説明

ペリレンキノン誘導体及びその使用

本発明は、ペリレンキノン誘導体、それらの立体異性体及びアトロプ異性体である化合物に関する。これらの化合物は、光力学療法又は音響力学療法における光増感剤又は音響感受性薬剤として特に有用であり得る。本発明はまた、光力学療法及び/又は音響力学療法においてこれらの化合物を使用するための種々の方法に関する。これらの化合物はまた、種々の過増殖障害を処置するための治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化学分野に関する。詳細には、ペリレンキノン誘導体に関する。このような化合物は、光力学療法において又は光増感剤として使用することができる。これらの化合物は、治療剤として有用であり、また種々の過増殖障害を処置するためにも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
光力学療法(PDT)は、酸素の存在下で光増感剤を活性化するのに適した波長の光を使用する処置様式であり、これにより高い反応性の活性酸素種が生成され、次いでそれにより標的分子に組織損傷をもたらす。大部分の部位における相対的選択性、他の処置との適合性、その反復可能性、その送達の容易さなどのようなその利点のために、PDTは特定の癌又は臨床的症状、例えば初期段階の肺、食道、胃、頚部の癌、子宮頚部形成異常などの処置のための有用な方法としての位置をゆっくりと見出しつつある。望ましい光増感剤の主要な特徴は、低い暗所毒性、悪性細胞における選択的蓄積、適切な保持時間、光療法波長範囲(phototherapeutic window)(600-900nm)における吸収及び減衰までの長い時間を伴う高い三重項収率である。種々の光増感剤がPDTに使用されており、光増感剤の第一世代はポルフィリン構造に基づき、Photofrin II(登録商標)は、散在性の腹腔内悪性疾患に関して多くの注目を集めた。現在使用される光増感剤、Photofrin-II(登録商標)の限界としては、長期の皮膚光感受性、バッチ変動性、精製の困難さ、複雑な血清、正常組織でのモノマー形態及び腫瘍薬物動態が挙げられる。治療波長範囲での弱い光吸収は、組織での光透過の点で次善である。これらの望ましくない特徴は、物理化学的、薬理学的及び臨床的特性を改善するための部位指向性化学的改変により適した第二世代の光増感剤の開発を促してきた(Miller et al. Drug Devel. Res., 42, 1997, 182)。
【0003】
Lown及び共同研究者らは(Lown J.W. et al. Tetrahedron, 48, 1992, 45)、(Lown J.W.
et al. Photochem. Photobiol., 52, 1990, 609)、ペリレンキノノイド色素(PQP)(これは天然源(特に真菌)由来であり、興味深い立体化学的特徴を示し、そして興味深い生物学的活性を有する)を改変することにより、Photofrin-II(登録商標)に関連するこの問題に取り組んできた。これらのうち、ヒポクレリン(hypocrellin)A(化合物(1))及びヒポクレリン(hypocrellin)B(化合物2))(これらは脂溶性ペリレンキノン誘導体であり(Chen et al. Liebigs Ann. Chem., 1981, 1880)(Kishi et al. Planta Med., 57, 1991, 376)、中国南部の雲南省の地域、チベット南東部及びスリランカの特定の部分において豊富に生息しているSinarundinaria種の寄生菌であるHypocrella bambuase sacc菌から単離された)は、新しい改善された光増感剤の開発のための出発点として役立ってきた。
【0004】
【化1】

【0005】
ヒポクレリンA及びBは、それらの光誘導性の抗腫瘍活性(Zhang et al. Photochem Photobiol, 69(5), 1999, 582)、(Zhang et al. J. Photochem Photobiol. 44, 1998, 21)及び抗ウイルス活性(Hirayama et al. Photochem. Photobiol. 66(5), 1997, 697)(光力学療法(PDT)と称され技術的に知られる)のために集中的に研究されてきた。ヒポクレリンは、1980年代初期にPDT用の可能性のある光増感剤として最初に認識された(Wan et al. Kexue Tongbao (English Edition), 26, 1981, 1040-1042)。ヒポクレリンは、光化学反応の間の効率のよい一重項酸素生成源であり、そしてラジカル機構を介して光増感を行い得、これにより古典的なII型酸素依存性光化学機構からのある程度の独立がもたらされる。ヒポクレリン及びそれらの誘導体の予備的な急性及び慢性の用量増加研究は、げっ歯類において50m mol/Kgの「全身」レベルまで、又は典型的なインビトロ光増感用量より約2桁(two logs)高いレベルまでいかなる毒性も示さなかった。ヒポクレリンは他の光増感剤よりも、容易な製造及び精製、低い毒性、高い安定性、凝集しないこと、速い代謝、低い副作用並びに癌組織における選択的局在化のようないくつかの利点を有する。しかし、天然に存在する化合物は、脂溶性でしかなく、光力学波長範囲においてほどんど吸収を示さず、このことがPDTにおけるそれらの適用を制限している。これらの問題、すなわち光力学活性および水溶性を欠くことを克服するために、過去20年間に多数のヒポクレリンを基本とした化合物が合成され生物学的に評価されてきた。
【0006】
従って、種々のアプローチがヒポクレリンBの赤色吸収を増加するために採用された(Shangjie et al. Photochem. and Photobiol., 78(4), 2003, 411), (米国特許公開公報第US2004/ 0092557 A1号)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、未だに明確な改善の必要性が存在する。従って、ヒポクレリンA及びヒポクレリンBと比較して増強された光力学活性を有する化合物を提供することが非常に望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明の一局面によれば、式(Ia)若しくは(Ib):
【化2】

【0009】
[式中、
X及びYは独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、又は-C(O)NH2であり、
該C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
Zは、-CH2-、-CHR3-、-CH2-CH=CH-、-CHR3-CH=CH-、又は-CH2-CH=CR3-であり;
【0010】
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
R3は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフィドラル(sulphydral)(-SH)、アミノ酸残基、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、SO3H、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、-HNC(O)R1、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、又はC1-C12ヘテロアリールであり;
nは1〜13の値を有する整数であり;そして
mは1〜13の値を有する整数である]
の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体、又はそれらの薬学的に許容しうる塩が提供される。
【0011】
当業者は、式(Ia)及び(Ib)の化合物が互変異性体であること、そしてそれらが平衡状態で共存し得ることを明らかに認識するだろう。特定の状況下では、それらのうちの一方がより安定となり得、従って平衡がそれに応じてその互変異性体の方にシフトし得る。他の特定の状況下では、互変異性体の一方のみが実質的に存在することが可能であり得る。本発明がまた式(Ia)及び(Ib)の化合物のあらゆる他の互変異性体又は異性体を網羅することも理解されるだろう。
【0012】
本発明の別の局面によれば、式(IIa)若しくは(IIb):
【化3】

【0013】
[式中、
X及びYは独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、又は-C(O)NH2であり、
該C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
Zは-CH2-、-CHR3-、-CH2-CH=CH-、-CHR3-CH=CH-、又は-CH2-CH=CR3-であり;
【0014】
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
R3は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフィドラル(-SH)、アミノ酸残基、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、SO3H、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、-HNC(O)R1、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、又はC1-C12ヘテロアリールであり;
nは1〜13の値を有する整数であり;そして
mは1〜13の値を有する整数である]
の化合物、又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体、
又はそれらの薬学的に許容しうる塩が提供される。
【0015】
当業者は、式(IIa)及び(IIb)の化合物が互変異性体であること、そしてそれらが平衡状態で共存し得ることを明らかに認識するだろう。特定の状況下では、それらのうちの一方がより安定となり得、従って平衡がそれに応じてその互変異性体の方にシフトし得る。他の特定の状況下では、互変異性体の一方のみが実質的に存在することが可能であり得る。本発明がまた式(IIa)及び(IIb)の化合物のあらゆる他の互変異性体又は異性体を網羅することも理解されるだろう。
【0016】
本発明の別の局面によれば、式(IIIa)若しくは(IIIb):
【化4】

【0017】
[式中、
Tは、C1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、又はそれらの組み合わせであり;
R4及びR5は独立して、水素、重水素、ヒドロキシ、酸素、ハロゲン、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2又はアミノに適した保護基であり、
該C1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
【0018】
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
pは、0〜8の値を有する整数であり、そしてpが1〜8の値を有する場合、環Aは飽和か、又は不飽和であり少なくとも1つの二重結合を有し、該環Aは非置換か又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、重水素原子、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、NOH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-CON(R6)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C1-C8アルコキシ、C1-C8チオアルコキシ、C1-C8アルキルアミノ、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、少なくとも1つの窒素原子を有するC1-C8アザアルキル、少なくとも1つの窒素原子を有するC6-C12アザアラルキル、少なくとも1つのハロゲン原子を有するC1-C8ハロアルキル、糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、シアル酸、マンノース、N-アセチルグルコースアミン、N-アセチルガラクトースアミン、二糖、三糖又はその誘導体)からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され、
【0019】
各R6は独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、又はアミノ酸残基、例えばリジン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン(phenylalaine)、トレオニン(threoine)、バリン、ロイシン、イソロイシン(isolucine)、アルギニン、チロシン、グリシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、シスチン、ヒスチジン、プロリン、アラニン又はその誘導体であり;そして
各R7は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルである]の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体、
又はそれらの薬学的に許容しうる塩が提供される。
【0020】
当業者は、式(IIIa)及び(IIIb)の化合物が互変異性体であること、そしてそれらが平衡状態で共存し得ることを明らかに認識するだろう。特定の状況下では、それらのうちの一方がより安定となり得、従って平衡がそれに応じてその互変異性体の方にシフトし得る。他の特定の状況下では、互変異性体の一方のみが実質的に存在することが可能であり得る。本発明がまた式(IIIa)及び(IIIb)の化合物のあらゆる他の互変異性体又は異性体を網羅することも理解されるだろう。
【0021】
本発明の別の局面によれば、式(VIIa)若しくは(VIIb):
【化5】

【0022】
[式中、
TはC1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、又はそれらの組み合わせであり;
R4及びR5は独立して、水素、重水素、ヒドロキシ、酸素、ハロゲン、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2又はアミノに適した保護基であり、
該C1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
【0023】
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
pは0〜8の値を有する整数であり、そしてpが1〜8の値を有する場合、環Aは飽和であるか、又は不飽和で少なくとも1つの二重結合を有し、該環Aは非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、重水素原子、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、NOH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-CON(R6)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C1-C8アルコキシ、C1-C8チオアルコキシ、C1-C8アルキルアミノ、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、少なくとも1つの窒素原子を有するC1-C8アザアルキル、少なくとも1つの窒素原子を有するC6-C12アザアラルキル、少なくとも1つのハロゲン原子を有するC1-C8ハロアルキル、糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、シアル酸、マンノース、N-アセチルグルコースアミン、N-アセチルガラクトースアミン、二糖、三糖又はそれらの誘導体)からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され、
【0024】
各R6は独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、又はアミノ酸残基、例えばリジン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、チロシン、グリシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、シスチン、ヒスチジン、プロリン、アラニン又はそれらの誘導体であり;そして
各R7は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルである]
の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体、又はそれらの薬学的に許容しうる塩が提供される。
【0025】
当業者は、式(VIIa)及び(VIIb)の化合物が互変異性体であること、そしてそれらが平衡状態で共存し得ることを明らかに認識するだろう。特定の状況下では、それらのうちの一方がより安定となり得、従って平衡がそれに応じてその互変異性体の方にシフトし得る。他の特定の状況下では、互変異性体の一方のみが実質的に存在することが可能であり得る。本発明がまた式(VIIa)及び(VIIb)の化合物のあらゆる他の互変異性体又は異性体を網羅することも理解されるだろう。
【0026】
本発明の化合物は以前に知られていた化合物と比較して改善された光力学活性を有することが見出された。例として、これらはヒポクレリンA又はヒポクレリンBと比較して増強された光力学活性を有する。さらに、本発明の化合物は、光力学波長範囲(赤色吸収)においてかなり増強された光応答を有する。これらの化合物はまた、低い毒性も示した。
【0027】
本発明の化合物は特定の彩層(chromosphere)(発色団)又は拡張芳香族性を得ることが可能なオレフィン共役系を有し、600-700nmの範囲の光の増加した吸収を有することも見出された。
【0028】
式(Ia)、(Ib)、(IIa)又は(IIb)の化合物において、Zは好ましくは-CH2-であり、そしてnは好ましくは3の値を有する。Xは好ましくはメチル基である。Yもまた好ましくはメチル基である。R1は好ましくは水素原子である。好ましくは、各R2はメチル基である。
【0029】
式(IIIa)、(IIIb)、(VIIa)又は(VIIb)の化合物において、各R7は好ましくは水素原子である。Tは好ましくは-CH2-である。好ましくは、環Aが6員環であるように、pは4の値を有する。各R2は好ましくはメチル基である。R4、R5及び各R7は好ましくは水素原子を表す。
【0030】
用語「アルキル」は本明細書で使用される場合、直鎖又は分枝のラジカルを指す。このようなラジカルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0031】
用語「アルケニル」とは本明細書中で使用される場合、ラジカル中に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分枝のラジカルを指す。アルケニルラジカルの例としては、限定されないが、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニル及び4-メチルブテニルが挙げられる。用語「アルケニル」は、「cis」及び「trans」配置、あるいは「E」及び「Z」配置を有するラジカルを含む。
【0032】
用語「アルキニル」とは本明細書中で使用される場合、直鎖または分枝のラジカルを指す。このようなラジカルの例としては、限定されないが、プロパルギル、ブチニルなどが挙げられる。
【0033】
用語「シクロアルキル」とは本明細書中で使用される場合、飽和炭素環式ラジカルを指す。このようなラジカルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。用語「シクロアルキル」はさらに、シクロアルキル環がベンゾチエピン(benzothiepene)の7員複素環式環と共通の炭素環原子を有するスピロ系を包含する。
【0034】
用語「シクロアルケニル」とは本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの二重結合を有する不飽和炭素環式ラジカルを指す。2つの二重結合(共役していてもしていなくてもよい)を含有する部分的に不飽和の炭素環式ラジカルであるシクロアルケニルラジカルは、「シクロアルキルジエニル」と呼ぶことができる。シクロアルケニルラジカルの例としては、限定されないが、シクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニルが挙げれらる。
【0035】
用語「ハロ」及び「ハロゲン」とは本明細書中で使用される場合、ハロゲン原子、例えばフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。用語「ハロアルキル」は、アルキル炭素原子のいずれか1つ又はそれ以上がハロゲン原子で置換されているラジカルを含む。具体的には、モノハロアルキルラジカル、ジハロアルキルラジカル及びポリハロアルキルラジカルが包含される。モノハロアルキルラジカルは、一例として、ラジカル中にヨード原子、ブロモ原子、クロロ原子又はフルオロ原子のいずれかを有し得る。ジハロアルキルラジカル及びポリハロアルキルラジカルは、2つ又はそれ以上の同じか又は異なるハロゲン原子を有し得る。ハロアルキルラジカルの例としては、限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルが挙げられる。「ペルフルオロアルキル」は、全ての水素原子がフルオロ原子で置き換えられているアルキルラジカルを含む。例としては、トリフルオロメチル及びペンタフルオロエチルが挙げられる。
【0036】
用語「アリール」とは本明細書中で使用される場合、1つ又はそれ以上の環を含有する炭素環式芳香族系であって、上記環がペンダント様式で共に結合され得るか縮合され得る炭素環式芳香族系を指す。用語「アリール」は、限定されないが、シクロペントジエニルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、及びアントラセニルのような芳香族ラジカルを含む。
【0037】
用語「ヘテロシクリル」とは本明細書中で使用される場合、飽和、部分的に飽和、及び不飽和のヘテロ原子含有環状ラジカルを指し、ここでヘテロ原子は、窒素、硫黄、酸素又はそれらの組み合わせであり得る。好ましいヘテロシクリルとしては、限定されないが、3-10員環ヘテロシクリル、特に5-8員環ヘテロシクリルが挙げられる。飽和複素環式ラジカルの例としては、1〜4個の窒素原子を含有する飽和3〜6員複素単環式基(例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニル);1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員複素単環式基(例えば、 モルホリニル);1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する飽和3〜6員複素単環式基(例えば、チアゾリジニル)が挙げられる。部分的に飽和のヘテロシクリルラジカルの例としては、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン及びジヒドロチアゾールが挙げられる。不飽和複素環式ラジカル(「ヘテロアリール」ラジカルとも呼ばれる)の例としては、1〜4個の窒素原子を含有する不飽和5〜6員ヘテロモノシクリル基、例えば、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば、4H-1,2,4-トリアゾリル、1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル);1〜5個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環式基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル(例えば、テトラゾロ[1,5-b]ピリダジニル);酸素原子を含有する不飽和3〜6員複素単環式基、例えば、ピラニル、2-フリル、3-フリルなど;硫黄原子を含有する不飽和5〜6員複素単環式基、例えば、2-チエニル、3-チエニルなど;1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和5〜6員複素単環式基、例えば、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル);1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環式基(例えば、ベンゾオキサゾリル、 ベンゾオキサジアゾリル);1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和5〜6員複素単環式基、例えば、チアゾリル、チアジアゾリル(例えば、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル);1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含有する不飽和縮合複素環式基(例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル)などが挙げられる。この用語は、複素環式ラジカルがアリールラジカルと縮合しているラジカルも含む。このような縮合二環式ラジカルの例としては、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンなどが挙げられる。
【0038】
「ヘテロアリール」ラジカルは、限定されないが、縮合又は非縮合ラジカル、特に3-10員の縮合又は非縮合ラジカルを含み得る。ヘテロアリールラジカルの好ましい例としては、ベンゾフリル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ジヒドロインドリル、クロマニル、ベンゾピラン、チオクロマニル、ベンゾチオピラン、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ピリジル、チエニル、チアゾリル、フリル、及びピラジニルが挙げられる。より好ましいヘテロアリールラジカルは、硫黄、窒素及び酸素より選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有する5員又は6員のヘテロアリール、例えばチエニル、フラニル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピペリジニル又はピラジニルである。用語「ヘテロアリール」は、完全に不飽和のヘテロシクリルを含むがこれに限定されない。用語「ヘテロアリール」は、全ての位置異性体を含む。
【0039】
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリール」ラジカルのいずれにおいても、目的の分子への結合点はヘテロ原子、又は環内の他の点であり得る。
【0040】
用語「アラルキル」とは本明細書中で使用される場合、アリール置換アルキルラジカルを指す。このようなラジカルの例としては、限定されないが、ベンジル、ジフェニルメチル、フェニルエチル、トリフェニルメチル、ジフェニルエチルが挙げられる。
【0041】
用語「アルキレニル」とは本明細書中で使用される場合、直鎖又は分枝の二価の飽和脂肪族鎖炭素原子を指す。このような用語は、メチレニル、1,1-エチレニル、1,2-エチレニル、プロピレニル、イソプロピレニル、ブチレニル、イソブチレニル、t-ブチレニル、ペンチレニル、イソペンチレニル、ヘキシレニル、オクチレニル、3-メチルオクチレニル、デシレニルを含むがこれらに限定されない。
【0042】
用語「アルケニレニル」とは本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの二重結合を有し、そして2つ又はそれ以上の共有結合の結合点を有する直鎖又は分枝のラジカルを指す。このようなラジカルの例としては、限定されないが、1,1-ビニリデン(CH2=C)、1,2-ビニリデン(-CH=CH-)、-CH=CH-CH2-、及び-CH=CH-CH=CH-が挙げられる。
【0043】
用語「ヘテロアルキレニル」とは本明細書中で使用される場合、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有し残りの原子は炭素である直鎖又は分枝の飽和鎖から誘導される二価原子群を指す。本発明のヘテロアルキレニル基は、鎖中の炭素原子又はヘテロ原子を介して親分子部分に結合することができる。
【0044】
用語「ヘテロアルケニレニル」とは本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有し、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より独立して選択される1個又は2個のヘテロ原子を含有し、残りの原子が炭素である直鎖又は分枝鎖から誘導される二価の原子群を指す。本発明のヘテロアルケニレニル基は、鎖中の炭素原子又はヘテロ原子を介して親分子部分に結合することができる。
【0045】
用語「アトロプ異性体」とは、本明細書中で使用される場合、不斉要素が分子の平面又は軸上に位置する立体異性体を指す。
【0046】
本明細書中で使用される表現「アミノに適した保護基」とは、当業者がアミノ基を保護するために有効であると認める保護基を指す。非限定的なやり方で、このような基は、Greene,T.W; Wuts P.G.M; John Wiley and Sons、New York、Third Edition、1999による「Protective Groups in Organic Synthesis」の494-653頁(これは参照により本明細書に加入される)において定義される基であり得る。
【0047】
本発明の化合物は、光力学療法及び/又は音響力学療法における光増感剤及び/又は音響感受性薬剤(sonosensitizers)として使用することができる。これらは、光により活性化された場合に一重項酸素及び/又はスーパーオキシドアニオンを発生させるために使用することもできる。
【0048】
本発明の化合物は、被験体における標的を処置又は検出するために使用することもできる。標的は組織、罹患組織又は微生物であり得る。
組織は、上皮、結合組織、筋肉組織及び神経組織であり得る。罹患組織は、脈管系における病変、罹患骨髄、前癌病変、皮膚疾患、疾患が自己免疫疾患及び炎症性疾患のうちの1つである罹患細胞であり得る。罹患組織はまた過増殖組織であり得る。
【0049】
過増殖組織は、腫瘍の異常脈管壁、充実性腫瘍、頭部の腫瘍、頚部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、皮膚腫瘍、非充実性腫瘍並びに造血組織及びリンパ様組織のうちの1つの悪性細胞であり得る。
皮膚疾患は、光線性角化症、ざ瘡、乾癬又は湿疹であり得る。
微生物標的は、細菌、ウイルス、真菌及び原生動物であり得る。
【0050】
本発明の化合物は、過増殖組織障害を処置するための医薬の製造において、又は例えば放射線医学における画像診断の標的組織を標識するために使用することができる。
本発明の別の局面によれば、本発明の化合物、及び薬学的に許容しうる担体を含む組成物が提供される。
【0051】
本発明において規定される化合物を含有する組成物は、多種多様な追加成分(例えば、ガス、ガス状前駆体、液体、オイル、安定化物質、診断剤、薬学的に許容しうる担体、感光剤、生物活性薬剤及び/又はターゲッティング剤のうちの1つ又はそれ以上を含む)を含み得る。
【0052】
薬学的に許容しうる担体は、保存料液、食塩水、等張(約0.9%)食塩水、又は約5%アルブミン溶液、懸濁液、滅菌水、リン酸緩衝化食塩水などであり得る。他の緩衝化剤、分散剤、及び患者への送達に適した不活性非毒性物質が本発明の組成物に含まれ得る。組成物は、液剤でも、懸濁剤でも、投与に適した任意の適切な製剤でもよく、そして典型的には滅菌であり望ましくない粒状物質を含まない。組成物は従来の滅菌技術で滅菌され得る。
【0053】
本発明によれば、化合物又は組成物は、任意の生物学的に適切な経路により患者に投与され得る。例えば、これらは静脈内、皮下、腹腔内、鞘内、動脈内、膀胱内、皮内、筋内、又はリンパ内の経路により患者に導入され得る。化合物又は組成物は、液剤、錠剤、エアロゾル、又は多相製剤形態であり得る。リポソーム、長時間循環リポソーム、免疫リポソーム、生分解性ミクロスフィア、ミセルなども担体、媒体又は送達系として使用され得る。本発明は、患者に化合物を導入するいかなる特定の方法にも限定されるべきではない。
【0054】
本発明によれば、望ましい化合物は、好ましくは、活性化なしで、すなわち光がないと(「暗所」ともいう)、高薬物濃度で非毒性(又は低毒性)であり、そして適切な波長の光が当てられる場合に低い濃度で毒性である化合物である。当業者に認識されるように、最も望ましい化合物は、その特徴が患者に増加した安全係数をもたらすので、非活性化状態において広範囲の非毒性用量を示すものである。
【0055】
本発明はまた、抗癌活性及び/又は抗ウイルス活性を有する上述の化合物を使用すること、並びにそれらを光活性化することによりこれらの誘導体の活性を増強することを含む。本発明はまた、癌細胞を優先的に破壊するか又は優先的に標的にするためにこれらの化合物及び組成物を使用することを含む。
【0056】
本発明の別の局面によれば、本発明の化合物及び光力学療法の方法に関する指示書を含む、過増殖障害を処置するためのキットが提供される。
【0057】
本発明の別の局面によれば、光力学療法を被験体に対して実行するための方法が提供される。この方法は、a)被験体に本発明の化合物を投与すること;及びb)被験体に、該化合物を活性化する(例えば、一重項酸素及び/又はスーパーオキシドアニオンを生成する)のに適した波長を有する光を照射することを含む。
【0058】
本発明の別の局面によれば、被験体における標的を処置するための方法が提供される。この方法は、a)本発明の化合物を被験体に投与すること、及びb)被験体に、化合物の活性化を引き起こすのに適した所定の波長を有する光を照射し、それにより標的の少なくとも一部を処置することを含む。標的は、前に定義されたものであり得る。本方法はさらに、標的組織に結合していない化合物を、被験体の非標的組織から除去するのに十分な時間を照射工程の前に取る工程を含む。化合物は好ましくはターゲッティング剤に結合されている。ターゲッティング剤は、標的との結合において特異的である抗体又は抗体フラグメントであり得る。あるいは、ターゲッティング剤は、標的との結合において特異的であるペプチドである。好ましくはターゲッティング剤はリポソーム製剤である。
【0059】
本発明の別の局面によれば、被験体における過増殖組織を処置するための光力学療法の方法が提供される。この方法は、a)被験体に本発明の化合物を投与すること、及びb)化合物を活性化するのに十分な波長を有する光を被験体に照射し、それにより過増殖組織の少なくとも一部を処置することを含む。好ましくは、工程(a)において、化合物は該過増殖組織と結合する。
【0060】
処置方法はまた、本発明の化合物を活性化するために光の代わりに超音波を使用して実行され得ることが理解されるだろう。
【0061】
本発明の別の局面によれば:a)本発明の化合物を被験体に投与すること;及びb)被験体内の化合物を可視化することを含む、被験体における過増殖組織の存在を検出するための方法が提供される。工程(a)において、化合物は好ましくは該過増殖組織に結合する。工程(b)は、被験体の身体の少なくとも一部のMRI画像を生成することにより、又は化合物の蛍光特性により(例えば光学的画像化を使用することにより)実行することができる。工程(b)は、好ましくは、化合物に蛍光を生じさせるのに適した波長を有する光を用いて該化合物を活性化することにより行われる。
【0062】
本発明の別の局面によれば、生物学的サンプル中の標的を検出するための方法が提供され、この方法は:a)生物学的サンプルに、標的に結合する本発明の化合物を加えること;及びb)標的に結合した化合物を検出することを含む。例として、本発明の化合物でコーティングされるか又は本発明の化合物と化学的に結合しているミクロスフィアを、このような方法における生物学的トレーサとして使用することができる。これらの蛍光性ミクロスフィアは、組織及び器官における局所血流研究において使用することができる。大抵の場合、ミクロスフィアは循環系の所望の位置で注入され得、そして最終的に毛細管に留まり、ここでそれらは後で組織切片でカウントされ得る。生物学的サンプルは、血液、尿、唾液、涙、滑液、汗、間質液、精子、脳脊髄液、腹水、腫瘍組織、生検材料及び循環腫瘍細胞からなる群より選択することができる。
【0063】
本発明の別の局面によれば、被験体における感染因子を検出するための方法が提供される。この方法は:a)本発明の化合物を、結合体を形成する(from)ように感染因子に特異的なターゲッティング剤に結合すること;b)被験体に該結合体を投与すること;及びc)被験体内の該結合体を可視化することを含む。工程(c)は、被験体の身体の少なくとも一部のMRI画像を生成することにより行なわれ得る。工程(c)はまた、該化合物を、化合物に蛍光を生じさせるために適した波長を有する光で活性化することにより行なわれ得る。
【0064】
本発明の別の局面によれば、被験体における標的の画像を生成するための方法が提供される。この方法は、a)本発明の化合物が被験体の少なくとも一部と結合するように該化合物を被験体に投与すること;及びb)該化合物が結合した部分の画像を生成することを含む。画像は核画像化画像であり得る。
【0065】
本発明の別の局面によれば、診断放射線医学のための標的を標識する方法が提供され、この方法は:a)分子の少なくとも一部が標的に結合するように、被験体に本発明の化合物の複数の分子を投与すること;及びb)標的に結合していない分子を、被験体の非標的組織から除去するのに十分な時間を取り、それにより非標的組織と標的とを被験体のMRI画像において区別することを含む。
【0066】
本発明の別の局面によれば、被験体において過増殖組織を処置するための光力学療法の方法が提供され、この方法は:a)本発明の化合物が過増殖組織に結合するように該化合物を被験体に投与すること;及びb)該化合物を活性化するのに適した波長を有する光を被験体に照射し、それにより過増殖組織の少なくとも一部を処置することを含む。化合物は、好ましくは局所的に、粘膜に、全身に、女性生殖管に又は直腸に投与され得る。
【0067】
本発明の別の局面によれば、細胞増殖障害を処置するための方法が提供され、この方法は、それを必要とする被験体に有効量の本発明の化合物を投与し、それにより該細胞増殖障害を処置することを含む。細胞増殖障害は、癌であり得る。細胞増殖は低減され得るか、又は細胞死が誘導される。
本発明の方法において、被験体は動物、例えば哺乳動物及び好ましくはヒトであり得る。
【0068】
用語「投与すること」とは本明細書中で使用される場合、本発明の1つ又はそれ以上の化合物に、所定の細胞、複数の細胞、又は組織、典型的には哺乳類への暴露又は接触をもたらす行動を指す。本明細書で使用される場合、投与することは、インビボ、インビトロ又は生体外で行われ得る。例えば、組成物は注射で、又は内視鏡により投与され得る。投与することはまた、細胞への本発明の組成物の直接適用も含む。例えば、手術の過程で腫瘍細胞が露出され得る。本発明の実施態様によれば、これらの露出された細胞(又は腫瘍)が、例えば手術部位及び/又は細胞を洗浄又は灌注することにより、本発明の化合物又は組成物に直接暴露され得る。投与経路は、静脈内、皮下、リンパ内、腹腔内(intra-peritonial)、膀胱内、皮内、筋内、動脈内などを網羅する。
【0069】
用語「活性化」及び「活性化すること」又は同様の用語とは、本明細書で使用される場合、化合物又は化合物の部分をより化学的に反応性にするための光波の使用を指す。ペリレンキノン誘導体に光源を適用するための任意の方法、例えば、直接適用、照明内視鏡などが本発明に従って使用され得る。例として、このような活性化は一重項酸素及び/又はスーパーオキシドアニオンを生成することができる。
【0070】
表現「過増殖組織」とは本明細書で使用される場合、乾癬、癌性腫瘍、非癌性腫瘍、アトピー性皮膚炎、血管中のプラーク、加齢性黄斑変性症、化学線、膣の(veginal)イボのような組織、頸部、膀胱、頭部、脳、眼、耳などの組織を含む処置されるべき組織を指す。
【0071】
本明細書中で使用される表現「処置すること」は、過増殖組織に言及する場合、組織のサイズを減少させること、組織をなくすこと、又は組織の少なくとも一部に損傷を与えることを意味する。
【0072】
本発明の別の局面によれば、前に定義された式(Ia)又は(Ib)の化合物を製造するための方法が提供される。この方法は:
a) 式(IVa)若しくは(IVb):
【化6】

[式中、R2は式(Ia)及び(Ib)について前に規定されたとおりである]の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体を、式(V):
【化7】

[式中、X、Y、Z、R1およびnは式(Ia)および(Ib)について前に規定されたとおりである]の化合物と反応させることを含む。
【0073】
工程(a)は約40〜約100℃の温度で行われ得る。好ましくは、工程(a)は約55〜約59℃の温度で行われる。
【0074】
本発明の別の局面によれば、前に規定された式(IIa)又は(IIb)の化合物を製造するための方法が提供される。この方法は:
a) 式(IVa)若しくは(IVb):
【化8】

[式中、R2は式(IIa)及び(IIb)について前に規定された通りである]の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体と、式(V):
【化9】

[式中、X、Y、Z、R1及びnは式(IIa)又は(IIb)について前に規定されたとおりである]の化合物と反応させることを含む。
【0075】
工程(a)は、約40〜約100℃の温度で行われ得る。好ましくは、工程(a)は約55〜約59℃の温度で行われる。
【0076】
本発明の別の局面によれば、前に規定されたとおりの式(IIIa)、(IIIb) (VIIa)又は(VIIb)の化合物を製造するための方法が提供される。この方法は:
a) 式(IVa)若しくは(IVb):
【化10】

[式中、R2は式(IIIa)又は(IIIb)について前に規定されたとおりである]の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体と、式(VI):
【化11】

[式中、T、R4、R5、及びpは式(IIIa)又は(IIIb)について前に規定されたとおりである]の化合物とを反応させることを含む。
【0077】
工程(a)は、約40〜約100℃の温度で行われ得る。好ましくは、工程(a)は約55〜約59℃の温度で行われる。
【0078】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明より明らかとなる。
【0079】
本発明の好ましい実施態様の詳細な説明
以下の実施例は、本発明の非限定的な好ましい実施態様を示す。
本発明の特定の化合物の具体例は、スキーム1及び2に示されるように製造した:
【0080】
【化12】

【0081】
【化13】

【0082】
スキーム1において、使用されるアミンは、置換脂肪族化合物であり、そしてスキーム2では、cis-1,2-ジアミノシクロヘキサン誘導体及びtrans 1,2-ジアミノシクロヘキサン誘導体が使用される。これら2つの化合物の1H NMR(これらの化合物のキャラクタリゼーションを参照のこと)を親ヒポクレリンB(2)と比較した場合、化合物(3)及び(4)の両方が変化していない3つのメトキシ基を有し、分子のC-6位及びC-7位の2つのメトキシ基が変化していないことに注目することができ、このことは置換がヒポクレリンB(2)のC-2-メトキシ基又はC-11-メトキシ基のいずれかで起こったことを意味する。C-11-メトキシ基のアミンとの置換はC-17位のカルボニル基とイミンを形成し、それによりN-置換五員環をC-11及びC-17の環化とともに形成する。七員環に対する安定性及び分子の安定性をもたらすために、二重結合転位が14-炭素及び15-炭素から13-炭素及び14-炭素に起こる。このことは、親ヒポクレリンB(2)における13-Hの2プロトンに対する2プロトン分のδ 3.21及びδ 4.02(CDCl3中)の二重二重線(これらの化合物のキャラクタリゼーションを参照のこと)から、1プロトン分のδ 7.20の一重線への13-Hの低磁場シフトから明らかである。
【0083】
化合物(4)について、非プロトン性溶媒の反応条件では、アミノ基との求核置換は2-メトキシ基(2位において)で起こり、そして親分子の七員環の安定性を得るように、そしてまた拡張芳香族性を得るように、二重結合転位が14炭素及び15炭素から13炭素及び14炭素へと起きることが見いだされた。換言すると、親ヒポクレリンB(2)の13-H-シクロヘプタ(ghi)構造は、15-H-シクロヘプタ(ghi)構造に変化した。親ヒポクレリンB(2)における13-Hの2プロトン分のδ 3.21及びδ4.02(CDCl3中)の二重二重線から、13-Hのδ 5.15への1プロトン分の一重線への低磁場シフト(これらの化合物のキャラクタリゼーションを参照のこと)から証明されるとおりである。芳香族領域はδ 6.40に1プロトン分の1本の一重線を有するが、これは15-Hに対するものであり、14炭素及び15-炭素の二重結合のためのそれらの親化合物には存在しなかった。詳細なCOSY NMRをこの分子に対して行い,δ 6.40のプロトンがδ 2.40のC-14メチル基と相互作用を示し、それによりこれらの2つのプロトンが近接しており同一平面内にあることを示唆した(図11)。化合物(4)に対するこれらの物理的観察を確認するために、X線結晶学を化合物(4)の単結晶に対して行った(図12)。化合物(4)のX線図(図12)は、15炭素が1プロトンを有し、これが14-Cメチルと同一平面にあり、そして13-炭素が1プロトンを有することを示した。15-Cはsp3混成であるが、13-Cはsp2混成であり、13-炭素が14-炭素とと二重結合していることが確認された。13-Cと14-Cとの間の結合距離は1.328Åであり、このことは二重結合を裏付けた。1H NMR、COSY NMR及びX線結晶構造研究を基にして、アミンによる求核置換がC-2メトキシで起こり、それにより13-H シクロヘプタ(ghi)ペリレンキノノイド環系ではなく15-H シクロヘプタ(ghi)ペリレンキノノイド環系を生じることが裏付けられ、このことはこれらの型の反応では予想外の結果である。
【0084】
化合物(4)及び(5)を、それらの光物理的特性について種々の物理的方法を使用して調べた。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、この二重結合位置の予想外のシフトは、効率的に腫瘍を消滅させる際の広範な光吸収及び光毒性の少なくとも一部の理由であり得る可能性があると考えられる
【0085】
本発明の化合物は、以下に示されるようなアトロプ異性体としても存在し得る。
【化14】

【0086】
本発明の化合物は、光力学療法における光増感剤として使用することができる。以下に
示されるように、これらの化合物は、光で活性化された場合に一重項酸素及び/又はスーパーオキシドアニオンを生成することができる。化合物は適切な波長の光で活性化することができる。波長は好ましくは600-700nmの範囲である。このスペクトル領域の光は、親化合物のヒポクレリンを励起するために使用されるようなより短波長の光より生物学的組織においてより良好な透過を有利に示す。
【0087】
本発明の化合物を活性化するために使用される光源、例えばファイバーカテーテルは当該分野で周知である。
【0088】
本発明の化合物はまた、音響力学療法(SDT)における音響感受性薬剤(sonosensitizers)としても使用することができる。本発明の化合物は、約1MHz〜約3MHzの周波数範囲において優れた音響力学活性を示す。被験体における所望の領域(標的)、例えば器官又は器官の一部を、所定のデューティサイクルを使用して超音波に当てることにより処置を行うことができる。デューティサイクルのパラメータは、パワーレベル、さらに周期時間を含む。典型的なパワーレベルは、10秒〜10分の典型的な持続時間について1ミリワットから10ワットまで変化する。周期は典型的には10秒〜10分の「オフ」期間を含む。デューティサイクルのパラメータ、さらに周波数の選択は、音響力学療法の分野の医師により決定され得る。治療用超音波機器は当該分野で周知である。
【0089】
本発明の化合物は、被験体における標的を処置するために使用することができる。標的は、被験体の身体のあらゆる部分を意味する。それ故、標的はあらゆる組織、例えば上皮、結合組織、筋肉組織及び神経組織であり得る。組織は罹患組織であり得る。特に、組織は過増殖組織、例えば癌性組織であり得、限定されないが腫瘍の異常脈管壁、充実性腫瘍、頭部の腫瘍、頚部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、皮膚腫瘍、非充実性腫瘍並びに造血組織及びリンパ様組織のうちの1つの悪性細胞であり得る。
【0090】
罹患組織はまた、脈管系における病変、罹患骨髄、前癌病変、皮膚疾患、疾患が自己免疫疾患及び炎症性疾患のうちの1つである罹患細胞であり得る。本発明の化合物及び方法による処置に適している皮膚疾患の例としては、 光線性角化症、ざ瘡、乾癬、湿疹などが挙げられる。
【0091】
さらに、標的はまた細菌、ウイルス、真菌及び原生動物のような、被験体において感染を引き起こし得る微生物であり得る。
【0092】
本発明の別の局面によれば、被験体に対して光力学療法を行うための方法が提供される。この方法は、本発明の化合物を、個体における所望の領域(標的)を光に対して感受性にするのに十分な量で被験体に投与すること、及び(例えば一重項酸素及び/又はスーパーオキシドアニオンを生成することにより)化合物を活性化するのに適した波長を有する光を被験体に照射することを含む。
【0093】
光に対して「領域(例えば器官又は器官の一部)を感受性にするのに十分な量」は、標的が照射された場合に所望の効果を生じるために十分な濃度で化合物が投与されるべきであることを意味する。このような濃度は、開業医により決定され得る。全身投与についての典型的な用量は、約1-15mg/Kgの間である。局所投与についての典型的な用量は約0.01〜10mg/cm2である。
【0094】
本発明の化合物を被験体の標的に直接与えるか、又は化合物を標的に到達させて標的を照射し、それにより標的の少なくとも一部を処置することのいずれかにより治療を達成することができるということが理解されるだろう。
この方法は、標的組織に結合していない化合物を、被験体の非標的組織から除去するのに十分な時間を照射工程の前に取る工程をさらに含む。
【0095】
光力学療法について上で記載された方法の工程が、超音波を使用して化合物の活性化が達成される音響力学療法にも適用することができることは理解されるだろう。
【0096】
本発明の化合物は、ターゲッティング剤に結合され得る。ターゲッティング剤は、標的との結合において特異的である抗体又は抗体フラグメントであり得る。あるいは、ターゲッティング剤は標的との結合において特異的であるペプチドである。ターゲッティング剤はまた、本発明の化合物を組み込んだリポソーム製剤であり得る。リポソーム製剤は、特異的なターゲッティングを助けるか増強することのできる分子、例えば抗体を含み得る。
【0097】
本発明の別の局面によれば、本発明の化合物及び薬学的に許容しうる担体を含む組成物が提供される。
薬学的に許容しうる担体は、保存料液、食塩水、等張(約0.9%)食塩水、又は約5%アルブミン溶液、懸濁液、滅菌水、リン酸緩衝化食塩水などであり得る。他の緩衝化剤、分散剤、及び患者への送達に適した不活性非毒性物質が本発明の組成物中に含まれ得る。組成物は液剤、懸濁剤、又は投与に適した任意の適切な製剤であり得、典型的には滅菌で、望ましくない粒状物質を含まない。組成物はまた、皮膚透過促進剤を含み得る。各医薬製剤中の本発明の化合物の最適なパーセンテージは、製剤自体並びに特定の病理及び標的において所望される治療効果によって変化する。
【0098】
標的に存在する化合物の量は、その蛍光特性を使用して測定することができる。これにより、光又は超音波での活性化の強度/持続期間をそれに応じて調整することが有利に可能になる。
【0099】
組成物は従来の滅菌技術により滅菌され得る。
本発明において規定された化合物を含有する組成物は、多種多様な追加成分を含み得、例えば、ガス、ガス状前駆体、液体、オイル、安定化物質、診断剤、感光剤、生物活性薬剤及び/又はターゲッティング剤のうちの1つ又はそれ以上を含み得る。
【0100】
従って本発明の化合物は、光力学療法及び音響力学療法において使用されるための医薬の製造において使用することができる。
【0101】
望ましい化合物は、好ましくは、活性化なしで、すなわち光がないと(「暗所」ともいう)、高薬物濃度で非毒性(又は低毒性)であり、そして適切な波長の光が当てられる場合に低い濃度で所望の標的に対して毒性である化合物である。当業者に認識されるように、最も望ましい化合物は、その特徴が患者に増加した安全係数をもたらすので、非活性化状態において広範囲の非毒性用量を示すものである。
【0102】
化合物又は組成物は、生物学的に適切な任意の経路により患者に投与され得る。例えば、これらは静脈内、皮下、腹腔内、鞘内、動脈内、膀胱内、皮内、筋内、局所、粘膜、直腸又はリンパ内の経路により患者に導入され得る。化合物又は組成物は、液剤、錠剤、エアロゾル、又は多相製剤形態であり得る。リポソーム、長時間循環リポソーム、免疫リポソーム、生分解性ミクロスフィア、ミセルなども担体、媒体又は送達系として使用され得る。本発明は、患者に化合物を導入するいかなる特定の方法にも限定されるべきではない。
【0103】
本発明の別の実施態様において、本発明の化合物並びに光力学療法及び/又は音響力学療法の方法に関する指示書を含む、過増殖障害、例えば癌を処置するためのキットが提供される。
【0104】
本発明の化合物はまた、体毛除去のような美容目的のために使用され得る。この場合、化合物は局所又は全身に投与され得、そして毛を除去することが所望される皮膚の領域が照射される。
【0105】
本発明の別の局面において、本発明の化合物を被験体に投与すること及び被験体内の化合物を可視化することにより被験体における標的の存在を検出するための方法が提供される。化合物は好ましくは(例えば化合物にカップリングされたターゲッティング剤を使用して)標的に結合し、そして適切な画像化法又は検出法により検出することができる。非限定的な例としては、MRI画像化、光学画像化、化合物に蛍光を生じさせ得る波長で被験体を照射することによる化合物の蛍光検出が挙げられる。標的は微生物を含み得る。検出されるべき標的は生物学的サンプル中にあり得る。
【0106】
本発明の化合物でコーティングされるか本発明の化合物と化学的に結合されているミクロスフィアもまた、このような方法における生物学的トレーサとして使用することができる。これらの蛍光ミクロスフィアは、組織及び器官における局所血流研究において使用することができる。大部分の場合には、ミクロスフィアは循環系の所望の位置で注入され得、そして最終的には毛細血管でとどまり、ここでそれらは切り離された組織切片で後に計数することができる。生物学的サンプルは、血液、尿、唾液、涙、滑液、汗、間質液、精子、脳脊髄液、腹水、腫瘍組織、生検材料及び循環腫瘍細胞からなる群より選択することができる。
【0107】
多くの方法は、本発明の化合物と同様の化合物により検出可能であることが示されている。細胞生存、細胞増殖及び多くの重要な細胞機能(アポトーシス、細胞接着、走化性、多剤耐性、エンドサイトーシス、分泌及びシグナル伝達を含む)が種々の化学試薬及び生物学的試薬を用いて刺激され得るか又はモニタリングされ得る。これらの方法の多くは細胞内のラジカル、自由イオン濃度又は膜電位の変化をもたらし、これらは適切な応答性の蛍光試薬を用いて追跡することができる。例えば、本発明の化合物は、細胞増殖のマーカー(例えばブロモデオキシウリジン(BrdU))に特異的な抗体に結合することができる。
【0108】
本発明の化合物及び方法が、あらゆる動物、そしてより詳細にはヒトを含む哺乳動物を処置するために使用することができることは理解されるだろう。
【0109】
従って、天然化合物又は当該分野で以前より知られるヒポクレリン誘導体の制限を克服するために新しいアプローチが開発されてきた。特に、ヒポクレリンBの2位の炭素原子上のメトキシ基の求核置換を行うことにより、14位と15位との間のオレフィン性二重結合の転位が起こることが見いだされた。実際、このような求核置換により誘導される化合物において、出発物質(ヒポクレリンB)のような炭素原子14と炭素原子15との間に二重結合はなかった。この二重結合は炭素原子14と炭素原子15との間から転位し、そして得られた生成物においては炭素原子13と炭素原子14との間に見られる。このような理論に拘束されることは望まないが、このような芳香族性の特定の配置は、本発明の化合物の増強された光活性を説明し得ると考えられる。さらに、このような合成アプローチは、顕著に増強された赤色吸収(光力学波長範囲)を有し、光の不在下での最少の毒性でより高い光力学活性を有するこれらの化合物の発見を可能にした。インビトロ及びインビボの両方において得られた結果は、上述の化合物が有効であり、そしてそれらが親化合物であるヒポクレリンA及びBより優れていることを示した。
【実施例】
【0110】
〔実施例1〕
化合物(4)及び(5)の吸収スペクトル及び蛍光スペクトル
DMSO中で記録された化合物(4)及び(5)の吸収スペクトルを、親化合物(2)とともに図1に示す。ヒポクレリンB(2)の吸収スペクトルの研究(Diwu et al. Sinica Sci. B 18、1993、131)に基づいて、より短波長の吸収帯は、π-π*遷移に帰属され、そしてより長波長の吸収帯は分子間電荷移動(ICT)に関するものであり、これが分子の光力学活性においていくらかの積極的役割を果たし得る。図1より、親ヒポクレリンB(2)と比較して、化合物(4)及び(5)のより長波長の吸収が強くなっている。化合物(4)及び(5)の最大吸収はDMSO中で600-700nm付近であり、これが組織透過において役立つが、一方親化合物ヒポクレリン(2)はDMSO中で最大吸収を580nmに有する。3-ジメチルアミノプロピルアミンのような電子供与基がキノノイド分子に導入される場合、その隣接カルボニル基との相互作用は吸収スペクトルの赤色シフトを強め、それによりPDTにとって重要な拡張された赤色シフトスペクトル領域(光力学波長範囲)をもたらす。
【0111】
ヒポクレリンB(化合物(2))及び化合物(5)の蛍光スペクトル(クロロホルム中)を図2に示す。化合物(5)での追加の環式環の導入は、分子間H-原子移動プロセスのためのより長波長(725nm付近)での新しい蛍光帯を示した。この新しい蛍光帯は、アミノ基とキニンカルボニル基との間のICTに関連すると考えられる。
【0112】
〔実施例2〕
一重項酸素生成の証拠
生成した反応性酸素種は、種々の光学アッセイ及びEPR法を使用して測定することができる。
光学アッセイ(Mothilal K. et al. J Photochem. Photobiol. Chem.、262、2004、9-16.)
一重項酸素についての光学アッセイをRNO脱色法(Mothilal K. et al. J Photochem. Photobiol. Chem.、262、2004、9-16)を使用して行った。薬物(1mM)をイミダゾール(10mM)及びRNO(50mM)の存在下リン酸緩衝液中にて(pH 7.4)照射し、一重項酸素によるRNOの脱色を分光光度法で440nmで追跡した。スーパーオキシド及び過酸化水素のRNO脱色に対する妨害を、それぞれスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)及びカタラーゼを加えることにより除いた。化合物によるRNOの脱色を時間の関数として図3に示す。
EPRスピントラップアッセイ(Rajamanicakam、et al. Biochim. Biophys. Acta 1622 (2)、2003、65-72.)
可視領域における化合物のブロードな吸収のために、本発明者らは定量的でなく定性的な評価のための光学的方法を使用した。ROSの生成は、EPR法によりさらに確かめられる。EPRスピントラップ実験を、JEOL TES-TE 100 ESR分光計を使用し、X-バンド周波数にて100kHzの磁場変調を用いて室温で操作して行った。
【0113】
DMSO中の薬物による一重項酸素の光生成もまた、EPR測定により調べた。2,2,6,6-テトラメチルピペリジノール(TEMPL)を、それをEPR検出可能なニトロキシドフリーラジカルに変換することにより一重項酸素トラップ剤として使用した。0.2M TEMPL及び1mMの化合物を含有する空気飽和反応混合物(1ml)を照射し、そしてEPRシグナル強度の増加を照射時間の関数として追跡した。(図4及び5)。
図4は、TEMPL(20mM)の存在下で500Kでの、化合物(4)のDMSO溶液(1mM)の光照射の間に生成したTEMPOLのEPRスペクトルを示す((A)暗所、(B)4分照射、(C)6分照射及び(D)10分照射)。分光計の設定は以下である:マイクロ波出力、2mW;変調周波数、100kHz;変調振幅、0.5;時定数、0.1s;走査速度、4分; 走査幅、200G;レシーバゲイン、500;線幅、1.1。図5は、図4に一致する一重項酸素生成についてのEPRシグナル強度 対 化合物(4)の照射時間を示すプロットである。
【0114】
〔実施例3〕
スーパーオキシドアニオン生成の証拠
光学アッセイ
SOD阻害可能シトクロムc還元法をスーパーオキシド検出に使用した。薬物(化合物(4))(1mM)を50mMのリン酸緩衝液(pH7.4)中シトクロムc(40μM)の存在下で照射した。シトクロムcの550nmの吸収ピークの増加を時間の関数として観察することにより反応を追跡した(図6)。
【0115】
EPRスピントラップ
薬物によるスーパーオキシドアニオンの光生成を、EPRスピントラップ技術により検証した。化合物(4)(1mM)及び5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシド(DMPO)(100mM)のDMSO溶液を照射し、そしてDMPO-スーパーオキシド付加物に特徴的な12本線のEPRスペクトルを得、スーパーオキシドの生成を確認した(図7を参照のこと)。(A)は暗所を示し、そして(B)は4分の照射後である。分光計の設定は以下であった:マイクロ波出力、2mW;変調周波数、100kHz;変調振幅、0.5;時定数、0.1s;走査速度、4分;走査幅、200G;レシーバゲイン、500;線幅、1.1。
これらの実験結果から、照射の際に本発明の化合物が一重項酸素とスーパーオキシドアニオンの両方を生成することが結論づけられた。
【0116】
〔実施例4〕
暗所毒性
対数増殖期のEMT-6細胞を実験の24時間前に35mmディッシュ上にプレーティングした。成長培地を除去し、そして化合物(4)及び(5)を用量(0、2.5μM、5μM及び20μM)で含有する培地と置き換えた。次いでプレートを37℃に3時間暗所で維持し、次いで細胞を2回PBSで洗浄し、次いでトリプシン処理し、そして標準RPMI成長培地中200細胞/60mmディッシュで再プレーティングした。細胞を7日間増殖させ、次いでメチレンブルーで染色し、生存コロニーを計数した。
【0117】
〔実施例5〕
光処理
対数増殖期のEMT-6細胞を実験の24時間前に35mm組織培養ディッシュ上にプレーティングした。成長培地を除去し、そして化合物(4)又は(5)を上記の用量-0、2.5μM、5μM及び20μM(最初に、薬物を純粋DMSOに2mMの濃度で溶解した)を含有する培地と置き換えた。これらをRPMI成長培地中で適切な濃度に希釈した。次いでプレートを37℃に3時間暗所にて維持し、次いで細胞を2回PBS中で洗浄し、そして最終的に2mlのRPMIを各ディッシュに加えた。次いで暗所毒性サンプルに覆いを付けて室温で、他のサンプルの光処理にかかった時間と同じ時間維持した。光処理したサンプルを150ミリワットのフルエンス率(fluency rate)で635nmレーザーからの各光線量(0、0.5、1、2.5及び5J/cm2)に当てた。培地を除去し、そして細胞をトリプシン処理し、そして200細胞/60mmディッシュで標準RPMI成長培地中で再プレーティングした。細胞を7日間増殖させ、次いでメチレンブルーで染色し、生存しているコロニーを計数した。
図8及び9において見られるように、化合物(4)(図8)及び(5)(図9)の両方が、光及び薬物用量が増えるにつれて用量依存性細胞殺傷能力を示した。2J/cm2の光処理で5μMの薬物濃度が最も毒性作用を有しており、プレーティングされた1000個あたり1個の細胞の細胞生存となった。グラフの上部は、光送達なしでの薬物作用(暗所毒性)を示す。これは、20μM濃度という最も高い用量でさえも、これらが約5〜10%の毒性を有し、非処理から光処理サンプルまでの許容しうる安全域を可能にすることを示した。
【0118】
〔実施例6〕
この実施例は、ヒポクレリンB(2)と3-ジメチルアミノプロピルアミンとの穏やかな反応による(スキーム1)、2-(N,N-ジメチルアミノプロピル)-アミノ-15-アセチル-3,10-ジヒドロキシ-6,7,11-トリメトキシ-14-メチル-15-H-シクロヘプタ(ghi)ペリレン-4,9-ジオン(4)及び11,17環化生成物(3)の合成に関する(Xu et al. Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 11、2001、2045-2047: Xu et al. J of Photochemistry and Photobiology B: Biology. 2003、72、61-67: Li et al Biochimica et Biophysica Acta. 2000、1523、6-12)。ヒポクレリンB(2) 2.5グラムを1.0リットルの乾燥テトラヒドロフランに溶解し、そしてこの混合物に、3-N,N-ジメチルアミノ-プロピルアミン(135mL)を滴下漏斗により30分間かけて室温で加えた。反応混合物を18時間約55〜59℃で暗所にて撹拌した。18時間の撹拌後、反応混合物のサンプルのTLC及び質量スペクトルは、生き生きとした(animated)生成物の形成を示し、溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下で除去した。残留物を、未反応の過剰な3-ジメチルアミノ-プロピルアミンを除くために高真空にした。アミンを除去したら、暗色残留物を最少量のアセトンに溶解し、そして冷蔵庫に維持した。24時間の冷却の後に得られた結晶をろ過し、そしてキャラクタリゼーションを行った。質量及び1H NMRのデータはそれが環化生成物(3)であることを示した。ろ液を濃縮し、そしてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけた。カラムを最初はCH2Cl2、次いで5% MEOH:CH2Cl2、次いで10% MeOH:CH2Cl2を用いるグラジエントで流した。TLCが同様で青色のフラクションを全てプールし、そしてロータリーエバポレーターで濃縮し、そして乾燥して暗色固体425mgを得、これをアセトンにより4-6℃の温度にて再結晶化した。(HPLCにおける純度93%、Waters Symmetry C18 3.5um、移動相:40%リン酸緩衝液20mM/59.9
アセトニトリル/ 0.1 % トリエチルアミン、最終pH 7.2、流量 1mL/分、検出 465nm、運転:10分)、保持時間1.39分。
【0119】
化合物(3)のキャラクタリゼーション
UV-VISスペクトル(DMSO、濃度50μM、λmax): 400、500、600nm 1H NMR (CDCl3,δ): 17.15(s, 1H, OH)、17.85 (s, 1H, OH)、7.20 (s, 1H, 13-H)、6.75 (s, 1H, Ar-H)、6.60 (s, 1H, Ar-H)、4.62 (t、2H、NCH2CH2CH2 N(CH3)2)、4.01、4.10 (2s、6H、OCH3)、4.11 (s, 3H、OCH3)、2.71 (s, 3H、17-CH3)、2.60 (s, 3H、14-CH3)、2.45 (t、2H、NCH2CH2CH2N(CH3)2)、2.30 (s, 6H、NCH2CH2CH2N(CH3)2)、2.15 ( m、2H、NCH2CH2CH2N(CH3)2).
質量スペクトル(m/z): 581.3 (M+1)
化合物(4)のキャラクタリゼーション
UV-VISスペクトル(DMSO、濃度50μM、λmax): 470、580、650 nm
1H NMR (CDCl3,δ): 17.00 (s, 1H, OH)、16.45(s, 1H, OH)、 6.50 (s, 1H, Ar-H)、6.45 (s, 1H, Ar-H)、6.40 (s, 1H, 15-H)、6.20 (s, 1H, NHCH2CH2CH2 N(CH3)2)、5.20 (s, 1H, 13-H), 4.20 (2s、3H、OCH3)、4.05 (s, 6H、OCH3)、3.95 (m、2H、NHCH2CH2CH2N(CH3)2). 2.60 (t、2H、NHCH2CH2CH2N(CH3)2)、2.20 (s, 3H、14-CH3)、2.15 (s, 3H、17-CH3)、1.95 ( t、2H、NHCH2CH2CH2N(CH3)2)、1.85 (s, 6H、NCH2CH2CH2N(CH3)2)。
質量スペクトル(m/z): 599.3 (M+1)。
【0120】
〔実施例7〕
2つ目の実施例は、スキーム2に示されるようにヒポクレリンB(2)から環化系へのオレフィン結合の転位を伴う(2,3b)-オクタヒドロキノキサリン-イル-ヒポクレリンB誘導体の合成に関する。ヒポクレリンB(200mg)を100mLの新たに蒸留したテトラヒドロフランに溶解し、それに10mLの1,2-trans ジアミノシクロヘキシルアミンを10分間かけて室温で滴下した。生じた溶液を55-59℃で18時間暗所にて撹拌した。18時間の撹拌後、TLC及び質量スペクトルをチェックし、それらは化合物の形成を示していた(EtOAC中のRf0.45、及び環化生成物の分子量に対応する質量、592)。反応混合物を減圧暗所下で真空濃縮した。得られた暗色反応混合物をCH2Cl2(200mL)に溶解し、次いで0.1N HClで3回(100mLずつ)、水層のpHが中性になるまで洗浄した。有機層を集めて硫酸ナトリウムで乾燥し、そして濾過、濃縮して暗黒色残留物を得、これを充填したシリカゲルカラムに入れヘキサンで溶出して、未反応のヒポクレリンBを除去した。次いでカラムをアセトンで溶出し、化合物5及び6の混合物を溶出した。フラクションを集め、そして濃縮して暗黒色残留物を得、これをC-18逆相カラムを使用する分取HPLCにかけて化合物5及び6を得た。化合物5を2つのアトロプ異性体で得た。
【0121】
化合物(5)のキャラクタリゼーション
UV-VISスペクトル(DMSO、濃度50μM、λmax): 480、585、645 nm
1H NMR (CDCl3,δ): 16.85 (brs、2H、OH), 11.67 (s, 1H, NH), 11.62 (s, 1H, NH), 6.47 (s, 1H, 17-OH), 6.43 (s, 2H、Ar-H), 6.18 (t、1H, 1’-H), 6.16 (t、1H, 2’-H), 5.16 (s, 1H, 13-H), 4.01 (s, 3H、OCH3)、4.00 (s, 3H、OCH3)、3.96 (s, 3H、OCH3)、2.30 (dd、4H、4’及び5’-H), 1.92 (brs、4H、3’及び6’-H), 1.66 (s, 3H、17-CH3)、1.49 (s, 3H、14-CH3).
質量スペクトル(m/z): 591.1 (M-1)。
化合物6のキャラクタリゼーション
1H NMR (CDCl3、δ): 16.85 (br s、1H, OH), 11.91 (br s、1H, NH), 6.39 (s, 1H, 5-H), 6.30 (s, 1H, 8-H), 5.97 (d、1H, J=20 Hz、15-H), 4.07 (s, 3H、OMe)、4.00 (s,
3H、OMe)、3.99 (d、1H, J=14 Hz、13-H), 3.95 (s, 3H、OMe)、3.38-3.00 (m、3H), 2.23 (s, 4H), 2.10 (br s、1H), 1.91 (br s、2H), 1.50 (br s、4H), 1.25 (s, 1H)。
MS (m/z): 549.2 (M-1)
【0122】
〔実施例8〕
(A) 化合物4の前臨床キャラクタリゼーション
(1) 化合物4の光力学活性
化合物4の光力学活性を、トリチウム化チミジン取り込み(BT549細胞において)及び試験管内腫瘍細胞感受性試験(EMT-6細胞において)により処置後細胞死を測定することにより2つの細胞株で調べた。結果を図13及び図8に示す。これらの試験は、化合物4が光処置後に有意な細胞死を引き起こすことを示した。光処置のない場合は有意な活性は見られず、PDT作用の選択性を裏付けた。
【0123】
(2) 化合物4の局所適用されたゲルの取り込み
局所適用された化合物4ゲルの取り込みを、正常マウス皮膚をモデルとして使用して調べた。マウス皮膚の表皮層への化合物4の浸透を、処置されたサンプルにおける蛍光の存在により示した。結果を図14に示す。薬物は1時間後に表皮に浸透し、そして5時間までその領域に局在したままであり、筋層におけるわずかな増加が5時間の終わりに見られた。この結果は、表皮層における光増感剤の取り込みが、適用の2〜3時間後に最適に現れることを示唆した。
【0124】
(3) 正常マウス皮膚に対する化合物4の作用
光増感剤を用いず光処置のみでは使用した100J/cm2線量までで組織損傷を全く引き起こさなかった。同様に、光処置なしで光増感剤のみでも効果がなかった。より低い線量(70 J/cm2)では、表皮細胞への軽い損傷が、1又は2時間の浸透時間で処置の7日後に観察された。光増感剤を3〜5時間浸透させた場合、有意な表皮アポトーシスが観察された。線量を100J/cm2に増加した場合、PDT処置は、インキュベーション時間が長くなるにつれて増大する様式で組織損傷を生じた。浸透の1時間後、上皮及び脂肪層の一部のみが損傷を示した。表皮細胞、基底層及び毛包のアポトーシスが、浸透の2時間後に見られた。浸透の3時間後、組織層全体(筋層を含む)が有意な損傷を示した。
【0125】
(4) 前癌性皮膚病変又は小さい腫瘍を有する動物に対する化合物4の効果
前癌性皮膚病変又は小さい腫瘍を有する動物を標的としACP-化合物4局所ゲル(3時間浸透)を100J/cm2の線量で使用する実験を行った。2匹の動物を1回の光処置の2週間後に殺した;2匹の動物に2週目に2回目の光処置を行い、そして14日後の4週目に殺した。化合物4の局所ゲルと100J/cm2の光処置との組み合わせは、インサイチュで表皮悪性腫瘍の部分のアポトーシスを引き起こした。より強いアポトーシス変化は、2回の光処置を受けた動物で観察された。
【0126】
【表1】

【0127】
(5) 胸部又は腹部の減量(reduction)手術を受けた患者からのヒト(生体外)皮膚サンプルに対する化合物4の効果
ヒト(生体外)皮膚サンプルを、胸部又は腹部の減量手術を受けた患者から入手し、これらを化合物4の局所ゲルで10分間、1時間、3時間、5時間又は24時間処置した。蛍光分析は、3-5時間で完全な皮膚浸透を示した(図15)。
【0128】
(6) PDT処置されたヒト(生体外)皮膚サンプルに対する化合物4の効果
PDT処置されたヒト(生体外)皮膚サンプルの分析は、処置2日後までは組織学的変化を示さなかったが、その後進行性の壊死性変化/アポトーシス変化を示した。
【0129】
(7) 化合物4に対する毒性試験
毒性試験をGLP下で雄性及び雌性ラットにおいて静脈内に投与された12.5mg//kgまでのACP-化合物4を使用して行った。毒物学的に有意な処置関連の臨床的観察、血液学、凝固、臨床生化学、尿検査、検視及び組織病理学的作用は、14日の終了期間までのどの時点でも観察されなかった。皮膚科学毒性試験をGLP下で雄性及び雌性ウサギにおいて局所ゲル製剤(4%)として3週間毎週3用量を繰り返して皮膚に投与した約0.36mg/cm2(92mgの総暴露用量)のACP-化合物4を使用して行った。毒性学的に有意な処置関連の臨床観察、血液学、臨床生化学、検視及び組織の組織病理学的作用は、22日の終了期間までのどの時点でも観察されなかった。
【0130】
〔実施例9〕
光線性角化症の光力学療法についてのACP-化合物4局所ゲルを用いたフェーズ1臨床試験
この試験は、対照、無作為化、非盲検、用量増加試験で3人の患者の4つのグループから構成される。この研究の主目的は、光活性化を用いた状態と用いない状態での化合物4の皮膚毒性及び全身毒性を決定することであった。この試験はまた、光線性角化症に対する化合物4を用いるPDTの治療効果を臨床的及び病理学的に調べる。
試験に登録した12人の必要な患者から8人までで、これまでのところ薬物及びPDT処置は十分許容された。有害事象は今まで観察されていない。
【0131】
〔実施例10〕
フェーズ1臨床試験:座瘡を有する患者の背部への局所適用後のACP-化合物4の組織学的局在性
この試験の主目的は、局所適用後異なる時点での脂腺、表皮及び毛包におけるACP-化合物4の蛍光レベルを測定及び定量することであった。この試験はまた、局所投与後の薬物製品の安全性をモニタリングした。この試験は、背部に座瘡を有する10人の患者のグループから構成されていた。有害事象は薬物適用では観察されなかった。
【0132】
〔実施例11〕
ACP-化合物5の前臨床キャラクタリゼーション
(1) 化合物5の光力学活性
ACP-化合物5の光力学活性を、2つの細胞株の細胞において、トリチウム化チミジン取り込み(BT549細胞において)及び試験管内腫瘍細胞感受性試験(EMT-6細胞において)により処置後細胞死を測定することにより調べた。結果を図16及び17に示す。これらの試験は、ACP-化合物5が光処置後に有意な細胞死を引き起こすことを示した。光処置のない場合は有意な活性は見られず、PDT作用の選択性を裏付けた。
【0133】
(2) PDT処置されたEMT-6マウス腫瘍モデルに対する化合物5の効果
光増感剤の全身送達用の化合物5のリポソーム製剤。光増感剤をジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)及びコレステロールの混合物とともに配合し、そしてリポソームの必要な寸法が達成されるまで異なる孔径のメンブレンを通して押出しした。PDT処置の取り込み及び有効性をEMT-6マウス腫瘍モデルを使用してインビボで示した。移植された腫瘍の完全な治癒が、化合物5と光処置を組み合わせることによってのみ達成され、治療法の特異性を確認した。試験結果を図18及び19に示す。
【0134】
(3) ラットにおけるPDT処置されたR3327-AT左側腹部腫瘍に対する化合物5の効果
雄性Fisher-Copenhagenラットに、皮下R3327AT左側腹部腫瘍移植物を麻酔下で移植した。これらの動物を回復させ、そしておよそ1500〜2500mm3の体積まで腫瘍を成長させた。
ラットに化合物5のリポソーム製剤の静脈内注射をして光処置の前に2.5〜3時間回復させた。送達された総光線量は、0.5〜1.0ジュール/腫瘍の体積mm3の範囲であった。
腫瘍寸法をカリパス測定によりモニタリングし、これにより合計腫瘍体積の計算が可能となった。終点は腫瘍の「治癒」又は腫瘍の量が最初の処置体積の4倍に達した場合のいずれかであった。結果を図20及び21に示す。
【0135】
〔実施例12〕
化合物5を用いた音響力学療法
HL-60細胞に対する音響力学活性
化合物5を用いたSDT処置のHL-60細胞懸濁液に対する効果を、トリパンブルー排除を用いて細胞計数して超音波処置前後の生存細胞総数をモニタリングすることによりモニタリングした(図22)。
【0136】
化合物5の音響力学活性の検出のためのEMT-6細胞を用いる試験管内腫瘍細胞感受性試験
EMT-6細胞を用いた試験管内腫瘍細胞感受性試験を、化合物5を用いた超音波処置の効果を調べるために使用した。EMT-6細胞を化合物5とともに異なる濃度で4時間インキュベートし、続いて30秒の超音波処置を0.5W/cm2(1MHz)で行った。処置された細胞及び未処理のコントロールをトリプシン処理し、そして標準成長培地に既知の量で再プレーティングし、そして7日間成長させた。次いで形成されたコロニーの数を計数し、そして結果を図23に示した。
【0137】
マウス腹膜癌腫症(Carcinotamosis)モデルにおけるインビボSDT
雄性Balb-cマウスに400マイクロリットルのプリスタンのプライミング用量を投与した。13日後、それらに5×106SP/2細胞を腹腔内注射した。薬物/超音波 5匹のコントロールマウスを腫瘍移植後未処置のままにした。腫瘍移植の5日後、SDT処置グループに、ハンクス平衡塩類溶液中のリポソーム製剤中の50mg/kgの化合物5(総体積=0.75ml)を腹腔内注射した。これらのマウスに控えめな照明下で4時間の薬物取り込み時間を取らせた。次いでそれらをペントバルビタールナトリウムを用いて麻酔し、そして1メガヘルツで50ミリワットの出力レベルを使用して2分のオン期間、次いで1分のオフ期間を5サイクルで超音波処置を行い、総送達用量1.5キロジュールを与えた。薬物代謝/排出を考慮して、これらの動物を控えめな照明下でさらに24時間回復及び維持しした。
これらのマウスを全体的な健康状態及び体重について毎日モニタリングした。腹部が目立って膨張した場合、腹部「穿刺」を行って過剰の流体を排出した。実験の終点は、動物が目に見えて苦しむか一晩の間に死亡する結果となった場合であった。結果を図24に示す。
【0138】
(4) 化合物5のアトロプ異性体の高圧液体クロマトグラフィーによる分離
化合物5のアトロプ異性体を、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離及び単離した。以下の条件を適用し、そしてサンプルHPLCトレースを図25に示す。
【0139】
HPLC分析条件:
C183.5μm;4.6x75mmカラム
移動相:20mM ホスフェート-アセトニトリル-トリエチルアミン
流量:1mL/分
検出:230nm及び465nm
アトロプ異性体の保持時間:5.46及び6.96分
【0140】
本出願において引用される参考文献は、参照により本明細書に加入される。当業者は、種々の改変、適合、及び変形が前に提示された好ましい実施態様に対して以下の特許請求の範囲を逸脱することなくなされ得ることを認識するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】DMSO(ジメチルスルホキシド)中で記録された、本発明の好ましい実施態様に従う化合物のUV-可視吸収スペクトルである。
【図2】ヒポクレリンBのクロロホルム中の蛍光スペクトルと本発明の好ましい実施態様に従う化合物のクロロホルム中の蛍光スペクトルとの比較を示す。
【図3】RNO(N,N-ジメチルニトロソアニリン)脱色法を使用する一重項酸素についての光学アッセイ(本発明の好ましい実施態様に従う化合物を照射することにより行われた)の間に得られた結果を示すプロットである。
【図4】DMSO、TEMPL(2,2,6,6-テトラメチルピペリジノ-ル)及び本発明の好ましい実施態様に従う化合物を含む溶液の光照射の間に生成したTEMPOL(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)のEPR(電子常磁性共鳴)スペクトルである。
【図5】本発明の好ましい実施態様に従う化合物の照射時間の関数として一重項酸素についてのEPRシグナル強度を示すプロットである。
【図6】本発明の好ましい実施態様に従う化合物を照射することによるスーパーオキシドアニオンの存在を決定するための光学アッセイの間の、時間の関数としてシトクロムcの550nm吸収ピークの発生を示す曲線である。
【図7】DMSO、DMPO(5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシド)及び本発明の好ましい実施態様に従う化合物を含む溶液の、暗所(A)及び照射の4分後(B)のEPRスペクトルを示す。
【図8】化合物が光処置を受けた場合の、EMT-6細胞に対する本発明の別の好ましい実施態様に従う化合物の影響を示すグラフである。
【図9】化合物が光処置を受けた場合の、EMT-6細胞に対する本発明の好ましい実施態様に従う化合物の影響を示すグラフである。
【図10】図8及び9において分析された化合物のEMT-6細胞に対する毒性に関して得られた結果を比較するグラフである。
【図11】本発明の好ましい実施態様に従う化合物のCOSY NMRスペクトルである。
【図12】本発明の好ましい実施態様に従う化合物のX線図である。
【図13】本発明の好ましい実施態様に従う化合物及び示された波長での照射で処置されたBT549細胞のチミジン取り込みにより測定された場合の細胞生存のグラフである。
【図14】A、B、C、D、Eは、本発明の好ましい実施態様に従う化合物の浸透を示す皮膚サンプルの組織学的スライドである。
【図15】A及びBは、本発明の好ましい実施態様に従う化合物の浸透を示す皮膚サンプルの組織学的スライドである。
【図16】本発明の好ましい実施態様に従う化合物及び照射で処置されたBT549細胞のチミジン取り込みにより測定された場合の細胞生存のグラフである。
【図17】試験管内腫瘍細胞感受性試験により測定された場合の本発明の好ましい実施態様に従う化合物を用いた光力学処置の際のEMT6細胞生存のグラフである。
【図18】リポソーム組成物として投与された本発明の好ましい実施態様に従う化合物を用いた光力学処置後の時間の関数としてのEMT6腫瘍モデルの体積のグラフである。
【図19】本発明の好ましい実施態様に従う化合物を用いた光力学療法の前後でのマウス皮膚腫瘍の写真を示す。
【図20】リポソーム組成物として投与された本発明の好ましい実施態様に従う化合物を用いた光力学処置後の時間の関数としてのラットにおけるR3327-A AT側腹部腫瘍の体積のグラフである。
【図21】光力学療法後の腫瘍壊死を示す写真である。
【図22】本発明の好ましい実施態様に従う化合物を用いたHL-60細胞の音響力学治療の効果を示す棒グラフである。
【図23】本発明の好ましい実施態様に従う化合物を用いた音響力学処置後の試験管内腫瘍細胞感受性試験により測定されたEMT6細胞生存のグラフである。
【図24】本発明の好ましい実施態様に従う化合物を用いる音響力学治療後の、腹水生成腫瘍を有するマウスの増加した生存を示す棒グラフである。
【図25】本発明の好ましい実施態様に従う化合物のアトロプ異性体の分離を示すHPLCクロマトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)若しくは(Ib):
【化1】

[式中、
X及びYは独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、又は-C(O)NH2であり、
該C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
Zは、-CH2-、-CHR3-、-CH2-CH=CH-、-CHR3-CH=CH-、又は-CH2-CH=CR3-であり;
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
R3は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフィドラル(-SH)、アミノ酸残基、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、SO3H、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、-HNC(O)R1、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、又はC1-C12ヘテロアリールであり;
nは1〜13の値を有する整数であり;そして
mは1〜13の値を有する整数である]
の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体、又はそれらの薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
Zが-CH2-であり、そしてnが3の値を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xがメチル基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Yがメチル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R1が水素原子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
各R2がメチル基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
式(IIa)若しくは(IIb):
【化2】

[式中、
X及びYは独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、又は-C(O)NH2であり、
該C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
Zは-CH2-、-CHR3-、-CH2-CH=CH-、-CHR3-CH=CH-、又は-CH2-CH=CR3-であり;
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
R3は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフィドラル(-SH)、アミノ酸残基、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、SO3H、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、-HNC(O)R1、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、又はC1-C12ヘテロアリールであり;
nは1〜13の値を有する整数であり;そして
mは1〜13の値を有する整数である]
の化合物、又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体、又はそれらの薬学的に許容しうる塩。
【請求項8】
Zが-CH2-であり、そしてnが3の値を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Xがメチル基である、請求項7又は8に記載の化合物。
【請求項10】
Yがメチル基である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R1が水素原子である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
各R2がメチル基である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式(IIIa)若しくは(IIIb):
【化3】

[式中、
Tは、C1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、又はそれらの組み合わせであり;
R4及びR5は独立して、水素、重水素、ヒドロキシ、酸素、ハロゲン、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2又はアミノに適した保護基であり、
該C1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
pは、0〜8の値を有する整数であり、そしてpが1〜8の値を有する場合、環Aは飽和か、又は不飽和でありそして少なくとも1つの二重結合を有し、該環Aは非置換か又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、重水素原子、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、NOH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-CON(R6)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C1-C8アルコキシ、C1-C8チオアルコキシ、C1-C8アルキルアミノ、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、少なくとも1つの窒素原子を有するC1-C8アザアルキル、少なくとも1つの窒素原子を有するC6-C12アザアラルキル、少なくとも1つのハロゲン原子を有するC1-C8ハロアルキル、糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、シアル酸、マンノース、N-アセチルグルコースアミン、N-アセチルガラクトースアミン、二糖、三糖又はその誘導体)からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され、
各R6は独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、又はアミノ酸残基、例えばリジン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、チロシン、グリシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、シスチン、ヒスチジン、プロリン、アラニン又はその誘導体であり;そして
各R7は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
mは1〜13の値を有する整数である]
の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体、又はそれらの薬学的に許容しうる塩。
【請求項14】
環Aが6員環となるように、各R7が水素原子であり、Tが-CH2-であり、そしてpが4の値を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
各R2がメチル基である、請求項13又は14に記載の化合物。
【請求項16】
R4、R5及び各R7が水素原子を表す、請求項13〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
式(VIIa)若しくは(VIIb):
【化4】

[式中、
TはC1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、又はそれらの組み合わせであり;
R4及びR5は独立して、水素、重水素、ヒドロキシ、酸素、ハロゲン、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2又はアミノに適した保護基であり、
該C1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
pは0〜8の値を有する整数であり、そしてpが1〜8の値を有する場合、環Aは飽和であるか、又は不飽和で少なくとも1つの二重結合を有し、該環Aは非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、重水素原子、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、NOH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-CON(R6)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C1-C8アルコキシ、C1-C8チオアルコキシ、C1-C8アルキルアミノ、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、少なくとも1つの窒素原子を有するC1-C8アザアルキル、少なくとも1つの窒素原子を有するC6-C12アザアラルキル、少なくとも1つのハロゲン原子を有するC1-C8ハロアルキル、糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、シアル酸、マンノース、N-アセチルグルコースアミン、N-アセチルガラクトースアミン、二糖、三糖又はそれらの誘導体)からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され、
各R6は独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、又はアミノ酸残基、例えばリジン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、チロシン、グリシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、シスチン、ヒスチジン、プロリン、アラニン又はそれらの誘導体であり;そして
各R7は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
mが1〜13の値を有する整数である]
の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体、又はそれらの薬学的に許容しうる塩。
【請求項18】
環Aが6員環であるように、各R7が水素原子であり、Tが-CH2-であり、そしてpが4の値を有する、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
R4、R5及び各R7が水素原子を表す、請求項17又は18に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物、及び薬学的に許容しうる担体を含む組成物。
【請求項21】
光増感剤としての、請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物の使用。
【請求項22】
光力学療法における、請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物の使用。
【請求項23】
光及び/又は音波により活性化される場合に、一重項酸素及び/又はスーパーオキシドアニオンを生成するための、請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物の使用。
【請求項24】
音響感受性薬剤としての、請求項1〜19のいずれか1項において記載される化合物の使用。
【請求項25】
音響力学療法における請求項1-19のいずれか1項において規定される化合物の使用。
【請求項26】
光力学療法又は音響力学療法で被験体における標的を処置するための、請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物の使用。
【請求項27】
標的が、組織、罹患組織及び微生物からなる群より選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
組織が、上皮、結合組織、筋肉組織及び神経組織からなる群より選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
罹患組織が過増殖組織である、請求項27に記載の使用。
【請求項30】
過増殖組織が、腫瘍の異常脈管壁、充実性腫瘍、頭部の腫瘍、頚部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、皮膚腫瘍、非充実性腫瘍並びに造血組織及びリンパ様組織のうちの1つの悪性細胞からなる群より選択される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
罹患組織が、脈管系における病変、罹患骨髄、前癌病変、皮膚疾患、疾患が自己免疫疾患及び炎症性疾患のうちの1つである罹患細胞からなる群より選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項32】
皮膚疾患が、光線性角化症、ざ瘡、乾癬及び湿疹からなる群より選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
微生物標的が、細菌、ウイルス、真菌及び原生動物からなる群より選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項34】
化合物がターゲッティング剤に結合されている、請求項21〜33のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
ターゲッティング剤が、標的との結合において特異的である抗体又は抗体フラグメントである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
ターゲッティング剤が、標的との結合において特異的であるペプチドである、請求項34に記載の使用。
【請求項37】
ターゲッティング剤がリポソーム製剤である、請求項34に記載の使用。
【請求項38】
標的を処置するための医薬の製造における、請求項26〜37のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項39】
光活性化体毛除去における、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項40】
光力学療法を必要とする被験体に対して光力学療法を行うための方法であって、a)該被験体に請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物を投与すること;及びb)被験体における標的に、該化合物を活性化するのに適した波長を有する光を照射することを含む、上記方法。
【請求項41】
標的が、組織、罹患組織及び微生物からなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
組織が、上皮、結合組織、筋肉組織及び神経組織からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
罹患組織が過増殖組織である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
過増殖組織が、腫瘍の異常脈管壁、充実性腫瘍、頭部の腫瘍、頚部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、皮膚腫瘍、非充実性腫瘍並びに造血組織及びリンパ様組織のうちの1つの悪性細胞からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
罹患組織が、脈管系における病変、罹患骨髄、前癌病変、皮膚疾患、疾患が自己免疫疾患及び炎症性疾患のうちの1つである罹患細胞からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
皮膚疾患が、光線性角化症、ざ瘡、乾癬及び湿疹からなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
微生物標的が、細菌、ウイルス、真菌及び原生動物からなる群より選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
標的組織に結合していない化合物を、被験体の非標的組織から除去するのに十分な時間を照射工程の前に取る工程をさらに含む、請求項40〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
化合物がターゲッティング剤に結合されている、請求項40〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
ターゲッティング剤が、標的との結合において特異的である抗体又は抗体フラグメントである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ターゲッティング剤が、標的との結合において特異的であるペプチドである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
ターゲッティング剤がリポソーム製剤である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
音響力学療法を必要とする被験体に音響力学療法を行うための方法であって、a)該被験体に請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物を投与すること;及びb)超音波を被験体における標的に照射して該化合物を活性化することを含む、上記方法。
【請求項54】
標的が、組織、罹患組織及び微生物からなる群より選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
組織が上皮、結合組織、筋肉組織及び神経組織からなる群より選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
罹患組織が過増殖組織である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
過増殖組織が、腫瘍の異常脈管壁、充実性腫瘍、頭部の腫瘍、頚部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、皮膚腫瘍、非充実性腫瘍並びに造血組織及びリンパ様組織のうちの1つの悪性細胞からなる群より選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
罹患組織が、脈管系における病変、罹患骨髄、前癌病変、皮膚疾患、疾患が自己免疫疾患及び炎症性疾患のうちの1つである罹患細胞からなる群より選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
皮膚疾患が、光線性角化症、ざ瘡、乾癬及び湿疹からなる群より選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
微生物標的が、細菌、ウイルス、真菌及び原生動物からなる群より選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
標的組織に結合していない化合物を、被験体の非標的組織から除去するのに十分な時間を超音波照射工程の前に取る工程をさらに含む、請求項53〜60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
化合物がターゲッティング剤に結合されている、請求項53〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
ターゲッティング剤が、標的との結合において特異的である抗体又は抗体フラグメントである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
ターゲッティング剤が、標的との結合において特異的であるペプチドである、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
ターゲッティング剤がリポソーム製剤である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
体毛除去のための方法であって、a)被験体に請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物を投与すること;及びb)毛が除去されるべき該被験体の身体表面に、該化合物を活性化するのに適した波長を有する光を照射することを含む、上記方法。
【請求項67】
画像診断において標的を標識するための、請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物の使用。
【請求項68】
被験体における標的の存在を検出するための方法であって、a)請求項1〜19のいずれか1項に規定される化合物を被験体に投与すること;及びb)被験体内の化合物を可視化することを含む、上記方法。
【請求項69】
工程(a)において、化合物が標的と結合している、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
標的が、組織、罹患組織及び微生物からなる群より選択される、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
組織が、上皮、結合組織、筋肉組織及び神経組織からなる群より選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
罹患組織が過増殖組織である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
過増殖組織が、腫瘍の異常脈管壁、充実性腫瘍、頭部の腫瘍、頚部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、皮膚腫瘍、非充実性腫瘍並びに造血組織及びリンパ様組織のうちの1つの悪性細胞からなる群より選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
罹患組織が、脈管系における病変、罹患骨髄、前癌病変、皮膚疾患、疾患が自己免疫疾患及び炎症性疾患のうちの1つである罹患細胞からなる群より選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
微生物標的が、細菌、ウイルス、真菌及び原生動物からなる群より選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
工程(b)が、被験体身体の少なくとも一部のMRI画像化、核画像化及び化合物の蛍光検出より選択される方法により行われる、請求項68〜75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
標的が生物学的サンプル中にある、請求項68〜76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
生物学的サンプルが、血液、尿、唾液、涙、滑液、汗、間質液、精子、脳脊髄液、腹水、腫瘍組織、生検材料及び循環腫瘍細胞からなる群より選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
化合物が標的に特異的なターゲッティング剤に結合されている、請求項68〜78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
標的に結合していない分子を、被験体の非標的組織から除去するのに十分な時間を取る、請求項68〜79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
投与が、静脈内、皮下、腹腔内、鞘内、膀胱内、皮内、筋内、動脈内、リンパ内の経路、直腸、局所、粘膜及び経粘膜からなる群より選択される、請求項40〜66及び68〜80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
被験体が動物である、請求項46〜66及び68〜81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
被験体がヒトである、請求項40〜66及び68〜81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
式(Ia)若しくは(Ib):
【化5】

[式中、
X及びYは独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、又は-C(O)NH2であり、
該C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは、非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
Zは-CH2-、-CHR3-、-CH2-CH=CH-、-CHR3-CH=CH-、又は-CH2-CH=CR3-であり;
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
R3は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフィドラル(-SH)、アミノ酸残基、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、SO3H、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、-HNC(O)R1、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル又はC1-C12ヘテロアリールであり;
nは1〜13の値を有する整数であり;そして
mは1〜13の値を有する整数である]
の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体を製造する方法であって、該方法は、
a) 式(IVa)又は(IVb):
【化6】

[式中、R2は前述のとおりである]の化合物を、式(V):
【化7】

[式中、X、Y、Z、R1及びnは前述のとおりである]の化合物と反応させることを含む、上記方法。
【請求項85】
工程(a)が約40〜約100℃の温度で行われる、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
工程(a)が約55〜約59℃の温度で行われる、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
式(IIa)若しくは(IIb):
【化8】

[式中、
X及びYは独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、又は-C(O)NH2であり、
該C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
Zは、-CH2-、-CHR3-、-CH2-CH=CH-、-CHR3-CH=CH-、又は-CH2-CH=CR3-であり;
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
R3は、ハロゲン原子、ヒドロキシ、スルフィドラル(-SH)、アミノ酸残基、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、SO3H、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、-HNC(O)R1、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、又はC1-C12ヘテロアリールであり;
nは1〜13の値を有する整数であり;そして
mは1〜13の値を有する整数である]
の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体を製造するための方法であって、該方法は、
a) 式(IVa)又は(IVb):
【化9】

[式中、R2は前述のとおりである]の化合物を、式(V):
【化10】

[式中、X、Y、Z、R1及びnは前述のとおりである]の化合物と反応させることを含む、上記方法。
【請求項88】
工程(a)が約40〜約100℃の温度で行われる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
工程(a)が約55〜約59℃の温度で行われる、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
式(IIIa)若しくは(IIIb):
【化11】

[式中、
Tは、C1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、又はそれらの組み合わせであり;
R4及びR5は独立して、水素、重水素、ヒドロキシ、酸素、ハロゲン、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2又はリジン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、チロシン、グリシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸,シスチン、ヒスチジン、プロリン、アラニン、アミノに適した保護基であり、
該C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
pは0〜8の値を有する整数であり、そしてpが1〜8の値を有する場合、環Aは飽和であるか、又は不飽和でそして少なくとも1つの二重結合を有し、該環Aは非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、重水素原子、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、NOH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-CON(R6)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C1-C8アルコキシ、C1-C8チオアルコキシ、C1-C8アルキルアミノ、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、少なくとも1つの窒素原子を有するC1-C8アザアルキル、少なくとも1つの窒素原子を有するC6-C12アザアラルキル、少なくとも1つのハロゲン原子を有するC1-C8ハロアルキル、糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、シアル酸、マンノース、N-アセチルグルコースアミン、N-アセチルガラクトースアミン、二糖、三糖)からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;そして
各R6は独立して水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、又はアミノ酸残基であり;そして
各R7は独立して水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルである]
の化合物又はその立体異性体もしくはアトロプ異性体を製造するための方法であって、該方法は、
a) 式(IVa)又は(IVb):
【化12】

[式中、R2は前述のとおりである]の化合物を、式(VI):
【化13】

[式中、T、R4、R5、及びpは前述のとおりである]の化合物と反応させることを含む、上記方法。
【請求項91】
工程(a)が約40〜約100℃の温度で行われる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
工程(a)が約55〜約59℃の温度で行われる、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
式(VIIa)若しくは(VIIb):
【化14】

[式中、
Tは、C1-C4アルキレニル、C2-C4アルケニレニル、C1-C4ヘテロアルキレニル、C2-C4ヘテロアルケニレニル、又はそれらの組み合わせであり;
R4及びR5は独立して、水素、重水素、ヒドロキシ、酸素、ハロゲン、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2又はリジン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、チロシン、グリシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸,シスチン、ヒスチジン、プロリン、アラニン、アミノに適した保護基であり、
該C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールは非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-C(O)N(R1)2 -C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、及びC1-C12ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
R1は、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
各R2は独立して、水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルであり;
pは0〜8の値を有する整数であり、そしてpが1〜8の値を有する場合、環Aは飽和であるか、又は不飽和であり少なくとも1つの二重結合を有し、該環Aは非置換であるか又はハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール、アジド、ニトロ、重水素原子、少なくとも1つの重水素化原子を含むC1-C8重水素化アルキル基、-COH、NOH、-COR1、-(CH2)mOR1、-CO2H、-CO2R1、-CON(R6)2、-C(O)NH(R1)、-C(O)NH2、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C1-C8アルコキシ、C1-C8チオアルコキシ、C1-C8アルキルアミノ、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、C6-C12アラルキル、C1-C12ヘテロシクリル、C1-C12ヘテロアリール、少なくとも1つの窒素原子を有するC1-C8アザアルキル、少なくとも1つの窒素原子を有するC6-C12アザアラルキル、少なくとも1つのハロゲン原子を有するC1-C8ハロアルキル、糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フコース、キシロース、シアル酸、マンノース、N-アセチルグルコースアミン、N-アセチルガラクトースアミン、二糖、三糖)からなる群より選択される少なくとも1つの置換基で置換され;そして
各R6は独立して、水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アリール、又はアミノ酸残基であり;そして
各R7は独立して水素原子、C1-C8アルキル、C3-C8シクロアルキル、C4-C10シクロアルケニル、C6-C12アラルキル、又はC1-C12ヘテロシクリルである]
の化合物又はその立体異性体若しくはアトロプ異性体を製造するための方法であって、該方法は、
a) 式(IVa)又は(IVb):
【化15】

[式中、R2は前述のとおりである]の化合物を、式(VI):
【化16】

[式中、T、R4、R5、及びpは前述のとおりである]の化合物と反応させることを含む、上記方法。
【請求項94】
工程(a)が約40〜約100℃の温度で行われる、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
工程(a)が約55〜約59℃の温度で行われる、請求項93に記載の方法。
【請求項96】
請求項1〜19のいずれか1項において規定される化合物並びに光力学療法及び/又は音響力学療法の方法に関する指示書を含む、過増殖障害を処置するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2009−505968(P2009−505968A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525343(P2008−525343)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001234
【国際公開番号】WO2007/016762
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508041910)クウェスト・ファーマテック・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】