説明

ポリアミド酸ワニス組成物及びそれを用いたポリイミド金属積層板

【課題】ガラス転移温度、線熱膨張係数、吸湿膨張係数を変化させることなく、高接着性をもたらすポリアミド酸ワニス組成物及びそれを用いたポリイミド金属積層板を提供すること。
【解決手段】本発明のポリアミド酸ワニス組成物は、ポリアミド酸溶液と、ポリアミド酸100質量部に対し、0.1〜10質量部の添加剤を含有するポリアミド酸ワニス組成物であって、該添加剤がポリベンゾオキサゾール前駆体及び、ポリベンゾオキサゾールのいずれか一種類以上を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板などに使用されるポリアミド酸ワニス組成物及びそれを用いたポリイミド金属積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化や携帯化に伴い、回路基板材料として部品、素子の高密度実装が可能なフレキシブルプリント基板の利用が増大している。さらなる高密度化に対応した配線の微細化や長期信頼性や加工性の観点から、金属箔と絶縁樹脂層との線熱膨張係数の整合並びに、接着性の向上、低吸湿膨張係数が必要とされている。
【0003】
フレキシブル基板として用いられるポリイミド金属積層体の製造方法として、ポリアミド酸溶液を金属箔に直接塗布して成膜するキャスト法が知られているが、金属箔との線熱膨張係数の整合と、高接着性を同時に付与することは難しい。高接着化のために、低ガラス転移温度である熱可塑性ポリイミドなどの接着層を設けた擬似2層タイプの積層体の製造方法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、擬似2層タイプの積層体においては、製造コストの上昇や耐熱性、吸湿性に劣る接着層を利用による寸法安定性などの長期信頼性低下という問題がある。
【0004】
また、接着層を設けずイミダゾール化合物等の添加剤をポリアミド酸溶液中に導入することによる高接着性化検討もなされている(特許文献2参照)。しかしながら、イミダゾール化合物は、ポリイミドフィルム中にて可塑剤として働いてしまうため、低ガラス転移温度、高線熱膨張係数化などの耐熱性の低下、イミダゾール骨格に由来する高吸湿膨張係数化という不具合があった。また、低吸湿膨張係数化に寄与することが知られているエステル基を含有するポリエステルイミドでは(特許文献3参照)、イミダゾール骨格に由来する塩基性のため、ポリアミド酸の加熱閉環時においてエステル基の加水分解を促し、低接着化、ポリイミド層の脆弱化させる問題を有する。
【0005】
さらに、ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応して得られるポリアミド酸を用いることによる高接着化検討もなされている(特許文献4参照)。しかしながら、ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンをポリアミド酸中に導入することによる、低熱膨張係数化や高弾性率化などの変化を伴う。また、ベンゾオキサゾール構造を有するジアミンの利用による原料の入手性や製造コストの向上が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2746555号公報
【特許文献2】特許第3494098号公報
【特許文献3】特開平10−126019号公報
【特許文献4】特開2005−131918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ガラス転移温度、線熱膨張係数、吸湿膨張係数を変化させることなく、高接着性をもたらすポリアミド酸ワニス組成物及びそれを用いたポリイミド金属積層板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する添加剤をポリアミド酸ワニス組成物中に含有することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下に記載のポリアミド酸ワニス組成物、ポリアミド酸ワニス組成物を用いたポリイミド金属積層板を提供し、そしてこのポリイミド金属積層板を用いたフレキシブルプリント基板配線板を提供する。
【0010】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物は、ポリアミド酸溶液と、ポリアミド酸100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部の添加剤を含有するポリアミド酸ワニス組成物であって、該添加剤が式(1)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体及び、式(2)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾールのいずれか一種類以上を含有することを特徴とする。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

(式(1)、(2)中、Arは4価の有機基であり、Bは2価の有機基である。)
【0013】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物においては、ポリアミド酸溶液と、ポリアミド酸100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部の添加剤を含有するポリアミド酸ワニス組成物であって、該添加剤が式(1)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体であることが好ましい。
【化3】

(式(1)中、Arは4価の有機基であり、Bは2価の有機基である。)
【0014】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物においては、上記添加剤が、式(1)及び式(2)中の、Arが式(3)から式(5)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることが好ましい。
【0015】
【化4】

(式(3)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基であり、それぞれ独立であり、同じであっても異なっていてもよい。)
【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物においては、上記添加剤が、式(1)及び式(2)中のArが式(4)から式(9)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることが好ましい。
【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

【0021】
【化9】

【0022】
【化10】

【0023】
【化11】

【0024】
【化12】

【0025】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物においては、上記添加剤が、式(1)及び式(2)中のArが式(4)から式(6)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることが好ましい。
【0026】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物においては、上記添加剤が、式(1)及び式(2)中のBが式(10)から式(13)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることが好ましい。
【0027】
【化13】

(式(10)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基であり、それぞれ独立であり、同じであっても異なっていてもよい。)
【0028】
【化14】

【0029】
【化15】

【0030】
【化16】

【0031】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物においては、上記添加剤が、式(1)及び式(2)中の、Bが式(11)及び式(14)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることが好ましい。
【0032】
【化17】

【0033】
【化18】

【0034】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物においては、上記ポリアミド酸が式(15)で表される反復単位を有することが好ましい。
【0035】
【化19】

(式(15)中、Arは式(16)から式(18)で表される4価の芳香族基であり、Bは2価の芳香族基である。)
【0036】
【化20】

【0037】
【化21】

(式(17)中、Rは水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基である。)
【0038】
【化22】

【0039】
本発明のポリイミド金属積層板は、上記ポリアミド酸ワニス組成物より形成されてなるポリイミド層と、金属箔と、を具備することを特徴とする。
【0040】
本発明のポリイミド金属積層板においては、上記金属箔が銅箔であることを特徴とする。
【0041】
本発明のポリイミド金属積層板においては、上記金属箔表面の十点平均粗さRzが0.7μm以下であることが好ましい。
【0042】
本発明のポリイミド金属積層板においては、上記ポリイミド層の線熱膨張係数が15ppm/℃から25ppm/℃であることが好ましい。
【0043】
本発明のポリイミド金属積層板においては、上記ポリイミド層のガラス転移温度が380℃以上であることが好ましい。
【0044】
本発明のポリイミド金属積層板においては、上記ポリイミド金属積層板の接着強度が0.8N/mm以上であることが好ましい。
【0045】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記ポリイミド金属積層板を配線加工してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、ガラス転移温度、線熱膨張係数、吸湿膨張係数を変化させることなく、高接着性をもたらすポリアミド酸ワニス組成物を得ることができる。また、得られるポリアミド酸ワニス組成物を用いることにより、接着層を介さず、また低ガラス転移温度化、高線熱膨張係数化、高吸湿膨張係数化することなく、高接着性を有するポリイミド金属積層板が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、発明について具体的に説明する。
まず、本発明で用いる用語について説明する。
【0048】
(ポリアミド酸)
ジアミンとテトラカルボン酸二無水物が反応することにより得られる重合物をいう。
【0049】
(ポリアミド酸溶液)
ポリアミド酸が溶媒に溶解しているものをいう。
【0050】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体)
280℃〜400℃の加熱もしくは、化学的作用により閉環させ、ポリベンゾオキサゾールとなるものをいう。ここで、閉環とはオキサゾール環が形成されることをいう。
【0051】
(ポリアミド酸ワニス組成物)
ポリアミド酸溶液に添加剤等を溶解させたものをいう。
【0052】
<添加剤>
添加剤は、ポリアミド酸合成時において、酸二無水物及びジアミンを混合してから添加しても良いし、酸二無水物またはジアミンに添加剤を添加してから、ジアミンまたは酸二無水物を混合しても良く、その導入の順には制限が無い。
【0053】
添加剤の導入量としては、ポリアミド酸100質量部に対して、0.01質量部〜20質量部が好ましく、線熱膨張係数、吸湿膨張係数、接着性の観点から、0.1質量部〜10質量部がより好ましい。
【0054】
添加剤としては、式(1)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体、及び式(2)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾールのいずれか1種類以上を用いる。
【0055】
【化23】

【0056】
【化24】

【0057】
本発明に係る添加剤である式(1)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体、及び式(2)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾールは、ビスアミノフェノール、またはそれらのエステル化合物やエーテル化合物などの誘導体と、ジカルボン酸とから、酸クロライド法、活性化エステル法または、ポリリン酸、もしくは、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤の存在下での縮合反応等により得ることができる。
【0058】
ビスアミノフェノールとしては、例えば、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、及び1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらのビスアミノフェノールは単独あるいは混合して使用してもよい。
【0059】
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、1,8−アントラセンジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0060】
本発明に係る添加剤の重合反応に適用する溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチル−2−ピロリドン、及びこれらの混合溶媒が好適な例として挙げられる。
【0061】
その他の適用可能な重合溶媒としては、例えば、N,N−ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン-ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の非プロトン性溶媒、及びフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノールなどのプロトン性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、二種以上を混合して用いてもよい
【0062】
上記添加剤中のビスアミノフェノール及び、ジカルボン酸の成分比に関しては、特に制限が無く、どちらの成分が一方に対し過剰となっても良い。
【0063】
一般式(1)で表されるポリベンゾキサゾール前駆体において、その末端基を有機基(以下、封止基という)で封止しても良い。ポリベンゾキサゾール前駆体を重縮合する際に、ジカルボン酸成分をビスアミノフェノールに比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としては、アミノ基、または水酸基を有する化合物を用いることが好ましい。該化合物の例としては、アニリン、エチニルアニリン、ノルボルネンアミン、ブチルアミン、プロパルギルアミン、エタノール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0064】
逆にビスアミノフェノール成分をジカルボン酸成分に比べて過剰のモル数で使用する場合には、封止基としては、酸無水物、カルボン酸、酸クロリド、イソシアネート基等を有する化合物を用いることが好ましい。該化合物の例としては、ベンゾイルクロリド、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ノルボルネンカルボン酸、エチニルフタル酸無水物、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロへキセンジカルボン酸無水物、メタクロイルオキシエチルメタクリレート、フェニルイソイアネート、メシルクロリド、及びトシル酸クロリドなどが挙げられる。
【0065】
本発明に係る添加剤である式(1)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体、及び式(2)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾールの式(1)及び式(2)中のArに関しては、特に限定されないが、Arが式(3)から式(5)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることが好ましく、耐熱性、線熱膨張係数、接着性の観点から、式(4)から式(9)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることがより好ましく、式(4)及び式(6)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることが、特に好ましい。
【0066】
【化25】

【0067】
【化26】

【0068】
【化27】

(式(3)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基であり、それぞれ独立であり、同じであっても異なっていてもよい。)
【0069】
【化28】

【0070】
【化29】

【0071】
【化30】

【0072】
【化31】

【0073】
【化32】

【0074】
【化33】

【0075】
また、式(1)及び式(2)中のBに関しても、特に限定されないが、Bが式(10)から式(13)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることが好ましく、耐熱性、線熱膨張係数、接着性の観点から、式(11)及び式(14)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることがより好ましい。
【0076】
【化34】

(式(10)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基であり、それぞれ独立であり、同じであっても異なっていてもよい。)
【0077】
【化35】

【0078】
【化36】

【0079】
【化37】

【0080】
【化38】

【0081】
また、ポリアミド酸溶液への溶解性の観点から、添加剤は式(1)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体であることが好ましい。この場合、ポリベンゾベンゾオキサゾールを用いた場合より更に溶解性が向上することに加え、ポリベンゾオキサゾール前駆体合成後、ポリベンゾオキサゾールへの閉環、脱水反応を必要としない。このため、安価かつ容易に本発明に係る添加剤を得ることができる。
【0082】
<ポリアミド酸、ポリアミド酸溶液、ポリアミド酸ワニス組成物>
本発明に係るポリアミド酸ワニス組成物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応溶媒中で付加重合することによって得られたポリアミド酸溶液中に、添加剤を導入し、混合溶解することにより得られる。尚、添加剤の導入は、付加重合前に加えておいても良く、ポリアミド酸合成時の任意のタイミングで導入することができる。
【0083】
上記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、オキシジフタル酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸などの酸二無水物が挙げられる。線熱膨張率やガラス転移温度等の観点から、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。また、各々の芳香族テトラカルボン酸二無水物を単独で用いても、併用して用いてもよい。また、非芳香族テトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸などの酸二無水物を、本発明の効果を損なわない範囲で用いてもよい。
【0084】
芳香族ジアミンとしては、従来公知のものを使用することができる。例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、2−メチル−4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、2−メチル−4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホンが挙げられる。線熱膨張率やガラス転移温度等の観点から、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、2−メチル−4−アミノフェニル−3’−アミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−アミノフェニル)イソフタレート、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルを使用することが好ましい。
【0085】
ポリイミドを低線熱膨張化するための分子設計として、主鎖骨格をできるだけ直線状で剛直に(内部回転により多様なコンホメーションをとりにくく)する必要がある。しかし一方で、これによりポリマー鎖の絡み合いが減少し、フィルムが脆弱化する恐れがある。また、ポリイミド骨格へのエーテル構造などの屈曲性単位の過大な導入は、膜靭性の向上や金属箔との接着強度の向上には大きく寄与するが、低線熱膨張特性の発現を妨げることが予想される。
【0086】
本発明では、エステル構造に着目した。エステル構造は、エーテル構造に比べて内部回転障壁が高く、コンホメーション変化が比較的妨げられているため、剛直構造単位として振舞い、且つポリイミド主鎖にある程度の柔軟さも付与し、可撓性のフィルムを与えることが期待される。
【0087】
また、エステル構造はアミド構造やイミド構造よりも分極率が低いため、ポリイミドへのエステル構造の導入は低吸湿膨張係数化にも有利である。そのため用いられるポリアミド酸の構造は、特に限定されないが、式(15)で表される反復単位を有し、Arが式(16)から式(18)であることが好ましく、耐熱性、難燃性、吸水性の観点から式(16)で表される反復単位を有することがより好ましい。
【0088】
【化39】

(式(15)中、Arは式(16)から式(18)で表される4価の芳香族基であり、Bは2価の芳香族基である。)
【0089】
【化40】

【0090】
【化41】

(式(17)中、Rは水素原子、炭素数1から炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基を表す。)
【0091】
【化42】

【0092】
その中でも、耐熱性、接着性、弾性率、引裂き強度の観点から、式(19)、式(20)で表される反復単位を有し、式(19)及び式(20)のモル比が式(19)/式(20)=1/99〜99/1の割合であることが好ましく、十点平均粗さ(Rz)が0.7μm以下である金属箔への高接着化の観点から、式(19)及び式(20)のモル比が式(19)/式(20)=20/80〜80/20の割合であり、式(20)中、Bが式(21)で表される2価の芳香族基であることがより好ましい。
【0093】
【化43】

【0094】
【化44】

(式(19)及び式(20)中、Arは式(16)で表される4価の芳香族基である。式(20)中、Bは2価の芳香族基である。)
【0095】
【化45】

【0096】
本発明に係るポリアミド酸は、前記のテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を反応させて得られる。ポリアミド酸を構成する繰り返し単位の規則性は、ブロック構造が含有されていても、あるいはランダム構造であってもよい。
【0097】
本発明に係るポリイミドは、本発明のポリアミド酸ワニス組成物を従来の公知技術によりイミド化することにより得られる。通常、製造にあたったテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の仕込み比を調節することによって、生成するポリイミド樹脂の分子量や末端構造を調節することができる。好ましい全テトラカルボン酸二無水物と全ジアミンのモル比は、0.90〜1.10である。
【0098】
得られるポリイミドの末端構造は、製造時における全テトラカルボン酸二無水物と全ジアミンのモル仕込み比によって、アミンもしくは酸無水物構造となる。末端構造がアミンの場合は、カルボン酸無水物にて末端封止してもよい。これらの例としては、無水フタル酸、4-フェニルフタル酸無水物、4−フェノキシフタル酸無水物、4−フェニルカルボニルフタル酸無水物、4−フェニルスルホニルフタル酸無水物などが挙げられる、これに限るものではない。これらのカルボン酸無水物を単独もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
【0099】
また、末端構造が酸無水物の場合は、モノアミン類にて末端封止してもよい。具体的には、アニリン、トルイジン、アミノフェノール、アミノビフェニル、アミノベンゾフェノン、ナフチルアミンなどが挙げられる。これらのモノアミンを単独もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
【0100】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物用いられる溶媒としては、前記のポリアミド酸と混合するものであればよく、例として、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラメチル尿素などが挙げられる。本発明に使用する好ましい溶媒は、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンである。これらは単独、または2種以上を混合して用いることができる。
【0101】
これらの溶媒の使用量には、特に制限はなく、ポリアミド酸ワニス組成物の粘度などに応じて利用することができる。
【0102】
また、物性を損なわない範囲において、上記添加剤の他に、ポリアミド酸ワニス組成物に含有する添加剤として、脱水剤、シリカ等のフィラー、及びシランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の表面改質剤や、ポリイミドの硬化を促進するピリジン、イミダゾール、トリアゾール等のイミド化剤などを加えても良い。
【0103】
溶媒中での固形分濃度に特に制限はない。固形分濃度とは、ポリアミド酸(またはポリイミド)溶液の総質量に対する全芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と全ジアミン成分との質量の和の百分率である。好ましい固形分濃度は、5質量%〜35質量%であり、より好ましくは10質量%〜25質量%である。
【0104】
付加重合条件については、従来行われているポリアミド酸の付加重合条件に準じて行うことができる。具体的には、まず、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下、大気圧中で芳香族ジアミン類を溶媒に0℃〜80℃にて溶解させ、40℃〜100℃にてテトラカルボン酸二無水物を、すみやかに加えながら、4時間〜8時間付加重合させる。これによりポリアミド酸ワニス組成物が得られる。ポリイミドフィルムの靭性およびワニスのハンドリングの観点から、ポリアミド酸ワニス組成物の固有粘度は、好ましくは0.1dL/g〜25.0dL/gの範囲であり、より好ましくは0.3dL/g〜20dL/g、さらに好ましくは0.5dL/g〜15.0dL/gの範囲であることがより好ましい。
【0105】
<ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルム>
本発明に係るポリイミド金属積層板とは、金属上に絶縁層であるポリイミド層が設けられているものである。金属上にて本発明に係るポリアミド酸ワニス組成物をイミド化して得られたポリイミド層(以下、ポリイミドフィルムともいう)との積層体である。ポリイミド層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは50μm以下、より好ましくは1μm〜25μmである。
【0106】
金属としては、種々の金属箔を使用することができるが、フレキシブルプリント基板用としては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔等が好適に用いられる。これらの金属箔は、マット処理、メッキ処理、クロメート処理、アルミニウムアルコラート処理、アルミニウムキレート処理、シランカップリング剤処理等の表面処理を行ってもよい。フレキシブル基板が用いられる用途において、導電性などの観点から、該金属箔としては、銅箔が好ましい。
【0107】
金属箔の厚みは、特に限定されないが、好ましくは35μm以下、より好ましくは18μm以下である。
【0108】
金属箔表面の十点平均粗さ(以下、Rzとする)は、エッチング時の微細配線性の観点から、2.2μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.7μm以下がさらに好ましい。また、金属箔にポリイミドフィルムを積層するため、ポリイミドフィルムの金属箔と接する面側に保持されると考えられる。よって、ポリイミド金属積層体から、金属箔を除去し、ポリイミドフィルムの金属箔と接する面側の粗度を接触式表面粗度測定機にて測定することで、ポリイミドフィルムと接していた面の金属箔の粗度とすることができる。
【0109】
本発明に係るポリイミド金属積層板が有するポリイミドフィルムは、50℃〜200℃における線熱膨張係数が、8ppm/℃〜25ppm/℃であるポリイミドである。また、銅との線熱膨張率係数の整合の点から15ppm/℃〜25ppm/℃であることがより好ましい。
【0110】
本発明に係るポリイミド金属積層板が有するポリイミドフィルムのガラス転移温度は、耐熱性の観点から、350℃以上が好ましく、380℃以上がより好ましい。
【0111】
本発明に係るポリイミド金属積層板が有するポリイミドフィルムの接着強度は、耐久性、実装工程での取り扱いの観点から、0.6N/mm以上が好ましく、0.8N/mm以上がさらに好ましく、1.0N/mm以上が特に好ましい。
【0112】
本発明に係るポリイミド金属積層板は、以下の様にして製造することができる。まず、本発明のポリアミド酸ワニス組成物を金属箔上にブレードコーターや、リップコーター、グラビアコーター等を用いて塗工を行い、その後乾燥させてポリアミド酸樹脂層としてのポリアミド酸ワニス組成物層を形成する。塗工厚は、ポリアミド酸ワニス組成物の固形分濃度に影響される。ポリアミド酸ワニス組成物層を、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下にて、200℃〜400℃にて熱イミド化させることによりポリイミド樹脂層を形成することができる。
【0113】
このようにして得られるポリイミド金属積層板は、金属、特に銅とポリイミド樹脂層との密着性が良好である。
【0114】
本発明に係るポリイミド積層板を配線加工することにより、フレキシブルプリント配線板を得ることができる。この場合、ポリイミドフィルム上の金属箔を加工することにより、ポリイミドフィルム上に配線を形成することができる。
【実施例】
【0115】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。なお、物性値は以下に示す方法により測定した。
【0116】
<ポリアミド酸溶液>
(ポリアミド酸溶液合成例1)
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(和歌山精化社製、以下ODAとする)2.08mmol、式(22)で表されるエステル構造を有するジアミン(以下APABとする)39.45mmolを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業社製、以下NMPとする)169mLを加え、溶液を80℃に加温し溶解させた。その後、この溶液に式(23)で表されるエステル構造を有するテトラカルボン酸二無水物(以下MTAHQとする)42.37mmolを徐々に加えた。30分間攪拌することで、溶液粘度が急激に増加した。さらに4時間撹拌させ、均一なポリアミド酸溶液(PAA−1)を得た。得られたPAA−1をGPCにて測定した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で123000であった。
【0117】
【化46】

【0118】
【化47】

【0119】
(ポリアミド酸溶液合成例2)
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にパラフェニレンジアミン(精工化学社製、以下PPDとする)133.23mmol、ODA33.30mmolを入れ、NMP476mLを加え、溶液を60℃に加温し溶解させた。溶解後に、この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱化学社製、以下BPDAとする)169.94mmolを徐々に加えた。30分間攪拌することで、溶液粘度が急激に増加した。さらに4時間撹拌させ、均一で粘稠なポリアミド酸溶液(PAA−2)を得た。得られたPAA−2をGPCにて測定した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で120000であった。
【0120】
(ポリアミド酸溶液合成例3)
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にODA8.26mmol、APAB19.27mmolを入れ、NMP119mLを加え、溶液を80℃に加温し溶解させた。溶解後に、この溶液に式(24)で表されるエステル構造を有するテトラカルボン酸二無水物(以下TABPとする)28.09mmolを徐々に加えた。30分間攪拌することで、溶液粘度が急激に増加した。さらに4時間撹拌させ、均一なポリアミド酸溶液(PAA−3)を得た。得られたPAA−3をGPCにて測定した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で72000であった。
【0121】
【化48】

【0122】
(ポリアミド酸溶液合成例4)
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に式(25)で表されるエステル構造を有するジアミン(以下BPIPとする)6.42mmol、APAB6.42mmolを入れ、NMP61mLを加え、溶液を80℃に加温し溶解させた。溶解後に、この溶液にTABP13.38mmolを徐々に加えた。30分間攪拌することで、溶液粘度が急激に増加した。さらに4時間撹拌させ、均一なポリアミド酸溶液(PAA−4)を得た。得られたPAA−4をGPCにて測定した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で98000であった。
【0123】
【化49】

【0124】
<ポリベンゾオキサゾール前駆体>
(ポリベンゾオキサゾール前駆体合成例1)
乾燥した100mlの2口ナスフラスコに、スターラーチップ、4、4’−ジアミノ−3、3’−ジヒドロキシビフェニル(セイカ社製、以下HABとする)13.88mmolを加え、窒素雰囲気下に置換し、N、N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製脱水グレード、以下DMFとする)17ml、ピリジン(和光純薬工業社製脱水グレード)30.53mmolを加え溶解させた。溶解後、反応溶液を−20℃に冷却し、別途DMF20mlに溶解させた4、4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド(以下DEDCとする)14.57mmolを滴下ロートにて滴下した。滴下に要した時間は30分であった。滴下後、室温に戻し2時間反応させた。上記反応液を200mlの蒸留水に攪拌しながら滴下し、重合体を分散させ、これをろ取した。適宜、エタノール、蒸留水にて洗浄後、50℃にて真空乾燥を行い、ポリベンゾオキサゾール前駆体(PPBO−1)を得た。得られたPPBO−1をGPCにて測定した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で9000であった。
【0125】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体合成例2)
DEDCの代わりに、イソフタル酸クロライド(和光純薬工業社製、以下IPCとする)を用いた以外は、合成例1と同様の方法により、ポリベンゾオキサゾール前駆体(PPBO−2)を得た。得られたPPBO−2をGPCにて測定した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で7800であった。
【0126】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体合成例3)
HABの代わりに、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(以下BASとする)を用いた以外は、合成例1と同様の方法により、ポリベンゾオキサゾール前駆体(PPBO−3)を得た。得られたPPBO−3をGPCにて測定した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で8000であった。
【0127】
(ポリベンゾオキサゾール前駆体合成例4)
乾燥した100mlの2口ナスフラスコに、スターラーチップ、HAB9.25mmolを加え、窒素雰囲気下に置換し、NMP40ml、ピリジン19.43mmolを加え溶解させた。溶解後、反応溶液を0℃に冷却し、別途NMP30mlに溶解させたDEDC9.71mmolを滴下ロートにて滴下した。滴下に要した時間は30分であった。滴下後、室温に戻し2時間反応させた。上記反応液を200mlの蒸留水に攪拌しながら滴下し、重合体を分散させ、これをろ取した。適宜、エタノール、蒸留水にて洗浄後、50℃にて真空乾燥を行い、ポリベンゾオキサゾール前駆体(PPBO−4)を得た。得られたPPBO−4をGPCにて測定した結果、重量平均分子量はポリスチレン換算で67000であった。
【0128】
<ポリアミド酸ワニス組成物>
ポリアミド酸溶液に、ポリアミド酸100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部のポリベンゾオキサゾール前駆体の粉末を加えた。攪拌を行いながら超音波洗浄機を使用し溶解させ、均一なポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0129】
また、ポリベンゾオキサゾール前駆体の粉末は、ポリアミド酸溶液の合成途中、もしくは、合成後に加えても同様のポリアミド酸ワニス組成物を得ることができる。
【0130】
<ポリイミド金属積層板>
金属製の塗工台に、12μm厚の銅箔を、マット面側が表面になるように静置した。塗工台の表面温度を80℃に設定し、上述で得られたポリアミド酸ワニス組成物をドクターブレードにて銅箔マット面に塗布した。その後、塗工台で30分静置、さらに乾燥器中、100℃で30分間静置の後、タック性のないポリアミド酸金属積層板(ポリアミド酸樹脂層の厚み45μm)を得た。次いで、SUS製金属板上にポリアミド酸金属積層板をテープではりつけ固定し、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/分にて、150℃で30分、200℃で1時間、400℃で1時間にてイミド化を行った。冷却後、SUS製金属板を取り外し、ポリイミド金属積層板を得た。
【0131】
<ポリイミドフィルム>
得られたポリイミド金属積層板の銅箔を塩化第二鉄溶液(鶴見曹達社製、40ボーメ、塩化第二鉄37%以上)を室温、もしくは50℃以下の加熱条件下にてエッチングすることにより、膜厚25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0132】
<重量平均分子量:Mw>
ポリアミド酸溶液、もしくはポリベンゾオキサゾール前駆体0.01gを精密天秤により計測し、10gの展開溶媒に溶解させた。展開溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、液体クロマトグラフィー用)1Lに対し、リチウムブロマイド(アルドリッチ社製)2.61g、リン酸水溶液(和光純薬工業社製、純度85%)5.88gを溶解させ作製した。この溶液を10μmのフィルターを通してろ過した。その後、ガードカラムとして、TSK guard Column Super H−H(商品名 東ソー社製)、分取カラムとしてTSK−GEL SUPER HM−H(商品名 東ソー社製)を2本直列に繋いだGPC(日本分光社製)により、上記展開溶媒を用いて、流速0.5ml/分にて分子量を測定した。分子量は、ポリスチレンを用いて換算した。
【0133】
<ガラス転移温度:Tg>
熱機械分析装置(TMA−50、島津製作所製社製)を用いて、熱機械分析により、幅3mm、長さ18mm(チャック間長さ15mm)、厚み25μmのポリイミドフィルムを、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50℃〜450℃の範囲における伸びの測定を行い、得られた曲線の変曲点からポリイミドフィルム(25μm厚)のガラス転移温度を求めた。
【0134】
<線熱膨張係数:CTE>
熱機械分析装置(TMA−50、島津製作所社製)を用いて、熱機械分析により、幅3mm、長さ18mm(チャック間長さ15mm)、厚み25μmのポリイミドフィルムを、荷重5g、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下(流量20ml/分)、温度50℃〜450℃の範囲における伸びの測定を行い、50℃〜200℃の範囲でのフィルム伸びの平均値としてポリイミドフィルム(25μm厚)の線熱膨張係数を求めた。
【0135】
<吸湿膨張係数:CHE>
熱機械分析装置(TM−9400、アルバック理工社製)及び湿度雰囲気調整装置(HC−1)を用いて、幅3mm、長さ30mm(チャック間長さ15mm)、厚み25μmのポリイミドフィルムを、23℃、荷重5gにて湿度30%RHから湿度70%RHに変化させた際の伸びの測定を行い、湿度30%RHから湿度70%RHにおけるフィルムの伸び平均値としてポリイミドフィルムの吸湿膨張係数を求めた。
【0136】
<ピール強度:銅箔とポリイミド層との接着強度>
試験片の測定法についてはJIS C6471規格に準じて行った。試験片は、ポリイミド金属積層板を長さ15cm×幅1cmの大きさに切断し、マスキングテープを用いて1cmの中心幅1mmのマスキングを行い、上記と同様の条件下にて塩化第二鉄溶液を用いて銅箔をエッチングした。得られた試験片を乾燥器105℃にて1時間以上放置し乾燥させ、その後、厚み3mmのFR−4基板に両面粘着テープにて取り付けた。幅1mmの銅箔をポリイミドフィルムとの界面で引剥がし、アルミ製テープに張りつけ掴み代とし、試料を作製した。
【0137】
得られた試料を引っ張り試験機(オートグラフAG-10KNI、島津製作所社製)に固定した。固定する際、確実に90°の方向に引き剥がすために治具をとりつけ、約50mm/分の速度にて50mm引き剥がした際の荷重を測定し、1cmあたりの接着強度として算出した。
【0138】
<金属箔の十点平均粗さ>
JIS B0601:1982に記載の十点平均粗さRzを、小坂研究所社製サーフコーダSE−30Dで測定した。
【0139】
(実施例1)
<ポリアミド酸ワニス組成物>
ポリベンゾオキサゾール前駆体合成例1で得られたPPBO−1を、ポリアミド酸溶液合成例1で得られたPAA−1樹脂固形分に対して1質量部加えて、攪拌しながら超音波洗浄機を用いて溶解し、均一なポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0140】
<ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルム>
金属製の塗工台に、12μm厚の銅箔(日本電解社製、USLP箔、Rz=1.8μm)を、マット面側が表面になるように静置した。塗工台の表面温度を80℃に設定し、先ほど得られたポリアミド酸ワニス組成物(PAA−1+PPBO−1)をドクターブレードにて銅箔マット面に塗布した。その後、塗工台で30分静置、さらに乾燥器中、100℃で30分間静置の後、タック性のない金属ポリアミド酸積層体(ポリアミド酸層の厚み45μm)を得た。次いで、SUS製金属板上に金属ポリアミド酸積層体をテープではりつけ固定し、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/分にて、150℃で30分、200℃で1時間、400℃で1時間にてイミド化を行った。その後、冷却し、SUS製金属板を取り外し、金属ポリイミド積層板が得られた。
【0141】
この金属ポリイミド積層板の銅箔を塩化第二鉄水溶液(鶴見曹達社製、40ボーメ、塩化第二鉄37%以上)を室温、もしくは50℃以下の加熱条件下にてエッチングすることにより、膜厚25μmの薄茶色のポリイミドフィルムを得た。
【0142】
得られた金属ポリイミド積層体、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0143】
(実施例2)
PPBO−1をPAA−1樹脂固形分に対して、1質量部加える代わりに、3質量部加えた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0144】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0145】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0146】
(実施例3)
PPBO−1をPAA−1樹脂固形分に対して、1質量部加える代わりに、5質量部加えた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0147】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0148】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0149】
(実施例4)
PPBO−1の代わりに、ポリベンゾオキサゾール前駆体合成例2で合成したPPBO−2を、PAA−1樹脂固形分に対し3質量部加えた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0150】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0151】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0152】
(実施例5)
PPBO−1の代わりに、ポリベンゾオキサゾール前駆体合成例3で合成したPPBO−3を、PAA−1樹脂固形分に対し3質量部加えた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0153】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0154】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0155】
(実施例6)
PPBO−1の代わりに、ポリベンゾオキサゾール前駆体合成例4で合成したPPBO−4を、PAA−1樹脂固形分に対し3質量部加えた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0156】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0157】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0158】
(実施例7)
PPBO−1を、ポリアミド酸溶液合成例2で得られたPAA−2樹脂固形分に対し3質量部加えて、攪拌しながら超音波洗浄機を用いて溶解し、均一なポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0159】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0160】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0161】
(実施例8)
PPBO−1を、ポリアミド酸溶液合成例3で得られたPAA−3樹脂固形分に対し3質量部加えて、攪拌しながら超音波洗浄機を用いて溶解し、均一なポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0162】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0163】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0164】
(実施例9)
PPBO−1を、ポリアミド酸溶液合成例4で得られたPAA−4に樹脂固形分に対して3質量部加えて、攪拌しながら超音波洗浄機を用いて溶解し、均一なポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0165】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0166】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0167】
(実施例10)
実施例9で得られたポリアミド酸ワニス組成物を用い、厚み12μm銅箔として、USLP箔の代わりにNA−DFF箔(三井金属社製、Rz=0.6μm)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0168】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0169】
(比較例1)
ポリアミド酸溶液合成例1で得られたPAA−1に添加剤を加えることなく、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0170】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0171】
(比較例2)
PPBO−1の代わりに、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン(四国化成社製、以下2E4MZとする)を、PAA−1樹脂固形分に対し3質量部加えた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリアミド酸ワニス組成物を得た。
【0172】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0173】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0174】
(比較例3)
ポリアミド酸溶液合成例2で得られたPAA−2に添加剤を加えることなく、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0175】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0176】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0177】
(比較例4)
ポリアミド酸溶液合成例3で得られたPAA−3に添加剤を加えることなく、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0178】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0179】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0180】
(比較例5)
ポリアミド酸溶液合成例4で得られたPAA−4に添加剤を加えることなく、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0181】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0182】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0183】
(比較例6)
ポリアミド酸溶液合成例4で得られたPAA−4に添加剤を加えることなく、かつ、厚み12μm銅箔として、USLP箔の代わりにNA−DFF箔(三井金属社製、Rz=0.6μm)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0184】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0185】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0186】
(比較例7)
PPBO−1の代わりに、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル)−エチル−s−トリアジン(四国化成社製、以下2E4MZとする)を、PAA−4に樹脂固形分3質量部加えポリアミド酸ワニス組成物を得た。その後、実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0187】
得られたポリアミド酸ワニス組成物を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより、ポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを得た。
【0188】
得られたポリイミド金属積層板、ポリイミドフィルムを用いて、上記に示した測定法により物性の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0189】
【表1】

【0190】
【表2】

【0191】
表2に示すように、本発明に係る添加剤を用いたポリアミド酸ワニス組成物は、添加剤を用いない比較例1、比較例3〜比較例6と比較して接着性を向上させることができる。また、イミダゾール骨格を有する化合物を添加剤として用いた比較例2、比較例7は、低ガラス転移温度化、高線熱膨張係数化、高吸湿膨張係数化するのに対し、本発明に係る添加剤を用いたポリアミド酸ワニス組成物は低ガラス転移温度化、高線熱膨張係数化、高吸湿膨張係数化することなく、接着性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明のポリアミド酸ワニス組成物およびこれを用いたポリイミド金属積層体は、高密度配線形成性や電気特性における高信頼性を有し、フレキシブルプリント配線板やICパッケージ基板などの配線基材に好適である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド酸溶液と、ポリアミド酸100質量部に対し、0.1〜10質量部の添加剤とを含有するポリアミド酸ワニス組成物であって、前記添加剤が式(1)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体及び、式(2)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾールのいずれか一種類以上を含有することを特徴とするポリアミド酸ワニス組成物。
【化1】

【化2】

(式(1)、(2)中、Arは4価の有機基であり、Bは2価の有機基である。)
【請求項2】
ポリアミド酸溶液と、ポリアミド酸100質量部に対し、0.1〜10質量部の添加剤とを含有するポリアミド酸ワニス組成物であって、前記添加剤が式(1)で表される反復単位を有するポリベンゾオキサゾール前駆体であることを特徴とするポリアミド酸ワニス組成物。
【化3】

(式(1)中、Arは4価の有機基であり、Bは2価の有機基である。)
【請求項3】
前記添加剤が、式(1)及び式(2)中の、Arが式(3)から式(5)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリアミド酸ワニス組成物。
【化4】

(式(3)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基であり、それぞれ独立であり、同じであっても異なっていてもよい。)
【化5】

【化6】

【請求項4】
前記添加剤が、式(1)及び式(2)中のArが式(4)から式(9)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリアミド酸ワニス組成物。
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【請求項5】
前記添加剤が、式(1)及び式(2)中のArが式(4)から式(6)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリアミド酸ワニス組成物。
【請求項6】
前記添加剤が、式(1)及び式(2)中のBが式(10)から式(13)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のポリアミド酸ワニス組成物。
【化13】

(式(10)中、R、Rは水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基を表し、それぞれ独立であり、同じであっても異なっていてもよい。)
【化14】

【化15】

【化16】

【請求項7】
前記添加剤が、式(1)及び式(2)中の、Bが式(11)及び式(14)で示される添加剤のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のポリアミド酸ワニス組成物。
【化17】

【化18】

【請求項8】
前記ポリアミド酸が式(15)で表される反復単位を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のポリアミド酸ワニス組成物。
【化19】

(式(15)中、Arは式(16)から式(18)で表される4価の芳香族基であり、Bは2価の芳香族基である。)
【化20】

【化21】

(式(17)中、Rは水素原子、炭素数1〜炭素数4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基である。)
【化22】

【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のポリアミド酸ワニス組成物より形成されてなるポリイミド層と、金属箔とを具備することを特徴とするポリイミド金属積層板。
【請求項10】
前記金属箔が銅箔であることを特徴とする請求項9に記載のポリイミド金属積層板。
【請求項11】
前記金属箔表面の十点平均粗さRzが0.7μm以下であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のポリイミド金属積層板。
【請求項12】
前記ポリイミド層の線熱膨張係数が15ppm/℃から25ppm/℃であることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載のポリイミド金属積層板。
【請求項13】
前記ポリイミド層のガラス転移温度が380℃以上であることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載のポリイミド金属積層板。
【請求項14】
接着強度が0.8N/mm以上であることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれかに記載のポリイミド金属積層板。
【請求項15】
請求項9から請求項14のいずれかに記載のポリイミド金属積層板を配線加工してなることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。

【公開番号】特開2010−195856(P2010−195856A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39354(P2009−39354)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】