説明

マルチダイ背面照射型ダイオードのモジュール・アセンブリ

【課題】CTシステム等の検出器アレイにおいて、素子の高密度化に伴うトレース及び結合パッドの数及び寸法に対する物理的制限を克服する。
【解決手段】計算機式断層写真法撮像スキャナ(10)・モジュールが、複数のシンチレータ(156)と、シンチレータに光学的に結合されている複数の背面照射型フォトダイオードと、フォトダイオードが電気的に結合されている複数の基材導電体を有する多層基材(204)であって、複数の基材導体の各々が、異なる背面照射型フォトダイオードに接続されている、多層基材(204)と、基材が電気的に結合されている複数の可撓性導電体を有する可撓性ケーブル(308)であって、複数の可撓性導電体の各々が、多層基材の異なる出力に接続されている、可撓性ケーブル(308)とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、医用イメージング・システムに関し、さらに具体的には、計算機式断層写真法(CT)に関する。本出願の主題は、X線システムを特定的な用途としているが、本発明には他の撮像モダリティに関連する用途もある。
【背景技術】
【0002】
現今のCTスキャナは典型的には、X線エネルギを電気信号に変換するために数千個のX線検出器を用いている。典型的な検出器はシンチレータのアレイを含む場合があり、このアレイが、光線又は他の電離放射線を前面で検出する半導体フォトダイオードのアレイに取り付けられている。幾つかの具現化形態は構成可変型検出器を有しており、かかる検出器では、多数の個々のフォトダイオードからの信号電流を結合して、後続の処理を単一の増幅器チャネルで行なうことができる。この構成では、外部から制御される電気スイッチ(電界効果トランジスタすなわちFET)を用いて、個々のピクセルの検出面積を変化させることができる。FETへの電気的接続のための結合パッドは典型的には、フォトダイオードの一端又は両端に位置しており、ピクセル・アレイは全体として、アレイの中心からFETの近くの一方又は両方のエッジに向かって経路を形成していなければならない。
【特許文献1】米国特許第6,707,046号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アレイの素子数が増加するにつれて、トレース及び結合パッドの密度は、フォトダイオード・アレイのエッジの近くでは望ましくない程高いレベルまで増加する。このため、上面接点を用いて形成され得るトレース及び結合パッドの数及び寸法に幾分かの物理的制限が加わっている。利用可能な結線及びシリコン処理技術では、0.625mmのピクセル(CTガントリのアイソセンタで測定した場合)の40枚〜50枚のスライスまでしか達成することができない。
【0004】
本書では、上述の問題を少なくとも部分的に克服する方法及び装置を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一観点では、複数のシンチレータと、シンチレータに光学的に結合されている複数の背面照射型フォトダイオードと、フォトダイオードが電気的に結合されている複数の基材導電体を有する多層基材であって、複数の基材導体の各々が、異なる背面照射型フォトダイオードに接続されている、多層基材と、この基材が電気的に結合されている複数の可撓性導電体を有する可撓性ケーブルであって、複数の可撓性導電体の各々が、多層基材の異なる出力に接続されている、可撓性ケーブルとを含む計算機式断層写真法撮像スキャナ・モジュールを提供する。
【0006】
他の観点では、X線源と、線源から放出されたX線を受光するように配置されているX線検出器モジュールとを含むイメージング・システムを提供する。検出器モジュールは、X線源に対向している複数のシンチレータと、シンチレータに光学的に結合されている複数の背面照射型フォトダイオードと、これら複数の背面照射型フォトダイオードに電気的に結合されている多層基材と、この多層基材に電気的に結合されている可撓性ケーブルとを含んでいる。
【0007】
さらにもう一つの観点では、方法を提供する。この方法は、シンチレータからフォトンを受光するステップと、フォトンを電気信号に変換するステップと、多層基材を介して電気信号を伝送するステップと、多層可撓性回路を介して電気信号を伝送するステップとを含んでいる。
【0008】
さらに他の観点では、背面照射型ダイオードを多層基材に取り付ける方法を提供し、この方法は、背面照射型ダイオードの表面にスタッド・バンプを結線するステップと、多層基材の表面に接着剤を配置するステップと、スタッド・バンプの表面を多層基材上の接着剤の表面に対して整列させるステップと、背面照射型ダイオード及び基材を接着剤硬化温度まで加熱するステップと、背面照射型ダイオードと基材との間に形成される間隙にアンダーフィルを施すステップとを含んでいる。
【0009】
他の観点では、可撓性電気回路を基材に取り付ける方法を提供する。この方法は、はんだバンプを多層基材の表面に配置するステップと、可撓性電気回路の表面にリフロー封止剤を配置するステップと、多層基材の表面をはんだバンプの表面と整列させるステップと、可撓性電気回路及び基材をはんだのリフロー温度まで加熱するステップとを含んでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本書では、例えば限定しないが計算機式断層写真法(CT)システムのようなイメージング・システムに有用な放射線検出方法及び装置を提供する。本装置及び方法を図面を参照して説明する。尚、全ての図面において類似の参照番号は同一の要素を示す。かかる図面は、限定ではなく具体例を示すことを目的としており、本発明の装置及び方法の例示的な実施形態の説明を容易にするため本書に含まれている。
【0011】
幾つかの公知のCTイメージング・システム構成においては、放射線源がファン(扇形)形状のビームを投射し、このビームは、デカルト座標系のXY平面であって一般に「イメージング(撮像)平面」と呼ばれる平面内に位置するようにコリメートされる。放射線ビームは、患者のような撮像対象を透過する。ビームは対象によって減弱された後に放射線検出器のアレイに入射する。検出器アレイで受光される減弱した放射線ビームの強度は、対象による放射線ビームの減弱量に依存している。アレイ内の各々の検出器素子が、検出器の位置でのビーム減弱の測定値である別個の電気信号を発生する。全ての検出器からの減弱測定値を別個に取得して透過プロファイルを形成する。
【0012】
第三世代CTシステムでは、放射線源及び検出器アレイは、放射線ビームが対象と交差する角度が定常的に変化するように撮像平面内で対象の周りをガントリと共に回転する。一つのガントリ角度での検出器アレイからの一群の放射線減弱測定値すなわち投影データを「ビュー」と呼ぶ。対象の「走査(スキャン)」は、放射線源及び検出器が一回転する間に様々なガントリ角度すなわちビュー角度において形成される一組のビューを含んでいる。
【0013】
アキシャル・スキャン(軸方向走査)では、投影データを処理して、対象を通して得られる二次元スライスに対応する画像を再構成する。一組の投影データから画像を再構成する一方法に、当業界でフィルタ補正逆投影法と呼ばれるものがある。この方法は、走査からの減弱測定値を「CT数」又は「ハンスフィールド単位」と呼ばれる整数へ変換し、これらの整数を用いて表示装置上の対応するピクセルの輝度を制御する。
【0014】
全走査時間を短縮するために、「ヘリカル」・スキャン(螺旋走査)を行なうこともできる。「ヘリカル」・スキャンを行なうためには、患者を移動させながら所定の数のスライスのデータを取得する。かかるシステムは、一回のファン・ビーム・ヘリカル・スキャンから単一の螺旋を生成する。ファン・ビームによって悉く写像された螺旋から投影データが得られ、投影データから各々の所定のスライスにおける画像を再構成することができる。
【0015】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素またはステップという用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている他の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。
【0016】
また、本書で用いられる「画像を再構成する」という表現は、画像を表わすデータが生成されるが可視画像は形成されないような本発明の実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる「画像」との用語は可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指すものとする。但し、多くの実施形態は1以上の可視画像を形成する(か又は形成するように構成されている)。
【0017】
図1はCTイメージング・システム10の見取り図である。図2は図1に示すシステム10のブロック模式図である。例示的な実施形態では、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム10が、「第三世代」CTイメージング・システムに典型的なガントリ12を含むものとして示されている。ガントリ12は放射線源14を有しており、放射線源14は、X線のコーン・ビーム16をガントリ12の反対側に設けられている検出器アレイ18に向かって投射する。
【0018】
検出器アレイ18は、複数の検出器素子20を含む複数の検出器横列(図1及び図2に示されていない)によって形成されており、検出器素子20は一括で、患者22のような対象を透過した投射X線ビームを感知する。各々の検出器素子20は、入射放射線ビームの強度を表わし従って対象又は患者22を透過する際のビームの減弱を表わす電気信号を発生する。マルチスライス検出器18を有するイメージング・システム10は、対象22の容積を表わす複数の画像を形成することが可能である。これら複数の画像の各々が、空間の別個の「スライス」に対応している。スライスの「厚み」又はアパーチャは、検出器横列の厚みによって決まる。
【0019】
放射線投影データを取得するための一回の走査の間に、ガントリ12及びガントリ12に装着されている構成部品は回転中心24の周りを回転する。図2は、検出器素子20の単一の横列(すなわち検出器横列一列)のみを示している。しかしながら、マルチスライス検出器アレイ18は、一回の走査中に複数の準並行スライス又は平行スライスに対応する投影データが同時に取得され得るように、検出器素子20の複数の平行な検出器横列を含んでいる。
【0020】
ガントリ12の回転及び放射線源14の動作は、CTシステム10の制御機構26によって制御される。制御機構26は、放射線源14に電力信号及びタイミング信号を供給する放射線制御器28と、ガントリ12の回転速度及び位置を制御するガントリ・モータ制御器30とを含んでいる。制御機構26内に設けられているデータ取得システム(DAS)32が検出器素子20からのアナログ・データをサンプリングして、後続の処理のためにこのデータをディジタル信号へ変換する。画像再構成器34が、サンプリングされてディジタル化された放射線データをDAS32から受け取って高速画像再構成を実行する。再構成された画像はコンピュータ36への入力として印加され、コンピュータ36は大容量記憶装置38に画像を記憶させる。
【0021】
コンピュータ36はまた、キーボードを有するコンソール40を介して操作者から指令及び走査用パラメータを受け取る。付設されている陰極線管表示器42によって、操作者は、再構成された画像及びコンピュータ36からのその他のデータを観測することができる。操作者が供給した指令及びパラメータはコンピュータ36によって用いられて、DAS32、放射線制御器28及びガントリ・モータ制御器30に制御信号及び情報を供給する。加えて、コンピュータ36は、モータ式テーブル46を制御するテーブル・モータ制御器44を動作させて、患者22をガントリ12内で配置する。具体的には、テーブル46は患者22の各部分をガントリ開口48を通して移動させる。
【0022】
一実施形態では、コンピュータ36は、フレキシブル・ディスク、CD−ROM、DVD若しくはネットワークやインターネットのような他のディジタル・ソース等のコンピュータ読み取り可能な媒体52から命令及び/又はデータを読み取る装置50、例えばフレキシブル・ディスク・ドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、光磁気ディスク(MOD)装置、又はイーサネット(登録商標)装置のようなネットワーク接続装置を含めたその他任意のディジタル装置、並びに開発中のディジタル手段を含んでいる。他の実施形態では、コンピュータ36はファームウェア(図示されていない)に記憶されている命令を実行する。一般的には、図2に示すDAS32、再構成器34及びコンピュータ36の少なくとも一つのプロセッサが、以下に説明する工程を実行するようにプログラムされる。言うまでもなく、本方法はCTシステム10での実施に限定されず、他の多くの形式及び変形のイメージング・システムに関して利用することができる。一実施形態では、コンピュータ36は本書に記載する作用を果たすようにプログラムされており、よって本書で用いられるコンピュータという用語は当技術分野でコンピュータと呼ばれている集積回路のみに限らず、コンピュータ、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ、特定応用向け集積回路、及び他のプログラム可能な回路を広範に指すものとする。本書に記載する方法は医療環境において記載されているが、産業環境又は運輸環境、例えば限定しないが空港若しくは他の運輸拠点での手荷物走査CTシステム等で典型的に用いられるシステム等のような非医療撮像システムも本発明の利点を享受すると想到される。
【0023】
図3及び図4に示すように、公知の検出器アレイ118は複数の検出器モジュール・アセンブリ150(検出器モジュールとも呼ばれる)を含んでおり、各々のモジュールが検出器素子120のアレイを備えている。各々の検出器モジュール150は、高密度光センサ・アレイ152と、光センサ・アレイ152の上部に隣接して位置する多次元シンチレータ・アレイ154とを含んでいる。具体的には、シンチレータ・アレイ154は複数のシンチレータ156を含んでおり、光センサ・アレイ152は、フォトダイオード158と、スイッチ装置160と、デコーダ162とを含んでいる。二酸化チタンを充填剤としたエポキシのような材料が、シンチレータ素子同士の間の小空間を充填している。フォトダイオード158は、個別のフォトダイオードであるか、又は一体の多次元ダイオード・アレイである。フォトダイオード158はシリコン基材上に分散されるか、堆積されるか、又は形成される。シンチレータ・アレイ154は、当技術分野で公知のように、フォトダイオード158を被って又はフォトダイオード158に隣接して配置される。フォトダイオード158は、シンチレータ・アレイ154に光学的に結合され、シンチレータ・アレイ154による光出力を表わす信号を伝送する電気出力線を有している。各々のフォトダイオード158は、シンチレータ・アレイ154の特定のシンチレータについてのビーム減弱の測定値である別個の低レベル・アナログ出力信号を発生する。フォトダイオード出力線(図3又は図4には示されていない)は例えば、モジュール120の一面又はモジュール120の複数の側面に物理的に配置されてよい。図4の図示によれば、フォトダイオード出力はフォトダイオード・アレイの両面に配置されている。
【0024】
図3に示すように、検出器アレイ118は57個の検出器モジュール150を含んでいる。各々の検出器モジュール150は、光センサ・アレイ152と、典型的にはこのアレイ152に適合するシンチレータ・アレイ154とを含んでいる。結果として、アレイ118は16行×912列(16×57モジュール)に分割され、例えば現行技術では、z軸がガントリ回転軸であるとすると、ガントリ12の各回の回転でz軸に沿ってN=16までのスライスのデータを同時に収集することができる。
【0025】
スイッチ装置160は多次元の半導体スイッチ・アレイである。スイッチ装置160は光センサ・アレイ152とDAS32との間に結合されている。スイッチ装置160は一実施形態では、2個の半導体スイッチ・アレイ164及び166を含んでいる。スイッチ・アレイ164及び166は各々、多次元アレイとして配列された複数の電界効果トランジスタ(FET)(図示されていない)を含んでいる。各々のFETは、それぞれのフォトダイオード出力線の1本に電気的に接続されている入力と、出力と、コントロールとを含んでいる(図示されていない)。FET出力及びコントロールは、可撓性電気ケーブル168を介してDAS32に電気的に接続された線に接続されている。具体的には、フォトダイオード出力線の約半数がスイッチ164の各々のFET入力線に電気的に接続され、フォトダイオード出力線の残りの半数がスイッチ166のFET入力線に電気的に接続されている。このように、可撓性電気ケーブル168は、例えば可撓性ケーブル168からスイッチ装置160まで、またスイッチ装置160及びデコーダ162からフォトダイオード158までの結線によって、光センサ・アレイ152に電気的に接続されている。
【0026】
デコーダ162は、スイッチ装置160の動作を制御して、所望のスライス数及び各々のスライスの所望の分解能に応じてフォトダイオード158の出力をイネーブルにするか、ディスエーブルにするか、又は結合する。デコーダ162は一実施形態では、当技術分野では公知のようにFET制御器である。デコーダ162は、スイッチ装置160及びDAS32に結合される複数の出力線及び制御線を含んでいる。具体的には、デコーダ出力はスイッチ装置の制御線に電気的に結合されて、スイッチ装置160をイネーブルにしてスイッチ装置の入力からスイッチ装置の出力へ適正なデータを送信する。デコーダ162を用いて、特定のフォトダイオード158の出力がCTシステムのDAS32に電気的に接続されるように、スイッチ装置160の内部の特定のFETを選択的にイネーブルにするか、ディスエーブルにするか、又は結合する。デコーダ162は、選択された列数の光センサ・アレイ152の横列がDAS32に接続されるようにスイッチ装置160をイネーブルにし、すると、選択された枚数のスライス分のデータがDAS32に電気的に接続されて処理される。
【0027】
図3及び図4に示すように、検出器モジュール150は検出器アレイ118に嵌合され、レール170及び172によって所定の位置に固定される。図3は、レール172が既に所定の位置に固定されており、レール170が電気ケーブル168の上方で、モジュール150の基材174、可撓性ケーブル168及び取付けブラケット176の上方に固定されつつある様子を示している。次いで、ネジ(図3及び図4に図示されていない)が穴178及び180を通してレール170のネジ穴182へ螺入されて、モジュール150を所定の位置に固定する。取付けブラケット176のフランジ184は、レール170及び172に対する圧迫によって(又は一実施形態では接着によって)所定の位置に保持され、検出器モジュール150の「揺動」を防ぐ。取付けブラケット176はまた、可撓性ケーブル168を基材174に圧締めしており、又は一実施形態では可撓性ケーブル168はまた基材174に接着剤で接着されている。
【0028】
しかしながら、従来、トレース又は電気経路はフォトダイオード・アレイの一端からしか引き込むことができず、このため上面接点を用いて形成され得るトレース及び結合パッドの数及び寸法に幾分かの物理的制限が加わっている。トレース及び結合パッドの数及び寸法に対する物理的制限は、ダイオードを反転させて表面接点をフォトダイオード・アレイの裏側に配置することにより回避することができる。この技術は例えば、米国特許第6,707,046号明細書に記載されている(すなわち、背面照射型又は「バックライト型」ダイオード)。電気的接続は、背面照射型ダイオード・アレイの各々のピクセルからセラミック製基材又はプリント配線基板(PWB)等へ直接形成される。基材は多層化されており、電気信号をフォトダイオード・アレイから多層基材を介して基材の反対側へ伝送する。電気的接合が可能なパッドが基材の各々の面に配置されて電気相互接続を容易にしている。裏面接続の設計によって、トレースをダイオード・アレイの両端エッジに導かなければならないという要件がなくなり、CTスキャナのz次元及びx次元での素子の無制限のタイリングが可能になる。
【0029】
図5及び図6は、多層基材204上に背面照射型ダイオード・アレイ202を配置することにより組み立てられるダイオード−基材アセンブリ200を示している。背面照射型ダイオード・アレイ202の基材204に対する整列及び取付けに先立って、導電性エポキシ206のアレイを基材204上に疎に塗布するか、一面に塗布するか又は定量で塗布する。複数のスタッド・バンプ208が、背面照射型ダイオード・アレイ214のパターン化された金属化表面に超音波併用熱圧着で接着されて、アレイ202のピクセルの各々の実質的に中心に配置される。スタッド・バンプ208は金属性であり、一実施形態では金である。導電性接着剤206は、基材204の表面に、スタッド・バンプ・アレイ206と同じで且つ該アレイ206に適合する対向パターン216でパターン形成される。ピック・アンド・プレイス式フリップ・チップ技術を用いてダイオード・アレイ202を基材204と精密整列させ、スタッド・バンプ208がアレイ216のパッドに達するまで圧着する。導電性接着剤を、時間及び温度の要件についての製造元の指示に従って硬化させる。スタッド・バンプ208は、背面照射型ダイオード・アレイ202を一様の高さに制御し、間隙212にアンダーフィル材料210を施すことを容易にする。スタッド・バンプ208は、接触領域のアレイ全体にわたって基材204の表面に接触しており、高さが実質的に同じであるため、ダイオード・アレイが基材204と実質的に同じ表面平坦度で適合することを可能にする。スタッド・バンプはまた間隙212を形成し、この間隙212に毛管作用によってアンダーフィル材料210が充填される。アンダーフィル210は、背面照射型ダイオード・アレイ202と基材204との間の接合を強化するのに役立つ。アンダーフィル210はまた、イオン性汚染及び他の汚染がアレイ取付け領域から侵入するのを防ぐのに役立ち、接合に低信号堅牢性を加える。
【0030】
図7は、背面照射型ダイオード・アレイ202(図示されていない)に対して反対の面で基材204に取り付けられた可撓性回路308を示す。複数の共晶はんだボール302が、基材204の複数の電気出力パッド304に従ったパターンで基材204に配置されている。次いで、ノー・フロー法を用いて、先ずピック・アンド・プレイス設備を用いて封止剤312を可撓性回路308上に施し、可撓性回路308を基材204に接合し、次いで、アセンブリをはんだに要する所定の温度に加熱してはんだボール302を流動させることにより、間隙310を充填する。封止材料ははんだフロー加熱の一部として硬化する。可撓性回路308は電気接点パッド306のパターンを対応して有し、このパターンは基材204上の対向パターン304に一致している。ノー・フロー法は、二つの表面を接合する前に可撓性回路308上に封止剤を施し、次いではんだ溶融温度に加熱することを指す。
【0031】
図8は、アレイ・パターン306を有するように構成された可撓性回路308を示しており、この回路はまた犠牲パッド330を有するようにも構成され、犠牲パッド330は、ステッチの間に軸方向間隙332を設けた状態でステッチ溶接される。同様の金属化犠牲ステッチが、接点パッド304のパターンに対して同様の態様で基材(図示されていない)上に配置される。可撓性回路308が基材204に接合されると、対向するステッチのパターンは、少なくとも三つの作用を果たす対向する金属化表面を形成する。図9は犠牲パッド330を示しており、これらの犠牲パッド330は、以降の接着工程で接合されると、封止剤が接着する相手表面の接着性を強化する。犠牲パッド330はまた、封止剤312が犠牲パッド330を越えて流出するのを阻止するのに役立つ。封止剤312の流動域は溝334によって制限され、溝334は毛管作用が溝領域334で終息するような配置及び寸法を有する。このように流動を制限している状態で、犠牲パッド330はまた、可撓性回路308の屈曲線336を画定するのにも役立つ。軸方向間隙332は、はんだバンプ304の加熱工程中に形成されるガスの放出を可能にする。
【0032】
本書に記載する方法及び装置の技術的効果の一つは、これらの方法及び装置が、多層基材上の背面照射型ダイオードと、基材の下面に取り付けられた可撓性回路とを提供することである。もう一つの技術的効果は、本書に記載する方法及び装置が、基材の材料として多層セラミック基板又はプリント配線基板を用いていることである。もう一つの技術的効果は、本書に記載する方法及び装置が、可撓性回路の取付け及び屈曲線の制御にはんだ及びリフロー封止剤を用いていることである。もう一つの技術的効果は、本書に記載する方法及び装置が、アンダーフィル材料の制御及びCT検出器モジュールの信頼性向上のために犠牲パッドを用いていることである。
【0033】
本発明を好適実施形態に関して説明した。当業者には、以上の詳細な説明を精読して理解すると改変及び変形が想到されよう。本発明は、特許請求の範囲又はその均等物の範囲内に含まれる限りにおいて、かかる全ての改変及び変形を含むものと解釈されたい。特許請求の範囲において図面の参照番号に対応する番号は、請求される発明の理解を容易にする目的のみのものであって、請求される発明の範囲を狭めることを意図しているのではない。本出願の特許請求の範囲に記載の事項は、本明細書の記載の一部として明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】CTイメージング・システムの実施形態の見取り図である。
【図2】図1に示すシステムのブロック模式図である。
【図3】公知の検出器モジュールのアレイを示す図である。
【図4】図3に示す公知の検出器モジュールを示す図である。
【図5】背面照射型ダイオード・アレイの基材に対する配置を示す図である。
【図6】基材と背面照射型ダイオード・アレイとの間の接着接合を示す図である。
【図7】基材と可撓性回路との間の接着接合を示す図である。
【図8】可撓性回路上の犠牲パッドの平面図である。
【図9】基材に取り付けられた可撓性回路の図であって、可撓性回路の屈曲線が犠牲パッドの位置によって画定されているのを示す図である。
【符号の説明】
【0035】
10 CTシステム
12 ガントリ
14 放射線源
16 X線コーン・ビーム
18 検出器アレイ
20 検出器素子
22 患者
24 回転中心
26 制御機構
42 表示器
46 モータ式テーブル
48 ガントリ開口
50 媒体読み取り装置
52 媒体
118 公知の検出器アレイ
120 検出器素子
150 検出器モジュール・アセンブリ
152 光センサ・アレイ
154 シンチレータ・アレイ
156 シンチレータ
158 フォトダイオード
160 スイッチ装置
162 デコーダ
164、166 半導体スイッチ・アレイ
168 可撓性電気ケーブル
170、172 レール
174 基材
176 取付けブラケット
178、180、182 ネジ穴
184 フランジ
200 ダイオード−基材アセンブリ
202、214 背面照射型ダイオード・アレイ
204 多層基材
206 導電性接着剤
208 スタッド・バンプ
210 アンダーフィル材料
212 間隙
216 接着剤の対向パターン
302 共晶はんだボール
304 基材側の接点パッドのパターン
306 回路側の接点パッドのパターン
308 可撓性回路
310 間隙
312 封止剤
330 犠牲パッド
332 軸方向間隙
334 溝
336 屈曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシンチレータ(156)と、
該シンチレータ(156)に光学的に結合されている複数の背面照射型フォトダイオード(202)と、
該フォトダイオード(202)が電気的に結合されている複数の基材導電体を有する多層基材(204)であって、前記複数の基材導体の各々が、異なる前記背面照射型フォトダイオード(202)に接続されている、多層基材(204)と、
該基材が電気的に結合されている複数の可撓性導電体を有する可撓性ケーブル(308)であって、前記複数の可撓性導電体の各々が、前記多層基材(204)の異なる出力に接続されている、可撓性ケーブル(308)と、
を備えた計算機式断層写真法撮像スキャナ(10)・モジュール。
【請求項2】
前記複数のシンチレータ(156)は二次元アレイ(154)を構成している、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記複数の背面照射型ダイオード(202)は、前記複数のシンチレータ(156)のアレイに整列した二次元アレイ(214)を構成している、請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記複数の基材導体は、前記背面照射型ダイオード(202)のアレイに整列した二次元アレイを構成している、請求項3に記載のモジュール。
【請求項5】
前記複数の背面照射型ダイオード(202)の各々はスタッド・バンプを含んでいる、請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記スタッド・バンプの各々は金を含んでいる、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
X線源(14)と、
該線源から放出されたX線を受光するように配置されているX線検出器モジュール(18)と、
を備えたイメージング・システム(10)であって、前記検出器モジュールは、
前記X線源に対向している複数のシンチレータ(156)と、
該シンチレータ(156)に光学的に結合されている複数の背面照射型フォトダイオード(202)と、
該複数の背面照射型フォトダイオードに電気的に結合されている多層基材(204)と、
該多層基材(204)に電気的に結合されている可撓性ケーブル(308)と、を含んでいる、
イメージング・システム(10)。
【請求項8】
シンチレータ(156)からフォトンを受光するステップと、
前記フォトンを電気信号に変換するステップと、
多層基材(204)を介して前記電気信号を伝送するステップと、
多層可撓性回路(308)を介して前記電気信号を伝送するステップと、
を備えた方法。
【請求項9】
背面照射型ダイオードの表面にスタッド・バンプ(208)を結線するステップと、
多層基材の表面に接着剤(206)を配置するステップと、
前記スタッド・バンプの表面を前記多層基材上の前記接着剤の表面に対して整列させるステップと、
前記背面照射型ダイオード及び前記基材を接着剤硬化温度まで加熱するステップと、
前記背面照射型ダイオードと前記基材との間に形成される間隙(310)にアンダーフィルを施すステップと、
を備えた背面照射型ダイオード(202)を多層基材(204)に取り付ける方法。
【請求項10】
はんだバンプ(302)を多層基材の表面に配置するステップと、
可撓性電気回路の表面にリフロー封止剤(312)を配置するステップと、
前記多層基材の前記表面を前記はんだバンプの表面と整列させるステップと、
前記可撓性電気回路及び前記基材を前記はんだのリフロー温度まで加熱するステップと、
を備えた可撓性電気回路(308)を多層基材(204)に取り付ける方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−97930(P2007−97930A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−293419(P2005−293419)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】