説明

マトリックスの官能化のためのアスコルビン酸誘導体の使用

本発明は、マトリックスの官能化のための、少なくとも一種のアスコルビン酸誘導体の使用、ならびにその製造のための特定のアスコルビン酸誘導体および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックスの官能化のための、少なくとも一種のアスコルビン酸誘導体の使用、ならびにその製造のための特定のアスコルビン酸誘導体および方法に関する。
【0002】
本発明による、タンパク様マトリックス、特に皮膚、毛髪および/または爪の官能化は、共有結合性固着または強い静電相互作用によって行われる。これは、所望の活性化合物、例えばUVフィルター、色素の固定化をもたらすか、あるいは、例えば薬理、抗菌、抗真菌、除草、殺虫もしくは化粧活性化合物用、またはX線造影剤用の活性化合物の制御放出を可能にする。
【0003】
本発明による使用の好ましい応用分野は、UV保護である。ヒトの皮膚はいくつかの老化プロセスを受け、そのうちのいくつかは内因性プロセス(加齢老化)に起因し、いくつかは外因性要因(環境、例えば光老化)に起因する。
【0004】
外因性要因は、特に、日光または同程度のスペクトルを有する人工放射線源、および未定義の反応性光生成物などの放射線によって形成することができる化合物を含み、フリーラジカルまたはイオン性であってもよい。
【0005】
多数の有機系および無機系UVフィルター、ならびにUV放射を吸収しフリーラジカルを除去することができる酸化防止剤が既知である。したがって、それらはヒトの皮膚を保護することができる。これらの化合物は、UV光の熱への転換を触媒する。
【0006】
しかしながら、特に従来のUVフィルターは、皮膚付着力が弱いせいで、例えば汗または水によって極めて容易に洗い流されてしまうことがあるため、保護の持続時間は限られている。
【0007】
例えばWO2006/018104から知られるのは、それらが反応性部分を介して表皮の角質層と共有結合し、すなわちUVフィルターまたはセルフタンニング剤によって皮膚を官能化することができるような手法で、UVフィルターまたはセルフタンニング物質を誘導体化する戦略である。皮膚の外層におけるタンパク質およびアミノ酸との効果的な結合のためには、対応するUVフィルター誘導体、あるいは薬理、抗菌、抗真菌、除草、殺虫もしくは化粧活性化合物、X線造影剤または色素などの他の活性化合物の誘導体が、それらの結合可能な部分の可能な限り高い反応性を有することが必要である。
【0008】
したがって、タンパク質含有マトリックスを官能化することができ、適切な様式で化粧または薬理組成物に組み込むことができる皮膚耐容性化合物の需要が高まっている。
【0009】
驚くべきことに、アスコルビン酸誘導体、特に6および/または5位において活性化合物の基で置換されているアスコルビン酸誘導体は、マトリックスの官能化に非常に適していることが現在わかっている。ここで、好ましいマトリックスは、皮膚、毛髪および/または爪であり、この場合、一般的原理は、アミノ基もしくはチオール基、単離されたタンパク質またはゼラチンを含有する合成ポリマーマトリックスの官能化にも当てはめることができる。そのようなマトリックスとの結合によって形成された生成物は、それ自体、化粧剤の製造のための化粧活性化合物として使用することができる。D−およびL−アスコルビン酸の両方またはその混合物を、本発明に従って誘導体化することができる。
【0010】
したがって、本発明は、第一に、マトリックスの官能化のための、少なくとも一種のアスコルビン酸誘導体、特に6および/または5位において活性化合物の基で置換されているアスコルビン酸誘導体の使用に関する。
【0011】
化粧品または食品業界において、多くの場合、天然酸化防止剤として用いられるアスコルビン酸(ビタミンC)は、酸素、pH、(例えば鉄または銅の)金属イオン濃度または温度などの種々のパラメータに応じて、ビタミンC分解による多量の損失を被ることが知られている[H.−D.Belitz,W.Grosch,Lehrbuch der Lebensmittelchemie[Textbook of Food Chemistry],Springer−Verlag,1987,3rd Edition,p.337]。
【0012】
EP0664290は、2位または2および6位が桂皮酸によってエステル化されているアスコルビン酸の誘導体を記載している。これらのアスコルビン酸誘導体は、酸化防止剤として、またはEP104631に従ってNOドナーとして使用される。
【0013】
EP0917871は、その4位のヒドロキシル基がC1〜C6−アルコキシカルボニルで置換されており、その5および/または6位のヒドロキシル基がC1〜C20−アシルまたはC1〜C6−アルコキシカルボニルで置換されており、そのアシル鎖は分岐、非分岐、飽和または(多価)不飽和である、すなわち脂肪酸をベースとした、アスコルビン酸誘導体を開示している。芳香族系は除外される。これらの化合物は、酸化防止剤としても使用される。
【0014】
EP1527777は、アスコルビン酸の少なくとも1個のヒドロキシル基が、安息香酸、好ましくは没食子酸によってエステル化されているアスコルビン酸誘導体を記載している。これらの化合物は、とりわけ、チロシン活性の阻害剤として、またはメラニン合成の阻害剤として説明されている。マトリックスの官能化のための本発明による使用には言及しておらず、示唆すらもしていない。
【0015】
G.Tschank et al,Biochem.J.,1994,300,75〜79は、化合物O6−(2−アセトキシベンゾイル)L−アスコルビン酸塩およびO56−ビス(2−アセトキシベンゾイル)L−アスコルビン酸塩について記載している。これらの化合物は、酵素プロリル−4−ヒドロキシラーゼの活性を支持することができるが、二置換化合物は酵素に対する親和性がより低くなる。
【0016】
本発明による使用に特に適しているのは、式I:
【0017】
【化1】

【0018】
[式中、
1またはR2は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシル、−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPO3MまたはO−グリコシルを示し、
アルキルは、C1〜C6−アルキルを示し、
Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHを示し、
3またはR4は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシルまたは基Bを示し、
Bは、薬理、抗菌、抗真菌、除草、殺虫もしくは化粧活性化合物の、UVフィルターの、X線造影剤の、または色素の基を示し、
但し、基R3またはR4の少なくとも一方は、基Bを表す]
の少なくとも一種のアスコルビン酸誘導体である。
【0019】
1〜C6−アルキルは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルまたはn−ヘキシルを示す。
【0020】
1またはR2に考慮されるアルコキシ基は、そのアルキル基が1〜6個のC原子、好ましくは1〜4個のC原子を含有するものである。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシまたはtert−ブトキシである。
【0021】
基−OPO3Mは、好ましくは−OPO3H基であるが、式Iの塩を用いることも可能であり、式I中のMは、例えばNaもしくはKのアルカリ金属カチオン、または例えばMgもしくはCaのアルカリ土類金属カチオンに対応する。
【0022】
式Iにおいては、O−グリコシルと称される、アスコルビン酸の2または3位における炭水化物の結合は、例えば、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リブロース、キシルロース、プシコース、フルクトース、ソルボースまたはタガトースなどの単糖類に起こり得る。この一覧は、両方の異性体、すなわち、それぞれの場合のDまたはL型を網羅する。
【0023】
グルコース、ガラクトースまたはフルクトース、極めて特別に好ましくはグルコースの使用が選択される。
【0024】
しかしながら、原理上はサッカロース(スクロースとしても知られる)、ラクトース、トレハロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオースまたはメリビオースなどの二糖類も適している。この一覧は、αおよびβ型の両方も網羅している。
【0025】
二糖類の群からは、サッカロースまたはラクトース、特に好ましくはサッカロースの使用が選択される。
【0026】
好ましくは、上記した通り、式I中の基R1はヒドロキシルを示し、R2は−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPO3MまたはO−グリコシルを示す。
【0027】
好ましくは、上記した通り、式I中の基R2はヒドロキシルを示し、R1は−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPO3MまたはO−グリコシルを示す。
【0028】
特別に好ましくは、基R2およびR1は、いずれもヒドロキシルである。
【0029】
3またはR4は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシルまたは基Bであり、Bは、薬理、抗菌、抗真菌、除草、殺虫もしくは化粧活性化合物の、UVフィルターの、X線造影剤の、または色素の基である。
【0030】
好ましい実施形態において、好ましくは上述および後述の通り、基R3はヒドロキシルであり、R4は基Bに対応する。
【0031】
しかしながら、本発明に従って、基BがR3およびR4の両方を表す、さらにはR3またはR4を表す式Iのアスコルビン酸誘導体の混合物を用いることも可能である。
【0032】
さらに詳細に上述および後述する通り、基Bは、好ましくはエステル官能基を介して式Iの5および/または6位と結合する。基Bは、特に好ましくはカルボニルオキシ官能基を介して結合する。さらなる実施形態において、基Bはエーテル官能基を介して結合する。
【0033】
式Iのアスコルビン酸誘導体の基R1およびR2は、マトリックス、特に皮膚、毛髪および/もしくは爪への適用時に、または単離されたタンパク質もしくはゼラチンへの適用時にも、アミノおよび/またはチオール基などのマトリックスの反応基との結合が形成されるような手法で選択される。式Iのアスコルビン酸誘導体が、ヒドロキシル基R1および/またはR2の酸化による分解によって活性化される場合、結合反応は簡略化される。ヒドロキシル基R1および/またはR2は、マトリックスへの適用時の加水分解により、式I[式中、R1および/またはR2≠H]のアスコルビン酸誘導体から形成することもできる。
【0034】
アスコルビン酸分解による結合活性化を介して、マトリックスのさらなる官能化の理論を以下で説明するが、マトリックスの官能化がこの理論に縛られることを意図するものではない。
【0035】
スキーム1において、アスコルビン酸誘導体は分解してキシロソン(xylosone)および/または4−デソキシペントソン(desoxypentosone)を生じさせ、スキーム1の式中、上述した通り、R3はOHまたは基Bを示し、R4は基Bを示す。
【0036】
【化2】

【0037】
反応性ジカルボニル化合物キシロソンおよび4−デソキシペントソンは、メイラード反応という意味でタンパク質およびアミノ酸と反応することができる。このステップは、活性化合物担持基R3および/またはR4のマトリックスへの統合に対応する。したがって、マトリックスは、活性化合物の基に対応して官能化される。
【0038】
例えば、非結合UVフィルターと比較すると、このメカニズムは、2つのさらなる利点、すなわちアスコルビン酸骨格の抗酸化(分解)反応と、適切な場合、メイラード反応に類似する日焼け反応(セルフタンニング剤成分)とを有する。
【0039】
本発明の一変形において、基Bは、薬理活性化合物の基であることが好ましい。
【0040】
薬理作用を有する物質は、好ましくは芳香族であり、カルボニル官能基を含有する。
【0041】
薬理作用を有する物質の例は、
1)炎症抑制抗リウマチ剤:例えば、インドメタシン(CAS:53−86−1)、アセメタシン(CAS:53164−05−9)、トルメチン(CAS:26171−23−3)、ジクロフェナク(CAS:15307−86−5)、ロナゾラク(CAS:53808−88−1)などの酢酸誘導体のもの、および/または、例えば、イブプロフェン(CAS:15687−27−1)、フェノプロフェン(CAS:31879−05−7)、ナプロキセンナトリウム(CAS:26159−34−2)、ケトプロフェン(CAS:22071−15−4)などのプロピオン酸誘導体のもの;
2)抗動脈硬化ビタミンB群:例えば、ニコチン酸アルミニウム(CAS:1976−28−9)、アミノ安息香酸(CAS:150−13−0);
3)抗不整脈・抗けいれん非ステロイド薬:例えば、ボルタレン/ジクロフェナク(CAS:15307−86−5)など;
4)クラスI、II、IIIおよびIVからの抗不整脈β−交感神経遮断物質:例えば、BW−A−575−C(CAS:103221−88−1)など;
5)β−ラクタム抗生物質:例えば、ペナム、カルバペネム、オキサペナム、セフェム、オキサセフェム、ならびに、例えば、アモキシシリン(CAS:26787−78−0)、セフォキシチン(CAS:35607−66−0)およびアンピシリン(CAS:69−53−4)などの単環β−ラクタムのもの;
6)ペニシリン、アミノペニシリン、アシルアミノペニシリン、カルボキシペニシリンおよびセファロスポリンのファミリーからの抗生物質:例えば、タゾバクタム(CAS:89786−04−9)、クロキサシリンスルホン(CAS:76788−83−5)、スルバクタム(CAS:68373−14−8)など;
7)テトラサイクリンのファミリーからの抗生物質:例えば、グリシンメチルテトラサイクリン(CAS:751−98−4)、ライムサイクリン(CAS:992−21−2)、カルシウムクロロテトラサイクリン(CAS:57122−99−3)、アピサイクリン(CAS:15599−51−6)など;
8)炎症抑制プロスタグランジン拮抗薬:例えば、ロベンザリットナトリウム(CAS:64808−48−6)、フルチアジン(CAS:7220−56−6)、アラプロフェン(CAS:15250−13−2)など;
9)フェニルスルホンアミドのファミリーからの防腐剤および抗糖尿病剤:例えば、カルボキシトルブタミド(CAS:2224−10−4)など;
10)炎症抑制剤、鎮痛剤、コラゲナーゼ阻害剤および角質溶解物質:例えば、サリチル酸(CAS:69−72−7)など;
11)抗ぜんそく薬:例えば、アセフィリン(CAS:652−37−9)などの、例えばキサンチン誘導体のもの;
12)抗ぜんそく薬および抗アナフィラキシー薬:例えば、アブルカストナトリウム(CAS:96565−55−8)、アンレキサノクス(CAS:68302−57−8)、AH−7725(CAS:68302−57−8)、ネドクロミルカルシウム(CAS:101626−68−0)など;
13)甲状腺ホルモンおよび抗動脈硬化剤:例えば、デトロチロニン(CAS:5714−08−9)、レボチロキシンナトリウム(CAS:55−03−8)、デキストロチロキシンナトリウム(CAS:137−53−1)など;
14)鎮痛剤、炎症抑制剤、解熱薬:例えば、アントラジオン(CAS:19854−90−1)などの、例えばピラゾリジン誘導体のもの;
15)キレート剤:例えば、HBED(CAS:35998−29−9)、カルテリドール(CAS:132722−73−7)など;
16)潰瘍治療用のプロスタグランジン:例えば、ベラプロストナトリウム(CAS:88475−69−8)など;または
17)シス−またはトランス−ウロカニン酸
である。
【0042】
これらの例は、選択肢を制限することなく、一例として可能性を説明することを意図したものである。
【0043】
本発明のさらなる変形において、基Bは、抗菌活性化合物の基であることが好ましい。
【0044】
ここで特に適しているのは、カルボン酸誘導体であり、加えて、例えば安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸などの共役π電子系を含有する保存料である。
【0045】
これらの例は、選択肢を制限することなく、一例として可能性を説明することを意図したものである。
【0046】
本発明のさらなる変形において、基Bは、抗真菌、除草または殺虫活性化合物の基であることが好ましい。これらの物質は、手短に農薬と称される場合もある。
【0047】
下記の適切な農薬は、本明細書において一例として言及し得るものである。
【0048】
【化3】

【0049】
または、トリクロロ酢酸(TCA)。
【0050】
本発明のさらなる変形において、基Bは、化粧活性化合物の基であることが好ましい。
【0051】
ここで特に適しているのは、ニコチン酸、ニコチンアミド、レチノイン酸、ビオチン、すなわち、基Bが
【0052】
【化4】

【0053】
を含有するもの、ならびに芳香族アミノ酸フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンおよびチロシンの物質である。
【0054】
本発明のさらなる変形において、基Bは、X線造影剤の基であることが好ましい。
【0055】
X線造影剤は、好ましくは芳香族であり、カルボニル官能基を含有する。
【0056】
X線造影剤の具体例としては、イオセタミン(iocetaminic)酸(CAS:16034−77−8)、ヨードセチル酸(CAS:54510−20−2)、アセトリゾ酸メグルミン(CAS:22154−43−4)、ヨード馬尿酸(CAS:147−58−0)、ナトリウムブナミオデート(bunamiodate)(CAS:1923−76−8)、アセトリゾ酸(CAS:85−36−9)だけでなく、例えば、イオカンリド酸(CAS:74855−17−7)、銀フルオレセイン(CAS:25931−86−6)、パンケンサン(pankensan)(CAS:38219−60−2)などのその他の用途のための診断剤が挙げられる。
【0057】
これらの例は、選択肢を制限することなく、一例として結合した診断用物質の可能性を説明することを意図したものである。
【0058】
本発明のさらなる変形において、基Bは、色素の基であることが好ましい。
【0059】
カルボン酸誘導体である有機色素の使用が、好ましく選択される。一例として、食品、薬剤および化粧品の着色に役立つ物質が挙げられる。例えば:
ビキシン(ベニノキ中に存在する、E160b、C.I.75120);ノルビキシン;アポカロテン酸エチルエステル、E160f、C.I.40825;クロロフィル、E140、C.I.75810;エリトロシン、E127、C.I.45430;カルミン、コチニール、E120、C.I.75470;リソールルビンBK、C.I.15850:1;フロキシンB、C.I.45410;ローダミンB、C.I.45170;赤ビート色素ベタニン、E162;タートラジン、E102、C.I.19140;ウラニン、C.I.45350またはフルオレセイン、C.I.45350:1など。
【0060】
カルボン酸誘導体であるさらなる有機色素は、「Gisbert Otterstatter:Die Farbung von Lebensmitteln, Arzneimitteln, Kosmetika[The Colouring of Foods, Medicaments, Cosmetics];2nd revised Edition,Behr’s Verlag Hamburg,1995」に記載されているか、またはFD&Cイエロー5(タートラジン)、FD&Cイエロー6(サンセットイエローFCF)、FD&Cイエロー10、FD&Cレッド3(エリトロシン)、FD&Cレッド6(リソールルビンB)、FD&Cレッド7(リソールルビンBN)、FD&Cレッド21、FD&Cレッド27、FD&Cレッド28(フロキシンB)、FD&Cレッド33、C.I.ナチュラルレッド33、FD&Cレッド36、FD&Cレッド40、カルミン、FD&Cブルー1(ブリリアントブルーFCF)、C.I.ナチュラルグリーン3(E141)、FD&Cブルー、FD&Cブラック1(ブリリアントブラック)である。
【0061】
概して、薬理、抗菌、抗真菌、除草、殺虫もしくは化粧活性化合物、色素またはX線造影剤は、少なくとも4個のπ電子の共役π電子系を有する限り、それらの構造によりUV放射を吸収することができる物質を意味すると解釈することもできる。
【0062】
したがって、本発明のさらなる変形において、式I中の基Bは、UV放射を吸収し、少なくとも4個のπ電子の共役π電子系を有する置換基であることも好ましい。
【0063】
本発明のさらなる変形において、式I中の基BはUV−Aおよび/またはUV−B放射を吸収する置換基であることが特に好ましい。これらの化合物は、概して少なくとも4個のπ電子の共役π電子系も有する。ここで基Bは、UVフィルターであり、好ましくは式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/またはXII:
【0064】
【化5】

【0065】
【化6】

【0066】
【化7】

【0067】
【化8】

【0068】
【化9】

【0069】
【化10】

【0070】
【化11】

【0071】
【化12】

【0072】
【化13】

【0073】
【化14】

【0074】
【化15】

【0075】
[式中、
5〜R16は、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示し、
Aは、1〜4個のC原子を有するアルキルであり、
nは、1〜25の整数であり、
Xは、カチオン[NHA2+および[NA3+に対する、またはアニオン[SO3-に対する対イオンであり、
YおよびZは、それぞれ互いに独立に、−アスコルビル、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、−O−ヘキシル、−OAまたは−NH−C(CH33である]
の置換基である。
【0076】
上記の式中、Aは、1、2、3または4個のC原子を有するアルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルを示す。Aは、好ましくはメチルまたはエチル、極めて特別に好ましくはエチルである。
【0077】
nは、1〜25の整数、好ましくは整数1、2、3、4または5を表す。
【0078】
Xは、カチオン[NHA2+および[NA3+の対イオン[Aは上記で示されている意味のうちの1つ、好ましくは、Cl-、Br-、I-または[SO42-を有する]、またはアニオン[SO3-の対イオン、好ましくはアンモニウムイオン、またはNa+、K+、Mg2+もしくはCa2+などのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属カチオンを表現する。
【0079】
しかしながら、分子中の部分電荷が自己平衡すること、すなわち、式Iの化合物が両性イオン構造の形態となることも可能である。
【0080】
式Iの化合物は、本発明に従って、塩として使用することもできる、すなわち、アスコルビン酸骨格の少なくとも1個のヒドロキシル基は脱プロトン化体であり、電荷は対カチオン、例えばアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンによって平衡している。
【0081】
式IIの置換基については、基R5〜R9、R11およびR12は、好ましくはHであり、
10は、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0082】
式II中のR10は、好ましくは−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくは−OAまたは−NA2であり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0083】
式IIIの置換基については、基R5、R6、R8およびR9は、好ましくはHであり、
7は、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0084】
式III中のR7は、好ましくは−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくは−OAまたは−NA2であり、Aは上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0085】
式IVの置換基については、基R5、R6、R8およびR9は、好ましくはHであり、
7は、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0086】
式IV中のR7は、好ましくは−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくは−OAまたは−NA2であり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0087】
式IVの置換基については、基R5、R8およびR9は代替的に好ましくはHであり、R6は2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示し、R7は、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3Hまたは−[SO3]Xである。この置換基配列において、R7は、特に好ましくはOHである。
【0088】
式Vの置換基については、基R6、R8、R11およびR13は、好ましくはHであり、置換基R5、R7、R9、R10、R12およびR14は、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0089】
式V中のR5、R7、R9、R10、R12およびR14は、それぞれ互いに独立に、好ましくはH、−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくはHであり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0090】
式VIの置換基については、基R6、R8、R9、R12、R13およびR16は、好ましくはHであり、置換基R5、R7、R10、R11、R14およびR15は、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0091】
式VI中のR5、R7、R10、R11、R14およびR15は、それぞれ互いに独立に、好ましくはH、−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくはHであり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0092】
式VIIの置換基については、基R5、R6、R7、R8、R9およびR10は、好ましくはHであり、Zは、−アスコルビル、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、−O−ヘキシル、−OAまたは−NH−C(CH33を示す。
【0093】
式VII中のZは、特に好ましくはOHを示す。
【0094】
式VIIIの置換基については、基R5、R6、R7およびR8は、好ましくはHであり、置換基R9は、好ましくは−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0095】
式VIII中のR9は、特に好ましくは−OAを示す。
【0096】
式IXの置換基については、基R5、R6、R7およびR8は、好ましくはHであり、置換基R9は、好ましくは−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0097】
式IX中のR9は、特に好ましくは−OAを示す。
【0098】
式Xの置換基については、基R5、R7およびR8は、好ましくはHであり、置換基R6は、好ましくは−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0099】
式X中のR6は、特に好ましくは−OHを示す。
【0100】
式XIの置換基については、基R5、R6、R7、R8、R9、R11およびR12は、好ましくはHであり、置換基R10は、好ましくはH、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0101】
式XI中のR10は、特に好ましくはHを示す。
【0102】
式XIIの置換基については、基R5、R6、R8およびR9は、好ましくはHであり、置換基R7は、好ましくは−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである。
【0103】
式XII中のR7は、特に好ましくはAを示す。特定の変形において、部分:
【0104】
【化16】

【0105】
を置換基R7として含有する式XIIの化合物も適している。
【0106】
さらなる好ましい組み合わせは、特許請求の範囲において開示されている。
【0107】
基Bの特に好ましい実施形態は、下記部分に見られる。
【0108】
【化17】

【0109】
【化18】

【0110】
【化19】

【0111】
【化20】

【0112】
【化21】

【0113】
【化22】

【0114】
【化23】

【0115】
本発明は、式I:
【0116】
【化24】

【0117】
[式中、
1またはR2は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシル、−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPO3MまたはO−グリコシルであり、
アルキルは、C1〜C6−アルキルであり、
Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHであり、
3またはR4は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシルまたは基Bであり、
Bは、式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/またはXII:
【0118】
【化25】

【0119】
【化26】

【0120】
【化27】

【0121】
【化28】

【0122】
【化29】

【0123】
【化30】

【0124】
【化31】

【0125】
【化32】

【0126】
【化33】

【0127】
【化34】

【0128】
【化35】

【0129】
[式中、
5〜R16は、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示し、
Aは、1〜4個のC原子を有するアルキルであり、
nは、1〜25の整数であり、
Xは、カチオン[NHA2+および[NA3+に対する、またはアニオン[SO3-に対する対イオンであり、
YおよびZは、それぞれ互いに独立に、−アスコルビル、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、−O−ヘキシル、−OAまたは−NH−C(CH33である]
の置換基であり、
式IV中のR5〜R9については、R5〜R9の少なくとも1個の置換基が、A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す場合を除き、基H、OHおよびOAが除外され、
但し、基R3またはR4の少なくとも一方は、基Bを表す]
の化合物にも関する。
【0130】
A、nおよびXは、上記した通りの意味を有する。
【0131】
本発明の一変形において、式I中のR2がヒドロキシルを示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。
【0132】
本発明の一変形において、式I中のR1がヒドロキシルを示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。
【0133】
本発明の一変形において、式II中の基R5〜R9、R11およびR12が、好ましくはHであり、R10が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。
【0134】
式II中のR10は、好ましくは−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくは−OAまたは−NA2であり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0135】
本発明の一変形において、式III中の基R5、R6、R8およびR9が、好ましくはHであり、R7が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。
【0136】
式III中のR7は、好ましくは−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくは−OAまたは−NA2であり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0137】
本発明の一変形において、式IV中の基R5、R6、R8およびR9が、好ましくはHであり、R7が、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。
【0138】
式IV中のR7は、好ましくは−NH2、−NHA、−NA2、−[NHA2]Xまたは−[NA3]X、極めて特別に好ましくは−NA2であり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0139】
本発明の一変形において、式IV中の基R5、R8およびR9が好ましくはHであり、R6が、2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示し、R7が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。本発明のこの変形におけるR7は、極めて特別に好ましくは−OHである。
【0140】
本発明の一変形において、式V中の基R6、R8、R11およびR13が、好ましくはHであり、式V中の置換基R5、R7、R9、R10、R12およびR14が、それぞれ互いに独立にH、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルである条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。
【0141】
式V中のR5、R7、R9、R10、R12およびR14は、それぞれ互いに独立に、好ましくはH、−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくはHであり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。
【0142】
本発明の一変形において、式VIの基R6、R8、R9、R12、R13およびR16が、好ましくはHであり、置換基R5、R7、R10、R11、R14およびR15が、それぞれ互いに独立にH、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルであり、Zが、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、OAまたは−NH−C(CH33である条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。
【0143】
式VI中のR5、R7、R10、R11、R14およびR15は、それぞれ互いに独立に、好ましくはH、−OA、−NH2、−NHAまたは−NA2、極めて特別に好ましくはHであり、Aは、上記で示されている意味のうちの1つを有する。式VI中のZは、特に好ましくはヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシルまたは−NH−C(CH33である。
【0144】
本発明の一変形において、式VII中の基R5、R6、R7、R8、R9およびR10が、Hであり、Zが、−アスコルビル、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、−O−ヘキシル、−OAまたは−NH−C(CH33を示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。Zは、極めて特別に好ましくは−OHである。
【0145】
本発明の一変形において、式VIII中の基R5、R6、R7およびR8が、Hであり、R9が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。式VIII中のR9は、特に好ましくはAまたは2−エチルヘキシルである。
【0146】
本発明の一変形において、式IX中の基R5、R6、R7およびR8が、Hであり、R9が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。式IX中のR9は、特に好ましくはAまたは2−エチルヘキシルである。
【0147】
本発明の一変形において、式X中の基R5、R7およびR8が、Hであり、R6が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。式X中のR6は、特に好ましくは−OHである。
【0148】
本発明の一変形において、式XI中の基R5、R6、R7、R8、R9、R11およびR12が、Hであり、R10が、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。式XI中のR10は、特に好ましくはHである。
【0149】
本発明の一変形において、式XII中の基R5、R6、R8およびR9が、Hであり、R7が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す条件において、式Iの化合物が好ましく選択される。式XII中のR7は、特に好ましくはAである。
【0150】
さらなる好ましい組み合わせは、特許請求の範囲において開示されている。
【0151】
式Iの化合物の特に好ましい実施形態は、上記した通り、基Bについての部分IIa〜IIf、IIIa、IVa〜IVo、Va、VIa〜VIc、VIIa〜VIIb、VIIIa〜VIIIb、IXa〜IXb、Xa、XIaおよび/またはXIIa〜XIIbに見られる。
【0152】
上記した通り、式Iの化合物は一般に、それ自体が文献から当業者に既知である方法によって製造することができる。エステル化またはエーテル化のための反応条件は標準的な先行技術であり、適切な反応条件の選定は、合成分野の当業者の標準的な専門知識の一部である。
【0153】
本発明は、同様に、
a)式XIII:
【0154】
【化36】

【0155】
[式中、
1またはR2は、式Iについて上記で示されている、または好ましいものとして示されている意味のうちの1つを有する]
の化合物を、式XIV:
【0156】
【化37】

【0157】
[式中、
Bは、上記されている意味のうちの1つを有してもよく、ここでサブ式XIおよびXIIは除外され、
Mは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHを示す]
の化合物と直接反応させること、または
b)上記した通りの式XIIIの化合物のヒドロキシル基を保護して、式XV:
【0158】
【化38】

【0159】
[式中、
1またはR2は、式Iについて上記されている意味のうちの1つを有し、SGは保護基を示し、
基R1および/またはR2は、これらがヒドロキシル基である場合、その後、保護基SGに対する異なる反応条件下で再度切断できる第2の保護基によって保護される]
の化合物を生じさせ、
式XVの化合物の保護基SGを再度切断し、得られた化合物を式XIV:
【0160】
【化39】

【0161】
[式中、
Bは、式Iについて上記されている意味を有し、ここでサブ式XIおよびXIIは除外され、
Mは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHを示し、
ヒドロキシル基を表す基R1および/またはR2は、その後脱保護され、これらのヒドロキシル基は、必要に応じて、上記した通り、別の基R1またはR2≠OHに変換される]
の化合物と反応させること
を特徴とする、上記した通りの式I[基Bについてはサブ式XIおよびXIIの意味は除外される]の化合物の製造のための方法に関する。
【0162】
式XIVの化合物を使用する式XIIIの化合物の直接エステル化は、これらがカルボニルオキシ官能基を介して結合している場合、濃硫酸の存在下、好ましくは不活性ガス条件下で行われる。成分の混合物は、<5℃の温度で有効に製造される。実際の反応温度は、10乃至60℃、好ましくは15乃至30℃である。反応は、特に好ましくは室温で行われる。
【0163】
式XIIIおよびXIVの出発原料のいくつかは、市販の、例えばアスコルビン酸、リン酸アスコルビン酸、リン酸アスコルビルナトリウムおよびマグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、サリチル酸、p−メトキシ桂皮酸、p−ヒドロキシ桂皮酸、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸もしくは2−(4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸であるか、または、例えばHouben−Weyl,Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry],Georg−Thieme−Verlag,Stuttgartなどの標準的著作物に記載されている方法として間違いなく既知であり、前記反応に適した反応条件下で、合成することができる。ここで、本明細書ではこれ以上詳細に言及しないが、それ自体が既知である変形を使用してもよい。
【0164】
直接エステル化の場合、合成の結果として、アスコルビン酸C−6エステルとアスコルビン酸C−5エステルとの混合物が形成し、概してアスコルビン酸C−6エステルが優位を占める。アスコルビン酸C−6エステルは、式I[式中、R4はBを示す]の化合物である。アスコルビン酸C−5エステルは、式I[式中、R3はBを示す]の化合物である。これらの混合物は、当然ながら、当業者に既知の方法によって分離することができる。
【0165】
式XIV[式中、Bはサブ式VIII、IXまたはXに対応し、M=Hである]の化合物の、式XIIIの化合物との反応によるエーテル形成は、好ましくはトリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジイソプロピルの存在下、不活性溶媒、例えばジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランまたはジオキサンなどのエーテル、DMFまたはジメチルアセトアミドなどのアミド、アセトニトリルなどのニトリル中、ジメチルスルホキシド中、またはこれらの溶媒の存在下、約−10乃至40、好ましくは0乃至30℃の温度で行われる。使用される条件に応じて、反応時間は、数分乃至数日である。
【0166】
式I[式中、Bは部分VIII、IXまたはXのうちの1つに対応する]の化合物の合成が、式XVIII:
【0167】
【化40】

【0168】
[式中、Halは、Cl、BrまたはIを示し、
B’は、サブ式VIII’、IX’またはX’:
【0169】
【化41】

【0170】
に対応し、すべての置換基は上記で示されている意味を有する]
の出発化合物を使用して行われる場合、古典的な求核置換反応が起こる。下記の通り、ここでは対応する保護基化学を使用すべきである。求核置換反応の反応条件は、合成分野の当業者には十分に既知である。
【0171】
本発明による化合物の代替製造は、アスコルビン酸骨格の5および/または6位において特異的にエステル化が起こり得るよう、本質的に、上記で定義された通り、式XIIIの化合物のヒドロキシル基の保護基化学に基づく。しかしながら、式XIVの化合物を使用するエステル化は、先の保護基化学なしに行うこともでき、この場合の反応条件は、当業者には十分に既知である。
【0172】
保護基は概して、選択的に切断することができるよう、互いに異なるものが選択される(この点については、T.W.Greene,P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,2nd Edn.,Wiley,New York,1991、またはP.J.Kocienski,Protecting Groups,1st Edn.,Georg Thieme Verlag、Stuttgart−New−York,1994、H.Kunz,H.Waldmann,Comprehensive Organic Synthesis,Vol.6(eds. B.M.Trost,I.Fleming,E.Winterfeldt),Pergamon,Oxford,1991,pp.631〜701を参照)。
【0173】
「ヒドロキシル保護基」という語句は、概括的に言えば同様に既知であり、化学反応に対してヒドロキシル基を保護するために適している基に関する。そのような基の典型的なものは、非置換または置換の、アリール、アラルキル、アロイルまたはアシル基、さらにはアルキル基、アルキル−、アリール−もしくはアラルキルシリル基またはO,O−もしくはO,S−アセタールである。ヒドロキシル保護基の性質および大きさは、所望の化学反応または反応シーケンス後に再度除去されることから重大ではなく、1〜20個、特に1〜10個のC原子を有する基が好ましく選択される。ヒドロキシル保護基の例は、とりわけ、ベンジル、4−メトキシベンジルまたは2,4−ジメトキシベンジルなどのアラルキル基;ベンゾイルまたはp−ニトロベンゾイルなどのアロイル基;アセチルまたはピバロイルなどのアシル基;p−トルエンスルホニル;メチルまたはtert−ブチルなどのアルキル基だけでなく、アリル;トリメチルシリル(TMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)またはトリエチルシリルなどのアルキルシリル基;トリメチルシリルエチル;tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)などのアラルキルシリル基;イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン、p−メトキシベンジリデンまたはo,p−ジメトキシベンジリデンアセタールなどの環状アセタール;テトラヒドロピラニル(Thp)、メトキシメチル(MOM)、メトキシエトキシメチル(MEM)、ベンジルオキシメチル(BOM)またはメチルチオメチル(MTM)などの非環状アセタールも挙げられる。特に好ましいヒドロキシル保護基は、ベンジル、アセチル、tert−ブチルまたはTBSである。
【0174】
合成に用いられる出発原料は、好ましくは、その5および6位のヒドロキシル基が、上記した通り、式XVの化合物を生じさせるための既知の方法で、保護基SGによって保護されているアスコルビン酸である。5および6位の両方を同時に効果的に保護する環状保護基が有利に選択される。式XVの化合物の例は、したがって、5,6−イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン、p−メトキシベンジリデンまたはo,p−ジメトキシベンジリデンアスコルビン酸塩である。好ましくは5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸塩が用いられる。
【0175】
2および3位のヒドロキシル基は、その後、上記した通り保護基の援助により保護され、この場合、アラルキル基またはアルキルシリル基、特に好ましくはアラルキル基、例えばベンジル基が有利に選択される。
【0176】
第1のステップにおいて保護されたヒドロキシル基の単体分離後、式XIV[BおよびMは上記されている意味を有する]の化合物、または式XVIIIの化合物との反応が行われる。
【0177】
式XIV[式中、M=Hであり、Bは、好ましくはサブ式II、III、IV、V、VIまたはVIIに対応する]の化合物との反応が行われる場合、カップリング反応は、好ましくは、脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)またはジイソプロピルカルボジイミド(DIC)などのカルボジイミド;さらには、例えばプロパンホスホン酸無水物(Angew.Chem.,1980,92,129参照)、ジフェニルホスホリルアジドまたは2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンの存在下、不活性溶媒、例えばジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランまたはジオキサンなどのエーテル、DMFまたはジメチルアセトアミドなどのアミド、アセトニトリルなどのニトリル中、ジメチルスルホキシド中、またはこれらの溶媒の存在下、約−10乃至40、好ましくは0乃至30℃の温度で行われる。使用される条件に応じて、反応時間は数分乃至数日である。
【0178】
上記で定義された通りの式XIVの化合物の代わりに、式XIVの誘導体、好ましくは予め活性化されたカルボン酸もしくはカルボン酸ハロゲン化物、対称もしくは混合無水物または活性エステルを用いることも可能である。典型的なアシル化反応におけるカルボキシル基の活性化のためのこの種の基は、文献(例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry],Georg−Thieme−Verlag,Stuttgartなどの標準的著作物)に記載されている。活性化エステルは、その場で、例えばHOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)またはN−ヒドロキシスクシンイミドの添加によって有利に形成される。
【0179】
反応は、概して、酸結合剤、好ましくはトリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンまたはキノリンなどの有機塩基の存在下、不活性溶媒中、式XIVのハロゲン化物を使用して行われる。
【0180】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩の、あるいはアルカリもしくはアルカリ土類金属、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウムの弱酸の別の塩の添加も好都合な場合がある。
【0181】
カップリングおよびそれによってアスコルビン酸の骨格への活性化合物提供基の導入が完了した後、2および3位のヒドロキシル基が脱保護され、式I[式中、R1およびR2はヒドロキシルを示す]の化合物を生じさせる。これらのヒドロキシル基の、必要に応じて、上記で定義された通りの他の基R1およびR2への変換は、標準的な方法、例えばエーテル化、エステル化またはグリコシル化によって行われる。
【0182】
反応条件または概してエステル化法を変更することにより、現在の二次成分であるアスコルビン酸C−5エステル(特に実施例1については−(R)−1−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート)の合成を、この生成物が主成分を形成し、アスコルビン酸C−6エステル(特に実施例1については(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート)が0〜25%の量で形成されるような手法で改変することも可能である。ここで適切なエステル化法は、例えば酵素的エステル化である。
【0183】
本発明は、
a)式XIII:
【0184】
【化42】

【0185】
[式中、
1またはR2は、式Iについて上記されている意味のうちの1つを有する]
の化合物を、式XVIまたはXVII:
【0186】
【化43】

【0187】
[式中、
5〜R12は、式Iについて上記されている意味のうちの1つを有し、
Halは、Cl、Br、Iまたは活性エステルを示す]
の化合物と反応させること、
b)上記した通りの式XIIIの化合物のヒドロキシル基を保護して、式XV:
【0188】
【化44】

【0189】
[式中、
1またはR2は、式Iについて上記されている意味のうちの1つを有し、
基R1および/またはR2は、これらがヒドロキシル基である場合、その後、保護基SGに対する異なる反応条件下で再度切断できる第2の保護基によって保護される]
の化合物を生じさせ、
式XVの化合物の保護基SGを再度切断し、得られた化合物を式XVIまたはXVII:
【0190】
【化45】

【0191】
[式中、
5〜R12は、式Iについて上記されている意味のうちの1つを有し、
Halは、Cl、Br、Iまたは活性エステルを示し、
基R1および/またはR2は、その後ヒドロキシル基として脱保護され、これらのヒドロキシル基は、必要に応じて、上記した通り、別の基R1またはR2≠OHに変換される]
の化合物と反応させること
を特徴とする、式I[式中、基Bは式XIおよび/またはXIIの部分に対応する]の化合物の製造のための方法にも関する。
【0192】
式XVIまたはXVIIにおいて、Halは、好ましくはCl、BrまたはI、特に好ましくはClまたはBr、極めて特別に好ましくはClを示す。
【0193】
式XIIIの化合物の、式XVIまたはXVIIの化合物との反応は、概して、酸結合剤、好ましくはトリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンまたはキノリンなどの有機塩基の存在下、不活性溶媒中で行われる。
【0194】
アルカリもしくはアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩の、あるいはアルカリもしくはアルカリ土類金属、好ましくはカリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウムの弱酸の別の塩の添加も好都合な場合がある。
【0195】
ここでの反応は、当然ながら、上記した通り、古典的な保護基戦略または化学を介して行うこともできる。上記の通りの所見およびステップは、本発明によるこの反応にも当てはまる。
【0196】
記載されているアスコルビン酸誘導体は、織物または織物繊維と結合することができ、したがって基Bに応じていずれの場合もそれらの作用、例えばUV保護、酸化に対する保護を発展させることができるか、または含浸にも役立つ。したがって、望ましくない材料損傷は減少する。
【0197】
本発明によるアスコルビン酸誘導体[基Bは、UV放射を吸収し、少なくとも4個のπ電子の共役π電子系を有する置換基、好ましくはUVA−、UV−B−もしくはUV(A+B)吸収UVフィルターであるか、または式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/もしくはXIIの部分である]は、例えば老化防止効果も有し、アスコルビン酸由来の皮膚に対する利点を有する、すなわち、これらの誘導体は、例えば皮膚再生に役立ち、かつ(光)老化した皮膚のシワ減少を引き起こし、さらには、例えば皮膚の起伏密度を増加させ、または例えば真皮−表皮結合(パピラインデックス(papilla index))を強化する。それらは、UVによって誘発される損傷に対して皮膚を保護するか、または例えば皮膚漂白作用を有する。これらの誘導体は、例えば抗菌作用を有する、すなわち、汗のにおいを軽減する、または皮膚の汚染および/もしくは座瘡の場合、皮膚外観を改善することができる。
【0198】
本発明によるアスコルビン酸誘導体[基Bは、UV放射を吸収し、少なくとも4個のπ電子の共役π電子系を有する置換基、好ましくはUVA−、UV−B−もしくはUV(A+B)吸収UVフィルターであるか、または式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/もしくはXIIの部分である]は、毛髪と結合することができ、したがって、特に色および形態に関して、UV光または酸化によって引き起こされる毛髪損傷を抑制することができる。したがって、例えば毛髪の脱色に対して保護を提供することができる。
【0199】
本発明によるアスコルビン酸誘導体[基Bは、UV放射を吸収し、少なくとも4個のπ電子の共役π電子系を有する置換基、好ましくはUVA−、UV−B−もしくはUV(A+B)吸収UVフィルターであるか、または式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/もしくはXIIの部分である]は、窒素含有だけでなく、硫黄含有の毛髪官能基、例えばチオール基などとも結合することができる。化合物の良好な還元特性により、本発明によるアスコルビン酸誘導体は、例えばジスルフィド架橋の制御還元を介し、縮毛矯正のための、またはパーマネントウェーブ形成のためのヘアトリートメント製品において用いることができる。
【0200】
EP1728501は、ポリペプチドと結合するUVA光保護フィルターの使用について記載している。EP1728501の教示と同様に、本発明によるアスコルビン酸誘導体[基Bは、UV放射を吸収し、少なくとも4個のπ電子の共役π電子系を有する置換基、好ましくはUVA−、UV−B−もしくはUV(A+B)吸収UVフィルターであるか、または式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/もしくはXIIの部分である]は、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質と組み合わせるか、また適用前にアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質と結合することができる。
【0201】
マトリックスの官能化のための、本発明による化合物の好ましい使用に対応して、本発明はさらに、式I:
【0202】
【化46】

【0203】
[式中、
1またはR2は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシル、−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPO3MまたはO−グリコシルを示し、
アルキルは、C1〜C6−アルキルであり、
Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHであり、
3またはR4は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシルまたは基Bであり、
Bは、薬理、抗真菌、除草、殺虫もしくは化粧活性化合物の、X線造影剤の、または色素の基であるか、あるいは式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/またはXII:
【0204】
【化47】

【0205】
【化48】

【0206】
【化49】

【0207】
【化50】

【0208】
【化51】

【0209】
【化52】

【0210】
【化53】

【0211】
【化54】

【0212】
【化55】

【0213】
【化56】

【0214】
【化57】

【0215】
[式中、
5〜R16は、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示し、
Aは、1〜4個のC原子を有するアルキルであり、
nは、1〜25の整数であり、
Xは、カチオン[NHA2+および[NA3+に対する、またはアニオン[SO3-に対する対イオンであり、
YおよびZは、それぞれ互いに独立に、−アスコルビル、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、−O−ヘキシル、−OAまたは−NH−C(CH33である]
の置換基であり、
式IV中のR5〜R9については、R5〜R9の少なくとも1個の置換基が、A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す場合を除き、基H、OHおよびOAが除外され、
但し、基R3またはR4の少なくとも一方は基Bを表す]
の少なくとも一種の化合物を含む薬剤、例えば化粧、皮膚用または医薬組成物に関する。
【0216】
本発明による化合物または組成物の利点は、一例として実施例1に従って合成されたDHAB(アスコルビル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート)を表す図1において確認される通り、UVフィルターとしての吸収剤作用に加えて、特に、アスコルビン酸骨格の崩壊によるマトリックスの官能化時に発生する抗酸化作用、適切な場合、メイラード反応によって生じるセルフタンニング作用、および特に、式Iの化合物中の活性化合物基Bに応じて、活性化合物の固定化、したがって例えば固定化したUV保護作用に対応するか、または活性化合物、例えば薬理活性化合物の制御放出に対応する、マトリックスの官能化である。
【0217】
しかしながら、本発明による化合物は、構造上の理由により、抗酸化作用も有する。
【0218】
本発明の目的のために、組成物または配合物という用語は同意語として使用される。
【0219】
本明細書における薬剤は、通常、局所的に塗布することができるいずれかの組成物、例えば化粧、医薬または皮膚用配合物である。この場合、組成物は、化粧品として、薬学的にまたは皮膚科学的に適切なビヒクルを含み、所望の特性プロファイルに応じ、場合によってさらなる適切な成分を含む。局所用組成物は、好ましくは化粧または皮膚用組成物として、特に好ましくは化粧組成物として用いられる。
【0220】
式Iの化合物は、本発明に従って、一般に0.01〜20重量%の量、好ましくは0.05重量%〜10重量%の量で用いられる。当業者は、ここで組成物の意図した作用に応じた量を選択するとき、困難に直面することは全くない。
【0221】
マトリックスの官能化または結合の証拠は、いくつかの結合試験を参照して調査することができる。これらの結合試験については、実施例の部分で記載する。
【0222】
本発明による薬剤は、好ましくは可能な限り酸素を含まない、すなわち、薬剤は不活性ガス条件下で製造すべきである。
【0223】
さらに、含水量を低く保つことも有利である。その上、(重)金属イオンは既知のように酸化防止剤を不安定化させる場合があるため、これらの存在を限定することが有利である。したがって、本発明による薬剤は、例えば錯化剤を含み得る。製造および保存の間、本発明による物質および本発明による物質を含む薬剤を、UV放射、光および熱に対して保護すべきである。薬剤が水を含む場合、pHは、好ましくは酸性範囲内に設定すべきである。この点についてはあらゆる手段が当業者に既知である。
【0224】
しかしながら、酸化ストレスに対する、またはフリーラジカルの作用に対する保護作用は、本発明による薬剤または組成物が一種または複数のさらなる酸化防止剤を含む場合にさらに改善することができ、この場合、当業者は、迅速にまたは時間遅延様式で適切に作用する酸化防止剤を選択するとき、困難に直面することは全くない。
【0225】
酸化防止剤として使用することができる多数の実証済みの物質が専門文献から既知であり、例えば、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えばアンセリン)などのペプチド、カロテノイド、カロテン(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコピン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびにグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリルの、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、およびスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタチオニンスルホキシミン)を、非常に低い耐量(例えばpmol〜μmol/kg)で、ならびに(金属)キレート剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウム、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば酢酸ビタミンE)、ビタミンAおよび誘導体(例えばパルミチン酸ビタミンA)、ならびにベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)がある。
【0226】
適切な酸化防止剤は、一般式AまたはB:
【0227】
【化58】

【0228】
[式中、
1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42の群から選択することができ、
Xは、OまたはNHを示し、
2は、1〜30個のC原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルを示し、
3は、1〜20個のC原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルを示し、
4は、それぞれの場合において互いに独立に、Hまたは1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルを示し、
5は、1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたは1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルコキシを示し、
6は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル、好ましくは、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸および/または2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロン酸、特に好ましくはビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロネート(例えばOxynex(登録商標)ST液)および/またはビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロネート(例えばRonaCare(登録商標)AP)の誘導体を示す]
の化合物でもある。
【0229】
酸化防止剤の混合物も同様に、本発明による薬剤または組成物において使用するために適している。既知の市販の混合物は、例えば、レシチン、L−(+)−パルミチン酸アスコルビルおよびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)AP)、天然トコフェロール、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)K LIQUID)、天然源からのトコフェロール抽出物、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)L LIQUID)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−パルミチン酸アスコルビル、クエン酸およびレシチン(例えばOxynex(登録商標)LM)、またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−パルミチン酸アスコルビルおよびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)2004)を活性化合物として含む混合物である。この種の酸化防止剤は、通常、そのような組成物中に、式Iの化合物とともに、1000:1〜1:1000の範囲の比率で、好ましくは100:1〜1:100の量で用いられる。
【0230】
本発明による薬剤または組成物は、さらなる成分としてビタミンを含み得る。本発明による化粧組成物は、好ましくはビタミンA、プロピオン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、酢酸ビタミンA、レチノール、ビタミンB、塩化チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、コハク酸水素トコフェロール、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP活性化合物)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくはレチノール、ニコチンアミド、パルミチン酸ビタミンA、ビタミンCおよびその誘導体、DL−α−トコフェロール、酢酸トコフェロールE、ニコチン酸、パントテン酸ならびにビオチン、極めて特別に好ましくはレチノールまたはニコチンアミドから選択されるビタミンおよびビタミン誘導体を含む。ビタミンは、ここでは通常、式Iの化合物とともに、1000:1〜1:1000の範囲の比率で、好ましくは100:1〜1:100の量で用いられる。
【0231】
本発明に従って特に好ましい薬剤または組成物は、式Iの化合物に加えて、純粋なUVフィルターも含む。
【0232】
原理上は、すべてのUVフィルターが、本発明による式Iの化合物との組み合わせに適している。その生理的な受容性が既に立証されているUVフィルターが、特に好ましく選択される。UVAおよびUVBフィルターのいずれについても、多数の実証済みの物質が専門文献から既知であり、例えば、
3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−ショウノウ(例えばEusolex(登録商標)6300)、3−ベンジリデンショウノウ(例えばMexoryl(登録商標)SD)、N−{(2および4)−[(2−オキソボルン−3−イリデン)メチル]−ベンジル}アクリルアミドのポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SW)、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート(例えばMexoryl(登録商標)SK)または(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸(例えばMexoryl(登録商標)SL)などのベンジリデンショウノウ誘導体;
1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン(例えばEusolex(登録商標)9020)または4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン(例えばEusolex(登録商標)8020)などのベンゾイル−またはジベンゾイルメタン;
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えばEusolex(登録商標)4360)または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸などのベンゾフェノン、およびそのナトリウム塩(例えばUvinul(登録商標)MS−40);
メトキシ桂皮酸オクチル(例えばEusolex(登録商標)2292)、4−メトキシ桂皮酸イソペンチルなど、例えば異性体の混合物(例えばNeo Heliopan(登録商標)E1000)としてのメトキシ桂皮酸エステル;
2−サリチル酸エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OS)、4−サリチル酸イソプロピルベンジル(例えばMegasol(登録商標))または3,3,5−サリチル酸トリメチルシクロヘキシル(例えばEusolex(登録商標)HMS)などのサリチル酸塩誘導体;
4−アミノ安息香酸、2−エチルヘキシル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート(例えばEusolex(登録商標)6007)、エトキシ化エチル4−アミノベンゾエート(例えばUvinul(登録商標)P25)などの4−アミノ安息香酸および誘導体;
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩(例えばEusolex(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えばNeoheliopan(登録商標)AP)または2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−6−スルホン酸などのフェニルベンズイミダゾールスルホン酸;
ならびに、
・2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(例えばEusolex(登録商標)OCR)、
・3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルメタンスルホン酸、およびその塩(例えばMexoryl(登録商標)SX)および
・2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(例えばUvinul(登録商標)T150)
・ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(例えばUvinul(登録商標)UVA Plus、BASF)
などのさらなる物質がある。
【0233】
一覧中で言及されている化合物は、例にすぎないとみなすべきである。当然ながら、他のUVフィルターを使用することも可能である。
【0234】
これらの有機系UVフィルターは、概して、0.5〜10重量パーセント、好ましくは1〜8重量%の量で化粧配合物に組み込まれる。
【0235】
さらなる適切な有機系UVフィルターは、例えば、
・2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(INCI:ドロメトリゾールトリシロキサン、例えばMexoryl(登録商標)XL)、
・α−(トリメチルシリル)−ω−[トリメチルシリル)オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[および約6%のメチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル]および約1.5%のメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル)フェノキシ)プロペニル)および0.1〜0.4%の(メチル水素]−シリレン]](n≒60)(CAS番号207574−74−1)(INCI:ポリシリコーン−15、例えばParsol(登録商標)SLX)、
・2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール)(CAS番号103597−45−1)(INCI:メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、例えばTinosorb(登録商標)M)、
・2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、モノ−ナトリウム塩)(CAS番号180898−37−7)、
・2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS番号103597−45−、187393−00−6)(INCI:ビス−エチル−ヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、例えばTinosorb(登録商標)S)、または
・2−エチルヘキシル4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(ベンゾエート)(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、例えばUvasorb(登録商標)HEB)
である。
【0236】
有機系UVフィルターは、概して、0.5〜20重量パーセント、好ましくは1〜15重量%の量で化粧配合物に組み込まれる。
【0237】
考えられる無機系UVフィルターは、例えば被覆二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T−2000、Eusolex(登録商標)T−AQUA、Eusolex(登録商標)T−AVO)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄またはさらに酸化セリウムの群からのものである。これらの無機系UVフィルターは、概して、0.5〜20重量パーセント、好ましくは2〜10%の量で化粧組成物に組み込まれる。
【0238】
式Iの一種または複数の化合物とさらなるUVフィルターとの組み合わせにより、UV放射の損傷効果に対する保護作用を最適化することが可能となる。それにより、広域保護システムが生じ、無機系UVフィルターの添加によってこれを補足することもできる。
【0239】
前記UVフィルターはすべてカプセル形態で用いてもよい。特に、有機系UVフィルターをカプセル形態で用いることは有利である。詳細には、下記の利点が生じる:
・カプセル壁の親水性はUVフィルターの溶解性と無関係に設定することができる。したがって、例えば疎水性UVフィルターを純粋に水性の組成物に組み込むことも可能である。さらに、しばしば不快とみなされる、疎水性UVフィルターを含む組成物の塗布時の油性の印象が抑制される。
・いくつかのUVフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、化粧組成物中における光安定性の低下のみを呈する。これらのフィルターまたはこれらのフィルターの光安定性を損なう化合物、例えば桂皮酸誘導体などのカプセル化により、組成物全体の光安定性を増大させることが可能となる。
・有機系UVフィルターによる皮膚浸透およびヒトの皮膚への直接塗布時における刺激の関連可能性は、文献中において繰り返し論じられている。本明細書において提案されている、対応する物質のカプセル化は、この効果を抑制する。
・概して、個々のUVフィルターまたはその他の成分のカプセル化により、相互作用を抑制することから、結晶化プロセス、沈殿および集塊形成など、個々の組成物構成要素同士の相互作用によって引き起こされる組成物の問題を回避することが可能となる。
【0240】
したがって、本発明に従って、上述のUVフィルターのうちの一種または複数は、カプセル形態であることが好ましい。ここでは、カプセルは肉眼で見えないほど小さいことが有利である。上述の効果を達成するためには、カプセルが十分に安定であり、カプセル化された活性化合物(UVフィルター)は環境に幾分か放出されるのみか、全く放出されないことがさらに必要である。
【0241】
適切なカプセルは、無機または有機ポリマーの壁を有し得る。例えば、US6,242,099B1は、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンの壁を有する適切なカプセルの製造について記載している。本発明に従って特に好ましく用いられるカプセルは、出願WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084において記載されている通り、ソル−ゲル法によって得ることができる壁を有する。ここでもまた、その壁がシリカゲル(シリカ;未定義の酸化水酸化ケイ素)から構築されているカプセルが好ましく選択される。対応するカプセルの製造は、例えば引用されている特許出願から当業者には既知であり、これらの内容は明示的に本出願の主題に属する。
【0242】
カプセルは、好ましくは、カプセル化されたUVフィルターが上記に示した量で組成物中に存在することを確実にする量で、本発明による薬剤または組成物中に存在する。
【0243】
本発明による薬剤または組成物は、加えて、さらなる老化防止活性化合物、脂肪沈着防止活性化合物または従来の皮膚保護もしくは皮膚ケア活性化合物を含み得る。皮膚保護または皮膚ケア活性化合物は、原理上、当業者に既知のいかなる活性化合物であってもよい。
【0244】
特に好ましい老化防止活性化合物は、ピリミジンカルボン酸、アリールオキシム、ビオフラボノイド、ビオフラボノイド含有抽出物、クロモンまたはレチノイドである。
【0245】
ピリミジンカルボン酸は、好塩性微生物中で発生し、これらの有機体の浸透圧調節の一端を担う(E.A.Galinski et al.,Eur.J.Biochem.,149(1985),pages135〜139)。ピリミジンカルボン酸の中でも、ここで特に言及すべきは、エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸ならびにその誘導体である。これらの化合物は、水溶液および有機溶媒中で酵素およびその他の生体分子を安定化させる。それらの化合物はさらに、塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、塩化グアニジンおよびその他の化合物などの変性条件に対して特に酵素を安定化させる。
【0246】
エクトインおよびヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、薬剤において有利に使用することができる。特に、ヒドロキシエクトインは、皮膚疾患の治療用の薬剤の製造のために用いることができる。ヒドロキシエクトインおよび他のエクトイン誘導体の他の応用分野は、一般に、例えばトレハロースが添加物として使用されている分野である。したがって、ヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体を、乾燥酵母および細菌細胞中で保護剤として使用することができる。非グリコシル化医薬活性ペプチドおよびタンパク質、例えばt−PAなどの医薬品を、エクトインまたはその誘導体で保護してもよい。
【0247】
化粧用途の中でも、ここで特に言及すべきは、老化、乾燥または炎症を起こした皮膚のケアのためのエクトインおよびエクトイン誘導体の使用である。したがって、欧州特許出願EP−A−0671161は、特にエクトインおよびヒドロキシエクトインが、粉末、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、口紅、頬紅、メーキャップ、ケアクリームおよびサンスクリーン製剤などの化粧組成物において用いられることを記載している。
【0248】
ここでは、下記の式:
【0249】
【化59】

【0250】
[式中、
1は、基HまたはC18−アルキルであり、
2は、基HまたはC14−アルキルであり、
3、R4、R5およびR6は、それぞれ互いに独立に、H、OH、NH2およびC14−アルキルの群からの基である]
のピリミジンカルボン酸の使用が好ましく選択される。ピリミジンカルボン酸[式中、R2はメチルまたはエチル基であり、R1またはR5およびR6はHである]の使用が好ましく選択される。特に、ピリミジンカルボン酸エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)の使用が好ましく選択される。本発明による組成物は、好ましくはこの種のピリミジンカルボン酸を最大15重量%の量で含む。ピリミジンカルボン酸は、ここでは、好ましくは式Iの化合物に対して100:1〜1:100の比率で用いられ、1:10〜10:1の範囲の比率が特に好ましい。
【0251】
アリールオキシムの中でも、HMLO、LPOまたはF5としても知られる2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムの使用が好ましく選択される。化粧剤に使用するためのその適合性は、例えばDE−A−4116123において開示されている。したがって、2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む組成物は、炎症を伴う皮膚疾患の治療に適している。本明細書における組成物は、好ましくは0.01〜10重量%のアリールオキシムを含み、組成物が0.05〜5重量%のアリールオキシムを含むことが特に好ましい。
【0252】
既知のビオフラボノイドは、例えばトロキセルチン、ティリロサイド、α−グルコシルルチン、ルチンまたはイソケルセチンであり、前記選択肢は制限的効果を有することを意図するものではない。
【0253】
ビオフラボノイド含有抽出物は、例えばイチョウ葉エキスまたはエンブリカである。
【0254】
既知の老化防止物質は、例えばEP1508327に記載されているように、やはりクロモンであるか、またはレチノイド、例えばレチノール(ビタミンA)、レチノイン酸、レチンアルデヒドもしくはさらにビタミンAの合成的に改変した化合物である。
【0255】
記載されているクロモンおよびレチノイドは、同時に効果的な脂肪沈着防止活性化合物でもある。同様に既知の脂肪沈着防止活性化合物は、カフェインである。
【0256】
薬剤は、前記必要なまたは任意選択の構成要素または制限を含むもしくは備える、本質的にそれらからなる、またはそれらからなるものであってよい。薬剤または組成物中に使用することができる化合物または成分はすべて、既知であって市販されているか、既知の方法によって合成することができるかのいずれかである。
【0257】
式Iの一種または複数の化合物は、従来の様式で化粧または皮膚用組成物に組み込むことができる。適切な組成物は、例えばクリーム、ローション、ゲルの形態の、または皮膚に噴霧することができる溶液としての外用のものである。
【0258】
本発明による組成物の適用形態のうち言及され得る例は、溶液、懸濁液、エマルション、PITエマルション、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製剤、油、エアロゾルおよび噴霧剤である。その他の適用形態の例は、スティック、シャンプーおよびシャワー用組成物である。あらゆる所望の慣習的なビヒクル、助剤および必要に応じてさらなる活性化合物を組成物に添加してもよい。
【0259】
好ましい助剤は、保存料、安定剤、可溶化剤、着色剤、臭気改善剤の群に由来する。
【0260】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、慣習的なビヒクル、例えば動物性および植物性脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの物質の混合物を含み得る。
【0261】
粉末および噴霧剤は、慣習的なビヒクル、例えばラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含み得る。噴霧剤は、慣習的な噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルをさらに含んでもよい。
【0262】
溶液およびエマルションは、溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、ジメチルカプラミド、ジメチルイソソルビド、油、特に綿実油、落花生油、小麦胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などの慣習的なビヒクルを含み得る。
【0263】
好ましい用途において、本発明によるアスコルビン酸誘導体は、説明されている通り、使用直前に塗布に適した配合物に変換される。例えば、その物質は上記した通りビヒクル中に溶解され、皮膚、または好ましくは毛髪に直接塗布される。この意味で特に適切なビヒクルは、Arlasolve DMI(ジメチルイソソルビド)、ブチレングリコール、Finsolv(登録商標)PG−22(ジプロピレングリコールジベンゾエート)またはPelemol(登録商標)BIP(ブチルフタルイミドイソプロピルフタルイミド)である。
【0264】
懸濁液は、液体希釈剤、例えば水、エタノールもしくはプロピレングリコール、懸濁媒体、例えばエトキシ化されたイソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、またはこれらの物質の混合物などの慣習的なビヒクルを含み得る。
【0265】
石鹸は、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖類、またはこれらの物質の混合物などの慣習的なビヒクルを含み得る。
【0266】
界面活性剤含有クレンジング製品は、脂肪アルコール硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、タウリン酸メチル、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物および合成油、ラノリン誘導体、エトキシ化されたグリセロール脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などの慣習的なビヒクルを含み得る。
【0267】
顔および身体用の油は、脂肪酸エステルなどの合成油、脂肪アルコール、シリコーン油、植物油および油性植物抽出物などの天然油、パラフィン油、ラノリン油、またはこれらの物質の混合物などの慣習的なビヒクルを含み得る。
【0268】
さらなる典型的な化粧品適用形態はまた、口紅、リップケアスティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、頬紅、パウダーメーキャップ、エマルションメーキャップおよびワックスメーキャップ、ならびにサンスクリーン、日焼け前用および日焼け後用製剤である。
【0269】
本発明による好ましい組成形態は、特にエマルションを含む。
【0270】
本発明によるエマルションは有利であり、例えば前記脂肪、油、ワックスおよびその他の脂質、ならびにこの種の組成物に通常使用されるような水および乳化剤を含む。
【0271】
脂質相は、下記の物質の群から有利に選択することができる:
・鉱油、ミネラルワックス;
・カプリンまたはカプリリン酸のトリグリセリドなどの油、さらに、例えばヒマシ油などの天然油;
・脂肪、ワックスならびにその他の天然および合成脂質、好ましくは低炭素数を有するアルコールを持つ、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールを持つ脂肪酸のエステル、または低炭素数を有するアルカン酸を持つ、もしくは脂肪酸を持つ脂肪アルコールのエステル;
・ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンおよびその混合形態などのシリコーン油。
【0272】
本発明の目的のために、エマルション、オレオゲルまたは水分散液もしくは脂質分散液の油相は、3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸ならびに3〜30個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルコールのエステルの群から、3〜30個のC原子の鎖長を有する芳香族カルボン酸ならびに飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルコールのエステルの群から有利に選択される。この種のエステル油は、このとき、群:ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシルならびにこの種のエステルの合成、半合成および天然混合物、例えばホホバ油から有利に選択することができる。
【0273】
油相は、さらに、分岐および非分岐炭化水素および炭化水素ワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルの群、飽和または不飽和の、分岐または非分岐アルコール、ならびに脂肪酸トリグリセリド、具体的には、8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルの群から有利に選択することができる。脂肪酸トリグリセリドは、例えば、合成、半合成および天然油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、パーム油、ココナツ油、パーム核油などの群から有利に選択することができる。
【0274】
この種の油およびワックス成分の任意の所望の混合物を、本発明の目的のために有利に用いることもできる。ワックス、例えばパルミチン酸セチルを、油相の唯一の脂質成分として用いることも有利となり得る。
【0275】
油相は、イソステアリン酸2−エチルヘキシル、オクチルドデカノール、イソノナン酸イソトリデシル、イソエイコサン、ヤシ油脂肪酸2−エチルヘキシル、C1215−アルキルベンゾエート、カプリリル/カプリル酸トリグリセリド、ジカプリルエーテルの群から有利に選択される。
【0276】
特に有利なのは、C1215−アルキルベンゾエートおよびイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物、C1215−アルキルベンゾエートおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物、ならびにC1215−アルキルベンゾエート、イソステアリン酸2−エチルヘキシルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物である。
【0277】
炭化水素の中でも、パラフィン油、スクアランおよびスクアレンは本発明の目的のために有利に使用することができる。
【0278】
さらに、油相は有利にも、ある含有量の環状または直鎖シリコーン油を有するか、または完全にこの種の油からなることもできるが、シリコーン油またはシリコーン油類に加えてさらなる含有量の他の油相成分を使用することが好ましい。
【0279】
本発明に従って使用されるシリコーン油は、有利にもシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)である。しかしながら、本発明の目的のために、他のシリコーン油、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)を使用することも有利である。
【0280】
シクロメチコンおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物、シクロメチコンおよびイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物も特に有利である。
【0281】
本発明による組成物の水相は、場合によって、有利にも、低炭素数を有するアルコール、ジオールまたはポリオールおよびそのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルおよび類似生成物、さらに、低炭素数を有するアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、および特に、一種または複数の増粘剤を含み、これらは有利なことに、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類およびその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの群から、特に有利なことにポリアクリル酸塩の群、好ましくはいわゆるカルボポール(Carbopol)、例えばカルボポール等級980、981、1382、2984、5984の群からのポリアクリル酸塩を、いずれの場合にも個々にまたは組み合わせて選択することができる。
【0282】
特に、上述の溶媒の混合物が使用される。アルコール溶媒の場合、水がさらなる構成要素となり得る。
【0283】
本発明によるエマルションは有利であり、例えば前記脂肪、油、ワックスおよびその他の脂質、ならびにこの種の配合物に通常使用されるような水および乳化剤を含む。
【0284】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、親水性界面活性剤を含む。
【0285】
親水性界面活性剤は、好ましくは、アルキルグルコシド、アシルラクチレート、ベタインおよびココナツアンホ酢酸塩の群から選択される。
【0286】
アルキルグルコシドは、それ自体、構造式:
【0287】
【化60】

【0288】
[式中、Rは4〜24個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を表し、
【0289】
【数1】

【0290】
は、2までの平均グルコシル化度を示す]
によって識別されるアルキルグルコシドの群から有利に選択される。
【0291】
値:
【0292】
【数2】

【0293】
は、本発明に従って使用されるアルキルグルコシドのグルコシド化度を表し、
【0294】
【数3】

【0295】
[式中、p1、p2、p3...piは、1、2、3...i倍グルコシル化した生成物の割合を重量パーセントで表す]
として定義される。本発明に従って有利なのは、1〜2、特に有利には1.1〜1.5、極めて特別に有利には1.2〜1.4、特に1.3のグルコシル化度を有する生成物の選択である。
【0296】
値DPは、アルキルグルコシドが、その製造の結果として、一般にモノ−およびオリゴグルコシドの混合物を提示するという事実を考慮したものである。本発明に従って、比較的高含有量、一般に約40〜70重量%のモノグルコシドが有利である。
【0297】
本発明に従って特に有利に使用されるアルキルグリコシドは、オクチルグルコピラノシド、ノニルグルコピラノシド、デシルグルコピラノシド、ウンデシルグルコピラノシド、ドデシルグルコピラノシド、テトラデシルグルコピラノシドおよびヘキサデシルグルコピラノシドの群から選択される。
【0298】
天然または合成原料および助剤、または本発明に従って使用される有効含有量の活性化合物によって識別される混合物、例えばPlantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA)、Oramix(登録商標)NS10(Seppic)を用いることも同様に有利である。
【0299】
アシルラクチレートは、それ自体、構造式:
【0300】
【化61】

【0301】
[式中、
1は、1〜30個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を示し、
+は、アルカリ金属イオンの群および1個もしくは複数のアルキルおよび/または1個もしくは複数のヒドロキシアルキル基で置換されているアンモニウムイオンの群から選択されるか、またはアルカリ土類金属イオンの半当量に対応する]
によって識別される物質の群から有利に選択される。
【0302】
例えば、ナトリウムイソステアリルラクチレート、例えばAmerican Ingredients Companyの製品Pathionic(登録商標)ISLが有利である。
【0303】
ベタインは、構造式:
【0304】
【化62】

【0305】
[式中、R2は、1〜30個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を示す]
によって識別される物質の群から有利に選択される。
【0306】
2は、特に有利には6〜12個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を示す。
【0307】
例えば、カプラミドプロピルベタイン、例えばTh.Goldschmidt AGの製品Tego(登録商標)ベタイン810が有利である。
【0308】
本発明に従って有利なココナツアンホ酢酸塩は、例えばMiranol Chemical Corp.から商品名Miranol(登録商標)UltraC32で市販されているような、ココナツアンホ酢酸ナトリウムである。
【0309】
本発明による組成物は、有利なことに、親水性界面活性剤(複数可)が、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で(いずれの場合も組成物の総重量に基づく)存在することを特徴とする。
【0310】
使用するために、本発明による化粧および皮膚用組成物は、化粧品に通常の様式で十分な量、皮膚および/または毛髪に塗布される。
【0311】
本発明による化粧および皮膚用組成物は、種々の形態で存在し得る。したがって、それらの組成物は、例えば溶液、水を含まない組成物、油中水(W/O)型もしくは水中油(O/W)型のエマルションもしくはマイクロエマルション、例えば水中油中水(W/O/W)型の多重エマルション、ゲル、固形スティック、軟膏またはエアロゾルであってよい。カプセル形態で、例えばコラーゲンマトリックスおよび例えばセルロースカプセル化などの他の従来のカプセル化材料、ゼラチン、ワックスマトリックスまたはリポソームカプセル化して、エクトインを投与することも有利である。特に、DE−A4308282に記載されている通りのワックスマトリックスは、好都合であることが実証済みである。エマルションが好ましく選択される。O/Wエマルションが特に好ましい。エマルション、W/OエマルションおよびO/Wエマルションは、従来の様式で得ることができる。
【0312】
使用できる乳化剤は、例えば既知のW/OおよびO/W乳化剤である。本発明による好ましいO/Wエマルション中において、さらに従来の共乳化剤を使用することが有利である。
【0313】
本発明に従って有利な共乳化剤は、例えば、O/W乳化剤が飽和基RおよびR’を有する限り、主に、11〜16のHLB値を有する、極めて特別に有利には14.5〜15.5のHLB値を有する物質の群からのO/W乳化剤である。O/W乳化剤が不飽和基Rおよび/もしくはR’を有する場合、またはイソアルキル誘導体の場合、そのような乳化剤の好ましいHLB値はより低くも高くもなり得る。
【0314】
エトキシ化されたステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)の群から脂肪アルコールエトキシレートを選択することが有利である。特に下記が好ましく選択される:
ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス−20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス−12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス−20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス−20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス−20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス−12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス−13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス−14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス−15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス−12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス−12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス−20)。
【0315】
下記の群:
ステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(12)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(13)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(14)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(15)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(16)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(17)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(18)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(19)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、オレイン酸ポリエチレングリコール(12)、オレイン酸ポリエチレングリコール(13)、オレイン酸ポリエチレングリコール(14)、オレイン酸ポリエチレングリコール(15)、オレイン酸ポリエチレングリコール(16)、オレイン酸ポリエチレングリコール(17)、オレイン酸ポリエチレングリコール(18)、オレイン酸ポリエチレングリコール(19)、オレイン酸ポリエチレングリコール(20)
から、脂肪酸エトキシレートを選択することが、さらに有利である。
【0316】
有利に使用できるエトキシ化されたアルキルエーテルカルボン酸またはその塩は、ラウレス−11カルボン酸ナトリウムである。有利に使用できるアルキルエーテル硫酸塩は、ラウレス−14硫酸ナトリウムである。有利に使用できるエトキシ化されたコレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ソヤステロールも成功することが実証済みである。有利に使用できるエトキシ化されたトリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)ツキミソウグリセリドである。
【0317】
ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(6)グリセリルカプレート/カプリネート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレエート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアレート、ポリエチレングリコール(18)グリセリルオレエート/ココエートの群から、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルを選択することは、さらに有利である。
【0318】
ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレエートの群から、ソルビタンエステルを選択することも、同様に好都合である。
【0319】
任意選択のW/O乳化剤であるにもかかわらず、本発明に従って有利に用いることができるものは、下記:
8〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコール;8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル;8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のジグリセロールエステル;8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルコールのモノグリセロールエーテル;8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルコールのジグリセロールエーテル;8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル;ならびに8〜24個、特に12〜18個のC原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のソルビタンエステル
である。
【0320】
特に有利なW/O乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリル酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリル酸ソルビタン、モノカプリル酸ソルビタン、モノイソオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、モノラウリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリルまたはPEG30ジポリヒドロキシステアレートである。
【0321】
記載されている薬剤または組成物は、UV放射、老化プロセスおよび酸化ストレスに対して、すなわちフリーラジカルによって引き起こされる損傷に対してヒトの皮膚を保護するために特に適している。これに関連して、それらの薬剤および組成物はこの用途に通常使用される種々の投与形態である。例えば、組成物は、特に、ローションまたはクリームもしくは乳液(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)の形態などのエマルションの形態、油性−アルコール性、油性−水性もしくは水性−アルコール性のゲルまたは溶液の形態、固形スティックの形態であってもよいし、エアロゾルとして配合されてもよい。
【0322】
組成物は、例えば増粘剤、軟化剤、保湿剤、表面活性剤、乳化剤、保存料、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、色素および/または組成物自体もしくは皮膚を着色する顔料、ならびに化粧品において通常使用される他の成分など、この種の組成物において通常使用される化粧用アジュバントを含み得る。
【0323】
使用される色素は、好ましくはCosmetics Regulation,Annex3にポジティブリストとして掲載されている認可色素である。
【0324】
使用される保存料は、好ましくはCosmetics Regulation,Annex6にポジティブリストとして掲載されている認可保存料、または例えばWO2004/0092283もしくはWO2004/091567に記載されている通りの抗菌顔料である。
【0325】
したがって、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオネート塩または非常に多数のアンモニウム化合物も適切な保存料である。
【0326】
極めて特別に好ましい保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニルウレア、デヒドロキシ酢酸ナトリウムまたはベンジルアルコールである。保存料は、0.5乃至2重量%の量で用いられる。
【0327】
エモリエントまたは軟化剤は化粧組成物に組み込まれることが多い。これらは、好ましくは、組成物全体に基づいて、0.5〜50重量%、好ましくは5乃至30重量%で用いられる。一般に、軟化剤は、例えばエステル、脂肪酸または脂肪アルコール、ポリオール、炭化水素ワックス、および少なくとも1つのアミド構造単位を含有する油のカテゴリなど、分類別に分けることができる。
【0328】
少なくとも1つのアミド構造単位を含有する代表的な油は、それらの合成とともに特にEP1044676およびEP0928608に記載されている。示されている特に好ましい化合物は、イソプロピルN−ラウロイルサルコシネートであり、これは味の素社から製品名Eldew SL−205で市販されている。
【0329】
エステルの中でも、モノ−またはジエステルを選択することができる。この点における例は、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、ダイマー酸ジイソプロピルまたはコハク酸ジオクチルである。分岐脂肪酸エステルは、例えばミリスチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピルまたはパルミチン酸イソステアリルである。三塩基性エステルは、例えばトリリノール酸トリイソプロピルまたはクエン酸トリラウリルである。直鎖脂肪酸エステルは、例えばパルミチン酸ラウリル、乳酸ミリスチル、エルカ酸オレイルまたはオレイン酸ステアリルである。好ましいエステルは、ココ−カプリレート/カプレート(=INCI名、これらは飽和中鎖脂肪酸を有するココナツ脂肪アルコールから作られたエステルである)、酢酸プロピレングリコールミリスチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピルまたはオクタン酸セチルである。
【0330】
適切な脂肪アルコールおよび酸は、10〜20個のC原子を有する化合物である。特に好ましい化合物は、セチル、ミリスチル、パルミチンもしくはステアリンアルコールまたは酸である。
【0331】
適切なポリオールは、直鎖または分岐鎖のアルキルポリヒドロキシル化合物、例えばプロピレングリコール、ソルビトールまたはグリセロールである。しかしながら、高分子ポリオール、例えばポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを用いることも可能である。ブチレングリコールおよびプロピレングリコールは浸透能力を高めるためにも特に適切な化合物である。
【0332】
軟化剤としての炭化水素の例は、概して12〜30個のC原子を有する化合物である。具体的な例は、安息香酸アリールアルキル、安息香酸アルキル、鉱油、ワセリン、スクアレンまたはイソパラフィンである。
【0333】
さらなるエモリエントまたは疎水化剤は、好ましくはC12〜C15アルキルベンゾエート、アジピン酸ジオクチル、ステアリン酸オクチル、オクチルドデカノール、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、シクロメチコン、ジカプリリルエーテル、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、カプリリル/カプリルグリセリド、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコールまたはオレイン酸デシルである。
【0334】
本発明の意味での化粧組成物の機能性成分のさらなるカテゴリは増粘剤である。増粘剤は、総量に基づいて、一般に0.1乃至20重量%、好ましくは0.5乃至10重量%の量で用いられる。これらの化合物の例は、B.F.Goodrich Companyから商標名Carbopolで市販されている架橋ポリアクリレート材料である。キサンタンゴム、カラギーナンゴム、ゼラチンゴム、カラヤゴム、ペクチンゴムまたはイナゴマメ種子粉末などの増粘剤を使用することも可能である。
【0335】
ある特定の状況下では、化合物が増粘剤およびさらに軟化剤の両方であることが可能である。その例は、シリコーンゴム(動粘性率>10センチストーク)、例えばステアリン酸グリセロールなどのエステル、またはセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロースである。
【0336】
使用される分散剤または可溶化剤は、油、ワックスもしくはその他の脂質、低級モノアルコールもしくは低級ポリオールまたはその混合物であってもよい。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールは、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールを含む。
【0337】
本発明の好ましい実施形態は、式Iの化合物に加えて、例えば脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然および合成油またはワックスおよび乳化剤を水の存在下で含む、保護クリームまたは乳液の形態のエマルションである。
【0338】
さらに好ましい実施形態は、天然もしくは合成油およびワックス、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリドをベースとした油性ローション、あるいは、エタノールなどの低級アルコールもしくはプロピレングリコールなどのグリセロール、および/またはグリセロールなどのポリオール、ならびに油、ワックスおよび脂肪酸のトリグリセリドなどの脂肪酸をベースとした油性−アルコール性ローションである。
【0339】
本発明による組成物または薬剤は、エタノール、プロピレングリコールまたはグリセロールなどの一種または複数の低級アルコールまたはポリオールとケイ質土などの増粘剤とを含むアルコール性ゲルの形態であってもよい。油性−アルコール性ゲルも、天然もしくは合成油またはワックスを含む。
【0340】
固形スティックは、天然または合成ワックスおよび油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンならびにその他の脂質からなる。
【0341】
組成物をエアロゾルとして配合する場合、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンなどの慣習的な噴射剤が一般に使用される。
【0342】
化粧組成物を使用して、変色、脱色または機械的性質の損傷を防止するために光化学的損傷に対して毛髪を保護することもできる。この場合、適切な配合物は、リンスアウトシャンプー、ローション、ゲルまたはエマルションの形態であり、問題の組成物は、洗髪の前もしくは後、着色もしくは脱色の前もしくは後、またはパーマネントウェーブの前もしくは後に塗布される。毛髪をスタイリングおよびトリートメントするためのローションまたはゲルの形態、ブラッシングまたはブローカールのためのローションまたはゲルの形態、ヘアラッカー、パーマネントウェーブ用組成物、毛髪用の着色剤または脱色剤の形態の組成物を選択することも可能である。光保護特性を有する組成物は、式Iの化合物に加えて、表面活性剤、増粘剤、ポリマー、軟化剤、保存料、気泡安定剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、油、ワックス、抗グリース剤、色素および/または組成物自体もしくは毛髪を着色する顔料、または毛髪のケアのために通常使用される他の成分など、この種の組成物において使用される種々のアジュバントを含み得る。
【0343】
本発明はさらに、式Iの少なくとも一種の化合物が、ビヒクルおよび場合によってさらなる活性化合物または助剤と混合されることを特徴とする、上記した通りの薬剤の製造のための方法に関する。本発明は、上記した通りの基を含有する式Iの少なくとも一種の化合物が、化粧品として、薬学的にまたは皮膚科学的に適切なビヒクルと混合されることを特徴とする組成物の製造のための方法にも関する。
【0344】
本発明による組成物または薬剤は、ここでは当業者に既知の技術の援助により製造することができる。
【0345】
混合は、ビヒクル中における式Iの化合物の溶解、乳化または分散をもたらし得る。
【0346】
以下、実施例を参照して本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、請求項に記載の範囲全体にわたって行うことができ、本明細書に記載されている実施例に制限されるものではない。
【0347】
〔実施例〕
使用される略語の一覧:
eq. 当量
DCC ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP ジメチルアミノピリジン
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
EA 酢酸エチル
EG エチレングリコール
sat. 飽和
conc. 濃
1N HCl 1N塩酸
i−PrOH イソプロパノール
soln. 溶液
MeCN アセトニトリル
MTBE メチルtert−ブチルエーテル
org. 有機
RT 室温
hr. 時間
T 温度
THF テトラヒドロフラン
<実施例1>
(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(または同意語としてアスコルビル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート)の合成
【0348】
【化63】

【0349】
アルゴンフラッシュ装置中の70mlのconc.硫酸中にビタミンC(14.1g、79.78mmol、5eq.)を少量ずつ導入する。この動作中、氷冷却によって内部温度を5℃未満に保つ。その後、同様にT<5℃で5gの2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(16mmol、1eq.)を少量ずつ導入する。96hr.の反応時間(室温まで解凍)後、350mlの氷水中に反応液を注ぐ。140mlの32%NaOHsoln.を冷却しながら滴下添加する。紫色油が形成し、これを水溶液(soln.)から分離する。水soln.を捨て、酢酸エチルで3回抽出する。硫酸ナトリウムで乾燥後、真空下で溶媒を除去し、生成物を黄色泡状物(5.5g、73.8%)として得る。
融解範囲:90〜120℃
この反応手順において、合成の結果として化合物(R)−1−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)−ベンゾエートも形成する。混合物中におけるこの化合物の割合は、0乃至25%である。
【0350】
【化64】

【0351】
実施例1からの生成物のUVスペクトルを図1に示す。
【0352】
pHに応じて、これらの化合物は、化合物(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートについて以下に示す通りの部分電荷:
アンモニウム化合物としての
【0353】
【化65】

【0354】
両性イオン化合物としての
【0355】
【化66】

【0356】
または、アスコルビン酸塩としての
【0357】
【化67】

【0358】
を担持することができる。
【0359】
(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートのNMRデータ
1H−NMR(D6−DMSO):1.10(t,6H)、3.39(q,4H)、3.98(m,1H)、4.13(dd,1H)、4.20(dd,1H)4.57(d,1H)、5.35(d,1H)、6.07(d,1H)、6.18(dd,1H)、6.81(d,1H)、7.43(dd,1H)、7.65(dt,1H)、7.74(dt;1H)、8.08、(dd,1H)、8.33(br,1H)、11.03(br,1H)、12.47(s,1H)ppm
13C−NMR(D6−DMSO):12.4、20.7、44.1、65.3、74.9、96.4、104.1、109.0、118.1、127.9、128.1、129.5、130.2、132.6、134.2、140.2、152.1、153.7、164.8、165.0、169.9、197.5ppm
<実施例2>
2−(3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートの別途合成
【0360】
【化68】

【0361】
10gの5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸塩(46.3mmol、1eq.、Merck−Schuchardtから入手可能、8.18234)を、30mlのTHFおよび35mlのDMSO中に溶解し、19.2gの炭酸カリウムを添加し、13mlの臭化ベンジル(110mmol、2.4eq.)を滴下添加する。50℃で3hr.後、ガスの発生が完了する。固体をろ過除去し、毎回100mlの酢酸エチルで3回抽出する。組み合わされた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去し、さらに精製することなく事実上定量的に生成物を得る。
【0362】
【化69】

【0363】
ジ−ベンジル保護された5,6−イソプロピリデンアスコルビン酸塩を65mlのTHF中に溶解し、30mlの2N HClを室温でゆっくり添加する。48hr.後、150mlのMTBEおよび固体塩化ナトリウムを飽和するまで添加し、混合物を抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去し、さらに精製することなく事実上定量的に生成物を得る。
【0364】
【化70】

【0365】
ステップB)からのジ−ベンジル保護されたアスコルビン酸塩(2.14g、6mmol、1eq.)を、アルゴンフラッシュフラスコ中のDMAP(73mg、0.6mmol、0.1eq.)および1.88gの2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(6mmol、1eq.)を含む11mlのアセトニトリルに溶解する。続いてEDC(1.7g、9mmol、1.5eq.)を0℃で少量ずつ添加する。混合物をRTまで温め、22hr.後、真空下で溶媒を除去する。残留物を50mlの酢酸エチルおよび50mlの1N NaOHsoln.にとり、抽出する。その後、org.相を2×50mlの1N HClおよび1×50mlのsat.NaClsoln.で抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去し、シリカゲルを通すろ過後、生成物を得る。
【0366】
【化71】

【0367】
ステップC)からの出発原料を酢酸エチル中に溶解し、1〜5バールの水素圧力下、Pd/C触媒を使用して還元する。触媒のろ過後、シリカゲルを通すろ過によって生成物を精製する。
【0368】
<実施例3>
フルオレセイン6−O−アスコルビン酸塩(2−(3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)−ベンゾエート)の合成
【0369】
【化72】

【0370】
50mlのconc.硫酸を最初にアルゴンフラッシュ三口フラスコに導入し、0℃まで冷却する。14.05g(79.8mmol、5eq.)のアスコルビン酸、その後6.05gのフルオレセイン−ナトリウム(15.96mmol、1eq.)を少量ずつ添加する。室温で16hr.の反応時間後、反応液を250gの氷上に注ぎ、80gの塩化ナトリウムで飽和させ、150mlのエチルメチルケトンで3回抽出する。組み合わされたorg.相を100mlのsat.NaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去する。酢酸エチルからの結晶化により、生成物を赤色固体として得る。
【0371】
<実施例4>
ソルビン酸6−O−アスコルビン酸塩[2−(3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル(2E,4E)−ヘキサ−2,4−ジエノエート]の合成
【0372】
【化73】

【0373】
5gのソルビン酸を三口フラスコ中の50mlのジオキサンに溶解し、5.6gのN−ヒドロキシスクシンイミド(49mmol、1.1eq.)および10.1gのDCC(49mmol、1.1eq.)を連続的に添加する。室温で16hr.の反応時間後、50mlの水中に溶解した39.3g(223mmol、5eq.)のアスコルビン酸を添加し、混合物を室温で16h攪拌する。真空下で溶媒を除去し、残留物を100mlのジクロロメタンと100mlの水とに分配し、抽出する。硫酸ナトリウムで乾燥後、真空下で溶媒を除去する。酢酸エチルからの結晶化により、生成物を白色固体として得る。
【0374】
<実施例5>
インドメタシン6−O−アスコルビン酸塩{2−(3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル[1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル]アセテート}の合成
【0375】
【化74】

【0376】
50mlのconc.硫酸を最初にアルゴンフラッシュ三口フラスコに導入し、0℃まで冷却する。14.05g(79.8mmol、5eq.)のアスコルビン酸、その後5.71gのインドメタシン(15.96mmol、1eq.)を少量ずつ添加する。室温で16hr.の反応時間後、反応液を250gの氷上に注ぎ、80gの塩化ナトリウムで飽和させ、150mlのエチルメチルケトンで3回抽出する。組み合わされたorg.相を100mlのsat.NaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去する。酢酸エチルからの結晶化により、生成物を白色固体として得る。
【0377】
<実施例6>
2,4,6−トリヨード−3−アミノアセチル安息香酸O−アスコルビン酸塩[2−(3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル3−アセチルアミノ−2,4,6−トリヨードベンゾエート]の合成
【0378】
【化75】

【0379】
50mlのconc.硫酸を最初にアルゴンフラッシュ三口フラスコに導入し、0℃まで冷却する。14.05g(79.8mmol、5eq.)のアスコルビン酸、その後8.89gの2,4,6−トリヨード−3−アミノアセチル安息香酸(15.96mmol、1eq.)を少量ずつ添加する。室温で16hr.の反応時間後、反応液を250gの氷上に注ぎ、80gの塩化ナトリウムで飽和させ、150mlのエチルメチルケトンで3回抽出する。組み合わされたorg.相を100mlのsat.NaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去する。酢酸エチルからの結晶化により、生成物を白色固体として得る。
【0380】
<実施例7>
パラ−ジエチルアミノ安息香酸6−O−アスコルビン酸塩の合成
【0381】
【化76】

【0382】
40mlのconc.硫酸を最初にアルゴンフラッシュ三口フラスコに導入し、0℃まで冷却する。11.39g(64.69mmol、5eq.)のアスコルビン酸、その後2.5gのパラ−ジエチルアミノ安息香酸(12.94mmol、1eq.)を少量ずつ添加する。続いて、8mlの発煙硫酸(65%のSO3を含有する硫酸)を滴下添加する。60℃で16hr.の反応時間後、反応液を120gの氷上に注ぎ、60gの塩化ナトリウムで飽和させ、100mlのエチルメチルケトンで3回抽出する。組み合わされたorg.相を80mlのsat.NaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去する。酢酸エチルからの結晶化により、生成物を固体として得る。
【0383】
この反応手順において、合成の結果として化合物パラ−ジエチルアミノ安息香酸5−O−アスコルビン酸塩も形成する。混合物中におけるこの化合物の割合は、0乃至25%である。
【0384】
【化77】

【0385】
<実施例8>
(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル3−ベンゾトリアゾール−2−イル−4−ヒドロキシベンゾエートの合成
【0386】
【化78】

【0387】
265mlのconc.硫酸を最初にアルゴンフラッシュ三口フラスコに導入し、0℃まで冷却する。124.2g(0.705mol、3eq.)のアスコルビン酸、その後60gの3−ベンゾトリアゾール−2−イル−4−ヒドロキシ安息香酸(0.235mol、1eq.)を少量ずつ添加する。続いて、73.7mlの発煙硫酸(65%のSO3を含有する硫酸)を滴下添加する。45℃で5hr.の反応時間後、反応液を1000gの氷上に注ぎ、200gの塩化ナトリウムで飽和させ、1000mlのエチルメチルケトンで3回抽出する。組み合わされたorg.相を500mlのsat.NaCl溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で溶媒を除去する。酢酸エチルからの結晶化により、生成物を白色固体として得る。
【0388】
<実施例9>
2−エチルヘキシル(E)−3−{4−[(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエトキシ]フェニル}アクリレートの合成
【0389】
【化79】

【0390】
20gのアスコルビン酸(113.5mmol、1eq.)をアルゴンフラッシュ三口フラスコ中の100mlのジメチルホルムアミドに溶解し、32.76gのトリフェニルホスフィンを添加し、25.3gのアゾジカルボン酸ジイソプロピル(124.9mmol、1.1eq)を0℃でゆっくり滴下添加する。30分後、45mlのジメチルホルムアミド中に溶解した2−エチルヘキシル(E)−3−(4−ヒドロキシフェニル)アクリレート(32.95g、1.05eq、119.2mmol)を滴下添加する。0℃で30分後、混合物を室温でさらに6hr.攪拌する。反応液を蒸発乾固し、100mlの酢酸エチル/ヘキサン1:2中に懸濁し、ろ過し、100mlのヘキサンの添加によって生成物が白色固体として沈殿する。
【0391】
<実施例10>
(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−5−スルホネートの合成
【0392】
【化80】

【0393】
45.1gのアスコルビン酸(255.2mmol、3eq.)を100mlのDMF中に溶解し、521mgの4−ジメチルアミノピリジン(4.27mmol、0.05eq.)を添加し、66mlのDMF中に溶解した25gの2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−5−スルホニルクロリド(85.4mmol、1eq.)を0℃で滴下添加する。その後、混合物を室温まで温め、6hr.後、100mlの水および100mlのクロロホルムを添加し、混合物を抽出し、乾燥し、真空下で溶媒を除去する。残留物をトルエンから再結晶させ、生成物を淡ベージュ色の固体として得る。
【0394】
<実施例11>
(R)−5−[(R)−2−(3−ベンゾトリアゾール−2−イル−4−ヒドロキシベンジルオキシ)−1−ヒドロキシエチル]−3,4−ジヒドロキシ−5H−フラン−2−オンの合成
【0395】
【化81】

【0396】
35gの(R)−3,4−ビスベンジルオキシ−5−((R)−1,2−ジヒドロオキシエチル)−5H−フラン−2−オン(98.2mmol、1eq.)を、保護ガス雰囲気下、250mlのTHF中に溶解し、3.93gの水酸化ナトリウム(98.2mmol、1eq.)を0℃で添加する。30分後、100mlのTHF中に溶解した2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4−ブロモメチルフェノール(35.8g、117.9mmol、1.2eq.)を滴下添加し、混合物を0℃で60分間および70℃で7時間攪拌する。反応液を室温まで冷却した後、2gのPd/Cを添加し、水素雰囲気下、3バールおよび50℃で5時間、混合物を水素化する。セライトパッドを通すろ過後、2N HCl溶液を使用して溶液を中和する。250mlのsat.NaHCO3溶液および100mlのsat.NaCl溶液を用いて抽出を2回行う。370mlのヘプタンを使用して、org.相から生成物を沈殿させる。
【0397】
<実施例12>
(R)−2−((R)−3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル5−((3aR,6S,6aS)−2−オキソヘキサヒドロチエノ[3,4−d]イミダゾール−6−イル)−ペンタノエートの合成
【0398】
【化82】

【0399】
54.1gのアスコルビン酸(306.9mmol、5eq.)および15gのビオチン(61.4mmol、1eq.)を、保護ガス下、180mlの無水アセトン中に溶解し、1gのリパーゼ(カンジダ・アンタルクチカ)を添加し、混合物を40℃で32h振とうする。酵素をろ過除去し、50mlの水を溶液に添加し、トルエン中に注ぐことにより、生成物が沈殿する。
【0400】
〔結合の証拠〕
<実施例I>
結合の証拠(皮膚モデル)
実施例1または2に従って製造した2−(3,4−ジヒドロキシ−5−オキソ−2,5−ジヒドロフラン−2−イル)−2−ヒドロキシエチル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートの2種の異性体の混合物の4%溶液(以下、DHABと省略する)を、種々の溶媒系中で製造する。これらをそれぞれ40μlずつ2.5×7.5cmのゼラチンプレートに塗布し、87%大気湿度で24hr.保存する。続いて、50mlのiPrOHを用い、超音波洗浄機中で5分間、プレートを溶出させる。ゼラチンとの結合は、対応する標準溶液:
【0401】
【表1】

【0402】
と比較することによって行われる。
【0403】
DHABは、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸アスコルビルも示す。以下のDHHBは、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、Uvinul(登録商標)A Plusとして知られる非結合UVフィルターを示す。
【0404】
<実施例II>
ニワトリ皮膚との結合の証拠
A)DHABをジメチルイソソルビド中に2%程度まで溶解する。溶液を2.66μl/cm2の塗布率でニワトリ皮膚に塗布する。16時間の暴露時間後、超音波洗浄機中、イソプロパノールで試料を抽出する。354nmで抽出物を光度的に計測し、100%値(=使用していない塗布液)と比較する。100%値と比較した回収率の差異は、ここでは皮膚と結合した活性化合物の割合に対応する。DHABについては76%の結合割合が判明しているが、一方、非結合比較物質DHHBは、予想通り、3%の低値しか有さない。
【0405】
B)ブタ皮膚との結合の証拠
下記の材料を製造する:
・Arlasolve DMI試料(A)およびPelemol BIP試料(B)中のDHABの2%溶液
・1%のDHAB試料(C)[=54−07−5−A、実施例Vより]を含有する配合物
・Arlasolve DMI試料(D)およびミリスチン酸イソプロピル試料(E)中のDHHBの2%溶液
・0.84%のDHHB試料(F)[=54−07−5−B、実施例Vより]および0.84%のDHHB+0.37%のビタミンC試料(G)[=54−07−5−C、実施例Vより]を含有する配合物
・ブタ皮膚を2.5×7.5cmに切断し、プレキシグラス標本スライド上に置く。
【0406】
手順:
試料(A)〜(G)をそれぞれ50μlずつ、ブタ皮膚を載せた標本スライドに垂らし、プラスチックヘラを使用して広げ、標本スライドを室温で24h、乾燥器[sat.KCl溶液により87%大気湿度]内に保存する。続いて、標本スライドを50mlのイソプロパノールですすいで容量フラスコ中に入れ、超音波洗浄機内で5分間処理し、シリンジフィルターを介して(剥離した皮膚構成要素による曇りを)透明ろ過し、UV分光計(400〜250nm、UVmax約355nm)によって計測する(残留物1〜7)。使用する100%比較値は、それぞれの場合について50μlの試料(A)〜(G)の50mlイソプロパノール溶液であり、これも同様にUV分光計によって計測する。
【0407】
その結果は表2にまとめられている。
【0408】
【表2】

【0409】
*:「結合」という用語は、「抽出不可能な残留物」という用語に相当する。抽出は、イソプロパノールを用いて行った。超音波を用いて5分間、試料をさらに処理した。
【0410】
<実施例III>
毛髪との結合の証拠
ヒト毛髪試料をDHABまたはDHHBの0.2%エタノール活性化合物溶液(エタノール/水=80/20)とともに8h攪拌し、その後、エタノール/水=80/20ですすぎ、SEM計測(SEM=走査型電子顕微鏡)に送る。DHABとDHHBとの比較は、毛小皮への活性化合物内転位として解釈される領域がDHAB SEM画像中において次第にはっきりしてきていることを示す。
【0411】
<実施例IV>
抗酸化効能
抗酸化効能の測定の基礎は、Bungerら[Buenger,J.,Ackermann,H.,Jentzsch,A.,Mehling,A.,Pfizner,I.,Reiffen,K.−A.,Schroeder,K.−R.,and Wollenweber U.,An interlaboratory comparison of methods used to assess antioxidant potentials,Int.J.Cosm.Sci.,28(2006),1〜12]に記載されている通り、いわゆるDPPH試験である。DHABの抗酸化効能はDPPH試験で測定される。DHABのEC50値は0.32μmol/lであり、DHABの優れたフリーラジカルスカベンジャー特性を反映している。これはアスコルビン酸自体と同程度であり、その値は0.29μmol/lとして測定される。DHHBは36μmol/lしか示さず、DPPH不活性と称することができる。
【0412】
以下、化粧組成物用の配合物を例として記載する。
【0413】
<実施例V>
W/Oエマルション
【0414】
【表3】

【0415】
製造:
Pelemol(登録商標)BIP、Arlasolve DMIおよび乳化剤を最初に導入する。DHABおよびUvinul(登録商標)A Plusをその中に溶解する。油相の残りの構成要素を添加し、均一に混合する。pH=4〜5に調整した水相を攪拌して乳化させる。その後、混合物を均質化する。穏和な条件下、室温でエマルションを製造することができる。DHABは、アスコルビン酸の含有量を増加させることによって安定化させることができる。製剤は、理想的には不活性化(酸素の排除)によって製造される。
【0416】
<実施例VI>
耐水性サンスクリーン噴霧剤
【0417】
【表4】

【0418】
製造:
相Aの成分を室温で組み合わせ、溶液が透明になるまで攪拌する。その後、相Bを混合し、攪拌しながら相Bに添加する。最終的に透明な生成物が得られるまで攪拌を続ける。本発明による物質の安定性は、Oxynex(登録商標)ST液、RonaCare(登録商標)APまたはパルミチン酸アスコルビルなどの酸化防止剤の添加によって増加させることができる。
【0419】
<実施例VII>
ポンプ式ヘアスプレー
【0420】
【表5】

【0421】
製造:
相Aを、溶液が透明になるまで予め溶解する。攪拌しながら相Bを相Aに添加する。相Cを予め混合し、残余に添加し、均一な混合物が形成するまで攪拌する。
【0422】
<実施例VIII>
W/Oエマルション
【0423】
【表6】

【0424】
【表7】

【0425】
<実施例IX>
毛髪ケア配合物
【0426】
【表8】

【0427】
【表9】

【0428】
<実施例X>
毛髪ケア配合物
【0429】
【表10】

【0430】
【表11】

【0431】
<実施例XI>
O/Wエマルション
【0432】
【表12】

【0433】
【表13】

【0434】
【表14】

【0435】
<実施例XII>
O/Wエマルション
【0436】
【表15】

【0437】
【表16】

【0438】
<実施例XIII>
O/Wエマルション
【0439】
【表17】

【0440】
【表18】

【0441】
<実施例XIV>
水分散液(ローションおよび噴霧剤)
【0442】
【表19】

【0443】
【表20】

【0444】
<実施例XV>
水性および水性/アルコール性配合物
【0445】
【表21】

【0446】
【表22】

【0447】
<実施例XVI>
化粧用泡状物
【0448】
【表23】

【0449】
【表24】

【0450】
<実施例XVII>
化粧用泡状物
【0451】
【表25】

【0452】
【表26】

【図面の簡単な説明】
【0453】
【図1】実施例1からの生成物のUVスペクトル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスの官能化のための、少なくとも一種のアスコルビン酸誘導体の使用。
【請求項2】
前記マトリックスが、皮膚、毛髪または爪であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記少なくとも一種のアスコルビン酸誘導体が、式I:
【化1】

[式中、
1またはR2は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシル、−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPO3MまたはO−グリコシルを示し、
アルキルは、C1〜C6−アルキルを示し、
Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHを示し、
3またはR4は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシルまたは基Bを示し、
Bは、薬理、抗菌、抗真菌、除草、殺虫もしくは化粧活性化合物の、UVフィルターの、X線造影剤の、または色素の基を示し、
但し、基R3またはR4の少なくとも一方は、基Bを表す]
に一致することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
式I中のR2が、ヒドロキシルを示すことを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
式I中のR1が、ヒドロキシルを示すことを特徴とする、請求項3または4に記載の使用。
【請求項6】
式I中の基Bが、薬理活性化合物の基を示すことを特徴とする、請求項3から5の一項または複数項に記載の使用。
【請求項7】
式I中の基Bが、抗菌活性化合物の基を示すことを特徴とする、請求項3から6の一項または複数項に記載の使用。
【請求項8】
式I中の基Bが、抗真菌、除草または殺虫活性化合物の基を示すことを特徴とする、請求項3から7の一項または複数項に記載の使用。
【請求項9】
式I中の基Bが、化粧活性化合物の基を示すことを特徴とする、請求項3から8の一項または複数項に記載の使用。
【請求項10】
式I中の基Bが、X線造影剤の基を示すことを特徴とする、請求項3から9の一項または複数項に記載の使用。
【請求項11】
式I中の基Bが、色素の基を示すことを特徴とする、請求項3から10の一項または複数項に記載の使用。
【請求項12】
式I中の基Bが、UVフィルターの基を示すことを特徴とする、請求項3から11の一項または複数項に記載の使用。
【請求項13】
式I中の基Bが、エステル官能基を介して結合することを特徴とする、請求項3から12の一項または複数項に記載の使用。
【請求項14】
式I中の基Bが、エーテル官能基を介して結合することを特徴とする、請求項3から12の一項または複数項に記載の使用。
【請求項15】
式I中の基Bが、UV放射を吸収し、少なくとも4個のπ電子の共役π電子系を有する置換基であることを特徴とする、請求項3から14の一項または複数項に記載の使用。
【請求項16】
式I中の基Bが、UV−Aおよび/またはUV−B放射を吸収し、少なくとも4個のπ電子の共役π電子系を有する置換基であることを特徴とする、請求項3から15の一項または複数項に記載の使用。
【請求項17】
式I中の基Bが、式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/またはXII:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

[式中、
5〜R16は、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示し、
Aは、1〜4個のC原子を有するアルキルであり、
nは、1〜25の整数であり、
Xは、カチオン[NHA2+および[NA3+に対する、またはアニオン[SO3-に対する対イオンであり、
YおよびZは、それぞれ互いに独立に、−アスコルビル、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、−O−ヘキシル、−OAまたは−NH−C(CH33である]
の置換基であることを特徴とする、請求項3から16の一項または複数項に記載の使用。
【請求項18】
式I:
【化13】

[式中、
1またはR2は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシル、−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPO3MまたはO−グリコシルであり、
アルキルはC1〜C6−アルキルであり、
Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHであり、
3またはR4は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシルまたは基Bであり、
Bは、式II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XIおよび/またはXII:
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

[式中、
5〜R16は、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示し、
Aは、1〜4個のC原子を有するアルキルであり、
nは、1〜25の整数であり、
Xは、カチオン[NHA2+および[NA3+に対する、またはアニオン[SO3-に対する対イオンであり、
YおよびZは、それぞれ互いに独立に、−アスコルビル、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、−O−ヘキシル、−OAまたは−NH−C(CH33である]
の置換基であり、
式IV中のR5〜R9については、R5〜R9の少なくとも1個の置換基が、A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示す場合を除き、基H、OHおよびOAが除外され、
但し、基R3またはR4の少なくとも一方は、基Bを表す]
の化合物。
【請求項19】
式I中のR2が、ヒドロキシルを示すことを特徴とする、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
式I中のR1が、ヒドロキシルを示すことを特徴とする、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項21】
式II中のR5〜R9、R11およびR12が、Hを示し、
10が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルであることを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項22】
式III中のR5、R6、R8およびR9が、Hであり、
7が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示すことを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項23】
式IV中のR5、R6、R8およびR9が、Hであり、
7が、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示すことを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項24】
式IV中のR6が、2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示し、
5、R8およびR9がHであり、
7が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3Hまたは−[SO3]Xであることを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項25】
式V中の置換基R6、R8、R11およびR13が、Hであり、
置換基R5、R7、R9、R10、R12およびR14が、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルであることを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項26】
式VIの置換基R6、R8、R9、R12、R13およびR16が、好ましくはHであり、
置換基R5、R7、R10、R11、R14およびR15が、それぞれ互いに独立に、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルであり、
Zが、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、OAまたは−NHC(CH33であることを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項27】
式VII中の置換基R5、R6、R7、R8、R9およびR10が、Hであり、
Zが、−アスコルビル、ヒドロキシル、−O−2−エチルヘキシル、−O−ヘキシル、−OAまたは−NH−C(CH33を示すことを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項28】
式VIII中の置換基R5、R6、R7およびR8が、Hであり、
9が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示すことを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項29】
式IX中の置換基R5、R6、R7およびR8が、Hであり、
9が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示すことを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項30】
式X中の置換基R5、R7およびR8が、Hであり、
6が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示すことを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項31】
式XI中の置換基R5、R6、R7、R8、R9、R11およびR12が、Hであり、
10が、H、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示すことを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項32】
式XII中の置換基R5、R6、R8およびR9が、Hであり、
7が、−OH、−OA、−A、−NH2、−NHA、−NA2、−NH−(CH2−CH2−O)n−H、−N[(CH2−CH2−O)n−H]2、−[NHA2]X、−[NA3]X、−SO3H、−[SO3]Xまたは2H−ベンゾトリアゾール−2−イルを示すことを特徴とする、請求項18から20の一項または複数項に記載の化合物。
【請求項33】
a)式XIII:
【化25】

[式中、
1またはR2は、請求項18から30に記載されている意味を有する]
の化合物を、式XIV:
【化26】

[式中、
Bは、請求項18から30に記載されている意味を有し、ここでサブ式XIおよびXIIは除外され、
Mは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHを示す]
の化合物と直接反応させること、または
b)上記した通りの式XIIIの化合物のヒドロキシル基を保護して、式XV:
【化27】

[式中、
1またはR2は、請求項18から30に記載されている意味を有し、
基R1および/またはR2は、これらがヒドロキシル基である場合、その後、保護基SGに対する異なる反応条件下で再度切断できる第2の保護基によって保護される]
の化合物を生じさせ、
式XVの化合物の保護基SGを再度切断し、得られた化合物を式XIV:
【化28】

[式中、
Bは、請求項18から30に記載されている意味を有し、ここでサブ式XIおよびXIIは除外され、
Mは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHを示し、
ヒドロキシル基を表す基R1および/またはR2は、その後、ヒドロキシル基として脱保護され、これらのヒドロキシル基は、必要に応じて、別の基R1またはR2≠OHに変換される]
の化合物と反応させること
を特徴とする、請求項18から30の一項または複数項に記載の化合物の製造の方法。
【請求項34】
a)式XIII:
【化29】

[式中、
1またはR2は、請求項18から20および31から32に記載されている意味を有する]
の化合物を、式XVIまたはXVII:
【化30】

【化31】

[式中、
5〜R12は、請求項18から20および31から32に記載されている意味を有し、
Halは、Cl、Br、Iまたは活性エステルを示す]
の化合物と反応させること、または
b)上記した通りの式XIIIの化合物のヒドロキシル基を保護して、式XV:
【化32】

[式中、
1またはR2は、請求項18から20および31から32に記載されている意味を有し、
基R1および/またはR2は、これらがヒドロキシル基である場合、その後、保護基SGに対する異なる条件下で再度切断できる第2の保護基によって保護される]
の化合物を生じさせ、
式XVの化合物の保護基SGを再度切断し、得られた化合物を式XVIまたはXVII:
【化33】

【化34】

[式中、
5〜R12は、請求項18から20および31から32に記載されている意味を有し、
Halは、Cl、Br、Iまたは活性エステルを示し、
基R1および/またはR2は、その後ヒドロキシル基として脱保護され、これらのヒドロキシル基は、必要に応じて、別の基R1またはR2≠OHに変換される]
の化合物と反応させること
を特徴とする、請求項18から20および31から32の一項または複数項に記載の化合物の製造の方法。
【請求項35】
請求項18から32の一項または複数項に記載の少なくとも一種の化合物を含む薬剤。
【請求項36】
式I:
【化35】

[式中、
1またはR2は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシル、−O−アルキル、−OC(O)−アルキル、−OPO3MまたはO−グリコシルを示し、
アルキルは、C1〜C6−アルキルを示し、
Mは、アルカリもしくはアルカリ土類金属カチオンまたはHを示し、
3またはR4は、それぞれ互いに独立に、ヒドロキシルまたは基Bを示し、
Bは、薬理、抗真菌、除草、殺虫もしくは化粧活性化合物の、X線造影剤の、または色素の基を示し、
但し、基R3またはR4の少なくとも一方は、基Bを表す]
の少なくとも一種の化合物を含む薬剤。
【請求項37】
化粧用にまたは薬理的に適合するビヒクルを含むことを特徴とする、請求項35または36に記載の薬剤。
【請求項38】
式Iの少なくとも一種の化合物が、0.05〜10重量%の量で存在することを特徴とする、請求項35から37の一項または複数項に記載の薬剤。
【請求項39】
UV−Aおよび/またはUV−B光線を吸収することができる少なくとも一種のさらなる有機系UVフィルターが存在することを特徴とする、請求項35から38の一項または複数項に記載の薬剤。
【請求項40】
少なくとも一種の無機系UVフィルターが存在することを特徴とする、請求項35から39の一項または複数項に記載の薬剤。
【請求項41】
好ましくは、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウムまたはパルミチン酸アスコルビルマグネシウムの群からの、少なくとも一種のさらなるアスコルビン酸誘導体が存在することを特徴とする、請求項35から40の一項または複数項に記載の薬剤。
【請求項42】
少なくとも一種の酸化防止剤が存在することを特徴とする、請求項35から41の一項または複数項に記載の薬剤。
【請求項43】
少なくとも一種の老化防止活性化合物および/または少なくとも一種の脂肪沈着防止活性化合物が存在することを特徴とする、請求項35から42の一項または複数項に記載の薬剤。
【請求項44】
少なくとも一種のビタミン誘導体が存在することを特徴とする、請求項35から43の一項または複数項に記載の薬剤。
【請求項45】
増粘剤、軟化剤、保湿剤、表面活性剤、乳化剤、保存料、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、色素および/または薬剤自体もしくは皮膚を着色する顔料の群から選択される、少なくとも一種のさらなる助剤が存在することを特徴とする、請求項35から44の一項または複数項に記載の薬剤。
【請求項46】
請求項18から32の一項または複数項に記載の少なくとも一種の化合物が、ビヒクルおよび場合によってさらなる活性化合物または助剤と混合されることを特徴とする、請求項35から45の一項または複数項に記載の薬剤の製造の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−505749(P2010−505749A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523160(P2009−523160)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005672
【国際公開番号】WO2008/017346
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】