説明

プロトン伝導性膜およびその使用

本発明は、その優れた化学的および熱的特性に起因して複数の適用に使用され得るポリアゾールブロックポリマーに基づく新規のプロトン伝導性ポリマー膜に関し、そして特に、上記PEM燃料電池用の膜電極ユニットの製造におけるポリマー電解質膜(PEM)として好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアゾールブロックポリマーに基づく、新規のプロトン伝導性ポリマー膜に関し、これは、その優れた化学的および熱的特性に起因して、広範囲に使用され得、そしていわゆるPEM燃料電池におけるポリマー電解質膜(PEM)として特に好適である。
【背景技術】
【0002】
ポリアゾール、例えばポリベンゾイミダゾール((登録商標)Celazole)は、以前から知られている。このようなポリベンゾイミダゾール(PBI)は、通常、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルとイソフタル酸またはジフェニルイソフタル酸あるいはそれらのエステルを溶融状態で反応させることによって製造される。形成されるプレポリマーは、リアクター内で固化し、そして引き続いて機械的に粉砕される。次いで、粉末状プレポリマーは、400℃までの温度での固相重合において最終的に重合され、そして所望のポリベンゾイミダゾールが得られる。
【0003】
ポリマーフィルムを製造するために、PBIは、更なる工程において、極性・非プロトン性溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc))中に溶解され、そしてフィルムが古典的方法によって得られる。
【0004】
PEM燃料電池における使用のためのプロトン伝導性(即ち、酸ドープされた)ポリアゾール膜は、既に公知である。塩基性ポリアゾールフィルムは、濃リン酸または硫酸でドープされ、そして次いで、いわゆるポリマー電解質膜燃料電池(polymer electrolyte membrane fuel cells)(PEM燃料電池)におけるプロトンコンダクターおよびセパレータとして機能する。
【0005】
ポリアゾールポリマーの優れた特性の結果として、膜電極ユニット(membrane electrode units)(MEE)を提供するように加工された、このようなポリマー電解質膜は、100℃を超える、特には120℃を超える長時間の作動温度で、燃料電池において使用され得る。この高い長時間の作動温度は、膜電極ユニット(MEE)中に存在する貴金属ベース触媒の活性を増加させることを可能にする。特に、炭化水素から製造されるいわゆる改質ガソリンの使用の場合において、リフォーマーガスはかなりの量の一酸化炭素を含み、これは、通常、複雑なガスワークアップまたはガス精製によって除去されなければならない。作動温度が増加する可能性は、極めてより高い濃度のCO不純物が、長期間ベースで許容されることを可能にする。
【0006】
ポリアゾールポリマーに基づくポリマー電解質膜の使用は、第一に、複雑なガスワークアップまたはガス精製が部分的に省かれることを可能にし、そして第二に、膜電極ユニットにおける触媒ローディングを減少させることを可能にする。両方とも、PEM燃料電池の大規模使用に必須の前提条件であり、何故ならば、そうでなければPEM燃料電池システムの費用は高すぎるからである。
【0007】
今日まで知られている酸ドープされたポリアゾールベースポリマー膜は、好ましい特性プロフィールを既に示している。しかし、特に自動車セクターおよび分散パワーおよび熱発生(定常セクター)(the automobile sector and decentralized power and heat generation (stationary sector))における、PEM燃料電池について望まれる適用のために、それらは、全体的な改良を必要としている。更に、今日まで知られているポリマー膜は、公知の乾燥方法によっては完全に除去され得ないジメチルアセトアミド(DMAc)と多く接触している。ドイツ特許出願第10109829.4号は、DMAc汚染が除かれている、ポリアゾールに基づくポリマー膜を記載している。このようなポリマーは改善された機械的特性を示すが、比伝導率は0.1S/cm(140℃で)を超えない。
【0008】
ドイツ特許出願第10117687.2号は、モノマーから出発して、ポリリン酸中における重合によって得られる、ポリアゾールに基づく新規のポリマー膜を記載している。PEM燃料電池において、特に高温PEM燃料電池において、この膜は、優れた性能を示す。しかし、これらの膜は、厳しい条件下での使用を確実にするためにも、それらの機械的応力に関する改善を依然として必要することがわかった。特に、自動車セクターにおいて、PEM燃料電池は、極端に低い外部温度で休止した後でさえ、何ら問題なく、再度始動され得なければならない。凝縮された湿気は、特に氷点未満の温度では、かなりの機械的応力が該膜に作用する結果を生じさせ得る。これらの要件に加えて、該膜のより高い機械的耐久性もまた、膜−電極の製造において有利である。例えば、積層においてかなりの力が該層に作用し、その結果、十分な伸縮性および弾力性が有利であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、第一に、ポリアゾールに基づくポリマー膜の性能利点を有し、そして第二に、特に100℃を超える作動温度で、増加された比伝導率(specific conductivity)を有し、そして更には燃料ガスの湿潤化を必要としない、ポリアゾールに基づく酸含有ポリマー膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
我々は、今や、元のモノマーをポリリン酸中に懸濁または溶解させ、そして先ずある程度まで重合させ、そして次いでこれらを混合しそしてブロックポリマーへと重合させると、ポリアゾールブロックポリマーに基づくプロトン伝導性膜が得られ得ることを見出した。
【0011】
該ドープされたポリマー膜は、非常に良好なプロトン伝導性および同時に高い破断点伸び(elongation at break)を示す。
【0012】
本発明は、以下の工程:
A)溶液および/または分散液を形成するために、ポリリン酸中において、高リン酸親和性を有する1以上の芳香族および/またはヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合するか、あるいは、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する1以上の芳香族テトラアミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これらは、1カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含み、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する)とを混合する工程、
B)好ましくは不活性ガス下で、工程A)からの混合物を加熱し、そして1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度が得られるまで重合して、そのリン酸親和性が、工程D)において形成されるポリマーのリン酸親和性よりも高いポリマーを形成する工程、
C)ポリリン酸中において、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する1以上の芳香族テトラアミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これらは、1カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含み、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する)とを混合して、溶液および/または分散液を形成する工程、
D)好ましくは不活性ガス下で、工程C)からの混合物を加熱し、そして1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度が得られるまで重合して、そのリン酸親和性が、工程B)において形成されるポリマーのリン酸親和性よりも低いポリマーを形成する工程、
E)工程B)からのポリマーと工程D)からのポリマーとを混合する工程(工程Bからのポリマーのリン酸親和性は、工程Dからのポリマーのリン酸親和性よりも高い)、
F)工程E)に従う混合物を使用して、担体上または電極上に層を適用する工程、
G)1.5dl/g超、好ましくは1.8dl/g超、特には1.9dl/g超の固有粘度が得られるまで、好ましくは不活性ガス下で、工程F)に従って得られ得るシート様構造/層(sheetlike structure/layer)を加熱して、ポリアゾールブロックポリマーを形成する工程、
H)工程G)において形成される膜を処理する工程(それが自己支持性になるまで)、
を包含する方法によって得られ得る、ポリアゾールに基づくプロトン伝導性ポリマー膜を提供する。
【0013】
本発明に従って使用されそして高リン酸親和性を有する芳香族およびヘテロ芳香族テトラアミノ化合物は、好ましくは、2,3,5,6−テトラアミノピリジン、3,3‘,4,4‘−テトラアミノジフェニルスルホン、3,3‘,4,4‘−テトラアミノジフェニルエーテルおよびそれらの塩、特に、それらのモノ−、ジ−、トリ−およびテトラヒドロクロリド誘導体である。
【0014】
本発明に従って使用されそして低リン酸親和性を有する芳香族およびヘテロ芳香族テトラアミノ化合物は、好ましくは、3,3‘,4,4‘−テトラアミノビフェニル、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3‘,4,4‘−テトラアミノベンゾフェノン、3,3‘,4,4‘−テトラアミノジフェニルメタンおよび3,3‘,4,4‘−テトラアミノジフェニルジメチルメタンおよびそれらの塩、特に、それらのモノ−、ジ−、トリ−およびテトラヒドロクロリド誘導体である。
【0015】
本発明に従って使用される芳香族カルボン酸は、ジカルボン酸およびトリカルボン酸およびテトラカルボン酸あるいはそれらのエステル、特にそれらのC1−C20−アルキルエステルまたはC5−C12−アリールエステル、あるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物である。
【0016】
本発明に従って使用されそして高リン酸親和性を有する芳香族カルボン酸は、好ましくは、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,4,6−ピリジントリカルボン酸、ベンゾイミダゾール−5,6−ジカルボン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−N,N−ジメチルアミノイソフタル酸、5−N,N−ジエチルアミノイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、2,6−ジヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシフタル酸、2,4−ジヒドロキシフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸およびジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸である。
【0017】
本発明に従って使用されそして低リン酸親和性を有する芳香族カルボン酸は、好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、3−フルオロフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、テトラフルオロフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、ジフェニルエーテル4,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4−トリフルオロメチルフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−スチルベンジカルボン酸および4−カルボキシケイ皮酸である。
【0018】
本発明に従って使用されそして高リン酸親和性を有するジアミノカルボン酸は、好ましくは、ジアミノ安息香酸およびそのモノおよびジヒドロクロリド誘導体、ならびに1,2−ジアミノ−3’−カルボキシ酸4,4’−ジフェニルエーテルである。
【0019】
前記芳香族トリ−、テトラカルボン酸あるいはそれらのC1−C20−アルキルエステルまたはC5−C12−アリールエステルあるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物は、好ましくは、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸);1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリト酸);(2−カルボキシフェニル)イミノ二酢酸、3,5,3’−ビフェニルトリカルボン酸;3,5,4’−ビフェニルトリカルボン酸である。
【0020】
前記芳香族テトラカルボン酸あるいはそれらのC1−C20−アルキルエステルまたはC5−C12−アリールエステルあるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物は、好ましくは、3,5,3’,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸である。
【0021】
本発明に従って使用されるヘテロ芳香族カルボン酸は、ヘテロ芳香族ジカルボン酸およびトリカルボン酸およびテトラカルボン酸あるいはそれらのエステルあるいはそれらの酸無水物である。ヘテロ芳香族カルボン酸は、該芳香族内に、少なくとも1つの窒素、酸素、硫黄またはリン原子を含む芳香族系を意味すると理解される。それらは、好ましくは、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,4,6−ピリジントリカルボン酸、ベンゾイミダゾール−5,6−ジカルボン酸、ならびにそれらのC1−C20−アルキルエステルまたはC5−C12−アリールエステル、あるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物である。
【0022】
前記トリカルボン酸またはテトラカルボン酸の含有量は(使用されるジカルボン酸に基づいて)、0〜30モル%、好ましくは0.1〜20モル%、特には0.5〜10モル%である。
【0023】
工程A)において、好ましいのはまた、少なくとも2つの異なる芳香族カルボン酸の混合物を使用することであり、モノマーの比率は、1:99〜99:1、好ましくは1:50〜50:1である。従って、高リン酸親和性を有するカルボン酸および低リン酸親和性を有するカルボン酸を同等に使用することが可能であり、しかしカルボン酸の選択および混合比は、引き続いての重合(工程B)において、そのリン酸親和性が工程D)において形成されるポリマーのそれを超えるポリマーを生じさせるように選択される。
【0024】
工程A)において、好ましいのはまた、少なくとも2つの異なる芳香族テトラアミノ化合物の混合物を使用することであり、この場合、モノマーの比率は、1:99〜99:1、好ましくは1:50〜50:1である。従って、高リン酸親和性を有するテトラアミノ化合物および低リン酸親和性を有するテトラアミノ化合物を同等に使用することが可能であり、しかしテトラアミノ化合物の選択および混合比は、引き続いての重合(工程B)において、そのリン酸親和性が工程D)において形成されるポリマーのそれを超えるポリマーを生じさせるように選択される。
【0025】
工程A)において使用される全てのモノマーに基づく低リン酸親和性を有するモノマーの総含有量は、40重量%まで、好ましくは25重量%まで、特には0.1から25重量%まで許容され得ることが見出された。
【0026】
工程C)において、好ましいのはまた、少なくとも2つの異なる芳香族カルボン酸の混合物を使用することであり、この場合、モノマーの比率は、1:99〜99:1、好ましくは1:50〜50:1である。従って、高リン酸親和性を有するカルボン酸および低リン酸親和性を有するカルボン酸を同等に使用することが可能であり、しかしカルボン酸の選択および混合比は、引き続いての重合(工程D)において、そのリン酸親和性が工程B)において形成されるポリマーのそれよりも低いポリマーを生じさせるように選択される。
【0027】
工程C)において、好ましいのはまた、少なくとも2つの異なる芳香族テトラアミノ化合物の混合物を使用することであり、この場合、モノマーの比率は、1:99〜99:1、好ましくは1:50〜50:1である。従って、高リン酸親和性を有するテトラアミノ化合物および低リン酸親和性を有するテトラアミノ化合物を同等に使用することが可能であり、しかしテトラアミノ化合物の選択および混合比は、引き続いての重合(工程D)において、そのリン酸親和性が工程B)において形成されるポリマーのそれよりも低いポリマーを生じさせるように選択される。
【0028】
工程C)において使用される全てのモノマーに基づく高リン酸親和性を有するモノマーの総含有量は、40重量%まで、好ましくは25重量%まで、特には0.1から25重量%まで許容され得ることが見出された。
【0029】
工程E)において、工程B)およびD)において得られるポリマーを混合する。ポリマーの混合比は、1:99〜99:1、好ましくは1:50〜50:1である。
【0030】
工程A)およびC)において使用されるポリリン酸は、例えばRiedel−de Haenから得られ得るような、市販のポリリン酸である。ポリリン酸Hn+23n+1(n>1)は、通常、(酸滴定によって)Pとして計算すると、少なくとも83%の含有量を有する。モノマーの溶液の代わりに、分散液/懸濁液を得ることも可能である。
【0031】
工程A)およびC)において得られる混合物は、1:10000〜10000:1、好ましくは1:1000〜1000:1、特には1:100〜100:1の、ポリリン酸対 全てのモノマーの総量の重量比を有する。
【0032】
工程B)およびD)における重合は、1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度までの時間および温度で、行われる。通常、該温度は、200℃まで、好ましくは180℃まで、特には100℃〜180℃である。該時間は、通常、数分(5分)〜数時間(100時間)である。上記反応条件は、特定のモノマーの反応性に依存する。
【0033】
工程F)に従う層形成は、それ自体公知の測定の手段(キャスティング、スプレーイング、ナイフ−コーティング)によって行われ、これは、ポリマーフィルム製造についての先行技術から公知である。好適な担体は、該条件下で不活性といわれ得る全ての担体である。粘度を調節するために、溶液は、必要に応じて、リン酸と混合され得る(濃リン酸、85%)。これは、粘度が所望の値まで調節されること、および膜の形成が促進されることを可能にする。
【0034】
工程F)に従って得られる層は、20〜4000μm、好ましくは30〜3500μm、特には50〜3000μmの厚みを有する。
【0035】
工程G)におけるポリアゾールブロックポリマーの重合は、1.5dl/g超、好ましくは1.8dl/g超、特には1.9dl/g超の固有粘度までの時間および温度で、行われる。通常、該温度は、350℃まで、好ましくは280℃までである。該時間は、通常、数分(min.1分)〜数時間(10時間)である。上記反応条件は、特定のポリマーの反応性、そしてまた層厚に依存する。
【0036】
工程G)において形成されるポリアゾールベースのブロックポリマーは、一般式(I)および/または(II)および/または(III)および/または(IV)および/または(V)および/または(VI)および/または(VII)および/または(VIII)および/または(IX)および/または(X)および/または(XI)および/または(XII)および/または(XIII)および/または(XIV)および/または(XV)および/または(XVI)および/または(XVI)および/または(XVII)および/または(XVIII)および/または(XIX)および/または(XX)および/または(XXI)および/または(XXII)
【0037】
【化1】

【0038】
【化2】

【0039】
【化3】

【0040】
【化4】

【0041】
[式中、
Arは、同一または異なり、そして各々、四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価または三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価または三価または四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Ar10は、同一または異なり、そして各々、二価または三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Ar11は、同一または異なり、そして各々、二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Xは、同一または異なり、そして各々、酸素、硫黄またはアミノ基{これは、さらなる基として、水素原子、1〜20の炭素原子を有する基(好ましくは、分枝または非分枝のアルキルまたはアルコキシ基、あるいはアリール基)を保有する}であり、
Rは、同一または異なり、そして水素、アルキル基または芳香族基であり、但し、式(XX)におけるRは水素ではなく、そして
n、mは、各々、10以上、好ましくは100以上の整数である]
の繰り返しアゾール単位を含む。
【0042】
好ましい芳香族またはヘテロ芳香族基は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、ビピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、ピロール、ピラゾール、アントラセン、ベンゾピロール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾピリジン、ベンゾピラジン、ベンゾピラジジン(benzopyrazidine)、ベンゾピリミジン、ベンゾピラジン、ベンゾトリアジン、インドリジン、キノリジン、ピリドピリジン(pyridopyridine)、イミダゾピリミジン、ピラジノピリミジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジジン、ベンゾプテリジン、フェナントロリンおよびフェナントレン(これらはまた、必要に応じて置換され得る)から誘導される。
【0043】
Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar10、Ar11の置換パターンは所望の通りであり;フェニレンの場合、例えば、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar10、Ar11は、オルト−、メタ−およびパラ−フェニレンであり得る。特に好ましい基は、ベンゼンおよびビフェニレン(これらはまた、必要に応じて置換され得る)から誘導される。
【0044】
好ましいアルキル基は、1〜4の炭素原子を有する短鎖アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピルおよびt−ブチル基である。
【0045】
好ましい芳香族基は、フェニルまたはナフチル基である。アルキル基および芳香族基は置換され得る。
【0046】
好ましい置換基は、ハロゲン原子(例えば、フッ素)、アミノ基、ヒドロキシ基または短鎖アルキル基(例えば、メチルまたはエチル基)である。
【0047】
好ましいのは、1繰り返し単位内でX基が同一である、式(I)の繰り返し単位を有するポリアゾールである。
【0048】
ポリアゾールはまた、例えばそれらのX基が異なる、異なる繰り返し単位を原理的には有し得る。しかし、それは、好ましくは、繰り返し単位内で同一のX基のみを有する。
【0049】
更なる好ましいポリアゾールポリマーは、ポリイミダソール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)およびポリ(テトラアザピレン)である。
【0050】
本発明の更なる実施形態において、繰り返しアゾール単位を含むポリマーは、互いに異なる、式(I)〜(XXII)の少なくとも2つの単位を含む、コポリマーまたはブレンドである。
【0051】
該ポリマーにおける繰り返しアゾール単位の数は、好ましくは、10以上の整数である。特に好ましいポリマーは、少なくとも100の繰り返しアゾール単位を含む。
本発明の文脈において、好ましいのは、繰り返しベンゾイミダゾール単位を含むブロックポリマーである。繰り返しベンゾイミダゾール単位を含む非常に好適なポリマーのいくつかの例は、以下の式によって示される:
【0052】
【化5】

【0053】
【化6】

【0054】
【化7】

【0055】
【化8】

【0056】
式中、nおよびmは、各々、10以上、好ましくは100以上の整数である。
【0057】
工程A)およびC)に従う混合物がまたトリカルボン酸またはテトラカルボン酸を含む場合、これは、形成されるポリマーの分岐化(branching)/架橋を達成する。これは、機械的特性を改善することに寄与する。
【0058】
工程F)に従って得られる層は、該層が燃料電池における使用に十分な強度を有するに十分な時間および温度で、湿気の存在下において、処理される。
【0059】
該処理は、該膜が自己支持性となる程度まで行われ得、その結果、それは、損傷無しに前記担体から除去され得る。
【0060】
該方法の1つの変形において、工程E)からの混合物を350℃まで(好ましくは280℃まで)の温度へ加熱することは、既に、ブロックポリマーの形成をもたらす。これは、固有粘度の測定によってなされ得る。これが工程G)において必要とされる値を達成すると直ぐに、工程G)における薄層重合(thin-layer polymerization)を完全にまたは部分的に省くことが可能となる。該変形についての時間は、通常、数分(20分)〜数時間(40時間)である。上記反応条件は、特定のモノマーの反応性に依存する。この変形はまた、本発明の主題の一部を形成する。
【0061】
該膜は、工程H)おいて、湿気または水および/またはスチームおよび/または85%までのリン酸水溶液の存在下、0℃超〜150℃未満の温度、好ましくは10℃〜120℃の温度、特には室温(20℃)〜90℃で、処理される。該処理は、好ましくは標準圧力下で行われるが、圧力の作用下でも行われ得る。該処理が十分な湿気の存在下でなされることが重要であり、その結果として、存在するポリリン酸が、低分子量ポリリン酸および/またはリン酸を形成する部分加水分解による該膜の強化に寄与する。
【0062】
工程H)におけるポリリン酸の部分加水分解は、該膜の強化および層厚の減少ならびに15〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特には20〜1500μmの厚みを有する膜の形成に導き、これは自己支持性である。ポリリン酸層に存在する分子内および分子間構造(相互浸透ネットーワーク(interpenetrating networks)、IPN)は、形成される膜の特性に関与する秩序化された膜形成へ導く。
【0063】
工程H)に従う処理の上限温度は、一般的に、150℃である。例えば過熱蒸気の、湿気の極端に短時間の作用の場合、このスチームはまた150℃よりも熱いかもしれない。上限温度についての必須条件は、処理の持続時間である。
【0064】
部分加水分解(工程H)はまた、加水分解が所定の湿気作用下で制御され得る、気候制御された(climate-controlled)チャンバにおいて行われ得る。この場合、湿気は、接触する環境(例えば、空気、窒素、二酸化炭素または他の好適なガスのようなガス、あるいはスチーム)の温度または飽和によって、制御された様式で調節され得る。処理時間は、上記で選択されるパラメータに依存する。
【0065】
処理時間はまた、膜の厚みに依存する。
【0066】
一般的に、処理時間は、例えば過熱蒸気の反応下で、数秒〜数分、あるいは例えば空気下・室温および低い相対大気湿気で、終日までである。処理時間は、好ましくは10秒〜300時間、特には1分〜200時間である。
【0067】
部分加水分解が、40〜80%の相対大気湿気含有量(relative atmospheric moisture content)の周囲空気を伴う室温(20℃)で行われる場合、処理時間は1〜200時間である。
【0068】
工程H)に従って得られる膜は、自己支持性形態(self-supporting form)であり得、即ち、それは、損傷無しに担体から除去されそして引き続いて必要に応じて直接更に加工され得る。
【0069】
加水分解の程度(即ち、時間、温度および大気湿気含有量)によって、リン酸の濃度そして従って本発明のポリマー膜の伝導率を調節することが可能である。本発明によれば、リン酸の濃度は、該ポリマーの繰り返し単位1モル当たりの酸のモルとして報告される。本発明の文脈において、好ましいのは、少なくとも20、好ましくは少なくとも30、特には少なくとも51の濃度である(式(III)、即ちポリベンゾイミダゾールの繰り返し単位に基づくリン酸のモル)。このような高度のドーピング(濃度)は、仮にあったとしても、ポリアゾールを市販のオルト−リン酸でドーピングすることによっては、非常に困難を伴って得られ得る。ドイツ特許出願第10117687.2に記載のポリアゾール膜も、高いリン酸含有量を示す。しかし、本発明のブロックポリマー膜は、これらをかなり上回り、そして更に非常に良好な破断時伸び(elongation at break)を示す。従って、リン酸含有量を増加させ、そして同時に改善された機械的特性を得ることが可能である。従って、本発明のブロックポリマーは、少なくとも400%、好ましくは少なくとも500%の伸びを示す(1.2〜1.8MPaで)。0.6〜0.8MPaのより小さな力で、破断時伸びは550%超、いくつかの場合においては1000%超でさえある。
【0070】
工程H)に従う処理後、膜はまた、大気中の酸素の存在下における熱の反応によって、表面上で架橋され得る。この膜表面の硬化は、膜の特性を更に改善する。架橋はまた、IRまたはNIRの作用によって行われ得る(IR=赤外線、即ち、700nm超の波長を有する光;NIR=近IR、即ち、約700〜2000nmの範囲の波長または約0.6〜1.75eVの範囲のエネルギーを有する光)。別の方法は、β−線での照射である。放射線量は、ここで、5〜200kGyである。
【0071】
本発明のブロックポリマー膜は、今日まで公知のドープされたポリマー膜と比較して改善された材料特性を有する。特に、それらは、公知のドープされたポリマー膜と比較してより良好な性能を示す。これについての理由は、特に、改善されたプロトン伝導性である。160℃の温度で、これは、少なくとも0.13S/cm、好ましくは少なくとも0.14S/cm、特には少なくとも0.15S/cmである。
【0072】
性能特性を更に改善するために、充填剤、特にプロトン伝導性充填剤(proton- conducting fillers)、および追加の酸を、該膜へ添加することが更に可能である。添加は、工程Aおよび/またはCにおいてあるいは重合後(工程Bおよび/またはDまたはE)のいずれかに行われ得る。
【0073】
プロトン伝導性充填剤の非限定的な例は、以下である:
スルフェート: 例えば、CsHSO、Fe(SO、(NHH(SO、LiHSO、NaHSO、KHSO、RbSO、LiNSO、NHHSO
ホスフェート: 例えば、Zr(PO、Zr(HPO、HZr(PO、UOPO.3HO、HUOPO、Ce(HPO、Ti(HPO、KHPO、NaHPO、LiHPO、NHPO、CsHPO、CaHPO、MgHPO、HSbP、HSb14、HSb20
ポリ酸: 例えば、HPW1240.nHO(n=21−29)、HSiW1240.nHO(n=21−29)、HWO、HSbWO、HPMo1240、HSb11、HTaWO、HNbO、HTiNbO、HTiTaO、HSbTeO、HTi、HSbO3、MoO
セレン化物(selenites)およびヒ化物: 例えば、(NHH(SeO、UOAsO、(NHH(SeO、KHAsO、CsH(SeO、RbH(SeO
酸化物: 例えば、Al、Sb、ThO、SnO、ZrO、MoO
シリケート: 例えば、ゼオライト、ゼオライト(NH)、シートシリケート(sheet silicates)、フレームワークシリケート(framework silicates)、H−ソーダ沸石、H−モルデン沸石、NH−方沸石(NH4-analcines)、NH−方ソーダ石、NH−ガレート(NH4-gallates)、H−モンモリロナイト;
酸: 例えば、HClO、SbF
充填剤: 例えば、炭化物、特にSiC、Si、繊維、特にガラス繊維、ガラス粉末および/またはポリマー粉末(好ましくは、ポリアゾールに基づく)。
【0074】
更に、これらの膜はまた、ペルフルオロ化スルホン酸添加剤(perfluorinated sulfonic acid additives)(0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%、非常に好ましくは0.2〜10重量%)を含有し得る。これらの添加剤は、性能の増強、カソード付近の酸素溶解性および酸素拡散性の増加、ならびに白金におけるリン酸およびホスフェートの吸着の減少へと導く。(Electrolyte additives for phosphoric acid fuel cells. Gang, Xiao; Hjuler, H. A.; Olsen, C.; Berg, R. W.; Bjerrum, N. J.. Chem. Dep. A, Tech. Univ. Denmark, Lyngby, Den. J. Electrochem. Soc. (1993), 140(4), 896-902 および Perfluorosulfonimide as an additive in phosphoric acid fuel cell. Razaq, M.; Razaq, A.; Yeager, E.; DesMarteau, Darryl D.; Singh, S. Case Cent. Electrochem. Sci., Case West. Reserve Univ., Cleveland, OH, USA. J. Electrochem. Soc. (1989), 136(2), 385-90.)。
【0075】
ペルスルホン化添加剤(persulfonatedadditives)の非限定的な例は、以下である:
トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸アンモニウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸ナトリウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸リチウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸アンモニウム、ペルフルオロヘキサンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、ノナフルオロブタンスルホン酸アンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸セシウム、トリエチルアンモニウムペルフルオロヘキサンスルホネート、ペルフルオロスルホンイミドおよびナフィオン(Nafion)。
【0076】
更に、該膜はまた、作動の間の酸素還元において生成される過酸化物ラジカルをスカベンジするか(一次酸化防止剤)または破壊する(二次酸化防止剤)添加剤を含有し得、そして従って、JP2001118591 A2に記載されるように、膜および膜電極ユニットの寿命および安定性を改善し得る。このような添加剤の機能様式およびそれらの分子構造は、F. Gugumus in Plastics Additives, Hanser Verlag, 1990; N.S. Allen, M. Edge Fundamentals of Polymer Degradation and Stability, Elsevier, 1992; またはH. Zweifel, Stabilization of Polymeric Materials, Springer, 1998に記載されている。
【0077】
このような添加剤の非限定的な例は、以下である:
ビス(トリフルオロメチル)ニトロキサイド、2,2−ジフェニル−1−ピクリニルヒドラジル、フェノール、アルキルフェノール、立体的に込み合った(sterically hindered)アルキルフェノール(例えば、Irganox)、芳香族アミン、立体的に込み合ったアミン(例えば、Chimassorb);立体的に込み合ったヒドロキシルアミン、立体的に込み合ったアルキルアミン、立体的に込み合ったヒドロキシルアミン、立体的に込み合ったヒドロキシルアミンエーテル、ホスファイト(例えば、Irgafos)、ニトロソベンゼン、メチル−2−ニトロソプロパン、ベンゾフェノン、ベンズアルデヒド−tert−ブチルニトロン、システアミン、メラニン、酸化鉛、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト。
【0078】
本発明のドープされたポリマー膜の使用の可能な分野としては、燃料電池、電気分解、キャパシタおよびバッテリーシステムにおける使用が挙げられる。それらの特性プロフィールのために、ドープされたポリマー膜は、好ましくは、燃料電池において使用される。
【0079】
本発明はまた、少なくとも1つの本発明のポリマー膜を有する膜−電極ユニット(membrane-electrode unit)に関する。膜−電極ユニットに関する更なる情報については、技術文献、特に以下の特許を参照のこと:US−A−4,191,618、US−A−4,212,714およびUS−A−4,333,805。膜−電極ユニットの構成および作製、ならびにまた選択される電極、ガス拡散層および触媒に関する前記の参考文献(US−A−4,191,618、US−A−4,212,714およびUS−A−4,333,805)に存在する開示はまた、本明細書の一部を形成する。
【0080】
本発明の1つの変形において、該膜はまた、担体の代わりに、電極上に直接形成され得る。これは、工程H)に従う処理が適切に短縮されることを可能にし、何故ならば、該膜は、もはや自己支持性である必要はないからである。このような膜はまた、本発明の主題の一部を形成する。
【0081】
本発明は、更に、以下の工程:
A)溶液および/または分散液を形成するために、ポリリン酸中において、高リン酸親和性を有する1以上の芳香族および/またはヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合するか、あるいは、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する1以上の芳香族テトラアミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これらは、1カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含み、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する)とを混合する工程、
B)好ましくは不活性ガス下で、工程A)からの混合物を加熱し、そして1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度が得られるまで重合して、そのリン酸親和性が、工程D)において形成されるポリマーのリン酸親和性よりも高いポリマーを形成する工程、
C)ポリリン酸中において、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する1以上の芳香族テトラアミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これらは、1カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含み、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する)とを混合して、溶液および/または分散液を形成する工程、
D)好ましくは不活性ガス下で、工程C)からの混合物を加熱し、そして1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度が得られるまで重合して、そのリン酸親和性が、工程B)において形成されるポリマーのリン酸親和性よりも低いポリマーを形成する工程、
E)工程B)からのポリマーと工程D)からのポリマーとを混合する工程(工程Bからのポリマーのリン酸親和性は、工程Dからのポリマーのリン酸親和性よりも高い)、
F)工程E)に従う混合物を使用して、電極上に層を適用する工程、
G)1.5dl/g超、好ましくは1.8dl/g超、特には2.0dl/g超の固有粘度が得られるまで、好ましくは不活性ガス下で、工程F)に従って得られ得るシート様構造/層を加熱して、ポリアゾールブロックポリマーを形成する工程、
H)工程G)において形成される膜を処理する工程、
を包含する方法によって得られ得る、ポリアゾールに基づくプロトン伝導性ポリマーコーティングを有する、電極を提供する。
【0082】
上述の変形および好ましい実施形態はまた、この主題について有効であり、その結果、この点でそれらを繰り返す必要はない。
【0083】
工程H)後、コーティングは、2〜3000μm、好ましくは3〜2000μm、特には5〜1500μmの厚みを有する。この様式でコーティングされる電極は、少なくとも1つの本発明のブロックポリマー膜を必要に応じて有する膜−電極ユニット中に設置され得る。
【0084】
一般的な試験方法:
IECについての試験方法
膜の伝導性は、いわゆるイオン交換容量(ion exchange capacity)(IEC)によって表される酸基の含有量に大きく依存する。イオン交換容量を測定するために、3cmの直径を有するサンプルを打ち抜き、そして100mlの水で満たしたビーカー中に入れる。放出された酸を0.1MNaOHで滴定する。引き続いて、該サンプルを取り出し、過剰量の水を取り除き、そして該サンプルを160℃で4時間乾燥する。次いで、乾燥重量、mを、0.1mgの精度で重量測定によって測定する。次いで、イオン交換容量を、以下の式によって、第一滴定終点までの0.1MNaOHの消費量、V(ml)および乾燥重量、m(mg)から計算する:
IEC=V300/m
比伝導率についての試験方法
比伝導率を、定電位モードにおける4極配置でのインピーダンス分光法(impedance spectroscopy in a 4-pole arrangement in potentiostatic mode)によって、そして白金電極(ワイヤ、直径0.25mm)を使用して、測定する。集電電極間の距離は2cmである。得られるスペクトルを、オーム抵抗およびキャパシタの並列配置からなるシンプルなモデルで評価する。リン酸ドープされた膜のサンプル断面を、サンプル搭載の直前に測定する。温度依存性を測定するために、テストセルを、オーブン中において所望の温度までもっていき、そして該サンプルのすぐ隣に配置されたPt−100サーモエレメントによって制御する。温度が達成されると、該サンプルを、測定開始前の10分間、この温度で維持する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
A)溶液および/または分散液を形成するために、ポリリン酸中において、高リン酸親和性を有する1以上の芳香族および/またはヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合するか、あるいは、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する1以上の芳香族テトラアミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これらは、1カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含み、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する)とを混合する工程、
B)好ましくは不活性ガス下で、工程A)からの混合物を加熱し、そして1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度が得られるまで重合して、そのリン酸親和性が、工程D)において形成されるポリマーのリン酸親和性よりも高いポリマーを形成する工程、
C)ポリリン酸中において、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する1以上の芳香族テトラアミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これらは、1カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含み、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する)とを混合して、溶液および/または分散液を形成する工程、
D)好ましくは不活性ガス下で、工程C)からの混合物を加熱し、そして1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度が得られるまで重合して、そのリン酸親和性が、工程B)において形成されるポリマーのリン酸親和性よりも低いポリマーを形成する工程、
E)工程B)からのポリマーと工程D)からのポリマーとを混合する工程(工程Bからのポリマーのリン酸親和性は、工程Dからのポリマーのリン酸親和性よりも高い)、
F)工程E)に従う混合物を使用して、担体上または電極上に層を適用する工程、
G)1.5dl/g超、好ましくは1.8dl/g超、特には1.9dl/g超の固有粘度が得られるまで、好ましくは不活性ガス下で、工程F)に従って得られ得るシート様構造/層を加熱して、ポリアゾールブロックポリマーを形成する工程、
H)工程G)において形成される膜を処理する工程(それが自己支持性になるまで)、
を包含する方法によって得られ得る、
ポリアゾールに基づくプロトン伝導性ポリマー膜。
【請求項2】
前記使用される高リン酸親和性を有する芳香族テトラアミノ化合物が、2,3,5,6−テトラアミノピリジン、3,3‘,4,4‘−テトラアミノジフェニルスルホン、3,3‘,4,4‘−テトラアミノジフェニルエーテルおよびそれらの塩、特に、それらのモノ−、ジ−、トリ−およびテトラヒドロクロリド誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記使用される低リン酸親和性を有する芳香族テトラアミノ化合物が、3,3‘,4,4‘−テトラアミノビフェニル、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3‘,4,4‘−テトラアミノベンゾフェノン、3,3‘,4,4‘−テトラアミノジフェニルメタンおよび3,3‘,4,4‘−テトラアミノジフェニルジメチルメタンおよびそれらの塩、特に、それらのモノ−、ジ−、トリ−およびテトラヒドロクロリド誘導体であることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項4】
前記使用される高リン酸親和性を有する芳香族カルボン酸が、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,4,6−ピリジントリカルボン酸、ベンゾイミダゾール−5,6−ジカルボン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−N,N−ジメチルアミノイソフタル酸、5−N,N−ジエチルアミノイソフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、2,6−ジヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシフタル酸、2,4−ジヒドロキシフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジカルボン酸およびジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項5】
前記使用される低リン酸親和性を有する芳香族カルボン酸が、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、3−フルオロフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、テトラフルオロフタル酸、テトラフルオロイソフタル酸、テトラフルオロテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、ジフェニルエーテル4,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、4−トリフルオロメチルフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−スチルベンジカルボン酸および4−カルボキシケイ皮酸であることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項6】
前記使用される高リン酸親和性を有するジアミノカルボン酸が、ジアミノ安息香酸およびそのモノおよびジヒドロクロリド誘導体、ならびに1,2−ジアミノ−3’−カルボキシ酸4,4’−ジフェニルエーテルであることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項7】
前記使用される芳香族カルボン酸が、トリカルボン酸、テトラカルボン酸、あるいはそれらのC1−C20−アルキルエステルまたはC5−C12−アリールエステルあるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物、好ましくは、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(トリメシン酸);1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリト酸);(2−カルボキシフェニル)イミノ二酢酸、3,5,3’−ビフェニルトリカルボン酸;3,5,4’−ビフェニルトリカルボン酸および/または2,4,6−ピリジントリカルボン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項8】
前記使用される芳香族カルボン酸が、テトラカルボン酸、それらのC1−20アルキルエステルまたはC5−C12アリールエステルあるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物、好ましくは、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸;ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、3,5,3’,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項9】
前記トリカルボン酸またはテトラカルボン酸の含有量が(使用されるジカルボン酸に基づいて)、0〜30モル%、好ましくは0.1〜20モル%、特には0.5〜10モル%であることを特徴とする、請求項4に記載の膜。
【請求項10】
前記使用されるヘテロ芳香族カルボン酸が、ヘテロ芳香族ジカルボン酸およびトリカルボン酸およびテトラカルボン酸(これらは、該芳香族内に、少なくとも1つの窒素、酸素、硫黄またはリン原子を含む)、好ましくは、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、4−フェニル−2,5−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピラゾールジカルボン酸、2,6−ピリミジンジカルボン酸、2,5−ピラジンジカルボン酸、2,4,6−ピリジントリカルボン酸、ベンゾイミダゾール−5,6−ジカルボン酸、ならびにそれらのC1−C20−アルキルエステルまたはC5−C12−アリールエステル、あるいはそれらの酸無水物またはそれらの酸塩化物であることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項11】
(酸滴定によって)Pとして計算すると、少なくとも83%の含有量を有するポリリン酸が、工程A)および工程C)において得られることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項12】
溶液または分散液/懸濁液が工程A)および工程C)において得られることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項13】
一般式(I)および/または(II)および/または(III)および/または(IV)および/または(V)および/または(VI)および/または(VII)および/または(VIII)および/または(IX)および/または(X)および/または(XI)および/または(XII)および/または(XIII)および/または(XIV)および/または(XV)および/または(XVI)および/または(XVI)および/または(XVII)および/または(XVIII)および/または(XIX)および/または(XX)および/または(XXI)および/または(XXII)
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

[式中、
Arは、同一または異なり、そして各々、四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価または三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Arは、同一または異なり、そして各々、二価または三価または四価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Ar10は、同一または異なり、そして各々、二価または三価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Ar11は、同一または異なり、そして各々、二価の芳香族またはヘテロ芳香族基(これは、単または多環式であり得る)であり、
Xは、同一または異なり、そして各々、酸素、硫黄またはアミノ基{これは、さらなる基として、水素原子、1〜20の炭素原子を有する基(好ましくは、分枝または非分枝のアルキルまたはアルコキシ基、あるいはアリール基)を保有する}であり、
Rは、同一または異なり、そして水素、アルキル基または芳香族基であり、但し、式(XX)におけるRは水素ではなく、そして
n、mは、各々、10以上、好ましくは100以上の整数である]
の繰り返しアゾール単位を含みそしてポリアゾールに基づくブロックポリマーが、工程G)において形成されることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項14】
ポリベンゾイミダゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、ポリイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾールおよびポリ(テトラアザピレン)の群から選択される繰り返しセグメントを含有するブロックポリマーが、工程G)において形成されることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項15】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

[式中、nおよびmは、各々、10以上、好ましくは100以上の整数である]
の繰り返しベンゾイミダゾール単位を含有するブロックポリマーが、工程G)において形成されることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項16】
工程H)において得られる膜が、該膜が自己支持性となりかつ損傷無しに前記担体から除去され得るまでの時間および温度で、湿気の存在下において、処理されることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項17】
前記膜が、湿気または水および/またはスチームの存在下において、0℃超〜150℃の温度、好ましくは10℃〜120℃の温度、特には室温(20℃)〜90℃で、工程H)において処理されることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項18】
工程H)における膜の処理が、10秒〜300時間、好ましくは1分〜200時間であることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項19】
工程F)において選択される担体が電極であり、そして工程H)における処理が、形成される膜がもはや自己支持性ではないことを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項20】
20〜4000μm、好ましくは30〜3500μm、特には50〜3000μmの厚みを有する層が、工程F)において得られることを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項21】
工程H)によって形成される膜が、15〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特には20〜1500μmの厚みを有することを特徴とする、請求項1に記載の膜。
【請求項22】
以下の工程:
A)溶液および/または分散液を形成するために、ポリリン酸中において、高リン酸親和性を有する1以上の芳香族および/またはヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸を混合するか、あるいは、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する1以上の芳香族テトラアミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これらは、1カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含み、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する)とを混合する工程、
B)好ましくは不活性ガス下で、工程A)からの混合物を加熱し、そして1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度が得られるまで重合して、そのリン酸親和性が、工程D)において形成されるポリマーのリン酸親和性よりも高いポリマーを形成する工程、
C)ポリリン酸中において、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する1以上の芳香族テトラアミノ化合物と、1以上の芳香族カルボン酸またはそれらのエステル(これらは、1カルボン酸モノマー当たり少なくとも2つの酸基を含み、高リン酸親和性または低リン酸親和性を有する)とを混合して、溶液および/または分散液を形成する工程、
D)好ましくは不活性ガス下で、工程C)からの混合物を加熱し、そして1.5dl/gまで、好ましくは0.3〜1.0dl/g、特には0.5〜0.8dl/gの固有粘度が得られるまで重合して、そのリン酸親和性が、工程B)において形成されるポリマーのリン酸親和性よりも低いポリマーを形成する工程、
E)工程B)からのポリマーと工程D)からのポリマーとを混合する工程(工程Bからのポリマーのリン酸親和性は、工程Dからのポリマーのリン酸親和性よりも高い)、
F)工程E)に従う混合物を使用して、電極上に層を適用する工程、
G)1.5dl/g超、好ましくは1.8dl/g超、特には2.0dl/g超の固有粘度が得られるまで、好ましくは不活性ガス下で、工程F)に従って得られ得るシート様構造/層を加熱して、ポリアゾールブロックポリマーを形成する工程、
H)工程G)において形成される膜を処理する工程、
を包含する方法によって得られ得る、
ポリアゾールに基づくプロトン伝導性ポリマーコーティングを有する、電極。
【請求項23】
前記コーティングが、2〜3000μm、好ましくは3〜2000μm、特には5〜1500μmの厚みを有する、請求項22に記載の電極。
【請求項24】
請求項1〜21の1以上に記載の少なくとも1つの膜および少なくとも1つの電極を備える、膜−電極ユニット。
【請求項25】
請求項1〜21の1以上に記載の少なくとも1つの膜および請求項22または23に記載の少なくとも1つの電極を備える、膜−電極ユニット。
【請求項26】
請求項24または25に記載の1以上の膜−電極ユニットを備える、燃料電池。

【公表番号】特表2007−500416(P2007−500416A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521484(P2006−521484)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008229
【国際公開番号】WO2005/011039
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(505118475)ペミアス ゲーエムベーハー (24)
【Fターム(参考)】