説明

マイクロ構造及びナノ構造の複製及び転写

【課題】マスターから基板に微視的パターンを複製する方法を提供する。
【解決手段】本発明では、マスター上のトポグラフィ構造の複製物が形成され、必要とされるときに、種々の印刷技術又はインプリント技術の1つを用いて、受け基板上に転写され、次いで溶解される。ナノ構造、マイクロデバイス又はその一部の形成を含む付加的な処理工程もまた、転写前に、複製物を用いて行うことができる。次いで、これらの構造もまた、複製物が転写されるときに基板上に転写され、該複製物が溶解されるときには基板に残る。これは、集積回路その他のマイクロデバイスの製造における種々のリソグラフィ処理工程の相補的な工程として、又は置換工程として適用することができる技術である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロメーター及びナノメーター寸法のスケールで表面レリーフを複製するための新規な方法に関する。さらにこの方法は、複製されたパターンをマスター基板から第2の基板に移すためのものである。本発明は、使い捨ての中間テンプレートが用いられる転写リソグラフィ方法について説明する。この方法はまた、フォトニック用途及び計測学用途のために、及び、集積回路その他のマイクロデバイスの製造に用いられるべき単層又は多層の微視的要素を複製及び/又は移すのに適している。
【背景技術】
【0002】
集積回路のマイクロリソグラフィによるパターン形成は、近年大いなる進歩を遂げた。幅100nm未満の寸法をもつ試作デバイスが明示され、間もなく定常的な製造が始まると期待される。
これらの集積デバイスは、典型的には、最終的なデバイスをもたらすのに必要な付着工程、パターン形成工程及びエッチング工程を行う一連の処理工程を経て連続的に組み立てられる。現代のマイクロデバイスは、多くの場合、各々が特徴寸法を定める自身のマスクをもつ、25より多い区別できる層と、所望の層を生成するためにウェハ全体が受けるべき一連の処理工程とを含む。
極めて高解像度のリソグラフィは、電子ビーム(又はEビーム)リソグラフィを用いて行うことができる。マイクロデバイスを製造するためのこの従来技術を図1に示す。この例では、マイクロ構造112及び122を含む予め製造された層120をもつ基板110を含む、部分的に処理されたデバイス100は、処理されるべき材料(例えば、金属、ポリシリコンなど)の均一な層130でコーティングされ、次いで、一般にレジストと呼ばれる、電子ビーム曝露に感応性が高いポリマー層150でコーティングされる。次いで、この感応性層150は、図1aに示されるように、電子ビームのパターン160に曝露され、ここでその幾何学的配置及び線量が、形成されるべきパターンを定める。曝露された材料は、次いで、化学的に処理されるか、又は現像され、図1bに示されるように、曝露されていない領域152が基板上に残される。これらは、パターン形成されるべき材料130の部分を保護するものとして働いて、後続する処理の後には、図1cに示されるように、処理されるべき材料130の保護された領域132のみが残る。
【0003】
Eビームリソグラフィは、極めて高解像度のパターンを製造できるが、Eビーム機械の典型的な処理量は非常に遅い。ビームは、ウェハ上の各スポットに順々に向けられなければならず、そのために処理が一般に遅くなり、多数のマイクロ構造にとって非現実的なものとなる。その代わりに、光学リソグラフィでは、Eビーム160は、感応性膜150を同時に曝露するマスクの光像と置き換えられる。しかし、光学画像形成技術は、Eビームシステムと同じ解像度をもつものではなく、このような層にナノ構造(100nm又はそれ以下のオーダーの寸法をもった特徴)を製造することは、指数的に、より費用のかかるものになりつつある。結果として、このような層のリソグラフィに関する代替的なパラダイムが研究されている。
これらの新規な技術によるパターン形成のパラダイムの一例は、ナノインプリント技術である。ナノインプリント技術においては、マスターパターンは、Eビームリソグラフィのような高解像度のパターン形成技術によって形成される。次いで、これらの高解像度マスターは、画像形成工程は用いずに、ある種のスタンプ及び印刷技術を用いて、対応するパターンをIC層上に生成するように用いられる。このことは、原理的には、コンパクトディスク(CD)に見出される微視的パターンを生成するのに用いられる技術と非常に似ている。
これについての最も直接的な例がStephen Chouらによって開発されており、図2に示される。Chouの方法は、図2aに示されるように、部分的に製造された基板100上にコーティングされた、同じ処理されるべき層130を用いるが、この組み立てられた基板を変形可能なポリマー250でコーティングする。最終的な構造が望まれる位置に対応するくぼみ212のパターンをもったマスターテンプレート210は、高解像度リソグラフィ技術によって製造される。次いで、テンプレート210は、基板100の上方に位置合わせされ、図2bに示されるように、この2つは互いに加圧される。変形可能なポリマー250は、マスター210のくぼみ212を充填する。次いでマスターは取り除かれ、図2cに示されるように、基板100上には構造のパターン252が残る。エッチングのような後続処理により、図2dに示されるように、残りの材料252の位置により定められる、層130から形成されたパターン132の望ましい結果が残る。Chouは、この技術を用いて、10nmといったほど小さい特徴の複製を明示した。
【0004】
C.Grant Willsonらは、図3に示されるような、この技術の変形態様を提案した。この手法においては、マスター310は紫外線光を通す。このマスター310もまた、高解像度製造技術によって、表面にパターン形成されたくぼみ312を含む。図3aに示されるように、Willsonの方法は、部分的に製造された基板100上にコーティングされた、同じ処理されるべき層130を用い、この組み立てられた基板を、やはり、UV曝露に感応性が高い変形可能なポリマー350の層でコーティングする。透明なマスター310は、層130及び基板100上のポリマー350に対して加圧される。この層350は変形して、マスター310のくぼみ312を材料352で充填するが、おそらくマスター表面と基板との間には、依然として薄い層351が残る。次いで、ポリマー材料351及び352は、図3bに示されるように、UV暴露360を用いて硬化及び堅くされる。次いで、図3cに示されるように、マスターが取り除かれて、層130の部分の上には、より厚い材料352が残る。エッチングのような後続処理により、図3dに示されるように、残りの材料352の位置により定められる、層130から形成されたパターン132の望ましい結果が残る。
これらの技術の欠点は、所望の材料を形成する際にマスターを何度も繰返し使用しなければならないということである。このことが、通常の磨耗及び汚染物質に対する曝露によるマスターの損傷を導くことになる。格子その他のフォトニックデバイスに用いられる回折構造を複製するのに用いられる一般的な技術は、マスター格子の複製物を生成することを含む。これらの方法は、マスターを生成し、そのマスターに薄い真空蒸着分離層を適用することによって複製物を製造することを含む。次いで、金属コーティングが分離層の上部に付着され、エポキシによりコーティングされた基板が層被覆マスターの上部に配置される。次いで、この組み合わされたものが硬化され、複製された格子がマスター格子から分離されるとこの工程が完了する。この手法は、マスターに対する真空蒸着を必要とし、処理量が制限される。この手法では、マスターは、多数の複製物の生成によってのみ劣化し、この複製物自体は実際の製造工程にて用いられ、損傷したときには廃棄される。
【0005】
George Whitesidesらは、「ソフトリソグラフィ」と称する適用例に対して、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)から製造される複製物又はテンプレートを用いる同様の方法を開発した。彼らはまた、テンプレートに対する損傷を最小限にするためにインク印刷技術を用いて、この方法の変形態様を開発した。これは、他の通常の印刷用途にて一般に用いられるゴムスタンプのインク印刷に関する概念と同様のものである。
この方法の例は、図4に示される。くぼみ402をもつマスター400自体が直接用いられることはないが、該くぼみ402に対応する隆起区域412をもつポリマーテンプレート410として複製される。このポリマーテンプレート410は、インプリントリソグラフィに直接用いることができ、再使用によって損傷した場合には廃棄することができる。部分的に製造された基板100上にコーティングされた、処理されるべき層130から同じパターン132を得るために、Whitesidesの方法は、この組み立てられた基板を、特定の化学特性に関して選択された特別な材料450の層でコーティングする。図4a及び図4bに示されるように、テンプレート410は、スピンコーティングによるか、又はある種の他のコーティング及び硬化技術によって、マスター400をPDMSでコーティングすることによってPDMSから形成される。次いで、図4cに示されるように、テンプレート410は、ある種の接合層420を用いてキャリア430と接合され、マスター400から取り除かれる。
次いで、このテンプレート410は、図4dに示されるように、テンプレート410の隆起部分412だけが化学物質414でコーティングされるように、特別な化学物質414の薄層で「インクが付けられ」る。次いで、テンプレートは、さらに、処理されるべき層130及び化学層450でコーティングされた部分的に製造されたマイクロデバイスをもつ基板100と位置合わせされ、かつこれと近接するように配置されて、図4eに示されるように、「インク」414を基板に移す。インク414のための材料及び層450は、図4fに示されるように、反応して、インク414と接触した、変化した材料層452が残るように選択される。この変化した材料452は、反応に対するバリアとして作用し、下方にある層130を保護する。図4gに示されるように、後続処理により、変化した材料452の位置によって定められる、層130から形成されたパターン132の望ましい結果が残る。
その適用性を制限する、テンプレートとしてのPDMSに関する幾つかの問題には、PDMSと成形材料との間の熱膨張係数の差異によって制限される解像度(約200nm)、及び硬化に必要な時間によって制限される処理量が含まれる。またこれは、クリーンなシリコンの大部分に付着するので、材料不適合性であるという難点をもつ。
【0006】
これらの製造技術の全てにおいて、インプリント技術は、直接、層又は膜を、例えばシリコンウェハのような最終的な基板上にパターン形成するための方法として作用する。インプリントマスター又はテンプレートは、低費用で、ナノ構造の複製品を作り出すために何度も使用される。
このような技術を用いることによって、望ましくない結果が得られることもある。例えば、極めて微細な構造をもつ特定の層をEビーム曝露によって定めると、本質的に、下にある層にも電子ビームが照射される危険性がある。下にある層に既に生成された電子構造が損傷しないことを確実にするように留意しなければならない。マスター又はテンプレートの基板上への機械的なスタンプ加工もまた、正確に制御されなければならず、そうでなければ下にある壊れ易い構造は歪み、若しくは亀裂が生じることになる。マスター又は複製物は何度も使用されるので、それを欠点のないまま保持することが、問題となることもある。
さらに、ウェハ自体を層ごとに処理することは、集積回路の標準的な製造技術であるが、最適ではない場合がある。例えば、金属又はポリシリコン層は、最良の結果のためには高温で処理されるのが最も好ましいが、このような加熱程度は基板上に予め準備された層を損傷し、さらには層を溶融する場合がある。しかし、マイクロデバイスの製造における後続の工程は全て同じ基板に付着されるので、処理適合性及び必要とされる妥協案に関する問題が残る。
【0007】
他の産業界における幾つかの製造方法では、異なる部品に対して別々の製造方法を用い、次いで、それらを後の一体化段階にて組み立てることによって、このような問題を回避する。このような二重工程の一例は、ICのパッケージングであり、ここでは、IC自体はシリコンウェハ上に準備され、次いで、ウェハから切り離され、予め準備されたパッケージ内に配置及び接合される。パッケージ及びICの準備は、接合工程が必要になるまで、2つの別々の製造方法に従う。
このような種類の二重工程又はパターン形成の別の例は、一般のステッカーに見出される。インクのパターンが紙、プラスチック又はある種の他の基板の上に準備され、別の基板に対する接合を可能にする接着剤が適用される。この例は、例えば、スクラップブックの装飾としてか、ファイリングキャビネットのラベルとしてか、又は自動車のバンパーの文として非常に一般的である。明らかに、自動車のバンパーのような大きな物体を、印刷及びパターン形成工程により適合させて、簡単なユーモアのあるメッセージを取り付けるのは、不便であり、非常に高価なものとなる。このバンパーのステッカーは、はるかに可撓性があり、はるかに安価なものである。
同様に、基板の準備とさらにマイクロ構造の製造とを分離することも一般に見ることができる。一般的なクレジットカードに見出されるようなエンボス加工されたホログラムは、可視光線の波長(400〜700nm)と同じオーダーのマグニチュードである大きさの構造を有する。これらは、印刷又は機械的スタンプ加工工程を用いて容易に生成され、さらに接着剤を用いて準備することもできる。次いで、これらは、ホログラム製造工程には直接用いることができない、クレジットカード、バンパーステッカー、雑誌の頁などのようなあらゆる他の基板に取り付けられる。集積回路自体はまた、種々の「スマートカード」の表面上に直接取り付けられる場合の適用例を見出している。
【0008】
「分子転写リソグラフィ」という名称の連続番号09/898,521が割り当てられた米国特許出願に記載される、以前の発明では、本発明者らは、リソグラフィ材料における準備及び画像形成と、画像を処理してパターンを最終的な基板に移す後続の工程とを分離する発明を開示した。このことは、中間キャリア上のフォトレジストに必要な潜像を形成することによって行われた。次いで、潜像を含むフォトレジストを、後続処理が行われるべき最終的な基板上の位置に、機械的に位置合わせし移す。
処理工程のこのような分離により、要求時に、遅れることなく用いることができる、予め処理された潜像の在庫が形成できるようになる。これらの潜像は、典型的には、最適化された画像形成条件下で、平らなキャリア上に形成される。これはまた、基板は処理の一部ではないので、基板上に直接関連する影響を案ずることなく、最適化された方法を用いてキャリア上で準備を行うことを可能にする。唯一の懸念は、残留物と基板とが一緒になったときのこれらの相互作用である。
従来技術は、大きな程度の革新及び創造を反映し、通常のリソグラフィ処理技術に対して顕著なコスト利点を与えることができるが、ナノインプリント技術の多くの、又は全ての利点を有し、マスター又はテンプレートを再使用することに関連して問題のない技術が必要とされている。さらに、以前に開示された分子転写リソグラフィ技術は、これらの問題の幾つかに対処するが、形成される潜像は一般に平らなものであり、最終ウェハ上に望まれるトポグラフィに対応するトポグラフィ構造を有するものではなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、本明細書において、マスターからマイクロ構造又はナノ構造を複製し、複製された構造を処理して、溶解可能なテンプレートを用いてそれらを移す方法を開示する。この溶解可能なテンプレートは、幾つかの基板をパターン形成するのに再使用されることはないが、パターンを定めるために物理的に基板に転写されて、後で溶解される。
さらに本発明者らは、本明細書において、全ての処理を最終基板自体に行うのではなく、後に基板に転写される複製物上で、材料を予め処理する方法を開示する。
本発明者らはまた、複製物上に、マイクロデバイスの層又はその層の一部を実際に製造して、このような予め組み立てられた要素又はナノ構造を最終基板に移す方法を開示する。
この方法を実施するために、本発明者らは、電子ビームリソグラフィのような高解像度リソグラフィ技術を用いて、マスターパターンをシリコン又は石英のような耐久性基板上に形成する。典型的には、このマスターパターンは、トポグラフィの変形として生成されるべき特徴をある程度定めるものであり、他のナノインプリントリソグラフィ技術に用いられるマスターパターンと同一であってもよい。
次いで、マスター上のパターンは、種々の方法の1つによって、中間キャリアにより支持されるテンプレート上に複製される。テンプレートは、単に、インプリントリソグラフィシステムにおいて後に用いられるマスターの使い捨て複製物として働くことができ、又はナノ構造要素自体を形成する場合の基礎として働くことができる。これらのナノ構造は、好適な一連の付着工程、電気めっき工程、コーティング工程、パターン形成工程、及び/又は、エッチング工程によりキャリア上に生成することができる。詳細な処理の選択は、最終的なデバイスの特定用途によって決まる。電子デバイスのマイクロ構造及びナノ構造とは別に、このテンプレートは、所望の用途に応じて、回折格子その他のフォトニックデバイスを製造するのに用いることができる。他の用途はマイクロ電子機械システム(MEMS)、超伝デバイス置、タンパク質配列及びDNA配列の選択されたパターン形成を含む生物学的用途である。
【0010】
テンプレートがキャリアに取り付けられると、キャリアは、製造に必要となるまで保管されることができる。必要になったとき、それは最終的なデバイス基板に位置合わせされて、パターンの転写を可能にする。このテンプレートは、直接、表面に取り付けてもよいし、インプリントリソグラフィの形態を用いて適用してもよい。しかし、本発明の主要な要素は、このテンプレートが実際に基板に転写され、キャリアが取り除かれて、後続処理のために、該テンプレートが基板上に残ることである。テンプレートは、この後続処理によって破壊される。
安価に作られるテンプレートにより、この使い捨てテンプレート技術は、ナノインプリントリソグラフィの全ての利点を与える一方で、テンプレートの再使用によって生じる問題を解決する。しかし、テンプレートが生成されると、転写前に、付加的な処理をテンプレート上で行うことができることが明らかである。このことは、可能性のある後続の転写又はナノインプリント工程を助けるコーティング、又は、テンプレート自体が偏光子又はフレネルレンズのような光学部品になるのを可能にするコーティングの適用といったほど単純なものとすることができる。
しかし、さらに、テンプレート上に、より複雑な一連の処理工程を行うことも可能であり、実際に、直接、最終的なデバイスに転写できるナノスケールのワイヤ又はコンタクトのような部品の要素を予め製造できる。次いで、これらは、最終的なデバイスの製造工程の一部として、キャリアから基板への直接の転写を用いて、溶解可能なテンプレートと併せて移すことができ、又はナノインプリント工程を行うときに移すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Eビームリソグラフィによるパターン形成のための処理工程(従来技術)である。
【図2】Chouのナノインプリント技術によるパターン形成のための処理工程(従来技術)である。
【図3】Willsonの工程及びフラッシュ処理のための処理工程(従来技術)である。
【図4】Whitesidesのマイクロコンタクト印刷のための処理工程(従来技術)である。
【図5】本発明による一般的な方法のフローチャートである。
【図6】本発明による溶解可能なテンプレートを用いるナノインプリト工程のための処理工程である。
【図7】テンプレート上の付加的な処理のための代表的なフローチャートである。
【図8】テンプレート上のナノ構造の形成のための代表的なフローチャートである。
【図9】マスターの準備のための処理工程である。
【図10】多層マスターの準備のための付加的な処理工程である。
【図11】通常のスピンコーティング装置である。
【図12】予め成形されたディスクを用いるための処理工程である。
【図13】テンプレート上にスパッタリングする処理工程及びそのテンプレートを用いるナノインプリント工程のための処理工程である。
【図14】パターン形成された材料をテンプレート上に準備し、そのパターン形成された材料を基板に移す処理工程である。
【図15】ナノ構造をテンプレート上に準備し、そのナノ構造を基板に移す処理工程である。
【図16】パター形成された材料をテンプレート上に準備し、そのパターン形成された材料を基板に移す代替的な処理工程である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
全ての断面図は、例示的な目的に過ぎない。これらの図における層の寸法は、縮尺どおりのものではなく、これらの図から、層の望ましい相対厚さについてのどのような結論をも導き出すべきではない。
予め成形された基板100及びその要素、並びに、処理されるべき材料の層を表す、この基板上の層130を示すのに同一番号を用いたが、任意の数の予め成形された層をもついずれの基板もこの技術と共に用いることができることは明らかである。
前述のように、本発明は、低費用であり、ナノインプリント技術、又は必要とされるまで保管される、マイクロデバイスの部分の予製造に適用できる溶解可能なテンプレートを用いる集積デバイスの製造技術を示す。ここで、本発明の最良で好ましい実施形態のより詳細な説明を示す。
図5は、本技術を用いた製造方法のフローチャートを示す。最初に、図5aに示されるように、ステップ500では、製造されるべき構造のレイアウトを定めるマスターパターンを形成する。ステップ510は、テンプレートにおけるマスターの複製を表す。ステップ520は、キャリアに対するテンプレートの転写を表す。ステップ530において、任意の付加的な処理工程がテンプレート上で行われる。これはまた、ナノ構造全体又は他のデバイスの部分をテンプレート上に製造できる工程である。ステップ540では、キャリア及びテンプレートを、テンプレート上に製造されたあらゆる構造と併せて保管器の中に置く。
ステップ550では、予め製造されたテンプレートに対応するパターン形成が必要になる点まで、初期層が基板上に製造される。ステップ560では、キャリア/テンプレートが保管器から取り出され、ステップ570では、キャリアは基板に位置合わせされる。ステップ580では、テンプレートが基板に転写され、キャリアが取り除かれる。この工程は、ナノインプリント転写方法を含むことができ、又は接着剤によって可能になる単純な機械的転写を含むこともできる。最後に、ステップ590では、基板及びテンプレートは、テンプレートを破壊する処理を受けて、基板上に所望のパターンを残す。
【0013】
図6は、本発明者らが実験室で実施したときの最も一般的な形態の方法に関するより詳細な一連の工程を示す。マスターパターンは、精密な高解像度のリソグラフィ技術により、典型的にはEビームリソグラフィを用いて、図6aに示されるように、基板材料600上に隆起部分612として生成される。通常、マスター600の材料は、シリコンのような剛性材料であるが、石英のような透明材料も用いることができる。
次いで、マスターを適合コーティング610でコーティングすることによって、隆起構造612をもったテンプレート600が形成される。これに典型的な材料は、ポリビニルアルコール(PVA)である。この結果として、図6bに示されるように、コーティングされたマスターが得られる。この材料は、スピンコーティングによって溶液から適用され、結果として得られるテンプレート610は、マスター600のトポグラフィ外形を充填する一方で、均一に平らな背面を残す。
テンプレート610は、次いで、マスター600から取り除かれ、通常、接着を助けるための予め成形されたシート620によりキャリア630に取り付けられる。例えば、ポリオレフィンシートから製造されたシート620は、好適な接着剤625によりキャリア630と結合される。除去及び取り付け工程は、接着剤625をもつキャリア630をテンプレート610の裏に接触するように配置して、これらを共に取り除くことにより、実際には組み合わせることができる。
【0014】
次いで、テンプレート610をもつキャリア630は、図6dに示されるように、層130が、マスター600上のくぼみ612に対応するレイアウトを用いたパターン形成を必要とする点まで、基板100上のマイクロデバイスが処理されるまで保管される。
層130をもつ基板100は、次いで、変形可能な層650でコーティングされることによって転写のために準備される。この層は、他のナノインプリント工程において変形可能な層250又は350を製造するのに用いられるものと同じ材料から製造されてもよいが、別の材料であってもよい。適切なテンプレート610をもつキャリア630は、保管器から取り出され、図6eに示されるように、基板100と位置合わせされる。次いで、キャリア630/テンプレート610は、通常のナノインプリント技術に従って、材料130及び基板100上の変形可能な層650に対して加圧される。変形可能な材料650は、変形して、テンプレート610のくぼみ612を充填し、パターン形成された材料構造652を形成する。次いで、キャリア630は取り除かれて、図6fに示されるように、テンプレート610及びパターン形成された材料構造652が残る。テンプレート610をもつ基板100は、次いで、テンプレート610及びシート620が溶解するように処理される。通常、これはPVAを溶解する水中の浸漬によるものである。テンプレート610及び予め成形されたシート620が溶解した後、パターン形成されるべき層130の部分の上にあるパターン形成された材料の構造652が、図6gに示されるように残る。エッチングのような後続処理により、図6hに示されるように、このパターンがパターン形成されるべき材料層に転写される。
【0015】
図7は、付加的な処理工程を行う本方法の変形態様に関するフローチャートを示す。この例では、図5からの任意の処理ステップ530は、工程732、734及び736を含み、ここで特別なバリア層又は複数のバリア層がテンプレート表面にコーティングされて、処理される。このことは、保管中に、テンプレート610を汚染物質から保護することができ、又は他の所望の化学的又は物理的効果を有することができる。バリア層の形成に関する1つの選択肢は、ステップ732として示されるように、スパッタリングシステムを用いて、金のような金属でテンプレート610表面をコーティングすることである。スパッタリング条件によって正確な厚さは変化するが、典型的なコーティング層の厚さは10nmオーダーである。これは、付加的な保護のために、ステップ734において、ポリマー層でさらにコーティングすることができる。ステップ736において、ポリマー層は、平坦化のようなさらに別の処理を受けることができる。
ステップ732における、バリア層として金属層(この場合は金)を付着させるこの方法は、より厚い構造を生成するようにも変更できることがわかる。この変更した方法に関するフローチャートは図8に示される。この例では、図5からの任意の処理ステップ530は、ステップ832、834、836、及び838を含み、ここでナノ構造が、テンプレート表面上に形成されて、処理される。このことは、例えば付着した金属が銅であり、かつ集積回路の相互連結層(又はその部分)を形成するのに好適な配置及び寸法である場合に特に有効である。
【0016】
ステップ832において、マイクロデバイス層のナノ構造を製造するのに適した材料のコーティングが、テンプレート上に付着される。これは、例えば、本出願の他の例で用いられる材料層130に対応する材料である。これは、単純な付着方法であってもよいし、又は逆に、シード層の初期スパッタリングの次に、電気めっきによるより厚い膜の成長が続くような多くの処理工程を含んでいてもよい。ステップ834では、金属をポリマーでコーティングすることを含むことができる、付加的な処理を行うことができる。ステップ836において、組み合わされた材料は、例えばエッチング又は研磨工程によってさらに処理することができ、コーティングされた金属の特定の部分が曝露し、他の部分は保護されたまま残ることになる。次いで、保管のために、曝露した材料を保護するように、付加的なステップ838をさらに行うことができる。
これらのマイクロ又はナノ構造が生成されると、これらは、ステップ580にて溶解可能なテンプレートと共に転写される。この工程は、ナノインプリント転写方法を含むことができ、又はさらに、接着剤によって可能になる単純な機械的転写を含むこともできる。
ここで、より詳細にこれらの工程の各々について説明する。
【0017】
マスターの生成
本方法の最初の工程は、レイアウトパターンを含むオリジナルマスターの生成である。マスターのパターン形成に必須の要素は、マスターが再現可能な形態で複製されるべき構造のレイアウトを含むことである。これは、レイアウトを剛性の基板上にレリーフパターンとして形成することによって最も単純に行われる。レリーフパターンは、シリコンウェハのような剛性材料をパターン形成して選択的にエッチングすることによって、又は石英上のクロム/酸化クロム層(通常のフォトマスクブランク)のような剛性基板上に付着された材料をパターン形成することによって形成することができる。ディスク形状のマスターは処理において特定の利点を有するが、正方形、長方形、六角形、八角形等のような他の形状のマスターも用いることができる。
マスターは、通常のマイクロ製造技術又はナノ製造技術を用いて製造することができる。好ましい方法は、信頼性及び解像度が高いので、直接書き込み型Eビームリソグラフィシステムを用いて、シリコンウェハ上のフォトレジストにパターンを曝露することを含む。これは、図9に示される。この方法においては、パターン形成されていない材料900(「ブランク」と称される場合もある)は、一般にレジストと呼ばれる、電子ビーム曝露に感応性が高いポリマー材料層910でコーティングされる。次いで感応性層910は、図9aに示されるように、電子ビームのパターン960に曝露され、ここで幾何学的配置及び線量が形成されるべきパターンを定める。層910の曝露された材料は、次いで、化学的に処理されるか、又は現像されて、曝露されていない領域912は、図9bに示されるように、基板上に残る。これらは、ブランク900の部分を保護するものとして作用して、例えばエッチングのような後続処理の後に、保護された部分は隆起部分602として残り、材料表面の残りの部分はエッチングされる。このようにして、図9cに示されるように、曝露960のレイアウトパターンに対応するトポグラフィ構造602をもつマスター600を生成する。
【0018】
複製のためにレリーフをもつマスターを生成するための電子ビームリソグラフィの代替的技術が存在する。例えば、初期パターンを曝露するのに、光学リソグラフィシステムをマスクと併せて用いることができる。他の方法には、EUV又はx線リソグラフィ或いはナノインプリントリソグラフィが含まれる。実際、好適な解像度及び精度を有する方法である限り、マスターを製造するのにいずれのリソグラフィ技術も用いることができる。
シリコンはマスターに用いられる利便性のある材料であるが、シリコン以外にもマスターに用いることができる多くの材料が存在する。シリコン、ゲルマニウム、GaAs、SiGe、絶縁体上シリコン(SOI)、GaN、GaP、InPなどのような、周知のパターン形成工程を有する半導体も、ブランクとして用いることができる。ステンレス鋼、鉄、銅又はアルミニウムのような金属もまた、ブランクとして用いることができる。基板上のトポグラフィ構造だけが転写されるので、ブランク材料に対する後続するエッチング工程及び剥離工程を踏むのではなく、任意の剛性材料をフォトレジストのようなポリマーでコーティングし、該フォトレジストを曝露し現像して、結果として得られるレリーフパターンをマスターとして用いることができる。様々な種類のトポグラフィ形状を残すことのできるフォトレジストに対して多くの周知の方法が存在する。
【0019】
マスターに適した別の材料は、通常のフォトマスクの不透明層を形成する、クロム/酸化クロム材料でコーティングされた石英又はガラスの板である。これは、後続する工程がUV硬化のためにマスターを通した曝露を必要とする場合に特に有用である。これもまた図9に示される。不透明材料940の層でコーティングされたパターン形成されていない材料930(この場合、930及び層940を組み合わせたものは「ブランク」と称される場合がある)は、一般にレジストと呼ばれる、電子ビーム曝露に感応性が高いポリマー材料の層950でコーティングされる。次いで、感応性層950は、図9dに示されるように、電子ビームのパターン970に曝露され、ここで幾何学的配置及び線量が形成されるべきパターンを定める。層950の曝露された材料は、次いで、化学処理されるか又は現像され、曝露されていない領域952は、図9eに示されるように、ブランク上に残る。これらは、層940の部分を保護するものとして作用して、例えばエッチングによる後続処理の後に、保護された部分は隆起部分942として残り、材料表面の残りの部分はエッチングされる。これは図9fに示される。このようにして、曝露970のレイアウトパターンに対応する不透明材料のトポグラフィ構造942をもつマスター930を生成する。
通常、層940は、典型的に、クロム及び酸化クロムの混合物から製造することができ、フォトマスクブランクとして販売されている。しかし、アルミニウム又は金のような他の材料も、特定の熱的、電気的、又は化学的特性のために、層940の成分として選択することができる。同様に、フォトマスクブランクの下にある基板材料930は、通常は石英であるが、ガラス、硬化ポリマー又はCaF2のような透明結晶といった他の透明材料もまた、基板930として用いることができる。温度制御による寸法変化に感応性が高い状況では、Zerodurのような低い熱膨張係数をもつ材料を基板930として用いることができる。後続する処理工程を助けるために、レリーフパターンの上部に薄膜材料を形成するか又はコーティングすることもできる。
【0020】
レリーフパターンはまた、石英マスターの剛性基板を直接エッチングすることによって生成することもできる。このことは、フォトマスクに対して一般に用いられるリソグラフィ技術及び位相シフトマスクに対するトポグラフィ構造を生成するエッチング手順を用いて行うことができる。このような処理工程は、曝露された表面が石英エッチング溶液フッ化水素(HF)酸のような液体化学物質との反応によって選択的に除去される湿式エッチング、又は好適なプラズマチャンバにおける反応性イオンエッチング(RIE)のような乾式エッチング手順に基づくものとすることができる。上に列挙した半導体材料のような種々の他の剛性基板材料に特有の他のエッチング溶液も用いることができる。
幾つかのレベルのトポグラフィが定められる多レベルのマスターを有することが望ましい場合がある。これは図10に示される。このことは、リソグラフ曝露及び現像工程の第2の組により達成することができる。Eビームリソグラフィは好ましい技術であるが、最初の構造の組と位置合わせすることができるあらゆるリソグラフパターン形成工程も同様に用いることができることは容易に認識される。
この順序の例が図10に示される。この方法では、図9a〜図9cに示された元の工程は、トポグラフィパターン602の組をもつマスター600を形成するのに実行される。次いで、このマスター600は、一般にレジストと呼ばれる電子ビーム曝露に感応性が高い感応性ポリマーの別の層1010でコーティングされる。次いで、感応性層1010は、図10aに示されるように、電子ビームの第2のパターン1060に曝露され、ここで、幾何学的配置及び線量が形成されるべき第2のパターンを定める。次いで、層1010の曝露された材料が処理されるか又は現像されて、曝露されていない領域1012が、図10bに示されるようにマスター600上に残る。これらは、マスター600の部分を保護するものとして作用して、例えば、エッチングのような後続処理の後に、保護された部分602及び保護されたくぼみ1002は影響されずに残り、材料表面の残りの部分はエッチングされる。このようにして、図10cに示されるように、多層のトポグラフィ構造をもつマスター1000が形成される。
【0021】
ここでは2ステップの工程のみを示したが、不特定数の任意に定められたレイアウトを用いて、不特定回数だけ適用できることは明らかである。
本発明は、剛性基板材料上に形成されたマスターを用いて本発明を実施したが、当業者には、種々の剛性程度が異なる製造許容差に対して可能であり、さらに、トポグラフィ構造をもつ可撓性基板を準備して、特定用途のためのマスターを形成できることが明らかであろう。
ここでは、多数の曝露に適したあらゆるリソグラフ技術も同様に採用できることが明らかである。本発明者らは、シリコンウェハ及び通常のEビームリソグラフィを用いて、マスターにパターン形成したが、極めて高解像度の構造(例えば、10〜100nmの大きさ)は、X線リソグラフィ、EUVリソグラフィ、さらに、好適に高いNAをもつ光学リソグラフィの変形態様、及び、種々の解像度向上技術の適用により得ることができる。さらにナノインプリント技術を用いて、マスターを製造することもできる。
【0022】
マスターの複製及びテンプレートの生成
マスターが生成されると、該マスター上の構造を複製するテンプレートを生成しなければならない。このことは、種々の成形技術によって行うことができ、それらの大部分は、液体をマスター上部に注いで、材料を乾燥させるか又は堅くすることを含む。主要な必要条件は、マスターとコーティングとの間に泡その他の空隙を形成することなく、材料が、マスター上のナノスケールのトポグラフィ構造を適切に充填できることである。他の所望の特性は、型から滑らかに外れる能力、及び欠陥を導く可能性のある外来物質、すなわち埃などの汚染物質の導入を阻止する能力を含む。さらに他の所望の特性は、高処理量のために迅速にテンプレートが型から滑らかに外れる能力、及び良好な収率のために乾燥又は硬化工程の一部として、熱的又は機械的歪みを導くことなく型を乾燥する能力を含む。
スピンコーティング、スプレーコーティング、液滴注入、パドル形成、電着技術などを含む多くの技術をこの目的のために用いることができる。スピンコーティングは、適合薄膜を形成するのに非常に有効な技術であることが分かっている。代表的なスピンコーティングが図11に示される。スピンコーティングにおいては、マスター900は、真空システム1110を用いて、チャック1120に取り付けられる。モータを含むハウジンウ1100は、種々の速度、典型的には数千RPMにてチャック及びマスターを回転させる。成形されるべき液体材料又は材料の溶液1130は、容器1140から回転するマスターの表面上に注ぐことができる。過剰の材料1150は、遠心力によって回転するマスターから振り落とされて、マスター表面上には薄層だけが残る。この層における残留溶剤は迅速に蒸着して、成形材料の薄層だけが残る。
或いは、液体材料が用いられる場合には、スピンコーティングを用いて均一な適合性コーティングを生成することができ、キャスティング材料は、後続処理又は酸素その他の周囲気体との反応によって、重合されるか又は堅くされることになる。
【0023】
本発明者らは、この技術と良好に作用する材料は、ポリビニルアルコール(PVA)であることを見出した。PVAは水溶性化合物であるため、溶液は精製水を用いて形成することができる。典型的な溶液は、米国ワシントン州シアトル所在のFiberlayのような配給業者から得ることができ、Rexallによって製造される商標名Fiberlease又はPartall Film#10として販売されている。本発明者らは、Fiberleaseの材料が特別に良好に作用することを見出した。Rexall MSDSにおけるPartall Film#10の濃度は、水(56−61%)、エチルアルコール(31−34%)、酢酸エテニルエステルポリマー、エトノールを有するポリマー(7−8%)、及びブチルアルコール(1−2%)である。この材料は、通常は、成形用途における剥離層として用いられる。
【0024】
次いで、PVA溶液は、例えば1800RPMの回転速度で、15秒間だけ、通常のスピンコーターにて、回転するマスター上に注がれる。より厚い膜を望む場合には、この手順を繰り返すか、又はより遅い速度を用いることができる。その結果得られる構造は、横方向に40nmといったほど小さい寸法であっても、マスター上のトポグラフィ構造と非常に良好に適合する。本発明者らは、3次元の複製能力、すなわち、垂直方向寸法においてパターンを100nmの20nm内の工程で複製する能力が優れたものであり、本発明者らの現在の測定能力により制限されるため、おそらくさらに良好なものであろうことを見出した。本発明者らが観察した最終的な横方向の解像度は、PVAによって制限されるものではなく、本発明者らが、構造をマスターにおいてこのように小さく確実に製造することに対する能力によって制限される。より小さい構造を、明らかに、PVAに形成できる。
PVA膜の付加的な特性は、マスターと接触する表面が該マスターのトポグラフィに適合する一方で、残りの膜は、上部表面が均一なまま残るのに十分なだけ厚くてもよく、すなわち、下にあるトポグラフィによって変化しないことである。この厚さは、溶液の濃度を変化させることによってか、異なる蒸気圧をもつ溶剤を用いることによってか、回転速度を変化させることによってか、又はコーティングが行われる環境特性を制御することによって調整できる。温度及び圧力制御によって汚染物質のない環境を維持して、最良の溶剤蒸着条件にすることは、マスター上の構造の理想的な複製にとって重要である。
【0025】
適合層がマスター上に形成されると、これを取り除かなければならない。より厚いPVA膜においては、この層は単純に剥離することができる。しかし、この自立型膜は、通常は、ほんの数十ミクロンの厚さであり、繊細で、制御が困難なことがある。
結果として、本発明者らはまた、スピンコーティングされたPVAをマスターから取り除くのを助けるために予め成形されたPVAディスクを用いた。予め成形されたPVAディスクは、カリフォルニア州サンタフェスプリングズ所在のShercon,Inc.のような会社から市販されている。これらを用いる方法が、図12に示される。図12aにおいては、トポグラフィ構造602をもつマスター600は、スピンコーティングによってPVA膜610でコーティングされている。このマスターは、図6及び図9のマスター600として示されるものであるが、図10にて1000として示されるものを含むいずれのマスターと置き換えてもよい。好適な接着剤1220によりキャリア1230に取り付けられたPVAの予め成形されたディスク1210は、次いで、マスターと位置合わせされる。このディスク1210は、例えば、平らな表面上でのキャスティング方法を用いて製造することができる。このようなディスクは、一般に、ディスク1210を透明なプラスチック可撓性シート1230と結合する接着裏材1220でパッケージされる。この形態は、成形されたPVAをマスター900から取り除くのに利便性がある。
本発明のこの実施形態においては、PVA610の初期乾燥膜でコーティングされたマスター600は、付加的なPVA層1205を用いて再びスピンコーティングされる。溶剤が付加的な層1205から完全に乾燥する直前に、接着剤1220によってキャリア1230に取り付けられた予め成形されたPVAディスク1210を、図12bに示されるように、PVAでコーティングされたマスター600上に配置する。1分間又はそれ以上の乾燥期間の後、構造1200、1205及び1210は互いに接合して、構造1208を形成する。この乾燥した構造1208は、マスターから取り除かれて、図12cに示される結果を生成する。この構造はまた、図6に示される構造対610及び620に対応する。
【0026】
より一般的には、キャリア1230は、ポリマー膜である必要はなく、マスター上のレイアウトの大きさ及び形状を生成するのに適した大きさ及び形状の平らな表面をもつあらゆる材料であってよい。これは、転写が行われてから、膜を汚染することなく保管できる、金属、石英、ポリマーその他の材料から製造することができる。好適な接着剤1220でコーティングされており、PVAコーティングをマスターから取り除くことができるものである限り、どのような固体材料及び/又は可撓性材料もこの目的を果たすことができる。
【0027】
テンプレート上の構造の生成
マスター上のトポグラフィを複製するPVA膜が生成されて、キャリアに取り付けられると、この複製された構造又はテンプレートに対する材料処理を行うことができる。これは、種々の工程の1つとすることができ、適用例によって決まる。PVAに対する後続処理の必要条件は、(1)PVA膜との反応が生じないこと、及び(2)処理工程がPVA膜の熱分解温度、およそ230℃を超えないことである。他のテンプレート材料は、その材料特性に応じて、他の物理的必要条件及び環境必要条件を有する場合がある。
1つの適用例においては、PVA膜は、金属膜でコーティングすることができる。これは、テンプレートを汚染又は腐敗から保護するための単純なコーティングとすることができる。
PVAと良好に作用する一般的な処理工程は、金属膜のスパッタリング又は蒸着である。これは図13に示される。スパッタリングシステムにおいては、良好に制御された真空環境1399では、通常、所望の材料ターゲット1390は、キャリア630に取り付けられたテンプレート1208の表面上に層1302として付着されるべき材料の原子又は粒子1392の源を与える。これは図13aに示される。
【0028】
膜が生成されると、テンプレート1208及び膜1302をもつキャリア630が取り出されて、図13b〜図13e(図6に示される工程と同様)に示される通常のインプリントリソグラフィのために後に用いられることになる。
スパッタリングツールは、スタンフォード大学ナノファブリケーション学部のような処理研究室で一般に入手可能であり、又はTed Pella,Inc.により供給されるCressington Scientific Instruments,Inc.からのスパッタコータのようなものを商業的に得ることもできる。本発明者らは、金、銅、アルミニウム及びクロムを含む材料を、単純なスパッタリングツールを用いてトポグラフィPVA上にスパッタリングした。PVA上にスパッタリング又は蒸着することのできる他の材料としては、タングステン、パラジウム、白金、ニッケル、ニッケル−クロムが挙げられる。炭素のような材料を蒸着させることもできる。イットリウム、バリウム及びコバルトのような超伝導材料の同時蒸着を行うこともできる。
蒸着/スパッタリング以外によって膜を付着させ、依然として必要条件を満たす他の方法には、熱フィラメント方法による化学気相法が含まれる。これらの技術においては、有機膜は、有機前駆体蒸気を熱フィラメント通すことにより付着させることができ、ここで、これは熱フラグメンテーションを受ける。後続する蒸気生成物は、PVA表面上に固体形態で付着する。この方法により、膜形成処理中に、PVAを低い安全温度で保持することが可能になる。この方法は、一般に、PMMA(ポリメチルメタクリレート)のようなフォトレジストの無溶剤付着といわれる。
【0029】
別の方法は、表面温度がPVAの分解温度未満である限りは、薄膜のプラズマ助長化学蒸着(PECVD)によるものである。PEDVD膜は、酸化物、窒化物、オキシナイトライド、ポリシリコン、フルオロポリマーなどである。
さらに、PVAトポグラフィ上への材料のスピンコーティングも、液体がPVA構造と反応も溶解もしないのであれば、行うことができる。したがって、材料の選択は、例えばPVAと反応する溶剤をもたない、フッ素ベースの化合物のようなほぼ疎水性の材料に限定される。
【0030】
キャリア上の構造に対するさらに別の処理
テンプレート上で付加的な処理を行うことが望ましい場合がある。PVAレリーフの上部にある層は、さらに別の現像に対して利便性のあるコーティングを与え、後続の処理工程は、直接、繊細なPVA材料と相互作用することはないので、可撓性を助ける。
例えば、PVAレリーフ構造を用いて、フォトレジスト材料を実際に予処理するのが望ましい場合がある。次いで、この材料は、テンプレートと併せて最終基板に転写される。平坦な表面を生成するためには、少なくとも2つの手法を用いることができる。第1の手法は、バリア層1302上のフォトレジストのような耐エッチング有機材料を、スピンコーティングするか又は他の手段を用いて付着することを含む。この材料は、後続のエッチング技術を用いて薄くすることができる厚いコーティングを形成できる。
【0031】
これは図14に示される。この図では、バリア層1302は、図14aに示されるように、スパッタリング源1390から、前述のくぼみ612を有するテンプレート610をもつキャリア630上に生成される。バリア層1302が付着した後、次いで、キャリアがスピンコーティング装置に取り付けられ、ポリマーフォトレジストの付加的な層1440でコーティングされ、この結果は図14bに示される。次いで、これは、図14cに示されるように、部分的にエッチングされて、テンプレート612のくぼみが、ここで、フォトレジスト1442の残りの部分で均一に充填され、金属層1302は、マスター600のエッチングされた部分に対応するテンプレート領域上に曝露される。
後続の処理工程において、これらのフォトレジスト部分1442によりテンプレート610におけるくぼみ612が充填されたキャリア630が、図14dに示されるように、部分的に製造されて、パターン形成されるべき材料の層130でコーティングされた基板100と位置合わせされる。次いで、これらは、近接して合わせられて互いに加圧される。層130を付加的な材料層1462でコーティングして、接着を増強させることができる。次いで、キャリアが取り除かれて、図14eに示される結果を得る。
層130及びテンプレート610をもつ基板100は、次いで、図14fに示されるように、テンプレートが溶解して、処理されるべき層130の表面上のフォトレジスト1442部分だけが残るように処理される。このことは、基板100の後続処理に対する本発明の前述の実施形態におけるレジスト部分652とちょうど同じように、図14gに示されるように、層130の部分132が残るような結果をもたらすように作用する。
【0032】
この付加的な処理もまた、好適で信頼性のある転写機構が開発されるのであれば、マイクロデバイスのナノ構造全体の生成を含むことができるのは明らかである。この場合には、付着された材料は、かなり厚い層とすることができ、付加的な処理工程も同様に行うことができる。
このような層は、完全に、スパッタリング技術によって製造することができるが、別の手法は、スパッタリングされた金属の薄層をシード層として用い、次いで、均一な膜を形成するように電気めっき技術を行うものである。このような電気めっき技術は、銅、アルミニウム、及び金のシード層に関して有用である。
マイクロデバイス層を製造する他の技術に比べてこの技術が有利な点は、このような個々の層の生成が、製造工程において、通常はこれに先行する層と独立していることである。これによって、この層の付加的な処理、及び、特に、従来のデバイスの処理工程とは両立しなかったものを処理することが、ここでは選択できることになる。
このような任意の処理は、金属のアニーリング工程か、特定の特性のための材料混合物のスパッタリングか、反射防止光学特性に対して制御された寸法をもつ多層の生成か、又はバイオチップアレイのためのタンパク質配列の生成を含むことができる。テンプレート及びキャリア材料を適切に選択することにより、従来製造されていたデバイス層によっては許容されなかった温度又は条件下での処理が、使い捨てのテンプレート材料と両立するものである限り、問題なく行うことができるようになる。
【0033】
これは図15に示される。この場合、従来の例のマスター600と等価なパターンを得る場合には、テンプレート1510は、実際には逆にされなければならず、すなわち従来のテンプレート610のくぼみ612に対応する隆起領域1512を有するものとなる。
処理されるべき材料の薄層1501は、図15aに示されるように、その材料から作られたターゲット1590からスパッタリングすることによって生成される。これは後に電気めっきされて、図15bに示される、より厚い層1502を形成する。さらに、付加的な処理工程を用いて、所望の材料の好適な付着を得ることができる。
典型的には、これは、次いで、ポリマー層1540でコーティングされて、次いで、エッチング又は研磨による処理で、膜1502の隆起部分1512のみを曝露するようになり、ポリマー膜1540から残された材料1542は、くぼみの中に残り、この結果は図15cに示される。構造1512は、通常は、基板100上の構造132として生成された、本質的には、予め製造されたナノ構造の層である。このような予め製造された構造は、次いで、必要になるまで保管される。
予め処理された層100をもつ基板が、製造において、この層を必要とする点に達した後、ナノ構造1512及びキャリア630をもつテンプレート1510は保管器から取り出されて、図15dに示されるように、基板100と位置合わせされる。基板100上の接着剤コーティング1562を用いて、ナノ構造1512をテンプレート上にさらに良好に取り付けることができる。キャリア及びテンプレート1510は、次いで、図15eに示されるように、近接するようにされて、互いに加圧される。次いで、キャリアが取り除かれて、図15fに示される結果のようになる。
【0034】
次いで、テンプレートが溶解されて、ポリマー及び金属だけが残る。後続処理はまた、ポリマー材料及び層1502の過剰部分を取り除いて、デバイスに望まれるナノ構造に対応する部分1532のみを残す。これらは、大きさ及び形状が、例えば他の図に示される構造132に対応する。
代替方法は図16に示される。ここでは、処理されるべき材料の薄層1601は、図16aに示されるように、この材料から作られたターゲット1590からスパッタリングすることにより生成される。これは、続いて電気めっきされて、より厚い層1602を形成し、図16bに示されるように、ポリマー1642でコーティングされて、くぼみ612が充填される。当業者には他の平坦化技術が知られているが、この充填は、膜を過剰に充填してエッチングするか又は研磨することにより達成することができる。さらに、付加的な処理工程を用いて、所望の材料の好適な付着を得ることができる。
次いで、この構造は、さらに研磨又はエッチングされて、図16cに示される結果のように、くぼみ612を充填する膜1602の部分1632以外が全て取り除かれることになる。構造1632は、通常は、基板100上の構造132として生成された、本質的には、予め製造されたナノ構造の層である。この予め製造された構造は、次いで、必要になるまで保管される。
【0035】
予め処理された層100をもつ基板が、製造において、この層を必要とする点に達した後、ナノ構造1632及びキャリア630をもつテンプレート610は保管器から取り出されて、図16dに示されるように、基板100と位置合わせされる。基板100上の接着剤コーティング1660を用いて、ナノ構造1632をより良好に接着することができる。キャリア630及びテンプレート610は、次いで、近接するようにされて、互いに加圧される。次いで、キャリア630が取り除かれて、図15eに示される結果のようになる。
最終工程として、基板100及びナノ構造1632をもつテンプレート610は、該テンプレート610が溶解して、該基板100上の特定位置にナノ構造1632のみを残すように処理される。これは、本明細書で開示される他の処理順序において、基板100上に形成された構造132に対応する。
本発明者らは、元々、本発明を集積回路のための層又はナノ構造を予め製造する技術として考えていたが、本発明は、パターン形成又はリソグラフィ技術を必要とするいずれの技術にも適用できる。集積光学用途においては、溶融シリカ導波管を改変するための特定のドーパントは、予めパターン形成されてテンプレートに配置することができる。バイオチップ用途においては、特定のタンパク質又は特定の配列をもったDNA鎖は、テンプレートに取り付けて保管することができる。
【0036】
テンプレートの保管
層の材料構造がテンプレートに生成されると、これを必要になるまで保管することができる。これは数分に過ぎないことであるが、予め製造されたデバイス層の在庫を生成することは、ウェハ製造における「渋滞」に関連する待機問題を回避でき、テンプレート特性及びキャリア特性並びに保管環境は、化学的安定性のために、並びに、脱ガスによる汚染を最小限にするために、温度変動による物理的変形を減少させるために、及びテンプレート及びキャリア上の材料を一般に無期限に保存するために選択されるべきである。
典型的には、テンプレートは、温度、湿度、大気含量及び圧力、並びにテンプレート及びそこに製造される構造の機械的及び化学的一体性を維持するという目的をもって制御される他の変数に対して制御された密封容器に封入される。
テンプレート又は複製された構造はまた、保管工程の一部として、ガラス又はシリコンディスクに対して正面を下にして接着することができる。ディスクは、より剛性のある支持を与え、転写工程の一部として、典型的な接合又は位置合わせツール内で利用することができる。この場合の接着剤は、例えばポリビニルアルコールのような水溶性接着剤とすることができる。この接着剤は、転写手順中に、複製されたパターンを硬質支持体から効率的に分離することを可能にする。固体構造は、次いで、輸送のために堅固な容器に置かれてもよい。
テンプレート又は複製された構造はまた、保管工程の一部として、ガラス又はシリコンディスクに対して裏面を下にして接着することができる。これにより、部品は転写工程中に、表面を上にすることができる。
保管手順の一部として、テンプレートを個々の部品又はチップに方形切断するのが望ましい場合もある。方形切断処理は、最終基板への転写中の、製造片のより精密な配置を可能にする。
【0037】
基板に対するナノ構造の転写
キャリア上に複製された特定のパターンの転写を必要とする基板がある場合には、好適なキャリアが保管器から取り出される。基板の表面は、必要ならば、シアノアクリレートエステルのような好適な材料から製造された好適な接着促進層1462又は1562を用いて準備される。このことは、ノズルから液滴を表面上に適用するような単純な付着技術を用いてであるか、又はより均一なスピンコーティング技術を用いて行うことができる。エポキシ、ポリアクリレート、ポリウレタン、フォトレジスト、ポリイミド、低k誘電体、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、PZT、P(L)ZT、酸化ルテニウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、酸化カドミウム、酸化ハフニウム、酸化スズインジウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、五酸化タンタル、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、FSG、HSQ、HOSP、SILK、FEARE、PAE−2、プロブロマイド、パラレン、PTFE、キセロゲル、ナノガラス、及びビズベンゾシクロブタンのような他の接着剤材料も用いることができる。パターンの代わりにナノ構造自体を移す場合には、この接着剤層のある程度の残留物が、通常、基板とナノ構造との間に残るので、このような残留物が転写される材料と両立性があること、並びに、界面の所望の特性(例えば、電気的接触など)が維持されることを確実にするように留意しなければならない。
【0038】
キャリアから基板に対して、パターン形成された層又はナノ構造自体を実際に移すことは、多数の方法で行うことができる。圧力は一方の側から均一に適用することができ、又は圧力は1つの隅から始まり、後続して表面全体に適用して、キャリアと基板との間に気泡が生じないようにすることを確実にすることができる。圧力は中間であってもよいし、又は圧力はある時間だけ適用されて保持されてもよい。良好な接触及び均一性を確実にするために、高圧が必要とされる場合もある。圧力によって接合する接着剤は、好適な圧力の適用と併せて用いることができる。熱によって接合する接着剤は、好適な熱の適用と併せて用いることができる。UV露光又は硬化によって接合する接着剤は、好適なUV暴露と併せて用いることができる。
この工程が終了すると、テンプレートは基板に接着し、キャリア自体は取り除くことができる。パターン形成された材料(例えば、本発明者らの例では金及びポリマー)は取り付けられたまま残るので、テンプレートをここで取り除いて、基板に取り付けられた、これらの他の構造を残すことができる。PVAをテンプレート材料とする本発明者らの例においては、このことは、PVAを精製水により表面から単純に溶解させることによって達成することができる。他のテンプレート材料においては、他の溶剤が好適である場合がある。さらに、穏やかな摩耗又は拭き取りの追加の工程を用いて、選択的にテンプレート材料を取り除き、金属及びポリマーの組み合わせを残すことができる。
【0039】
パターン形成された構造が基板表面に配置されたので、付着、エッチング、ドーピングその他の化学的処理といった後続処理を、あらゆる他の印刷技術における場合と同様に行うことができる。
付加的な接着方法は、ウェハ接合の分野から実施することができる。幾つかの方法は、金属対金属であるか又は陽極接合の熱融解を含む。シリコン表面に接触する金のバリア層の場合には、PVA−金属層の初期接着は、遠距離力によって達成される。PVAが溶解された後、次いで、材料構造は、高温に加熱されて、金属とシリコン表面との間の共晶接合が形成されることになる。
別の方法は、高エネルギのレーザービームを用いて、直接、テンプレートと基板との間の金属界面を加熱することを含む。このことは、冷却により、テンプレートと基板との間に溶接部を形成する。
ナノ構造自体をテンプレートに製造して移す場合には、基板上の接着層は、電気的特性が損なわれず、該基板との良好な電気的接触が得られるように、注意深く選択されなければならない。さらに、全ての重なり合う構造を正確に位置合わせするように留意しなければならない。数千、さらには何百万もの予め製造された金属ナノ構造ワイヤの位置合わせ及び転写は、良好な反復性をもって達成するのが困難な場合があるが、単一ナノワイヤの配置によりICの価値を高めることができる適用例(例えば単一ICの補修)が存在する。
さらに、金属でコーティングされたテンプレート又はポリマーでコーティングされたテンプレートもまた、従来技術のナノインプリント技術に見出されるものを含む、後続処理において、マスター自体として用いることができることが理解されるであろう。この場合には、テンプレートは破壊されないが、ここでも複製され、その複製物を用いて、テンプレートを損傷することなく破壊することができる。
【0040】
キャリア及び基板の位置合わせ
滑らかなテンプレートを基板上に位置合わせして移すためには、標準的なウェハアライナ及びボンダが有用である。パターンを基板上に移すのに用いることのできる市販のアライナ機器の例は、オーストラリアのEV Groupによって販売されるEVG62を含む。連結することのできる接合機器は、同じくEV Groupによって販売されるEVG520ボンダを含む。この手法では、位置合わせマークはテンプレートに記録される。金又は有機コーティングのレリーフ画像は、基板に対するテンプレートの位置を決定するのに十分なコントラストを生成する。相対位置を記録した後、サーボ機構が基板を操作し、テンプレートを位置合わせして接触させる。真空補助接合は、テンプレートと基板との間の気泡を取り除くのを助ける。
【0041】
付加的な処理の選択肢
さらに別の処理工程を上述の順序に加えて、特殊な構造を形成することができる。マスター表面から取り除かれる前に、潜像をPVAの形状が付けられた金属表面複製物の上部に形成することが可能である。
さらに、潜像パターンを外形が付けられた金属表面上に現像することも可能である。続いて、付加的なPVA溶液を現像されたパターン上にスピンコーティングして、金属及び有機材料の多層構造を形成することができる。次いで、組み合わされた構造は、上述の技術を用いてマスター表面から取り除くことができる。次いで、この構造は第2の基板に転写されてもよいし、直接用いられてもよい。
【0042】
特定の材料、コーティング、キャリア、基板、及び処理工程が、本発明及びその好ましい実施形態を説明し例示するために述べられたが、このような説明は、限定することを意図するものではない。修正及び変更は当業者に明らかであり、本発明は、添付の請求項の範囲によってのみ制限されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成方法であって、
マスターパターンの複製物を生成する工程、
前記複製物をパターン形成されるべき材料を含む基板上に移す工程、
前記複製物が前記基板と接触している間に該複製物を破壊する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記複製物は溶剤で溶解することができるものであり、前記破壊する工程が、前記溶剤により該複製物を溶解する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複製物がポリビニルアルコール(PVA)から製造され、前記溶剤が水溶液である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記破壊する工程が、前記複製物をエッチングする工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複製物を生成する工程が、該複製物の材料を溶液から前記基板上にスピンコーティングする工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複製物を生成する工程が、液体ポリマーを前記マスター上にキャスティングする工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複製物を生成する工程が、さらに、前記液体ポリマーを乾燥させる工程を含む請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複製物を生成する工程が、さらに、前記ポリマーをUV硬化させる工程を含む請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記複製物を生成する工程が、さらに、前記ポリマーを加熱する工程を含む請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記複製物を前記マスターから取り除いて、該複製物をキャリアに取り付ける追加の工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記キャリアを、前記複製物に対する接着を促進する材料でコーティングする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複製物を、前記キャリアに対する接着を促進する材料でコーティングする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記接着促進材料が、ポリビニルアルコール(PVA)を含む請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接着促進材料が、前記複製物と同じ材料を含む請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記複製物及び前記キャリアを保管する追加の工程をさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記保管環境が温度制御される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記保管環境が湿度制御される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記保管環境が圧力制御される請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記保管環境の雰囲気が化学成分に対して制御される請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記複製物が、保管中に、保護パッケージの中に挿入される請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記移す工程が、前記キャリアを前記基板に位置合わせする工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記移す工程が、前記複製物を前記基板に対して接触させる工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記移す工程が、前記複製物を前記基板に対して押しつける工程を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基板を、前記複製物の接着を促進する材料でコーティングする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記接着促進材料がシアノアクリレートを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記基板が変形可能材料でコーティングされる請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記変形可能材料がポリマーである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記変形可能材料がフォトレジストである請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記変形可能材料が前記パターン形成されるべき材料である請求項26に記載の方法。
【請求項30】
パターンを基板上に形成する方法であって、
ポリマー膜を、トポグラフィパターンを含むマスター上にスピンコーティングして、ポリマー形態が、前記マスターのトポグラフィ構造を複製するようにする工程、
前記複製物をキャリアに移す工程、
前記複製物を備えるキャリアを、パターン形成されるべき材料を含む基板に位置合わせする工程、
該複製物を前記基板に移して、前記複製物が、該複製物のトポグラフィパターンを転写されるべき材料に移すようにする工程、
前記複製物が前記基板に取り付けられている間に、該複製物を溶解する工程、
を含む方法。
【請求項31】
前記複製物を形成するのに用いられる前記ポリマーがポリビニルアルコールである請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記複製物を備えるキャリアを、前記複製物を前記基板に移す前の或る時間だけ保管する追加の工程を含む請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記複製物が前記マスターから取り除かれた後に、バリア層を該複製物上に形成する追加の工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項34】
前記バリア層のための材料が金を含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記バリア層を形成する工程が、スパッタリング工程を用いて金を前記複製物上に付着させる工程を含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
追加のポリマーのバリア層を前記複製物の上に形成する追加の工程を含む請求項33又は請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリマーのバリア層が、次いでエッチングされる請求項36に記載の方法。
【請求項38】
パターン形成された材料層を基板上に形成する方法であって、
所望のパターンに対応するレイアウトで、トポグラフィ構造をもつマスターを準備する工程、
前記マスターをポリマー膜でコーティングする工程、
前記マスターのトポグラフィパターンの少なくとも一部を複製するトポグラフィ構造が前記ポリマー膜に形成されるように該ポリマー膜を硬化する工程、
前記ポリマー膜の複製物を前記マスターからキャリアに移す工程、
材料を、前記所望のパターンに対応する、前記複製物のトポグラフィ構造の特定の部分に残す一連の工程により、前記複製物を処理する工程、
前記複製物を基板に位置合わせする工程、
前記複製物と前記基板とを近接させる工程、
前記材料を、前記複製物の前記特定の部分から前記基板に移す工程、
を含む方法。
【請求項39】
前記材料を残す一連の工程が、材料をスパッタリングする工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記材料の組成物が、金、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、クロミウム、ニッケル、シリコン、ゲルマニウム、タングステン、銀、イットリウム、バリウム、コバルト、及び炭素を含む群から選択される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記材料を残す一連の工程が、電気めっきを含む請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記一連の工程が、
材料層をスパッタリングする工程を含み、
この後に、前記材料層と同様の組成物である追加の材料を用いた電気めっき工程が続いて、前記材料層の寸法を増加させるようにする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記材料を残す一連の工程が、第2のポリマーをスピンコーティングする工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記第2のポリマーがフォトレジストである請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記一連の工程が、さらに、紫外線に対する曝露を含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記一連の工程が、さらに、前記フォトレジストを現像する工程を含む請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記材料を残す一連の工程が、エッチング工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項48】
電子デバイスのための一組のマイクロ構造を形成する方法であって、
キャリア上に、マイクロ構造の部分に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、電子デバイス構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから基板に移す工程、
を含む方法。
【請求項49】
電子デバイスのための一組のナノ構造を形成する方法であって、
キャリア上に、マイクロデバイスの部分に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記マイクロデバイスのナノ構造の組を生成する工程、
前記製造されたナノ構造の組を前記キャリアから基板に移す工程、
を含む方法。
【請求項50】
MEMSデバイスのための一組の構造を形成する方法であって、
キャリア上に、MEMSデバイスの部分に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記MEMSデバイスの構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから基板に移す工程、
を含む方法。
【請求項51】
フォトニックデバイスのための一組の構造を形成する方法であって、
キャリア上に、フォトニックデバイスの部分に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記フォトニックデバイスの構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから基板に移す工程、
を含む方法。
【請求項52】
バイオチップのための一組の構造を形成する方法であって、
キャリア上に、バイオチップの部分に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記バイオチップの構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから基板に移す工程、
を含む方法。
【請求項53】
キャリア上に、集積回路のマイクロ構造の部分に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記集積回路の構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから前記集積回路の別の部分を含む基板に移す工程、
を含む工程により、デバイス層の少なくとも一部が製造されたことを特徴とする集積回路。
【請求項54】
キャリア上に、MEMSデバイスのマイクロ構造の部分に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記MEMSデバイスの構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから前記MEMSデバイスの別の部分を含む基板に移す工程、
を含む工程により、デバイス層の少なくとも一部が製造されたことを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項55】
キャリア上に、フォトニックデバイスの少なくとも一部に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記フォトニックデバイスの構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから前記フォトニックデバイスの別の部分を含む基板に移す工程、
を含む工程により、デバイス層の少なくとも一部が製造されたことを特徴とするフォトニックデバイス。
【請求項56】
キャリア上に、超伝導デバイスの少なくとも一部に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記超伝導デバイスの構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから前記超伝導デバイスの別の部分を含む基板に移す工程、
を含む工程により、デバイス層の少なくとも一部が製造されたことを特徴とするフォトニックデバイス。
【請求項57】
キャリア上に、バイオチップの少なくとも一部に対応するパターン形成されたレイアウトを形成する工程、
前記キャリアを処理して、前記バイオチップの構造の組を生成する工程、
前記製造された構造の組を前記キャリアから前記バイオチップの別の部分を含む基板に移す工程、
を含む工程により、バイオチップ層の少なくとも一部が製造されたことを特徴とするフォトニックデバイス。
【請求項58】
トポグラフィパターンを含むマスター上にPVA膜をスピンコーティングする工程、前記膜を前記マスターから取り除く工程を含む工程により製造された製品。
【請求項59】
前記PVA膜をキャリアに取り付ける工程を含む追加の工程を用いて製造された請求項58に記載の製品。
【請求項60】
或る材料を前記PVA膜の表面上に堆積させる工程を含む追加の工程を用いて製造された請求項58に記載の製品。
【請求項61】
前記堆積した材料が、金、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、クロミウム、ニッケル、ケイ素、ゲルマニウム、タングステン、銀、イットリウム、バリウム、コバルト、及び炭素を含む群から選択された請求項60に記載の製品。
【請求項62】
ポリマーを前記PVA膜の表面上にコーティングする工程を含む追加の工程を用いて製造された請求項58に記載の製品。
【請求項63】
ポリマーを前記堆積した材料の表面上にコーティングする工程を含む追加の工程を用いて製造された請求項60に記載の製品。
【請求項64】
トポグラフィ構造を含むマスターをコーティングすることによりPVA膜を形成する工程、
前記PVA膜を取り除く工程、
前記コーティングされたPVA膜の少なくとも一部をポリマーによりコーティングする工程、
を含む工程により製造された製品。
【請求項65】
トポグラフィ構造を含むマスターをコーティングすることによりPVA膜を形成する工程、
前記PVA膜を取り除く工程、
金属層を前記PVA膜の少なくとも一部の上に堆積させる工程、
金属でコーティングされたPVA膜の少なくとも一部をポリマーによりコーティングする工程、
を含む工程により製造された製品。
【請求項66】
前記金属が金である請求項65に記載の製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−218616(P2009−218616A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147590(P2009−147590)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【分割の表示】特願2004−537842(P2004−537842)の分割
【原出願日】平成15年9月17日(2003.9.17)
【出願人】(599108976)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (61)
【Fターム(参考)】