説明

プリント基板の検査装置

【課題】部品実装基板の製造ラインで機械的接続不良を検出でき、かつ、その要因を解析する。
【解決手段】プリント基板の印刷回路に印刷または塗布されたクリームはんだ状態を判定するクリームはんだ判定部13、プリント基板1の印刷回路と実装部品との間をはんだ付けするはんだ付け状態を外観観察してはんだ付け状態を判定するはんだ付け外観判定部17と、はんだ付けを完了したプリント基板に対してX線を照射して走査し、その内部画像を構成するコンピュータ断層撮影で観察し、はんだ付け状態を判定する断層判定部18とを具備し、それらの判断結果によって実装部品を搭載したプリント基板の機械的接続不良を検出し、また、その機械的接続不良の要因を解析自在としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品等の実装部品を搭載するプリント基板の製造工程ではんだ付け不良等の機械的接続不良を画像処理による検査で検出するプリント基板の検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のプリント基板の検査装置としては、検査者が拡大鏡或いはカメラを用いて、得たプリント基板の拡大像を参照し、電子部品のはんだ付けの合否を判定するものや、検査者がプリント基板をXYステージに載置し、XYステージを駆動させながらプリント基板の拡大像を参照し、電子部品のはんだ付けの合否を判定するものがある。
しかし、プリント基板を拡大して異常を確認しても、その都度、基準となる検査図面上を参照し、その結果検査を検査図面に記録する必要があり、また、それらの記録を取得しても、歩留まりのよいプリント基板の部品実装製造ラインの工程にそれを利用することができなかった。
【0003】
そこで、特許文献1では、基板の部品実装ラインを構成する各実装処理工程で処理された状態の前記基板の各状態画像を撮像した各画像を記憶する記憶部と、その記憶部に記憶された画像に基づく画像を表示する表示部と、前記記憶部に格納された同一基板に対する異なる実装処理工程後の状態画像を示す複数の画像中に存在する検証対象の同一部位の方向並びにサイズを統一した検証用画像を生成する検証用画像生成部と、その異なる実装処理工程後の複数の前記検証用画像を同一視野表示画面に出力する出力部を具備する品質管理装置を提供している。
【0004】
また、特許文献2では、プリント基板の検査領域に対して異なる仰角方向に配置された複数色の光源からの反射光で上記検査領域の画像を形成し、この画像に基づき、上記基板に実装されている実装部品のはんだ付状態を表示するはんだ目視検査装置において、上記基板の画像からはんだ付け部分を抽出した抽出画像を生成する抽出画像生成部と、この抽出画像生成部で抽出した検査領域のはんだ付け部分の抽出画像と、予め基準となるプリント基板のはんだ付け部分の近傍に実装部品名を表示した抽出画像とをマッチングし、撮像位置を検出する撮像位置検出部と、この撮像位置検出部で検出された撮像位置に基づき、上記基準となるプリント基板の抽出画像から実装部品名を抽出する実装部品名抽出部と、この実装部品名抽出部で抽出された実装部品名を上記検査領域の実装部品の近傍に表示する表示部を具備するはんだ目視検査装置を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−361145
【特許文献2】特開平9−229872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、特許文献1及び特許文献2は、記憶装置に格納された同一基板に対する異なる実装処理工程後の状態画像を示す複数の画像中に存在する検証対象の物品の方向及び寸法を統一した検証用画像を生成し、異なる実装処理工程後の複数の前記検証用画像を同一視野表示画面に出力することにより、視覚によって異常の有無やその現象を確認している。
【0007】
しかし、現在ではBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size PackageまたはChip Scale Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded package)等、フィレットレスタイプの実装部品が多くなり、はんだ付け部が露出していないから、外部からはんだ付け部を観察する方法では、検査が不十分となってきた。
はんだ付け部が露出していないフィレットレスタイプの実装部品を検査するため、仮に、はんだ付け工程後にX線検査装置を導入し、それにより画像処理を行ったとしても、検査で異常が検出された部位に対しては製造過程の履歴が検討できないので、その解析結果を爾後の部品実装基板の製造ラインのはんだ付け不良等の機械的接続不良を少なくするという生産性の向上に役立たせることができなかった。
また、部品実装基板の製造ライン外に設置された解析用X線検査装置を用いて異常個所を調査、解析するとなると、当該実装部品に対するX線被曝量の増加、解析工数が増加し、被爆実装部品の品質が低下すると共に、調査解析を効率的に処理することができない。
【0008】
そこで、本発明は、部品実装基板の製造ラインで機械的接続不良を前工程の検査結果を利用して効率よく検出でき、かつ、その要因を解析できるプリント基板の検査装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明にかかるプリント基板の検査装置は、プリント基板の印刷回路に印刷または塗布されたクリームはんだの印刷状態または塗布状態を判定するクリームはんだ判定部、前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間のはんだ付け状態の外観を観察して、前記はんだ付け状態を判定する外観判定部と、前記はんだ付けが完了したプリント基板に対してX線を照射しながら走査(Scan)し、そのはんだ付け部の画像をコンピュータ断層撮影(Computed Tomography, CT)により作成し、そのはんだ付け状態を判定する断層判定部とを具備し、それらの判断結果によって実装部品を搭載したプリント基板の機械的接続不良を検出する。また、その機械的接続不良の要因を前記クリームはんだ判定部、前記外観判定部、前記断層判定部の経過によって解析できる。
ここで、上記クリームはんだ判定部は、絶縁基板及び印刷回路を具備するプリント基板に対するクリームはんだの印刷状態または塗布状態を判定するもので、特定箇所の印刷回路とクリームはんだの印刷面積の重りを割合で表したもの、及び/または良好(OK)、不良(NG)の適否で表したもの、撮影した検証用画像によって判定できる。このクリームはんだとは、ソルダーペーストとも呼ばれ、はんだ粉末にフラックスを加え混練し、適当な粘度にし、前記プリント基板の印刷回路上に印刷または塗布するものである。
また、上記外観判定部は、前記プリント基板の印刷回路と電子部品等の実装部品との間のはんだ付け状態を外観からの観察によって判定するもので、はんだ付け状態の外観の形状によって不良の発生を予測し、はんだの乗りが悪い特定箇所のはんだ接合面積に対する割合、特定箇所数の全体のはんだ接合面積に対する割合、或いは少なくとも、電気・電子部品である抵抗やコンデンサのリード、IC、LSI等の電極(ピン)の1箇所以上の不具合の存在の有無による適否、その塗布割合で表したもの、及び外観を撮影した検証用画像等で判定する。
そして、上記断層判定部は、はんだ付けを完了したプリント基板の外部からX線を照射して走査し、はんだ付け内部の画像を作成するコンピュータ断層撮影により、はんだ付け状態を判定するもので、断層撮影の結果から実装部品を搭載したプリント基板のはんだ付け等の機械的接続不良を検出し、はんだ付け部分のクラックの存在、クラックが存在する場合にはその寸法、或いは、抵抗やコンデンサのリード、IC、LSI等の電極のはんだ付け状態の断面形状及び面積によるはんだ付けの適否で表したもの、及び断層撮影で得た検証用画像で判定する。
更に、過去の前記クリームはんだ判定部及び前記外観判定部の結果と、前記断層判定部の結果を照合することにより、そのはんだ付けの製造ラインで如何なる要因によって不良が出たかを確認でき、それを前記クリームはんだ判定部、前記外観判定部、前記断層判定部の結果を合わせることにより、前記クリームはんだ判定部及び前記外観判定部、前記断層判定部等の各判定基準を調整するものである。
【0010】
請求項2の発明にかかるプリント基板の検査装置は、プリント基板の印刷回路に印刷または塗布されたフラックス状態を判定するフラックス判定部、前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間のはんだ付け部の外観を観察してはんだ付け状態を判定する外観判定部と、はんだ付けが完了したプリント基板に対してX線を照射しながら走査し、そのはんだ付け部の検証用画像をコンピュータ断層撮影により作成し、そのはんだ付け状態を判定する断層判定部とを具備し、それらの判断結果によって実装部品を実装したプリント基板の機械的接続不良を検出する。また、その機械的接続不良の要因を前記フラックス判定部、前記外観判定部、断層判定部の経過によって解析できる。
ここで、上記フラックス判定部は、前記絶縁基板及び印刷回路を具備するプリント基板のフラックスの印刷状態または塗布状態を判定するもので、印刷回路に対するフラックスの重りを面積割合で表したもの、及び/または良好(OK)、不良(NG)の適否、検証用画像によって判定する。
また、上記外観判定部は、前記プリント基板の印刷回路と電子部品等の実装部品との間のはんだ付け状態を外観からの観察によって判定するもので、はんだ付け状態の外観の形状によって不良の発生を予測し、はんだの乗りが悪い特定の箇所のはんだ接合面積に対する割合、特定箇所数の全体のはんだ接合面積に対する割合、或いは少なくとも、電気・電子部品である抵抗やコンデンサのリード、IC、LSI等の電極の1箇所以上の不具合の存在の有無による適否、その塗布割合で表したもの、外観を撮影した検証用画像で判定する。
そして、上記断層判定部は、はんだ付けを完了したプリント基板の外部からX線を照射して走査し、前記はんだ付け内部の画像を作成するコンピュータ断層撮影により、はんだ付け状態を判定するもので、断層撮影の結果から実装部品を搭載したプリント基板のはんだ付け等の機械的接続不良を検出し、前記はんだ付け部分のクラックの存在、クラックが存在する場合にはその寸法、或いは、抵抗やコンデンサのリード、IC、LSI等の電極のはんだ付け状態の断面形状及び面積によるはんだ付けの適否で表したもの、及び断層撮影で得た検証用画像等で判定する。
更に、過去の前記フラックス判定部及び前記はんだ付け外観判定部の結果と、前記断層判定部の結果を照合することにより、そのはんだ付けの製造ラインで如何なる要因によって不良が出たかを確認でき、それを前記フラックス判定部、前記外観判定部、前記断層判定部の結果を合わせることにより、前記フラックス判定部及び前記外観判定部、前記断層判定部等の各判定基準を調整するものである。
なお、上記外観判定部、上記断層判定部については、請求項1の構成と同様に対応でき、また、上記フラックス判定部は、請求項1の構成のクリームはんだ判定部の基本的機能と相違するものではない。
【0011】
請求項3の発明にかかるプリント基板の検査装置は、プリント基板の印刷回路に印刷または塗布された導電性接着剤の状態を判定する導電性接着剤判定部、前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間の接合状態の外観を観察し、その接合状態を判定する外観判定部と、接合を完了したプリント基板に対してX線を照射しながら走査し、その接合部の検証用画像をコンピュータ断層撮影により作成し、その接合状態を判定する断層判定部とを具備し、それらの判断結果によって実装部品を搭載したプリント基板の機械的接続不良を検出する。また、その機械的接続不良の要因を前記クリームはんだ判定部、前記外観判定部、断層判定部の経過によって解析できるようにした。
ここで、上記導電性接着剤判定部は、前記絶縁基板及び前記印刷回路を具備するプリント基板に対する導電性接着剤の印刷状態を判定するもので、印刷回路の印刷面積への重りを面積割合で表したもの、及び/または良好(OK)、不良(NG)の適否、検証用画像等で判定する。
また、上記外観判定部は、前記プリント基板の印刷回路と電子部品等の実装部品との間の接合状態を外観からの観察によって判定するもので、接合状態の外観の形状によって不良の発生を予測し、導電性接着剤の乗りが悪い特定の箇所の導電性接着剤の接合面積に対する割合、特定の箇所数全体の導電性接着剤の接合面積に対する割合、或いは少なくとも、電気・電子部品である抵抗やコンデンサのリード、IC、LSI等の電極の1箇所以上の不具合の存在の有無による適否、その印刷または塗布割合で表したもの、外観を撮影した検証用画像等で判定する。
そして、上記断層判定部は、接合を完了したプリント基板の外部からX線を照射して走査し、接合部内部の画像を作成するコンピュータ断層撮影により、接合状態を判定するもので、断層撮影の結果から実装部品を実装したプリント基板の接合部等の機械的接続不良を検出し、接合部分のクラックの存在、クラックが存在する場合にはその寸法、或いは、抵抗やコンデンサのリード、IC、LSI等の電極の接合状態の断面形状及び面積による接合部の適否で表したもの、及び断層撮影で得た検証用画像等で判定する。
更に、過去の前記導電性接着剤判定部及び前記外観判定部の結果と照合することにより、その導電性接着剤による部品実装ラインで如何なる要因によって不良が出たかを確認でき、それを前記導電性接着剤判定部、外観判定部、断層判定部の結果を合わせることにより、前記導電性接着剤判定部及び前記外観判定部、前記断層判定部等の各判定基準を調整することができる。
なお、上記外観判定部、上記断層判定部については、請求項1の構成と同様に対応でき、また、上記導電性接着剤判定部は、請求項1の構成のクリームはんだ判定部または請求項2の構成のフラックス判定部の基本的機能と相違するものではない。
【0012】
請求項4の発明にかかるプリント基板の検査装置は、前記フラックス判定部または前記クリームはんだ判定部または前記導電性接着剤判定部の前に、前記プリント基板の印刷回路の印刷状態を検査する印刷状態検査部を具備するものである。
ここで、上記印刷状態検査部は、プリント基板の絶縁基板に形成した印刷回路をパターン認識または導通確認によって検査するものであり、前記絶縁基板に形成した印刷回路が通常の状態よりも狭くなっている箇所または導通のない箇所の存在によって、適否を決定するものである。
【0013】
請求項5の発明にかかるプリント基板の検査装置は、前記フラックス判定部または前記クリームはんだ判定部または前記導電性接着剤判定部の後に、前記プリント基板に実装部品を搭載した実装状態を検査する部品実装状態検査部を具備するものである。
ここで、上記部品実装状態検査部は、プリント基板上の所定位置に電気・電子部品等の実装部品を搭載した実装部品位置の適否を判断するもので、パターン認識によって検査するものであり、搭載状態が通常の状態よりも変移している箇所の存在によって、適否を決定するものである。
【0014】
請求項6の発明にかかるプリント基板の検査装置の前記プリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、接合部が露出する実装部品の実装と、接合部が露出しない実装部品の搭載とを2工程でなすものである。
ここで、接合部が露出する実装部品を搭載する工程と、接合部が露出しない実装部品を搭載する工程は、何れを先に処理してもよいが、接合部が露出する実装部品と接合部が露出しない実装部品の搭載を分けることにより、はんだ付けや導電性接着剤による接合の前処理の自由度を高めるものである。
【0015】
請求項7の発明にかかるプリント基板の検査装置のプリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、接合部が露出する実装部品及び接合部が露出しない実装部品の実装を同時に行うものである。
ここで、接合部が露出する実装部品及び接合部が露出しない実装部品を同時に実装するとは、はんだ付けまたは導電性接着剤による接合を行うリフローまでに両者を搭載することを意味し、単一のリフローによって、はんだ付けまたは導電性接着されるものである。
【0016】
請求項8の発明にかかるプリント基板の検査装置の前記プリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、先に接合部が露出する実装部品の搭載を行い、その後に外観判定部によって前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間のはんだ付け状態の外観を観察して接合状態を判定し、次いで、接合部が露出しない実装部品を搭載するものである。
ここで、先に接合部が露出する実装部品の搭載を行い、その後に外観判定部によって前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間の接合状態の外観を観察することは、異常をできるだけ全実装部品の接合が完了する前に発見しようとするものであり、両者が対となって観察できるものであればよい。
【0017】
請求項9の発明にかかるプリント基板の検査装置は、前記断層判定部の前または後に、前記プリント基板の実装状態を電気的に検査する電気的判定部を具備するものである。ここで、上記電気的判定部は、前記プリント基板の実装状態を電気的に検査するもので、通常、コネクタによって導通、非導通または特定の電気信号を得るものである。
【0018】
請求項10の発明にかかるプリント基板の検査装置は、前記断層判定部によって得たコンピュータ断層撮影の結果を図形またはグラフ化して表示し、可視的にコンピュータ断層撮影の結果を表示するものである。
ここで、上記コンピュータ断層撮影の結果を図形またはグラフ化した表示とは、異常個所のみ拡大表示または複数のマップに表示し、機械的接続状態が不完全な箇所の面積を特定の色、例えば、赤色等の注意を喚起しやすい色で点滅表示させてもよい。何れにせよ、可視的にコンピュータ断層撮影の結果を表示するものである。
【0019】
請求項11の発明にかかるプリント基板の検査装置は、前記断層判定部によって得た結果を図形またはグラフ化して表示し、その表示色または図形によって異常の程度を表現するものである。ここで、前記断層判定部によって得た結果は、図形の大きさ、色彩またはグラフ化して表示するものであればよい。
【発明の効果】
【0020】
請求項1のプリント基板の検査装置は、プリント基板に塗布された印刷回路に対するクリームはんだの印刷状態または塗布状態を判定するクリームはんだ判定部の結果と、前記プリント基板のはんだ付け状態を外観で観察して判定する外観判定部の結果と、前記プリント基板のはんだ付け部のはんだ付け状態をコンピュータ断層撮影し、はんだ付け状態を判定する断層判定部の結果とを総合的に判断し、前記クリームはんだ判定部及び前記外観判定部及び前記断層判定部の判断結果によって実装部品を搭載するプリント基板の機械的接続不良を検出すると共に、そのはんだ付け部分の機械的接続不良の要因の解析により、はんだ付け加工工程中に致命的な機械的接続不良がでた場合には、その後の工程に搬送することなく再利用または廃棄処理し、無駄な工程を経ることなく、かつ、放射線による被曝量を少なくしたプリント基板の検査が可能となる。
また、前記クリームはんだ判定部及び前記外観判定部及び前記断層判定部の判断結果によって、実装部品を搭載するプリント基板の実装部品の搭載からはんだ付けの経過の情報が得られ、機械的接続不良の要因が特定でき、それらの判断基準の修正、加工条件の修正により、機械的接続不良の要因を是正して歩留まりのよいはんだ付け製造ラインが構築できる。そして、それらの検証用画像等の情報を残すことによって、過去の工程の適否を検証できる。
殊に、仮に、外観上のはんだ付けが良好であっても、はんだ付け部分にクラックが入っている場合には、機械的振動、熱的変化の繰り返しによって、はんだ付け部分の機械的接続不良が生ずる可能性がある。しかし、クリームはんだ判定部の結果及び外観判定部の結果を参照する断層判定部の結果によって、当該プリント基板の再利用または実装部品を分離して廃棄処理することができ、かつ、出荷する実装部品を搭載しているプリント基板の信頼性を高くすることができる。加えて、三次元X線検査を行う際に、前工程の二次元検査データを利用できるから検査効率を向上することができる。
したがって、本発明のプリント基板の検査装置によれば、部品実装基板の製造ラインで機械的接続不良を前工程の検査結果を利用して効率よく検出でき、かつ、その要因を解析できる。
【0021】
請求項2のプリント基板の検査装置は、プリント基板に塗布された印刷回路に対するフラックスの印刷状態または塗布状態を判定するフラックス判定部の結果と、前記プリント基板のはんだ付け状態を外観で観察して判定する外観判定部の結果と、前記プリント基板のはんだ付け状態をコンピュータ断層撮影し、はんだ付け状態を判定する断層判定部の結果とを総合的に判断し、前記フラックス判定部及び前記外観判定部及び前記断層判定部の判断結果によって実装部品を搭載するプリント基板の機械的接続不良を検出すると共に、そのはんだ付け部分の機械的接続不良の要因の解析により、はんだ付け加工工程中に致命的な機械的接続不良がでた場合には、その後の工程に搬送することなく再利用または廃棄処理し、無駄な工程を経ることなく、かつ、放射線による被曝量を少なくしたプリント基板の検査が可能となる。
また、前記フラックス判定部及び前記外観判定部及び前記断層判定部の判断結果によって、実装部品を搭載するプリント基板の部品搭載からはんだ付けの経過の情報が得られるから、機械的接続不良の要因が特定でき、それらの判断基準の修正、加工条件の修正により、機械的接続不良の要因を是正して歩留まりのよいはんだ付け製造ラインが構築できる。そして、それらの検証用画像等の情報を残すことによって、過去の工程の適否を検証する。
殊に、仮に、外観上のはんだ付けが良好であっても、はんだ付け部分にクラックが入る場合には、機械的振動、熱的変化の繰り返しによって、はんだ付け部分の機械的接続不良が生ずる可能性がある。しかし、前記フラックス判定部の結果及び前記外観判定部の結果を参照する前記断層判定部の結果によって、当該プリント基板の再利用または実装部品を分離して廃棄処理することができ、かつ、出荷する実装部品を搭載しているプリント基板の信頼性を高くすることができる。加えて、三次元X線検査を行う際に、前工程の二次元検査データを利用できるから検査効率を向上することができる。
したがって、本発明のプリント基板の検査装置によれば、部品実装基板の製造ラインで機械的接続不良を前工程の検査結果を利用して効率よく検出でき、かつ、その要因を解析できる。
【0022】
請求項3のプリント基板の検査装置は、プリント基板に塗布された印刷回路に対する導電性接着剤の印刷状態を判定する導電性接着剤判定部の結果と、前記プリント基板の接合状態を外観で観察して判定する外観判定部の結果と、前記プリント基板の接合状態をコンピュータ断層撮影し、接合状態を判定する断層判定部の結果とを総合的に判断し、前記導電性接着剤判定部及び前記外観判定部及び前記断層判定部の判断結果によって実装部品を搭載するプリント基板の機械的接続不良を検出すると共に、その接合部分の機械的接続不良の要因の解析により、はんだ付け加工工程中に致命的な機械的接続不良がでた場合には、その後の工程に搬送することなく再利用または廃棄処理し、無駄な工程を経ることなく、かつ、放射線による被曝量を少なくしたプリント基板の検査が可能となる。
また、前記導電性接着剤判定部及び前記外観判定部及び前記断層判定部の判断結果によって、実装部品を搭載するプリント基板の実装部品搭載から導電性接着剤による接合経過の情報が得られ、機械的接続不良の要因が特定でき、それらの判断基準の修正、加工条件の修正により、機械的接続不良の要因を是正して歩留まりのよいはんだ付け製造ラインが構築できる。そして、それらの検証用画像等の情報を残すことによって、過去の工程の適否を検証する。
殊に、仮に、外観上の接合が良好であっても、接合部分にクラックが入っている場合には、機械的振動、熱的変化の繰り返しによって、接合部分の機械的接続不良が生ずる可能性がある。しかし、前記導電性接着剤判定部の結果及び前記外観判定部の結果を参照する断層判定部の結果によって、当該プリント基板の再利用または実装部品を分離して廃棄処理することができ、かつ、出荷する実装部品を搭載しているプリント基板の信頼性を高くすることができる。加えて、三次元X線検査を行う際に、前工程の二次元検査データを利用できるから検査効率を向上することができる。
したがって、本発明のプリント基板の検査装置によれば、部品実装基板の製造ラインで機械的接続不良を前工程の検査結果を利用して効率よく検出でき、かつ、その要因を解析できる。
【0023】
請求項4のプリント基板の検査装置は、前記フラックス判定部または前記クリームはんだ判定部または前記導電性接着剤判定部の前に、前記プリント基板の印刷回路の印刷状態を検査する印刷状態検査部を具備するものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、前記プリント基板の印刷回路の印刷状態も実装部品を搭載する前記プリント基板の機械的接続不良の解析要因とすることができるから、回路設計に問題があった場合には、その発見が容易となり、前記プリント基板の手直し等が可能となり、信頼性を高めることができる。
【0024】
請求項5のプリント基板の検査装置は、前記フラックス判定部または前記クリームはんだ判定部または前記導電性接着剤判定部の後に、前記プリント基板に実装部品を搭載した実装状態を検査する部品実装状態検査部を具備するものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、前記部品実装状態検査部によって電子部品等の実装部品の搭載上の問題についても、機械的接続不良の解析要因とすることができ、搭載に問題があった場合には、その発見が容易となり、実装部品をはんだ付けする前に対応が可能となる。
【0025】
請求項6のプリント基板の検査装置の前記プリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、接合部が露出する実装部品を搭載する工程と、接合部が露出しない実装部品を搭載する工程の2種類の工程を具備するものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、接合部が露出する実装部品と接合部が露出しない実装部品の搭載を分けることにより、導電性接着剤による接合の前処理の自由度を高めることができる。特に、他の箇所で電気・電子部品等の実装部品側にはんだバンプを接合したもの等の幅広い使用が可能となる。
【0026】
請求項7のプリント基板の検査装置の前記プリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、接合部が露出する実装部品の搭載と、接合部が露出しない実装部品の搭載を同時に行うものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、接合処理等が1回で完了するから省エネ効果が高い。また、処理速度が速い。
【0027】
請求項8のプリント基板の検査装置の前記プリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、先に接合部が露出する実装部品の搭載を行い、その後に外観判定部によって前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間の接合状態の外観を観察して接合状態を判定し、その後、接合部が露出しない実装部品を搭載するものであるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、先に接合部が露出する実装部品の実装を行い、その後に外観判定部によって前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間の接合状態の外観を観察することにより、機械的接続不良が発生した場合でも、全実装部品のはんだ付けまたは導電性接着剤による接合が終了していないので、再利用に無駄がない対応が可能となる。
【0028】
請求項9のプリント基板の検査装置は、前記断層判定部の前後に、前記プリント基板の実装状態及び電気的接続状態を検査する電気的判定部を具備するものであるから、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、電気的な検査結果を用いることによって、実装部品を搭載するプリント基板の電気的接続不良を検出すると共に、その機械的、電気的要因の解析により、搬送中に致命的な機械的接続不良がでた場合には、その後の工程に搬送することなく排出し、無駄な工程を経ることなく、かつ、放射線による被曝量を少なくできるプリント基板の検査ができる。
【0029】
請求項10のプリント基板の検査装置は、前記断層判定部によって得たコンピュータ断層撮影の結果を図形またはグラフ化して表示し、可視的にコンピュータ断層撮影の結果を表示するものであるから、請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の効果に加えて、異常個所を特定し、その確認が容易である。
【0030】
請求項11のプリント基板の検査装置の前記断層判定部によって得た結果は、図形またはグラフ化して表示し、その表示色または図形によって異常の程度を表現するものであるから、請求項1乃至請求項10の何れか1つに記載の効果に加えて、接合部の接続状態をビジュアルに確認でき、具体的には、図形の大きさ、色彩またはグラフによって異常の程度を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の全体構成図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のクリームはんだ印刷の断面から見た説明図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のクリームはんだ印刷の平面から見た説明図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のクリームはんだ判定部の説明図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のクリームはんだに対する実装部品搭載の断面から見た説明図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の実装部品をはんだ付けにより搭載した断面から見た説明図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の外観判定部の説明図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の断層判定部のX線スキャン方式の説明図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置における断層判定部の他のX線スキャン方式を用いた説明図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の断層判定部における不良判別の仕方を説明する説明図で、(a)は3次元画像、(b)は2次元画像、(c)は断層画像とした場合の良否判別の事例画像を示す拡大要部断面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の断層判定部における不良判別の仕方を説明する説明図で、クラックの入った事例の拡大要部断面図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のプリント基板製造ラインを制御するメインプログラムの前半のフローチャートである。
【図13】図13は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のプリント基板製造ラインを制御するメインプログラムの後半のフローチャートである。
【図14】図14は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のクリームはんだ判定部を制御するクリームはんだ判定プログラムのフローチャートである。
【図15】図15は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の部品搭載部を制御する部品搭載プログラムのフローチャートである。
【図16】図16は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の外観判定部を制御する外観判定プログラムのフローチャートである。
【図17】図17は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の断層判定部を制御する断層判定プログラムのフローチャートである。
【図18】図18は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の異常解析判別制御部を制御する情報収集及び処理結果確認プログラムのフローチャートである。
【図19】図19は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の異常解析制御をする異常解析プログラムのフローチャートである。
【図20】図20は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の過去の製造番号の検査内容の確認及びマニュアルで異常の要因を修正するマニュアル修正プログラムのフローチャートである。
【図21】図21は本発明の実施の形態2のプリント基板の検査装置の全体構成図である。
【図22】図22は本発明の実施の形態2のプリント基板の検査装置のフラックス印刷または塗布の断面から見た説明図である。
【図23】図23は本発明の実施の形態2のプリント基板の検査装置のフラックスによるはんだ付け後の説明図である。
【図24】図24は本発明の実施の形態3のプリント基板の検査装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0033】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1について、実装部品をはんだ付けするプリント基板製造ラインに用いた事例を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の全体構成図で、また、図2はそのクリームはんだ印刷の断面から見た説明図、図3はそのクリームはんだ印刷の平面から見た説明図、図4はそのクリームはんだ判定部の説明図、図5はその検査装置のクリームはんだに対する実装部品搭載の断面から見た説明図、図6はその実装部品をはんだ付けにより搭載した断面から見た説明図、図7はその外観判定部の説明図である。そして、図8は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の断層判定部のX線スキャン方式の説明図、図9はその断層判定部の他のX線スキャン方式を用いた説明図、図10は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の断層判定部における不良判別の仕方を説明する説明図で、(a)は3次元画像、(b)は2次元画像、(c)は断層画像とした場合の良否判別の事例画像を示す拡大要部断面図、図11は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の断層判定部における不良判別の仕方を説明する説明図で、クラックの入った事例の拡大要部断面図である。
【0034】
図1において、プリント基板供給部11は、他のプリント基板1の製造ラインによって、柔軟性のない絶縁基板を使用したリジット基板、柔軟性のある絶縁基板を使用したフレキシブル基板、またはそれらの基板の複合体であるリジットフレキシブル基板として、絶縁基板1c及びその絶縁基板1cに形成した印刷回路1a,1bを具備するプリント基板1を所定の図示しないワークに搭載し、実装部品をはんだ付けするプリント基板製造ラインにプリント基板1を供給する供給部である。プリント基板1には製造番号(Serial number)が付与されており、通常は、この製造番号を自動で読み取っている。このプリント基板1の製造番号は、バーコード、2次元コードをプリント基板1の絶縁基板1cに直接印刷するか、製造番号シールを貼着することによって行われている。このプリント基板供給部11は、プリント基板1をワークに搭載し、製造ライン上を搬送される。
【0035】
なお、本実施の形態のプリント基板の検査装置は、本発明を実施する場合、プリント基板供給部11の前工程または後工程に、少なくとも、後述するクリームはんだ判定部13または後述するフラックス判定部23(図21参照)の前に、プリント基板1の印刷回路1a,1bの回路状態をパターン認識して良し悪しを判断する、所謂、印刷状態を検査する図示しない印刷状態検査部を設置することができる。特に、この印刷状態検査部は、プリント基板1の絶縁基板1cに形成した印刷回路1a,1bをパターン認識または導通確認によって、プリント基板1の印刷回路1a,1bを検査するものであり、絶縁基板1cに形成した印刷回路1a,1bが通常の状態よりも狭くなっている箇所または導通のない箇所の存在によって、機械的接続不良による不良品を判定し、そのプリント基板1の加工を排除することができる。
この印刷状態検査部は、他のプリント基板1の製造ラインに設置しておれば、ここで使用する必要性はない。
【0036】
クリームはんだ印刷部12では、プリント基板1のはんだ付け部が露出する実装部品5の印刷回路1a,1bに対応するはんだ付け部分にクリームはんだ60を印刷する。
本実施の形態のはんだ付け部が露出する実装部品5を搭載するには、まず、クリームはんだ印刷部12で図2に示すように、プリント基板1のはんだ付け部が露出する実装部品5の印刷回路1a,1bの表面にマスク(メタルマスク)を介してクリームはんだ60を印刷する。マスクは、薄さが約100〜300μm程度の金属板にプリント基板の印刷回路1a,1bに合わせて穴を開けたもので、印刷機を使って印刷を行う。また、クリームはんだ60は、ロボット等によってプリント基板1の印刷回路1a,1bの必要な箇所のみを塗布することもできる。
【0037】
クリームはんだ判定部13は、プリント基板1の印刷回路1a,1bの回路パターン認識と、その回路パターン認識に対してクリームはんだ60の印刷または塗布状態とを比較するもので、図2乃至図6にその事例を説明する。
図2乃至図6の印刷回路1a,1bは、電極(印刷回路1a,1bの一部)であり図示の左右の電極に、抵抗、コンデンサ等の電子部品のはんだ付け部が露出する実装部品5を搭載するものである。クリームはんだ60ははんだ付け箇所の印刷回路1a,1bの電極に、印刷または塗布している。しかし、印刷回路1a,1bの1個の電極面とそこに塗布されたクリームはんだ60の面は、仮に1個の電極面の95%以上が有効にはんだ付けできるものであれば、その閾値が95%となり、95%以上がはんだ付け良好(OK)となる。即ち、クリームはんだ判定部13では個々の電極面の閾値95%以上が良好(OK)と判定され、閾値95%未満で不良(NG)と判定される。また、クリームはんだ判定部13では、特定の電極のみにクリームはんだ60が印刷または塗布されていない場合には、当該電極にははんだ付け不良が発生する可能性が高いから、この場合には不良(NG)と判断される。
【0038】
更に、印刷回路1a,1bの全面とそこに塗布されたクリームはんだ60の面積は、印刷回路1a,1bの電極に対して96%が塗布されており、それが良好(OK)の閾値以上であるとすれば、クリームはんだ判定部13からは、具体的数値で95%以上の値(96%)と良好(OK)の結論が出力される。勿論、80%が不良(NG)であるとすれば、クリームはんだ判定部13は、具体的数値で80%、不良(NG)と出力される。
なお、設計的には、図3に示すように、プリント基板1のはんだ付け部が露出する実装部品5の印刷回路1a,1bの表面にマスク(メタルマスク)を置く精度によってクリームはんだ60の印刷が若干ずれるので、印刷回路1a,1bの電極面よりも塗布されたクリームはんだ60の面が100%以上となるように設定されているから、普通、閾値は90%以上となる。また、この閾値は回路網、印刷回路1a,1bの材質等によって変化する値であるから、本実施の形態の説明で説明する数値は概念的数値である。
【0039】
このクリームはんだ判定部13の判定結果は、特定の電気部品、電子部品等のリード、ICやLSIの電極(ピン)とプリント基板1の印刷回路1a,1bとの間のはんだ付けを前提に、該当する箇所にクリームはんだ60が塗布されているか否かを判断する。その判断結果は、設計図面と対応させたプリント基板1の印刷回路1a,1bの個々の抵抗、コンデンサ等のリード線の番号、個々のICやLSIの電極(ピン)番号に対して判定結果の数値情報と、その良好(OK)、不良(NG)としての結論をだす。また、好ましくは、プリント基板1の全体に対するフラックス3の塗布量も算出する。
【0040】
このクリームはんだ判定部13は、図4のように構成されている。
プリント基板1の印刷回路1a,1bには、クリームはんだ60が塗布されている。プリント基板1の印刷回路1a,1b及びクリームはんだ60は、所定の色彩をクリームはんだ60に付与できるように、特定の色彩の照明光を照射する光源131を有している。因みに、印刷回路1a,1bは銅、黄銅光沢があるので、クリームはんだ60として緑色不透明のものを使用し、光沢が減少することにより塗布状態が確認できるようにしている。撮像機132は、CCDカメラであり、プリント基板1の印刷回路1a,1b及びクリームはんだ60を撮影している。この撮像機132で撮像した検証用画像は、この判断結果を出すだけではなく、検査結果の情報と共に異常解析判別制御部31及びその検査結果の情報を格納するプリント基板成績記録部32に格納される。
【0041】
通常、クリームはんだ判定部13では、印刷回路1a,1bの全面よりも塗布されたクリームはんだ60の面積が広くなるように設定されており、プリント基板1の80%以上の塗布面状態が良好(OK)で、それを下回った場合には不良(NG)と、良否の判定基準が設定されている。また、電極等の単独の塗布面では、その閾値以上の塗布状態が良好(OK)で、それを下回った場合には不良(NG)と、良否の判定基準が設定される。クリームはんだ判定部13で検査の結果、閾値未満の塗布状態であれば、インライン目視検査部14に入る。
なお、このインライン目視検査部14は、プリント基板製造ラインの初期に使用し、はんだ付けの効率化のために不良(NG)原因を探るものであるが、通常運転では、殆ど使用されなくても運転可能となる。
【0042】
インライン目視検査部14では、拡大鏡或いは撮像機132の画像を用いた目視によって、全体の印刷回路1a,1bの面に塗布されたクリームはんだ60を確認し、また、印刷回路1a,1bのはんだ付けを行う所定の端子単独で閾値以上のクリームはんだ60の厚み状態が維持されていないときも、そのフラックス成分の濡れ性を確認する。即ち、拡大目視によって、所定数の全体の印刷回路1a,1bの面に印刷または塗布されたクリームはんだ60のフラックス成分の濡れ性、及び印刷回路1a,1bの端子単独で閾値以上の塗布状態が維持されていないか否かを判定する。印刷回路1a,1bの面に印刷または塗布されたクリームはんだ60が閾値以上でないとき、または印刷回路1a,1bの端子単独で閾値以上の印刷または塗布状態が維持されていないとき、形式的には、不良として扱われる。しかし、端子単独で閾値以上の印刷または塗布状態が維持されていないときには、当該端子のはんだ付けが良好に行えない可能性が存在するから、全体に閾値以上の印刷または塗布状態が維持されていなくても、目視できるクリームはんだ60の濡れ性、塗布量(体積)によって対応できると人為的に判断したときには、元のラインに戻し、そうでないときには再利用としてライン外に搬送する。この再利用とは、再度のクリームはんだ60の印刷または塗布またはクリームはんだ60を除去した後の塗布を行う工程に戻すものである。
【0043】
次に、クリームはんだ判定部13またはインライン目視検査部14で良好(OK)と判定されたプリント基板1は、はんだ付け部が露出する実装部品5を搭載する部品搭載部15に搬送され、図5に示すように、部品搭載部15で所定の印刷回路1a,1bに対応して実装部品5が搭載される。所定の箇所に実装部品5が搭載されると、はんだ付けする温度条件下の窒素雰囲気中のリフロー炉内に搬送される。このリフロー炉からなるリフロー部16で加熱され、図6に示すように、はんだが溶融し、はんだ付けされる。
部品搭載部15では、抵抗、コンデンサ等のフィレットタイプのはんだ付け部が露出する実装部品5について説明したが、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size PackageまたはChip Scale Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded package)等のフィレットレスタイプの実装部品7とプリント基板1の印刷回路1a,1bをはんだバンプ4ではんだ付けする場合についても同様である。
【0044】
このように、部品搭載部15でフィレットタイプの実装部品5をプリント基板1のはんだ付け部が露出する実装部品5の印刷回路1a,1bの表面のクリームはんだ60上に載置した後、リフロー部16に搬送され、リフロー炉内の高温度の窒素雰囲気中ではんだ付けされる。図6に示すように、クリームはんだ60は溶融してフィレットタイプのはんだ付け部が露出する実装部品5と印刷回路1a,1bとの間に入り、また両端部をそれぞれのはんだ付け部が露出する実装部品5の両端に接続される。
リフロー部16のリフロー炉内のはんだ付けする窒素雰囲気中で図6に示すようにはんだ付けされると、プリント基板1の印刷回路1a,1bに対するはんだ付け部が露出する実装部品5のはんだ付けを完了する。はんだ付けを完了したプリント基板1は、外観判定部17に搬送される。
【0045】
本実施の形態では、プリント基板1のはんだ付け部が露出する実装部品5について説明したが、本発明を実施する場合には、クリームはんだ印刷部12で、プリント基板1のはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部が露出しない実装部品7の印刷回路1a,1bに対応するはんだ付け部分にクリームはんだ60を印刷または塗布し、部品搭載部15及びリフロー部16ではんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部が露出しない実装部品7を搭載し、はんだ付けをすることができる。
【0046】
はんだ付けが完了したプリント基板1を搭載したワークは、はんだ付け部を外部から観察する外観判定部17に搬送される。
外観判定部17の構成は、図7に示すような構造になっている。撮像機201はCCDカメラであり、プリント基板1の印刷回路1a,1b上に実装したはんだ付け部が露出する実装部品5及びはんだ付け部6を撮影している。撮像機201を中心とする周囲には、赤色光源202(R)、青色光源203(G)、緑色光源204(B)の順に光源が配設されている。赤色光源202(R)、緑色光源203(G)、青色光源204(B)の配置は、それらの光源の反射がはんだ付け部6の表面の傾度によって、赤色光源202(R)の反射光を赤色反射域,緑色光源203(G)の反射光を緑色反射域、青色光源204(B)の反射光を青色反射域となるように設定している。
【0047】
即ち、はんだ付け部が露出する実装部品5のはんだ付け部6の反射領域は、フィレットタイプの実装部品5の略平面的なはんだ付け部分6aが赤色反射域、フィレットタイプの実装部品5の立ち上がりが小さい角度のはんだ付け部分6bが緑色反射域、フィレットタイプの実装部品5の立ち上がりが大きい角度のはんだ付け部分6cが青色反射域となる。なお、フィレットタイプの実装部品5は、ほとんど反射がない。このように、撮像機201が受けるはんだ付け部6からの反射光は、青色反射域、緑色反射域及び赤色反射域として分離して撮像されるのは、はんだ付け部6に光を照射する青色光源204(B)、緑色光源203(G)及び赤色光源202(R)の仰角が異なり、はんだ付け部6が所定の曲線になっているからである。
【0048】
このように、外観判定部17では、赤色光源202(R)、緑色光源203(G)、青色光源204(B)のはんだ付け部6の反射領域の色彩毎の面積、その形状等によってプリント基板1の印刷回路1a,1bとはんだ付け部が露出する実装部品5との間をはんだ付けするはんだ付け部6のはんだ付け状態の外観を検証用画像で観察し、そのはんだ付け状態を判定する。例えば、反射領域の色彩毎の面積が立ち上がり角度によって算出した閾値に対してどれだけの割合が維持されているかを判定する。また、特定のはんだ付け部6にクラック(図11参照)が入っているか、または、はんだによって接合できず実装部品5の電極との間に隙間が発生している場合には、不良(NG)扱いとするものである。
この外観判定部17で撮像された検証用画像は、検査結果の情報と共に異常解析判別制御部31及びプリント基板成績記録部32に格納される。
【0049】
外観判定部17で検査したプリント基板1は、断層判定部18に搬送される。断層判定部18では、はんだ付けを完了したプリント基板1の外部から放射線としてのX線を照射して、走査し、そのX線を照射して得た複数毎の画像を合成することによって、内部構造を3次元画像で表現し、かつ、任意の切断箇所をコンピュータ断層撮影(Computed Tomography, CT)で観察し、はんだ付け部6の状態をそれらの検証用画像で判定する。
断層判定部18では、図8に示すようにプリント基板1の回りを回転してスキャンし、そのプリント基板1の断層画像を作成する。このスキャンには、プリント基板1を中心としてその回りを垂直方向にX線発生器211を回転させ、垂直に走査する方法と、プリント基板1の中心に対して、斜め方向からX線を照射するようにX線発生器211を回転させる方法のいずれであってもよい。
【0050】
特に、断層判定部18として、図8のように、プリント基板1を中心としてその回りを垂直方向にX線発生器211を回転させ、垂直に走査する方法は、X線発生器211を回転させる軌道によってプリント基板1の寸法が特定されるので、大型化の必要のない場合に使用される。これに対して、斜め方向からX線を照射するようにX線発生器211を回転させる方法では、撮影結果に虚像が生じるものの、コンベア等の下の位置でX線発生器を回転させ、コンベア等の上の位置にX線検出器212を設定すればよいから、プリント基板1の寸法の影響を無視することができる。
【0051】
更に、具体的に説明すると、図8はプリント基板1に回転中心があり、対向するX線発生器211とX線検出器212は、当該回転中心を軸に360度回転する。回転による走査は、スパイラル方式であっても、スライス方式であってもよい。何れにせよ、所定の位置で検証用断層画像が確認できればよい。図示から分かるように、対向するX線発生器211とX線検出器212は、プリント基板1の中心を軸として回転するから、大きなプリント基板1を走査するには、回転軌跡の径を大きくする必要があり、結果、装置が大型化せざるを得なくなる。
【0052】
一方、図9はプリント基板1に回転中心を持たず、プリント基板1に垂直の中心軸の周りに所定の角度で、対向するX線発生器211とX線検出器212を設定し、当該回転軸の周りに360度回転する。図示から分かるように、対向するX線発生器211とX線検出器212は、その中心軸を中心に回転するから、大きなプリント基板1であっても独立して対向するX線発生器211とX線検出器212が回転すればよいから、小型化が可能である。また、一方向に部分的に検査したものを往復させることにより、全面の走査を行うこともできる。
【0053】
この断層判定部18では、コンピュータ断層撮影によって検証用3次元画像としてプリント基板1の印刷回路1a,1bにフィレットタイプのはんだ付け部が露出する実装部品5、また、印刷回路1b(図10、図22、図23参照)にBGA等のフィレットレスタイプのはんだ付け部が露出しない実装部品7をはんだ付けした状態が出力される。例えば、はんだバンプ4は、図10(a)に示すように、検証用3次元画像(立体画像)として抽出することができる。
通常では、図10(a)に示すはんだバンプ4のように、3次元画像として用いるのではなく、図10(b)に示すようにプリント基板1の平面に対して平行にX軸方向走査またはY軸方向走査し、図10(c)に示すはんだバンプ4の垂直断面の状態の検証用2次元画像を得る。
【0054】
図10(c)に示すように、はんだバンプ4の2次元の検証用断層画像を見ると、図10(c)の図Aでは、プリント基板1の印刷回路1bとBGA等の実装部品7の電極7aとの間のはんだバンプ4がビヤ樽状に変形していて、両面が良好に接合していることが分かる。それに対して、図10(c)の図Bでは、プリント基板1の印刷回路1bとBGA等の実装部品7の電極7aとの間のはんだバンプ4がビヤ樽状に変形しておらず、その接合断面積が小さくなっていて、両面が良好に接合していないことが分かる。この状態では、電気的特性にはあまり影響ないが、印刷回路1bのはんだバンプ4による濡れ性がよくないことに起因して、はんだ付け不良(NG)の要因となる。したがって、図10(c)の図Bの状態で、その要因を解析し、はんだの濡れ性や、リフロー部16におけるリフロー炉の温度、炉内の温度分布をよくする措置が必要となる。また、数個のみがこの状態であればよいが、多いときには、機械的接合強度に問題が生ずるので、不良(NG)とする必要がでてくる。
【0055】
そして、図10(c)の図Cでは、プリント基板1の印刷回路1bとBGA等のフィレットレスタイプの実装部品7の電極7aとの間のはんだバンプ4が、ビヤ樽状に変形しておらず、特に、印刷回路1b側のはんだバンプ4が球面を維持している。その接合断側に隙間が存在することから、電気的に接合していないことが分かる。このような状態は、はんだ付け不良となる。この要因が、印刷回路1bのはんだバンプ4による濡れ性がよくないことに起因して、はんだ付け不良となっているのか、それとも、温度管理或いははんだ付け不良付近の熱容量の問題か否かを追及する必要がある。
【0056】
何れにせよ、図10(c)の図Cでは、プリント基板1の印刷回路1bとBGA等のフィレットレスタイプの実装部品7の電極7aとの間のはんだバンプ4が、その印刷回路1b側の接合断側に隙間が存在することから、機械的接続不良であることが分かる。勿論、プリント基板1の印刷回路1bとBGA等の実装部品7の電極7aとの間のはんだバンプ4の接触により、導通が確認される場合もあるが、図10(c)の図Cの状態では、使用中に接触不良が発生するから、機械的接続不良として処理する必要がある。
なお、ここで図10(c)の図B及び図Cの太線の破線は、異常が存在する場合に、その異常個所を示すマーカPである。本実施の形態では赤色に色彩が近づくほど異状の程度が高くなっている。
【0057】
また、図11はフィレットタイプのはんだ付け部が露出する実装部品5のはんだ付け部6において冷却の際にクラックが入った事例である。クラック6eははんだ付け外表面に現れているから、外観判定部17でも発見できるが、クラック6fははんだ付け外表面に現れていないから、外観判定部17によって発見できない。しかし、断層判定部18では、その断層画像によって明らかにすることができる。なお、ここで図11の6e、6fの太線の破線は、異常が存在する場合に、その異常個所を示すマーカPである。
この断層判定部18で撮像され、作成された検証用画像は、異常個所を示すマーカPを含む検査結果の情報と共に異常解析判別制御部31及びプリント基板成績記録部32に格納される。
【0058】
電気的判定部19は、プリント基板1に取り付けた図示しないコネクタに電気的及び機械的に接続し、導通試験及び/または電気的特性試験を行うものである。本実施の形態では、プリント基板1に取り付けた図示しないコネクタの利用で説明するが、針端子によってプリント基板1の印刷回路1a,1bの特定回路位置とすることもできる。
この電気的判定部19は機械的接続不良を検出できなくても、所定の電気的特性が得られないときに排出部21に排出し、実装部品の再利用側に搬送または廃棄側に搬送するものである。
【0059】
基板分割部23は、本実施の形態においては、プリント基板1を2枚取りで作成しているからその分割工程として設けているが、本発明を実施する要件とは直接関係がない。複数枚取りをする場合には、ここで該当する枚数に切断を行うものである。
なお、基板分割部23よりも前の工程で、2枚取りのプリント基板1の1枚が不良(NG)と判断されたときには、それを記憶していて、基板分割部23で切断後、その不良(NG)のプリント基板1を排出部21に搬送させる。
【0060】
排出部21は、プリント基板1と、そこに搭載された電気・電子部品等の利用可能な実装部品に区別し、外観判定部17及び断層判定部18で程度の高い不良(NG)の判断がなされたものは、廃棄側に搬送して分解し、良好(OK)な実装部品のみを活用する。断層判定部18で図11のようにクラックが入ったものは、再加熱によってクラックをなくすこと、或いは図10(c)の図Cの状態で、しかも、クリームはんだ判定部13からの印刷状態または塗布状態が良好(OK)と判断されているときにも、再加熱によって接合する可能性があるので、そのまま再利用する処理でも対応可能である。
【0061】
プリント基板製造ライン制御部30は、パーソナルコンピュータからなり、図示しないが、その周辺機器も接続されている。プリント基板製造ライン制御部30は、プリント基板製造ラインのはんだ付け制御を行うもので、プリント基板1の供給から電気的判定、基板分割を行うまでの過程において、プリント基板1に電気部品、電子部品を搭載する工程、はんだ付けを行う工程、はんだ付けの前後の工程等の各工程の制御、各工程間の搬送制御を行う。
なお、このプリント基板製造ライン制御部30は、各工程を連続制御するものであるが、各工程を独立したプログラムで制御することもできる。
【0062】
異常解析判別制御部31は、パーソナルコンピュータからなり、図示しないが、その周辺機器も接続されている。サーバー及びその周辺機器からなるプリント基板成績記録部32と電気的に接続されていて、各プリント基板1の記録は、製品番号によってクリームはんだ判定部13、外観判定部17及び断層判定部18の結果と共にプリント基板成績記録部32に格納される。
また、異常解析判別制御部31は、クリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18からの判定結果を受けて、プリント基板1のはんだ付けの問題になる致命的な事項については、無駄な工程を経ることなく、再利用側または廃棄側に搬送すべく、プリント基板1の搬送方向を変更している。
【0063】
即ち、異常解析判別制御部31は、クリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18から判定結果の情報、例えば、異常である割合情報、単に異常正常の結果等を受理し、その結果によって、異常解析判別制御部31がクリームはんだ判定部13で実装部品5をはんだ付けするプリント基板製造ラインから外すか、否かを順次検討し、手直し不可能なものに限り、以降の処理を行うことなく廃棄側に搬送する。
【0064】
殊に、本実施の形態では、断層判定部18でのみX線を使用して検査しているので、クリームはんだ判定部13または外観判定部17で不良(NG)として排出されたプリント基板1及び搭載する電子部品等の実装部品は、X線で被爆されていないので、仮に、実装部品にX線照射によって劣化が進行するという特性があったとしても、断層判定部18よりも前に、不良(NG)と判断されたときの実装部品の寿命を短くすることがない。
【0065】
また、断層判定部18からの判定結果と、それまでの過程における判定状況を見て、クリームはんだ判定部13及び/または外観判定部17の不良の発生確率を割合で表した判定基準を変更し、歩留まりのよいプリント基板製造ラインとすることができ、生産性を高めることができる。特に、プリント基板製造ラインの稼動初期には、人為的に推定される判定基準であるが、運転による異常解析の学習によって最適な判定基準を設定できる。
【0066】
次に、本実施の形態のプリント基板製造ラインの制御部30による全体のプログラム制御について説明する。
図12及び図13は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のプリント基板製造ラインを制御するメインプログラムのフローチャートである。このプリント基板製造ラインを制御するフローチャートは、説明の理解し易さから、全体のプリント基板製造ラインの全工程をワークが連続的に移動する前提で説明するが、本発明を実施する場合には、同時に複数のワークが投入されることを前提に、各工程が並列して独立制御されるように設定される。
【0067】
プリント基板供給部11にプリント基板1が図示しないワークに搭載されて搬入されると、ステップS1でそれを検出する。ステップS2で搬入された印刷回路1a,1bを形成したプリント基板1は、1ワークのプリント基板1で2枚取りするものであるから、その製造番号(Serial number)は○○−○○○○Aと○○−○○○○Bとして下1桁のA、Bの符号によって区分けしている。なお、複数枚取りする場合には、同様にアルファベットが付与され、複数枚取りしない場合には、製造番号は○○−○○○○となる。勿論、2枚取りする場合でも、製造番号として連続番号を付し、何れの側を偶数または奇数として特定してもよい。この製造番号はプリント基板1に直接印刷されているか、またはシールが張られており、それによって表現されている。
なお、ステップS1でプリント基板1の搬入が検出されない限り、このルーチンの処理が開始されない。
【0068】
ステップS2で製造番号の読み取りが行われ、ステップS3でプリント基板1の位置がクリームはんだ60の印刷または塗布位置に移動したことが確認されると、ステップS4で当該製造番号のプリント基板1に対し、プリント基板1の印刷回路1a,1bにクリームはんだ60の印刷または塗布を行う。本実施の形態では、特定のマスクを使用してスクリーン印刷で印刷回路1a,1bの表面にクリームはんだ60を印刷(塗布)する。その印刷または塗布の完了により、ステップS5で「クリームはんだ判定ルーチン」をコールし、後述する「クリームはんだ判定ルーチン」を実行する。
【0069】
ステップS6でプリント基板1の位置がはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7の搭載を行う位置であるか判断し、プリント基板1の位置が実装部品5,7の搭載を行う位置に到来したとき、プリント基板1の印刷回路1a,1bに対して、ステップS7で実装部品5,7の搭載を行う。
ステップS8で部品搭載部15における実装部品5,7とプリント基板1の印刷回路1a,1bをクリームはんだ60ではんだ付けする工程の終了が判断されるまでステップS8に留まり、ステップS8でクリームはんだ60の上にはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7の搭載が完了したと判断されたとき、ステップS9で搭載した実装部品5,7のはんだ付け処理に入る。
【0070】
ステップS9のリフローでは、はんだ付けする所定の温度の窒素雰囲気中のリフロー炉内に搬送されたワークに搭載されたプリント基板1は、所定の印刷回路1a,1bに対応してはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7が搭載されているから、はんだ付けされる。ステップS9のリフロー部16によるはんだ付けは、ステップS10でその終了、即ち、リフロー炉の通過によって検出され、それによってリフロー部16によるはんだ付けが終了となる。
【0071】
ステップS10では、リフロー炉内の所定温度のはんだ付けする窒素雰囲気中で、図6に示すようにはんだ付けされ、プリント基板1の印刷回路1a,1bに対するはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7のはんだ付けを完了する。はんだ付けを完了したプリント基板1は外観判定部17に搬送される。
【0072】
ステップS11で外観判定部17の外観検査位置にプリント基板1が搬送されると、ステップS12で外観判定部17における外観検査を行う「外観判定ルーチン」がコールされ、また、外観検査を行うルーチンが終了し、ステップS13で断層検査位置にプリント基板1が搬送されると、ステップS14で断層判定部18における断層検査を行う「断層判定ルーチン」がコールされ、そして、ステップS15で電気的検査位置にプリント基板1が搬送されると、ステップS16で電気的判定部22における電気的検査を行う「電気的判定ルーチン」がコールされる。
【0073】
全ての検査を終えたら、ステップS17でプリント基板1を2分割する分割作業位置であるかを判断し、ステップS18でワークに搭載されたプリント基板1の分割を行う。
この様にして、本実施の形態のプリント基板製造ライン制御部30によるプログラム制御により、各部が動作する。
【0074】
次に、本実施の形態のプリント基板製造ラインのクリームはんだ判定部13のプログラム制御について説明する。このプログラムは、プリント基板製造ライン制御部30の制御プログラムにおいて、ステップS5でコールされ、実行される。
図14は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置のクリームはんだ判定部を制御する「クリームはんだ判定ルーチン」のフローチャートである。
【0075】
プリント基板供給部11は、印刷回路1a,1bを形成したプリント基板1を所定のワークに搭載し供給されると、そのワークが所定の位置に移動したことが検出され、「クリームはんだ判定ルーチン」がコールされる。
まず、ステップS21で製造番号の読み取りを行う。ステップS22で当該はんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7が実装される箇所の印刷回路1a,1bの表面のクリームはんだ60の印刷パターンの読み取りを行い、それをステップS23で製造番号に対応付けたプリント基板1のクリームはんだ60の印刷または塗布状態の検証用2次元画像として格納する。この検証用画像は、ステップS24でプリント基板成績記録部32に格納される。因みに、このクリームはんだ判定部13の判定結果は、製造番号を基に設計図面と対応させたプリント基板1の印刷回路1a,1bの個々の抵抗、コンデンサ等の特定の電気部品、電子部品等の実装部品名及びそのリード線の番号、個々のICやLSIの名称、その電極番号に対して判定結果の数値情報と共に、その結果情報の良好(OK)、不良(NG)の結論も収集する。また、好ましくは、プリント基板1の全体に対するクリームはんだ60の印刷または塗布の評価も格納する。
【0076】
ステップS24では、プリント基板1のクリームはんだ60の印刷状態または塗布状態の検証用画像を基に、特定の電気部品や電子部品の名称及びリード線名、ICやLSIの名称及びそれらの電極番号を特定し、特定部分がクリームはんだ印刷または塗布されていない場合、その特定場所の名称とリード線名、電極番号と共に、クリームはんだ印刷または塗布されていないこと、そのクリームはんだ印刷または塗布の割合の記録を行う。例えば、特定部分が全体的にまたは部分的に、全体のクリームはんだ印刷または塗布が印刷面積の設計値の90%以上が閾値であるとすると、それらの数値と閾値との比較結果の良好(OK)、不良(NG)で検査結果を表現し、それをプリント基板成績記録部32に格納する。なお、ここで、全体のクリームはんだ印刷または塗布が印刷面積の設計値の90%以上とする閾値は、説明の理解し易さから設定したものである。この閾値は、回路網及びフラックス、気温等の外的要件で決定される。
【0077】
具体的判定結果は、製造番号を基に印刷回路1a,1bの個々の抵抗、コンデンサ等の特定の電気部品、電子部品党の実装部品名及びそのリード線の番号、個々のICやLSIの名称、その電極番号に対して不良(NG)の場合の判定結果の数値情報を、複数段階の色彩情報として、例えば、赤色、橙色、黄色のように異常度の高いものに赤色を使用し、その該当部品名または電極番号の該当箇所を○(丸)で囲って表示する。または、異常度の高いもの順に5角形、4角形、3角形との順で図形表示してもよい。または、同一丸印を使用しても、その丸印を利用して異常度をグラフ表示してもよい。このようにビジュアル的に確認できると、異常の確認に無駄な時間を費やすことがない。これらの情報は、異常個所の結果情報と共に、ステップS24でプリント基板成績記録部32に格納される。
【0078】
ステップS25で特定部分、即ち、特定の電気部品や電子部品の名称及びリード線名、ICやLSIの名称及びそれらの電極の各々において、当該電極が全体的にクリームはんだ印刷または塗布されていない場合には、当該電極ではんだ付け不良(NG)が発生する可能性があり、かつ、再度のクリームはんだ印刷または塗布によって修正できる可能性があるので、ステップS26で不良(NG)を出力する。そして、ステップS28で拡大鏡或いはカメラの画像を使用する目視検査を行うインライン検査ラインに入る。
ステップS25でクリームはんだ印刷または塗布に異常がないときには、ステップS27で所定の閾値以上であるか判定し、閾値に達していないとき、ステップS28でインライン検査ラインに入る。
【0079】
また、特定の電気部品や電子部品の名称及びリード線名、ICやLSIの名称及びそれらの電極が総合的にフラックス印刷されていない場合、即ち、全体のフラックス印刷が印刷面積の設計値の閾値以上でない場合には、ステップS28で拡大鏡或いはカメラの画像を使用する目視検査を行うインライン検査を行うべくインライン検査ラインを駆動する。また、ステップS27で全体のフラックス印刷が印刷面積の設計値の閾値以上のときには、ステップS33で次の工程に進めるだけの処理が完了しているとして良好(OK)出力をだし、ステップS34でワークを次の工程に移動させる。
【0080】
ステップS28で目視検査を行うインライン検査ラインに搬送されたプリント基板1は、ステップS29で拡大鏡或いはカメラ等で撮像した拡大画像等を使用して異常個所の目視検査を行い、ステップS30でその検査結果として、良好(OK)または不良(NG)をマニュアルで入力すると、当該検査結果が当該製造番号の情報として格納され、ステップS32でマニュアル入力で良好(OK)が入力されたと判定されると、ステップS33で次の工程に進めるだけの処理が完了しているとして良好(OK)をだし、ステップS34でワークを次の工程に搬送させる。
【0081】
ステップS30で不良(NG)と入力されると、ステップS31乃至ステップS32を経て、ステップS35でワークを再利用側に搬送する。なお、このワークを再利用側に搬送するとは、完全に廃棄処分を行うという意味でなく、そのままはんだ付けを行ってもはんだ付けが無駄になるので、再度、フラックス印刷または塗布を行う場合及び/またはそのときのクリームはんだ印刷または塗布を除去してクリーニングの後にクリームはんだ印刷または塗布を新たに行う場合が含まれる。当然、プリント基板1の廃棄処理も含まれる。
【0082】
次に、本実施の形態のプリント基板製造ラインの部品搭載部15のプログラム制御について説明する。このプログラムは、プリント基板製造ライン制御部30の制御プログラムにおいて、ステップS7でコールされ、実行される。
図15は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の部品搭載部を制御する「部品搭載ルーチン」のフローチャートである。
【0083】
部品搭載部15では、まず、ステップS41で製造番号の読み取りを行う。ステップS42で当該はんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7をハンドで固定し、またはノズルで吸着して固定する。ステップS43で当該搭載する実装部品7の印刷回路1a,1b上の位置を撮像し、部品搭載位置を認識する。ステップS44で認識された部品搭載位置の修正が必要であるかを、異常解析判別制御部31からの補正値の有無によって判断し、補正値が存在する場合には、ステップS45で当該補正値を修正した当該実装部品を搭載する箇所の印刷回路1a,1bの表面のクリームはんだ60の上に搭載する。また、補正値が存在しない場合には、ステップS46で当該実装部品を搭載する箇所の印刷回路1a,1bの表面のクリームはんだ60の上に搭載する。
【0084】
なお、ステップS44の補正値は、異常解析判別制御部31によって異常が解析され、はんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7の位置が、当該実装部品5,7を持つハンドまたはノズル、クリームはんだ60の粘度によって、僅かな位置の違いが生ずるのを修正するものであり、学習によっても補正値が生じない場合、予め、補正の必要がないとして補正値が不要なものがある。
【0085】
ハンドまたはノズルではんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7を移動し、当該搭載するはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7が印刷回路1a,1b上の位置に搭載されると、ステップS47でそれを撮像し、部品搭載位置を画像データとして読み取り、ステップS48でそれを製造番号に対応付けたプリント基板1の部品搭載画像として格納する。ステップS49でワークを次の工程に移動する。
なお、この「部品搭載ルーチン」は、ステップS43で搭載するはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7の印刷回路1a,1b上の位置を撮像し、実装部品搭載位置を認識するものであるから、搭載するはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7の搭載位置がこのルーチンの制御量として既知の量であるから、その結果を測定して実装部品搭載位置を確認する検査機能を省略することができる。
【0086】
部品搭載部15の後のリフロー部16は、所定温度のリフロー炉内のはんだ付けする窒素雰囲気中ではんだ付けするものであり、ワークが所定の速度でリフロー炉内を通過するものである。これらは何れも単純なワークの移動制御であり、公知であるのでその詳細な説明を省略する。
【0087】
次に、本実施の形態のプリント基板製造ラインの外観判定部17のプログラム制御について説明する。このプログラムは、プリント基板製造ライン制御部30の制御プログラムにおいて、ステップS12でコールされ、「外観判定ルーチン」が実行される。
図16は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の外観判定部を制御する「外観判定ルーチン」のフローチャートである。
【0088】
外観判定部17では、まず、ステップS51で製造番号の読み取りを行う。ステップS52乃至ステップS54で、図7に示すように、プリント基板1の当該はんだ付け部が露出する実装部品5に対して赤色光源202(R)、緑色光源203(G),青色光源204(B)の光源を順次点灯させて、それを撮像機201で撮像し、赤色光源202(R)の反射光を赤色反射域、緑色光源203(G)の反射光を緑色反射域、青色光源204(B)の反射光を青色反射域となるように平面画像の読み取りを行う。
【0089】
そして、赤色光源202(R)の反射光を赤色反射域、緑色光源203(G)の反射光を緑色反射域、青色光源204(B)の反射光を青色反射域とし、当該反射域が写っているプリント基板1の画像を基に、ステップS55で各光源の平面検証用画像を製品番号と共に格納する。
ステップS56で各光源の検証用平面画像の特定部分が全体的にはんだ付け面積を確認できないとき、反射域が確認できたとしても、当該反射域の面積が所定の閾値よりも狭いとき、反射域の割合を数値その特定場所の名称と共にはんだ付けが不完全であることの記録を行う。即ち、外観判定部17の具体的判定結果は、製造番号をアドレスとして、印刷回路1a,1bの個々の抵抗、コンデンサ等の特定の電気部品、電子部品等の部品名及びそのリード線の番号、個々のICやLSIの名称、その電極番号に対して不良(NG)の場合の判定結果の数値情報を、複数段階の色彩情報として、例えば、赤色、橙色、黄色のように異常度の高いものに赤色を使用し、その該当部品名または電極番号の該当箇所を○(丸)で囲って表示する。または、異常度の高いもの順に5角形、4角形、3角形との順で図形表示してもよい。または、同一丸印を使用しても、その丸印を利用して異常度をグラフ表示してもよい。
【0090】
ステップS57で特定の赤色光源202、緑色光源203、青色光源204の反射域が写っているプリント基板1の検証用画像に、特定部分のはんだ付け面積が全体的に確認できないとき、或いは少なすぎるとき、部分的な異常があると判断し、ステップS58で不良(NG)として出力し、ステップS59でプリント基板1を排出部21にワークを搬送する。排出部21では、外観判定部17で程度の高い不良(NG)の判断がなされたものは、実装部品等を再利用し、また、必要に応じて廃棄し、図11のようにクラックが入ったものは、再加熱によって接合する可能性があるので、そのまま再利用する処理を行う。
【0091】
また、ステップS60で赤色光源202、緑色光源203、青色光源204の反射域が写っているプリント基板1の検証用画像が、全体のはんだ付け平面積の設計値の閾値に対してどの程度の割合であるかを数値で比較する。具体的には、本実施の形態では85%以上であるか否かを判断する。赤色光源202、緑色光源203、青色光源204の反射域が光源の位置及びはんだ付け形状からそれぞれの色彩に応じた特性の画像データが得られるので、ステップS60の判断は、赤色光源202、緑色光源203、青色光源204のそれぞれを比較するのが望ましい。
【0092】
ステップS60で全体のはんだ付け平面積の設計値に対して閾値の85%以上と判断したとき、ステップS61で次の工程に進めるだけの処理が完了しているとして良好(OK)出力をだし、ステップS63でプリント基板1を搭載したワークを次の工程に移動させる。また、ステップS60で全体のはんだ付け平面積の設計値に対して85%以上でないと判断したとき、ステップS62で次の工程に進めるだけの処理が完了しているとして不良(NG)出力を出し、ステップS63でワークを次の工程に移動させる。
【0093】
特に、外観判定部17では、赤色光源202、緑色光源203、青色光源204の反射域の画像の特徴から、複数の情報が得られるから、ステップS60で全体のはんだ付け平面積の設計値に対して閾値の85%以上でないと判断したとき廃棄処理とすることもできる。しかし、はんだ付けが完了していることから、実装部品を再利用するとなると、はんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7のはんだ付けを外さなくてはならなくなる。そこで、本実施の形態では、外観判定部17のはんだ付け外観のみに左右されず、断層判定部18の結論によって、機械的に安定したはんだ付け状態が維持されておればよいという観点でステップS62及びステップS63を設定している。しかし、この外観判定部17の処理のウェイト付けは全体構成によって任意に設定できる。
【0094】
次に、本実施の形態のプリント基板製造ラインの断層判定部18のプログラム制御について説明する。このプログラムは、プリント基板製造ライン制御部30の制御プログラムにおいて、ステップS14でコールされる。
図17は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置を制御する断層判定部を制御する「断層判定ルーチン」のフローチャートである。
【0095】
断層判定部18では、まず、ステップS71で製造番号の読み取りを行う。ステップS72でプリント基板1及びその印刷回路1a,1bにはんだ付けした実装部品に対して放射線としてX線を用い、そのX線で走査し、ステップS73でワークに搭載されたプリント基板1及びその印刷回路1a,1bにはんだ付けした実装部品5,7の3次元画像を作成する。ステップS74で当該検証用3次元画像から、図10(a)に示すように、はんだ付け部の検証用3次元画像を作成する。
【0096】
ステップS75で製造番号に対応させてはんだ付け部の検証用3次元画像を格納する。このはんだ付け部の検証用3次元画像を格納するのは、メモリ容量を少なく済ませるものであるが、勿論、全体の検証用三次元画像をプリント基板成績記録部32(メモリ)に格納してもよい。
ステップS76ではんだ付け部の検証用3次元画像を図10(b)に示すように、水平方向のX軸方向またはY軸方向に走査して、はんだ付け部の検証用垂直断面画像を作成する。また、ステップS77で図10(c)及び図11に示すように、はんだ付け部の検証用垂直断面画像を得て、それを格納する。
なお、本実施例では、ステップS75で製造番号に対応させてはんだ付け部の検証用3次元画像を格納し、ステップS77ではんだ付け部の検証用垂直断面画像を格納しているが、本発明を実施する場合には、メモリ容量との関係で、最終に残す情報として製造番号に対応させてはんだ付け部の検証用3次元画像またははんだ付け部の検証用垂直断面画像の何れかであればよい。
【0097】
ステップS78ではんだ付け部の検証用3次元画像及びはんだ付け部の検証用2次元画像である検証用垂直断面画像を基に、各検証用断層画像の断面形状が設計値とどれだけ相違しているかを算出し、また、ステップS79で各検証用断層画像の断面形状にクラックの有無及びどの程度の寸法であるかを算出し、それを格納する。
具体的判定結果は、製造番号を基に印刷回路1a,1bの個々の抵抗、コンデンサ等の特定の電気部品、電子部品等の実装部品名及びそのリード線の番号、個々のICやLSIの名称、その電極番号に対してそのはんだ付け部の状態が、各検証用断層画像と共に不良(NG)の場合の判定結果の数値情報を、複数段階の色彩情報として、例えば、赤色、橙色、黄色のように異常度の高いものに赤色をマーカPを使用し、その該当実装部品名または電極番号の該当箇所を○(丸)で囲って表示する。または、異常度の高いもの順に5角形、4角形、3角形との順で図形表示してもよい。または、同一丸印を使用しても、その丸印を利用して異常度をグラフ表示してもよい。
【0098】
これらの情報は、異常個所の結果情報、検証用画像と共に、ステップS79でプリント基板成績記録部32に格納される。
ステップS80ではんだ付け部の2次元画像である垂直断面形状の異常の判断により、断面形状の異常が確認されたとき、また、ステップS81で各検証用断層画像の断面形状にクラックが存在する場合には許容値内の小寸法のクラックであるかを確認判断する。
【0099】
ステップS80ではんだ付け部の垂直断面形状の異常がなく、また、ステップS81で各検証用断層画像の断面形状にクラックがないか、クラックが存在しても微小なときには、ステップS82で良好(OK)出力をだし、ステップS83でワークを次の工程に移動させる。そして、ステップS80ではんだ付け部の垂直断面形状に異常が存在するか、または、ステップS81で各検証用断層画像の断面形状にクラックが存在しているときには、ステップS84で不良(NG)出力をだし、ステップS85でワークを排出部21側に移動させる。
【0100】
次に、本実施の形態のプリント基板製造ラインの異常解析判別制御部31によるプログラム制御について説明する。
図18は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の異常解析判別制御部31を制御する「情報収集及び処理結果確認ルーチン」のフローチャートである。
この異常解析判別制御部31を制御する「情報収集及び処理結果確認ルーチン」は、クリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18の情報収集を行うために常に動作している。
【0101】
ステップS91で検査結果をまとめる基準となるプリント基板1の製造番号の読み取りを行う。ステップS92で所定のタイミング毎で、製造番号を基に、フラックス判定部13及び外観判定部17及び断層判定部18から判定結果の情報を収集する。また、必要に応じて電気的判定部22から判定結果の情報を入力する。因みに、クリームはんだ判定部13の判定結果の情報をPF、外観判定部17の判定結果の情報をSD及び断層判定部18の判定結果の情報をXDとする。
【0102】
このクリームはんだ判定部13及び外観判定部17及び断層判定部18の判定結果は、設計図面と対応させたプリント基板1の印刷回路1a,1bの個々の抵抗、コンデンサ等の特定の電気部品、電子部品等の実装部品名及びそのリード線の番号、個々のICやLSIの名称、その電極番号に対して判定結果の数値情報と共に、その結果情報の良好(OK)、不良(NG)の結論も検証用画像も収集する。また、好ましくは、プリント基板1の全体に対する評価も収集する。これらは、プリント基板1の製造番号をアドレスとする記憶領域に格納される。通常、プリント基板1の製造番号をアドレスとし、クリームはんだ判定部13の判定結果の情報PF、外観判定部17の判定結果の情報SD、断層判定部18の判定結果の情報XDのマップを形成し、そこに格納される。
【0103】
ステップS93で2枚取りするプリント基板1の両製造番号とも不良(NG)で有るか否かを判断し、両者とも不良(NG)の場合には、ステップS96でプリント基板1を分割することなく廃棄するために排出部21に廃棄搬送許可を出力する。また、2枚取りするプリント基板1の一方の製造番号の箇所のみが不良(NG)の場合には、ステップS94でプリント基板1を分割し、ステップS95で不良(NG)側のプリント基板1を廃棄するために、排出部21に廃棄搬送許可を出力する。
ステップS97でプリント基板1の全検査で異常なしの場合、即ち、両者が良好(OK)のとき、ステップS98でそのまま次の工程にプリント基板1を搬送する許可を出す。ステップS97でプリント基板1の全検査で異常なしとならず、良好(OK)とも不良(NG)とも決定されないものは、ステップS99で排出部21に搬送されるのを許可する。そして、それらの検査結果情報は、ステップS100で異常解析判別制御部31の記録回路(メモリ)に格納され、このルーチンの処理を終える。
【0104】
なお、ステップS99で排出部21に搬送されたプリント基板1は、プリント基板1とそこに搭載する電気・電子部品との利用可能実装部品を区別し、外観判定部17及び断層判定部18で程度の高い不良(NG)の判断がなされたものは、廃棄として分解し、実装部品5,7を活用する。断層判定部18で図11のようにクラックが入ったものは、再加熱によってクラックをなくすこと、或いは図10(c)の図Cの状態で、しかも、フラックス判定部13からのフラックス塗布状態が良好(OK)と判断されているときにも、再加熱によって接合する可能性があるので、そのまま再利用する処理を行うように振り分けられる。
【0105】
必要に応じて電気的判定部22から判定結果の情報を入力している場合も、結果は同様に扱うことができる。勿論、クリームはんだ判定部13及び外観判定部17及び断層判定部18からの機械的接続のみの結果として処理することもできる。しかし、電気的な検査は、製造商品の検査となり、プリント基板製造ラインの機械的接続の問題ではなくなるから、電気的判定部19からの判定結果を別に対応させることもできる。
この異常解析判別制御部31を制御するルーチンでは、クリームはんだ判定部13の判定結果の情報PF、外観判定部17の判定結果の情報SD、断層判定部18の判定結果の情報XDをマップに格納し、その得られた総合的情報により、プリント基板の2枚取りの許可、排出部21に搬送された不良品の最終処理を決定している。
【0106】
次に、本実施の形態のプリント基板製造ラインの異常解析判別制御部31のプログラム制御において、所定個数のプリント基板1の製造毎、所定の時間毎、または所定の枚数の異常が連続したときに、この「異常解析ルーチン」がコールされ、実行される。
図19は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の異常解析制御をする「異常解析ルーチン」のフローチャートである。
【0107】
ステップS111で、クリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18からの判定結果に不良(NG)の出力が出ていないか否かを判定し、クリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18の何れかの1箇所以上から異常が存在することを意味する不良(NG)が出力されているか判断する。ステップS112で異常が発生しないようにマニュアルで対応するとき、ステップS113で「マニュアル修正ルーチン」をコールし、処理を終了する。
【0108】
ステップS112で異常が発生しないようにマニュアルで対応する選択がなされていないとき、ステップS114でクリームはんだ判定部13の異常であるか、ステップS118で外観判定部17の異常であるか、ステップS114で断層判定部18の異常であるかを判定する。
まず、ステップS114でクリームはんだ60の印刷または塗布の異常であるか判断し、クリームはんだ60の印刷または塗布等の処理の異常であると判断したときには、ステップS115でクリームはんだ60の印刷または塗布の条件を変更する。このクリームはんだ60の印刷または塗布条件の変更は、塗布面積の拡大または縮小の調整、塗布面積の塗布膜厚の調整、クリームはんだ60の粘土の調整等をその異常現象の内容に対応してマップ制御により変化させる。その変更状態で、ステップS116で試験的に20枚以上のプリント基板1を製造する。そして、ステップS117でクリームはんだ60の印刷または塗布の異常が解消したかを判断し、ステップS117でクリームはんだ60の印刷または塗布異常が解消したと判断したとき、ステップS118の処理に入る。しかし、フクリームはんだ60の印刷または塗布異常が解消していないとき、ステップS115からステップS117のルーチンを繰り返し実行する。
【0109】
ステップS118で外観判定部17から異常が出ているか判断し、はんだ付け部の外観の異常であると判断したときには、ステップS119ではんだ付け条件を変更する。このはんだ付け条件の変更は、リフロー炉の内部温度の調整、リフロー炉の内部温度分布の調整、リフロー炉のはんだ付け時間調整等をその異常現象の内容に対応してマップ制御により変化させる。その変更状態で、ステップS120で試験的に20枚以上のプリント基板1を製造する。そして、ステップS121ではんだ付け部の外観の異常が解消したかを判断し、ステップS121で外観異常が解消したと判断したとき、ステップS122の処理に入る。しかし、外観異常が解消していないとき、ステップS118からステップS121のルーチンを繰り返し実行する。
【0110】
ステップS122で断層判定部18から異常が出ているか判断し、はんだ付け部の断層の異常であると判断したときには、ステップS123ではんだ付け条件を変更する。このはんだ付け条件の変更は、リフロー炉の内部温度の調整、リフロー炉の内部温度分布の調整、リフロー炉のはんだ付け時間調整等、その異常現象の内容に対応してマップ制御により変化させる。その変更状態で、ステップS124で試験的に20枚以上のプリント基板1を製造する。そして、ステップS125ではんだ付け部の断層異常が解消したかを判断し、ステップS125で断層異常が解消したと判断したとき、このルーチンを脱する。しかし、断層異常が解消していないとき、ステップS122からステップS125のルーチンを繰り返し実行する。
【0111】
前述の本実施の形態のプリント基板製造ラインの異常解析判別制御部31の「異常解析ルーチン」のプログラム制御において、異常を確認し、マニュアルで修正する場合について説明する。このプログラムは、異常解析判別制御部31において、「マニュアル修正ルーチン」がコールされ、実行される。本発明を実施する場合には、異常解析判別制御部31に所定の製造番号を入力することにより、この「マニュアル修正ルーチン」に入ることができる。
図20は本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置の過去の製造番号の検査内容の確認及びマニュアルで異常の要因を修正する制御の「マニュアル修正ルーチン」のフローチャートである。
【0112】
ステップS131で、過去の製造番号の検査内容の確認及びマニュアルで異常の発生した要因に対応して条件を変更する場合に製造番号を入力すると、ステップS132で当該製造番号に基づき格納されているクリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18からの検査情報及び判定結果を読み出し、ステップS133でプリント基板成績記録回路32から呼び出したクリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18の判定結果に不良(NG)の出力が出ていないか否かを判定し、何れでも1箇所以上から異常の存在を意味する不良(NG)が出力されていると判断すると、ステップS134でその中から異常の程度の高い不良(NG)箇所を表示する。例えば、図11に示すように、マーカPを使用して表示する。ステップS135で次候補の表示要求が出るまでその表示を継続する。ステップS135で次候補の表示要求があると、ステップS136で当該画像を読み込み、ステップS134で次の異常個所の表示とする。
【0113】
また、ステップS137において、マニュアルでマップ修正を行うキー入力を行うと、ステップS138でクリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18からの検査情報に基づいて当該クリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18で異常として判断された要因を追及するための修正条件を格納したマップを修正し、ステップS139で修正完了を入力することにより、マニュアルで行うマップの修正ルーチンを終了する。
【0114】
一方、ステップS133でプリント基板成績記録部32から呼び出したクリームはんだ判定部13、外観判定部17、断層判定部18の判定結果に不良(NG)の出力が出ていないか否かを判定し、何れからも異常の存在が確認できないとき、ステップS140で各検査情報を表示し、ステップS141でその情報から表示内容の画像を選択すると、ステップS142で該当画像を表示し、ステップS143で次候補の画像を選択され必要に応じてステップS144で該当する画像を読み取り、全ての画像を確認することができる。ステップS145で終了が選択されることによって、この確認ルーチンを終了する。
【0115】
以上のように、本実施の形態のプリント基板の検査装置は、クリームはんだ印刷部12を用いた形態として、絶縁基板1c及び絶縁基板1cに形成した印刷回路1a,1bを有するプリント基板1にクリームはんだ60を印刷または塗布し、その印刷または塗布された印刷回路1a,1bに対するクリームはんだ60の印刷または塗布状態を判定する「クリームはんだ判定ルーチン」からなるクリームはんだ判定部13と、プリント基板1の印刷回路1a,1bと実装部品5,7との間のはんだ付け状態の外観を観察し、はんだ付け状態を判定する「外観判定ルーチン」からなる外観判定部17と、はんだ付けを完了したプリント基板1の外部からX線を照射して走査し、はんだ付け部の内部画像を作成するコンピュータ断層撮影をし、はんだ付け状態を判定する「断層判定ルーチン」からなる断層判定部18を具備している。そして、異常解析判別制御部31でプリント基板成績記録部32に格納したクリームはんだ判定部13及び外観判定部17及び断層判定部18の判断結果によって、実装部品5,7を搭載するプリント基板1の機械的接続不良を「クリームはんだ判定ルーチン」、「外観判定ルーチン」、「断層判定ルーチン」等で検出すると共に、その要因を「異常解析ルーチン」で解析自在と構成したものである。
ここでは、実装部品5,7をはんだ付けする前処理としてクリームはんだ印刷部12を有している。しかし、本発明を実施する場合には、フラックス印刷部23に置き換えることもできる。
【0116】
[実施の形態2]
即ち、図21は本発明の実施の形態2のプリント基板の検査装置の全体構成図である。また、図22は本発明の実施の形態2のプリント基板の検査装置の実装部品搭載の説明図、図23は本発明の実施の形態2のプリント基板の検査装置のはんだ付け後の説明図である。
本実施の形態2では、特に、図1の本発明の実施の形態1のプリント基板の検査装置との相違点のみ説明する。
【0117】
フラックス印刷部22は、プリント基板1の印刷回路1a,1bにはんだの濡れ性を向上させるフラックス3の塗布を行うものであり、特定のマスクを置き、スクリーン印刷で印刷回路1a,1bの表面にフラックス3を印刷または塗布する。勿論、噴霧等で印刷回路1a,1bの表面の全体に塗布してもよい。なお、フラックス印刷部22は、鉛フリーのはんだのようにフラックスを使用しないものでは省略される。しかし、本実施の形態ではフラックス3を使用する前提で説明する。換言すれば、この実施の形態のフラックス印刷部22の形態は、本発明を実施する場合には、種々の形態が可能になることを意味し、前述のクリームはんだ印刷部13に置き換えることもできる。また、クリームはんだ印刷部13を先の工程とし、フラックス印刷部22を後の工程とすることもできる。
【0118】
フラックス判定部13は、プリント基板1の印刷回路1a,1bの回路パターン認識と、その回路パターン認識に対してフラックス3の塗布状態とを比較判断するもので、図22にその事例を説明する。
図22の印刷回路1a,1bは、電極(印刷回路1a,1bの一部)であり図示の上下の電極にIC、LSI等のはんだ付け部が露出しない実装部品7としての電子部品を搭載するものである。フラックス3ははんだ付け箇所の印刷回路1a,1bの電極に塗布することになる。しかし、印刷回路1a,1bの1個の電極面とそこに塗布されたフラックス3の面は、仮に1個の電極面の95%以上が有効にはんだ付けできるものであれば、その閾値が95%となり、95%以上がはんだ付け良好(OK)となる。即ち、フラックス判定部13では個々の電極面の閾値95%以上が良好(OK)と判定され、閾値95%未満で不良(NG)と判定される。また、フラックス判定部23では、特定の電極のみにフラックス3が塗布されていない場合には、当該電極にはんだ付け不良が発生する確率が高いから、この場合には不良(NG)と判断される。
【0119】
仮に、印刷回路1a,1bの全面とそこに塗布されたフラックス3の面積は、印刷回路1a,1bの電極に対して96%が塗布されており、それが良好(OK)の閾値以上であるとすれば、フラックス判定部23は、具体的数値で95%以上の値(96%)と良好(OK)の結論が出力される。勿論、80%が不良(NG)であるとすれば、フラックス判定部23は、具体的数値で80%、不良(NG)と出力される。
なお、通常、印刷回路1a,1bの全面よりも塗布されたフラックス3の面が広くなるように設定されているから、普通、閾値は90%以上となる。また、この閾値は回路網、印刷回路1a,1bの材質によって変化する値であるから、本実施の形態の説明で説明する数値は概念的数値である。
【0120】
具体的には、このフラックス判定部23の判定結果は、特定の電気部品、電子部品のリード、ICやLSIの電極とプリント基板1の印刷回路1a,1bとの間のはんだ付けを前提に、該当する箇所にフラックスが塗布されているか否かを判断する。その判断結果は、設計図面と対応させたプリント基板1の印刷回路1a,1bの個々の抵抗、コンデンサ等のリード線の番号、個々のICやLSIの電極番号に対して判定結果の数値情報と、その良好(OK)、不良(NG)としての結論をだす。また、好ましくは、プリント基板1の全体に対するフラックス3の塗布量も算出する。
【0121】
また、フラックス判定部23は、前述した図4のように構成されている。
プリント基板1の印刷回路1a,1bには、はんだ付けの濡れ性を向上させるフラックス3が塗布されている。プリント基板1の印刷回路1a,1b及びフラックス3は、所定の色彩をフラックス3に付与できるように、特定の色彩の照明光を照射する光源131を有している。因みに、印刷回路1a,1bは銅、黄銅光沢があるので、フラックス3として緑色不透明のものを使用し、光沢が減少することにより塗布状態が確認できるようにしている。撮像機132は、CCDカメラであり、プリント基板1の印刷回路1a,1b及びフラックス3を撮影している。この撮像機132で撮像した検証用画像は、この判断結果を出すだけではなく、検査結果の情報と共に異常解析判別制御部31及びプリント基板成績記録部32に格納される。
【0122】
通常、フラックス判定部23では、印刷回路1a,1bの全面よりも塗布されたフラックス3の面積が広くなるように設定されており、プリント基板1の80%以上の塗布面状態が良好(OK)で、それを下回った場合には不良(NG)と、良否の判定基準が設定されている。また、端子単独の塗布面では、その閾値以上の塗布状態が良好(OK)で、それを下回った場合には不良(NG)と、良否の判定基準が設定されている。フラックス判定部23で検査の結果、閾値未満の塗布状態であれば、インライン目視検査部14に入る。
なお、このインライン目視検査部14は、プリント基板製造ラインの初期に使用し、はんだ付けの効率化のために不良(NG)原因を探るものであるが、通常運転では、殆ど使用されなくなる。
【0123】
実施の形態2においては、実施の形態1の実装部品5,7をはんだ付けする前処理としてクリームはんだ印刷部12を、フラックス印刷部23に置き換え、また、フラックス判定部23は、クリームはんだ印刷部12の印刷結果を検査するクリームはんだ判定部13に置き換えたものである。
したがって、絶縁基板1c及び絶縁基板1cに形成した印刷回路1bを有するプリント基板1にフラックス3を印刷または塗布し、フラックス3が印刷または塗布された印刷回路1bに対するフラックス状態を判定する実施の形態1の「クリームはんだ判定ルーチン」と同様の処理(ステップS27がフラックスの面積閾値以上の判断)を行うルーチンからなるフラックス判定部23と、プリント基板1の印刷回路1bとはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7との間のはんだ付け状態の外観を観察し、はんだ付け状態を判定する「外観判定ルーチン」からなる外観判定部17と、はんだ付けを完了したプリント基板1の外部から放射線を照射して走査し、前記はんだ付けの内部画像を作成するコンピュータ断層撮影をし、前記はんだ付け状態を判定する「断層判定ルーチン」からなる断層判定部18とを具備し、フラックス判定部23及び外観判定部17及び断層判定部18の判定結果によってはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7を実装したプリント基板1の機械的接続不良を実施の形態1の「クリームはんだ判定ルーチン」と同様な処理を行う「フラックス判定ルーチン」、「外観判定ルーチン」、「断層判定ルーチン」等で検出すると共に、その要因を「異常解析ルーチン」で解析自在と構成したものである。
【0124】
よって、本実施の形態1及び実施の形態2のプリント基板の検査装置は、プリント基板1に塗布された印刷回路1a,1bに対するクリームはんだ60またはフラックス3の印刷または塗布状態を判定するクリームはんだ判定部13またはフラックス判定部23の結果と、プリント基板1のはんだ付け部のはんだ付け状態を外観で観察して判定する外観判定部17の結果と、プリント基板1のはんだ付け部のはんだ付け状態をコンピュータ断層撮影し、はんだ付け状態を判定する断層判定部18の結果とを総合的に判断し、クリームはんだ判定部13またはフラックス判定部23及び外観判定部17及び断層判定部18の判断結果によってはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7を搭載するプリント基板1の機械的接続不良を検出すると共に、そのはんだ付け部分の機械的接続不良の要因の解析により、搬送中に致命的な機械的接続不良がでた場合には、その後の工程に搬送することなく再利用または廃棄処理し、無駄な工程を経ることなく、かつ、放射線による被曝量を少なくしたプリント基板1の検査が可能となる。
【0125】
また、異常解析判別制御部31は、プリント基板成績記録部32に格納されたクリームはんだ判定部13またはフラックス判定部23及び外観判定部17及び断層判定部18の判断結果によって、実装部品5,7を搭載するプリント基板1の実装部品5,7の搭載からはんだ付けの経過の情報が得られるから、機械的接続不良の要因が特定でき、それらの判断基準の修正、加工条件の修正により、機械的接続不良の要因を是正して歩留まりのよいはんだ付け製造ラインが構築できる。
仮に、外観上のはんだ付けが良好であっても、はんだ付け部分にクラック6e,6fが入っている場合もある。このような場合には、機械的振動、熱的変化の繰り返しによって、はんだ付け部分の機械的接続不良が生ずる可能性がある。しかし、クリームはんだ判定部13またはフラックス判定部23の結果及び外観判定部17の結果を参照する断層判定部18の結果によって、当該プリント基板1の再利用または実装部品5,7を分離して廃棄処理することができ、かつ、出荷する実装部品5,7を実装しているプリント基板1の信頼性を高くすることができる。
【0126】
[実施の形態3]
即ち、図24は本発明の実施の形態4のプリント基板の検査装置の全体構成図である。本実施の形態3では、特に、図1の本発明の実施の形態1及び実施の形態2のプリント基板の検査装置との相違点のみ説明する。
本実施の形態では、本発明の実施の形態1のクリームはんだ60を用いた工程の後に、実施の形態2のフラックス3を用いた工程を一工程中に入れたものである。
【0127】
即ち、プリント基板供給部11、クリームはんだ印刷部12、クリームはんだ判定部13、部品搭載部(第一部品搭載部)15、リフロー部(第一リフロー部)16の順で各工程を処理し、その後、外観判定部17と断層判定部18に導かれるものであるが、本実施の形態では、クリームはんだ印刷部12、クリームはんだ判定部13、第一部品搭載部(部品搭載部)15、第一リフロー部(リフロー部)16の順でクリームはんだによるはんだ付けを行い、次いで、フラックス印刷部22、フラックス判定部23、第二部品搭載部25、第二リフロー部26でフラックス3を用いたはんだ付けを行うものである。
なお、インライン目視検査部24は、インライン目視検査部14と実質的に同一機能である。
【0128】
特に、本実施の形態3では、別の工程で行ってきた実施の形態1のクリームはんだを用いたはんだ付けと、実施の形態2のフラックス3を用いたはんだ付けとを単一の工程で行うものである。例えば、プリント基板1の両面にはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7を搭載する場合、先行の片面と後の片面ではんだの種類を変えることができる。
勿論、プリント基板1の両面にはんだ付け部が露出する実装部品5及び/またははんだ付け部の露出しない実装部品7を搭載する場合でも、表裏の2工程を同一クリームはんだを用いたはんだ付け、またはフラックス3を用いたはんだ付けとすることもできる。この場合には、クリームはんだ印刷部12及びクリームはんだ判定部13、またはフラックス印刷部22及びフラックス判定部23が2回繰り返して行われることになる。
【0129】
本実施の形態3のプリント基板の検査装置は、クリームはんだ印刷部12を用いた形態として、絶縁基板1c及び絶縁基板1cに形成した印刷回路1a,1bを有するプリント基板1にクリームはんだ60を印刷または塗布し、その印刷または塗布された印刷回路1a,1bに対するクリームはんだ60の印刷または塗布状態を判定する「クリームはんだ判定ルーチン」からなるクリームはんだ判定部13と、前記プリント基板1にフラックス3を印刷または塗布し、フラックス3が印刷または塗布された印刷回路1a,1bに対するフラックス状態を判定する実施の形態1の「クリームはんだ判定ルーチン」と同様な処理を行うルーチンからなるフラックス判定部23と、プリント基板1の印刷回路1a,1bと実装部品5,7との間のはんだ付け状態の外観を観察し、はんだ付け状態を判定する「外観判定ルーチン」からなる外観判定部17と、はんだ付けを完了したプリント基板1の外部からX線を照射して走査し、はんだ付け部の内部画像を作成するコンピュータ断層撮影をし、はんだ付け状態を判定する「断層判定ルーチン」からなる断層判定部18を具備している。そして、異常解析判別制御部31でプリント基板成績記録部32に格納したクリームはんだ判定部13、フラックス判定部23及び外観判定部17及び断層判定部18の判断結果によって、実装部品5,7を搭載するプリント基板1の機械的接続不良を「クリームはんだ判定ルーチン」、実施の形態1の「クリームはんだ判定ルーチン」と同様な処理を行う「フラックス判定ルーチン」、「外観判定ルーチン」、「断層判定ルーチン」等で検出すると共に、その要因を「異常解析ルーチン」で解析自在と構成したものである。
【0130】
また、本実施の形態3では、実施の形態1の効果及び実施の形態2の効果を奏するものである。
本発明を実施する場合には、実施の形態1の構成または実施の形態2の構成を採ってもよいし、それらを繰り返して行ってもよい。また、実施の形態3の構成のように、実施の形態1の構成及び実施の形態2の構成を直列に行ってもよい。
何れにせよ、本発明を実施する場合には、クリームはんだ印刷部12及びクリームはんだ判定部13、及び/または、フラックス印刷部22及びフラックス判定部23と、外観判定部17及び断層判定部18の組み合わせであれば、その間、その前後の過程を特定するものではない。
【0131】
[実施の形態4]
また、本実施の形態のプリント基板の検査装置は、絶縁基板1c及び絶縁基板1cに形成した印刷回路1a,1bを有するプリント基板1に公知のエポキシ、シリコーン、ポリイミド、ポリウレタン系樹脂をバインダとし、銀、ニッケル、カーボンなどの導電性フィラーをそこに混入されてなる導電性接着剤を印刷または塗布し、導電性接着剤の印刷または塗布された印刷回路1a,1bに対する接合状態を判定する印刷または塗布状態の判定部13と、プリント基板1の印刷回路1a,1bと実装部品5,7との間のはんだ付け状態の外観を観察し、はんだ付け状態を判定する外観判定部17と、はんだ付けを完了したプリント基板1の外部からX線を照射して走査し、はんだ付けの内部の断層画像を作成するコンピュータ断層撮影をし、はんだ付け状態を判定する断層判定部18を具備し、異常解析判別制御部31によって、プリント基板成績記録部32に格納されたクリームはんだ判定部13、フラックス判定部23と同機能の導電性接着剤の判定部及び外観判定部17及び断層判定部18の判定結果によって実装部品5,7を実装したプリント基板1の機械的接続不良を検出すると共に、その要因を解析自在とした構成とすることができる。
【0132】
ここで、導電フィラーとしては金粉、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、メッキ粉、カーボン粉、グラファイト粉などが使用され、粒径、形状も種々のものがあり、代表的な形状はフレーク状、球状(粒状)、樹状等がある。硬化物の抵抗値は球状に比べて、面接続になるフレーク状の導電フィラーの方が低くなる傾向がある。
【0133】
この種の導電性接着剤を使用した実施の形態のプリント基板の検査装置は、導電性接着剤を用いた形態として、異常解析判別制御部31によって、プリント基板1に塗布された印刷回路1a,1bに対する導電性接着剤の印刷または塗布状態を判定する導電性接着剤判定部の結果と、プリント基板1の接合状態を外観で観察して判定する外観判定部17の結果と、プリント基板1の接合状態をコンピュータ断層撮影し、接合状態を判定する断層判定部18の結果とを総合的に判断し、導電性接着剤判定部及び外観判定部17及び断層判定部18の判断結果によって実装部品5,7を搭載するプリント基板1の機械的接続不良を検出すると共に、その接合部分の機械的接続不良の要因の解析により、搬送中に致命的な機械的接続不良がでた場合には、その後の工程に搬送することなく再利用または廃棄処理し、無駄な工程を経ることなく、かつ、X線等の放射線による被曝量を少なくしたプリント基板1の検査が可能となる。
【0134】
また、異常解析判別制御部31によって、導電性接着剤判定部及び外観判定部17及び断層判定部18の判断結果によって、接合部が露出する実装部品5及び/または接合部の露出しない実装部品7を搭載するプリント基板1の実装部品5,7の搭載から接合の経過の情報が得られるから、機械的接続不良の要因が特定でき、それらの判断基準の修正、加工条件の修正により、機械的接続不良の要因を是正して歩留まりのよい実装部品搭載製造ラインが構築できる。
仮に、外観上の接合が良好であっても、接合部分にクラック6e,6fが入っている場合もある。このような場合には、機械的振動、熱的変化の繰り返しによって、接合部分の機械的接続不良が生ずる可能性がある。しかし、フラックス判定部13と同機能の導電性接着剤判定部の結果及び外観判定部17の結果を参照する断層判定部18の結果によって、当該プリント基板1の再利用または実装部品5,7を分離して廃棄処理することができ、かつ、出荷する実装部品5,7を実装しているプリント基板1の信頼性を高くすることができる。
【0135】
以上のように、上記各実施の形態のプリント基板の検査装置は、クリームはんだ判定部13、フラックス判定部23の前工程として、プリント基板1の印刷回路1a,1bの印刷状態を検査する印刷状態検査部を具備する構成とすることができる。この種の実施の形態のプリント基板の検査装置は、クリームはんだ判定部13、フラックス判定部23の前工程として、プリント基板1の印刷回路1a,1bの印刷状態を検査する印刷状態検査部を具備するから、プリント基板1の印刷回路1a,1bの印刷状態も実装部品5,7を搭載するプリント基板1の機械的接続不良の解析要因とすることができ、回路設計に問題があった場合には、その発見が容易となり、プリント基板1の加工を進行させる前に排出することができる。
【0136】
また、上記各実施の形態のプリント基板の検査装置は、クリームはんだ判定部13、フラックス判定部23の後工程として、プリント基板1に実装部品5,7を実装した実装状態を検査する部品実装状態検査部を具備する構成とすることもできる。この種の実施の形態では、クリームはんだ判定部13、フラックス判定部23の後工程として、プリント基板1に実装部品5,7を実装した実装状態を検査する部品実装状態検査部を具備するものであるから、部品実装状態検査部によって電子部品等の実装部品5,7の実装上の問題についても、機械的接続不良の解析要因とすることができ、実装に問題があった場合には、その発見が容易となり、早期に機械的接続不良のプリント基板1を排出することができる。
【0137】
そして、上記各実施の形態のプリント基板の検査装置の印刷回路1a,1bに実装部品5,7を搭載する部品搭載部15,17は、実装部品5,7を搭載する部品搭載部15と、実装部品5,7を搭載する部品搭載部17の2種類の工程を具備するものである。したがって、実装部品5,7の実装を分けることにより、はんだ付けの前処理の自由度を高めることができ、特に、他の箇所で電気・電子部品等の実装部品側にはんだバンプ4を接合したもの等の幅広い使用が可能となる。
【0138】
更に、上記各実施の形態のプリント基板の検査装置のプリント基板1の印刷回路1a,1bに実装部品5,7を搭載する部品搭載部15,17は、先にクリームはんだに対する実装部品5,7の実装を行い、その後に外観判定部17によってプリント基板1の印刷回路1a,1bと実装部品5,7との間のはんだ付け状態の外観を観察してはんだ付け状態を判定し、その後、フラックスを用いて実装部品5,7を搭載するものである。したがって、先にクリームはんだ上の実装を行い、その後に外観判定部17によってプリント基板1の印刷回路1a,1bと実装部品5,7との間のはんだ付け状態の外観を観察することにより、機械的接続不良が発生した場合でも、全実装部品5,7のはんだ付けが終了していないので、再利用に無駄がない対応が可能となる。
【0139】
更にまた、上記各実施の形態のプリント基板の検査装置の断層判定部18の後工程として、プリント基板1の実装状態及び電気的接続状態を検査する電気的判定部19を具備する構成とすることができる。したがって、電気的な検査結果を用いることによって、実装部品5,7を搭載するプリント基板1の電気的接続不良を検出すると共に、その機械的、電気的要因の解析により、搬送中に致命的な機械的接続不良がでた場合には、その後の工程に搬送することなく排出し、無駄な工程を経ることなく、かつ、X線による被曝量を少なくできるプリント基板1の検査ができる。
【0140】
加えて、本実施の形態のプリント基板の検査装置の断層判定部18によって得たコンピュータ断層撮影の結果を図形またはグラフ化して表示し、可視的にコンピュータ断層撮影の結果を表示する構成とすることができる。したがって、可視的にコンピュータ断層撮影の結果を表示するから異常個所を特定し、その確認が容易となる。
例えば、製造番号を基に印刷回路1a,1bの個々の抵抗、コンデンサ等の特定の電気部品、電子部品等の実装部品名及びそのリード線の番号、個々のICやLSIの名称、その電極番号に対して不良(NG)の場合の判定結果の数値情報を、複数段階の色彩情報として、例えば、赤色、橙色、黄色のように異常度の高い数値に赤色系を使用し、その該当実装部品名または電極番号の該当箇所を○(丸)で囲って表示するマーカPとすることができる。または、異常度の高いもの順に5角形、4角形、3角形との順、他の形状で図形表示のマーカPとしてもよい。または、同一丸印のマーカPを使用し、その丸印の内角を利用して異常度をグラフ表示してもよい。
【0141】
前述のように、本発明を実施する場合には、少なくとも、外観判定部17及び断層判定部18の構成に加えて、はんだ付けの種類に応じてクリームはんだ判定部13及び/またはフラックス判定部23を有しておればよく、また、本発明を実施する場合には、X線エネルギの差はあるものの、はんだ付け部を導電性接着剤による接合とした場合にも、適用できる。即ち、本発明はプリント基板1の検査装置に適用でき、部品実装基板の製造ラインで機械的接続不良を前工程の検査結果を利用して効率よく検出でき、かつ、その要因を解析できるものである。
勿論、プリント基板1の片側に実装部品を搭載するもの、両側に搭載するもの、リジット基板、フレキシブル基板、リジットフレキシブル基板において、区別なく使用可能である。
【0142】
上記実施の形態のプリント基板の検査装置としては、フラックス判定部23及び外観判定部17及び断層判定部18の結果を総合的に判断し、プリント基板1の機械的不良を検出し、または、その要因を解析する発明の実施の形態として説明した。
しかし、本発明を実施する場合には、上記実施の形態で説明した予め定められたルールに従って検査装置が自動的に特定された流れに従って不良の検出、その要因の解析を行うものとして実施されるプリント基板の検査装置に限られるものではない。例えば、フラックス判定部23及び外観判定部17及び断層判定部18の結果にウェイト付けを行うこともできる。
また、当業者の経験則から、特定の箇所を重点的に検査対象としたり、逆に、検査対象から除外したり、その解析対象も任意に選択することができ、それら選択した箇所の結果を部分的に、総合的に判断することもできる。
特に、所定の条件を満たす場合(例えば、重要部品であると予め分かっている部品の場合、温度に弱いことが明確な部品の場合)には、表示する情報としてフラックス判定部23、外観判定部17、断層判定部18等の各判定部の検査画像(検査部位を含む画像)を該当する検査画像に特定することもできる。
また、面積値や長さ等の検査数値、即ち、検査の結果を出す閾値も変更できる。勿論、所定の閾値との比較結果がOKかNGかの情報である検査結果等も、その結果を得る過程で任意に設定できる。
そして、検査対象の表示態様としては、視野範囲、アングル、解像度、サイズ、位置、色等を調整し、生産ラインの電子部品等を装填したプリント基板1の特性、フラックス3、はんだバンプ4等のはんだ付け特性に合った確認方法が選択できる。
更に、フラックス判定部23、外観判定部17、断層判定部18等の各判定部の検査対象をプリント基板1の部分的とすることもできる。
【符号の説明】
【0143】
1 プリント基板
1a,1b 印刷回路
1c 絶縁基板
3 フラックス
4 はんだバンプ
11 プリント基板供給部
12 クリームはんだ印刷部
13 クリームはんだ判定部
14,24 インライン目視検査部
15 部品搭載部(第一部品搭載部)
16 リフロー部(第一リフロー部)
17 外観判定部
18 断層判定部
19 電気的判定部
22 フラックス印刷部
23 フラックス判定部
25 第二部品搭載部
26 第二リフロー部
30 プリント基板製造ライン制御部
31 異常解析判別制御部
32 プリント基板成績記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板及び前記絶縁基板に形成した印刷回路を有するプリント基板にクリームはんだを印刷または塗布し、前記クリームはんだが印刷または塗布された印刷回路に対するクリームはんだの状態を判定するクリームはんだ判定部と、
前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間のはんだ付け状態の外観を観察し、前記はんだ付け状態を判定する外観判定部と、
前記はんだ付けを完了した前記プリント基板の外部からX線を照射し、走査することにより、コンピュータ断層撮影をして、前記はんだ付けの内部画像を作成し、前記はんだ付け状態を判定する断層判定部とを具備し、
前記クリームはんだ判定部及び外観判定部及び断層判定部の判定結果によって、前記プリント基板にはんだ付けした前記実装部品との機械的接続不良を検出すると共に、その要因を解析自在としたことを特徴とするプリント基板の検査装置。
【請求項2】
絶縁基板及び前記絶縁基板に形成した印刷回路を有するプリント基板にフラックスを印刷または塗布し、前記フラックスが印刷または塗布された印刷回路に対するフラックスの状態を判定するフラックス判定部と、
前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間のはんだ付け状態の外観を観察し、前記はんだ付け状態を判定する外観判定部と、
前記はんだ付けを完了した前記プリント基板の外部からX線を照射し、走査することにより、コンピュータ断層撮影をして、前記はんだ付けの内部画像を作成し、前記はんだ付け状態を判定する断層判定部とを具備し、
前記フラックス判定部及び外観判定部及び断層判定部の判定結果によって、前記プリント基板にはんだ付けした前記実装部品との機械的接続不良を検出すると共に、その要因を解析自在としたことを特徴とするプリント基板の検査装置。
【請求項3】
絶縁基板及び前記絶縁基板に形成した印刷回路を有するプリント基板に導電性接着剤を印刷または塗布し、前記導電性接着剤が印刷または塗布された印刷回路に対する導電性接着剤の状態を判定する導電性接着剤判定部と、
前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間のはんだ付け状態の外観を観察し、前記接合状態を判定する外観判定部と、
前記導電性接着剤による接合を完了した前記プリント基板の外部からX線を照射し、走査することにより、コンピュータ断層撮影をして、前記導電性接着剤による接合状態の内部画像を作成し、前記接合状態を判定する断層判定部とを具備し、
前記導電性接着剤判定部及び外観判定部及び断層判定部の判定結果によって、前記プリント基板に接合した前記実装部品との機械的接続不良を検出すると共に、その要因を解析自在としたことを特徴とするプリント基板の検査装置。
【請求項4】
前記フラックス判定部または前記クリームはんだ判定部または前記導電性接着剤判定部の前に、前記プリント基板の印刷回路の印刷状態を検査する印刷状態検査部を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のプリント基板の検査装置。
【請求項5】
前記フラックス判定部または前記クリームはんだ判定部または前記導電性接着剤判定部の後に、前記プリント基板に対する実装部品の実装状態を検査する部品実装状態検査部を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載のプリント基板の検査装置。
【請求項6】
前記プリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、接合部分が露出する実装部品と、接合部分が露出しない実装部品とを2工程で搭載することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載のプリント基板の検査装置。
【請求項7】
前記プリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、接合部分が露出する実装部品及び接合部分が露出しない実装部品を同時に搭載することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載のプリント基板の検査装置。
【請求項8】
前記プリント基板の印刷回路に実装部品を搭載する部品搭載部は、先に接合部分が露出する実装部品の搭載を行い、その後、前記外観判定部によって前記プリント基板の印刷回路と実装部品との間の接合状態の外観を観察して接合状態を判定し、次いで、接合部分が露出しない実装部品を搭載することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載のプリント基板の検査装置。
【請求項9】
前記断層判定部の前または後に、前記プリント基板の実装状態及び電気的接続状態を検査する電気的判定部を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載のプリント基板の検査装置。
【請求項10】
前記断層判定部によって得た結果は、図形またはグラフ化して表示することにより、可視的にコンピュータ断層撮影の結果を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載のプリント基板の検査装置。
【請求項11】
前記断層判定部によって得た結果は、図形またはグラフ化して表示し、その表示色または図形によって異常の程度を表現することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1つに記載のプリント基板の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−271165(P2010−271165A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122927(P2009−122927)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】