説明

マルチレイヤーチューブまたは管路およびその製造方法

この発明は発泡製品およびその製造方法に関し、より詳しくは、連続成形により実質的に円筒形状に製造される複数レイヤーおよび/または複数コンポーネントからなる発泡製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡製品およびその製造方法に関し、より詳しくは、連続成形法により実質的に円筒形状に製造されるマルチレイヤー(多層)および/またはマルチコンポーネント(多部材)からなる発泡製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数十年の間、発泡および非発泡のプラスチック材料を用いた製品の成形および構造に多くの努力が費やされると共に多大な関心が追求されてきた。これらの製品は主に押出成形またはモールド成形のいずれかで成形される。しかしながら、これらいずれの方法を採用しても、製品を競争力のある価格で効率的に製造できる寸法および形状において製造上の限界が存在する。
【0003】
押出成形を用いて製造される製品のタイプの一例は、発泡プラスチック材料から成形される中空の細長い円筒形チューブの作成である。このようなチューブは多種多様な製品に使用され、最も典型的には流体搬送用のパイプまたは管路のための絶縁体として使用される。
【0004】
円筒形状の発泡熱可塑性チューブを成形する押出製造方法は年々進歩を遂げてきわめて効率的な製造システムとして確立されているが、約7インチ(約17.8cm)以上のチューブ径を従来の設備で製造することは不可能である。熱可塑性材料から成形される大径チューブに対する市場が実際に存在するにも拘わらず、この要請を従来の押出成形設備で満足させることはできない。大径発泡チューブの要請を現在の技術を用いて満たすためには、その前に、製造者は非常に高価な製造設備の購入に投資しなければならない。
【0005】
より大径の円筒形チューブ部材に対する産業界の要請を満たすための設備を獲得しようとする際に製造業者が多大な投資を余儀なくされるという観点に立つとき、この要請を満たすべく製造される製品は、より小径の熱可塑性チューブに対する従来の価格に比べて非常に高価なものとなる。しかしながら、このような製品に対する要請ならびに競争力のある価格に対する産業界の要望にも拘わらず、従来の技術は大径円筒形チューブを費用効果的且つ価格競争的に製造できる方法を提供することに成功するには至っていない。
【0006】
より大径の中空円筒形チューブに対する産業界の要請に加えて、発泡熱可塑性材料を様々な厚さを持ち得る大寸法シート状に成形することについても多大なる要請が存在する。概して言えば、発泡熱可塑性製品を成形するための従来の低コスト押出成形設備では、厚さが約1/2インチ(約1.27cm)の発泡ポリマーシートを約12インチ(約30.5cm)以上の幅で製造することができない。したがって、低コスト押出成形設備を持つ従来の製造業者は、幅広の発泡プラスチックシートに対する要請を満たすことができない。大寸法で厚みのある製品に対する産業界の要請を満足するためには、特注設計の非常に高価な設備を購入しなければならず、結果としてそれによって製造される幅広発泡シート製品はより高価なものとなる。また、この投資に対する資本のリターンは小さい。
【0007】
この高価な設備を所有する限定された製造業者は幅広の形状を持つ発泡熱可塑性シート材料を製造することが可能であるが、このような製造業者であっても、この製造装置に対してより一層多大なる投資を与えない限り、単一シートに製造することができる厚さにおいて依然として限界を有する。一般に、高価な増強をしない場合、従来のシート押出成形機(エクストルーダ)ではせいぜい約1/2インチ(約1.27cm)厚のシート材料を製造することができるに過ぎない。
【0008】
したがって、約1/2インチ(約1.27cm)より厚い最終製品を得ることを望む顧客は、非常に高価な製造設備で製品を製造するか、あるいは複数のシートを所要の寸法に裁断した後これらを一体的に接合して所望の厚さの最終製品に仕上げなければならない。結果として、追加的な製造および取扱のための費用が派生し、このような特別な工程によって製造された最終製品は実質的にコストが増大する。
【0009】
約1/2インチ(約1.27cm)より厚いプランク材を高価な設備を用いずに製造するためには、複数のシートを二次的な工程において互いに積層ないし接合させて、各工程で得られた約1/2インチ(約1.27cm)までの断面厚さを増大させる必要がある。このような積層ステップは製造手順を複雑化させると共に全体のスクラップ率を増大させる。
【0010】
プランク材を約1/2インチ(約1.27cm)より厚く製造することを可能にする一つの試みでは、アキュミュレータを組み立てて押出成形機と共に使用する。押出成形機/アキュミュレータの組合せを用いることにより、アキュミュレータが一杯になるまで、発泡プラスチックが押出成形機からアキュミュレータに直接移送される。次いで、積み重ねられたプラスチックをピストンまたはラムを用いてアキュミュレータから排出させる。このシステムを用いることにより約2インチ(約5.08cm)までの厚さを実現させることができる。しかしながら、このシステムは間欠的に運転しなければならず連続運転することができないので非効率的である。さらに、間欠的にストップ/スタートが繰り返される処理であるためスクラップ率が高い。
【0011】
この従来技術の不利欠点を解消する試みとして、ノースカロライナ州ゼブロンのノマコ社(Nomaco Inc.)は、実質的にいかなる所望の径をも持ち得る中空発泡チューブないし製品をスパイラル成形するための独特のシステムおよび製造方法を開発した。実質的にいかなる所望の径および長さを有し得る中空発泡チューブを実現しただけでなく、熱可塑性発泡材料の大判シートないしプランク材を任意の所望の厚さと幅に成形するためにも同じプロセスが用いられた。この独特のシステムおよび製造方法は特許文献1および特許文献2に完全に開示されている。
【0012】
これら米国特許に含まれる教示は既存の従来技術に比べて実質的な進歩をもたらし、高度に効果的且つ効率的なプロセスで且つ非常に価格競争力の高い形で完全に新規な製造ラインが提供されるものではあるが、これらのスパイラル成形方法特許に開示される技術的進歩によって意図または提供されることの無かった更なる製品領域が依然として存在する。その結果、市場には製造上の困難さおよび欠点が依然として存在しており、それはこれら従来技術の功績によってもなお解消することができていない。
【0013】
商業的用途の多様性において、絶縁性および/または保護性の材料から成形される細長い中空チューブまたは管路には、様々な構造体および多種多様な用途に用いられるパイプ、管路、冷却ライン、タンク、ドーム、カバーその他の細長い部品の周囲を被覆することが要求される。変化し続ける市場において、このような絶縁性および/または保護性の製品には常に新たな要求が課せられ、様々な最終結果を実現するために多種多様な物性を備えることが要求され続けている。
【0014】
典型例として、細長い大径中空チューブないし管路に課せられる一つの主要な要求は高度な断熱性である。この点について、多くのパイプ、管路、冷却ライン、タンク、ドームおよび類似物品は長時間・長期間の円滑な連続操業・運転を確実にするために十分な断熱性を必要とする。その結果、これらの製品の周囲を被覆するために用いられる細長い大径中空チューブないし管路は、該製品が周囲に設けられるパイプアセンブリのために高度に優れた断熱性を備えなければならない。
【0015】
断熱性の程度が増大し続けることに加えて、産業界において必要とされる大径の細長い中空チューブないし管路はまた、該チューブないし管路がその周囲に設けられるパイプを保護するために、該チューブないし管路を通る蒸気透過率について特定の限界値を持つことが要求される。更には、熱膨張率、制御された拡散速度、寸法安定性、ネストエンゲージメント(nested engagement)、イージーシール性などの他の要求性能が、大径中空チューブないし管路が産業において使用される際に課せられる要請を満足させるために備えなければならない追加的な物理的および構造的特徴、特性および性質となる。
【0016】
したがって、本発明の主要な目的は、エンドユーザが要求する実質的にあらゆる種類の所望の物理的および構造的な特徴、特性および/または性質を備えるような細長い大径中空チューブないし管路およびその製造方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、上述の特徴を備えると共に、複数の独立した部品が互いに一体的に成形されてなる細長い大径中空チューブないし管路およびその製造方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、上述の特徴を備えると共に、その主要な部品の一つとして発泡プラスチック材料を含んでなる細長い大径中空チューブないし管路およびその製造方法を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、上述の特徴を備えると共に、最小限の人力を必要とし且つ最適な製造効率で製造可能な細長い大径中空チューブないし管路およびその製造方法を提供することである。
【0020】
他のおよびより具体的な目的の一部は自明であり、一部は後に明らかにされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第6306235号公報
【特許文献2】米国特許第6537405号公報
【発明の概要】
【0022】
本発明を採用することにより、従来システムに見られた困難さおよび不利欠点のすべてが解消され、細長い中空大径のマルチコンポーネントおよび/またはマルチレイヤーのチューブないし管路であって少なくともその一つのコンポーネントまたはレイヤーが発泡プラスチック材料からなるものが提供される。本発明において、マルチコンポーネントおよび/またはマルチレイヤーのチューブないし管路は、一またはより多くの産業上または技術上の領域における要求に好適に合致した特定の物理的および構造的特性を所有するために構成されている。その結果、従来技術による高価な製造方法は完全に除去され、効率的で対費用効果に優れ、まさに所望の要求性能を備えたマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブないし管路が実現する。
【0023】
本発明によれば、前記特許文献1,2に教示される独特のスパイラル成形法が用いられるが、これら従来技術には教示も示唆もされていない新規な改良が付加されている。これら従来技術の方法に関する幾つかの具体的詳細をここに記述するが、これら従来技術に含まれる教示事項を繰り返すことはしない。したがって、本発明の十分且つ完全なる開示を与えるために、これら従来技術の特許に含まれるすべての関連する教示事項をここに参照として取り入れるものとする。
【0024】
この開示において十分に詳述するように、本発明による所望のマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブないし管路を製造するために広い範囲の多種多様な材料、形態、形状、コンポジットおよびコンポーネントが用いられ得る。しかしながら、本発明の主要な処理および構造を理解するために、押出成形によって製造される少なくとも一つの熱可塑性発泡プロフィールを有すると共に所望の断面形状を有する本発明の基本的なマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブないし管路がここに記述されている。
【0025】
この開示において、「マルチコンポーネント」という用語は、概して、異種のベース材料から成形される2またはそれ以上のプロフィールないしレイヤーの使用を意味するものとして用いられる。さらに、「マルチレイヤー」という用語は、概して、類似または同一材料から成形される2またはそれ以上のプロフィールないしレイヤーの使用を意味するものとして用いられる。その結果として、そしてこの開示からも自明なように、本発明は同一または類似の材料からなる複数プロフィールないしレイヤーから形成され得ると共に、異種材料からなる複数プロフィールないしレイヤーからも形成され得る。
【0026】
その結果として、本発明を用いて製造される細長い中空チューブは、本発明の範囲から逸脱しない限り、代替的な形状および組成において広い範囲の多様性をもって構成され得る。さらには、「マルチコンポーネント」および「マルチレイヤー」という用語がこの開示を通して用いられているものの、いかなる場合においても、特定の最終製品を詳述するに際して用いられる特定の用語ないし記述に拘わらず、該細長い中空チューブは同一材料から形成される一または複数のプロフィールないしレイヤーを用いて構成されても良いし、異種材料から形成される一または複数のプロフィールないしレイヤーを用いて構成されても良い。
【0027】
本発明によれば、所望の断面形状および輪郭を有する所望の発泡プロフィールが押出成形により製造され、成形設備に直接搬送され、あるいは後の使用のために貯蔵庫に配置される。実際のところ、後により詳しく記述するように、押出発泡プロフィールを使用前に貯蔵することは、成形直後の押出発泡プロフィールを使用する際に見られる固有の欠点の幾つかを制御および/または除去するためにきわめて望ましいことが分かっている。しかしながら、いかなる手法が用いられても、発泡プロフィールは、本発明に用いられるスパイラル成形製造設備の主要部品を構成する回転円筒スリーブに搬送される。
【0028】
所望のチューブないし管路を成型するために、スパイラル成形製造工程において発泡プロフィールの接触端同士が連続的に互いに融着させることにより、該プロフィールを回転スリーブないしマンドレルの周囲を被覆するようにラップする。細長い押出プロフィールを回転円筒スリーブに向けて連続的に前進させることにより、連続的スパイラル成形において、近づいてくるプロフィールの側縁がラップされた隣接プロフィールの縁に接合されていく。この操作を連続して行うことによって、所望の全長を有するチューブないし管路が得られる。
【0029】
本発明の改良によれば、所望の所定の物理的特徴、特性および固有の構造的有用性を有する細長い中空チューブないし管路が製造される。この特異的で以前には予測されなかった結果を実現するために、所望の細長い中空チューブないし管路は、第一のプロフィールの製造と実質的に同等の手法において、第一のプロフィールに第二のプロフィールを同時に接合させることによって製造される。
【0030】
この点について、第一のプロフィールはマルチコンポーネント/マルチレイヤーの細長い中空チューブないし管路の第一のレイヤーを形成し、第二のプロフィールは第一のプロフィールに接合されると共に該第二のプロフィールの側縁にも接合されて、2つの別個独立したレイヤーが互いに一体的に接合されてなるチューブないし管路を効率的に実現する。特定の物理的または構造的な特徴および能力を有するプロフィールないしレイヤーを選択することにより、独特のマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブないし管路製品が得られる。さらに、後により詳細に記述するように、別個独立の複数のプロフィールないしレイヤーをこのようにして互いに一体的に接合して、特定の物理的および/または構造的な特徴および特性を有する最終製品を得ることができる。
【0031】
この独特のスパイラル成形方法を採用することにより、中空円筒マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブないし管路が連続的に形成され、その長さは顧客ニーズによってのみ制御される。また、所望製品の内径に実質的に等しい外径を有して構成された回転スリーブないしマンドレルを用いることにより、いかなる所望の径をも形成することができる。さらに、最終製品の全体厚およびその全体径は最終製品の成形に用いられるプロフィールの厚さによって制御され、該製品の形状は回転スリーブないしマンドレルの形状によって制御される。
【0032】
本発明によれば、連続的スパイラル成形製造方法において、複数の別個独立のプロフィールないしレイヤーが互いに一体的に接合される。好適な構造によれば、最終製品の第一のレイヤーを形成する上記詳述の手法において、第一のプロフィールはそれ自身に接合される。この第一のレイヤーの少なくとも一部が得られた直後に、第一のレイヤーの周囲を被覆するスパイラル形成設備に向けて第二のプロフィールを前進させ、第二のプロフィールの側縁を互いに接合させる。また、第二のプロフィールが回転スリーブないしマンドレルに向けて前進するにつれて、第二のプロフィールの下面が第一のプロフィールの頂面に接合される。この点について、第二のプロフィールを第一のプロフィールに接合・係合させるために用いられる構造に依存して、第二のプロフィールの側縁および接触面は同時に接合されることもあれば、もしもそれが望まれるのであれば順次に接合されることもあり得る。
【0033】
既述したところから明らかなように、任意の所望数のプロフィールないしレイヤーを互いに接合させて、特定の最終製品であるマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブないし管路を形成することができる。また、所望の特定の結果を実現するために、使用する各プロフィールないしレイヤーの厚さを変えることができる。後により詳しく記述するように、プロフィールの厚さは該プロフィールの様々な属性に影響を与えると同時に、そこからすべてのガスを排出させるために必要とされる時間にも影響を与える。厚いプロフィールは薄いプロフィールより概して好ましくないので、最適な最終製品構造を得るために本発明では任意の所望厚のプロフィールを複数用いることができる。その結果、従来技術システムにおいて見られた困難および欠点が完全に解消され、高度に好適であるマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブないし管路が得られる。
【0034】
本発明の細長い中空のマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブないし管路の製造において、発泡および非発泡のレイヤーのいずれをも使用可能であり、必要に応じてこれらを混ぜて使用することもできる。いかなる所望の材料も使用可能であるが、発泡レイヤーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、メラミン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)およびエチレンビニルアセテート(EVA)からなる群から選ばれる一または複数で形成されることが好ましい。また、非発泡レイヤーは、アルミクラッド(aluminum cladding)、織物ガラス(woven glass)、織物ファイバー(woven fiber)、織布(woven cloth)、ブラウンファイバーグラスクロス(blown fiberglass cloth)、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、シリカフィルム、共押出フィルム、「Mylar」(商標名)、ラバー、ネオプレンゴム、紙、すべての種類の非透水性・水蒸気非透過性の媒体・材料および被膜からなる群から選ばれる一または複数で形成されることが好ましい。
【0035】
さらに、望むのであれば、本発明の最終の中空の細長いマルチコンポーネント/マルチレイヤーのチューブないし管路は、得られる製品の外側面を形成する最終レイヤーとしてジャケットないし外側クラッドを含み得る。このようにして、チューブ/管路の外側面を保護するためのあらゆる所望の物理的ないし構造的特徴をチューブ/管路の一体的要素として製造工程中に形成することができる。このようにして、予備成形製品に外側面を適用することによって生じ得るコストを実質的に低減させながら、より簡便で便利且つ製造上の平易性を実現する。
【0036】
本発明の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーのチューブ/管路を形成する各レイヤーが互いに一体的に接合されることを確実にするため、一または複数の接合方法ないしシステムが好適に使用される。既述したように、マルチコンポーネント/マルチレイヤーは同時または順次にそれら同士および互いに一体的に接合される。さらに、使用される材料および適用に依存して、接合方法は、熱溶接、音波溶接、レーザ溶接、接着剤、メカニカルエージェント(mechanical agents)、化学剤および他の公知の接合方法からなる群から選ばれる一または複数であることが好ましい。
【0037】
本発明の別の実施形態を用いて、本発明の教示を用いて構成される中空円筒マルチコンポーネント/マルチレイヤーのチューブ/管路は、実質的にいかなる所望の全体の径および肉厚を有するものとして形成され得る。本発明のこの代替的実施形態においては、複数の別個独立の協働的な回転スリーブないしマンドレルが所望の形状において離隔設置されて用いられ、連続成形工程において押出成形されたプロフィールを複数の回転スリーブないしマンドレルに巻回していくことによって円筒チューブ/管路が形成される。
【0038】
最も単純化された形態においては、2つの別個独立したスリーブ/マンドレルが互いに間隔をおいて並置された状態で、実質的に平行な軸の回りを各スリーブ/マンドレルが回転するものとして用いられる。所望の断面形状ないし輪郭を有する第一のプロフィールが製造され、第一の回転スリーブ/マンドレルに向けて前進していく。次いで、単一の回転スリーブ/マンドレルに概して螺旋形状に連続的に巻き付けるのではなく、既述の実施形態におけると同様に、細長く押出成形されたプロフィールを第一のスリーブ/マンドレルから第二のスリーブ/マンドレルへと前進させる。第二のスリーブ/マンドレルで、その外側面に押出成形された発泡プロフィールを、該発泡プロフィールが第一のスリーブ/マンドレルに戻るに十分な距離だけ巻き付ける。この工程を連続して繰り返して、所望の長さを有する細長い楕円筒形チューブを成形する。
【0039】
次に、第二のプロフィールないしレイヤーを第一のプロフィールないしレイヤーに向けて前進させて第一のプロフィールの頂面に螺旋状に巻き付ける。上記に詳述したように、第二のプロフィールの側縁が互いに接合され、第二のプロフィールの底面が第一のプロフィールの頂面に接合される。
【0040】
この工程を、所望の長さを有する細長い楕円筒形中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーのチューブ/管路が得られるまで連続して行う。さらに、同様にして任意の追加的なレイヤーないしプロフィールを加えて所望の最終製品を得る。
【0041】
この連続スパイラル成形工程を採用することにより、中空で概して楕円筒形状のマルチコンポーネント/マルチレイヤーのチューブ/管路が連続製造ベースで成形され、いかなる所望の長さも容易に得られる。さらに、この製造された中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーのチューブ/管路の全体の寸法および形状は実質的に非限定的であり、共働する複数の回転スリーブ/マンドレルの相対位置に完全に依存するにすぎない。結果として、本発明の独特な方法および装置を使用して、実質的にいかなる形状や寸法も作り出すことができる。
【0042】
単一の回転スリーブないしマンドレルを参照して上記に詳述したように、プロフィールないしレイヤーを第一のスリーブ/マンドレルの外側面に係合させると、該プロフィールないしレイヤーの係合側縁が連続的に互いに接合されていく。ここに詳述されるように、この係合工程は主として機械的または物理的な薬剤またはシステムのいずれかを用いて行われる。一般的には、各プロフィールないしレイヤーの側縁の接合は、接着剤や糊その他の接着性化学剤、あるいは側縁を溶融温度に加熱して該側縁を互いに圧接して発泡材料をそれ自身に一体的に接合するような物理的接合システムからなる群から選ばれるいずれかの手法で実現される。さらに、記述の通り、追加的な各プロフィールないしレイヤーの表面を既存のプロフィールないしレイヤーの表面に接合する。
【0043】
プロフィールないしレイヤーをそれ自身にあるいは互いに確実に接合ないし貼着させるに際して、該接合ないし貼着の工程は好ましくは第一の回転スリーブないしマンドレルの領域で行われる。しかしながら、所望の係合を実現するための貼着/接合装置の厳密な位置決めは、用いられる方法に応じて変えることができる。
【0044】
概して言えば、プロフィールないしレイヤーは第一の回転スリーブ/マンドレルに係合させるときにこれらプロフィール/レイヤー同士を貼着させ得ることが分かっている。しかしながら、望むのであれば、本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、第一および第二の回転スリーブ/マンドレルの間に貼着システムを配置する別の実施形態を採用しても良い。さらに、本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、貼着設備について他のいかなる形状または配置を用いても良い。
【0045】
本発明の一つの好適な実施形態では、2つの別個独立の回転スリーブないしマンドレルを用い、一のマンドレルを固定位置に設置し、第二のスリーブ/マンドレルを複数位置に可動にしながら第一のスリーブ/マンドレルと協調的に回転させる。好ましくは可動スリーブ/マンドレルを全体として第一面に沿って移動可能にして、該第二のスリーブ/マンドレルの位置にかかわらず、その中心軸が第一のスリーブ/マンドレルの中心軸と同一面になることを可能にする。
【0046】
このようにして、ユーザは、製造すべき所望の楕円形管路/チューブのサイズに応じて、2つの回転スリーブ/マンドレルの各中心軸間の間隔距離を変えることができる。本発明のこの形態を採用することにより、製造される楕円形チューブないし管路の全体径を広範な径範囲を通じて容易に調節可能である。
【0047】
この開示から明らかなように、所望の材料および/または所望のレイヤーから形成され、所望の厚さおよび所望の径を有する中空円筒チューブ/管路を製造することができる、高度に効率的で低コストの製造方法が実現する。さらに、細長く成形されたチューブを所望の長さに切断することにより、顧客が望む厳密なスペックに適合する製品に製造される。
【0048】
顧客が求める所望の径、肉厚および長さを有する細長く成形された中空円筒マルチコンポーネント/マルチレイヤーのチューブ/管路を提供することに加えて、本発明方法はさらに、顧客場望む所望の断面形状・形態または開口パターンを有する中空円筒チューブ部材をも実現する。当業界において良く知られているように、押出成形はあらゆる所望の断面形状、全体形状、開口パターンなどを成形工程の一部として与えて成形することができる。その結果として、これらの公知の成形技術を本発明のスパイラル成形方法と組み合わせて採用することにより、とりわけ所望のパターンないし形状を有する円筒チューブを成形することができる。このようにして、本発明の採用により、現在の製造技術に比べて遙かに優れた柔軟対応性と製品設計力を実現することができる。
【0049】
これまでの開示から明らかなように、本発明は、マルチコンポーネント/マルチレイヤーのチューブ/管路にあらゆる所望の径および厚さを与えることができると共に、マルチコンポーネント/マルチレイヤー材料からなる実質的に平坦なシートないしプランクにあらゆる所望の厚さ、形状または外観を与えつつ安価・容易に且つ効果で特別に設計された設備を用いることなく直接的に製造することができる。さらに、スクラップ材を減少させ、ユーザが望むあらゆる色彩、寸法、製造フォーミュレーションなどで製造される材料のバッチないし量を低減させる。製造量が少なくて済むので、在庫量も減り、顕著なコスト低減が実現する。
【0050】
本発明はしたがって幾つかのステップ、これらステップの一または複数を他の各ステップと関連付けること、これらステップを実行するための構造的特徴、要素の組合せおよび部材の配置を具体化する装置を含む。これらは後に詳述する開示に例示されており、本発明の範囲は特許請求の範囲に記されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明の特質および目的をより完全に理解するために、添付図面を関連付けながら後述の記述を参照されたい。
【図1】本発明によりスパイラル成形されたマルチコンポーネント/マルチレイヤー円筒チューブを製造するために用いられる製造装置の斜視図である。
【図2】図1の製造装置の側面図である。
【図3】図1の製造装置の端面図である。
【図4】本発明の教示を用いて製造される定型的なスパイラル成形されたマルチコンポーネント/マルチレイヤー円筒チューブを示す一部破断斜視図である。
【図5】本発明の教示を用いて製造されるスパイラル成形されたマルチコンポーネント/マルチレイヤー円筒チューブの他の実施例を示す一部破断斜視図である。
【図6】本発明の教示を用いて製造されるスパイラル成形されたマルチコンポーネント/マルチレイヤー円筒チューブの完全アセンブル製品であって外側シール構造を有するものを示す斜視図である。
【図7】一表面に複数の直立フィンないしフランジを有する細長いプロフィールを示す斜視図である。
【図8】異なる構成のフィンないしフランジを有する図7のプロフィールを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
下記の詳述と共に図1〜図8を参照することにより、本発明の製造装置の構成および方法ならびに本発明によって達成される独特の構成のマルチコンポーネント/マルチレイヤー製品を最良に理解することができるであろう。しかしながら、この詳述記載から明らかなように、本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、製造装置、方法および結果として得られる製品について変形・変更が可能である。したがって、ここに与えられた開示は図1〜図8の図示と共に本発明の十分且つ完全な開示を確実にする目的においてのみ例示的に与えられるものであり、開示された特定の内容が本発明の限定であると意図するものではなく、またそのように理解してはならない。
【0053】
本発明の細貝中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21の成形方法に用いられるものとして、本発明の製品成形システム20の好適な実施形態が図1〜図3に十分に開示されている。図示されるように、この実施形態では、製品成形システム20は、シャフト26に装着された細長いスリーブないしマンドレル25を有し、シャフト26には支持アームアセンブリ27が取り付けられて該シャフトからマンドレル25を支持して駆動係合する位置まで延長している。所望の方向にシャフト26を連続回転させることによりマンドレル25がそれと共に連続回転して、細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21の成形を可能にする。
【0054】
図示されるように、複数の細長く連続したプロフィールないしレイヤー30,31,32が回転するマンドレル25の回りに送り込まれ、互いに接合される。後記詳細な開示から明らかになるように、ここでは3つの別個独立のプロフィールないしレイヤー30,31,32が図示され開示されているが、本発明の範囲から逸脱しない限りにおいていかなる所望の数のプロフィールないしレイヤーを用いることもできる。
【0055】
本発明の所望の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21を実現するために、製品成形システム20はマンドレル25が連続回転している間にマンドレル25上にプロフィール30を受け入れるように構成されている。望むならば、追加的なプロフィールと共にプロフィール30が不動のマンドレル25の回りを回転するように、マンドレル25を不動に維持するようにしても良い。この代替的な構成を採用することも可能ではあるが、プロフィール30,31,32が所望の速度で厳密に回転することを確実にするためにマンドレル25を連続回転させることが好ましいことが確認されている。
【0056】
図示されるように、プロフィール30は製品成形システム20のマンドレル25に送り込まれてマンドレル25に巻回され、側縁同士が係合した関係で巻回された複数の螺旋状渦巻体を連続的に形成する。このようにして、連続的に供給されてくるプロフィール30が自動的にマンドレル25の回りに概して螺旋状に巻かれていき、新しく到来するプロフィール30の側縁33が既に螺旋状に巻かれている側縁34に係合接触する。この接合地点で係合側縁33,34同士を接合することにより、所望の実質的に円筒形の中空チューブである第一レイヤーが形成される。
【0057】
第一プロフィール30の側縁33,34の一体的接合関係を与えるため、好ましくは接着ないし融着エレメント40が用いられる。本発明によれば、接着/融着エレメント40は側縁33を側縁34に確実に固定接合する所望の係合関係を与えるために様々な構造を有することができる。
【0058】
一つの好適な実施形態によれば、図1〜図3に示されるように、接着/融着エレメント40はノズルを有し、そこに熱気を供給してその終端に形成した開口から噴出させてプロフィール30の側縁33,34に直接的に送入する。このようにしてプロフィール30の側縁がそれらの溶融温度に達し、確実に互いに融着される。あるいは、接着/融着エレメント40は加熱ワイヤから構成されても良く、これを用いて側縁33,34同士を接触させることによりそれらの温度を上昇させて該側縁同士を溶融接合させることができる。
【0059】
望むならば、接着/融合エレメント40は側縁33,34同士を加熱または接着するための代替的な熱源を広範囲から選択して用いることができる。あらゆる接着システムを用いることが可能であるが、好適な接着システムは、熱溶接、音波溶接、レーザ溶接、接着剤、機械的接合、化学的接合、またはプロフィール30の表面同士を強固に固着するための他のあらゆる方法からなる群より選ばれる一または複数であることが好ましい。
【0060】
該製造工程が連続して行われ、追加のプロフィール30の渦巻体がその側縁同士が融着されながらスパイラル状にマンドレル25に巻回されていくにつれて、円筒状成形体がマンドレル25の長手に沿って連続して進行していく。十分な数のプロフィール30の渦巻が互いに接合関係をもってマンドレル25に巻かれたとき、第二プロフィール31が製品成形システム20に送り込まれる。
【0061】
図示されるように、第二プロフィール31は第一プロフィール30の外側面に送り込まれてプロフィール30に巻回され、側縁同士が係合した関係で巻回された螺旋状渦巻体からなる第二レイヤーを連続的に形成する。連続的に供給されてくるプロフィール31が自動的にプロフィール30の外側面の回りに概して螺旋状に巻かれていくと、新しく到来するプロフィール31の側縁33がプロフィール31の既に螺旋状に巻かれている側縁34に係合接触する。この接合地点でプロフィール31の係合側縁33,34同士を接合することにより、所望の実質的に円筒形の中空チューブである第二レイヤーが形成される。
【0062】
好適な実施形態によれば、第二プロフィール31を第一プロフィール30に送り込んで螺旋状に巻き付けるときに、第二プロフィール31の底面36を第一プロフィール30の頂面35に接合する。より詳しく後述するように、好適な実施形態によれば、第二プロフィール31の側縁33,34同士を接合すると同時に、第二プロフィール31の底面36を第一プロフィール30の頂面35に接合する。しかしながら、望むならば、この接合処理を同時ではなく順次に行うことも可能である。
【0063】
十分な数の第二プロフィール31の渦巻がそれ自身に対しておよび第一プロフィール30に対して接合されながら第一プロフィール30に巻かれたとき、第三プロフィール32が第二プロフィール31に送り込まれて、第三プロフィール32が第二プロフィール31に巻回された状態となり、側縁同士が係合した関係で巻回された複数の螺旋状渦巻体を形成する。このようにして、連続的に供給されてくる第三プロフィール32が自動的に第二プロフィール31の回りに概して螺旋状に巻かれていき、新しく到来する第三プロフィール32の側縁33が既に螺旋状に巻かれている側縁34に係合接触する。この接合地点で第三プロフィール32の係合側縁33,34同士を接合することにより、所望の実質的に円筒形の中空チューブである第三レイヤーが形成される。
【0064】
さらに、上述したように、好ましくは、第三プロフィール32を第二プロフィール31に送り込んで螺旋状に巻き付けるときに、第三プロフィール32の底面36を第二プロフィール31の頂面35に接合する。好ましくは、第三プロフィール32の側縁33,34同士を接合すると同時に、第三プロフィール32の底面36を第二プロフィール31の頂面35に接合する。しかしながら、望むならば、この接合処理を同時ではなく順次に行うことも可能である。
【0065】
これまでに詳細に記述したところから明らかなように、本発明を用いることにより、従来技術のすべての困難および不利欠点を完全に解消する要領で、細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブが効率的に形成される。さらに、本発明の教示を用いることにより、単一で完全に一体化された製品において広い範囲で代替的な形状、構造および材料の組合せが効果的および効率的に製造される。
【0066】
これまでの詳細な記述と共に図1〜図3には実質的に円筒形状を有するものとしてマンドレル25が示されているが、マンドレル25はあらゆる所望の断面形状を有する細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブを実現するためのあらゆる所望の形状を有することができる。この点について、マンドレル25は、その断面形状が二辺を有する実質的に平板状、三辺を有する三角形、四辺を有する正方形または長方形、五辺を有する五角形、六辺を有する六角形、あるいは他の任意の所望の規則的または不規則的な形状を有するものとして構築されても良い。しかしながら、マンドレル25について採用される形状に依存することなく、上記に詳述した手法が実質的に異なることなく採用される。
【0067】
本発明を採用することにより、細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21があらゆる任意の形状、組成およびそれらの組合せをもって製造される。この点について、上述のように、本発明は同一または類似の組成の複数の異なるプロフィールないしレイヤーとしての「マルチレイヤー」に概して言及する。さらに、「マルチコンポーネント」に関して言えば、単一で完全に一体化された製品の異なるコンポーネントを形成する明確に異なる材料の層が製造されるような構造が意図される。その結果として、そしてこの詳述記載から明らかなように、本発明はマルチコンポーネント/マルチレイヤーおよび/またはユーザが望むそれらの任意の組合せである細長い中空チューブ、管路およびその類のものとして構成される。このようにして、本発明を採用することにより、広範な工業製品に求められるあらゆる要求が容易且つ効率的に作り出される。
【0068】
概して言えば、伝統的な従来技術による押出成形システムは最大内径が約6インチ(約15.24cm)で肉厚が約1インチ(約2.54cm)の製品を製造することに限られていた。さらには、伝統的な従来技術による押出成形装置を用いて装置能力の限界での製造を実現しようとするときは、製造パラメータを維持することがしばしば困難であり、最終製品におけるバラツキの原因となっていた。一般に、採用する方法に起因して変動する物理的性状は、肉厚、セルの大きさ、密度およびプロフィールの等質性(コンシステンシー)である。
【0069】
このような性質にバラツキが生ずると、製品のK値(熱貫流率)およびその結果としてのR値(熱抵抗値)が著しく変動する。すなわち、この性質の製品を断熱の目的に用いようとするときは、該製品のK値が一貫していて予測可能であることが重要である。そうでないと製品の断熱性能に疑問を持たざるを得なくなる。
【0070】
本発明を採用することにより、別個独立した複数のプロフィールないしレイヤーを一体的に融合して、あらゆる所望の全体厚を有する細長い中空チューブに成形される。したがって、各プロフィールは、最終製品の質を高める上で最良のパフォーマンス性能を与えるために最適化された厚さと全体幅とを有する。さらに、プロフィールが一体的に融合すれば直ちにあらゆる所望の厚さが実現する。
【0071】
別個独立した複数のレイヤーを一体的に融合して細長い中空マルチレイヤーチューブを形成することによってもたらされる幾つかの利点には、セルサイズを制御可能であり、密度を制御可能であり、また製造プロセスを定型化できること(formulation processability)が挙げられる。この点について言えば、プロフィールのセルサイズは任意の所望K値を実現するために制御することができる。この点について、特定のセルサイズに対するK値を最大30%増大可能であることが見出された。
【0072】
さらに、各プロフィールの密度を厳密に制御することができ、これによりK値を最大5%改善することができる。さらに、密度を厳密に制御することはまた、一貫的で反復的な結果を与えることによって最終製品の製造を改善する。最後に、各プロフィールについて広範な多様性をもって製品を製造することができ、特定の結果を実現させるためにプロフィールの幾つかには特異な材料を配合させることもできる。この点について言えば、特定の製品特性を実現するために、難燃剤、紫外線吸収剤または色剤を添加することができる。また、アルミニウムなどの金属薄片をプロセス中に添加してK値をさらに最大10%向上させることができる。
【0073】
本発明の最終的な細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブを製造するに際して、あらゆる所望の発泡または非発泡材料を用いることができる。さらに、任意の特定の結果を実現させるために、各層または層の組合せの厚さを変えることができる。この点について言えば、図4〜図8に示されるように、2つの発泡層をそれらの間に固体または緻密化した非発泡介在層を介して形成したり、あるいは望むならば、内側レイヤーが複数の直立フランジを有するプランクからなるものとして構成することができる。このようにして、いかなる不規則的形状のパイプ構造に対しても密実にフィットするように最終製品を構成することができる。さらには、望むならば、外側ジャケットないしクラッドを最終レイヤーとして製品に形成することができる。
【0074】
本発明の教示を用いて製品を製造するに際しては、実質的にいかなる材料をも用いて上述のようにしてチューブ状部材に成形することができる。概して言えば、発泡レイヤーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、メラミン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)およびエチレンビニルアセテート(EVA)からなる群から選ばれる一または複数の材料で形成されることが好ましい。他の発泡プラスチック材料としては、ポリオレフィン、ポリブチレン ポリブタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、エチレン−アクリルコポリマー、エチレン−メチルアクリレートコポリマー、エチレン−ブチルアクリレートコポリマーおよびアイオノマーからなる群から選ばれる一または複数を含むことができる。また、本発明において好適に用いられる非発泡レイヤーは、アルミクラッド(aluminum cladding)、織物ガラス(woven glass)、織物ファイバー(woven fiber)、織布(woven cloth)、ブラウンファイバーグラスクロス(blown fiberglass cloth)、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、シリカフィルム、共押出フィルム、「Mylar」(商標名)、ラバー、ネオプレン、紙、すべての種類の非透水性・水蒸気非透過性の媒体・材料および被膜からなる群から選ばれる一または複数で形成される。
【0075】
本発明のもう一つの特徴は、各レイヤーないしプロフィール30,31,32を下のプロフィールに対してあらゆる所望の位置関係で配置可能なことである。この点について言えば、第一レイヤー30をマンドレル25上にスパイラル状に巻き付け終えた直後に、第二レイヤー31を第一プロフィール30にスパイラル状に重なり係合するように進めていく。ここで、もしもユーザまたは顧客がそのように望むならば、第二プロフィール31の側縁を第一プロフィール30の側縁と実質的に整列させるようにすることができる。同様にして、第三プロフィール32およびさらに追加的なプロフィールがその上に設けられる場合にはそれらも、既存のプロフィールに実質的に整列させることができ、これにより、実質的に連続する垂直縁を細長い中空チューブの長手軸に対して実質的に直交させて形成することができる。
【0076】
あるいは、第二プロフィール31の側縁を第一プロフィール30の側縁からオフセットさせた状態で第二プロフィール31を第一プロフィール30に貼り付ける。同様に、第三プロフィール32の側縁も第二プロフィール31の側縁からオフセットされ得る。一般的に言えば、各追加的プロフィールの側縁を下のプロフィールの側縁からオフセットさせることは、最終製品に生ずるかも知れない熱破断(thermal breaks)の可能性を除去または実質的に低減させるために好適である。しかしながら、もしも望むならば、側縁の垂直係合を提供しても良い。
【0077】
上述のように、好適な構造によれば、プロフィールないしレイヤー30,31,32は、隣り合う頂面および底面に沿って接着ないし溶接されると共に、互いに隣り合う側縁に沿って接着ないし溶接される。このようにして各プロフィールないしレイヤーはすべてのインターフェースに沿って互いに強固に接合される。この複合的溶接は、ヒータ、空気源、ノズル搬送システムおよび様々な化学的接着デリバリーシステムなどの溶接ないし融合システムを用いて、同時または順次に行うことができる。さらに、各接合面において各プロフィールないしレイヤー同士の密着的接触および係合を確実にするために、圧縮ローラ(compression rollers)、プッシュオフローラ(push−off roller)、ガイドローラなどの複数ローラを用いることができる。
【0078】
この点に関し、図1〜図3に示されるように、各レイヤーないしプロフィール30,31,32をその接着面と確実に接触させるために、プロフィールないしレイヤー30,31,32の頂面に接触する表面ローラ41が用いられている。さらに、各プロフィールないしレイヤーがチューブアセンブリに巻き付けられるときにその側縁34に接触する側縁ローラ42も用いられている。側縁ローラ42を適切に配置することにより、側縁33を隣接する渦巻体の側縁34に密接係合させることを確実にする。
【0079】
好適な実施形態によれば、第二プロフィールないしレイヤー31の側縁の接合と同時に、第二プロフィールないしレイヤー31の底面36が第一プロフィールないしレイヤー30の頂面に接合される。この同時接着係合を実現するために、図1および図2に示されるように、単一のL字形加熱ノズルが用いられて、同時接着のために両面に加熱空気を供給する。望むならば、別々の接着領域および/または接着装置が用いられても良い。しかしながら、すべての隣接面を同時に接合することが好ましいことが分かっている。
【0080】
本発明に従って細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21を形成するに際して、プロフィール/レイヤー30,31,32および望むならば他の任意の追加的プロフィールないしレイヤーは様々な代替的製造ないし搬送方法で回転マンドレル25に供給される。この点について言えば、一つの代表的な供給システムによれば、各プロフィール/レイヤーは独立した押出機から回転マンドレル25に直接供給される。この方法によれば、各プロフィール/レイヤーに対する材料が定量供給され、成形処理を一定のベースで連続して行うことができ、マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21をあらゆる所望の細長い長さで形成することができる。
【0081】
別の供給システムによれば、各プロフィールないしレイヤーが押出機または他の装置で形成された後、一または複数の大径の材料スプールに巻回される。さらに別の形態によれば、各プロフィールないしレイヤーが押出機または他の装置で形成された後、細長く連続した実質的に平坦な材料の長さにカットされ、整列状態に積み重ねられる。輪郭は中空または中実、チューブ状、方形、五角形、六角形および不規則形状など任意である。
【0082】
これら供給方法のいずれにおいても、一般に予備成形品は後の使用のために保存され、該保存された材料スプールまたはスタックを必要なときに回転マンドレルに搬送して該マンドレルに供給し、所望の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21を得る。さらに、望むならば、これら供給システムのいかなる組合せをも採用することができ、同等の効率をもたらす。
【0083】
さらに、細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21に所望される長さに応じて、上述したような供給システムを用いて押出成形品の連続的供給、半連続的供給あるいは漸増的供給を行っても良い。所望される条件および製品に依存して、最良の効果および結果を実現するためにこれら各システムが用いられ得る。
【0084】
本発明を採用することによって実現される主要な利点の一つは、複数の薄いプロフィールを用いて厚いプロフィールを作成できることである。多くの要因は厚いプロフィールよりも薄いプロフィールにおいて改善された特性が発揮されることから、この特性は概略的に既述したようにきわめて重要である。このような要因の一つは、厚いプロフィールに対する薄いプロフィールの比較から起因する気体放出速度である。
【0085】
この点に関し、当業界においてよく知られているように、発泡押出成形においては様々な気体や発泡剤が用いられるので、製品が押出機から出ると得られた製品中に気体が閉じ込められる。一般的に言えば、これらの気体や発泡剤は、プロフィール/レイヤーが次工程に投入される前に該プロフィール/レイヤーから放散されることが好ましい。さらには、ある用途においては可燃性の発泡剤が用いられるが、これは成形品を使用するまでにプロフィール/レイヤーから放散ないし無害化させなければならない。
【0086】
一般に、発泡プロフィール/レイヤーからの気体放出速度はプロフィール/レイヤーが薄くなるほど増大することが知られている。さらに、厚さにバラツキがないことによって放出速度が増大する。その結果として、特定の発泡/プロフィールの厚さを減少させることにより、すべての気体が放出されて製品を安全に出荷できるようになるまでに要する時間が著しく短縮される。
【0087】
本発明を採用することにより、比較的薄い断面形状を持つプロフィール/レイヤーが形成され、該薄いプロフィール/レイヤー同士を融合させてあらゆる所望の厚さを有する製品を製造することができるので、この実質的・本質的に有利な結果を最適なものとすることができる。このようにして、製品をより安全に製造することができ、商業的に所望されるマルチレイヤー製品を最適に有利な結果をもって得ることができる。
【0088】
より厚いプロフィールないしレイヤーを使用することに本質的なもう一つの問題は回転速度がもたらす結果である。この点に関し、より厚いプロフィールを回転マンドレルに巻き付けたとき、その外側面には付加的な張力が生じ、その内側面には幾ばくかの圧縮力が生ずる。この結果は、プロフィールがマンドレルに巻き付けられた状態では両面における速度が相違することに本質的に起因する。しかしながら、本発明を採用して互いに接合される複数のより薄いプロフィールを用いることによって、この問題は完全に解消される。
【0089】
公知のように、発泡押出製品は、マトリックス内に複数のバブルないしセルを生成させることによって製造され、発泡製品が押出機のオリフィスから出て膨張するときにこれらバブルないしセルも膨張する。この膨張の過程で、これらセルは、押出機から出ていく製品の流れ方向に沿った向きに膨張し、押出軸に沿って細長くまたは楕円形状になる。さらに、セルは製品の流れに直交する軸または面において実質的に丸みを帯びた形状ないし円形状になろうとする。
【0090】
この現象の結果として、発泡押出プロフィールないしレイヤーはその長手方向においては大きく移動するが、その横方向においては実質的にわずかな膨張および/または収縮しか生じない傾向を持つ。本発明を採用することにより、細長いプロフィールがマンドレルに巻回されて細長いチューブを形成し、該細長いチューブをなす各渦巻体がプロフィールないしレイヤーの横断面の寸法を構成するので、この横方向における本質的な安定性が有利に用いられる。したがって、本発明の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブの長手方向に沿った全体的な寸法安定性は成形された状態と同じで本質的に安定しており、異なるように成形された場合に生ずる寸法不安定性を実質的に持たない。
【0091】
本発明製品の商業的用法および用途において重要な2つの要素は寸法安定性と熱膨張係数である。一般に、寸法安定性は製品の経時的縮小または膨張として定義され、熱膨張係数は製品が晒される温度増減によって生ずる製品の縮小または膨張である。これらの要素が重要であることの理由は、製品が受ける寸法変化と、該寸法変化が特定の用途において製品を使用する際に生ずるであろう影響による。
【0092】
詳細に既述したところから明らかなように、レイヤーは薄い方が本質的により安定しており、したがって製造後の寸法変化も小さいので、複数の薄いプロフィールないしレイヤーを用いてこれらを互いに接合することによって実質的に有利な結果が得られる。したがって、完成製品の寸法はより安定的であり変化しにくい。
【0093】
本発明の教示を用いて得られるもう一つの恩恵は、単一の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブを実現するために異なる材料から形成されるプロフィールないしレイヤーを用い得ることである。したがって、本質的により安定しているかあるいはより大きな寸法安定性を有する材料から構築されるプロフィールないしレイヤーを、寸法安定性に劣る他のプロフィールないしレイヤーと混合することも容易である。したがって、下のプロフィールないしレイヤーを包囲被覆する一のプロフィールないしレイヤーに対して既述した要領でプロフィールないしレイヤーを接合させることによって、本質的により大きい寸法安定性を有するプロフィールないしレイヤーで寸法安定性に劣るプロフィールないしレイヤーを効果的に制御ないし制限することができる。この構成によると、寸法安定性に劣るプロフィールないしレイヤーは、より寸法安定性に優れたプロフィールによってその膨張または収縮が制御されるので、該プロフィールないしレイヤーが通常生ずるであろうほど完全には膨張または収縮せずに抑止される。したがって、より大きな寸法安定性を有する最終製品が得られる。
【0094】
さらにまた、本発明の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21を上記詳述のようにして成形することにより、実質的にあらゆる所望の寸法安定性をも有する最終製品を実現することができる。各プロフィールないしレイヤーを形成する材料を適切に選択することにより、最終製品の寸法安定性に対する完全なる制御が実現する。
【0095】
本発明の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブを成形するに際して用いられる個々のプロフィールないしレイヤーは、最終製品の寸法安定性に対して本質的に寄与することが分かった。この点に関し、一のプロフィール/レイヤーの頂面35を隣接するプロフィール/レイヤーの底面36に接合することにより、その接合領域全体に沿って両面の密実化がもたらされる。この接着ないし溶接による係合の結果として、該領域は非常に緻密になり、高い圧縮および引張の強度を持つ。
【0096】
一般に、発泡材料それ自体は低密度であって、溶接領域以外では柔軟性が高く圧縮および引張の強度は小さい。複数の溶接領域によって形成されたマトリクスは同等サイズの発泡材料ピースより膨張および収縮が小さい。したがって、溶接領域は、発泡体自体よりも、加熱されたときの熱膨張量および冷却されたときの熱収縮を制限することに対してより大きく貢献する。結果として、これら溶接領域および積層レイヤーが追加されることによって、得られる製品の熱膨張係数を大きく改善する。
【0097】
本発明のもう一つの局面において、本発明の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21を形成するために用いられる複数のプロフィールないしレイヤーのうちのひとつは、薄いフィルムまたは他の緻密材料からなるものとすることができ、これを2つの発泡プロフィールないしレイヤーの間に挟んで、最終製品に所望される寸法安定性あるいは他の物理的または構造的特性を与える。この点に関し、最終製品に特定の構造的または物理的特性を与えるために、織布、不織布、押出材、天然または人工の繊維、金属化材料、複合材料などを用いることができる。さらには、赤外線またはマイクロ波反射材料を内部に形成して最終製品に所望の特性を付与することもできる。
【0098】
最終製品において一または複数のこれら中間介在レイヤーを用いることにより、様々な構造的および/または物理的特性を向上させることができる。そのような向上の一例は、透水性が低いかあるいは実質的に非透水性であることが知られている材料のレイヤーを用いることによって水蒸気(ガス)透過性を制御することである。水蒸気バリア機能を発揮する中間レイヤーを用いることにより、実質的に水蒸気を透過させない製品として製造することができる。
【0099】
さらにまた、ベース材料に対して本来的には馴染みにくい(incompatible)性質を有する材料のレイヤーを最終製品に導入することも可能である。この点に関し、主要な発泡プロフィールないしレイヤーに対して本来的には馴染みにくい材料をそれらプロフィールないしレイヤーの間に一体的に接合して一コンポーネントとすることができる。このようにして、粗織(open weave)カーボンファイバークロス、暮らしファイバー、カーボンファイバー材料、ケブラー(登録商標)、ブラウングラスファイバーその他の類似の材料を細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブに組み込んで製品をさらに所望に質的向上させることができる。
【0100】
本発明を採用することによって実現されるさらに別の優位性は、本来的には互いに馴染みにくく接着しにくい2つのプロフィールないしレイヤーであっても一体的に接合できることである。この接着係合を実現するために、これら2つの隣接レイヤーに接着可能であるような別の独立した中間レイヤー(プラスチック工業においてはタイレイヤー<tie layer>とも呼ばれる)を用いるか、あるいは、これら2つのプロフィールを該中間レイヤーに接合可能とする一または複数の材料から形成される薄いコンポジットフィルムを用いる。
【0101】
この点について言うと、この薄い中間レイヤーは、一体接着すべきプロフィールないしレイヤーの一つに対して各々接着可能であるような2つの材料が一体的に融合されてなるものとすることができる。あるいは、本来的には互いに接合できないプロフィールに対してコンパチブルな2つの材料を用い、第一のコンパチブルな接着材料による薄フィルムを支持フィルムに接合し、該支持フィルムにもう一つのコンパチブルな材料を貼着させても良い。このようにして、そうでなければ単一の細長い中空チューブに製造することが不可能な材料からなるレイヤーないしプロフィールを有して、完全に統合され一体的に接合されたマルチレイヤー構造を実現させることができる。
【0102】
あらゆる所望の発泡または非発泡のレイヤーの間にあらゆる所望の中間レイヤーを一体的に追加形成させることができることに加えて、本発明はまた、本発明の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21のさらなる一体的コンポーネントとして、あらゆる所望の外側ジャケットまたはクラッドのレイヤーを一体的に形成させることを可能にする。本発明の細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21の外側面に任意の特定の物理的または構造的特性を与えるためにあらゆる所望のコンポジションを用いることができることに加えて、本発明はまた、チューブ21を所望の配置でまたは所望のパイプの回りに設置および取り付けることを容易にするために、あらゆる所望の密封シールシステムを外側ジャケットまたはクラッドのレイヤーに採用することができる。
【0103】
この点について、多くの用途において、細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ21は特定の細長いパイプに断熱性や耐候性などを与えるために該パイプの周囲を包囲するように設けられる。チューブ21を所望の配置で迅速に設置するために、該チューブの外周面から内径に延長する長手方向のスリットが形成される。このようにしてチューブ21をパイプの周囲に迅速且つ容易に取り付けて包囲的に係合させることができる。さらに、長手方向に延長するスリットを閉止してチューブ21をパイプ部材の回りに密着状態で確実に取り付けるためにしばしば密封シールシステムが用いられる。
【0104】
一般に、密封シールシステムには様々な代替的形態が用いられ、たとえばジャケットないしクラッドの一側にフラップを一体的に形成して、これを長手方向に延長するスリット上に被覆し、チューブ部材の一側をその他側と接合する手法がある。さらに、外的な接着性ファスナー部材も用いられており、チューブ部材に所望の密封シールを与えるために様々な係合形状や構造も採用されている。しかしながら、どのような密封シール構造が望まれるにしても、あらゆる所望の密封シールシステムを、本発明によって作成される細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ製品に容易に組み入れることができる。
【0105】
多くの用途において最適な性能を確保するため、パイプ部材の周囲を包囲するように厚肉チューブ部材が用いられる場合には、チューブ部材の細長いスリットを特定の方向に向けることが要求される。この点について言えば、このような用途においては、複数のチューブ部材を互いに包囲係合させた状態で積み重ね、その際に各チューブ部材における長手方向延長スリットを下にあるチューブ部材から少なくとも90度オフセットさせる。このようにして最適な熱抵抗が実現され、周囲の外的状況からパイプに至る連続的な熱伝導を遮断する。本発明を採用することにより、このオフセット積層要求が簡単に実現されると共に、取付時における各コンポーネントの迅速な密封シールを可能にする。
【0106】
さらに、複数のチューブ部材を積み重ねて包囲係合させる際に生ずるもう一つの問題は、包囲係合の際にチューブ部材を互いに確実ないし緊密に積み重ねることの困難さである。この点について言えば、パイプ自体およびあらゆるチューブ部材の製造において固有の公差によって、下にあるチューブ部材ないしパイプの外径に対して内径を隙間なく確実に連結ないし係合させることが困難な場合が少なくないと言うことである。
【0107】
さらには、一つのチューブ部材を他のチューブ部材の周囲に包囲的に係合させるときには密実なフィットが望まれる。しかしながら、フィットが過度にタイトであると、外側チューブ部材の長手スリットを完全に閉止させることができなくなる恐れがある。本発明を採用することにより、この従来の困難および欠点は容易に克服される。
【0108】
この点について言えば、内面に特定の形状、たとえば鋸歯状、シヌソイド状、該内面から延長する複数の薄いフィンないしフィンガーの形状、あるいは該内面が容易に圧力を受けることを許容するような他の任意の形状ないし形態を持たせることによって、所望の緊密接触を実現させることができる。このような緊密接触を全長に亘って可能にするようなチューブ部材を製造するために、一つのプロフィールないしレイヤーに上述したような所望の表面構造を形成し、これを本発明のマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ部材を形成する第一プロフィールないしレイヤーとして用いる。このプロフィールないしレイヤーをマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ部材の第一コンポーネントとして用いることにより、該チューブ部材を他のコンポーネントの表面に適用したときに、その内径に形成された特定の形状がコンプレッションを与えることができる。
【0109】
図7および図8に、パイプ外側面に対して所望の緊密接触を与えるように構成されたプロフィールないしレイヤーの一例が示されている。この実施例においてプロフィールないしレイヤー30は、その一面から延長する複数の直立フィン、フランジないしフィンガーを有する。このプロフィールないしレイヤー30をマルチレイヤー製品チューブ部材の第一レイヤーとして用いることにより、本発明のチューブ部材で包囲しようとするパイプないし円筒形状がいかなるものであってもそれに対して緊密にフィットできる構造が実現する。さらには、該フィン、フランジないしフィンガーをあらゆる任意の大きさまたは形状で構成することにより、あらゆる表面形状をも容易に受け入れることができる。
【0110】
したがって、一つのチューブ部材の内側面を他のチューブ部材の外側面に対して緊密に接触係合させることが容易に実現でき、外側チューブ部材の内側面は内側チューブ部材の外側面に十分且つ完全に接触係合する。こうして、所望される確実で十分な接触係合関係が実現する。したがって、従来技術の困難および欠点が解消され、消費者の困難も十分且つ完全に解決される。
【0111】
米国特許第6537405号に十分に詳述されているように、複数の回転マンドレルを用いることによって細長い中空チューブ部材をあらゆる所望の径ないし形状に形成することができる。さらに、米国特許第6537405号に見られる教示と組み合わせて本発明の教示を採用することによって、細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ部材21があらゆる所望の全体径ないし形状で形成される。本発明に見られる教示を導入することにより、あらゆる所望の径、寸法または形状を有するマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ部材を構成するために、複数のプロフィールないしレイヤーが2またはそれ以上の回転マンドレルに供給される。その結果として、マルチマンドレル形成システムを用いることで既述したような本発明の特異的な特徴を実現することができる。
【0112】
この点について言えば、上述の米国特許に詳述される複数のマンドレル形状ないし構造のみならず、該米国特許では考慮も教示もされていない別の形状を採用することも可能である。この点に関し、複数の回転マンドレルを互いに独立して回転動作するように構成しても良いし、複数のマンドレルを単一の支持プレートに取り付けて、この支持プレートがマンドレルとは独立して回転動作するようにしても良い。このようにしてチューブ部材のさらに別の形状を実現可能である。
【0113】
さらに、各マンドレルを独立して回転可能に構成しても、他のマンドレルと組み合わせて回転可能に構成しても良い。このようにして、一つの処理設備において最大の形状および径が迅速且つ容易に実現可能である。さらには、回転マンドレルは各位置にあることを必要とせず、固定または回転アイドラーを成形設備に組み込んで動力消費および設備の複雑さを減少させることができる。
【0114】
最後に、さらに別の実施形態において、長手方向に沿って変化する径を持つ細長い中空マルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブを実現するためにエキスパンドドラムを用いることができる。この場合、その長手方向に沿って径が増大可能な回転ドラムが用いられる。その結果として、概して円錐形状のチューブ部材が製造される。このようにして、多様な形状の様々なセグメントを有する製造設備を、カスタマイズされた高価な製造処理を必要とせずに本発明によって製造された周囲被覆チューブ部材で保護することができる。
【0115】
これまでに詳述した開示から明らかなように、本発明は独特なマルチコンポーネント/マルチレイヤーチューブ部材を提供すると共に独特な製造方法および製造設備を提供し、従来技術が有していた実質的にすべての困難および欠点を克服する。本発明を採用することにより、これまで満足する結果が得られなかった産業上の用途および要求も、所望の製品によって効果的・効率的に解決する。しかしながら、幾つかの実施例を本発明の開示として挙げてきたが、これらの実施例は単に本発明の概要を説明するためのものであり、本発明を該開示された特定の実施例に限定されることを意図するものではないことを理解しなければならない。他の多くの実施例や業態によっても本発明の利点を享受し得ることは明らかであり、これら他の実施例のすべても本発明の範囲内に包含されるものである。
【0116】
上述した目的が、これまでに記述したところから明らかにされた他の目的と共に、効率的に実現されることが理解されるであろう。そして、上記方法の実行および記述の製品については本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて変更が可能であるから、上記記述に含まれあるいは添付図面に示されたすべての事項は例示的であって限定的意味を持たないものとして理解される。
【0117】
また、後述の特許請求の範囲はここに記述した発明のすべての総括的および個別的な特徴、ならびに言葉の問題としてそれらに含まれるであろう本発明の範囲のすべての記述を網羅することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長く、所望の断面形状を有し、隣接する各側縁同士がスパイラル状に一体的に接合されて渦巻体に形成されてなる第一の材料レイヤーないしプロフィールと、
細長く、所望の断面形状を有し、前記第一の材料レイヤー/プロフィールに巻回されて、隣接する各側縁同士がスパイラル状に一体的に接合されると共に、その底面が第一の材料レイヤー/プロフィールの頂面に一体的に接合されて渦巻体に形成されてなる第二の材料レイヤーないしプロフィールとを有し、
各レイヤー/コンポーネントが互いに一体的に接合されて実質的に一体的な細長い製品に形成されてなることを特徴とする、中空で細長く実質的に円筒形状を有するマルチコンポーネントおよび/またはマルチレイヤー構造の製品。
【請求項2】
前記第二の材料レイヤー/プロフィールの回りにスパイラル状渦巻体に形成されてなる第三のレイヤーないしプロフィールを有し、該第三のプロフィール/レイヤーはそれ自体が一体的に接合されると共に前記第二のプロフィール/レイヤーにも一体的に接合されることを特徴とする請求項1記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項3】
既存の材料レイヤー/プロフィールの回りにスパイラル状渦巻体に形成されてなるさらに追加的なレイヤーないしプロフィールを有し、該追加的なプロフィール/レイヤーはそれ自体が一体的に接合されると共に該追加的なプロフィール/レイヤーがその周囲を包囲する既存のプロフィール/レイヤーにも一体的に接合されることを特徴とする請求項2記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項4】
各プロフィール/レイヤーは発泡材料および非発泡材料かなる群から選ばれるいずれか一からなることを特徴とする請求項1記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項5】
前記発泡材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、メラミン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリオレフィン、ポリブチレン、ポリブタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、エチレン−アクリルコポリマー、エチレン−メチルアクリレートコポリマー、エチレン−ブチルアクリレートコポリマーおよびアイオノマーからなる群から選ばれる一または複数からなることを特徴とする請求項4記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項6】
前記非発泡材料は、アルミクラッド、織物ガラス、織物ファイバー、織布、ブラウンファイバーグラスクロス、「Mylar」(商標名)、ラバー、ネオプレンゴムおよび紙からなる群から選ばれる一または複数からなることを特徴とする請求項4記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項7】
マルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品の外側面を保護するために所望される特定の物理的および/または構造的な特性を付与するために、最終のプロフィール/レイヤーとして外側ジャケットないしクラッド層を有することを特徴とする請求項1記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項8】
各プロフィール/レイヤーは、長方形、正方形、平行四辺形、多角形、長円形、円形、楕円形およびそれらの組合せからなる群から選ばれる断面状を有することを特徴とする請求項1記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項9】
熱気溶接、熱ワイヤ溶接、接着剤、音波溶接、レーザ溶接、メカニカルエージェント、化学剤および他の公知の接合方法からなる群から選ばれる一を用いて各プロフィール/レイヤー同士が一体的に接合されることを特徴とする請求項1記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項10】
各プロフィール/レイヤーは約0.0005インチ(約0.0013cm)から15インチ(約38.1cm)の範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1記載のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品。
【請求項11】
A)所望の断面形状を有する細長い第一の材料を第一のレイヤーないしプロフィールとして成形機の回転マンドレルに供給し、
B)該第一のプロフィール/レイヤーをその対応する側縁同士が隣接し合うようにして回転マンドレルに直接巻き付けていき、
C)該第一のプロフィール/レイヤーを回転マンドレルの回りに巻き付けながら該第一のプロフィール/レイヤーの隣接する側縁同士を連続的に接合していき、
D)マンドレル上に形成された該第一のプロフィール/レイヤーの表面に、所望の断面形状を有する細長い第二の材料を第二のプロフィール/レイヤーとして供給し、
E)該第二のプロフィール/レイヤーをその対応する側縁同士が隣接し合うようにして該第一のプロフィール/レイヤー上に連続的に巻き付けていき、
F)該第二のプロフィール/レイヤーを該第一のプロフィール/レイヤーの回りに巻き付けながら該第二のプロフィール/レイヤーの隣接する側縁同士を連続的に接合していき、且つ、
G)該第二のプロフィール/レイヤーを該第一のプロフィール/レイヤーの回りに巻き付けながら該第二のプロフィール/レイヤーの底面を該第一のプロフィール/レイヤーの頂面に連続的に接合していき、
H)細長いマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品として所望の長さが得られるまで上記A)〜G)の工程を繰り返して成形処理を連続して行うことを特徴とする、細長い中空マルチコンポーネントおよび/またはマルチレイヤー構造の製品を連続的に製造するための方法。
【請求項12】
さらに、
I)所望の断面形状を有する細長い第三の材料を第三のレイヤーないしプロフィールとして前記第二のプロフィール/レイヤーの表面に供給し、
J)該第三のプロフィール/レイヤーをその対応する側縁同士が隣接し合うようにして該第二のプロフィール/レイヤー上に連続的に巻き付けていき、
K)該第三のプロフィール/レイヤーを該第二のプロフィール/レイヤーの回りに巻き付けながら該第三のプロフィール/レイヤーの隣接する側縁同士を連続的に接合すると共に、該第三のプロフィール/レイヤーを該第二のプロフィール/レイヤーの回りに巻き付けながら該第三のプロフィール/レイヤーの底面を該第二のプロフィール/レイヤーの頂面に連続的に接合していくことを特徴とする請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
さらに追加的なプロフィール/レイヤーを既設プロフィール/レイヤーの外側面に供給して接合させることにより、所望数のプロフィール/レイヤーが互いに一体的に接合されてなるマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品を製造することを特徴とする請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
各プロフィール/レイヤーは発泡材料および非発泡材料かなる群から選ばれるいずれか一からなることを特徴とする請求項11記載の製造方法。
【請求項15】
前記発泡材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、メラミン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリオレフィン、ポリブチレン、ポリブタン、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、エチレン−アクリルコポリマー、エチレン−メチルアクリレートコポリマー、エチレン−ブチルアクリレートコポリマーおよびアイオノマーからなる群から選ばれる一または複数からなることを特徴とする請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
前記非発泡材料は、アルミクラッド、織物ガラス、織物ファイバー、織布、ブラウンファイバーグラスクロス、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、シリカフィルム、共押出フィルム、「Mylar」(商標名)、ラバー、ネオプレンゴム、紙、すべての種類の非透水性・水蒸気非透過性の媒体・材料および被膜からなる群から選ばれる一または複数からなることを特徴とする請求項14記載の製造方法。
【請求項17】
各プロフィール/レイヤーは、長方形、正方形、平行四辺形、多角形、長円形、円形、楕円形およびそれらの組合せからなる群から選ばれる断面状を有することを特徴とする請求項11記載の製造方法。
【請求項18】
熱気溶接、熱ワイヤ溶接、接着剤、音波溶接、レーザ溶接、メカニカルエージェント、化学剤および他の公知の接合方法からなる群から選ばれる一を用いて各プロフィール/レイヤー同士が一体的に接合されることを特徴とする請求項11記載の製造方法。
【請求項19】
少なくとも2つの共働的な回転マンドレルが用いられて大径のマルチコンポーネント/マルチレイヤー構造の製品を製造することを特徴とする請求項11記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−510917(P2010−510917A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539273(P2009−539273)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/024341
【国際公開番号】WO2008/066768
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(509144465)ノエル グループ エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】NOEL GROUP LLC
【住所又は居所原語表記】40 Vintage Park Drive,Zebulon,NC 27597,USA
【Fターム(参考)】