説明

プロテインキナーゼ阻害活性を持つイミダゾール類、オキサゾール類及びチアゾール類

本発明は、式I:
【化1】


(ここで、R1、R2、A、G及びWは明細書に記載の通りである。)
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体を提供する。これらの化合物は、プロテインキナーゼの阻害剤、特に、細胞増殖、細胞死及び細胞外刺激に対する応答にかかわる哺乳類動物プロテインキナーゼであるJNK、Lck、Src及びオーロラキナーゼの阻害剤である。また、本発明は、これらの阻害剤の生産方法に関する。また、本発明は、本発明の阻害剤を含む製薬組成物並びにこれらの組成物を種々の障害の治療及び予防に使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテインキナーゼ、特に、マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼファミリーのメンバーであるc−Jun N−末端キナーゼ(JNK)、キナーゼのSrcファミリー(Lckを含む。)及びセリン/トレオニンキナーゼであるオーロラ(Aurora)ファミリー(オーロラ−2を含む。)のキナーゼの阻害剤に関する。JNK、Src、Lck及びオーロラ−2が多くの種々のヒトの疾病に係わってきた。本発明は、本発明による阻害剤を含む製薬組成物、並びにこれらの組成物をJNK、Src、Lck及び(又は)オーロラ−2キナーゼがその役割を果す種々の障害の治療及び予防に利用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ほ乳類細胞は、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、p38MAPキナーゼ及びc−JunN−末端キナーゼ(JNK)を含むマイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼファミリーの構成員によって仲介されるシグナル伝達カスケードを活性化させることにより細胞外の刺激に応答する。MAPキナーゼ(MAPK)は、成長因子、サイトカイン、UV照射及びストレス誘発剤を含む様々なシグナルによって活性化される。MAPKはセリン/トレオニンキナーゼであり、そしてそれらの活性化は、活性化ループ内のThr−X−Tyrセグメントでのトレオニンとチロシンの両方の燐酸化によって生じる。MAPKは転写因子を含む様々な基質を燐酸化し、そして次に特異的な遺伝子セットの発現を調節し、しかして刺激に対する特異的な応答を仲介する。
【0003】
一つの特に興味深いキナーゼファミリーは、JNKとしても知られているc−JunNH2末端プロテインキナーゼである。3種の別個の遺伝子であるJNK1、JNK2、JNK3が同定されており、そしてJNKの少なくとも10種の異なるスプライシングアイソフォームがほ乳類細胞に存在する[Gupta外,EMBO J.,15:2760−70(1996)]。JNKファミリーの構成員は、腫瘍壊死因子α(TNFα)及びインターロイキン−1β(IL−1β)のような前炎症性サイトカインによって、並びにアニソマイシン、UV照射、低酸素及び浸透圧衝撃を含めた環境ストレスによって活性化される[Minden外,Biochemica et Biophysica Acta,1333:F85−F104(1997)]。
【0004】
Jnkの下流の基質としては、転写因子c−Jun、ATF−2、Elk1、p53及び細胞死ドメイン蛋白質(DENN)が挙げられる[Zhang外,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:2586−91(1998)]。それぞれのJNKアイソフォームは、これらの基質に異なる親和性で結合するが、これは生体内での異なるJNKの基質特異性によるシグナル伝達経路の調節を示唆する[Gupta外,前記]。
【0005】
JNKは、その他のMAPKと共に、癌に対する細胞応答、トロンビンによって誘導される血小板の凝集、免疫不全症、自己免疫疾患、細胞死、アレルギー、骨粗鬆症及び心臓疾患を仲介する際にある種の役割を果たすことが示唆されてきた。JNK経路の活性化に関連する治療上の標的としては、慢性骨髄性白血病(CML)、リウマチ様関節炎、喘息、変形性関節症、虚血、癌及び神経変性疾患が挙げられる。
【0006】
いくつかの報告書には、肝疾患又は肝臓虚血の症状と関連するJNK活性化の重要性が詳しく述べられている[Nat.Genet.21:326−9(1999)、FEBS Lett.420:201−4(1997)、J.Clin.Invest.102:1942−50(1998)及びHepatology 28:1022−30(1998)]。従って、JNKの阻害剤が様々な肝疾患を治療するために有用であり得る。
【0007】
また、心筋梗塞又は貧血性心不全のような心臓血管疾患におけるJNKについての役割も、JNKが様々な心臓ストレス形態に対する肥大性応答を仲介することを示したと報告されている[Circ.Res.83:167−78(1998)、Circulation 97:1731−7(1998)、J.Biol.Chem.272:28050−6(1997)、Circ.Res.79:162−73(1996)、Circ.Res.78:947−53(1996)及びJ.Clin.Invest.97:508−14(1996)]。
【0008】
また、JNKカスケードがIL−2プロモーターの活性化を含めたT細胞活性化にある種の役割を果たすことも示されている。従って、JNKの阻害剤は、病的免疫応答を変化させることに治療上の価値を有し得る[J.Immunol.162:3176−87(1999)、Eur.J.Immunol.28:3867−77(1998)、J.Exp.Med.186:941−53(1997)及びEur.J.Immunol.26:989−94(1996)]。
【0009】
また、様々な癌におけるJNK活性化についての役割も立証されたが、これは、JNK阻害剤を癌に使用することが可能であることを示唆している。例えば、構成的に活性化されたJNKは、HTLV−1仲介腫瘍形成に関与する[Oncogene 13:135−42(1996)]。JNKは、カポジ肉腫(KS)にある種の役割を果たし得る。なぜならば、KS細胞に及ぼすbFGFとOSMの増殖性の影響がそれらのJNKシグナル伝達経路の活性化によって仲介されると考えられるからである[J.Clin.Invest.99:1798−804(1997)]。また、血管内皮成長因子(VEGF)、IL−6及びTNFαのような、KS増殖に関わる他のサイトカインのその他の増殖性の影響もJNKによって仲介され得る。さらに、p210BCR−ABL形質転換細胞内でのc−jun遺伝子の調節がJNKの活性と対応することから、慢性骨髄性白血病(CML)のための治療におけるJNK阻害剤の役割が示唆される[Blood 92:2450−60(1998)]。
【0010】
JNK1及びJNK2は、様々な組織で広く発現する。対照的に、JNK3は、脳内並びにそれよりも少ない程度に心臓及び睾丸内で選択的に発現する[Gupta外,前記、Mohit外,Neuron 14:67−78(1995)及びMartin外,Brain Res.Mol.Brain Res.35:47−57(1996)]。JNK3は、カイニン酸によって誘導されるニューロンのアポトーシスに関連付けられてきたが、これは、グルタメート神経毒症状の病因におけるJNKの役割を示している。成人の脳内では、JNK3の発現は、海馬のCA1、CA4及び支脚領域内並びに新皮質の第3層及び第5層内の錐体神経の小集団に局在する[Mohit外,前記]。急性低酸素症の患者のCA1神経は、正常な患者の脳組織からの海馬神経の最小の拡散細胞質染色と比較して、強力な核JNK3免疫反応を示した[Zhang外,前記]。従って、JNK3は、海馬内のCA1神経の低酸素性及び虚血性損傷に関与していると思われる。
【0011】
さらに、JNK3は、アルツハイマー病で傷つきやすい神経と免疫化学的に共局在している[Mohit外,前記]。JNK3遺伝子の破壊は、発作活性、AP−1転写活性及び海馬神経のアポトーシスに及ぼす影響を含めて、興奮毒性グルタメート受容体アゴニストであるカイニン酸に対するマウスの抵抗性を生じさせたが、これは、JNK3シグナル伝達経路がグルタメート神経毒症状の病因に重要な要素であることを示している[Yang外,Nature,389:865−870(1997)]。
【0012】
これらの知見に基づき、JNKのシグナル伝達、特にJNK3のシグナル伝達は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、てんかん及び癇癪発作、ハンチントン病、外傷性脳損傷並びに虚血性及び出血性脳卒中のようなアポトーシス型神経変性の領域に関連付けられている。
【0013】
キナーゼのSrcファミリーは、癌、免疫系機能障害及び骨リモデリング疾患に関わっている。一般的な概要については、Thomas及びBruggeのAnnu.Rev.Cell Dev.Biol.13:513(1997)、Lawrence及びNiuのPharmacol.Ther.77:81(1998)、Tatosyan及びMizeninaのBiochemistry(モスクワ)65:49(2000)並びにBoschelli外のDrugs of the Future 2000,25(7):717(2000)を参照されたい。
【0014】
Srcファミリーの構成員としては、ほ乳類では次の8種のキナーゼ:Src、Fyn、Yes、Fgr、Lyn、Hck、Lck、Blk及びYrcが挙げられる。分子量が52〜62kDの範囲にある非受容体プロテインキナーゼが存在する。全てのものは、6個の別個の機能性ドメイン:Src相同ドメイン4(SH4)、ユニークドメイン、SH3ドメイン、SH2ドメイン、触媒ドメイン(SH1)及びC末端調節ドメインからなる共通する構造上の構成を特徴とする[Tatosyan外,Biochemistry(モスクワ)65:49−58(2000)]。
【0015】
公表された研究に基づけば、Srcキナーゼは、様々なヒトの疾患のための見込まれる治療上の標的であるとみなされる。Srcを欠失したマウスは、破骨細胞による抑制された骨吸収のために、骨石化又は骨の増強を示す。これは、異常なほど高い骨吸収に起因する骨粗鬆症がSrcを阻害することによって治療できることを示唆する[Soriano外,Cell,69:551(1992)及びSoriano外,Cell,64:693(1991)]。
【0016】
関節炎性骨破壊の抑制がリウマチ様滑膜細胞及び破骨細胞内でのCSKの過剰発現によって達成された[Takayanagi外,J.Clin.Invest.,104:137(1999)]。CSK又はC末端SrkキナーゼはSrcを燐酸化し、それによってSrcの触媒活性を阻害する。これは、Srcの阻害がリウマチ様関節炎にかかった患者に特徴的な関節の破壊を阻止できることを示唆する[Boschelli外,Drugs of the Future 2000,25(7):717(2000)]。
【0017】
また、Srcは、B型肝炎ウイルスの複製にもある種の役割を果たす。このウイルスにコードされた転写因子HBxは、該ウイルスの増殖にとって必要な段階でSrcを活性化させる[Klein外,EMBO J.,18:5019(1999)及びKlein外,Mol.Cell.Biol.,17:6427(1997)]。
【0018】
多数の研究がSrcの発現を結腸癌、乳癌、肝臓癌及び膵臓癌、ある種のB細胞性白血病及びリンパ腫のような癌に関連付けてきた[Talamonti外,J.Clin.Invest.,91:53(1993)、Lutz外,Biochem.Biophys.Res.243:503(1998)、Rosen外,J.Biol.Chem.,261:13754(1986)、Bolen外,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:2251(1987)、Masaki外,Hepatology,27:1257(1998)、Biscardi外,Adv.Cancer Res.,76:61(1999)、Lynch外,Leukemia,7:1416(1993)]。さらに、卵巣及び結腸の腫瘍細胞内で発現するアンチセンスSrcは、腫瘍の成長を抑制することが示された[Wiener外,Clin.Cancer Res.,5:2164(1999)及びStaley外,Cell Growth Diff.,8:269(1997)]。
【0019】
また、他のSrcファミリーのキナーゼも見込まれる治療上の標的である。Lckは、T細胞シグナル伝達においてある種の役割を果たす。Lck遺伝子を欠失したマウスは、胸腺細胞を生じさせる能力に乏しい。T細胞シグナル伝達の正の活性因子としてのLckの機能は、Lck阻害剤がリウマチ様関節炎のような自己免疫疾患を治療するのに有用であり得ることを示唆する[Molina外,Nature,357:161(1992)]。Hck、Fgr及びLynは、骨髄性白血病におけるインテグリンシグナル伝達の重要なメディエーターとして同定された[Lowell外,J.Leukoc.Biol.,65:313(1999)]。従って、これらのキナーゼメディエーターの阻害は、炎症を治療するのに有用であり得る[Boschelli外,Drugs of the Future 2000,25(7):717(2000)]。
【0020】
セリン/トレオニンキナーゼのオーロラ(Aurora)ファミリーは、細胞増殖にとって必須である[Bischoff,J.R.及びPlowman,G.D.外,Trends in Cell Biology,9:454−459(1999)、Giet外,Journal of Cell Science,112:3591−3601(1999)、Nigg Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2:21−32(2001)、Adams外,Trends in Cell Biology 11:49−54(2001)]。従って、オーロラキナーゼファミリーの阻害剤は、全ての腫瘍型の成長を阻害する可能性を有する。
【0021】
3種の知られたほ乳類ファミリーの構成員であるオーロラ−A(「1」)、B(「2」)及びC(「3」)は、染色体分離、有糸分裂の紡錘体機能及び細胞質分裂を担当する非常に相同的な蛋白質である。オーロラの発現は、静止細胞では低く又は検出できず、細胞周期を進行しつつある細胞では発現及び活性がG2期及び有糸分裂期中にピークに達する。ほ乳類細胞において挙げられるオーロラのための基質は、染色体の凝縮に関わる蛋白質であるヒストンH3及びCENP−A、ミオシンII調節軽鎖、プロテインホスファターゼ1を包含する。
【0022】
1997年に発見されて以来、ほ乳類のオーロラキナーゼファミリーは、腫瘍形成に密接に結びつけられてきた。これについての最も有力な証拠は、オーロラ−Aの過剰発現が齧歯類の繊維芽細胞を形質転換させることである[Bischoff外,EMBO J.,17:3052−3065(1998)]。このキナーゼの高いレベルを有する細胞は、複数の中心体及び多極紡錘体を含有し、且つ、迅速に異数体になる。このオーロラキナーゼの発癌活性は、おそらくこのような遺伝的不安定性の発生に関連付けられる。実際に、乳房腫瘍及び胃腫瘍におけるオーロラ−A部位の増幅と染色体の不安定性との間の相関関係が観察された[Miyoshi外,Int.J.Cancer,92:370−373(2001)及びSakakura外,British Journal of Cancer,84:824−831(2001)]。オーロラキナーゼは、広範囲のヒト腫瘍内で過剰発現することが報告されている。オーロラ−Aの高発現が結腸腫瘍[Bischoff外,EMBO J.,17:3052−3065(1998)及びTakahashi外,Jpn.J.Cancer Res.,91:1007−1014(2000)]、卵巣腫瘍[Gritsko外,Clinical Cancer Research,9:1420−1426(2003)]及び胃腫瘍[Sakakura外,British Journal of Cancer,84:824−831(2001)]の50%以上で検出され、そして浸潤性乳管線癌の94%で検出された[Tanaka外,Cancer Research,59:2041−2044(1999)]。また、高レベルのオーロラ−Aが腎臓、頸部、神経芽細胞腫、黒色腫、リンパ腫、膵臓及び前立腺の癌細胞系統で報告されている[Bischoff外,EMBO J.,17:3052−3065(1998)、Kimura外,J.Biol.Chem.,274:7334−7340(1999)、Zhou外,Nature Genetics,20:189−193(1998)、Li外,Clin Cancer Res.9(3):991−7(2003)]。オーロラ−Aの増幅/過剰発現はヒトの膀胱癌で観察され、そしてオーロラ−Aの増幅は異数性及び攻撃的な臨床上の行動に関わる[Sen外,J Natl Cancer Inst.,94(17):1320−9(2002)]。さらに、オーロラ−A部位(20q13)の増幅は、リンパ節転移陰性乳癌の患者についての貧弱な予後と相関する[Isola,American Journal of Pathology 147,905−911(1995)]。オーロラ−Bは、白血病細胞を含めた複数のヒト腫瘍細胞系統で高度に発現する[Katayama外,Gene 244:1−7)]。この酵素のレベルは、第1期結腸直腸癌においてデュークスステージ(Duke’s stage)の関数として増大する[Katayama外,J.Natl Cancer Inst.,91:1160−1162(1999)]。また、通常は細菌細胞内にのみ見出されるオーロラ−Cも第1期結腸直腸癌の高い率で過剰発現し、また頸部線癌及び乳癌細胞を含む様々な腫瘍細胞系統で過剰発現する[Kimura外,J.Biol.Chem.274:7334−7340(1999)及びTakahashi外,Jpn.J.Cancer Res.,91:1007−1014(2000)]。
【0023】
このオーロラキナーゼの知られた機能に基づけば、それらの活性の阻害は有糸分裂を中断させ、細胞周期の停止に至るはずである。従って、生体内で、オーロラ阻害剤は腫瘍の成長を遅らせ、そして退行を誘導する。
【0024】
全てのオーロラファミリー構成員の高いレベルが幅広い腫瘍細胞系統で観察される。オーロラキナーゼは多くのヒト腫瘍内で過剰発現し、そしてこれは、乳房腫瘍内での染色体の不安定性と関連することが報告されている。
【0025】
オーロラ−2は複数のヒト腫瘍細胞系統で高度に発現し、そしてレベルは第1期結腸直腸癌においてデュークスステージの関数として増大する[Katayama外,J.Natl Cancer Inst.,91:1160−1162(1999)]。オーロラ−2は、有糸分裂中の正確な染色体分離を調節する際にある種の役割を果たす。細胞周期の誤調節は、細胞の急増及びその他の異常に至り得る。ヒトの結腸癌組織内で、オーロラ−2蛋白質が過剰発現することが分かった[Bischoff外,EMBO J.,17:3052−3065(1998)、Schumacher外,J.Cell Biol.,143:1635−1646(1998)、Kimura外,J.Biol.Chem.,272:13766−13771(1997)]。オーロラ−2は、大部分の形質転換細胞内で過剰発現する。Bischoff外は、肺、結腸、腎臓、黒色腫及び乳房の腫瘍由来の細胞系統の96%で高レベルのオーロラ−2を見出した[Bischoff外,EMBO J.,17:3052−3065(1998)]。2つの広範な研究が、結腸直腸腫瘍の54%及び68%[Bishoff外,EMBO J.,17:3052−3065及びTakahashi外,Jpn J Cancer Res.91:1007−1014(2000)]、並びに浸潤性乳管線癌の94%[Tanaka外,Cancer Research,59:2041−2044(1999)]で高いオーロラ−2を示した。
【0026】
オーロラ−1の発現は、結腸、乳房、肺、黒色腫、腎臓、卵巣、膵臓、CNS、消化管及び白血病の腫瘍由来の細胞系統で高まる[Tatsuka外,1998 58,4811−4816]。
【0027】
高レベルのオーロラ−3がいくつかの腫瘍細胞系統で検出されたが、これは正常組織では精巣に限定される[Kimura外.Journal of Biological Chemistry,274:7334−7340(1999)]。また、結腸直腸癌の高率(c.50%)でのオーロラ−3の過剰発現も報告された[Takahashi外,Jpn J.Cancer Res.91:1007−1014(2001)]。対照的に、オーロラファミリーは、大部分の正常組織では低いレベルで発現するが、ただし、その例外は胸腺及び精巣のような分裂細胞の高い割合を有する組織である[Bischoff外,EMBO J.,17:3052−3065(1998)]。
【0028】
オーロラキナーゼが増殖性疾患に果たす役割のさらなる概要については、Bischoff外,Trends in Cell Biology 9:454−459(1999)、Giet外.Journal of Cell Science,112:3591−3601(1999)、Nigg外,Nat.Rev.Mol.Cell Biol.,2:21−32(2001)外,Trends in Cell Biology,11:49−54(2001)及びDutertre,外,Oncogene,21:6175−6183(2002)を参照されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
JNK、Src及びオーロラ活性化と関連する様々な症状を治療し又は予防する際に有用な、JNK、Srcファミリーキナーゼ及びオーロラファミリーキナーゼの強力な阻害剤を開発する要望が引き続き存在する。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、次式I:
【化1】

[ここで、R1、R2、A、G及びWは以下に説明する通りである。]
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体を提供する。
【0031】
また、本発明は、式Iの化合物を含む製薬組成物を提供する。
【0032】
本発明の化合物及び製薬組成物は、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)、Src及びLckを含めてSrcファミリーキナーゼ、オーロラ−2を含めてオーロラファミリーキナーゼの阻害剤として有用である。従って、それらは、種々の障害、例えば、心臓病、免疫不全障害、炎症性疾病、アレルギー性疾病、自己免疫病、骨粗鬆症のような破壊性骨障害、増殖性疾患、感染病及びウイルス性疾病を治療し又は予防する方法にも有用である。また、組成物は、細胞の死及び増殖を予防する方法に有用であり、従って発作における再灌流/虚血、心臓発作及び臓器低酸素症を治療し又は予防するのに使用することができる。また、組成物は、トロンビン誘発血小板凝集症を予防する方法にも有用である。更に、本発明の組成物は、慢性骨髄性白血病(CML)、リューマチ様関節炎、喘息、骨粗鬆症、肝臓虚血を含めて肝臓病、心筋梗塞及びうっ血性心不全のような心臓病、T細胞の活動化を伴う病的状態及び神経変性障害のために特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、次式I:
【化2】

[ここで、
Wは窒素又はCHであり、
Gは水素又はC1〜C3脂肪族(ここに、Gの1個のメチレン単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−SO2−又は−SO2NH−により置き換えられていてもよい。)であり、
Aは−N−T(n)−R、酸素又は硫黄であり、
1は−T(n)−R又は−T(n)−Ar1(それぞれのnは独立して0又は1である。)から選ばれ、
TはC1〜C4アルキリデン鎖(ここに、Tの1個のメチレン単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−SO2−又は−SO2NH−により置き換えられていてもよい。)であり、
Ar1は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選ばれる0〜3個の複素原子を有する3〜7員の単環式飽和、部分飽和若しくは芳香族の環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選ばれる0〜5個の複素原子を有する8〜10員の二環式飽和、部分飽和若しくは芳香族の環(ここに、Ar1のそれぞれの環員は1個の−Z−R3及び1〜3個の追加の基(これらは−R、ハロゲン、オキソ、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−OC(O)R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−NRSO2R、−NRSO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる。)により置換されていてもよい。)であり、
それぞれのRは水素又はC1〜C6脂肪族(この脂肪族はオキソ、−CO2R'、−OR'、−N(R')2、−SR'、−NO2、−NR'C(O)R'、−NR'C(O)N(R')2、−NR'CO2R'、−C(O)R'、−OC(O)R'、−C(O)N(R')2、−OC(O)N(R')2、−S(O)R'、−SO2R'、−SO2N(R')2、−NR’SO2R'、−NR'SO2N(R')2、−C(O)C(O)R'、−C(O)CH2C(O)R'、ハロゲン又は−CNから独立して選ばれる1〜3個の基で置換されていてよい。)から独立して選ばれ、或いは同じ窒素原子に結合した2個のRはこの窒素原子と一緒になって、酸素、窒素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の追加の複素原子を有する5又は6員の複素環式又はヘテロアリール環を形成し、
それぞれのR'は水素又はC1〜C6脂肪族(該脂肪族はオキソ、−CO2H、−OH、−NH2、−SH、−NO2、−NHC(O)H、−NHC(O)NH2、−NHCO2H、−C(O)H、−OC(O)H、−C(O)NH2、−OC(O)NH2、−S(O)H、−SO2H、−SO2NH2、−NHSO2H、−NHSO2NH2、−C(O)C(O)H、−C(O)CH2C(O)H、ハロゲン又は−CNから独立して選ばれる1〜3個の基で置換されていてよい。)から独立して選ばれ、或いは同じ窒素原子に結合した2個のR'はこの窒素原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1又は2個の追加の複素原子を有してもよい5又は6員の複素環式又はヘテロアリール環を形成し、
ZはC1〜C6アルキリデン鎖(ここに、Zの2個までの非隣接メチレン単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)N(R)−、−N(R)N(R)C(O)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S(O)−、−SO2−、−N(R)SO2−、−SO2N(R)−、−N(R)SO2N(R)−、−O−、−S−又は−N(R)−により置き換えられていてもよい。)であり、
2は−Q(n)−Ar2であり、
Ar2は、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選ばれる0〜3個の複素原子を有する3〜7員の単環式飽和、部分飽和若しくは芳香族の環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選ばれる0〜5個の複素原子を有する8〜10員の二環式飽和、部分飽和若しくは芳香族の環(ここに、Ar2のそれぞれの環員は−Z−R3、−R、ハロゲン、オキソ、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−OC(O)R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)から選ばれ、
QはC1〜C3アルキリデン鎖(ここに、Qの2個までの非隣接メチレン単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)N(R)−、−N(R)N(R)C(O)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S(O)−、−SO2−、−N(R)SO2−、−SO2N(R)−、−N(R)SO2N(R)−、−O−、−S−又は−N(R)−により置き換えられていてもよい。)であり、
3は−Ar3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−OC(O)R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−NRSO2R、−NRSO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから選ばれ、
Ar3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜3個の複素原子を有する5〜6員の飽和、部分飽和又は芳香族の環(ここに、Ar3のそれぞれの環員はハロゲン、オキソ、−CN、−NO2、−R'、−OR'、−N(R')2、−N(R')C(O)R'、−N(R')C(O)N(R')2、−N(R')CO2R'、−C(O)R'、−CO2R'、−OC(O)R'、−C(O)N(R')2、−OC(O)N(R')2又は−SO2R'により置換されていてもよい。)であり、
ただし、Wが窒素を表わし、且つ、
(i)Aが−N−T(n)−Rであり且つR2が飽和環であるか、又は
(ii)Aが硫黄である
ときは、R1は置換されていてもよいフェニル以外の基である。]
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体を提供する。
【0034】
下記の略号を明細書全体(化学式を含めて)を通じて使用する。
iPr=イソプロピル
t−Bu又はtBu=t−ブチル
Et=エチル
Me=メチル
Cbz=ベンゾイルオキシカルボニル
BOC=t−ブチルオキシカルボニル
Ph=フェニル
Bn=ベンジル
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
THF=テトラヒドロフラン
DCM=ジクロルメタン
MOM=メトキシメチル
DMSO=ジメチルスルホキシド
TLC=薄層クロマトグラフィー
【0035】
以下では、別に説明してなければ、下記の定義を適用する。
【0036】
語句“置換されていてもよい”は、語句“置換又は非置換”と互換的に使用する。別に説明してなければ、置換されていてもよい基は、その基のそれぞれ置換可能な位置に置換基を有することができ、それぞれの置換は互いに独立している(無関係である)。
【0037】
用語“脂肪族”又は“脂肪族基”は、ここで使用するときは、完全に飽和しているか又は1個以上の不飽和単位を含有する直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C12炭化水素鎖を意味するか、或いは完全に飽和しているか又は1個以上の不飽和単位を含有する単環式C3〜C8炭化水素又は二環式C8〜C12炭化水素環系(ただし、芳香族ではない。)であって、分子の残部に唯一の結合点を有し、該二環式環系における任意の個々の環は3〜7員を有するようなもの(ここでは、“炭素環”、“炭素環式”、“カルボシクロ”又は“シクロアルキル”ともいう。)を意味する。例えば、好適な脂肪族基には、線状又は分岐状のアルキル、アルケニル又はアルキニル基並びにそれらの混成物、例えば(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル又は(シクロアルキル)アルケニルが含まれるが、これらに限らない。
【0038】
用語“アルキル”、“ヒドロキシアルキル”及び“アルコキシアルキル”は、単独で又はそれよりも大きい部分の一部として使用され、別に説明してなければ、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖状及び分岐鎖状の飽和炭化水素鎖の双方を包含する。用語“アルケニル”は、単独で又はそれよりも大きい部分の一部として使用され、2〜12個の炭素原子を含有し且つ少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖状及び分岐鎖状の炭化水素鎖の双方を包含する。用語“アルキニル”は、単独で又はそれよりも大きい部分の一部として使用され、2〜12個の炭素原子を含有し且つ少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖状及び分岐鎖状の炭化水素鎖の双方を包含する。用語“アルコキシ”は、単独で又はそれよりも大きい部分の一部として使用され、−O−アルキル、−O−アルケニル又は−O−アルキニル基をいう。
【0039】
用語“炭素環”、“カルボシクリル”、“カルボシクロ”又は“炭素環式”は、例えばデカヒドロナフチル又はテトラヒドロナフチルにおけるような1個以上の芳香族又は非芳香族の環に縮合した炭化水素環(この場合に、その結合の基又は点は脂肪族環上にある。)も包含する。
【0040】
用語“ハロアルキル”、“ハロアルケニル”及び“ハロアルコキシ”は、場合により、1個以上のハロゲン原子により置換されたアルキル、アルケニル又はアルコキシを意味する。用語“ハロゲン”はF、Cl、Br又はIを意味する。
【0041】
用語“複素原子”は、窒素、酸素又は硫黄を意味し、窒素及び硫黄の任意の酸化された形並びに任意の塩基性窒素の4級化された形を包含する。また、用語“窒素”は、置換可能な窒素も包含する。一例として、酸素、硫黄又は窒素から選ばれる0〜3個の複素原子を有する飽和又は部分飽和環において、窒素はN(例えば、3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるように)、NH(ピロリジニルにおけるように)又はNR+(N−置換ピロリジニルにおけるように)であることができる。
【0042】
単独で、又は“アラルキル”、“アラルコキシ”若しくは“アリールオキシアルキル”におけるような、それよりも大きい部分の一部として使用される用語“アリール”は、合計で5〜14個の環員を有する単環式、二環式又は三環式芳香族炭化水素環系、例えば、フェニル、ベンジル、フェネチル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル及び2−アントラシルをいう。用語“アリール”は、用語“アリール環”と互換的に使用される。また、用語“アリール”は、置換されていてもよい環もいう。また、“アリール”は、芳香族の環が1個以上の環と縮合している縮合多環式芳香族の環系も包含する。例えば、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル及び2−アントラシルが含まれる。また、用語“アリール”の範囲には、ここで使用するときは、例えばインダニル、フェナントリジニル又はテトラヒドロナフチルにおけるように、芳香族の環が1個以上の非芳香族の環に結合している基も含まれ、この場合にその結合の基又は点は芳香族の環上にある。
【0043】
用語“アラルキル”は、アリール基により置換されたアルキル、アルケニル又はアルキニル基をいう。アラルキル基の例としては、ベンジル及びフェネチル基があるが、これらに限定されない。用語“アラルコキシ”は、アリールにより置換されたアルコキシ基をいう。用語“アリールオキシアルキル”は、−O−アリールにより置換されたアルキル、アルケニル又はアルキニル基をいう。
【0044】
用語“複素環”、“ヘテロシクリル”又は“複素環式”は、ここで使用するときは、5〜14個、好ましくは5〜10個の環員を有し、1個以上の環員が複素原子である非芳香族単環式、二環式又は多環式環系であって、その環系のそれぞれの環が3〜7個の環員を含有するようなものを包含する。
【0045】
複素環式環の例には、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、(1−置換)−2−オキソベンゾイミダゾール−3−イル、2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル、[1,3]−ジオキサラニル、[1,3]−ジチオラニル、[1,3]−ジオキサニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリニル、3−モルホリニル、4−モルホリニル、2−チオモルホリニル、3−チオモルホリニル、4−チオモルホリニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N−置換ジアゾロニル、1−フタルイミジニル、ベンゾオキサニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾオキソラニル、ベンゾチオラニル及びベンゾチアニルがある。また、ここで使用するときは、用語“ヘテロシクリル”又は“複素環式”の範囲には、例えば、インドリニル、クロマニル、フェナントリジニル又はテトラヒドロキノリニルにおけるように、非芳香族複素原子含有環が1個以上の芳香族又は非芳香族の環に縮合している基も包含され、この場合の結合基又は点は非芳香族複素原子含有環上にある。また、用語“複素環”、“ヘテロシクリル”又は“複素環式”は、飽和であろうと部分飽和であろうと、置換されていてもよい環もいう。用語“ヘテロシクリルアルキル”は、ヘテロシクリルにより置換されたアルキル、アルケニル又はアルキニル基をいう。
【0046】
単独で、又は“ヘテロアラルキル”若しくは“ヘテロアリールアルコキシ”におけるようにそれよりも大きい部分の一部として使用される用語“ヘテロアリール”は、5〜14個、好ましくは5〜10個の環員を有する単環式、二環式又は三環式複素芳香族の環系であって、この環系のそれぞれの環が3〜7個の環員を含有し、その1個以上、好ましくは1〜4個の環炭素原子がそれぞれ複素原子により置き換えられているものをいう。用語“ヘテロアリール”は用語“ヘテロアリール環”又は用語“複素芳香族”と互換的に使用することができる。また、用語“ヘテロアリール”は、置換されていてもよい環もいう。
【0047】
ヘテロアリール環の例には、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、5−テトラゾリル、2−トリアゾリル、5−トリアゾリル、2−チエニル、3−チエニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、イソインドリル、アクリジニル及びベンゾイソオキサゾリルが含まれる。
【0048】
ここで使用するときに、用語“ヘテロアリール”の範囲には、複素芳香族の環が1個以上の芳香族又は非芳香族の環に縮合していて、その結合の基又は点が複素芳香族の環上にあるような基が包含される。そのような例には、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル及びピリド[3,4−d]ピリミジニルがある。用語“ヘテロアラルキル”は、ヘテロアリールにより置換されたアルキル、アルケニル又はアルキニル基をいう。用語“ヘテロアリールアルコキシ”は、ヘテロアリールにより置換されたアルコキシ基をいう。
【0049】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアリールなどにおけるアリール部分も含む。)又はヘテロアリール(ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルコキシなどにおけるヘテロアリール部分も含む。)は、1個以上の置換基を含有することができる。任意の所定の部分上の置換基の好適な数の決定は当業者の理解の範囲内である。アリール、ヘテロアリール、アラルキル又はヘテロアラルキル基の不飽和炭素原子上の好適な置換基は、ハロゲン、−R0、−OR0、−SR0、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、R0で置換されていてもよいフェニル(Ph)、R0で置換されていてもよい−O(Ph)、R0で置換されていてもよい−CH2(Ph)、R0で置換されていてもよい−CH2CH2(Ph)、−NO2、−CN、−N(R02、−NR0C(O)R0、−NR0C(O)N(R02、−NR0CO20、−NR0NR0C(O)R0、−NR0NR0C(O)N(R02、−NR0NR0CO20、−C(O)C(O)R0、−C(O)CH2C(O)R0、−CO20、−OC(O)R0、−C(O)R0、−C(O)N(R02、−OC(O)N(R02、−S(O)20、−SO2N(R02、−S(O)R0、−NR0SO2N(R02、−NR0SO20、−C(=S)N(R02、−C(=NH)−N(R02又は−(CH2yNHC(O)R0(ここに、yは1〜4であり、それぞれのR0は水素、置換されていてもよいC1〜C6脂肪族、非置換の5−6員のヘテロアリール又は複素環式環、フェニル、−O(Ph)、又は−CH2(Ph)から選ばれる。)から選ばれる。R0の脂肪族基上の随意の置換基は、−NH2、−NH(C1〜C4非置換脂肪族)、−N(C1〜C4非置換脂肪族)2、ハロゲン、−C1〜C4非置換脂肪族、−OH、−O(C1〜C4非置換脂肪族)、−NO2、−CN、−CO2H、−CO2(C1〜C4非置換脂肪族)、−O(ハロC1〜C4非置換脂肪族)又はハロ−C1〜C4非置換脂肪族から選ばれる。
【0050】
脂肪族基又は非芳香族複素環式環は、1個以上の置換基を含有することができる。脂肪族基又は非芳香族複素環式環の飽和炭素上の好適な置換基は、アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素について上でリストした置換基から選ばれ、下記のものである。=O、=S、=NNHR*、=NN(R*2、=NNHC(O)R*、=NNHCO2(アルキル)、=NNHSO2(アルキル)又は=NR*(ここに、それぞれのR*は水素又は置換されていてもよいC1〜C6脂肪族から選ばれる。)。R*の脂肪族基上の好適な置換基は、−NH2、−NH(C1〜C4非置換脂肪族)、−N(C1〜C4非置換脂肪族)2、ハロゲン、C1〜C4非置換脂肪族、−OH、−O(C1〜C4非置換脂肪族)、−NO2、−CN、−CO2H、−CO2(C1〜C4非置換脂肪族)、−O(ハロC1〜C4非置換脂肪族)又はハロ(C1〜C4非置換脂肪族)から選ばれる。
【0051】
非芳香族複素環式環の窒素上の随意の置換基は、−R+、−N(R+2、−C(O)R+、−C(O)2+、−C(O)C(O)R+、−C(O)CH2C(O)R+、−SO2+、−SO2N(R+2、−C(=S)N(R+2、−C(=NH)−N(R+2、又は−NR+SO2+(ここに、R+は水素、置換されていてもよいC1〜C6脂肪族、置換されていてもよいフェニル、置換されていてもよい−O(Ph)、置換されていてもよい−CH2(Ph)、置換されていてもよい−CH2CH2(Ph)又は非置換の5−6員のヘテロアリール若しくは複素環式環である。)から選ばれる。R+の脂肪族基又はフェニル環上の随意の置換基は、−NH2、−NH(C1〜C4非置換脂肪族)、−N(C1〜C4非置換脂肪族)2、ハロゲン、C1〜C4非置換脂肪族、−OH、−O(C1〜C4非置換脂肪族)、−NO2、−CN、−CO2H、−CO2(C1〜C4非置換脂肪族)、−O(ハロC1〜C4非置換脂肪族)又はハロ(C1〜C4非置換脂肪族)から選ばれる。
【0052】
用語“アルキリデン鎖”は、完全に飽和され又は1個以上の不飽和単位を有し得る直鎖状又は分岐鎖状炭素鎖をいう。
【0053】
置換基又は可変因子の組合せも、これが安定な又は化学的に適した化合物をもたらす場合にのみ許容できる。安定な化合物又は化学的に実行できる化合物は、水分又はその他の化学反応性条件の不存在下に40℃以下の温度に少なくとも1週間保持したときに、実質的に変化しない物である。
【0054】
本発明のある種の化合物が互変異性の形態で存在できることは、当業者には明かであろう。このような化合物の互変異性の形態の全ては本発明の範囲内にある。
【0055】
別に説明してなければ、本明細書に記載した構造式は、構造の立体化学的形態の全て:即ち、それぞれの不斉中心についてR及びS立体配置を包含するように意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学的異性体並びにエナンチオマー及びジアステレオマーの混合物も本発明の範囲内にある。また、別に述べてなければ、本明細書に記載した構造式は、1個以上の同位元素原子の存在という点でのみ相違する化合物も包含するように意味する。例えば、水素をジューテリウム若しくはトリチウムで置きかえ又は炭素を13C−若しくは14C−富化炭素で置きかえたことを除いて示された構造式を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0056】
式Iの好ましいR1基は、水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する6員の置換されていてもよい飽和、部分飽和又はアリールの環である。)から選ばれる。式Iの更に好ましいR1基は、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシルから選ばれる。R1上の好ましい置換基は、−CO2R、−OR、−Z−R3、ハロゲン、−NRSO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から選ばれる。R1の更に好ましい置換基は、ベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イルから選ばれる。
【0057】
式Iの最も好ましいR1基は、R1が−CH2−Ar1又はAr1であるものである。式IのAr1基の好ましい−Z−R3は、ZがC1〜C4アルキリデン鎖(ここに、Zの1個のメチレン単位が−O−、−NH−、−NHC(O)−、−NHC(O)O−、−NHSO2−、−C(O)NH−により置き換えられていてもよい。)であり、且つ、R3が−N(R)2、−NHC(O)R又はAr3(ここに、Ar3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する5−6員の複素環式又はヘテロアリール環である。)であるものである。Ar3基は、−R'、−OR'、−N(R')2又はオキソで置換されていてもよい。式IのAr1基の更に好ましい−Z−R3は、−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHC(O)ピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルから選ばれる。
【0058】
式Iの好ましいR2基は、Ar2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5−6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)から選ばれる。式Iの更に好ましいR2基は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジルから選ばれる。好ましいZは、C1〜C4アルキリデン鎖であって、ここにZの1個のメチレン単位は−S−、−O−、−N(R)−又は−C(O)O−により置き換えられていてもよい。Ar2上の好ましい置換基は、−Z−Ar3、−R、ハロゲン、−OR、−N(R)2又は−CO2R(ここに、Ar3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する置換されていてもよい5−6員のアリール環である。)から選ばれる。Ar2上の最も好ましい置換基は、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム及びフルオルのようなハロゲン、トリフルオルメチルのようなハロアルキル、−OH、−NH2、メチルのようなアルキル、又はメトキ及びはエトキシのようなアルコキシから選ばれる。
【0059】
好ましいGは水素、C1〜C3脂肪族、又はGの1個のメチレン単位が−C(O)−により置き換えられているC1〜C3脂肪族である。更に好ましいGは水素である。
【0060】
好ましいAは、−NH、−N−CH3、−N−CH2−OCH3、酸素又は硫黄である。
【0061】
本発明の一具体例は、次式Ia:
【化3】

(ここで、R1、R、T、W、A、Q、Ar2及びGは上で定義した通りである。)
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体に関する。好ましいR1、Ar2、A及びGは、式Iについて上で説明したとおりである。
【0062】
好ましいQは、C1〜C3アルキリデン鎖、又はC1〜C3アルキリデン鎖が−O−により置き換えられた1個のメチレン単位である。
【0063】
本発明の別の具体例は、次式IIa:
【化4】

(ここで、R1、R2、R、T及びGは上で定義した通りである。)
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体に関する。
【0064】
式IIaの好ましいR1基は、水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、ここにTの1個の−CH2−単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−SO2−又は−SO2NH−により置き換えられていてもよく、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する置換されていてもよい6員の飽和、部分飽和又はアリールの環である。式IIaの更に好ましいR1基は、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシルから選ばれる。R1上の好ましい置換基は、−CO2R、−OR、−Z−R3、ハロゲン、−NRSO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から選ばれる。R1の更に好ましい置換基は、ベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル又は−NHCOモルホリン−4−イルから選ばれる。
【0065】
式IIaの好ましいR2基は、Ar2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5−6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)から選ばれる。式IIaの更に好ましいR2基は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジルから選ばれる。好ましいZは、C1〜C4アルキリデン鎖であり、ここにZの1個の−CH2−単位は−S−、−O−、−N(R)−又は−C(O)O−により置き換えられていてもよい。Ar2上の好ましい置換基は、−Z−Ar3、−R、ハロゲン、−OR、−N(R)2又は−CO2Rから選ばれ、ここにAr3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する5−6員のアリール環である。Ar2上の更に好ましい置換基は、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム及びフルオルのようなハロゲン、トリフルオルメチルのようなハロアルキル、−OH、−NH2、メチルのようなアルキル、又はメトキ及びはエトキシのようなアルコキシから選ばれる。
【0066】
好ましいGは、水素、C1〜C3脂肪族、又はGの1個のメチレン単位が−C(O)−により置きかえられたC1〜C3脂肪族である。更に好ましいGは水素である。
【0067】
式IIaの好ましい化合物は、
(a)R1が水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する6員の飽和、部分飽和又はアリール環であり、R1のそれぞれの環員は1個の−Z−R3及び1〜3個の追加の基(これらは−CO2R、−OR、ハロゲン、−NRSO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から独立して選ばれる。)により置換されていてもよい。)であること、
(b)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5〜6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、及び
(c)Gが水素であること
からなる特徴の一つ以上、好ましくは一つよりも多く、最も好ましくは全てを有するものである。
【0068】
式IIaの更に好ましい化合物は、
(a)R1がフェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシル環(ここに、該環はベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、及び
(c)Gが水素であること
からなる特徴の一つ以上、好ましくは一つよりも多く、最も好ましくは全てを有するものである。
【0069】
式IIaの例示化合物を以下の表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
【表7】

【0077】
【表8】

【0078】
他の具体例は、次式IIb:
【化5】

(ここで、R1、R2及びGは前記した通りである。)
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体に関する。
【0079】
式IIbの好ましいR1基は、水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する置換されていてもよい6員の飽和、部分飽和又はアリール環である。)から選ばれる。式IIbの更に好ましいR1基は、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシルから選ばれる。R1上の好ましい置換基は、−CO2R、−OR、−Z−R3、ハロゲン、−NRSO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から選ばれる。R1の更に好ましい置換基は、ベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル又は−NHCOモルホリン−4−イルから選ばれる。
【0080】
式IIbの好ましいR2基は、Ar2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5〜6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)から選ばれる。式IIbの更に好ましいR2基は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジルから選ばれる。好ましいZは、C1〜C4アルキリデン鎖であり、ここにZの1個のメチレン単位は−S−、−O−、−N(R)−又は−C(O)O−により置き換えられていてもよい。Ar2上の好ましい置換基は、−Z−Ar3、−R、ハロゲン、−OR、−N(R)2又は−CO2Rから選ばれ、ここにAr3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する5〜6員の置換されていてもよいアリール環である。Ar2上の更に好ましい置換基は、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム及びフルオルのようなハロゲン、トリフルオルメチルのようなハロアルキル、−OH、−NH2、メチルのようなアルキル、又はメトキシ及びエトキシのようなアルコキシから選ばれる。
【0081】
好ましいGは、水素、C1〜C3脂肪族、又はGの1個のメチレン単位が−C(O)−により置き換えられたC1〜C3脂肪族である。更に好ましいGは水素である。
【0082】
式IIbの好ましい化合物は、
(a)R1が水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する6員の飽和、部分飽和又はアリール環であり、R1のそれぞれの環員は1個の−Z−R3及び1〜3個の追加の基(これらは−CO2R、−OR、ハロゲン、−NRSO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から独立して選ばれる。)により置換されていてもよい。)であること、
(b)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5〜6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、及び
(c)Gが水素であること
からなる特徴の一つ以上、好ましくは一つよりも多く、最も好ましくは全てを有するものである。
【0083】
式IIbの更に好ましい化合物は、
(a)R1がフェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシル環(ここに、該環はベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、及び
(c)Gが水素であること
からなる特徴の一つ以上、好ましくは一つよりも多く、最も好ましくは全てを有するものである。
【0084】
式IIbの例示化合物を以下の表2に示す。
【0085】
【表9】

【0086】
【表10】

【0087】
【表11】

【0088】
【表12】

【0089】
本発明の更に他の具体例は、次式IIc:
【化6】

(ここで、R1、R2及びGは前記した通りである。)
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体に関する。
【0090】
式IIcの好ましいR1基は、水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する置換されていてもよい6員の飽和、部分飽和又はアリール環である。)から選ばれる。式IIcの更に好ましいR1基は、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシルから選ばれる。R1上の好ましい置換基は、−CO2R、−OR、−Z−R3、ハロゲン、−NRSO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から選ばれる。R1の更に好ましい置換基は、ベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル又は−NHCOモルホリン−4−イルから選ばれる。
【0091】
式IIcの好ましいR2基は、Ar2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5〜6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)から選ばれる。式IIcの更に好ましいR2基は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジルから選ばれる。好ましいZは、C1〜C4アルキリデン鎖であり、ここにZの1個のメチレン単位は−S−、−O−、−N(R)−又は−C(O)O−により置き換えられていてもよい。Ar2上の好ましい置換基は、−Z−Ar3、−R、ハロゲン、−OR、−N(R)2又は−CO2Rから選ばれ、ここにAr3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する置換されていてもよい5〜6員のアリール環である。Ar2上の更に好ましい置換基は、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム及びフルオルのようなハロゲン、トリフルオルメチルのようなハロアルキル、−OH、−NH2、メチルのようなアルキル、又はメトキ及びはエトキシのようなアルコキシから選ばれる。
【0092】
好ましいGは、水素、C1〜C3脂肪族、又はGの1個のメチレン単位が−C(O)−により置きかえられたC1〜C3脂肪族である。更に好ましいGは水素である。
【0093】
式IIcの好ましい化合物は、
(a)R1が水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する6員の飽和、部分飽和又はアリール環であり、R1のそれぞれの環員は1個の−Z−R3及び1〜3個の追加の基(これらは−CO2R、−OR、ハロゲン、−N(R)SO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から独立して選ばれる。)により置換されていてもよい。)であること、
(b)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5〜6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、及び
(c)Gが水素であること
からなる特徴の一つ以上、好ましくは一つよりも多く又は最も好ましくは全てを有するものである。
【0094】
式IIcの更に好ましい化合物は、
(a)R1がフェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシル環(ここに、該環はベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、及び
(c)Gが水素であること
からなる特徴の一つ以上、好ましくは一つよりも多く又は最も好ましくは全てを有するものである。
【0095】
式IIcの例示化合物を以下の表3に示す。
【0096】
【表13】

【0097】
【表14】

【0098】
前記の式IIa、IIb及びIIcの化合物は、ピリミジン環を有するものである。ピリジン環を有する式Iの化合物は、下記の一般式IIIa、IIIb及びIIIcによって表わされ、表4に示すものである。
【0099】
【表15】

【0100】
上記の表4に示す化合物は、式IIaのピリミジン環がピリジンで置きかえられた式IIa、IIb及びIIcの化合物と構造的に類似する(式IIIa、IIIb及びIIIc)。従って、上記の表4に示す化合物の好ましいR1、R2、n、T、R及びG基は、式IIa、IIb及びIIcの化合物について上で説明した通りである。
【0101】
式IIIa、IIIb及びIIIcの例示化合物を下記の表5に示す。
【0102】
【表16】

【0103】
【表17】

【0104】
【表18】

【0105】
【表19】

【0106】
【表20】

【0107】
【表21】

【0108】
【表22】

【0109】
更に好ましい化合物は、次式IVa:
【化7】

(ここで、R2、R3、n、T、R及びG基は上で説明した通りである。)
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体に関する。
【0110】
式IVaの好ましいR2、R3、n、T、R及びG基は、式IIaについて上で説明したものである。
【0111】
式IVaのAr1基の好ましい−Z−R3基は、ZがC1〜C4アルキリデン鎖(ここに、Zの1個のメチレン単位は−O−、−NH−、−NH(CO)−、−NH(CO)O−、NHSO2−、−C(O)NH−により置き換えられていてもよい。)であり、且つ、R3が−N(R)2、−NHC(O)R又はAr3(ここに、Ar3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する5〜6員の複素環式又はヘテロアリール環である。)であるものである。Ar3基は、−R'、−OR'、−N(R')2又はオキソで置換されていてもよい。式IVaのAr1基の更に好ましい−Z−R3は、−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHC(O)ピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルから選ばれる。
【0112】
式IVaの好ましい化合物は、
(a)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5〜6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、
(b)Gが水素であること、
(c)ZがC1〜C4アルキリデン鎖(ここに、Zの1個のメチレン単位は−O−、−NH−、−NHC(O)−、−NHC(O)O−、−NHSO2−又は−C(O)NH−により置き換えられていてもよい。)であること、及び
(d)R3が−N(R)2、−NHC(O)R又はAr3(ここに、Ar3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する5〜6員の複素環式又はヘテロアリール環であり、Ar3は−R'、−OR'、−N(R')2又はオキソにより置換されていてもよい。)から選ばれること
からなる特徴の一つ以上、好ましくは一つよりも多く又は最も好ましくは全てを有するものである。
【0113】
式IVaの更に好ましい化合物は、
(a)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2のそれぞれの環員はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)Gが水素であること、及び
(c)−Z−R3が−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHC(O)ピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルから選ばれること
からなる特徴の一つ以上、好ましくは一つよりも多く又は最も好ましくは全てを有するものである。
【0114】
式IVaの例示構造式を以下の表6に記載する。
【0115】
【表23】

【0116】
【表24】

【0117】
【表25】

【0118】
【表26】

【0119】
【表27】

【0120】
【表28】

【0121】
【表29】

【0122】
【表30】

【0123】
他の更に好ましい具体例は、次式IVb及びIVc:
【化8】

の化合物に関する。
【0124】
式IVb及びIVcの化合物の好ましいR2、−Z−R3及びG基は、式IVaの化合物について上で説明した通りである。
【0125】
式IVの化合物は、ピリミジン環を有するものである。ピリジン環を有する式Vの化合物は、以下に示す式Va、Vb及びVcにより表わされる。
【化9】

により表わされる。
【0126】
上に示した式Va、Vb及びVcの化合物は、式IVa、IVb及びIVcのピリミジン環がピリジンで置きかえられた式IVa、IVb及びIVcの化合物と構造的に類似する。従って、式Va、Vb及びVcの化合物の好ましいR2、−Z−R3及びG基は、式IVa、IVb及びIVcの化合物について上で説明した通りである。
【0127】
本発明の化合物は、一般的には、下記の一般反応式I及びII並びに以下に示す合成例により例示されるように、類似する化合物について当業者に知られた方法に従い、既知の出発物質から製造することができる。
【0128】
【化10】

反応剤及び条件
(a)Cl2(ガス)、MeOH、ピリジン、室温、
(b)1,4−ジオキサン、CH3COONa、アミジン、還流、
(c)LDA、−78℃〜室温、THF、次いでMOMCl、
(d)(CH32NCH(OCH3)、トルエン、90℃、
(e)(CH32NCH(OCH3)、CH3CN、ジメチルアミン、還流、
(f)MeONa、MeOH、グアニジン、還流。
【0129】
上記の反応式Iは、Aが−N−T(n)−Rである式(I)の化合物(式IIa)を製造するのに使用される一般的合成経路を示す。これらの化合物の製造のために使用される条件の詳細は実施例に記載する。
【化11】

反応剤及び条件
(g)CH3COOH、アミド、120℃、
(h)(CH32NCH(OCH3)、トルエン、90℃、
(i)MeONa、MeOH、グアニジン、還流。
【0130】
上記の反応式IIは、Aが酸素である式(I)の化合物(式IIb)を製造するのに使用される一般的合成経路を示す。また、反応式IIは、工程(g)においてアミドがチオアミドで置きかえられるときには、Aが硫黄である式Iの化合物(式IIc)を製造するのにも使用することができる。これらの化合物の製造のために使用される条件の詳細は実施例に記載する。
【0131】
当業者であれば、容易に合成し又は商業的に入手できる反応剤を使用して、本発明の教示に従って本発明のその他の化合物を合成することができよう。
【0132】
他の具体例によれば、本発明は、生物学的試料中のJNK、Src、Lck又はオーロラ−2キナーゼ活性を阻害させる方法を提供する。この方法は、該生物学的試料を式Iの化合物と接触させる工程を含む。好ましい具体例によれば、本発明は、生物学的試料を式IIa、IIb、IVa又はIVbの化合物と接触させる工程を含む、該生物学的試料中のJNK、Src、Lck又はオーロラ−2キナーゼ活性を阻害させる方法に関する。
【0133】
用語“生物学的試料”には、ここで使用するときは、細胞培養物又はその抽出物、哺乳動物から得られる生検試料又はその抽出物、血液、唾液、尿、便、精液、涙、或いはその他の体液又はその抽出物が含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
生物学的試料中のJNK、Src、Lck又はオーロラ−2キナーゼ活性の阻害は、当業者に知られた種々の目的のために有用である。このような目的には、輸血、臓器移植、生物学的検体の貯蔵及び生物学的アッセイ法があるが、これらに限定されない。
【0135】
式Iの化合物又はその誘導体(例えば、塩類)は、組成物に処方することができる。好ましい具体例では、組成物は製薬上許容できる組成物である。一具体例では、該組成物は、生物学的試料中又は患者におけるプロテインキナーゼ、特にJNK、Src、Lck又はオーロラ−2を阻害させるのに有効な量の化合物を含む。他の具体例では、本発明の化合物並びに製薬組成物であってJNK、Src、Lck又はオーロラ−2が介在する状態を治療し又は予防するのに有効な量の化合物と製薬上許容できるキャリアー、賦形剤又はビヒクルを含むものを、患者に投与するために処方することができる。
【0136】
プロテインキナーゼ、例えばJNK、Src、Lck又はオーロラ−2を阻害させるのに有効な量は、阻害剤の不存在下での酵素の活性と比較した場合に、キナーゼ活性を測定可能なほどに阻害させるような量である。“測定可能なほどの阻害”とは、該阻害剤を含有する試料と該プロテインキナーゼのみを含有する試料との間の活性の測定可能なほどの変化を意味する。阻害を決定するには、任意の方法、例えば、以下に記載する生物学的試験例を使用することができる。
【0137】
用語“製薬上許容できるキャリアー、賦形剤又はビヒクル”とは、患者に本発明の化合物と共に投与でき且つその薬理学的活性を壊さない非毒性のキャリアー、賦形剤又はビヒクルをいう。
【0138】
用語“患者”とは、ヒト及び獣医学的生体をいう。
【0139】
これらの製薬組成物に使用できる製薬上許容できるキャリアーには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン鎖アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清蛋白、燐酸塩のような緩衝剤物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、プロタミン硫酸塩、燐酸水素二ナトリウム、燐酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩のような塩類又は電解質、コロイドシリカ、三珪酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体、ポリエチレングリコール及び羊毛脂があるが、これらに限らない。
【0140】
本発明の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸経路で、鼻内で、口腔経路で、膣内経路で又は移植された溜め経路で投与することができる。用語“非経口的”とは、ここで使用するときは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内及び頭蓋内の注射又は注入技術を包含する。好ましくは、組成物は、経口的に、腹腔内で又は静脈内で投与される。
【0141】
本発明の組成物の無菌注射可能形態は、水性又は油性の懸濁液であってよい。これらの懸濁液は、好適な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して当業者に知られた技術に従って処方することができる。また、無菌注射可能製剤は、非毒性の経口的に許容できる希釈剤又は溶媒中の無菌注射可能溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用可能な許容できるビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。更に、無菌の不揮発性油が溶媒又は懸濁媒として具合良く使用される。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含めて、任意の程良く不揮発性の油を使用することができる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体のような脂肪酸が、オリーブ油又はひまし油のような天然の製薬上許容できる油、特にそれらのポリオキシエチレン化転化物と同様に、注射可能製剤の製造に有用である。これらの油性溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、例えば、製薬上許容できる投薬形態(エマルジョン及び懸濁液も含む。)の処方に普通に使用されるカルボキシメチルセルロース又は類似の分散剤も含有することができる。その他の普通に使用される界面活性剤、例えば、製薬上許容できる固体、液体又はその他の投薬形態の製造に普通に使用されるツイーン、スパン、その他の乳化剤も、処方の目的で使用することができる。
【0142】
本発明の製薬組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液又は溶液(これらに限らない。)を含めて任意の経口的に許容できる投薬形態で経口投与することができる。経口投与のための錠剤の場合には、普通に使用されるキャリアーにはラクトース及びコーンスターチがある。ステアリン酸マグネシウムのような滑剤も典型的に使用される。カプセル形態での経口投与のために有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥コーンスターチがある。経口投与のために水性懸濁液が要求されるときは、活性成分は、乳化剤及び懸濁剤と混合される。所望ならば、ある種の甘味料、香料又は着色剤も添加することができる。
【0143】
別法として、本発明の製薬組成物は、直腸投与のために座薬の形態で投与することができる。これらは、薬剤を室温で固形であるが直腸温度で液状であり、従って直腸で融解して薬剤を放出させる好適な非刺激性の賦形剤と混合することによって製造することができる。このような物質には、ココアバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0144】
また、本発明の製薬組成物は、特に、治療の標的が眼、皮膚又は下方の腸管を含めて局所適用により容易に接近できる領域又は臓器を含むときは、局所的に投与することができる。これらの領域又は臓器のそれぞれに好適な局所用処方物は容易に調製される。
【0145】
下方の腸管のための局所適用は、直腸座薬処方物(上記を参照。)又は好適な浣腸処方物で実施できる。また、局所経皮パッチも使用することができる。
【0146】
局所適用のためには、製薬組成物は、活性成分を1種以上のキャリアーに懸濁させ又は溶解させて含有する好適な軟膏として処方することができる。本発明の化合物の局所投与のためのキャリアーには、鉱油、液状ペトロラタム、ホワイトペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン若しくはポリオキシプロピレン化合物、乳化性ワックス及び水が含まれるが、これらに限定されない。別法として、製薬組成物は、活性成分を1種以上の製薬上許容できるキャリアーに懸濁させ又は溶解させて含有する好適なローション又はクリームとして処方することができる。好適なキャリアーには、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、ケテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が含まれるが、これらに限定されない。
【0147】
眼科用のためには、製薬組成物は、等張性pH調節無菌塩水中の微粒化懸濁液として、又は好ましくは等張性pH調節無菌塩水中の溶液として、塩化ベンザルコニウムのような保存剤を加え又は加えないで、処方することができる。別法として、眼科用のためには、製薬組成物は、ペトロラタムのような軟膏として処方することができる。
【0148】
また、本発明の製薬組成物は、鼻へのエーロゾル又は吸入によって投与することもできる。このような組成物は、製薬処方物の技術分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコール又はその他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン及び(又は)その他の慣用の可溶化若しくは分散剤を使用して、塩水溶液として調製することができる。
【0149】
好ましい具体例によれば、本発明の製薬組成物は経口投与される。
【0150】
他の具体例によれば、本発明は、式Iの化合物の製薬上許容できる誘導体に関する。好ましい具体例では、この製薬上許容できる誘導体は、式IIa、IIb、IVa又はIVbの化合物の誘導体である。
【0151】
本発明の化合物に加えて、本発明の化合物の製薬上許容できる誘導体も、本明細書において確認さられた疾病又は疾患を治療し又は予防するための組成物に使用することができる。
【0152】
“製薬上許容できる誘導体”とは、受容者に投与したときに、本発明の化合物又はそれの抑制的に活性な代謝産物若しくは残基を与えることができる式Iの化合物の任意の製薬上許容できる塩、エステル、エステルの塩又はその他の誘導体を意味する。本発明の化合物の塩類又はエステル類を製造するための方法は、当業者に周知である。特に好ましい誘導体は、このような化合物が患者に投与されるときに本発明の化合物のバイオアベイラビリティを増大させるもの(例えば、経口投与された化合物を血液中に容易に吸収させることによって)又は生物学的区域(例えば、脳又はリンパ系)への親化合物の送出をこの親種と比べて向上させるものである。
【0153】
本発明の化合物の製薬上許容できる誘導体には、エステル、アミノ酸エステル、燐酸エステル、金属塩及びスルホン酸エステルが包含されるが、これらに限定されない。
【0154】
本発明の化合物の製薬上許容できる塩類には、製薬上許容できる無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものが包含される。好適な酸塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重亜流酸塩、酪酸塩、くえん酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル流酸塩、エタンスルホン酸塩、ぎ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロ燐酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水酸塩、沃化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタリンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、しゅう酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、燐酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、こはく酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が包含される。しゅう酸のようなその他の酸も、それら自体は製薬上許容できないが、本発明の化合物及びそれらの製薬上許容できる付加塩を得るための中間体として有用な塩類の製造に使用することができる。
【0155】
適切な塩基から誘導される塩類には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、アンモニウム及びN+(C1〜C4アルキル)4塩がある。また、本発明は、ここに開示する化合物の任意の塩基性窒素含有基の4級化も想定している。水溶性若しくは油溶性の又は分散性の物質はこのような4級化によって得ることができる。
【0156】
また、特定の患者のための特定の投薬及び治療の処方管理は、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康、性別、ダイエット、投与時間、排泄速度、薬剤の組合せ、治療医師の判断及び治療すべき疾病の重さを含めて種々の因子に依存することを理解すべきである。また、化合物の投薬は、どの特別の化合物が組成物中にあるかにも依存する。
【0157】
本発明の化合物は、酵素アッセイ法により決定されるように、JNK、Src、Lck又はオーロラ−2キナーゼの阻害剤である。従って、これらの化合物は、JNK、Src、Lck又はオーロラ−2が介在する疾病又は状態を治療するのに有用である。
【0158】
他の観点によれば、本発明は、患者におけるJNK、Src、Lck又はオーロラ−2が介在する疾病を治療するための方法に関し、この方法はそれを必要としている患者に、治療学的に有効な量の式Iの化合物又はこの化合物を含む製薬上許容できる組成物を投与することからなる。好ましい具体例によれば、本発明は、式Ia、IIa、IIb、IIc、IIIa、IIIb、IIIc、IVa、IVb、IVc、Va、Vb若しくはVcの化合物又はこの化合物を含む製薬上許容できる組成物を投与することに関する。更に好ましい具体例は、式IIa、IIb、IVa若しくはIVbの化合物又はこの化合物を含む製薬上許容できる組成物を投与することに関する。
【0159】
更に他の観点によれば、本発明は、患者におけるJNK、Src、Lck又はオーロラ−2が介在する疾病の重さを減少させるための方法に関し、この方法はそれを必要としている患者に、治療学的に有効な量の式Iの化合物又はこの化合物を含む製薬上許容できる組成物を投与することからなる。好ましい具体例によれば、本発明は、式Ia、IIa、IIb、IIc、IIIa、IIIb、IIIc、IVa、IVb、IVc、Va、Vb若しくはVcの化合物又はこの化合物を含む製薬上許容できる組成物をを投与することに関する。更に好ましい具体例は、式IIa、IIb、IVa若しくはIVbの化合物又はこの化合物を含む製薬上許容できる組成物を投与することに関する。
【0160】
キナーゼ阻害剤としての本発明の化合物の活性は、インビトロで、インビボで又は細胞系統で評価分析することができる。インビトロでのアッセイ法には、活性化酵素、例えばJNK、Lck、Src又はオーロラ−2のキナーゼ活性か又はATPアーゼ活性のいずれかの阻害を決定するアッセイ法が含まれる。別法のインビボでのアッセイ法は、阻害剤がJNK、Lck、Src又はオーロラ−2に結合する能力を定量するもので、結合させる前に阻害剤を放射性同位元素標識し、阻害剤/JNK、阻害剤/Lck又は阻害剤/Src複合体を単離し、次いで結合した放射性同位元素標識の量を決定するか、或いは新規な化合物を、既知の放射性リガンドと結合させたJNK、Lck、Src又はオーロラ−2と共にインキュベーションする競合実験を行なうかのいずれかによって測定することができる。どんなJNK、Lck、Src又はオーロラ−2のタイプ又はアイソフォームを阻害させるべきかどうかに応じて、JNK、Lck、Src又はオーロラ−2の任意のタイプ又はアイソフォームを使用することができる。酵素アッセイ法に使用される条件の詳細は、後記の実施例に記載する。
【0161】
用語“JNKが介在する疾病”、“疾患”又は“状態”とは、ここで使用するときは、JNKがその役割を果たすことが知られている任意の疾病、疾患、障害又はその他の有害な状態を意味する。このような状態、疾病又は疾患には、炎症性疾病、自己免疫病、破壊性骨障害、増殖性疾患、癌、感染病、神経変性病、アレルギー、発作における再灌流/虚血、心臓発作、血管形成障害、臓器低酸素症、血管過形成、心臓肥大、トロンビン誘発血小板凝集症、又はプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ−2と関連する状態が含まれるが、これらに限定されない。
【0162】
本発明の化合物によって治療し又は予防することができる炎症性疾病には、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギー及び成人呼吸困難症候群があるが、これらに限定されない。
【0163】
本発明の化合物によって治療し又は予防することができる自己免疫病には、糸球体腎炎、リューマチ様関節炎、全身エリトマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬及び移植片対宿主病があるが、これらに限定されない。
【0164】
本発明の化合物によって治療し又は予防することができる破壊性骨障害には、骨粗鬆症、変形性関節症及び多発性骨髄腫関連骨障害があるが、これらに限定されない。
【0165】
本発明の化合物によって治療し又は予防することができる増殖性疾病には、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫及びHTLV−1が介在する腫瘍発生があるが、これらに限定されない。
【0166】
本発明の化合物によって治療し又は予防することができる血管形成障害には、固形腫瘍、眼の新生血管形成及び乳児期血管腫があるが、これらに限定されない。本発明の化合物によって治療し又は予防することができる感染病には、敗血症、敗血症性ショック及び細菌性赤痢があるが、これらに限定されない。
【0167】
本発明の化合物によって治療し又は予防することができるウイルス病には、急性肝炎感染(A型肝炎、B型肝炎及びC型肝炎を含む。)、HIV感染及びCMV網膜炎があるが、これらに限定されない。
【0168】
本発明の化合物によって治療し又は予防することができる神経変性疾病には、アルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性外側硬化症(ALS)、てんかん、発作、ハンチントン病、外傷性脳損傷、虚血性及び出血性発作、大脳虚血、又は外傷、急性低酸素症、虚血若しくはグルタメート神経毒性に起因するアポプトーシス推進神経変性疾患を含めて神経変性疾患があるが、これらに限定されない。
【0169】
また、“JNKが介在する疾病”、“疾患”又は“状態”には、発作における虚血/再灌流、心臓発作、心筋虚血、臓器低酸素症、脈管過形成、心臓肥大、腎臓虚血、肝臓病、うっ血性心不全、病原性免疫応答、例えばT−細胞活動化及びトロンビン誘発血小板凝集症も含まれる。
【0170】
更に、本発明のJNK阻害剤は、誘発性プロ炎症性たんぱくの発現を阻害させることができる。従って、本発明の化合物により治療することができるその他の“JNKが介在する疾病”、“疾患”又は“状態”には、水腫、無痛覚症、発熱及び痛み、例えば、神経筋痛、頭痛、癌の痛み、歯痛及び関節炎痛が含まれる。
【0171】
また、本発明の化合物は、Srcファミリーキナーゼ、特にSrcの阻害剤として有用である。これらのキナーゼの概説のためには、トーマス及びブルグのAnnu.Rev.Cell.Dev.Biol.13:513(1997);ローレンス及びニウのPharmacol.Ther.77:81(1998)並びにタトシャン及びミゼニアのBiochemistry(Moscow)65:49(2000)を参照されたい。
従って、これらの化合物は、Srcが介在する疾病、疾患又は状態を治療するのに有用である。
【0172】
用語“Srcが介在する疾病”、“疾患”又は“状態”とは、ここで使用するときは、1種以上のSrcファミリーキナーゼの活性によって影響されることが知られている任意の疾病、疾患、障害又はその他の有害な状態を意味する。このような疾病、疾患又は状態には、高カルシウム血症、再狭窄、骨粗鬆症、変形性関節症、骨転移の症状治療、リューマチ様関節炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、狼瘡、移植片対宿主病、T−細胞介在過敏性疾患、橋本甲状腺炎、ギラン−バール症候群、慢性閉塞性肺疾患、接触皮膚炎、癌、パジェット病、喘息、虚血/再灌流障害、アレルギー性疾患、アトピー性皮膚炎及びアレルギー性鼻炎がある。Srcの活性により影響される疾病には、特に、高カルシウム血症、骨粗鬆症、変形性関節症、癌、骨転移の症状治療及びパジェット病がある。
【0173】
用語“Lckが介在する疾病”、“疾患”又は“状態”とは、ここで使用するときは、Lckキナーゼの活性によって影響されることが知られている任意の疾病、疾患、障害又はその他の有害な状態を意味する。このような疾病、疾患又は状態には、自己免疫病、アレルギー、リューマチ様関節炎及び白血病がある。
【0174】
用語“オーロラが介在する疾病”、“疾患”又は“状態”とは、ここで使用するときは、オーロラファミリーキナーゼがその役割を果たすことが知られている任意の疾病、疾患、障害又はその他の有害な状態を意味する。このような疾病、疾患又は状態には、黒色腫、白血病、又は結腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、頸部癌、黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、リンパ腫、神経芽腫、膵臓癌、白血病及び膀胱癌から選ばれる癌がある。
【0175】
好ましい具体例は、炎症性疾病、自己免疫病、破壊性骨障害、神経変性病、アレルギー、発作における再灌流/虚血、心臓発作、脈管形成障害、臓器低酸素症、血管過形成、心臓肥大又はトロンビン誘発血小板凝集症から選ばれるJNKが介在する疾病を治療し又は予防するのに使用される方法に関する。
【0176】
他の好ましい具体例は、高カルシウム血症、骨粗鬆症、変形性関節症又は骨転移の症状治療から選ばれるSrcが介在する疾病を治療し又は予防するのに使用される方法に関する。
【0177】
他の好ましい具体例は、自己免疫病、リューマチ様関節炎又は白血病から選ばれるLckが介在する疾病を治療し又は予防するのに使用される方法に関する。
【0178】
他の好ましい具体例は、黒色腫、白血病、又は結腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、頸部癌、黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、リンパ腫、神経芽腫、膵臓癌、白血病及び膀胱癌から選ばれる癌から選ばれるオーロラが介在する疾病を治療し又は予防するのに使用される方法に関する。
【0179】
特定のプロテインキナーゼが介在する治療し又は予防すべき状態に応じて、このような状態を治療し又は予防するのに通常投与される追加の治療剤を本発明の化合物と共に投与することができる。例えば、癌の治療においては、癌を治療するために他の化学療法剤又は抗増殖剤を本発明の化合物と併用することができる。これらの薬剤には、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タキソール、インターフェロン及び白金誘導体がある。
【0180】
本発明の化合物と併用できる薬剤の他の例には、注射用又は吸入用形態のインスリン又はインスリン類似体、グリタゾン、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド、インスリン感作物質及びスルホニル尿素を含めて抗糖尿病薬;抗炎症剤、例えばコルチコステロイド、TNF遮断剤、IL−1RA、アザチオプリン、シクロホスファミド及びスルファサラジン;免疫調節及び免疫抑制剤、例えばシクロスポリン、タクロリマス、ラパマイシン、マイコフェノレートモフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン及びスルファサラジン;神経栄養因子、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャンネル遮断剤、リルゾール及び抗パーキンソン薬;心臓血管病治療薬、例えばβ−遮断剤、ACE阻害剤、利尿剤、硝酸塩、カルシウムチャンネル遮断剤及びスタチン;肝臓病治療薬、例えばコルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロン及び抗ウイルス剤;血液疾患治療薬、例えばコルチコステロイド、抗白血病薬及び成長因子;免疫不全疾患治療薬、例えばγ−グロブリンがあるが、これらに限定されない。
【0181】
これらの追加の薬剤は、多投薬処方の一部として化合物含有組成物と別個に投与することができる。別法として、これらの薬剤は、単一の組成物として本発明の化合物と混合された単一投与形態の部分をなしてもよい。多投薬処方の一部として投与されるならば、2種の活性剤が、同時に、連続的に、又は互いに一定の期間内に、通常は互いに5時間以内に提供することができる。
【0182】
単一投与形態を作るようにキャリアー物質と一緒にできる化合物と追加の治療薬の両者の量(前記した追加の治療薬を含む組成物中の)は、治療する宿主及び特定の投与態様によって変る。好ましくは、本発明の組成物は、1日当たり体重1kgにつき0.01〜100mgの薬量の式Iの化合物が投与できるように処方するべきである。
【0183】
追加の治療薬を含む組成物において、該追加の治療薬及び本発明の化合物は、相乗的に作用し得る。従って、このような組成物中の追加の治療薬の量は、該治療薬のみを利用する単一療法において要求される量よりも少ない。このような組成物においては、1日当たり体重1kgにつき0.01〜100μgの薬量の追加の治療薬を投与することができる。
【0184】
また、本発明の化合物又はその製薬組成物は、移植用医療器具、例えば、プロテーゼ、人工弁、血管移植片、ステント及びカテーテルを被覆するための組成物中に配合することができる。例えば、血管ステントは、再狭窄(損傷後の血管壁の再狭窄)を克服するために使用された。しかし、ステント又は他の移植用器具を使用する患者は、血餅の生成又は血小板の活性化の恐れがある。これらの望まない作用は、キナーゼ阻害剤を含む製薬上許容できる組成物でもって器具を予め被覆することによって予防し又は軽減することができる。好適な被覆材及び被覆された移植用器具の一般的な製作は、米国特許第6,099,562号、同5,886,026号及び同5,304,121号に記載されている。これらの内容は参照することによってここに含めるものとする。被覆材は、典型的には、生体適合性の重合体材料、例えばヒドロゲル重合体、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル重合体及びこれらの2種以上の混合物である。場合により、被覆材は、組成物に徐放特性を付与するために、フルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、燐脂質又はこれらの組合せよりなる好適なトップコートにより更に被覆され得る。本発明の化合物により被覆された移植用器具は、本発明の他の具体例である。
【0185】
JNK、Lck、Src又はオーロラ−2の阻害に向けられた前記の方法のそれぞれ又は疾病を軽減させる療法の処置は、好ましくは、前記した式I、IIa、IIb、IVa又はIVbの好ましい化合物を使用して実施される。更に好ましくは、前記した方法のそれぞれは、式IIa、IIb、IVa又はIVbの好ましい化合物を使用して実施する。
【0186】
本発明がより完全に理解できるようにするために、下記の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的のためのみに示し、本発明を制限するものと解してはならない。
【実施例】
【0187】
用語“Rt(分)”とは、ここで使用するときは、特定のHPLC法を使用して、化合物と関連させたHPLCの保持時間(分で表わす。)をいう。別に示してないならば、記録された保持時間を得るのに使用されたHPLC法は、以下の通りである。
方法A:
カラム:YMC ODS−AQ、2×50mm
勾配:10%→90%CH3CN/水(0.1%TFA)5分間;90%CH3CN/水(0.1%TFA)0.7分間;90%→10%CH3CN/水(0.1%TFA)0.1分間;次いで、10%CH3CN/水(0.1%TFA)1.2分間
流量:1mL/分
方法B:
カラム:YMC C18、3×150mm
勾配:10%→90%CH3CN/水(0.1%TFA)7分間;90%CH3CN/水(0.1%TFA)2.0分間;90%→10%CH3CN/水(0.1%TFA)1.0分間;次いで、10%CH3CN/水(0.1%TFA)2.0分間
流量:1mL/分
【0188】
例1
【化12】

3−クロル−4,4−ジメトキシブタン−2−オン(1)
4−メトキシ−3−ブテン−2−オン(9.0g、90.0ミリモル)を100mLのMeOHに溶解してなる溶液に、ピリジン(14.2g、180ミリモル)を添加した。この混合物に室温で激しく撹拌しながらガス状Cl2を導入した。5分後に、Cl2源を除き、反応混合物を室温に冷却した。生じた反応混合物を真空下に濃縮して黄色油状物とし、次いでCH2Cl2とNaHCO3水溶液との間で分液した。水性層をCH2Cl2(150mL×3)で抽出し、一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥した。溶媒を除去すると粗製物質が得られたが、所望の化合物1が主生成物であった。生じた粗製物質はさらに精製することなく使用した。
1HNMR(CDCl3、ppm)δ:4.45(d、1H);4.12(d、1H);3.25(s、3H);3.22(s、3H)及び2.20(s、3H)
【0189】
例2
【化13】

1−(2−フェニル−3−H−イミダゾール−4−イル)エタノン(2’)
化合物1(2.2g、13.3ミリモル)を20mlの1,4−ジオキサンに溶解してなる溶液に、ベンズアミジン(3.24g、20.0ミリモル)及び酢酸ナトリウム(2.83g、33.3ミリモル)を添加した。反応混合物を110℃の油浴で60時間還流させた。反応混合物を室温に冷却させた後、塩をセライト栓を通して除去し、ろ液を赤色油状物に濃縮させた。次いで、この油状物を酢酸エチル(50mL)中に溶解させ、1NのHCl(17mL×3)で抽出した。一緒にした有機層をNa2CO3水溶液で塩基性にし、次いで酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥し、溶媒を除去した。CH2Cl2/MeOH(95:5/v:v)を使用するクロマトグラフィーにより精製すると、化合物2’が所望生成物として41%の収率で得られた。
1HNMR(アセトン−d6、ppm)δ:7.4−8.1(m、7H)及び2.42(s、3H)
【0190】
例3
【化14】

3−ジメチルアミノ−1−(2−フェニル−3−H−イミダゾール−4−イル)プロペノン(4’)
化合物2’(186mg、1.0ミリモル)を5mLのトルエンに溶解してなる溶液に、ジメトキシメチルジメチルアミン(595mg、5.0ミリモル)を添加した。反応混合物を密閉チューブ内で98℃に終夜加熱した。反応物を室温に冷却し、次いで真空下に油状物に濃縮した。粗製油状物を3%MeOH/CH2Cl2を使用するクロマトグラフィーにより精製すると、所望の化合物4’が30%の収率で得られた。
1HNMR(CDCl3、ppm)δ:8.05(d、2H);7.7(d、1H);7.6(s、1H);7.3(m、3H);5.6(d、2H);3.1(bs、3H)及び2.8(bs、3H)
【0191】
例4
【化15】

3−ジメチルアミノ−1−(3−メチル−2−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾール−4−イル)プロペノン(5’)
1−(2−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾール−4−イル)エタノン(2.0g、7.4ミリモル)をジメトキシメチルジメチルアミン(7.15g、60.0ミリモル)に添加した。この混合物を密閉チューブ内で75℃に2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いで真空下に油状物に濃縮した。粗製油状物を5%MeOH/CH2Cl2を使用するクロマトグラフィーにより精製すると、所望の化合物5’(832mg)が43.9%の収率で得られた。
1HNMR(CD3OD、ppm)δ:8.85(s、1H);8.70(d、1H);8.16(d、1H);7.80(s、1H);7.75(d、1H);7.62(dd、1H);5.75(d、1H);3.98(s、3H);3.23(bs、3H)及び2.96(bs、3H)
【0192】
例5
【化16】

1−(1−メトキシメチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−4−イル)エタノン(3’)
化合物2’(696mg、3.74ミリモル)を30mlの無水THFに溶解してなる溶液に、−78℃でリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中で1M、3.74mL、3.74ミリモル)を添加した。10分後に、反応混合物を室温まで加温し、この温度で10分間保持し、次いで−78℃に再度冷却した。反応混合物にMOMCl(284μL、3.74ミリモル)を添加した。反応混合物を室温まで加温し、終夜撹拌した。次いで、反応混合物をNaHCO3水溶液に注入し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。一緒にした有機層を無水Na2SO4で乾燥した。溶媒を除去し、粗製物質を2%MeOH/CH2Cl2を使用してクロマトグラフィーにより精製して630mgの化合物3’を所望生成物として73.6%の収率で得た。
1HNMR(CDCl3、ppm)δ:7.88(s、1H);7.75(m、2H);7.45(m、3H);5.25(s、2H);3.38(s、3H)及び2.55(s、3H)
【0193】
例6
【化17】

3−ジメチルアミノ−1−(1−メトキシメチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−4−イル)プロペノン(6’)
化合物3’(630mg、2.73ミリモル)を5mLのCH3CNに溶解してなる溶液に、ジメトキシメチルジメチルアミン(586mg、4.93ミリ)及びジメチルアミンのTHF溶液(0.5M、1.4mL、0.7ミリモル)を添加した。反応混合物を密閉チューブ内で48時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を真空下に除去した。粗製物質を2%MeOH/CH2Cl2を使用してクロマトグラフィーにより精製して397mgの化合物6’を所望生成物として51.2%の収率で得た。
1HNMR(CDCl3、ppm)δ:7.90(d、1H);7.80(m、3H);7.40(m、3H);6.12(d、1H);5.22(d、2H);3.36(s、3H);3.20(bs、3H)及び2.92(bs、3H)
【0194】
例7
【化18】

(4−フルオルフェニル)−[4−(2−フェニル−3H−イミダゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル]アミン(IIa−2)
化合物4’(50.0mg、0.21ミリ)を4mLの無水MeOHに溶解してなる溶液に、N−(4−フルオルフェニル)グアニジン(36.8mg、0.24ミリモル)及びMeONa/MeOH(0.5M、0.2mL、0.1ミリモル)を添加した。反応混合物を密閉チューブ内で終夜還流した。粗製物質を調製クロマトグラフィーに付して所望化合物IIa−2を56%の収率で得た。
1HNMR(MeOH−d4、ppm)δ:8.50(d、1H);8.30(s、1H);8.02(d、2H);7.70(m、5H);7.32(d、1H)及び7.12(m、2H)
MS(M+1):332.2
HPLC(方法B)Rt:6.27分
【0195】
例8
【化19】

(4−クロルフェニル)−[4−(1−メトキシメチル−2−フェニル−1H−イミダゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル]アミン(IIa−10)
化合物IIa−2と同じ方法で化合物IIa−10を52%の収率で製造した。
1HNMR(CDCl3、ppm)δ:8.45(d、1H);7.84(s、1H);7.80(d、2H);7.62(d、2H);7.48(m、4H);7.20(m、3H);5.28(s、2H)及び3.42(s、3H)
MS(M+1):392
HPLC(方法B)Rt:6.77分
【0196】
例9
【化20】

1−(2−フェニルオキサゾール−5−イル)エタノン(9’)
化合物1(3.32g、20.0ミリモル)を10mLの酢酸に溶解してなる溶液に、ベンズアミド(3.63g、30.0ミリモル)を添加した。反応混合物を密閉チューブ内で120℃に終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、100mLの水中に注入した。水性層をCH2Cl2(100mL×3)で抽出し、一緒にした有機層をNa2SO4で乾燥した。次いで、溶媒を真空下に除去し、粗製物質をヘキサン:酢酸エチル(3:1/v:v)を使用してクロマトグラフィーにより精製して1.2gの化合物9’を所望生成物として32%の収率で得た。
1HNMR(CDCl3、ppm)δ:8.22(d、2H);7.82(s、1H);7.50(m、3H)及び2.60(s、3H)
【0197】
例10
【化21】

3−ジメチルアミノ−1−(2−フェニルオキサゾール−5−イル)プロペノン(10’)
化合物9’(800mg、4.27ミリモル)を5mLのCH3CNに溶解してなる溶液に、ジメトキシメチルジメチルアミン(916mg、7.70ミリ)及びジメチルアミンのTHF溶液(0.5M、4.28mL、2.14ミリモル)を添加した。反応混合物を密閉チューブ内で2日間還流した。反応混合物を室温に冷却した後、溶媒を真空下に除去した。粗製物質を3%MeOH/CH2Cl2を使用してクロマトグラフィーにより精製して700mgの化合物10’を所望生成物として67.7%の収率で得た。
1HNMR(CDCl3、ppm)δ:8.15(d、2H);7.80(d、1H);7.70(s、1H);7.45(m、3H);5.60(d、1H);3.24(bs、3H)及び2.96(bs、3H)
【0198】
例11
【化22】

(4−クロルフェニル)−[4−(2−フェニルオキサゾール−5−イル)ピリミジン−2−イル]アミン(IIb−1)
化合物IIa−2と同じ態様で化合物IIb−1を62%の収率で製造した。
1HNMR(CDCl3、ppm)δ:8.45(d、1H);8.16(d、1H);7.80(s、1H);7.62(d、2H);7.48(m、3H);7.30(d、3H);7.16(s、1H)及び7.12(d、1H)
MS(M+1):349
HPLC(方法B)Rt:8.44分
【0199】
例12
上記の例7及び8に記載した方法並びに反応式Iに例示した方法と実質的に類似する方法によって、式IIaのその他の化合物を製造した。これらの化合物の特徴付けデータを後記の表7に要約する。この表で、“Y”は、1HNMRが得られ、これが帰属された構造式と一致することが分かったことを表わす。また、表7における化合物の番号は、表1にリストした化合物の番号に相当する。
【0200】
【表31】

【0201】
例13
上記の例11に記載した方法並びに反応式IIに例示した方法と実質的に類似する方法によって、式IIbのその他の化合物を製造した。これらの化合物の特徴付けデータを後記の表8に要約する。この表で、“Y”は、1HNMRが得られ、これが帰属された構造式と一致することが分かったことを表わす。また、表8における化合物の番号は、表2にリストした化合物の番号に相当する。
【0202】
【表32】

【0203】
次の例は、本発明の化合物がいかにしてc−Jun−N−末端、Src及びLckキナーゼの阻害剤として試験され得るのかを示す。
【0204】
例14
JNK3蛋白質のクローニング、発現及び精製
公開されたJNK3α1のcDNAを検索物として使用したESTデータベースのBLASTサーチにより、ヒトJNK3α1についての全コード配列を含有したESTクローン(#632588)が同定された。pfuポリメラーゼ(Strategene社)を使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、pET−15B発現ベクターにNcoI及びBamHI部位でクローニングするために該cDNAに制限部位を導入した。その蛋白質をE.Coli内で発現させた。発現した全長蛋白質(Met1〜Gln422)の貧弱な溶解性のために、位置40のSer残基(Ser40)から始まるN末端が切断された蛋白質が産生された。この切断は、JNK1及びJNK2のSer2に相当し、そしてこの前にはメチオニン(開始)及びグリシン残基がある。このグリシン残基は、発現ベクターにクローニングするためのNcoI部位を導入するために付加された。さらに、体系的なC末端切断をPCRで実行してX線回折能のある結晶を生じさせる構築物を同定した。1種のこのような構築物は、JNK3α1のアミノ酸残基Ser40〜Glu402をコードしており、そしてこの前にはMet及びGly残基がある。
【0205】
この構築物を、次のデオキシオリゴヌクレオチド:
5'GCTCTAGAGCTCCATGGGCAGCAAAAGCAAAGTTGACAA3'(下線の開始コドンを有する正プライマー)(配列番号1)及び5'TAGCGGATCCTCATTCTGAATTCATTACTTCCTTGTA3'(下線の終止コドンを有する逆プライマー)(配列番号2)
をプライマーとして使用してPCRで調製し、そしてこれをDNA配列決定によって確認した。対照実験から、この切断JNK3蛋白質は、試験管内で上流のキナーゼMKK7で活性化されたときに、ミエリン塩基性蛋白質に対して同等のキナーゼ活性を有していたことが示された。
【0206】
E.ColiのBL21株(DE3)(Novagen社)をJNK3発現構築物で形質転換させ、そして振盪フラスコ内の100μg/mLカルベニシリンを加えたLB中で30℃で細胞が対数増殖期(OD600〜0.8)の状態になるまで増殖させた。イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシダーゼ(IPTG)を0.8mMの最終濃度まで添加し、そして細胞を2時間後に遠心分離によって採取した。
【0207】
JNK3を含有するE.Coli細胞のペーストを10容量/gの溶解緩衝液(10%グリセリン(v/v)、100mMのNaCl、2mMのDTT、0.1mMのPMSF、2μg/mLのペプスタチン、それぞれ1μg/mLのE−64及びロイペプチンを含有する50mMのHEPES、pH7.2)に再懸濁させた。細胞をマイクロフリューダイザーを使用して氷上で溶解させ、そして100000×gで30分にわたって4℃で遠心分離した。この100000×gの上澄み液を緩衝液A(20mMのHEPES,pH7.0、10%グリセリン(v/v)、2mMのDTT)で1:5に希釈し、そしてSP−セファロース(Pharmacia社)陽イオン交換クロマトグラフィー(カラム寸法:2.6×20cm)によって4℃で精製した。この樹脂を5倍のカラム容量の緩衝液Aで洗浄し、次いで50mMのNaClを含有する5倍カラム容量の緩衝液Aで洗浄した。結合したJNK3を7.5倍カラム容量の50〜300mMのNaCl直線勾配で溶出させた。JNK3は、150〜200mMのNaClで溶出した。
【0208】
例15
JNK3の活性化
5mgのJNK3を、100mMのNaCl、5mMのDTT、20mMのMgCl2及び1mMのATPを含有する50mMのHEPES緩衝液(pH7.5)で0.5mg/mLに希釈した。GST−MKK7(DD)を1:2.5のGST−MKK7:JNK3のモル比で添加した。25℃で30分間インキュベーション後、この反応混合物をCentriprep−30(Amicon社、マサチューセッツ州ビバリー)での限外濾過によって5倍に濃縮し、10mLに希釈し、そしてさらに1mMのATPを添加した。ADPを除去し且つATPを補充するためにこの手順を3回繰り返した。ATPの最後の添加は5mMであり、そしてこの混合物を4℃で一晩インキュベートした。
【0209】
活性化されたJNK3/GST−MKK7(DD)反応混合物を、5mMのDTT及び5%グリセリン(w/v)を含有する50mMのHEPES緩衝液(pH7.5)に透析又は限外濾過によって交換した。この反応混合物を1.1Mの燐酸カリウム(pH7.5)に適合させ、そしてRainin水孔カラムを使用して疎水性相互作用クロマトグラフィー(25℃で)によって精製した。GST−MKK7と活性化されていないJNK3とは、1.1〜0.05Mの燐酸カリウム勾配が1mL/分の流速で60分にわたって展開されるときに、二重燐酸化されたJNKが単一燐酸化JNKから分離するように、これらの条件下では結合しない。活性化JNK3(即ち、二重燐酸化JNK3)を−70℃で0.25〜1mg/mLで保存した。
【0210】
例16
JNK阻害アッセイ法
化合物をJNK3の阻害について分光光学的共役酵素アッセイ法によって検定した。このアッセイ法では、一定濃度の活性化JNK3(10nM)を、10mMのMgCl2、2.5mMのホスホエノールピルベート、200μMのNADH、150μg/mLのピルベートキナーゼ、50μg/mLのラクテートデヒドロゲナーゼ及び200μMのEGF受容体ペプチドを含有する0.1MのHEPES緩衝液(pH7.5)中で、30℃で10分間にわたって、DMSO中に溶解された見込まれる阻害剤の様々な濃度でインキュベートした。EGF受容体ペプチドは、配列KRELVEPLTPSGEAPNQALLRを有し、且つ、JNK3触媒キナーゼ反応におけるホスホリルアクセプターである。この反応を10μMのATPの添加によって開始させ、そしてアッセイ用プレートを、30℃で保持された分光光度計のアッセイ用プレート区画に挿入する。340nmでの吸光度の減少を時間の関数として記録した。阻害剤濃度の関数としての速度データを拮抗阻害反応速度モデルに適合させてKiを決定した。
【0211】
表9は、JNK阻害アッセイ法における選択された本発明の化合物の活性の結果を示している。化合物の番号は、表1〜3の化合物番号に対応している。0.1μM未満のKiを有する化合物を「A」と評価し、0.1〜1μMの間のKiを有する化合物を「B」と評価し、1μM以上のKiを有する化合物を「C」と評価した。
【0212】
【表33】

【0213】
例17
本発明の化合物は、放射能に基づくアッセイ法又は分光学的アッセイ法のいずれかを使用してヒトSrcキナーゼの阻害剤として評価できる。
【0214】
Src阻害アッセイ法A:放射能に基づくアッセイ法
この化合物は、バキュロ・ウイルス性細胞で発現し、そしてそれから精製された全長組換えヒトSrcキナーゼ(Upstate Biotechnology社、カタログ番号14−117からの)の阻害剤として検定できる。Srcキナーゼ活性を、ATP由来の33Pの、Glu:Tyr=4:1の組成のランダムポリGlu−Tyr重合体基質(シグマ社,カタログ番号P−0275)のチロシンへの取り込みを追跡することによって監視する。このアッセイ法の成分の最終濃度は次の通りである。0.05MのHEPES(pH7.6)、10mMのMgCl2、2mMのDTT、0.25mg/mLのBSA、10μMのATP(反応当たり1〜2μCiの33P−ATP)、5mg/mLのポリGlu−Tyr及び1〜2単位の組換えヒトSrcキナーゼ。典型的なアッセイ法では、ATPを除く全ての反応成分を予備混合し、そしてアッセイ用プレートのウェルに分取する。DMSOに溶解された阻害剤を該ウェルに添加して2.5%の最終DMSO濃度を与える。このアッセイ用プレートを30℃で10分間インキュベートしてから33P−ATPとの反応を開始させる。反応の20分後に、該反応を20mMのNa3PO4を含有する150μLの10%トリクロル酢酸(TCA)で停止させる。次いで、この停止試料を、フィルタープレート真空マニホールド上に設置された96ウェルフィルタープレート(Whatman社製,UNI−Filter GF/F Glass Fiber Filter,カタログ番号7700−3310)に移す。フィルタープレートを、20mMのNa3PO4を含有する10%TCAで4回洗浄し、次いでメタノールで4回洗浄する。次いで、200μLのシンチレーション流体をそれぞれのウェルに添加する。このプレートをシールし、そして該フィルターに関する放射能の量をTopCountシンチレーション計数管で定量化する。取り込まれた放射能を阻害剤濃度の関数としてプロットする。このデータを拮抗阻害反応速度のモデルに適合させて該化合物についてのKiを得る。
【0215】
Src阻害アッセイ法B:分光光学的アッセイ法
ヒト組換えSrcキナーゼで触媒されたポリGlu−Tyr基質の燐酸化によってATPから生じたADPを、共役酵素アッセイ法を使用して定量化した(Fox外、Protein Sci.,7:2249(1998))。このアッセイ法では、1分子のNADHが、キナーゼ反応で生じたADPの全分子のためにNADに酸化する。このNADHの消失は、340nmでうまく追跡できる。
【0216】
該アッセイ法の成分の最終濃度は次の通りである。0.025MのHEPES(pH7.6)、10mMのMgCl2、2mMのDTT、0.25mg/mLのポリGlu−Tyr及び25nMの組換えヒトSrcキナーゼ。該共役酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルベート、200μMのNADH、30μg/mLピルベートキナーゼ及び10μg/mLのラクテートデヒドロゲナーゼである。
【0217】
典型的なアッセイ法では、ATPを除く全ての反応成分を予備混合し、そしてアッセイ用プレートのウェルに分取する。DMSOに溶解された阻害剤を該ウェルに添加して2.5%の最終DMSO濃度を与える。このアッセイ用プレートを30℃で10分間インキュベートしてから100μMのATPとの反応を開始させる。340nmでの時間による吸光度の変化、反応速度を分子デバイスのプレート読取り装置で監視する。阻害剤濃度の関数としての速度のデータを拮抗阻害反応速度モデルに適合させて該化合物についてのKiを得る。
【0218】
化合物IIc−22は、Srcに対して0.1μM未満のKiを有することが分かった。
【0219】
例18
本発明の化合物は、放射能に基づくアッセイ法又は分光光学的アッセイ法のいずれかを使用してヒトLckキナーゼの阻害剤として評価できる。
【0220】
Lck阻害アッセイ法A:放射能に基づくアッセイ法
これらの化合物を、バキュロ・ウイルス性細胞で発現し且つこれから精製された全長ウシ胸腺Lckキナーゼ(Upstate Biotechnology社、カタログ番号14−106から)の阻害剤として検定する。Lckキナーゼ活性を、ATP由来の33Pの、Glu:Tyr=4:1の組成のランダムポリGlu−Tyr重合体基質(シグマ社、カタログ番号P−0275)のチロシンへの取り込みを追跡することによって監視する。該アッセイ法成分の最終濃度は次の通りである。0.025MのHEPES(pH7.6)、10mMのMgCl2、2mMのDTT、0.25mg/mLのBSA、10μMのATP(反応当たり1〜2μCiの33P−ATP)、5mg/mLのポリGlu−Tyr及び1〜2単位の組換えヒトSrcキナーゼ。典型的なアッセイ法では、ATPを除く全ての反応成分を予備混合し、そしてアッセイ用プレートのウェルに分取する。DMSOに溶解された阻害剤を該ウェルに添加して2.5%の最終DMSO濃度を与える。このアッセイ用プレートを30℃で10分間インキュベートしてから33P−ATPとの反応を開始させる。反応の20分後に、該反応を20mMのNa3PO4を含有する150μLの10%トリクロル酢酸(TCA)で停止させる。次いで、この停止試料を、フィルタープレート真空マニホールド上に設置された96ウェルフィルタープレート(Whatman社製、UNI−Filter GF/F Glass Fiber Filter、カタログ番号7700−3310)に移す。フィルタープレートを、20mMのNa3PO4を含有する10%TCAで4回洗浄し、次いでメタノールで4回洗浄する。次いで、200μLのシンチレーション流体をそれぞれのウェルに添加する。このプレートをシールし、そして該フィルターに関する放射能の量をTopCountシンチレーション計数管で定量化する。取り込まれた放射能を阻害剤濃度の関数としてプロットする。このデータを拮抗阻害反応速度のモデルに適合させて該化合物についてのKiを得る。
【0221】
Lck阻害アッセイ法B:分光光学的アッセイ法
ヒト組換えLckキナーゼで触媒されたポリGlu−Tyr基質の燐酸化によってATPから生じたADPを、共役酵素アッセイ法を使用して定量化した(Fox外、Protein Sci.,7:2249(1998))。このアッセイ法では、1分子のNADHが、キナーゼ反応で生じたADPの全分子のためにNADに酸化される。このNADHの消失は、340nmでうまく追跡できる。
【0222】
該アッセイ成分の最終濃度は次の通りである。0.025MのHEPES(pH7.6)、10mMのMgCl2、2mMのDTT、5mg/mLのポリGlu−Tyr及び50nMの組換えヒトLckキナーゼ。該共役酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMのホスホエノールピルベート、200μMのNADH、30μg/mLのピルベートキナーゼ及び10μg/mLのラクテートデヒドロゲナーゼである。
【0223】
典型的なアッセイ法では、ATPを除く全ての反応成分を予備混合し、そしてアッセイ用プレートのウェルに分取する。DMSOに溶解された阻害剤を該ウェルに添加して2.5%の最終DMSO濃度を与える。このアッセイ用プレートを30℃で10分間インキュベートしてから150μMのATPとの反応を開始させる。340nmでの時間による吸光度の変化、反応速度を分子デバイスのプレート読取り装置で監視する。阻害剤濃度の関数としての速度のデータを拮抗阻害反応速度モデルに適合させて該化合物についてのKiを得る。
【0224】
化合物IIc−22は、Lckに対して0.1μM未満のKiを有することが分かった。化合物IIa−25及びIIa−31は、Lckに対して0.1〜1.0μMのKiを有することが分かった。
【0225】
例19
オーロラ阻害アッセイ法
化合物を、標準的な共役酵素アッセイ法を使用して、これらのものがオーロラを阻害する能力対して次の態様でスクリーニングした(Fox外(1998)Protein Sci、第7巻、2249)。0.1MのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのDTT、25mMのNaCl、2.5mMのホスホエノールビルベート、300mMのNADH、30mg/mLのピルベートキナーゼ、10mg/mLのラクテートデヒドロゲナーゼ、40mMのATP及び800μMのペプチド(LRRASLG,American Peptide社、カリフォルニア州サニーベール)を含有するアッセイ用ストック緩衝溶液に、本発明の化合物のDMSO溶液を30μMの最終濃度まで添加する。得られた混合物を30℃で10分間インキュベートする。反応を、このアッセイ法では70nMの最終濃度を与えるための10μLのオーロラストック溶液の添加によって開始させる。反応速度は、BioRad社製Ultramarkプレート読取り装置(カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して30℃で5分間の読み時間にわたって340nmで吸光度を監視することによって得られる。そのKi値を該速度データから阻害剤濃度の関数として決定する。
【0226】
次の化合物:IIa−24、IIa−25、IIa−26及びIIa−31は、オーロラ−2に対して0.1μM未満のKi値を有することが示された。次の化合物:IIa−28、IIa−30、IIa−32及びIIc−23は、オーロラ−2に対して0.1〜1.0μMのKi値を有することが示された。次の化合物:IIc−22、IIc−24、IIc−25、IIc−28、IIc−29、IIc−30、IIc−31、IIc−32、IIc−33、IIc−34、IIc−35、IIc−36、IIc−36、IIc−37、IIc−38、IIc−39及びIIc−42は、オーロラ−2に対して1.0μM以上のKi値を有することが示された。
【0227】
本発明の多数の具体例を説明してきたが、これらの基礎的な例を変形して本発明の化合物及び方法を使用する他の具体例を与えることができることは明らかである。従って、本発明の範囲は、例示によって示された特定の具体例ではなく、添付した請求の範囲によって規定されるべきであることが分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式I:
【化1】

[ここで、
Wは窒素又はCHであり、
Gは水素又はC1〜C3脂肪族(ここに、Gの1個のメチレン単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−SO2−又は−SO2NH−により置き換えられていてもよい。)であり、
Aは−N−T(n)−R、酸素又は硫黄であり、
1は−T(n)−R又は−T(n)−Ar1(それぞれのnは独立して0又は1である。)から選ばれ、
TはC1〜C4アルキリデン鎖(ここに、Tの1個のメチレン単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−SO2−又は−SO2NH−により置き換えられていてもよい。)であり、
Ar1は、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選ばれる0〜3個の複素原子を有する3〜7員の単環式飽和、部分飽和若しくは芳香族の環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選ばれる0〜5個の複素原子を有する8〜10員の二環式飽和、部分飽和若しくは芳香族の環(ここに、Ar1のそれぞれの環員は1個の−Z−R3及び1〜3個の追加の基(これらは−R、ハロゲン、オキソ、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−OC(O)R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−NRSO2R、−NRSO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる。)により置換されていてもよい。)であり、
それぞれのRは水素又はC1〜C6脂肪族(この脂肪族はオキソ、−CO2R'、−OR'、−N(R')2、−SR'、−NO2、−NR'C(O)R'、−NR'C(O)N(R')2、−NR'CO2R'、−C(O)R'、−OC(O)R'、−C(O)N(R')2、−OC(O)N(R')2、−S(O)R'、−SO2R'、−SO2N(R')2、−NR’SO2R'、−NR'SO2N(R')2、−C(O)C(O)R'、−C(O)CH2C(O)R'、−ハロゲン又は−CNから独立して選ばれる1〜3個の基で置換されていてよい。)から独立して選ばれ、或いは同じ窒素原子に結合した2個のRはこの窒素原子と一緒になって、酸素、窒素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の追加の複素原子を有する5又は6員の複素環式又はヘテロアリール環を形成し、
それぞれのR'は水素又はC1〜C6脂肪族(該脂肪族はオキソ、−CO2H、−OH、−NH2、−SH、−NO2、−NHC(O)H、−NHC(O)NH2、−NHCO2H、−C(O)H、−OC(O)H、−C(O)NH2、−OC(O)NH2、−S(O)H、−SO2H、−SO2NH2、−NHSO2H、−NHSO2NH2、−C(O)C(O)H、−C(O)CH2C(O)H、ハロゲン又は−CNから独立して選ばれる1〜3個の基で置換されていてよい。)から独立して選ばれ、或いは同じ窒素原子に結合した2個のR'はこの窒素原子と一緒になって、窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1又は2個の追加の複素原子を有してもよい5又は6員の複素環式又はヘテロアリール環を形成し、
ZはC1〜C6アルキリデン鎖(ここに、Zの2個までの非隣接メチレン単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)N(R)−、−N(R)N(R)C(O)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S(O)−、−SO2−、−N(R)SO2−、−SO2N(R)−、−N(R)SO2N(R)−、−O−、−S−又は−N(R)−により置き換えられていてもよい。)であり、
2は−Q(n)−Ar2であり、
Ar2は、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選ばれる0〜3個の複素原子を有する3〜7員の単環式飽和、部分飽和若しくは芳香族の環、又は窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選ばれる0〜5個の複素原子を有する8〜10員の二環式飽和、部分飽和若しくは芳香族の環(ここに、Ar2のそれぞれの環員は−Z−R3、−R、ハロゲン、オキソ、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−OC(O)R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)から選ばれ、
QはC1〜C3アルキリデン鎖(ここに、Qの2個までの非隣接メチレン単位は−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)−、−C(O)N(R)−、−OC(O)N(R)−、−N(R)N(R)−、−N(R)N(R)C(O)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)O−、−N(R)C(O)N(R)−、−S(O)−、−SO2−、−N(R)SO2−、−SO2N(R)−、−N(R)SO2N(R)−、−O−、−S−又は−N(R)−により置き換えられていてもよい。)であり、
3は−Ar3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−OC(O)R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから選ばれ、
Ar3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜3個の複素原子を有する5又は6員の飽和、部分飽和又は芳香族の環(ここに、Ar3のそれぞれの環員はハロゲン、オキソ、−CN、−NO2、−R'、−OR'、−N(R')2、−N(R')C(O)R'、−N(R')C(O)N(R')2、−N(R')CO2R'、−C(O)R'、−CO2R'、−OC(O)R'、−C(O)N(R')2、−OC(O)N(R')2又は−SO2R'により置換されていてもよい。)であり、
ただし、Wが窒素を表わし、且つ、
(i)Aが−N−T(n)−Rであり且つR2が飽和環であるか、又は
(ii)Aが硫黄である
ときは、R1は置換されていてもよいフェニル以外の基である。]
の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項2】
該化合物が次式IIa:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項3】
該化合物が、
(a)R1が水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する6員の飽和、部分飽和又はアリール環であり、R1のそれぞれの環員は1個の−Z−R3及び1〜3個の追加の基(これらは−CO2R、−OR、ハロゲン、−NRSO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から独立して選ばれる。)により置換されていてもよい。)であること、
(b)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5又は6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、及び
(c)Gが水素であること
からなる一つ以上の特徴を有する請求項2に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項4】
該化合物が、
(a)R1がフェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシル環(ここに、該環はベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、及び
(c)Gが水素であること
よりなる群から選ばれる一つ以上の特徴を有する請求項3に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項5】
該化合物が次式IIb:
【化3】

を有する請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項6】
該化合物が、
(a)R1が水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する6員の飽和、部分飽和又はアリール環であり、R1のそれぞれの環員は1個の−Z−R3及び1〜3個の追加の基(これらは−CO2R、−OR、ハロゲン、−N(R)SO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から独立して選ばれる。)により置換されていてもよい。)であること、
(b)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5−6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、及び
(c)Gが水素であること
からなる一つ以上の特徴を有する請求項5に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項7】
該化合物が、
(a)R1がフェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシル環(ここに、該環はベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、及び
(c)Gが水素であること
よりなる群から選ばれる一つ以上の特徴を有する請求項6に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項8】
該化合物が次式IIc:
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項9】
該化合物が次式IIIa、IIIb又はIIIc:
【化5】

を有する請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項10】
該化合物が、
(a)R1が水素、Ar1又は−T−Ar1(ここに、TはC1〜C4アルキリデン鎖であり、Ar1は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる0〜2個の複素原子を有する6員の飽和、部分飽和又はアリール環であり、R1のそれぞれの環員は1個の−Z−R3及び1〜3個の追加の基(これらは−CO2R、−OR、ハロゲン、−N(R)SO2R、−SO2N(R)2、−NRCON(R)2、−NO2又は−N(R)2から独立して選ばれる。)により置換されていてもよい。)であること、
(b)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又は複素環式若しくはヘテロアリール環から選ばれる5又は6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、及び
(c)Gが水素であること
からなる一つ以上の特徴を有する請求項8又は9に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項11】
該化合物が、
(a)R1がフェニル、ベンジル、ピリジル、ピペリジニル又はシクロヘキシル環(ここに、該環はベンジルオキシ、フェノキシ、−SO2NH2、−OH、−NO2、−NH2、−OMe、−Br、−Cl、−CO2Me、−NHSO2Me、−NHSO2Et、−NHCON(Me)2、−NHCON(Et)2、−NHCOピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、及び
(c)Gが水素であること
よりなる群から選ばれる一つ以上の特徴を有する請求項10に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項12】
該化合物が次式IVa:
【化6】

を有する請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項13】
該化合物が、
(a)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5又は6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、
(b)Gが水素であること、
(c)ZがC1〜C4アルキリデン鎖(ここに、Zの1個のメチレン単位は−O−、−NH−、−NHC(O)−、−NHC(O)O−、−NHSO2−又は−C(O)NH−により置き換えられていてもよい。)であること、及び
(d)R3が−N(R)2、−NHC(O)R又はAr3(ここに、Ar3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する5又は6員の複素環式又はヘテロアリール環であり、Ar3は−R'、−OR'、−N(R')2又はオキソにより置換されていてもよい。)から選ばれること
よりなる群から選ばれる一つ以上の特徴を有する請求項12に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項14】
該化合物が、
(a)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2のそれぞれの環員はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)Gが水素であること、及び
(c)−Z−R3が−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHC(O)ピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルから選ばれること
よりなる群から選ばれる一つ以上の特徴を有する請求項13に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項15】
該化合物が次式IVb、IVc、Va、Vb又はVc:
【化7】

を有する請求項1に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項16】
該化合物が、
(a)R2がAr2又は−CH2−Ar2(ここに、Ar2は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する炭素環、アリール、又はヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環から選ばれる5又は6員の環から選ばれ、Ar2は−Z−R3、−R、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR、−SR、−N(R)2、−NRC(O)R、−NRC(O)N(R)2、−NRCO2R、−C(O)R、−CO2R、−C(O)N(R)2、−OC(O)N(R)2、−S(O)R、−SO2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(R)SO2N(R)2、−C(O)C(O)R又は−C(O)CH2C(O)Rから独立して選ばれる1〜5個の基により置換されていてもよい。)であること、
(b)Gが水素であること、
(c)ZがC1〜C4アルキリデン鎖(ここに、Zの1個のメチレン単位は−O−、−NH−、−NHC(O)−、−NHC(O)O−、−NHSO2−又は−C(O)NH−により置き換えられていてもよい。)であること、及び
(d)R3が−N(R)2、−NHC(O)R又はAr3(ここに、Ar3は窒素、酸素又は硫黄から独立して選ばれる1〜2個の複素原子を有する5又は6員の複素環式又はヘテロアリール環であり、Ar3は−R'、−OR'、−N(R')2又はオキソにより置換されていてもよい。)から選ばれること
よりなる群から選ばれる一つ以上の特徴を有する請求項15に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項17】
該化合物が、
(a)R2がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、シクロヘキシル、ピペリジニル、フラニル又はベンジル(ここに、R2のそれぞれの環員はフェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ピリジル、3−ヒドロキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−アミノフェニル、N−BOC−ピロリル、4−クロルフェニル、3−エトキシピリジル、2−メトキシピリジル、2,5−ジメチルイソオキサゾリル、3−エトキシフェニル、4−イソプロピルフェニル、4−F−3−Cl−フェニル、ピロリル、ピリミジニル、クロル、ブロム、フルオル、トリフルオルメチル、−OH、−NH2、メチル、メトキシ又はエトキシにより置換されていてもよい。)から選ばれること、
(b)Gが水素であること、及び
(c)−Z−R3が−O−CH2−フェニル、−O(CH23OH、−O(CH23NH(CH22OH、−O(CH22NH(CH22OH、−O(CH23N(ヒドロキシエチル)(メチル)、−O(CH23ピロリジン−1−イル、−O(CH22モルホリン−4−イル、−O(CH23N(Me)2、−O(CH23N(Et)2、−O(CH23(4−ヒドロキシエチルピペラジン−1−イル)、−O(CH23ピペラジン−1−イル、−O(CH23(4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル)、−O(CH23(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)、−NHCO(CH23N(Me)2、−NHCO(CH23NCOCH3、−NHCOCH2ピリジン−2−イル、−NHCOCH2(2−アミノチアゾール−4−イル)、−NHCOCH2シクロプロピル、−NHCO(CH22N(Et)2、−NHCO(CH22−(ピペラジン−2,5−ジオン−3−イル)、−NHC(O)ピロリジン−1−イル、−NHCOモルホリン−4−イル、−NHCO2CH2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロフラン−2−イル、−NHCO2テトラヒドロピラン−4−イル又は−NHCO2CH2テトラヒドロピラン−2−イルから選ばれること
よりなる群から選ばれる一つ以上の特徴を有する請求項16に記載の化合物又はその製薬上許容できる誘導体。
【請求項18】
表1〜5にリストした化合物から選ばれる請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の化合物又はそのその製薬上許容できる誘導体と製薬上許容できるキャリアー、賦形剤又はビヒクルを含む組成物。
【請求項20】
更に、抗増殖剤、抗炎症剤、免疫調節剤、神経栄養因子、心臓血管病治療薬、肝臓病治療薬、抗ウイルス薬、血管障害治療薬、糖尿病治療薬、免疫不全障害治療薬又は癌治療薬から選ばれる治療薬を含む請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
生物学的試料を(a)請求項1に記載の化合物若しくはその誘導体又は(b)請求項19に記載の組成物と接触させる工程を含む、該生物学的試料中のJNK、Lck、Src又はAurora−2キナーゼ活性を阻害させる方法。
【請求項22】
患者に請求項19に記載の組成物を投与する工程を含む、該患者におけるJNK、Lck、Src又はAurora−2が仲介する疾病又は状態の重さを治療し又は減少させる方法。
【請求項23】
患者に請求項19に記載の組成物を投与する工程を含む、該患者における炎症性疾病、自己免疫病、破壊性骨障害、増殖性疾患、感染病、神経変性病、アレルギー、発作における再灌流/虚血、心臓発作、脈管形成障害、臓器低酸素症、血管過形成、心臓肥大、トロンビン誘発血小板凝集症、又は炎症性サイトカインと関連する状態の重さを治療し又は減少させる方法。
【請求項24】
急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギー又は成人呼吸困難症候群から選ばれる炎症性疾病を治療し又は予防するのに使用される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
糸球体腎炎、リューマチ様関節炎、全身エリトマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬又は移植片対宿主病から選ばれる自己免疫病を治療し又は予防するのに使用される請求項23に記載の方法。
【請求項26】
変形性関節症、骨粗鬆症又は多発性骨髄腫関連骨障害から選ばれる破壊性骨障害を治療し又は予防するのに使用される請求項23に記載の方法。
【請求項27】
急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫及び多発性骨髄腫から選ばれる増殖性疾患を治療し又は予防するのに使用される請求項23に記載の方法。
【請求項28】
アルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性外側硬化症、ハンチントン病、大脳虚血から選ばれる神経変性疾患、又は外傷、グルタメート神経毒性若しくは低酸素症に起因する神経変性疾患を治療し又は予防するのに使用される請求項23に記載の方法。
【請求項29】
発作における虚血/再灌流又は心筋虚血、腎臓虚血、心臓発作、臓器低酸素症又はトロンビン誘発血小板凝集症を治療し又は予防するのに使用される請求項23に記載の方法。
【請求項30】
T−細胞活動化又は病的免疫応答と関連する状態を治療し又は予防するのに使用される請求項23に記載の方法。
【請求項31】
固形腫瘍、眼の新生血管形成又は乳児期血管腫から選ばれる脈管形成障害を治療し又は予防するのに使用される請求項23に記載の方法。
【請求項32】
該疾病が高カルシウム血症、再狭窄、骨粗鬆症、変形性関節症、骨転移の症状治療、リューマチ様関節炎、炎症性腸疾患、多発性硬化症、乾癬、狼瘡、移植片対宿主病、T−細胞介在過敏性疾患、橋本甲状腺炎、ギラン−バール症候群、慢性閉塞性肺疾患、接触皮膚炎、癌、パジェット病、喘息、虚血/再灌流障害、アレルギー性疾患、アトピー性皮膚炎又はアレルギー性鼻炎から選ばれる請求項22に記載の方法。
【請求項33】
該疾病が高カルシウム血症、骨粗鬆症、変形性関節症又は骨転移の症状治療から選ばれる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
該疾病が自己免疫病、アレルギー、リューマチ様関節炎又は白血病から選ばれる請求項22に記載の方法。
【請求項35】
該疾病が黒色腫、白血病、又は結腸癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、頸部癌、黒色腫、腎臓癌、前立腺癌、リンパ腫、神経芽腫、膵臓癌、白血病及び膀胱癌から選ばれる癌から選ばれる請求項22に記載の方法。
【請求項36】
患者に、抗増殖剤、抗炎症剤、免疫調節剤、神経栄養因子、心臓血管病治療薬、肝臓病治療薬、抗ウイルス剤、血液障害治療薬、糖尿病治療薬又は免疫不全治療薬から選ばれる追加の治療薬を投与することを含み、しかも、該追加の治療薬が治療すべき疾病に対して適切であること、該追加の治療薬が単一投薬形態として該組成物と一緒に又は多剤投薬形態の一部として該組成物とは別個に投与されることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項37】
請求項1に記載の化合物と、移植できる器具を被覆するのに好適なキャリアーとを含む、移植器具の被覆用組成物。
【請求項38】
請求項37に記載の組成物で被覆された移植器具。

【公表番号】特表2006−506330(P2006−506330A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−520090(P2004−520090)
【出願日】平成15年7月9日(2003.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/021524
【国際公開番号】WO2004/005283
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(504218509)バーテクス ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】