、しかしフッ素化された式Eのモノマーのみが代わりに使用される場合、式Eのモノマーは、式Bのモノマー、又は式Cのモノマー、或いは両方と共に使用される。いずれの場合も、式Bのモノマー及び式Cのモノマーの量は、独立に、DRMを形成する繰返し単位の全数の0%、又は約1%、又は約5%〜約90%、又は95%、そして多くの場合約5%、又は約10%〜約50%である。式B及び/又は式Cによる繰返し基の数は、上記に引用した値のいずれかの間で独立に変化することができる。式Dのモノマーの量は、同様であることができ、これは、DRMを形成する繰返し単位の全数に基づいて0%、又は約1%、又は約5%〜約90%、又は約95%、そして好ましくは約5%、又は約10%〜約50%である。式Dによる繰返し基の数は、上記に引用した値のいずれかの間で変化することができる。
【0073】
式A及び式B〜Eによって表されるような各種のモノマーは、その上にR1〜R12、X及びYによって記述されるような各種の置換基を含有することができ、そしてDRMを形成する繰返し基の量及び種類は変化することができるために、本発明の境界及び範囲内に非常に多くの数の順列が存在することができることは明白である。
【0074】
本発明の特別な態様において、本発明の(コ)オリゴマーは、図16の構造A、B、及びCに示した式AによるHFANB型モノマーから誘導される酸に不安定な繰返し単位を含むことができる。更に、本発明の(コ)オリゴマーは、図17の構造A及びBに示した式EによるアリルHFA型モノマーから誘導される酸に不安定な繰返し単位を含むことができる。
【0075】
本発明の一つの特別な態様において、式C中のR9、R10、R11及びR12は、以下の基:
(a)式(II):
−R16−C(O)−W−R17 (II)
[式中、R16は、共有結合、ハロゲン化物を所望により含有することができるC1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、アルケニレン又はアルキニレンから選択され、;Wは、O、S、及びNR18から選択され、ここにおいてR18は、H、及びC1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキルから選択され;そしてR17は、H、ハロゲン化物を所望により含有することができるC1−C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル或いはアルキニル、並びに−OH、アルキル、アラルキル、及びアルカリール末端のポリ(アルキレンオキシド)基から選択される]
による基;及び
(b)式(III):
−A−O−[−(CR152−)q−O−]p−(CR152−)q−OH(III)
[式中、Aは、C1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択される連結基であり、存在する各R15は、H、メチル、エチル及びハロゲン化物から独立に選択され、qは、1〜5であり、そしてpは、0〜3である]
によるヒドロキシアルキルエーテル;
の一つから独立に選択することができる。
【0076】
本発明のもう一つの特別な態様において、式B中のR5、R6、R7、及びR8は、以下の式IV:
−R19−C(O)−O−R20 (IV)
による基から独立に選択され、式中、R19は、C1〜C12の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択され、そしてR20は、C1〜C22の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アラルキル、或いはアルカリール、及び以下の式(V):
−[−(CR152−)q−O−]p−R21 (V)
によるヒドロキシアルキルエーテルから選択され、式中、存在する各R15は、H、メチル、エチル及びハロゲン化物から独立に選択され;qは1〜5であり;pは1〜20であり;そしてR21は、C1〜C22の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アラルキル、或いはアルカリールから選択される。
【0077】
更にこの態様において、式Cによる多環式オレフィンモノマーは、更に以下の構造(VI):
【0078】
【化14】
【0079】
によるモノマーも含むことができ、式中、R22は、C1〜C8の直鎖及び分枝鎖アルキレンから選択され、そしてR23は、C1〜C8の直鎖及び分枝鎖アルキルから選択される。
【0080】
本発明の一つの態様において、多環式オレフィンモノマーは、制約されるものではないが、5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸の1−メチルシクロペンチルエステル、5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル、及び5−ノルボルネン−2−メタノール酢酸塩を含むことができる。
【0081】
本発明の一つの態様において、多環式オレフィンモノマーを、以下に更に詳細に記載されるようなNi又はPdを含有する触媒の存在中で反応させることによる方法による多環式オレフィンモノマーのオリゴマーが提供される。例示的なNi又はPd触媒の錯体は、Ni錯体において、Ni錯体に配位することが可能である15族及び16族元素を含有する準安定性のキレート化リガンドを必要とするNi又はPd錯体、及びエチレン的に不飽和の化合物を包含する。更にこの態様において、多環式オレフィンモノマーは、式A、B、及びCによる1以上のモノマーを含むことができる。従って、本発明の態様は:
i)本質的に少なくとも一つの式A、B、及び/又はCのモノマーによる1以上のモノマー及びエチレン性の不飽和な物質からなるモノマー混合物を形成すること;そして
ii)Ni錯体において、Ni錯体に配位結合することが可能な15族及び16族元素を含有する準安定なキレート化リガンドを必要とする、Ni又はPd錯体を含有する触媒を、モノマー混合物に加えること;
による先に記載したオリゴマーを製造する方法を提供する。
【0082】
本発明の一つの態様において、多環式オレフィンモノマーのオリゴマーは、式A、B、及びCの一つ又はそれより多くによる二つの多環式オレフィンモノマーを含有するオリゴマーを含む。更にこの態様において、多環式オレフィンモノマーのオリゴマーは、更に他のエチレン的に不飽和な物質の反応生成物を含むことができ、非制限的な例は、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、等である。
【0083】
本発明の一つの特別な例示的態様において、式A、B及び/又はCによる多環式オレフィンモノマーが使用される場合、多環式オレフィンモノマーのオリゴマーは、少なくとも80、ある場合には少なくとも85、そして他の場合には少なくとも90モルパーセントの、以下の式のコダイマー、式(VIIa)及びコトリマー、式(VIIb):
【0084】
【化15】
【0085】
の構造による、一つ又は二つの多環式オレフィンモノマー及びエチレンの反応生成物の混合物を包含し、式中、存在する各Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、O、S、及び−NH−から独立に選択され;存在する各mは、独立に0〜5の整数であり;そして存在する各Rjは、R1、R5又はR9から選択することができ;Rkは、R2、R6、又はR10から選択することができ;Rmは、R3、R7又はR11から選択することができ;そしてRnは、上記で定義したとおりのR4、R8又はR12から選択することができる。
【0086】
本発明の態様は、更に先に記載した方法から得られる多環式オレフィンモノマーのオリゴマーを提供する。
本発明のオリゴマーは、不飽和基を除去するために処理することができる。非制約的な例として、オレフィンを含有するオリゴマーは、過酢酸で処理することができる。過酢酸は、オレフィン基を、エポキシド及びその開環生成物に転換すると考えられる。
【0087】
本発明のいくつかの態様において、保護基がオリゴマーに加えられるものである。使用することができる例示的な保護基の非制約的な例は、メトキシメチルエーテル(MOM)、tert−ブチルカルボニルメチル、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、−CH2COO(t−Bu)、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、及びジシクロプロピルメチル(Dcpm)を含む。
【0088】
ニッケル錯体が使用される場合、このようなものは、有機ニッケル錯体カチオン及び弱く配位した対イオンを包含する。例示的なカチオン性ニッケル錯体は、米国特許第5,468,819号中に記載され、その関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。本発明の態様において、カチオン性ニッケル触媒錯体は、以下の式:
[L’yNiX∧z]WCA (VIII)
によって表され、式中、L’は、1、2、又は3個のオレフィン的π結合を含有するリガンドを表し;X∧は、1個のNi−Cσ結合及び0−3個間のオレフィン的π結合を含有するリガンドを表し;yは、0、1、又は2であり、そしてzは、0又は1であり、ここでy及びzは、両方が同時に0であることはできず;L’は、ニッケルに弱く配位された中性のリガンドである。L’に関して、如何なる一つの理論に束縛されるものではないが、このリガンドが比較的不活性であり、そして成長するポリマー鎖にモノマーを挿入することによって、金属カチオン錯体から容易に置換されると信じられる。適したリガンドは、制約されるものではないが、(C2〜C12)モノオレフィン(例えば、2,3−ジメチル−2−ブテン)、(C4−C12)ジオレフィン(例えば、ノルボナジエン)及び(C6〜C20)芳香族分子を含む。多くの場合リガンドLは、キレート化性の二座のシクロ(C6〜C12)ジオレフィン、例えばシクロオクタジエン又はジベンゾシクロオクタジエン、或いはベンゼン、トルエン、又はメシチレンのような芳香族化合物である。X∧は、いくつかの態様において、単一のアリルリガンド、又はσ及びπ結合を与えるその限界構造である。更に、本発明のいくつかの態様において、WCAは、以下に記載されるような弱く配位したアニオンである。本発明の特別な態様において、式(VIII)の錯体は、制約されるものではないが、[(アリル)Ni(1,4−シクロオクタジエン)]PF6、[(クロチル)Ni(1,4−シクロオクタジエン)]PF6、及び[(アリル)Ni(1,4−シクロオクタジエン)]SbF6を含む。
【0089】
本発明の一つの態様において、Ni触媒は、式Fによるキレート化性の準安定なリガンドを含み、ここで準安定は、a)Jeffery,J.C.;Rauchfuss,T.B.Inorg.Chem.1979,18,2658.b)Bader,A.;Lindner,E.Coord.Chem.Rev.1991,108,27.c)Slone,C.S.;Weinberger,D.A.;Mirkin,C.A.Prog.Inorg.Chem.1999,48,233に記載されているように、当業者によって理解される。
【0090】
【化16】
【0091】
式中、L∧は、15族元素(例えば、N、P、As、又はSbから選択される)を表し、E∧は、ORe、C(=O)Re、C(=O)OReを表し、ここでReは、C1−C24アルキル、アリール、アルカリール、及びアラルキルを表す。このようなリガンドの例は、制約されるものではないが、以下の式G−Q:
【0092】
【化17】
【0093】
【化18】
【0094】
によるものを含む。
更なる態様において、適した助触媒は、制約されるものではないが、(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン、R−(+)−(2’−メトキシ[1,1’−ビナフタレン]−2−イル)ジフェニルホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(m−メトキシフェニル)ホスフィン、及びこれらの混合物を含む。
【0095】
本発明の理論によって束縛されるものではないが、本発明のキレート化準安定リガンドが、準安定なキレート化リガンドの15族及び16族元素を経由してニッケルカチオン錯体に配位していると考えられる。準安定なキレート化リガンドは、16族元素より15族元素を経由してニッケルカチオン錯体に強く結合している。準安定なキレート化リガンドの16族元素部分は、このように溶液中で不安定であり、本発明のモノマーのニッケルカチオンへの接近を可能にすると考えられる。
【0096】
本発明の更なる例示的な態様は、パラジウム触媒錯体を使用する。パラジウム錯体は、中性であり、そして本明細書中に参考文献として援用される米国特許第6,455,650号中で開示されているような、弱く配位したアニオンの塩を伴った15族のリガンドを含有する。他のパラジウム錯体はカチオン性であり、そして弱く配位したアニオンが、いずれもの電荷と均衡するためにその中に組込まれた15族リガンドによって連結される。
【0097】
本発明の特別な態様は、trans−[Pd(NCMe)(OAc)(P(i−プロピル)3)2]B(C6F5)4、trans−[Pd(NCC(CH3)3)(OAc)(P(i−プロピル)3)2]B(C6F5)4、trans−[Pd(OC(C6H5)2)(OAc)(P(i−プロピル)3)2]B(C6F5)4、trans−[Pd(HOCH(CH3)2)(OAc)(P(I−プロピル)3)2]B(C6F5)4、trans−[Pd(NCMe)(OAc)(P(シクロヘキシル)3)2]B(C6F5)4、Pd(OAc)2(P(シクロヘキシル)3)2、Pd(OAc)2(P(I−プロピル)3)2、Pd(OAc)2(P(i−プロピル)2(フェニル))2、trans−[Pd(NCMe)(OAc)(P(シクロヘキシル)2(t−ブチル))2]B(C6F5)4及びこれらの混合物から選択される1以上の触媒を使用する。
【0098】
本発明の態様において、触媒の錯体は、以下の式:
[(E’(R)3)2Pd(Q)2] (IX)
によって表される。他の態様において、触媒の錯体は、以下の式:
[(E’(R)3)2Pd(Q)(LB)][WCA] (X)
によって表される。式(IX)及び(X)において、E’(R)3は、15族の中性電子供与体リガンドを表し、ここにおいてEは、元素の周期表の15族元素から選択され、そしてRは、水素又はアニオン性のヒドロカルビルを含有する分子を表し;Qは、カルボン酸、チオカルボン酸、及びジチオカルボン酸基から選択されるアニオン性リガンドを表し;LBは、ルイス塩基を表し;WACは、弱く配位するアニオンを表す。式IXによる触媒錯体が使用される場合、弱く配位されるアニオンの塩が加えられる。式Xによる触媒錯体が使用される場合、触媒の活性を増加するために、弱く配位するアニオンの塩を加えることができる。
【0099】
本明細書中で使用される場合、用語“弱く配位するアニオン”(WCA)は、一般的にパラジウムカチオンに弱くのみ配位されたアニオンを指す。これは、溶媒又はモノマーによって置換されるために十分に不安定である。更に具体的には、WCAアニオンは、パラジウムカチオンに対する安定化アニオンとして機能し、そしてカチオンに転移して中性の生成物を形成しない。WCAアニオンは、非酸化性、非還元性及び非求核性であることにおいて比較的不活性である。本明細書中で述べたように、中性の電子供与体は、その閉殻電子構造中のパラジウム金属中心から取除かれた場合、中性の電荷を有するいずれものリガンドである。更に、アニオン性ヒドロカルビル分子は、その閉殻電子構造中の15族元素E’から取除かれた場合、負の電荷を有するいずれものヒドロカルビル基である。更に、ルイス塩基は、電子密度(即ち、電子の一対)の供与体である。
【0100】
本発明によるいくつかの態様において、Eは、窒素、リン、砒素、及びアンチモンから選択され、そしてアニオン性のヒドロカルビルを含有する分子、Rは、制約されるものではないが、直鎖及び分枝鎖の(C1−C20)アルキル、(C3−C12)シクロアルキル、(C2−C12)アルケニル、(C3−C12)シクロアルケニル、(C5−C20)ポリシクロアルキル、(C5−C20)ポリシクロアルケニル、及び(C6−C12)アリールから独立に選択され、そしてEといっしょに選択された2以上のR基は、5〜24個の原子を含有する複素環又は多環式複素環を形成することができる。
【0101】
代表的なアルキル基は、制約されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、及びネオペンチルを含む。代表的なアルケニル基は、制約されるものではないが、ビニル、アリル、イソ−プロペニル、及びイソ−ブテニルを含む。代表的なシクロアルキル基は、制約されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチルを含む。代表的なポリシクロアルキル基は、制約されるものではないが、ノルボルニル及びアダマンチルを含む。代表的なポリシクロアルケニル基は、制約されるものではないが、ノルボルネニル及びアダマンテニルを含む。代表的なアリール及びアラルキル基は、制約されるものではないが、フェニル、ナフチル及びベンジルを含む。
【0102】
本発明の例示的な態様において、15族の中性の電子供与体リガンドは、ホスフィンから選択される。代表的なホスフィンリガンドは、制約されるものではないが、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−イソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びトリ−sec−ブチルホスフィンを含む。他の適したホスフィンリガンドは、米国特許第6,455,650号に例示され、その関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。
【0103】
二つのホスフィン基がいっしょに選択されて、ジホスフィンキレート化リガンドを形成することができることは認識されることである。例示的なジホスフィンキレート化リガンドは、制約されるものではないが、ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、及び1,5−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ペンタンを含む。他の適したジホスフィンリガンドは、米国特許第6,455,650号に例示され、その関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。
【0104】
パラジウム金属中心と組み合わされた、Qで定義されるアニオン性のカルボン酸、チオカルボン酸、及びジチオカルボン酸リガンドは、単座、対称二座、非対称キレート化二座、非対称架橋性、又は対称架橋性リガンドであることができる。
【0105】
本発明によるルイス塩基は、電子対を供与するいずれもの化合物であることができる。ルイス塩基は、水であることができ、或いは次の種類の化合物:アルキルエーテル、環式エーテル、脂肪族又は芳香族ケトン、第一アルコール、ニトリル、環式アミン特にピリジン及びピラジン、並びに亜リン酸トリアルキル又はトリアリールから選択することができる。
【0106】
例示的なルイス塩基リガンドは、制約されるものではないが、水、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ベンゾニトリル、tert−ブチルニトリル、tert−ブチルイソシアニド、キシリルイソシアニド、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、テトラメチルピリジン、4−メチルピリジン、ピラジン、テトラメチルピラジン、亜リン酸トリイソプロピル、亜リン酸トリフェニル、及びトリフェニルホスフィンオキシドを含む。ホスフィンも、これらが、本発明の単成分の前触媒の形成中の反応媒体に加えられる限り、更に例示的なルイス塩基として含めることができる。ルイス塩基ホスフィンの例は、制約されるものではないが、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、及びトリフェニルホスフィンを含む。
【0107】
式(X)のWCAは、ホウ酸塩及びアルミン酸塩、ボラトベンゼンアニオン、カルボラン、ハロカルボラン並びにホスファボランアニオンから選択される。代表的なホウ酸塩アニオンは、制約されるものではないが、ホウ酸テトラキス(ペンタフルオロフェニル)(FABA)、ホウ酸テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)、及びホウ酸テトラキス(2−フルオロフェニル)を含む。他の有用な弱く配位するアニオン、例えば他のホウ酸塩及びアルミン酸塩、ボラトベンゼンアニオン、カルボラン、ハロカルボラン並びにホスファボランアニオンは、その関連部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第6,445,650号中に見出すことができる。
【0108】
弱く配位するアニオンの例示的な塩は、特にホウ酸テトラキス(ペンタフルオロフェニル)N,N−ジメチルアニリニウム及びホウ酸テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リチウム・2.5ジエチルエテラートである。
【0109】
本発明の式D及び/又はEによるアリルモノマーを含有するコオリゴマーは、当業者にとって公知の標準的なフリーラジカル溶液重合/オリゴマー化法によって調製することができる。例えば、上記の1以上のDRMモノマーは、当技術において既知のフリーラジカル技術を使用してオリゴマー化又はコオリゴマー化することができる。従って、本発明は:
I)式A、B、C、D又はEによる1以上のモノマーを含んでなるモノマー混合物を形成すること(Aが存在しない場合、Eが含まれていなければならない);
II)フリーラジカル開始剤を、モノマー混合物に、重合を起こすために十分な量で加えること;そして
III)開始剤が重合を起こすことができる温度にII)の混合物を加熱すること;
を含む先に記載したオリゴマーを製造する方法を包含する。
【0110】
フリーラジカル開始剤は、モノマー又はコモノマーをオリゴマー化するために有効な量で使用される。一般的に、使用される開始剤の量は、使用される1以上のモノマーの全重量の約1%〜20重量%である。別の方法として、開始剤の重量パーセントの範囲は、2〜10又は4〜7パーセントである。過酸化物及びアゾ型フリーラジカル開始剤が、二つの公知のフリーラジカル開始剤である。例は、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、ヒドロ過酸化tert−ブチル、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)を含む。
【0111】
オリゴマー化反応は、フリーラジカルの伝播を起こすために有効な任意の温度で行われる。典型的には、反応温度は、フリーラジカル開始剤の分解の温度によって支配される。一般的に、使用される温度範囲は、約20℃〜約200℃である。別の範囲は、約50℃〜約150℃又は約80℃〜約130℃である。
【0112】
オリゴマー化を1以上のモノマーを溶解するための溶媒の存在中で所望により行うことができ、或いはオリゴマー化は、モノマーをいっしょに混合することによって、溶媒の非存在で行うことができる。適した溶媒は、脂肪族、脂環族、芳香族、複素環族、ハロゲン化された脂肪族、ハロゲン化された芳香族、及びエーテルを含む。具体的な例は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ピリジン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジエチルエーテル、ジオキサン、及びテトラヒドロフランを含む。
【0113】
本発明の他の態様は、先に記載した多環式オレフィンモノマーのオリゴマーを含むフォトレジスト組成物を提供する。本発明の一つの特別な態様は、多環式オレフィンモノマーのオリゴマーが溶解速度調整剤として含まれるフォトレジスト組成物を指向する。
【0114】
本発明のフォトレジストの態様において、フォトレジスト組成物は、先に記載したDRM及びポリマー結合剤樹脂、光酸発生剤(PAG)、及び所望による適したスピン用溶媒、並びに塩基クエンチ剤及び増感剤のような添加剤を含む。更にこの態様において、フォトレジスト組成物は、塩基クエンチ剤及び増感剤を含むことができる。
【0115】
本発明のポリマー樹脂又は結合剤は、当技術において、そして文献において既知であり、そして一般的に商業的に入手可能である。このような樹脂又は結合剤は、制約されるものではないが、付加型のポリノルボルネン、フェノール、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン又はスチレン−アクリル酸コポリマー、アクリル酸ポリマー又はメタクリル酸ポリマー、ノルボルネン−無水マレイン酸コポリマー、ノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸ターポリマー、ノルボルネン−ビニルエーテルコポリマー、等、及びこれらの組合せを含む。
【0116】
先に検討したように、本発明の態様は、ポジ型及びネガ型フォトレジスト組成物を指向する。本発明の一つの態様は:
A)溶媒;
B)光酸発生剤(PAG);
C)官能基を含有する架橋剤;
D)架橋剤中の官能基と反応性である官能基を含有する1以上のネガ型作像ポリマー樹脂;及び
E)先に記載した溶解速度調整剤;
を含むネガ型フォトレジスト組成物を提供する。
【0117】
本発明のネガ型フォトレジスト組成物は、特に低い光学密度(OD)を、特に193nm及びそれ以下の波長において有する。
本発明の一つの態様において、ネガ型フォトレジスト組成物の架橋剤(C)は、(D)中のネガ型作像ポリマー樹脂又は結合剤樹脂の官能基、非制約的な例としてヒドロキシル基と反応することが可能な化合物である。更にこの態様において、架橋剤(C)は、光酸発生剤(B)によって発生される酸によって活性化されることができる。(C)において使用することができる適した架橋剤の例は、制約されるものではないが、メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたフェノール;メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換された環式尿素;メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたメラミン;並びにメチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたベンゾグアニン化合物から選択される1以上の基を含有する化合物を含む。
【0118】
本発明の更なる態様において、光酸発生剤(B)は、照射に露光された場合に、強酸を発生する化合物である。本発明において使用することができる光酸発生剤(B)は、制約されるものではないが、トリフラート、ピロガロール、オニウム塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ヒドロキシイミドのエステル、α,α’−ビス−スルホニル−ジアゾメタン、ニトロで置換されたベンジルアルコールのスルホン酸エステル及びナフトキノン−4−ジアジドから選択される1以上の化合物を含む。この態様において、トリフラートは、トリフェニルスルホニウムトリフラートを含み;ピロガロールはピロガロールのトリメシラートを含み;そしてオニウム塩は、ヘキサフルオロアンチモン酸トリアリールスルホニウム及びジアリールヨージウムの一つ又は両方を含む。
【0119】
本発明の更なる態様は、一般的にポリエチレングリコールメチルエーテル酢酸塩、シクロヘキサノン、ブチロ乳酸塩、及び乳酸エチルから選択される1以上の溶媒を含む溶媒(A)を提供する。
【0120】
適したネガ型作像ポリマーは、制約されるものではないが、もう一つの基とキュア及び/又は架橋し、そして架橋剤の官能基と反応性であることが可能な少なくとも一つの官能基を含有するものである。適した官能基は、制約されるものではないが、ヒドロキシ、カルボキシ、及びエポキシを含む。例示的なネガ型作像ポリマーは、多環式オレフィンモノマーから誘導された繰返し単位を含有するものである。多環式オレフィンモノマーから誘導された繰返し単位を含有する適したネガ型作像ポリマーは、米国特許第6,121,340号及び6,136,499号中に記述され、これらの関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。
【0121】
本発明の一つの態様は:
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)照射に露光された場合に開裂し、ポリマーを、非露光ポリマーより現像剤に更に溶解性であるようにすることができる基を含有する分子を含有する官能基を含む1以上のポジ型作像ポリマー;及び
D)先に記載した溶解速度調整剤;
を含むポジ型フォトレジスト組成物を提供する。D)において使用することができる例示的なポジ型作像ポリマーは、制約されるものではないが、HFANBのホモポリマー、及びその関連する部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第6,136,499号に記述されているようなポリノルボルネンを含み、適したモノマーは、酸に不安定な基を、このような基を使用することができるが、含まないことができる多環式繰返し単位;フェノールポリマーのようなフェノール結合剤(例えば、ヒドロキシスチレン及びその関連する部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第4,491,628号中に記載されているもののような炭素及び酸素でアルキル化された誘導体);スチレン−アクリル酸コポリマー;アセトアルデヒド又はホルムアルデヒドのようなアルデヒドと、フェノール自体、或いはそれぞれ1〜9個の炭素原子の一つ又は二つのアルキル基で置換されたフェノールのようなフェノールからの樹脂のようなノボラック;その関連する部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第5,372,912号中に記載されているもののようなもの;エステル部分が1〜12個の炭素原子を有するアルキルである、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等並びに各種の類似のメタクリル酸アルキルモノマーのようなアクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマー又はコポリマー;その関連する部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第5,843,624号中に記述されているような、ノルボルネン−無水マレイン酸のコポリマー又はノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸のターポリマーを包含する。
【0122】
適したPAGは、トリフラート(例えば、トリフェニルスルホニウムトルフラート)、ピロガロール(例えば、ピロガロールのトリメシラート);ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロヒ酸、トリフルオロメタンスルホン酸トリアリールスルホニウム及びジアリールヨージウムのようなオニウム塩;ヒドロキシイミドのエステル、α,α’−ビス−スルホニル−ジアゾメタン、ニトロで置換されたベンジルアルコールのスルホン酸エステル及びナフトキノン−4−ジアジドを含む。他の適したPAGは、Reichmanisら、Chem.Mater.3,395,(1991)中に開示されている。トリアリールスルホニウム又はジアリールヨードニウム塩を含有する組成物は、深UV光(193〜300nm)に対するその感度及び非常に高い画像の分解能のために、使用することができる。本発明の特別な態様において、塩は、非置換及び対称に又は非対称に置換されたジアリールヨージウム或いはトリアリールスルホニウム塩である。PAG成分は、100重量部のポリマー結合剤又は樹脂に基づいて、約1〜約100、ある場合には約1.25〜約50、そして他の場合には約1.5〜約5重量部を構成する。
【0123】
適したスピン用溶媒は、制約されるものではないが、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、乳酸エチル、シクロヘキサノン、等を含む。
適した塩基クエンチ剤は、制約されるものではないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン、トリイソプロピルアミン、N−メチルピロリドン、等を含む。塩基クエンチ剤添加剤は、フォトレジストの解像度及び画像特性を改良することができる。本発明のフォトレジスト組成物は、光酸発生剤を、中波長UVから可視光までの範囲のより長い波長に高感度化することが可能な増感剤を所望により含有する。意図する適用にもよるが、このような増感剤は、ピレン及びペルレン(perlene)のような多環式芳香族を含む。光酸発生剤の高感度化は、公知であり、そして米国特許第4,250,053号;4,371,605号;及び4,491,628号中に記載され、これらの関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。本発明は、増感剤又は光酸発生剤の具体的な群には制約されない。
【0124】
本発明のもう一つの態様は、サブストレート上に画像(ポジ又はネガ型レジスト画像)を発生する方法を指向する。方法は:
(a)サブストレートを、先に記載したネガ型フォトレジスト組成物又はポジ型フォトレジスト組成物を含有するフィルムでコーティングして、フィルムを形成すること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させて、画像を形成すること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;そして
(d)画像を現像すること;
を含む。この態様の一つの側面において、サブストレートは、シリコン、セラミックス、及びポリマーの一つ又はそれより多くを含む。更なる側面において、フィルムは、スピンコーティング、スプレーコーティング、及びドクターブレード(doctor blading)から選択される1以上の方法を使用して(a)においてサブストレート上にコーティングされる。更に、この態様は、フィルムを(b)において照射光に露光させる前に、フィルムを90℃〜150℃で30秒〜5分間加熱することを提供することができる。更にフィルムを、水銀ランプ、水銀/キセノンランプ、キセノンランプ、アルゴンフッ化物レーザー、クリプトンフッ化物レーザー、フッ素レーザー、x線及び電子ビームから選択される照射源に像様に露光させることができる。一つの特別な態様において、フィルムは、90nm〜514nmの波長で像様に露光される。もう一つの態様において、フィルムを照射光に露光させた後、フィルムを90℃〜150℃の温度で30秒〜5分間加熱することができる。
【0125】
本発明の一つの態様は:
(a)先に記載したポジ型又はネガ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;
(d)画像を現像して、サブストレートを露出させること;そして
(e)サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること;
を包含する集積回路の組立て方法を提供する。
【0126】
更に、この態様は、先に記載した方法によって提供された集積回路を含む、集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボードに拡張される。更なる態様において、画像は溶媒で現像される。本発明のネガ型画像を現像するために使用することができる適した溶媒は、一般的にプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、ブチロ乳酸塩及び乳酸エチルを含む。いくつかの態様において、水性の塩基が適した溶媒である。本発明のポジ型画像を現像するために使用することができる適した溶媒は、制約されるものではないが、多くの場合水酸化テトラメチルアンモニウム又はコリンのような金属イオンを含まない水性塩基を含む水性塩基である。本発明の組成物は、高いコントラスト及び直線的壁を持つポジの画像を提供する。本発明の組成物の溶解特性は、単純にポリマーの組成を変更することによって変更することができる。
【0127】
サブストレートが露出された後、回路パターンを、サブストレートを電導性金属のような伝導性物質で、技術−蒸発、スパッタリング、メッキ、化学蒸着、又はレーザー誘導蒸着のような技術によって被覆することによって、露出された区域に形成することができる。フィルムの表面は、いずれもの過剰な電導性物質を除去するためにミル加工することができる。誘電性物質も回路を製造する過程中に同様な手段によって沈着することができる。ホウ素、リン、又はヒ素のような無機イオンは、p−又はn−ドープされた回路のトランジスターを製造するための過程において、サブストレートに挿入することができる。回路を形成するための他の手段は、当業者にとって公知である。
【0128】
以下の実施例は、例示の目的であり、そして本発明をいずれの方法においても制約することを意図していない。ポリマー骨格に組込まれる繰返し単位の比は、モルパーセントで与えられている。全ての分子量の決定は、THF中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用してポリ(スチレン)標準を使用して行われた。
【0129】
比較実施例1
ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(10.0g、0.0515mol)を反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0095g、0.026mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.076g、0.026mmol)のジクロロエタン溶液(1−2mL)を加えた。2時間後、1mLのメタノールを反応器に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマー及び溶媒のみが残っていることを示した。反応混合物のアリコートを60℃で一晩蒸発させ、その時間後、物質は残っていなかった。この実施例は、エチレン、ニッケル含有触媒、及び適当な準安定なキレート化リガンドの非存在において、オリゴマー化が起こらないことを示す。
【0130】
合成実施例1
ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(10.0g、0.0515mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして次いで室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0095g、0.026mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0076g、0.026mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。混合物は、19℃から31℃に発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、モノマーが残っていないことを示した。高い保持時間で、より高い分子量のオリゴマーの形成と一致するいくつかのピークが観察された。反応混合物のアリコートを60℃で一晩蒸発させ、その時間後、粘性の透明な液体が残った。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去した。GPC分析は、Mw=460及びMn=444を持つ約24面積パーセント、並びにMw=217及びMn=205を持つ76面積パーセントの二峰性の分布を示した。この試料の1H NMR分析は、スペクトルの脂肪族領域で:約2.7〜0.9ppm(38H)のピークを示した。更に5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステルに接続したビニル基の存在と一致する二つのピーク、5.80(br s,1H)及び4.92(br m,2H)が、スペクトルのオレフィン領域に存在していた。この試料の電場脱着質量スペクトルは、5−ノルボルネンカルボン酸のエチレン及びt−ブチルエステルのコダイマー及びコトリマー:(エチレン)(5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル)及び(エチレン)(5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル)2による二つの主要なピークを示した。
【0131】
合成実施例2
約1.4kg/cm2g(20psig)のエチレンを、約3.5kg/cm2g(50psig)の代わりに使用した以外は、合成実施例1の方法を繰返した。この場合、1℃のみの発熱が観察された。反応混合物のGC分析は、オリゴマーが形成されたが、相当な量の未反応のモノマーが存在することを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去した。非揮発性の透明な液体のGPC分析は、合成実施例1において見出されものと本質的に同一な結果:高分子量における20面積パーセント、低分子量における残部の二峰性ピークを示した。
【0132】
合成実施例3
約6.3kg/cm2g(90psig)のエチレンを、約3.5kg/cm2g(50psig)の代わりに使用した以外は、合成実施例1の方法を繰返した。この場合、12℃の発熱が観察された。反応混合物のGC分析は、オリゴマーのみが存在することを示し;未反応のモノマーは観察されなかった。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去した。非揮発性の透明な液体のGPC分析は、合成実施例1及び2において見出されものと本質的に同一な結果:高分子量における23面積パーセント、低分子量における残部の二峰性ピークを示した。
【0133】
合成実施例4
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル(11.1g、0.0500mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、15℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約12gの透明な粘性の液体を得た。GPC分析は、二峰性の分布:Mw=341及び168を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(5−ノルボルニル−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル)、コトリマー(エチレン)(5−ノルボルニル−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル)2による二つの主要なピーク、及び少量のコテトラマー(エチレン)(5−ノルボルニル−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル)3を示した。この液体の1H NMR分析は、5.70(m,1H)及び4.91(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示した。
【0134】
合成実施例5
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸の1−メチルシクロペンチルエステル(11.0g、0.0500mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、2℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマー、並びにオリゴマー(ピークはより高い保持時間で観察された)の存在を示した。
【0135】
合成実施例6
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン(9.0g、0.050mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、20℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約10gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、三峰性の分布:385、286及び168のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン)、コトリマー(エチレン)(5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン)2による二つの主要ピークを示した。この液体の1H NMRは、5.77(m,1H)及び4.90(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示す。
【0136】
合成実施例7
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン(13.7g、0.050mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、そして次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、24℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約13gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、二峰性の分布:723及び351のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)及びコトリマー(エチレン)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)2による二つの主要なピークを示した。この液体の1H NMR分析は、5.75(m,1H)及び4.90(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示す。
【0137】
合成実施例8
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル(14.3g、0.050mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、そして次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、39℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約16gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、二峰性の分布:309及び153のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)及びコトリマー(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)2による二つの主要なピークを示した。この液体の1H NMRは、5.73(m,1H)及び4.96(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示す。
【0138】
合成実施例9
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び酢酸5−ノルボルネン−2−メタノール(8.3g、0.050mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、22℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約10gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、二峰性の分布:322及び164のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(酢酸5−ノルボルネン−2−メタノール)、コトリマー(エチレン)(酢酸5−ノルボルネン−2−メタノール)2による二つの主要なピークを示した。この液体の1H NMR分析は、5.76(m,1H)及び4.90(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示す。
【0139】
合成実施例10
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(300mL)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(17.7g、0.091mol)及び5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン(25.0g、0.091mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.033g、0.091mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.026g、0.091mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、20℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約48gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、三峰性の分布:563、362及び214のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、次のオリゴマー:(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)、(エチレン)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)2、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)、(エチレン)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)3、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)2(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)2によるピークを示した。この液体の1H NMR分析は、5.76(m,1H)及び4.90(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示した。
【0140】
合成実施例11
実施例10から得られた液体に、144gの氷酢酸(2.4mol)及び141mLの30%過酸化水素(1.25mol)を加えた。混合物を60℃で6時間加熱した。次いで混合物を冷却し、そして分液漏斗に移した。一晩静置した後、二つの層が現れた。有機層を水相から分離した。水相に50mLの塩化メチレン及び150mLの水を加えた。有機層を分離し、そして水相を再び塩化メチレン(50mL)で抽出した。次いで有機相を数回水で洗浄した。次いで溶媒を有機相から回転蒸発によって除去して、透明な粘性の液体を得た。収量38g。液体のGPCは、457の平均Mwの多峰性曲線を示した。この液体の1H NMR分析は、本質的にビニル末端基の存在を示さなかった。電場脱着質量分析は、エポキシド、ジオール、及び実施例9において見出されたオリゴマー生成物のアセテート、アルコール誘導体によるピークを示した。
【0141】
合成実施例12
合成実施例11からの液体のオリゴマー(11.24g)を、THF(50mL、無水)中に溶解した。この溶液に、NaH粉末(1.0g)を分割して加えた。クロロメチルメチルエーテル(2.13g)を溶液にシリンジで加えた。次いで反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)中に水(100mL)から抽出した。有機相を水(2×100mL)で洗浄し、そして溶媒を真空下で有機相から除去して、メトキシメチルで保護されたオリゴマーを得た。生成物のIR分析は、生成物のν(OH)の伸縮振動が、アルコール官能基の保護と一致して、出発物質と比較した場合にはるかに減少したことを示す。1H NMRスペクトルにおいて、−O−CH2−O−CH3保護基による二つの新しい共鳴(4.92及び3.45ppm)が観察される。生成物のGPCは、509の平均Mwの多峰性曲線を示した。
【0142】
合成実施例13
合成実施例11からの液体のオリゴマー(11.66g)を、THF(50mL、無水)中に溶解した。この溶液に、NaH粉末(1.2g)を分割して加えた。ブロモ、t−ブチルアセテート(5.36g)を溶液にシリンジで加えた。次いで反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)中に水(100mL)から抽出した。有機相を水(2×100mL)で洗浄し、そして溶媒を回転蒸発によって除去した。最終生成物を真空下で更に乾燥して、tert−ブトキシカルボニルメチルで保護されたオリゴマーを得た。生成物のIR分析は、出発物質のν(OH)の伸縮振動が、出発物質と比較した場合にはるかに減少したことを示し、そして出発物質からのt−ブチルエステル官能基及びアルコールの保護から誘導されたt−ブトキシカルボニルメチル官能基の存在と一致する二つのν(CO)の伸縮振動が、スペクトルの1700cm−1領域で観察された。二つのt−ブチル基が、1H NMRスペクトル(1.47及び1.45)で観察された。生成物のGPCは、593の平均Mwの多峰性曲線を示した。
【0143】
合成実施例14
ジクロロエタン(300mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル(52.0g、0.186mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.033g、0.091mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.026g、0.091mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約58gの透明な粘性の液体を得た。この液体の1H NMR分析は、5.73(m,1H)及び4.96(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示した。
【0144】
液体に、174gの氷酢酸(2.9mol)及び170mLの30%過酸化水素(1.5mol)を加えた。混合物を60℃で6時間加熱した。混合物を、150mLの水の添加後、分液漏斗中で一晩静置させた。更に50mLの水を加えた。塩化メチレン(50mL)を加え、そして混合物は二層に分離した。有機層を分離し、そして更に水(5×500mL)で洗浄した。有機相を分離し、そして回転蒸発して、溶媒を除去した。透明な粘性の液体を得た。収量45.8g。液体のGPCは、420及び283におけるピーク分子量の二峰性分布を示した。この液体の1H NMR分析は、出発物質に対してビニル末端基の強度の実質的な減少を示した。電場脱着質量分析は、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)のジオール、及び(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)のアセテート、アルコールによる主要なピークを示した。
【0145】
合成実施例15
ジクロロエタン(300mL)及び5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン(60.0g、0.219mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.033g、0.091mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.026g、0.091mmol)のジクロロエタン溶液を加え、そして次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約61gの透明な粘性の液体を得た。
【0146】
上記で得た57gの液体に、257gの氷酢酸(4.28mol)及び485mLの30%過酸化水素(4.28mol)を加えた。混合物を60℃で6時間加熱した。混合物を、150mLの水の添加後、分液漏斗中で一晩静置させた。水(50mL)を加えた。塩化メチレン(50mL)を加え、そして混合物は二層に分離した。有機層を分離し、そして更に水(5×500mL)で洗浄した。有機相を分離し、そして回転蒸発して、溶媒を除去した。透明な粘性の液体を得た。収量45.8g。液体のGPCは、420及び283におけるピーク分子量の二峰性分布を示した。この液体の1H NMR分析は、出発物質に対してビニル末端基の強度の実質的な減少を示した。質量分析は、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)のジオール、及びに(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)のアセテート、アルコールによる主要なピークを示した。
【0147】
合成実施例16
合成実施例15からの液体のオリゴマー(11.0g)を、THF(50mL、無水)中に溶解した。この溶液をTHF(10mL)中に溶解されたNaH(1.06g)に加えた。更に0.2gのNaHを加えて、完全な脱プロトンを確実にした。クロロメチルメチルエーテル(2.13g)をこの溶液にシリンジでゆっくりと加えた。反応混合物の温度を50℃に上げた。次いで反応混合物を一晩撹拌した。50mLの水を反応混合物に加え、そして有機物を酢酸エチル/THF中に抽出した。有機相を水で洗浄し、そして溶媒を真空下で有機相から除去して、メトキシメチルで保護されたオリゴマーを得た。収量12.6g。生成物のIR分析は、出発物質と比較した場合、アルコール官能基の保護と一致して生成物のν(OH)の伸縮振動が相当減少していることを示す。1H NMRスペクトルにおいて、−O−CH2−O−CH3保護基による二つの新しい共鳴(5.13及び3.46)が観察される。生成物のGPCは、751の平均Mwの多峰性曲線を示した。
【0148】
合成実施例17
臭化クロチルニッケルダイマーを、150mLのトルエン中の臭化クロチル(4.7g、0.035mol)を、−78℃に冷却することによって調製した。ブタジエン(8.7g、0.035mol)をフラスコ中で凝縮した。この混合物をNi(1,5−シクロオクタジエン)2(9.6g、0.035mol)の冷(−78℃)トルエン溶液に移した。混合物は深い赤色になった。−78℃で2時間後、混合物を室温まで温め、そして更に3時間撹拌した。溶媒をゆっくりと蒸発して赤色の針状物を得た。結晶をペンタン(1×20mL)と−78℃で浴に入れ、そして濾過によって単離した。収量2.4g(93%)。1H NMR(C6D6):4.60(m,1H)、2.66(d,1H)、2.44(m,1H)、1.44(d,1H)、0.61(d,3H)。
【0149】
ニッケル錯体のFABA塩を、臭化(η3−クロチル)ニッケルダイマー(1,5g、0.0039mol)をTHF(70mL)中に溶解することによって調製した。この溶液に、2.26gの(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.00774mol)を加えた。溶液を0℃に冷却し、そしてホウ酸テトラキス(ペンタフルオロフェニル)銀(7.51g、0.00774mol)のTHF(30mL)溶液を加えた。溶液は、赤色から褐−橙色に変わった。10分後、溶液を室温まで温めた。混合物を濾過して、AgBrを除去した。次いで溶媒を真空下で除去した。得られた泡状物を30mLのペンタンと撹拌し、次いで揮発性物質を真空下で除去して、自由流動性の粉末を得た。収量8.5g。
【0150】
モノマー、5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(9.69g、0.0500mol)を、60mLのトルエン中に圧力反応器中で溶解した。溶液を飽和するために、溶液に約3.5kg/cm2g(50psig)のエチレンを加えた。次いで過剰のエチレンを放出し、そして20mLのトルエン中の上記で単離したニッケル錯体(0.0329g)をモノマーの混合物に加えた。エチレンの圧力を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に増加した。反応を4時間継続させた。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの形成を示した。未反応のモノマーが観察されなかったために、完全な転換が得られた。
【0151】
オリゴマー化を1,2−ジクロロエタン(90mL)中で繰返した。反応混合物のGC分析は、オリゴマー、並びにある程度の未反応のモノマーの存在を示した。
合成実施例18
モノマー、5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(9.69g、0.0500mol)を、1,2−ジクロロエタン(90mL)中に圧力反応器中で溶解した。溶液を飽和するために、溶液に約3.5kg/cm2g(50psig)のエチレンを加えた。次いで過剰のエチレンを放出し、そしてヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0096g、0.026mmol)及びR−(+)−(2’−メトキシ[1,1’−ビナフタレン]−2−イル)ジフェニルホスフィン(0.00121g、0.026mmol)の1,2−ジクロロエタン(20mL)中の混合物を、モノマー混合物に加えた。エチレンの圧力を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に増加した。反応を3時間継続させた。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの形成を示した。未反応のモノマーも更に観察された。
【0152】
合成実施例19
トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン(9.16mg、0.026mmol)で(2’−メトキシ[1,1’−ビナフタレン]−2−イル)ジフェニルホスフィンを置換え、そして反応を4時間継続した以外は、上記の実施例を繰り返した。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの存在のみを示した。未反応のモノマーが観察されなかったために、完全な転換が得られた。
【0153】
合成実施例20
トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィンを使用し、そして反応を4時間継続した以外は、上記の実施例を繰返した。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの存在、並びにある程度の未反応のモノマーを示した。
【0154】
合成実施例21
トリ(m−メトキシフェニル)ホスフィンを使用し、そして反応を24時間継続した以外は、上記の実施例を繰返した。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの存在、並びにある程度の未反応のモノマーを示した。
【0155】
合成実施例22
モノマー、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン(13.1g、0.048mol)を、1,2−ジクロロエタン(70mL)中に圧力反応器中で溶解した。溶液を飽和するために、溶液に約3.5kg/cm2g(50psig)のエチレンを加えた。次いで過剰のエチレンを放出し、そしてヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0096g、0.026mmol)及びトリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン(9.16mg、0.026mmol)の1,2−ジクロロエタン(20mL)中の混合物を、モノマー混合物に加えた。エチレンの圧力を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に増加した。反応を5時間継続させた。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの形成を示した。未反応のモノマーも更に観察された。
【0156】
合成実施例23
モノマー、α,α−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−エタノール(HFANB)(5.0g、0.018mol)及び1−ビス(トリフルオロメチル)−3−ブテン−1−オール(アリルHFA)(3.8g、0.018mol)、及び開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(0.51g、0.0034mol)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコ中で混合した。混合物を130℃で一晩加熱した。混合物を室温に冷却した。過剰のモノマーを真空下で除去した。得られた生成物の電場イオン化質量分析は、両方のコモノマーを含有するテトラマーまでのオリゴマーの形成に一致した。Mwは1740であり、Mnは1350であり、そしてMw/Mnは1.29であった。得られた物質のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計によって、約43℃と決定された(2回目の加熱、10℃/分)。
【0157】
合成実施例24
コモノマー、HFANB(20g、0.073mol)及びアリルHFA(15.2g、0.0729mol)、並びに開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(2.03g、0.00139mol)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコ中で混合した。混合物を130℃で一晩加熱した。混合物を室温に冷却した。過剰のモノマーを真空下で除去した。ガラス状の生成物を得た。収量21g(60%)。Mwは1790であり、Mnは1540であり、そしてMw/Mnは1.16であった。
【0158】
合成実施例25
約10gの合成実施例24から単離されたコオリゴマーを、50gの乾燥THF中に窒素下で溶解した。別のビンで、二炭酸ジ−tret−ブチル(12.9g、0.0592mol)を乾燥THF中に溶解し、そして窒素でスパージした。水素化ナトリウム(1.3g、0.054mol)を、乾燥THF(150mL)と共に三口フラスコ(窒素入口及び撹拌棒を装備)に窒素下で入れ、そして−78℃に冷却した。この混合物にコオリゴマー溶液を加えた。この混合物を1時間撹拌させた。次いで二炭酸ジ−tert−ブチル溶液を滴下により加えた。混合物を室温に温め、そして一晩撹拌した。反応混合物を水、そして次いで食塩溶液で2回、次いで最終的にもう一回の水洗で洗浄した。有機層を回転蒸発によって減量し、そしてヘキサン中で沈殿させた。得られた粉末を濾過漏斗で収集し、そして一定重量が得られるまで真空オーブンで50℃で乾燥した。保護されたオリゴマーのIR分析は、スペクトルの3300〜3700cm−1領域でν(OH)の伸縮振動示さず、そして1770cm−1近辺で強力なν(CO)の伸縮振動を示し、炭酸tert−ブチル基によるヒドロキシル基の完全な置換を示した。Mwは1900であり、Mnは1580であり、そしてMw/Mnは1.20であった。
【0159】
合成実施例26
モノマー、HFANB(75g、0.27mol)及びアリルHFA(56.9g、0.274mol)、並びに開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(7.61g、0.0521mol)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコ中で混合した。混合物を130℃で一晩加熱した。混合物を冷却し、フラスコに蒸留器具を設置し、そして過剰のモノマーを反応混合物から真空下の130℃で蒸留した。Mwは1820であり、Mnは1590であり、そしてMw/Mnは1.14であった。オリゴマーの生成物は、13C NMR分光法によって、約57モルパーセントのアリルHFA及び43モルパーセントのHFANBを含有することが決定された。
【0160】
合成実施例27
水素化ナトリウム(1.1g、0.046mol)を、10gの合成実施例26から単離されたコ−オリゴマーの0℃のTHF(60mL)中の溶液に、窒素下で分割して加えた。ガスの放散が直ちに起こった。添加の完了後、溶液を1時間かけて室温まで温まらせた。この溶液にクロロメチルメチルエーテル(3.6g、0.045mol)を加えた。反応物を一晩撹拌し、そして次いで水中に注いだ。乳液が形成された。酢酸エチル(200mL)を乳液に加えて、二つの相を得た。有機層を分離し、そして水で3回洗浄した。有機層を水層から分離し、そして揮発性物質を有機層から回転蒸発によって除去して、半液体の物質を得た。収量10g(83%)。Mwは1820であり、Mnは1600であり、そしてMw/Mnは1.14であった。
【0161】
合成実施例28
モノマー、HFANB(9.9g、0.036mol)及びアリルHFA(7.5g、0.036mol)、5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル(7g、0.036mol)並びに開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(1.51g、0.0103mol)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコ中で混合した。混合物を130℃で一晩加熱した。翌日、揮発性物質を反応混合物から真空下の、そして130℃に加熱した短行程蒸留によって除去した。混合物を真空下の120℃で一晩放置した。Mwは2120であり、Mnは1440であり、そしてMw/Mnは1.47であった。オリゴマーの生成物は、13C NMR分光計によって、28モルパーセントの5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル、18モルパーセントのHFANB、45モルパーセントのアリルHFA、及び9モルパーセントの5−ノルボルネンカルボン酸を含有することが決定された。
【0162】
合成実施例29
水素化ナトリウム(0.80g、0.033mol)を、5.5gの実施例28から単離されたオリゴマーの無水のTHF(30mL)溶液に窒素下で分割して加えた。添加の完了後、溶液を更に30分間撹拌した。この溶液にクロロメチルメチルエーテル(2.8g、0.035mol)を加えた。反応物を一晩撹拌し、そして次いで150mLの酢酸エチルと共に水中に注いだ。有機相を分離し、そして水で3回洗浄した。有機層を水層から分離し、そして揮発性物質を有機層から回転蒸発によって除去し、そして次いで最終的に真空下の80℃で18時間乾燥した。収量4.8g。
【0163】
合成実施例30
モノマー、HFANB(6.86g、0.0250mol)及びアリルHFA(10.4g、0.0500mol)、5−ノルボルネンカルボン酸(3.45g、0.0250mol)並びに開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(1.40g、0.0100mol)を混合し、そして130℃に加熱した。16時間後、オレンジ色の粘性の液体を得た。揮発性物質を、混合物を真空下で100℃に加熱することによって除去した。収量13.5g(61%)。Mwは2130であり、Mnは1310であり、そしてMw/Mnは1.62であった。オリゴマーの生成物は、13C NMR分光分析によって、約29モルパーセントの5−ノルボルネンカルボン酸、15モルパーセントのHFANB、56モルパーセントのアリルHFAを含有することが決定された。
【0164】
合成実施例31
水素化ナトリウム(0.56g)を、乾燥THF中で窒素下でスラリーにし、そしてドライアイスで冷却した。このスラリーに、ビニル付加HFANB(5.1g、Mw=1670、Mw/Mn=1.19)の、乾燥し、脱気されたTHF中のオリゴマー溶液を滴下により加えた。混合物を1時間撹拌させ、その後、炭酸ジ−tert−ブチル(5.6g)を、乾燥し、そして脱気されたTHF(20g)中の溶液として滴下により加えた。混合物を室温まで一晩かけて温まらせた。反応混合物を水、そして次いで食塩溶液で2回、次いで最終的にもう1回水洗で洗浄した。有機層を回転蒸発によって減量し、そしてヘキサン中で沈殿させた。得られた粉末を濾過によって収集し、そして一定重量が得られるまで真空オーブン中で50℃で乾燥した。Mwは1840であり、Mnは1510であり、そしてMw/Mnは1.22であった。保護されたオリゴマーのIR分析は、スペクトルの3300〜3700cm−1領域でν(OH)の伸縮振動を示さず、そして1770cm−1近辺で強いν(CO)の伸縮振動を示し、ヒドロキシル基の炭酸tert−ブチル基による完全な置換を示した。
【0165】
合成実施例32
水素化ナトリウム(2.75g)を、乾燥THF中で窒素下でスラリーにし、そしてドライアイスで冷却した。このスラリーにビニル付加HFANB(25g、Mw=1340、Mw/Mn=1.16)の、乾燥し、脱気されたTHF(25g)中のオリゴマー溶液を滴下により加えた。混合物を1時間撹拌させ、その後、クロロメチルメチルエーテル(9.2g)を、乾燥し、そして脱気されたTHF(20g)中の溶液として滴下により加えた。混合物を室温まで一晩かけて温まらせた。反応混合物を水、そして次いで食塩溶液で2回、次いで最終的にもう1回水洗で洗浄した。有機層を回転蒸発によって減量し、そしてヘキサン中で沈殿させた。得られた粉末(6.4g)を濾過によって収集し、そして一定重量が得られるまで真空オーブン中で50℃で乾燥した。Mwは1300であり、Mnは1110であり、そしてMw/Mnは1.17であった。最終的な生成物のIR分析は、ヒドロキシル基のメチルメチルエーテル基による置換と一致する、スペクトルの3300〜3700cm−1領域のν(OH)の伸縮振動の顕著な減少を示した。
【0166】
合成実施例33
モノマー、アリルHFA(17.2g、0.0825mol)、5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル(11.4g、0.0825mol)、5−シアノノルボルネン(9.83g、0.0825mol)及び開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(3.45g)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコに加えた。混合物を130℃で一晩加熱した。次いで試料を冷却し、そして酢酸エチルで希釈した。有機相を脱イオン水で中性のpHが得られるまで洗浄した。有機相を分離し、そして溶媒を回転蒸発によって除去した。得られた生成物(33.0g)を高真空下で乾燥した。
【0167】
合成実施例34
三口フラスコに凝縮器、N2パージ、及び温度プローブを設置した。このフラスコに、30gの上記の実施例33から生成物、80gのトルエン、15gのTHF、35gの氷酢酸、及び35gの30%H2O2を加えた。試料を還流(85℃)で1時間加熱し、そして次いで冷却した。有機相を脱イオン水で3回洗浄した。有機相を水相から分離し、そして次いでヘキサン中に滴下により注いだ。沈殿したオリゴマーを濾過し、そして真空オーブン中で60℃で一晩乾燥した。
【0168】
合成実施例35
凝縮器、温度プローブ及びN2放出弁を設置した三口フラスコを、乾燥N2で1時間置換した。水素化ナトリウム(1.00g、0.0414mol)を乾燥粉末としてこのフラスコに加えた。乾燥THF(50g)をフラスコに加えて、スラリーを作った。オリゴマー(8.0g)を20gのTHF中に溶解し、圧着蓋のビン中に密閉し、そして15分間置換した。この溶液をスラリーに1時間かけて滴下により加えた。クロロメチルメチルエーテル(3.4g、0.041mol)を、20gのTHF中に圧着蓋のビン中で溶解し、そしてN2で15分間置換した。この溶液を反応混合物に滴下により加え、これを一晩(16時間)25℃で撹拌した。約100mLの2MのHClを混合物に加え、そして撹拌した。水相を分離し、そして有機相を食塩水、そして続いて脱イオン水(2回)で洗浄した。有機相をヘキサン中に滴下により加えた。沈殿したオリゴマーを濾過によって回収し、そして真空オーブンで50℃で16時間乾燥した。収量5.35g。Mwは2818であり、Mnは1810であり、そしてMw/Mnは1.56であった。
【0169】
合成実施例36
モノマー、HFANB(29.7g、0.108mol)、アリルHFA(22.5g、0.116mol)、及び5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル(21.0g、0.108mol)を、窒素でスパージした。次いでこれらを、凝縮器及び撹拌棒を備えた窒素置換された三口フラスコに加えた。開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(4.5g、0.031mol)をシリンジによって加えた。混合物を130℃で一晩加熱した。混合物を冷却させた。粘性の明るい褐色の液体を得た。混合物をトルエン(100mL)中に溶解し、次いで4Lのヘキサン中に撹拌しながら滴下によって加えた。明るい黄色の粉末を得て、これを濾過し、そして空気乾燥した。
【0170】
単離したオリゴマー(10g)を、500mLの三口フラスコに加え、次いで50mLのトルエン、及び10グラムのTHF中に溶解した。混合物に氷酢酸(10g)を、続いて30%過酸化水素(10g)を撹拌しながら加えた。フラスコに凝縮カラムを設置し、そして80℃で1時間加熱した。試料を冷却させた。分液漏斗中で混合物を脱イオン水で3回洗浄した。有機相を分離し、そして次いでヘキサンに滴下により加えて、オリゴマーを白色の粉末として沈殿させた。
【0171】
合成実施例37
実施例36からのオリゴマー(4.75g)を、乾燥N2で1時間置換された乾燥三口フラスコに加えた。水素化ナトリウム(0.6g、0.025mol)を乾燥粉末としてフラスコに加えた。THFを滴下漏斗にカニューレで移し、そして撹拌しながらゆっくりと加えて、THF及び水素化ナトリウムのスラリーを調製した。オリゴマー溶液を窒素で置換し、そして1時間かけて水素化ナトリウムのスラリーに滴下により加えた。クロロメチルメチルエーテル(20g、0.025mol)を10gのTHF中に溶解し、そしてN2で置換し、そして反応混合物に撹拌しながら加えた。この溶液を一晩撹拌させた。25℃で16時間撹拌した後、反応混合物を分液漏斗に移し、そこでこれを100mLの2MのHClで2回洗浄し、続いて食塩水で1回洗浄し、そして脱イオン水で2回洗浄した。有機相を分離し、そして高真空下で揮発性物質を除去して、保護されたオリゴマーを得た。収量3.86g。Mwは3011であり、Mnは2425であり、そしてMw/Mnは1.24であった。オリゴマーの生成物は、13C NMR分光分析によって、約40モルパーセントの5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル、44モルパーセントのアリルHFA、及び16モルパーセントのHFANBを含有することが決定された。
【0172】
処方実施例1
良好な溶解速度調整剤の一つの特徴は、ベーク(適用後及び露光後の両方)中の低い揮発性である。合成実施例14の5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステルの過酢酸で処理されたオリゴマー対してこれを試験するために、適した結合剤樹脂サブストレート中のオリゴマーの配合物の溶解速度を、ベーク温度における時間の関数として測定した。揮発性の溶解速度調整剤は、長時間にわたる増加した溶解速度を持つ結合剤樹脂配合物を与える筈である。非揮発性の溶解速度調整剤は、長時間にわたる一定の溶解速度を与える筈である。
【0173】
ポリ(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)(19600のMw)及びオリゴマーとの5重量パーセントの配合物、並びにPGMEA中のポリ(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)(19600のMw)の両方の、130℃のベーク温度における、時間に対するスピンされたフィルム(約5.1cm(2インチ)のシリコンウエハ上に500rpmで15秒間、続いて2000rpmで60秒間スピンし、次いで130℃で2分間ベークした、PGMEA中の20重量パーセントの固体)の、0.26Nの水性の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)中の溶解速度の挙動。表1に示したこの実験のデータは、130℃で2分後、結合剤樹脂/オリゴマーの配合物の溶解速度が、高温における長時間後に増加する兆候がないことを明白に示す。従って、ポリ(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)基剤樹脂において、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのオリゴマーは、揮発性ではない。
【0174】
【表1】
【0175】
処方実施例2
この実施例は、12、13、及び16からのDR調整剤によるHFANBホモポリマーの溶解の阻害を示す。合成実施例12、13、及び16からの溶解速度調整剤を、増加する濃度で、トリフェニルスルホニウムノナフラートと共に、基剤樹脂、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw=12900 Mn=6640)と配合した。
【0176】
基剤樹脂の溶液を、溶解速度調整剤を増加する濃度(使用された基剤樹脂の0、5、10、15、及び20重量%)で伴って、PGMEA中で調製した。基剤樹脂の濃度を変更して、固体の全重量を約20%に保った。トリフェニルスルホニウムノナフラートを、溶液の3重量/重量%で加えた。
【0177】
サブストレートをヘキサメチルジシラザン(HMDS)で一次処理したシリコンウエハ(130℃で90秒間軽いベーク)上に調製した。上記で調製した溶液を、500rpmで30秒間、続いて2000rpmで60秒間、続いて130℃で120秒間の軽いベークのスピンプログラムを使用してスピンした。
【0178】
【表2】
【0179】
*現像剤は溶解の兆候なしに15分間フィルム上に残存した。
処方実施例3
この実施例は、合成実施例14からのDR調整剤と配合されたHFANBホモポリマーのMeyerhoferプロットを与える。合成実施例14からの溶解速度調整剤を、増加する濃度で、トリフェニルスルホニウムノナフラートと共に、基剤樹脂、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw=12900 Mn=6640)と配合した。
【0180】
基剤樹脂の溶液を、増加する濃度(使用した基剤樹脂に対する0、5、10、15、及び20重量%)の溶解速度調整剤を伴って、PGMEA中で調製した。基剤樹脂の濃度を変更して、固体の全重量を約20%に保った。トリフェニルスルホニウムノナフラートを、溶液の3重量/重量%で加えた。
【0181】
サブストレートをヘキサメチルジシラザン(HMDS)で一次処理したシリコンウエハ(130℃で90秒間軽いベーク)上に調製した。上記で調製した溶液を、500rpmで30秒間、続いて2000rpmで60秒間、続いて130℃で120秒間の軽いベークのスピンプログラムを使用してスピンした。
【0182】
未露光のウエハを、0.26NのTMAHで現像した。即時の識別可能な溶解を示さなかったフィルムを、15分間又はフィルムがサブストレートから持上がるまでモニターした。
【0183】
同一のウエハを、更に515mJ/cm2で248nmの光を使用してブランケット露光した。130℃で120秒間の露光後ベークを適用した。これらのフィルムの溶解を0.26NのTMAH中で決定した。
【0184】
露光及び未露光フィルムの溶解速度の結果を、加えた溶解速度調整剤の関数として図1に示し、これは、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマーと配合された合成実施例14からの溶解速度調整剤のMeyerhoferプロットである。
【0185】
処方実施例4
この実施例は、本発明の処方のエッチング耐性を証明する。実施例12、13、14、及び16からの溶解速度調整剤を、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw=12900 Mn=6640)と20重量パーセントで、1重量パーセントのトリフェニルスルホニウムノナフラートと共に配合した。ブランケット反応性イオンエッチングを、ノボラック、単独の結合剤樹脂(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー)及び過酢酸で処理された合成実施例14からの溶解速度調整剤と処方された結合剤樹脂上に行った。試料をPGMEA中の20%の固体の溶液として調製した。処方された試料を、20重量/重量%付加の調整剤と共に調製した。シリコンウエハを、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で一次処理し、そして130℃で60秒間ベークした。次いでポリマー溶液を0.2μmのTEFLON(登録商標)のシリンジ型フィルターを通して濾過し、そして500rpmで30秒間、そして次いで2000rpmで60秒間スピンした。最後に、これらを130℃で120秒間軽くベークした。
【0186】
エッチングを、プラズマ熱反応性イオンエッチング装置(RIE)で行った。試料を60秒間エッチングし、除去し、そして厚さの測定をJ.A.WoollamモデルM−2000楕円偏光計で行った。エッチング条件は、次のとおりであった:CHF3/O2プラズマ、50mTorrのチャンバー圧力、150Wの供給電力、60秒のエッチング時間、そして両方のガスの流れの流速は、25sccmであった。
【0187】
ノボラックに対するエッチング速度は、323.2nm/秒であると決定され、そして1.0と基準化された。ノボラックに対して、結合剤樹脂は1.50のエッチング速度を有し、そして調整剤と共に処方された試料は、1.68のエッチング速度を有していた。エッチング速度のわずかのみの増加が溶解速度調整剤を伴う処方において観察される。
【0188】
処方実施例5
合成実施例23からの非保護オリゴマーを、HFANBノホモポリマー(Mw=5600)と3、5、10及び20重量パーセントでPGMEA中で配合した。次いでこれらの処方を、HMDSで一次処理したシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0189】
全てのヒドロキシル基が、酸に不安定な基で保護された合成実施例27からのオリゴマー(メトキシメチルエーテル又はMOM保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0190】
全てのヒドロキシル基が、酸に不安定な基で保護された合成実施例25からのオリゴマー(炭酸t−ブチル又はtBOC保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0191】
これらの研究の結果は、フィルムの露光が行われなかったことにおける“擬似”Meyerhoferプロットの構築を可能にする。然しながら、合成実施例25及び27からの保護されたオリゴマーを使用して発生したデータは、これらが基剤樹脂の溶解速度を抑制し、そして従ってウエハの非露光領域を模倣し、そして合成実施例24からの非保護オリゴマーを使用して生成したフィルムは、基剤樹脂の溶解速度を抑制せず、そして従って、ウエハの露光された領域を模倣することを示す。“擬似”Meyerhoferプロットを、図10に示す。
【0192】
処方実施例6
全ての酸性の基が酸に不安定な分子で保護された合成実施例29からのオリゴマー(メトキシメチルエーテル又はMOM保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=6920)と、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0193】
全ての酸性の基が非保護のままの合成実施例30からのオリゴマーを、HFANBのホモポリマー(Mw=6920)と、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0194】
これらの二つの研究の結果は、フィルムの露光が行われなかったことにおける“擬似”Meyerhoferプロットの構築を可能にする。然しながら、合成実施例29からの保護されたオリゴマーを使用して発生したデータは、これが基剤樹脂の溶解速度を抑制し、そして従ってウエハの非露光領域を模倣し、そして合成実施例30からの非保護オリゴマーを使用して生成したフィルムは、基剤樹脂の溶解速度を向上し、そして従って、ウエハの露光された領域を模倣することを示す。“擬似”Meyerhoferプロットを、図11に示す。
【0195】
処方実施例7
HFANBのオリゴマー(Mw=1670、Mw/Mn=1.19)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0196】
全てのヒドロキシル基が酸に不安定な炭酸tert−ブチル基で保護された合成実施例31からのオリゴマー(tBOC保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0197】
全てのヒドロキシル基が酸に不安定なメトキシメチルエーテル基で保護された合成実施例32からのオリゴマー(MOM保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0198】
これらの研究の結果は、フィルムの露光が行われなかったことにおける“擬似”Meyerhoferプロットの構築を可能にする。然しながら、合成実施例30及び31からの保護されたオリゴマーを使用して発生したデータは、これらが基剤樹脂の溶解速度を抑制し、そして従ってウエハの非露光領域を模倣し、そして非保護のビニル付加HFANBオリゴマーを使用して生成したフィルムは、基剤樹脂の溶解速度を抑制せず、そして従って、ウエハの露光された領域を模倣することを示す。“擬似”Meyerhoferプロットを、図12に示す。
【0199】
処方実施例8
アリルHFA、5−ノルボルネンカルボン酸のtert−ブチルエステル、及び5−シアノノルボルネンのオリゴマー(Mw=2240、Mw/Mn=1.64)(合成実施例33)を、HFANBのホモポリマー(Mw=3990、Mw/Mn=1.60)と、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0200】
全てのヒドロキシル基がメトキシメチルエーテル基で保護された合成実施例34からのオリゴマー(MOM保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=3990、Mw/Mn=1.60)と、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0201】
これらの研究からの結果は、フィルムの露光が行われなかったことにおける“擬似”Meyerhoferプロットの構築を可能にする。然しながら、合成実施例33及び34からの保護されたオリゴマーを使用して発生したデータは、これらが基剤樹脂の溶解速度を抑制し、そして従ってウエハの非露光領域を模倣し、そして非保護のビニル付加テルオリゴマー(合成実施例33)を使用して生成したフィルムは、基剤樹脂の溶解速度を抑制せず、そして従って、ウエハの露光された領域を模倣することを示す。“擬似”Meyerhoferプロットを、図13に示す。
【0202】
処方実施例9
試料を、基剤ポリマー(100%のビニル付加HFANBホモポリマー)を、プロピレングリコールメチルエーテル酢酸塩(PGMEA)中に、20%の固体で溶解することによって調製した。これらの溶液を0.2mmのTEFLON(登録商標)のシリンジ型フィルターを通して2回濾過し、そしてシリコンウエハに滴下により適用した。ウエハを、500rpmで20秒間、続いて2000rpmで60秒間のプロトコルでスピンした。ウエハを130℃で90秒間軽くベークして、溶媒を除去した。光学密度を楕円偏光計によって測定した。測定は、屈折の指数(n)及び吸光係数(κ)として報告された。この作業から、吸収係数(α)を、α=4πκ/λとして誘導することができ、ここでλは、関心のある波長(157又は193nm)である。透過率(T)は、T=e−αtから誘導され、そして吸光度(A)は、A=−logTと定義される。この吸光度数を、ミクロンのフィルムの厚さによって割ることにより、光学密度(OD)が与えられる。
【0203】
【表3】
【0204】
データは、本発明の溶解速度調整剤の、結合剤樹脂(HFANBホモポリマー)への添加、実施例C2及びC5は、193nmにおける光学密度(OD)のわずかな増加のみを示し、そして157nmではODを増加せず、そしてある場合には、実際に未希釈の結合剤樹脂(比較実施例C1)と比較して、これをある程度減少することができる。
【0205】
処方実施例10
実施例10a−10iは、HMDSで一次処理されたシリコンウエハ上に調製された試料であった。20重量パーセントのオリゴマーの溶解速度調整剤を含有するポリマー溶液(PGMEA中の20%の固体)を、シリコンウエハ上に次のプロトコル:500rpmで20秒間、続いて2000rpmで60秒を使用してスピンコートした。ウエハを130℃で120秒間軽くベークした。ウエハを室温に冷却し、そしてエッチングチャンバー(プラズマ熱)に入れた。次いでウエハを次の条件下:9:1の比のCHF3/O2、CHF3流量=22.5sccm、O2流量=2.25sccm、P=100mTorr、おおよその電力=200Wでエッチングした。ノボラックに対する得られたエッチングのデータを、以下の表に与える。
【0206】
【表4】
【0207】
データは、未希釈の結合剤樹脂(HFANBホモポリマー)と比較して、本発明のオリゴマーの溶解速度調整剤の添加(20重量パーセント)の実施例D2及びD3は、得られたフィルムのエッチング速度を顕著には変化しないことを示す。エッチング速度は、ノボラックに対して報告されている。
【0208】
処方実施例11
HFANBのホモポリマー(Mw=5600)を、PGMEA中に溶解し、そしてHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)に交差平行線を入れ、そして加熱行程に入れた。交差平行線を、ウエハが加熱される間観察した。交差平行線を入れられた区域のポリマーが流れ始める点を、流動温度と考えた。流動温度=215℃。
【0209】
処方実施例12
合成実施例24からの非保護のオリゴマーを、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、20重量パーセントでPGMEA中で配合した。次いでこの処方を、HMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)に交差平行線を入れ、そして加熱行程に入れた。交差平行線を、ウエハが加熱される間観察した。交差平行線を入れられた区域のポリマーが流れ始める点を、流動温度と考えた。流動温度=180℃。
【0210】
処方実施例13
HFANBのオリゴマー(Mw=1670、Mw/Mn=1.19)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、20重量パーセントでPGMEA中で配合した。次いでこの処方を、HMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)に交差平行線を入れ、そして加熱行程に入れた。交差平行線を、ウエハが加熱される間観察した。交差平行線を入れられた区域のポリマーが流れ始める点を、流動温度と考えた。流動温度=185℃。
【0211】
処方実施例14(比較)
商業的なポリ(パラヒドロキシスチレン)(Mw=約9,000;Tg示差走査熱量計により約164℃)をPGMEA中に溶解した。次いでこの処方を、HMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)に交差平行線を入れ、そして加熱行程に入れた。交差平行線を、ウエハが加熱される間観察した。交差平行線を入れられた区域のポリマーが流れ始める点を、流動温度と考えた。流動温度=180℃。
【0212】
処方実施例11−14は、本発明のオリゴマーの溶解速度調整剤が、環式オレフィンポリマーの流動温度を下げることを示す。比較実施例は、流動温度が、おそらくガラス転移温度より数度高いことを示す。これらの結果は、流動温度がポリマーフィルムのガラス転移温度よりある程度高く、そして低分子量の溶解速度調整剤の添加がガラス転移温度を抑制するという概念を支持する。
【0213】
作像実施例1
この実施例は、合成実施例11の溶解速度調整剤を使用する光学作像を証明する。原液を次の方法で調製した。基剤樹脂、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw12850、Mn6640)を、0.5g基剤樹脂/1.0gPGMEA、溶解速度調整剤5−ノルボルネン−2−カルボン酸のtert−ブチルエステルのコオリゴマー、及び合成実施例11からの5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンを0.115g調整剤/1.0gPGMEA、並びに光酸発生剤、又はPAG(ペルフルオロ−1−ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム)0.05gPAG/1.0gPGMEAの溶液として調製した。次いでこれらの成分を十分な更なるPGMEAと混合して、20%の調整剤及び1%の光酸発生剤からなる最終溶液を形成した。
【0214】
シリコンウエハ<1,0,0>を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)をウエハ上に500rpmで10秒間、続いて2000rpmで60秒間スピンすることによって前処理した。次いでウエハを130℃で90秒間の軽いベークによって乾燥した。樹脂/調整剤/PAGの試料を、約2mLをウエハの中心に適用し、そして500rpmで10秒間、続いて2000rpmで60秒間スピンすることによってウエハ上にキャストした。これらの試料を、130℃で120秒間軽くベークし、そして冷却させた。
【0215】
画像を、248nmの中心波長及び10nmの半値幅(FWHM)を持つDUV帯域フィルターを備えたOriel 87000系列のHg−Xeフラッド露光装置で試料を照射することによって得た。次いで試料を石英マスク(LSIフォトマスク)上のクロムを通して500mJ/cm2の強度で露光した。130℃で120秒間の露光後ベークを適用し、この時点で潜増が現れた。次いで試料を水酸化テトラメチルアンモニウムの溶液(0.26N)中に60秒間浸漬し、続いて脱イオン水中で洗浄し、そして窒素の流れで乾燥した。
【0216】
SEM顕微鏡写真をHitachi 3500H走査電子顕微鏡(SEM)で得て(図3A、3B及び3C参照)、これは約80ミクロンの線の幅を示した。SEMは、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量%の実施例11からの溶解速度阻害剤を含有したフィルムから得られた画像を示す。
【0217】
作像実施例2
この実施例は、合成実施例16の溶解速度調整剤を使用した作像を証明する。この実施例は、合成実施例16からの溶解速度調整剤を使用した以外は、作像実施例1の繰返しであった。図4A、4B、及び4Cは、約200ミクロンの線の幅を示す。
【0218】
SEMは、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量パーセントの実施例16からの溶解速度阻害剤を含有するフィルムから得られた画像を示す。
【0219】
作像実施例3
この実施例は、合成実施例12の溶解速度調整剤を使用した作像を証明する。この実施例は、合成実施例12からの溶解速度調整剤を使用した以外は、作像実施例1の繰返しであった。
【0220】
図5A、5B、及び5Cは、約75ミクロンの線の幅の、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量パーセントの実施例12からの溶解速度阻害剤を含有するフィルムから得られた画像のSEMを示す。
【0221】
作像実施例4
この実施例は、合成実施例13の溶解速度調整剤を使用した作像を証明する。この実施例は、合成実施例13からの溶解速度調整剤を使用した以外は、作像実施例1の繰返しであった。
【0222】
図6A、6B、及び6Cは、約50ミクロンの線の幅の、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量%の実施例13からの溶解速度阻害剤を含有するフィルムから得られた画像のSEMを示す。
【0223】
作像実施例5
この実施例は、合成実施例14の溶解速度調整剤を使用した作像を証明する。この実施例は、合成実施例14からの溶解速度調整剤を使用した以外は、作像実施例1の繰返しであった。
【0224】
図7A、7B、及び7Cは、約50ミクロンの線の幅の、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量%の実施例14からの溶解速度阻害剤を含有するフィルムから得られた画像のSEMを示す。
【0225】
作像実施例6
これは、実施例11の溶解速度調整剤を使用した作像実施例である。試料及びウエハは、作像実施例1のように調製され、そして処方された。
【0226】
電子ビーム露光を、25keVの加速電位で10ピコアンペアの書込み電流でおこなった。露光の直後、試料をチャンバーから排出し、そしてホットプレートに移した。露光後ベークは、130℃で2分間であった。試料を0.26Nの水酸化テトラメチルアンモニウム中で現像した。
【0227】
図8A(10μC/cm2工程)、8B(5μC/cm2工程)、及び8C(20及び30μC/cm2工程)は、得られた約2ミクロンの線の幅を示す。
作像実施例7
これは、実施例14の溶解速度調整剤を使用した作像実施例である。試料及びウエハは、作像実施例5のように調製され、そして処方された。
【0228】
電子ビーム露光を、25keVの加速電位で10ピコアンペアの書込み電流でおこなった。露光の直後、試料をチャンバーから排出し、そしてホットプレートに移した。露光後ベークは、130℃で2分間であった。試料を0.26Nの水酸化テトラメチルアンモニウム中で現像した。
【0229】
図9A(10μC/cm2工程)及び9B(50μC/cm2工程)は、得られた画像を示す。
作像実施例8
HMDSで一次処理されたシリコンウエハを、実施例F1の手順によって、15重量パーセントの溶解速度阻害剤(実施例36からのHFANB、アリルHFA、及び5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステルのメトキシメチルエーテルで保護されたターオリゴマー)及び全ポリマーの2重量パーセントのペルフルオロブタンスルホン酸(ノナフラート)トリフェニルスルホニウムと処方された、ビニル付加HFANBのホモポリマー(Mw=4000、Mw/Mn=1.60)のPGMEA溶液でスピンコートした。このフィルムをUV照射(248nm、100mJ/cm2)で石英マスクを通して露光し、続いて90秒間の露光後ベークを130℃で行った。次いでウエハを90秒間0.26NのTMAH水溶液で現像した。高解像度のポジ型画像が得られた。
【0230】
光学密度実施例1
この実施例は、10%の実施例14の溶解速度調整剤を伴うHFANBホモポリマー基剤樹脂の光学密度を評価する。基剤ポリマー、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw8870、Mn4880)の、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の20重量パーセントの溶液を、2.54cm(1インチ)の石英ウエハ上に、0.2ミクロンのTEFLON(登録商標)シリンジフィルターを通して施し、そして500rpmで10秒間、そして2000rpmで60秒間スピンした。次いでウエハを60秒間130℃でベークした。
【0231】
第2の溶液を、基剤ポリマーの10重量%の実施例14からの溶解速度調整剤を混合物に加えた以外は、同様な方法で調製した。この溶液の薄いフィルムを上記と同様な方法で調製した。
【0232】
光学的吸収度を、193nmでCary 400走査UV−Vis分光光度計を使用して測定した。フィルムの厚さを、フィルムを採点した後、TENCOR粗面計を使用して測定した。次いでフィルムの光学密度を、吸光度を厚さ(ミクロン)で割って計算した。
【0233】
第1の、即ち、溶解速度調整剤が加えられていないフィルムの光学密度は、0.028吸光単位/ミクロンであった。第2の、即ち、10重量パーセントの実施例14からの溶解速度調整剤を加えられたフィルムの光学密度は、0.049吸光度単位/ミクロンであった。
【0234】
光学密度実施例2
ビニル付加HFANBのホモポリマー(Mw=4000、Mw/Mn=1.60)を、0、2、5、8、12、及び15重量パーセントの溶解速度紫外剤(メトキシメチルエーテルで保護された、合成実施例36からのHFANB、アリルHFA、及び5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステルのターオリゴマー、並びに使用された全ポリマーの2重量パーセントのペルフルオロブタンスルホン酸(ノナフラート)トリフェニルスルホニウムと処方した。溶液を0.2μmのTEFLON(登録商標)フィルター通して2回通過させてから、HMDSで一次処理したウエハに沈積した。ウエハを500rpmで10秒間、続いて2000rpmで60秒間スピンした。次いでウエハを130℃で90秒間軽くベークした。ウエハの一部をUV照射(248nm、515mJ/cm2)に暴露し、続いて90秒間130℃で暴露後ベークした。0.26NのTMAH水溶液中のフィルムの露光及び非露光部分の溶解速度(nm/秒)を、光学干渉法を使用して測定した。Meyerhoferプロットとして知られる、溶解速度の対数で表示されるこの研究の結果を、図5に示す。
【0235】
これらの結果は、酸に不安定な基で保護された本発明のオリゴマーが、真実に非露光区域の基剤ポリマーの溶解速度を抑制し、そして露光区域の基剤ポリマーの溶解速度を加速することを明確に示す。
【0236】
本発明は、その特別の態様の具体的な詳細に関して説明されてきた。このような詳細が、これらが特許請求項に含まれる限り、そしてその範囲を除き、本発明の範囲の制約と考えられることは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】図1は、従来の技術の可能性のある溶解速度調整剤の構造を示す。
【図2】図2は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図3】図3A、3B、及び3Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図4】図4A、4B、及び4Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図5】図5A、5B、及び5Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図6】図6A、6B、及び6Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図7】図7A、7B、及び7Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。そして
【図8】図8A、8B、及び8Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図9】図9A及び9Bは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図11】図11は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図12】図12は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図13】図13は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図14】図14は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図15】図15は、本発明の溶解速度調整剤を製造するために使用することができるモノマーの構造を示す。
【図16】図16は、本発明によって使用することができるα,α−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−エタノール(HFANB)型モノマーから誘導された酸に不安定な繰返し単位の構造を示す。
【図17】図17は、本発明によって使用することができる1−ビス(トリフルオロメチル)−3−ブテン−1−オール(アリルHFA)型モノマーから誘導された酸に不安定な繰返し単位の構造を示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連する出願との相互参照
本出願は、2003年2月20日に出願された“Dissolution Rate Modifiers for Photoresist Composition”と題する米国特許仮出願60/448,612及び2003年10月17日に出願された“Dissolution Rate Modifiers for Photoresist Composition”と題する米国特許仮出願60/512,126に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、一般的にフォトレジスト組成物のための溶解速度調整剤に、そして更に具体的には、酸に不安定なペンダント基を有する適度に低分子量の分子を含んでなる溶解速度調整剤に関する。
【0003】
2.関連技術の説明
I線(365nm)及びG線(436nm)照射のために、ジアゾナフトキノン及びノボラック(DNQ−ノボラック)に基づく多成分ポジ型フォトレジストが、電子工業界で普通に使用されている。この場合、DNQは、ノボラックポリマー結合剤又は基剤樹脂に対する溶解速度調整剤(DRM)として作用する。従って、DNQ−ノボラックを含んでなるポジ的に作用する(又はポジ型)のスピンコートされたフィルムの非露光区域は、典型的には水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液である現像剤中に溶解することが妨害される。然しながら、照射された場合、DNQは、光化学反応を受け、水の存在中でカルボン酸誘導体を形成する。この酸は、実際上ポジ的に作用するノボラックポリマー結合剤樹脂の水性のTMAH中への溶解を促進する。この種類の溶解速度の挙動は、当技術においてMeyerhoferプロットと呼ばれる、フィルムの露光及び非露光区域の両方に対する加えられたDNQの関数として図式的に表現することができる。
【0004】
1980年代に、より微細な形状を製造するためのIから248nmの波長のG線への一般工業界の転換に応じて、そしてより敏感なフォトレジストを要求する生産性の需要に応えて、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(PHS)結合剤樹脂誘導体に基づく多成分の化学的に増幅されたポジ型フォトレジストが開発された。PHS結合剤樹脂は、PHSに、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(又はPGMEA)のような有機溶媒中の溶解度を与える酸に不安定な基で保護されている。典型的には、この種類のフォトレジストは、光子を吸収し、分解し、そして最終的にプロトンを生じる化合物である光酸発生剤(又はPAG)と共に処方される。次いでプロトンは、加熱によって、結合剤樹脂の酸に不安定な基を触媒的に脱保護して、ウエハの露光された領域に、脱保護された結合剤樹脂及びもう一つの当量の酸を形成する。次いで酸は、次の酸に不安定な基を脱保護する。この過程は、多くの酸に不安定な基が脱保護されるまで継続する。この様式で、最初の光化学的事象が、化学的に増幅される。
【0005】
次いでフォトレジストを含有するウエハは、水性TMAHで現像され、これは、露光された領域を溶解し、シリコンウエハ上に3Dのレリーフパターンを与える。一つのこのような例示的PAGは、トリフェニルスルホニウムノナフレート(nonaflate)である。このような化学的に増幅される248nmのポジ的に作用するフォトレジストの感受性は、処方中に溶解速度調整剤(DRM)を組込むことによって向上された。ポジ的に作用する処方において、これらのDRMは、非露光領域の溶解速度を抑制し、そして理想的には露光された領域の溶解速度を向上するように作用するものである。
【0006】
より小さい形状の大きさに対する需要が1990年代後半に起こったために、工業界は、193nmの照射に対する化学的に増幅されるフォトレジストを開発することによって対応した。不幸にも、この波長において、PHS誘導体は不透明すぎる。候補者として考えられる四つのポリマー結合剤樹脂のプラットフォームが193nmにおいて十分な透明度を示すことが同定された。これらは、アクリル酸ポリマー、環式オレフィン/無水マレイン酸コポリマー、環式オレフィン/無水マレイン酸/アクリル酸ターポリマー、及びビニル付加環式オレフィンポリマーであった。これらのポリマーの全ては、ポリマーの骨格に酸に不安定な基を追加することによって化学的に増幅されるフォトレジストとして開発された。上述した248nmのフォトレジストに場合のように、193nmのポジ型レジスト処方に使用されたDRMは、非露光領域の溶解速度を抑制し、これは膜減り量を制約した。このような193nmのフォトレジストのために開発されたDRMのいくつかの例は、コール酸、デオキシコール酸、ウルソコール酸及びリトコール酸から誘導された胆汁酸エステルを含む。これらの化合物の脂肪族炭化水素的特質は、193nmにおいて高い透明度を与え、そしてその多環式構造及び低い炭素と水素の比は、これらが良好なドライエッチング耐性を示すべきであることを示唆する。
【0007】
次の世代の光リソグラフィーに対して、157nmにおける露光が最も使用される可能性がある。この波長において、193nmで使用された結合剤樹脂は、不透明すぎ、そして従って使用不可能である。同様に、先に記載したようなコール酸エステル又は多環脂肪族化合物のようなDRMは、不透明すぎるものである。例えば図1に例示した構造のいくつかのフッ素化された化合物は、157nmにおいてDRMとして作用するために十分に透明でありうる。
【0008】
理想的なDRMは、以下の基準に合致するものである:
・非露光状態のレジストの溶解を抑制する
・露光状態のレジストの溶解を増加する
・光学密度を低下するか、又は少なくとも増加しない
・エッチング耐性を増加するか、又は少なくとも減少しない
・エッチング後、表面の粗さを減少するか、又は少なくとも増加しない
・結合樹脂と親和性である、即ち相分離しない。
【0009】
更に、理想的なDRMは、適用後ベーク又は露光後ベーク中のフォトレジストフィルムからの蒸発を受けないものである。然しながら、上記の化合物に見られるような光学密度を低く保つためのフッ素の導入は、多くの場合化合物の揮発性を増加する。
【0010】
化学的に増幅されるレジストが、使用される波長に関わらず、自己アニール性である能力を有する必要があることが文献において知られている。即ちフォトレジストフィルムがある温度、典型的にはそのガラス転移温度より上に加熱された場合、フィルムは稠密化し、そして存在する自由空間の量を減少させる。これは重要である。なぜなら、より少ない自由空間を含有するフィルムは、フィルムを通して移動し光化学的に発生した酸をクエンチし、それ故、作像に必要な脱保護の化学反応を停止することができるアミンのような空気中の塩基に対する感受性がより少ないからである。然しながら、化学的に増幅されるフォトレジストフィルムは、酸に不安定な基の分解温度近辺に加熱することはできない。従って、フォトレジストフィルム中の結合剤樹脂のガラス転移温度が、結合剤樹脂の酸に不安定な基の熱分解温度(典型的には200℃〜220℃間)より低いことが重要である。ビニル付加環式オレフィンポリマーのガラス転移温度は、300℃を十分に超えることができる。従って、フォトレジスト結合剤樹脂のガラス転移温度を低下するDRMのような添加剤が好ましいものである。
【0011】
Varanasiらへの米国特許第6,124,074号は、酸で触媒されたポジ型のフォトレジスト組成物を開示し、これは、193nmの照射で作像可能であり、そして環式オレフィンポリマー、光酸発生剤及び複数の酸に不安定な連結基を含有する、疎水性の非ステロイド系多環脂肪族成分の組合せの使用によってフォトレジスト構造を形成するために現像可能である。環式オレフィンポリマーは、好ましくは、i)極性官能分子を有する環式オレフィン単位、及びii)アルカリ水溶液中の溶解性を阻害する酸に不安定な分子を有する環式オレフィン単位を含有する。
【0012】
Goodall等への米国特許第6,136,499号は、光酸開始剤及びペンダントの酸に不安定な基を含有する繰返し単位を含んでなる多環式ポリマーを含む照射感受性フォトレジスト組成物を開示している。作像照射源に露光した場合、光酸開始剤は酸を発生し、これはペンダントの酸に不安定な基を開裂し、ポリマー中の複数の変化を起こす。ポリマーは、作像源に露光された区域で水性の塩基中に可溶となる。
【0013】
然しながら、先に記載したフォトレジスト組成物のいずれもは、157nmの光で使用した場合、上記に記述した理想的なDRMの基準に合致しない。従って、157nmで理想的なDRMの特徴を提供するフォトレジスト組成物に対する必要性が、当技術において存在する。
【0014】
概要
本発明の例示的な態様は、以下の式A、B、C,D及び/又はE:
【0015】
【化1】
【0016】
の一つ又はそれより多くによるモノマーから誘導される繰返し単位を包含するオリゴマーを含む溶解速度調整剤を提供する。
本発明の態様によるオリゴマーは、式A、B、C,D又はEによるモノマーの一つ又はそれより多くを包含するモノマーから誘導される繰返し単位を包含し、但し、Aが存在しない場合、Eが含まれなければならず、そして存在するいずれもの他のモノマーは、B、C及びDからのみ選択され、更にDが選択された場合、B又はCの一つも更に選択されなければならないことを条件とする。式A〜Eにおいて、mは、0〜5の整数であり;Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、又は−NH−であり、式中、少なくとも一つのR1、R2、R3、R4置換基は、独立に、酸に不安定な基によって所望により保護された1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたカルビノールであり;そして残りのR1、R2、R3、及びR4は、独立に、水素、ハロゲン、或いは1〜約20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に、0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルである。少なくとも一つのR5、R6、R7、又はR8は、独立に酸に不安定な部分を含有し、そして残りの1以上のR5、R6、R7、又はR8は、独立に水素、ハロゲン、又は1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に、0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルである。R9、R10、R11、又はR12基は、水素原子、ハロゲン、1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、及び任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有し、そしてエポキシ、ヒドロキシ、及び/又はカルボン酸官能基を所望により含有するヒドロカルビルから独立に選択される。アリル的モノマーにおいて、Yは、酸に不安定な基によって所望により保護された1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたカルビノールであり、そしてXは、OH、CN、OC(O)R13、C(O)OR13、OR13、N(R13)2であり、ここでR13は、1〜約12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分枝鎖又は環式の脂肪族ヒドロカルビル基であり、そして所望により前記ヒドロカルビルの少なくとも一つの炭素原子は、1、2、又は3個のフッ素原子を含有する。オリゴマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された約3000より少ない重量平均分子量(Mw)を有する。
【0017】
本発明の他の例示的な態様は:
I)式A〜Eによる1以上のモノマーを含んでなるモノマー混合物を形成すること;
II)フリーラジカル開始剤を、前記モノマー混合物に重合を起こすために十分な量で加えること;
III)前記開始剤が重合を起こすことができる温度にII)の混合物を加熱すること;
を含む先に記載したオリゴマーを製造する方法、並びに得られたオリゴマーを提供する。
【0018】
本発明の更なる例示的な態様は:
i)本質的に少なくとも一つの式A、B、及び/又はCのモノマーによる1以上のモノマー及びエチレン的に不飽和な物質からなるモノマー混合物を形成すること;そして
ii)Ni錯体の添加が、Ni錯体に配位結合することが可能な15族及び16族元素を含有する準安定なキレート化リガンドの添加を必要とする、Ni又はPd錯体を含有する触媒を、モノマー混合物に加えること;
を含む先に記載したオリゴマーを製造する方法、並びに得られたオリゴマーを提供する。
【0019】
本発明のもう一つの例示的な態様は:
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)官能基を含有する架橋剤;
D)架橋剤中の官能基と反応性である官能基を含有する1以上のネガ型作像ポリマー樹脂;及び
E)先に記載した溶解速度調整剤;
を含むネガ型フォトレジスト組成物を提供する。
【0020】
本発明の例示的な態様は、更に:
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)照射に露光された場合に開裂し、ポリマーを、非露光ポリマーより現像剤に更に溶解性であるようにすることができる基を含有する分子を含有する官能基を含む1以上のポジ型作像ポリマー;及び
D)先に記載した溶解速度調整剤;
を含むポジ型フォトレジスト組成物をも提供する。
【0021】
本発明の例示的な態様は:
(a)サブストレートを、先に記載したネガ型フォトレジスト組成物又はポジ型フォトレジスト組成物を含有するフィルムでコーティングして、フィルムを形成すること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させて、画像を形成すること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;そして
(d)画像を現像すること;
を含むポジ型又はネガ型レジストの画像を生成する方法を更に提供する。
【0022】
本発明の例示的な態様は:
(a)先に記載したネガ型又はポジ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;
(d)画像を現像して、サブストレートを露出させること;そして
(e)サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること;
を含む集積回路の組立て方法、並びに先に記載した方法によって提供された集積回路を含む集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボードを更に提供する。
【0023】
本発明の例示的な態様によって更に提供されるものは:
(a)先に記載したポジ型又はネガ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;
(d)画像を現像して、サブストレートを露出させること;そして
(e)サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること
を含む集積回路を組立てる方法、並びに先に記載した方法によって提供された集積回路を含む集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボードである。
【0024】
例示的な態様の説明
他に示さない限り、本明細書中で使用される成分の量、反応条件、等に言及する全ての数字、値及び/又は表現は、全ての場合用語“約”によって修飾されていると理解されるべきである。
【0025】
各種の数字的範囲が、本特許出願において開示される。これらの範囲は連続しているために、これらは、それぞれの範囲の最小ないし最大値間のあらゆる値を含んでいる。他に明確に示されない限り、本明細書及び特許請求項中に規定される各種の数字的範囲は、このような値を得ることにおいて遭遇する各種の測定の不確実さを反映した概数である。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語“オリゴマー”は、付加反応から形成された分子又は分子の混合物を指す。本発明中で使用されるようなオリゴマーの非制約的例は、2以上の多環式オレフィンモノマーの相互の、及び所望により、少なくとも一つの多環式オレフィンモノマーともう一つのエチレン的に不飽和なモノマー及び/又は連鎖移動剤との付加から得られる分子である。多くの態様において、本発明によるオリゴマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレンを標準として使用してTHF中で決定されるような約3,000より少ない数平均分子量(Mn)を有するものである。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語“硬化”(又は“硬化すること”)は、得られたフィルムの所望する物理的及び化学的特性の発生となる光定義可能な誘電性組成物の成分の架橋を指すことを意図し、このようなものの非制約的例は、低い誘電率、低い水分取込み特性、低い引張応力及び化学薬品に対する耐性である。ポリマー組成物を加工する場合、組成物は、一つの加工工程で部分的に硬化され、そしてその後の加工工程で硬化は‘完結’する。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語“多環式オレフィンモノマー”は、少なくとも二つの分子内配置された環構造及び重合可能な二重結合を含有する分子を指す。本発明による多環式オレフィンモノマーの非制約的例は、ノルボルネン型又は以下の式:
【0029】
【化2】
【0030】
に示すような少なくとも一つのノルボルネン部分を含有するノルボルネン官能性モノマーを含む。
更なる非制約的例として、本発明による簡単な多環式モノマーは、普通ノルボルネンと呼ばれる二環式モノマー、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンである。使用される場合、酸に不安定な官能基は、以下の式(I):
【0031】
【化3】
【0032】
に記述される、1以上の酸に不安定な置換された多環式モノマーを含む反応媒体を重合することによってポリマー鎖に導入することができ、式中、Z及びmは、以下で定義され、そしてRp、Rq、Rs及びRtは、独立にH、ヒドロカルビル、フッ素化されたヒドロカルビル又は酸に不安定な官能基を含有する基である。
【0033】
本開示の文脈から、用語“低分子量”が、約150〜3000間の分子量を持つ分子であることは理解されるものである。
本明細書中で使用される場合、“ヒドロカルビル”は、炭素(多くの場合1〜約20個の炭素原子)及び水素のみを含有する基のラジカルを指し、非制約的例は、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、及びアルケニルである。用語“フッ素化されたヒドロカルビル”は、各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を指す。
【0034】
本明細書中で使用される場合、“アルキル”は、例えばC1〜C25の炭素鎖の長さを有する直鎖又は分枝鎖の非環式或いは環式の飽和の炭化水素基を指す。適したアルキル基の非制約的な例は、−(CH2)3CH3、−(CH2)4CH3、−(CH2)5CH3、−(CH2)10CH3、−(CH2)23CH3、及びシクロヘキシルを含む。用語“アルキロイル”は、1以上のヒドロキシル基を含むアルキル基を指す。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語“アリール”は、制約するものではないが、フェニル、ビフェニル、ベンジル、キシリル、ナフタレニル、アントラセニル等のような基を含む芳香族基、並びに制約するものではないが、ピリジニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、等を含む複素環式芳香族基を指す。
【0036】
本明細書中で使用される場合、“アルカリール”は、少なくとも一つのアリール基、例えばフェニルで置換され、そしてC2〜C25のアルキル炭素鎖の長さを有する直鎖又は分枝鎖の非環式アルキル基を指す。アリール基は、所望する場合更に置換されていることができる。アリール基に対する適した置換基の非制約的例は、制約されるものではないが、ヒドロキシル基、ベンジル基、カルボン酸基、及び脂肪族炭化水素基を含む。
【0037】
本明細書中で使用される場合、“アラルキル”は、少なくとも一つの直鎖又は分枝鎖の非環式アルキル基で置換されたアリール基、例えばC2〜C25の炭素鎖の長さを持つアルキル置換基を有するフェニルを指す。アリール基は、所望する場合更に置換されていることができる。アリール基に対する適した置換基の非制約的例は、ヒドロキシル基、ベンジル基、カルボン酸基、及び脂肪族炭化水素基を含む。アルキル基は、ハロゲンで置換されていることができる。
【0038】
本明細書中で使用される場合、“アルケニル”は、1以上の二重結合を有し、そしてC2〜C25のアルキレンの炭素鎖の長さを有し、そして芳香族の特質を有しない直鎖又は分枝鎖の非環式或いは環式の炭化水素基を指す。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語“ノボラック樹脂”及び同様な用語は、アルデヒド及び一価又は多価のフェノールの縮合によって得られる樹脂の普通に知られたファミリーを指す。
【0040】
本発明の態様は、基剤樹脂又はポリマー結合剤、光酸発生剤(PAG)、適したスピン用溶媒、塩基クエンチ剤及び増感剤のような添加剤、並びに1以上の以下に記述する置換された基をその上に含有する光学的に透明なDRMを含むフォトレジスト組成物を指向する。
【0041】
本発明の概念によれば、フッ素化された環式オレフィン繰返し単位を含有する低分子量オリゴマーは、フォトレジストの、特に193nm及び157nmの光リソグラフィーのために製造された環式オレフィン基剤結合剤樹脂のための溶解速度調整剤として使用される。このようなオリゴマーは、ホモオリゴマーであることができるが、本発明の多くの態様において、コオリゴマーが使用される。従って、提供されるものは、非露光状態におけるフォトレジスト組成物の溶解速度を抑制し、そしてフォトレジスト結合樹脂又はポリマーの露光された状態におけるフォトレジスト組成物の溶解速度を増加するオリゴマー又は(コ)オリゴマーと記されるコオリゴマーのDRMである。
【0042】
本発明による特別な態様は、157nm及び183nmの光で使用された場合、先に記述した理想的なDRMの基準に合致するフォトレジスト組成物を提供することを指向する。この態様において、フォトレジスト組成物は、1以上の多環式オレフィンモノマーのオリゴマーを含む。
【0043】
本発明のいくつかの態様によるオリゴマーのDRMは、フッ素化された酸に不安定な基の置換基を有する少なくとも一つのモノマーから製造される。いくつかの態様において、(コ)オリゴマーは、フッ素化された酸に不安定な基の置換基を含む少なくとも一つのアリル型モノマー、例えば以下の式Eによるモノマーを含むモノマーから製造することができる。このようなアリルモノマーを含有する態様において、式A、B又はCによる少なくとも一つのノルボルネン型モノマーも更に含まれる。非制約的な例として、本発明の態様は、少なくとも一つのフッ素含有の酸に不安定な保護された式Aによる化合物、及び式Eによるアリル型モノマーのような直鎖オレフィンを包含することができる。本発明の態様は、使用されるモノマーが、フッ素化された酸に不安定な保護された置換基を含む式Aから誘導されたホモオリゴマーを含む。少なくとも一つの以下の式A:
【0044】
【化4】
【0045】
のモノマーについて考えると、式中、mは、0〜約5の整数であり;Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、又は−NH−を表し、そして式中、少なくとも一つの置換基、R1、R2、R3、又はR4は、独立に1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたアルキロイル分子であり、そして所望により、しかし多くの場合、光酸発生剤から発生される酸によって開裂可能な酸に不安定な基(即ち、遮断又は保護基)で保護されている。残りのR1、R2、R3、又はR4基は、独立に、水素原子、ハロゲン、又は、1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、或いはその任意の水素原子においてO、S、N、又はSi、等で置換された1〜約20個の炭素原子を有する置換されたヒドロカルビル基、或いは各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルから選択される。当技術において、そして文献において既知のいずれもの酸に不安定な基を、本発明において使用することができる。本発明の特別な態様において、酸に不安定な基を含有する分子は、R1、R2、R3、及び/又はR4中に含まれる。これらの態様において、酸に不安定な基を含有する分子は、−((CH2)nO)n’−CH2−C(OR’)(CF3)2を含むフッ素化された化合物を包含することができ、式中、R’は、酸に不安定な基であり、n及びn’は、0〜約10の整数であり、そしてR’は、制約されるものではないが、−CH2OCH3(ジメチルエーテル)、−CH2OCH2CH3(メチルエチルエーテル)、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、−CH2COO(t−Bu)、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル(Dcpm)、又はジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)基を含み、或いはR’は、−C(O)OR’’であり、ここでR’’は、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル(Dcpm)、又はジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)基、或いはこれらの組合せ;並びに−((CH2)n−C(O)OR##)のようなフッ素化されていない酸に不安定な基であり、式中、nは上記で定義したとおりであり、そしてR##は、C2−C10の直鎖、分枝鎖又は環式アルキル或いはシクロアルキルの酸に不安定な基であり、所望によりO、S、N、又はSi原子を置換基として、或いは異種原子を炭素−炭素鎖に沿って含有し、このようなものの非制約的な例は、t−ブチル及びメチルシクロペンチルである。本発明の特別な態様において、酸に不安定な基は、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、及び/又は−C(O)OC(CH3)3である。好ましくは、フッ素化されたR1、R2、R3、又はR4基の少なくとも約60%又は70%、そして多くの場合少なくとも約80%又は90%が酸に不安定な基によって保護されている。
【0046】
特別な態様において、式Aは、以下の式A1:
【0047】
【化5】
【0048】
を表し、式中、n及びR’は、上記で定義したとおりである。
いくつかの態様において、式Aは、以下の式:
【0049】
【化6】
【0050】
のような式A2、A3、又はA4の一つ又はそれより多くを表す。
本発明の一つの態様において、少なくとも一つの以下の式B:
【0051】
【化7】
【0052】
による更なるモノマーをコオリゴマーを形成するために使用することができる。
式Bにおいて、m及びZは、上記のとおりに定義され、そしてR5、R6、R7、及びR8の少なくとも一つは、独立に光酸発生剤から発生される酸によって開裂利可能である酸に不安定な分子を含有する。式Iに関して本明細書中で先に記述したもののような、文献において、そして当技術において既知のいずれもの既知の酸に不安定な基を本発明において使用することができる。残りの1以上のR5、R6、R7、又はR8基は、独立に水素、又は1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子において、O、S、N、又はSi、等で置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルであることができる。
【0053】
本発明の特別な態様において、式Bのモノマーは、以下の式B1:
【0054】
【化8】
【0055】
によって表される。式B1において、n’’は、0〜5の整数であり、そしてRa、Rb、及びRcは、独立にC1〜約C20の直鎖又は分枝鎖のヒドロカルビル基を表すか、或いはここでこれらが接続している共通の炭素といっしょに選択されたRa及びRbは、4〜12個の炭素原子を含有する飽和の環式基を表すことができる。
【0056】
いくつかの態様において、酸に不安定な基を含有する式Bのモノマーは、以下の式B2:
【0057】
【化9】
【0058】
によって表されるモノマーであることができ、式中、Rxは、第三ブチル基又はメチルシクロペンチル基である。
本発明の更なる態様において、以下の式C:
【0059】
【化10】
【0060】
によって記載されるようなもう一つの所望によるコモノマーを使用することができる。式Cにおいて、m及びZは、上記のように定義され、そしてR9〜R12は、得られたコオリゴマーの親水性を調節することができるように独立に選択される。R9、R10、R11、又はR12は、独立に水素原子、ハロゲン、又は1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子において、O、S、N、又はSi、等で置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビルであることができる。R9〜R12が、本質において実質的に炭化水素である場合、得られたポリマーの親水性は低く、一方R9〜R12が、実質的に異種原子を含有する場合、得られたポリマーの親水性は増加する。従って、R9、R10、R11、又はR12の少なくとも一つは、エポキシ、ヒドロキシル、及び/又はカルボン酸官能基を所望により含有することができる。式A、B又はCによるそれぞれのモノマーが、それぞれが、少なくとも部分的に、ノルボルネン構造を有することにおいて、ノルボルネン型モノマーであることは理解されるものである。
【0061】
本発明の更なる態様は、本発明による溶解速度調整剤中に含めることができるもう一つのモノマーを指向する。この態様において、少なくとも一つの以下の式D:
【0062】
【化11】
【0063】
の官能性のアリル型モノマーが含まれる。式Dにおいて、Xは、OH、CN、OC(O)R13、C(O)OR13、OR13、又はN(R13)2を表し、ここでR13は、1〜約12個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖或いは環式脂肪族ヒドロカルビル基であり、そして所望により前記ヒドロカルビルの少なくとも一つの炭素原子は、1、2、又は3個のフッ素原子を含有することができる。この態様の好都合な化合物は、アリルアルコール、アリルニトリル、及びシアン化アリルを含む。
【0064】
先に記述したように、溶解速度調整剤のコオリゴマーを製造するために使用することができるもう一つのフッ素化されたモノマーは、以下の式E:
【0065】
【化12】
【0066】
によって表される少なくとも一つのアリル型モノマーであり、式中、Yは、1〜約10個の炭素原子を有し、そして光酸発生剤から発生された酸によって開裂可能である酸に不安定な基によって所望により保護されることができるフッ素化されたカルビノール分子である。適した酸に不安定な基の例は、当技術において、そして文献において既知であり、そして更に式Aの酸に不安定な基に関して本明細書中で先にも記述され、そして従って、Yは、nが、0〜10の整数であり、そしてR’が、制約されるものではないが、−CH2OCH3(ジメチルエーテル)、−CH2OCH2CH3(メチルエチルエーテル)、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル(Dcpm)、又はジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)基を含む−(CH2)n−C(OR’)(CF3)2、或いはR’’が、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル(Dcpm)、又はジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)基である−C(O)OR’’、或いはこれらの組合せを含む。これらの酸に不安定な基の中で、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−C(O)OC(CH3)3が好都合である。
【0067】
本発明のいくつかの態様において、フッ素化されたアリル型モノマーは、以下の式E1又はE2:
【0068】
【化13】
【0069】
によって定義され、式中、Meはメチルである。
本発明のいくつかの態様において、オリゴマー又はコオリゴマーの溶解速度調整剤は、式Aのフッ素化されたノルボルネン型モノマー、或いは式B及び/又は式Cのモノマーを伴う式Eのフッ素化された型のモノマーのいずれかから誘導され、但し、少なくとも大部分の、好ましくは少なくとも約60%、ある場合には約70%、他の場合には少なくとも約80%、そしてある状況では約90%のフッ素化されたカルビノール基が、酸に不安定な基によって保護されることを条件とする。
【0070】
各種のフッ素化されたカルビノールモノマーは、酸に不安定な基を直接フッ素化されたカルビノールモノマーに加え、そしてその後、それを(コ)オリゴマー化するか、或いは最初にフッ素化されたモノマーをオリゴマー化して、オリゴマー又はコオリゴマーを形成し、そしてその後、それを化合物と反応させて、前述の酸に不安定な化合物を形成するかのいずれかによって保護することができる。この後者の方法は、事後オリゴマー化保護と呼ばれ、ここにおいてヒドロキシルの水素が、保護する酸に不安定な基によって置換される。
【0071】
本発明の一つの態様において、式A〜Eによるモノマーは、図15のモノマーの構造A〜Jの一つ又はそれより多くを含むことができる。
本発明のオリゴマーのDRMは、適当な標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される、一般的に約150〜約3,000、そして好ましくは約500〜約2,000の比較的低い重量平均分子量を示す。一般的にコオリゴマーであるオリゴマーのDRMは、従って式A〜Eによって表される1以上のモノマーから誘導される多数の繰返し単位を含有する。このようなオリゴマーのDRMは、このようなオリゴマーのDRMが、式D及びEによるモノマーのみを有することができない場合、式A又はEのいずれかから誘導されるフッ素化された酸に不安定な基のモノマーを含んでならなければならない。従って、本発明の態様によるオリゴマーのDRMは、式A、B、C、D又はEによるモノマーの一つ又はそれより多くを包含するモノマーから誘導される繰返し単位を包含し、但し、Aが存在しない場合、Eが含まれなければならず、そして存在するいずれもの他のモノマーは、B、C及びDからのみ選択されることを条件とし、更にDが選択された場合、B又はCの一つも更に選択されなければならないことを条件とする。式Aのモノマーの繰返し基の数は、ゼロ、又はDRMを形成する繰返し基の全数の約1%、又は約5%、又は約10%〜約90%、又は約95%、又は約99%又は100%、ある場合には約20%〜約85%、他の場合には少なくとも30%、ある状況では少なくとも40%〜70%まで、そしてある場合には約80%までであることができる。式(I)による繰返し基の数は、先に引用した値のいずれかの間で変化することができる。
【0072】
式E型のモノマーが使用されない場合、その繰返し基の数は、ゼロであり;さもなければ、DRMを形成する繰返し基の全数の約1%、又は約5%、又は約10%〜約85%、又は約90%、又は約95%、又は約99%の範囲であることができる。式Eによる繰返し基の数は、上記に引用した値のいずれかの間で変化することができる。先に記述したように、式Aのモノマーが使用されず、しかしフッ素化された式Eのモノマーのみが代わりに使用される場合、式Eのモノマーは、式Bのモノマー、又は式Cのモノマー、或いは両方と共に使用される。いずれの場合も、式Bのモノマー及び式Cのモノマーの量は、独立に、DRMを形成する繰返し単位の全数の0%、又は約1%、又は約5%〜約90%、又は95%、そして多くの場合約5%、又は約10%〜約50%である。式B及び/又は式Cによる繰返し基の数は、上記に引用した値のいずれかの間で独立に変化することができる。式Dのモノマーの量は、同様であることができ、これは、DRMを形成する繰返し単位の全数に基づいて0%、又は約1%、又は約5%〜約90%、又は約95%、そして好ましくは約5%、又は約10%〜約50%である。式Dによる繰返し基の数は、上記に引用した値のいずれかの間で変化することができる。
【0073】
式A及び式B〜Eによって表されるような各種のモノマーは、その上にR1〜R12、X及びYによって記述されるような各種の置換基を含有することができ、そしてDRMを形成する繰返し基の量及び種類は変化することができるために、本発明の境界及び範囲内に非常に多くの数の順列が存在することができることは明白である。
【0074】
本発明の特別な態様において、本発明の(コ)オリゴマーは、図16の構造A、B、及びCに示した式AによるHFANB型モノマーから誘導される酸に不安定な繰返し単位を含むことができる。更に、本発明の(コ)オリゴマーは、図17の構造A及びBに示した式EによるアリルHFA型モノマーから誘導される酸に不安定な繰返し単位を含むことができる。
【0075】
本発明の一つの特別な態様において、式C中のR9、R10、R11及びR12は、以下の基:
(a)式(II):
−R16−C(O)−W−R17 (II)
[式中、R16は、共有結合、ハロゲン化物を所望により含有することができるC1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、アルケニレン又はアルキニレンから選択され、;Wは、O、S、及びNR18から選択され、ここにおいてR18は、H、及びC1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキルから選択され;そしてR17は、H、ハロゲン化物を所望により含有することができるC1−C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル或いはアルキニル、並びに−OH、アルキル、アラルキル、及びアルカリール末端のポリ(アルキレンオキシド)基から選択される]
による基;及び
(b)式(III):
−A−O−[−(CR152−)q−O−]p−(CR152−)q−OH(III)
[式中、Aは、C1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択される連結基であり、存在する各R15は、H、メチル、エチル及びハロゲン化物から独立に選択され、qは、1〜5であり、そしてpは、0〜3である]
によるヒドロキシアルキルエーテル;
の一つから独立に選択することができる。
【0076】
本発明のもう一つの特別な態様において、式B中のR5、R6、R7、及びR8は、以下の式IV:
−R19−C(O)−O−R20 (IV)
による基から独立に選択され、式中、R19は、C1〜C12の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択され、そしてR20は、C1〜C22の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アラルキル、或いはアルカリール、及び以下の式(V):
−[−(CR152−)q−O−]p−R21 (V)
によるヒドロキシアルキルエーテルから選択され、式中、存在する各R15は、H、メチル、エチル及びハロゲン化物から独立に選択され;qは1〜5であり;pは1〜20であり;そしてR21は、C1〜C22の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アラルキル、或いはアルカリールから選択される。
【0077】
更にこの態様において、式Cによる多環式オレフィンモノマーは、更に以下の構造(VI):
【0078】
【化14】
【0079】
によるモノマーも含むことができ、式中、R22は、C1〜C8の直鎖及び分枝鎖アルキレンから選択され、そしてR23は、C1〜C8の直鎖及び分枝鎖アルキルから選択される。
【0080】
本発明の一つの態様において、多環式オレフィンモノマーは、制約されるものではないが、5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸の1−メチルシクロペンチルエステル、5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル、及び5−ノルボルネン−2−メタノール酢酸塩を含むことができる。
【0081】
本発明の一つの態様において、多環式オレフィンモノマーを、以下に更に詳細に記載されるようなNi又はPdを含有する触媒の存在中で反応させることによる方法による多環式オレフィンモノマーのオリゴマーが提供される。例示的なNi又はPd触媒の錯体は、Ni錯体において、Ni錯体に配位することが可能である15族及び16族元素を含有する準安定性のキレート化リガンドを必要とするNi又はPd錯体、及びエチレン的に不飽和の化合物を包含する。更にこの態様において、多環式オレフィンモノマーは、式A、B、及びCによる1以上のモノマーを含むことができる。従って、本発明の態様は:
i)本質的に少なくとも一つの式A、B、及び/又はCのモノマーによる1以上のモノマー及びエチレン性の不飽和な物質からなるモノマー混合物を形成すること;そして
ii)Ni錯体において、Ni錯体に配位結合することが可能な15族及び16族元素を含有する準安定なキレート化リガンドを必要とする、Ni又はPd錯体を含有する触媒を、モノマー混合物に加えること;
による先に記載したオリゴマーを製造する方法を提供する。
【0082】
本発明の一つの態様において、多環式オレフィンモノマーのオリゴマーは、式A、B、及びCの一つ又はそれより多くによる二つの多環式オレフィンモノマーを含有するオリゴマーを含む。更にこの態様において、多環式オレフィンモノマーのオリゴマーは、更に他のエチレン的に不飽和な物質の反応生成物を含むことができ、非制限的な例は、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、等である。
【0083】
本発明の一つの特別な例示的態様において、式A、B及び/又はCによる多環式オレフィンモノマーが使用される場合、多環式オレフィンモノマーのオリゴマーは、少なくとも80、ある場合には少なくとも85、そして他の場合には少なくとも90モルパーセントの、以下の式のコダイマー、式(VIIa)及びコトリマー、式(VIIb):
【0084】
【化15】
【0085】
の構造による、一つ又は二つの多環式オレフィンモノマー及びエチレンの反応生成物の混合物を包含し、式中、存在する各Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、O、S、及び−NH−から独立に選択され;存在する各mは、独立に0〜5の整数であり;そして存在する各Rjは、R1、R5又はR9から選択することができ;Rkは、R2、R6、又はR10から選択することができ;Rmは、R3、R7又はR11から選択することができ;そしてRnは、上記で定義したとおりのR4、R8又はR12から選択することができる。
【0086】
本発明の態様は、更に先に記載した方法から得られる多環式オレフィンモノマーのオリゴマーを提供する。
本発明のオリゴマーは、不飽和基を除去するために処理することができる。非制約的な例として、オレフィンを含有するオリゴマーは、過酢酸で処理することができる。過酢酸は、オレフィン基を、エポキシド及びその開環生成物に転換すると考えられる。
【0087】
本発明のいくつかの態様において、保護基がオリゴマーに加えられるものである。使用することができる例示的な保護基の非制約的な例は、メトキシメチルエーテル(MOM)、tert−ブチルカルボニルメチル、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、−CH2COO(t−Bu)、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、及びジシクロプロピルメチル(Dcpm)を含む。
【0088】
ニッケル錯体が使用される場合、このようなものは、有機ニッケル錯体カチオン及び弱く配位した対イオンを包含する。例示的なカチオン性ニッケル錯体は、米国特許第5,468,819号中に記載され、その関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。本発明の態様において、カチオン性ニッケル触媒錯体は、以下の式:
[L’yNiX∧z]WCA (VIII)
によって表され、式中、L’は、1、2、又は3個のオレフィン的π結合を含有するリガンドを表し;X∧は、1個のNi−Cσ結合及び0−3個間のオレフィン的π結合を含有するリガンドを表し;yは、0、1、又は2であり、そしてzは、0又は1であり、ここでy及びzは、両方が同時に0であることはできず;L’は、ニッケルに弱く配位された中性のリガンドである。L’に関して、如何なる一つの理論に束縛されるものではないが、このリガンドが比較的不活性であり、そして成長するポリマー鎖にモノマーを挿入することによって、金属カチオン錯体から容易に置換されると信じられる。適したリガンドは、制約されるものではないが、(C2〜C12)モノオレフィン(例えば、2,3−ジメチル−2−ブテン)、(C4−C12)ジオレフィン(例えば、ノルボナジエン)及び(C6〜C20)芳香族分子を含む。多くの場合リガンドLは、キレート化性の二座のシクロ(C6〜C12)ジオレフィン、例えばシクロオクタジエン又はジベンゾシクロオクタジエン、或いはベンゼン、トルエン、又はメシチレンのような芳香族化合物である。X∧は、いくつかの態様において、単一のアリルリガンド、又はσ及びπ結合を与えるその限界構造である。更に、本発明のいくつかの態様において、WCAは、以下に記載されるような弱く配位したアニオンである。本発明の特別な態様において、式(VIII)の錯体は、制約されるものではないが、[(アリル)Ni(1,4−シクロオクタジエン)]PF6、[(クロチル)Ni(1,4−シクロオクタジエン)]PF6、及び[(アリル)Ni(1,4−シクロオクタジエン)]SbF6を含む。
【0089】
本発明の一つの態様において、Ni触媒は、式Fによるキレート化性の準安定なリガンドを含み、ここで準安定は、a)Jeffery,J.C.;Rauchfuss,T.B.Inorg.Chem.1979,18,2658.b)Bader,A.;Lindner,E.Coord.Chem.Rev.1991,108,27.c)Slone,C.S.;Weinberger,D.A.;Mirkin,C.A.Prog.Inorg.Chem.1999,48,233に記載されているように、当業者によって理解される。
【0090】
【化16】
【0091】
式中、L∧は、15族元素(例えば、N、P、As、又はSbから選択される)を表し、E∧は、ORe、C(=O)Re、C(=O)OReを表し、ここでReは、C1−C24アルキル、アリール、アルカリール、及びアラルキルを表す。このようなリガンドの例は、制約されるものではないが、以下の式G−Q:
【0092】
【化17】
【0093】
【化18】
【0094】
によるものを含む。
更なる態様において、適した助触媒は、制約されるものではないが、(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン、R−(+)−(2’−メトキシ[1,1’−ビナフタレン]−2−イル)ジフェニルホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(m−メトキシフェニル)ホスフィン、及びこれらの混合物を含む。
【0095】
本発明の理論によって束縛されるものではないが、本発明のキレート化準安定リガンドが、準安定なキレート化リガンドの15族及び16族元素を経由してニッケルカチオン錯体に配位していると考えられる。準安定なキレート化リガンドは、16族元素より15族元素を経由してニッケルカチオン錯体に強く結合している。準安定なキレート化リガンドの16族元素部分は、このように溶液中で不安定であり、本発明のモノマーのニッケルカチオンへの接近を可能にすると考えられる。
【0096】
本発明の更なる例示的な態様は、パラジウム触媒錯体を使用する。パラジウム錯体は、中性であり、そして本明細書中に参考文献として援用される米国特許第6,455,650号中で開示されているような、弱く配位したアニオンの塩を伴った15族のリガンドを含有する。他のパラジウム錯体はカチオン性であり、そして弱く配位したアニオンが、いずれもの電荷と均衡するためにその中に組込まれた15族リガンドによって連結される。
【0097】
本発明の特別な態様は、trans−[Pd(NCMe)(OAc)(P(i−プロピル)3)2]B(C6F5)4、trans−[Pd(NCC(CH3)3)(OAc)(P(i−プロピル)3)2]B(C6F5)4、trans−[Pd(OC(C6H5)2)(OAc)(P(i−プロピル)3)2]B(C6F5)4、trans−[Pd(HOCH(CH3)2)(OAc)(P(I−プロピル)3)2]B(C6F5)4、trans−[Pd(NCMe)(OAc)(P(シクロヘキシル)3)2]B(C6F5)4、Pd(OAc)2(P(シクロヘキシル)3)2、Pd(OAc)2(P(I−プロピル)3)2、Pd(OAc)2(P(i−プロピル)2(フェニル))2、trans−[Pd(NCMe)(OAc)(P(シクロヘキシル)2(t−ブチル))2]B(C6F5)4及びこれらの混合物から選択される1以上の触媒を使用する。
【0098】
本発明の態様において、触媒の錯体は、以下の式:
[(E’(R)3)2Pd(Q)2] (IX)
によって表される。他の態様において、触媒の錯体は、以下の式:
[(E’(R)3)2Pd(Q)(LB)][WCA] (X)
によって表される。式(IX)及び(X)において、E’(R)3は、15族の中性電子供与体リガンドを表し、ここにおいてEは、元素の周期表の15族元素から選択され、そしてRは、水素又はアニオン性のヒドロカルビルを含有する分子を表し;Qは、カルボン酸、チオカルボン酸、及びジチオカルボン酸基から選択されるアニオン性リガンドを表し;LBは、ルイス塩基を表し;WACは、弱く配位するアニオンを表す。式IXによる触媒錯体が使用される場合、弱く配位されるアニオンの塩が加えられる。式Xによる触媒錯体が使用される場合、触媒の活性を増加するために、弱く配位するアニオンの塩を加えることができる。
【0099】
本明細書中で使用される場合、用語“弱く配位するアニオン”(WCA)は、一般的にパラジウムカチオンに弱くのみ配位されたアニオンを指す。これは、溶媒又はモノマーによって置換されるために十分に不安定である。更に具体的には、WCAアニオンは、パラジウムカチオンに対する安定化アニオンとして機能し、そしてカチオンに転移して中性の生成物を形成しない。WCAアニオンは、非酸化性、非還元性及び非求核性であることにおいて比較的不活性である。本明細書中で述べたように、中性の電子供与体は、その閉殻電子構造中のパラジウム金属中心から取除かれた場合、中性の電荷を有するいずれものリガンドである。更に、アニオン性ヒドロカルビル分子は、その閉殻電子構造中の15族元素E’から取除かれた場合、負の電荷を有するいずれものヒドロカルビル基である。更に、ルイス塩基は、電子密度(即ち、電子の一対)の供与体である。
【0100】
本発明によるいくつかの態様において、Eは、窒素、リン、砒素、及びアンチモンから選択され、そしてアニオン性のヒドロカルビルを含有する分子、Rは、制約されるものではないが、直鎖及び分枝鎖の(C1−C20)アルキル、(C3−C12)シクロアルキル、(C2−C12)アルケニル、(C3−C12)シクロアルケニル、(C5−C20)ポリシクロアルキル、(C5−C20)ポリシクロアルケニル、及び(C6−C12)アリールから独立に選択され、そしてEといっしょに選択された2以上のR基は、5〜24個の原子を含有する複素環又は多環式複素環を形成することができる。
【0101】
代表的なアルキル基は、制約されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、及びネオペンチルを含む。代表的なアルケニル基は、制約されるものではないが、ビニル、アリル、イソ−プロペニル、及びイソ−ブテニルを含む。代表的なシクロアルキル基は、制約されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチルを含む。代表的なポリシクロアルキル基は、制約されるものではないが、ノルボルニル及びアダマンチルを含む。代表的なポリシクロアルケニル基は、制約されるものではないが、ノルボルネニル及びアダマンテニルを含む。代表的なアリール及びアラルキル基は、制約されるものではないが、フェニル、ナフチル及びベンジルを含む。
【0102】
本発明の例示的な態様において、15族の中性の電子供与体リガンドは、ホスフィンから選択される。代表的なホスフィンリガンドは、制約されるものではないが、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−イソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びトリ−sec−ブチルホスフィンを含む。他の適したホスフィンリガンドは、米国特許第6,455,650号に例示され、その関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。
【0103】
二つのホスフィン基がいっしょに選択されて、ジホスフィンキレート化リガンドを形成することができることは認識されることである。例示的なジホスフィンキレート化リガンドは、制約されるものではないが、ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、及び1,5−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ペンタンを含む。他の適したジホスフィンリガンドは、米国特許第6,455,650号に例示され、その関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。
【0104】
パラジウム金属中心と組み合わされた、Qで定義されるアニオン性のカルボン酸、チオカルボン酸、及びジチオカルボン酸リガンドは、単座、対称二座、非対称キレート化二座、非対称架橋性、又は対称架橋性リガンドであることができる。
【0105】
本発明によるルイス塩基は、電子対を供与するいずれもの化合物であることができる。ルイス塩基は、水であることができ、或いは次の種類の化合物:アルキルエーテル、環式エーテル、脂肪族又は芳香族ケトン、第一アルコール、ニトリル、環式アミン特にピリジン及びピラジン、並びに亜リン酸トリアルキル又はトリアリールから選択することができる。
【0106】
例示的なルイス塩基リガンドは、制約されるものではないが、水、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ベンゾニトリル、tert−ブチルニトリル、tert−ブチルイソシアニド、キシリルイソシアニド、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、テトラメチルピリジン、4−メチルピリジン、ピラジン、テトラメチルピラジン、亜リン酸トリイソプロピル、亜リン酸トリフェニル、及びトリフェニルホスフィンオキシドを含む。ホスフィンも、これらが、本発明の単成分の前触媒の形成中の反応媒体に加えられる限り、更に例示的なルイス塩基として含めることができる。ルイス塩基ホスフィンの例は、制約されるものではないが、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、及びトリフェニルホスフィンを含む。
【0107】
式(X)のWCAは、ホウ酸塩及びアルミン酸塩、ボラトベンゼンアニオン、カルボラン、ハロカルボラン並びにホスファボランアニオンから選択される。代表的なホウ酸塩アニオンは、制約されるものではないが、ホウ酸テトラキス(ペンタフルオロフェニル)(FABA)、ホウ酸テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)、及びホウ酸テトラキス(2−フルオロフェニル)を含む。他の有用な弱く配位するアニオン、例えば他のホウ酸塩及びアルミン酸塩、ボラトベンゼンアニオン、カルボラン、ハロカルボラン並びにホスファボランアニオンは、その関連部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第6,445,650号中に見出すことができる。
【0108】
弱く配位するアニオンの例示的な塩は、特にホウ酸テトラキス(ペンタフルオロフェニル)N,N−ジメチルアニリニウム及びホウ酸テトラキス(ペンタフルオロフェニル)リチウム・2.5ジエチルエテラートである。
【0109】
本発明の式D及び/又はEによるアリルモノマーを含有するコオリゴマーは、当業者にとって公知の標準的なフリーラジカル溶液重合/オリゴマー化法によって調製することができる。例えば、上記の1以上のDRMモノマーは、当技術において既知のフリーラジカル技術を使用してオリゴマー化又はコオリゴマー化することができる。従って、本発明は:
I)式A、B、C、D又はEによる1以上のモノマーを含んでなるモノマー混合物を形成すること(Aが存在しない場合、Eが含まれていなければならない);
II)フリーラジカル開始剤を、モノマー混合物に、重合を起こすために十分な量で加えること;そして
III)開始剤が重合を起こすことができる温度にII)の混合物を加熱すること;
を含む先に記載したオリゴマーを製造する方法を包含する。
【0110】
フリーラジカル開始剤は、モノマー又はコモノマーをオリゴマー化するために有効な量で使用される。一般的に、使用される開始剤の量は、使用される1以上のモノマーの全重量の約1%〜20重量%である。別の方法として、開始剤の重量パーセントの範囲は、2〜10又は4〜7パーセントである。過酸化物及びアゾ型フリーラジカル開始剤が、二つの公知のフリーラジカル開始剤である。例は、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、ヒドロ過酸化tert−ブチル、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)を含む。
【0111】
オリゴマー化反応は、フリーラジカルの伝播を起こすために有効な任意の温度で行われる。典型的には、反応温度は、フリーラジカル開始剤の分解の温度によって支配される。一般的に、使用される温度範囲は、約20℃〜約200℃である。別の範囲は、約50℃〜約150℃又は約80℃〜約130℃である。
【0112】
オリゴマー化を1以上のモノマーを溶解するための溶媒の存在中で所望により行うことができ、或いはオリゴマー化は、モノマーをいっしょに混合することによって、溶媒の非存在で行うことができる。適した溶媒は、脂肪族、脂環族、芳香族、複素環族、ハロゲン化された脂肪族、ハロゲン化された芳香族、及びエーテルを含む。具体的な例は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ピリジン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジエチルエーテル、ジオキサン、及びテトラヒドロフランを含む。
【0113】
本発明の他の態様は、先に記載した多環式オレフィンモノマーのオリゴマーを含むフォトレジスト組成物を提供する。本発明の一つの特別な態様は、多環式オレフィンモノマーのオリゴマーが溶解速度調整剤として含まれるフォトレジスト組成物を指向する。
【0114】
本発明のフォトレジストの態様において、フォトレジスト組成物は、先に記載したDRM及びポリマー結合剤樹脂、光酸発生剤(PAG)、及び所望による適したスピン用溶媒、並びに塩基クエンチ剤及び増感剤のような添加剤を含む。更にこの態様において、フォトレジスト組成物は、塩基クエンチ剤及び増感剤を含むことができる。
【0115】
本発明のポリマー樹脂又は結合剤は、当技術において、そして文献において既知であり、そして一般的に商業的に入手可能である。このような樹脂又は結合剤は、制約されるものではないが、付加型のポリノルボルネン、フェノール、ノボラック、ポリヒドロキシスチレン又はスチレン−アクリル酸コポリマー、アクリル酸ポリマー又はメタクリル酸ポリマー、ノルボルネン−無水マレイン酸コポリマー、ノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸ターポリマー、ノルボルネン−ビニルエーテルコポリマー、等、及びこれらの組合せを含む。
【0116】
先に検討したように、本発明の態様は、ポジ型及びネガ型フォトレジスト組成物を指向する。本発明の一つの態様は:
A)溶媒;
B)光酸発生剤(PAG);
C)官能基を含有する架橋剤;
D)架橋剤中の官能基と反応性である官能基を含有する1以上のネガ型作像ポリマー樹脂;及び
E)先に記載した溶解速度調整剤;
を含むネガ型フォトレジスト組成物を提供する。
【0117】
本発明のネガ型フォトレジスト組成物は、特に低い光学密度(OD)を、特に193nm及びそれ以下の波長において有する。
本発明の一つの態様において、ネガ型フォトレジスト組成物の架橋剤(C)は、(D)中のネガ型作像ポリマー樹脂又は結合剤樹脂の官能基、非制約的な例としてヒドロキシル基と反応することが可能な化合物である。更にこの態様において、架橋剤(C)は、光酸発生剤(B)によって発生される酸によって活性化されることができる。(C)において使用することができる適した架橋剤の例は、制約されるものではないが、メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたフェノール;メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換された環式尿素;メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたメラミン;並びにメチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたベンゾグアニン化合物から選択される1以上の基を含有する化合物を含む。
【0118】
本発明の更なる態様において、光酸発生剤(B)は、照射に露光された場合に、強酸を発生する化合物である。本発明において使用することができる光酸発生剤(B)は、制約されるものではないが、トリフラート、ピロガロール、オニウム塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ヒドロキシイミドのエステル、α,α’−ビス−スルホニル−ジアゾメタン、ニトロで置換されたベンジルアルコールのスルホン酸エステル及びナフトキノン−4−ジアジドから選択される1以上の化合物を含む。この態様において、トリフラートは、トリフェニルスルホニウムトリフラートを含み;ピロガロールはピロガロールのトリメシラートを含み;そしてオニウム塩は、ヘキサフルオロアンチモン酸トリアリールスルホニウム及びジアリールヨージウムの一つ又は両方を含む。
【0119】
本発明の更なる態様は、一般的にポリエチレングリコールメチルエーテル酢酸塩、シクロヘキサノン、ブチロ乳酸塩、及び乳酸エチルから選択される1以上の溶媒を含む溶媒(A)を提供する。
【0120】
適したネガ型作像ポリマーは、制約されるものではないが、もう一つの基とキュア及び/又は架橋し、そして架橋剤の官能基と反応性であることが可能な少なくとも一つの官能基を含有するものである。適した官能基は、制約されるものではないが、ヒドロキシ、カルボキシ、及びエポキシを含む。例示的なネガ型作像ポリマーは、多環式オレフィンモノマーから誘導された繰返し単位を含有するものである。多環式オレフィンモノマーから誘導された繰返し単位を含有する適したネガ型作像ポリマーは、米国特許第6,121,340号及び6,136,499号中に記述され、これらの関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。
【0121】
本発明の一つの態様は:
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)照射に露光された場合に開裂し、ポリマーを、非露光ポリマーより現像剤に更に溶解性であるようにすることができる基を含有する分子を含有する官能基を含む1以上のポジ型作像ポリマー;及び
D)先に記載した溶解速度調整剤;
を含むポジ型フォトレジスト組成物を提供する。D)において使用することができる例示的なポジ型作像ポリマーは、制約されるものではないが、HFANBのホモポリマー、及びその関連する部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第6,136,499号に記述されているようなポリノルボルネンを含み、適したモノマーは、酸に不安定な基を、このような基を使用することができるが、含まないことができる多環式繰返し単位;フェノールポリマーのようなフェノール結合剤(例えば、ヒドロキシスチレン及びその関連する部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第4,491,628号中に記載されているもののような炭素及び酸素でアルキル化された誘導体);スチレン−アクリル酸コポリマー;アセトアルデヒド又はホルムアルデヒドのようなアルデヒドと、フェノール自体、或いはそれぞれ1〜9個の炭素原子の一つ又は二つのアルキル基で置換されたフェノールのようなフェノールからの樹脂のようなノボラック;その関連する部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第5,372,912号中に記載されているもののようなもの;エステル部分が1〜12個の炭素原子を有するアルキルである、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等並びに各種の類似のメタクリル酸アルキルモノマーのようなアクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマー又はコポリマー;その関連する部分が本明細書中に参考文献として援用される、米国特許第5,843,624号中に記述されているような、ノルボルネン−無水マレイン酸のコポリマー又はノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸のターポリマーを包含する。
【0122】
適したPAGは、トリフラート(例えば、トリフェニルスルホニウムトルフラート)、ピロガロール(例えば、ピロガロールのトリメシラート);ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロヒ酸、トリフルオロメタンスルホン酸トリアリールスルホニウム及びジアリールヨージウムのようなオニウム塩;ヒドロキシイミドのエステル、α,α’−ビス−スルホニル−ジアゾメタン、ニトロで置換されたベンジルアルコールのスルホン酸エステル及びナフトキノン−4−ジアジドを含む。他の適したPAGは、Reichmanisら、Chem.Mater.3,395,(1991)中に開示されている。トリアリールスルホニウム又はジアリールヨードニウム塩を含有する組成物は、深UV光(193〜300nm)に対するその感度及び非常に高い画像の分解能のために、使用することができる。本発明の特別な態様において、塩は、非置換及び対称に又は非対称に置換されたジアリールヨージウム或いはトリアリールスルホニウム塩である。PAG成分は、100重量部のポリマー結合剤又は樹脂に基づいて、約1〜約100、ある場合には約1.25〜約50、そして他の場合には約1.5〜約5重量部を構成する。
【0123】
適したスピン用溶媒は、制約されるものではないが、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、乳酸エチル、シクロヘキサノン、等を含む。
適した塩基クエンチ剤は、制約されるものではないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン、トリイソプロピルアミン、N−メチルピロリドン、等を含む。塩基クエンチ剤添加剤は、フォトレジストの解像度及び画像特性を改良することができる。本発明のフォトレジスト組成物は、光酸発生剤を、中波長UVから可視光までの範囲のより長い波長に高感度化することが可能な増感剤を所望により含有する。意図する適用にもよるが、このような増感剤は、ピレン及びペルレン(perlene)のような多環式芳香族を含む。光酸発生剤の高感度化は、公知であり、そして米国特許第4,250,053号;4,371,605号;及び4,491,628号中に記載され、これらの関連する部分は、本明細書中に参考文献として援用される。本発明は、増感剤又は光酸発生剤の具体的な群には制約されない。
【0124】
本発明のもう一つの態様は、サブストレート上に画像(ポジ又はネガ型レジスト画像)を発生する方法を指向する。方法は:
(a)サブストレートを、先に記載したネガ型フォトレジスト組成物又はポジ型フォトレジスト組成物を含有するフィルムでコーティングして、フィルムを形成すること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させて、画像を形成すること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;そして
(d)画像を現像すること;
を含む。この態様の一つの側面において、サブストレートは、シリコン、セラミックス、及びポリマーの一つ又はそれより多くを含む。更なる側面において、フィルムは、スピンコーティング、スプレーコーティング、及びドクターブレード(doctor blading)から選択される1以上の方法を使用して(a)においてサブストレート上にコーティングされる。更に、この態様は、フィルムを(b)において照射光に露光させる前に、フィルムを90℃〜150℃で30秒〜5分間加熱することを提供することができる。更にフィルムを、水銀ランプ、水銀/キセノンランプ、キセノンランプ、アルゴンフッ化物レーザー、クリプトンフッ化物レーザー、フッ素レーザー、x線及び電子ビームから選択される照射源に像様に露光させることができる。一つの特別な態様において、フィルムは、90nm〜514nmの波長で像様に露光される。もう一つの態様において、フィルムを照射光に露光させた後、フィルムを90℃〜150℃の温度で30秒〜5分間加熱することができる。
【0125】
本発明の一つの態様は:
(a)先に記載したポジ型又はネガ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)フィルムを照射後ベークすること;
(d)画像を現像して、サブストレートを露出させること;そして
(e)サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること;
を包含する集積回路の組立て方法を提供する。
【0126】
更に、この態様は、先に記載した方法によって提供された集積回路を含む、集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボードに拡張される。更なる態様において、画像は溶媒で現像される。本発明のネガ型画像を現像するために使用することができる適した溶媒は、一般的にプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、ブチロ乳酸塩及び乳酸エチルを含む。いくつかの態様において、水性の塩基が適した溶媒である。本発明のポジ型画像を現像するために使用することができる適した溶媒は、制約されるものではないが、多くの場合水酸化テトラメチルアンモニウム又はコリンのような金属イオンを含まない水性塩基を含む水性塩基である。本発明の組成物は、高いコントラスト及び直線的壁を持つポジの画像を提供する。本発明の組成物の溶解特性は、単純にポリマーの組成を変更することによって変更することができる。
【0127】
サブストレートが露出された後、回路パターンを、サブストレートを電導性金属のような伝導性物質で、技術−蒸発、スパッタリング、メッキ、化学蒸着、又はレーザー誘導蒸着のような技術によって被覆することによって、露出された区域に形成することができる。フィルムの表面は、いずれもの過剰な電導性物質を除去するためにミル加工することができる。誘電性物質も回路を製造する過程中に同様な手段によって沈着することができる。ホウ素、リン、又はヒ素のような無機イオンは、p−又はn−ドープされた回路のトランジスターを製造するための過程において、サブストレートに挿入することができる。回路を形成するための他の手段は、当業者にとって公知である。
【0128】
以下の実施例は、例示の目的であり、そして本発明をいずれの方法においても制約することを意図していない。ポリマー骨格に組込まれる繰返し単位の比は、モルパーセントで与えられている。全ての分子量の決定は、THF中のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用してポリ(スチレン)標準を使用して行われた。
【0129】
比較実施例1
ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(10.0g、0.0515mol)を反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0095g、0.026mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.076g、0.026mmol)のジクロロエタン溶液(1−2mL)を加えた。2時間後、1mLのメタノールを反応器に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマー及び溶媒のみが残っていることを示した。反応混合物のアリコートを60℃で一晩蒸発させ、その時間後、物質は残っていなかった。この実施例は、エチレン、ニッケル含有触媒、及び適当な準安定なキレート化リガンドの非存在において、オリゴマー化が起こらないことを示す。
【0130】
合成実施例1
ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(10.0g、0.0515mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして次いで室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0095g、0.026mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0076g、0.026mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。混合物は、19℃から31℃に発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、モノマーが残っていないことを示した。高い保持時間で、より高い分子量のオリゴマーの形成と一致するいくつかのピークが観察された。反応混合物のアリコートを60℃で一晩蒸発させ、その時間後、粘性の透明な液体が残った。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去した。GPC分析は、Mw=460及びMn=444を持つ約24面積パーセント、並びにMw=217及びMn=205を持つ76面積パーセントの二峰性の分布を示した。この試料の1H NMR分析は、スペクトルの脂肪族領域で:約2.7〜0.9ppm(38H)のピークを示した。更に5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステルに接続したビニル基の存在と一致する二つのピーク、5.80(br s,1H)及び4.92(br m,2H)が、スペクトルのオレフィン領域に存在していた。この試料の電場脱着質量スペクトルは、5−ノルボルネンカルボン酸のエチレン及びt−ブチルエステルのコダイマー及びコトリマー:(エチレン)(5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル)及び(エチレン)(5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル)2による二つの主要なピークを示した。
【0131】
合成実施例2
約1.4kg/cm2g(20psig)のエチレンを、約3.5kg/cm2g(50psig)の代わりに使用した以外は、合成実施例1の方法を繰返した。この場合、1℃のみの発熱が観察された。反応混合物のGC分析は、オリゴマーが形成されたが、相当な量の未反応のモノマーが存在することを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去した。非揮発性の透明な液体のGPC分析は、合成実施例1において見出されものと本質的に同一な結果:高分子量における20面積パーセント、低分子量における残部の二峰性ピークを示した。
【0132】
合成実施例3
約6.3kg/cm2g(90psig)のエチレンを、約3.5kg/cm2g(50psig)の代わりに使用した以外は、合成実施例1の方法を繰返した。この場合、12℃の発熱が観察された。反応混合物のGC分析は、オリゴマーのみが存在することを示し;未反応のモノマーは観察されなかった。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去した。非揮発性の透明な液体のGPC分析は、合成実施例1及び2において見出されものと本質的に同一な結果:高分子量における23面積パーセント、低分子量における残部の二峰性ピークを示した。
【0133】
合成実施例4
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル(11.1g、0.0500mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、15℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約12gの透明な粘性の液体を得た。GPC分析は、二峰性の分布:Mw=341及び168を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(5−ノルボルニル−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル)、コトリマー(エチレン)(5−ノルボルニル−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル)2による二つの主要なピーク、及び少量のコテトラマー(エチレン)(5−ノルボルニル−2−カルボン酸の2−オキソシクロペンチルエステル)3を示した。この液体の1H NMR分析は、5.70(m,1H)及び4.91(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示した。
【0134】
合成実施例5
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸の1−メチルシクロペンチルエステル(11.0g、0.0500mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、2℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマー、並びにオリゴマー(ピークはより高い保持時間で観察された)の存在を示した。
【0135】
合成実施例6
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン(9.0g、0.050mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、20℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約10gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、三峰性の分布:385、286及び168のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン)、コトリマー(エチレン)(5−[(2,3−エポキシプロポキシ)メチル]−2−ノルボルネン)2による二つの主要ピークを示した。この液体の1H NMRは、5.77(m,1H)及び4.90(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示す。
【0136】
合成実施例7
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン(13.7g、0.050mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、そして次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、24℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約13gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、二峰性の分布:723及び351のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)及びコトリマー(エチレン)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)2による二つの主要なピークを示した。この液体の1H NMR分析は、5.75(m,1H)及び4.90(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示す。
【0137】
合成実施例8
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル(14.3g、0.050mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして次いで約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、そして次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、39℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約16gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、二峰性の分布:309及び153のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)及びコトリマー(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)2による二つの主要なピークを示した。この液体の1H NMRは、5.73(m,1H)及び4.96(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示す。
【0138】
合成実施例9
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(90mL)及び酢酸5−ノルボルネン−2−メタノール(8.3g、0.050mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0092g、0.025mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.0073g、0.025mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、22℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約10gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、二峰性の分布:322及び164のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、コダイマー(エチレン)(酢酸5−ノルボルネン−2−メタノール)、コトリマー(エチレン)(酢酸5−ノルボルネン−2−メタノール)2による二つの主要なピークを示した。この液体の1H NMR分析は、5.76(m,1H)及び4.90(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示す。
【0139】
合成実施例10
合成実施例1の条件下で、ジクロロエタン(300mL)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(17.7g、0.091mol)及び5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン(25.0g、0.091mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.033g、0.091mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.026g、0.091mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。反応混合物は、20℃発熱した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。反応混合物のGC分析は、未反応のモノマーの非存在及びオリゴマーの形成によるより高い保持時間におけるピークを示した。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約48gの透明な粘性の液体を得た。液体のGPC分析は、三峰性の分布:563、362及び214のピーク分子量を示した。液体の電場脱着質量分析は、次のオリゴマー:(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)、(エチレン)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)2、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)、(エチレン)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)3、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)2(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル)(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)2によるピークを示した。この液体の1H NMR分析は、5.76(m,1H)及び4.90(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示した。
【0140】
合成実施例11
実施例10から得られた液体に、144gの氷酢酸(2.4mol)及び141mLの30%過酸化水素(1.25mol)を加えた。混合物を60℃で6時間加熱した。次いで混合物を冷却し、そして分液漏斗に移した。一晩静置した後、二つの層が現れた。有機層を水相から分離した。水相に50mLの塩化メチレン及び150mLの水を加えた。有機層を分離し、そして水相を再び塩化メチレン(50mL)で抽出した。次いで有機相を数回水で洗浄した。次いで溶媒を有機相から回転蒸発によって除去して、透明な粘性の液体を得た。収量38g。液体のGPCは、457の平均Mwの多峰性曲線を示した。この液体の1H NMR分析は、本質的にビニル末端基の存在を示さなかった。電場脱着質量分析は、エポキシド、ジオール、及び実施例9において見出されたオリゴマー生成物のアセテート、アルコール誘導体によるピークを示した。
【0141】
合成実施例12
合成実施例11からの液体のオリゴマー(11.24g)を、THF(50mL、無水)中に溶解した。この溶液に、NaH粉末(1.0g)を分割して加えた。クロロメチルメチルエーテル(2.13g)を溶液にシリンジで加えた。次いで反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)中に水(100mL)から抽出した。有機相を水(2×100mL)で洗浄し、そして溶媒を真空下で有機相から除去して、メトキシメチルで保護されたオリゴマーを得た。生成物のIR分析は、生成物のν(OH)の伸縮振動が、アルコール官能基の保護と一致して、出発物質と比較した場合にはるかに減少したことを示す。1H NMRスペクトルにおいて、−O−CH2−O−CH3保護基による二つの新しい共鳴(4.92及び3.45ppm)が観察される。生成物のGPCは、509の平均Mwの多峰性曲線を示した。
【0142】
合成実施例13
合成実施例11からの液体のオリゴマー(11.66g)を、THF(50mL、無水)中に溶解した。この溶液に、NaH粉末(1.2g)を分割して加えた。ブロモ、t−ブチルアセテート(5.36g)を溶液にシリンジで加えた。次いで反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)中に水(100mL)から抽出した。有機相を水(2×100mL)で洗浄し、そして溶媒を回転蒸発によって除去した。最終生成物を真空下で更に乾燥して、tert−ブトキシカルボニルメチルで保護されたオリゴマーを得た。生成物のIR分析は、出発物質のν(OH)の伸縮振動が、出発物質と比較した場合にはるかに減少したことを示し、そして出発物質からのt−ブチルエステル官能基及びアルコールの保護から誘導されたt−ブトキシカルボニルメチル官能基の存在と一致する二つのν(CO)の伸縮振動が、スペクトルの1700cm−1領域で観察された。二つのt−ブチル基が、1H NMRスペクトル(1.47及び1.45)で観察された。生成物のGPCは、593の平均Mwの多峰性曲線を示した。
【0143】
合成実施例14
ジクロロエタン(300mL)及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル(52.0g、0.186mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.033g、0.091mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.026g、0.091mmol)のジクロロエタン溶液を加え、次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約58gの透明な粘性の液体を得た。この液体の1H NMR分析は、5.73(m,1H)及び4.96(m,2H)ppmにおけるビニル基の存在を示した。
【0144】
液体に、174gの氷酢酸(2.9mol)及び170mLの30%過酸化水素(1.5mol)を加えた。混合物を60℃で6時間加熱した。混合物を、150mLの水の添加後、分液漏斗中で一晩静置させた。更に50mLの水を加えた。塩化メチレン(50mL)を加え、そして混合物は二層に分離した。有機層を分離し、そして更に水(5×500mL)で洗浄した。有機相を分離し、そして回転蒸発して、溶媒を除去した。透明な粘性の液体を得た。収量45.8g。液体のGPCは、420及び283におけるピーク分子量の二峰性分布を示した。この液体の1H NMR分析は、出発物質に対してビニル末端基の強度の実質的な減少を示した。電場脱着質量分析は、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)のジオール、及び(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)のアセテート、アルコールによる主要なピークを示した。
【0145】
合成実施例15
ジクロロエタン(300mL)及び5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン(60.0g、0.219mol)を圧力反応器に入れた。溶液を窒素でスパージした。次いで溶液をエチレンでスパージし、そして約3.5kg/cm2g(50psig)に加圧し、そして室温で10分間平衡させた。次いで圧力を開放し、ヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.033g、0.091mmol)及び(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.026g、0.091mmol)のジクロロエタン溶液を加え、そして次いで反応器を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に再加圧した。2時間後、1mLのメタノールを反応混合物に加えた。次いで溶媒を反応混合物から回転蒸発によって除去して、約61gの透明な粘性の液体を得た。
【0146】
上記で得た57gの液体に、257gの氷酢酸(4.28mol)及び485mLの30%過酸化水素(4.28mol)を加えた。混合物を60℃で6時間加熱した。混合物を、150mLの水の添加後、分液漏斗中で一晩静置させた。水(50mL)を加えた。塩化メチレン(50mL)を加え、そして混合物は二層に分離した。有機層を分離し、そして更に水(5×500mL)で洗浄した。有機相を分離し、そして回転蒸発して、溶媒を除去した。透明な粘性の液体を得た。収量45.8g。液体のGPCは、420及び283におけるピーク分子量の二峰性分布を示した。この液体の1H NMR分析は、出発物質に対してビニル末端基の強度の実質的な減少を示した。質量分析は、(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)のジオール、及びに(エチレン)(5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステル)のアセテート、アルコールによる主要なピークを示した。
【0147】
合成実施例16
合成実施例15からの液体のオリゴマー(11.0g)を、THF(50mL、無水)中に溶解した。この溶液をTHF(10mL)中に溶解されたNaH(1.06g)に加えた。更に0.2gのNaHを加えて、完全な脱プロトンを確実にした。クロロメチルメチルエーテル(2.13g)をこの溶液にシリンジでゆっくりと加えた。反応混合物の温度を50℃に上げた。次いで反応混合物を一晩撹拌した。50mLの水を反応混合物に加え、そして有機物を酢酸エチル/THF中に抽出した。有機相を水で洗浄し、そして溶媒を真空下で有機相から除去して、メトキシメチルで保護されたオリゴマーを得た。収量12.6g。生成物のIR分析は、出発物質と比較した場合、アルコール官能基の保護と一致して生成物のν(OH)の伸縮振動が相当減少していることを示す。1H NMRスペクトルにおいて、−O−CH2−O−CH3保護基による二つの新しい共鳴(5.13及び3.46)が観察される。生成物のGPCは、751の平均Mwの多峰性曲線を示した。
【0148】
合成実施例17
臭化クロチルニッケルダイマーを、150mLのトルエン中の臭化クロチル(4.7g、0.035mol)を、−78℃に冷却することによって調製した。ブタジエン(8.7g、0.035mol)をフラスコ中で凝縮した。この混合物をNi(1,5−シクロオクタジエン)2(9.6g、0.035mol)の冷(−78℃)トルエン溶液に移した。混合物は深い赤色になった。−78℃で2時間後、混合物を室温まで温め、そして更に3時間撹拌した。溶媒をゆっくりと蒸発して赤色の針状物を得た。結晶をペンタン(1×20mL)と−78℃で浴に入れ、そして濾過によって単離した。収量2.4g(93%)。1H NMR(C6D6):4.60(m,1H)、2.66(d,1H)、2.44(m,1H)、1.44(d,1H)、0.61(d,3H)。
【0149】
ニッケル錯体のFABA塩を、臭化(η3−クロチル)ニッケルダイマー(1,5g、0.0039mol)をTHF(70mL)中に溶解することによって調製した。この溶液に、2.26gの(2−メトキシフェニル)ジフェニルホスフィン(0.00774mol)を加えた。溶液を0℃に冷却し、そしてホウ酸テトラキス(ペンタフルオロフェニル)銀(7.51g、0.00774mol)のTHF(30mL)溶液を加えた。溶液は、赤色から褐−橙色に変わった。10分後、溶液を室温まで温めた。混合物を濾過して、AgBrを除去した。次いで溶媒を真空下で除去した。得られた泡状物を30mLのペンタンと撹拌し、次いで揮発性物質を真空下で除去して、自由流動性の粉末を得た。収量8.5g。
【0150】
モノマー、5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(9.69g、0.0500mol)を、60mLのトルエン中に圧力反応器中で溶解した。溶液を飽和するために、溶液に約3.5kg/cm2g(50psig)のエチレンを加えた。次いで過剰のエチレンを放出し、そして20mLのトルエン中の上記で単離したニッケル錯体(0.0329g)をモノマーの混合物に加えた。エチレンの圧力を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に増加した。反応を4時間継続させた。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの形成を示した。未反応のモノマーが観察されなかったために、完全な転換が得られた。
【0151】
オリゴマー化を1,2−ジクロロエタン(90mL)中で繰返した。反応混合物のGC分析は、オリゴマー、並びにある程度の未反応のモノマーの存在を示した。
合成実施例18
モノマー、5−ノルボルネン−2−カルボン酸のt−ブチルエステル(9.69g、0.0500mol)を、1,2−ジクロロエタン(90mL)中に圧力反応器中で溶解した。溶液を飽和するために、溶液に約3.5kg/cm2g(50psig)のエチレンを加えた。次いで過剰のエチレンを放出し、そしてヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0096g、0.026mmol)及びR−(+)−(2’−メトキシ[1,1’−ビナフタレン]−2−イル)ジフェニルホスフィン(0.00121g、0.026mmol)の1,2−ジクロロエタン(20mL)中の混合物を、モノマー混合物に加えた。エチレンの圧力を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に増加した。反応を3時間継続させた。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの形成を示した。未反応のモノマーも更に観察された。
【0152】
合成実施例19
トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン(9.16mg、0.026mmol)で(2’−メトキシ[1,1’−ビナフタレン]−2−イル)ジフェニルホスフィンを置換え、そして反応を4時間継続した以外は、上記の実施例を繰り返した。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの存在のみを示した。未反応のモノマーが観察されなかったために、完全な転換が得られた。
【0153】
合成実施例20
トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィンを使用し、そして反応を4時間継続した以外は、上記の実施例を繰返した。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの存在、並びにある程度の未反応のモノマーを示した。
【0154】
合成実施例21
トリ(m−メトキシフェニル)ホスフィンを使用し、そして反応を24時間継続した以外は、上記の実施例を繰返した。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの存在、並びにある程度の未反応のモノマーを示した。
【0155】
合成実施例22
モノマー、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン(13.1g、0.048mol)を、1,2−ジクロロエタン(70mL)中に圧力反応器中で溶解した。溶液を飽和するために、溶液に約3.5kg/cm2g(50psig)のエチレンを加えた。次いで過剰のエチレンを放出し、そしてヘキサフルオロリン酸[(η3−クロチル)ニッケル(1,5−シクロオクタジエン)](0.0096g、0.026mmol)及びトリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン(9.16mg、0.026mmol)の1,2−ジクロロエタン(20mL)中の混合物を、モノマー混合物に加えた。エチレンの圧力を直ちに約3.5kg/cm2g(50psig)に増加した。反応を5時間継続させた。反応混合物のGC分析は、オリゴマーの形成を示した。未反応のモノマーも更に観察された。
【0156】
合成実施例23
モノマー、α,α−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−エタノール(HFANB)(5.0g、0.018mol)及び1−ビス(トリフルオロメチル)−3−ブテン−1−オール(アリルHFA)(3.8g、0.018mol)、及び開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(0.51g、0.0034mol)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコ中で混合した。混合物を130℃で一晩加熱した。混合物を室温に冷却した。過剰のモノマーを真空下で除去した。得られた生成物の電場イオン化質量分析は、両方のコモノマーを含有するテトラマーまでのオリゴマーの形成に一致した。Mwは1740であり、Mnは1350であり、そしてMw/Mnは1.29であった。得られた物質のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計によって、約43℃と決定された(2回目の加熱、10℃/分)。
【0157】
合成実施例24
コモノマー、HFANB(20g、0.073mol)及びアリルHFA(15.2g、0.0729mol)、並びに開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(2.03g、0.00139mol)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコ中で混合した。混合物を130℃で一晩加熱した。混合物を室温に冷却した。過剰のモノマーを真空下で除去した。ガラス状の生成物を得た。収量21g(60%)。Mwは1790であり、Mnは1540であり、そしてMw/Mnは1.16であった。
【0158】
合成実施例25
約10gの合成実施例24から単離されたコオリゴマーを、50gの乾燥THF中に窒素下で溶解した。別のビンで、二炭酸ジ−tret−ブチル(12.9g、0.0592mol)を乾燥THF中に溶解し、そして窒素でスパージした。水素化ナトリウム(1.3g、0.054mol)を、乾燥THF(150mL)と共に三口フラスコ(窒素入口及び撹拌棒を装備)に窒素下で入れ、そして−78℃に冷却した。この混合物にコオリゴマー溶液を加えた。この混合物を1時間撹拌させた。次いで二炭酸ジ−tert−ブチル溶液を滴下により加えた。混合物を室温に温め、そして一晩撹拌した。反応混合物を水、そして次いで食塩溶液で2回、次いで最終的にもう一回の水洗で洗浄した。有機層を回転蒸発によって減量し、そしてヘキサン中で沈殿させた。得られた粉末を濾過漏斗で収集し、そして一定重量が得られるまで真空オーブンで50℃で乾燥した。保護されたオリゴマーのIR分析は、スペクトルの3300〜3700cm−1領域でν(OH)の伸縮振動示さず、そして1770cm−1近辺で強力なν(CO)の伸縮振動を示し、炭酸tert−ブチル基によるヒドロキシル基の完全な置換を示した。Mwは1900であり、Mnは1580であり、そしてMw/Mnは1.20であった。
【0159】
合成実施例26
モノマー、HFANB(75g、0.27mol)及びアリルHFA(56.9g、0.274mol)、並びに開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(7.61g、0.0521mol)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコ中で混合した。混合物を130℃で一晩加熱した。混合物を冷却し、フラスコに蒸留器具を設置し、そして過剰のモノマーを反応混合物から真空下の130℃で蒸留した。Mwは1820であり、Mnは1590であり、そしてMw/Mnは1.14であった。オリゴマーの生成物は、13C NMR分光法によって、約57モルパーセントのアリルHFA及び43モルパーセントのHFANBを含有することが決定された。
【0160】
合成実施例27
水素化ナトリウム(1.1g、0.046mol)を、10gの合成実施例26から単離されたコ−オリゴマーの0℃のTHF(60mL)中の溶液に、窒素下で分割して加えた。ガスの放散が直ちに起こった。添加の完了後、溶液を1時間かけて室温まで温まらせた。この溶液にクロロメチルメチルエーテル(3.6g、0.045mol)を加えた。反応物を一晩撹拌し、そして次いで水中に注いだ。乳液が形成された。酢酸エチル(200mL)を乳液に加えて、二つの相を得た。有機層を分離し、そして水で3回洗浄した。有機層を水層から分離し、そして揮発性物質を有機層から回転蒸発によって除去して、半液体の物質を得た。収量10g(83%)。Mwは1820であり、Mnは1600であり、そしてMw/Mnは1.14であった。
【0161】
合成実施例28
モノマー、HFANB(9.9g、0.036mol)及びアリルHFA(7.5g、0.036mol)、5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル(7g、0.036mol)並びに開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(1.51g、0.0103mol)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコ中で混合した。混合物を130℃で一晩加熱した。翌日、揮発性物質を反応混合物から真空下の、そして130℃に加熱した短行程蒸留によって除去した。混合物を真空下の120℃で一晩放置した。Mwは2120であり、Mnは1440であり、そしてMw/Mnは1.47であった。オリゴマーの生成物は、13C NMR分光計によって、28モルパーセントの5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル、18モルパーセントのHFANB、45モルパーセントのアリルHFA、及び9モルパーセントの5−ノルボルネンカルボン酸を含有することが決定された。
【0162】
合成実施例29
水素化ナトリウム(0.80g、0.033mol)を、5.5gの実施例28から単離されたオリゴマーの無水のTHF(30mL)溶液に窒素下で分割して加えた。添加の完了後、溶液を更に30分間撹拌した。この溶液にクロロメチルメチルエーテル(2.8g、0.035mol)を加えた。反応物を一晩撹拌し、そして次いで150mLの酢酸エチルと共に水中に注いだ。有機相を分離し、そして水で3回洗浄した。有機層を水層から分離し、そして揮発性物質を有機層から回転蒸発によって除去し、そして次いで最終的に真空下の80℃で18時間乾燥した。収量4.8g。
【0163】
合成実施例30
モノマー、HFANB(6.86g、0.0250mol)及びアリルHFA(10.4g、0.0500mol)、5−ノルボルネンカルボン酸(3.45g、0.0250mol)並びに開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(1.40g、0.0100mol)を混合し、そして130℃に加熱した。16時間後、オレンジ色の粘性の液体を得た。揮発性物質を、混合物を真空下で100℃に加熱することによって除去した。収量13.5g(61%)。Mwは2130であり、Mnは1310であり、そしてMw/Mnは1.62であった。オリゴマーの生成物は、13C NMR分光分析によって、約29モルパーセントの5−ノルボルネンカルボン酸、15モルパーセントのHFANB、56モルパーセントのアリルHFAを含有することが決定された。
【0164】
合成実施例31
水素化ナトリウム(0.56g)を、乾燥THF中で窒素下でスラリーにし、そしてドライアイスで冷却した。このスラリーに、ビニル付加HFANB(5.1g、Mw=1670、Mw/Mn=1.19)の、乾燥し、脱気されたTHF中のオリゴマー溶液を滴下により加えた。混合物を1時間撹拌させ、その後、炭酸ジ−tert−ブチル(5.6g)を、乾燥し、そして脱気されたTHF(20g)中の溶液として滴下により加えた。混合物を室温まで一晩かけて温まらせた。反応混合物を水、そして次いで食塩溶液で2回、次いで最終的にもう1回水洗で洗浄した。有機層を回転蒸発によって減量し、そしてヘキサン中で沈殿させた。得られた粉末を濾過によって収集し、そして一定重量が得られるまで真空オーブン中で50℃で乾燥した。Mwは1840であり、Mnは1510であり、そしてMw/Mnは1.22であった。保護されたオリゴマーのIR分析は、スペクトルの3300〜3700cm−1領域でν(OH)の伸縮振動を示さず、そして1770cm−1近辺で強いν(CO)の伸縮振動を示し、ヒドロキシル基の炭酸tert−ブチル基による完全な置換を示した。
【0165】
合成実施例32
水素化ナトリウム(2.75g)を、乾燥THF中で窒素下でスラリーにし、そしてドライアイスで冷却した。このスラリーにビニル付加HFANB(25g、Mw=1340、Mw/Mn=1.16)の、乾燥し、脱気されたTHF(25g)中のオリゴマー溶液を滴下により加えた。混合物を1時間撹拌させ、その後、クロロメチルメチルエーテル(9.2g)を、乾燥し、そして脱気されたTHF(20g)中の溶液として滴下により加えた。混合物を室温まで一晩かけて温まらせた。反応混合物を水、そして次いで食塩溶液で2回、次いで最終的にもう1回水洗で洗浄した。有機層を回転蒸発によって減量し、そしてヘキサン中で沈殿させた。得られた粉末(6.4g)を濾過によって収集し、そして一定重量が得られるまで真空オーブン中で50℃で乾燥した。Mwは1300であり、Mnは1110であり、そしてMw/Mnは1.17であった。最終的な生成物のIR分析は、ヒドロキシル基のメチルメチルエーテル基による置換と一致する、スペクトルの3300〜3700cm−1領域のν(OH)の伸縮振動の顕著な減少を示した。
【0166】
合成実施例33
モノマー、アリルHFA(17.2g、0.0825mol)、5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル(11.4g、0.0825mol)、5−シアノノルボルネン(9.83g、0.0825mol)及び開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(3.45g)を、凝縮器、窒素置換、及び撹拌棒を備えた三口フラスコに加えた。混合物を130℃で一晩加熱した。次いで試料を冷却し、そして酢酸エチルで希釈した。有機相を脱イオン水で中性のpHが得られるまで洗浄した。有機相を分離し、そして溶媒を回転蒸発によって除去した。得られた生成物(33.0g)を高真空下で乾燥した。
【0167】
合成実施例34
三口フラスコに凝縮器、N2パージ、及び温度プローブを設置した。このフラスコに、30gの上記の実施例33から生成物、80gのトルエン、15gのTHF、35gの氷酢酸、及び35gの30%H2O2を加えた。試料を還流(85℃)で1時間加熱し、そして次いで冷却した。有機相を脱イオン水で3回洗浄した。有機相を水相から分離し、そして次いでヘキサン中に滴下により注いだ。沈殿したオリゴマーを濾過し、そして真空オーブン中で60℃で一晩乾燥した。
【0168】
合成実施例35
凝縮器、温度プローブ及びN2放出弁を設置した三口フラスコを、乾燥N2で1時間置換した。水素化ナトリウム(1.00g、0.0414mol)を乾燥粉末としてこのフラスコに加えた。乾燥THF(50g)をフラスコに加えて、スラリーを作った。オリゴマー(8.0g)を20gのTHF中に溶解し、圧着蓋のビン中に密閉し、そして15分間置換した。この溶液をスラリーに1時間かけて滴下により加えた。クロロメチルメチルエーテル(3.4g、0.041mol)を、20gのTHF中に圧着蓋のビン中で溶解し、そしてN2で15分間置換した。この溶液を反応混合物に滴下により加え、これを一晩(16時間)25℃で撹拌した。約100mLの2MのHClを混合物に加え、そして撹拌した。水相を分離し、そして有機相を食塩水、そして続いて脱イオン水(2回)で洗浄した。有機相をヘキサン中に滴下により加えた。沈殿したオリゴマーを濾過によって回収し、そして真空オーブンで50℃で16時間乾燥した。収量5.35g。Mwは2818であり、Mnは1810であり、そしてMw/Mnは1.56であった。
【0169】
合成実施例36
モノマー、HFANB(29.7g、0.108mol)、アリルHFA(22.5g、0.116mol)、及び5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル(21.0g、0.108mol)を、窒素でスパージした。次いでこれらを、凝縮器及び撹拌棒を備えた窒素置換された三口フラスコに加えた。開始剤、過酸化ジ−tert−ブチル(4.5g、0.031mol)をシリンジによって加えた。混合物を130℃で一晩加熱した。混合物を冷却させた。粘性の明るい褐色の液体を得た。混合物をトルエン(100mL)中に溶解し、次いで4Lのヘキサン中に撹拌しながら滴下によって加えた。明るい黄色の粉末を得て、これを濾過し、そして空気乾燥した。
【0170】
単離したオリゴマー(10g)を、500mLの三口フラスコに加え、次いで50mLのトルエン、及び10グラムのTHF中に溶解した。混合物に氷酢酸(10g)を、続いて30%過酸化水素(10g)を撹拌しながら加えた。フラスコに凝縮カラムを設置し、そして80℃で1時間加熱した。試料を冷却させた。分液漏斗中で混合物を脱イオン水で3回洗浄した。有機相を分離し、そして次いでヘキサンに滴下により加えて、オリゴマーを白色の粉末として沈殿させた。
【0171】
合成実施例37
実施例36からのオリゴマー(4.75g)を、乾燥N2で1時間置換された乾燥三口フラスコに加えた。水素化ナトリウム(0.6g、0.025mol)を乾燥粉末としてフラスコに加えた。THFを滴下漏斗にカニューレで移し、そして撹拌しながらゆっくりと加えて、THF及び水素化ナトリウムのスラリーを調製した。オリゴマー溶液を窒素で置換し、そして1時間かけて水素化ナトリウムのスラリーに滴下により加えた。クロロメチルメチルエーテル(20g、0.025mol)を10gのTHF中に溶解し、そしてN2で置換し、そして反応混合物に撹拌しながら加えた。この溶液を一晩撹拌させた。25℃で16時間撹拌した後、反応混合物を分液漏斗に移し、そこでこれを100mLの2MのHClで2回洗浄し、続いて食塩水で1回洗浄し、そして脱イオン水で2回洗浄した。有機相を分離し、そして高真空下で揮発性物質を除去して、保護されたオリゴマーを得た。収量3.86g。Mwは3011であり、Mnは2425であり、そしてMw/Mnは1.24であった。オリゴマーの生成物は、13C NMR分光分析によって、約40モルパーセントの5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステル、44モルパーセントのアリルHFA、及び16モルパーセントのHFANBを含有することが決定された。
【0172】
処方実施例1
良好な溶解速度調整剤の一つの特徴は、ベーク(適用後及び露光後の両方)中の低い揮発性である。合成実施例14の5−ノルボルネン−2−カルボン酸の2−(トリフルオロメチル)−1,1−ジメチルエチルエステルの過酢酸で処理されたオリゴマー対してこれを試験するために、適した結合剤樹脂サブストレート中のオリゴマーの配合物の溶解速度を、ベーク温度における時間の関数として測定した。揮発性の溶解速度調整剤は、長時間にわたる増加した溶解速度を持つ結合剤樹脂配合物を与える筈である。非揮発性の溶解速度調整剤は、長時間にわたる一定の溶解速度を与える筈である。
【0173】
ポリ(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)(19600のMw)及びオリゴマーとの5重量パーセントの配合物、並びにPGMEA中のポリ(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)(19600のMw)の両方の、130℃のベーク温度における、時間に対するスピンされたフィルム(約5.1cm(2インチ)のシリコンウエハ上に500rpmで15秒間、続いて2000rpmで60秒間スピンし、次いで130℃で2分間ベークした、PGMEA中の20重量パーセントの固体)の、0.26Nの水性の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)中の溶解速度の挙動。表1に示したこの実験のデータは、130℃で2分後、結合剤樹脂/オリゴマーの配合物の溶解速度が、高温における長時間後に増加する兆候がないことを明白に示す。従って、ポリ(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネン)基剤樹脂において、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのオリゴマーは、揮発性ではない。
【0174】
【表1】
【0175】
処方実施例2
この実施例は、12、13、及び16からのDR調整剤によるHFANBホモポリマーの溶解の阻害を示す。合成実施例12、13、及び16からの溶解速度調整剤を、増加する濃度で、トリフェニルスルホニウムノナフラートと共に、基剤樹脂、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw=12900 Mn=6640)と配合した。
【0176】
基剤樹脂の溶液を、溶解速度調整剤を増加する濃度(使用された基剤樹脂の0、5、10、15、及び20重量%)で伴って、PGMEA中で調製した。基剤樹脂の濃度を変更して、固体の全重量を約20%に保った。トリフェニルスルホニウムノナフラートを、溶液の3重量/重量%で加えた。
【0177】
サブストレートをヘキサメチルジシラザン(HMDS)で一次処理したシリコンウエハ(130℃で90秒間軽いベーク)上に調製した。上記で調製した溶液を、500rpmで30秒間、続いて2000rpmで60秒間、続いて130℃で120秒間の軽いベークのスピンプログラムを使用してスピンした。
【0178】
【表2】
【0179】
*現像剤は溶解の兆候なしに15分間フィルム上に残存した。
処方実施例3
この実施例は、合成実施例14からのDR調整剤と配合されたHFANBホモポリマーのMeyerhoferプロットを与える。合成実施例14からの溶解速度調整剤を、増加する濃度で、トリフェニルスルホニウムノナフラートと共に、基剤樹脂、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw=12900 Mn=6640)と配合した。
【0180】
基剤樹脂の溶液を、増加する濃度(使用した基剤樹脂に対する0、5、10、15、及び20重量%)の溶解速度調整剤を伴って、PGMEA中で調製した。基剤樹脂の濃度を変更して、固体の全重量を約20%に保った。トリフェニルスルホニウムノナフラートを、溶液の3重量/重量%で加えた。
【0181】
サブストレートをヘキサメチルジシラザン(HMDS)で一次処理したシリコンウエハ(130℃で90秒間軽いベーク)上に調製した。上記で調製した溶液を、500rpmで30秒間、続いて2000rpmで60秒間、続いて130℃で120秒間の軽いベークのスピンプログラムを使用してスピンした。
【0182】
未露光のウエハを、0.26NのTMAHで現像した。即時の識別可能な溶解を示さなかったフィルムを、15分間又はフィルムがサブストレートから持上がるまでモニターした。
【0183】
同一のウエハを、更に515mJ/cm2で248nmの光を使用してブランケット露光した。130℃で120秒間の露光後ベークを適用した。これらのフィルムの溶解を0.26NのTMAH中で決定した。
【0184】
露光及び未露光フィルムの溶解速度の結果を、加えた溶解速度調整剤の関数として図1に示し、これは、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマーと配合された合成実施例14からの溶解速度調整剤のMeyerhoferプロットである。
【0185】
処方実施例4
この実施例は、本発明の処方のエッチング耐性を証明する。実施例12、13、14、及び16からの溶解速度調整剤を、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw=12900 Mn=6640)と20重量パーセントで、1重量パーセントのトリフェニルスルホニウムノナフラートと共に配合した。ブランケット反応性イオンエッチングを、ノボラック、単独の結合剤樹脂(5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー)及び過酢酸で処理された合成実施例14からの溶解速度調整剤と処方された結合剤樹脂上に行った。試料をPGMEA中の20%の固体の溶液として調製した。処方された試料を、20重量/重量%付加の調整剤と共に調製した。シリコンウエハを、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で一次処理し、そして130℃で60秒間ベークした。次いでポリマー溶液を0.2μmのTEFLON(登録商標)のシリンジ型フィルターを通して濾過し、そして500rpmで30秒間、そして次いで2000rpmで60秒間スピンした。最後に、これらを130℃で120秒間軽くベークした。
【0186】
エッチングを、プラズマ熱反応性イオンエッチング装置(RIE)で行った。試料を60秒間エッチングし、除去し、そして厚さの測定をJ.A.WoollamモデルM−2000楕円偏光計で行った。エッチング条件は、次のとおりであった:CHF3/O2プラズマ、50mTorrのチャンバー圧力、150Wの供給電力、60秒のエッチング時間、そして両方のガスの流れの流速は、25sccmであった。
【0187】
ノボラックに対するエッチング速度は、323.2nm/秒であると決定され、そして1.0と基準化された。ノボラックに対して、結合剤樹脂は1.50のエッチング速度を有し、そして調整剤と共に処方された試料は、1.68のエッチング速度を有していた。エッチング速度のわずかのみの増加が溶解速度調整剤を伴う処方において観察される。
【0188】
処方実施例5
合成実施例23からの非保護オリゴマーを、HFANBノホモポリマー(Mw=5600)と3、5、10及び20重量パーセントでPGMEA中で配合した。次いでこれらの処方を、HMDSで一次処理したシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0189】
全てのヒドロキシル基が、酸に不安定な基で保護された合成実施例27からのオリゴマー(メトキシメチルエーテル又はMOM保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0190】
全てのヒドロキシル基が、酸に不安定な基で保護された合成実施例25からのオリゴマー(炭酸t−ブチル又はtBOC保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0191】
これらの研究の結果は、フィルムの露光が行われなかったことにおける“擬似”Meyerhoferプロットの構築を可能にする。然しながら、合成実施例25及び27からの保護されたオリゴマーを使用して発生したデータは、これらが基剤樹脂の溶解速度を抑制し、そして従ってウエハの非露光領域を模倣し、そして合成実施例24からの非保護オリゴマーを使用して生成したフィルムは、基剤樹脂の溶解速度を抑制せず、そして従って、ウエハの露光された領域を模倣することを示す。“擬似”Meyerhoferプロットを、図10に示す。
【0192】
処方実施例6
全ての酸性の基が酸に不安定な分子で保護された合成実施例29からのオリゴマー(メトキシメチルエーテル又はMOM保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=6920)と、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0193】
全ての酸性の基が非保護のままの合成実施例30からのオリゴマーを、HFANBのホモポリマー(Mw=6920)と、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0194】
これらの二つの研究の結果は、フィルムの露光が行われなかったことにおける“擬似”Meyerhoferプロットの構築を可能にする。然しながら、合成実施例29からの保護されたオリゴマーを使用して発生したデータは、これが基剤樹脂の溶解速度を抑制し、そして従ってウエハの非露光領域を模倣し、そして合成実施例30からの非保護オリゴマーを使用して生成したフィルムは、基剤樹脂の溶解速度を向上し、そして従って、ウエハの露光された領域を模倣することを示す。“擬似”Meyerhoferプロットを、図11に示す。
【0195】
処方実施例7
HFANBのオリゴマー(Mw=1670、Mw/Mn=1.19)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0196】
全てのヒドロキシル基が酸に不安定な炭酸tert−ブチル基で保護された合成実施例31からのオリゴマー(tBOC保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0197】
全てのヒドロキシル基が酸に不安定なメトキシメチルエーテル基で保護された合成実施例32からのオリゴマー(MOM保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、3、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0198】
これらの研究の結果は、フィルムの露光が行われなかったことにおける“擬似”Meyerhoferプロットの構築を可能にする。然しながら、合成実施例30及び31からの保護されたオリゴマーを使用して発生したデータは、これらが基剤樹脂の溶解速度を抑制し、そして従ってウエハの非露光領域を模倣し、そして非保護のビニル付加HFANBオリゴマーを使用して生成したフィルムは、基剤樹脂の溶解速度を抑制せず、そして従って、ウエハの露光された領域を模倣することを示す。“擬似”Meyerhoferプロットを、図12に示す。
【0199】
処方実施例8
アリルHFA、5−ノルボルネンカルボン酸のtert−ブチルエステル、及び5−シアノノルボルネンのオリゴマー(Mw=2240、Mw/Mn=1.64)(合成実施例33)を、HFANBのホモポリマー(Mw=3990、Mw/Mn=1.60)と、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0200】
全てのヒドロキシル基がメトキシメチルエーテル基で保護された合成実施例34からのオリゴマー(MOM保護)を、HFANBのホモポリマー(Mw=3990、Mw/Mn=1.60)と、5、10及び20重量パーセントで、PGMEA中で配合した。次いでこれらの処方をHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。次いで得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)を、0.26Nの水性TMAHによる溶解速度研究にかけた。
【0201】
これらの研究からの結果は、フィルムの露光が行われなかったことにおける“擬似”Meyerhoferプロットの構築を可能にする。然しながら、合成実施例33及び34からの保護されたオリゴマーを使用して発生したデータは、これらが基剤樹脂の溶解速度を抑制し、そして従ってウエハの非露光領域を模倣し、そして非保護のビニル付加テルオリゴマー(合成実施例33)を使用して生成したフィルムは、基剤樹脂の溶解速度を抑制せず、そして従って、ウエハの露光された領域を模倣することを示す。“擬似”Meyerhoferプロットを、図13に示す。
【0202】
処方実施例9
試料を、基剤ポリマー(100%のビニル付加HFANBホモポリマー)を、プロピレングリコールメチルエーテル酢酸塩(PGMEA)中に、20%の固体で溶解することによって調製した。これらの溶液を0.2mmのTEFLON(登録商標)のシリンジ型フィルターを通して2回濾過し、そしてシリコンウエハに滴下により適用した。ウエハを、500rpmで20秒間、続いて2000rpmで60秒間のプロトコルでスピンした。ウエハを130℃で90秒間軽くベークして、溶媒を除去した。光学密度を楕円偏光計によって測定した。測定は、屈折の指数(n)及び吸光係数(κ)として報告された。この作業から、吸収係数(α)を、α=4πκ/λとして誘導することができ、ここでλは、関心のある波長(157又は193nm)である。透過率(T)は、T=e−αtから誘導され、そして吸光度(A)は、A=−logTと定義される。この吸光度数を、ミクロンのフィルムの厚さによって割ることにより、光学密度(OD)が与えられる。
【0203】
【表3】
【0204】
データは、本発明の溶解速度調整剤の、結合剤樹脂(HFANBホモポリマー)への添加、実施例C2及びC5は、193nmにおける光学密度(OD)のわずかな増加のみを示し、そして157nmではODを増加せず、そしてある場合には、実際に未希釈の結合剤樹脂(比較実施例C1)と比較して、これをある程度減少することができる。
【0205】
処方実施例10
実施例10a−10iは、HMDSで一次処理されたシリコンウエハ上に調製された試料であった。20重量パーセントのオリゴマーの溶解速度調整剤を含有するポリマー溶液(PGMEA中の20%の固体)を、シリコンウエハ上に次のプロトコル:500rpmで20秒間、続いて2000rpmで60秒を使用してスピンコートした。ウエハを130℃で120秒間軽くベークした。ウエハを室温に冷却し、そしてエッチングチャンバー(プラズマ熱)に入れた。次いでウエハを次の条件下:9:1の比のCHF3/O2、CHF3流量=22.5sccm、O2流量=2.25sccm、P=100mTorr、おおよその電力=200Wでエッチングした。ノボラックに対する得られたエッチングのデータを、以下の表に与える。
【0206】
【表4】
【0207】
データは、未希釈の結合剤樹脂(HFANBホモポリマー)と比較して、本発明のオリゴマーの溶解速度調整剤の添加(20重量パーセント)の実施例D2及びD3は、得られたフィルムのエッチング速度を顕著には変化しないことを示す。エッチング速度は、ノボラックに対して報告されている。
【0208】
処方実施例11
HFANBのホモポリマー(Mw=5600)を、PGMEA中に溶解し、そしてHMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)に交差平行線を入れ、そして加熱行程に入れた。交差平行線を、ウエハが加熱される間観察した。交差平行線を入れられた区域のポリマーが流れ始める点を、流動温度と考えた。流動温度=215℃。
【0209】
処方実施例12
合成実施例24からの非保護のオリゴマーを、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、20重量パーセントでPGMEA中で配合した。次いでこの処方を、HMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)に交差平行線を入れ、そして加熱行程に入れた。交差平行線を、ウエハが加熱される間観察した。交差平行線を入れられた区域のポリマーが流れ始める点を、流動温度と考えた。流動温度=180℃。
【0210】
処方実施例13
HFANBのオリゴマー(Mw=1670、Mw/Mn=1.19)を、HFANBのホモポリマー(Mw=5600)と、20重量パーセントでPGMEA中で配合した。次いでこの処方を、HMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)に交差平行線を入れ、そして加熱行程に入れた。交差平行線を、ウエハが加熱される間観察した。交差平行線を入れられた区域のポリマーが流れ始める点を、流動温度と考えた。流動温度=185℃。
【0211】
処方実施例14(比較)
商業的なポリ(パラヒドロキシスチレン)(Mw=約9,000;Tg示差走査熱量計により約164℃)をPGMEA中に溶解した。次いでこの処方を、HMDSで一次処理されたシリコンウエハ上にスピンコートし、そして130℃で2分間軽くベークして、溶媒を除去した。得られたフィルム(約1ミクロンの厚さ)に交差平行線を入れ、そして加熱行程に入れた。交差平行線を、ウエハが加熱される間観察した。交差平行線を入れられた区域のポリマーが流れ始める点を、流動温度と考えた。流動温度=180℃。
【0212】
処方実施例11−14は、本発明のオリゴマーの溶解速度調整剤が、環式オレフィンポリマーの流動温度を下げることを示す。比較実施例は、流動温度が、おそらくガラス転移温度より数度高いことを示す。これらの結果は、流動温度がポリマーフィルムのガラス転移温度よりある程度高く、そして低分子量の溶解速度調整剤の添加がガラス転移温度を抑制するという概念を支持する。
【0213】
作像実施例1
この実施例は、合成実施例11の溶解速度調整剤を使用する光学作像を証明する。原液を次の方法で調製した。基剤樹脂、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw12850、Mn6640)を、0.5g基剤樹脂/1.0gPGMEA、溶解速度調整剤5−ノルボルネン−2−カルボン酸のtert−ブチルエステルのコオリゴマー、及び合成実施例11からの5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンを0.115g調整剤/1.0gPGMEA、並びに光酸発生剤、又はPAG(ペルフルオロ−1−ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム)0.05gPAG/1.0gPGMEAの溶液として調製した。次いでこれらの成分を十分な更なるPGMEAと混合して、20%の調整剤及び1%の光酸発生剤からなる最終溶液を形成した。
【0214】
シリコンウエハ<1,0,0>を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)をウエハ上に500rpmで10秒間、続いて2000rpmで60秒間スピンすることによって前処理した。次いでウエハを130℃で90秒間の軽いベークによって乾燥した。樹脂/調整剤/PAGの試料を、約2mLをウエハの中心に適用し、そして500rpmで10秒間、続いて2000rpmで60秒間スピンすることによってウエハ上にキャストした。これらの試料を、130℃で120秒間軽くベークし、そして冷却させた。
【0215】
画像を、248nmの中心波長及び10nmの半値幅(FWHM)を持つDUV帯域フィルターを備えたOriel 87000系列のHg−Xeフラッド露光装置で試料を照射することによって得た。次いで試料を石英マスク(LSIフォトマスク)上のクロムを通して500mJ/cm2の強度で露光した。130℃で120秒間の露光後ベークを適用し、この時点で潜増が現れた。次いで試料を水酸化テトラメチルアンモニウムの溶液(0.26N)中に60秒間浸漬し、続いて脱イオン水中で洗浄し、そして窒素の流れで乾燥した。
【0216】
SEM顕微鏡写真をHitachi 3500H走査電子顕微鏡(SEM)で得て(図3A、3B及び3C参照)、これは約80ミクロンの線の幅を示した。SEMは、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量%の実施例11からの溶解速度阻害剤を含有したフィルムから得られた画像を示す。
【0217】
作像実施例2
この実施例は、合成実施例16の溶解速度調整剤を使用した作像を証明する。この実施例は、合成実施例16からの溶解速度調整剤を使用した以外は、作像実施例1の繰返しであった。図4A、4B、及び4Cは、約200ミクロンの線の幅を示す。
【0218】
SEMは、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量パーセントの実施例16からの溶解速度阻害剤を含有するフィルムから得られた画像を示す。
【0219】
作像実施例3
この実施例は、合成実施例12の溶解速度調整剤を使用した作像を証明する。この実施例は、合成実施例12からの溶解速度調整剤を使用した以外は、作像実施例1の繰返しであった。
【0220】
図5A、5B、及び5Cは、約75ミクロンの線の幅の、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量パーセントの実施例12からの溶解速度阻害剤を含有するフィルムから得られた画像のSEMを示す。
【0221】
作像実施例4
この実施例は、合成実施例13の溶解速度調整剤を使用した作像を証明する。この実施例は、合成実施例13からの溶解速度調整剤を使用した以外は、作像実施例1の繰返しであった。
【0222】
図6A、6B、及び6Cは、約50ミクロンの線の幅の、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量%の実施例13からの溶解速度阻害剤を含有するフィルムから得られた画像のSEMを示す。
【0223】
作像実施例5
この実施例は、合成実施例14の溶解速度調整剤を使用した作像を証明する。この実施例は、合成実施例14からの溶解速度調整剤を使用した以外は、作像実施例1の繰返しであった。
【0224】
図7A、7B、及び7Cは、約50ミクロンの線の幅の、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー中の20重量%の実施例14からの溶解速度阻害剤を含有するフィルムから得られた画像のSEMを示す。
【0225】
作像実施例6
これは、実施例11の溶解速度調整剤を使用した作像実施例である。試料及びウエハは、作像実施例1のように調製され、そして処方された。
【0226】
電子ビーム露光を、25keVの加速電位で10ピコアンペアの書込み電流でおこなった。露光の直後、試料をチャンバーから排出し、そしてホットプレートに移した。露光後ベークは、130℃で2分間であった。試料を0.26Nの水酸化テトラメチルアンモニウム中で現像した。
【0227】
図8A(10μC/cm2工程)、8B(5μC/cm2工程)、及び8C(20及び30μC/cm2工程)は、得られた約2ミクロンの線の幅を示す。
作像実施例7
これは、実施例14の溶解速度調整剤を使用した作像実施例である。試料及びウエハは、作像実施例5のように調製され、そして処方された。
【0228】
電子ビーム露光を、25keVの加速電位で10ピコアンペアの書込み電流でおこなった。露光の直後、試料をチャンバーから排出し、そしてホットプレートに移した。露光後ベークは、130℃で2分間であった。試料を0.26Nの水酸化テトラメチルアンモニウム中で現像した。
【0229】
図9A(10μC/cm2工程)及び9B(50μC/cm2工程)は、得られた画像を示す。
作像実施例8
HMDSで一次処理されたシリコンウエハを、実施例F1の手順によって、15重量パーセントの溶解速度阻害剤(実施例36からのHFANB、アリルHFA、及び5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステルのメトキシメチルエーテルで保護されたターオリゴマー)及び全ポリマーの2重量パーセントのペルフルオロブタンスルホン酸(ノナフラート)トリフェニルスルホニウムと処方された、ビニル付加HFANBのホモポリマー(Mw=4000、Mw/Mn=1.60)のPGMEA溶液でスピンコートした。このフィルムをUV照射(248nm、100mJ/cm2)で石英マスクを通して露光し、続いて90秒間の露光後ベークを130℃で行った。次いでウエハを90秒間0.26NのTMAH水溶液で現像した。高解像度のポジ型画像が得られた。
【0230】
光学密度実施例1
この実施例は、10%の実施例14の溶解速度調整剤を伴うHFANBホモポリマー基剤樹脂の光学密度を評価する。基剤ポリマー、5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンのホモポリマー(Mw8870、Mn4880)の、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)中の20重量パーセントの溶液を、2.54cm(1インチ)の石英ウエハ上に、0.2ミクロンのTEFLON(登録商標)シリンジフィルターを通して施し、そして500rpmで10秒間、そして2000rpmで60秒間スピンした。次いでウエハを60秒間130℃でベークした。
【0231】
第2の溶液を、基剤ポリマーの10重量%の実施例14からの溶解速度調整剤を混合物に加えた以外は、同様な方法で調製した。この溶液の薄いフィルムを上記と同様な方法で調製した。
【0232】
光学的吸収度を、193nmでCary 400走査UV−Vis分光光度計を使用して測定した。フィルムの厚さを、フィルムを採点した後、TENCOR粗面計を使用して測定した。次いでフィルムの光学密度を、吸光度を厚さ(ミクロン)で割って計算した。
【0233】
第1の、即ち、溶解速度調整剤が加えられていないフィルムの光学密度は、0.028吸光単位/ミクロンであった。第2の、即ち、10重量パーセントの実施例14からの溶解速度調整剤を加えられたフィルムの光学密度は、0.049吸光度単位/ミクロンであった。
【0234】
光学密度実施例2
ビニル付加HFANBのホモポリマー(Mw=4000、Mw/Mn=1.60)を、0、2、5、8、12、及び15重量パーセントの溶解速度紫外剤(メトキシメチルエーテルで保護された、合成実施例36からのHFANB、アリルHFA、及び5−ノルボルネンカルボン酸のt−ブチルエステルのターオリゴマー、並びに使用された全ポリマーの2重量パーセントのペルフルオロブタンスルホン酸(ノナフラート)トリフェニルスルホニウムと処方した。溶液を0.2μmのTEFLON(登録商標)フィルター通して2回通過させてから、HMDSで一次処理したウエハに沈積した。ウエハを500rpmで10秒間、続いて2000rpmで60秒間スピンした。次いでウエハを130℃で90秒間軽くベークした。ウエハの一部をUV照射(248nm、515mJ/cm2)に暴露し、続いて90秒間130℃で暴露後ベークした。0.26NのTMAH水溶液中のフィルムの露光及び非露光部分の溶解速度(nm/秒)を、光学干渉法を使用して測定した。Meyerhoferプロットとして知られる、溶解速度の対数で表示されるこの研究の結果を、図5に示す。
【0235】
これらの結果は、酸に不安定な基で保護された本発明のオリゴマーが、真実に非露光区域の基剤ポリマーの溶解速度を抑制し、そして露光区域の基剤ポリマーの溶解速度を加速することを明確に示す。
【0236】
本発明は、その特別の態様の具体的な詳細に関して説明されてきた。このような詳細が、これらが特許請求項に含まれる限り、そしてその範囲を除き、本発明の範囲の制約と考えられることは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】図1は、従来の技術の可能性のある溶解速度調整剤の構造を示す。
【図2】図2は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図3】図3A、3B、及び3Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図4】図4A、4B、及び4Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図5】図5A、5B、及び5Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図6】図6A、6B、及び6Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図7】図7A、7B、及び7Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。そして
【図8】図8A、8B、及び8Cは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図9】図9A及び9Bは、本発明によって製造された画像の電子顕微鏡写真を示す。
【図10】図10は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図11】図11は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図12】図12は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図13】図13は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図14】図14は、溶解速度調整剤の濃度に対する溶解速度の“擬似”Meyerhoferプロットを示す。
【図15】図15は、本発明の溶解速度調整剤を製造するために使用することができるモノマーの構造を示す。
【図16】図16は、本発明によって使用することができるα,α−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−エタノール(HFANB)型モノマーから誘導された酸に不安定な繰返し単位の構造を示す。
【図17】図17は、本発明によって使用することができる1−ビス(トリフルオロメチル)−3−ブテン−1−オール(アリルHFA)型モノマーから誘導された酸に不安定な繰返し単位の構造を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の以下の式A、B、C、D又はE:
【化1】
によるモノマーから誘導される繰返し単位を含んでなるオリゴマーを含んでなる溶解速度調整剤であって、
前記繰返し単位は、式A及び/又は式Eによるフッ素化された酸に不安定な基の置換基を含むモノマーから誘導される第1の繰返し単位を含んでなり、及び式A、B、C、D又はEによる1以上のモノマーを含んでなる他の繰り返し単位を所望により含んでなり、但し、式Aによるモノマーが存在しない場合、式Eによるモノマーが含まれなければならず、そして式D又はEによるモノマーが存在する場合、少なくとも一つの式A、B又はCによるモノマーが存在しなければならないことを条件とし、但し、少なくとも一つの繰返し単位が式D又はEから誘導される場合、オリゴマーの誘導がフリーラジカル触媒を使用することを含んでなり、そしてここで前記繰返し単位が式A、B及び/又はCによるモノマーからのみ誘導される場合、オリゴマーの誘導がNi又はPdを含んでなる触媒を使用することを含んでなることを条件とし;
式中、mは、0〜5の整数であり;Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、又は−NH−であり;式中、少なくとも一つのR1、R2、R3、R4置換基は、独立に、酸に不安定な基によって所望により保護された1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたカルビノールであり、そして残りのR1、R2、R3、及びR4は、独立に、水素、ハロゲン、或いは、1〜約20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルであり;式中、少なくとも一つのR5、R6、R7、又はR8は、独立に酸に不安定な部分を含有し、そして残りの1以上のR5、R6、R7、又はR8は、独立に水素、ハロゲン、又は1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルであり;式中、R9、R10、R11、又はR12は、独立に水素原子、1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、及び任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有し、そしてエポキシ、ヒドロキシ、及び/又はカルボン酸官能基を所望により含有するヒドロカルビルから独立に選択され;式中、Yは、酸に不安定な基によって所望により保護された1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたカルビノールであり、Xは、OH、CN、OC(O)R13、C(O)OR13、OR13、N(R13)2であり、ここでR13は、1〜約12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分枝鎖又は環式の脂肪族ヒドロカルビル基であり、そして所望により前記ヒドロカルビルの少なくとも一つの炭素原子は、1、2、又は3個のフッ素原子を含有し;そして前記オリゴマーが、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された約3000より少ない重量平均分子量(Mw)を有する、前記溶解速度調整剤。
【請求項2】
存在するY、R1、R2、R3、又はR4の少なくとも一つが式
−((CH2)nO)n’−CH2−C(OR’)(CF3)2
[式中R’がH又は酸に不安定な基であり、そしてn及びn’が独立に0〜10である]によるフッ素化された基である、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項3】
前記酸に不安定な基が、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、−CH3COO(t−Bu)、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル(lactonyl)、ジシクロプロピルメチル、ジメチルシクロプロピルメチル、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の溶解速度調整剤。
【請求項4】
R5、R6、R7、及びR8の少なくとも一つが、式(IV):
−R19−C(O)−O−R20 (IV)
[式中、R19は、C1〜C12の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択され、そしてR20は、C1〜C22の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アラルキル、或いはアルカリール、及び以下の式(V):
−[−(CR152−)q−O−]p−R21 (V)
によるヒドロキシアルキルエーテルから選択され、式中、存在する各R15は、独立にH、メチル、エチル及びハロゲン化物から選択され、qは1〜5であり、pは1〜20であり、そしてR21は、C1〜C22の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アラルキル、或いはアルカリールから選択される]
による基を含んでなる
、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項5】
存在するR9、R10、R11、及びR12の少なくとも一つが、式(II):
−R16−C(O)−W−R17 (II)
[式中、R16は、共有結合、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、アルケニレン又はアルキニレン(これらはハロゲン化物を所望により含有することができる)から選択され、;Wは、O、S、及びNR18から選択され、ここにおいてR18は、H、及びC1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキルから選択され;そしてR17は、H、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル或いはアルキニル(これらはハロゲン化物を所望により含有することができる)、並びに−OH、アルキル、アラルキル、及びアルカリール末端のポリ(アルキレンオキシド)基から選択される]
による基;並びに以下の式(III):
−A−O−[−(CR152−)q−O−]p−(CR152−)q−OH(III)
[式中、Aは、C1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択される連結基であり、存在する各R15は、H、メチル、エチル及びハロゲン化物から独立に選択され、qは、1〜5であり、そしてpは、0〜3である]
によるヒドロキシアルキルエーテルから独立に選択される、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項6】
前記酸に不安定な基が、以下の式:
−C(O)OR’’
による基であり、式中、R’’は、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル、ジメチルシクロプロピルメチル、及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項7】
前記式Dによるモノマーが、アリルアルコール、アリルニトリル、及びシアン化アリルから選択される、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項8】
Yが、
−(CH2)n−C(OR’)(CF3)2
[式中、nが0〜10の整数であり、そしてR’が、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル、及びジメチルシクロプロピルメチル基から選択される];
−C(O)OR’’
[式中、R’’が、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル、及びジメチルシクロプロピルメチル基から選択される];
並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項9】
Yが、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、又は−C(O)OC(CH3)3である、請求項8に記載の溶解速度調整剤。
【請求項10】
以下の構造A〜J:
【化2】
から選択される一以上のモノマーを含んでなる、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項11】
式Eによるモノマーが、以下の式:
【化3】
を含んでなる、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項12】
I)式A、B、C、D及び/又はEによる1以上のモノマーを含んでなるモノマー混合物を形成すること(ここにおいてAが存在しない場合、Eが含まれていなければならない);
II)フリーラジカル開始剤を、前記モノマー混合物に重合を起こすために十分な量で加えること;そして
III)前記開始剤が重合を起こすことができる温度に、II)の混合物を加熱すること;
を含んでなる、請求項1に記載のオリゴマーを製造する方法。
【請求項13】
前記開始剤が、モノマー混合物の全重量の約1%〜20重量%の水準で存在する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フリーラジカル開始剤が、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、ヒドロ過酸化tert−ブチル、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
脂肪族、脂環族、芳香族、複素環族、ハロゲン化脂肪族、ハロゲン化芳香族、エーテル及びこれらの組合せからなる群から選択される溶媒中で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
i)本質的に少なくとも一つの式A、B、及び/又はCのモノマーによる1以上のモノマー及びエチレン性の不飽和な物質からなるモノマー混合物を形成すること;そして
ii)Ni錯体が、Ni錯体に配位結合することが可能な15族及び16族元素を含有する準安定なキレート化リガンドを含んでなる、Ni又はPd錯体を含有する触媒を、モノマー混合物に加えること;
を含んでなる、請求項1に記載のオリゴマーを製造する方法。
【請求項17】
R1〜R15が:
(a)H、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式のアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル及びアルキニル;
(b)O、N、及びSiから選択される1以上の異種原子を含有し、及び/又は1以上のハロゲン化物を含有する、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式のアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル及びアルキニル;
(c)以下の式(II):
−R16−C(O)−W−R17 (II)
[式中、R16は、共有結合、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、アルケニレン又はアルキニレンから選択され、これらは、ハロゲン化物を所望により含有することができ;Wは、O、S、及びNR18から選択され、ここにおいてR18は、H、及びC1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキルから選択され;そしてR17は、H、C1−C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル及びアルキニル(これらはハロゲン化物を所望により含有することができる)、並びに−OH、アルキル、アラルキル、及びアルカリール末端のポリ(アルキレンオキシド)基から選択される]
による基、;及び
(d)以下の式(III):
−A−O−[−(CR152−)q−O−]p−(CR152−)q−OH(III)
[式中、Aは、C1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択され、存在する各R15は、H、メチル、エチル及びハロゲン化物から独立に選択され、qは1〜5であり、そしてpは0〜3である]
によるヒドロキシアルキルエーテル;
からなる群から選択されるモノマーを、式A、B、及びCによるモノマーが含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エチレン性の不飽和の物質が、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記式A、B、及びCのモノマーが、構造(VI):
【化4】
[式中、R22は、C1〜C8直鎖及び分枝鎖アルキレンから選択され、そしてR23が、C1〜C8の直鎖及び分枝鎖アルキルから選択される]
による多環式オレフィンモノマーを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法から得られる多環式オレフィンモノマーのオリゴマー。
【請求項21】
式(VIIa)及び(VIIb):
【化5】
[式中、存在する各Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、O、S、及び−NH−から独立に選択され;存在する各mは、独立に0〜5の整数であり;そして存在する各Rjは、R1、R5又はR9のいずれかによって記述され;Rkは、R2、R6、又はR10のいずれかによって記述され;Rmは、R3、R7、又はR11のいずれかによって記述され;そしてRnは、R4、R8又はR12のいずれかによって記述される]
による化合物を含む、二つの多環式オレフィンモノマー及びエチレンの反応生成物を含んでなる、請求項20に記載のオリゴマー。
【請求項22】
請求項1に記載の溶解速度調整剤を含んでなる、フォトレジスト組成物。
【請求項23】
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)官能基を含有する架橋剤;
D)架橋剤中の官能基と反応性である官能基を含有する1以上のネガ型作像ポリマー樹脂;及び
E)請求項1に記載の溶解速度調整剤;
を含んでなる、ネガ型フォトレジスト組成物。
【請求項24】
前記架橋剤(C)を、前記光酸発生剤(B)によって発生する酸によって活性化することができる、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記架橋剤の官能基が、メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたフェノール;メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換された環式尿素;メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたメラミン;並びにメチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたベンゾグアニン化合物からなる群から選択される一つ又はそれより多くである、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記光酸発生剤(B)が、トリフラート、ピロガロール、オニウム塩、六フッ化ヒ酸塩、三フッ化メタンスルホン酸塩、ヒドロキシイミドのエステル、α,α’−ビス−スルホニル−ジアゾメタン、ニトロで置換されたベンジルアルコールのスルホン酸エステル及びナフトキノン−4−ジアジドからなる群から選択される一つ又はそれより多くである、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記溶媒(A)が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、ブチロ乳酸塩、及び乳酸エチルからなる群から選択される一つ又はそれより多くである、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
前記ネガ型作像ポリマーが、ヒドロキシル、カルボキシル、及びエポキシからなる群から選択される1以上の官能基を含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
前記ネガ型作像ポリマーが、多環式オレフィンモノマーから誘導される繰返し単位を有するポリマーを含んでなる、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)照射に露光された場合に開裂し、ポリマーを非露光ポリマーより現像剤に更に溶解性であるようにすることができる基を含有する部分を含有する官能基を含む1以上のポジ型作像ポリマー;及び
D)請求項1に記載の溶解速度調整剤;
を含んでなる、ポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項31】
前記ポジ型作像ポリマーが、ポリノルボルネン、フェノール結合剤、ポリヒドロキシスチレン、スチレン−アクリルレートコポリマー、1〜約12個の炭素原子を有するアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー、ノルボルネン及び無水マレイン酸のコポリマー、ノルボルネン、無水マレイン酸及びこれらの組合せのターポリマーからなる群から選択される、請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項32】
前記溶媒が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノン、及びこれらの組合せから選択されるスピン用溶媒である、請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項33】
更に、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン、トリイソプロピルアミン、N−メチルピロリドン等から選択される塩基クエンチャーを含んでなる、請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項34】
(a)サブストレートを、請求項23に記載のネガ型フォトレジスト組成物を含有するフィルムでコーティングして、フィルムを形成すること;
(b)前記フィルムを照射光に像様に露光させて、画像を形成すること;
(c)前記フィルムを照射後ベークすること;そして
(d)画像を現像すること;
を含んでなるネガ型レジスト画像を生成する方法。
【請求項35】
前記サブストレートが、1以上のシリコン、セラミックス又はポリマーを含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記フィルムが、スピンコーティング、スプレーコーティング及びドクターブレードから選択される1以上の方法を使用してサブストレート上にコーティングされる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
(b)において照射に露光させる前に、前記フィルムを、90℃〜150℃で30秒〜5分間加熱する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記フィルムを、水銀ランプ、水銀/キセノンランプ、キセノンランプ、アルゴンフッ化物レーザー、クリプトンフッ化物レーザー、フッ素レーザー、x線及び電子ビームから選択される照射源に、像様に露光させることができる、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
(a)請求項23に記載のネガ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)前記フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)前記フィルムを照射後ベークすること;
(d)画像を現像して、前記サブストレートを露出させること;そして
(e)前記サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること;
を含んでなる集積回路の組立て方法。
【請求項40】
請求項39の方法によって得られる集積回路を含む、集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボード。
【請求項41】
(a)請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物を含有するフィルムでサブストレートをコーティングして、フィルムを形成すること;
(b)前記フィルムを像様に照射に露光させて、画像を形成すること;
(c)前記フィルムを照射後ベークすること;そして
(d)画像を現像すること;
を含んでなるポジ型レジスト画像を生成する方法。
【請求項42】
(a)請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)前記フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)前記フィルムを照射後ベークさせること;
(d)画像を現像して、前記サブストレートを露出させること;そして
(e)前記サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること;
を含んでなる集積回路の組立て方法。
【請求項43】
請求項42の方法によって得られる集積回路を含む、集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボード。
【請求項1】
1以上の以下の式A、B、C、D又はE:
【化1】
によるモノマーから誘導される繰返し単位を含んでなるオリゴマーを含んでなる溶解速度調整剤であって、
前記繰返し単位は、式A及び/又は式Eによるフッ素化された酸に不安定な基の置換基を含むモノマーから誘導される第1の繰返し単位を含んでなり、及び式A、B、C、D又はEによる1以上のモノマーを含んでなる他の繰り返し単位を所望により含んでなり、但し、式Aによるモノマーが存在しない場合、式Eによるモノマーが含まれなければならず、そして式D又はEによるモノマーが存在する場合、少なくとも一つの式A、B又はCによるモノマーが存在しなければならないことを条件とし、但し、少なくとも一つの繰返し単位が式D又はEから誘導される場合、オリゴマーの誘導がフリーラジカル触媒を使用することを含んでなり、そしてここで前記繰返し単位が式A、B及び/又はCによるモノマーからのみ誘導される場合、オリゴマーの誘導がNi又はPdを含んでなる触媒を使用することを含んでなることを条件とし;
式中、mは、0〜5の整数であり;Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、−O−、−S−、又は−NH−であり;式中、少なくとも一つのR1、R2、R3、R4置換基は、独立に、酸に不安定な基によって所望により保護された1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたカルビノールであり、そして残りのR1、R2、R3、及びR4は、独立に、水素、ハロゲン、或いは、1〜約20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルであり;式中、少なくとも一つのR5、R6、R7、又はR8は、独立に酸に不安定な部分を含有し、そして残りの1以上のR5、R6、R7、又はR8は、独立に水素、ハロゲン、又は1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、或いは任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を含有するヒドロカルビル、或いは各炭素原子が、独立に0、1、2、又は3個のフッ素原子で置換された、1〜約20個の炭素原子を有するフッ素化されたヒドロカルビルであり;式中、R9、R10、R11、又はR12は、独立に水素原子、1〜約20個の炭素原子を有するヒドロカルビル、及び任意の水素原子においてO、S、N、又はSiで置換された1〜約20個の炭素原子を有し、そしてエポキシ、ヒドロキシ、及び/又はカルボン酸官能基を所望により含有するヒドロカルビルから独立に選択され;式中、Yは、酸に不安定な基によって所望により保護された1〜約10個の炭素原子を有するフッ素化されたカルビノールであり、Xは、OH、CN、OC(O)R13、C(O)OR13、OR13、N(R13)2であり、ここでR13は、1〜約12個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分枝鎖又は環式の脂肪族ヒドロカルビル基であり、そして所望により前記ヒドロカルビルの少なくとも一つの炭素原子は、1、2、又は3個のフッ素原子を含有し;そして前記オリゴマーが、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された約3000より少ない重量平均分子量(Mw)を有する、前記溶解速度調整剤。
【請求項2】
存在するY、R1、R2、R3、又はR4の少なくとも一つが式
−((CH2)nO)n’−CH2−C(OR’)(CF3)2
[式中R’がH又は酸に不安定な基であり、そしてn及びn’が独立に0〜10である]によるフッ素化された基である、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項3】
前記酸に不安定な基が、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、−CH3COO(t−Bu)、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル(lactonyl)、ジシクロプロピルメチル、ジメチルシクロプロピルメチル、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の溶解速度調整剤。
【請求項4】
R5、R6、R7、及びR8の少なくとも一つが、式(IV):
−R19−C(O)−O−R20 (IV)
[式中、R19は、C1〜C12の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択され、そしてR20は、C1〜C22の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アラルキル、或いはアルカリール、及び以下の式(V):
−[−(CR152−)q−O−]p−R21 (V)
によるヒドロキシアルキルエーテルから選択され、式中、存在する各R15は、独立にH、メチル、エチル及びハロゲン化物から選択され、qは1〜5であり、pは1〜20であり、そしてR21は、C1〜C22の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アラルキル、或いはアルカリールから選択される]
による基を含んでなる
、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項5】
存在するR9、R10、R11、及びR12の少なくとも一つが、式(II):
−R16−C(O)−W−R17 (II)
[式中、R16は、共有結合、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、アルケニレン又はアルキニレン(これらはハロゲン化物を所望により含有することができる)から選択され、;Wは、O、S、及びNR18から選択され、ここにおいてR18は、H、及びC1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキルから選択され;そしてR17は、H、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル或いはアルキニル(これらはハロゲン化物を所望により含有することができる)、並びに−OH、アルキル、アラルキル、及びアルカリール末端のポリ(アルキレンオキシド)基から選択される]
による基;並びに以下の式(III):
−A−O−[−(CR152−)q−O−]p−(CR152−)q−OH(III)
[式中、Aは、C1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択される連結基であり、存在する各R15は、H、メチル、エチル及びハロゲン化物から独立に選択され、qは、1〜5であり、そしてpは、0〜3である]
によるヒドロキシアルキルエーテルから独立に選択される、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項6】
前記酸に不安定な基が、以下の式:
−C(O)OR’’
による基であり、式中、R’’は、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル、ジメチルシクロプロピルメチル、及びこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項7】
前記式Dによるモノマーが、アリルアルコール、アリルニトリル、及びシアン化アリルから選択される、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項8】
Yが、
−(CH2)n−C(OR’)(CF3)2
[式中、nが0〜10の整数であり、そしてR’が、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル、及びジメチルシクロプロピルメチル基から選択される];
−C(O)OR’’
[式中、R’’が、−C(CH3)3、−Si(CH3)3、2−メチルノルボルニル、2−メチルイソボルニル、2−メチル−2−アダマンチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラノイル、3−オキソシクロヘキサノニル、メバロン酸ラクトニル、ジシクロプロピルメチル、及びジメチルシクロプロピルメチル基から選択される];
並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項9】
Yが、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、又は−C(O)OC(CH3)3である、請求項8に記載の溶解速度調整剤。
【請求項10】
以下の構造A〜J:
【化2】
から選択される一以上のモノマーを含んでなる、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項11】
式Eによるモノマーが、以下の式:
【化3】
を含んでなる、請求項1に記載の溶解速度調整剤。
【請求項12】
I)式A、B、C、D及び/又はEによる1以上のモノマーを含んでなるモノマー混合物を形成すること(ここにおいてAが存在しない場合、Eが含まれていなければならない);
II)フリーラジカル開始剤を、前記モノマー混合物に重合を起こすために十分な量で加えること;そして
III)前記開始剤が重合を起こすことができる温度に、II)の混合物を加熱すること;
を含んでなる、請求項1に記載のオリゴマーを製造する方法。
【請求項13】
前記開始剤が、モノマー混合物の全重量の約1%〜20重量%の水準で存在する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記フリーラジカル開始剤が、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、ヒドロ過酸化tert−ブチル、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
脂肪族、脂環族、芳香族、複素環族、ハロゲン化脂肪族、ハロゲン化芳香族、エーテル及びこれらの組合せからなる群から選択される溶媒中で行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
i)本質的に少なくとも一つの式A、B、及び/又はCのモノマーによる1以上のモノマー及びエチレン性の不飽和な物質からなるモノマー混合物を形成すること;そして
ii)Ni錯体が、Ni錯体に配位結合することが可能な15族及び16族元素を含有する準安定なキレート化リガンドを含んでなる、Ni又はPd錯体を含有する触媒を、モノマー混合物に加えること;
を含んでなる、請求項1に記載のオリゴマーを製造する方法。
【請求項17】
R1〜R15が:
(a)H、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式のアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル及びアルキニル;
(b)O、N、及びSiから選択される1以上の異種原子を含有し、及び/又は1以上のハロゲン化物を含有する、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式のアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル及びアルキニル;
(c)以下の式(II):
−R16−C(O)−W−R17 (II)
[式中、R16は、共有結合、C1〜C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレン、アリーレン、アラルキレン、アルカリーレン、アルケニレン又はアルキニレンから選択され、これらは、ハロゲン化物を所望により含有することができ;Wは、O、S、及びNR18から選択され、ここにおいてR18は、H、及びC1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキルから選択され;そしてR17は、H、C1−C25の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、アルケニル及びアルキニル(これらはハロゲン化物を所望により含有することができる)、並びに−OH、アルキル、アラルキル、及びアルカリール末端のポリ(アルキレンオキシド)基から選択される]
による基、;及び
(d)以下の式(III):
−A−O−[−(CR152−)q−O−]p−(CR152−)q−OH(III)
[式中、Aは、C1〜C6の直鎖、分枝鎖、又は環式アルキレンから選択され、存在する各R15は、H、メチル、エチル及びハロゲン化物から独立に選択され、qは1〜5であり、そしてpは0〜3である]
によるヒドロキシアルキルエーテル;
からなる群から選択されるモノマーを、式A、B、及びCによるモノマーが含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エチレン性の不飽和の物質が、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンテン、ヘキセン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記式A、B、及びCのモノマーが、構造(VI):
【化4】
[式中、R22は、C1〜C8直鎖及び分枝鎖アルキレンから選択され、そしてR23が、C1〜C8の直鎖及び分枝鎖アルキルから選択される]
による多環式オレフィンモノマーを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法から得られる多環式オレフィンモノマーのオリゴマー。
【請求項21】
式(VIIa)及び(VIIb):
【化5】
[式中、存在する各Zは、−CH2−、−CH2−CH2−、O、S、及び−NH−から独立に選択され;存在する各mは、独立に0〜5の整数であり;そして存在する各Rjは、R1、R5又はR9のいずれかによって記述され;Rkは、R2、R6、又はR10のいずれかによって記述され;Rmは、R3、R7、又はR11のいずれかによって記述され;そしてRnは、R4、R8又はR12のいずれかによって記述される]
による化合物を含む、二つの多環式オレフィンモノマー及びエチレンの反応生成物を含んでなる、請求項20に記載のオリゴマー。
【請求項22】
請求項1に記載の溶解速度調整剤を含んでなる、フォトレジスト組成物。
【請求項23】
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)官能基を含有する架橋剤;
D)架橋剤中の官能基と反応性である官能基を含有する1以上のネガ型作像ポリマー樹脂;及び
E)請求項1に記載の溶解速度調整剤;
を含んでなる、ネガ型フォトレジスト組成物。
【請求項24】
前記架橋剤(C)を、前記光酸発生剤(B)によって発生する酸によって活性化することができる、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記架橋剤の官能基が、メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたフェノール;メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換された環式尿素;メチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたメラミン;並びにメチロイル、アルコキシアルキル及びカルボキシメチル基で置換されたベンゾグアニン化合物からなる群から選択される一つ又はそれより多くである、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記光酸発生剤(B)が、トリフラート、ピロガロール、オニウム塩、六フッ化ヒ酸塩、三フッ化メタンスルホン酸塩、ヒドロキシイミドのエステル、α,α’−ビス−スルホニル−ジアゾメタン、ニトロで置換されたベンジルアルコールのスルホン酸エステル及びナフトキノン−4−ジアジドからなる群から選択される一つ又はそれより多くである、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
前記溶媒(A)が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、ブチロ乳酸塩、及び乳酸エチルからなる群から選択される一つ又はそれより多くである、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
前記ネガ型作像ポリマーが、ヒドロキシル、カルボキシル、及びエポキシからなる群から選択される1以上の官能基を含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
前記ネガ型作像ポリマーが、多環式オレフィンモノマーから誘導される繰返し単位を有するポリマーを含んでなる、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
A)溶媒;
B)光酸発生剤;
C)照射に露光された場合に開裂し、ポリマーを非露光ポリマーより現像剤に更に溶解性であるようにすることができる基を含有する部分を含有する官能基を含む1以上のポジ型作像ポリマー;及び
D)請求項1に記載の溶解速度調整剤;
を含んでなる、ポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項31】
前記ポジ型作像ポリマーが、ポリノルボルネン、フェノール結合剤、ポリヒドロキシスチレン、スチレン−アクリルレートコポリマー、1〜約12個の炭素原子を有するアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー、ノルボルネン及び無水マレイン酸のコポリマー、ノルボルネン、無水マレイン酸及びこれらの組合せのターポリマーからなる群から選択される、請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項32】
前記溶媒が、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、シクロヘキサノン、及びこれらの組合せから選択されるスピン用溶媒である、請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項33】
更に、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエタノールアミン、トリイソプロピルアミン、N−メチルピロリドン等から選択される塩基クエンチャーを含んでなる、請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項34】
(a)サブストレートを、請求項23に記載のネガ型フォトレジスト組成物を含有するフィルムでコーティングして、フィルムを形成すること;
(b)前記フィルムを照射光に像様に露光させて、画像を形成すること;
(c)前記フィルムを照射後ベークすること;そして
(d)画像を現像すること;
を含んでなるネガ型レジスト画像を生成する方法。
【請求項35】
前記サブストレートが、1以上のシリコン、セラミックス又はポリマーを含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記フィルムが、スピンコーティング、スプレーコーティング及びドクターブレードから選択される1以上の方法を使用してサブストレート上にコーティングされる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
(b)において照射に露光させる前に、前記フィルムを、90℃〜150℃で30秒〜5分間加熱する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記フィルムを、水銀ランプ、水銀/キセノンランプ、キセノンランプ、アルゴンフッ化物レーザー、クリプトンフッ化物レーザー、フッ素レーザー、x線及び電子ビームから選択される照射源に、像様に露光させることができる、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
(a)請求項23に記載のネガ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)前記フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)前記フィルムを照射後ベークすること;
(d)画像を現像して、前記サブストレートを露出させること;そして
(e)前記サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること;
を含んでなる集積回路の組立て方法。
【請求項40】
請求項39の方法によって得られる集積回路を含む、集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボード。
【請求項41】
(a)請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物を含有するフィルムでサブストレートをコーティングして、フィルムを形成すること;
(b)前記フィルムを像様に照射に露光させて、画像を形成すること;
(c)前記フィルムを照射後ベークすること;そして
(d)画像を現像すること;
を含んでなるポジ型レジスト画像を生成する方法。
【請求項42】
(a)請求項30に記載のポジ型フォトレジスト組成物でサブストレートをコーティングすること;
(b)前記フィルムを像様に照射光に露光させること;
(c)前記フィルムを照射後ベークさせること;
(d)画像を現像して、前記サブストレートを露出させること;そして
(e)前記サブストレート上の現像されたフィルムに回路を形成すること;
を含んでなる集積回路の組立て方法。
【請求項43】
請求項42の方法によって得られる集積回路を含む、集積回路チップ、多チップモジュール、又は回路ボード。
【図1】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2007−525543(P2007−525543A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501179(P2006−501179)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005043
【国際公開番号】WO2004/074933
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(303043461)プロメラス, エルエルシー (18)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005043
【国際公開番号】WO2004/074933
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(303043461)プロメラス, エルエルシー (18)
【Fターム(参考)】
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