説明

ボックスパネル型置床式フロア構造物、及びその敷設工法

【課題】 床全体が優れた遮音性を備え、床面レベルの調節幅も大きく、しかも、広い室内であっても敷設作業を高速に行うことができるボックスパネル型置床式フロア構造物、及びその効率的な敷設工法を提供すること。
【解決手段】 方形パネル本体1に支持脚2を装着した置床ユニットを敷き詰めて構成されるフロア構造物において、
前記パネル本体1を、前記支持脚2の雄ネジ部が貫通して螺着可能な雌ネジ孔を具備した底板部と、この底板部の外縁部に立設された周壁部と、この周壁部上に載置され、上面部に床面仕上げが施される天板部とから成るボックス状とし、かつ、
前記パネル本体1の四辺形の一角を共有する二側辺の下辺部に突縁部を突成して、当該突縁部上に縦横方向に隣接して設置されるパネル本体1の第三辺部または第四辺部をシップラップ式に重ねて面一な床面を形成可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置床式フロア構造物の改良、詳しくは、床全体が優れた遮音性を備え、床面レベルの調節幅も大きく、しかも、敷設作業の高速化も可能なボックスパネル型置床式フロア構造物、及びその効率的な敷設工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、階上床やフリーアクセスフロアなどに採用される二重床工法としては、ユニット化された支持脚付きの床材を床スラブの端から敷き詰めて面一な床面を形成する置き床式が一般的である。
【0003】
そして、従来における置き床式の二重床構造としては、<特許文献1>にあるような、支持脚を備えたパネル枠上に制振シート材と床板材とを積み重ねて作製した置き床材を敷き詰めたものが公知となっている。
【0004】
しかしながら、上記従来の二重床構造においては、制振シート材によって一定の遮音効果を得ることができたものの、大きな振動音や衝撃音に対してはその効果が充分とは云えず、それらの音が階下に騒音となって伝わってしまい、快適な住空間を実現することができなかった。
【0005】
さらに、上記<文献1>の二重床構造においては、置き床材を敷き詰める際、隣接するパネル間に隙間が生じないようにパネル側面に形成した実部と凹部とを嵌合させる必要があったため、この接合作業に手間がかかって作業効率が悪化するという不満もあった。
【0006】
一方、従来においては、<特許文献2>にあるような、置き床材のパネル体下部に通信機器等を収容するための筐体を取り付けた二重床構造も公知となっており、このような形態を採用すれば筐体の底板部と床スラブとが二重の障壁となって階下への騒音伝達を遮断することができる。
【0007】
ところが、上記従来の二重床構造にあっては、取り付けた筐体の外側領域にあたるパネル体の縁部分において充分な遮音性が得られないだけでなく、パネル体下部に突設した円筒部に支持脚を取り付ける構造であったため、この円筒部内に形成された雌ネジ部の狭い範囲でしか支持脚の長さを調節することができず、施工場所に応じて床面レベル大きく変更したい場合に、長さの異なる支持脚を準備する必要があり、非常に不便であった。
【0008】
また、上記<文献2>の二重床構造に関しては、特定の置き床材に対して筐体を付設する構造としては適していたものの、室内に配置される全ての置き床材に対して筐体を取り付けるためには、配置される置き床材の支持脚を列毎に装着した支持バーを一定間隔で並べ、その並べた支持バーの間に筐体を嵌め入れる作業が必要となり、その作業を床面積の大きい室内において行うことは非常に困難であった。
【特許文献1】特開2003−82842号公報(第1−5頁、第1〜4図)
【特許文献2】特開昭60−30758号公報(第1−4頁、第1〜3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、床全体が優れた遮音性を備え、床面レベルの調節幅も大きく、しかも、広い室内であっても敷設作業を高速に行うことができるボックスパネル型置床式フロア構造物、及びその効率的な敷設工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が、上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、方形パネル本体1に支持脚2を装着した置床ユニットUを敷き詰めて構成されるフロア構造物において、
前記パネル本体1を、前記支持脚2の雄ネジ部21が貫通して螺着可能な雌ネジ孔11aを具備した底板部11と、この底板部11の外縁部に立設された周壁部12と、この周壁部12上に載置され、上面部に床面仕上げが施される天板部13とから成るボックス状とし、かつ、
前記パネル本体1の四辺形の一角を共有する二側辺S1・S2の下辺部に突縁部14を突成して、当該突縁部14上に縦横方向に隣接して設置されるパネル本体1の第三辺部S3または第四辺部S4をシップラップ式に重ねて面一な床面を形成可能とした点に特徴がある。
【0012】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、方形パネル本体1の底板部11の4隅全てに支持脚2・2…が装着された第1置床ユニットU1と、この第1置床ユニットU1の縦横方向に配置され、かつ、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2の内、何れか一方の両端部に支持脚2・2が装着された第2置床ユニットU2・U2'と、前記第1置床ユニットU1及び第2置床ユニットU2・U2'の斜め方向に配置され、かつ、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2により作出される一角部に支持脚2が装着された第3置床ユニットU3とから構成するという技術的手段を採用することができる。
【0013】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、支持脚2の台座部22に高弾性の防振ゴム材を使用するという技術的手段を採用することができる。
【0014】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、パネル本体1の周壁部12外面に面着部材15を取着することにより隣接して配置したパネル本体1・1同士を連結するという技術的手段を採用することができる。
【0015】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、隣接して配置したパネル本体1・1の隣合う周壁部12・12に断面コ字状の連結部材17を跨嵌して前記パネル本体1・1同士を連結するという技術的手段を採用することができる。
【0016】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、パネル本体1の周壁部12に、隣接するパネル本体1・1の内部を連通せしめる切欠部16を形成すると共に、天板部13にはケーブルCの挿入及び引き出しが可能な貫通孔13aを設けるという技術的手段を採用することができる。
【0017】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、パネル本体1の内部に多孔質材料を用いた吸音材13aを収容するという技術的手段を採用することができる。
【0018】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、パネル本体1の天板部13を開閉可能に取り付けるという技術的手段を採用することができる。
【0019】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、複数のパネル本体1・1…の天板部13・13…を同一の板部材から形成するという技術的手段を採用することができる。
【0020】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ボックス状パネル本体1の底板部11に開設された雌ネジ孔11aに支持脚2の雄ネジ部21を螺着してアジャストボルト式に床面レベルを調節した後、パネル本体1の底板部11の4隅全てに支持脚2・2…を装着した第1置床ユニットU1を床スラブFの一角に配置し、さらにこの配置した第1置床ユニットU1の縦横方向には、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2の内、何れか一方の両端部に支持脚2・2を装着した第2置床ユニットU2・U2'をそれぞれ配置すると共に、前記配置した前記第1置床ユニットU1及び第2置床ユニットU2・U2'の斜め方向には、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2により作出される一角部に支持脚2を装着した第3置床ユニットU3を配置して敷設するという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、置き床材のパネル体を、底板部とその外縁部に立設された周壁部、そして周壁部上に載置され、上面に床面が形成された天板部とから成るボックス状としたことにより、この置き床材を床スラブ上に敷き詰めれば隣合う置き床材の天板部及び底板部がそれぞれ連接して三重床状のフロア構造物を構成することができるため、当該フロア構造物の床面から入射した振動音又は衝撃音を、底板部と床スラブとで二重に遮断して透過音量を抑制することができ、これによって階上から階下に伝達される騒音を床全体で遮音して効果的に防止することができる。
【0022】
さらに、ボックス状パネル体の底板部に支持脚取付け用の雌ネジ孔を開設したことにより、底板部を貫通させて支持脚を装着すれば、ボックスの中空部内で支持脚を上下させて床面レベルを広範囲に調節することが可能となることから、施工場所により床面レベルが大きく異なっていても支持脚を変更する必要はなく、替えの支持脚を準備する必要もないため利便性の向上及び施工コストの低減化を図ることができる。
【0023】
しかも、床施工後に床面レベルを変更したい場合においても、長さの異なる支持脚にわざわざ変更する必要がないため、非常に都合が良い。
【0024】
また本発明では、パネル体の四辺形の一角を共有する二側辺の下辺部に突縁部を突成して、この突縁部上に縦横方向に隣接して設置するパネル体の第三辺部または第四辺部をシップラップ式に重ねて面一な床面を形成可能としたことにより、床スラブの端から置き床材を重ねて順に配置していくだけで床面積の大きさに関わらず隙間のない三重床を簡単に形成することができ、しかも、敷設作業の高速化を図ることも可能である。
【0025】
したがって、本発明によって、多重床構造として機能性に優れ、かつ、施工面でも有利な置き床式のフロア構造物を実現できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
『実施例1』
本発明の実施例1を具体的に図示した図1から図4に基いて更に詳細に説明すると次のとおりである。まず、図中において符号1で指示するものは、木質板から成るパネル本体であり、符号2で指示するものは、支持脚である。
【0027】
しかして、本実施例の構成を以下に説明する。まず、本実施例においては、置床ユニットUのパネル本体1を、支持脚2の雄ネジ部21を貫通して螺着可能な雌ネジ孔11aが開設された底板部11と、この底板部11の外縁部に立設された周壁部12と、この周壁部12上に載置され、上面に床面が形成される天板部13とから成るボックス状に作製した(図1、図2参照)。
【0028】
そして、パネル本体1の四辺形の一角を共有する二側辺S1・S2には、縦横方向に隣接して設置されるパネル本体1'の第三辺部S3または第四辺部S4がシップラップ式に重なって面一な床面を形成せしめる突縁部14を突成した。
【0029】
具体的には、パネル本体1の周壁部12に厚みの大きい木質板を使用し、この周壁部12を厚み半分程度、底板部11の外縁から斜め方向にずらして立設することにより、突縁部14とその突縁部14を受ける窪みを簡単に形成した。
【0030】
上記のように構成したことによって、支持脚2を装着した置床ユニットUをS上に敷き詰めれば隣合う置床ユニットU・U…の天板部13・13…及び底板部11・11…がそれぞれ連接して三重床状のフロア構造物を形成することができる(図3、図4参照)。
【0031】
そしてこれにより、パネル本体1の天板部13から入射する振動音又は衝撃音を、パネル本体1の底板部11及び床スラブFで二重に遮断して透過音量を抑制できるため、階上から階下に伝わる騒音を効果的に防止することが可能となる。
【0032】
更に本実施例においては、支持脚2の台座部22に高弾性の防振ゴム材を使用することにより、床スラブFが直接的に受ける振動又は衝撃を吸収して騒音の発生を防止している。
【0033】
なお、上記防振ゴム材が弾性変形することによりパネル本体1に反り方向の負荷が加わっても、パネル本体1は頑強なボックス状であるため、撓み変形を起すことはなくフロア構造物の耐久性の低下を招くようなことはない。
【0034】
また本実施例では、隣接するパネル本体1・1の周壁部11・11同士にビスBを螺入して連結すると共に、パネル本体1の周壁部12外面に取着した面着部材15によってパネル本体1・1を強固に結合したことにより、床施工後のパネル本体1のガタつきを防止できる。
【0035】
一方、本実施例における置床ユニットUにおいては、ボックス状のパネル本体1の底板部11に支持脚2を装着するための雌ネジ孔11aを開設したことにより、底板部11を貫通させて支持脚2を装着することができ、ボックスの中空部内で支持脚2を上下させて床面レベルを自由に調節することが可能となるため、施工場所により床面レベルが異なっても支持脚2を変更する必要がない。
【0036】
そしてまた、本実施例におけるフロア構造物は、方形パネル本体1の底板部11の4隅全てに支持脚2・2…を装着した第1置床ユニットU1と、この第1置床ユニットU1の縦横方向に配置し、かつ、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2の内、何れか一方の両端部に支持脚2・2を装着した二種類の第2置床ユニットU2・U2'と、前記第1置床ユニットU1及び第2置床ユニットU2・U2'の斜め方向に配置し、かつ、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2により作出される一角部に支持脚2を装着した第3置床ユニットU3とから構成されているため、支持脚2の本数を省略することができ部品コストの低減化を図れる。
【0037】
さらに本実施例では、パネル本体1の周壁部12には隣接するパネル本体1・1の内部を連通せしめる切欠部16を設けると共に、天板部13にはケーブルCの挿入及び引き出しが可能な貫通孔13aを設けたことにより、パネル本体1内で通信回線等のケーブルCを配線することができるため、フリーアクセスパネルとして使用することができる。
【0038】
また本実施例では、床スラブFの端から置床ユニットU・U…を、パネル本体1を重ねて順に配置していくだけで床面積の大きさに関わらず床施工を簡単に行うことができ、作業の高速化を図ることも可能である。
【0039】
次に、上記フロア構造物の効率的な敷設方法について以下に具体的に説明する。まず、パネル本体1の底板部11に開設された雌ネジ孔11aに支持脚2の雄ネジ部21を装着してアジャストボルト式に所定の床面レベルに調節する。
【0040】
その後、パネル本体1の底板部11の4隅全てに支持脚2・2…を装着した第1置床ユニットU1を床スラブFの一角に配置し、この配置した第1置床ユニットU1の縦横方向の各々に第2置床ユニットU2・U2'をそれぞれ隣接して配置する。
【0041】
この際、パネル本体1の第二辺部S2の両端に支持脚2・2を装着した第2置床ユニットU2は第1置床ユニットU1の縦方向に配置し、パネル本体1の第一辺部S1の両端に支持脚2・2を装着した第2置床ユニットU2'は第1置床ユニットU1の横方向に配置する。
【0042】
そうして配置した前記第1置床ユニットU1及び第2置床ユニットU2・U2'の斜め方向には、第3置床ユニットU3を配置して室内に置床ユニットUを敷き詰める。
【0043】
そして、敷き詰めた置床ユニットUのパネル本体1内にケーブルCの配線を行ってから天板部13を周壁部12上に載置して固定する。
【0044】
なお、上記敷設工法におけるパネル本体1の天板部13の取付けに関しては、置床ユニットUを配置する際に行ってもよく、また、置床ユニットUを配置する前に取付けておいてもよく、最も都合の良いタイミングを選択することができる。
【0045】
そして最後に、敷き詰められたパネル本体1・1…の天板部13・13…により形成された床面上にカーペット等の床仕上げ材を敷設して床施工を完了する(図示せず)。
【0046】
『実施例2』
次に、本発明の実施例2を図5及び図6に基いて説明する。本実施例においては、パネル本体1に幅の広い突縁部14を形成する一方、この突縁部14を受けるパネル本体1の第三辺部S3または第四辺部S4には、断面L字型の周壁部材を底板部11に固着して前記突縁部14を受ける窪みを形成した(図5参照)。
【0047】
これにより、パネル本体1を作製する際に周壁部12に厚みの小さい板材を使用することができる。
【0048】
また本実施例では、第2置床ユニットU2及び第3置床ユニットU3に矩形で大型のパネル本体1を使用したことにより敷設作業の効率性が向上し、広い室内でも高速に床施工を行うことができる(図6参照)。
【0049】
そしてまた、本実施例では、隣接するパネル本体1・1の隣合う周壁部12・12に断面コ字状の連結部材17を跨嵌して前記パネル本体1・1同士を分解可能に連結した。
【0050】
更に本実施例では、パネル本体1の内部に吸音材18としてグラスウールを収容したことにより、ボックス内部の反射音を減退させることができるため、床施工した室内における音の反響を向上することができる。
【0051】
なお、パネル本体1に内装する吸音材18としては、建築材料として汎用的に使用されている発泡樹脂材料や不織布などを使用することも勿論可能である。
【0052】
また、パネル本体1内には、内装した吸音材18によって支持脚2の高さ調節が阻害されないように底板部11の雌ネジ孔11a上部に筒体11bを取着し、この筒体11b内を通って支持脚2が上下動できるようにしている。
【0053】
一方、置床ユニットU・U…を敷き詰める前に、床スラブF上にも吸音材を配設しておけば、一層の遮音効果を得ることが可能である。
【0054】
『実施例3』
次に、本発明の実施例3を図7及び図8に基いて説明する。本実施例においては、室内の端部に配設され、かつ、フロアポストPにより支持される根太J上にパネル本体1を載置して構成した(図7、図8参照)。
【0055】
これにより、パネル本体1の一角部に支持脚2を装着した第3置床ユニットU3のみを使用して床施工することができるため、ユニット種の単一化及び支持脚2の使用本数の省略による施工コストの低減化を図れる。
【0056】
また本実施例では、パネル本体1の天板部13の下部に嵌装部13bを設けて周壁部12に嵌着することにより、天板部13の開閉を容易に行うことができるため、ケーブルCの配線変更や収容ボックスとしての使用に関する利便性を向上できる。
【0057】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、パネル本体1に用いる材料は、木質材料に限らず、ステンレス鋼板等の金属材料や、高密度ポリエチレン(HDPE)やABS樹脂、発泡ポリスチレン等の合成樹脂材料であってもよく、一定の強度を有していれば何れを選択してもよい。
【0058】
また、パネル本体1の天板部13に関しても、図9に示すように、複数のパネル本体1・1…の天板部13・13…を同一の板部材から形成してもよく、これによって天板部材の取付け効率を向上できると共に、より平滑な床面を形成することができる。
【0059】
そしてまた、パネル本体1の周壁部12の高さを伸長することによって、パネル本体1の剛性及び安定感を高め、かつ、支持脚2を収容する中空域を広げて床面高さの調節可能範囲を拡大することも可能である。
【0060】
他方また、図10に示すように、パネル本体1の突縁部14は、二側辺S1・S2の下部に鍔状部材を固着した形態であってもよく、何れも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
近年では、ビジネスのIT化によってオフィスにフリーアクセスパネルの採用する事業者が急増し、また、マンション等の一般住宅においても生活の質(Quality of Life)の向上を目指して効果的な防音手段である二重床構造を採用するケースが多くなった。加えて最近では、ライフスタイルに合わせた生活空間を実現するために、使用者に応じて室内の内装部材を簡単に変更できるように構成するSI(スケルトンインフィル)思想が広く認知されたことにより、床構造の中でも取替え・調節が容易な置き床式二重床に注目が集まっている。
【0062】
そのような中で、本発明におけるボックスパネル型置床式フロア構造物は、新規な三重床構造よって防音性及び機能性を共に向上することができ、しかも、床施工における利便性の点でも非常に有効な画期的な技術であることから、市場における需要は大きく、本発明の産業上の利用価値は非常に高いと云える。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1における置床ユニットを表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例1における置床ユニットの連結状態を表わす全体斜視図である。
【図3】本発明の実施例1におけるフロア構造物を表わす部分上面図である。
【図4】本発明の実施例1におけるフロア構造物を表わす部分断面図である。
【図5】本発明の実施例2におけるフロア構造物を表わす部分上面図である。
【図6】本発明の実施例2におけるフロア構造物を表わす部分断面図である。
【図7】本発明の実施例3におけるフロア構造物を表わす部分上面図である。
【図8】本発明の実施例3におけるフロア構造物を表わす部分断面図である。
【図9】本発明の変形例におけるフロア構造物を表わす部分上面図である。
【図10】本発明の変形例における置床ユニットの構造を表わす部分断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 パネル本体
11 底板部
11a 雌ネジ孔
11b 筒体
12 周壁部
13 天板部
13a 貫通孔
13b 嵌装部
14 突縁部
15 面着部材
16 切欠部
17 連結部材
18 吸音材
2 支持脚
21 雄ネジ部
22 台座部
U 置床ユニット
1 第1置床ユニット
2 第2置床ユニット
3 第3置床ユニット
1 第一辺部
2 第二辺部
3 第三辺部
4 第四辺部
F 床スラブ
B ビス
C ケーブル
P フロアポスト
J 根太


【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形パネル本体1に支持脚2を装着した置床ユニットUを敷き詰めて構成されるフロア構造物において、
前記パネル本体1は、前記支持脚2の雄ネジ部21が貫通して螺着可能な雌ネジ孔11aを具備した底板部11と、この底板部11の外縁部に立設された周壁部12と、この周壁部12上に載置され、上面に床面仕上げが施される天板部13とから成るボックス状であり、かつ、
前記パネル本体1の四辺形の一角を共有する二側辺S1・S2の下辺部に突縁部14が突成されて、当該突縁部14上に縦横方向に隣接して設置されるパネル本体1の第三辺部S3または第四辺部S4がシップラップ式に重なって面一な床面を形成可能であることを特徴とするボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項2】
方形パネル本体1の底板部11の4隅全てに支持脚2・2…が装着された第1置床ユニットU1と、この第1置床ユニットU1の縦横方向に配置され、かつ、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2の内、何れか一方の両端部に支持脚2・2が装着された第2置床ユニットU2・U2'と、前記第1置床ユニットU1及び第2置床ユニットU2・U2'の斜め方向に配置され、かつ、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2により作出される一角部に支持脚2が装着された第3置床ユニットU3とから構成したことを特徴とする請求項1記載のボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項3】
支持脚2の台座部22に防振ゴム材を使用したことを特徴とする請求項1または2に記載のボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項4】
パネル本体1の周壁部12外面に取着した面着部材15により隣接して配置したパネル本体1・1同士を連結したことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項5】
隣接して配置したパネル本体1・1の隣合う周壁部12・12に断面コ字状の連結部材17を跨嵌して前記パネル本体1・1同士を連結したことを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載のボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項6】
パネル本体1の周壁部12に、隣接するパネル本体1・1の内部を連通せしめる切欠部16を形成すると共に、天板部13にはケーブルCの挿入及び引き出しが可能な貫通孔13aを設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項7】
パネル本体1の内部に多孔質材料から成る吸音材18が収容されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載のボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項8】
パネル本体1の天板部13が開閉可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載のボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項9】
複数のパネル本体1・1…の天板部13・13…が同一の板部材から形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載のボックスパネル型置床式フロア構造物。
【請求項10】
ボックス状パネル本体1の底板部11に開設された雌ネジ孔11aに支持脚2の雄ネジ部21を螺着してアジャストボルト式に床面レベルを調節した後、パネル本体1の底板部11の4隅全てに支持脚2・2…を装着した第1置床ユニットU1を床スラブFの一角に配置し、更にこの配置した第1置床ユニットU1の縦横方向には、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2の内、何れか一方の両端部に支持脚2・2を装着した第2置床ユニットU2・U2'をそれぞれ配置すると共に、前記配置した前記第1置床ユニットU1及び第2置床ユニットU2・U2'の斜め方向には、パネル本体1の突縁部14を備える二側辺S1・S2により作出される一角部に支持脚2を装着した第3置床ユニットU3を配置して敷設することを特徴とするボックスパネル型置床式フロア構造物の敷設工法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−68290(P2009−68290A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239590(P2007−239590)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(305053363)有限会社 山本木工所 (2)
【Fターム(参考)】