説明

ポリカチオン性低分子阻害剤による標的オリゴ糖分子の認識、並びに、免疫疾患及び感染症の治療

【課題】ポリカチオン性低分子阻害剤による標的オリゴ糖分子の認識、並びに、免疫疾患及び感染症の治療。
【解決手段】ポリカチオン性低分子物質を使用し、オリゴ糖系生体分子に結合させることで、生体内作用を調節又は阻害する。酸化窒素、TNFα、又は、他の免疫賦活剤を阻害し、且つ、免疫疾患及び感染症の治療に有益な化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特定のポリカチオン性化合物に関する。本開示はまた、薬物標的、スクリーニングアッセイの構成、及び、標的糖質が関わる病的過程を阻害する薬剤の設計を規定するために用いることができる方法、並びに、組成物に関する。本開示はまた、疾患又は症状、特に免疫疾患及び感染症の治療に使用される薬剤に関する。
【0002】
ポリカチオン性低分子化合物は、細菌のリポ多糖類に結合して中和する。また、ポリカチオン性低分子化合物は、エンドトキシンショック状態若しくは敗血症の予防又は治療に適していることが試験結果より示唆されている。
【背景技術】
【0003】
糖質は、地球上にある莫大な有機物を代表するものである(非特許文献1)。約80%の分泌タンパク質及び細胞表面タンパク質がグリコシル化されていることが言及されている(非特許文献2)。科学における糖鎖生物学の分野において、糖鎖構造が生体機能に果たす役割の研究が行われている。概して複雑である、複合糖質の構造の性質を考慮すれば、糖質は、3大生体物質中で、最も詳細に研究されていない生体物質である。タンパク質及び核酸とは異なり、グリコシル化された生体構造の生合成は、鋳型による、情報主導の生成を伴わない。酵素が多様な組み合わせで基質に作用して、以下の3種類の主要な複合糖質を合成する。1)N−結合型糖タンパク質;2)O−結合型糖タンパク質;及び、3)グリコサミノグリカン(非特許文献3)。
【0004】
生体認識におけるオリゴ糖の役割は、近年の科学文献において十分に示されている。この役割は、細胞接着、細胞間の情報伝達及びシグナル変換、細菌及びウイルスによる感染経路、発生、並びに、免疫にまで及ぶ(非特許文献4)。先天性免疫応答及び適応免疫応答に関わる重要な分子のほぼ全てが糖タンパク質であることが言及されている(非特許文献5)。
【0005】
糖類の特異的な生体認識は、その複雑且つ不規則な多機能構造のために、自然現象ではあるとしても、途方もない化学的難問である(非特許文献6)。ポリヒドロキシル化された外側は水との会合力が高いので、この難問はより一層困難なものとなる。タンパク質の単糖類との結合定数が、生体分子認識においては顕著に低い値である約10−1にピークを有することが言及されている(非特許文献7)。単量体の糖質に対するこの低い分子親和性は、いわゆる「糖鎖クラスター効果」によって生物学的に高められる。糖質がオリゴマー化されると、この効果は顕在化し、それにより、付加的な方法だけでなく、エントロピーによる方法を通して結合効率が最大化される(非特許文献8)。
【0006】
オリゴ糖結合タンパク質のX線構造によって、糖質の極性基が、タンパク質上に存在する、相補的な極性供与体且つ受容体である水素結合部位との多点水素結合性相互作用に関与することが明らかになった。自然界では、結合の特異性及びエネルギーを得るために、この相補的な相互作用が大いに利用されている。さらに、タンパク質上の荷電残基と、相補的な電荷を持つ、以下の糖質構造上の官能基:カルボン酸基、リン酸基、硫酸基、又はアンモニウム基との間には複数の橋かけが認められる。セリンヒドロキシル基、チロシンヒドロキシル基、及び、スレオニンヒドロキシル基の関与は比較的まれであることが言及されている(非特許文献9)。また、糖質との相補的な非極性相互作用の大部分に、タンパク質結合パートナー上の芳香族残基が関与していることも言及されている10(非特許文献10)。ほとんどの水素結合には、平面構造をとる多価の側鎖基(Asn、Asp、Glu、Gln、Arg、His)が関与している。さらなる考察により、2−アミノピリジン部分が、アスパラギン/グルタミンのアミド側鎖の複素環状の擬似物としての作用能を有することが確認された11(非特許文献11)。
【0007】
アニオン性オリゴ糖に結合する多塩基性タンパク質リガンドの詳細な三次元構造の例がいくつかある。線維芽細胞増殖因子とヘパリンとの結合相互作用12(非特許文献12)によって、多数の正に帯電したタンパク質残基が、負に帯電した複合糖質受容体と相互作用することが明らかになっている。受容体上の負に帯電した種の多くが、L−イズロン酸及びD−グルコサミンが交互に存在する糖類上で、不均一に硫酸化されているということの認識が重要である13(非特許文献13)。受容体と相互作用している、糖タンパク質ホルモンである卵胞刺激ホルモンをX線解析することによって、高い電荷密度(1nm当たりの電荷が1.13)を有する大きな埋もれた界面(2600Å)が、全般的な結合形態(その結合形態においては、電荷の相補性が特異性を規定している)を規定していることが示されている14(非特許文献14)。理論上、結合の前にパートナーを脱溶媒和することによって大きなエネルギー障壁を超える必要がある。
【0008】
スルホトランスフェラーゼとして知られている糖質修飾酵素は、生体分子上にアニオン性結合部位を可逆的に生成するために本来使用される興味深い方法において代表されるものである。多くの文献に、硫酸化複合糖質の有無によって調節される、発生、分化、及び、とりわけ免疫等の生物学的現象の例の記載がある15(非特許文献15)。具体的には、ヘパリン(HP)がポリアミン、特にスペルミンと相互作用することが知られていることから、グリコサミノグリカン(GAGs)の存在下での、血液凝固及び線維素溶解に対するポリアミンの効果が調べられた16(非特許文献16)。
【0009】
近年、科学の進歩によって、生体内作用における特異的な糖質の役割がかなり明確になった。この進歩に関する再考がなされている17,18(非特許文献17、18)。特に興味深い発展は、所定のオリゴ糖の自動固相合成法である19(非特許文献19)。ヘパリン/ヘパラン硫酸塩と種々のタンパク質との相互作用が再検討されている20(非特許文献20)。オリゴ糖が介在する生物学的事象の阻害剤のスクリーニングを、マイクロタイタープレートフォーマットに応用することに成功している21,22(非特許文献21、22)。表面プラズモン共鳴イメージング法の使用が、タンパク質−糖質の相互作用の研究に応用されている23(非特許文献23)。光学バイオセンサーの創薬への一般的利用も再検討されている24(非特許文献24)。キャピラリー電気泳動法は、硫酸化多糖とタンパク質との相互作用を規定にするために使用される補助ツールである25(非特許文献25)。
【0010】
糖質の介在による疾患過程の阻害
Joostenらの報告によって、ポリアミドコア(PAMAM−)を含む、一連の樹枝状ガラビオース化合物が、ナノモル未満の濃度レベルで、細菌の結合を阻害する活性を有することが明らかにされている26(非特許文献26)。Yudovin−Farberの報告によって、ポリカチオン性オリゴ糖を用いて抗プリオン剤が製造できることが明らかにされている27(非特許文献27)。さらに、ポリカチオン性剤を用いて、感染個体からプリオン粒子を除去できることが明らかにされている28−31(非特許文献28〜31)。医薬品化学において、インテグリンが介在する事象の阻害という目的に対して精力が注がれてきた32,33(非特許文献32、33)。細胞表面上のインテグリン受容体として知られるこれらの細胞接着分子による分子認識は、細胞接着においてだけでなく、受精、器官形成、細胞移動、リンパ球トラフィッキング、免疫応答、及び、癌転移においても、最も重要な生体内作用の一つである34(非特許文献34)。生体防御機構が低下、若しくは、不全に陥った場合、又は、重度の全身感染症(グラム陰性菌敗血症)の抗生物質による化学療法を行った結果として、高頻度で発症する全身中毒症候群である敗血症ショックにおいて、グラム陰性細菌の外膜の主要な構成成分であるエンドトキシン、又は、リポ多糖(LPS)35−37(非特許文献35〜37)が、極めて重要な役割を果たしている38−41(非特許文献38〜41)。一般用語では「血液中毒」と呼ばれるが、グラム陰性菌敗血症は、全死因中、第13位であり42(非特許文献42)、集中治療室内での死因の第1位であって43(非特許文献43)、米国では死亡者数が毎年200,000人を超えている44(非特許文献44)。抗微生物化学療法の驚異的な進歩にもかかわらず、敗血症の発生数は、1979年から2000年までにほぼ3倍に増加し45(非特許文献45)、敗血症に関連した死亡率は約45%のまま本質的に変化していない46(非特許文献46)。これらのことは、積極的な抗微生物治療だけでは、重篤患者の死亡率を抑制するのに十分ではないという事実を浮き彫りにするとともに、敗血症の病態生理学に特化した治療法が早急に必要とされているが、また対処されていないことを明白にしている。
【0011】
体循環中にLPSが存在すると、先天性免疫応答が広範にわたって活性化され47,48(非特許文献47、48)、内皮細胞によって産生される酸化窒素51,52(非特許文献51、52)等の他のものと同様に、主には単球/マクロファージ系譜の細胞により49,50(非特許文献49、50)、多数の炎症性メディエータ(腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−1β(IL−1β)、及び、インターロイキン−6(IL−6)を含む)が無制限に産生される。これらは、一斉に作用して、致死率の高い「敗血症ショック」と呼ばれる全身性炎症反応53(非特許文献53)を引き起こす。LPSの毒性部分は、親水性のビスリン酸化されたジグルコサミン骨格と、6個(大腸菌)又は7個(サルモネラ菌)のアシル鎖である疎水性ドメインからなり、構造的に保存された糖脂質成分であって、リピドAと呼ばれる54(非特許文献54)。低分子によるリピドAの中和に必要な薬理作用団55(非特許文献55)には、14Å以下の距離で隔てられた2個のプロトン化可能な正電荷が必要であり、それによってカチオン性基とリピドAのリン酸との間のイオン性水素結合が可能になる。さらに、リピドAのポリアシルドメインとの疎水性相互作用によって、得られる複合体を一層安定化させるために、適当に配置された疎水性のペンダント官能基も必要である(最近の概説については、非特許文献56参照)。これらの構造的要件は、新規に開発され、現在DNAトランスフェクション(リポフェクション)試薬57−60(非特許文献57〜60)として使用されている、新規の種類の化合物であるリポポリアミンの特定の部位で最初に同定された。同族列のアシルホモスペルミンにおける炭化水素鎖の長さの効果を詳細に研究したところ、C16が、最大親和力、最適な水溶性(及びバイオアベイラビリティ)、並びに、中和活性を奏する理想的な親油性置換基であることが分かった61(非特許文献61)。
【0012】
【非特許文献1】Sinnott,M.L.、「Catalytic mechanism of enzymic glycosyl transfer」、Chem.Rev.、1990年、90、1171‐1202
【非特許文献2】Rudd,P.M.;Wormald,M.R.;Dwek,R.A.、「Sugar‐mediated ligand‐receptor interactions in the immune system」、 Trends Biotechnol.、2004年、22、524‐530
【非特許文献3】Spiro,R.G.、「Protein glycosylation:nature,distribution,enzymatic formation, and disease implications of glycopeptide bonds」、Glycobiology、2002年、12、43R‐56R
【非特許文献4】Varki,A.、「Biological roles of oligosaccharides:all of the theories are correct」、Glycobiology、1993年、3、97‐130
【非特許文献5】Rudd,P.M.;Elliott,T.;Cresswell,P.;Wilson,I.A.;Dwek,R.A.、「Glycosylation and the immune system」、Science、2001年、291、2370‐2376
【0013】
【非特許文献6】Sears,P.;Wong,C.H.、「Intervention of carbohydrate recognition by proteins and nucleic acids」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1996年、93、12086‐12093
【非特許文献7】Klein,E.;Crump,M.P.;Davis,A.P.、「Carbohydrate recognition in water by a tricyclic polyamide receptor」、Angew.Chem.Int.Ed Engl.、2004年、44、298‐302
【非特許文献8】Lundquist,J.J.;Toone,E.J.、「The cluster glycoside effect」、Chem.Rev.、2002年、102、555‐578
【非特許文献9】Klein,E.;Crump,M.P.;Davis,A.P.、「Carbohydrate recognition in water by a tricyclic polyamide receptor」、Angew.Chem.Int.Ed Engl.、2004年、44、298‐302
【非特許文献10】Motohiro Nishio;Yoji Umezawa;Minoru Hirota;Yasuo Takeuchi、「The CH/p interaction:Significance in molecular recognition」、Tetrahedron、1995年、51(32)、8665‐8958
【0014】
【非特許文献11】Huang,C‐Y.;Cabell,L.A.;Anslyn,E.V.、「Molecular Recognition of Cyclitols by Neutral Polyaza‐Hydrogen‐Bonding Receptors:The Strength and Influence of Intramolecular Hydrogen Bonds between Vicinal Alcohols」、J.Am.Chem.Soc.、1994年、116、2778‐2792
【非特許文献12】Faham,S.;Hileman,R.E.;Fromm,J.R.;Linhardt,R.J.;Rees,D.C.、「Heparin structure and interactions with basic fibroblast growth factor」、Science、1996年、271、1116‐1120
【非特許文献13】DiGabriele, A.D.;Lax,I.;Chen,D.I.;Svahn,C.M.;Jaye,M.;Schlessinger,J.;Hendrickson,W.A.、「Structure of a heparin‐linked biologically active dimer of fibroblast growth factor」、Nature、1998年、393、812‐817
【非特許文献14】Fan,Q.R.;Hendrickson,W.A.、「Structure of human follicle‐stimulating hormone in complex with its receptor」、Nature、2005年、433、269‐277
【非特許文献15】Honke,K.;Taniguchi,N.、「Sulfotransferases and sulfated oligosaccharides」、Med.Res.Rev.、2002年、22、637‐654
【0015】
【非特許文献16】Homma,R.;Mase,A.;Toida,T.;Kashiwagi,K.;Igarashi,K.、「Modulation of blood coagulation and fibrinolysis by polyamines in the presence of glycosaminoglycans」、Int.J.Biochem.Cell Biol.、2005年
【非特許文献17】Ratner,D.M.;Adams,E.W.;Disney,M.D.;Seeberger,P.H.、「Tools for glycomics: mapping interactions of carbohydrates in biological systems」、Chembiochem.、2004年、5、1375‐1383
【非特許文献18】Mechref,Y.;Novotny,M.V.、「Structural investigations of glycoconjugates at high sensitivity」、Chem.Rev.、2002年、102、321‐369
【非特許文献19】Werz,D.B.;Seeberger,P.H.、「Carbohydrates as the Next Frontier in Pharmaceutical Research」、Chemistry.、2005年、11、3194‐3206
【非特許文献20】Powell,A.K.;Yates,E.A.;Fernig,D.G.;Turnbull,J.E.、「Interactions of heparin/heparan sulfate with proteins:appraisal of structural factors and experimental approaches」、Glycobiology、2004年、14、17R‐30R
【0016】
【非特許文献21】Blixt,O.;Collins,B.E.;van,d.N.,I;Crocker,P.R.;Paulson,J.C.、「Sialoside specificity of the siglec family assessed using novel multivalent probes:identification of potent inhibitors of myelin‐associated glycoprotein」、J.Biol.Chem.、2003年、278、31007‐31019
【非特許文献22】Bryan,M.C.;Plettenburg,O.;Sears,P.;Rabuka,D.;Wacowich‐Sgarbi,S.;Wong,C.H.、「Saccharide display on microtiter plates」、Chem.Biol.、2002年、9、713‐720
【非特許文献23】Smith,E.A.;Thomas,W.D.;Kiessling,L.L.;Corn,R.M.、「Surface plasmon resonance imaging studies of protein‐carbohydrate interactions」、J.Am.Chem.Soc.、2003年、125、6140‐6148
【非特許文献24】Cooper,M.A.、「Optical biosensors in drug discovery」、Nat.Rev.Drug Discov.、2002年、1、515‐528
【非特許文献25】Varenne,A.;Gareil,P.;Colliec‐Jouault,S.;Daniel,R.、「Capillary electrophoresis determination of the binding affinity of bioactive sulfated polysaccharides to proteins:study of the binding properties of fucoidan to antithrombin」、Anal.Biochem.、2003年、315、152‐159
【0017】
【非特許文献26】Joosten,J.A.;Loimaranta,V.;Appeldoorn,C.C.;Haataja,S.;El Maate,F.A.;Liskamp,R.M.;Finne,J.;Pieters,R.J.、「Inhibition of Streptococcus suis adhesion by dendritic galabiose compounds at low nanomolar concentration」、J.Med.Chem.、2004年、47、6499‐6508
【非特許文献27】Yudovin‐Farber,I.;Azzam,T.;Metzer,E.;Taraboulos,A.;Domb,A.J.、「Cationic polysaccharides as antiprion agents」、J.Med.Chem.、2005年、48、1414‐1420
【非特許文献28】Yudovin‐Farber,I.;Azzam,T.;Metzer,E.;Taraboulos,A.;Domb,A.J.、「Cationic polysaccharides as antiprion agents」、J.Med.Chem.、2005年、48、1414‐1420
【非特許文献29】Supattapone,S.;Wille,H.;Uyechi,L.;Safar,J.;Tremblay,P.;Szoka,F.C.;Cohen,F.E.;Prusiner,S.B.;Scott,M.R.、「Branched polyamines cure prion‐infected neuroblastoma cells」、J.Virol.、2001年、75、3453‐3461
【非特許文献30】Winklhofer,K.F.;Tatzelt,J.、「Cationic lipopolyamines induce degradation of PrPSc in scrapie‐infected mouse neuroblastoma cells」、Biol.Chem.、2000年、381、463‐469
【0018】
【非特許文献31】Supattapone,S.;Nguyen,H.O.;Cohen,F.E.;Prusiner,S.B.;Scott,M.R.、「Elimination of prions by branched polyamines and implications for therapeutics」、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A、1999年、96、14529‐14534
【非特許文献32】Castanedo,G.M.;Sailes,F.C.;Dubree,N.J.;Nicholas,J.B.;Caris,L.;Clark,K.;Keating,S.M.;Beresini,M.H.;Chiu,H.;Fong,S.;Marsters,J.C.,Jr.;Jackson,D.Y.;Sutherlin,D.P.、「Solid‐phase synthesis of dual alpha4beta1/alpha4beta7 integrin antagonists:two scaffolds with overlapping pharmacophores」、Bioorg.Med.Chem.Lett.、2002年、12、2913‐2917
【非特許文献33】Astles,P.C.;Harris,N.V.;Morley,A.D.、「Diamine containing VLA‐4 antagonists」、Bioorg.Med.Chem.、2001年、9、2195‐2202
【非特許文献34】Ruoslahti,E.;Pierschbacher,M.D.、「New perspectives in cell adhesion:RGD and integrins」、Science、1987年、238、491‐497
【非特許文献35】Luderitz,O.;Galanos,C.;Rietschel,E.T.、「Endotoxins of gram‐negative bacteria」、Pharmacol. Ther.、1982年、15、383‐402
【0019】
【非特許文献36】Rietschel,E.T.;Kirikae,T.;Schade,F.U.;Mamat,U.;Schmidt,G.;Loppnow,H.;Ulmer,A.J.;Zahringer,U.;Seydel,U.;Di Padova,F.;他、「Bacterial endotoxin:molecular relationships of structure to activity and function」、FASEB J.、1994年、8、217‐225
【非特許文献37】Rietschel,E.T.;Brade,L.;Lindner,B.;Zahringer,U.、「Biochemistry of lipopolysaccharides」、Bacterial endotoxic lipopolysaccharides,vol.I.Molecular biochemistry and cellular biology、Morrison,D.C.;Ryan,J.L.Eds.;CRC Press:Boca Raton、1992年、pp.1‐41
【非特許文献38】Hurley,J.C.、「Antibiotic‐induced release of endotoxin:A reappraisal」、Clin.Infect.Dis.、1992年、15、840‐854
【非特許文献39】Hurley,J.C.、「Antibiotic‐induced release of endotoxin.A therapeutic paradox」、Drug Saf.、1995年、12、183‐195
【非特許文献40】Prins,J.M.;van Agtmael,M.A.;Kuijper,E.J.;van Deventer,S.J.;Speelman,P.、「Antibiotic‐induced endotoxin release in patients with gram‐negative urosepsis:a double‐blind study comparing imipenem and ceftazidime」、J.Infect.Dis.、1995年、172、886‐891
【0020】
【非特許文献41】Prins,J.M.;Van Deventer,S.J.H.;Kuijper,E.J.;Speelman,P.、「Clinical relevance of antibiotic‐induced endotoxin release」、Antimicrob.Agents Chemother.、1994年、38、1211‐1218.
【非特許文献42】Gelfand,J.A.;Shapiro,L.、「Cytokines and sepsis:pathophysiology and therapy」、New Horizons、1993年、1、13‐22
【非特許文献43】Gasche,Y.;Pittet,D.;Sutter,P.、「Outcome and prognostic factors in bacteremic sepsis」、Clinical trials for treatment of sepsis、Sibbald,W.J.;Vincent,J.L.Eds.;Springer‐Verlag:Berlin、1995年;pp.35‐51
【非特許文献44】Centers for Diseases Control、「Increases in national hospital discharge survey rates for septicemia‐United States,1979‐1987」、MMWR、1990年、39、31‐34
【非特許文献45】Martin,G.S.;Mannino,D.M.;Eaton,S.;Moss,M.、「The epidemiology of sepsis in the United States from 1979 through 2000」、N.Engl.J.Med.、2003年、348、1546‐1554
【0021】
【非特許文献46】Cross,A.;Opal,S.M.、「Therapeutic intervention in sepsis with antibody to endotoxin:is there a future?」、J.Endotoxin Res.、1994年、1、57‐59
【非特許文献47】Ulevitch,R.J.、「Molecular mechanisms of innate immunity」、Immunol.Res.、2000年、21、49‐54
【非特許文献48】Ulevitch,R.J.;Tobias,P.、「Recognition of gram‐negative bacteria and endotoxin by the innate immune system」、Curr.Opin.Immunol.、1999年、11、19‐23
【非特許文献49】Dinarello,C.A.、「Cytokines as mediators in the pathogenesis of septic shock」、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、1996年、216、133‐165
【非特許文献50】Michie,H.R.;Manogue,K.R.;Spriggs,D.R.;Revhaug,A.;O’Dwyer,S.;Dinarello,C.A.;Cerami,A.;Wolff,S.M.;Wilmore,D.W.、「Detection of circulating tumor necrosis factor after endotoxin administration」、N.Engl.J.Med.、1988年、318、1481‐1486
【0022】
【非特許文献51】Meyer,J.;Traber,D.L.、「Nitric oxide and endotoxin shock」、Cardiovasc.Res.、1992年、26、558
【非特許文献52】Wright,C.E.;Rees,D.D.;Moncada,S.、「Protective and pathological roles of nitric oxide in endotoxin shock」、Cardiovasc.Res.、1992年、26、48‐57
【非特許文献53】Bone,R.C.、「The sepsis syndrome.Definition and general approach to management」、Clin.Chest Med.、1996年、17、175‐181
【非特許文献54】Raetz,C.R.H.;Whitfield,C.、「Lipopolysaccharide endotoxins」、Annu.Rev.Biochem.、2002年、71、635‐700
【非特許文献55】David,S.A.;Mathan,V.I.;Balaram,P.、「Interactions of linear dicationic molecules with lipid A:Structural requisites for optimal binding affinity」、J.Endotoxin.Res.、1995年、2、325‐336
【0023】
【非特許文献56】David,S.A.、「Towards a rational development of anti‐endotoxin agents:novel approaches to sequestration of bacterial endotoxins with small molecules (Invited Review)」、J.Molec.Recognition、2001年、14、370‐387
【非特許文献57】Behr,J.P.;Demeneix,B.;Loeffler,J.P.;Perez‐Mutul,J.、「Efficient gene transfer into mammalian primary endocrine cells with lipopolyamine‐coated DNA」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1989年、86、6982‐6986
【非特許文献58】Behr,J.P.、「Gene transfer with synthetic cationic amphiphiles:Prospects for gene therapy」、Bioconjug.Chem.、1994年、5、382‐389
【非特許文献59】Felgner,P.L.;Gadek,T.R.;Holm,M.;Roman,R.;Chan,H.W.;Wenz,M.;Northrop,J.P.;Ringold,G.M.;Danielsen,M.、「Lipofection:a highly efficient,lipid‐mediated DNA transfection procedure」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1987年、84、7413‐7417
【0024】
【非特許文献60】San,H.;Yang,Z.Y.;Pompili,V.J.;Jaffe,M.L.;Plautz,G.E.;Xu,L.;Felgner,J.;Wheeler,C.J.;Felgner,P.L.;Gao,X.、「Safety and short‐term toxicity of a novel cationic lipid formulation for human gene therapy」、Hum.Gene Ther.、1993年、4、781‐788
【非特許文献61】Miller,K.A.;Suresh Kumar,E.V.K.;Wood,S.J.;Cromer,J.R.;Datta,A.;David,S.A.、「Lipopolysaccharide Sequestrants:Structural Correlates of Activity and Toxicity in Novel Acylhomospermines」、J.Med.Chem.、2005年、48、2589‐2599
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0025】
本開示は、オリゴ糖系生体分子をポリカチオン性低分子物質に結合させることを含む調節方法又は阻害方法に関する。
【0026】
本開示は、下記化学式:
【0027】
【化1】

【0028】
及び
【0029】
【化2】

【0030】
(式中、
xは、−(CH−;1,2−C−;1,3−C−;1,4−C−;及び、−CHOCH−からなる群より選択され;
yは、0〜10の整数であり;
Rは、−H、−CH、−CH、−CH−3−インドリン、−CH−2−インドリン、及び、−CH−4−イミダゾールからなる群より選択され;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;並びに、
R’は、−(CH−CH;−(CH−CHNH;フェニル基;1−ナフチル基;及び、2−ナフチル基からなる群より選択され;
oは0〜16の整数である)
で表される化合物、薬学的に許容されるその塩、及び、そのプロドラッグに関する。
【0031】
また、本開示は、有効量の上記に開示された化合物を、治療が必要な患者に投与することによって、乾癬、狼瘡、クローン病、炎症性腸疾患、関節リウマチ、1型糖尿病、2型糖尿病、又は、敗血症等の免疫疾患を治療することにも関する。
【0032】
本開示のさらなる態様は、有効量の上記に開示された化合物を、治療を必要とする患者に投与することによって、細菌、真菌、又は、ウイルスによりひき起こされるような感染症を治療することにも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本開示の化合物は、以下の化学式:
【0034】
【化3】

【0035】
及び
【0036】
【化4】

【0037】
(式中、
xは、−(CH−;1,2−C−;1,3−C−;1,4−C−;及び、−CHOCH−からなる群より選択され;
yは、0〜10の整数であり;
Rは、−H、−CH、−CH、−CH−3−インドリン、−CH−2−インドリン、及び、−CH−4−イミダゾールからなる群より選択され;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;並びに、
R’は、−(CH−CH;−(CH−CHNH;フェニル基;1−ナフチル基;及び、2−ナフチル基からなる群より選択され;
oは0〜16の整数である)で表され、薬学的に許容されるその塩、及び、そのプロドラッグに関す。
【0038】
本開示に係る好適な化合物は以下の化学式で表される。
【0039】
1.MQTS 1172の化学式:
【0040】
【化5】

【0041】
2.MQTS 1132の化学式:
【0042】
【化6】

【0043】
3.MQTS 1007の化学式:
【0044】
【化7】

【0045】
及び、
【0046】
4.MQTS 1242の化学式:
【0047】
【化8】

【0048】
本開示に係る更に好適な化合物であって、上記で特定されているような1,3−C−という分子配列を持つ化合物は、下記化学式で表される。
【0049】
【化9】

【0050】
及び、
【0051】
【化10】

【0052】
本開示によれば、末端に位置する長鎖脂肪族基が、効率的なLPS中和にとって重要である。さらに、上記化合物によって規定されたケミカルスペースにより、上記のLPS結合性薬理作用団が組み込まれている新規の非ポリアミンスキャッホールドが同定される。
【0053】
種々の窒素官能基(アミノ基、ヒドロキシアミノ基、ヒドラジノ基、グアニジノ基、アミジノ基、アミド基等)を有する化合物のプロドラッグ形態には、以下のタイプの誘導体(式中、各R基は、それぞれ、上記に規定したように、水素、置換若しくは非置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルキルアリール基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基、シクロアルキル基、又は、シクロアルケニル基であってもよい)が含まれる。
【0054】
カルボキサミド、−NHC(O)R
【0055】
カルバメート、−NHC(O)OR
【0056】
(アシルオキシ)アルキルカルバメート、NHC(O)OROC(O)R
【0057】
エナミン、−NHCR(=CHCROR)、又は、−NHCR(=CHCRONR
【0058】
シッフ塩基、−N=CR
【0059】
マンニッヒ塩基(カルボキサミド化合物由来)、RCONHCHNR
【0060】
このようなプロドラッグ誘導体の調製について、さまざまな文献で考察されている(例えば、Alexander et al.,J.Med.Chem.1988,31,318;Aligas−Martin et al.,PCT WO pp/41531,p.30)。これらの誘導体を調製するときに転換される窒素官能基は、本発明の化合物の1つ(又は複数)の窒素原子である。
【0061】
カルボキシル基を有する本発明の化合物のプロドラッグ形態には、エステル(−COR)が含まれる。上記エステルの式中、R基は任意のアルコール(薬学的に許容されるレベルで、酵素又は加水分解による経路を介して体内へ放出される)である。
【0062】
本発明のカルボン酸型に由来する別のプロドラッグは、Bodor et al.,J.Med.Chem.1980,23,469に記載された構造をもつ、以下の第四級塩タイプであってもよい。
【0063】
【化11】

【0064】
当然のことながら、本開示の化合物は、分子内の種々の原子においてとり得るすべての光学異性体及び立体異性体に関する。
【0065】
本開示の化合物は、多様な有機酸及び無機酸、並びに、塩基との酸付加塩、及び、塩基付加塩を形成し、薬化学において用いられることが多い生理学的に許容される塩を含む。そのような塩も本開示の一部である。そのような塩を形成するために用いられる典型的な無機酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次リン酸等がある。有機酸由来の塩、例えば、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸、フェニル置換アルコン酸、ヒドロキシアルカン酸及びヒドロキシアルカンニ酸、芳香族酸、脂肪族スルホン酸、並びに、芳香族スルホン酸等も用いることができる。したがって、このような薬学的に許容される塩には、酢酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o−アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸塩、臭化物、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,4−ジオエート、カプリン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、桂皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、メタスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酒石酸塩等がある。
【0066】
塩を形成させるために一般的に用いられる塩基には、水酸化アンモニウム、アルカリ及びアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、並びに、脂肪族の一級、二級及び三級アミン、脂肪族ジアミン等がある。付加塩を調製するのに特に有用な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、メチルアミン、ジエチルアミン、及び、エチレンジアミン等がある。
【0067】
上記化合物は、単独で、又は、他の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0068】
本開示の別の態様において、上記化合物及び誘導体を含む組成物が提供される。一般的に、この組成物は、適当な担体又は賦形剤を含むことによって、薬学的用途に適するように調合される。
【0069】
本開示のさらなる態様において、上記化合物及び組成物を用いるための方法が提供される。これらの方法は、本発明の化合物を用いて、オリゴ糖系生体分子の認識又は結合を含む生体内作用を調節又は阻害することを含む。本開示の化合物は、NO(酸化窒素)を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療するのに有用である。ヒトの疾患及び症状の例には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない;慢性又は急性の炎症、炎症性腸疾患(クローン病等)、炎症性腸症候群、自己免疫疾患関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、皮膚狼瘡、1型及び2型糖尿病、多発性硬化症、乾癬、脊椎関節症(SpA)(脊椎炎、滑膜炎、乾癬性関節炎、及び、無症状腸炎等)、並びに、感染症(敗血症、敗血症性ショック、エンドトキシンショック、HIV、及び、その他のウイルス性感染(サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス等);その他の細菌又は真菌が原因となる感染症等)。
【0070】
上述したように、本開示は、オリゴ糖類の介在による生物学的現象を選択的に阻害する方法の例を記載している。この方法は、オリゴ糖の複合体を含む、生物学的標的及び薬剤標的となる可能性のあるものの全数を認識する。多くのこれらアニオン性オリゴ糖標的の一つであるリピドA/エンドトキシンへの結合に対する分子的な寄与度を、予め設計された、中位サイズの540種類のメンバーからなる標本ライブラリーを適用して、迅速且つ詳細な方法で評価した。最も強く結合する類似化合物に対する、単量体のライブラリー構成要素各々による寄与度の解析は、「分子ベクター解析法」を用いることで容易になった。この解析によって、親油性長鎖脂肪族基(一般的にはC12〜C22脂質鎖、より一般的にはC18脂質鎖)の重要性が確認されたが、トリプトファンのインドール部位等の複素環式芳香族部分による寄与も指摘された。Synphaseランタン等の技術を、データ転送/処理ソフトウェアとともに取り入れることによって、数百種類ものメンバーからなるライブラリーの合成がさらに直接的になった。
【0071】
本開示をさらに説明するために、以下に非限定的な例を示す。
【0072】
一般的な実験法
すべての化学試薬及び出発物質の供給源は、入手可能なものの中で最高等級のものであり、さらに精製することなく使用する。使用するランタンは、トリチルアルコールリンカーを有するMimotopes社製SynPhase PS D−シリーズランタン(商標)である。薄層クロマトグラフィー分析及びカラムクロマトグラフィーを、それぞれ、Merck社製F254シリカゲルプレート及びBaker社製40μmフラッシュクロマトグラフィーパッキングを用いて行う。TLC分析では、ニンヒドリン染色法による検出に、特定の溶媒系を使用した。Mettler−Toledo社のBalanceLink V3.0ソフトウェアを使用することによって、データ処理が容易になり、重量値をExcel(登録商標)のスプレッドシートに直接転送することができる。25℃で作動させたSavant社製遠心エバポレーターを使用して、樹脂切断による溶媒を留去する。
【0073】
215リキッドハンドラーと連結したGilson社製322HPLCシステムを使用して、LC/MS分析を行う。Agilent1100シリーズのダイオードアレイ検出器(UV範囲:220nm〜320nm)とともに、ESIモード(m/z範囲:140〜1600amu)で作動するFinnigan AQAによって検出を行った。Waters社製XTerra MS C18の2.1×150mm(3.5μm)カラムを使用し、2%〜100%のCHCN/HOを用いて(0.05%TFAをともに用いる)、2分〜7分、0.2mL/分での勾配溶離を行う。Washington大学(シアトル)において、Bruker社製AV300分光器にて、300MHzでのH NMRスペクトルを記録する。H NMRシグナルは、s=一重線、d=二重線、t=三重線又はm=多重線というように別段の記載がない限り、通常は多重線である。化学シフトは、外部基準3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸のナトリウム塩に対するものである。
【実施例1】
【0074】
N−(2−ニトロフェニルスルホンアミド)−グリシン酸エチル(2a)
0℃にて、グリシンエチル塩酸塩25.11g(0.180mol)、及び、2−ニトロフェニルスルホニルクロリド42.11g(0.190mol、1.06当量)を含む無水CHCl溶液400mLに、PrNEt76.6mL(0.44mol、2.44当量)を滴下する。得られた溶液を18時間攪拌し、HO200mLを加えてクエンチする。有機層を取り除き、追加分のCHCl200mLにより、水層を再抽出する。集めた有機層を0.1N HClで洗浄し、次いで、食塩水で洗浄し、乾燥し、蒸発させて、オフホワイト色の固形物として粗生成物を得る。無水EtOH400mLからこの粗生成物を結晶化し、白色の結晶44.69g(90%)を得る。H NMR(CDCl、δ):8.16(d、1H)、7.82(d、1H)、7.78(m、2H)、5.62(s、1H)、4.04(q、2H)、3.98(s、2H)、1.24(t、3H)。
【実施例2】
【0075】
N−(2−ニトロフェニルスルホンアミド)−2−アミノプロピオン酸エチル(2b)
上記の手順を用い、この生成物は80%の収率で生成される。H NMR(CDCl、δ):8.24(d、1H)、7.81(d、1H)、7.74(m、2H)、5.75(s、1H)、4.11(q、2H)、3.43(q、2H)、3.23(m、2H)、2.43(t、2H)、1.22(t、3H)。
【実施例3】
【0076】
N−(2−ニトロフェニルスルホンアミド)−3−アミノ酪酸エチル(2c)
2aを得るための記載手順を用い、無水EtOHからこの生成物を結晶化し、この生成物が54%の収率で生成される。H NMR(CDCl、δ):8.21(d、1H)、7.84(d、1H)、7.77(m、2H)、5.65(s、1H)、4.09(q、2H)、3.42(q、2H)、3.23(m、2H)、2.43(t、2H)、1.91(m、2H)、1.25(t、3H)。
【実施例4】
【0077】
一般的なアルキル化単量体合成法−光延反応によるアルキル化:N−2−(1−ナフチル)エチル−(2−ニトロフェニルスルホンアミド)−2−アミノプロピオン酸エチル(3b1)
無水CHCl50mLに2bを3.02g(10mmol)、2−(1−ナフチル)−エタノールを1.72g(10mmol)、及び、トリフェニルホスフィンを3.98g(15mmol)溶解して調製した溶液に、25℃にて、無水CHCl溶液15mL中にアゾジカルボン酸ジイソプロピル2.95mL(15mmol)を溶解した溶液を滴下する。得られた黄色の溶液を16時間攪拌し、この反応溶液をCHCl75mL及び0.1N HCl75mLに希釈する。水層を取り除き、追加分のCHCl75mLにより、再抽出する。食塩水でこの集めた有機層を洗浄し、乾燥し、蒸発させて、黄色油として粗生成物を得る。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいてヘキサン/酢酸エチルを3:1で使用し、無色の結晶2.17g(48%収率)を得る。
【実施例5】
【0078】
エステル加水分解:N−2−(1−ナフチル)エチル−(2−ニトロフェニルスルホンアミド)−2−アミノプロピオン酸(4b1)
THF100mL中に3.17g(6.9mmol)の3b1を含む透明の溶液に、2N LiOHの水溶液13.9mL(2当量)を加える。得られた2相混合液を16時間勢いよく攪拌し、THFを減圧下で蒸発させ、得られた残留物を、75mL のCHCl及び50mLの1N HClに懸濁させる。追加分のCHCl75mLにより、水層を再抽出し、集めた有機層を乾燥し、蒸発させて、油状の固形物を得る。1:1のhex/EtOAcを使用してTLC分析を行い、I検出により、ジイソプロピルヒドラジン副生成物の存在が示される場合、8:2のhex/EtOAcを使用してカラムクロマトグラフィーを行うことによって、純粋なカルボン酸単量体物質を得ることができる。
【0079】
15種類のメンバーからなるテストライブラリー作成
トリチルアルコールリンカー(15×35μmol=合計0.525mmol)を有するMimotopes社製SynPhase PS D−シリーズランタン(商標)15個一式をスピンドル(spindle)及びコグ(cog)でラベルを付し、18時間Pでの高減圧下で乾燥する。次いで、これらを無水CHCl18mL及び塩化アセチル2mLの溶液に懸濁する。3.5時間穏やかに振盪してから、ランタンを無水CHClで3回洗浄し、P1を得る。ランタンP1はCHCl膨潤型のままであるが、無水CHCl20mLに懸濁し、3−アミノプロパノール5mLを加える。容器を18時間振盪し、次いで、CHCl、DMF、PrOH、THF及びCHClの順序の洗浄操作を3回行い(標準的な洗浄手順)、高減圧下で乾燥し、P2を得る。
【0080】
次に、以下の2工程の手順によって、上記ランタンをアミン型(P4)に転換する。無水CHCl20mLに懸濁した後、フタルイミド0.39g(2.63mmol、5当量)及びトリフェニルホスフィン0.69g(5当量)を固形物として加える。反応容器を振盪して、これらの試薬を溶解し、無水CHCl10mLに溶解したジアゾジカルボン酸ジイソプロピル0.52mLの溶液で少量ずつ処理する。この容器を3時間振盪し、標準的な洗浄及び乾燥を行い、ランタンP3を得る。このランタンを無水EtOH10mLに懸濁し、ヒドラジン水和物10mLで処理する。この容器を密閉し、回転炉の中で18時間、60℃に加熱する。室温に冷却後、このランタンを標準的な方法で洗浄及び乾燥し、ランタンP4型を得る。
【0081】
Fmoc−アミノ酸連結(coupling)は、ランタンP5を生成するための以下の標準的な条件を用いる。アミン型のランタンP4を無水DMF5mL中に懸濁して膨潤させる。Fmoc−Phe−OH1.02g(2.63mmol、5当量)、HBTU1.0g(5当量)、HOBt0.2g(2.5当量)、及びPrNEt0.92mL(10当量)を含む溶液を調製し、10分間振盪した後、上記の懸濁したランタンに添加する。得られた反応混合物を2時間穏やかに振盪し、標準的な洗浄及び乾燥を行い、生成物であるランタンP5を得る。ランタンのペプチド連結及び樹脂担持度を、次のFmoc基除去反応から得られた溶液を希釈して測定する。ランタンを20%のピペリジン/DMF溶液15mLで懸濁して15分間振盪する。0.10mLのアリコートを除去して、同一溶媒混合液で10mLに希釈する。溶媒をゼロ化後、301nmにおける吸光度をUV測定すると、得られる値は1.186である。14102Lmol−1cm−1のFmoc−ピペリジン付加物のε値より、16.7μmol、すなわち48%という担持率が算出される(1.187×14102=16.7)(製造業者が記載した担持量は35μmolであった)。1.5時間の反応時間の後、ランタンに標準的な洗浄及び乾燥を実施し、ランタンP6を得る。
【0082】
ここで、これらのランタンを、上記のプロセスを通して合成された15個の単量体それぞれに、個別に連結させる。15個の4mL乾燥バイアルに、各単量体0.066g(0.14mmol、平均分子量474.4に対して4当量)を担持する。無水DMF15mLにHBTU0.80g(2.1mmol、4×15当量)、HOBt0.16g(1.05mmol、2×15当量)、及び、PrNEt0.732mL(4.2mmol、8当量)を含むように調製した溶液1mLを、各単量体が入ったバイアルに加える。これらのバイアルを穏やかに振盪しつつ、ランタンを無水DMF15mLで予め膨潤させておく。10分後、それぞれにラベルを付したランタンを、活性化した単量体エステルを含む各バイアル内に入れる。ランタンを一晩振盪し、反応溶液をデカントする。これらをまとめて、標準的な方法で洗浄する。乾燥により、保護されたランタンP7を得る。ランタンをまとめたセットを2−メルカプトエタノール5mL、DBU5mL、及び、DMF15mLで18時間処理して、NPS基を除去する。標準的な洗浄及び乾燥により、切断可能な担持樹脂P8を得る。
【0083】
各ランタンを、個々に印を付した、風袋測定済みの4mLバイアルに入れ、80:18:2のCHCl/TFA/PrSiHからなる切断用混合液2.0mLで1時間処理する。ピンセットでランタンを取り出し、CHClで洗浄して、切断用溶液を蒸発させる。得られた黄色の油性残留物をそれぞれMeOH0.50mLに溶解させ、20μLを除去して、LC/MS分析のためにHOで200μLに希釈する。15個の類似化合物すべてについてLC/MSを行う。また、MeOHの濃縮ストック溶液も、以下の2つの溶媒系においてTLC分析に使用する。a)8:2のCHCN/濃縮NHOH;b)90:8:2のCHCl/MeOH/濃縮NHOH。下記の2種類の類似化合物について、HNMRを行う。
【0084】
(MQTS 1093T)−LC/MS C2732に相当する[M+H]を算出:m/z 445;13.6分での観測値 445。H NMR(D2O,δ):7.73−7.16(m,14H),4.38(t,1H),4.22(m,2H),3.84(m,2H),3.32−2.83(m,2H),2.60(m,2H),2.02(m,2H),1.60(m,2H)。
【0085】
(MQTS 1095T)−LC/MS C1729に相当する[M+H]を算出:m/z 336;12.9分での観測値 336.H NMR(D2O,δ):7.38−7.20(m,5H),4.51(t,1H),3.86(m,2H),3.30−3.15(m,2H),3.06(t,8H),2.02(m,2H),1.62(m,2H)。
【0086】
540種類のメンバーからなる標本ライブラリーの作成
完全な540種類のメンバーからなるライブラリーの合成は、15種類のメンバーからなるテストライブラリーの合成法と同じ順序に従う。540個のランタンにスピンドル(spindle)及びコグ(cog)でラベルを付し、上記の手順を用いて、そのP1型に活性化させる。90個のランタンからなる6セットをそれぞれの容器に分けて、チャート1に示されるアミノアルコール10g(又は10mL)で処理する。反応及び洗浄によってP2型を得た後、上記に概説した順序(P2からP4)で、540個のランタンを結合しなおして、その遊離アミン型に転換する。そして、これらのランタンを90種類のメンバーからなる6群に分割し、上記で概説した手順を用いて、必要なFmoc−アミノ酸と連結させる。無作為に選択された6つのランタンのFmocの担持量をUV分析すると、60〜125%のかなり良好な担持率を示した。連結後に、結合しなおしたランタンを、上記のような20%ピペリジン/DMFで処理し、遊離アミン型のランタンP6を得る。次に、標準的な連結条件を用い、15個の単量体4への最終連結反応を行うためにランタンを分割する(36×15)。NPS保護基切断によって、ランタンを540個の各風袋測定済みの4mLバイアルに分けることが可能になる。最終切断によって、粗類似化合物(MQTS 1001からMQTS 1540)をTFA塩の形で得る。予想された構造をもとに平均収率84%を算出し、200%より大きい収率のものは除外する(n=36)。
【0087】
TCL及びLC/MSによって全ライブラリーを特性決定する。粗物質を、MeOH1.0mLにほぼ溶解させ、TLCプレート上にスポットする。不溶性粒子が残る場合、化学的又は生物学的特性決定の前に、それらを濾過して除去する。プレートの溶離には、85:13:2のCHCl/MeOH/濃縮NHOH溶媒系を用い、ニンヒドリンで検出する。LC/MS分析のために、上記濃縮ストック溶液を20倍に希釈して1%TFA水溶液にする。このMeOHサンプル溶液を1.0mLの6N HClで処理し、蒸発させて、最終生成物のHCl塩を得る。この塩を、得られた粗収率に対して20mM溶液となるのに必要な量の20%DMSO/HOに溶解する。ISISベースからインポートされた遊離塩基のMQTS番号、構造、分子式、及び、分子量とともに、予め風袋測定したバイアルの重量と最終バイアルの重量が記載されたExcel(登録商標)スプレッドシートを使用することで、バイオスクリーニング用溶液を得るのに必要な塩の分子量、パーセント収率、及び、溶媒量の計算が非常に容易になる。
【0088】
分子スキャッホールド及びライブラリーの単量体の原理及び設計
540種類のメンバーからなる標本ライブラリーの設計とは、i)非ポリアミンスキャッホールドをもつ、化合物中のリピドA結合性薬理作用団を確認及び実証すること、ii)このような事情内でライブラリーメンバーの多様性を最大にすること、iii)スキャッホールドに、芳香族基、及び/又は、水素結合の供与体/受容体となる原子を導入すると、結合親和性が高まるという仮説を系統的にテストすることである。リピドAのジグルコサミン骨格とのさらなる相互作用を標的とすることによって、糖質結合親和性を高めるためのいくつかの有力な戦略が用いられる。共有結合(例えば、ビシナルシスジオールとエステルを形成するボロン酸エステルを用いた共有結合等)62;63による相互作用、及び、非共有結合による相互作用が考えられる64;65。レクチン−糖複合体66;67に関する蛋白質データバンク及び関連文献68−70を調べると、(a)結合エンタルピーに寄与する複数の水素結合の供与体/受容体の対、及び(b)糖結合部位周辺における芳香族側鎖の異常な優位性66が指摘され、複数のCH−π71;72又はOH−πという弱い水素結合が示唆される73;74。実際に、アミノ基及びインドール基で置換されたオリゴシクロペンタン骨格を有するリピドA受容体が記載されている75。最近の報告には、骨格に沿って様々な芳香族構造を組み込んだ、ポジショナルスキャニングライブラリーから分離されたLPS標的ペプトイドが記載されている76。さらに、LPSの結晶構造において、リピドA骨格上の水素結合の供与体/受容体の原子間距離が2.4〜4Åの範囲であることが示されている77。したがって、アニオン性糖質標的との相補性に有利になるように、ライブラリーメンバーは、水素結合の供与体/受容体の原子間に2〜3個の炭素結合の介在距離を有するように設計されている。
【0089】
コンビナトリアルライブラリーのスキャッホールド及びエレメント(部分1〜3)を図1に示す。部分1、及び、部分3のアミノ酸であるGly/Ala/GABAにおける介在エレメントを変えることによって、末端アミン間の距離が「ダイヤルイン」される。図1から分かるように、部分2は、非常に多くの芳香族基を含んでいる。部分3.yでは、脂肪族置換基及び芳香族置換基が組み込まれ、最適な活性を得るために必要な長鎖脂肪族基の条件を満たしている61
【0090】
ライブラリー単量体の合成
光延反応を介した、固相2−ニトロフェニルスルホンアミドのアルキル化78;79を用いることがまず考えられるが、必要な樹脂が結合したスルホンアミドの形成の過程では、完成に至らない。固相にこのアプローチを用いることによる同様の問題は、すでに文献で報告されている80。スキーム1に示されている経路によって540種類のメンバーからなるライブラリーを合成する途中で、15種類の部分3の単量体を合成するために、アミノ酸スルホンアミドのエステルの、溶液相でのアルキル化が代わりに用いられる。より立体障害の大きい塩基であるPrNEtを用いることにより条件を変えることで、結晶化の後、良好な収率で所望のスルホンアミドを調製することが可能になる。
【0091】
図1に示されている部分3の置換基に相当する5種類の第一級アルコールによる、3つのスルホンアミドそれぞれのアルキル化が直接的な方法で進行する。カラムクロマトグラフィーによる精製後、これらのアルキル化エステル−スルホンアミドの一部によって、光延反応によるアルキル化の副生成物であるヒドラジンジカルボン酸ジイソプロピルに相当する不純物が様々な量で存在することが示される。この物質は、このエステル物質工程(3a〜3c)、又は、次のカルボン酸工程(4a〜4c)で、カラムクロマトグラフィーによって除去することができる。いずれの場合にも、不純物は、I染色を用いるTLCによって、又はH NMRによって、容易に検出されるため、生成物中で不純物がすべて確実に除去されることとなる。エステルの加水分解は、直接的な方法で行われる。すべての分子が高純度であることが、TLC及びH NMRによって示され、それらはLC/MS分析によって同定される。
【0092】
ライブラリーまでの化学的経路:15種類のメンバーからなるテストライブラリー
上記で生成され、1,3−ジアミノプロパン−Phe部分1:部分2樹脂パートナーを含む15種類の同一ランタンに付着した、15種類の単量体をそれぞれ用いて、固相合成経路のテストを行う(スキーム2)。トリチルクロライド固相樹脂への対称的なジアミン付着という、以前の経験から、顕著な架橋結合が生じ、切断生成物にジアミンが実質的に混入する結果となることが示される。このような理由から、アミノアルコールの付着後の、−OHの−NHへの転換を含む3工程の手順が用いられる。光延反応を介してフタルイミド基を付着させた後、ヒドラジンが遊離アミンを遊離させ、所望のランタンを得る。この方法は、ジアミン副生成物を完全に形成させない一方で、所望の生成物の担持率を十分に増加させる。
【0093】
標準的なペプチド連結条件を用いて、Phe残基をこのセットのランタンに加える。次の工程から遊離するFmoc基のUV分析によって、この段階での担持率が48%であることが示される。次に、HBTU連結条件を用いて、15種類の単量体のそれぞれに、これらのランタンを個別に付着させる。2−メルカプトエタノール/DBU/DMFを用いて、NPS基を除去する。そして、80:18:2のCHCl/TFA/PrSiHを用いて生成物を切断して、そのまま、風袋測定済みの個別の4mLバイアルに入れる。秤量はかりからスプレッドシートプログラムにデータを直接取得することで、データ処理が容易になる。このようにして、バイアル風袋重量及び正味の粗重量等の、サンプルに関連したデータを、サンプルのID番号、構造、分子量、理論収率、及び、粗パーセント収率と連係させることができる。サンプルをMeOHに溶解し、下記のように、TLC分析及びLC/MS分析のために試料採取する。そして、これらの粗サンプルを等量の6N HClで処理し、蒸発させ、その過塩酸塩を得る。15種類のテストサンプルについて、算出した平均重量パーセント収率は70%であり、平均粗重量では18.4mgである。
【0094】
粗サンプルのTLC分析とLC/MS分析によって、8工程プロセスの実行可能性が裏付けられる。この分析を受けて、いくつかの有益な観察がなされている。1)147amu低いm/z値の質量を有する副生成物が観察される。これらテスト類似化合物の大部分で、TLC分析において2つの大きなスポットが見られ、LC/MSクロマトグラムにおいて、比較的短い保持時間で副ピークが現れた。これらの副生成物は、Phe−部分2残基の不完全な連結から生成されるものと推測される。所望よりも低いPhe担持量によって、サンプル中に切断生成物が相当量生じ、この工程後に予想を下回る48%の担持率が測定されることを説明し得ると結論づけられる。2)不飽和型部分3.x4の単量体を有するアルケン付加生成物が観察される。非置換及び一置換TFA付加物の混合物が見られる。続いて塩酸塩を分析することによって、OTFAがClにより完全に交換されることが示された。テストライブラリーの合成を行うことによって、部分2の担持条件を変更して、切断による副生成物の形成を減らすことが望ましいと推論される。さらに、切断条件によっては、酸媒介のアルケン付加を伴う副生成物の形成が完全になくなるというわけではないと判断される。
【0095】
540種類のメンバーからなる標本ライブラリーの合成
コード体系を工夫して、ランタンにラベルを付し、ライブラリーの全構造物をISIS(商標)データベースの中に列挙する。生成されたデータを処理できるよう、スプレッドシートを設定する。ライブラリーの作成は、スキーム2に概説した経路に従い、図1に示されている構成成分を利用する。大過剰量の6種類のアミノアルコールを用いて、6つの個別の容器内に90個のラベルの付されたランタンを作成する。そして、次の2工程の−OHから−NHへの転換を行うために、これらのランタンを結合しなおす。分割及び分類することで、次の部分2の構成成分を加えることができる。この工程で用いられるFmoc−アミノ酸の当量数を4から5に増加して、不完全な付加生成物の量を減少させる。様々な部分1:部分2の構成成分を有する個別のランタンを選択し、遊離Fmoc−ピペリジン付加物をUV分析することによって、担持量は改善する。平均担持率109%(これに対して製造業者による値は35μmol)が得られる。
【0096】
全ライブラリーからFmoc基を除去し、単量体セットを、それぞれ36個のランタンからなる15セットに連結させる。最終切断に備えて、NPS基を除去し、ランタンを、個別の風袋測定済みバイアルに仕分けする。上記したのと同様の方法で切断し、平均収率84%で粗生成物の塩酸塩を得る。化合物の全セットをTLC及びLC/MSで分析すると、ライブラリーの大部分について充分な純度であることが示され、それぞれが所望の生成物を主要成分として含むことが確認される。切断された部分2の付加による副生成物は存在しないが、いくつかのアルケン含有生成物に対する酸媒介の付加生成物がなお観察される。粗ライブラリーを20mMで20%DMSO/HOに溶解し、下記のアッセイ法でスクリーニングする。
【0097】
LPS結合親和性の定量的評価
最近記載されたハイスループット蛍光ベース置換アッセイ法による類似化合物の全ライブラリーの相対的結合親和性を、BODIPY(登録商標)−TRカダベリン(BC)を用いて調べる81;82。結果は、プローブの最大有効置換量の半量(ED50)として得られる。すべての実験において、LPSに結合して中和することが知られている、デカペプチド抗生物質であるポリミキシンB(PMB)83−86を参照化合物として用いる。
【0098】
結合親和性の明確な二相分布を観察することができ、高親和性化合物と低親和性化合物を明確に区別できる。ライブラリーのスクリーニングの画像評価の特に有益な方法を、本明細書においては「分子ベクター解析法」と呼ぶこととし、上部バインダー中の類似化合物のサブセット(ED50<10μMである52種類の類似化合物)における各個別の単量体の発生回数、及び、低結合性化合物(ED50>10μMである488種類の類似化合物)における単量体の頻度を計数することを含む。得られるヒストグラムは解釈し易く、簡単な統計学的解析法(χ2乗)を用いて、生じた結合に最も寄与する構成単位の重要度を検証することができる。
【0099】
活性に対する最も顕著な効果は、疎水性長鎖のC18鎖(部分3.x.2)の選択とともに、及び、部分2の位置にあるインドール部位(Trp)の選択によって現れる。部分1及び部分3の単量体の選択に関する観察から、重要であるにもかかわらず比較的わずかではあるのだが、見識を集めることができる。結果を観察すると、ライブラリーに対して設計した「長距離ダイヤル(distance dialing)」61;82;87;88という独創的な概念が役割を果たしていることがわかるであろう。部分1の単量体である1,3−ジアミノプロパンを組み込むと、上部の52個のサンプル中に予想外に多数のメンバーを生じる。同様に、部分3.Bに2−アミノプロピオン酸を選択すると、他の2つの単量体成分よりも多数の強力なバインダーが生じる。先行研究61;82;88−90によれば、これは、類似化合物のこのサブセットにおける2つの末端のプロトン化可能な窒素原子間の距離と、リピドA骨格上のアニオン性リン酸間の距離とがよりよく適合しており、荷電基間において有効なイオン性水素結合が可能になるためである。したがって、最適な部分1の「ベクター」成分である1,3−ジアミノプロパン、部分2のTrp、及び、C18アルキル基を担持する部分3を用いて、「最良の」スキャッホールドを構築することが有益である。次に、この分子の骨格(C18アルキル鎖をもたない)を、AutoDock92;93を用いて、結晶構造由来77;91のリピドAモデル上でドッキングさせる。AutoDock内のフォースフィールドは、リピドA等の糖脂質に関する疎水性相互作用を十分に反映していないことがすでに観察されているため、本モデリングではアルキル鎖を省略している。ドッキングしたスキャッホールド−リピドA複合体のエネルギー最小化モデルにおいて、末端アミン間の距離が14.7Åであることが観察され、この距離は、LPSバインダー55;82;88;90におけるプロトン化可能なアミン基間のすでに決定された最適距離と非常によく一致する。リピドAのリン酸上のO原子も、アミンの水素結合距離内にあることがわかっている。1,5−ジアミノペンタンからなるもの等、他の部分1の単量体成分は、最適値から著しく外れているために、LPSにも結合しない。
【0100】
活性分子の再合成
結合アッセイ及び予備的NO阻害アッセイから得られた結果の組み合わせに基づいて、25種類の一連の類似化合物を、再合成及び精製のために選択する(表1)。精製するのに十分な物質を提供するために、各個別の類似化合物について2つのランタンを使用する。15種類の一連のテスト類似化合物でも前もって見られたように、少量の切断(−部分2のアミノ酸)分子種が、これらの例のいくつかで見られる。これらの切断類似化合物を代表する9種類の分子を単離することが可能である(表1)。前出と同一の合成経路を用い、粗生成物を、900mgの使い捨てSiO固相抽出カラムで精製する。これらの精製類似化合物をTLC法及びLC/MS法で分析すると、90%よりも高い純度を示す。表1に、MQTS番号、構造、及び、BC−結合データ(ED50値)を、NO阻害データ(IC50値)とともに示す。
【0101】
LPS毒性中和の評価:NO阻害活性
マウス単球(J774.A1細胞)は、LPSへの曝露下で、測定可能な量のNOを産生し、LPSの毒性の中和において化合物を迅速且つ定量的に評価するためのハイスループットで且つ有効なモデルを提供している81;82;94。LPSを中和する化合物は、用量依存的な方法(これにより50%抑制濃度(IC50)が決定された)でNO産生を阻害する。そして、BC−結合アッセイで最も高い親和性を有すると判定された類似化合物を、このNO阻害アッセイで分析する(表1)。このアッセイの結果は、結合アッセイの結果と類似している。
【0102】
Hit再合成及び特性決定
類似化合物あたり2つのランタンを用いて、表1に示された類似化合物を再合成する。上記の手順に従って合成を行う。TFA塩の形態で得られた粗生成物を、SiO900mgを含む使い捨てのAlltech社製SPEカートリッジで精製する。クロマトグラフィーには、1%濃縮NHOHを含むCHCl中5〜20%のMeOHを用いる。TLC溶媒は、80:18:2のCHCl/MeOH/濃縮NHOHであり、ニンヒドリンで検出する。画分を含む生成物をプールし、蒸発させ、次いで、MeOH中6N HClで処理して再蒸発させることにより、過HCl塩形態に転換する。表1に示されるいくつかの例において、内部アミノ酸部位をもたない切断類似化合物(MQTS 2322〜2330)も、これらの生成物から単離される。上記の方法を用いるH NMR、TLC、及び、LC/MSによって精製サンプルを分析する。LC/MS及びNMRのデータを抜粋したものを本明細書に示す。8工程の固相経路に従い、これら生成物の収率は6%〜25%で変化し、上記の方法によって得られる純度は、すべての生成物について90%を上回る。
【0103】
(MQTS 1002)−2.9mgの(収率6%)白色固体が得られる。LC/MS C3360に相当する[M+H]を算出:m/z 562;14.2分での観測値 562.H NMR(D2O,δ):7.35−6.92(m,5H),3.86(m,1H),3.68(m,2H),3.57(m,2H),3.39(m,4H),3.14(m,4H),2.98(m,2H),1.63(m,2H),1.17(s,30H),0.80(s,3H)。
【0104】
(MQTS 1007)−5.3mg(収率12%)の白色固体が得られる。LC/MS C3462に相当する[M+H]を算出:m/z 575;14.7分での観測値 575.H NMR(D2O,δ):7.38−6.97(m,5H),4.56(m,1H),3.63(t,2H),3.48(m,2H),3.31(m,2H),3.14(m,4H),2.83(m,2H),2.60(m,4H),1.42(m,2H),1.18(s,30H),0.82(t,3H)。
【0105】
(MQTS 1012)−3.6mg(収率8%)の白色固体が得られる。LC/MS C3564に相当する[M+H]を算出:m/z 590;14.7分での観測値 590.H NMR(D2O,δ):7.36−6.94(m,5H),4.58(m,1H),3.63(m,2H),3.52(m,2H),3.32(m,2H),3.11(m,4H),2.55(m,2H),2.28(m,2H),1.63(m,2H),1.50(m,2H),1.17(s,32H),0.80(t,3H)。
【0106】
(MQTS 1032)−6.3mg(収率14%)の白色固体が得られる。LC/MS C3058に相当する[M+H]を算出:m/z 552;13.0分での観測値 552.H NMR(D2O,δ):8.53(s,1H),7.28(s,1H),3.93(s,1H),3.63(t,2H),3.48(m,2H),3.32(m,2H),3.11(m,4H),3.01(m,2H),1.66(m,2H),1.20(s,32H),0.79(t,3H)。
【0107】
(MQTS 1037)−5.7mg(収率13%)の白色固体が得られる。LC/MS C3160に相当する[M+H]を算出:m/z 566;12.9分での観測値 566.H NMR(D2O,δ):8.58(s,1H),7.26(s,1H),4.58(t,1H),3.63(s,2H),3.47(t,2H),3.28(m,2H),3.31(m,2H),3.12(m,4H),2.98(m,2H),2.78(m,2H),1.65(m,2H),1.20(s,30H),0.78(t,3H)。
【0108】
(MQTS 1042)−8.1mg(収率18%)の白色固体が得られる。LC/MS C3262に相当する[M+H]を算出:m/z 580;12.9分での観測値 580.H NMR(D2O,δ):8.61(s,1H),7.27(s,1H),4.58(t,1H),3.63(t,2H),3.49(m,2H),3.32(m,2H),3.13(m,4H),2.95(m,4H),2.38(m,2H),1.60(m,2H),1.64(m,2H),1.22(s,30H),0.78(t,3H)。
【0109】
(MQTS 1137)−6.8mg(収率19%)の白色固体が得られる。LC/MS C2552に相当する[M+H]を算出:m/z:441;13.3分での観測値:441.H NMR(D2O,δ):3.96(m,2H),3.28(m,4H),3.04(m,4H),1.48(m,2H),1.70(m,2H),1.22(s,30H),0.82(t,3H)。
【0110】
(MQTS 1142)−3.2mg(収率9%)の白色固体が得られる。LC/MS C254に相当する[M+H]を算出:m/z 455;13.3分での観測値 455.H NMR(D2O,δ):3.88(m,2H),3.26(m,4H),2.96(m,4H),2.78(m,2H),1.83(m,2H),1.65(m,2H),1.20(s,30H),0.78(t,3H)。
【0111】
(MQTS 1147)−5.9mg(収率16%)の白色固体が得られる。LC/MS C2756に相当する[M+H]を算出:m/z 470;13.4分での観測値 470.H NMR(D2O,δ):3.81(s,2H),3.24(t,2H),3.02(m,2H),2.94(t,4H),2.42(t,2H),1.96(m,2H),1.82(t,2H),1.66(m,2H),1.15(s,30H),0.76(t,3H)。
【0112】
(MQTS 1227)−6.1mg(収率16%)の白色固体が得られる。LC/MS C2756に相当する[M+H]を算出:m/z 469;13.3分での観測値 469.H NMR(D2O,δ):3.88(s,2H),3.12(m,2H),2.92(m,4H),1.63(m,4H),1.43(m,2H),1.18(s,32H),0.78(t,3H)。
【0113】
(MQTS 1232)−3.4mg(収率9%)の白色固体が得られる。LC/MS C2858に相当する[M+H]を算出:m/z 483;13.3分での観測値 483.H NMR(D2O,δ):3.82(s,2H),3.26(t,2H),3.14(t,2H),2.94(m,4H),2.88(t,2H),1.67(m,4H),1.47(m,2H),1.23(s,32H),0.79(t,3H)。
【0114】
(MQTS 1237)−5.3mg(収率13%)の白色固体が得られる。LC/MS C2960に相当する[M+H]を算出:m/z 497;13.0分での観測値 497.H NMR(D2O,δ):3.83(s,2H),3.17(m,2H),2.94(m,4H),2.43(m,2H),1.96(m,2H),1.64(m,4H),1.51(m,2H),1.34(m,4H),1.24(s,30H),0.80(t,3H)。
【0115】
(MQTS 2326)−8.5mg(収率25%)の白色固体が得られる。LC/MS C2451に相当する[M+H]を算出:m/z 414;13.5分での観測値 414.H NMR(D2O,δ):3.90(s,2H),3.69(m,2H),3.61(m,2H),3.40(m,2H),3.16(m,2H),3.0(m,2H),1.70(m,2H),1.21(s,30H),0.78(t,3H)。
【0116】
(MQTS 2328)−4.2mg(収率12%)の白色固体が得られる。LC/MS C2553に相当する[M+H]を算出:m/z 428;13.6分での観測値 428.1H NMR(D2O,δ):3.71(m,2H),3.58(m,2H),3.37(m,2H),2.23(m,2H),3.16(m,2H),3.00(m,2H),2.72(m,2H),1.64(m,2H),1.22(s,30H),0.82(t,3H)。
【0117】
(MQTS 2330)−4.9mg(収率16%)の白色固体が得られる。LC/MS C26550に相当する[M+H]を算出:m/z 442;14.7分での観測値 442.H NMR(D2O,δ):3.70(m,2H),3.58(m,2H),3.49(m,2H),3.22(m,2H),3.18(m,4H),2.96(m,2H),2.73(m,2H),1.68(m,2H),1.23(m,30H),0.81(t,3H)。
【0118】
LPSに対する結合親和性を定量化するための高速スループット蛍光置換アッセイ法
LPSに対する化合物の結合親和性を定量化するためのBODIPY(登録商標)−TR−カダベリン(BC;(5−(((4−(4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−イル)フェノキシ)アセチル)アミノ)ペンチルアミン,塩酸塩;Molecular probes社 Eugene,ORから入手)の置換アッセイ法が、最近詳細に記載されている81。このアッセイ法を、以下のように高速スループット形式で実施する。Corning社製 Nonbinding Surface384ウェル平底黒色蛍光マイクロプレートの第一のカラム(16ウェル)は、15種類の、ポリミキシンBを加えたテスト化合物を、すべて、DMSO中に5mMで含み、残りの23カラム全てにわたり、pH7.4の50mMトリス緩衝液で2倍に段階希釈され、0.596nMの最終希釈液を体積40μlで得る。LPSに結合して中和することが知られているペプチド抗生物質95であるポリミキシンB(PMB)は、すべてのプレートについての陽性対照及び参照化合物としての役割があり、このアッセイ法における反復性及び再現性(CV因子及びZ’因子)を定量的に評価することを可能にする。Precision Powerソフトウェア(Bio−Tek Instruments社 VT,USA)を用いてプログラムされた、Precison2000自動マイクロプレート分注装置上で自動液体処理を行う。
【0119】
酸化窒素測定
上記のようにGriessアッセイ法96を用いて、マウスマクロファージJ774A.1細胞中の全亜硝酸塩として、酸化窒素産生を測定する94。J774A.1細胞を、細胞培養用マイクロタイタープレート(384ウェル、平底)に、40μl/ウェルの容量で〜10/mlプレーティングし、続いて、10ng/mlのリポ多糖(LPS)で刺激する。LPS刺激と同時に、テスト化合物の段階希釈濃縮液を細胞培地に加えて、夜通し16時間インキュベートしておく。各プレートにおいて、ポリミキシンBを参照化合物として用いる。各実験には、陽性対照(LPS刺激のみ)及び陰性対照(J774A.1培地のみ)が含まれる。40μlの上清を等量のGriess試薬(50μl/ウェル;ddHO及び1%のスルファニルアミド中0.1%NED溶液、ddHO中5%リン酸溶液)に加えて暗所で室温にて15分間インキュベートすることによって、亜硝酸塩濃度を測定する。Molecular Devices Spectramax(登録商標) M2多機能プレートリーダー(Sunnyvale社 CA)を用いて、535nmでの吸収度を測定する。亜硝酸ナトリウム標準液を段階希釈して得られた標準曲線から亜硝酸塩濃度を補間する。
【0120】
【表1−1】

【0121】
【表1−2】

【0122】
【化12】

【0123】
【化13】

【0124】
【化14】

【0125】
本明細書記載の薬学的に許容される担体、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、又は、希釈剤は、当業者に周知されている。一般的には、薬学的に許容される担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であり、使用条件下では有害な副作用又は毒性をもたない。薬学的に許容される担体は、ポリマー及びポリマーマトリクスを含むことも可能である。
【0126】
本開示の化合物は、個別の治療薬として、又は治療薬の併用剤として、医薬品とともに使用可能な従来法によって投与することができる。
【0127】
投与される用量は、もちろん、既知の要素、例えば、個々の薬剤の薬力学的特性並びにそれを投与する方法及び経路;被投与者の年齢、健康状態、及び、体重;症状の性質及び程度;併用治療の種類;治療頻度;並びに所望の効果に応じて変わる。活性成分の一日の投与量は、体重1キログラム(kg)当たり約0.001から1000ミリグラム(mg)、好ましくは0.1から約30mg/kgであることが予想できる。
【0128】
投薬形態(投与に適した組成物)は、1単位あたり約1mgから約500mgの活性成分を含む。これらの薬学的組成物において、活性成分は、通常、組成物の全重量に対して約0.5〜95%の重量で存在する。
【0129】
活性成分は、カプセル剤、錠剤、及び、散剤等の固形投薬形態、又は、エリキシル剤、シロップ剤、及び、懸濁剤等の液体投薬形態にして経口投与することができる。また、滅菌した液体投薬形態にして非経口的に投与することもできる。また、活性成分は、経鼻的に投与したり(点鼻薬)、又は、ミスト状の散剤を吸入させることによって投与したりすることも可能である。パッチ方法又は軟膏によって経皮的に投与する等、上記以外の投薬形態も潜在的には可能である。活性成分は、持続性又は遅延性の放出送達系、又は即時的放出送達系を用いて投与することができる。
【0130】
経口投与に適する製剤は、(a)例えば、水、生理食塩水、又は、オレンジジュース等の希釈剤に溶解させた有効量の化合物等の溶液剤;(b)所定の量の活性成分を固形物又は顆粒として含む、カプセル剤、サシェ剤、錠剤、菱形錠剤、及び、トローチ剤;(c)散剤;(d)適当な液体中の懸濁剤;並びに(e)適当な乳剤からなり得る。液体製剤には、水及びアルコール類(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、及び、ポリエチレンアルコール)等の希釈剤が含まれ、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤、又は、乳化剤が添加されているか否かを問わない。カプセル型は、例えば、界面活性剤、滑剤、及び、不活性充填剤(例えば、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、及び、コーンスターチ)を含む、通常の硬カプセルシェル又は軟カプセルシェルのゼラチンタイプのものが可能である。錠剤型は、以下のものを一つ以上含み得る:ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモでんぷん、アルギン酸、微結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、並びに、その他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、防腐剤、香料、及び、薬理学的に相溶性の担体。菱形錠剤型は、活性成分をフレーバー(通常はスクロースと、アラビアゴム又はトラガカントゴム)中に含み得る。さらに、活性成分を不活性基剤(ゼラチンとグリセリン、あるいはスクロースとアラビアゴム)中に含むトローチ剤、活性成分に加えて、本技術分野で公知の担体を含有するエマルション及びゲルがある。
【0131】
本開示の化合物は、単独で、又は他の好適な成分と組み合わせて、吸入による投与に用いられるエアロゾル製剤にすることができる。このようなエアロゾル製剤を、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン及び窒素等の受容可能な圧縮不活性ガス中に含ませることができる。エアロゾル製剤はまた、ネブライザーやアトマイザー中に入れる等、非加圧製剤用の薬剤として配合することができる。
【0132】
非経口投与のために好適な剤形には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、及び、製剤を、対象の被投与者の血液と等張にする溶質を含有する水性及び非水性の等張性無菌注射液、並びに、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、及び防腐剤を含み得る水性及び非水性の無菌懸濁液が含まれる。上記化合物は、医薬用担体中、生理学的に許容される希釈剤(例えば無菌の液体又は液体の混合物等)に混合した状態で投与することができる。なお、そのような希釈剤としては、水、生理食塩水、デキストロース水溶液及び関連の糖水溶液、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール又はヘキサデシルアルコール等)、グリコール(例えばプロピレングリコール、又はポリ(エチレングリコール)400等のポリエチレングリコール等)、グリセロールケタール(例えば2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール等)、エーテル、油、脂肪酸、脂肪酸エステル若しくはグリセリド、又は、アセチル化された脂肪酸グリセリド等が含まれる。また上記化合物は、医薬的に許容される界面活性剤(例えば石けん又は洗剤等)、懸濁化剤(例えばペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース等)、又は乳化剤や他の医薬用佐剤等と共に投与してもよく、またこれらと共に投与しなくてもよい。
【0133】
非経口製剤において使用することができる油としては、石油、動物油、植物油又は合成油が含まれる。油の具体例には、ピーナッツ油、 大豆油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ペトロラタム、及び鉱油等が含まれる。非経口製剤において使用される好適な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸等が含まれる。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルが好適な脂肪酸エステルの例である。非経口製剤として使用される好適な石けんには、脂肪酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びトリエタノールアミン塩が含まれる。好適な洗剤には、(a)ハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム及びハロゲン化アルキルピリジニウム等のカチオン性洗浄剤;(b)アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、オレフィン硫酸塩、エーテル硫酸塩、硫酸モノグリセリド、及びスルホコハク酸塩等のアニオン性洗剤;(c)脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体等の非イオン性洗剤;(d)β−アミノプロピオン酸アルキルエステル、及び2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩等の両性洗剤;並びに(e)それらの混合物が含まれる。
【0134】
非経口製剤は、一般的には、溶液中に約0.5〜約25重量%の活性成分を含有するものである。そのような製剤には、好適な防腐剤及び緩衝剤を用いることができる。注射部位における刺激を最小限に抑えるか、又は、刺激を完全になくすために、上記組成物は親水親油バランス(HLB)が約12〜約17である非イオン性界面活性剤を1種以上含有してもよい。上記製剤中の界面活性剤の量は約5〜約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤には、ソルビタンモノオレエート等のポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及び、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される、疎水性塩基とエチレンオキシドの高分子付加物が含まれる。
【0135】
薬学的に許容される賦形剤もまた当業者には周知である。賦形剤を選択する上で、どのような化合物を投与するのか、また、この組成物を投与するのに具体的にどのような方法を用いるか、という点がある程度決め手となるであろう。従って本発明の医薬組成物に好適な剤形としては、かなり広範な選択肢がある。下記の方法及び賦形剤は単に例示にすぎず、決してこれらに限定されるものではない。薬学的に許容される賦形剤は、活性成分の作用を妨げず、また不都合な副作用を引き起こさないものが好ましい。好適な担体及び賦形剤には、水、アルコール、及びプロピレングリコール等の溶媒、固形状の吸収剤及び希釈剤、表面活性剤、懸濁化剤、錠剤化用結合剤、滑剤、フレーバー、並びに、着色剤が含まれる。
【0136】
上記製剤は、投薬単位(ユニットドーズ)ごとにアンプルやバイアル等の容器に密封したものでもよいし、複数回分の投薬量(マルチドーズ)をアンプルやバイアル等の容器に密封したものであってもよい。またその製剤はフリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保存することができる。この場合は、注入できるように、使用直前に水等の無菌の液体賦形剤を添加するだけでよい。必要時に即時調合される注射液又は懸濁液は、無菌の粉末、顆粒、及び錠剤から調製することができる。注射用組成物に使用するのに効果的な医薬用担体についての必要な要件は当業者には周知である。Pharmaceutics and Pharmacy Practice(J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,PA,Banker and Chalmers,Eds.,238〜250(1982))及びASHP Handbook on Injectable Drugs(Toissel,第4版、622〜630(1986))を参照されたい。
【0137】
局所投与のために好適な剤形には、活性成分をフレーバー(通常は、スクロースと、アラビアゴム又はトラガカントゴム)中に含む菱形錠剤;活性成分を不活性基剤(例えば、ゼラチンとグリセリン、又は、スクロースとアラビアゴム等)中に含むトローチ剤;及び、活性成分を好適な液体担体中に含む含嗽剤;、さらに、活性成分に加えて、本技術分野で公知の担体を含有するクリーム、エマルション及びゲルが含まれる。
【0138】
さらに、直腸投与に好適なように、剤形は、乳化基剤又は水溶性基剤等の種々の基剤と混合して得られる坐薬としてもよい。膣投与に好適なように、剤形は、活性成分に加えて、本技術分野において好適であることが知られている担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又はスプレー式としてもよい。
【0139】
好適な薬学的に許容される担体は、当分野の標準的な参考書であるRemington’s Pharmaceutical Science,Mack Publishing Companyに記載されている。
【0140】
動物、特にヒトに投与される用量は、本発明において、動物における治療応答に合理的な時間枠内で影響を及ぼすのに十分な量であるのが望ましい。当業者は、投薬量が、動物の体調及び体重、並びに、治療対象となる症状等、様々な因子によって変動することを認識するであろう。
【0141】
好適な投薬量とは、所望の応答に影響を及ぼすことが知られている、患者の体内における活性成分の濃度をもたらす用量である。
【0142】
投薬量のサイズはまた、投与経路、時期及び頻度、並びに、化合物の投与及び所望の生理学的作用に伴って生じる可能性のある任意の不都合な副作用の存在、性質及びその程度によって決定される。
【0143】
本発明に係る化合物を投与するのに有用な薬学的投与形態を以下のように説明することができる。
【0144】
硬シェルカプセル剤
粉末状活性成分100mg、ラクトース150mg、セルロース50mg、及びステアリン酸マグネシウム6mgを、標準2ピース硬ゼラチンカプセルに充填することにより、多数のカプセル剤が調整される。
【0145】
軟ゼラチンカプセル剤
ダイズ油、綿実油、又は、オリーブ油等の可消化油に活性成分を混合して混合物を調製し、その混合物を、融解したゼラチンの中に容積移送式ポンプで注入して、100mgの活性成分を含む軟ゼラチンカプセルを形成する。このカプセルを洗浄して乾燥させる。活性成分を、ポリエチレングリコール、グリセリン、及びソルビトールの混合液に溶解することで、水混和性薬剤混合液を調製することができる。
【0146】
上記記載は、本開示を説明及び記述するものである。さらに、本開示は、本開示の好適な実施形態だけを開示し説明しているが、上記したように、本明細書に明示したような概念を逸脱しない範囲で、上記教示内容及び/又は関連技術分野の技術若しくは知識に合わせて変更又は改変することができるものと理解されるであろう。本明細書において上記した実施形態は、さらに、発明を実施する上で知られている最良の形態を説明し、また、他の当業者が、そのような、すなわち、他の実施形態において、及び、本明細書に開示された具体的な応用又は用途で必要とされる様々な改変において、本開示を利用できるようにするためのものである。したがって、上記説明は、本明細書に開示された形態に本発明を限定しようとするものではない。また、添付された特許請求の範囲は、代替的な実施形態も含むものと解されたい。
【0147】
本明細書において、「含む」という用語(及びその文法的な語尾変化)は、「有する」又は「包含する」という包含的な意味で使用され、「だけからなる」という排他的な意味で使用されるものではない。
【0148】
本明細書において引用されたすべての刊行物、特許文献、及び、特許出願文献を引用して本明細書に援用し、ありとあらゆる目的において、各刊行物、特許文献、及び特許出願文献を具体的且つ個別に引用して援用するものとする。矛盾がある場合には、本開示に従う。
【0149】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリゴ糖系生体分子とポリカチオン性低分子物質とを結合させることを含む、
生体内作用を調節又は阻害する方法。
【請求項2】
前記生体分子相互作用においてカチオン−アニオン塩間で複数の橋かけをさせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下記化学式:
【化1】

及び
【化2】

(式中、
xは、−(CH−;1,2−二置換C−;1,3−二置換C−;1,4−二置換C−;及び、−CHOCH−からなる群より選択され;
yは、0〜10の整数であり;
Rは、−H、−CH、−CH、−CH−3−インドリン、−CH−2−インドリン、及び、−CH−4−イミダゾールからなる群より選択され;
mは1〜4であり;
nは0〜4であり;並びに、
R’は、−(CH−CH;−(CH−CHNH;フェニル基;1−ナフチル基;及び、2−ナフチル基からなる群より選択され;
oは0〜16の整数である)
で表される化合物、薬学的に許容されるその塩、及び、そのプロドラッグ。
【請求項4】
下記化学式で表される請求項3に記載の化合物。
【化3】

【請求項5】
下記化学式で表される請求項3に記載の化合物。
【化4】

【請求項6】
下記化学式で表される請求項3に記載の化合物。
【化5】

【請求項7】
下記化学式で表される請求項3に記載の化合物。
【化6】

【請求項8】
請求項3に記載された化合物を含む薬学的組成物。
【請求項9】
請求項4に記載された化合物を含む薬学的組成物。
【請求項10】
請求項5に記載された化合物を含む薬学的組成物。
【請求項11】
請求項6に記載された化合物を含む薬学的組成物。
【請求項12】
請求項7に記載された化合物を含む薬学的組成物。
【請求項13】
酸化窒素の産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の下記化学式:
【化7】

及び
【化8】

(式中、
xは、−(CH−;1,2−二置換C−;1,3−二置換C−;1,4−二置換C−;及び、−CHOCH−からなる群より選択され;
yは、0〜10の整数であり;
Rは、−H、−CH、−CH、−CH−3−インドリン、−CH−2−インドリン、及び、−CH−4−イミダゾールからなる群より選択され;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;並びに、
R’は、−(CH−CH;−(CH−CHNH;フェニル基;1−ナフチル基;及び、2−ナフチル基からなる群より選択され;
oは0〜16の整数である)
で表される化合物、薬学的に許容されるその塩、及び、そのプロドラッグを投与することを含む方法。
【請求項14】
酸化窒素の産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項4に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項15】
酸化窒素の産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項5に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項16】
酸化窒素の産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項6に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項17】
酸化窒素の産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項7に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項18】
免疫疾患を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の下記化学式:
【化9】

及び
【化10】

(式中、
xは、−(CH−;1,2−二置換C;1,3−二置換C−;1,4−二置換C−;及び−CHOCH−からなる群より選択され;
yは、0〜10の整数であり;
Rは、−H、−CH、−CH、−CH−3−インドリン、−CH−2−インドリン、及び−CH−4−イミダゾールからなる群より選択され;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;並びに、
R’は、−(CH−CH;−(CH−CHNH;フェニル基;1−ナフチル基;及び、2−ナフチル基からなる群より選択され;
oは0〜16の整数である)
で表される化合物、薬学的に許容されるその塩、及び、そのプロドラッグを投与することを含む方法。
【請求項19】
免疫疾患を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の請求項4に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項20】
免疫疾患を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の請求項5に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項21】
免疫疾患を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の請求項6に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項22】
免疫疾患を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の請求項7に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項23】
感染症を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の下記化学式:
【化11】

及び
【化12】

(式中、
xは、−(CH−;1,2−二置換C−;1,3−二置換C−;1,4−二置換C−;及び、−CHOCH−からなる群より選択され;
yは、0〜10の整数であり;
Rは、−H、−CH、−CH、−CH−3−インドリン、−CH−2−インドリン、及び、−CH−4−イミダゾールからなる群より選択され;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;並びに、
R’は、−(CH−CH;−(CH−CHNH;フェニル基;1−ナフチル基;及び、2−ナフチル基からなる群より選択され;
oは0〜16の整数である)
で表される化合物、薬学的に許容されるその塩、及び、そのプロドラッグを投与することを含む方法。
【請求項24】
感染症を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の請求項4に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項25】
感染症を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の請求項5に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項26】
感染症を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の請求項6に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項27】
感染症を患う患者を治療する方法であって、前記患者に有効量の請求項7に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項28】
TNFαの産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の下記化学式:
【化13】

及び
【化14】

(式中、
xは、−(CH−;1,2−二置換C−;1,3−二置換C−;1,4−二置換C−;及び、−CHOCH−からなる群より選択され;
yは、0〜10の整数であり;
Rは、−H、−CH、−CH、−CH−3−インドリン、−CH−2−インドリン、及び、−CH−4−イミダゾールからなる群より選択され;
mは0〜4であり;
nは0〜4であり;並びに、
R’は、−(CH−CH;−(CH−CHNH;フェニル基;1−ナフチル基;及び、2−ナフチル基からなる群より選択され;
oは0〜16の整数である)
で表される化合物、薬学的に許容されるその塩、及び、そのプロドラッグを投与することを含む方法。
【請求項29】
TNFαの産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項4に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項30】
TNFαの産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項5に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項31】
TNFαの産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項6に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項32】
TNFαの産生を阻害することが望ましい疾患又は症状を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項7に記載の化合物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2009−516644(P2009−516644A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536641(P2008−536641)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/060108
【国際公開番号】WO2007/048120
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(500023990)メディクエスト セラピューティックス インク (9)
【出願人】(507154000)ザ・ユニバーシティ・オブ・カンザス (2)
【Fターム(参考)】