説明

プロペラシャフト

【課題】
本発明は、耐熱性に優れ、150℃を超える温度下で使用しても力学的物性の低下が極めて少ないプロペラシャフトを提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明のプロペラシャフトは、本体筒と、この本体筒の両端部に装着された継手とを有するプロペラシャフトにおいて、前記本体筒が、熱硬化性樹脂を補強繊維で強化してなる繊維強化プラスチックからなり、かつ、該繊維強化プラスチックの25℃環境下での静的ねじり強度をT1、150℃環境下での静的ねじり強度をT2としたとき、T2/T1≧0.83であることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の駆動力伝達軸として使用されるFRP製のプロペラシャフト(推進軸)に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のプロペラシャフトは、従来、そのほとんど金属製であるが、近年、車両重量を軽減して燃費を向上させるなどの目的で、熱硬化性樹脂を補強繊維で強化してなる繊維強化プラスチック(FRP)製のものが検討されている。
【0003】
そのようなFRP製プロペラシャフトは、よく知られているように、FRP製の本体筒の両端部に、駆動軸や従動軸と連結してトルクを伝達するための金属製継手を装着して構成されている。
【0004】
ところで、自動車のプロペラシャフトは、車体の床下に配置されるが、使用時には、自然条件や、排気管、触媒装置などからの放熱などによって−40℃から120℃程度の温度環境下に晒される。したがって、そのような温度下でもねじり強度やねじり剛性等の力学的物性が大きく低下しないことが要求される。
【0005】
さて、従来のFRP製プロペラシャフトは、通常、熱硬化性樹脂として分子量が300〜400程度のビスフェノールA型エポキシ樹脂+酸無水物硬化剤を用い、周知のフィラメントワインディング法によって成形した本体筒を使用している(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
かかるビスフェノールA型エポキシ樹脂は、常温における粘度が5〜15ポアズで、可使時間が6時間以上あるため、扱いやすく、また、フィラメントワインディング法を適用しやすいという長所があるが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ガラス転位温度(Tg)が120〜150℃程度であるため、これで本体筒を構成したプロペラシャフトは、120℃を超える高温温度環境下で使用したときに、ねじり強度やねじり剛性などの力学的物性が大きく低下するという問題があった。また、近年のエンジンの高出力化に伴い、床下周りの温度は上昇する傾向にあり、従来より高い耐熱性が要求されている。
【0007】
また、車両の床下周辺のスペースが制限され、排気管や触媒装置など高温になる部材との距離も最小限に抑えられた設計が主流となりつつあり、プロペシャフト本体等の一部が局部的に高温に晒される可能性が高くなっており、この観点からもFRP製プロペラシャフトの耐熱性向上が期待されている。
【特許文献1】特開平7−208445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来のFRP製プロペラシャフトの上述した問題点に鑑み、耐熱性に優れ、150℃を超える温度下で使用しても力学的物性の低下が極めて少ないプロペラシャフトを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のプロペラシャフトは、本体筒と、この本体筒の両端部に装着された継手とを有するプロペラシャフトにおいて、前記本体筒が、熱硬化性樹脂を補強繊維で強化してなる繊維強化プラスチックからなり、かつ、該繊維強化プラスチックの25℃環境下での静的ねじり強度をT1、150℃環境下での静的ねじり強度をT2としたとき、T2/T1≧0.83であることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のプロペラシャフトの好ましい態様として、
前記熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物で構成されてなるものであることが挙げられる。
【0011】
更に、本発明のプロペラシャフトの好ましい態様として、少なくとも軸方向の一部が積層構造を有し、該積層部の少なくとも一層の、熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる繊維強化プラスチックであるものであることが挙げられる。
【0012】
この場合、熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる繊維強化プラスチックである層が、45±5°の螺旋巻き層を含むものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐熱性に優れ、150℃を超える温度下で使用しても力学的物性の低下が極めて少ないプロペラシャフトを提供することができる。
【0014】
更に、自動車の床下設計に依って生じる局部的な高温環境下でも力学的特性の低下を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、前記課題、つまり耐熱性に優れ、150℃を超える温度下で使用しても力学的物性の低下が極めて少ないプロペラシャフトについて、鋭意検討し、常温と高温での静的ねじり強度の比が特定な範囲・関係にある場合、すなわち、プロペラシャフトの25℃環境下での静的ねじり強度をT1、150℃環境下での静的ねじり強度をT2としたとき、T2/T1≧0.83である場合に、前記課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0016】
本発明において、エポキシ樹脂とは分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物を指し、樹脂組成物とは、該エポキシ樹脂を含む未硬化の組成物、例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、適宜、さらに他の添加剤を含む組成物を指す。また、全エポキシ樹脂とは前記エポキシ樹脂を1種類または複数種用いた場合の全てのエポキシ樹脂を指す。
【0017】
また、本発明において3官能以上のエポキシ樹脂とは、1分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物を指す。
【0018】
前記熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成で構成されてなるものであることを特徴とする。全エポキシ樹脂100重量部に対し3官能以上のエポキシ樹脂が30重量部以下では本発明が期待する高温度での物性維持が困難な場合があり、一方70重量部以上を含有した場合では、硬化樹脂そのものの靭性が低下し、プロペラシャフトとしてのねじり強度が低下する恐れがある。
【0019】
特に自動車用のプロペラシャフトは高速で回転するため曲げ共振における危険回転数を高く設計すること、併せてエンジンから伝達される高いトルクに対するねじり強度を保持することが必要となる。そのため、危険回転数を高く設計するためには強化繊維をFRP本体筒の軸方向に配向することが好ましく0〜20°の範囲で設計される。一方、ねじり強度は強化繊維の45°方向に配向させることが有効であり、かつ座屈変形を防止するため円周方向巻きを含むことが好ましい。以上の様に、FRP本体筒は要求される仕様に合わせて、積層構成は円周方向巻き80〜90°、軸方向巻き0〜20°、概略45°方向巻きの配向角度の組み合わせから構成され、FRP本体筒の内径、外径などの寸法条件により、FRP本体筒の危険回転数、ねじり強度の性能が設計される。
【0020】
該繊維強化プラスチックの常温と高温での静的ねじり強度の比、つまり、25℃環境下(RT)での強度をT1として、150℃での強度をT2とした場合のT2/T1≧0.83とすることにより、1.2倍の余裕代で必要とされるねじり強度を達成することが可能となり、材料費、製造コストを大幅に低減させることができたものである。このことにより、FRP化の製品の軽量化を達成することができ、本来の目的に則したプロペラシャフトを提供することができたものである。
【0021】
すなわち、例えば従来のエポキシ樹脂構成では、常温から高温領域でのねじり強度低下が大きく、該静的ねじり強度の比が0.5〜0.7程度であるため、イニシャルの強度を上げる必要があり、そのため予め1.4〜2倍程度の余裕代を持たせておく必要があったが、そのようなる余計な心配も、技術的付加も不要となった。
【0022】
ところで、耐熱性を付与するためのマトリックス樹脂として、3官能以上のエポキシ樹脂を用いるのが好ましく、このような樹脂としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、これらのアルキル置換誘導体、N, N, N’, N’−テトラグリジル−m−キシレンジアミン、および1,3−ビス(N, N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを添加したものが耐熱性アップの点で好ましい。また、この樹脂系では粘度が高くフィラメントワインデイング成形に適用可能な低粘度な樹脂配合とする場合樹脂選択の幅はかなり狭いものとなるが、これを予め補強繊維に含浸させシート状に加工したプリプレグを用いることにより、樹脂配合の自由度が拡がることから好ましく適用できる。
【0023】
また、マトリックス樹脂として低粘度のものを選択すれば、内層を従来タイプの樹脂で構成し、その外側に耐熱性のある低粘度の耐熱性樹脂によりフイラメントワインデイング法により連続的に成形するといったことも可能である。
【0024】
このときの樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に加え、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、これらのアルキル置換誘導体、N, N, N’, N’−テトラグリジル−m−キシレンジアミン、および1,3−ビス(N, N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンを用いることができる。硬化剤としてはジエチルトルエンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の組合せにより得られる。
【0025】
耐熱性をより上げT2/T1の比率をより高めたい場合は、3官能樹脂の比率を本発明での範囲の中で上げることに加え、3官能以上のエポキシ樹脂層の厚み比を上げることにより可能となる。
本発明で用いられる強化繊維としては、FRPにおいて強化繊維として普通に用いられている、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアラミド繊維などの高強度、高弾性率繊維を使用することができる。
【0026】
この発明のプロペラシャフトは、FRP製本体筒と、この本体筒の両端部に装着された継手とを有するが、FRP製本体筒はフィラメントワインディング法、シートワインディング法、テープワインド法の単独、又は組合せによって成形するのが好ましい。
【0027】
フィラメントワインディング法は、よく知られているように、熱硬化性樹脂を含浸した補強繊維をマンドレルに巻き付け、熱硬化性樹脂を硬化させた後にマンドレルを引き抜く方法であるが、特に自動車用のプロペラシャフトは高速で回転するために曲げ共振における危険速度を高く設計することが必要で、そのために必要な軸方向弾性率を発現させるために、補強繊維の巻構成は、±5〜20°の螺旋巻による単一構成とする場合と、合わせてねじり強度の仕様を満足させるために±30〜60°の螺旋巻とで構成することが好ましい。また、本体筒の捩り座屈強度を確保するため内層および外層に75〜90°のフープ層を併用したハイブリッド構成にすることも好ましい。なお、継手が装着される端部の接合強度を向上させる目的でその端部に部分的に肉厚のフープ巻層を設けるなど、上記以外の巻構成の層が含まれていてもよいものである。
【0028】
シートワインディング法も、円筒体の成形方法として良く知られており、予め熱硬化性樹脂が一方向の補強繊維に含浸せしめたプリプレグシートをマンドレルに巻き付け+フィルムテープで巻締めを実施し、熱硬化性樹脂を硬化させた後にマンドレルを引き抜く方法であるが、特に自動車用のプロペラシャフトは高速で回転するために曲げ共振における危険速度を高く設計することが必要で、そのために必要な軸方向弾性率を発現させるために、補強繊維の巻構成は、概ね0°方向の積層体、合わせてねじり強度の仕様を満足させるために概ね±45°のバイアス層とで構成することが好ましい。また、本体筒の捩り座屈強度を確保するため内層および外層に概ね90°方向層を併用したハイブリッド構成にすることも好ましい。なお、継手が装着される端部の接合強度を向上させる目的でその端部に部分的に肉厚の90°層を設けるなど、上記以外の巻構成の層が含まれていてもよいものである。
【0029】
本体筒の肉厚は、特に自動車用プロペラシャフトにおいては、静的なねじり強度として2000〜5000Nm程度が要求されることから、1.5〜4.7mm程度とするのが好ましい。肉厚が1.5mm未満ではねじり強度、曲げ剛性ともに低くなるし、4.7mmを超えるとねじり強度やねじり剛性がオーバースペックとなって材料のむだが多くなる。もちろん、肉厚は補強繊維の種類や上述した巻構成および成形方法にもよる。
【0030】
フィラメントワインディング法では、±5〜20°および±30〜60°の螺旋巻層を1.5〜4.0mmとし、±75〜90°の螺旋巻層を0.2〜0.7mmとするのが好ましい。また、シートワインディング法においては、概ね0°方向の積層体、合わせてねじり強度の仕様を満足させるために概ね±45°のバイアス層とで1.5〜4.0mmとし、概ね90°方向層を0.2〜0.7mmとするのが好ましい。
【0031】
FRP本体筒の内径は50〜90mmの範囲がねじり強度、危険回転数の仕様を達成するために、特に好ましい。
【0032】
FW法、シートワインディング法で所定の積層を終了した後、表面を表層材で巻締め、余剰の樹脂を絞り出した後、硬化炉でエポキシ樹脂を硬化させることで所望のFRP円筒体を得ることができる。更にマンドレルからFRP成形品を抜き取り後、所定の位置および長さでカットすることにより所望のFRP製円筒体を得ることができる。
【0033】
自動車の床下構成によって、排気管や触媒装置の近接によりプロペラシャフトが局部的にのみ耐熱性を必要とする場合がある。前述の様に熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を全体に用いることも可能であるが、かかる場合には、熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を部分的に用いることも好ましい。耐熱性の要求が部分的で十分な場合は、軸方向の一部が積層構造を有し、該積層部の少なくとも一層が、前記樹脂組成物を用いた繊維強化プラスチックであることにより、必要な耐熱性を満たすことができる。少なくとも軸方向の一部が積層構造を有し、該積層部の少なくとも一層の熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる繊維強化プラスチックの層を設ける方法としては、フィラメントワインディングによる層の形成の前後または途中でシートワインディング法により、前記樹脂組成からなるプリプレグを巻き付けることで得ることができる。熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を部分的に用いることによりシートワインデイングによる巻き付け作業で、部分的な付与とすることにより巻き付け作業が精度良く簡便に実施できる。更に、必要な部分だけ最小の材料で必要な耐熱性の高いねじり強度を得る事ができるので、FRP製円筒体を使用する本来の目的である軽量化の効果を最大限発揮することが可能となる。
【0034】
ねじり強度確保の点から、熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる繊維強化プラスチックの層は少なくとも概45±5°の螺旋巻き層を含むことが好ましい。かかる積層構成を採ることによりプロペラシャフトは必要な曲げ剛性、ねじり強度を確保することができる。
【0035】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明が適用されたプロペラシャフトの一実施形態を示している。FRP製本体筒2の両端には端部補強層2dが配置され、金属製継手3にはセレーション部3aが設けられ、両者を圧入接合により組み立て一体化している。このプロペラシャフトの25℃環境下での静的ねじり強度をT1、150℃環境下での静的ねじり強度をT2としたとき、T2/T1≧0.83であることを特徴とするものである。FRP製円筒体は強化繊維と熱硬化性樹脂から構成され、前記熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成で構成されている。更に、図2にFRP製本体筒の構成を示す。中央部における強化繊維の積層構成は円周方向巻き80〜90°、軸方向巻き0〜20°の組合せで構成され、最内層2aおよび最外層2cに円周方向巻き80〜90°で、主層2bが5〜20°の螺旋巻き層で構成され軸方向に延びる主層を示す。また、端部には圧入接合でのねじり強度を確保するために端部補強層2dが設けられている。
【0036】
図3は本発明における、FRP製本体筒の好ましい形態の他の一例を示す。FRP製円筒体2は強化繊維と熱硬化性樹脂から構成され、前記熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成で構成されている。更に、FRP製本体筒中央部における強化繊維の積層構成は円周方向巻き80〜90°、軸方向巻き0〜20°、概略45°の配向角度から組み合わせで構成され、最内層2aおよび最外層2cに円周方向巻き90°を、主層2bは0°層からなる2b−1,2b−3および45°層の2b−2で構成され軸方向に延びる主層を示す。また、端部には圧入接合でのねじり強度を確保するために90°で構成される端部補強層2dが設けられている。
【0037】
図4は本発明における、FRP製本体筒の好ましい形態の他の一例を示す。FRP製円筒体2は強化繊維と熱硬化性樹脂(A)および(B)から構成され、前記熱硬化性樹脂(B)が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成で構成されている。更に、FRP製本体筒中央部における強化繊維の積層構成は円周方向巻き80〜90°、軸方向巻き0〜20°、概略45°の配向角度から組み合わせで構成され、最内層2aおよび最外層2cに円周方向巻き80〜90°を、主層2bは5〜20°層からなる2b−1,2b−3を、更にこの中間部に概45°の螺旋巻き層の2b−2で構成され軸方向に延びる主層を示し、この概45°層の螺旋巻き層は熱硬化性樹脂(B)により構成される。この際の、熱硬化性樹脂(B)の厚さは少なくとも厚み比で20%以上含んでいる。また、端部には圧入接合でのねじり強度を確保するために80〜90°で構成される端部補強層2dが設けられている。
【0038】
図6は本発明における、FRP製本体筒の好ましい形態の他の一例を示す。FRP製円筒体2は強化繊維と熱硬化性樹脂(A)および(B)から構成され、前記熱硬化性樹脂(B)が全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成で構成されている。この熱硬化性樹脂(B)からなる本体筒の軸方向に対して、部分的にかつ円筒状に配置された積層構造2eを構成する。更に、このFRP製積層構成2eは少なくとも概略45°の配向角度の螺旋巻き層から構成される。他の部分は前述の熱硬化性樹脂(A)から成る主層の積層構成は図7に示すように円周方向巻き80〜90°、軸方向巻き0〜20°、概略45°の配向角度から組み合わせで構成され、最内層2aおよび最外層2cに円周方向巻き80〜90°を、主層2bは5〜20°層からなる2b−1,2b−3を、更にこの中間部に概45°の螺旋巻き層の2b−2で構成され軸方向に延びる主層を示している。前述と同様に端部には接合のために円周方向補強層2dを設けることも好ましい。積層の順序は成形方法により変更することも可能で、熱硬化性樹脂(A)からなる部分層を予め、成形しその上に熱硬化性樹脂(B)からなる部分的にかつ円筒状に配置された積層構造を配置し、その外側に熱硬化性樹脂(A)による成形も可能である。
【0039】
図5はプロペラシャフトのねじり評価試験の概要を示す。両端にねじり試験用継ぎ手4a、4bが圧入されたねじり試験用FRP本体筒4はねじり試験機のフランジ部に固定される。このとき、一方の可動部フランジ5aは油圧による回転駆動部を有しており試験体へのトルク負荷が可能となる。他方の固定部フランジ5bは試験器ベースに固定され、フランジ部に連結されたロードセル5cから破壊時のトルクを検出することができる。また、今回の発明では試験温度が重要であることから、図5に示す恒温槽6を用い所定の温度に調節・保持後、ねじり試験を実施した。雰囲気温度は図中6aの温度計より検出した。ねじり試験時の試験速度、温度設定は図中8に示す制御装置により設定される。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
実施例について図1および図2を参照しながら説明する。東レ株式会社製炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700SC−24Kを3本引き揃え、これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”827)の50部に対し3官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”630)の50部で構成されるエポキシ主剤100部に対し90重量部の酸無水物系硬化剤(日本化薬株式会社製“カヤハード(登録商標)”MCD)と1重量部の硬化促進剤(四国化成工業株式会社製“キュアゾール(登録商標)”)とを添加してなる混合樹脂を含浸しながら、フィラメントワインディング法によって、φ70mmのマンドレルにその軸方向に対し内層に85°の螺旋巻き層2a0.2mmを形成した後、主層2bとして±12°で厚さ1mmを螺旋巻きした後、±45°にて厚さ0.5mm、更に±12°で厚さ1mmの螺旋巻きした後、最外層を85°の螺旋巻き層2c0.2mmを実施した。主層は合計2.9mmで構成される。なお、継手の装着部となる、本体筒の両端部の110mmの長さに相当する部分には、継手との接合強度を向上させるために、軸方向に対し±83°で構成される厚みが2.5mmからなる補強層2dを形成した。補強層2dは、厚さ2.5mm、軸方向長さ60mmのストレート部および軸中央方向に向かった長さ50mmのテーパー部にて形成されている。
【0041】
その後、硬化炉にて硬化を実施した。硬化温度は100℃×2hr+200℃×4hrにて実施しFRP製円筒体2を得た。
次に、FRP製円筒体2の両端部に、接合される金属製継手3はセレーション部3aを有する。セレーションは、ピッチ約2mm、歯高さ0.9mm、先端R0.04mm、歯先角90度のセレーションを用い、外径は74.45mmに加工した。従って直径で0.40mmの圧入代を有している。この金属製継手3をFRP製円筒体2と圧入接合し、プロペラシャフト1とした後、ねじり試験機にかけて評価した。
図5は、ねじり試験の概要を示す。両端にねじり試験用継ぎ手4a、4bが圧入されたねじり試験用FRP本体筒4はねじり試験機のフランジ部に固定される。このとき、一方の可動部フランジ5aは油圧による回転駆動部を有しており試験体へのトルク負荷が可能となる。他方の固定部フランジ5bは試験器ベースに固定され、フランジ部に連結されたロードセル5cからトルクを検出することができる。また、今回の発明では試験温度が重要であることから、図5に示す恒温槽6を用い所定の温度に調節・保持後、ねじり試験を実施した。雰囲気温度は図中6aの温度計より検出した。ねじり試験時の試験速度、温度設定は図中8にしめす制御装置により設定される。
【0042】
表1は、このねじり試験における雰囲気温度T(℃)とねじり強度S(kN ・m)との関係を示すもので、25℃の環境下ではT1=5.2kNmであり、150℃環境下ではT2=4.42kNmの結果であり、T2/T1=0.85で有り、高温環境下でもねじり強度の低下の少ない耐熱性に優れたプロペラシャフトを得ることができた。
(実施例2)
実施例について図3を参照しながら説明する。東レ株式会社製炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700S−12K一方向材基材にビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”825)の30部、ビスフェノールF型エポキシ(大日本インキ化学工業“エピクロン(登録商標)”830)の10部合計40部の3官能エポキシ樹脂(住友化学工業“スミエポキシ(登録商標)”ELM434)の60部で構成されるエポキシ主剤100部に対し45部のジアミノジフェニルスルホン(住友化学工業“スミキュア(登録商標)”S)とポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P)16部を含浸させた厚さ0.135mmのプリプレグシートを用いシートワインディング成形による成形を次の様に実施した。φ70mmのマンドレルにその軸方向に対し内層に90°の巻き層2a0.27mmを形成した後、主層2bとして0°の厚さ0.81mm2b−1を巻き付けた後、バイアス構成の+45°−45°にて厚さ0.54mmの2b−2、更に厚さ0°で厚さ0.81mmの2b−3を巻き付けした後、外層を90°の巻き層2c0.27mmを形成した後、最外層をフィルムテープによるラッピングを実施した。主層2bは合計2.7mmで構成される。なお、継手の装着部となる、本体筒の両端部の110mmの長さに相当する部分には、継手との接合強度を向上させるために、厚みが2.5mmの90°からなる補強層を形成した。補強層2dは、厚さ2.56mm、軸方向長さ60mmのストレート部および軸中央方向に向かった長さ50mmのテーパー部にて形成されている。
【0043】
その後、硬化炉にて硬化を実施した。硬化温度は100℃×2hr+200℃×4hrにて実施しFRP円筒体2を得た。
【0044】
次に、FRP製円筒体2の両端部に、接合される金属製継手3はセレーション部を有する。セレーションは、ピッチ約2mm、歯高さ0.9mm、先端R0.04mm、歯先角90度のセレーションを用い、外径は74.45mmに加工した。従って直径で0.40mmの圧入代を有している。この金属製継手3を圧入接合し、プロペラシャフトとした後、ねじり試験機にかけて評価した。
【0045】
表1は、このねじり試験における雰囲気温度T(℃)とねじり強度S(kNm)との関係を示すもので、25℃の環境下ではT1=4.2kNmであり、150℃環境下ではT2=3.8kNmの結果であり、T2/T1=0.9で有り、高温環境下でもねじり強度の低下の少ない耐熱性に優れたプロペラシャフトを得ることができた。
(実施例3)
実施例につき図面4を参照しながら説明する。東レ株式会社製炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700SC−24Kを3本引き揃え、これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”827)の100部に対し90重量部の酸無水物系硬化剤(日本化薬株式会社製“カヤハード(登録商標)”MCD)と1重量部の硬化促進剤(四国化成工業株式会社製“キュアゾール(登録商標)”)とを添加してなる混合樹脂(A)を含浸しながら、フィラメントワインディング法によって、φ70mmのマンドレルにその軸方向に対し内層に85°の螺旋巻き層0.2mmを形成した後、主層として±12°で厚さ1mmの螺旋巻きした後、これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”827)の70部に対し3官能エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”630)の30部で構成されるエポキシ主剤100部に対し90重量部の酸無水物系硬化剤(日本化薬株式会社製“カヤハード(登録商標)”MCD)と1重量部の硬化促進剤(四国化成工業株式会社製“キュアゾール(登録商標)”)とを添加してなる混合樹脂(B)を含浸しながら、±45°にて厚さ0.6mmの積層を行った後、更に混合樹脂(A)±12°で厚さ0.9mmの螺旋巻きした後、最外層を85°の螺旋巻き層0.2mmを実施した。主層は合計2.9mmで構成される。なお、継手の装着部となる、本体筒の両端部の110mmの長さに相当する部分には、継手との接合強度を向上させるために、混合樹脂の上記塗布前に厚みが2.5mmからなる補強層を形成した。補強層2dは、厚さ2.5mm、軸方向長さ60mmのストレート部および軸中央方向に向かった長さ50mmのテーパー部にて形成されている。
【0046】
その後、硬化炉にて硬化を実施した。硬化温度は100℃×2hr+200℃×4hrにて実施しFRP円筒体2を得た。
【0047】
次に、本体筒の両端部に、接合される金属製継手3はセレーション部を有する。セレーション部3aは、ピッチ約2mm、歯高さ0.9mm、先端R0.04mm、歯先角90度のセレーションを用い、外径は74.45mmに加工した。従って直径で0.40mmの圧入代を有している。この金属製継手3を圧入接合し、プロペラシャフトとした後、ねじり試験機にかけて評価した。
【0048】
表1は、このねじり試験における雰囲気温度T(℃)とねじり強度S(Nm)との関係を示すもので、25℃の環境下ではT1=5.5kNmであり、150℃環境下ではT2=4.6kNmの結果で、T2/T1=0.84で有り、高温環境下でもねじり強度の低下の少ない耐熱性に優れたプロペラシャフトを得ることができた。
(実施例4)
実施例について図6を参照しながら説明する。東レ株式会社製炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700S−12K一方向材基材にビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”825)の30部、ビスフェノールF型エポキシ(大日本インキ化学工業“エピクロン(登録商標)”830)の10部合計40部の3官能エポキシ樹脂(住友化学工業“スミエポキシ(登録商標)”ELM434)の60部で構成されるエポキシ主剤100部に対し45部のジアミノジフェニルスルホン(住友化学工業“スミキュア(登録商標)”S)とポリエーテルスルホン(“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P)16部を含浸させた厚さ0.135mmのプリプレグシートを用いシートワインディング成形による成形を次の様に実施した。φ70mmのマンドレルにその軸方向に対し+45°と−45°の螺旋巻き構成各2層にて厚さ0.54mmの部分積層構成を長さ方向に300mmに渡り巻き付ける。その後、これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”827)の100部に対し90重量部の酸無水物系硬化剤(日本化薬株式会社製“カヤハード(登録商標)”MCD)と1重量部の硬化促進剤(四国化成工業株式会社製“キュアゾール(登録商標)”)とを添加してなる混合樹脂(A)を含浸しながら、フィラメントワインディング法によって、マンドレルにその軸方向に対し内層に85°の螺旋巻き層0.2mmを形成した後、主層として±12°で厚さ1mmの螺旋巻きした後、±45°にて厚さ0.6mmの積層を行った後、±12°で厚さ0.9mmの螺旋巻きした後、最外層を85°の螺旋巻き層0.2mmを実施した。主層は合計2.9mmで構成される。なお、継手の装着部となる、本体筒の両端部の110mmの長さに相当する部分には、継手との接合強度を向上させるために、混合樹脂の上記塗布前に厚みが2.5mmからなる補強層を形成した。補強層2dは、厚さ2.5mm、軸方向長さ60mmのストレート部および軸中央方向に向かった長さ50mmのテーパー部にて形成されている。
【0049】
その後、硬化炉にて硬化を実施した。硬化温度は100℃×2hr+200℃×4hrにて実施しFRP円筒体2を得た。
【0050】
次に、FRP製円筒体2の両端部に、接合される金属製継手3はセレーション部を有する。セレーションは、ピッチ約2mm、歯高さ0.9mm、先端R0.04mm、歯先角90度のセレーションを用い、外径は74.45mmに加工した。従って直径で0.4mmの圧入代を有している。この金属製継手3を圧入接合し、プロペラシャフトとした後、ねじり試験機にかけて評価した。局部的な高温度条件とするため、雰囲気温度を120℃に保ちながら該部分積層部にリボンヒーターを巻き付け、温度計によりFRP製本体筒の温度を部分的に150℃に保持しながらねじり試験を実施した。
【0051】
このねじり試験における部分的な150℃環境下で破壊トルクは4.0kNmの結果であり、局部的な高温環境下でもねじり強度の低下の少ない耐熱性に優れたプロペラシャフトを得ることができた。ここでこの実施例のFRP製円筒体のねじり強度は25℃の環境下ではT1=5.5kNmであり、150℃環境下ではT2=4.67kNmの結果で、T2/T1=0.85で有り、高温環境下でもねじり強度の低下の少ない耐熱性に優れたプロペラシャフトを得ることができた。
(比較例)
実施例との対比として本発明樹脂組成とは異なり多官能樹脂を含まないケースとして次の比較例によるFRP本体筒の成形、およびねじり強度試験を実施した。東レ株式会社製炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700SC−24Kを3本引き揃え、これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製“エピコート(登録商標)”827)の100部に対して90部の酸無水物系硬化剤(日本化薬株式会社製“カヤハード(登録商標)”MCD)と1部の硬化促進剤(四国化成工業株式会社製“キュアゾール(登録商標)”)とを添加してなる混合樹脂を含浸しながら、フィラメントワインディング法によって、φ70mmのマンドレルにその軸方向に対し内層に85°の螺旋巻き層0.2mmを形成した後、主層として±12°で厚さ1mmの螺旋巻きした後、±45°にて厚さ0.5mm、更に±12°で厚さ1mmの螺旋巻きした後、最外層を85°の螺旋巻き1層を実施した。主層は合計2.9mmで構成される。
【0052】
その後、硬化炉にて硬化を実施した。硬化温度は100℃×2hr+200℃×4hrにて実施しFRP円筒体を得た。なお、継手の装着部となる、本体筒の両端部の110mmの長さに相当する部分には、継手との接合強度を向上させるために、混合樹脂の上記塗布前に厚みが2.5mmからなる補強層を形成した。補強層2dは、厚さ2.5mm、軸方向長さ60mmのストレート部および軸中央方向に向かった長さ50mmのテーパー部にて形成されている。
【0053】
次に、本体筒の両端部に、接合される継ぎ手部材はセレーション部を有する。セレーションは、ピッチ約2mm、歯高さ0.9mm、先端R0.04mm、歯先角90度のセレーションを用い、外径は74.45mmに加工した。従って直径で0.40mmの圧入代を有している。この金属製継手を圧入接合し、プロペラシャフトとした後、ねじり試験機にかけて評価した。
【0054】
表1は、このねじり試験における雰囲気温度T(℃)とねじり強度S(kNm)との関係を示すもので、25℃の環境下ではT1=5.2kNmであり、150℃環境下ではT2=2.96kNmの結果であり、本発明のパラメータでこの結果を表すとT1/T2=0.57であり、多官能樹脂を30重量部以上70重量部未満を含む本発明での結果0.85より著しく低下し、高温環境下でのねじり強度を維持できない。
【0055】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係るプロペラシャフトは、FRP製円筒体を備えたあらゆるプロペラシャフト
に適用でき、とくに環境特性として耐熱性が要求される自動車用のFRP製プロペラシャフトに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のプロペラシャフトの一例の要部を示す概略断面図である。
【図2】本発明のプロペラシャフトのFRP製本体筒の構成の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のプロペラシャフトのFRP製本体筒の構成の他の一例を示す概略断面図である
【図4】本発明のプロペラシャフトのFRP製本体筒の構成の他の一例を示す概略断面図である。
【図5】ねじり試験の様子を示す斜視図である。
【図6】本発明のプロペラシャフトのFRP製本体筒の構成の他の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 プロペラシャフト
2 FRP製円筒体
2a 内層
2b 主層
2c 外層
2d 補強層
2e 軸方向部分層
3 金属製継手
3a セレーション部
4 ねじり試験用FRP本体筒
4a、b ねじり試験用継ぎ手
5 ねじり試験機
5a 可動部フランジ
5b 固定部フランジ
5c ロードセル
5d 回転部
6 恒温槽
6a 温度検出部
7 油圧ポンプ
8 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筒と、この本体筒の両端部に装着された継手とを有するプロペラシャフトにおいて、前記本体筒が、熱硬化性樹脂を補強繊維で強化してなる繊維強化プラスチックからなり、かつ、該繊維強化プラスチックの25℃環境下での静的ねじり強度をT1、150℃環境下での静的ねじり強度をT2としたとき、T2/T1≧0.83であることを特徴とするプロペラシャフト。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物で構成されてなるものである請求項1に記載のプロペラシャフト。
【請求項3】
少なくとも軸方向の一部が積層構造を有し、該積層部の少なくとも一層の、熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる繊維強化プラスチックである請求項1に記載のプロペラシャフト。
【請求項4】
熱硬化性樹脂が、全エポキシ樹脂100重量部中に、30重量部以上70重量部未満の3官能以上のエポキシ樹脂を含有する樹脂組成物からなる繊維強化プラスチックである層が、少なくとも45±5°の螺旋巻き層を含む請求項3記載のプロペラシャフト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−196684(P2007−196684A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353764(P2006−353764)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】