説明

ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤を含む治療用組成物

本発明は、細胞毒性剤又は放射線療法を増加する化学増感剤としての式(1)によって表される8−フルオロ−2{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンに関する。本発明は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン、又は医薬として許容されるその塩、及び少なくとも1つの追加の治療薬の医薬組成物、このような組み合わせを含有するキット、及び癌のような疾患を患っている患者を治療するためのこのような組み合わせを用いた方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年9月22日に出願された米国仮出願第60/612,458号、及び2005年5月19日に出願された米国仮出願第60/683,006号の利益を請求し、それらの内容は、参照により全体として本明細書中に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に、細胞毒性剤又は放射線療法の有効性を増加する化学増感剤としての8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの使用に関する。本発明は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン、又は医薬として許容されるその塩、及び少なくとも1つの追加の治療薬の医薬組成物、このような組成物を含有するキット、そして、癌のような疾患を患っている患者を治療するためのこのような組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
式1:
【化1】

で表される化合物8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンは、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の小分子阻害剤である。式1で表される化合物及びその塩は、米国特許第6,495,541号;PCT出願PCT/IB2004/000915、国際公開WO2004/087713;米国仮特許出願第60/612,457号、第60/612,459号及び第60/679,296号に記載されるように製造することができ、それらの開示は、本明細書中に参照により全体として援用される。
【0004】
現在、18個の酵素が、PARPファミリーにおけるDNA配列ホモロジーにより同定され、7個の生化学的及び酵素的特徴が研究されている:PARP−1、及びPARP−2は、DNA鎖切断によって刺激され、PARP−3は、PARP−1及び中心体と相互作用し、PARP−4は、ボールト(vault)PARP(VPARP)としても知られ、最も大きいPARPであり、細胞質のボールトと関連し、タンキラーゼ(tankyrase)1及び2(PARP−5a及び5b)は、テロメアのタンパク質と関連し、そして、PARP−7(TiPARP)の機能は、現時点では明確ではないが、T細胞機能に関与するかもしれないし、ポリ(ADP−リボシレート)ヒストンと関与し得る(Ame JC,Splenlehauer C及びde Murcia G.PARPスーパーファミリー(The PARP Superfamily),Bioessays 26 882−893(2004))。薬理学的研究は、式の化合物が、PARP−1(Ki=1.4nM)及びPARP−2(Ki=0.17nM)の阻害剤である。PARP酵素の間でのアミノ酸配列の構造的類似性に基づいて、式の化合物は、同様にファミリーのその他のメンバーに高親和性で結合するようである。
【0005】
DNAの1本鎖又は2本鎖切断の酵素を介した修復は、メカニズムがDNA損傷に依存する放射線療法又は細胞毒性剤への耐性の可能なメカニズムである。つまり、DNA修復酵素の阻害は、これらの試薬の相乗効果に対する戦略となる。PARP−1は、PARPファミリーのうち最もよく特徴付けられたメンバーであり、DNA損傷による活性化に応じて、NADから多くの受容体タンク質へのADP−リボース断片の転移を仲介する各酵素である。受けたDNA損傷の程度に依存して、PARP−1活性化及びその後のポリ(ADP−リボシル)化は、損傷したDNAの修復を仲介し、又は細胞死を誘導する。DNA損傷が中程度である場合、PARP−1は、DNA修復過程で重要な役割を果たす。反対に、大規模なDNA損傷の程度では、PARP−1の過度の活性化は、(NADを補充しようとして)ATPプールを使い果たし、結果としてネクローシスによる細胞死に導く(Tentori L,Portarena I,Graziani G.ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤の潜在的な用途(Potential applications of poly(ADP−ribose)polymerase(PARP)inhibitors),Pharmacol Res 2002,45,73−85)。このPARPの活性化はまた、カスパーゼ非依存性のアポトーシス経路を誘発するAIF(アポトーシス誘導因子)の放出へと導くことができる(Hong SJ,Dawson TM及びDawson VL.細胞死における核及びミトコンドリア変換:PARP−1及びAIF(Nuclear and mitochondrial conversations in cell death:PARP−1 and AIF),Trends in Pharmacological Sciences 25 259−264(2004))。
【0006】
PARP−1の二元的役割の結果として、式1によって表される8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのようなこの酵素の阻害剤は、化学増感剤(例えば、抗癌治療後のDNA修復を阻止することによって)として、あるいは酸化的又は一酸化窒素誘導のストレス及びその後のPARP過反応に関与する種々の疾患及び中毒症状のための治療としての役割を有してもよい。このような状態は、神経障害及び神経変性障害(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病)(Love S,Barber R,Wilcock GK.アルツハイマー病における核タンパク質のポリ(ADP−リボシル)化の増加(Increased poly(ADP−ribosyl)ation of nuclear proteins in Alzheimer’s disease),Brain 1999;122:247−53;Mandir AS,Przedborski S,Jackson−Lewis Vら,ポリメラーゼ活性化は1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)誘導のパーキンソニズム(Poly(ADP−ribose)polymerase activation mediates 1−methyl−4−phenyl−1,2,3,6−tetrahydropyridine(MPTP)−induced parkinsonism),Proc Natl Acad Sci USA 1999;96:5774−9);
【0007】
心臓血管疾患(例えば、心筋梗塞、虚血再灌流損傷)(Pieper AA,Walles T,Wei Gら,心筋虚血後損傷はポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1遺伝子崩壊によって減少する(Myocardial postischemic injury is reduced by poly(ADP−ribose)polymerase−1 gene disruption),J.Mol.Med.2000;6:271−82;Szabo G,Bahrle S,Stumpf Nら,ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害は心臓移植後の再灌流損傷を減少する(Poly(ADP−ribose)polymerase inhibition reduces reperfusion injury after heart transplantation),Circ Res 2002;90:100−6;米国特許第6,423,705号);炎症性疾患(Szabo C,Dawson V.炎症及び虚血性再灌流におけるポリ(ADP−リボース)合成酵素の役割(Role of poly(ADP−ribose synthetase in inflammation and ischaemia−reperfusion),TIPS 1998;19:287−98);糖尿病性血管機能不全(Soriano FG,Virag L,Szabo C.糖尿病性内皮機能不全:反応性酸素及び窒素腫生産及びポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性化の役割(Diabetic endothelial dysfunciton:role of reactive oxygen and nitrogen species production and poly(ADP−ribose)polymerase activation),J Mol Med 2001;79:437−48);
【0008】
関節炎(Szabo C,Virag L,Cuzzocrea Sら,ポリ(ADP−リボース)合瀬の阻害によるペルオキシ亜硝酸誘導の線維芽細胞損傷及び関節炎の発症に対する保護(Protection against peroxynitrite−induced fibroblast injury and arthritis development by inhibition of poly(ADP−ribose)synthase),Proc Natl Acad Sci USA 1998,vol.95,pp.3867−72);及び、シスプラチン誘導の腎臓毒性(Raczら,「BGP−15−新規ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ阻害剤−は、その抗腫瘍活性を損なうことなしにシスプラチンの腎臓毒性に対して保護する」(“BGP−15−a novel poly(ADP−ribose)polymerase inhibitor−protects against nephrotoxicity of cisplatin without compromising its antitumor activity”)Biochem Pharmacol 2002;63:1099−111)。さらに、BRCA2不完全腫瘍細胞は、PARP阻害剤だけに非常に感受性がある(Bryantら,「ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの阻害剤を用いたBRCA2を欠いた腫瘍の特異的な殺傷」(“Specific killing of BRCA2 deficient tumors with inhibitors of poly(ADP−ribose)polymerase”)Nature,2005,vol.434,pp.913−917;Farmerら,「治療戦略としてのBRCA突然変異細胞におけるDNA修復不全の標的化」(“Targeting the DNA repair defect in BRCA mutant cells as a therapeutic strategy”)Nature,2005,vol.434,pp.917−921)。PARP阻害剤はまた、β細胞におけるReg遺伝子及びHGF遺伝子発現の誘導を増加することに関与し、したがって、ランゲルハンス島の膵臓β細胞の増殖を促進し、その細胞のアポトーシスを抑制する(米国特許出願公開2004/0091453;PCT公開WO02/00665)。さらに、PARP阻害剤はまた、化粧品、特に、日光浴後のローションに使用される(PCT公開WO01/82877)。現在、販売されているPARP阻害剤はない。
【0009】
癌は、非常に満たされていない医療ニーズを有する疾患のままである。細胞毒性を有する化学療法は、癌の大部分、とりわけ後期疾患に対する全身療法の主要な柱である。しかしながら、進行性又は転移性癌を有する患者にとって、細胞毒性を有する化学療法又は投薬計画は、全体の生存者を増加することにほとんど効果がない。さらに、細胞毒性剤と関連した小さい治療濃度域は、次善の有効性とともに有意な毒性の原因となる。したがって、十分な耐量で細胞毒性剤の有効性を強める化学増感剤は、癌患者にとって臨床ニーズを満たすであろう。
【0010】
放射線療法は、限局性疾患対策について大部分の腫瘍型に使用される癌治療の効果的な形態である。全癌患者の50%以上が、疾病の過程で放射線療法を受けるであろう(Foroudi F.ら,乳癌に対する適切な放射線療法の利用率の証拠に基づく推定(An evidence−based estimate of appropriate radiotherapy utilization rate for breast cancer),Int J Radiat Oncol Biol Phys.2002,53:1240−53;Foroudi F.ら,結腸直腸癌に対する適切な放射線療法の利用率の証拠に基づく推定(An evidence−based estimate of the appropriate radiotherapy utilization rate for clolorectal cancer),Int J Radiat Oncol Biol Phys.2003,56:1295−307;Foroundi F.ら,前立腺癌に対する適切な放射線療法の利用率の証拠に基づく推定(Evidence−based estimate of appropriate radiotherapy utilization rate for prostat cancer),Int J Radiat Oncol Biol Phys.2003,55:51−63;Barbera L.ら,肺癌に対する放射線療法の利益と費用の評価(Estimating the benefit and cost of radiotherapy for lung cance),Int J Technol Assess Health Care.2004,20:545−51)。しかしながら、癌の最前線の治療でさえ、放射線療法は、治療目的(例えば、頭頸部癌、軟組織肉腫及び頸部の癌腫)で施されるが、全ての患者が十分に応答するわけではない。したがって、全患者の応答を増加するであろう戦略が必要となる。
【0011】
しばしば、標準的な化学療法は、放射線療法前又は後に施されるであろう。代替のアプローチは、放射線治療と、放射線治療の有効性を高めるために特異的に設計される新規な抗癌剤とを組み合わせることである。このような薬剤は、腫瘍放射線応答を支配する5つの主要な因子に影響を与える(「腫瘍応答の測定としての細胞生存」(“Cell survival as a determinant of tumor reponse”)Basic clinical radiobiology 3版.Steel GG(監修)Arnold Press UK,pp。52−63,2002)。これらは、放射線治療によって引き起こされたDNA損傷を修復する能力;放射線治療後の細胞周期を通じた細胞の再配分(最初の放射線量で耐性段階であった腫瘍細胞が、放射線画分によってより感度が良い段階へと進行するようなものである);放射線画分の間で全身腫瘍組織量を増加しながら生存細胞が分割し続ける再増殖;より不十分に酸化されたことの結果として放射線治療の初期のラウンドを生き残った細胞の再酸化、そして、最後に、特定組織の固有の放射線感受性である。これらの因子のうち、修復及び再配分の増加は、放射線感受性に関し、一方、再増殖、再酸化及び生来の放射線感受性は、腫瘍を放射線治療により応答性のあるものにし得る。明らかに、放射線療法と併用したDNA修復の能力を低下する薬剤の使用は、放射線療法の結果を高める可能性を有する。PARP−1活性化及びその後のポリ−(ADP−リボシル化)は、放射線誘導のDNA損傷に応答して見られる(Satoh MS及びLindahl T.DNA修復におけるポリ(ADP−リボース)形成の役割(“Role of poly(ADP−ribose)formation in DNA repair”),Nature.1992,356:356−358)。
【0012】
さらに、PARP−1発現及び活性を欠如させるために発生させた細胞株及びノックアウトマウスは、放射線相乗作用のための魅力的な標的としてPARP−1を支持する優れた放射線感受性を示す(Wangら,「ADPRT及びポリ(ADP−リボシル)化を欠如しているマウスは正常に発生するが皮膚疾患に影響を受けやすい」(“Mice lacking ADPRT and poly(ADP−ribosyl)ation develop normally but are susceptible to skin disease”),Genes Dev.1995,9:509−20;de Murciaら,マウス及び細胞のDNA損傷からの回復におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの要求(“Requirement of poly(ADP−ribose)polymerase in recovery from DNA damage in mice and in cells”),Proc Natl Acad Sic USA.1997,94:7303−7;Masutaniら,DNA損傷に応答したポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの機能:マウスにおける遺伝子崩壊の研究(“Function of poly(ADP−ribose)polymerase in response to DNA damage:gene−disruption study in mice”),Mol Cell Biochem.1999,193:149−52)。DNA修復に関する直接的な影響に加えて、詳述されるPARP−1阻害剤のクラスは、血管に作用し、増加した放射線応答にさらに原因となり得る放射線画分間の腫瘍再酸化の可能性を増加するようである(Calabreaseら,強力な新規ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)阻害剤、AG14361によるインビトロ及びインビボでの抗癌化学又は放射線増感化(“Anticancer chemo− and radio−sensitisation in vitro and in vivo by a potent novel poly(ADP−ribose)polymerase−1(PARP−1)inhibitor,AG14361”),J.Natl.Cancer Inst.2004,96:56−67)。
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
一態様において、本発明は、哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式1:
【化2】

で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための剤形を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は、哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式で表される化合物の10ng/mLの持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための剤形を提供する。
【0015】
別の態様において、本発明は、哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式1で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式1で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む剤形であって、哺乳動物に投与するための注射用の凍結乾燥させた粉末剤である剤形を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、哺乳動物に投与後末梢血リンパ球において少なくとも24時間、少なくとも50%までポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ酵素を阻害するために有効な量で、式1で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための剤形を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、哺乳動物に投与後末梢血リンパ球において少なくとも24時間、少なくとも50%までポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ酵素を阻害するのに有効量で、式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための注射用の凍結乾燥させた粉末剤である剤形を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、式1で表される化合物の量に相当する遊離塩基として表される1〜48mg/m2の量で、式1で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための剤形を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、式1で表される化合物の量に相当する遊離塩基として表される1〜48mg/m2の量で、式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための注射用の凍結乾燥させた粉末剤である剤形を提供する。
【0020】
別の態様において、本発明は、式1で表される化合物の量に相当する遊離塩基として表される2〜96mg/m2の量で、式1で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための剤形を提供する。
【0021】
別の態様において、本発明は、式で表される化合物の量に相当する遊離塩基として表される2〜96mg/m2の量で、式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための注射用の凍結乾燥させた粉末剤である剤形を提供する。
【0022】
別の態様において、本発明は、哺乳動物における癌を治療する方法であって、哺乳動物に下記:
(a)哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物;そして、
(b)治療的に有効量の少なくとも1つの抗癌剤
を投与することを含む方法を提供する。
【0023】
別の態様において、本発明は、哺乳動物における癌を治療する方法であって、哺乳動物に下記:
(a)哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物;そして、
(b)治療的に有効量の少なくとも1つの抗癌剤
を投与することを含み、ここで、抗癌剤が、式で表される化合物の投与後1時間以内に投与される、前記方法を提供する。
【0024】
別の態様において、本発明は、哺乳動物における癌を治療する方法であって、哺乳動物に下記:
(a)哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物;そして、
(b)治療的に有効量の少なくとも1つの抗癌剤
を投与することを含み、ここで、癌が、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、皮膚若しくは眼球内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性若しくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓若しくは尿管の癌、腎細胞の癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、及びそれらの組み合わせから選択される、前記方法を提供する。
【0025】
別の態様にいて、本発明は、哺乳動物における癌を治療するためのキットであって、下記:
(a)第一の単位剤形における式で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物、及び医薬として許容される担体若しくは希釈剤の量;
(b)少なくとも第二の単位剤形における少なくとも1つの抗癌剤、及び医薬として許容される担体若しくは希釈剤の量;及び、
(c)第一及び少なくとも第二の剤形を含有するための容器
を含み、ここで、式の化合物の量が、哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式1で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量である、前記キットを提供する。
【0026】
別の態様において、本発明は、哺乳動物における癌を治療するための方法であって、
(a)哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物;及び
(b)イリノテカン、5−フルオロウラシル及びロイコボリンの組み合わせ
を哺乳動物に投与すること含む、前記方法を提供する。
【0027】
別の態様において、本発明は、哺乳動物における癌を治療するための方法であって、
(a)哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物;及び
(b)癌を崩壊するのに有効な放射線量
を哺乳動物に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0028】
用語の定義及び省略形
用語「化合物I」は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩を意味する。用語「式の化合物」は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オン、遊離塩基を意味する。
【0029】
「異常細胞増殖」は、本明細書中で使用するとき、他に指示がない限り、正常な調節機構と独立した細胞増殖(例えば、接触阻害の喪失)を意味する。
用語「治療すること」は、本明細書中で使用するとき、他に指示がない限り、このような用語が適用される障害若しくは状態、又は1若しくはそれより多くのこのような障害若しくは状態の兆候を逆転し、緩和し、進行を阻害することを意味する。
【0030】
用語「放射線増感剤」は、本明細書中で使用するとき、腫瘍細胞を放射線療法により感度を上昇させる薬物を意味する。
用語「放射線療法」は、本明細書中で使用するとき、外部照射放射線療法(XBRT)又は遠隔療法、近接照射療法又は密封線源放射線療法及び非密封線源療法を含む。放射線療法のこれら3つの主要な区分の間の違いは、放射線源の位置に関する;外部は、体外であり、一方、密封及び非密封線源療法は、内部に輸送された放射線物質を有する。外部照射放射線療法は、放射線療法の最も共通な形態であり、患者はベットに横たわり、X線の外部線源は、体の特定の部分で位置される。放射線照射は、組織と相互作用し、吸収され、細胞のDNAを損傷させる。近接照射療法は、治療されるべき部位にできるだけ近接させて配置する密封線源を用いる放射線療法の輸送である。放射線源が食道又は気管支のような体腔内に配置することができる場合、あるいは、頭頸部及び皮膚のような体腔内に配置される針又はカテーテル源に腫瘍が接近可能である場合、腫瘍の治療に応用可能である。近接照射療法は、大部分の腫瘍部位に可能な応用性を有する。それは、初期の治療として、又は外部照射放射線療法と併用して使用することができる。非密封線源の放射線療法は、体内に注射される放射活性物質の可溶な形態の使用に関する。これら全ての物質に1つの共通な特徴であり、それは、非放射活性の親物質の生物学的な役割である。陽子線療法は、粒子がプロトンである場合、外部照射放射線療法の特別な場合である。
【0031】
用語「放射線免疫療法」は、本明細書中で使用するとき、細胞毒性の放射性核種が、腫瘍標的に直接毒素を輸送するために、抗体に連結される場合の放射線療法を意味する。抗体を標的とした毒素(免疫毒素)以外の標的とした放射線を用いた療法は、適切な抗原決定基を欠如し、放射線の集中照射によって破壊され得る腫瘍細胞に近接した利点を有する。放射線免疫療法は、時折、標的放射線療法と呼ばれるが、この後者の用語はまた、非免疫分子に連結した放射線核種(放射線療法)を意味する。
【0032】
語句「医薬として許容される塩(又は複数)」は、本明細書中で使用するとき、他に指示がない限り、化合物に存在するかもしれない酸性基又は塩基性基の塩を含む。天然において塩基性である本発明の化合物は、様々な無機酸及び有機酸を用いて広範な異なった塩を形成することができる。このような塩基性化合物の医薬として許容される酸付加塩を製造するために使用され得る酸は、非毒性の酸付加塩、即ち、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、エチルコハク酸、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアラサニン酸、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムケート(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、オキサル酸塩、パモン酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクトウロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩(teoclate)、トシレート、トリエチオドーデ(triethiodode)、及び吉草酸塩のような薬理学的に許容される陰イオンを含有する塩を形成するものである。
【0033】
本発明はまた、同位体標識した化合物を含み、式で引用されたこれと同一だが、実際には、1又はそれより多くの原子が、天然には通常見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されている。本発明の化合物に取り込むことができる同位元素の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位元素、例えば、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clを含む。前述した同位元素及び/又は他の原子の他の同位元素を含有する、本発明の化合物及び前記化合物の医薬として許容される塩は、本発明の範囲内である。本発明のある同位体標識した化合物は、例えば、3H、14C、11C又は18Fのような放射性同位元素を取り込んだ化合物は、薬物及び/又は基質組織分布アッセイに有用である。トリチウム化、即ち、3H、及び炭素−14、即ち、14Cの同位元素は、それらの調製及び検出の容易さのために、そして、11C又は18Fは、陽電子放射断層撮影法での使用に関して、特に好ましい。さらに、デューテリウム、即ち、2Hのようなより重い同位元素による置換は、より大きな代謝安定性、例えば、インビボでの半減期の増加又は投与量要求性の減少に起因するある種の治療的利点を提供することができ、それ故、ある状況では好ましいかもしれない。本発明の式の同位体標識した化合物は、一般的には、非標識化合物について詳述した手順を実行することによって、非同位体標識した試薬の代わりに容易に利用可能な同位体標識した試薬を用いることによって製造することができる。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
発明の詳細な説明
I.8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの医薬製剤
の化合物及びその塩は、米国特許第6,495,541号;PCT出願PCT/IB2004/000915;米国仮特許出願第60/612,457号;及び米国仮特許出願第60/612,459号に記載され、開示内容は、本明細書中に参照により全体として援用される。ある種の出発物質は、当業者に親しい方法に従って製造することができ、そして、ある種の合成の変更は、当業者に親しい方法に従って行うことができる。
【0037】
の化合物は、種々の無機酸及び有機酸を用いて、広範な種類の異なる塩を形成することができる。このような塩は、哺乳動物への投与に医薬して許容されなければならないが、しばしば、医薬として許容されない塩として反応混合物から式の化合物をはじめに単離し、次に、単に、アルカリ試薬による処理によって、後者の遊離塩基化合物に変換し、その後、後者の遊離塩基化合物を医薬として許容される酸付加塩に変換することが実施に望ましい。本発明の塩基性化合物の酸付加塩は、水溶液媒体、又はメタノール若しくはエタノールのような適切な有機溶媒中で選択されたミネラル又は有機酸の実質的に均等な量を用いて塩基性化合物を処理することによって、容易に製造される。溶媒の注意深い蒸発により、所望の固形な塩を容易に得られる。所望の酸性塩はまた、溶液に適したミネラル又は有機酸を添加することによって有機溶媒中の遊離塩基の溶液から沈殿することができる。好ましい塩、リン酸塩の調製の具体的な例は、PCT出願PCT/IB2004/000915;米国仮特許出願第60/612,457号;及び米国仮特許出願第60/612,459号に見出すことができ、開示内容は、本明細書中に参照により全体として援用される。
【0038】
の化合物の投与は、作用部位に化合物の輸送を可能にする任意の方法によって達成することができる。これらの方法は、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、筋内、血管内又は輸液を含む)を含む。
【0039】
化合物は、例えば、錠剤、カプセル剤、ピル、粉末剤、持続放出製剤、液剤、懸濁剤のような経口投与用、無菌の液剤、懸濁剤若しくは乳化剤のような非経口用、軟膏若しくはクリームのような局所投与用、又は坐剤のような直腸内投与用に適した形態で提供することができる。
【0040】
化合物は、正確な投与量の一回投与に適した単位剤形であってもよい。好ましくは、剤形は、慣用的な医薬担体又は賦形剤、及び有効成分として式の化合物を含む。さらに、剤形は、他の薬剤若しくは医薬品、担体、アジュバント等を含んでもよい。
【0041】
例示的な非経口投与は、無菌の水溶液、例えば、水性のプロピレングリコール又はデキストロース溶液中の溶液又は懸濁液を含む。
適した医薬担体は、希釈剤又は充填剤、水及び種々の有機溶媒を含む。医薬組成物は、必要に応じて、風味剤、結合剤、賦形剤等のような追加の成分を含有してもよい。つまり、経口投与について、クエン酸のような種々の賦形剤を含有する錠剤は、スターチ、アルギン酸及びある種の複合体のような種々の崩壊剤、サッカロース、ゼラチン及びアカシアのような結合剤と一緒に採用してもよい。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクのような潤滑剤は、しばしば、錠剤化目的のために有用である。同タイプの固形組成物はまた、充填した軟性及び硬性ゼラチンカプセル剤において採用してもよい。したがって、好ましい材料は、ラクトース又はミルク糖及び高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁剤又はエリキシル剤は、経口投与に望ましい場合、その中の活性化合物は、種々の甘味剤又は風味剤、着色剤又は色素、そして、必要に応じて、乳化剤又は懸濁剤、並びに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンのような希釈剤、又はそれらの組み合わせと共に使用してもよい。
【0042】
本発明の剤形の好ましい態様において、剤形は、経口剤形、より好ましくは錠剤又はカプセル剤である。
本発明の方法の好ましい態様において、式の化合物は、例えば、凍結乾燥させた粉末剤を用いて非経口的に投与される。臨床使用のための注射用の凍結乾燥させた粉末剤の調製は、米国仮特許出願第60/612,459号に記載され、開示内容は、本明細書中に参照により全体として援用される。
【0043】
例えば、式の化合物のリン酸塩は、10mL/20mm、タイプI、琥珀色のガラスバイアル中の注射用に凍結乾燥した粉末剤12mg/バイアル(遊離塩基として)として調合され、供給され得る。式の化合物のリン酸塩の組成物の薬剤製造物は、式の化合物のリン酸塩、マンニトール、注射用水、及び窒素からなってもよい。得られる薬剤製造品は、オフホワイトから黄色のケーキであってもよい。各薬剤製造物バイアルは、注射用に6mLの無菌水で再構築することができ、式の化合物の遊離塩基として、2.02mg/mL(おおよそ2mg/mL)を生じる。
【0044】
本発明の好ましい態様において、式の化合物の血漿濃度は、5.9ng/mL又はそれを超えて維持される。この数値は、細胞のNAD枯渇及びポリ−ADP−リボースポリマー形成に対して標的効果(IC89)から決定し、タンパク質結合に関して調整した。具体的には、実施例4に示されるように、5nM(テモゾロミド PF50=1.3)の式の化合物は、A549細胞において、MNNG誘導の細胞のNAD消費を減少し、89%まで細胞のポリ−ADP−リボース形成を阻害した。ヒトタンパク質結合についての5nMの標的効果を補正して(式の化合物の0.05〜25nMの間の濃度について未結合の平均27.4%)、血漿濃度5.9ng/mL:
【化3】

を生じた。
【0045】
II.本発明の医薬組成物及びそれらの使用
本発明の一態様において、式の化合物は、機構がDNA損傷に依存する細胞毒性剤の有効性を増加するために使用される。これらの薬物は、限定されないが、テモゾロミド(SCHERING)、イリノテカン(PFIZER)、トポテカン(GLAXO SMITHKLINE)、シスプラチン(BRISTOL MEYERS SQUIBB;AM PHARM PARTNERS;BEDFORD;GENSIA SICOR PHARMS;PHARMACHEMIE)、及びドキソルビシン塩酸塩(AM PHARM PARTNERS;BEDFORD;GENSIA SICOR PHARMS;PHARMACHEMIE;ADRIA;ALZA)を含む。
【0046】
治療的に有効量の本発明の試薬は、典型的には、PARPの調節又は制御によって仲介される疾患を治療するために、医薬組成物の形態で投与してもよい。「有効量」は、このような治療を必要する哺乳動物(ヒトを含む)に投与される場合、1又はそれより多くのPARP酵素の活性によって仲介される疾患に対して有効な治療に十分である薬物の量を意味することが意図される。つまり、本発明の化合物の治療的に有効量は、1又はそれより多くのPARP酵素の活性によって仲介される疾患状態が減少し又は緩和するようにその活性を調節し、制御し又は阻害するのに十分な量である。所定の化合物の有効量は、疾患状態、その感受性、並びに治療を必要とする哺乳動物それ自身及び状態(例えば、体重)のような因子に依存して変化するであろうし、それにもかかわらずに、当業者によって日常的に決定することができる。「治療すること」は、少なくとも部分的に、1又はそれより多くのPARP酵素の活性によって、影響される哺乳動物(ヒトを含む)における疾患状態の軽減を意味することが意図され、特に、哺乳動物が、疾患状態を有する経口にあることがわかり、しかし、それを有するとまだ診断されていない場合に、哺乳動物に生じることから疾患状態を妨げること;この疾患状態を調節及び/又は阻害すること;及び/又は、この疾患状態を軽減することを含む。
【0047】
PARP活性の調節因子としての式の化合物の活性は、インビボ及び/又はインビトロアッセイを含む、当業者に利用可能な任意の方法によって測定することができる。活性測定の適切なアッセイの例は、米国特許第6,495,541号、及び本発明の具体的な実施例に記載されるものを含む。
【0048】
本発明は、PARP活性によって仲介される疾患状態、例えば、酸化的ストレス又は一酸化窒素誘導のストレス及びその後のPARP過反応に関与する癌、及び種々の疾患、及び中毒症状を処置する治療方法に関する。このような状態は、限定されないが、神経障害及び神経変性障害(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病)、心臓血管疾患(例えば、心筋梗塞、虚血再灌流損傷)、糖尿病性血管機能不全、シスプラチン誘導の腎臓毒性を含む。本発明の治療方法は、それを必要とする哺乳動物に、任意の多形、又は上記で検討した医薬組成物を含む医薬組成物の治療的に有効量を投与することを含む。
【0049】
本発明発明はまた、哺乳動物(ヒトを含む)における異常細胞増殖の治療方法に関し、異常細胞増殖に有効な量の上記で定義した式1の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物を前記哺乳動物に投与することを含む。
【0050】
本方法の一態様において、異常な細胞増殖は、癌であり、限定されないが、中皮腫、肝胆道(肝管及び胆管)の原発性若しくは二次的CNS腫瘍、原発性若しくは二次的な脳腫瘍、肺癌(NSCLC及びSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、皮膚若しくは眼球内メラノーマ、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸、及び十二指腸)の癌、乳癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、睾丸癌、慢性若しくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓若しくは尿管の癌、腎細胞の癌腫、腎盂の腫瘍、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、又は1若しくはそれより多くの前述の癌の組み合わせを含む。
【0051】
前記方法の別の態様において、前記異常細胞増殖は、良性増殖疾患であり、限定されないが、乾癬、良性前立腺肥大症又は再狭窄を含む。
本発明はまた、哺乳動物における異常細胞増殖を治療する方法に関し、増殖阻害因子、アルキル化試薬、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾剤、抗体、細胞傷害剤、抗ホルモン剤、及び抗男性ホルモン剤と併用して、異常細胞増殖を治療するのに有効な量の式の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物を前記哺乳動物に投与することを含む。
【0052】
本発明はまた、異常細胞増殖を治療するのに有効な量の、上記で定義される式1の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、及び医薬として許容される担体を含む、哺乳動物(ヒトを含む)における異常細胞増殖を治療するための医薬組成物に関する。前記組成物の一態様において、前記異常細胞増殖は、癌であり、限定されないが、中皮腫、肝胆道(肝管及び胆管)、原発性若しくは二次的CNS腫瘍、原発性若しくは二次的な脳腫瘍、肺癌(NSCLC及びSCLC)、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、皮膚若しくは眼球内メラノーマ、卵巣癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸、及び十二指腸)の癌、乳癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、睾丸癌、慢性若しくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓若しくは尿管の癌、腎細胞の癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、又は1若しくはそれより多くの前述の癌の組み合わせを含む。前述の医薬組成物の別の態様において、前記異常細胞増殖は、良性増殖疾患であり、限定されないが、乾癬、良性前立腺肥大症又は再狭窄を含む。
【0053】
本発明はまた、哺乳動物(ヒトを含む)における異常細胞増殖を治療するための医薬組成物に関し、増殖阻害因子、アルキル化試薬、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾剤、抗体、細胞傷害剤、抗ホルモン剤、及び抗男性ホルモン剤と併用して、異常細胞増殖を治療するのに有効な量の上記で定義した式1の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物を含む。
【0054】
本発明はまた、哺乳動物における過剰増殖傷害の治療方法に関し、前記哺乳動物に、治療的に有効量の式の化合物、又はその医薬として許容される塩若しくは水和物、並びに、抗増殖剤、キナーゼ阻害剤、血管形成阻害剤、増殖因子阻害剤、cox−I阻害剤、cox−II阻害剤、増殖阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾剤、抗体、細胞傷害剤、抗ホルモン剤、スタチン、及び抗男性ホルモン剤からなる群から選択される抗腫瘍剤を投与することを含む。
【0055】
本発明はまた、PARP活性によって仲介される疾患状態の併用治療方法に関し、それを必要とする哺乳動物に、任意の多形を含む治療的に有効量の医薬組成物、又は上記で検討した医薬組成物、並びに、治療的に有効量の抗腫瘍剤、抗血管形成剤、シグナル伝達阻害剤、及び抗増殖剤から選択される1又はそれより多くの物質を投与することを含む。このような物質は、PCT公開WO00/38715、WO00/38716、WO00/38717、WO00/38718、WO00/38719、WO00/38730、WO00/38665、WO00/37107及びWO00/38786に開示されたものを含み、これらの開示内容は、本明細書中に参照により全体として援用される。
【0056】
抗腫瘍剤の例は、テモゾロミド(SCHERING)、イリノテカン(PFIZER)、トポテカン(GLAXO SMITHKLINE)、シスプラチン(BRISTOL MEYERS SQUIBB;AM PHARM PARTNERS;BEDFORD;GENSIA SICOR PHARMS;PHARMACHEMIE)、及びドキソルビシン塩酸塩(AM PHARM PARTNERS;BEDFORD;GENSIA SICOR PHARMS;PHARMACHEMIE;ADRIA;ALZA)を含む。
【0057】
併用治療法は、任意の所望の投与計画を用いて、式の化合物、及び抗腫瘍剤を投与することを含む。例えば、この投薬計画は、下記:
(a)式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物は、25〜200mg/m2テモゾロミド、好ましくは100〜200mg/m2テモゾロミドの1時間前に、28日ごとに毎日×5日、式の化合物の量に相当する遊離塩基として表した1〜48mg/m2の量で投与することができ;
(b)式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物は、イリノテカンの1時間前及び24時間後に、式の化合物の量に相当する遊離塩基として表した1〜48mg/m2の量で投与することができる
の併用剤に依存し得る。
イリノテカンの投与範囲:
62〜125mg/m2 6週ごとに毎週×4週
175〜350mg/m2 3週ごと
90〜180mg/m2 2週ごと
【0058】
(c)式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物は、トポテカン投与の1時間前に、21日ごとに毎日×5日、式の化合物の量に相当する遊離塩基として表した1〜48mg/m2の量で投与することができる。
トポテカンの投与範囲:
0.75〜1.5mg/m2 21日ごとに毎日×5日。
【0059】
(d)式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物は、シスプラチン投与の1時間前に、3〜4週ごとに一度、又は3〜4週ごとに毎日×3〜5日、式の化合物の量に相当する遊離塩基として表した1〜48mg/m2の量で投与することができる。
シスプラチンの投与範囲:
10〜100mg/m2 3〜4週ごと
10〜40mg 3〜4週ごとに毎日×3〜5日。
【0060】
(e)式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物は、ドキソルビシンの1時間前及び24時間後に、式の化合物の量に相当する遊離塩基として表した1〜48mg/m2の量で投与することができる。
ドキソルビシンの投与範囲:
20〜75mg/m2 21〜28日ごと。
【0061】
本発明の併用治療法は、式の化合物の量に相当する遊離塩基として表した1〜48mg/m2の量で式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物、及び抗腫瘍剤(又は複数)を表1に提示した投薬計画を用いて投与することを含めてもよい。
【0062】
【表3】

【0063】
CRC=結腸直腸癌;5−FU=5−フルオロウラシル;LV=ロイコボリン。
*1回目の投薬が十分に許容される場合、その後の投薬は60分かけて投与され、次に30分であってもよい。
【0064】
表1に列挙した投与スキームは修飾することができる。例えば、イリノテカンは、50〜350mg/m2の投与量で提供してもよく;5−FUは、370mg/m2−3.0gの投与量で提供してもよい。LVは、20〜500mg/m2で投与してもよい。
【0065】
本発明の併用治療法は、式の化合物の量に相当する遊離塩基として表した1〜48mg/m2の量で式の化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物、及び抗腫瘍剤(又は複数)を投与することを含み、例えば、表2に提示した投薬計画で治療を失敗した患者の治療に使用してもよい。
【0066】
【表4】

【0067】
投与量単位は、BSAのmg/m2で表される。例えば、Mosteller式、DuBois及びDuBois式、Haycock式、Gehan及びGeorge式、Boyd式は、BSAを測定するために応用できる(Mosteller RD:体表面積の単純化した計算(Simplified Calculation of Body Surface Area)N Engl J Med 1987 Oct 22;317(17):1098;DuBois D;DuBosi EF:背丈及び体重が知られている場合の概算の表面積を推定する式(A formula to estimate the approximate surface area if height and weight be known)Arch Int Med 1916 17:863−71;Haycock G.B.,Schwartz G.J.,Wisotsky D.H.体表面積を測定するための幾何学的方法:幼児、小児及び成人に有効な背丈体重式(Geometric method for measureing body surface area:A height weight formula validated in infants,children and adults)The Journal of Pediatrics 1978 93:1:62−66;Gehan EA,George SL,背丈及び体重からのヒト体表面積の推定(Estimation of human body surface area from height and weight)Cancer Chemother Rep 1970 54:225−35;Body E,人体の表面積の増加(The growth of the surface area of the human body)Minneapolis:university of Minnesota Press,1935;Lam TK,Leung DT:体表面積のより単純化した計算(More on simplified calculation of body−surface area)N Engl J Med 1988 Apr 28;318(17):1130)。
【0068】
抗腫瘍剤の追加の例は、抗増殖剤、キナーゼ阻害剤、血管形成阻害剤、増殖因子阻害剤、cox−I阻害剤、cox−II阻害剤、増殖阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入抗生物質、増殖因子阻害剤、放射線、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾剤、抗体、細胞傷害剤、抗ホルモン剤、スタチン、及び抗男性ホルモン剤を含む。
【0069】
本発明の一態様において、式1の化合物及び本明細書中に記載した医薬組成物と共に使用される抗腫瘍剤は、抗血管形成剤、キナーゼ阻害剤、汎キナーゼ阻害剤又は増殖因子阻害剤である。
【0070】
好ましい汎キナーゼ阻害剤は、米国特許第6,573,293号(Pfizer,Inc,NY,USA)に記載されるSU−11248を含む。
抗血管形成剤は、限定されないが、下記の試薬、例えば、EGF阻害剤、EGFR阻害剤、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE2阻害剤、IGF1R阻害剤、COX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、MMP−2(マトリックス−メタロプロテイナーゼ)阻害剤、及びMMP−9(マトリックス−メタロプロテイナーゼ9)阻害剤を含む。
【0071】
好ましいVEGF阻害剤は、例えば、アバスチン(ベバシツマブ)、抗VEGFモノクローナル抗体(Genentech,Inc.,South San Francisco,Calirornia)を含む。
【0072】
追加のVEGF阻害剤は、CP−547,632(Pfizer Inc.,NY,USA)、AG13736(Pfizer Inc.)、ZD−6474(AstraZeneca)、AEE788(Novartis)、AZD−2171)、VEGF Trap(Regeneron,/Aventis)、Vatalanib(PTK−787、ZK−222584としても知られる:Novartis & Schering AG)、Macugen(ペガプタニブ・オクタナトリウム、NX−1838、EYE−001、Pfizer Inc./Gilead/Eyetech)、IM862(Cytran Inc.,Kirkland、Washington,USA);及びアンジオザイム、合成リボザイム(Ribozyme(Boulder,Colorado)及びChiron(Emeryvile,California)、並びにそれの組み合わせを含む。本発明の実施に有用なVEGF阻害剤は、米国特許第6,534,524号及び第6,235,764号に開示され、両者は、全体として、全目的のために援用される。特に好ましいVEGF阻害剤は、CP−547,632、AG13736、バタラニブ、マクゲン及びそれらの組み合わせを含む。
【0073】
追加のVEGF阻害剤は、例えば、WO99/24440(1999年5月20日公開)、PCT国際出願PCT/IB99/00797(1999年5月3日出願)、WO95/21613(1995年8月17日公開)、WO00/61422(1999年12月2日公開)、米国特許第6,534,524号(AG13736開示)、米国特許第5,834,504号(1998年11月10日発行)、WO98/50356(1998年11月12日公開)、米国特許第5,883,113号(1999年3月16日発行)、米国特許第5,886,020号(1999年3月23日発行)、米国特許第5,792,783号(1998年8月11日発行)、米国特許第6,653,308号(2003年11月25日発行)、WO99/10349(1999年3月4日発行)、WO97/32856(1997年9月12日発行)、WO97/22596(1997年6月26日公開)、WO98/54093(1998年12月3日公開)、WO98/02438(1998年1月22日公開)、WO99/16755(1999年4月8日公開)、及びWO98/02437(1998年1月22日)に記載され、全ては、本明細書中に参照により全体として援用される。
【0074】
本発明の化合物とともに用いることができる他の抗増殖剤は、酵素ファルネシルタンパク質転移酵素の阻害剤及び受容体チロシンキナーゼPDGFrの阻害剤を含み、下記の米国特許出願:09/221946(1998年12月28日出願);09/454058(1999年12月2日出願);09/501163(2000年2月9日出願);09/539930(2000年3月31日出願);09/202796(1997年5月22日出願);09/384339(1999年8月26日出願);及び09/383755(1999年8月26日出願)に開示され及び請求された化合物;そして、下記の米国仮特許出願:60/168207(1999年11月30日出願);60/170119(1999年12月10日出願);60/177718(2000年1月21日出願);60/168217(1999年11月30日出願)、及び60/200834(2000年5月1日出願)に開示され及び請求された化合物を含む。前述の特許出願及び仮特許出願の各々は、本明細書中に、参照により全体として援用される。
【0075】
PDGRr阻害剤は、限定されないが、国際特許出願公開WO01/40217(2001年7月7日に公開)、及び国際特許出願公開WO2004/020431(2004年3月11日公開)に開示されたものを含み、それらの内容は、全目的のために全体として援用される。
【0076】
好ましいPDGFr阻害剤は、PfizerのCP−673,451及びCP−868,596、並びに医薬として許容されるその塩を含む。
好ましいGARF阻害剤は、PfizerのAG−2037(ペリトレキソール及びその医薬として許容される塩)を含む。本発明の実施に有用なGARF阻害剤は、米国特許第5,608,082号に開示され、それは、全体として、全目的のために援用される。
【0077】
式1の化合物及び本明細書中に開示した医薬組成物とともに使用することができる有用なCOX−II阻害剤の例は、CELEBREX(商標)(セレコキシブ)、パレコキシブ、デラコキシブ、ABT−963、MK−663(エトリコキシブ)、COX−189(ルミラコキシブ)、BMS 347070、RS57067、NS−398、Bextra(バルデコキシブ)、パラコキシブ、Vioxx(ロフェコキシブ)、SD−8381、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイル−フェニル)−1H−ピロール、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロール、T−614、JTE−522、S−2474、SVT−2016、CT−3、SC−58125及びArcoxia(エトリコキシブ)を含む。加えて、COX−II阻害剤は、米国特許出願10/801,446及び10/801,429に記載され、それらの内容は、全体として、全目的のために援用される。
【0078】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、米国特許第5,466,823号に開示されたセレコキシブであり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。セレコキシブの構造は、下記:
【化4】

に示される。
【0079】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、米国特許第5,633,272号に開示されたバルデコキシブであり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。バルデコキシブの構造は、下記:
【化5】

に示される。
【0080】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、米国特許第5,932,598号に開示されたパレコキシブであり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。パレコキシブの構造は、下記:
【化6】

に示される。
【0081】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、米国特許第5,521,207号に開示されたデラコキシブであり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。デラコキシブの構造は、下記:
【化7】

に示される。
【0082】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、米国特許第6,034,256号に開示されたSD−8381であり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。SD−8381の構造は、下記:
【化8】

に示される。
【0083】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、国際公開WO2002/24719に開示されたABT−963であり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。ABT−963の構造は、下記:
【化9】

に示される。
【0084】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、下記:
【化10】

に示されるロフェコキシブである。
【0085】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、国際公開WO1998/03484に開示されたMK−663(エトリコキシブ)であり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。エトリコキシブの構造は、下記:
【化11】

に示される。
【0086】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、国際公開WO1999/11605に開示されたCOX−189(ルミラコキシブ)であり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。ルミラコキシブの構造は、下記:
【化12】

に示される。
【0087】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、米国特許第6,180,651号に開示されたBMS−347070であり、その内容は、参照により、全体として、全目的のために援用される。BMS−347070の構造は、下記:
【化13】

に示される。
【0088】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤はNS−398(CAS123653−11−2)である。NS−398(CAS123653−11−2)の構造は、下記:
【化14】

に示される。
【0089】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、RS57067(CAS17932−91−3)である。RS−57067(CAS17932−91−3)の構造は、下記:
【化15】

に示される。
【0090】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイル−フェニル)−1H−ピロールである。4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイル−フェニル)−1H−ピロールの構造は、下記:
【化16】

に示される。
【0091】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロールである。2−(4−エトキシフェニル)−4−メチル−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロールの構造は、下記:
【化17】

に示される。
【0092】
1つの好ましい態様において、抗腫瘍剤は、メロキシカムである。メロキシカムの構造は、下記:
【化18】

に示される。
【0093】
式1で表される化合物及び本明細書に記載した医薬組成物と併用して使用される抗腫瘍剤として他に有用な阻害剤は、アスピリンを含み、そして、プロスタグランジン(シクロオキシゲナーゼI及びII)を生産する酵素を阻害し、結果としてプロスタグランジンのレベルを低下する非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)は、限定されないが、下記:サルサレート(Amigesic)、ジフルニサル(Dolobid)、イブプロフェン(Motrin)、ケトプロフェン(Orudis)、ナブメトン(Relafen)、ピロキシカム(Feldene)、ナプロキセン(Aleve、Naprosyn)、ジクロフェナック(Voltaren)、インドメタシン(Indocin)、スリンダック(Clinoril)、トルメチン(Tolectin)、エトドラック(Lodine)、ケトロラック(Toradol)、オキサプロジン(Daypro)及びそれらの組み合わせを含む。
【0094】
好ましいCOX−I阻害剤は、イブプロフェン(Motrin)、ヌプリン、ナプロキセン(Aleve)、インドメタシン(Indocin)、ナブメトン(Relafen)及びそれらの組み合わせを含む。
【0095】
式1で表される化合物及び本明細書に記載した医薬組成物と共に使用される標的薬物は、EGFr阻害剤、例えば、Iressa(ゲフィチニブ、AstraZeneca)、Tarceva(エルロチニブ又はOSI−774、OSI Pharmaceuticals Inc.)、Erbitux(セツキシマブ、Imclone Pharmaceuticals,Inc.)、EMD−7200(Merck AG)、ABX−EGF(Amgen Inc.及びAbgeni Inc.)、HR3(Cuban Government)、IgA抗体(Erlangen−Nuremberg大学)、TP−38(IVAX)、EGFR融合タンパク質、EGF−ワクチン、抗EGFr免疫リポソーム(Hermes Biosciences Inc.)及びそれらの組み合わせを含む。
【0096】
好ましいEGFr阻害剤は、Iressa、Erbitux、Tarceva及びそれらの組み合わせを含む。
本発明はまた、汎erb受容体阻害剤又はErbB2受容体阻害剤から選択される抗腫瘍剤、例えば、CP−724,714(Pfizer、Inc.)、CI−1033(カネルチニブ、Pfizer、Inc.)、Herceputin(トラスツズマブ、Genentech Inc.)、Omitarg(2C4、ペルツズマブ、Genentech Inc.)、TAK−165(Takeda)、GW−572016(ロナファルニブ、GlaxoSmithKline)、GW−282974(GlaxoSmithKline)、EKB−569(Wyeth)、PKI−166(Novartis)、dHER2(HER2ワクチン、Corixa及びGlaxoSmithKline)、APC8024(HER2ワクチン、Dendreon)、抗HER2/ノイ二重特異性抗体(Decof Cancer Center)、B7.her2.IgG3(Agensys)、AS HER2(Research Institute for Rad Biology & Medicine)、三官能性二重特異性抗体(Munich大学)及びmAB AR−209(Aronex Pharmaceuticals Inc)及びAB 2B−1(Chiron)並びにそれらの組み合わせから選択される抗腫瘍剤に関する。
【0097】
好ましい汎erbb受容体阻害剤は、GW572016、CI−1033、EKB−569、及びOmitarg並びにそれらの組み合わせを含む。
追加のerbB2阻害剤は、WO98/02434(1998年1月22日公開)、WO99/35146(1999年7月15日公開)、WO99/35132(1999年7月15日公開)、WO98/02437(1998年1月22日公開)、WO97/13760(1997年4月17日公開)、WO95/19970(1995年7月27日公開)、米国特許第5,587,458号(1996年12月24日公開)、及び米国特許第5,877,305号(1999年3月2日発行)に記載されるものを含み、及び各々は、本明細書中に参照により全体として援用される。本発明に有用なErbB2受容体阻害剤はまた、米国特許第6,465,449号及び第6,284,764号、並びに国際出願WO2001/98277に開示され、各々は、本明細書中に参照により全体として援用される。
【0098】
さらに、他の抗腫瘍剤は、下記の試薬、BAY−43−9006(Onyx Pharmaceuticals Inc.)、ゲナセンス(Genasense)(アウグメロセン(augmerosen)、Genta)、パニツムマブ(Panitumumab)(Abgenix/Amgen)、ゼバリン(Zevalin)(Schering)、ベクザー(Bexxar)(Corixa/GlaxoSmithKline)、アバレリックス(Abarelix)、アリムタ(Alimta)、EPO906(Novartis)、ジスコデルモリド(discodermolide)(XAA−296)、ABT−510(Abbott)、ネオバスタット(Neovastat)(Aeterna)、エンザスタウリン(enzastaurin)(Eli Lilly)、コンブレスタチン(Combrestatin)A4P(Oxigene)、ZD−6126(AstraZenea)、フラボピリドール(flavopiridol)(Aventis)、CYC−202(Cyclacel)、AVE−8062(Aventis)、DMXAA(Roche/Antisoma)、Thymitaq(Eximias)、Temodar(テモゾロミド、Schering Plough)及びレビリムド(Revilimd)(Celegene)並びにそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0099】
他の抗腫瘍剤は、下記の試薬、CyPat(酢酸シプロテロン)、ヒステレリン(Histerelin)(酢酸ヒストレリン)、プレナイキシス(Plenaixis)(abarelix depot)、アトラセンタン(Atrasentan)(ABT−627)、サトラプラチン(Satraplatin)(JM−216)、サロミド(サリドマイド)、テラトープ(Theratope)、テミリフェン(Temilifene)(DPPE)、ABI−007(パクリタキセル)、エビスタ(Evista)(ラロキシフェン)、アタメスタン(Atamestane)(Biomed−777)、キシオタックス(Xyotax)(ポリグルタミン酸パクリタキセル)、ターゲチン(Targetin)(ベキサロチン(bexarotine))及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0100】
さらに、他の抗腫瘍剤は、下記の試薬、Trizaone(チラパザミン)、Aposyn(エキシスリンド)、Nevastat(AE−941)、Ceplene(ヒスタミン二塩酸塩)、Orathecin(ルビテカン)、Virulizin、Gastrimmune(G17DT)、DX−8951f(メシル酸エクサテカン)、Onconase(ランピルナーゼ)、BEC2(ミツモアブ)、Xcytrin(モテキサフィン・ガドリニウム)及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0101】
さらに、抗腫瘍剤は、下記の試薬、CeaVac(CEA)、NeuTrexin(グルクロン酸トリメトレキセート)及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
追加の抗腫瘍剤は、下記の試薬、OvaRex(オレゴボマブ)、Osidem(IDM−1)及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0102】
追加の抗腫瘍剤は、下記の試薬、Advexin(ING201)、Tirazone(チラパザミン)及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
追加の抗腫瘍剤は、下記の試薬、RSR13(エファプロキシラル)、Cotara(131lchTNT1/b)、NBI−3001(IL−4)及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0103】
追加の抗腫瘍剤は、下記の試薬、Canvaxin、GMKワクチン、PEGインテロンA、Taxoprexin(DHA/パクリタキセル)及びそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0104】
他の好ましい抗腫瘍剤は、PfizerのMEK1/2阻害剤PD325901、Array BiopharmのMEK阻害剤ARRY−142886、Bristol MyerのCDK2阻害剤BMS−387,032、PfizerのCDK阻害剤PD0332991及びAstraZenecaのAXD−5438及びそれらの組み合わせを含む。
【0105】
さらに、mTOR阻害剤、例えば、CCI−779(Wyeth)及びラパマイシン誘導体RAD001(Novartis)及びAP−23573(Ariad)、HDAC阻害剤SAHA(Merck Inc./Aton Pharmaceuticals)及びそれらの組み合わせを利用してもよい。
【0106】
更なる抗腫瘍剤は、オーロラ2阻害剤VX−860(Vertex)、Chk1/2阻害剤XL844(Exilixis)を含む。
下記の細胞傷害剤、例えば、エピルビシン(Ellence)、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル、Zinecard(dexrazoxane)、リツキシマブ(Rituxan)、メシル酸イマチニブ(Gleevec)及びそれらの組み合わせから成る群から選択される1又はそれより多くのものが、式1で表される化合物及び本明細書中に記載した医薬組成物とともに使用してもよい。
【0107】
本発明はまた、限定されないが、エキセメスタン(Aromasin、Pfizer Inc.)、ロイプロレリン(Lupron又はLeuplin、TAP/Abbott/Takeda)、アナストロゾール(Arimidex、Astrazeneca)、ゴスレリン(Zoladex、AstraZeneca)、ドキセルカルシフェロール、ファドロゾール、フォルメスタン、クエン酸タモキシフェン(タモキシフェン、Nolvadex、AstraZeneca)、Casodex(AstraZeneca)、Abarelix(Praesic)、Trelstar、及びそれらの組み合わせを含むホルモン療法と一緒に、本発明の化合物の使用を意図する。
【0108】
本発明はまた、限定されないが、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、レトロゾール(Femara、Novartis)、抗男性ホルモン、例えば、ビカルタミド、フルタミド、ミフェプリストン、ニルタミド、Casodex(登録商標)(4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド、ビカルタミド)及びそれらの組み合わせを含む抗女性ホルモンのようなホルモン療法に関する。
【0109】
さらに、本発明は、本発明の化合物を単独で、あるいは、1又はそれより多くの支持療法製品、例えば、Filgrastim(Neupogen)、オンダンセトロン(Zofran)、フラグミン、Procrit、Aloxi、Emend、又はそれらの組み合わせから成る群から選択される製造物とともに提供される。
【0110】
特に好ましい細胞傷害剤は、Camptosar、Erbitux、Iressa、Gleevec、Taxotere及びそれらの組み合わせを含む。
下記のトポイソメラーゼI阻害剤は、抗腫瘍剤カンプトセシン、イリノテカンHCl(Camptosar)、エドテカリン、オラテシン(Supergen)、エキサテカン(Daiichi)、BN−80915(Roche)及びそれらの組み合わせとして利用されてもよい。
【0111】
特に好ましいトポイソメラーゼII阻害剤は、エピルビシン(Ellence)を含む。
本発明の化合物は、抗腫瘍剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗生物質、植物誘導の抗腫瘍剤、カンプトセシン誘導体、チロシンキナーゼ阻害剤、抗体、インターフェロン、及び/又は生物学的修飾剤とともに使用されてもよい。
【0112】
アルキル化剤は、限定されないが、ナイトロゲン・マスタードN−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボクオン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロミド、AMD−473、アルトレタミン、AP−5280、アパジクオン、ブロスタリシン、ベンダムスチン、カルムスチン、エストラムスチン、ホテムスチン、グルホスファミド、イフォスファミド、KW−2170、マホスファミド、及びミトラクトールを含み;白金配位のアルキル化薬は、限定されないが、シスプラチン、パラプラチン(カルボプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、エロキサチン(オキサリプラチン、Sanofi)又はサトルプラチン及びそれらの組み合わせを含む。特に好ましいアルキル化剤は、エロキサチン(オキサリプラチン)を含む。
【0113】
代謝拮抗剤は、限定されないが、メトトレキセート、6−メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、5−フルオロウラシル(5−FU)単独若しくはロイコボリンとの併用、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビン・オクホスフェート、エノシタビン、S−1、アリムタ(プレメトレキセド・二ナトリウム、LY231514、MTA)、ゲムザール(ゲムシタビン、Eli Lilly)、フルダラビン、5−アザシチジン、カペシタビン、クラドリビン、クロファラビン、デシタビン、エフロルニチン、エチニルシチジン、シトシンアラビノシド、ヒドロキシウレア、TS−1、メルファラン、ネララビン、ノルアトレキセド、オクホスフェート、プレメトレキセド・二ナトリウム、ペントスタチン、ペリトレキソール、ラルチトレキセド、トリアピン、トリメトレキセート、ビダラビン、ビンクリスチン、ビノレルビン;あるいは、例えば、欧州特許出願第239362号に開示された好ましい代謝拮抗剤の1つは、例えば、N−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸及びその組み合わせを含む。
【0114】
抗生物質は、挿入抗生物質を含み、限定されないが、アクラウビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アナマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミトルシン、エピルビシン、ガラルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルジノスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、バルルビシン、ジノスタチン、及びそれらの組み合わせを含む。
【0115】
植物誘導の抗腫瘍物質は、例えば、増殖阻害剤、例えばビンブラスチン、ドセタキセル(Taxotere)、パクリタキセル及びそれらの組み合わせから選択されるものを含む。
【0116】
細胞傷害性トポイソメラーゼ阻害性試薬は、アクラルビシン、アモナフィド、ベロテカン、カムプトセシン、10−ヒドロキシカムプトセシン、9−アミノカムプトセシン、ジフロモテカン、イリノテカンHCl(Camptosar)、エドテカリン、エピルビシン(Ellence)、エトポシド、エキサテカン、ギマテカン、ルールトテカン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピキサントロン、ルビテカン、ソブゾキサン、SN−38、タフルポシド、トポテカン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される1又はそれより多くの試薬を含む。
【0117】
好ましい細胞傷害性トポイソメラーゼ阻害性試薬は、カムプトセシン、10−ヒドロキシカムプトセシン、9−アミノカムプトセシン、イリノテカンHCl(Camptosar)、エドテカリン、エピルビシン(Ellence)、エトポシド、SN−38、トポテカン、及びそれらの組み合わせから選択される1又はそれより多くの試薬を含む。
【0118】
免疫物質は、インターフェロン及び無数の他の免疫増大試薬を含む。インターフェロンは、インターフェロン・アルファ、インターフェロン・アルファ−2a、インターフェロン・アルファ−2b、インターフェロン・ベータ、インターフェロン・ガンマ−1a、インターフェロン・ガンマ−1b(Actimmune)、又はインターフェロン・ガンマ−n1及びそれらの組み合わせを含む。他の試薬は、フィルグラスチム、レンチナン、シゾフィラン、TheraCys、ウベニメックス、WF−10、アルデスロイキン、アレムツズマブ、BAM−002、ダカルバジン、ダクリズマブ、デニロイキン、ゲムツズマブ、オゾガミシン、イブリツモマブ、イミキノド、レノグラスチム、レンチナン、メラノーマワクチン(Corixa)、モルグラモスチム、OncoVAX−CL、サルグラモスチム、タソネルミン、テクロイキン、チマラシン、トシツモマブ、ビルリジン、Z−100、エプラツズマブ、ミツモマブ、オレゴボマブ、ペムツモマブ(Y−muHMFG1)、プロベンジ(Dendreon)及びそれらの組み合わせを含む。
【0119】
生物学的反応修飾剤は、抗腫瘍活性を持つように仕向けるために、生きている生物又は生物学的応答、例えば、組織細胞の生存、増殖、又は分化の防御機構を修飾する試薬である。このような試薬は、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニル、ウベニメックス及びそれらの組み合わせを含む。
【0120】
他の抗癌剤は、アリトレチノイン、アムプリゲン、アトラセンタン・ベキサロテン、ボルテゾミブ、ボセンタン、カルシトリオール、エキシスリンド、フィナステリド、フォテムスチン、イバンドロン酸、ミルテフォシン、ミトキサントロン、l−アルパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、タザロトン、Telcyta(TLK−286、Telik Inc.)、Velcade(ボルテマジブ、ミレニウム)、トレチノイン、及びそれらの組み合わせを含む。
【0121】
他の抗血管形成化合物は、アシトレチン、フェンレチニド、サリドマイド、ゾレドン酸、アンジオスタチン、アプリジン、シレングチド、コムブレタスタチンA−4、エンドスタチン、ハロフギノン、レビマスタット、レモバブ、レブリミド、スクアラミン、ウクライン、Vitaxin及びそれらの組み合わせを含む。
【0122】
白金を配位した化合物は、限定されないが、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、及びそれらの組み合わせを含む。
カムプトセシン誘導体は、限定されないが、カムプトセシン、10−ヒドロキシカムプトセシン、9−アミノカムプトセシン、イリノテカン、SN−38、エドテカリン、トポテカン及びそれらの組み合わせを含む。
【0123】
他の抗腫瘍剤は、ミトキサントロン、l−アスパラギナーゼ、プロカルバジン、ダカルバジン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、トレチノイン及びそれらの組み合わせを含む。
【0124】
CTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)のような抗腫瘍免疫応答を増加することができる抗腫瘍剤、及びCTLA4を遮断することができる他の試薬もまた利用してよく、例えば、MDX−010(Medarex)及び米国特許第6,682,736号に開示されたCTLA4化合物;そして、他のファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤、例えば、ファルネシルタンパク質転移酵素阻害剤のような抗増殖剤である。さらに、本発明において使用することができる特異的なCTLA4抗体は、米国仮出願60/113,647(1998年12月23日出願)、米国特許第6,682,736号に記載したものを含み、両者は、本明細書中に参照により全体として援用される。
【0125】
本発明に使用することができる特異的なIGF1R抗体は、国際特許出願WO2002/053596に記載したものを含み、それは、本明細書中に参照により全体として援用される。
【0126】
本発明に使用することができる特異的なCD40抗体は、国際特許出願WO2003/040170に記載したものを含み、それは、本明細書中に参照により全体として援用さえる。
【0127】
遺伝子療法剤はまた、放射線療法に応答してTNFアルファを発現するTNFerade(GeneVec)のような抗腫瘍剤として採用してもよい。
本発明の一態様において、スタチンは、式1で表される化合物及び医薬組成物と共に使用してもよい。スタチン(HMG−CoA還元酵素阻害剤)は、アトルバスタチン(リピトール、Pfizer Inc.)、プロバスタチン(プラバコール、Bristol−Myer Squibb)、ロバスタチン(Mevacor、Merck Inc.)、シムバスタチン(Zocor、Merck Inc.)、フルバスタチン(Lescol、Novartis)、セリバスタチン(Baycol、Bayer)、ロスバスタチン(Crestor、AstraZeneca)、ロボスタチン及びニアシン(Advicor、Kos Pharmaceuticlas)、それらの誘導体及び組み合わせから成る群から選択されてもよい。
【0128】
好ましい態様において、スタインは、アトボルスタチン及びロバスタチン、それらの誘導体及び組み合わせから選択される。
抗腫瘍剤として有用な他の試薬は、Caduetを含む。
【0129】
方法は、任意の所望の投薬計画を用いて、式1で表される化合物を投与することを含む。1つの特定の態様において、多かれ少なかれ頻繁な投与は本発明の範囲内であるけれども、化合物は1日当り1度投与される。式1で表される化合物は、同時投与される細胞傷害剤と同じスケジュールで投与することができる。細胞傷害剤の半減期が長い(即ち、>10時間)場合には、濃度は、細胞傷害剤が同様に投与した後、その日に式1の化合物のみの投与に与えられる。式1で表される化合物は、ヒトを含む哺乳動物に、好ましくは、30分にわたる静脈注射によって投与することができる。
【0130】
本発明の別の態様において、式で表される化合物は、放射線療法の効率を増加する放射線増感剤として使用される。本発明によれば、式の化合物は、遠隔照射放射線療法(XBRT)又は遠隔照射治療、近接照射療法又は密封線源放射線療法、非密封線源放射線療法、及び放射線−免疫療法を含む任意の種類の放射線療法とともに使用することができる。本発明によれば、臨床的腫瘍応答を最大限にするために、放射線は、通常、全線量の50〜60Gyに対して2〜4Gyの毎日の画分として与えられる。当業者は、正確なプロトコールが、疾患部位、放射線が治療目的を持って又は緩和治療として投与されるべきかどうかに依存して異なるであろうことを承認するであろう。異なる種類の放射線療法に関する更なる情報は、例えば、「遠隔照射放射線療法における吸収された線量の決定」(“Absorbed Dose Determination in External Beam Radiotherapy”)International Atomic Energy Agency,Vienna,2000,Technical Reports Series No.398;「近接照射療法の原理及び実施:アフターローディングシステムの使用」(“Principles and Practice of Brachytherapy:Using Afterloading Systems”)Joslinら(編集)、Arnold Publishers,初版,2001;「陽子線療法及び放射線外科」(“Proton Therapy and radiosurgery”)Smitら(編集),Springer−Verlag Telos,初版,2000;Greigら、「非密封放射線同位体を用いた治療」(“Treatment with unsealed radioisotopes”)Br.Med.Bull.,1973,29(1):63−68;「癌の放射線療法」(“Radioimmunotherapy of Cancer”)Abramsら(編集)Marcel Dekker,初版,2000に見出すことができる。米国特許第6,649,645号は、新生組織形成障害の治療のために、放射線及びシクロオキシゲナーゼ−2の併用療法を教示する。
【0131】
本発明の別の態様において、式の化合物は、放射線療法及び少なくとも1つの抗腫瘍剤とともに使用される。
本発明の別の態様において、放射線療法及び少なくとも1つの放射線増強因子、例えば増殖因子受容体アンタゴニストとともに使用される。
【0132】
本発明の方法及び組成物は、1又はそれより多くの利点を提供する。式の化合物と本発明の化学療法又は放射線療法の併用は、低い投与量、即ち、単独で投与された個々の化合物の各々について臨床的な状況で慣用的に使用されるよりも低い投与量で投与してもよい。哺乳動物に投与される本発明の化学療法又は放射線療法の投与量を低下させる利点は、より高い投与量と関連した副作用の発生率の減少を含む。副作用の発生を低下させることによって、癌の治療を受けている患者の生活の質の改善が意図される。副作用の発生を低下させる更なる利点は、患者のコンプライアンスの改善、そして、副作用の治療のために必要とされる入院の数の減少を含む。
その代わりに、本発明の方法及び併用はまた、より高い投与量での治療効果を最大にすることができる。
【実施例】
【0133】
実施例
下記に提供した実施例及び製造例は、本発明の併合剤、剤形及び方法をさらに例証し、そして実証する。本発明の範囲は、下記の実施例の範囲によっていかなる方法によっても制限されないことが理解されるべきである。
【0134】
材料
全ての化学物質は、他に記述がない限り、Sigma(Poole、Dorset、UK)から入手した。ダルベッコのリン酸緩衝塩類溶液(PBS)は、Gibco(Paisley、UK)から入手し、スクロース、水酸化ナトリウム及び塩化カリウムは、BDH(Lutterworth、UK)によって、そして、ジギトニンは、Boehringer Mannheim(Roche Diagnostic,Leves,UK)によって供給された。BCAタンパク質アッセイキット(Pierce,Perbio Science,Rockford,IL,USA)は、タンパク質濃度の決定に使用した。ミルクパウダーは、Marvel Premier Brand UK Ltd(Spalding,UK)から、そして、ECL ウェスタンブロット検出キットは、Amersham(Litle Chalfont,UK)から入手した。Nycomed(登録商標)Lymphoprepは、Axis−Shield(Oslo,Norway)から、そして、EDTA血液回収チューブは、BD Vacutainer(Plymouth,UK)から入手した。10Hマウスモノクローナル一次抗体は、Alexander Burkle教授から寛大にも提供を受け、そして、ヤギ抗マウス二次抗体(HRP−結合)は、DAKO(Ely,UK)から入手した。PARP活性を刺激するために使用したオリゴヌクレオチドは、Dr.J Lunec(Northern Institute for Cancer Research,Newcastle)によって初期に合成され、その後の供給は、Invitrogen(Glasgow,UK)から入手した。精製したポリ(ADPリボース)(PAR)ポリマーは、BIOMOL Research Lab(Plymouth,PA,USA)から入手した。
【0135】
SW620及びL1210(品質管理)細胞の組織培養
空気中5%CO2の加湿雰囲気において37℃で維持したHereusインキュベーター(Fischer Scientific,Manchester,UK)で、10%(v/v)ウシ胎児血清(Inbitrogen)及び1U/mlペニシリン−ストレプトマイシン溶液(Sigma)を添加したRPMI1640培地(Sigma)中で細胞を維持した。使用したL1210細胞は、ATCC(American Type Culture Collection,Manassas,VA)から入手し、そして、指数関数的増殖を確実にするために、回収時に約6×105/mlの密度の懸濁液として増殖させた。品質管理試料としての使用のために1×106細胞のアリコートを10%(v/v)DMSO及び10%(v/v)ウシ胎児血清を加えた1mlの培地に再懸濁させ、−80℃で凍結した。
【0136】
腫瘍異種移植試料の調製
腫瘍を切除し、液体窒素中で即座に凍結し、解析のためにホモジナイズするまで−80℃で保存した。標本を氷上で解凍し、湿重量を記録した。組織をPro2000機器(Pro Scientific Inc,Monroe,CT,USA)を用いて、3体積(即ち、1mg+3μl等張緩衝液−7mM Hepes、26mM KCl、0.1mM デキストラン、0.4mM EGTA、0.5mM MgCl2、45mM スクロース、pH7.8)中でホモジナイズし、概して1:4の希釈としてホモジネートを得た。このホモジネートを工程を通して氷上で維持し、ホモジネート化は、試料の過度の加温を避けるために10秒の粉砕で行った。アッセイ前に、[32P]NAD取り込みアッセイ用に1:40、又は免疫ブロットアッセイ用に1:1000の最終希釈を得ることが必要な場合に、等張緩衝液でさらに試料を希釈した。
【0137】
PBL及び腫瘍試料の調製
全血は、EDTA Vacutainerに回収し、ヒトPBLを製造業者の取扱説明書に従ってリンパ球調製によって得た。腫瘍生検は、手術室から無菌の容器中に回収し、即剤に氷上に置いた。30分以内に、腫瘍サンプルを液体窒素中に即座に凍結し、分析のためにホモジナイズするまで−80℃で保存した。標本を氷上で解凍し、湿重量を記録した。100mgを超える重量について、組織をPro2000機器(Pro Scientific Inc.Monroe,CT,USA)を用いて、3倍体積(即ち、1mg+3μl等張緩衝液−7mM Hepes、26mM KCl、0.1mM デキストラン、0.4mM EGTA、0.5mM MgCl2、45mM スクロース、pH7.8)中でホモジナイズし、概して1:4の希釈としてホモジネートを得た。より小さな試料を得た場合には、99又は999倍体積中でホモジナイズし、それぞれ、最終希釈1:100及び1:1000を得た。このホモジネートを工程を通して氷上で維持し、ホモジネート化は、試料の過度の加温を避けるために10秒の粉砕で行った。ホモジネーションの日にアッセイしない場合、試料を−80℃で再凍結し、分析するまでこの温度で保存した。アッセイ前に、1:1000の最終濃度を得ることが必要な場合に、等張緩衝液でさらに試料を希釈した。
【0138】
32P]NAD取り込みを用いたPARPアッセイ
Calabrese CR,Almass R,Barton S,Batey MA,Calvert AH,Canan−Koch S,Durkacz BW,Hostomsky Z,Kumpf RA,Kyle S,Li J.Maegley K,Newell DR,North M,Notarianni E,Stratford IJ,Skalitzky D,Thomas HD,Wang L−Z,Wbber SE,Williams KJ及びCurtin NJ.有意な抗癌化学及び放射線増感化活性を有する新規なポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1(PARP−1)阻害剤AG14361の臨床前評価(Preclinical evaluation of a novel poly(ADP−ribose)polymerase−1(PARP−1)inhibitor,AG14361,with significant anticancer chemo−and radio−sensitization activity)JNCI 96 56−67(2004)and Bowman KJ,Newell DR,Calvert AH and Curtin NJ.トポイソメラーゼI及びII阻害細胞毒性に関するポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害NU1025の差動効果(Differential effects of the poly(ADP−ribose)polymerase(PARP)inhibitor NU1025 on topoisomerase I and II inhibitor cytotoxicity)Br.J Cancer 84 106−112(2001)(以前に公開された方法(Halldorsson H.,Gray D.A.,及びShall S.(1978).ヌクレオチド透過性細胞におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性(Poly(ADP−ribose)polymerase activity in nucleotide permeable cells)FEBS Letters 85:349−352,Grube,K.,Kupper,J.H.&Burkle,A.二本鎖DNAオリゴマーによる透過性を上昇させた細胞におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの直接的な刺激(Direct stimulation of poly(ADP−ribose)polymerase in permeabilised cells by double−stranded DNA oligomer)Anal.Biochemistry.1991;193:236−239)に基づく)に記載される通りである。
【0139】
PARP阻害は、25℃で6分間における細胞高分子への75μM NAD+[32P]NAD(Amersham)の取り込み阻害を測定することによって、12マーの平滑末端のDNA二本鎖オリゴヌクレオチド(2.5μg/ml)で刺激した、ジギトニン(0.15mg/ml)透過性細胞(8×105〜1×106/反応)において決定し、その後、前述のように氷冷却した10% TCA、10% NaPPi(w/v)によって沈殿させた。簡単には、低張緩衝液(9mM HEPES pH7.8、4.5%(v/v)デキストラン、4.5mM MgCl2及び5mM DTT)中に1.5×107/mlで氷上で30分間細胞を懸濁させ、その後、9体積の等張緩衝液(40mM HEPES pH7.8、130mM KCl、4%(v/v)デキストラン、2mM EGTA、2.3mM MgCl2、225mMスクロース及び2.5mM DTT)を添加した。[32P]−NAD(Amersham,UK)を含有する300μM スクロースの100μlに300μlの細胞を添加することによって反応を開始させ、2mlの氷冷却した10%(w/v)TCA+10%(w/v)ピロリン酸ナトリウムの添加によって反応を停止させた。氷上で30分後、沈殿した32P標識のADP−リボースポリマーをWhatman GC/Cろ紙(Whatman International Ltd,Kent,UK)上でろ過し、1%(v/v)TCA/1%(v/v)ピロリン酸ナトリウムで5回洗浄し、乾燥させ、そしてカウントした。PARP阻害性IC50値は、コンピュータ近似曲線(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)から計算した。
【0140】
腫瘍ホモジネートは、類似のやり方でアッセイしたが;しかしながら、ホモジネーション工程は、PARP活性を最大限に刺激するために十分なDNA損傷を導入し、したがって、オリゴヌクレオチドは必要としなかった。結果は、pmolのPAR前駆体/mg腫瘍として表現した。
【0141】
モノクローナル抗体を用いたPARPアッセイ
Plummer ER,Middleton MR,Jones C,Olsen A,Hickson I,McHugh P,Margison G,McGown G,Thorncrogr M,Watson AJ,Boddy AV,Calvert AH,Harris AL,Newell DR,Curtin NJ.転移性メラノーマを有する患者におけるテモゾロミド薬力学:修復酵素ATase及びPARP−1のDNA損傷及活性(Temozolomide pharmacodynamics in patients with metastatic melanoma:DNA damage and activity of repair enzymes ATase and PARP−1)Clinical Cancer Research.11 3402−3409(2005)(以前に公開された方法(Pfieffer R,Brabeck C.Burkle A:細胞のポリ(ADP−リボシル)化能力の評価のための定量的非同位体のイムノドットブロット(Quantiative nonisotopic immuno−dot−blot method for the assessment of cellular poly(ADP−ribosyl)ation capacity)Analytical Biochemistry 1999;275:118−122)の修飾に基づく)に記載される通りである。
【0142】
培養細胞又は急速に解凍したリンパ球調製物は、氷冷却したPBSで2回洗浄した。細胞ペレットは、細胞の透過性を上昇させるために5分間、約1〜2×106細胞/mlの密度に0.15mg/mlのジギトニンに再懸濁させ、その後、9倍体積の氷冷却した緩衝液(7mM HEPES、26mM KCl、0.1mMデキストラン、0.4mM EGTA、0.5mM MgCl2、45mM スクロース、pH7.8)を添加し、試料を氷上に置いた。透過性を上昇させた(即ち、トリパンブルー染色した)細胞密度をカウントし、細胞懸濁液を必要に応じて上記緩衝液で希釈し、20,000個の透過性を上昇させた細胞を各反応チューブに添加するように細胞密度を達成した。このアッセイにおいて、最大限に刺激したPARP活性は、振動浴槽中26℃でNAD基質[25]の存在下で、平滑末端のオリゴヌクレオチドに晒すことによって測定される。5μlの7mM NAD及び5μlの200μg/ml 回文のオリゴヌクレオチド(CGGAATTCCG)を透過性を上昇させた細胞、及び最終体積100μlまで反応緩衝液(100mM Tris HCl、120mM MgCl2、pH7.8)と共に混合した。6分後に、過剰のPARP阻害剤(400μlの12.5μM 化合物I)の添加によって反応を停止させ、24ウェルのマニホールドを用いてニトロセルロースメンブレン(Hybond N,Amersham)上に細胞をブロットした。精製したPAR標準曲線は、各メンブレン(0〜25pmolのモノマー均等物)に積層し、定量化を可能にした。一次抗体(PBS−MT(PBS+0.05% Tween 20+5%ミルクパウダー)中1:5)を用いて4℃で一晩インキュベートし、次に、PBS−T(PBS+0.05% Tween 20)で2回洗浄し、その後、二次抗体(PBS−MT中1:1000)中で1時間室温でインキュベートした。インキュベートしたメンブレンは、1時間工程でPBSで頻繁に洗浄し、その後、製造業者によって供給されたECL反応溶液に1分間晒した。照射5分間で検出したケミルミネッセンスをFuji LAS3000UVイルミネーター(Raytek,Sheffield,UK)を用いて測定し、画像ソフトウェア(Fuji LASイメージ、バージョン1.1、Raytek)を用いてデジタル化した。得られた画像は、Aida Image Analyse(バージョン3.28.001)を用いて分析し、結果をLAU/mm2で表した。照射したブロット上の3つのバックグラウンド領域を測定し、メンブレンからのバックグラウンドシグナルの平均を全ての結果から差し引いた。PARポリマーの標準曲線は、計測していない1部位の結合非直線回帰モデルを用いて分析し、未知のものをこのように生じた標準曲線から読んだ。次に、結果は、積層した細胞の数と対比して表した。5000個のL1210細胞の三重のQC試料は、各アッセイで実行し、1患者由来の全ての試料を同じブロット上で分析した。
【0143】
腫瘍ホモジネートを同じやり方でアッセイしたが;しかしながら、ホモジネート化の工程は、PARP活性を最大限に刺激するために十分なDNA損傷を導入し、したがって、オリゴヌクレオチドは、必要としなかった。ホモジネートのタンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイ、及びTitertek Multisan MCC/340プレートリーダーを用いて測定した。結果は、pmolのPAR前駆体/mgタンパク質又は/mg腫瘍の用語で表すことができる。
【0144】
末梢血単球(PBMC)におけるPARP活性アッセイは、Boultonら(“Potentiation of temozolomide−indued cytotoxicity:a comparative study of the biological effects of poly(ADP−ribose)polymerase inhibitors”1995.British J.Cancer 72,849−856)の方法に基づく。全ての工程は、0〜4℃で実行されるべきである。
【0145】
PBMCの調製
1.リチウムヘパリンチューブ中に5mlの血液を回収し、穏やかに混合する。
2.30mlの使い捨て万能チューブにヘパリン化した血液をPBS(1:1)で希釈する(最終体積10ml)。
3.30mlの使い捨て万能チューブ中の8〜10mlの予め冷却したLymphoprep上に希釈した血液を注意深く層形成させる。血液と分別液を混合しないように注意する。
4.800×G、4℃、ブレーキ率0でスイングアウトローター(Mistral centrifuge)で15分間試料を遠心する。
5.遠心後、白血球のバンドを界面で見えるようにすべきである。この細胞バンドは、ガラス製のパスツールピペットを用いて回収し、30mlの使い捨て万能チューブに入れるべきである。
6.リンパ球懸濁液を20mlの氷冷却したPBSで希釈し、500×G、4℃で10分間細胞を遠心する。
7.上清を除去する。
8.20mlの氷冷却したPBSにペレットを再懸濁し、333×G/4℃で5分間遠心する。
9.上清を除去し、10% DMSOを添加した500μlの予め冷却した培地(RPMIプラス10% ウシ胎児血清)に細胞を再懸濁させる。
10.ラベルしたスクリューキャップしたEppendorfチューブに移し、凍結させる。
11.−70℃で保存する。
【0146】
PBMCのPARPアッセイ
1.32P 600μM NAD溶液は、上記で詳述した実験の当日に新たに調製する。オリゴヌクレオチドストックは、貯蔵庫から取り出し、解凍する。
2.水浴を26℃に加温し、70振動/分で振動を始める。
3.反応試験管を下記のようにセットする。
【0147】
【表5】

【0148】
4.各PBMC試料及びQC標準を3重でアッセイし、T0、+オリゴ、及び−オリゴの試料×3を有する(全9チューブ/試料)。
5.各懸濁液中の細胞密度を計算する。各細胞懸濁液の10μlの試料をトリパンブルーを用いて希釈(1:1)し、1ml当りの透過性が上昇した細胞の数を血球計算盤上でカウントする。
6.反応試験管及び透過性を上昇した細胞懸濁液を26℃の水浴中で7分間加温する。
7.透過性を上昇した細胞懸濁液を短くボルテックスし、この300μl(約1×106細胞)を各反応チューブに添加することによって反応を開始する。
8.2mlの氷冷却した10% TCA+10% NaPPiを添加し、ボルテックスすることによって、添加して正確に6分後に停止させる。
9.その後、ろ過する前に、チューブを少なくとも1時間氷上でインキュベートする(アッセイのこの段階で、少なくとも1時間は沈殿が発生しなければならない。温度を4℃以下で維持する場合、反応チューブを一晩放置してもよい)。
10.透過性を上昇させた細胞の添加前に、2mlの氷冷却した10% TCA+10% NaPPiをT0チューブに添加し、放射線標識物のフィルターへの非特異的な結合について補正する。
【0149】
腫瘍/組織試料の調製
1.凍結した腫瘍試料を計量する。
2.等張緩衝液+DTTの3倍体積(即ち、各1mgの組織に対して添加した3μlの溶液)を腫瘍組織に添加する。これは、ホモジネート化まで、及びホモジネート化中、氷上に保存する。
3.検出できる肉眼で見える組織の小片が見えなくなるまで、10秒粉砕で、クラスIIのキャビネット内で氷上で試料をホモジネートする。
4.ホモジネートの十分な体積は、等張の緩衝液プラスDTTを用いて1:10に希釈し、元々の試料からの全希釈1:40を提供する。3mlの最終体積は、3重のサンプリング及びその後のタンパク質アッセイについて十分である。
5.希釈したホモジネートは、氷上に保存し、下記のような1時間以内にアッセイする。
【0150】
腫瘍/組織試料のPARPアッセイ
1.32P 600μM NAD溶液を上記で詳述した実験の当日に新たに調製する。オリゴヌクレオチド保存を貯蔵から取り出し、解凍する。
2.水浴を26℃に加温し、70振動/分で振動を開始する。
4.反応試験管をQC試料については表A、及びホモジネートについては表Bに記載する。
【0151】
【表6】

【0152】
4.各QC試料を3重でアッセイし、T0、+オリゴ、及び−オリゴの試料×3を有する(全9チューブ/試料、細胞カウントが低い場合には、−オリゴ試料を省略する)。ホモジネートはまた、3重でアッセイし、T0及び反応試料×3を有する(全6チューブ/試料)。
5.ホモジネート又は細胞の添加前に、2mlの氷冷却した10% TCA+10% NaPPiをT0チューブに添加し、放射線標識物のフィルターへの非特異的な結合について補正する。
6.反応試験管のホモジネート及びQC細胞を26℃の水浴中で7分間加温する。
7.各々の調製物を短くボルテックスし、この300μlを各反応管に添加することによって反応を開始する。
8.2mlの氷冷却した10% TCA+10% NaPPiを添加し、ボルテックスすることによって、添加して正確に6分後に停止させる。
9.その後、ろ過する前に、チューブを少なくとも1時間氷上でインキュベートする。
10.QC懸濁液の10μlの試料をトリパンブルーを用いて希釈(1:1)し、1ml当りの透過性が上昇した細胞の数を血球計算盤上でカウントする。
11.残ったホモジネートを500×Gで5分間4℃で遠心し、上清の200μlを取り出し、タンパク質測定のためにラベルしたスクリューキャップしたマイクロチューブに入れた。即座にアッセイしない場合、上清試料を−20℃で少なくとも1ヶ月保存してもよい。
【0153】
実施例1.ポリ−ADP−リボースポリメラーゼの阻害
阻害した標的酵素に結合した式1の化合物の結晶学的分析は、薬物が、3個の水素結合を形成するPARP−1の活性部位に結合することを示した。式1の化合物のPARP酵素阻害活性は、米国特許第6,495,541号に記載される通りにアッセイを行った。精製した全長のヒトPARP−1によるポリマーへの32P−NADの取り込みを用いて決定したKiは、1.4nMである(表3)。式1の化合物はまた、PARP−2の強力な阻害剤(Ki=0.17nM)であり、種々のPARPファミリー酵素(タンキレース、V−PARP)のうちアミノ酸配列において著しい構造類似性に基づき、式1の化合物(化合物1)のリン酸塩は、同様にこれらの酵素に高い親和性をもって結合するであろう。
【0154】
【表7】

【0155】
実施例2.細胞増殖の阻害
5日連続の照射後の式1の化合物の固有の増殖阻害活性(表4)は、米国特許第6,495,541号に記載される通り、A549、LoVo及びSW620細胞株において測定した。GI50値(増殖を50%まで阻害するのに要求される濃度)は、7〜12μMの範囲であった。同様に、テモゾロミド及びトポテカンの増殖阻害能力を増加させる0.4μMの式1の化合物の能力(即ち、IC50の5%未満)を測定した(表2)。IC50濃度での増強因子;PF50は、GI50テモゾロミド又はトポテカン単独/GI50テモゾロミド又はトポテカン+0.4μMの式1の化合物として計算される。0.4μMの式1の化合物の添加に応じて、LoVo細胞においてテモゾロミドのGI50で8倍の減少、そして、A549細胞においてテモゾロミドのGI50で3.5倍の減少であった。4μMの式1の化合物の添加に応じて、LoVo細胞においてトポテカンのGI50で1.6倍の減少、そして、A549及びSW620細胞の両方においてトポテカンのIC50で2.6倍の減少であった。
【0156】
【表8】

【0157】
実施例3.化合物Iによる標準的な化学療法剤の化学増感化
米国特許第6,495,541号に記載した手順に従って実行したヒトの腫瘍細胞株のインビトロ試験は、マイクロモル以下の濃度で、式1の化合物がヒトH460非小細胞肺癌(NSCLC)細胞に対して、テモゾロミド及びタイプIのトポイソメラーゼ阻害剤、トポテカン及びSN−38(イリノテカンの活性代謝産物)に対する細胞の感受性を増加することを示している(表5)。
【0158】
【表9】

【0159】
aPF50=GI50(単一試薬)/GI50(試薬+0.4μMの式1の化合物)(ヒトH460 NSCLC細胞における)
b化合物I(式1の化合物のリン酸塩)はこれらの実験において式1の化合物のグルクロン酸塩の代わりに使用した。
【0160】
実施例4.式1の化合物による細胞のNAD枯渇及びポリ−ADP−リボースポリマー形成の阻害
ポリ(ADP−リボース)ポリマー及びNADは、Abou−Elaら(Anal Biochem.(1988),174:239−250)に記載したように、下記のような少しの変更を伴って定量した。A549細胞(ATCC、Rockville、MD)は、35mm培養ディッシュに播種し、コンフルエントになるまで増殖させた。培地を除去し、20〜50μCi/mlの[3H]アデニンを含有する新鮮な培地で置換した。細胞を16時間37℃で標識した。実験操作前に、培地を新鮮な培地で45分間置換した。実験操作後、培地を除去し、氷冷却したリン酸緩衝塩類溶液pH7.2で細胞をリンスし、1mlの20% 氷冷却したトリクロロ酢酸の添加によって剥がした。酸不溶性の物質を擦ってディッシュから除去した。ディッシュを1mlの20% トリクロロ酢酸で一度洗浄し、試料を遠心に供した。情勢をNAD測定のために確保した。0.2mlの氷冷却した98% ギ酸にペレットを溶解させ、その後、氷冷却した脱イオン化H2Oで10mlまで希釈した。200mlの10mg/ml ウシ血清アルブミンを沈殿を促進するために添加した。トリクロロ酢酸の濃度を2.55mlの100% トリクロロ酢酸の添加によって20%に調整した。酸不溶性画分を遠心によって回収した。
【0161】
NAD測定。トリクロロ酢酸上清は、250mM ギ酸アンモニウム、pH8.6で10mlに希釈し、濃縮水酸化アンモニウムでpH8.6に調整した。250mM ギ酸アンモニウム、pH8.6の10mlで前洗浄した0.5mlのDHB−Sepharoseカラムに試料を供給した。カラムを10mlの250mM ギ酸アンモニウム、pH8.6及び2mlのH2Oで洗浄した。NADは、4mlの250mM ギ酸アンモニウム、pH4.5で溶離した。
【0162】
ADP−リボースポリマーの測定。酸不溶ペレットを1ml 塩化グアニジウム、250mM 酢酸アンモニウム、10mM EDTA、pH6.0;及び、1mlの1M KOH、100mM EDTAに溶解させた。試料を37℃で2時間インキュベートした。1M 塩化グアニジウム、250mM 酢酸アンモニウム、10mM EDTA、pH9.0(バッファーA)を用いて10mlに試料を希釈し、pH9.0に調整し、そして、5ml H2O及び10mlのバッファーAで前洗浄したDHBB(Bio Rad)の0.5mlカラムに供給した。適用後、カラムを25ml バッファーAで洗浄し、10mlの1M 二酸化アンモニウム、1mM EDTA、pH9.0で洗浄した。ポリ(ADP−リボース)は、0.5ml H2Oで溶離した。試料を乾燥するまで凍結乾燥させ、その後、2mlの50mM MOPS、5mM McGiII、pH7.5に懸濁させた。懸濁液を1単位のSnake venomホスホジエステラーゼ1(Worthington Biochemicals)及び1単位のBAPの添加によって、3時間37℃で消化した。
【0163】
HPLC分析:分析は、5μm Beckman C18 ODS逆相カラム上のHPLCによって、7mM ギ酸アンモニウム、7% メタノールの稼動フェーズを用いて1ml/分の流速で実行した。各々の試料は、アデノシン及びデオキシアデノシンの各10nmolを用いて同時注入した。1mlのカラム分画を回収し、5mlのシンチレーション液でカウントした。
【0164】
式1の化合物によるインビトロの相乗作用は、5〜400nMの有効範囲を用いて、アルキル化剤誘導の細胞のNAD枯渇の阻害、及びポリ−ADP−リボースポリマー形成の遮断と相関する。DNA損傷後、細胞のNADは、ポリ−ADP−リボースポリマーに急速に取り込まれる。式1の化合物(5nM(PF50=1.3))は、MNNG誘導の細胞NAD消費を大いに減少させ、89%まで細胞のポリ−ADP−リボース形成を阻害した(表6)。式1の化合物は、50nMの低い濃度の少なくとも2倍によってA549細胞においてテモゾロミドの有効性を増大させ、MNNG誘導のNAD枯渇の93%阻害、及びポリ−ADP−リボースポリマー形成の95%阻害に対応する。式1の化合物はまた、PARP触媒活性を阻害し、P388マウスの白血病細胞及びマウスの末梢血リンパ球の細胞のNAD消費の阻害、続いて、MNNG、過酸化水素、又はγ線照射によるPARPの活性として測定した。
【0165】
【表10】

【0166】
実施例5.式1の化合物に対するインビボの抗腫瘍有効性試験−テモゾロミド
インビボ実験は、Calabreasら(JNCI(2004),96:56−67)に記載したように実行した。
【0167】
これらの試験について、化合物I(リン酸塩)投与量及びグルクロン酸塩投与量の計算は、その遊離塩に基づく。
これらの試験では、化合物Iは、単剤の抗腫瘍効果を示さなかった。併用研究では、化合物Iは、γ線照射、イリノテカン、及びテモゾロミドの投与効果を増加した。単剤の実験では、式1の化合物は、マウスのSW620ヒト結腸癌腫異種移植における非毒性の投与量の10倍範囲を超えて200mg/kgのテモゾロミドの抗腫瘍効果を増加した(表7)。
【0168】
【表11】

【0169】
aテモゾロミドの投与は、経口による栄養補給によって輸送した。
b式1の化合物の投与は、腹腔内注射によって輸送した。
c全ての群についてn=5。
d%増大=100×(テモゾロミド+式1の化合物による遅延−テモゾロミド単独による遅延)/テモゾロミド単独の遅延。遅延は、処置群のRTV(相対的腫瘍体積)4に対する時間−対照のRTV4に対する時間として計算され、RTV4は、処置の出発時での4×腫瘍体積に相当する腫瘍体積である。
e単剤のテモゾロミドからの有意差(Mann−Whitney試験)。
f毒性により2匹の死亡。
【0170】
SW620異種移植に対する繰り返し投与実験(各薬物についてQD×5)において、0.05、0.15、及び0.5mg/kgの式1の化合物(グルクロン酸塩として)は、68mg/kg テモゾロミドを併用して、3種全ての併用群(68mg/kg テモゾロミド)+0.05、0.15、又は0.5mg/kg 式1の化合物のグルクロン酸塩におけるテモゾロミドの活性を増加した。100%完全な寛解率が、0.15又は0.5mg/kg 式1の化合物のグルクロン酸塩を用いた併用群において観察された。体重減少は、式1の化合物のグルクロン酸塩の投与併用(68mg/kg テモゾロミド+0.05又は0.15mg/kg 式1の化合物のグルクロン酸塩)を用いては観察されなかった。1つの毒性死亡が、高投与量の併用群(68mg/kg テモゾロミド+0.5mg/kg 式1の化合物のグルクロン酸塩)を用いて観察された。LoVo異種異色に対する類似の試験において、式1の化合物のグルクロン酸塩は、67%までテモゾロミド(68mg/kg)の抗腫瘍活性を増加した(表8、図1)。体重減少は、LoVo実験におけるいずれの投与群においても観察されなかった。併用試験においては、拮抗作用は観察されなかった。
【0171】
【表12】

【0172】
aテモゾロミドの投与は、経口による栄養補給によって輸送した。
b式1の化合物の服用は、腹腔内注射によって輸送した。
c式1の化合物(遊離塩基相当物)は、グルクロン酸塩として投与した。
d全ての群についてn=5。
e%増大=100×(テモゾロミド+式1の化合物による遅延−テモゾロミド単独による遅延)/テモゾロミド単独の遅延。遅延は、処置群のRTV(相対的腫瘍体積)4に対する時間−対照のRTV4に対する時間として計算され、RTV4は、処置の出発時での4×腫瘍体積に相当する腫瘍体積である。
f単剤のテモゾロミドからの有意差(Mann−Whitney試験)。
g毒性による1匹の死亡。
【0173】
実施例7.式1の化合物についてのインビボの抗腫瘍効果試験−イリノテカン
インビボ実験は、Calabreaseら(J.Natl.Cancer Inst.(2004)、96:56−67)に記載されるように実行した。
【0174】
単剤として、トポイソメラーゼI阻害剤、イリノテカン(25mg/kg、QW×3IP)は、SW620腫瘍増殖を有意に阻害しなかった。25mg/kgのイリノテカンとグルクロン酸塩として投与した式1の化合物との併用は、全ての併用群(25mg/kg イリノテカン+0.05、0.15、又は0.5mg/kgの式1の化合物)において、十分な抗腫瘍効果及びイリノテカン活性の増加をもたらした(表9)。イリノテカンの単剤群及びイリノテカンとPARPを併用した阻害剤においては、有意な毒性は観察されなかった。腫瘍増殖阻害(パーセント増大)は、式1の化合物の投与量の増加とともに増加した。LoVoの異種移植に対する類似の実験において、式1の化合物(0.5mg/kg)は、86%までイリノテカン(25mg/kg)の抗腫瘍活性を増加させた(表9)。併用試験においては、拮抗作用は観察されなかった。
【0175】
【表13】

【0176】
aイリノテカンの投与は、腹腔内注射によって輸送した。
b式1の化合物のグルクロン酸塩の投与は、腹腔内注射によって輸送した。
c全ての群についてn=5。
d%増大=100×(イリノテカン+式1の化合物による遅延−イリノテカン単独による遅延)/イリノテカン単独の遅延。遅延は、処置群のRTV(相対的腫瘍体積)4に対する時間−対照のRTV4に対する時間として計算され、RTV4は、処置の出発時での4×腫瘍体積に均等な腫瘍体積である。
e式1の化合物(遊離塩基相当物)はグルクロン酸塩として投与した。
f単剤のイリノテカンからの有意差(Mann−Whitney試験)。
【0177】
実施例8.式1の化合物−テモゾロミドの薬力学
10mg/kgの式1の化合物単独(QD×5)を用いたSW620ヒト結腸癌腫の異種移植を有するマウスの治療は、腫瘍増殖遅延を示さず、毒性でなかった。表10(a)は、リン酸塩(化合物I)の腹腔投与後の式1の化合物の血漿及び腫瘍濃度を示す。SW620異種移植に対する繰り返し投与の併用実験(各試薬についてQD×5)において、0.1mg/kg 式1の化合物は、68又は136mg/kg テモゾロミド単独と比較して28%まで68mg/kg テモゾロミドの抗腫瘍効果を増大させた(表10(b))。式1の化合物の投与量を1mg/kgまで増加することにより、100%までテモゾロミド(68mg/kg)の抗腫瘍効果を増大した。10mg/kg 式1の化合物及び68mg/kg テモゾロミドの併用は、毒性であった。
【0178】
並行試験において、式1の化合物の血漿及び腫瘍レベルは、HPLC/MCアッセイによって測定した。さらに、腫瘍PARP触媒活性の阻害の程度は、処置した動物のSW620腫瘍由来のホモジネート中のポリ−ADP−リボースポリマーへのP32−NADの取り込みを用いて評価した。式1の化合物の有効量(1.0mg/kg)で、式1の化合物の血漿濃度は、6時間で僅かに検出可能であったが、40〜60ng/mLの腫瘍レベルは、注射後6及び24時間で検出することができた。PARP触媒活性は、6時間で50%まで、そして、24時間で25%まで阻害した。
【0179】
式1の化合物の毒性量(10mg/kg)で、式1の化合物の血漿濃度は、6時間で30ng/mLであったが、24時間で僅かに検出可能であった。式1の化合物(>200ng/mL)の腫瘍レベルは、式1の化合物の10mg/kgの投与後24時間まで全ての時間で検出することができ、PARP触媒活性は、6時間で90%まで、そして、24時間で75%まで阻害した。
【0180】
【表14】

【0181】
a式1の化合物の投与は、腹腔内注射によって輸送した。
b式1の化合物(遊離塩基相当物)は、リン酸塩として投与した。
cBLQ:定量化の下限。
【0182】
【表15】

【0183】
a式1の化合物の投与は、腹腔内注射によって輸送した。
b式1の化合物(遊離塩基相当物)は、グルクロン酸塩として投与した。
cテモゾロミドの投与は、経口による栄養補給により輸送した。
d式1の化合物の投与は、i.p.で輸送し、68mg/kgのテモゾロミドを併用し、p.o.で輸送した。
eSD=標準偏差。
f増大は、((遅延(併用)/遅延(テモゾロミド単独))×100−100として計算した。
g単剤テモゾロミドからの有意差(Mann−Whitney試験)。
hN/A、適用せず、5/5 毒性による死亡。
【0184】
実施例9.動物における薬物動態学的試験
式1の化合物の塩のIV投与後の式1の化合物(遊離塩基の製剤原料)の薬物動態学は、CD−1マウス、ウィスターラット、ビーグル犬、及びカニクイザルで評価し、表11に要約する。全ての種へのIV投与は、中程度から急速な浄化(34〜136mL/分/kg)及び大容積の分布(7〜15L/kg)に帰着し、この化合物は、体内で十分に分布することを示す。末期の半減期は、相対的に短期間から中程度(2〜5時間)であった。化合物I(リン酸塩)とテモゾロミドの併用試験は、マウス及びラットで実行し、式1の化合物の薬物動態に関するこの細胞毒性剤の潜在的効果を調べた。マウスの併用試験については、8匹の1群は、化合物Iの1回の6.5mg/kg IV投与(式1の化合物の5mg/kgに均等である)を受け、一方、8匹の第2群は、化合物Iの1回の6.5mg/kg IV投与及びテモゾロミドの1回の200mg/kg経口投与を受けた。各々の投与処置群は、4匹の2集団の群に分けた。集団の血液サンプリングの理由は、マウスの種類の血液容積制限による。血液は、各々の集団のすべての他の薬物動態のサンプリング時間から採取した。ラットの併用試験については、2匹のラットの1群は、化合物I(5mg/kg)の1回の6.5mg/kg IV投与を受け、一方、2匹のラットの第2群は、化合物Iの6.5mg/kg IV投与及びテモゾロミドの50mg/kgの経口投与の両方を受けた。マウス及びラットにおける化合物I及びテモゾロミドの併用試験の結果は、この細胞毒性剤が式1の化合物の薬物動態プロフィールにおけるほんの僅かな効果を有することを示した(表12及び表13)。同様に、化合物Iは、テモゾロミドの薬物動態プロフィールにおけるほんの僅かな効果を有することを示した(データ示さず)。さらに、化合物I及びイリノテカンの併用試験は、雄性CD−1マウス及び雄性ウィスターラットにおいて実行した。マウスの併用試験について、15匹のマウスの1群は、1回の化合物Iの6.5mg/kg IV投与(式1の化合物の5mg/kgに均等である)を受け、一方、第2群は、化合物Iの6.5mg/kg IV投与及びイリノテカンの45mg/kg IV投与の両方を受けた。投与群当たり3匹のマウスは、回収時間点の各々で安楽死させた。ラットの併用試験について、1群は、化合物Iの6.5mg/kg IV投与を受け、一方、第2群は、化合物Iの6.5mg/kg IV投与及びイリノテカンの45mg/kg投与の両方を受けた。各々のラットからの血液は、各時間点から回収した。この試験の結果は、その投与した量で、薬物動態の変更をもたらす化合物I及びイリノテカンの間の薬物−薬物相互作用はないことを示唆する(表14及び表15)。
【0185】
表11.マウス、ラット、イヌ、及びサルにおける式1の化合物の1回IV投与の平均的な薬物動態パラメータ
【表16】

n=15匹マウスからの群平均、他の全てn=2又は3(±SD)。
aマウス及びラットのデータは、テモゾロミドを用いて併用試験のものである。
b式1の化合物(遊離塩基相当物)は、化合物I(リン酸塩)として投与した。
c式1の化合物(遊離塩基相当物)は、グルクロン酸塩として投与した。
【0186】
【表17】

【0187】
【表18】

【0188】
【表19】

【0189】
【表20】

【0190】
実施例10.ヒトにおける効果:4週ごとに与えた5日の経口テモゾロミドを併用した静脈内PARP阻害化合物Iのフェーズ1試験
これは、2つのパートで実行した非盲検の複合中心の投与量増加試験である。この試験のパート1は、進行性癌を患っている患者に開始された。第−7日に与えた単剤の化合物Iの試験投与後、化合物Iは、テモゾロミド(100mg/m2/投与)を用いて5日間、毎日IV注射として提供された。患者の連続集団において、化合物Iの投与量は、PARP阻害投与(PID、下記のセクションDを参照)が薬力学及び薬物動態データによって同定されるまで上昇させた。PIDは、12mg/m2であると測定された。化合物Iの患者内の増加は、より高い投与量の安全性が以前の集団において達成した後に許可された。
【0191】
試験のパート2は、転移性メラノーマを有する患者に開始する。患者の連続的な集団は、併用した薬物のMTDが確立されるまで、又はテモゾロミド投与量は、最大200mg/m2に到達するまで、テモゾロミドの投与量の増加に加えて化合物IのPIDを受けた。試験のパート2に入る患者は、PARP阻害を測定するために腫瘍の生検の処置前後に一致しなければならない。
17人の患者に関する臨床結果は一致し、試験のパート1で処理された。表16は、これらの患者の統計データを示す。
【0192】
【表21】

【0193】
これらの患者の原発性癌の診断は、全ては進行性疾患を有し、乳房(1)、結腸(2)、腎臓(1)、肝臓(1)、膵臓(2)、前立腺(1)、直腸(1)、メラノーマ(3)、軟組織肉腫(3)、及び胃(2)であった。11人(71%)の患者は、化学療法前に受け、3人(18%)の患者は受けず、そして、2人(2%)は情報がない。
【0194】
A.ヒトにおける薬物動態及び生産品の代謝
式1の化合物の薬物動態は、テモゾロミドを併用したIV化合物Iのフェーズ1の非盲検の投与量増加試験において評価した。患者のパート1(化合物Iの投与増加)において、連続的な血液試料は、下記の時間:
サイクル1、第−7日(C1D−7、化合物1の一回投与)
サイクル1、第1日(C1D1、化合物I+テモゾロミド一回投与)
サイクル1、第4日(C1D4、化合物I+テモゾロミド複数回投与)
で、式1の化合物測定のために回収した。
PK分析は、名目上の回収時間を用いて、予備的な一時的データに関して実行した。
【0195】
B.第4日までの全てのサイクルのPK分析
ヒトの血漿における式1の化合物の測定は、タンパク質の沈殿抽出を用い、その後、タンデム質量分析検出を用いて逆相HPLCによて実行した。下記のクロマトグラフィー条件を使用した:
分析用カラム: Thermo Hypersil Keystone Betabasic C8、5μm、100×2.1mm ID
移動相A組成: 水中の0.1%ギ酸
移動相B組成: アセトニトリル中の0.1%ギ酸
流速: 200μL/分
注入容積: 10μL
自動サンプラー・ニードル洗浄: 水:アセトニトリル:ギ酸(500:500:1、v:v:v)
典型的な保持時間*: 式1の化合物:1.5分、d−式1の化合物:1.5分
*保持時間は、凡そであり、分析バッチ間及び内で変化してもよい。
【0196】
下記は、典型的な質量分析パラメータであり、同等の応答を得るために装置間で変化してもよい。
質量分析計: Sciex API 365
イオン化: Sciexターボイオンスプレイ
ターボ・イオンスプレイ: 陽イオンモード
イオンスプレイ電圧: 4000V
ターボ・ヒーター温度: 450℃
質量変化(名目上): 式1の化合物:m/z=324.4→m/z293.2、d−式1の化合物:m/z=330.3→m/z299.1
滞留時間: 式の化合物:350ms、d−式1の化合物:150ms
噴霧器ガス圧: 6
カーテン・ガスセッティング: 8
CAD: 2
【0197】
17人全ての患者における予備的PKパラメータの概要は、表17に示し、各々の投与集団についての式1の化合物の平均的な血漿濃度−時間プロフィールは図3に示される。
表17.30分の化合物I単独のIV注射(C1D−7)又は化合物I+経口100mg/m2テモゾロミド(C1D1及びC1D4)の後の式1の化合物の予備的な薬物動態パラメータ(平均(CV%))
【0198】
【表22】

【0199】
aAUC0-int及びCLは、AUC0-intについての外挿が何人かの患者についてAUC0-24の>20%であったので、正確には反映してなくてもよい。
b統計分析には含めなかった。この値は、不十分なデータのために正確に推定しなくてもよい。
【0200】
B.1.サイクル1第−7日(C1D−7)でのPK分析
30分間の化合物I単独のIV注射後(C1D−7)、式1の化合物の血漿濃度は、約6.2−10.7時間の平均的な末期の半減期で複合指数的な方法で減少した。30分のIV注射として与えられる化合物I単独の2〜12mg/m2の間で、AUC(0-24)及びCmaxにおいて直線的投与量の比例があった。1mg/m2のAUC0-24は、投与量比例の評価において含めなかったが、これは、濃度が、投与3時間後に全ての患者について、分析アッセイの制限(LLOQ=2ng/mL)を下回ったためであった。平均的な全体の体内浄化は、27L/h(C1D−7)であり、肝臓の血流量の約30%である。平均的な定常状態の分布容積は、197L(C1D−7)であった。
【0201】
B.2.サイクル1第1日(C1D1)でのPK分析
100mg/m2テモゾロミドの1回の経口投与及び1〜12mg/m2の化合物Iの1回投与後、式1の化合物の濃度は、化合物Iの単独によって与えられるものと類似していた。C1D−7の式1の化合物AUC(0-24)(化合物I単独)は、全ての投与量でC1D1(化合物I+テモゾロミド)と比較した。
【0202】
B.3.サイクル1第4日(C1D4)でのPK分析
化合物I+テモゾロミドの毎日の投与4日後、個々の血漿濃度時間プロフィールの目視検査に基づき、血漿中の式1の化合物の最小の蓄積があった。しかしながら、サイクル1第4日での投与及びサイクル1第1日での投与の間の式1の化合物AUC(0-24)の増加(範囲:50%〜75%)の傾向があった。
【0203】
B.4.患者間及び患者内の変動性
AUC(0-24)の式1の化合物の患者間の変動性は、14%〜85%であり、Cmaxは、7%〜95%であった。しかしながら、各集団内の患者間の変動性は、一般的に、AUC(0-24)及びCmaxの両方について<60%であった(表17)。AUC(0-24)及びCmaxの患者内の変動性は、C1D第−7日での化合物I単独とC1D1での化合物I+テモゾロミドとの比較によって評価した。患者内の変動性は、AUC(0-24)に関して7%〜47%、そして、Cmaxについて3%〜44%の範囲であった。
【0204】
C.PARP阻害性投与の測定:アッセイ方法論
PARP活性及び阻害についての薬力学アッセイは、透過性を上昇させた末梢血リンパ球及びホモジネートした腫瘍試料における規定の条件下で形成されるPARポリマーの量を測定するためにモノクローナル抗体を使用する。形成したポリマー量は、PARP活性に対する相関として使用することができ、それにより、ポリマー形成の減少は、PARP阻害の程度と相関する。PARP活性は、基準のパーセントとして表現され、そして、注射前に形成した量で、注射した後に形成したPARポリマーの量を割ることによって計算される。このアッセイの実行可能性は、転移性メラノーマを有する患者において、単剤のテモゾロミドの12人の患者のフェーズ2試験において首尾よく試験した。この試験は、単剤のテモゾロミドが、末梢血リンパ球又は腫瘍生検標本のいずれかにおいてPARP活性を阻害しないことを示した。
【0205】
D.フェーズ1の臨床試験から評価した薬力学
フェーズ1の非盲検のIV化合物Iのテモゾロミドと併用した投与量増加試験において、試験の主目的の1つは、化合物IのPIDを決定することであった;PIDは、末梢血リンパ球におけるPARP活性が、基準の50%未満にまで減少した投与量として定義し、そして、2つの化合物Iの投与量レベル間で、PARP阻害の程度に頭打ち(±10%絶対)であった。この定義は、第1日での化合物Iの投与後24時間観察したPARP活性に基づいていた。
【0206】
上記セクションCに開示したPARP活性についての薬力学アッセイを使用して、末梢血リンパ球及び腫瘍組織におけるPARP阻害は、フェーズ1臨床試験で評価した。上記で示したように、フェーズ1のパート2における登録は、生検可能な疾患を持つ転移性メラノーマを有する患者に制限された。全ての患者は、腫瘍におけるPARP活性が評価し得るように、処置前及び処置後の生検に承認を必要とした。
【0207】
フェーズ1試験では、全血試料は、化合物Iの試験投与量が投与された日(通常第−7日)、そして、第1日及び第4日に全ての患者から回収した。回収の時期は、化合物Iの注射前、注射後、注射して4〜6時間後、及び注射して24時間(次の日の注射前)であった。化合物Iは、30分にわたるIV注射によって投与した。末梢血リンパ球は、血液試料から回収し、可能であれば、試料を3重で分析した。
【0208】
表18において、第1日の化合物Iの投与後の末梢血リンパ球におけるPARP活性を要約した。顕著なPARP阻害(PARP活性の中央値の少なくとも50%の減少)は、第1日での化合物Iの30分の注射の完了後、投与量にかかわらず、全ての患者で示された。患者に依存して、最大阻害は、0.5又は4〜6時間の時点で観察された。PARP活性の持続的な阻害は、集団4及び5の全ての患者で示され、PARP活性における>50%中央値の減少は、第1日の化合物Iの投与後24時間で観察された。
【0209】
表19に示されるように、PARP活性は、12mg/m2の化合物Iを用いたそれらの第一のサイクルでの第1、4又は5日で投与した後の4〜6時間で、試験のパート2の6人の患者から採取した腫瘍試料において50%〜93%阻害した。
【0210】
【表23】

【0211】
PARP=ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ;BLD=検出下限。
a第一集団のみについて、試料を第1日目に回収しなかった。データは、化合物Iの試験投与後(通常、第−7日)に回収した試料からである。
【0212】
【表24】

【0213】
指示した日での処置後4〜6時間で採取した処置後の生検、*:第1日の処置後24時間(第2日の処置前)に採取したものを除く。
【0214】
実施例11.ヒトにおける効果:一次的転移設置における「FOLFOX」投薬計画に失敗した進行性結腸癌を有する患者における「FOLFIRI」投薬計画を併用した静脈PARP阻害剤化合物Iのフェーズ1/2試験
試験の導入部のフェーズ1部分は、イリノテカン、5−FU及びロイコボリンを併用して化合物Iの投与量を同定し、フェーズ2部分に使用した。フェーズ2部分は、一次的転移性結腸直腸癌について前のFOLFOX化学療法を受けた患者に対して、FOLFIRIと併用して提供した化合物Iの非盲検の複合中心試験である。
【0215】
試験の第1フェーズ部分は、2パートである。パート1は、化合物Iとイリノテカンの併用の安全性及び耐性を評価する非盲検の投与量増加試験である(表20−パート1を参照)。パート2は、パート1ですでに確立した組み合わせに5−FU+ロイコボリンを添加する(表20−パート2を参照)。患者は、フェーズ2のFOLFIRI投与スキームへの移行を促進するために2週間サイクルで投与する。患者は、難治性の結腸直腸癌を組織学的に又は細胞学的に証明され、又は、一次的な転移設置でFOLFOXを失敗した患者は、少なくとも18歳という年齢であり、良好な一般状態(WHO0若しくは1)であり、日常的な血液試験によって決定される十分な骨髄、肝臓、及び腎臓機能を有し、並びに、いくつかの他の登録基準を合致する。患者は、化合物IのPARP阻害投与量(初期のフェーズ1試験、及びこの試験のパート1で決定した)及びFOLFIRIを受ける。
【0216】
フェーズ2では、サイクル数は、FOLFIRIの各々の2週間サイクルを意味し、標準的な方法で提供される。イリノテカン(フェーズ1に基づく投与量)は、第1日で90分をかけて静脈内に提供される。ロイコボリン(LV 200mg/m2)注射は、イリノテカンと同時に開始し、第1日に2時間かけて進行する。5−FUボーラス(400mg/m2)及び46時間の5−FU注射(2400mg/m2)は、即座に、ロイコボリン注射に続く。化合物Iは、表20に示したように、連続した患者集団に投与量を増加させてイリノテカンに添加される。化合物Iは、初期には、各イリノテカン投与の1時間前の30分間の静脈注射によって提供した12mg/m2の開始投与量で提供し、再度24時間後に提供する。イリノテカンの開始投与量は、150mg/m2(FOLFIRI投薬計画に使用したイリノテカンの全投与量の約80%)である。血液試料は、化合物I、イリノテカン、及びSN−38のPKプロフィールを決定するためにサイクル1で回収される。
【0217】
用量規定毒性(DLT)は、最大限の耐性量(MTD)を決定するために使用され、初めの4週で評価する。初期には、3人の患者は、各々の投与量レベルで開始される。DLTは、いずれかの集団の初めの3人の患者のうち1人に観察される場合、追加の3人の感jyが登録される。MTDは、6分の1以下の患者が初めの4週間でDLTを経験する最大の投与量レベルとして定義される。18mg/m2を超える化合物Iの投与量の増加はなされない。MTDで処置した6人の患者が4週を完了したならば、フェーズ2部分を開始する。MTDは、集団の30%(最大6人の患者のうちの2人)が、処置の初めの21日間に薬物の併用のために用量規定毒性を経験したもの以下の投与量として定義される。処置と関連した毒性以外の何らかの理由のために、DLTの上昇について前の必須時間を完了していない患者は置き換えられる。MTDは、フェーズ2試験に関して推奨される開始投与量である。
【0218】
【表25】

【0219】
目的とする応答率は、フェーズ2試験のための主要な評価項目である。患者は、FOLFIRIの3サイクルごとの腫瘍応答について評価を受ける。化合物IとFOLFIRIの併用の目的とする応答率(RR)は、固形腫瘍における応答評価基準(RECIST)の基準を用いて決定する。Therasseら、固形腫瘍における治療への応答を評価するための新規ガイドライン(New guidelines to evaluate the response to treatment in solid tumors)J Natl Cancer Inst,2000,v.92,pp.205−216。
【0220】
実施例12.式1の化合物による放射線増感化
インビボにおける放射線耐性に対する有力な要件は、潜在性致死損傷(PLD)を修復する静止細胞の能力である(Weichselbaum,R.R.及びLittle,J.B.分割放射線照射に対するヒト腫瘍の反応差は照射後の修復過程に起因するであろう(The differential resonse of human tumors to fractionated radiation may be due to a post−irradiation repari process)Br.J.Cancer 1982;46:532−537)。PLDのインビトロモデルは、コロニー形成について遅延したプレーティングに続く放射線照射した増殖停止の細胞の生存を測定する。潜在性致死損傷からの回復は、腫瘍における放射線耐性の静止細胞集団を真似るためにコンフルエントまでの増殖によってG1フェーズで静止させたLoVo細胞を用いてインビトロで測定した。細胞を8Gyのγ線照射(Gammacel 1000 Elite,Nordian International Inc.Canada)に晒し、回収し、即座にコロニー形成アッセイのためにプレートし、又は、コロニー形成アッセイのために回収しプレートする前の24時間の回復期間、増幅を停止したコンフルエント培養として維持した。指示があれば、0.4μMの式1の化合物は、放射線照射前の30分に添加され、回復インキュベーションを通じて存在した。表21に示したように、細胞生存は、規制培地における24時間の回復後、約7倍増加した。回復期間中の式1の化合物を用いたインキュベーションは、64.9%までPLD回復を阻害した。
【0221】
【表26】

【0222】
a%PLDRは、100×(24時間の生存−0時の生存)/0時の生存として計算される。
b%回復阻害は、100−((式1の化合物の存在下でのPLDR/対照のPLDR)×100)として計算される。
c3つの独立した実験の平均。
【0223】
放射線増強剤としての式の化合物のインビボの有効性は、2つの独立したアプローチ:生体外クローン形成アッセイ及び腫瘍増殖遅延アッセイを用いて評価した。第一のアプローチについて、確立したLoVo異種移植は、5Gyの投与量での腫瘍局在の放射線照射前の30分に、式の化合物(15又は30mg/kg;親化合物)を用いて処置した。24時間後の腫瘍を摘出し、分散させ、単一の細胞懸濁液を得て、コロニー形成アッセイのためにプレートした。表22に示したように、式の化合物及び5Gyで処置した腫瘍細胞の生存率(SF)は、放射線照射のみと比較して増加した。15mg/kg及び30mg/kgのIR併用についてのSFは、1.6及び1.9の線量変更因子(DMF)を与える、それぞれ8Gy又は9.5Gyの放射線量を用いて達成されたものと一致した。
【0224】
【表27】

【0225】
aコロニー形成効率(プレートした細胞%)。
b生存率:未処置の対照腫瘍の関数としてのコロニー形成効率(CFE)。
c線量変更因子:式1+放射線照射併用としてのクローン形成生存の同レベルを提供するのに必要であった放射線量の倍数増加。
【0226】
腫瘍増殖遅延試験について、体積にして約250mm3のLoVo異種移植片は、10Gyの放射線照射を用いて処置され、5日間、日に一度、2Gy画分で投与された。併用群は、式の化合物は、15又は0.15mg/kg(再度、親化合物を使用した)のいずれかの投与量で各2Gy画分前に30分間投与された。実験の終点は、処置の開始時点で測定した容積の4倍まで増加する相対的な腫瘍容積について要求される時間であると定義される(RTV4)。増殖遅延は、IR/式1で処置した腫瘍と未処置の対照との間のRTV4(日数)を達成するためにかかった時間の差から計算した。表23に示したように、式の化合物の両者の投与量は、LoVo異種移植片に対する放射線の活性における有意な(36%)増加を引き起こした。
【0227】
【表28】

【0228】
a局所的な腫瘍の放射線照射。
b式1の化合物の投与は、腹腔内注射によって輸送した。
c全ての群についてn=5。
d増大は、%増大=100×(IR+式1の化合物による増殖遅延−IR単独による増殖遅延)/IR単独による増殖遅延として計算される。
eIR単独からの有意差p=0.015(Mann−Whitney試験)。
fIR単独からの有意差p=0.009(Mann−Whitney試験)。
引用した全ての参考文献の開示は、本明細書中に参照により全体として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】図1は、SW620異種移植に対するリン酸塩として8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンを併用したテモゾロミドの有効性に関するデータを表す。
【図2】図2は、SW620異種移植に対するグルクロン酸塩として8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンを併用したテモゾロミドの有効性に関するデータを表す。
【図3】図3は、リン酸塩が30分間IV注射として提供され、経口テモゾロミドが100mg/m2として提供された場合、−7日目(8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩単独)、並びに1及び4日目(8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩+テモゾロミド)についての平均的な8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンの血漿濃度時間プロフィールを表す。
【図4】図4は、8−フルオロ−2−{4−[(メチルアミノ)メチル]フェニル}−1,3,4,5−テトラヒドロ−6H−アゼピノ[5,4,3−cd]インドール−6−オンのリン酸塩の投与後の末梢血リンパ球における中程度のPARP活性を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式1:
【化1】

で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式1で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、哺乳動物に投与するための剤形。
【請求項2】
末梢血リンパ球において少なくとも24時間、少なくとも50%までポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ酵素を阻害するために有効な量で、式1:
【化2】

で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む剤形。
【請求項3】
少なくとも50%まで癌のポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ酵素を阻害するために有効な量で、式1:
【化3】

で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物を含む、癌を患っている哺乳動物に投与するための剤形。
【請求項4】
式1で表される化合物の量に相当する遊離塩基として表される1〜48mg/m2の量で、式1で表される化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項5】
式1で表される化合物の量に相当する遊離塩基として表される2〜96mgの量で、式1で表される化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項6】
注射用に凍結乾燥した粉末剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項7】
医薬として許容される塩がリン酸塩である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の剤形。
【請求項8】
式1:
【化4】

で表される化合物の量に相当する遊離塩基として表される約2〜約96mgの量で、式1で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物、及びテモゾロミド、イリノテカン、トポテカン、シスプラチン、カルボプラチン、及びドキソルビシンから成る群から選択される、治療的に有効量の少なくとも1つの抗癌剤を含む組成物。
【請求項9】
式1で表される化合物、イリノテカン、5−フルオロウラシル及びロイコボリンを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
哺乳動物における癌を治療する薬剤を製造するための、請求項8に記載の化合物の使用。
【請求項11】
癌が、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、皮膚若しくは眼球内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性若しくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓若しくは尿管の癌、腎細胞の癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
(a)第一の単位剤形における式1:
【化5】

で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物、及び医薬として許容される担体若しくは希釈剤の量;
(b)少なくとも第二の単位剤形における少なくとも1つの抗癌剤、及び医薬として許容される担体若しくは希釈剤の量;及び、
(c)第一及び少なくとも第二の剤形を含有するための容器
を含むキット。
【請求項13】
(a)哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式1:
【化6】

で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式1で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物;及び、
(b)治療的に有効量の少なくとも1つの抗癌剤
を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における癌を治療する方法。
【請求項14】
抗癌剤が、式1で表される化合物の投与後1時間以内に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)哺乳動物に投与後少なくとも24時間、式1:
【化7】

で表される化合物の少なくとも5.9ng/mLを持続した血漿濃度値を提供するために有効な量で、式1で表される化合物、その医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、又はそれらの混合物;及び、
(b)癌を崩壊させるために有効な放射線量
を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における癌を治療する方法。
【請求項16】
癌が、肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、皮膚若しくは眼球内メラノーマ、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性若しくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓若しくは尿管の癌、腎細胞の癌腫、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−513435(P2008−513435A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531868(P2007−531868)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002900
【国際公開番号】WO2006/033006
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【出願人】(505345200)キャンサー リサーチ テクノロジー リミティド (2)
【Fターム(参考)】