フロントガラス保護構造
【課題】車両重量の増加を抑制しつつフードによるフロントガラスの破損を抑制し得るようにする。
【解決手段】エンジンルーム2の上部に開閉可能に取付けられたフード4の後端4aが、前面衝突時に、跳ね上げ可能に構成されたフード部構造に対し、前面衝突時に、後退するフード4の後端4aを受けて、フロントガラス7の破損を抑制可能な受部材15をフロントガラス破損抑制手段として設けるようにしている。
【解決手段】エンジンルーム2の上部に開閉可能に取付けられたフード4の後端4aが、前面衝突時に、跳ね上げ可能に構成されたフード部構造に対し、前面衝突時に、後退するフード4の後端4aを受けて、フロントガラス7の破損を抑制可能な受部材15をフロントガラス破損抑制手段として設けるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロントガラス保護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、通常、車体の前部にエンジンルームが設けられている。このエンジンルームの上部には、フード(エンジンフード)が開閉可能に取付けられている。このフードは、その後部に開閉時の回転中心となるフードヒンジを備えており、その前部と車体との間にフードロック機構を備えている。
【0003】
そして、このようなフードに対し、前面衝突時に、その後端を跳ね上げ可能に構成したフード部構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この文献によれば、前面衝突時に、フードの後端を跳ね上げることにより、衝突物が受ける衝撃を緩和することができる。
【特許文献1】特開2005−67404
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前面衝突時には、フードの後退を防止することによりフロントガラスの破損を抑制できるようにすることが望ましいが、上記特許文献1に記載されたフード部構造では、フードの後端をフードヒンジのみで支持するようにしていたため、フードヒンジに充分な強度を持たせなければならず、その分、フードヒンジが重くなって、車両重量が増加するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、エンジンルームの上部に開閉可能に取付けられたフードの後端が、前面衝突時に、跳ね上げ可能に構成されたフード部構造に対し、前面衝突時に、後退するフードの後端を受けて、フロントガラスの破損を抑制可能なフロントガラス破損抑制手段を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記構成により、前面衝突時に、フードが後退してきた場合でも、フードヒンジとは別に設けたフロントガラス破損抑制手段がフードの後端を受け止めてフードを座屈させ、フロントガラスの破損を抑制する。これにより、フードヒンジに余分な強度を持たせる必要がなくなり、フードヒンジの質量増加を伴うことなくフード侵入防止性能を確保することが可能となるため、フードヒンジの質量増加による車両重量の増加も抑制できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
車両重量の増加を抑制しつつフードによるフロントガラスの破損を抑制し得るようにするという目的を、前面衝突時に、後退するフードの後端を受けて、フロントガラスの破損を抑制可能なフロントガラス破損抑制手段を設ける、という手段で実現した。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0010】
図1〜図4は、この発明の実施例1を示すものである。
【0011】
まず、この発明の理解に必要な車両の基本構成について説明する。自動車などの車両には、通常、車体1の前部にエンジンルーム2が設けられている。そして、エンジンルーム2のすぐ後方には、車室3が設けられている。
【0012】
上記エンジンルーム2の上部には、フード4(エンジンフード)が開閉可能に取付けられている。このフード4は、その後部の左右位置などに開閉時の回転中心となるフードヒンジ5を備えており、その前部の幅方向中間位置などには車体1との間でフード4に対するロック・解除を行うフードロック機構6を備えている。このフード4は、フードヒンジ5を中心として前部が上下に回動される。
【0013】
また、上記車室3の前部には、フロントガラス7が取付けられている。このフロントガラス7は、概略、下拡がりの台形状をした平板状ガラスを、前方へ向けて凸状となるように曲げて成る複雑な曲面形状を呈しており、しかも、後傾するように配置されている。このような形状を有していることにより、フロントガラス7の底辺7aは前方へ突出する凸曲線形状を呈しており、これと隣接するフード4の後端4aは対応する凹曲線形状を呈している。即ち、フード4の後端4aは、中央部に比べて両側端部4cが後方へ向けて突出されている。そして、フロントガラス7の底辺7aとフード4の後端4aとの境界部分には、カウル部8が設けられている。また、フロントガラス7の両側部には、フロントピラー9が沿設されている。このフロントピラー9は、フロントガラス7側部の傾きに合わせて、内傾および後傾している。
【0014】
そして、上記したフード4に対し、前面衝突時に、その後端4aが跳ね上げ可能となるように構成する。そのために、フード4の後端4aのリフトアップ機構10として、跳ね上げ動作が可能なタイプの特殊なフードヒンジ5を用いる。また、このフードヒンジ5の前側などに、リフトアップ機構10の駆動手段11として、跳ね上げ用アクチュエータ12を設ける。
【0015】
以上が、以下の各実施例において前提となる共通の基本構成である。
【0016】
そして、このような基本構成に対し、前面衝突時に、後退するフード4の後端4aを受けて、フロントガラス7の破損を抑制可能なフロントガラス破損抑制手段を設ける。なお、このフロントガラス破損抑制手段は、フードヒンジ5とは別に設けられるものである。
【0017】
このフロントガラス破損抑制手段は、例えば、フロントピラー9の前面側に設けられた凹形状または凸形状を有して、フード4の後端を受け止める受部材15などとする。
【0018】
そして、この受部材15の破断強度を、車両前後方向の荷重に対するフード4の折れ強度よりも大きくなるように設定する。
【0019】
以上が、以下の各実施例において共通する本発明の構成である。
【0020】
そして、以上のような共通の構成に対し、この実施例1のものでは、受部材15の上端部15Aの高さ(H1)を、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)よりも上方に設定する(H1>H2)。
【0021】
そして、受部材15を、通常時にはマスク部材16で覆っておくようにする。
【0022】
更に、必要に応じて、受部材15の内側部15aが、フード4の後端4aの両側端部4cに対し若干(車幅方向)内側に位置するように設定する(L1>L2)。なお、受部材15が平面視で傾斜している場合には、内側部15aは、最も外側に位置する部分を採用するのが好ましい。
【0023】
以上が、以下の各実施例において選択的に採用され得る本発明の構成である。
【0024】
そして、上記を踏まえた、この実施例1のより具体的な構成は以下の通りである。
【0025】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。そして、この受部材15を、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制可能な受凹部21とする。この受凹部21を、フロントピラー9の前面に対して直接凹設形成する。例えば、受凹部21は、フロントピラー9に対してプレス成形や切欠加工などにより形成する。なお、フード4の後端4aは、上記したように凹曲線形状を呈しているため、フード4の後端4aを全体的に受けるようにするよりも、最も後方へ突出した部分を局所的に受けるようにする方が構造的に有利である。この場合には、フード4の後端4aの両側端部4cまたはその近傍を受けるようにしている。なお、この点については、以下の実施例でも同様となっている。
【0026】
この受凹部21は、フード4の後端4aの上面を受ける上面受部22と、フード4の後端4aの下面を受ける下面受部23とを、上下に組合せてほぼ鋭角状とした構成を有している。このうち、上面受部22は、ほぼ水平(或いは、若干前上がり、または、若干前下がり)の面とすることにより、フード4の後端4aが上方へ外れるのを防止し得るよう構成されている。また、下面受部23は、フロントピラー9の角度よりも急な前下がりの傾斜面とすることにより、フード4の後端4aを受凹部21の奥へと案内し得るよう構成されている。この受凹部21は、一段としても良いが、状況に応じて多段に設けることができる。この場合には、ノコ刃状に3段分設けられている。
【0027】
そして、(最上部の)受凹部21の上面受部22の高さ(H1)が、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)よりも上方となるように設定されている。なお、(最下部の)受凹部21の下面受部23の高さは、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)と同じか若干下方となるように設定されている。この最下部の受凹部21の下面受部23の高さは、フード4の後端4aの跳ね上げ前の高さよりは上方となるように設定されている。
【0028】
更に、受凹部21には、柔軟なフィニッシャ部品24がマスク部材16として取付けられている。このマスク部材16の表面側は、受凹部21へ被着した時に、フロントピラー9の他の部分(一般面)と面一になるように形成されている。また、このマスク部材16の裏面側は、受凹部21と対応する形状とされている。なお、このマスク部材16は、フード4の後端4aの侵入時には確実に脱落され得るように取付けられている。
【0029】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0030】
図2に示すように、前面衝突時に、駆動手段11としての跳ね上げ用アクチュエータ12が伸長動して、リフトアップ機構10としてのフードヒンジ5が跳ね上げ動作を行うことにより、フード4の後端4aが跳ね上げられる。このようにすることにより、衝突物が受ける衝撃を緩和することができる。以上が、フード4の跳ね上げによる作用の概略である。
【0031】
これに対し、この実施例1では、以下のような作用が行われる。
【0032】
まず、通常時は、受部材15としての受凹部21を、マスク部材16としてのフィニッシャ部品24が覆っているので、受凹部21は外部からは目立たないように隠されている。
【0033】
前面衝突した図2の状態から、図3に示すように、フード4が後退してくると、フード4の後端4aによってフィニッシャ部品24が脱落され、フロントピラー9の部分に受凹部21が出現する。
【0034】
同時に、フロントピラー9に設置された受凹部21のうちの対応する位置にある下面受部23が、後退してくるフード4の後端4aを受凹部21の奥へと案内し、上面受部22が、フード4の後端4aを確実に係止して上方へ外れるのを防止すると共に、受凹部21は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。これにより、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。なお、受凹部21を多段に設けた場合には、個々の凹形状の深さを或る程度浅いものとして、見栄えの悪化や強度低下を防止すると共に、フード4の後端4aを受けることができる範囲をより広く確保することができる。
【0035】
そして、図4に示すように、受凹部21によって後退が規制されたフード4は、受凹部21の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0036】
このように、本発明に共通の構成にあっては、前面衝突時に、フード4が後退してきた場合でも、フードヒンジ5とは別に設けた受部材15がフード4の後端4aを受け止めてフード4を座屈させ、フロントガラス7の破損を抑制する。これにより、フードヒンジ5に余分な強度を持たせる必要がなくなり、フードヒンジ5の質量増加を伴うことなくフロントガラス保護性能を満足することが可能となるため、フードヒンジ5の質量増加による車両重量の増加も抑制できるようになる。
【0037】
また、受部材15の破断強度を、フード4の車両前後方向の荷重に対する折れ強度よりも大きく設定したことにより、受部材15でフード4の後端4aを受けた時に、確実にフード4を座屈させることができる。
【0038】
そして、本発明において選択的に採用される構成にあっては、受部材15の上端部15Aの高さ(H1)を、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)よりも上方に設定することにより(H1>H2)、フード4の後端4aを確実に受けて、上方へ外れないようにすることが可能となる。
【0039】
また、受部材15が、通常時にはマスク部材16で覆われていることにより、通常時の見栄えを向上することができる。
【0040】
更に、受部材15の内側部15aが、フード4の後端4aの両側端部4cに対し若干(車幅方向)内側に位置するように設定することにより(L1>L2)、フード4の後端4aの両側端部4cを確実に受けて、側方へ外れないようにすることが可能となる。
【実施例2】
【0041】
図5〜図7は、この発明を具体化した実施例2を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例2の記載とすることができる。
【0042】
この実施例2の具体的な構成は以下の通りである。
【0043】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。そして、この受部材15を、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制可能な受凸部26とする。この受凸部26を、別部品としてのトリム部材27などで形成し、フロントピラー9の前面に対して直接固定する。或いは、受凸部26をフロントピラー9の前面にプレス加工などにより一体に形成しても良い。
【0044】
この受凸部26は、上側斜面部28と、下側斜面部29とを上下に有して、前方へ突出するほぼ「く」字状を呈している。このうち、上側斜面部28は、フロントピラー9の角度よりも急な前下がりの傾斜面とすることにより、下側斜面部29を支える機能を有している。また、下側斜面部29は、ほぼ水平(或いは、若干前上がり、または若干前下がり)の面とすることにより、フード4の後端4aの上面を受けて、フード4の後端4aが上方へ外れるのを防止し得るよう構成されている。なお、後述するように受凸部26が多段に設けられた場合には、直下方の受凸部26の上側斜面部28は、フード4の後端4aの下面を受けて、フード4の後端4aを、直上方の下側斜面部29の奥へと案内する機能を有することとなる。この受凸部26は、一段としても良いが、状況に応じて多段に設けることができる。この場合には、ノコ刃状に3段分設けられている。
【0045】
そして、(最上部の)受凸部26の下側斜面部29の高さ(H1)が、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)よりも上方となるように設定されている。なお、(最下部の)受凸部26の下側斜面部29の高さも、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)と同じか、それよりも若干上方となるように設定されている。
【0046】
次に、この実施例2の作用について説明する。
【0047】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図5参照)。
【0048】
この実施例2では、以下のような作用が行われる。
【0049】
図6に示すように、フロントピラー9に設置された受凸部26のうちの対応する位置にある下側斜面部29が、後退してくるフード4の後端4aを引掛けて上方へ外れるのを防止すると共に、受凸部26は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。これにより、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。なお、受凸部26が多段に設けられている場合には、直下方の受凸部26の上側斜面部28が、後退してくるフード4の後端4aを直上方の受凸部26の下側斜面部29の奥へと案内して、確実に係止させるように機能する。また、多段化により個々の凸形状の突出量を或る程度小さなものとして見栄えの悪化を防止すると共に、フード4の後端4aを受けることができる範囲をより広く確保することができる。
【0050】
そして、図7に示すように、受凸部26によって後退が規制されたフード4は、受凸部26の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0051】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例2の記載とすることができる。
【実施例3】
【0052】
図8〜図11は、この発明を具体化した実施例3を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例3の記載とすることができる。
【0053】
この実施例3の具体的な構成は以下の通りである。
【0054】
まず、受部材15を、フロントガラス7の両側部分にそれぞれ設ける。この受部材15は、例えば、実施例2と同様の受凸部26などとする。なお、受部材15を受凸部26とした場合には、実施例2と同様の構成になるため、その部分の詳細については記載を省略する。
【0055】
フロントガラス7に設けられる受部材15は、その内側部15aがフード4の後端4aの両側端部4c近傍における最も後方へ突出した部分14dの位置よりも内側となると共に、その外側部15bが上記した最も後方へ突出した部分14dの位置よりも外側となるように設定する。そのために、フード4の後端4aの両側端部4cに、後狭まりの切欠部4eを形成して部分14dを内側へ若干片寄せている。なお、受部材15が平面視で傾斜している場合には、内側部15aは、最も外側に位置する部分を採用するのが好ましい。また、受部材15が平面視で傾斜している場合には、外側部15bは、最も外側に位置する部分を採用するのが好ましい。
【0056】
次に、この実施例3の作用について説明する。
【0057】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図9参照)。
【0058】
この実施例3では、以下のような作用が行われる。
【0059】
図10に示すように、フロントガラス7に設置された受部材15は、フード4の後端4a(部分14d)を受けてフード4の後退を規制する。これにより、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0060】
そして、図11に示すように、受部材15によって後退が規制されたフード4は、受部材15の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0061】
フロントガラス7に設けられる受部材15を、その内側部15aがフード4の後端4aの両側端部4c近傍における最も後方へ突出した部分14dの位置よりも内側となると共に、その外側部15bが最も後方へ突出した部分14dの位置よりも外側となるように設定したことにより、フード4の後端4a(部分14d)をフロントガラス7の直前で確実に受けて、フード4の後端4a(部分14d)が内側および外側へ外れないようにすることが可能となる。
【0062】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例3の記載とすることができる。
【実施例4】
【0063】
図12〜図14は、この発明を具体化した実施例4を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例4の記載とすることができる。
【0064】
この実施例4の具体的な構成は以下の通りである。
【0065】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。この受部材15は、例えば、実施例2と同様の受凸部26と、実施例1と同様の受凹部21とを、上下に連続するように組合せてなる複合的な凹凸形状部31などとする。この凹凸形状部31では、受凸部26の下側斜面部29と、受凹部21の上面受部22とを連結・連続させている。そのために、フロントピラー9に形成した受凹部21の上部に、トリム部材27を取付けるようにする。なお、この場合、凹凸形状部31は一段となっているが、多段としても良い。また、受凸部26については実施例2と同様であり、受凹部21については実施例1と同様の構成となるため、その部分の詳細については記載を省略する。
【0066】
次に、この実施例4の作用について説明する。
【0067】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図12参照)。
【0068】
この実施例4では、以下のような作用が行われる。
【0069】
図13に示すように、フロントピラー9に設置された受部材15は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。これにより、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0070】
そして、図14に示すように、受部材15によって後退が規制されたフード4は、受部材15の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0071】
また、フード4が座屈する際には、フード4の後端4aを確実に係止させる必要があるため、例えば、実施例1では受凹部21を或る程度の深さを確保しておく必要があるが、この実施例4のように、実施例2と同様の受凸部26と、実施例1と同様の受凹部21とを、上下に連続するように組合せてなる複合的な凹凸形状部31とすることにより、フロントピラー9の受凹部21の深さをより浅いものとすることができるという利点を得ることができる。
【0072】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例4の記載とすることができる。
【実施例5】
【0073】
図15〜図17は、この発明を具体化した実施例5を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例5の記載とすることができる。
【0074】
以下の各実施例では、受部材15に可動手段を用いている。そして、この可動手段をリフトアップ機構10と連動するように構成する。
【0075】
上記を踏まえた、この実施例5の具体的な構成は以下の通りである。
【0076】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。この受部材15は、例えば、実施例1と同様の受凹部21を備えている。そして、この受凹部21に対し、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して退避可能な可動マスク部材33が取付けられる。この可動マスク部材33は、通常時には、受凹部21を塞いでフロントピラー9の他の部分(一般面)と面一になるようにすると共に、フード4の後端4aの後退時には、フロントピラー9の内部へ退避して受凹部21を出現させるものとする。なお、この場合、受凹部21は一段となっているが、多段としても良い。また、受凹部21については実施例1と同様の構成となるため、その部分の詳細な構成については記載を省略する。また、連動手段については、電気的なものとすることも、機械的なものとすることも可能である。
【0077】
次に、この実施例5の作用について説明する。
【0078】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図15参照)。
【0079】
この実施例5では、以下のような作用が行われる。
【0080】
図16に示すように、フード4が跳ね上げられると、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して可動マスク部材33がフロントピラー9の内部へ退避され受凹部21が出現される。これにより、フロントピラー9に設けられた受凹部21は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。その結果、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0081】
そして、図17に示すように、受凹部21によって後退が規制されたフード4は、受凹部21の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0082】
また、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して退避可能な可動マスク部材33を設けたことにより、通常時の見栄えを向上すると共に、フード4の後退時に確実に受凹部21を出現させることができる。
【0083】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例5の記載とすることができる。
【実施例6】
【0084】
図18〜図20は、この発明を具体化した実施例6を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例6の記載とすることができる。
【0085】
この実施例6の具体的な構成は以下の通りである。
【0086】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。この受部材15は、例えば、実施例2と同様の受凸部26を備えている。そして、この受凸部26をリフトアップ機構10の駆動手段11と連動して退避可能な可動トリム部材35とする。この可動トリム部材35は、通常時には、上側斜面部28がフロントピラー9の他の部分(一般面)と面一になる状態でフロントピラー9の内部に収納されると共に、フード4の後端4aの後退時には、フロントピラー9から外部へ突出して受凸部26を出現させるようなものとする。なお、この場合、受凸部26は一段となっているが、多段としても良い。また、受凸部26については実施例2と同様の構成となるため、その部分の詳細については記載を省略する。また、連動手段については、電気的なものとすることも、機械的なものとすることも可能である。
【0087】
次に、この実施例6の作用について説明する。
【0088】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図18参照)。
【0089】
この実施例6では、以下のような作用が行われる。
【0090】
図19に示すように、フード4が跳ね上げられると、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して可動トリム部材35がフロントピラー9から外部へ突出され受凸部26が出現される。これにより、フロントピラー9に設置された受凸部26は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。その結果、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0091】
そして、図20に示すように、受凸部26によって後退が規制されたフード4は、受凸部26の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0092】
また、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して出現可能な可動トリム部材35を設けたことにより、通常時の見栄えを向上すると共に、フード4の後退時に確実に受凸部26を出現させることができる。
【0093】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例6の記載とすることができる。
【実施例7】
【0094】
図21〜図24は、この発明を具体化した実施例7を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例6の記載とすることができる。
【0095】
この実施例7の具体的な構成は以下の通りである。
【0096】
まず、受部材15を、カウル部8の両側部分にそれぞれ設ける。この受部材15を、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して可動する可動受部材37とする。この可動受部材37は、通常時には、カウル部8の内部に収納されると共に、フード4の後端4aの後退時には、カウル部8からフロントガラス7の両側部前面に沿って上方へ突出するものとする。なお、連動手段については、電気的なものとすることも、機械的なものとすることも可能である。
【0097】
次に、この実施例7の作用について説明する。
【0098】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図22参照)。
【0099】
この実施例7では、以下のような作用が行われる。
【0100】
図23に示すように、フード4が跳ね上げられると、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して可動受部材37がカウル部8からフロントガラス7の両側部前面に沿って上方へ突出する。これにより、可動受部材37は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。その結果、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0101】
そして、図24に示すように、可動受部材37によって後退が規制されたフード4は、可動受部材37の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0102】
また、カウル部8に、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して出現可能な可動受部材37を設けたことにより、通常時の見栄えを向上すると共に、フード4の後退時に確実に可動受部材37を出現させることができる。
【0103】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例7の記載とすることができる。
【0104】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、これらの可能な組合せが含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施例1にかかるフロントガラス保護構造の平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2の作動図である。
【図4】図3に続く作動図である。
【図5】本発明の実施例2にかかるフロントガラス保護構造の側面図である。
【図6】図5の作動図である。
【図7】図6に続く作動図である。
【図8】本発明の実施例3にかかるフロントガラス保護構造の平面図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】図9の作動図である。
【図11】図10に続く作動図である。
【図12】本発明の実施例4にかかるフロントガラス保護構造の側面図である。
【図13】図12の作動図である。
【図14】図13に続く作動図である。
【図15】本発明の実施例5にかかるフロントガラス保護構造の側面図である。
【図16】図15の作動図である。
【図17】図16に続く作動図である。
【図18】本発明の実施例6にかかるフロントガラス保護構造の側面図である。
【図19】図18の作動図である。
【図20】図19に続く作動図である。
【図21】本発明の実施例7にかかるフロントガラス保護構造の平面図である。
【図22】図21の側面図である。
【図23】図22の作動図である。
【図24】図23に続く作動図である。
【符号の説明】
【0106】
2 エンジンルーム
4 フード
4a 後端
7 フロントガラス
9 フロントピラー
15 受部材(フロントガラス破損抑制手段)
15a 上端部
16 マスク部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロントガラス保護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、通常、車体の前部にエンジンルームが設けられている。このエンジンルームの上部には、フード(エンジンフード)が開閉可能に取付けられている。このフードは、その後部に開閉時の回転中心となるフードヒンジを備えており、その前部と車体との間にフードロック機構を備えている。
【0003】
そして、このようなフードに対し、前面衝突時に、その後端を跳ね上げ可能に構成したフード部構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この文献によれば、前面衝突時に、フードの後端を跳ね上げることにより、衝突物が受ける衝撃を緩和することができる。
【特許文献1】特開2005−67404
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前面衝突時には、フードの後退を防止することによりフロントガラスの破損を抑制できるようにすることが望ましいが、上記特許文献1に記載されたフード部構造では、フードの後端をフードヒンジのみで支持するようにしていたため、フードヒンジに充分な強度を持たせなければならず、その分、フードヒンジが重くなって、車両重量が増加するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、エンジンルームの上部に開閉可能に取付けられたフードの後端が、前面衝突時に、跳ね上げ可能に構成されたフード部構造に対し、前面衝突時に、後退するフードの後端を受けて、フロントガラスの破損を抑制可能なフロントガラス破損抑制手段を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記構成により、前面衝突時に、フードが後退してきた場合でも、フードヒンジとは別に設けたフロントガラス破損抑制手段がフードの後端を受け止めてフードを座屈させ、フロントガラスの破損を抑制する。これにより、フードヒンジに余分な強度を持たせる必要がなくなり、フードヒンジの質量増加を伴うことなくフード侵入防止性能を確保することが可能となるため、フードヒンジの質量増加による車両重量の増加も抑制できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
車両重量の増加を抑制しつつフードによるフロントガラスの破損を抑制し得るようにするという目的を、前面衝突時に、後退するフードの後端を受けて、フロントガラスの破損を抑制可能なフロントガラス破損抑制手段を設ける、という手段で実現した。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0010】
図1〜図4は、この発明の実施例1を示すものである。
【0011】
まず、この発明の理解に必要な車両の基本構成について説明する。自動車などの車両には、通常、車体1の前部にエンジンルーム2が設けられている。そして、エンジンルーム2のすぐ後方には、車室3が設けられている。
【0012】
上記エンジンルーム2の上部には、フード4(エンジンフード)が開閉可能に取付けられている。このフード4は、その後部の左右位置などに開閉時の回転中心となるフードヒンジ5を備えており、その前部の幅方向中間位置などには車体1との間でフード4に対するロック・解除を行うフードロック機構6を備えている。このフード4は、フードヒンジ5を中心として前部が上下に回動される。
【0013】
また、上記車室3の前部には、フロントガラス7が取付けられている。このフロントガラス7は、概略、下拡がりの台形状をした平板状ガラスを、前方へ向けて凸状となるように曲げて成る複雑な曲面形状を呈しており、しかも、後傾するように配置されている。このような形状を有していることにより、フロントガラス7の底辺7aは前方へ突出する凸曲線形状を呈しており、これと隣接するフード4の後端4aは対応する凹曲線形状を呈している。即ち、フード4の後端4aは、中央部に比べて両側端部4cが後方へ向けて突出されている。そして、フロントガラス7の底辺7aとフード4の後端4aとの境界部分には、カウル部8が設けられている。また、フロントガラス7の両側部には、フロントピラー9が沿設されている。このフロントピラー9は、フロントガラス7側部の傾きに合わせて、内傾および後傾している。
【0014】
そして、上記したフード4に対し、前面衝突時に、その後端4aが跳ね上げ可能となるように構成する。そのために、フード4の後端4aのリフトアップ機構10として、跳ね上げ動作が可能なタイプの特殊なフードヒンジ5を用いる。また、このフードヒンジ5の前側などに、リフトアップ機構10の駆動手段11として、跳ね上げ用アクチュエータ12を設ける。
【0015】
以上が、以下の各実施例において前提となる共通の基本構成である。
【0016】
そして、このような基本構成に対し、前面衝突時に、後退するフード4の後端4aを受けて、フロントガラス7の破損を抑制可能なフロントガラス破損抑制手段を設ける。なお、このフロントガラス破損抑制手段は、フードヒンジ5とは別に設けられるものである。
【0017】
このフロントガラス破損抑制手段は、例えば、フロントピラー9の前面側に設けられた凹形状または凸形状を有して、フード4の後端を受け止める受部材15などとする。
【0018】
そして、この受部材15の破断強度を、車両前後方向の荷重に対するフード4の折れ強度よりも大きくなるように設定する。
【0019】
以上が、以下の各実施例において共通する本発明の構成である。
【0020】
そして、以上のような共通の構成に対し、この実施例1のものでは、受部材15の上端部15Aの高さ(H1)を、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)よりも上方に設定する(H1>H2)。
【0021】
そして、受部材15を、通常時にはマスク部材16で覆っておくようにする。
【0022】
更に、必要に応じて、受部材15の内側部15aが、フード4の後端4aの両側端部4cに対し若干(車幅方向)内側に位置するように設定する(L1>L2)。なお、受部材15が平面視で傾斜している場合には、内側部15aは、最も外側に位置する部分を採用するのが好ましい。
【0023】
以上が、以下の各実施例において選択的に採用され得る本発明の構成である。
【0024】
そして、上記を踏まえた、この実施例1のより具体的な構成は以下の通りである。
【0025】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。そして、この受部材15を、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制可能な受凹部21とする。この受凹部21を、フロントピラー9の前面に対して直接凹設形成する。例えば、受凹部21は、フロントピラー9に対してプレス成形や切欠加工などにより形成する。なお、フード4の後端4aは、上記したように凹曲線形状を呈しているため、フード4の後端4aを全体的に受けるようにするよりも、最も後方へ突出した部分を局所的に受けるようにする方が構造的に有利である。この場合には、フード4の後端4aの両側端部4cまたはその近傍を受けるようにしている。なお、この点については、以下の実施例でも同様となっている。
【0026】
この受凹部21は、フード4の後端4aの上面を受ける上面受部22と、フード4の後端4aの下面を受ける下面受部23とを、上下に組合せてほぼ鋭角状とした構成を有している。このうち、上面受部22は、ほぼ水平(或いは、若干前上がり、または、若干前下がり)の面とすることにより、フード4の後端4aが上方へ外れるのを防止し得るよう構成されている。また、下面受部23は、フロントピラー9の角度よりも急な前下がりの傾斜面とすることにより、フード4の後端4aを受凹部21の奥へと案内し得るよう構成されている。この受凹部21は、一段としても良いが、状況に応じて多段に設けることができる。この場合には、ノコ刃状に3段分設けられている。
【0027】
そして、(最上部の)受凹部21の上面受部22の高さ(H1)が、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)よりも上方となるように設定されている。なお、(最下部の)受凹部21の下面受部23の高さは、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)と同じか若干下方となるように設定されている。この最下部の受凹部21の下面受部23の高さは、フード4の後端4aの跳ね上げ前の高さよりは上方となるように設定されている。
【0028】
更に、受凹部21には、柔軟なフィニッシャ部品24がマスク部材16として取付けられている。このマスク部材16の表面側は、受凹部21へ被着した時に、フロントピラー9の他の部分(一般面)と面一になるように形成されている。また、このマスク部材16の裏面側は、受凹部21と対応する形状とされている。なお、このマスク部材16は、フード4の後端4aの侵入時には確実に脱落され得るように取付けられている。
【0029】
次に、この実施例の作用について説明する。
【0030】
図2に示すように、前面衝突時に、駆動手段11としての跳ね上げ用アクチュエータ12が伸長動して、リフトアップ機構10としてのフードヒンジ5が跳ね上げ動作を行うことにより、フード4の後端4aが跳ね上げられる。このようにすることにより、衝突物が受ける衝撃を緩和することができる。以上が、フード4の跳ね上げによる作用の概略である。
【0031】
これに対し、この実施例1では、以下のような作用が行われる。
【0032】
まず、通常時は、受部材15としての受凹部21を、マスク部材16としてのフィニッシャ部品24が覆っているので、受凹部21は外部からは目立たないように隠されている。
【0033】
前面衝突した図2の状態から、図3に示すように、フード4が後退してくると、フード4の後端4aによってフィニッシャ部品24が脱落され、フロントピラー9の部分に受凹部21が出現する。
【0034】
同時に、フロントピラー9に設置された受凹部21のうちの対応する位置にある下面受部23が、後退してくるフード4の後端4aを受凹部21の奥へと案内し、上面受部22が、フード4の後端4aを確実に係止して上方へ外れるのを防止すると共に、受凹部21は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。これにより、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。なお、受凹部21を多段に設けた場合には、個々の凹形状の深さを或る程度浅いものとして、見栄えの悪化や強度低下を防止すると共に、フード4の後端4aを受けることができる範囲をより広く確保することができる。
【0035】
そして、図4に示すように、受凹部21によって後退が規制されたフード4は、受凹部21の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0036】
このように、本発明に共通の構成にあっては、前面衝突時に、フード4が後退してきた場合でも、フードヒンジ5とは別に設けた受部材15がフード4の後端4aを受け止めてフード4を座屈させ、フロントガラス7の破損を抑制する。これにより、フードヒンジ5に余分な強度を持たせる必要がなくなり、フードヒンジ5の質量増加を伴うことなくフロントガラス保護性能を満足することが可能となるため、フードヒンジ5の質量増加による車両重量の増加も抑制できるようになる。
【0037】
また、受部材15の破断強度を、フード4の車両前後方向の荷重に対する折れ強度よりも大きく設定したことにより、受部材15でフード4の後端4aを受けた時に、確実にフード4を座屈させることができる。
【0038】
そして、本発明において選択的に採用される構成にあっては、受部材15の上端部15Aの高さ(H1)を、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)よりも上方に設定することにより(H1>H2)、フード4の後端4aを確実に受けて、上方へ外れないようにすることが可能となる。
【0039】
また、受部材15が、通常時にはマスク部材16で覆われていることにより、通常時の見栄えを向上することができる。
【0040】
更に、受部材15の内側部15aが、フード4の後端4aの両側端部4cに対し若干(車幅方向)内側に位置するように設定することにより(L1>L2)、フード4の後端4aの両側端部4cを確実に受けて、側方へ外れないようにすることが可能となる。
【実施例2】
【0041】
図5〜図7は、この発明を具体化した実施例2を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例2の記載とすることができる。
【0042】
この実施例2の具体的な構成は以下の通りである。
【0043】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。そして、この受部材15を、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制可能な受凸部26とする。この受凸部26を、別部品としてのトリム部材27などで形成し、フロントピラー9の前面に対して直接固定する。或いは、受凸部26をフロントピラー9の前面にプレス加工などにより一体に形成しても良い。
【0044】
この受凸部26は、上側斜面部28と、下側斜面部29とを上下に有して、前方へ突出するほぼ「く」字状を呈している。このうち、上側斜面部28は、フロントピラー9の角度よりも急な前下がりの傾斜面とすることにより、下側斜面部29を支える機能を有している。また、下側斜面部29は、ほぼ水平(或いは、若干前上がり、または若干前下がり)の面とすることにより、フード4の後端4aの上面を受けて、フード4の後端4aが上方へ外れるのを防止し得るよう構成されている。なお、後述するように受凸部26が多段に設けられた場合には、直下方の受凸部26の上側斜面部28は、フード4の後端4aの下面を受けて、フード4の後端4aを、直上方の下側斜面部29の奥へと案内する機能を有することとなる。この受凸部26は、一段としても良いが、状況に応じて多段に設けることができる。この場合には、ノコ刃状に3段分設けられている。
【0045】
そして、(最上部の)受凸部26の下側斜面部29の高さ(H1)が、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)よりも上方となるように設定されている。なお、(最下部の)受凸部26の下側斜面部29の高さも、フード4の後端4aの跳ね上げ高さ(H2)と同じか、それよりも若干上方となるように設定されている。
【0046】
次に、この実施例2の作用について説明する。
【0047】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図5参照)。
【0048】
この実施例2では、以下のような作用が行われる。
【0049】
図6に示すように、フロントピラー9に設置された受凸部26のうちの対応する位置にある下側斜面部29が、後退してくるフード4の後端4aを引掛けて上方へ外れるのを防止すると共に、受凸部26は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。これにより、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。なお、受凸部26が多段に設けられている場合には、直下方の受凸部26の上側斜面部28が、後退してくるフード4の後端4aを直上方の受凸部26の下側斜面部29の奥へと案内して、確実に係止させるように機能する。また、多段化により個々の凸形状の突出量を或る程度小さなものとして見栄えの悪化を防止すると共に、フード4の後端4aを受けることができる範囲をより広く確保することができる。
【0050】
そして、図7に示すように、受凸部26によって後退が規制されたフード4は、受凸部26の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0051】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例2の記載とすることができる。
【実施例3】
【0052】
図8〜図11は、この発明を具体化した実施例3を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例3の記載とすることができる。
【0053】
この実施例3の具体的な構成は以下の通りである。
【0054】
まず、受部材15を、フロントガラス7の両側部分にそれぞれ設ける。この受部材15は、例えば、実施例2と同様の受凸部26などとする。なお、受部材15を受凸部26とした場合には、実施例2と同様の構成になるため、その部分の詳細については記載を省略する。
【0055】
フロントガラス7に設けられる受部材15は、その内側部15aがフード4の後端4aの両側端部4c近傍における最も後方へ突出した部分14dの位置よりも内側となると共に、その外側部15bが上記した最も後方へ突出した部分14dの位置よりも外側となるように設定する。そのために、フード4の後端4aの両側端部4cに、後狭まりの切欠部4eを形成して部分14dを内側へ若干片寄せている。なお、受部材15が平面視で傾斜している場合には、内側部15aは、最も外側に位置する部分を採用するのが好ましい。また、受部材15が平面視で傾斜している場合には、外側部15bは、最も外側に位置する部分を採用するのが好ましい。
【0056】
次に、この実施例3の作用について説明する。
【0057】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図9参照)。
【0058】
この実施例3では、以下のような作用が行われる。
【0059】
図10に示すように、フロントガラス7に設置された受部材15は、フード4の後端4a(部分14d)を受けてフード4の後退を規制する。これにより、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0060】
そして、図11に示すように、受部材15によって後退が規制されたフード4は、受部材15の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0061】
フロントガラス7に設けられる受部材15を、その内側部15aがフード4の後端4aの両側端部4c近傍における最も後方へ突出した部分14dの位置よりも内側となると共に、その外側部15bが最も後方へ突出した部分14dの位置よりも外側となるように設定したことにより、フード4の後端4a(部分14d)をフロントガラス7の直前で確実に受けて、フード4の後端4a(部分14d)が内側および外側へ外れないようにすることが可能となる。
【0062】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例3の記載とすることができる。
【実施例4】
【0063】
図12〜図14は、この発明を具体化した実施例4を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例4の記載とすることができる。
【0064】
この実施例4の具体的な構成は以下の通りである。
【0065】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。この受部材15は、例えば、実施例2と同様の受凸部26と、実施例1と同様の受凹部21とを、上下に連続するように組合せてなる複合的な凹凸形状部31などとする。この凹凸形状部31では、受凸部26の下側斜面部29と、受凹部21の上面受部22とを連結・連続させている。そのために、フロントピラー9に形成した受凹部21の上部に、トリム部材27を取付けるようにする。なお、この場合、凹凸形状部31は一段となっているが、多段としても良い。また、受凸部26については実施例2と同様であり、受凹部21については実施例1と同様の構成となるため、その部分の詳細については記載を省略する。
【0066】
次に、この実施例4の作用について説明する。
【0067】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図12参照)。
【0068】
この実施例4では、以下のような作用が行われる。
【0069】
図13に示すように、フロントピラー9に設置された受部材15は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。これにより、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0070】
そして、図14に示すように、受部材15によって後退が規制されたフード4は、受部材15の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0071】
また、フード4が座屈する際には、フード4の後端4aを確実に係止させる必要があるため、例えば、実施例1では受凹部21を或る程度の深さを確保しておく必要があるが、この実施例4のように、実施例2と同様の受凸部26と、実施例1と同様の受凹部21とを、上下に連続するように組合せてなる複合的な凹凸形状部31とすることにより、フロントピラー9の受凹部21の深さをより浅いものとすることができるという利点を得ることができる。
【0072】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例4の記載とすることができる。
【実施例5】
【0073】
図15〜図17は、この発明を具体化した実施例5を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例5の記載とすることができる。
【0074】
以下の各実施例では、受部材15に可動手段を用いている。そして、この可動手段をリフトアップ機構10と連動するように構成する。
【0075】
上記を踏まえた、この実施例5の具体的な構成は以下の通りである。
【0076】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。この受部材15は、例えば、実施例1と同様の受凹部21を備えている。そして、この受凹部21に対し、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して退避可能な可動マスク部材33が取付けられる。この可動マスク部材33は、通常時には、受凹部21を塞いでフロントピラー9の他の部分(一般面)と面一になるようにすると共に、フード4の後端4aの後退時には、フロントピラー9の内部へ退避して受凹部21を出現させるものとする。なお、この場合、受凹部21は一段となっているが、多段としても良い。また、受凹部21については実施例1と同様の構成となるため、その部分の詳細な構成については記載を省略する。また、連動手段については、電気的なものとすることも、機械的なものとすることも可能である。
【0077】
次に、この実施例5の作用について説明する。
【0078】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図15参照)。
【0079】
この実施例5では、以下のような作用が行われる。
【0080】
図16に示すように、フード4が跳ね上げられると、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して可動マスク部材33がフロントピラー9の内部へ退避され受凹部21が出現される。これにより、フロントピラー9に設けられた受凹部21は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。その結果、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0081】
そして、図17に示すように、受凹部21によって後退が規制されたフード4は、受凹部21の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0082】
また、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して退避可能な可動マスク部材33を設けたことにより、通常時の見栄えを向上すると共に、フード4の後退時に確実に受凹部21を出現させることができる。
【0083】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例5の記載とすることができる。
【実施例6】
【0084】
図18〜図20は、この発明を具体化した実施例6を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例6の記載とすることができる。
【0085】
この実施例6の具体的な構成は以下の通りである。
【0086】
まず、受部材15を、左右のフロントピラー9の部分にそれぞれ設ける。この受部材15は、例えば、実施例2と同様の受凸部26を備えている。そして、この受凸部26をリフトアップ機構10の駆動手段11と連動して退避可能な可動トリム部材35とする。この可動トリム部材35は、通常時には、上側斜面部28がフロントピラー9の他の部分(一般面)と面一になる状態でフロントピラー9の内部に収納されると共に、フード4の後端4aの後退時には、フロントピラー9から外部へ突出して受凸部26を出現させるようなものとする。なお、この場合、受凸部26は一段となっているが、多段としても良い。また、受凸部26については実施例2と同様の構成となるため、その部分の詳細については記載を省略する。また、連動手段については、電気的なものとすることも、機械的なものとすることも可能である。
【0087】
次に、この実施例6の作用について説明する。
【0088】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図18参照)。
【0089】
この実施例6では、以下のような作用が行われる。
【0090】
図19に示すように、フード4が跳ね上げられると、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して可動トリム部材35がフロントピラー9から外部へ突出され受凸部26が出現される。これにより、フロントピラー9に設置された受凸部26は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。その結果、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0091】
そして、図20に示すように、受凸部26によって後退が規制されたフード4は、受凸部26の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0092】
また、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して出現可能な可動トリム部材35を設けたことにより、通常時の見栄えを向上すると共に、フード4の後退時に確実に受凸部26を出現させることができる。
【0093】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例6の記載とすることができる。
【実施例7】
【0094】
図21〜図24は、この発明を具体化した実施例7を示すものである。なお、車両の基本構成および本発明に共通の構成については、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。また、選択的に採用される構成についても、特に必要のある場合以外は、図面中に同一の符号を付すことにより記載を省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例6の記載とすることができる。
【0095】
この実施例7の具体的な構成は以下の通りである。
【0096】
まず、受部材15を、カウル部8の両側部分にそれぞれ設ける。この受部材15を、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して可動する可動受部材37とする。この可動受部材37は、通常時には、カウル部8の内部に収納されると共に、フード4の後端4aの後退時には、カウル部8からフロントガラス7の両側部前面に沿って上方へ突出するものとする。なお、連動手段については、電気的なものとすることも、機械的なものとすることも可能である。
【0097】
次に、この実施例7の作用について説明する。
【0098】
フード4の跳ね上げによる作用については、実施例1と同じであるため省略する(図22参照)。
【0099】
この実施例7では、以下のような作用が行われる。
【0100】
図23に示すように、フード4が跳ね上げられると、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して可動受部材37がカウル部8からフロントガラス7の両側部前面に沿って上方へ突出する。これにより、可動受部材37は、フード4の後端4aを受けてフード4の後退を規制する。その結果、フード4によるフロントガラス7の破損が抑制され、フロントガラス7が保護される。
【0101】
そして、図24に示すように、可動受部材37によって後退が規制されたフード4は、可動受部材37の破断強度よりも車両前後方向の荷重に対する折れ強度が小さいため、座屈されることになる。
【0102】
また、カウル部8に、リフトアップ機構10の駆動手段11と連動して出現可能な可動受部材37を設けたことにより、通常時の見栄えを向上すると共に、フード4の後退時に確実に可動受部材37を出現させることができる。
【0103】
なお、本発明に共通の構成による作用、および、選択的に採用される構成の作用については省略する。但し、記載を省略したものについて必要な場合には、上記実施例1の記載を以て、この実施例7の記載とすることができる。
【0104】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、これらの可能な組合せが含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施例1にかかるフロントガラス保護構造の平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2の作動図である。
【図4】図3に続く作動図である。
【図5】本発明の実施例2にかかるフロントガラス保護構造の側面図である。
【図6】図5の作動図である。
【図7】図6に続く作動図である。
【図8】本発明の実施例3にかかるフロントガラス保護構造の平面図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】図9の作動図である。
【図11】図10に続く作動図である。
【図12】本発明の実施例4にかかるフロントガラス保護構造の側面図である。
【図13】図12の作動図である。
【図14】図13に続く作動図である。
【図15】本発明の実施例5にかかるフロントガラス保護構造の側面図である。
【図16】図15の作動図である。
【図17】図16に続く作動図である。
【図18】本発明の実施例6にかかるフロントガラス保護構造の側面図である。
【図19】図18の作動図である。
【図20】図19に続く作動図である。
【図21】本発明の実施例7にかかるフロントガラス保護構造の平面図である。
【図22】図21の側面図である。
【図23】図22の作動図である。
【図24】図23に続く作動図である。
【符号の説明】
【0106】
2 エンジンルーム
4 フード
4a 後端
7 フロントガラス
9 フロントピラー
15 受部材(フロントガラス破損抑制手段)
15a 上端部
16 マスク部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームの上部に開閉可能に取付けられたフードの後端が、前面衝突時に、跳ね上げ可能に構成されたフード部構造に対し、
前面衝突時に、後退するフードの後端を受けて、フロントガラスの破損を抑制可能なフロントガラス破損抑制手段を設けたことを特徴とするフロントガラス保護構造。
【請求項2】
前記フロントガラス破損抑制手段は、フロントピラーの前面側に設けられた凹形状または凸形状を有して、フードの後端を受け止める受部材であり、
該受部材の破断強度を、車両前後方向の荷重に対するフードの折れ強度よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1記載のフロントガラス保護構造。
【請求項3】
前記受部材の上端部の高さを、フードの後端の跳ね上げ高さよりも上方に設定したことを特徴とする請求項1または2記載のフロントガラス保護構造。
【請求項4】
前記受部材が、通常時にはマスク部材で覆われていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフロントガラス保護構造。
【請求項1】
エンジンルームの上部に開閉可能に取付けられたフードの後端が、前面衝突時に、跳ね上げ可能に構成されたフード部構造に対し、
前面衝突時に、後退するフードの後端を受けて、フロントガラスの破損を抑制可能なフロントガラス破損抑制手段を設けたことを特徴とするフロントガラス保護構造。
【請求項2】
前記フロントガラス破損抑制手段は、フロントピラーの前面側に設けられた凹形状または凸形状を有して、フードの後端を受け止める受部材であり、
該受部材の破断強度を、車両前後方向の荷重に対するフードの折れ強度よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1記載のフロントガラス保護構造。
【請求項3】
前記受部材の上端部の高さを、フードの後端の跳ね上げ高さよりも上方に設定したことを特徴とする請求項1または2記載のフロントガラス保護構造。
【請求項4】
前記受部材が、通常時にはマスク部材で覆われていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフロントガラス保護構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−245913(P2007−245913A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71896(P2006−71896)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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