説明

プリント板検査装置及びプリント板検査方法

【課題】設計情報を基に無駄な走査を防止しするとともに、走査中であっても部分的にでも早く検査を開始する技術の提供である。
【解決手段】
走査ルート形成手段36が、予め、測定対象とする前記プリント板について、該プリント板内で前記はんだ印刷された領域及び基準位置を示す複数のマークが付された領域をX−Y直交座表系で表した基板設計情報を受けて、主走査すべき測定領域を決定するとともに、その測定領域の全部を走査する走査ルートを決定し、走査ルート情報を形成しておいて、測定時に、走査制御部25aが生成された走査ルート情報に基づいて主走査機構及び副走査機構を制御し、検知手段25cは主走査機構が少なくとも2つのマークが付された領域を走査したことを検知して検査部に対して通知して走査制御部による残りの主走査に拘わらず検査部に検査動作を開始させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物であるプリント板の所望の測定範囲、特に印刷されたはんだ面の形状をセンサで走査して検査するプリント板検査装置及び方法に関する。一般に、検査は、センサを走査してプリント板に印刷されたはんだ形状の測定値を取得する工程を有し、その後に、その測定値を基にはんだ形状の良否を判定する工程をシリアルに行っておいたが、本発明は、走査し測定値を取得中でも、所定の条件が揃ったところで検査を開始することにより、トータルとしての検査時間の短縮を図る技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、印刷はんだ検査装置としては、プリント板の表面をレーザ光等で照射し、プリント板の表面からの反射光を受光するセンサを有し、そのセンサにより測定(三角測量)した結果として得られた測定値、例えば、プリント板上の印刷はんだ箇所の変位(高さを含む)或いは輝度(プリント板から反射した光の量、受光量(光の強さ)を含む。)の測定値を基に、判定の基準となる基準データと比較して判定している(特許文献1、2)。
【0003】
このような検査装置(方法)においては、一般に、プリント板を一定方向から搬送させて所定の検査位置で停止させて、そこで、センサ又は/及びプリント板をXステージ及びYステージ(X軸方向、Y軸方向の各方向への移動台と移動手段)を用いて走査して(相対的な走査を行って)測定するが、走査方向には、主走査と主走査に直交する方向へ走査する副走査があり、主走査のときに測定を行い、副走査は、センサを現在の主走査位置から次の主走査を行うべき位置へずらす為に行われ、そのずらす範囲は、主走査のときセンサによって検出できる副走査方向の検出幅に相当する。その様子を示すのが図8である。図8は、プリント板の上から、主走査と副走査の軌跡を模擬的に示す図である。図8で、隣り合う主走査間の距離L(ほぼ1回の副走査距離)は、センサが主走査方向と直交する方向へのセンシングできる範囲で決定される。
【0004】
なお、走査とは、センサと被測定物であるプリント板との相対的な位置の移動を行って、被測定物の表面の測定範囲におけるセンサによる測定位置を変更することを言い、ここでは、主走査時に、実際の測定を行っている。走査、つまり相対的な位置移動にあたっては、センサ又は被測定物の一方だけの、或いは双方の移動のいずれでも可能である。特許文献1,2では、主走査を被測定物側を移動させて行い、副走査をセンサ側に移動させることで行っている。
【0005】
従来は、プリント板のほぼ全面にわたって図8に示すような矩形状の走査を繰り返して行われていた。
【0006】
【特許文献1】特許3592594号公報
【特許文献2】特許3537382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、プリント板検査装置として生産ラインにおいて取り扱うプリント板の枚数は相当の数になり、時間的な効率が要求される。つまり、プリント板検査装置としては、測定の速度を早くして、或いは測定に係る時間を減らして、効率よく稼働させることが常に求められる課題とされている。
【0008】
しかしながら上記の従来技術では、はんだが印刷されていない領域も走査するので、無駄な時間が生じる。さらに、走査を終了して、その後に検査するのでシリアルに時間が経過する問題があった。
【0009】
一般に走査は機械的な移動が伴うので、時間が係る。したがって、走査中に測定値を取得しながら、取得した順に検査を行えばよいのであるが、次のような問題があった。つまり、従来、例えば、検査はプリント板のはんだ箇所毎にその位置での測定値を基にした高さデータと、予め記憶しておいた設計上のその位置における高さの許容値とを比較して判定される。したがって、検査するにあたって、はんだ箇所の位置を正確に合わせる必要がある。ところが搬送されて来て測定位置に配置されたプリント板は、所定の測定位置に正確に停止することは困難であり、都度わずかながらずれる可能性が大きい。したがって、一般的にはプリント板の両端に設けられた基準マークを測定して、測定したときの測定値の測定位置をその基準マークの位置を基に校正していた。したがって、走査の完了を待って、位置を校正し、そして、検査をしていた。これらはシリアルな動作であり、時間を要する欠点があった。一方、先に基準マークだけを走査、測定し、その後に主走査して測定する順に、その主走査と並列に、校正及び検査を行うこともできるが、基準マーク付近を走査するだけ走査回数が増える欠点があった。つまり、多くの例では、基準マーク付近にはんだ箇所があるので、基準マークを測定する為の主走査、測定と、はんだ箇所の主走査、測定とがダブって実施せざるを得なかった。
一般には、走査時間は、測定した後のデータ処理に比べ、大きな時間である。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を改良するものであって、プリント板のはんだエリア(はんだ箇所の個々の範囲、もしくはそれらが近接しているときは、それらの集合)は、設計上、予め知られているので、設計情報を基に無駄な走査を防止しするとともに、走査中であっても部分的にでも早く検査を開始する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、はんだ印刷がなされ、かつ複数の基準位置を示すマークが付されたプリント板の表面をX軸方向の長さLに亘って光を照射して該表面からの反射光を受けるラインセンサ(2)と、前記プリント板と該ラインセンサとを相対的に前記X軸方向と略直交するY軸方向と平行に前記主走査させる主走査機構(11)と、前記X軸方向側に次の主走査位置を、前記長さLを基に所定距離[L―δ](ただし、0≦δ≪L)づつ主走査毎に変更させる副走査を行う副走査機構(3)と、前記主走査機構及び副走査機構を走査制御して取得した前記ラインセンサの出力からその測定位置における変位を測定値として出力する測定部(25)と、該測定値を基に前記プリント板のはんだ状態を検査する検査部(35)とを備えたプリント板検査装置において、予め、測定対象とする前記プリント板について、該プリント板内で前記はんだ印刷された領域及び基準位置を示す複数のマークが付された領域をX−Y直交座表系で表した基板設計情報を受けて、前記主走査すべき測定領域を決定するとともに、その測定領域の全部を主走査するための走査ルート情報を形成する走査ルート形成手段(36)、を備え、さらに、前記測定部は、生成された走査ルート情報に基づいて前記主走査機構及び副走査機構を制御する走査制御部(25a)と、前記主走査機構が少なくとも2つの前記マークが付された領域を走査したことを検知して前記検査部に対して通知することにより、前記走査制御部による残りの主走査に拘わらず前記検査部に検査動作を開始させる検知手段(25c)と、を備えたプリント板検査装置。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記走査ルート形成手段は、前記プリント板について、該プリント板内で前記はんだ印刷された領域及びマークされた領域を含む1つもしくは複数の測定領域をX−Y直交座表系で表した基板設計情報を受けて、該測定領域を前記X軸に投影したときのX軸投影範囲と、前記Y軸に投影したときのY軸投影範囲を算出する投影範囲算出手段(31)と、該X軸投影範囲と所定距離[L―δ]とから、全測定領域を測定するための主走査回数及び各主走査回の前記X軸方向の主走査位置を決定し、かつ、各主走査回におけるY軸方向の主走査範囲を前記Y軸投影範囲から決定する主走査範囲決定手段(32a)とを有し、決定された前記主走査範囲の全部を走査するためのルートの位置を示す位置情報、及び方向を含む走査ルート情報を生成する走査ルート決定手段(32)と、を備えた。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記走査ルート決定手段は、予め記憶されている前記マークが付された領域を含む設計上の特徴的な配置と、前記主走査範囲決定手段が求めた主走査位置とから、前記2つのマークが付された領域を主走査する主走査位置を特定し、これら2つの主走査を優先して走査する走査ルート情報を生成することを特徴とする請求項1又2に記載のプリント板検査装置。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記検知手段による少なくとも2つの前記マークが付された領域を走査したことを検知した通知を受けて、前記2つのマークの測定位置を基準として、前記主走査によって測定された各測定値の測定位置を校正する位置校正手段(25b)を備え、前記検査部は、前記校正された測定位置における測定値に基づいて判定用データを生成し、該判定用データと、予め記憶されている設計上の位置の基準データであって、前記校正された測定位置と同じ位置の該基準データとを比較し、良否を判定する構成とした。
【0015】
請求項5に記載の発明は、プリント板をX軸方向の長さLに亘って光を照射して該表面からの反射光を受けるセンサ(2)と、前記プリント板と該センサとを相対的に前記X軸と直交するY軸方向と平行に前記主走査させる主走査機構(11)と、前記X軸方向側に次の主走査位置を前記長さLに基く所定距離[L―δ](ただし、0≦δ≪L)づつ主走査毎に変更させる副走査を行う副走査機構(3)と、を備えたプリント板検査装置の走査方法において、検査前に、検査対象とされる前記プリント板について、該プリント板内で前記はんだ印刷された領域及び基準位置を示す複数のマークが付された領域をX−Y直交座表系で表した基板設計情報を受ける段階と、該基板設計情報を基に測定領域を前記X軸に投影したときのX軸投影範囲と、前記Y軸に投影したときのY軸投影範囲を算出する投影範囲算出段階と、該X軸投影範囲と前記所定距離[L―δ]とから、全測定領域を測定するための主走査回数及び各主走査回の前記X軸方向の主走査位置を決定し、かつ、各主走査回におけるY軸方向の主走査範囲を前記Y軸投影範囲から決定する主走査範囲決定段階と、決定された前記X軸方向の主走査位置及び前記Y軸方向の主走査範囲を基に前記副走査機構及び前記主走査機構を制御する手順を含む走査ルート情報を決定する走査ルート決定段階と、検査時に、前記走査ルート情報に従って副走査機構及び主走査機構を制御して、走査及び測定を実行する走査段階と、前記走査段階の進行過程において、検知手段が2つのマークが主走査されて測定されたことを検知する検知段階と、該検知段階で2つのマークが検知された後は、前記走査段階における残りの走査と並行して、少なくとも前記2つのマークの測定位置を基準として、前記主走査によって測定された各測定値の測定位置を校正する校正段階と、前記校正された測定位置における測定値に基づくデータと、予め記憶されている設計上の位置の基準データであって、前記校正された測定位置と同じ位置の該基準データとを比較し、良否を判定する検査段階と、を備えた。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プリント板が設計されたときのはんだ領域を示す基板設計情報を基に、その測定範囲を算出し、ラインセンサによる主走査方向と直交する方向へのセンシングの幅Lを基準に主走査の位置と走査範囲を決定しておいて、検査時に、決定された走査範囲を主走査することにより、所望の測定範囲だけ走査する構成なので、例えば、同じプリント板であってもはんだ領域でない領域を無駄に走査することなく、必要なところだけ走査できるので、測定時間の短縮ができる。
また、少なくとも2つのマークを検出した後は、その後の走査箇所があったとしても、その時点から先に測定した位置の校正をし、検査動作をスタートさせる校正にしたので、トータルでの時間の短縮が図れる。また、マークのみを目的とした主走査がないため、無駄な走査時間の軽減が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態を図1〜図7を用いて説明する。図1は、本実施形態の構成を示す機能ブロック図である。図2は、プリント板のはんだ領域をX座標及びY座標へ投影し、走査範囲を求める手順を説明するための図である。図3は、図2の走査範囲を基にした走査ルートを説明するための図である。図4は、走査ルートの変形例を示す図である。図5は、走査ルートの他の変形例を示す図である。図6は、走査機構部の副走査機構の例を示す図である。図7は、走査機構部の主走査機構の例を示す図である。図6、図7は、従来から使用されてきた技術である。
【0018】
以下、「走査機構」で走査のメカニカルな技術を説明し、「走査・測定の機能構成」では、その走査機構をどのように制御して走査・測定するかを説明し、「検査装置」でプリント板のはんだ形状の判定・検査の構成及び工程を説明する。
【0019】
[走査機構]
走査機構は、プリント板wとラインセンサ2との相対的位置(又は距離、方向)を順次移動、或いは変更して、ラインセンサ2がプリント板wの測定範囲の全般に亘って測定できるようにする。走査は、被測定物とラインセンサ2の相対的移動であるから、何れか一方を移動できれば良い。ここでは一例として、図6及び図7に示す技術を用いる。走査には、具体的な動作としては測定位置を変更するための「移動」が伴うので「移動」で説明しても良いが、以下は、用語として「走査」を用いて説明する。
【0020】
先ず図6及び図7を基に、走査機構について説明する。図5において、走査機構部1は、大きくはラインセンサ2、副走査機構3、及び未検査のプリント板wを順次搬送する搬送装置4と、で構成されている。主走査機構11は、この例では搬送装置内に含まれている。
【0021】
プリント板wは、いわば被測定物であり、表面にクリームはんだが印刷された検査対象のプリント板wである。このプリント板wの表面の一部又は全部が測定範囲となりうる。以下の説明では、プリント板の全部が測定範囲として説明する。
【0022】
ラインセンサ2は、この例では、測定範囲にあるプリント板の表面を三角測量を行ってその変位を測定するセンサである。そのためプリント板をレーザ光で照射するレーザ光源とプリント板から反射してくる反射光を検出する変位検出器とを備えている。
【0023】
副走査機構3は、ラインセンサ2を支持する支持体3aをX軸モータ3bの駆動により、レール3cを介してX方向に移動させる。つまりX方向に副走査させる。
【0024】
搬送装置4は、図6及び図7に示すように、2本の搬送ベルト5,5がプリント板wの搬送方向に沿うようにして円筒状の一対のプーリ6,6で巻回されている。一方のプーリ6には、搬送モータ7が設けられており、搬送ベルト5,5を回転させて未検査のプリント板をX正方向に搬送させる。2本の搬送ベルト5,5間の所定の位置には高さ方向(Z方向)に上下動自在なストッパ8が設けられており、搬送されてくる未検査のプリント板wを停止させる。また、2本の搬送ベルト5,5間のストッパ8近傍にはZ方向に上下動自在なクランパ9が設けられており、クランパ9は、ラインセンサ2により検査されるときは搬送ベルト5,5に替わってプリント板wを載置するとともに、搬送方向に直交するY方向に移動自在な突き当て板10,10により、プリント板wを挟持する。
【0025】
搬送装置4には、主走査機構11が設けられている。主走査機構11は、搬送装置4を支持体11aで支持してY軸モータ11bの駆動により、レール11cを介して搬送装置4自身を搬送方向と直交する方向のY方向に移動させる。つまり主走査させる。
【0026】
[走査・測定の機能構成]
【0027】
走査・測定は、図1の測定部25で実行、制御される。図1の走査機構部1は従来技術とほぼ同じ構造であり、上記の図6及び図7で説明したものを採用できる。図1で図6及び図7における符号と一致する符号の要部は同一機能を示す。ただし、図1の走査機構部1における主走査機構11及び副走査機構3は、図6,7の主走査、副走査に係る中心的機能を代表して模擬的に表したものである。説明上、図1では副走査機構3とラインセンサ2が分かれているが図6、7では、副走査機構はラインセンサ2を搭載し移動させる機構になっている。又、図1では、クランパ9と主走査機構11とが分かれて記載されているが、図6、7ではクランパ9を搭載する搬送手段を主走査機構11が移動させて主走査する機構になっている。
【0028】
図1で測定部25は、走査制御部25aを有して、走査機構部1を制御して走査させて測定させるとともに、そのときのラインセンサ2からの出力を基にした高さ方向の変位量を測定値とし、ラインセンサ2からの出力を取得したときの主走査の位置を測定位置として、その測定値及び対応する測定位置とともに測定値記憶手段26へ送り記憶させる。
【0029】
このとき、プリント板w上での位置の基準となる少なくとも2つのマークが設けられており、走査制御部25aは、自己が走査機構部1に対して走査させているときに、この2つめのマークを走査させたことを自ら検知して位置校正手段25bに通知する。この通知を受けた位置校正手段25bは、これら2つのマークの位置座標を基準としてラインセンサ2の出力を取得したとき測定位置(そのときの主走査の位置)を校正する。つまり、測定開始時の測定位置を主走査側の座標系で決めていたのを、2つのマークの位置を測定後の測定位置をプリント板w自身の座標系に修正する。そして、校正された測定位置における測定値を測定値記憶手段26へ送り記憶させるとともに、検査部35に検査を開始させる。なお、ラインセンサ2は、光学的センサ(後述)を用い、測定範囲の測定個所における高さ方向の変位を検出できる。併せて、測定個所からの光量を検出することもできる(別に設けても良い)。
【0030】
ラインセンサ2は、主走査方向(例えば、Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に距離Lに亘って複数のセンサが配列しており、その配列方向に高速にレーザ光をスキャンしてほぼ同時に距離Lに亘ってプリント板w(或いはそのはんだ領域)の変位を測定する構成を有する。したがって、1回の主走査で幅Lの範囲に亘って変位を測定することができる(したがって、距離Lは、主走査幅に相当する。)。1回の主走査を終えると、X方向に幅[L―δ](ただし、0≦δ≪L)だけ主走査位置をずらして次の主走査をする。距離δは、隣合う主走査同士でダブって測定する範囲である。これは念のため測定漏れがないようにするためである。
【0031】
走査制御部25aは、設計情報記憶手段30、投影範囲算出手段31、走査ルート決定手段32(以上は「走査ルート形成手段」)及び制御手順記憶手段33からの走査ルート(情報)を基に走査機構部1を制御する。走査ルートを基に制御することかから、例えば図2に示すマーク1又はマーク2の2つのマークを走査させたときのタイミングを自ら知ることができるので、そのタイミングがきたときに位置校正手段25b及び検査部35に知らせて、それぞれの動作を開始させる。つまり、等価的に走査制御部25aは、2つのマークを検知し、カウントする検知手段25cを有する。
以下、設計情報記憶手段30、投影範囲算出手段31、走査ルート決定手段32、制御手順記憶手段33、及び走査制御手段25aの順で説明する。
【0032】
設計情報記憶手段30は、基板設計情報として、主として、基板情報、基準データ及びレイアウトを記憶している。設計情報記憶手段30は、検査対象とするプリント板wを特定する識別情報や検査条件等を含む基板情報を記憶していて、それらをユーザインタフェース29で一覧表示させて検査開始にあたって選択できるようにしてある。基準データは、判定手段28がプリント板wのはんだ箇所(位置)毎にはんだ状態の良否を判定するとき基準となる設計上のデータである。したがって、基準データは、データ生成手段27が測定値を基に作り出すデータの種類と同じであり、例えば、はんだ箇所の高さ、面積、体積等を示すデータである。
【0033】
レイアウト(情報)は、プリント板wを設計したときのはんだ箇所の位置及び範囲を示す情報、及びプリント板状の基準となる位置を示すマークの位置と範囲を示す情報が含まれている。以下、はんだ箇所(或いは、はんだ領域)及びマークは、2次元、X−Y座表系で位置と範囲が特定できるように表されている。なお、最小単位のはんだ箇所もその位置と範囲で表され、はんだ箇所の位置範囲が連続する一固まりのはんだ領域を形成することになる。
なお、以下の説明に用いられる「測定位置」或いは「測定領域」には、はんだ箇所(或いは、はんだ領域)、及びプリント板w上のはんだ箇所の座標位置の相対的な基準となる位置を示すマークの双方が含まれている。
【0034】
図1で走査ルート形成手段36は、投影範囲算出手段31及び走査ルート決定手段32を含む。
投影範囲算出手段31は、上記の設計情報記憶手段30から検査対象とするプリント板wについて、プリント板w内で1つもしくは複数の、はんだ箇所及びプリント板wの基準位置を示すマーク等の測定対象をX軸―Y軸でなる座標で表したレイアウトを受けて、測定対象の領域をX軸上に投影したときのX軸投影範囲と、Y軸上に投影したときのY軸投影範囲を算出する。
【0035】
図3にプリント板wについてレイアウトを基に投影したときの模擬的なX軸投影範囲、及びY軸投影範囲を示す図である。実際は、レイアウトが座標の数値情報であり、投影範囲算出手段31は算出処理して投影範囲を求める。図2は説明上の図である。
【0036】
図2において、マーク1は上記の基準位置を示すマークであり、一般的には少なくとも両端に2つある。エリア1,2,3は、それぞれはんだ領域を模擬的に表す。
投影範囲算出手段31は、X軸投影範囲としては、一次的には、x1−x2、x3−x5、x4−x6、x7−x8、x9−x10で示される範囲を求め、次に重なった部分を含めて二次的に、x1−x2、x3−x6、x7−x8、x9−x10なる領域を求める。Y軸投影範囲としては、一次的に、y1−y2、y3−y4、y5−y7、y6−y8、y9−y10(但し、図2では、y8=y9)を求める。
【0037】
走査範囲決定手段32aは、先ず、主走査位置(併せて走査回数)を決定する。主走査をY軸方向にするとすれば、X軸投影範囲を基準に決定する。また、一度の主走査で行えるX軸方向の主走査範囲は、ラインセンサ2のセンシングの長さLであり主走査幅である距離Lで決定され、隣り合う主走査間では距離δ(ただし、0≦δ≪L)だけ余裕を見て重ねて主走査されるもとのとして、次の(1)又は(2)の方法で決定する。
(1)走査範囲決定手段32aは、X軸に沿って予め全範囲についてk回の主走査を行うとして、図2に示すように、1回目の主走査のX軸上の位置M1=0〜L、2回目の位置M2=[L―δ]〜[L−δ]+L、k回目の位置Mk=[L−δ]×(k−1)〜[L−δ]×(k−1)+Lを割り振っておき、この割り振った主走査位置M1〜Mkのいずれに或いはそれに跨って上記のX軸投影範囲のx1−x2、x3−x6、x7−x8、x9−x10があるかどうかを決定する。これからすると、全てのX軸投影範囲を満足するための主走査の位置は、M1,M2、M3、Mk−2,Mk−1、Mkが必要になり、回数では、計6回になる。
(2)上記のX軸投影範囲のx1−x2、x3−x6、x7−x8、x9−x10を距離L及び距離δを基に主走査位置に割り振る。つまり、上記(1)では、図2のX軸の投影のない部分(空区間)についても、主走査しないにもかかわらず予め主走査回数を割り振っていたが、ここではその空区間を無視して、X軸投影範囲のx7−x8、x9−x10については、位置X7をスタート位置として割り振る。つまり、X軸投影範囲x1−x2、x3−x6位置が0位置をスタート位置として割り振られたと同様に割り振る。
【0038】
次に、走査範囲決定手段32aは、決定された主走査位置に応じて、Y軸投影範囲y1−y2、y3−y4、y5−y7、y6−y8、y9−y10をカバーすべくそれぞれの主走査回のY軸方向の走査範囲を決定する。図2からして、主走査M1に属する位置x2において範囲y1−y2が必要であるが、同じく主走査M1に属する位置x3では範囲y3―y4が必要である。したがって、主走査M1では、主走査範囲S1=y1〜y4までの走査が必要である。主走査M2では、同様に範囲y3−y4,及び範囲y6−y8の主走査範囲S2が必要である。この場合は主走査範囲S2=y3−y8としても良い。主走査M3の場合は、主走査範囲S3=y6−y8が必要である。主走査Mk−2,及びMk−1のそれぞれは、主走査範囲Sk−2=Sk−1=y5〜y7が必要である。主走査Mkでは、主走査範囲Sk=y9〜y10が必要である。上記のように図2を基にy軸方向の主走査範囲の決定の仕方について理解できるよう説明したが、実際は、図の表記とは関係なく走査範囲決定手段32aがレイアウトを基に論理的に決定する。例えば、走査範囲決定手段32aがレイアウト状のデータをサーチして、主走査M1(X軸座標位置=0〜L)に属する、測定箇所のエリアがあるかどうかを調べる。マーク1、エリア1が在ることを確認する。そして主走査M1の範囲内にマーク1及びエリア1のX軸への投影範囲があるかどうかを調べる。そして、X軸への投影範囲(X1−X2、X3−L)があるから、それのY軸への投影範囲を調べ、それを(y1−y2,y3−y4、但し、y2とy3が近い場合、y1−y4としても良い。)を主走査M1の主走査範囲とするように決定する。
【0039】
走査ルート決定手段32は、走査範囲決定手段32aで決定されたX軸方向の主走査位置と、各主走査位置でのY軸方向の主走査範囲を示す位置情報を基に短距離に、つまり短時間に走査できる走査ルートを決定する。
【0040】
走査ルート決定手段32は、
(a)走査ルートとして、マーカが配置されている個所を優先的に走査する優先指示がある場合は、(b)の情報を参照してそれを優先し、かつ経路が短くなるような走査ルート決める。優先指示がない場合は、経路が短くなる走査ルートを決める。
(b)マーカの配置個所を優先走査する場合は、その配置個所を示すプリント板wの特徴的位置情報、例えば、スタート側端部、終了側端部、或いは中央等の指示を受ける。
走査ルート決定手段32は、優先指示、特徴的位置情報が予め設計情報記憶手段30に記憶されており、それを参照して受けても良いし、ユーザインタフェース29によって操作者から指示を受領してもよい。
【0041】
その例を図3に示す。図3は、「マーク1,2がルートの最初と最後にあり、それを優先して走査する」旨の指示があった場合の例である。つまり、2つのマークが配置されたルート(図3のR1とR6)を優先して主走査する場合の例である。図3で、R1,R2、R3,R4,R5,R6が主走査のルートと方向を示し、R16,R65,R54、R43、R32が主走査間における位置の変更を行う副走査のルートと方向を示す。そして図3に示す矢印で示されるR1,R16,R6、R65、R5,R54、R4、R43、R3,R32、R2の順、及び方向が走査ルート(情報)である。走査ルート決定手段32は、これらを座標で表して生成する。なお、このうち、R16,R65,R43は、主走査機構11と副走査機構3の同時に移動動作行うことにより斜めに移動する必要がある。R54,R32は、主走査機構11に寄る移動はなく、副走査機構3の移動動作のみで移動できる。なお、R16,R65,R43を図3のように斜めに移動するのではなく、それぞれのルート移動距離をX軸方向とY軸方向に分離することにより主走査方向と副走査方向とのシリアル動作に分けても良い。この場合は、R16,R65,R43は、主走査機構11と副走査機構3は同時ではなく、それぞれのシリアルな動作になる。
【0042】
走査ルート決定手段32は、上記のように走査時間が短く、或いは/かつトータルでの検査時間が短縮できるようにルートを決定することが望ましい。前者の場合は、図3における走査ルートの総距離が短いほど時間も短縮される。後者の場合は、上記の優先指示がなされる場合であって、その優先指示に沿って2つのマークを早く走査できるので、走査制御部25aの検知手段25cが早く位置校正手段25bに測定値の校正を、そして検査部35には検査を実行させることによりトータルでの時間短縮が図れる。
【0043】
走査ルート決定手段32が決定した、走査の手順に沿った座標情報で表される走査ルート情報は、制御手順記憶手段33に記憶され、実際の検査時に利用される。
【0044】
測定部25の位置校正手段25bは、走査制御部25aの検知手段25cからの2つのマークが測定された通知を受けて、それら2つのマーク位置を求め、検知されるまでに検査装置自身のX−Y座標系で測定して得られた測定値に対応する位置(測定位置)をプリント板w自身のX―Y座標系に変換(校正)し、校正された位置と対応する測定値を検査部35に送り検査させる。つまり、図3の例では、マーク1とマーク2の2つマークの配置個所が、プリント板wの始めと終わりの端部にあるとの指示を受けて、走査ルート決定手段32は、主走査M1とMkを担う主走査ルートR1とR6とを優先して走査する。そして、実際に走査し、走査ルートのR1,R16,R6の走査終了時点で検知手段25cが2つめのマーク2を検出したことを通知する。その検知を受けた位置校正手段25bは、2つのマークの測定位置から、それまで測定していた走査ルートR1,R6の測定位置を校正し、その後、次々と走査、測定の順にR5,R4、R3,R2で測定した測定位置を校正する。走査ルートには、当然ながら本来の検査対象である印刷はんだ箇所が含まれているがレジスト箇所等の検査対象外のものも含まれている。このような場合は、上記の校正(変換)は、検査対象のみを行う。処理時間を短縮するためである。
【0045】
なお、位置校正手段25bは、測定部25側にあることに限定されることはなく、検査部35にあっても良い。例えば、図1では、校正された測定位置と測定値が測定値記憶手段26に記憶されるが、位置校正手段25bは、測定値記憶手段26の出力、もしくはデータ生成手段27の出力、つまり、判定手段28の前に在って、そこで校正されれば、何処でも良い。
【0046】
また、走査制御部25aの検知手段25cに代わって、マークが特殊な形状あるいは光特性を有してしれば、ラインセンサ2の出力から、その形状、光特性を検出して、マーク位置を割り出し、マーク及びその位置を検知する手段を設けることもできる。この場合の検知手段は、測定値と形状或いは光特性からマークの位置を確認できる。
【0047】
図4,図5は他の走査ルートの形態である。図4は、図3のようにマークを先に測定する優先指示がない場合で、かつルート図4のR6に2つめのマーク後に走査ルートが残っている場合の例である。図4では、R1,R2、R3,R4,R5,R6が主走査のルートと方向を示し、R12,R23,R34,R45、R56が主走査間における位置の変更を行う副走査のルートと方向を示す。走査ルートの順R1,R12,R2、R23、R3,R34、R4、R45、R5,R56、R6になる。このうち、R1〜R56まで走査が進んだ段階で、検知手段25cが2つ目のマークを検知したことを位置校正手段25bに知らせる。位置校正手段25bは、走査ルートR6の走査が終わらない内にそれまで2つのマークの測定位置を基に、それまでに測定されたR1、R5における測定時の測定位置の校正を開始し、それ以降は、R6における測定時の測定位置を校正し、これら校正された測定値及びその対応する変位を示す測定値を検査部35に送って検査を行わせる。したがって、この場合、走査ルートR6にかかる走査時間分だけ早く検査を行うことができる。
【0048】
なお、図4では、走査ルートR1を図の下方向から上に向けて走査開始したが、図の方向から下へ走査させることもできる。一般に、例えば、図4のように、マークが2カ所にあれば、図4の上辺の2の左右の2箇所、下辺の左右2箇所の計4箇所から相対する辺の方向へ走査を開始させることができる(図4では、下辺右から上辺に向けて開始させている)。しかし、走査ルートを短くすることの外に、ラインセンサ2の待機位置や或いは他の構成要素との位置関係等の構造上の制約からからその走査ルート開始位置が制約されることがある。例えば、図4では、図示していないが、プリント板wが検査位置にあるかどうかを確認するための位置センサが左側にある。したがって、ラインセンサ2は、プリント板w搬入前は、その位置センサと干渉するために左側の上下のいずれかを走査開始位置とするために、そこで待機することができず、他の離れた位置で待機することになる。そうすると、プリント板w搬入後に、ラインセンサ2は、待機位置から走査開始位置まで移動する必要が生じてしまうため、検査時間が延びてしまう(ただ、ラインセンサ2の待機位置として、プリント板wを走査するルートは使用できる。)。そこで、図4の左側を除くと、図4の右の下から開始するか、上から開始するかになるが、いずれにするかは、副走査ルートの長さによって決定される(主走査ルートの長さは既に決まっている。)。これらの決定にあたっては、上記のようにユーザインタフェース29の入力を受けても良いが、自動で行う場合は、走査ルート決定手段32が、一歩、先まで仮に概算計算しつつ、次々と、ルートが短くなる走査開始方向、副走査ルートを決定していく。例えば、走査ルート決定手段32は、走査ルートR1の上、と下の双方について開始したとして、走査ルートR1,R2,R3まで仮の概略距離計算を行う。その仮計算のとき、走査ルートR1からR2に渡るときも走査ルートR2の上からと下からの双方について計算し、同様に走査ルートR3まで計算する(つまり、副走査ルートR12とR23の方向を変えて計算してみる。)。次に、それらの組み合わせの各ルートを比較して短いルートの走査ルートR1の開始方向を決定する。同様に走査ルートR4までの概略計算した結果から走査ルートR2を上から走査するか下から走査するかを決定する(つまり、副走査ルート12を決定する。)。以下、同様に、次々と各走査ルートの開始方向(つまりは、走査ルート間の結合方向)を決定することで、全ルートが決定できる。これは一例であって、例えば、走査ルートR1のスタートは右側の下から行うと決めて置いて、他は、上記のように概略計算で走査ルートを決定してもよい。また、より簡単な例としては、同様に、走査ルートR1のスタートは右側の下から行うと決めて置いて、認識マークを含む走査ルート1の終了位置から、次の走査ルート2の上下の最も近い方を算出して次の走査ルート2の開始位置として決定(つまり副走査ルート12の決定)しても良い。
【0049】
図5は、図4のプリント板wの中間にマーク3があり、図4の測定ルートR34に代わって、図5で、R34a、R34ab、R34bが追加された例である。この場合は、走査ルートのR34abが走査されたところで、2つめのマーク(マーク1とマーク3)が検出されるので、その時点からR1,R2,R3の測定位置が校正され、検査が開始される。マーク1とマーク3の2つの測定位置で、マーク3からマーク2の間の位置の校正精度がとれるのであれば、そのままR4,R5,R6も校正し、検査を行っても良い。マーク2の測定位置が無ければ、マーク3−マーク2間の精度がとれない場合は、R4,R5,R6の測定位置の校正は、マーク2が走査されて、測定された後に行うと良い。
【0050】
測定部25の走査制御部25aでは、制御手順記憶手段33からの走査対象とするプリント板wの走査ルートの手順とその詳細座標位置を基に、走査機構1の主走査機構11と副走査機構3をシーケンシャルに制御する情報、つまり、各ルートにおける速度、加速度、移動方向、移動時間(移動距離)等を生成して、その生成したシーケンシャル制御情報を基に制御する。
【0051】
[検査装置]
次に図1を基にプリント板検査装置全般について説明する。
【0052】
図1において測定部25は、上記したように、制御手順記憶手段33からプリント板wの測定範囲についての走査ルートを含む走査の手順を受けて、ラインセンサ2を相対的に測定範囲を走査させ、高さ方向の変位を含む測定値を取得する。ラインセンサ2は、三角測量によるレーザ変位計の例であって、プリント板wに対して移動機構部5によって相対的に走査されながら、レーザを照射可能なレーザ光源と、プリント板wからの反射光を受光する受光手段からなり、測定範囲、例えば、はんだが印刷されたはんだ箇所の変位、つまり印刷はんだ箇所の高さ(Z軸方向)をその印刷はんだ箇所の位置と対応づけて測定し、デジタルデータに変換して測定値記憶手段26に記憶させる。
【0053】
このとき、位置校正手段25bは、主走査が2つのマーク位置を検出したことが、検知手段25cにより検知された後は、測定された2つのマーク位置の座標により、各測定値における測定位置を校正し、校正された測定位置とその変位を示す測定値を測定値記憶手段26に送り記憶させる。
【0054】
検査部35は、測定値記憶手段26,データ生成手段27及び判定手段28を有する。測定値記憶手段26は、上記のように校正された測定位置における変位を示すデータを記憶している。そして、検知手段25cが2つめのマーク位置を検知した後に、その検知結果を受けて、位置校正手段25bにより校正された測定位置における測定値を基に、データ作成、判定等の動作を開始する。
【0055】
データ生成手段27は、記憶手段26から校正された測定位置における測定値を受けて(これ以降に記載の測定位置(或いは、はんだ箇所)は、校正されているものとする。)、フィルタ、はんだブリッジやはんだパターンエッジ等の繊細パターンを識別する感度を示す数々の所定の画像パラメータ値を基に、測定値を各印刷はんだ箇所(位置)の印刷はんだ量を表す判定用データに加工処理する。また、データ生成手段27は、その判定用データとして印刷はんだ箇所における高さ、面積及び/又は体積等を生成するための演算を行う手段等を有している。この判定用データとして、印刷はんだ箇所におけるはんだ量を表す要素となるデータであって、その種類としてはそれぞれのはんだ箇所の高さ、面積、体積、欠損(存在すべきはんだ量が無い状態の検出)、欠損、位置ズレ、ブリッジ、高さムラ等を出力する。なお、プリント板の良否を判定するには上記の判定用データの全てを必要とするとは限らないが、高さ、面積、体積、欠損、位置ズレ、ブリッジ、高さムラの内、少なくともいずれか1つは不可欠である。
【0056】
なお、データ生成手段27は、はんだ状態を面積や体積等に換算して評価するためのものであり、単純に高さだけで評価する場合は、無くてもよい。ただし、この場合、後記する基準データは、高さについての基準データであり、判定手段28は、はんだ状態の高さについて、良否判定を行うことになる。
【0057】
判定手段28は、はんだ箇所毎に、測定値から生成された判定用データと、予め設計情報記憶手段30に記憶されている同一はんだ箇所の基準データとを比較し、良否判定を行う。
【0058】
表示制御手段29bは、判定手段28による判定結果を、判定したはんだ箇所を介して設計情報記憶手段30に記憶されているレイアウト(プリント板wの配置、寸法、はんだ位置)に対応付けて表示手段29cへ表示させる。例えば、レイアウトにおける測定範囲のどの箇所が不良(NG)と判定された箇所を視覚的に明示できる。
【0059】
設計情報記憶手段30は、上記判定用データと同じ種類の設計値、つまり、はんだ箇所の高さ、面積、体積、欠損、位置ズレ、ブリッジ、高さムラについての設計値を基準データとして記憶している。さらに、設計情報記憶手段30は、検査対象とするプリント板wの種類毎にレイアウト(プリント板wの配置図、寸法、はんだ位置等)を記憶し、検査開始のときは、プリント板の種類リストを表示手段29cに表示し、操作手段29aで選択可能にされている。
【0060】
ユーザインタフェース29は、表示制御手段29b、表示手段29c及び、操作手段29aで構成されるが、その主要動作について上記した通りである。
【0061】
上記構成における、投影範囲算出手段31、走査ルート決定手段32、測定部25、走査制御部25a、位置校正手段25b、検知手段25c、データ生成手段27、判定手段28、表示制御手段29bは、CPU及びそのCPUに上記説明の機能を動作させるためのプログラムを記憶したメモリ(ROM)、及び上記機能動作過程でデータを貯えるメモリ(RAM)等で構成される。設計情報記憶手段30、制御手順記憶手段33及び測定値記憶手段26はメモリで構成され、CPUで管理される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態の機能構成を示す図である。
【図2】プリント板上の測定範囲を設計基準情報としてのレイアウトからX軸及びY軸への投影、及び走査範囲を説明するための図である。
【図3】走査ルートを説明するための図である。
【図4】走査ルートの変形例を説明するための図である。
【図5】走査ルートの他の変形例を説明するための図である。
【図6】走査機構の副走査機構の例を示す図である。
【図7】走査機構の主走査機構の例を示す図である。
【図8】従来の走査手順を説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
1 走査機構部、2 ラインセンサ、3 副走査機構、3a 支持体、
3b X軸モータ、3c レール、4 搬送装置、5 搬送ベルト、
6 プーリ、7 搬送モータ、8 ストッパ、9 クランパ、10 突き当て板、
11 主走査機構、11a 支持体、11b Y軸モータ、11c レール、
25 測定部、25a 走査制御部、25b 位置校正手段、25c 検知手段、
26 測定値記憶手段、27 データ生成手段、28 判定手段、
29 ユーザインタフェース、29a 操作手段、29b 表示制御手段、
29c 表示手段、30 設計情報記憶手段、31 投影範囲算出手段、
32 走査ルート決定手段、32a 走査範囲決定手段、33 制御手順記憶手段、
35 検査部、36 走査ルート形成手段、w プリント板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ印刷がなされ、かつ複数の基準位置を示すマークが付されたプリント板の表面をX軸方向の長さLに亘って光を照射して該表面からの反射光を受けるラインセンサ(2)と、前記プリント板と該ラインセンサとを相対的に前記X軸方向と略直交するY軸方向と平行に前記主走査させる主走査機構(11)と、前記X軸方向側に次の主走査位置を、前記長さLを基に所定距離[L―δ](ただし、0≦δ≪L)づつ主走査毎に変更させる副走査を行う副走査機構(3)と、前記主走査機構及び副走査機構を走査制御して取得した前記ラインセンサの出力からその測定位置における変位を測定値として出力する測定部(25)と、該測定値を基に前記プリント板のはんだ状態を検査する検査部(35)とを備えたプリント板検査装置において、
予め、測定対象とする前記プリント板について、該プリント板内で前記はんだ印刷された領域及び基準位置を示す複数のマークが付された領域をX−Y直交座表系で表した基板設計情報を受けて、前記主走査すべき測定領域を決定するとともに、その測定領域の全部を主走査するための走査ルート情報を形成する走査ルート形成手段(36)、を備え、さらに
前記測定部は、
生成された走査ルート情報に基づいて前記主走査機構及び副走査機構を制御する走査制御部(25a)と、
前記主走査機構が少なくとも2つの前記マークが付された領域を走査したことを検知して前記検査部に対して通知することにより、前記走査制御部による残りの主走査に拘わらず前記検査部に検査動作を開始させる検知手段(25c)と、を備えたプリント板検査装置。
【請求項2】
前記走査ルート形成手段は、
前記プリント板について、該プリント板内で前記はんだ印刷された領域及びマークされた領域を含む1つもしくは複数の測定領域をX−Y直交座表系で表した基板設計情報を受けて、該測定領域を前記X軸に投影したときのX軸投影範囲と、前記Y軸に投影したときのY軸投影範囲を算出する投影範囲算出手段(31)と、
該X軸投影範囲と所定距離[L―δ]とから、全測定領域を測定するための主走査回数及び各主走査回の前記X軸方向の主走査位置を決定し、かつ、各主走査回におけるY軸方向の主走査範囲を前記Y軸投影範囲から決定する主走査範囲決定手段(32a)とを有し、決定された前記主走査範囲の全部を走査するためのルートの位置を示す位置情報、及び方向を含む走査ルート情報を生成する走査ルート決定手段(32)と、を備えた請求項1に記載のプリント板検査装置。
【請求項3】
前記走査ルート決定手段は、予め記憶されている前記マークが付された領域を含む設計上の特徴的な配置と、前記主走査範囲決定手段が求めた主走査位置とから、前記2つのマークが付された領域を主走査する主走査位置を特定し、これら2つの主走査を優先して走査する走査ルート情報を生成することを特徴とする請求項1又2に記載のプリント板検査装置。
【請求項4】
前記検知手段による少なくとも2つの前記マークが付された領域を走査したことを検知した通知を受けて、前記2つのマークの測定位置を基準として、前記主走査によって測定された各測定値の測定位置を校正する位置校正手段(25b)を備え、
前記検査部は、前記校正された測定位置における測定値に基づいて判定用データを生成し、該判定用データと、予め記憶されている設計上の位置の基準データであって、前記校正された測定位置と同じ位置の該基準データとを比較し、良否を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント板検査装置。
【請求項5】
プリント板をX軸方向の長さLに亘って光を照射して該表面からの反射光を受けるセンサ(2)と、前記プリント板と該センサとを相対的に前記X軸と直交するY軸方向と平行に前記主走査させる主走査機構(11)と、前記X軸方向側に次の主走査位置を前記長さLに基く所定距離[L―δ](ただし、0≦δ≪L)づつ主走査毎に変更させる副走査を行う副走査機構(3)と、を備えたプリント板検査装置の走査方法において、
検査前に、
検査対象とされる前記プリント板について、該プリント板内で前記はんだ印刷された領域及び基準位置を示す複数のマークが付された領域をX−Y直交座表系で表した基板設計情報を受ける段階と、
該基板設計情報を基に測定領域を前記X軸に投影したときのX軸投影範囲と、前記Y軸に投影したときのY軸投影範囲を算出する投影範囲算出段階と、
該X軸投影範囲と前記所定距離[L―δ]とから、全測定領域を測定するための主走査回数及び各主走査回の前記X軸方向の主走査位置を決定し、かつ、各主走査回におけるY軸方向の主走査範囲を前記Y軸投影範囲から決定する主走査範囲決定段階と、
決定された前記X軸方向の主走査位置及び前記Y軸方向の主走査範囲を基に前記副走査機構及び前記主走査機構を制御する手順を含む走査ルート情報を決定する走査ルート決定段階と、
検査時に、
前記走査ルート情報に従って副走査機構及び主走査機構を制御して、走査及び測定を実行する走査段階と、
前記走査段階の進行過程において、検知手段が2つのマークが主走査されて測定されたことを検知する検知段階と、
該検知段階で2つのマークが検知された後は、前記走査段階における残りの走査と並行して、少なくとも前記2つのマークの測定位置を基準として、前記主走査によって測定された各測定値の測定位置を校正する校正段階と、前記校正された測定位置における測定値に基づくデータと、予め記憶されている設計上の位置の基準データであって、前記校正された測定位置と同じ位置の該基準データとを比較し、良否を判定する検査段階と、を備えたことを特徴とするプリント板検査方法。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−38233(P2009−38233A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201842(P2007−201842)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】