マニプレータ装置およびマニプレータ付き作業装置
【課題】
任意の位置にある把持対象物が、マニプレータによる把持可能な範囲に入るように、マニプレータを操作するための情報を取得し、また、その情報を操作者に分かりやすく提示する。
【解決手段】
アーム部とハンド部から成り、当該ハンド部は、把持範囲にある対象物を把持する1つまたは複数の指部を有するマニプレータ装置であって、前記指部の先端に第1の全方位撮像装置を設けるとともに、前記ハンド部の、前記指部の先端以外の位置に第2の全方位撮像装置を設け、前記第1の全方位撮像装置と前記第2の全方位撮像装置とは撮像軸が異なるように、例えば直交するように構成する。第1の全方位撮像装置による撮像画像に対象物が投影されず、且つ、第2の全方位撮像装置による撮像画像に対象物が投影されないことを確認することで、前記対象物が把持範囲にあることを判定することができる。
任意の位置にある把持対象物が、マニプレータによる把持可能な範囲に入るように、マニプレータを操作するための情報を取得し、また、その情報を操作者に分かりやすく提示する。
【解決手段】
アーム部とハンド部から成り、当該ハンド部は、把持範囲にある対象物を把持する1つまたは複数の指部を有するマニプレータ装置であって、前記指部の先端に第1の全方位撮像装置を設けるとともに、前記ハンド部の、前記指部の先端以外の位置に第2の全方位撮像装置を設け、前記第1の全方位撮像装置と前記第2の全方位撮像装置とは撮像軸が異なるように、例えば直交するように構成する。第1の全方位撮像装置による撮像画像に対象物が投影されず、且つ、第2の全方位撮像装置による撮像画像に対象物が投影されないことを確認することで、前記対象物が把持範囲にあることを判定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニプレータと、人がマニプレータに対する操作を行うための制御装置とを有する、マニプレータ付き作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マニプレータは、主に生産現場で組立などに利用されてきたが、今後は病院などの公共施設や家庭などの生活空間で人の活動を補助するものとしての利用にも期待がよせられている。本発明は、こうした生活空間で作業する作業機械の中でも、マニプレータと、人がマニプレータを操作するための制御装置とを有する生活空間向けマニプレータ付き作業装置に関するものである。こうした人操作型マニプレータ付き作業装置は、介護分野にて不自由者が自分の思い通りに生活行動を行うことを支援するシステムとして実用化が期待される。日常生活においては、工場のような整然とした広い作業空間とは異なり、把持対象物を含む物体が雑然として配置される空間のため、マニプレータにより、ある把持対象物を把持するためには、特にマニプレータの物体接触部位である指と、マニプレータの把持対象物の位置関係の取得が必要となる。また、日常生活におけるマニプレータによる物体操作は、細かな不定形な作業が必要となるため、操作者に対して、マニプレータの指と、マニプレータの操作対象物の位置関係を分かりやすく提示する手段も必要となる。
【0003】
特許文献1には、マニプレータを有するロボットの体幹に第1のカメラを備え、第1のカメラとは別の第2のカメラをマニプレータに備え 、第1のカメラの画像と第2のカメラの画像とを合成する発明が開示されている。これにより、第1のカメラに映りこむマニプレータ部分の領域を、第2のカメラで補完することで、第1のカメラにおけるマニプレータによる死角を除去し、把持対象物の位置を第1のカメラにより特定している。
【0004】
また、特許文献2においては、マニプレータの先端に固定されたピンクランプ装置の、ピンの先端にカメラを備える発明に関して述べられている。把持対象物(ワーク)に設けられた孔の中心線と、ピンの先端カメラの光軸を一致させることで、ピンクランプ装置の位置決めを行う。
【0005】
一方、特許文献3には、移動ロボットの体幹に搭載されたカメラで当該ロボットの視点からの画像を撮影し、制御装置において表示された前記画像に基づいて、操作者が当該ロボットの操作を行う発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-131751号公報
【特許文献2】特開2009-184051号公報
【特許文献3】特開2002-321180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された方法では、マニプレータが把持姿勢を取る場合、第2のカメラは操作対象物の方向に向いていない。従って、マニプレータによる把持操作時においては、マニプレータの指と把持対象物の位置関係を取得する手段が提供されている訳ではない。そのため、マニプレータによる把持の瞬間において、把持対象物がマニプレータ指の把持可能な範囲にあるか、正確に判断することは困難である。
【0008】
また、特許文献2に記載された方法は、把持対象物(ワーク)に設けられた孔が、ピンクランプ装置のピンに内蔵したカメラの視野範囲に収まる地点まで、予めマニプレータを移動させなければならない。しかし、ワークを含む物体が雑然として配置される生活空間においては、ワークの位置を予め取得することは必ずしも可能ではない。
【0009】
一方、特許文献3に記載された方法においては、制御装置において表示された作業画像において、マニプレータや脚などの部位の体幹接続位置によっては、体幹に備えるカメラの視野の一部が部位によって遮られ、マニプレータと把持対象物の位置関係を撮影することができない。
【0010】
即ち、従来開示されている技術においては、マニプレータによって把持対象物を把持する瞬間において、把持対象物がマニプレータの把持可能な位置にあるか、操作者が判断する手段がないことが課題である。
【0011】
本発明は、任意の位置にある把持対象物が、マニプレータによる把持可能な範囲に入るように、マニプレータを操作するための情報を取得し、また、その情報を操作者に分かりやすく提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明のマニプレータ装置は、アーム部とハンド部から成り、当該ハンド部は、把持範囲にある対象物を把持する1つまたは複数の指部を有するマニプレータ装置であって、前記指部の先端に第1の全方位撮像装置を設けるとともに、前記ハンド部の、前記指部の先端以外の位置に第2の全方位撮像装置を設け、前記第1の全方位撮像装置と前記第2の全方位撮像装置とは撮像軸が異なることを特徴とする 。
【0013】
本発明のマニプレータ装置は、前記第1の全方位撮像装置の撮像軸と前記第2の全方位撮像装置の撮像軸とが直交するように構成してもよい。
【0014】
また、本発明のマニプレータ装置は、前記第2の全方位撮像装置の撮像範囲が前記指部の把持範囲と接するように、前記第2の全方位撮像装置を配置してもよい。
【0015】
また、本発明のマニプレータ装置において、前記指部を支持する支持部の上端または下端に、前記第2の全方位撮像装置を配置してもよい。
【0016】
また、本発明のマニプレータ装置において、前記ハンド部は、2つの直方体形状の指部と、前記2つの指部の把持面が向い合うように前記指部を支持する支持部と、前記2つの指部を並進運動させる並進関節機構とを含むものでよい。
【0017】
また、本発明のマニプレータ装置において、前記ハンド部は、多関節を備えた複数の指部から構成される多指ハンドを含むものでよい。
【0018】
本発明のマニプレータ付き作業装置は、前記のマニプレータ装置と、マニプレータ装置を操作する制御装置を備え、前記マニプレータ装置のアーム部は、1つまたは複数の腕節部を備え、前記ハンド部と前記腕節部との間、または、前記腕節部同士の間に、関節機構を備えるマニプレータ付き作業装置において、前記腕節部の長さを含む構造データを格納する構造データ格納部と、前記関節機構の角度を含む姿勢データを格納する姿勢データ格納部と、視点情報を含む視点データを格納する視点データ格納部と、画像処理部とを更に有し、前記画像処理部は、前記第1の全方位撮像装置の撮像画像と、前記第2の全方位撮像装置の撮像画像とから、前記構造データと前記姿勢データと視点データに基づいて前記視点から見た仮想視野画像を生成する処理を行うことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明のマニプレータ付き作業装置において、前記制御装置は表示部を備え、前記生成した仮想視野画像を前記表示部に表示するものでよい。
【発明の効果】
【0020】
任意の位置にある把持対象物が、マニプレータによる把持可能な範囲に入るように、マニプレータを操作するための情報を取得することができ、また、その情報を操作者に対して、単一の画像情報として分かりやすく提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1にかかるマニプレータ付き作業装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の実施例1にかかるマニプレータの構成を示す模式的斜視図である。
【図3】本発明の実施例1にかかるグリップハンド部の構成を示す模式的な図面である。
【図4】本発明の実施例1にかかる制御装置の構成の一例を示した模式的な斜視図である。
【図5】本発明の実施例1のマニプレータ付き作業装置の、システム構成を示したブロック図である。
【図6】全方位撮像装置の動作原理を示す模式図である。
【図7】制御装置における表示デバイスの表示例である。
【図8】本発明の実施例1のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の一例について模式的に表した図面である。
【図9】本発明の実施例1のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の一例について模式的に表した図面である。
【図10】本発明の実施例1のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の一例について模式的に表した図面である。
【図11】本発明の実施例1のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の他の一例について模式的に表した図面である。
【図12】制御装置における表示デバイスの、他の表示例である。
【図13】仮想視野画像の生成を示した模式的な図面である。
【図14】仮想視野画像の生成を示した模式的な図面である。
【図15】制御装置における表示デバイスの、他の表示例である。
【図16】仮想視野画像の生成システムの主要な構成を示したブロック図である。
【図17】本発明の実施例2のマニプレータの構成を示す模式的斜視図である。
【図18】本発明の実施例2の多関節2指ハンドの構成を示す模式的な図面である。
【図19】本発明の実施例2のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の一例について模式的に表した図面である。
【図20】本発明の実施例2のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の他の一例について模式的に表した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。なお、全ての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材については同一の符号を付し、共通する説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0023】
(構成)
図1は、本発明の実施例1にかかるマニプレータ付き作業装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。本実施例のマニプレータ装置は、車イス3に取り付けられ、車イスに座する操作者4によって操作される。
本実施例のマニプレータ付き作業装置は、車イス3に取り付けられたマニプレータ1と、同じく前記車イス3に取り付けられた制御装置2から構成される。車イスに座する操作者4は、制御装置2を介して、マニプレータ1を操作する。これにより、操作者4は、車イス3から離れることなく、周囲の物体を手元に取り寄せるなどの生活動作を行うことが可能となる。
なお、本実施例のマニプレータ装置は、必ずしも車イス3に取り付けられて使用するものではない。操作者4が、制御装置2を介して、マニプレータ1を操作する構成であれば、例えば両者をベッドに固定する構成といった、上記構成以外にも適宜の構成を採用することができる。
【0024】
図2は、本実施例にかかるマニプレータ1の構成を示す模式的斜視図である。マニプレータ1を構成する要素は、大きく、アーム部6とグリップハンド部5という二つの部位に分けられる。
アーム部6は、車イスに固定される端を基端部とし、基端側から先端側に向かう方向を延伸方向として、車イス3に固定される基端関節11、腕節部12a、関節13a、腕節部12b、関節13b、腕節部12c、手首関節14が、順次、延伸方向に連結される。
グリップハンド部5は、アーム部の手首関節14の、更に延伸方向に接続される。
各関節機構は、自身より延伸方向に存在する機構に対して、軸周りの回転自由度を与える。即ち、図2において、基端関節11は、それより延伸方向に存在する腕12a以降の機構に対して、図中矢印に示すような回転自由度を与える。同様に、関節13aおよび関節13b、手首関節14についても、それより延伸方向に存在する機構に対して、図中矢印に示すような回転自由度を与える。これにより、アーム部6は、グリップハンド部5を、所定の空間領域内において、所定位置および方向に、移動もしくは回転させることが可能である。
【0025】
なお、本実施例においては、基端関節11、関節13a、関節13b、手首関節14という4つの回転関節機構を持つアーム部6を示すが、これは、一例であって、この数および種類を限定するものではない。例えば、並進関節機構を、腕節部12aもしくは12bに追加することで、グリップハンド部5が移動可能な位置に対して、より領域的な自由度を与えることも可能となる。このように、グリップハンド部5を、必要となる位置および方向に、移動もしくは回転させることができるものであれば、アーム部6の関節機構の数や腕節部の構成は、上記以外にも適宜の構成を採用することができる。
【0026】
図3(a)は、本実施例にかかるグリップハンド部5の構成を示す模式的な斜視図であり、図3(b)は、図3(a)におけるz軸の正の方向から負の方向を見た場合のグリップハンド部5の模式的な上面図であり、図3(c)は、図3(a)におけるx軸正の方向から負の方向を見た場合のグリップハンド部5の模式的な側面図である。グリップハンド部5は、図2の手首関節14に対して、延伸方向(y軸正方向)に連結される手首部15を基端として、手掌部16が、更にマニプレータ1の延伸方向に連結される。手掌部16は、二つの同一直方体形状の指部17aおよび17bが、平行に、それぞれ把持面170a(図3(a)ハッチングで示される面)および170bとを向かい合わせるように、連結される。指部17aは、先端方向(y軸正方向)の端面に、撮像軸AXaが延伸方向に向いた全方位撮像装置FISHEYEa19を備える。また、手掌部16は、鉛直上方(z軸正方向)の端面に、撮像軸AXbが鉛直上方を向いた全方位撮像装置FISHEYEb20を備える。
【0027】
図3(b)に点線で示すように、手掌部16は、二つの並進関節機構18aおよび18bとを内蔵する。並進関節機構18aもしくは18bは、それぞれ指部17a、17bに図3(a)の矢印で示すような並進運動を与える。これにより、指部の把持面170aおよび170bで物体を挟み込むことで、所定の物体を把持することが可能となる。
【0028】
ここで、グリップハンド部1が、物体を把持するためには、把持面170aおよび170bの各頂点を結んで形成される直方体の内部に、物体の全部もしくは重心が収められる必要がある。即ち、この把持面170aおよび170bの各頂点を結ぶことで形成される直方体を、本実施形態におけるグリップハンド部1の把持可能空間と定義できる。
【0029】
図4は、本実施例にかかる制御装置2の構成の一例を示した模式的な斜視図である。制御装置2は、表示デバイス21と、ジョイスティック型入力デバイス22と、キーボード型入力デバイス23とを備える。表示デバイス21には、マニプレータの情報を操作者4に分かりやすく提示するデバイスであり、例えばタッチパネルや液晶ディスプレイなどを用いて実現する。ジョイスティック型入力デバイス22と、キーボード型入力デバイス23とは、操作者4が、マニプレータ1内の各関節機構に対して、自由度パラメータを入力するための機構である。なお、図4に示したジョイスティック型入力デバイス22と、キーボード型入力デバイス23とを備えた構成は、一例であって、マニプレータ1に対して、必要な自由度を任意に与えることができるものであれば、上記以外のデバイスを用いた適宜の構成を採用することができる。
【0030】
図5は、本実施例のマニプレータ付き作業装置の、システム構成を示したブロック図である。本マニプレータ付き作業装置は、図1に示す通り、マニプレータ1と、制御装置2から構成される。マニプレータ1は、前記全方位撮像装置FISHEYEa19およびFISHEYEb20と、アーム部に具備された各関節機構を駆動する複数の関節アクチュエータ24a〜24nとを備える。制御装置2は、前記表示デバイス21と、前記ジョイスティック型入力デバイス22と、前記キーボード型入力デバイス23と、制御処理部25とを備える。制御処理部25は、マニプレータ1の全方位撮像装置FISHEYEa19もしくはFISHEYEb20とから撮像画像データを受け取り、制御装置2の表示デバイス21に所定の信号処理を施して表示する。また、制御処理部25は、ジョイスティック型入力デバイス22と、キーボード型入力デバイス23とから操作者4によって入力されたパラメータに基づき、各関節アクチュエータ24a〜24nに、所定の制御信号を与える。
【0031】
(動作)
図6は、全方位撮像装置FISHEYEa19の動作原理を示す模式図である。図6(a)は、指部17aの先端部に配置された全方位撮像装置19の撮像軸AXa方向前方に、三個の対象物OBJa、OBJb、OBJcが配置されている状態を、図3(b)と同一の方向から見た場合を示す模式図である。平面Sは、撮像軸AXaと直交し、全方位撮像装置19の設置面を含む平面である。即ち、平面Sは、指部17aの先端面も含まれる平面となる。
【0032】
図6(b)は、全方位撮像装置を実現する原理の一つである正射影方式を示す模式図である。図6(b)において、全方位撮像装置19の設置中心点を点Oとし、点Oを中心とし平面Sに含まれる所定の半径の円を円Pとする。この円P上に投影された光点が、画像として記録される。
点Oを中心とし、円Pと半径が同一で、円Pから撮像軸AXa方向に広がる仮想半球面を半球面Rとする。全方位撮像装置19は、この半球面Rから入射した光線が、光学系を通過して2次元撮像面である円Pに投影され、全方位撮像装置19の撮像画像として記録する。半球面Rから円Pへの投影は、次の通りである。ある対象物を起点とする入射光をLとし、入射光Lと半球面Rの光点をAとする。そして、点Aを通り撮像軸AXaと平行な直線をL’とし、直線L’と、円Pとの交点をA’とすると、入射光Lに対して、点A’は一意に定まる。即ち、入射光Lは、点A’として画像に記録される。こうした、入射光の投影は、例えば複数枚の球面レンズを組み合わせた魚眼レンズなどを用いて実現できる。
このようにして、全方位撮像装置19は、所定の空間において、円Pを含む平面Sによって分けられる二つの領域に対して、撮像軸AXaが向く方向にある領域内の物体を撮像画像として記録できる。例えば、図6(a)の場合は、対象物OBJa、OBJb、OBJcが、図6(c)に示すように、全方位撮像装置19との位置関係により定まる形状で撮像画像として記録される。
即ち、全方位撮像装置19は、ある対象物が、全方位撮像装置19が取り付けられた平面Sより、撮像軸AXが向く方向に存在することを、画像に対象物が映ることにより判定することが可能となる。
【0033】
上記は、正射影方式を用いた全方位撮像装置の原理について説明したが、本実施例にかかる全方位撮像装置の原理はこれに限るものではない。即ち、全方位撮像装置は、自身が取り付けられた平面Sより、撮像軸AXが向く方向に存在する物体を、画像として記録できる装置であれば、適宜の原理を持つものを用いてよい。これは、例えば双曲面ミラーと平面撮像装置を用いた構成などでもよく、また可視光線に限らず、赤外光や超音波を採用した全方位撮像装置でもよい。なお、上記は、全方位撮像装置19について説明であるが、全方位撮像装置20についても同様であり、詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
図7は、制御装置2における表示デバイス21の表示例である。図7において、表示デバイス21には、画像表示領域IMGAREAと、操作アイコン表示エリアICONAREAとが表示される。画像表示エリア30には、マニプレータ1の全方位撮像装置19および20にて撮像された画像が、それぞれ、全方位画像32aと全方位画像32bとして表示される。
【0035】
本実施例におけるマニプレータ付き作業装置は、図1に示すように操作者4によって操作されるが、操作者4は、マニプレータ1を直接目視しながら操作するだけではなく、表示デバイス21に表示される全方位画像32aおよび32bとを見て、グリップハンド部5周囲の状況を確認しながら、操作をマニプレータ1に与えることが可能となる。
【0036】
(把持操作)
本実施例にかかるマニプレータ付き作業装置の把持操作について、図3および図6を参照しながら、詳細に説明する。
【0037】
図3に示された通り、グリップハンド部5は、把持面170aと170bの各頂点を結ぶことで定義される直方体形状の把持空間内の物体を、把持可能である。把持可能空間は、3つの面を手掌部16、把持面170aおよび170bとで形成されており、それ以外の3つの開放面から物体は把持可能空間に移入出する。
【0038】
図6に示された通り、全方位撮像装置19は、所定の空間において、円Pを含む平面Sによって分けられる二つの領域に対して、撮像軸AXaが向く方向にある領域内の物体を撮像画像として記録できる。図3(b)に示されるように、全方位撮像装置19は、グリップハンド部5の指部17aの先端(y軸正方向端)に設置される。即ち、把持可能空間において、指部17aの先端の辺と指部17bの先端の辺とで構成される長方形の面を含む平面から、撮像軸AXa方向に存在する物体を撮像可能である。
【0039】
ここで、把持対象物体が、指部17aの先端の辺と指部17bの先端の辺とで構成される長方形の面から、グリップハンド部5の把持可能空間に移入する場合を考える。即ち、図3におけるx軸方向において、把持対象物体は、指部17aと指部17bの間に存在するとする。
把持対象物体が、グリップハンド部5の把持可能空間外部にあり、且つy軸正方向にある場合、全方位撮像装置19の画像に、把持対象物の像が映りこむ。この状態から、マニプレータ1を操作し、グリップハンド部5をy軸方向に平行移動させてゆくと、ある時点において、全方位撮像装置19に撮像されていた把持対象物体が、撮像されなくなる状態に遷移する。これは、即ち、把持対象物体が、把持可能空間に移入したこととなる。
このように、全方位撮像装置19の画像を確認しながら、マニプレータ1を操作することで、把持対象物体が、指部17aの先端の辺と指部17bの先端の辺とで構成される長方形の面から、把持可能空間に移入したことを検知することが可能となる。
これと同様に、ある時点において、全方位撮像装置19に撮像されていなかった把持対象物体が、撮像される状態に遷移した場合は、把持可能空間において、把持対象物体が、指部17aの先端の辺と指部17bの先端の辺とで構成される長方形の面から移出したと検知することが可能となる。
【0040】
一方、図3(c)に示されるように、全方位撮像装置20は、手掌部16の上端(z軸正方向端)に設置されることから、把持対象物体の全方位撮像装置20における撮像可否の遷移によって、把持対象物体が、把持可能空間に、指部17aの上端の辺と指部17bの上端の辺とで構成される長方形の面から、移入もしくは移出したことを検知できる。
ただし、把持可能空間について、z軸に直交する二つの面は、どちらも開放面である。従って、本実施例においては、指部17aの下端(z軸負方向端)の辺と指部17bの下端の辺とで構成される長方形の面から、把持対象物体が、把持可能空間に移入出したことは検知できない。しかし、少なくとも単一の把持対象物体が、同時にz軸に直交する2つの面から把持可能空間に移入出することはあり得ない。従って、一方の面からの把持可能空間への移入もしくは移出を検知することで、十分である。
ただし、高速で移動する物体を把持固定するようなケースでは、z軸に直交する一つの開放面から移入した物体が、指部17aおよび17bを開閉させ把持する以前に、別のz軸に直交する開放面より移出する可能性がある。その場合は、図3(c)で示される手掌部16において、全方位撮像装置20の設置する面とは対向する反対の面に、更に全方位撮像装置を設置することで、上記のような場合を抑止することが可能となる。
【0041】
なお、本実施例では、全方位撮像装置20は、手掌部16の上端に設けているが、ここに限られるものではなく、例えば、指部17aの上端に設けても良い。
【0042】
次に、図8ないし図10を見ながら、本実施形態におけるマニプレータ付き作業装置による物体の把持操作手順の例について説明する。
【0043】
図8は、マニプレータ1により、床面28に置かれた把持対象物TGTを把持する操作手順の一例について模式的に表した図であり、図3(c)と同一方向からの視点よりグリップハンド部5および把持対象物TGTの周辺を表したものである。
【0044】
図8(a)は、操作者が把持対象物TGTの位置を、確認する手順を模式的に表した図面である。操作者は、把持対象物TGTの位置を、グリップハンド部5に具備される全方位撮像装置19および20を用いて確認する。二つの全方位撮像装置に映りこむ把持対象物TGTから、操作者は、グリップハンド部5と把持対象物TGTとの位置関係を認識することが可能である。全方位撮像装置19は、グリップハンド部5の指部17a先端にあるため、マニプレータ付き作業装置の、他のいかなる部位にも、撮像可能領域が遮蔽されることがなく、この手順においては特に好適である。
【0045】
図8(b)において、操作者は、主に全方位撮像装置19の画像を見て、グリップハンド部5を、把持対象物TGTに接近させる。ここでは、全方位撮像装置19の撮像軸AXaを、把持対象物TGTの方向に一致させながらグリップハンド部5を操作することが有用である。図8(b)においては、全方位撮像装置20は必ずしも必要ではないが、後述するように、把持対象物TGTとグリップハンド部5との水平位置関係を確認するためには必要となる。
【0046】
図8(c)は、操作者はグリップハンド部5を、把持姿勢へと回転移動させた様子を示した図面である。この例においては、グリップハンド部5を床面28と、全方位撮像装置19の撮像軸AXaとが平行となるように、回転移動させる。
回転移動させた後のグリップハンド部5において、全方位撮像装置19による撮像画像に把持対象物TGTの像が投影されている場合は、把持対象物TGTは、グリップハンド部5の把持可能空間の撮像軸AXa方向の領域に、収められていない。その場合、操作者は、グリップハンド部5の姿勢を維持したまま、把持対象物TGTが全方位撮像装置19の撮像画像に、把持対象物TGTが投影されない位置まで、グリップハンド部5を、撮像軸AXa方向に平行移動させればよい。
【0047】
図8(d)においては、操作者は、グリップハンド部5の前記の姿勢を維持したまま、床面28に対して垂直に移動させる。本操作例では、把持対象物TGTの床面28よりの高さが、グリップハンド部5の指部17aの高さ(図3におけるz方向の長さ)よりも大きいため、把持対象物TGTの上端は、グリップハンド部5の指部17aの上端よりも上方に位置するように、グリップハンド部5を移動する。ここで、操作者は、全方位撮像装置20の撮像画像に投影される把持対象物TGTの像により、グリップハンド部5が適切な位置に移動したことを、判定できる。
【0048】
図8(d)の状態においても、グリップハンド部5によって、把持対象物TGTを把持可能である。本操作例の場合は、把持対象物TGTは、全方位撮像装置20に、その上部が画像として投影されている。従って、操作者は、全方位撮像装置20の撮像画像を確認しながら、グリップハンド部5を、図8のAXa軸方向に移動させることで、図8(e)に示すような、より安定した把持位置にグリップハンド部5を移動させることができる。
【0049】
図9は、マニプレータ1により、把持対象物TGTを把持する操作手順の他の一例について表した図面であり、図3(b)と同一方向からの視点よりグリップハンド部5および把持対象物TGTの周辺を表したものである。
【0050】
図9(a)は、操作者が把持対象物TGTの位置を確認する手順を模式的に表した図面である。この手順において、操作者は、把持対象物TGTの位置を、グリップハンド部5に具備される全方位撮像装置19および20を用いて確認する。
この手順において、全方位撮像装置19は、グリップハンド部5の指部17a先端にあるため、マニプレータ付き作業装置の、他のいかなる部位にも、撮像可能領域が遮蔽されることがなく、好適であることは前述の通りである。しかし、全方位撮像装置19のみで把持対象物TGTの位置関係を確認した場合、例えば図10に示すような位置に把持対象物TGTがある場合と、位置TGT’にある場合との判別がつかない。従って、全方位撮像装置19の画像と全方位撮像装置20の画像とを、同時に確認することで、より正確に、グリップハンド部5と、把持対象物TGTとの位置関係を、確認することが可能となる。
【0051】
操作者は、全方位撮像装置19の画像と全方位撮像装置20の画像とを同時に確認することで、図9(b)に示すように、把持対象物TGTの、指部17bに直交する方向の位置が、グリップハンド部5の指部17aと17bとに挟まれる領域に収まるように、グリップハンド部5を移動する。これは、全方位撮像装置19による撮像画像の把持空間側の半面に映りこみ、且つ、全方位撮像装置20による撮像画像の撮像中心線と一致する位置に映りこむように、グリップハンド部5を操作すればよい。
【0052】
図9(c)および(d)は、図9(b)の状態から、把持対象物TGTをグリップハンド部5の把持可能空間に収める手順を模式的に示した図面である。ここで、操作者は、全方位撮像装置20による撮像画像において、その撮像中心線と一致する位置に映りこんでいる対象物TGTを、撮像中心線から外れないように、グリップハンド5を、図中のAXa軸方向に移動させる。把持対象物TGTが、全方位撮像装置19の撮像画像に、全部もしくは一部が投影された状態の場合は、把持対象物TGTは、軸AXa方向において、把持可能範囲に完全に入ってはいない(図9(c))。即ち、操作者は、全方位撮像装置19の撮像画像に投影されない状態まで、グリップハンド部5を移動させることで、把持対象物TGTが、軸AXa方向において、把持可能範囲に完全に入ったことを判定できる(図9(d))。
【0053】
本実施例にかかるマニプレータ付き作業装置の操作手順は、上記に限ったものではない。例えば、図11に示すように、グリップハンド部5を、全方位撮像装置20が設置された手掌部16の面を、下向きにして操作することもできる。これは、図11に示すように、狭い空間にある小物体TGT2を把持する場合に、特に好適な操作方法である。
【0054】
(撮像画像の表示方法)
図12は、制御装置2における表示デバイス21の、他の表示例である。図12において、表示デバイス21には、図7と同じく画像表示領域30と操作アイコン表示エリア31とが、表示されるのに加えて、仮想視野画像34が表示される。図7の表示例から、図12の表示状態への切り替えは、例えば操作者が図7の表示例における視点切り替えアイコン33を指定することで行われる。画像表示領域30における、全方位画像32aおよび全方位画像32bとには、全方位撮像装置19および20に撮像された画像が、そのまま表示される。しかし、一般に全方位撮像装置で撮像された画像は、画像周辺部に近付くにつれて、人間の直感的な視覚イメージから大きく歪んでいる。そこで、図12における表示デバイス21の表示例では、この歪みを補正した画像を、仮想視野画像34として更に表示する。
【0055】
図13および図14は、仮想視野画像34の生成を示した模式的な図面である。
【0056】
図13(a)において、グリップハンド部5の手掌部16の上端に仮想視点中心36を設定する。仮想視点中心36から、全方位撮像装置19の撮像軸AXa方向を見る方向を、仮想視野画像の視線方向Vとすると、仮想視野画像の画角αにより、画像端となる直線37aおよび37bとが一意に決定される。ここで、全方位撮像装置19の仮想半球面Ra(図6(b)を参照)について、視線方向Vと直交し、仮想半球面Raと接する平面を仮想投影面VPと定義する。この仮想投影面VPに、投影される対象物の写像が、仮想視野画像となる。
【0057】
図13(b)は、全方位撮像装置19の撮像画像から、仮想投影面VPに投影される画像を生成する手段を示す模式的な図面である。図6にて図示された通り、対象物OBJ上の点Xからの光線Lは、撮像平面P上の点A’として記録される。ここで、全方位撮像装置19の中心と点Xを結ぶ直線、即ち光線Lと、仮想投影面VPとの交点を、A’’とすると、A’’にて撮像される画素値は、点A’にて撮像される画素値と同一である。逆に、VP上の点A’’を定めれば、それに対応する撮像平面P上の点A’より、画素値を求められる。このような処理を、VP上の全ての点について行うことで、全方位撮像装置19の撮像平面P上の投影画像より、仮想投影面VPに投影される画像、即ち仮想視野画像を生成することが可能である。
【0058】
上述の生成手段は、仮想視点中心36と視線方向Vが、図13と異なる場合についても同様である。即ち、全方位撮像装置の撮像画像から、所定の視点からの画像を生成することが可能である。図12における表示デバイス21には、操作者が、視点を指定するための視点制御アイコン35が、アイコン表示エリア31に表示される。操作者は、この視点制御アイコン35を通して、視点を所定の位置に移動させて、グリップハンド部5周囲の状況を確認することが可能である。
【0059】
図14は、グリップハンド部5の上方に仮想視点中心36を設定した場合の、仮想視野画像の生成を示した模式的な図面である。図14の仮想視野画像を生成するために、全方位撮像装置19について定義される仮想投影面VPaは、全方位撮像装置19の設置平面Saと交わる。即ち、全方位撮像装置19の撮像画像のみでは、仮想視野画像の全ての領域について画像情報を生成することはできない。そこで、本実施形態においては、全方位撮像装置20について、更に仮想投影面VPbを定義し、仮想投影面VPa上に投影される画像情報と、仮想投影面VPb上に投影される画像情報とを合成することで、図14に示される仮想視点中心36からの仮想視野画像の生成することを可能とする。このようにして生成される仮想視野画像の表示例を、図15に示す。
【0060】
図14のように、二つの仮想投影面VPaおよびVPbから、一つの仮想視野画像34を生成するためには、全方位撮像装置19の撮像軸AXaと、全方位撮像装置20の撮像軸AXbとが異なる方向を向いていることが有用となる。即ち、本実施例では、全方位撮像装置19の撮像軸AXaと、全方位撮像装置20の撮像軸AXbとを直交させることで、仮想視点中心36および視線方向Vを広い範囲で指定可能である。
また、二つの全方位撮像装置から得られた画像を、一つの仮想視野画像34に合成して、表示デバイス21に表示することで、操作者はより直感的にマニプレータ周囲の状況を確認することが可能となる。
【0061】
図16は、本実施例にかかる仮想視野画像34の生成システムの構成を示したブロック図である。マニプレータ構造パラメータテーブル41は、マニプレータ1の機械的な構造情報のパラメータを格納したテーブルであり、例えばアーム部6の腕節部12aおよび腕節部12bおよび腕節部12cの長さや、グリップハンド部5の手首部15および手掌部16および指部17aおよび指部17bの形状情報や、全方位撮像装置19および20の取り付け位置および撮像軸方向などが格納される。マニプレータ姿勢パラメータテーブル42は、マニプレータ1の姿勢に関する情報のパラメータを随時格納してゆくテーブルであり、例えば車イス3自体の方向や、基端関節11など各関節機構の角度などが含まれる。
【0062】
カメラ姿勢計算部44は、マニプレータ構造パラメータテーブル41と、マニプレータ姿勢パラメータテーブル42とに格納されているパラメータから、全方位撮像装置19と20との姿勢を所定の計算処理により求める機能ブロックである。マニプレータ構造パラメータテーブル41にて、内部にマニプレータ1の構造情報を保持することで、マニプレータ姿勢パラメータテーブル42に随時格納される各関節機構の角度情報などのパラメータを与えれば、全方位撮像装置19と20の視線方向は、一意に決定することが可能となる。
【0063】
仮想視点パラメータテーブル43は操作者4が、制御装置2より入力する、仮想視点中心36の位置と方向とを随時格納するテーブルである。合成パラメータ計算部45は、カメラ姿勢計算部44の処理結果と、仮想視点パラメータテーブル43に格納されているパラメータとから、合成パラメータを計算処理に求める機能ブロックである。ここで、合成パラメータとは、図14に示されるような、仮想視野画像34の範囲と、仮想投影面VPaおよびVPbの範囲との関係情報などが含まれる。FISHEYEa画像処理部46は、全方位撮像装置FISHEYEa19から撮像画像が入力され、仮想視点パラメータテーブル43に格納されるパラメータと、カメラ姿勢計算部44の処理結果とから、仮想投影面VPaに投影される仮想画像を生成する機能ブロックである。FISEEYEb画像処理部47は、全方位撮像装置FISHEYEb20から撮像画像が入力され、仮想視点パラメータテーブル43に格納されるパラメータと、カメラ姿勢計算部44の処理結果とから、仮想投影面VPbに投影される仮想画像を生成する機能ブロックである。なお、FISHEYEa画像処理部46と、FISHEYEb画像処理部47とは、同一の機能を有する機能ブロックであるため、並列に二つの機能ブロックを設けてもよいし、時分割により一つの機能ブロックを適宜切り換える構成でもよい。画像合成部48は、合成パラメータ計算部の処理結果と、FISEEYEa画像処理部46の処理結果と、FISEEYEb画像処理部47の処理結果とから、仮想視野画像34を合成する機能ブロックである。こうして生成された、仮想視野画像34が、制御装置2における表示デバイス21に表示される。
【実施例2】
【0064】
(構成)
図17は、本発明の実施例2にかかるマニプレータ1の構成を示す模式的斜視図であって、図2と対比される図である。なお、図17において、図2と対応する部分については同一符号を付し、その詳細説明は繰り返さない。
図17のマニプレータ1を参照して、図2で示されるマニプレータ1と異なる点は、アーム部の手首関節14の、更に延伸方向に多関節2指ハンド50が接続される点である。
【0065】
図18は、本実施例にかかる多関節2指ハンド50の構成を示した模式図である。図18(a)は、図17のz軸の正の方向から負の方向を見た場合の多関節2指ハンド50の模式的な上面図であり、図18(b)は、図17のx軸正の方向から負の方向を見た場合の多関節2指ハンド50の模式的な側面図である。
多関節2指ハンド50は、図17の手首関節14に対して、延伸方向(y軸正方向)に連結される手首部15を基端として、延伸方向に、手首節51が、手首節51の先端には手首関節52が連結される。手首関節52には、延伸方向に指節53aと指関節55aと指節53bと指関節55bと指節53cとが、この順に連結された第1指53と、延伸方向に指節54aと指関節56aと指節54bと指関節56bと指節54cとが、この順に連結された第2指54とが接続される。
第1指53と、第2指54とは、手首節51の中心線を軸として対称的に手首関節52に接続にされている。手首関節52は、図18(a)に示す矢印のように、それぞれ、指節53aと、指節54aとに、回転自由度を与える。同様に、指関節55aと、55bと、56aと、56bとは、それぞれ図18(a)に示す矢印のように、接続された指節に回転自由度を与える。これら関節機構により、第1指53と、第2指54とは、その向かい合う面によって、所定の物体を把持することが可能となる。
多関節2指ハンド50は、このように複数の指節および指関節からなるため、所定の物体により複雑な操作を与える場合に好適である。
【0066】
第1指53は、その先端方向(延伸方向)の端面に、撮像軸AXaが、指節53cの中心軸と一致する全方位撮像装置19を備える。また、手首関節52は、鉛直上方(z軸正方向)の端面に、撮像軸AXbが鉛直上方を向いた全方位撮像装置20を備える。
【0067】
(把持操作)
ここで、本実施例にかかる多関節2指ハンド50は、第1の実施例におけるグリップハンド部5の把持可能範囲のように、定形の把持可能範囲を定義することはできない。しかし、次に示すように、本実施例においても、全方位撮像装置19の撮像画像と、全方位撮像装置20の撮像画像とから、把持対象物が、把持可能範囲に入ったことを判断することが可能となる。
【0068】
図19は、本実施例にかかるマニプレータ1により、把持対象物TGTを把持する操作手順の一例について表した図面であり、図9と対比されるものである。図19は、図18(a)と同一方向からの視点より多関節2指ハンド50および把持対象物TGTの周辺を表している。
図19(a)は、操作者が把持対象物TGTの位置を確認する手順を模式的に表した図面である。この手順において、操作者は、把持対象物TGTの位置を、多関節2指ハンド50に具備される全方位撮像装置19および20を用いて確認する。
この手順において、全方位撮像装置19は、多関節2指ハンド50の第1指53の先端にあるため、マニプレータ付き作業装置の、他のいかなる部位にも、撮像可能領域が遮蔽されることがなく、好適であることは図9(a)と同一である。これにより、図9と同様にして、操作者は、全方位撮像装置19の画像と全方位撮像装置20の画像とを同時に確認することで、図19(b)に示すように、把持対象物TGTを多関節2指ハンド50の第1指53と第2指54とに挟まれる領域に収まるように、多関節2指ハンド50を移動することが可能である。これは、全方位撮像装置19による撮像画像の把持空間側の半面に映りこみ、且つ、全方位撮像装置20による撮像画像の撮像中心線と一致する位置に映りこむように、多関節2指ハンド50を操作すればよい。
ここで、操作者が、指関節55bと指関節56bをはじめとする多関節2指ハンド50の指関節を操作し、指節53cおよび指節54cとを平行に保ったまま、その間隔を狭めることで、図19(c)に示すように、把持対象物TGTを、指節53cおよび指節54cとで把持することが可能である。
【0069】
図20は、本実施例にかかるマニプレータ1により、把持対象物TGTを把持する操作手順の別なる一例について表した図面である。
図20(a)と図19(a)、図20(b)と図19(b)とは、同一の手順であり、その詳細な説明は繰り返さない。
【0070】
図20(c)は、操作者は、指関節55bと、指関節56bをはじめとする多関節2指ハンド50の指関節を操作し、指節53cおよび指節54cとを、対抗する面方向に屈曲させた様子を示した図面である。
ここで、指節53cの全方位撮像装置19の撮像画像において、再び把持対象物TGTが映りこむ場合、把持対象物TGTが、多関節2指ハンド50の把持可能範囲の十分内側に位置していないと判断できる。この場合、操作者は、図20(d)に示すように手首節51の軸方向に、多関節2指ハンド50を移動させる。
図20(c)および図20(d)に示すように、指関節55bと、指関節56bをはじめとする多関節2指ハンド50の指関節を操作し、指節53cの全方位撮像装置19の撮像画像に把持対象物TGTが映りこまないように、多関節2指ハンド50の指を屈曲させることで、図20(e)に示すように、指節53bおよび指節54bによって把持することが可能となる。
【0071】
図19(c)に示される多関節2指ハンド50の操作手段においては、操作手順が少ないという利点があるが、例えば把持した把持対象物TGTを、図18に示すy軸負方向に移動させる場合は、指節53cおよび指節54cの軸方向と平行の方向に把持対象物TGTが滑る場合がある。一方、図20に示される操作手段においても、指節53bおよび指節54bの軸方向と平行の方向に把持対象物TGTが滑る場合がある。しかし、指節53cおよび指節54cとにより、把持対象部TGTが把持可能範囲の外部に移出することはない。これは、例えば日常動作において、所定の対象物を引き寄せるなどの操作において特に好適である。
なお、本実施の形態における多関節2指ハンド50において、鉛直方向(図18(b)におけるz軸方向)の操作に関しては、実施例1に示した操作手順と同一のものが適用可能であるため、その詳細な説明は割愛する。
【0072】
以上、本発明の具体的実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変更したものが含まれる。
例えば、図8ないし図11、及び、図19ないし図20に示した操作手順において、本明細書における実施例においては、操作者が全方位撮像装置19および20との撮像画像を見ながら操作を行うと説明したが、これに限らず、例えば把持対象物TGTが撮像画像内に映りこむことを自動的に検出する装置と組み合わせることで、操作者が操作することなく、把持対象物TGTを把持することが可能である。
【0073】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定するものではない。
【符号の説明】
【0074】
1…マニプレータ、2…制御装置、3…車イス、4…操作者、5…グリップハンド部、6…アーム部、
11…基端関節、12a、12b、12c…腕節部、13a、13b…関節機構、14…手首関節、15…手首部、16…手掌部、17a、17b指部、170a、170b…指部の把持面、18a、18b…並進関節機構、19…第1の全方位撮像装置FISHEYEa、20…第2の全方位撮像装置FISHEYEb、
21…表示デバイス、22…ジョイスティック型入力デバイス、23…キーボード型入力デバイス、25…制御処理部、
30…画像表示領域、31…操作アイコン表示エリア、32a、32b全方位画像、33…視点切り替えアイコン、34…仮想視野画像、35…視点制御アイコン、
41…マニプレータ構造パラメータテーブル、42…マニプレータ姿勢パラメータテーブル、43…仮想視点パラメータテーブル、44…カメラ姿勢計算部、45…合成パラメータ計算部、46…FISHEYEa画像処理部、47…FISHEYEb画像処理部、48…画像合成部、
50…多関節2指ハンド、51…手首節、52…手首関節、53…第1指、54…第2指、53a、53b、53c、54a、54b、54c…指節、55a、55b、56a、56b…指関節。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニプレータと、人がマニプレータに対する操作を行うための制御装置とを有する、マニプレータ付き作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マニプレータは、主に生産現場で組立などに利用されてきたが、今後は病院などの公共施設や家庭などの生活空間で人の活動を補助するものとしての利用にも期待がよせられている。本発明は、こうした生活空間で作業する作業機械の中でも、マニプレータと、人がマニプレータを操作するための制御装置とを有する生活空間向けマニプレータ付き作業装置に関するものである。こうした人操作型マニプレータ付き作業装置は、介護分野にて不自由者が自分の思い通りに生活行動を行うことを支援するシステムとして実用化が期待される。日常生活においては、工場のような整然とした広い作業空間とは異なり、把持対象物を含む物体が雑然として配置される空間のため、マニプレータにより、ある把持対象物を把持するためには、特にマニプレータの物体接触部位である指と、マニプレータの把持対象物の位置関係の取得が必要となる。また、日常生活におけるマニプレータによる物体操作は、細かな不定形な作業が必要となるため、操作者に対して、マニプレータの指と、マニプレータの操作対象物の位置関係を分かりやすく提示する手段も必要となる。
【0003】
特許文献1には、マニプレータを有するロボットの体幹に第1のカメラを備え、第1のカメラとは別の第2のカメラをマニプレータに備え 、第1のカメラの画像と第2のカメラの画像とを合成する発明が開示されている。これにより、第1のカメラに映りこむマニプレータ部分の領域を、第2のカメラで補完することで、第1のカメラにおけるマニプレータによる死角を除去し、把持対象物の位置を第1のカメラにより特定している。
【0004】
また、特許文献2においては、マニプレータの先端に固定されたピンクランプ装置の、ピンの先端にカメラを備える発明に関して述べられている。把持対象物(ワーク)に設けられた孔の中心線と、ピンの先端カメラの光軸を一致させることで、ピンクランプ装置の位置決めを行う。
【0005】
一方、特許文献3には、移動ロボットの体幹に搭載されたカメラで当該ロボットの視点からの画像を撮影し、制御装置において表示された前記画像に基づいて、操作者が当該ロボットの操作を行う発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-131751号公報
【特許文献2】特開2009-184051号公報
【特許文献3】特開2002-321180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された方法では、マニプレータが把持姿勢を取る場合、第2のカメラは操作対象物の方向に向いていない。従って、マニプレータによる把持操作時においては、マニプレータの指と把持対象物の位置関係を取得する手段が提供されている訳ではない。そのため、マニプレータによる把持の瞬間において、把持対象物がマニプレータ指の把持可能な範囲にあるか、正確に判断することは困難である。
【0008】
また、特許文献2に記載された方法は、把持対象物(ワーク)に設けられた孔が、ピンクランプ装置のピンに内蔵したカメラの視野範囲に収まる地点まで、予めマニプレータを移動させなければならない。しかし、ワークを含む物体が雑然として配置される生活空間においては、ワークの位置を予め取得することは必ずしも可能ではない。
【0009】
一方、特許文献3に記載された方法においては、制御装置において表示された作業画像において、マニプレータや脚などの部位の体幹接続位置によっては、体幹に備えるカメラの視野の一部が部位によって遮られ、マニプレータと把持対象物の位置関係を撮影することができない。
【0010】
即ち、従来開示されている技術においては、マニプレータによって把持対象物を把持する瞬間において、把持対象物がマニプレータの把持可能な位置にあるか、操作者が判断する手段がないことが課題である。
【0011】
本発明は、任意の位置にある把持対象物が、マニプレータによる把持可能な範囲に入るように、マニプレータを操作するための情報を取得し、また、その情報を操作者に分かりやすく提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明のマニプレータ装置は、アーム部とハンド部から成り、当該ハンド部は、把持範囲にある対象物を把持する1つまたは複数の指部を有するマニプレータ装置であって、前記指部の先端に第1の全方位撮像装置を設けるとともに、前記ハンド部の、前記指部の先端以外の位置に第2の全方位撮像装置を設け、前記第1の全方位撮像装置と前記第2の全方位撮像装置とは撮像軸が異なることを特徴とする 。
【0013】
本発明のマニプレータ装置は、前記第1の全方位撮像装置の撮像軸と前記第2の全方位撮像装置の撮像軸とが直交するように構成してもよい。
【0014】
また、本発明のマニプレータ装置は、前記第2の全方位撮像装置の撮像範囲が前記指部の把持範囲と接するように、前記第2の全方位撮像装置を配置してもよい。
【0015】
また、本発明のマニプレータ装置において、前記指部を支持する支持部の上端または下端に、前記第2の全方位撮像装置を配置してもよい。
【0016】
また、本発明のマニプレータ装置において、前記ハンド部は、2つの直方体形状の指部と、前記2つの指部の把持面が向い合うように前記指部を支持する支持部と、前記2つの指部を並進運動させる並進関節機構とを含むものでよい。
【0017】
また、本発明のマニプレータ装置において、前記ハンド部は、多関節を備えた複数の指部から構成される多指ハンドを含むものでよい。
【0018】
本発明のマニプレータ付き作業装置は、前記のマニプレータ装置と、マニプレータ装置を操作する制御装置を備え、前記マニプレータ装置のアーム部は、1つまたは複数の腕節部を備え、前記ハンド部と前記腕節部との間、または、前記腕節部同士の間に、関節機構を備えるマニプレータ付き作業装置において、前記腕節部の長さを含む構造データを格納する構造データ格納部と、前記関節機構の角度を含む姿勢データを格納する姿勢データ格納部と、視点情報を含む視点データを格納する視点データ格納部と、画像処理部とを更に有し、前記画像処理部は、前記第1の全方位撮像装置の撮像画像と、前記第2の全方位撮像装置の撮像画像とから、前記構造データと前記姿勢データと視点データに基づいて前記視点から見た仮想視野画像を生成する処理を行うことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明のマニプレータ付き作業装置において、前記制御装置は表示部を備え、前記生成した仮想視野画像を前記表示部に表示するものでよい。
【発明の効果】
【0020】
任意の位置にある把持対象物が、マニプレータによる把持可能な範囲に入るように、マニプレータを操作するための情報を取得することができ、また、その情報を操作者に対して、単一の画像情報として分かりやすく提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1にかかるマニプレータ付き作業装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の実施例1にかかるマニプレータの構成を示す模式的斜視図である。
【図3】本発明の実施例1にかかるグリップハンド部の構成を示す模式的な図面である。
【図4】本発明の実施例1にかかる制御装置の構成の一例を示した模式的な斜視図である。
【図5】本発明の実施例1のマニプレータ付き作業装置の、システム構成を示したブロック図である。
【図6】全方位撮像装置の動作原理を示す模式図である。
【図7】制御装置における表示デバイスの表示例である。
【図8】本発明の実施例1のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の一例について模式的に表した図面である。
【図9】本発明の実施例1のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の一例について模式的に表した図面である。
【図10】本発明の実施例1のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の一例について模式的に表した図面である。
【図11】本発明の実施例1のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の他の一例について模式的に表した図面である。
【図12】制御装置における表示デバイスの、他の表示例である。
【図13】仮想視野画像の生成を示した模式的な図面である。
【図14】仮想視野画像の生成を示した模式的な図面である。
【図15】制御装置における表示デバイスの、他の表示例である。
【図16】仮想視野画像の生成システムの主要な構成を示したブロック図である。
【図17】本発明の実施例2のマニプレータの構成を示す模式的斜視図である。
【図18】本発明の実施例2の多関節2指ハンドの構成を示す模式的な図面である。
【図19】本発明の実施例2のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の一例について模式的に表した図面である。
【図20】本発明の実施例2のマニプレータにより把持対象物を把持する操作手順の他の一例について模式的に表した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。なお、全ての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材については同一の符号を付し、共通する説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0023】
(構成)
図1は、本発明の実施例1にかかるマニプレータ付き作業装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。本実施例のマニプレータ装置は、車イス3に取り付けられ、車イスに座する操作者4によって操作される。
本実施例のマニプレータ付き作業装置は、車イス3に取り付けられたマニプレータ1と、同じく前記車イス3に取り付けられた制御装置2から構成される。車イスに座する操作者4は、制御装置2を介して、マニプレータ1を操作する。これにより、操作者4は、車イス3から離れることなく、周囲の物体を手元に取り寄せるなどの生活動作を行うことが可能となる。
なお、本実施例のマニプレータ装置は、必ずしも車イス3に取り付けられて使用するものではない。操作者4が、制御装置2を介して、マニプレータ1を操作する構成であれば、例えば両者をベッドに固定する構成といった、上記構成以外にも適宜の構成を採用することができる。
【0024】
図2は、本実施例にかかるマニプレータ1の構成を示す模式的斜視図である。マニプレータ1を構成する要素は、大きく、アーム部6とグリップハンド部5という二つの部位に分けられる。
アーム部6は、車イスに固定される端を基端部とし、基端側から先端側に向かう方向を延伸方向として、車イス3に固定される基端関節11、腕節部12a、関節13a、腕節部12b、関節13b、腕節部12c、手首関節14が、順次、延伸方向に連結される。
グリップハンド部5は、アーム部の手首関節14の、更に延伸方向に接続される。
各関節機構は、自身より延伸方向に存在する機構に対して、軸周りの回転自由度を与える。即ち、図2において、基端関節11は、それより延伸方向に存在する腕12a以降の機構に対して、図中矢印に示すような回転自由度を与える。同様に、関節13aおよび関節13b、手首関節14についても、それより延伸方向に存在する機構に対して、図中矢印に示すような回転自由度を与える。これにより、アーム部6は、グリップハンド部5を、所定の空間領域内において、所定位置および方向に、移動もしくは回転させることが可能である。
【0025】
なお、本実施例においては、基端関節11、関節13a、関節13b、手首関節14という4つの回転関節機構を持つアーム部6を示すが、これは、一例であって、この数および種類を限定するものではない。例えば、並進関節機構を、腕節部12aもしくは12bに追加することで、グリップハンド部5が移動可能な位置に対して、より領域的な自由度を与えることも可能となる。このように、グリップハンド部5を、必要となる位置および方向に、移動もしくは回転させることができるものであれば、アーム部6の関節機構の数や腕節部の構成は、上記以外にも適宜の構成を採用することができる。
【0026】
図3(a)は、本実施例にかかるグリップハンド部5の構成を示す模式的な斜視図であり、図3(b)は、図3(a)におけるz軸の正の方向から負の方向を見た場合のグリップハンド部5の模式的な上面図であり、図3(c)は、図3(a)におけるx軸正の方向から負の方向を見た場合のグリップハンド部5の模式的な側面図である。グリップハンド部5は、図2の手首関節14に対して、延伸方向(y軸正方向)に連結される手首部15を基端として、手掌部16が、更にマニプレータ1の延伸方向に連結される。手掌部16は、二つの同一直方体形状の指部17aおよび17bが、平行に、それぞれ把持面170a(図3(a)ハッチングで示される面)および170bとを向かい合わせるように、連結される。指部17aは、先端方向(y軸正方向)の端面に、撮像軸AXaが延伸方向に向いた全方位撮像装置FISHEYEa19を備える。また、手掌部16は、鉛直上方(z軸正方向)の端面に、撮像軸AXbが鉛直上方を向いた全方位撮像装置FISHEYEb20を備える。
【0027】
図3(b)に点線で示すように、手掌部16は、二つの並進関節機構18aおよび18bとを内蔵する。並進関節機構18aもしくは18bは、それぞれ指部17a、17bに図3(a)の矢印で示すような並進運動を与える。これにより、指部の把持面170aおよび170bで物体を挟み込むことで、所定の物体を把持することが可能となる。
【0028】
ここで、グリップハンド部1が、物体を把持するためには、把持面170aおよび170bの各頂点を結んで形成される直方体の内部に、物体の全部もしくは重心が収められる必要がある。即ち、この把持面170aおよび170bの各頂点を結ぶことで形成される直方体を、本実施形態におけるグリップハンド部1の把持可能空間と定義できる。
【0029】
図4は、本実施例にかかる制御装置2の構成の一例を示した模式的な斜視図である。制御装置2は、表示デバイス21と、ジョイスティック型入力デバイス22と、キーボード型入力デバイス23とを備える。表示デバイス21には、マニプレータの情報を操作者4に分かりやすく提示するデバイスであり、例えばタッチパネルや液晶ディスプレイなどを用いて実現する。ジョイスティック型入力デバイス22と、キーボード型入力デバイス23とは、操作者4が、マニプレータ1内の各関節機構に対して、自由度パラメータを入力するための機構である。なお、図4に示したジョイスティック型入力デバイス22と、キーボード型入力デバイス23とを備えた構成は、一例であって、マニプレータ1に対して、必要な自由度を任意に与えることができるものであれば、上記以外のデバイスを用いた適宜の構成を採用することができる。
【0030】
図5は、本実施例のマニプレータ付き作業装置の、システム構成を示したブロック図である。本マニプレータ付き作業装置は、図1に示す通り、マニプレータ1と、制御装置2から構成される。マニプレータ1は、前記全方位撮像装置FISHEYEa19およびFISHEYEb20と、アーム部に具備された各関節機構を駆動する複数の関節アクチュエータ24a〜24nとを備える。制御装置2は、前記表示デバイス21と、前記ジョイスティック型入力デバイス22と、前記キーボード型入力デバイス23と、制御処理部25とを備える。制御処理部25は、マニプレータ1の全方位撮像装置FISHEYEa19もしくはFISHEYEb20とから撮像画像データを受け取り、制御装置2の表示デバイス21に所定の信号処理を施して表示する。また、制御処理部25は、ジョイスティック型入力デバイス22と、キーボード型入力デバイス23とから操作者4によって入力されたパラメータに基づき、各関節アクチュエータ24a〜24nに、所定の制御信号を与える。
【0031】
(動作)
図6は、全方位撮像装置FISHEYEa19の動作原理を示す模式図である。図6(a)は、指部17aの先端部に配置された全方位撮像装置19の撮像軸AXa方向前方に、三個の対象物OBJa、OBJb、OBJcが配置されている状態を、図3(b)と同一の方向から見た場合を示す模式図である。平面Sは、撮像軸AXaと直交し、全方位撮像装置19の設置面を含む平面である。即ち、平面Sは、指部17aの先端面も含まれる平面となる。
【0032】
図6(b)は、全方位撮像装置を実現する原理の一つである正射影方式を示す模式図である。図6(b)において、全方位撮像装置19の設置中心点を点Oとし、点Oを中心とし平面Sに含まれる所定の半径の円を円Pとする。この円P上に投影された光点が、画像として記録される。
点Oを中心とし、円Pと半径が同一で、円Pから撮像軸AXa方向に広がる仮想半球面を半球面Rとする。全方位撮像装置19は、この半球面Rから入射した光線が、光学系を通過して2次元撮像面である円Pに投影され、全方位撮像装置19の撮像画像として記録する。半球面Rから円Pへの投影は、次の通りである。ある対象物を起点とする入射光をLとし、入射光Lと半球面Rの光点をAとする。そして、点Aを通り撮像軸AXaと平行な直線をL’とし、直線L’と、円Pとの交点をA’とすると、入射光Lに対して、点A’は一意に定まる。即ち、入射光Lは、点A’として画像に記録される。こうした、入射光の投影は、例えば複数枚の球面レンズを組み合わせた魚眼レンズなどを用いて実現できる。
このようにして、全方位撮像装置19は、所定の空間において、円Pを含む平面Sによって分けられる二つの領域に対して、撮像軸AXaが向く方向にある領域内の物体を撮像画像として記録できる。例えば、図6(a)の場合は、対象物OBJa、OBJb、OBJcが、図6(c)に示すように、全方位撮像装置19との位置関係により定まる形状で撮像画像として記録される。
即ち、全方位撮像装置19は、ある対象物が、全方位撮像装置19が取り付けられた平面Sより、撮像軸AXが向く方向に存在することを、画像に対象物が映ることにより判定することが可能となる。
【0033】
上記は、正射影方式を用いた全方位撮像装置の原理について説明したが、本実施例にかかる全方位撮像装置の原理はこれに限るものではない。即ち、全方位撮像装置は、自身が取り付けられた平面Sより、撮像軸AXが向く方向に存在する物体を、画像として記録できる装置であれば、適宜の原理を持つものを用いてよい。これは、例えば双曲面ミラーと平面撮像装置を用いた構成などでもよく、また可視光線に限らず、赤外光や超音波を採用した全方位撮像装置でもよい。なお、上記は、全方位撮像装置19について説明であるが、全方位撮像装置20についても同様であり、詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
図7は、制御装置2における表示デバイス21の表示例である。図7において、表示デバイス21には、画像表示領域IMGAREAと、操作アイコン表示エリアICONAREAとが表示される。画像表示エリア30には、マニプレータ1の全方位撮像装置19および20にて撮像された画像が、それぞれ、全方位画像32aと全方位画像32bとして表示される。
【0035】
本実施例におけるマニプレータ付き作業装置は、図1に示すように操作者4によって操作されるが、操作者4は、マニプレータ1を直接目視しながら操作するだけではなく、表示デバイス21に表示される全方位画像32aおよび32bとを見て、グリップハンド部5周囲の状況を確認しながら、操作をマニプレータ1に与えることが可能となる。
【0036】
(把持操作)
本実施例にかかるマニプレータ付き作業装置の把持操作について、図3および図6を参照しながら、詳細に説明する。
【0037】
図3に示された通り、グリップハンド部5は、把持面170aと170bの各頂点を結ぶことで定義される直方体形状の把持空間内の物体を、把持可能である。把持可能空間は、3つの面を手掌部16、把持面170aおよび170bとで形成されており、それ以外の3つの開放面から物体は把持可能空間に移入出する。
【0038】
図6に示された通り、全方位撮像装置19は、所定の空間において、円Pを含む平面Sによって分けられる二つの領域に対して、撮像軸AXaが向く方向にある領域内の物体を撮像画像として記録できる。図3(b)に示されるように、全方位撮像装置19は、グリップハンド部5の指部17aの先端(y軸正方向端)に設置される。即ち、把持可能空間において、指部17aの先端の辺と指部17bの先端の辺とで構成される長方形の面を含む平面から、撮像軸AXa方向に存在する物体を撮像可能である。
【0039】
ここで、把持対象物体が、指部17aの先端の辺と指部17bの先端の辺とで構成される長方形の面から、グリップハンド部5の把持可能空間に移入する場合を考える。即ち、図3におけるx軸方向において、把持対象物体は、指部17aと指部17bの間に存在するとする。
把持対象物体が、グリップハンド部5の把持可能空間外部にあり、且つy軸正方向にある場合、全方位撮像装置19の画像に、把持対象物の像が映りこむ。この状態から、マニプレータ1を操作し、グリップハンド部5をy軸方向に平行移動させてゆくと、ある時点において、全方位撮像装置19に撮像されていた把持対象物体が、撮像されなくなる状態に遷移する。これは、即ち、把持対象物体が、把持可能空間に移入したこととなる。
このように、全方位撮像装置19の画像を確認しながら、マニプレータ1を操作することで、把持対象物体が、指部17aの先端の辺と指部17bの先端の辺とで構成される長方形の面から、把持可能空間に移入したことを検知することが可能となる。
これと同様に、ある時点において、全方位撮像装置19に撮像されていなかった把持対象物体が、撮像される状態に遷移した場合は、把持可能空間において、把持対象物体が、指部17aの先端の辺と指部17bの先端の辺とで構成される長方形の面から移出したと検知することが可能となる。
【0040】
一方、図3(c)に示されるように、全方位撮像装置20は、手掌部16の上端(z軸正方向端)に設置されることから、把持対象物体の全方位撮像装置20における撮像可否の遷移によって、把持対象物体が、把持可能空間に、指部17aの上端の辺と指部17bの上端の辺とで構成される長方形の面から、移入もしくは移出したことを検知できる。
ただし、把持可能空間について、z軸に直交する二つの面は、どちらも開放面である。従って、本実施例においては、指部17aの下端(z軸負方向端)の辺と指部17bの下端の辺とで構成される長方形の面から、把持対象物体が、把持可能空間に移入出したことは検知できない。しかし、少なくとも単一の把持対象物体が、同時にz軸に直交する2つの面から把持可能空間に移入出することはあり得ない。従って、一方の面からの把持可能空間への移入もしくは移出を検知することで、十分である。
ただし、高速で移動する物体を把持固定するようなケースでは、z軸に直交する一つの開放面から移入した物体が、指部17aおよび17bを開閉させ把持する以前に、別のz軸に直交する開放面より移出する可能性がある。その場合は、図3(c)で示される手掌部16において、全方位撮像装置20の設置する面とは対向する反対の面に、更に全方位撮像装置を設置することで、上記のような場合を抑止することが可能となる。
【0041】
なお、本実施例では、全方位撮像装置20は、手掌部16の上端に設けているが、ここに限られるものではなく、例えば、指部17aの上端に設けても良い。
【0042】
次に、図8ないし図10を見ながら、本実施形態におけるマニプレータ付き作業装置による物体の把持操作手順の例について説明する。
【0043】
図8は、マニプレータ1により、床面28に置かれた把持対象物TGTを把持する操作手順の一例について模式的に表した図であり、図3(c)と同一方向からの視点よりグリップハンド部5および把持対象物TGTの周辺を表したものである。
【0044】
図8(a)は、操作者が把持対象物TGTの位置を、確認する手順を模式的に表した図面である。操作者は、把持対象物TGTの位置を、グリップハンド部5に具備される全方位撮像装置19および20を用いて確認する。二つの全方位撮像装置に映りこむ把持対象物TGTから、操作者は、グリップハンド部5と把持対象物TGTとの位置関係を認識することが可能である。全方位撮像装置19は、グリップハンド部5の指部17a先端にあるため、マニプレータ付き作業装置の、他のいかなる部位にも、撮像可能領域が遮蔽されることがなく、この手順においては特に好適である。
【0045】
図8(b)において、操作者は、主に全方位撮像装置19の画像を見て、グリップハンド部5を、把持対象物TGTに接近させる。ここでは、全方位撮像装置19の撮像軸AXaを、把持対象物TGTの方向に一致させながらグリップハンド部5を操作することが有用である。図8(b)においては、全方位撮像装置20は必ずしも必要ではないが、後述するように、把持対象物TGTとグリップハンド部5との水平位置関係を確認するためには必要となる。
【0046】
図8(c)は、操作者はグリップハンド部5を、把持姿勢へと回転移動させた様子を示した図面である。この例においては、グリップハンド部5を床面28と、全方位撮像装置19の撮像軸AXaとが平行となるように、回転移動させる。
回転移動させた後のグリップハンド部5において、全方位撮像装置19による撮像画像に把持対象物TGTの像が投影されている場合は、把持対象物TGTは、グリップハンド部5の把持可能空間の撮像軸AXa方向の領域に、収められていない。その場合、操作者は、グリップハンド部5の姿勢を維持したまま、把持対象物TGTが全方位撮像装置19の撮像画像に、把持対象物TGTが投影されない位置まで、グリップハンド部5を、撮像軸AXa方向に平行移動させればよい。
【0047】
図8(d)においては、操作者は、グリップハンド部5の前記の姿勢を維持したまま、床面28に対して垂直に移動させる。本操作例では、把持対象物TGTの床面28よりの高さが、グリップハンド部5の指部17aの高さ(図3におけるz方向の長さ)よりも大きいため、把持対象物TGTの上端は、グリップハンド部5の指部17aの上端よりも上方に位置するように、グリップハンド部5を移動する。ここで、操作者は、全方位撮像装置20の撮像画像に投影される把持対象物TGTの像により、グリップハンド部5が適切な位置に移動したことを、判定できる。
【0048】
図8(d)の状態においても、グリップハンド部5によって、把持対象物TGTを把持可能である。本操作例の場合は、把持対象物TGTは、全方位撮像装置20に、その上部が画像として投影されている。従って、操作者は、全方位撮像装置20の撮像画像を確認しながら、グリップハンド部5を、図8のAXa軸方向に移動させることで、図8(e)に示すような、より安定した把持位置にグリップハンド部5を移動させることができる。
【0049】
図9は、マニプレータ1により、把持対象物TGTを把持する操作手順の他の一例について表した図面であり、図3(b)と同一方向からの視点よりグリップハンド部5および把持対象物TGTの周辺を表したものである。
【0050】
図9(a)は、操作者が把持対象物TGTの位置を確認する手順を模式的に表した図面である。この手順において、操作者は、把持対象物TGTの位置を、グリップハンド部5に具備される全方位撮像装置19および20を用いて確認する。
この手順において、全方位撮像装置19は、グリップハンド部5の指部17a先端にあるため、マニプレータ付き作業装置の、他のいかなる部位にも、撮像可能領域が遮蔽されることがなく、好適であることは前述の通りである。しかし、全方位撮像装置19のみで把持対象物TGTの位置関係を確認した場合、例えば図10に示すような位置に把持対象物TGTがある場合と、位置TGT’にある場合との判別がつかない。従って、全方位撮像装置19の画像と全方位撮像装置20の画像とを、同時に確認することで、より正確に、グリップハンド部5と、把持対象物TGTとの位置関係を、確認することが可能となる。
【0051】
操作者は、全方位撮像装置19の画像と全方位撮像装置20の画像とを同時に確認することで、図9(b)に示すように、把持対象物TGTの、指部17bに直交する方向の位置が、グリップハンド部5の指部17aと17bとに挟まれる領域に収まるように、グリップハンド部5を移動する。これは、全方位撮像装置19による撮像画像の把持空間側の半面に映りこみ、且つ、全方位撮像装置20による撮像画像の撮像中心線と一致する位置に映りこむように、グリップハンド部5を操作すればよい。
【0052】
図9(c)および(d)は、図9(b)の状態から、把持対象物TGTをグリップハンド部5の把持可能空間に収める手順を模式的に示した図面である。ここで、操作者は、全方位撮像装置20による撮像画像において、その撮像中心線と一致する位置に映りこんでいる対象物TGTを、撮像中心線から外れないように、グリップハンド5を、図中のAXa軸方向に移動させる。把持対象物TGTが、全方位撮像装置19の撮像画像に、全部もしくは一部が投影された状態の場合は、把持対象物TGTは、軸AXa方向において、把持可能範囲に完全に入ってはいない(図9(c))。即ち、操作者は、全方位撮像装置19の撮像画像に投影されない状態まで、グリップハンド部5を移動させることで、把持対象物TGTが、軸AXa方向において、把持可能範囲に完全に入ったことを判定できる(図9(d))。
【0053】
本実施例にかかるマニプレータ付き作業装置の操作手順は、上記に限ったものではない。例えば、図11に示すように、グリップハンド部5を、全方位撮像装置20が設置された手掌部16の面を、下向きにして操作することもできる。これは、図11に示すように、狭い空間にある小物体TGT2を把持する場合に、特に好適な操作方法である。
【0054】
(撮像画像の表示方法)
図12は、制御装置2における表示デバイス21の、他の表示例である。図12において、表示デバイス21には、図7と同じく画像表示領域30と操作アイコン表示エリア31とが、表示されるのに加えて、仮想視野画像34が表示される。図7の表示例から、図12の表示状態への切り替えは、例えば操作者が図7の表示例における視点切り替えアイコン33を指定することで行われる。画像表示領域30における、全方位画像32aおよび全方位画像32bとには、全方位撮像装置19および20に撮像された画像が、そのまま表示される。しかし、一般に全方位撮像装置で撮像された画像は、画像周辺部に近付くにつれて、人間の直感的な視覚イメージから大きく歪んでいる。そこで、図12における表示デバイス21の表示例では、この歪みを補正した画像を、仮想視野画像34として更に表示する。
【0055】
図13および図14は、仮想視野画像34の生成を示した模式的な図面である。
【0056】
図13(a)において、グリップハンド部5の手掌部16の上端に仮想視点中心36を設定する。仮想視点中心36から、全方位撮像装置19の撮像軸AXa方向を見る方向を、仮想視野画像の視線方向Vとすると、仮想視野画像の画角αにより、画像端となる直線37aおよび37bとが一意に決定される。ここで、全方位撮像装置19の仮想半球面Ra(図6(b)を参照)について、視線方向Vと直交し、仮想半球面Raと接する平面を仮想投影面VPと定義する。この仮想投影面VPに、投影される対象物の写像が、仮想視野画像となる。
【0057】
図13(b)は、全方位撮像装置19の撮像画像から、仮想投影面VPに投影される画像を生成する手段を示す模式的な図面である。図6にて図示された通り、対象物OBJ上の点Xからの光線Lは、撮像平面P上の点A’として記録される。ここで、全方位撮像装置19の中心と点Xを結ぶ直線、即ち光線Lと、仮想投影面VPとの交点を、A’’とすると、A’’にて撮像される画素値は、点A’にて撮像される画素値と同一である。逆に、VP上の点A’’を定めれば、それに対応する撮像平面P上の点A’より、画素値を求められる。このような処理を、VP上の全ての点について行うことで、全方位撮像装置19の撮像平面P上の投影画像より、仮想投影面VPに投影される画像、即ち仮想視野画像を生成することが可能である。
【0058】
上述の生成手段は、仮想視点中心36と視線方向Vが、図13と異なる場合についても同様である。即ち、全方位撮像装置の撮像画像から、所定の視点からの画像を生成することが可能である。図12における表示デバイス21には、操作者が、視点を指定するための視点制御アイコン35が、アイコン表示エリア31に表示される。操作者は、この視点制御アイコン35を通して、視点を所定の位置に移動させて、グリップハンド部5周囲の状況を確認することが可能である。
【0059】
図14は、グリップハンド部5の上方に仮想視点中心36を設定した場合の、仮想視野画像の生成を示した模式的な図面である。図14の仮想視野画像を生成するために、全方位撮像装置19について定義される仮想投影面VPaは、全方位撮像装置19の設置平面Saと交わる。即ち、全方位撮像装置19の撮像画像のみでは、仮想視野画像の全ての領域について画像情報を生成することはできない。そこで、本実施形態においては、全方位撮像装置20について、更に仮想投影面VPbを定義し、仮想投影面VPa上に投影される画像情報と、仮想投影面VPb上に投影される画像情報とを合成することで、図14に示される仮想視点中心36からの仮想視野画像の生成することを可能とする。このようにして生成される仮想視野画像の表示例を、図15に示す。
【0060】
図14のように、二つの仮想投影面VPaおよびVPbから、一つの仮想視野画像34を生成するためには、全方位撮像装置19の撮像軸AXaと、全方位撮像装置20の撮像軸AXbとが異なる方向を向いていることが有用となる。即ち、本実施例では、全方位撮像装置19の撮像軸AXaと、全方位撮像装置20の撮像軸AXbとを直交させることで、仮想視点中心36および視線方向Vを広い範囲で指定可能である。
また、二つの全方位撮像装置から得られた画像を、一つの仮想視野画像34に合成して、表示デバイス21に表示することで、操作者はより直感的にマニプレータ周囲の状況を確認することが可能となる。
【0061】
図16は、本実施例にかかる仮想視野画像34の生成システムの構成を示したブロック図である。マニプレータ構造パラメータテーブル41は、マニプレータ1の機械的な構造情報のパラメータを格納したテーブルであり、例えばアーム部6の腕節部12aおよび腕節部12bおよび腕節部12cの長さや、グリップハンド部5の手首部15および手掌部16および指部17aおよび指部17bの形状情報や、全方位撮像装置19および20の取り付け位置および撮像軸方向などが格納される。マニプレータ姿勢パラメータテーブル42は、マニプレータ1の姿勢に関する情報のパラメータを随時格納してゆくテーブルであり、例えば車イス3自体の方向や、基端関節11など各関節機構の角度などが含まれる。
【0062】
カメラ姿勢計算部44は、マニプレータ構造パラメータテーブル41と、マニプレータ姿勢パラメータテーブル42とに格納されているパラメータから、全方位撮像装置19と20との姿勢を所定の計算処理により求める機能ブロックである。マニプレータ構造パラメータテーブル41にて、内部にマニプレータ1の構造情報を保持することで、マニプレータ姿勢パラメータテーブル42に随時格納される各関節機構の角度情報などのパラメータを与えれば、全方位撮像装置19と20の視線方向は、一意に決定することが可能となる。
【0063】
仮想視点パラメータテーブル43は操作者4が、制御装置2より入力する、仮想視点中心36の位置と方向とを随時格納するテーブルである。合成パラメータ計算部45は、カメラ姿勢計算部44の処理結果と、仮想視点パラメータテーブル43に格納されているパラメータとから、合成パラメータを計算処理に求める機能ブロックである。ここで、合成パラメータとは、図14に示されるような、仮想視野画像34の範囲と、仮想投影面VPaおよびVPbの範囲との関係情報などが含まれる。FISHEYEa画像処理部46は、全方位撮像装置FISHEYEa19から撮像画像が入力され、仮想視点パラメータテーブル43に格納されるパラメータと、カメラ姿勢計算部44の処理結果とから、仮想投影面VPaに投影される仮想画像を生成する機能ブロックである。FISEEYEb画像処理部47は、全方位撮像装置FISHEYEb20から撮像画像が入力され、仮想視点パラメータテーブル43に格納されるパラメータと、カメラ姿勢計算部44の処理結果とから、仮想投影面VPbに投影される仮想画像を生成する機能ブロックである。なお、FISHEYEa画像処理部46と、FISHEYEb画像処理部47とは、同一の機能を有する機能ブロックであるため、並列に二つの機能ブロックを設けてもよいし、時分割により一つの機能ブロックを適宜切り換える構成でもよい。画像合成部48は、合成パラメータ計算部の処理結果と、FISEEYEa画像処理部46の処理結果と、FISEEYEb画像処理部47の処理結果とから、仮想視野画像34を合成する機能ブロックである。こうして生成された、仮想視野画像34が、制御装置2における表示デバイス21に表示される。
【実施例2】
【0064】
(構成)
図17は、本発明の実施例2にかかるマニプレータ1の構成を示す模式的斜視図であって、図2と対比される図である。なお、図17において、図2と対応する部分については同一符号を付し、その詳細説明は繰り返さない。
図17のマニプレータ1を参照して、図2で示されるマニプレータ1と異なる点は、アーム部の手首関節14の、更に延伸方向に多関節2指ハンド50が接続される点である。
【0065】
図18は、本実施例にかかる多関節2指ハンド50の構成を示した模式図である。図18(a)は、図17のz軸の正の方向から負の方向を見た場合の多関節2指ハンド50の模式的な上面図であり、図18(b)は、図17のx軸正の方向から負の方向を見た場合の多関節2指ハンド50の模式的な側面図である。
多関節2指ハンド50は、図17の手首関節14に対して、延伸方向(y軸正方向)に連結される手首部15を基端として、延伸方向に、手首節51が、手首節51の先端には手首関節52が連結される。手首関節52には、延伸方向に指節53aと指関節55aと指節53bと指関節55bと指節53cとが、この順に連結された第1指53と、延伸方向に指節54aと指関節56aと指節54bと指関節56bと指節54cとが、この順に連結された第2指54とが接続される。
第1指53と、第2指54とは、手首節51の中心線を軸として対称的に手首関節52に接続にされている。手首関節52は、図18(a)に示す矢印のように、それぞれ、指節53aと、指節54aとに、回転自由度を与える。同様に、指関節55aと、55bと、56aと、56bとは、それぞれ図18(a)に示す矢印のように、接続された指節に回転自由度を与える。これら関節機構により、第1指53と、第2指54とは、その向かい合う面によって、所定の物体を把持することが可能となる。
多関節2指ハンド50は、このように複数の指節および指関節からなるため、所定の物体により複雑な操作を与える場合に好適である。
【0066】
第1指53は、その先端方向(延伸方向)の端面に、撮像軸AXaが、指節53cの中心軸と一致する全方位撮像装置19を備える。また、手首関節52は、鉛直上方(z軸正方向)の端面に、撮像軸AXbが鉛直上方を向いた全方位撮像装置20を備える。
【0067】
(把持操作)
ここで、本実施例にかかる多関節2指ハンド50は、第1の実施例におけるグリップハンド部5の把持可能範囲のように、定形の把持可能範囲を定義することはできない。しかし、次に示すように、本実施例においても、全方位撮像装置19の撮像画像と、全方位撮像装置20の撮像画像とから、把持対象物が、把持可能範囲に入ったことを判断することが可能となる。
【0068】
図19は、本実施例にかかるマニプレータ1により、把持対象物TGTを把持する操作手順の一例について表した図面であり、図9と対比されるものである。図19は、図18(a)と同一方向からの視点より多関節2指ハンド50および把持対象物TGTの周辺を表している。
図19(a)は、操作者が把持対象物TGTの位置を確認する手順を模式的に表した図面である。この手順において、操作者は、把持対象物TGTの位置を、多関節2指ハンド50に具備される全方位撮像装置19および20を用いて確認する。
この手順において、全方位撮像装置19は、多関節2指ハンド50の第1指53の先端にあるため、マニプレータ付き作業装置の、他のいかなる部位にも、撮像可能領域が遮蔽されることがなく、好適であることは図9(a)と同一である。これにより、図9と同様にして、操作者は、全方位撮像装置19の画像と全方位撮像装置20の画像とを同時に確認することで、図19(b)に示すように、把持対象物TGTを多関節2指ハンド50の第1指53と第2指54とに挟まれる領域に収まるように、多関節2指ハンド50を移動することが可能である。これは、全方位撮像装置19による撮像画像の把持空間側の半面に映りこみ、且つ、全方位撮像装置20による撮像画像の撮像中心線と一致する位置に映りこむように、多関節2指ハンド50を操作すればよい。
ここで、操作者が、指関節55bと指関節56bをはじめとする多関節2指ハンド50の指関節を操作し、指節53cおよび指節54cとを平行に保ったまま、その間隔を狭めることで、図19(c)に示すように、把持対象物TGTを、指節53cおよび指節54cとで把持することが可能である。
【0069】
図20は、本実施例にかかるマニプレータ1により、把持対象物TGTを把持する操作手順の別なる一例について表した図面である。
図20(a)と図19(a)、図20(b)と図19(b)とは、同一の手順であり、その詳細な説明は繰り返さない。
【0070】
図20(c)は、操作者は、指関節55bと、指関節56bをはじめとする多関節2指ハンド50の指関節を操作し、指節53cおよび指節54cとを、対抗する面方向に屈曲させた様子を示した図面である。
ここで、指節53cの全方位撮像装置19の撮像画像において、再び把持対象物TGTが映りこむ場合、把持対象物TGTが、多関節2指ハンド50の把持可能範囲の十分内側に位置していないと判断できる。この場合、操作者は、図20(d)に示すように手首節51の軸方向に、多関節2指ハンド50を移動させる。
図20(c)および図20(d)に示すように、指関節55bと、指関節56bをはじめとする多関節2指ハンド50の指関節を操作し、指節53cの全方位撮像装置19の撮像画像に把持対象物TGTが映りこまないように、多関節2指ハンド50の指を屈曲させることで、図20(e)に示すように、指節53bおよび指節54bによって把持することが可能となる。
【0071】
図19(c)に示される多関節2指ハンド50の操作手段においては、操作手順が少ないという利点があるが、例えば把持した把持対象物TGTを、図18に示すy軸負方向に移動させる場合は、指節53cおよび指節54cの軸方向と平行の方向に把持対象物TGTが滑る場合がある。一方、図20に示される操作手段においても、指節53bおよび指節54bの軸方向と平行の方向に把持対象物TGTが滑る場合がある。しかし、指節53cおよび指節54cとにより、把持対象部TGTが把持可能範囲の外部に移出することはない。これは、例えば日常動作において、所定の対象物を引き寄せるなどの操作において特に好適である。
なお、本実施の形態における多関節2指ハンド50において、鉛直方向(図18(b)におけるz軸方向)の操作に関しては、実施例1に示した操作手順と同一のものが適用可能であるため、その詳細な説明は割愛する。
【0072】
以上、本発明の具体的実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変更したものが含まれる。
例えば、図8ないし図11、及び、図19ないし図20に示した操作手順において、本明細書における実施例においては、操作者が全方位撮像装置19および20との撮像画像を見ながら操作を行うと説明したが、これに限らず、例えば把持対象物TGTが撮像画像内に映りこむことを自動的に検出する装置と組み合わせることで、操作者が操作することなく、把持対象物TGTを把持することが可能である。
【0073】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定するものではない。
【符号の説明】
【0074】
1…マニプレータ、2…制御装置、3…車イス、4…操作者、5…グリップハンド部、6…アーム部、
11…基端関節、12a、12b、12c…腕節部、13a、13b…関節機構、14…手首関節、15…手首部、16…手掌部、17a、17b指部、170a、170b…指部の把持面、18a、18b…並進関節機構、19…第1の全方位撮像装置FISHEYEa、20…第2の全方位撮像装置FISHEYEb、
21…表示デバイス、22…ジョイスティック型入力デバイス、23…キーボード型入力デバイス、25…制御処理部、
30…画像表示領域、31…操作アイコン表示エリア、32a、32b全方位画像、33…視点切り替えアイコン、34…仮想視野画像、35…視点制御アイコン、
41…マニプレータ構造パラメータテーブル、42…マニプレータ姿勢パラメータテーブル、43…仮想視点パラメータテーブル、44…カメラ姿勢計算部、45…合成パラメータ計算部、46…FISHEYEa画像処理部、47…FISHEYEb画像処理部、48…画像合成部、
50…多関節2指ハンド、51…手首節、52…手首関節、53…第1指、54…第2指、53a、53b、53c、54a、54b、54c…指節、55a、55b、56a、56b…指関節。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム部とハンド部から成り、当該ハンド部は、把持範囲にある対象物を把持する1つまたは複数の指部を有するマニプレータ装置であって、
前記指部の先端に第1の全方位撮像装置を設けるとともに、
前記ハンド部の、前記指部の先端以外の位置に第2の全方位撮像装置を設け、
前記第1の全方位撮像装置と前記第2の全方位撮像装置とは撮像軸が異なることを特徴とする マニプレータ装置。
【請求項2】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記第1の全方位撮像装置の撮像軸と前記第2の全方位撮像装置の撮像軸とが直交するように構成したことを特徴とするマニプレータ装置
【請求項3】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記第2の全方位撮像装置の撮像範囲が前記指部の把持範囲と接するように、前記第2の全方位撮像装置を配置したことを特徴とするマニプレータ装置
【請求項4】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記指部を支持する支持部の上端または下端に、前記第2の全方位撮像装置を配置したことを特徴とするマニプレータ装置。
【請求項5】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記ハンド部は、2つの直方体形状の指部と、前記2つの指部の把持面が向い合うように前記指部を支持する支持部と、前記2つの指部を並進運動させる並進関節機構とを含むことを特徴とするマニプレータ装置。
【請求項6】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記ハンド部は、多関節を備えた複数の指部から構成される多指ハンドを含むことを特徴とするマニプレータ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のマニプレータ装置と、前記マニプレータ装置を操作する制御装置を備え、前記マニプレータ装置のアーム部は、1つまたは複数の腕節部を備え、前記ハンド部と前記腕節部との間、または、前記腕節部同士の間に、関節機構を備えるマニプレータ付き作業装置において、
前記腕節部の長さを含む構造データを格納する構造データ格納部と、前記関節機構の角度を含む姿勢データを格納する姿勢データ格納部と、視点情報を含む視点データを格納する視点データ格納部と、画像処理部とを更に有し、
前記画像処理部は、前記第1の全方位撮像装置の撮像画像と、前記第2の全方位撮像装置の撮像画像とから、前記構造データと前記姿勢データと視点データに基づいて前記視点から見た仮想視野画像を生成する処理を行うことを特徴とするマニプレータ付き作業装置。
【請求項8】
請求項7記載のマニプレータ付き作業装置において、
前記制御装置は表示部を備え、前記生成した仮想視野画像を前記表示部に表示することを特徴とするマニプレータ付き作業装置。
【請求項1】
アーム部とハンド部から成り、当該ハンド部は、把持範囲にある対象物を把持する1つまたは複数の指部を有するマニプレータ装置であって、
前記指部の先端に第1の全方位撮像装置を設けるとともに、
前記ハンド部の、前記指部の先端以外の位置に第2の全方位撮像装置を設け、
前記第1の全方位撮像装置と前記第2の全方位撮像装置とは撮像軸が異なることを特徴とする マニプレータ装置。
【請求項2】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記第1の全方位撮像装置の撮像軸と前記第2の全方位撮像装置の撮像軸とが直交するように構成したことを特徴とするマニプレータ装置
【請求項3】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記第2の全方位撮像装置の撮像範囲が前記指部の把持範囲と接するように、前記第2の全方位撮像装置を配置したことを特徴とするマニプレータ装置
【請求項4】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記指部を支持する支持部の上端または下端に、前記第2の全方位撮像装置を配置したことを特徴とするマニプレータ装置。
【請求項5】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記ハンド部は、2つの直方体形状の指部と、前記2つの指部の把持面が向い合うように前記指部を支持する支持部と、前記2つの指部を並進運動させる並進関節機構とを含むことを特徴とするマニプレータ装置。
【請求項6】
請求項1記載のマニプレータ装置において、
前記ハンド部は、多関節を備えた複数の指部から構成される多指ハンドを含むことを特徴とするマニプレータ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のマニプレータ装置と、前記マニプレータ装置を操作する制御装置を備え、前記マニプレータ装置のアーム部は、1つまたは複数の腕節部を備え、前記ハンド部と前記腕節部との間、または、前記腕節部同士の間に、関節機構を備えるマニプレータ付き作業装置において、
前記腕節部の長さを含む構造データを格納する構造データ格納部と、前記関節機構の角度を含む姿勢データを格納する姿勢データ格納部と、視点情報を含む視点データを格納する視点データ格納部と、画像処理部とを更に有し、
前記画像処理部は、前記第1の全方位撮像装置の撮像画像と、前記第2の全方位撮像装置の撮像画像とから、前記構造データと前記姿勢データと視点データに基づいて前記視点から見た仮想視野画像を生成する処理を行うことを特徴とするマニプレータ付き作業装置。
【請求項8】
請求項7記載のマニプレータ付き作業装置において、
前記制御装置は表示部を備え、前記生成した仮想視野画像を前記表示部に表示することを特徴とするマニプレータ付き作業装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−152870(P2012−152870A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15268(P2011−15268)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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