説明

プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】接触現像方式を採用する画像形成装置において、安価な構成によって現像ローラの弾性層の削れを抑え、クリーニングブレードによる不具合の発生を抑制することが可能な画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像ローラ4aに接触するように設けられ、現像ローラ4aの回転軸方向におけるその長さが現像ローラ4aよりも短く構成され、現像ローラ4aの表面に担持されるトナーの層厚を規制する規制ブレード4c、及び感光ドラム1の表面を清掃するクリーニングブレード3aを有するプロセスカートリッジにおいて、現像ローラ4aの回転軸方向において、規制ブレード4cと現像ローラ4aとの第1接触領域よりも外側に位置する部分の外径が、トナー供給ローラ4bと現像ローラ4aとの第2接触領域内に位置する部分の外径よりも、小さくなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する画像形成装置及びこの画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回転可能な像担持体の表面に現像ローラを接触させて静電潜像をトナー像として現像する接触現像方式を採用する画像形成装置が知られている。接触現像方式では、像担持体の表面を傷つけないように、芯金の周りに弾性層を備えた現像ローラが用いられることが多い。しかし、このような現像ローラを用いた場合、像担持体表面との摺擦によって現像ローラの弾性層が削れ、これによって生じた削れ粉がクリーニングブレードの先端エッジ部に達することで、クリーニングブレードのびびり、捲れが生じてしまう。その結果、異音の発生、クリーニング不良等を招くことになり、ユーザの要求を満たす画像形成装置を提供することが困難になる。なお、現像ローラの弾性層の削れは、特に非トナーコート領域(現像ローラ両端部に形成されるトナーが供給されない領域)で発生しやすい。そこで従来より、接触現像方式を採用する画像形成装置において、現像ローラの弾性層の削れを抑える技術が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−143831号公報
【特許文献2】特開平1−191880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の技術には次の課題がある。現像ローラの弾性層の削れを抑えるために、弾性層の硬度を一様に高める場合、トナーコート領域に供給されているトナー粒子に対する圧力が高くなり、トナーの劣化が促進され、かぶりなどの画像不良が生じてしまう。また、特許文献2には、発泡弾性体の周りにシームレスチューブを形成した現像ローラを用いる技術が開示されているが、発泡弾性体をローラ状に形成することは困難であり、この方法では製造コストが増大してしまう。
【0005】
そこで本発明は、接触現像方式を採用する画像形成装置において、安価な構成によって現像ローラの弾性層の削れを抑え、クリーニングブレードによる不具合の発生を抑制することが可能な画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジにおいて、静電像が形成される像担持体と、軸部材とその周りに設けられた弾性層とを有し、トナーを担持した状態で前記像担持体の表面に対して周速差を持って接触して、前記静電像を現像する現像ローラと、前記現像ローラに接触するように設けられたトナー供給ローラと、前記現像ローラに接触するように設けられ、前記現像ローラの回転軸方向におけるその長さが前記現像ローラよりも短く構成され、前記現像ローラの表面に担持されるトナーの層厚を規制する規制部材と、前記像担持体に接触するように設けられ、前記像担持体の表面を清掃するクリーニングブレードと、有し、前記現像ローラは、前記回転軸方向において、前記規制部材によって規制されたトナーを担持した領域と、該トナーを担持した領域よりも外側に位置するトナーを担持していない領域とが、前記像担持体に接触するように
設けられ、前記クリーニングブレードは、前記像担持体に接触する際に、前記回転軸方向において、前記トナーを担持した領域と前記トナーを担持していない領域の両方に跨るように設けられ、前記軸部材は、前記回転軸方向において、前記規制部材と前記現像ローラとの第1接触領域よりも外側に位置する部分の外径が、前記トナー供給ローラと前記現像ローラとの第2接触領域内に位置する部分の外径よりも、小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するための画像形成装置としては、
静電像が形成される像担持体と、軸部材とその周りに設けられた弾性層とを有し、トナーを担持した状態で前記像担持体の表面に対して周速差を持って接触して、前記静電像を現像する現像ローラと、前記現像ローラに接触するように設けられたトナー供給ローラと、前記現像ローラに接触するように設けられ、前記現像ローラの回転軸方向におけるその長さが前記現像ローラよりも短く構成され、前記現像ローラの表面に担持されるトナーの層厚を規制する規制部材と、前記像担持体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写装置と、前記像担持体に接触するように設けられ、前記像担持体の表面を清掃するクリーニングブレードと、を有し、前記現像ローラは、前記回転軸方向において、前記規制部材によって規制されたトナーを担持した領域と、該トナーを担持した領域よりも外側に位置するトナーを担持していない領域とが、前記像担持体に当接するように設けられ、前記クリーニングブレードは、前記像担持体に接触する際に、前記回転軸方向において、前記トナーを担持した領域と前記トナーを担持していない領域の両方に跨るように設けられ、前記軸部材は、前記回転軸方向において、前記規制部材と前記現像ローラとの第1接触領域よりも外側に位置する部分の外径が、前記トナー供給ローラと前記現像ローラとの第2接触領域内に位置する部分の外径よりも、小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接触現像方式を採用する画像形成装置において、安価な構成によって現像ローラの弾性層の削れを抑え、クリーニングブレードによる不具合の発生を抑制することが可能な画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】トナーコート領域、及び非トナーコート領域を示す概略図。
【図3】本発明の実施形態における現像ローラの概略断面図。
【図4】本発明のプロセスカートリッジの概略断面図。
【図5】現像ローラと像担持体との当接部の様子を表した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
[実施形態]
図1〜図3を参照して、本発明を適用可能な実施形態について説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式を採用するレーザビームプリンタである。
【0012】
(1:画像形成装置の概略構成図)
図1(a)を参照して、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図1(a)は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0013】
画像形成装置は、不図示の駆動源によって図中矢印方向に回転可能な感光ドラム1(像担持体)を有している。感光ドラム1の周りには、感光ドラム1の回転方向に沿って順に、帯電ローラ2、現像装置40、転写ローラ(転写装置)6、クリーニング装置3が設けられている。また、感光ドラム1の上方には、感光ドラム1表面をレーザ光によって走査露光する露光装置5が設けられている。
【0014】
かかる構成によると、まず帯電ローラ2に帯電電圧が印加されることにより、感光ドラム1表面がトナーと同極性に一様に帯電し、帯電した表面を露光装置5が走査露光することにより、感光ドラム1表面に静電潜像(静電像)が形成される。その後、静電潜像に対して現像装置40からトナーが供給されることで静電潜像がトナー像として現像され、このようにして現像されたトナー像が、感光ドラム1と転写ローラ6とで形成される転写ニップ部において被転写体としてのシート材上に転写される。トナー像が転写されたシート材は、定着装置7に搬送され、定着装置7でトナー像が定着されたシート材は、装置本体上部の排出部8に排出される。また、シート材は給送カセット9に複数積載可能であって、画像形成が開始されると、給送カセット9から給送ローラ10、搬送ローラ11等を経て、タイミングが図られてシート材が1枚ずつ転写ニップ部に搬送される。なお、本実施形態の画像形成装置では、被転写体としてシート材を用いているが、これ以外にも、フルカラー画像形成装置などに用いられる中間転写体(中間転写ベルトなど)を用いることも出来る。
【0015】
トナー像を転写後、感光ドラム1表面には、シート材上に転写しきれなかったトナーが残っている(以下、残留トナーと称する)。そこで画像形成装置には、感光ドラム1表面を清掃して、このような残留トナーを感光ドラム1表面から除去するためのクリーニング装置3が設けられている。クリーニング装置3は、ウレタンゴムやシリコンゴムをブレード状にしたクリーニングブレード3a、及び廃トナー容器3bを有しており、クリーニングブレード3aの先端エッジ部が感光ドラム1表面に当接している。かかる構成によると、回転状態にある感光ドラム1表面にカウンタ方向からクリーニングブレード3aが当接(接触)することで、クリーニングブレード3aの先端エッジ部において、残留トナーを感光ドラム1表面から掻き落す(除去する)ことができる。また、掻き落されたトナーは廃トナー容器3bに収容可能であり、収容されたトナーは次工程以降の画像形成プロセスに再度供することができる。なお、上述した感光ドラム1と帯電ローラ2と現像装置40とクリーニング装置3とは、図4のように一体となってプロセスカートリッジ50を構成し、装置本体60に対して、図中の矢印の方向に着脱可能な構成としても良い。なお、帯電ローラ2は、本プロセスカートリッジ50と一体とせずに、装置本体60側に固定するように配置しても良い。
【0016】
(2:現像装置の概略構成)
図1(b)を参照して、本実施形態における現像装置40の概略構成について説明する。図1(b)は、本実施形態における現像装置40の概略構成図である。本実施形態における現像装置40は、非磁性一成分の負帯電性のトナーを収容する、非磁性一成分接触現像方式の現像装置である。
【0017】
現像装置40は、表面にトナーを担持し、感光ドラム1表面に接触して感光ドラム1表面にトナーを供給する円筒状の現像ローラ4aと、現像ローラ4a表面に接触して現像ローラ4a表面にトナーを供給するトナー供給ローラ4bとを備えている。現像ローラ4aは、現像装置40枠体に形成された開口部から露出し、感光ドラム1表面に接触している。さらに現像装置40は、現像ローラ4a表面に接触し、現像ローラ4a表面に供給されているトナーの層厚を規制する規制ブレード(規制部材)4cを備えている。
【0018】
現像ローラ4aは、不図示の電源に接続される導電性を有する芯金(軸部材)4a1と、芯金4a1の周りに形成されているNBR層(弾性層)4a2とを備え、NBR層4a2の表面はアクリル・ウレタン系ゴムがコートされている。現像ローラ4a全体は、φ16の外径を有している。また、現像ローラ4a表面には粗し粒子として、アクリル樹脂粒子が分散されており、これによって現像ローラ4a表面の表面粗さはRzjis=10μmに設定されている。また、現像ローラ4aの体積抵抗値は1.0×10Ω・cmに設定されている。この構成により、不図示の電源から芯金4a1に現像電圧が印加されることにより、現像ローラ4a表面から感光ドラム1表面に対してトナーを静電気的に供給することが可能になる。なお、トナーを確実に感光ドラム1表面に供給すべく、現像ローラ4aの回転速度(表面の周速)は、感光ドラム1の回転速度(表面の周速)よりも速くなるように設定されている。すなわち、現像ローラ4aは、その表面にトナーを担持した状態で、感光ドラムの表面に対して周速差を持って接触している。本実施形態においては、現像ローラの周速は、感光ドラムの周速に対して140%の周速差となるように設定されている。周速差は勿論この値に限定されるものではなく、装置構成に合わせて適宜設定(たとえば100〜200%程度の範囲)を行えば良い。
【0019】
トナー供給ローラ4bは、φ12のウレタンスポンジローラであり、φ6の導電性を有する芯金4b1と、芯金4b1の周りに形成され、連続気泡体からなるウレタンスポンジ層4b2とを備えており、現像ローラ4aと同一方向に回転可能に設けられている。この構成により、現像装置40に収容されているトナーをトナー供給ローラ4b表面から現像ローラ4a表面に供給することができる。また、感光ドラム1表面に供給されずに現像ローラ4a表面に残ったトナーをトナー供給ローラ4bによって剥ぎ取ることができる。
【0020】
規制ブレード(規制部材)4cは、リン青銅によって形成されたブレード部材であって、現像装置40の枠体に支持されている。回転状態にある現像ローラ4a表面に対して、規制ブレード4cを接触させ、摺動させることにより、現像ローラ4a表面に供給されたトナーの層厚を薄層に規制(コーティング)することができる。なお、規制ブレード4cに適用可能な材料としては、リン青銅の他、弾性を有する薄板金属やゴム部材が挙げられる。
【0021】
上記構成に加え、現像装置40には、枠体の開口部から露出する現像ローラ4aと開口部との間の隙間を塞ぐ端部シール(不図示)が設けられている。これにより、現像装置40の開口部からトナーがこぼれ出ることを防止している。
【0022】
(3:現像ローラ、トナー供給ローラ、規制ブレード、及び端部シールの寸法)
図2を参照して、現像ローラ4a、トナー供給ローラ4b、規制ブレード4c、クリーニングブレード3aの、現像ローラ4aの回転軸方向における寸法について説明する。
【0023】
一般的に現像ローラの回転軸方向の寸法において、トナー供給ローラ、規制ブレードの寸法は、現像ローラの寸法よりも短く設定されており、現像ローラの軸方向両端には、トナー供給ローラ、及び規制ブレードと接触しない「非トナーコート領域(トナーを担持していない領域)」が形成されている。「非トナーコート領域」を形成する目的は次の通りである。すなわち、仮に、トナー供給ローラの寸法が現像ローラの寸法よりも同一以上であって、「非トナーコート領域」が形成されない場合、現像ローラ表面で担持しきれないトナーが発生し、これらのトナーが現像ローラ、及び現像装置から漏れるといった現象が起こる。この場合、漏れ出たトナーによって、プリント画像や画像形成装置本体が汚されてしまう。そこで、かかる問題を防止するために、トナーの供給量に関わらず、現像ローラ表面でトナーを確実に担持する構成が必要となる。すなわち、「非トナーコート領域」を意図的に形成することで、現像ローラ表面でトナーを確実に担持できるようにし、現像ローラ、及び現像装置からトナーが漏れるといった問題を防止している。このように「非
トナーコート領域」は、トナーの漏れを防ぐといった観点から必要不可欠な構成といえる。
【0024】
そこで本実施形態では、現像ローラ4aの軸方向における寸法において、現像ローラ4aよりも規制ブレード4cの寸法が短く、規制ブレード4cよりもトナー供給ローラ4bの寸法を短くしている。すなわち、現像ローラ4aの軸方向における寸法が、現像ローラ4a>規制ブレード4c>トナー供給ローラ4bとなるように構成されている。また、クリーニングブレード3aの寸法は、現像ローラ4aの回転軸方向における寸法において、現像ローラ4aと略同一に設定されている。
【0025】
具体的には、図2に示すように、トナー供給ローラ4bを基準とすると、現像ローラ4aは両端がそれぞれ8mmずつ、規制ブレード4cは両端がそれぞれ3mmずつ突出している。また、クリーニングブレード3aは、現像ローラ4aと略同一の寸法である。この構成によると、現像ローラ4aの軸方向両端には、それぞれ5mm幅の非トナーコート領域(斜線部)が形成される。なお、本実施形態では、現像ローラ4a表面において、規制ブレードと接触することで層厚が規制されたトナーが担持された領域を「トナーコート領域(トナーを担持した領域)」とする。トナーを担持していない領域は、トナーを担持した領域よりも回転軸方向における外側にある。また、クリーニングブレード3aの回転軸方向の寸法は、感光ドラム1の寸法よりも短くなっている。そして、クリーニングブレード3aは、感光ドラム1に接触する際に、回転軸方向において、トナーを担持した領域とトナーを担持していない領域の両方に跨るように設けられている。
【0026】
(4:現像ローラの弾性層の削れを抑える構成)
上述したように、現像ローラ4aの弾性層4a2の表面は、特に非トナーコート領域において感光ドラム1表面との摺擦により削れてしまい、これがクリーニング不良、画像不良につながってしまう。非トナーコート領域では、感光ドラムとの間で潤滑剤の役割を果たすトナーが表面に存在しないため、感光ドラムと現像ローラ表面との間で摩擦力が大きくなり、削れが顕著になる。そして、感光ドラムと現像ローラとの間に周速差がある場合には、両者間での摩擦力がより大きくなる為、削れが一層顕著となる。そこで本実施形態では、非トナーコート領域における弾性層4a2表面の削れを極力減らすべく、現像ローラ4aの硬度を、トナーコート領域よりも非トナーコート領域で低く(小さく)していることを特徴とする。
【0027】
具体的には、トナーコート領域に対応する部分の芯金4a1の径よりも、非トナーコート領域に対応する部分の芯金4a1の径の方が小さくなるように芯金4a1の径を変更している。これによれば、非トナーコート領域において、現像ローラ4aの弾性層4a2の表面にかかる回転方向のストレスを低減することができるので、非トナーコート領域における弾性層4a2の削れを減らすことが可能になる。この理由を、図5を用いて更に説明する。図5(a)は、非トナーコート領域において芯金径が太い場合における断面図である。図5(b)は、非トナーコート領域において芯金径が細い場合における断面図である。非トナーコート領域において、図5(a)のように太い芯金4a1を用いた場合、弾性層4a2の厚みは薄く、硬度が高くなる。その結果、周速差によって現像ローラ4a2の表面が感光ドラム1から大きな摩擦抵抗を受けた際には、その周方向の力を表層部が逃げ
ることなく受けるため、削れが生じ易い。一方、本実施例の図5(b)のように芯金4a1の径を細くした場合、弾性層4a2の厚みが厚くなり、硬度が低くなる。その結果、現像ローラ表面が感光ドラム1から大きな摩擦抵抗を受けた際には、図のように、弾性層4a2がニップ部4a3より回転方向上流側に向けて逃げるように変形する。これにより周方向にかかる過大なストレスが、この変形により緩和されるため、削れを抑制することができる。なお、トナーコート領域では、太い芯金を用いているため、現像ローラ4aの硬度は十分に保たれている。これにより、現像ローラ4a表面と感光ドラム1表面とが十分
な接触圧を以って接触しているので、現像ローラ4a表面から感光ドラム1表面へ確実にトナーを供給することができる。また、トナーコート領域ではトナーが緩衝剤(潤滑剤)として作用するので、弾性層4a2の削れ量は微小となる。
【0028】
(5:芯金の寸法)
図3を参照して、本実施形態における芯金4a1の寸法について説明する。図3は、現像ローラ4aを、軸心を通る断面であって、かつ軸方向と平行な断面で見た場合の概略断面図である。規制ブレード4cと現像ローラ4aとの接触部は、回転軸方向において第1接触領域を形成している。この第1接触領域によりトナーの層厚が規制され、トナーコート領域が形成される。このトナーコート領域よりも外側には、非トナーコート領域が隣接して形成される。また、供給ローラ4bと現像ローラ4aとの接触部は、回転軸方向において第2接触領域を形成している。この第2接触領域において、現像ローラは供給ローラからトナーの供給を受ける。本実施例においては、第1接触領域よりも外側の領域(非トナーコート領域)に位置する芯金の外径が、第2接触領域内に位置する芯金の外径よりも小さくなるように構成されている。つまり、表層削れが生じやすい非トナーコート領域では、芯金径を小さくしてローラ硬度を低下させる。一方、供給ローラ4bや感光ドラム1からの押圧力を受ける第2接触領域では、押圧力による芯金の撓みを防止して安定した軸方向形状を保つために、芯金径を太くしている。
【0029】
<実施例1(図3(a))>
本実施例では、芯金4a1の径が、トナーコート領域ではφ10、非トナーコート領域ではφ6である。これによると、現像ローラ4aの硬度は、第2接触領域では85度、非トナーコート領域では55度であった。本実施形態では、第2接触領域における現像ローラ4aの硬度の上限を85度としている。85度よりも大きくなってしまうと、トナーコート領域においてトナーに過度のストレスが作用し、トナーの劣化が促進されてしまう。その結果、画像不良を招く虞がある。なお、現像ローラ4aの硬度は、高分子計器株式会社製のアスカー硬度計C型を用いて測定した値である(以下同じ)。
【0030】
<実施例2(図3(b))>
本実施例では、実施例1と同様に、芯金4a1の径が、第1接触領域ではφ10、非トナーコート領域ではφ6である。これによると、実施例1と同様に、現像ローラ4aの硬度が第1接触領域では85度、非トナーコート領域では55度であった。
【0031】
<実施例3(図3(c))>
本実施例では、芯金4a1の径が、トナーコート第2接触領域ではφ10、非トナーコート領域ではφ6である。しかし実施例1、2がトナーコート領域と非トナーコート領域とを段差形状で接続しているのに対して、本実施例では端部方向に沿って径が徐々に狭まるテーパ形状によって両者が接続されている点を特徴とする。なお、現像ローラ4aの硬度は、第2接触領域では85度、非トナーコート領域では55度であった。
【0032】
<実施例4(図3(d))>
本実施例では、芯金4a1の径が、第2接触領域ではφ10、非トナーコート領域ではφ4である。すなわち、実施例1〜3と比較すると、非トナーコート領域における芯金4a1の径をより小さくしている。これによると、現像ローラ4aの硬度は、第2接触領域では85度、非トナーコート領域では40度であった。
【0033】
<実施例5(図3(e))>
本実施例では、芯金4a1の径が、第2接触領域ではφ10、非トナーコート領域ではφ8である。すなわち、実施例1〜3と比較すると、非トナーコート領域における芯金4a1の径をより大きくしている。これによると、現像ローラ4aの硬度は、第2接触領域
では85度、非トナーコート領域では70度であった。
【0034】
(6:評価結果)
本実施形態の効果を検証すべく、上記実施例1〜実施例5の効果と、以下に示す比較例1、2の効果とを比較した。
【0035】
<比較例1>
本比較例は、芯金の径がφ10であり、現像ローラの軸方向に沿って芯金の径が変化しない現像ローラを用いている。また、現像ローラの硬度は、現像ローラの軸方向に沿って一様に85度であった。
【0036】
<比較例2>
本比較例は、芯金の径がφ4であり、現像ローラの軸方向に沿って芯金の径が変化しない現像ローラを用いている。また、現像ローラの硬度は、現像ローラの軸方向に沿って一様に40度であった。
【0037】
実施例1〜実施例5に示した現像ローラ4aと、比較例1、比較例2に挙げた現像ローラとをそれぞれ用いて、25℃の環境下で約3000枚のプリントを行った場合の評価結果を下表に示す。
【表1】

【0038】
表に示すように、実施例1〜実施例3では、評価実験終了後の現像ローラ4a表面を観察したところ、トナーコート領域、及び非トナーコート領域ともに弾性層4a2の削れは見られなかった。また、評価実験を通して画像不良は生じなかった。このように実施例1〜実施例3では、芯金4a1において非トナーコート領域に相当する部分の径を小さくしたことで、非トナーコート領域において弾性層4a2にかかる周方向のストレスを軽減でき、弾性層4a2の削れを抑えることができたものと考えられる。また、同様に実施例4においても、弾性層4a2の削れと画像不良の発生を抑えることができた。
【0039】
実施例5では、評価実験終了後の現像ローラ4a表面を観察したところ、非トナーコー
ト領域において、許容範囲ではあるが僅かに弾性層4a2の削れを確認できた。また、評価実験を通して画像不良は生じなかった。実施例5では、実施例1〜実施例4と比較すると、非トナーコート領域における現像ローラ4aの硬度が高いので、それによって僅かながら弾性層4a2の削れが生じたものと考えられる。このことから、非トナーコート領域における現像ローラ4aの硬度は、70度以下が望ましいといえる。
【0040】
一方、比較例1では、プリント枚数が約1000枚の時点で縦スジ状の画像不良が発生し、約1500枚の時点ではクリーニングブレードの捲れが生じた。また、評価実験終了後の現像ローラ表面を観察したところ、非トナーコート領域において弾性層の削れが見られた。比較例1では非トナーコート領域における現像ローラの硬度が高いので、それによって弾性層の削れが生じ、クリーニングブレードの捲れ、画像不良が発生したものと考えられる。
【0041】
比較例2では、弾性層の削れは見られなかったものの、プリントされた画像の中央部で濃度が低下する、濃度不均一の画像不良が発生した。この現象を詳しく観察すると、比較例2では、現像ローラの硬度が軸方向全体にわたって低く、現像ローラの撓みによって、特に中央部において現像ローラが感光ドラム表面に対して接触していないことが確認できた。これが画像不良の原因と考えられる。一方で、非トナーコート領域における現像ローラの硬度が低いために、弾性層の削れは生じなかったものと考えられる。
【0042】
以上より、本実施形態によれば、トナーコート領域と非トナーコート領域とで芯金4a1の径を変える、といった比較的安価な構成によって、非トナーコート領域における弾性層4a2の削れを抑えることが可能になる。よって、削り粉がクリーニングブレードの先端エッジ部に達することで生じる異音の発生、クリーニング不良等を招くことなく、ユーザの要求を満たす画像形成装置を提供することが困難になる。また、トナーコート領域では現像ローラ4aが十分な硬度を有しているので、トナーを確実に感光ドラム1表面に供給でき、良好な画像品質を得ることができる。
【0043】
つまり本実施形態によれば、接触現像方式を採用する画像形成装置において、安価な構成によって現像ローラの弾性層の削れを抑え、クリーニングブレードによる不具合の発生を抑制することが可能な画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
1…感光ドラム 3…クリーニング装置 3a…クリーニングブレード 4a…現像ローラ 4a1…芯金 4a2…弾性層 4b…トナー供給ローラ 4c…規制ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジにおいて、
静電像が形成される像担持体と、
軸部材とその周りに設けられた弾性層とを有し、トナーを担持した状態で前記像担持体の表面に対して周速差を持って接触して、前記静電像を現像する現像ローラと、
前記現像ローラに接触するように設けられたトナー供給ローラと、
前記現像ローラに接触するように設けられ、前記現像ローラの回転軸方向におけるその長さが前記現像ローラよりも短く構成され、前記現像ローラの表面に担持されるトナーの層厚を規制する規制部材と、
前記像担持体に接触するように設けられ、前記像担持体の表面を清掃するクリーニングブレードと、
を有し、
前記現像ローラは、前記回転軸方向において、前記規制部材によって規制されたトナーを担持した領域と、該トナーを担持した領域よりも外側に位置するトナーを担持していない領域とが、前記像担持体に接触するように設けられ、
前記クリーニングブレードは、前記像担持体に接触する際に、前記回転軸方向において、前記トナーを担持した領域と前記トナーを担持していない領域の両方に跨るように設けられ、
前記軸部材は、前記回転軸方向において、前記規制部材と前記現像ローラとの第1接触領域よりも外側に位置する部分の外径が、前記トナー供給ローラと前記現像ローラとの第2接触領域内に位置する部分の外径よりも、小さくなるように構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記トナー供給ローラは、前記回転軸方向におけるその長さが、前記規制部材よりも短くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記軸部材は、前記第1接触領域よりも外側に位置する部分と前記第2接触領域内に位置する部分とが、段差形状によって接続されるよう構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記軸部材は、前記第1接触領域よりも外側に位置する部分と前記第2接触領域内に位置する部分とが、テーパ形状によって接続されるよう構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
静電像が形成される像担持体と、
軸部材とその周りに設けられた弾性層とを有し、トナーを担持した状態で前記像担持体の表面に対して周速差を持って接触して、前記静電像を現像する現像ローラと、
前記現像ローラに接触するように設けられたトナー供給ローラと、
前記現像ローラに接触するように設けられ、前記現像ローラの回転軸方向におけるその長さが前記現像ローラよりも短く構成され、前記現像ローラの表面に担持されるトナーの層厚を規制する規制部材と、
前記像担持体に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写装置と、
前記像担持体に接触するように設けられ、前記像担持体の表面を清掃するクリーニングブレードと、
を有し、
前記現像ローラは、前記回転軸方向において、前記規制部材によって規制されたトナーを担持した領域と、該トナーを担持した領域よりも外側に位置するトナーを担持していない領域とが、前記像担持体に当接するように設けられ、
前記クリーニングブレードは、前記像担持体に接触する際に、前記回転軸方向において、前記トナーを担持した領域と前記トナーを担持していない領域の両方に跨るように設けられ、
前記軸部材は、前記回転軸方向において、前記規制部材と前記現像ローラとの第1接触領域よりも外側に位置する部分の外径が、前記トナー供給ローラと前記現像ローラとの第2接触領域内に位置する部分の外径よりも、小さくなるように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー供給ローラは、前記回転軸方向におけるその長さが、前記規制部材よりも短くなるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記軸部材は、前記第1接触領域よりも外側に位置する部分と前記第2接触領域内に位置する部分とが、段差形状によって接続されるよう構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記軸部材は、前記第1接触領域よりも外側に位置する部分と前記第2接触領域内に位置する部分とが、テーパ形状によって接続されるよう構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−158887(P2011−158887A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262468(P2010−262468)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】