説明

マイクロミラーデバイス

【課題】接合材の熱収縮によるマイクロミラーチップの平面度の低下が低減されたマイクロミラーデバイスを提供する。
【解決手段】マイクロミラーデバイス100は、マイクロミラーチップ110と、電極基板130と、マイクロミラーチップ110および電極基板130を保持している基板保持部材170とを有している。マイクロミラーチップ110は可動ミラー部112を備えている。電極基板130は、マイクロミラーチップ110から間隔を置いてマイクロミラーチップ110に対向して配置されている。基板保持部材170は、マイクロミラーチップ110の側面および電極基板130の側面と機械的および電気的に接合された二つの板状部材172で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロミラーデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005−316043号公報は、マイクロミラーデバイスのひとつを開示している。このマイクロミラーデバイスはマイクロミラーチップと電極基板とを備えており、マイクロミラーチップと電極基板は、これらの間に配置されたはんだ材などの接合材によって互いに接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−316043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のマイクロミラーデバイスでは、マイクロミラーチップと電極基板を互いに接合する際に接合材が熱溶融される。このため、接合材の熱収縮、特にマイクロミラーチップと電極基板の対向面にほぼ垂直な方向の熱収縮の影響により、マイクロミラーチップの平面度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、接合材の熱収縮によるマイクロミラーチップの平面度の低下が低減されたマイクロミラーデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるマイクロミラーデバイスは、可動ミラー部を備えた第一の基板と、前記第一の基板から間隔を置いて前記第一の基板に対向して配置された第二の基板と、前記第一および第二の基板を保持している基板保持部材とを備えており、前記基板保持部材は、前記第一および第二の基板の側面と機械的および電気的に接合されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接合材の熱収縮によるマイクロミラーチップの平面度の低下が低減されたマイクロミラーデバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの分解斜視図である。
【図2】図1に示したマイクロミラーデバイスの組み立て完成斜視図である。
【図3】第二の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの分解斜視図である。
【図4】図3に示したマイクロミラーデバイスの組み立て完成斜視図である。
【図5】第三の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの分解斜視図である。
【図6】図5に示したマイクロミラーデバイスの組み立て完成斜視図である。
【図7】第四の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの分解斜視図である。
【図8】図7に示したマイクロミラーデバイスの組み立て完成斜視図である。
【図9】図7と図8に示した基板保持部材に代えて使用可能な別の基板保持部材を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
<第一の実施の形態>
本発明の第一の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスを図1と図2を参照して説明する。図1は、第一の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの分解斜視図、図2は、図1に示したマイクロミラーデバイスの組み立て完成斜視図である。
【0011】
(構成)
図1と図2に示すように、本実施形態のマイクロミラーデバイス100は、第一の基板であるマイクロミラーチップ110と、第二の基板である電極基板130と、マイクロミラーチップ110と電極基板130との間に配置された間隔規定部材150と、マイクロミラーチップ110および電極基板130を保持している基板保持部材170とを有している。
【0012】
マイクロミラーチップ110は可動ミラー部を備えている。可動ミラー部は、本実施形態では揺動ミラーである。しかし、可動ミラー部は、揺動ミラーに限定されるものではなく、他の形態のミラーたとえば可変形状ミラーであってもよい。
【0013】
マイクロミラーチップ110は、二列に整列した複数の開口部118を有するミラー支持部114と、開口部118の内側にそれぞれ位置する複数の可動ミラー部112と、可動ミラー部112のおのおのとミラー支持部114とを接続しているヒンジ部116とを有している。
【0014】
電極基板130は、可動ミラー部112をそれぞれ静電駆動するための複数の駆動電極132を有している。電極基板130は、可動ミラー部112と駆動電極132とがそれぞれに対向するように、マイクロミラーチップ110から間隔を置いてマイクロミラーチップ110に対向して配置されている。
【0015】
マイクロミラーチップ110と電極基板130と間隔規定部材150の互いに向かい合う面は平面であり、マイクロミラーチップ110と電極基板130と間隔規定部材150は互いに面接触している。これにより、間隔規定部材150は、マイクロミラーチップ110と電極基板130の間隔を規定している。
【0016】
可動ミラー部112は、可動ミラー部112と駆動電極132との間に発生する静電引力によって、ヒンジ部116を軸として傾斜する。間隔規定部材150は、可動ミラー部112がヒンジ部116を軸として傾斜したときに可動ミラー部112との接触を避けるための二つの逃げ孔152を有している。各逃げ孔152は、マイクロミラーチップ110の各列の複数の開口部118を一つにした形状を有している。間隔規定部材150は、マイクロミラーチップ110のミラー支持部114とほぼ同様の形状をしている。
【0017】
間隔規定部材150は、マイクロミラーチップ110に面接触する第一の面である上側平面と、電極基板130に面接触する第二の面である下側平面とを有し、上側平面と下側平面は互いに平行である。上側平面と下側平面の間隔は均一であり、場所によらず一定である。つまり、間隔規定部材150は均一な厚みを有している。間隔規定部材150の厚みは、駆動電圧や可動ミラー部112に要求される傾斜角度などの諸条件から決定される。
【0018】
基板保持部材170は、マイクロミラーチップ110の側面および電極基板130の側面と機械的および電気的に接合された二つの板状部材172で構成されている。二つの板状部材172は、互いに対向して配置されており、また、それぞれ、マイクロミラーチップ110と電極基板130の二つの長辺側の側面に対向して配置されている。
【0019】
マイクロミラーチップ110は、板状部材172と対向する長辺側の側面に接合端子122を有している。接合端子122は、図示しない配線を介して可動ミラー部112と電気的に接続されている。また電極基板130は、板状部材172と対向する長辺側の側面に接合端子142を有している。接合端子142は、図示しない配線を介して駆動電極132と電気的に接続されている。また、板状部材172は、マイクロミラーチップ110に対向する面に接合端子182を有し、電極基板130に対向する面に接合端子184を有している。接合端子182は、図示しない配線を介して接合端子184と電気的に接続されている。
【0020】
マイクロミラーチップ110と電極基板130は同じ大きさをしており、マイクロミラーチップ110と電極基板130の側面は同一平面上に整列している。間隔規定部材150もまた、マイクロミラーチップ110と電極基板130は同じ大きさをしており、間隔規定部材150の側面もマイクロミラーチップ110と電極基板130の側面と同一平面上に整列している。マイクロミラーチップ110と電極基板130と間隔規定部材150は、これらの側面が同一平面上に整列されることにより、位置決めされている。
【0021】
ここでは、マイクロミラーチップ110と電極基板130は、すべての側面が同一平面上に整列しているが、基板保持部材170と接合される少なくとも長辺側の側面が同一平面上に整列していればよい。
【0022】
マイクロミラーチップ110の接合端子122と板状部材172の接合端子182は等しい配線ピッチで形成されている。また、電極基板130の接合端子142と板状部材172の接合端子184は、等しい配線ピッチで形成されている。板状部材172は、接合端子182がマイクロミラーチップ110の接合端子122に対向し、接合端子184が電極基板130の接合端子142に対向するように配置されている。
【0023】
マイクロミラーチップ110の接合端子122と板状部材172の接合端子182とは、これらの間に配置された図示しない接合材を介して互いに機械的および電気的に接合されている。同様に、電極基板130の接合端子142と板状部材172の接合端子184とは、これらの間に配置された図示しない接合材を介して互いに機械的および電気的に接合されている。接合材は、たとえば、はんだ材である。このため、接合端子122,142,182,184には、接合材であるはんだ材で接合するための接合膜が形成されている。
【0024】
マイクロミラーチップ110は、たとえば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の半導体で構成される。電極基板130は、たとえば、シリコンで形成された半導体基板で構成される。間隔規定部材150は、たとえば、平坦度が良いガラス基板で構成される。好適なガラス基板としては、たとえば、シリコンと線膨張係数が近いホウケイ酸ガラスがあげられる。板状部材172は、たとえば、シリコン基板または平坦度が良いガラス基板で構成される。好適なガラス基板としては、たとえば、シリコンと線膨張係数が近いホウケイ酸ガラスがあげられる。マイクロミラーチップ110の側面に形成された接合端子122や電極基板130の側面に形成された接合端子142や板状部材172の接合端子182と接合端子184には、たとえば、はんだ接合が可能なニッケル金メッキやはんだメッキ、錫メッキが施されている。接合材であるはんだ材は、たとえば、SnAgCu等の鉛フリーはんだで構成される。好適なはんだ材としては、たとえば、マイクロミラーチップ110の耐熱性を考慮した低融点鉛フリーはんだ材があげられる。
【0025】
(製造方法)
板状部材172の接合端子182と接合端子184に接合材を塗布する。接合端子182に接合材を塗布する代わりに、マイクロミラーチップ110の側面の接合端子122に接合材を塗布してもよい。また、接合端子184に接合材を塗布する代わりに、電極基板130の側面の接合端子142に接合材を塗布してもよい。
【0026】
次に、電極基板130に間隔規定部材150を上から重ねて、電極基板130の駆動電極132と間隔規定部材150の逃げ孔152とを互いに位置合わせする。さらに、間隔規定部材150にマイクロミラーチップ110を上から重ねて、マイクロミラーチップ110の可動ミラー部112と電極基板130の駆動電極132とを互いに位置合わせする。
【0027】
続いて、互いに重ねられ位置決めされたマイクロミラーチップ110と間隔規定部材150と電極基板130の積層構造体の側面に、基板保持部材170を構成する板状部材172を横から重ねて、マイクロミラーチップ110の側面の接合端子122と電極基板130の側面の接合端子143をそれぞれ板状部材172の接合端子182と接合端子184と位置決めする。
【0028】
その後、リフローにより接合材を熱溶融させてマイクロミラーチップ110と電極基板130と基板保持部材170とを互いに接合する。
【0029】
以上の工程を経て、マイクロミラーデバイス100が組み立てられる。接合後、間隔規定部材150を抜き去ってもよい。
【0030】
(作用)
マイクロミラーチップ110と電極基板130とが基板保持部材170を介して互いに機械的および電気的に接合されている。基板保持部材170を構成する二つの板状部材172は、マイクロミラーチップ110と電極基板130の二つの長辺側の側面に対向して配置されている。マイクロミラーチップ110と板状部材172とを接合する接合材は、マイクロミラーチップ110の側面とこれに対向している板状部材172の部分との間に配置されている。また、電極基板130と板状部材172とを接合する接合材は、電極基板130の側面とこれに対向している板状部材172の部分との間に配置されている。したがって、熱溶融された接合材の熱収縮は、マイクロミラーチップ110の平面度をほとんど低下させない。つまり、マイクロミラーチップ110と電極基板130の対向面にほぼ垂直な方向の熱収縮の力は、その方向に関してはマイクロミラーチップ110と接合していないので、マイクロミラーチップ110を変形させることはない。マイクロミラーチップ110の平面度の測定方向は、電極基板130との対向面に垂直な方向で測定しているため、板状部材172との接合部の熱収縮方向と異なることから、測定する方向への基板変形は少ない。また、マイクロミラーチップ110と電極基板130の対向面にほぼ平行な方向の熱収縮の力は、その方向の寸法が小さい板状部材172を変形させるかも知れないが、その方向の寸法が大きいマイクロミラーチップ110はほとんど変形させることはない。
【0031】
(効果)
本実施形態のマイクロミラーデバイス100では、上述したようにマイクロミラーチップ110は接合材の熱収縮によってほとんど変形されることがないので、接合材の熱収縮によるマイクロミラーチップ110の平面度の低下が低減される。
【0032】
また、マイクロミラーチップ110と電極基板130とがこれらの長辺側の側面に対向して配置された二つの基板保持部材170を介して互いに機械的および電気的に接合されている。このため、マイクロミラーチップ110と電極基板130とが高い剛性で接合されている。また、マイクロミラーチップ110に対向する電極基板130の平面上において配線を引き回す領域が増える。さらに、マイクロミラーチップ110と電極基板130とが対向する平面の面積を小型化できる。たとえば、マイクロミラーチップ110のミラー支持部114に径600μmの接合パッドが二列分形成された構成において、径600μmの二列分の径1200μmの領域を削除し、厚みが1000μmの板状部材172を使用することにより、マイクロミラーデバイス100の幅を、1200μm−1000μmで約200μm、小型化できる。
【0033】
間隔規定部材150がマイクロミラーチップ110と電極基板130の間にあるため、ミラー駆動時のミラー支持部114の変形が抑えられ、マイクロミラーチップ110と電極基板130との間隔が均一に保たれる。
【0034】
マイクロミラーチップ110と電極基板130とが同じ外形寸法で構成されており、マイクロミラーチップ110と電極基板130をワイヤーボンディングで導通を取る構成に較べて小型化が図られている。
【0035】
<第二の実施の形態>
本発明の第二の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスを図3と図4を参照して説明する。図3は、第二の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの分解斜視図、図4は、図3に示したマイクロミラーデバイスの組み立て完成斜視図である。図3と図4において、図1や図2に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0036】
(構成)
図3と図4に示すように、本実施形態のマイクロミラーデバイス200は、マイクロミラーチップ110と、電極基板130と、マイクロミラーチップ110および電極基板130を保持している基板保持部材250とを有している。マイクロミラーチップ110と電極基板130の詳細は第一の実施の形態で説明した通りである。
【0037】
基板保持部材250は、マイクロミラーチップ110と電極基板130との間に配置されてマイクロミラーチップ110と電極基板130の間隔を規定する間隔規定部材252と、マイクロミラーチップ110の側面および電極基板130の側面と機械的および電気的に接合された二つの板状部材254とを有している。
【0038】
間隔規定部材252は一つの部材で構成され、可動ミラー部112との接触を避けるための逃げ孔256を有している。間隔規定部材252は均一な厚みを有している。すなわち、間隔規定部材252は、マイクロミラーチップ110に面接触する第一の面である上側平面と、電極基板130に面接触する第二の面である下側平面とを有し、上側平面と下側平面は互いに平行である。
【0039】
二つの板状部材254は、互いに対向して配置され、間隔規定部材252を介して機械的に互いに接合されている。各板状部材254は、マイクロミラーチップ110に対向する面に接合端子262を有し、電極基板130に対向する面に接合端子264を有している。接合端子262は、図示しない配線を介して接合端子264と電気的に接続されている。接合端子262は、マイクロミラーチップ110の接合端子122と等しい配線ピッチで形成され、接合端子264は、電極基板130の接合端子142と等しい配線ピッチで形成されている。接合端子262,264の詳細は第一の実施の形態で説明した接合端子182,184と同様である。
【0040】
言い換えれば、基板保持部材250は、実質的に、第一実施形態における間隔規定部材150と基板保持部材170とが一体化された構造となっている。
【0041】
マイクロミラーチップ110は、その接合端子122が基板保持部材250の接合端子262と対向するように間隔規定部材252に上から重ねられ配置されており、接合端子122と接合端子262とが図示しない接合材を介して互いに機械的および電気的に接合されている。また、電極基板130は、その接合端子142が基板保持部材250の接合端子264と対向するように間隔規定部材252に下から重ねられ配置されており、接合端子122と接合端子264とが図示しない接合材を介して互いに機械的および電気的に接合されている。接合材の詳細は第一の実施の形態で説明した通りである。また、接合材による接合の手法は第一の実施の形態と同様である。
【0042】
(作用・効果)
第二の実施の形態は、第一の実施の形態と同様の作用・効果を有している。さらに、第二の実施の形態では、マイクロミラーチップ110および電極基板130と接合される二つの板状部材254が間隔規定部材252と接合されている。このため、組み立ての際に、間隔規定部材252と板状部材254との間で位置ずれが生じることがない。これにより、マイクロミラーデバイス200の組み立てが比較的容易である。
【0043】
<第三の実施の形態>
本発明の第三の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスを図5と図6を参照して説明する。図5は、第三の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの分解斜視図、図6は、図5に示したマイクロミラーデバイスの組み立て完成斜視図である。図5と図6において、図1や図2に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0044】
(構成)
図5と図6に示すように、本実施形態のマイクロミラーデバイス300は、マイクロミラーチップ110と、電極基板130と、マイクロミラーチップ110および電極基板130を保持している基板保持部材350とを有している。マイクロミラーチップ110と電極基板130の詳細は第一の実施の形態で説明した通りである。
【0045】
基板保持部材350は、マイクロミラーチップ110の側面および電極基板130の側面と機械的および電気的に接合された二つの板状部材352で構成されている。二つの板状部材352は、マイクロミラーチップ110と電極基板130の二つの長辺側の側面に対向して配置されている。
【0046】
各板状部材352は、マイクロミラーチップ110に対向する面に接合端子362を有し、電極基板130に対向する面に接合端子364を有している。接合端子362は、図示しない配線を介して接合端子364と電気的に接続されている。接合端子362は、マイクロミラーチップ110の接合端子122と等しい配線ピッチで形成され、接合端子364は、電極基板130の接合端子142と等しい配線ピッチで形成されている。接合端子362,364の詳細は、第一の実施の形態で説明した接合端子182,184と同様である。
【0047】
各板状部材352は、マイクロミラーチップ110と電極基板130との間に配置されてマイクロミラーチップ110と電極基板130の間隔を規定する複数の間隔規定部材354を有している。間隔規定部材354は、可動ミラー部112と接触することのない位置に間隔を置いて配置されている。
【0048】
間隔規定部材354はすべて同じ厚みを有している。さらに各間隔規定部材354は均一な厚みを有している。すなわち、各間隔規定部材354は、マイクロミラーチップ110に面接触する第一の面である上側平面と、電極基板130に面接触する第二の面である下側平面とを有し、上側平面と下側平面は互いに平行である。
【0049】
マイクロミラーチップ110は、その接合端子122が板状部材352の接合端子362と対向するとともに、その下側平面が間隔規定部材354の上側平面と接するように配置されており、接合端子122と接合端子362とが図示しない接合材を介して互いに機械的および電気的に接合されている。また、電極基板130は、その接合端子142が接合端子364と対向するとともに、その上側平面が間隔規定部材354の下側平面と接するように配置されており、接合端子142と接合端子364とが図示しない接合材を介して互いに機械的および電気的に接合されている。接合材の詳細は第一の実施の形態で説明した通りである。また、接合材による接合の手法は第一の実施の形態と同様である。
【0050】
(作用・効果)
第三の実施の形態は、第一の実施の形態と同様の作用・効果を有している。さらに、第三の実施の形態では、各板状部材352が間隔規定部材354を有している。このため、組み立ての際に、板状部材352と間隔規定部材354との間で位置ずれが生じることがない。これにより、マイクロミラーデバイス300の組み立てが比較的容易である。
【0051】
<第四の実施の形態>
本発明の第四の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスを図7と図8を参照して説明する。図7は、第四の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの分解斜視図、図8は、図7に示したマイクロミラーデバイスの組み立て完成斜視図である。図7と図8において、図1や図2に示した部材と同一の参照符号を付した部材は同様の部材であり、その詳しい説明は省略する。
【0052】
(構成)
図7と図8に示すように、本実施形態のマイクロミラーデバイス400は、マイクロミラーチップ110Aと、電極基板130Aと、間隔規定部材150と、マイクロミラーチップ110Aおよび電極基板130Aを保持している基板保持部材470とを有している。間隔規定部材150の詳細は第一の実施の形態で説明した通りである。マイクロミラーチップ110Aは、第一の実施の形態のマイクロミラーチップ110とほぼ同じ構成をしているが、マイクロミラーチップ110とは異なり、長辺側の側面に接合端子122を有するだけでなく、短辺側の側面にも接合端子124を有している。同様に、電極基板130Aは、第一の実施の形態の電極基板130とほぼ同じ構成をしているが、電極基板130とは異なり、長辺側の側面に接合端子142を有するだけでなく、短辺側の側面にも接合端子144を有している。
【0053】
基板保持部材470は、マイクロミラーチップ110Aのすべての側面および電極基板130Aのすべての側面と機械的および電気的に接合された四つの板状部材472,474で構成されている。二つの板状部材472は、互いに対向して配置されており、また、それぞれ、マイクロミラーチップ110と電極基板130の二つの長辺側の側面に対向して配置されている。二つの板状部材474は、互いに対向して配置されており、また、それぞれ、マイクロミラーチップ110と電極基板130の二つの短辺側の側面に対向して配置されている。
【0054】
各板状部材472は、マイクロミラーチップ110Aに対向する面に接合端子482を有し、電極基板130Aに対向する面に接合端子484を有している。接合端子482は、図示しない配線を介して接合端子484と電気的に接続されている。接合端子482は、マイクロミラーチップ110Aの接合端子122と等しい配線ピッチで形成され、接合端子484は、電極基板130Aの接合端子142と等しい配線ピッチで形成されている。また、各板状部材474は、マイクロミラーチップ110Aに対向する面に接合端子486を有し、電極基板130Aに対向する面に接合端子488を有している。接合端子486は、図示しない配線を介して接合端子488と電気的に接続されている。接合端子486は、マイクロミラーチップ110Aの接合端子124と等しい配線ピッチで形成され、接合端子488は、電極基板130Aの接合端子144と等しい配線ピッチで形成されている。接合端子482,484,486,488の詳細は、第一の実施の形態で説明した接合端子182,184と同様である。
【0055】
板状部材472は、接合端子482がマイクロミラーチップ110Aの接合端子122に対向し、接合端子484が電極基板130Aの接合端子142に対向するように配置されている。さらに、接合端子482と接合端子122とが、また接合端子484と接合端子142とが、図示しない接合材を介して互いに機械的および電気的に接合されている。また、板状部材474は、接合端子486がマイクロミラーチップ110Aの接合端子124に対向し、接合端子488が電極基板130Aの接合端子144に対向するように配置されている。さらに、接合端子486と接合端子124とが、また接合端子488と接合端子144とが、図示しない接合材を介して互いに機械的および電気的に接合されている。接合材の詳細は第一の実施の形態で説明した通りである。また、接合材による接合の手法は第一の実施の形態と同様である。
【0056】
(作用・効果)
第四の実施の形態は、第一の実施の形態と同様の作用・効果を有している。
【0057】
さらに、第四の実施の形態では、マイクロミラーチップ110Aと電極基板130Aのすべての側面が基板保持部材470と接合されている。このため、マイクロミラーチップ110Aと電極基板130Aの対向面に平行な両者間の位置ずれが好適に抑えられる。これにより、外部から応力が加わってもマイクロミラーチップ110Aと電極基板130Aの相互間の位置ずれが好適に抑えられる。
【0058】
また、マイクロミラーチップ110Aと電極基板130Aは、長辺側の側面だけでなく短辺側の側面にも接合端子を有している。言い換えれば、接合端子を設ける領域が長辺側の側面に加えて短辺側の側面にも振り分けられている。このため、マイクロミラーチップ110Aと電極基板130Aは、マイクロミラーチップ110と電極基板130に比べて小さい外形寸法に作製可能である。これにより、マイクロミラーデバイス400は、第一〜第三の実施の形態のマイクロミラーデバイスと比較して、小型化を図ることが可能である。
【0059】
[変形例]
第四の実施の形態に係るマイクロミラーデバイスの変形例について図9を参照して説明する。図9は、図7と図8に示した基板保持部材に代えて使用可能な別の基板保持部材を示している。
【0060】
上述した基板保持部材450は四つの板状部材472,474で構成されているが、図9に示すように、この変形例に係る基板保持部材450Aは一つの枠状部材476で構成されている。枠状部材476は、内周面のうち、マイクロミラーチップ110Aの長辺側の側面に対向する部分に接合端子482を有し、電極基板130Aの長辺側の側面に対向する部分に接合端子484を有し、マイクロミラーチップ110Aの短辺側の側面に対向する部分に接合端子486を有し、電極基板130Aの短辺側の側面に対向する部分に接合端子488を有している。
【0061】
基板保持部材450Aを使用したマイクロミラーデバイスもまたマイクロミラーデバイス400と同様の作用・効果を有する。また、基板保持部材450では板状部材472,474の相互間の位置合わせが必要であるが、基板保持部材450Aは、一つの枠状部材476で構成されているため、そのような位置合わせを必要としないので、マイクロミラーデバイス400の組み立てが比較的容易である。
【0062】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
100…マイクロミラーデバイス、110…マイクロミラーチップ、112…可動ミラー部、114…ミラー支持部、116…ヒンジ部、118…開口部、122,124…接合端子、130…電極基板、132…駆動電極、142,143,144…接合端子、150…間隔規定部材、152…逃げ孔、170…基板保持部材、172…板状部材、182,184…接合端子、200…マイクロミラーデバイス、250…基板保持部材、252…間隔規定部材、254…板状部材、256…逃げ孔、262,264…接合端子、300…マイクロミラーデバイス、350…基板保持部材、352…板状部材、354…間隔規定部材、362,364…接合端子、400…マイクロミラーデバイス、110A…マイクロミラーチップ、130A…電極基板、450…基板保持部材、470…基板保持部材、472,474…板状部材、476…枠状部材、482,484,486,488…接合端子、450A…基板保持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動ミラー部を備えた第一の基板と、
前記第一の基板から間隔を置いて前記第一の基板に対向して配置された第二の基板と、
前記第一および第二の基板を保持している基板保持部材であり、前記第一および第二の基板の側面と機械的および電気的に接合された基板保持部材とを備えている、マイクロミラーデバイス。
【請求項2】
前記第一および第二の基板の間に配置されて前記第一および第二の基板の間隔を規定する間隔規定部材をさらに備えている、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項3】
前記基板保持部材が、前記第一および第二の基板の間に配置されて前記第一および第二の基板の間隔を規定する間隔規定部材を有している、請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項4】
前記間隔規定部材は、前記第一の基板に面接触する第一の平面と、前記第二の基板に面接触する第二の平面とを有し、前記第一および第二の平面は互いに平行である、請求項2または3に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項5】
前記間隔規定部材は一つの部材で構成され、前記可動ミラーとの接触を避けるための逃げ孔を有している、請求項4に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項6】
前記間隔規定部材は間隔を置いて配置された複数の部材で構成されている、請求項3に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項7】
前記基板保持部材が一つの部材で構成され、互いに対向して配置され、前記間隔規定部材を介して機械的に接合された二つの板状部材を有している、請求項3に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項8】
前記基板保持部材が複数の部材で構成され、互いに対向して配置された少なくとも二つの板状部材を有している、請求項1または2に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項9】
前記基板保持部材が、前記第一および第二の基板のすべての側面にそれぞれ対向して配置された板状部材を有している、請求項8に記載のマイクロミラーデバイス。
【請求項10】
前記基板保持部材が、前記第一および第二の基板のすべての側面を取り囲む一つの枠状部材で構成されている、請求項2に記載のマイクロミラーデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−181834(P2010−181834A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27703(P2009−27703)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】