説明

メソポーラス材料および方法

【課題】 メソポーラス体およびメソポーラス体を作製する方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、鋳型材料を含む鋳型を供給することと、鋳型に前駆体を浸透させること、前駆体を鋳型内で反応させて堆積物を形成すること、および鋳型から鋳型材料を除去してメソポーラス材料を形成すること、によってメソポーラス材料を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メソポーラス材料およびそれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メソポーラスシリカおよびその他の金属酸化物をはじとめとするメソポーラス材料は、数多くの分野での用途に大きな関心が注がれている。例えばこれらの材料は、分離に有用であり、低誘電体用途としても魅力的な候補物質である。文献での報告で、これらの構造が1.3〜2.1の範囲の誘電率を呈し得るために、マイクロエレクトロニクス業界に望ましいことが示されている。
【0003】
今日まで、ほとんどのメソポーラス金属酸化物材料が、水性媒体を用いて作製されてきた。例えば低誘電性フィルムは通常、水/アルコール溶液を基板上にスピンキャスティングすることによって作製される。これらの溶液は、界面活性剤および前駆体を含み、通常は溶媒の蒸発時に、調和的な自己集合によってメソスケール構造を作り出す。溶媒が蒸発するに連れ、界面活性剤が鋳型内に自己集合して、同時に前駆体が会合する。鋳型を除去すると、メソポーラス材料が生成する(例えば特許文献1参照)。
【0004】
超臨界CO中でテトラメトキシシランを縮合させることよって生成されるシリカエアロゲルが記載されている(例えば非特許文献1参照)。HOなど、シリコンアルコキシドからのシリカの縮合を開始するために一般に用いられる物質は、通常はCOへの溶解度が低いため、ギ酸が縮合剤として用いられている。
【0005】
多孔性金属酸化物は、活性炭を支持材料として用いるキャスティング法によっても生成され得る(例えば非特許文献2、3参照)。この方法では、活性炭構造が金属アルコキシド前駆体のCO溶液に接触することによってコーティングされて、沈殿が誘導される。金属酸化物が活性炭構造上に沈殿して、活性炭構造の形状になる。
【特許文献1】米国特許第5,858,457号明細書
【非特許文献1】D. A. ロイ他著(Chem. Mater. 、9巻、2264ページ、1997年(D. A. Loy et al., Chem. Mater. ,9, 2264, 1997))
【非特許文献2】ワカヤマおよびその同僚著、Chem.Mater.13巻、p2392(2001年)(Wakayama and co−workers,Chem. Mater. 13, 2392(2001年))
【非特許文献3】ワカヤマおよびその同僚著、Chem.Mater.12巻、p756(2000年)(Wakayama and co−workers, Chem.Mater.12, 756(2000))
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
様々な図面の同様の参照符号は、同様の要素を示す。
総体的方法
メソポーラス材料は、2つ以上の基本的ステップ、つまり(i)適切な鋳型を入手、または調製するステップ、および(ii)鋳型に前駆体を浸透させて鋳型内に反応生成物(または堆積物)を堆積させるステップによって調製される。幾つかの実施形態において、鋳型は除去されて、メソポーラス材料が後に残される。
【0051】
本明細書で用いられるメソポーラス材料とは、約5.0〜2500オングストローム程度の寸法の細孔を有する材料を指す。一般に、メソポーラス材料の細孔の形状は、様々であってもよい。幾つかの実施形態において、メソポーラス材料の細孔は、ランダムな形状である。細孔の形状の例としては、ほぼ球状の細孔、ほぼ楕円状の細孔、ほぼ円柱状の細孔、ほぼ長方形の細孔、またはほぼ立方体の細孔が挙げられる。細孔がメソポーラス材料内で秩序化される(並進秩序および/または配向秩序を有する)程度も様々であってよい。幾つかの実施形態において、細孔は秩序化されておらず、メソポーラス材料をランダムに浸透させる。幾つかの実施形態において、細孔は配向秩序を有することができる。例えば円柱形の細孔は、共通の軸に実質的に平行に配列させることができる。幾つかの実施形態において、細孔は並進秩序を有することができる。例えば細孔は、層状および/または稠密充填構造(例えば3次元立方充填された球または3次元六方充填された球)であってもよい。更に別の実施形態において、細孔は、並進秩序および配向秩序の双方、例えば六方充填された円柱を有していてもよい。孔径および/または秩序の程度は、例えばX線回折法または小角X線散乱法を用いて測定することができる。
【0052】
メソポーラス材料を調製する最初のステップは、所望のメソスケール構造を有する鋳型を供給することを包含する。例えば、メソポーラス金属酸化物フィルムの形成のための適切な鋳型を、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO)トリブロックコポリマーなどのブロックコポリマーから作製してもよい。これらのコポリマーは、溶液から基板上にスピンキャスティングされ得る。溶媒を蒸発させる際、ブロックコポリマーが別個の相のドメイン内に自己集合し、それらの異なる相は異なるブロックから形成される。触媒または試薬(例えばp−トルエンスルホン酸(PTSA))が鋳型に含まれていて、通常1つの鋳型相の内部に分配されている(例えばPTSAはPEO層に封鎖されている)。この相のドメインによってメソスケール構造が得られるが、そのメソスケール構造によって、メソポーラス材料の最終的構造が少なくとも一部決められる。
【0053】
第2のステップでは、前駆体が鋳型層に浸透する。鋳型層に前駆体を浸透させることに
よって、前駆体が鋳型材料内の少なくとも1つのドメインに入り、そのドメインを通って拡散する。鋳型内に封鎖された触媒または試薬によって、鋳型内の前駆体による局部縮合反応が開始し、反応生成物(例えばTEOSではシリカ)が鋳型構造(ドメイン)上に堆積して、鋳型/堆積生成物複合体を生成させる。
【0054】
幾つかの実施形態において、前駆体は送給物質(例えば超臨界流体(SCF)または近SCF溶液)を用いて送給される。例えば、超臨界または近超臨界COに溶解したテトラエチルオルトシリケート(TEOS)は、適切な鋳型内にシリカを堆積させることができる。反応生成物の堆積に必要な付加的な試薬/触媒を、前駆体と一緒に送給してもよい。水は、超臨界または近超臨界CO溶液に含まれ得る試薬の一例である。簡潔のために、我々は、前駆体、前駆体送給物質、および前駆体と一緒に送給されて前駆体の鋳型への浸透を補助するか、またはそれを実行する、かつ/または反応生成物を鋳型内に堆積させる任意の他の成分を「前駆体混合物」と称する。
【0055】
幾つかの実施形態において、反応生成物の堆積後に鋳型を除去し、反応生成物のメソポーラス構造(例えばメソポーラスシリカ)を残留させる。通常、メソポーラス構造は、鋳型と似た形態を有している。例えばブロックコポリマー鋳型の場合、反応生成物は、ブロックコポリマーのある特定相のドメインに対応する領域を占める。多くの場合、鋳型材料を分解することによって(例えば焼成、またはUV線またはプラズマなどの他のエネルギー源への暴露によって)、鋳型が除去される。
【0056】
鋳型材料および方法
所望のレベルのメソスコピックな秩序を有し(即ちサブミクロメーター長の寸法を超える構造を呈し)、所望の前駆体混合物を浸透させ得る部分(例えばドメイン)を含み、前駆体縮合化学反応に適合し得る任意の材料またはそれらの組み合わせから鋳型を作製することができる。鋳型材料は、有機材料(例えばポリマー、有機化合物、および有機化合物の集合体)および無機材料(例えば塩およびクレー)を含むことができる。
【0057】
鋳型材料の例としては、ブロックコポリマーが挙げられる。ブロックコポリマーは、ポリマー分子の一部であるブロックの直線配列を含んでおり、そのポリマー分子のモノマー単位は、隣接するブロックとは異なる少なくとも1つの組成的特徴(例えばブロックの化学的構成)または形態的特徴(例えばブロック内の原子の配列)を備えている。適切な条件下(例えば好適な温度および相対濃度の範囲内)で、優先的に単一ブロックタイプのドメイン内に自己集合するブロックコポリマーが幾つかある。
【0058】
適切なブロックコポリマーとしては、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO)トリブロックコポリマーおよびポリスチレン−ポリエチレンオキシド(PS−PEO)ジブロック、ポリ(ジメチルシロキサン)−ポリエチレンオキシドジブロックおよびトリブロックコポリマー、ならびにポリエチレン−ポリエチレンオキシドブロックコポリマーが挙げられる。
【0059】
幾つかの実施形態において、ブロックコポリマーは、前駆体混合物の1つ以上の成分に対して特定の親和性を有する少なくとも1つのブロックを含む。その鋳型は、前駆体混合物の選択的成分を生得的に引き付けることによって、ブロックコポリマーの所望の相ドメイン内でのそれらの成分の分配を向上することができる。例えば、ブロックのうちの少なくとも1つが、親水性および/またはCO親和性であることによって、それらのブロック内で水、親水性前駆体および/またはCOの浸透性を向上させることができる。更に、1つのブロックが親水性であってもよく、第2のブロックがCO親和性であってもよい。別の例として、前駆体が選択的に反応および/または分配されるブロックを選択してもよい。
【0060】
更にブロックコポリマーは、前駆体混合物または前駆体混合物成分に非親和性の別のブロックを少なくとも1種含んでいてもよい。非親和性のブロックは、ブロックで構成された鋳型相から前駆体混合物または成分が浸透するのを阻害する。例えばブロックコポリマーは、親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含んでいてもよい。親水性ブロック相で構成された鋳型相に、水を選択的に分配させてもよい。別の実施例において、あるブロックはSCF溶液に対して非常に低い浸透性を呈し得るが、別のブロックは同溶液に容易に膨潤される。
【0061】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのブロックを含み、ポジティブまたはネガティブフォトレジストとして作用し得るブロックコポリマーが選択される。これらのブロックコポリマーはその後、前駆体を浸み込ませる前、浸み込ませた時、または浸み込ませた後にフォトリソグラフィでパターン化されてもよい。
【0062】
相分離されたブロックコポリマーの形態は、様々であってよい。例えばブロックコポリマーは、第1のブロックタイプの分離したドメインを、第2のブロックタイプのマトリックスに埋め込まれた状態で含んでいてもよい。あるいはブロックコポリマーは、相互浸透し合うドメインを含んでいてもよい。
【0063】
加えて、ドメインサイズは所望に応じて様々であってもよい。ドメインサイズは、ブロックの分子量に影響されてもよい。幾つかの例において、ドメインサイズの固有寸法は、分子量の平方根に比例する。ドメインは、ナノメータ〜ナノメータの1/10の範囲内であってもよい。あるいはドメインは、ミクロメータ程度か、それ以上のサイズであってもよい。メソポーラス構造は、ドメイン構造に由来するため、通常、ドメインサイズは、最終用途でメソポーラス材料の特性を満足するように制御される。ドメインサイズおよび構造に影響を与える因子を、以下に論じる。
【0064】
ブロックコポリマーが、鋳型ドメイン内でメソポーラス材料の形態に更に影響を与え得る、付加的な相秩序を呈していもよい。例えば結晶または液晶ポリマー単位は、様々な度合いで単位間の並進秩序または配向秩序を示す。これらの特性を有するブロックを1つ以上選択してもよく、それによってポリマー単位はこれらのブロックで形成された鋳型ドメイン内で秩序化する。これらのドメイン内に堆積されたメソポーラス材料は、この秩序化のアーチファクト、例えば秩序化したドメイン内の密度の周期的変動などを表してもよい。少なくとも1つのブロックが半結晶性である場合、メソポーラス材料は、相分離されたコポリマーのドメインから生じる構造と、結晶構造との双方を一方または双方のドメイン内で呈することができる。これが起こり得るのは、前駆体の浸透および反応が半結晶性相ドメインの非晶質領域で進行し、結晶領域では進行しないような条件下である。鋳型プロセス時に少なくとも1つの半結晶性相ドメインが存在することによって、鋳型の容積拡大を低下または防止することもできる。
【0065】
複数のパラメータが、ブロックコポリマー形態に影響を与える。これらのパラメータを変動させて、鋳型構造を所望の形態に作り出すことができる。通常は、各ブロックを作るモノマー単位の化学的構造によって、各ブロックを形成するモノマー間の相互作用との形成とブロック間の化学結合が生じ、その双方がブロックコポリマーの形態に影響を与える。例えばモノマー内にメソジェニック部分(例えばシアノビフェニル部分)を含むことによって、上記のようにドメイン内を秩序化することができる。更にモノマーの化学は、ブロックの混和性にも影響を与え、相ドメインへのブロックコポリマーの相分離/自己集合に強く影響を与える。
【0066】
ブロックコポリマー内のブロックの相対的長さも、鋳型の形態に影響を与える。相の形
態は、球〜円柱〜他の板晶と、各ブロックの相対的長さに応じて様々であってよい。例えば単位Aの短いブロックと、単位Bの比較的長いブロックと、単位Bの比較的長いブロックとを含むブロックコポリマーは、単位Bの長いブロックの連続相内に単位Aのブロックを含む球になり得る。ブロックがほぼ同じ長さであれば交互になった板晶が形成する傾向があり、円柱はその中間の場合に形成される。
【0067】
幾つかの実施形態において、コポリマーの構造は、ホモポリマーおよび/または膨潤剤の添加によって操作される。例えば、ブロックコポリマー内の1つ以上のブロックの1つ以上のホモポリマーを添加して、ブロックの反復距離を増加させることができる。この技術の例は、米国特許出願第20020055239号として2002年5月9日に公開された米国特許出願第09/814,891号に、そしてアーバス他(Adv.Mater.12巻、p812(2000年)(Urbas et al.(Adv.Mater.12, 812(2000))))によって記載されている。更に、前駆体よりもSCFへの溶解度が低い膨潤剤(例えばジオクチルフタレート、スクアレン、またはポリプロピレンオキシドなど)は、鋳型に塗布され得る所定のブロックに選択的または非選択的なものであってもよい。幾つかの例において、選択的膨潤剤は、鋳型内の秩序無秩序転移(例えば異なる形態をとる秩序化状態の間の転移)を誘導することができ、それによってコポリマー構造を更に修飾する。選択的膨潤は、K.J.ハンレー、T.P.ロッジおよびC.I.ハング著(マクロモレキュールズ、33巻、p5918(2000年)(K.J.Hanley, T. P. Lodge and C. I. Huang(Macro
molecules、33,5918(2000))))に更に論じられている。
【0068】
更に別の実施形態において、鋳型の形態は、沈殿反応の際に変化する。例えば試薬および反応副生物を、異なるドメインに選択的に分配させて鋳型を拡張させ、メソポーラス材料の形状のサイズを拡張前の鋳型の対応する形状に比べて増大させることができる。
【0069】
鋳型材料の別の実施例としては、ホモポリマー(例えば非晶質または半結晶性ホモポリマー)、多分岐ポリマーまたはホモポリマーおよび/もしくは多分岐ポリマーのブレンド、ならびにランダムコポリマーが挙げられる。ホモポリマーの例としては、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸)およびポリ(ビニルアルコール)が挙げられる。多分岐ポリマーの例としては、脂肪族ポリエステルが挙げられる。コポリマーの例としては、ポリ(メチルメタクリレート−コ−ジメチルアミノエチルメタクリレート)が挙げられる。
【0070】
鋳型材料がホモポリマーを含む幾つかの実施形態において、ホモポリマーは、堆積工程時に鋳型内に堆積された材料から相分離する。この相分離によって、ポリマー鋳型材料を多量に含むドメインと、堆積材料を多量に含むドメインとが生成する。相分離は本来、スピノーダルまたはバイノーダルであってもよい。相分離は、堆積材料が堆積する際のいずれの時点で(例えば鋳型内で前駆体が反応する際に)起こってもよい。その後、引き続き鋳型材料の除去を利用して、多孔性材料を生成させ得る。そのような多孔性材料は、相分離された材料または一部が相分離された材料のドメインサイズによって少なくとも一部決まる長さ寸法での形状を示し得る。
【0071】
あるいはホモポリマー鋳型材料を有する幾つかの実施形態において、鋳型材料および堆積材料の別個のドメインへの相分離が起こらず、堆積材料を浸み込ませ、堆積させた後に鋳型を除去することによって、堆積材料のナノポーラス試料よりも容積密度の小さい多孔性材料が得られる。
【0072】
幾つかの実施形態において、鋳型は、ポロゲンとして機能する1種以上の他の成分と物理的に混合された均質なポリマーマトリックスで構成されていてもよい。本明細書で用い
られるポロゲンは、前駆体の分配性および/または反応性の差異を生じさせ得るいずれかの材料、ならびに/あるいはマトリックスポリマーを用いて製造される材料の構造を変化させ得るいずれかの材料を指す。ポロゲンの例としては、鋳型材料とは異なるポリマー(またはポリマー混合物)のナノスフェアまたはミセルが挙げられる。ナノスフェアを修飾して、鋳型との適合性を改善してもよい。適合性を改善し得る化学的官能基の例としては、アルコキシおよびアセトキシ基が挙げられる。
【0073】
幾つかの実施形態において、ポロゲンを官能基化して別の部分に共有結合させてもよい。例としては、反応して共有結合を形成する官能基が挙げられる。これらは、ラジカル反応および縮合反応を受け得る基を含んでいてもよい(例えば反応し得る官能基としては、ビニル、アルコキシ、アセトキシ、ヒドロキシ、シラン基などが挙げられる)。幾つかの実施形態において、官能基が共重合によって誘導されてもよい。
【0074】
ポロゲンが、分枝状または三次元星形構造(例えばデンドリマー、多分岐ポリマー、および「櫛形」構造のグラフトブロックコポリマー)を呈していてもよい。幾つかの実施形態において、ポロゲンは、キラル(例えばキラル塩またはキラル液晶ポリマー)であってもよく、かつ/または特異的な化学的認識要素もしくは生物学的認識要素をメソポーラス材料に付与するよう設計されていてもよい。
【0075】
一般に、鋳型相の厚さは、所望に応じて様々であってよい。多くの場合、鋳型の厚さによって、メソポーラスフィルムの厚さが決定される。幾つかの実施形態において、鋳型フィルムは1ミクロメータ厚未満(例えば0.5、0.3または0.1ミクロメータ未満)である。別の実施形態において、鋳型フィルムは少なくとも1ミクロメータ厚(例えば少なくとも2、3、5または10ミクロメータ)である。一般に、鋳型は薄膜に限定されない。かさ高の鋳型を用いて、かさ高のメソポーラス材料を調製することもできる(例えば、鋳型がミリメートルまたはセンチメートル厚程度であってもよい)。
【0076】
通常、最初に基板上に鋳型材料の層を配置または堆積させることによって、鋳型材料が作製される。基板が、鋳型と得られたメソポーラスフィルムとを機械的に支持する。通常、基板の型はメソポーラスフィルムの具体的用途に依存する。例えばシリコンウェーハを、ミクロエレクトロニクス用途での基板として用いてもよい。別の実施例として、多孔性基板が、メソポーラス膜または他のメソポーラス分離媒体のための支持層として作用してもよい。メソポーラスフィルムが複合体品の一部なら、基板は最終生成物の一体化された部分になり得る(例えばマイクロチップはシリコンウェーハ基板上のメソポーラス層を含み得る)。適切な基板としては、シリコンウェーハ、ガラスシート、ポリマーウェブ、炭化ケイ素、窒化ガリウム、金属および金属酸化物、またはこれらの基板上に堆積された半導体層などが挙げられる。
【0077】
鋳型材料は、多数の方法で基板上に配置することができる。一般に、所望の厚さおよび組成の鋳型相を一貫して生成するような方法で、鋳型を基板に配置する。例えば鋳型材料は、基板上にコーティングされてもよい(例えばスピンキャスティング、ナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティングまたはディップコーティング)。溶液によって鋳型材料をコーティングし、溶液を蒸発させて鋳型材料の層を生成させ得る。鋳型材料を、基板上に蒸着してもよい。
【0078】
触媒(または反応試薬)が、鋳型層に組込まれていてもよい。触媒は多くの場合、鋳型上への前駆体の沈殿を開始させるのに必要となる。幾つかの実施形態において、触媒がブロックコポリマー鋳型の1つの相の内部に封鎖されていて、主にその相のドメイン内で確実に沈殿が起こるようになっている。別の実施形態において、光または他の形態の輻射線への暴露によって活性化される触媒を、1つ以上の相ドメインに組込んでいる。そのよう
な触媒の一例が、光酸発生剤である。光酸発生剤の例としては、パーフルオロオクチルスルホネート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム9,10−ジメトキシアントラセンスルホネートイソプロピルチオキサントン、[4−[(2−ヒドロキシテトラデシル)オキシ]フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、およびトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートが挙げられる。その後、選択的暴露によって、鋳型の選択した領域で触媒を活性化することができる。別の実施形態において、前駆体を含む反応への阻害剤を、1つ以上の相ドメインに組込んでもよい。
【0079】
鋳型層がキャスティングされるコーティング溶液に、触媒が含まれてもよく、あるいは分離工程のステップで触媒を鋳型相に塗布させてもよい。多くの場合触媒は、鋳型のブロックコポリマーと反応しない、独特な化学的化合物である。幾つかの例において、触媒は、ブロックコポリマーのブロックに化学的に組込まれていてもよく、あるいは触媒がブロックそのものであってもよい。
【0080】
触媒の化学的性質は、主として前駆体材料と所望の沈殿反応の性質とによって決定される。p−トルエンスルホン酸(PTSA)などの一部の酸触媒は、それらのアルコキシドからの金属酸化物縮合(例えばTEOSからのシリカ縮合)を開始するのに適している。鋳型、または少なくとも1相の鋳型との適合性が、触媒を選択する別の因子である。PTSAは、PS−PEO鋳型と一緒の使用に適した触媒で、PEOドメイン内に封鎖される。金属酸化物前駆体および触媒系の非限定的概要は、ブリンカーおよびシェーレ(Brinker and Schere)によるゾル−ゲル・サイエンスSol−Gel Science)から得られる。
【0081】
鋳型層が基板上に秩序化されたなら、その層をパターン化または秩序化してもよい。例えば標準的リソグラフィ技術(例えば紫外線フォトリソグラフィまたは電子ビームフォトリソグラフィ)を用いて、三次元構造を有するパターン化鋳型を作製してもよい。
【0082】
幾つかの実施形態において、鋳型の一部を輻射線に直接暴露して、鋳型の構造および/または化学的性質を局部的に変動させる。一例は、PS−PEO鋳型の紫外線への暴露である。紫外線によってPEO相をエッチングし、その後その相を除去してもよい。更に紫外線によって、PS相を架橋させる。シリカの堆積は、多くの場合PEOドメイン内に封鎖された酸によって触媒され、これらのドメイン内で優先的に起こるため、この相の除去によって、紫外線に暴露されたコポリマーの領域ではシリカ縮合が防止される。
【0083】
あるいは鋳型を標準的フォトレジストでコーティングし、そのフォトレジストを輻射線に選択的に暴露する。フォトレジストを現像して、その下にある鋳型の一部を暴露して、その後エッチングして取り除く(例えばウェットエッチングまたはプラズマエッチング)。残ったフォトレジストを除去すれば、パターン化された鋳型が生成する。
【0084】
鋳型またはフォトレジストの輻射線への選択的暴露は、1つ以上の様々な方法によって実行されてもよい。例えば、ある箇所に焦点を当てた輻射線ビーム(例えば電子ビーム)を、暴露表面を交差しながらラスター(rastered)させてもよい。別の実施例においては、シャドウマスクを用いることによって、暴露表面の一部が輻射線に全面的に暴露されないよう選択的にマスクされる。更に別の実施例においては、輻射線を鋳型に暴露して界面パターンを形成する。
【0085】
通常、フォトリソグラフィを用いて、鋳型内に溝、島、および/または断層構造を形成することができる。これらの構造は、およそ数百ミクロメータ〜1ミクロメータ未満の寸法となり得る。
【0086】
鋳型ドメインの秩序化
適切な条件下で、自己集合によって鋳型ドメインを秩序化し得る(例えば位置的配向(positionally oriented )または配向秩序)。例えばブロックコポリマーをガラス転移を超える温度に加熱して、コポリマーを円柱形態に自己集合させてもよく、電場を加えてコポリマー内の円柱を配向、例えば垂直方向に配向させてもよい。電場を用いて鋳型を配向させる方法は、ブロックコポリマー成分の誘電率の差に依存する。同様に、成分の磁気双極子モーメントの間に十分な差が存在する場合には、磁場を用いて鋳型を配向させることができる。
【0087】
電場で配向を誘導する場合、コポリマーのブロックの異なる化学的成分によって、コポリマードメインの誘電率に差が生じ得る。誘電率の約1%の差によって、特別な配向、例えば垂直配向になり得る。電場では、円柱、つまり異方性形状の誘電体に関連する配向依存性分極エネルギーによって、円柱が電場線に平行に配列する。
【0088】
基板に平行で十分に強力な場の下では、形態の表面配列が打ち消されて、場によって平行に配向された円柱ドメインを生成することができる。円柱ドメインは、鋳型層に対して法線方向に鋳型層内に延びる。
【0089】
鋳型をコポリマーブロックのガラス転移温度を超える温度に加熱することによって、ポリマー分子を可動性にして、それらをより容易に流動させる。別の方法を用い、通常はガラス転移温度を周囲温度未満に低下させることによって、この効果を実行することもできる。例えば、鋳型に可塑剤または溶媒を添加して、コポリマー分子を可動化し、それらを運動および自己集合させてもよい。配向場を加えた後に、可塑化剤または溶媒を除去して分子を固定する。その後、配向場を取り除くが、固定された分子にはその配向が残留する。幾つかの実施形態において、超臨界または近超臨界溶媒が、鋳型分子を可動化することができる。そのような例において、鋳型の配向と前駆体の沈殿とが同時に起こり得ると予測される。
【0090】
ブロックコポリマー鋳型の秩序化は、電磁場以外の手段によって促進することもできる。例えば、円柱または円盤形ドメインなど異方性形状のドメインは、流動場または剪断場で秩序化することができる。異方性物体は、流動場で配向して、流動場線に対して最小の断面積を示す傾向がある。つまり円柱のアスペクト比(口径に対する高さの比)が1より大きい場合、円柱ドメインは流動場に平行な円柱軸に沿って配列する傾向がある。
【0091】
ブロックコポリマーは、表面相互作用によっても秩序化させることができる。基板表面を、鋳型層でコーティングする前に化学的に(例えば界面活性剤で)処理してもよい。その後、化学的表面処理との相互作用によって、鋳型層は所定の方向に自然に配向することができる。例えば、疎水性モノマー単位と親水性モノマー単位とを有するランダムコポリマーの薄膜を基板上にコーティングして、ブロックコポリマー鋳型の中性表面を生成してもよい。ブロックコポリマーはランダムコポリマーで用いたものと同じモノマーで構成されてもよく、それは親水性マトリックス内で疎水性ブロックの球状ドメインを生成させる。
【0092】
秩序を誘導するための場および表面処理の利用に関する更に詳しいことは、例えばT.サーン−アルブレッヒ他(アドバンスド・マテリアルズ、12巻、2000年、p787(T. Thurn−Albrecht、 et al. (Advanced Mat
erials、 12, 2000, p787)))および米国特許出願第09/814,
819号に見出すことができる。鋳型を秩序化する他のアプローチとしては、ハイヤー他(J.Chem.Phys.、111巻、p11101(2001年)(Heier e
t al.(J. Chem. Phys., 111, p11101(2001))))によって開示されたマイクロコンタクトプリンティングを用いた基板の化学修飾、溶媒の方向性結晶化(directional crystallization )の利用(例えばC.パーク他著、マクロモレキュールズ、34巻、p2602(2001年)(C. Park et al., Macromolecules, 34, p2602(2001)) を参照)、お
よび塊状材料の作製のためのロールキャスティングの利用(例えばR.J.アルバラクおよびE.L.トーマス(J.Polym.Sci.Polym.Phys.、第31版、p37(1993年)(R.J.Albalak and E.L.Thomas( J. Polym. Sci. Polym. Phys., ed31, p37(1993))))を参照)が挙げられる。
【0093】
秩序化された鋳型が形成されれば、鋳型の一部を架橋させることができる。例えば秩序化されたブロックコポリマーの少なくとも1つのドメインが、イオン化した輻射線(例えば紫外線)の存在下で架橋する化合物を含んでいてもよい。そのような化合物の例としては、ポリエチレン、一部のポリオレフィン、およびポリ(塩化ビニル)などのポリマーが挙げられる。架橋によって機械的安定性を鋳型に付与することができ、それは特に鋳型が付加的な処理(例えば機械的および/または化学的処理)を受けることが適した実施形態で有利となり得る。
【0094】
鋳型への前駆体送給
一般に、鋳型の形態を不利に変化させない前駆体、または堆積物の化学的性質に不利な影響を及ぼさない前駆体を鋳型に浸透させる任意の手法が用いられ得る。多くの場合、前駆体は、例えば溶媒中の送給物質によって送給される。例えば前駆体は、超臨界または近超臨界流体に溶解されてもよい。その後、SCFまたは近SCF溶液は鋳型内に浸み込まされ、前駆体は1つ以上の鋳型ドメインの内部に分配された試薬/触媒と反応する。
【0095】
以下の論述で、バッチ様式、連続様式の双方による前駆体送給を、実施例によって説明する。SCF溶液中の前駆体を鋳型層に送給させる典型的なバッチ法は、以下の一般的手順を伴う。単一基板および既知の量の前駆体を、反応器(例えばステンレス鋼パイプ)に入れて密閉し、溶媒でパージして重量測定し、循環式温度制御型水浴に浸漬する。その後、例えば高圧マニホールドを用いて、反応器に既知量の前駆体を含む溶媒を充填する。反応器の内容物を、溶媒が超臨界または近超臨界溶媒となる特定の温度および圧力にする。溶液を鋳型に浸透させる。溶媒に溶解された前駆体が、鋳型内の特定のドメインに優先的に封鎖された触媒または他の試薬と相互作用する。前駆体が、これらのドメイン内の鋳型内で反応する。溶液が完全に鋳型を透過して前駆体が反応し、反応生成物が鋳型上に堆積することを確実に行わせるのに十分な時間にわたって反応器をこの条件に保つ。反応は通常、少なくとも1時間にわたって行われるが、1時間よりかなり短時間、例えば20分未満または30秒未満でも反応は完了し得る。反応時間の最適な長さは、経験的に決定してもよい。反応器が冷却されたら、基板を取り出し、分析するか、または更に処理して鋳型を除去してもよい。
【0096】
前駆体分解生成物または未使用反応物を含む超臨界溶液を反応器から連続的に除去しながら、既知濃度の超臨界(または近超臨界)溶液をリザーバから取り出して、複数の基板を含む反応器に連続的に添加することを除けば、連続式前駆体送給工程は、上記バッチ法と同様である。反応器への流速と反応器からの流速を等しくすることによって、反応器内の圧力を実質的に一定に保つようにする。全体的な流速は、個々の反応に応じて最適化する。前駆体含有溶液を反応器に導入する前に、反応器に未混合の溶媒(前駆体溶液中の溶媒と同じもの)を超臨界または近超臨界圧力で充填し、超臨界または近超臨界温度に加熱する。その結果、前駆体含有溶液を最初に反応器に添加すると直ぐに、超臨界または近超臨界条件が保持される。
【0097】
その反応条件での前駆体の溶解度は、当業者に周知の可変量目視容器(例えばマクヒュー他著、スーパークリティカル・フルイド・エクストラクション:プリンシプルズ・アンド・プラクティス、ボストン州バターワース、1986年(McHugh et al.,Supercritical Fluid Extraction:Principles and Practice, Buttereorth, Boston, 1986)を参照)で検証することができる。既知量の前駆体および超臨界溶媒を目視容器に入れて、単相が視覚的に観察される条件にそれらを加熱および圧縮する。その後、層分離(液体−蒸気または固体−蒸気のいずれか)が誘導されるまで、等温で少しずつ減圧する。
【0098】
処理の温度および圧力は、反応物と溶媒の選択とに依存する。一般に温度は、250℃未満であり、多くの場合100℃未満(例えば約90℃、80℃、70℃、60℃、50℃、または40℃未満)であり、圧力は通常、50〜500バール(例えば約75バール〜300バール、90バール〜200バール、100バール〜150バール、110バール〜140バール、または120バール〜130バール)である。基板と溶液との間の温度勾配を利用して、化学的選択性を高め、鋳型内の反応を促進することもできる。
【0099】
SCFとして有用な溶媒は当業者に周知であり、高比重ガスと呼ばれることがある(ソンタグ他著、イントロダクション・トゥー・サーモダイナミックス、クラシカル・アンド・スタティスティカル、第2版、ジョン・ウィリー・アンド・ソンズ社発行、1982年、p40(Sonntag et al., Introduction to Thermodynamics, Classical and Statistical,2nd ed., John Wiley & Sons, 1982, p40))。個々の物質の上記特定値の温度および圧力(それぞれ臨界温度および臨界圧力と定義する)では、飽和液体および飽和蒸気状態が同一であり、その物質がSCFと呼ばれる。SCFの溶媒は、液体溶媒よりも1〜2桁程度、粘性が低い。超臨界溶媒が低粘性で表面張力が存在しないため、鋳型への試薬の改善された移送(液体溶媒に比較して)と、鋳型からの分解生成物の除去が促される。これは、溶液による鋳型相の完全な浸透を確実に行うのに特に有利である。その上、多くの前駆体の溶解度は、様々な液体および気体に比較して超臨界溶媒では高い。一般に超臨界溶媒は、例えば少量(5モル%未満)のエタノール(または他のアルコール)などの極性液体共溶媒など、単一溶媒または溶媒混合物で構成することができる。
【0100】
試薬は、超臨界溶媒に十分に可溶で、試薬を均一に移送させることが望ましい。超臨界溶媒への溶解度は、超臨界溶媒の密度にほぼ比例する。前駆体移送の理想条件は、超臨界溶媒密度が少なくとも0.1〜0.2g/cmであること、または密度が臨界密度(臨界温度および臨界圧力での流体の密度)の少なくとも1/3であることを包含する。
【0101】
以下の表1は、数例の溶媒を各臨界特性に沿って列挙している。これらの溶媒は、単独または他の溶媒と一緒に用いて超臨界溶媒を形成することができる。表1は、各溶媒の臨界温度、臨界圧力、臨界容積、分子量、および臨界密度を列挙している。
【0102】
【表1】


異なる超臨界溶媒の条件を説明するために、用語「対臨界温度」「対臨界圧力」および「対臨界密度」を用いている。個々の溶媒に関する対臨界温度は、個々の溶媒の臨界温度(ケルビンで測定)で割った温度(ケルビンで測定)であり、対臨界圧力および対臨界密度も同様の定義である。例えば約59.85℃(333K)および150atmで、COの密度が0.60g/cmであれば、COに関する対臨界温度は1.09、対臨界圧力は2.06、対臨界密度は1.28となる。超臨界溶媒の特性の多くは、近超臨界溶媒によっても示されるが、近超臨界溶媒は、超臨界温度および超臨界圧力がそれぞれ0.8および0.6を超えるが両者とも1を超えない(そのような場合、溶媒は超臨界となる)溶媒を指す。鋳型に浸み込ませせるために適切な一組の条件としては、超臨界または近超臨界溶媒の対臨界温度0.8〜1.6と、流体の臨界温度150℃未満とが挙げられる。
【0103】
二酸化炭素(CO)は、溶媒の特に良好な選択肢である。臨界温度(31.1℃)は周囲温度に近く、このため適度な処理温度(80℃未満)で使用することができる。多くの所望の前駆体と反応性がなく、気体と可溶性液体または固体基板との反応を実行する上で理想的な媒体である。
【0104】
前駆体および反応機構
触媒(または反応試薬)によって促進された反応に引き続き鋳型内に所望の堆積材料が生成するように、前駆体が選択される。堆積物は、酸化物(例えばSiOおよびTiO)または金属混合物または金属酸化物混合物(例えばY−Ba−Cu−Oなどの超電導混合物)、金属(例えばCu、Pt、PdおよびTi)、半導体元素(例えばSi、GeおよびC)、半導体化合物(例えばGaAsおよびInPなどのIII −V半導体、CdSなどのII−VI半導体、PdSなどのIV−VI半導体)を含んでいてもよい。金属酸化物などの酸化物(Si、Zr、Ti、AlおよびVの酸化物)は、メソポーラス体の材料の重要な分類である。酸化物堆積のための前駆体としては、シリカ堆積でのTEOSなどのアル
コキシドが挙げられる。堆積物は、ハロゲン化化合物(例えばフッ素化、塩素化、臭素化またはヨウ素化化合物)を含んでいてもよい。
【0105】
幾つかの実施形態において、前駆体はモノマーまたはモノマー混合物であり、堆積された材料はポリマーまたはポリマー混合物である。そのような場合、堆積したポリマーは、鋳型材料(例えば鋳型ポリマー)の分解温度を実質的に超える分解温度を呈してもよい。一旦、高温ポリマーが堆積されたならば、鋳型ポリマーは除去されてもよい。モノマー重合の触媒は、任意にコポリマー鋳型の1 つのドメイン内で選択的に堆積されていてもよく、あるいはコポリマー鋳型の1つのドメインが、重合を触媒する酸基などの化学的官能基を保持していてもよい。別の実施形態において、モノマー前駆体がブロックコポリマーの1 つのドメイン内に優先的に分配されるように、ブロックコポリマー鋳型が選択されてもよい。高い分解温度(例えば約450℃または500℃よりも高い温度、550℃以上など)を有するポリマーの非限定的例としては、ポリフェニレンなどの芳香族ポリマーが挙げられる。
【0106】
幾つかの実施形態において、前駆体は、Bステージ・オルガノポリシリカ誘電マトリックス材料を含んでいる。Bステージとは、未硬化材料を指す。言い換えれば、適切な条件下でBステージ・オルガノポリシリカ材料を縮合などによって重合または硬化して、コーティングまたはフィルムなどの高分子量材料を形成することができる。そのようなBステージ材料は、モノマー、オリゴマー、またはその混合物であってもよい。Bステージ材料としては、モノマー、オリゴマー、またはモノマーとオリゴマーとの混合物と、ポリマー材料との混合物が更に挙げられる。
【0107】
一般に、前駆体から所望の材料を生成させる反応のいずれを利用してもよい。本来、前駆体および反応機構は、鋳型へ前駆体を送給するために選択された方法に適合性を有さなければならない。例えばSCFまたは近SCF溶液を使用する場合、鋳型の付近の処理温度が低く(例えばCOでは250℃、200℃、150℃、または100℃未満)、流体密度が比較的高いこと(例えばCOでは0.2g/cmを超える)が重要な特徴である。鋳型の温度が高すぎると、基板付近の流体の密度が気体の密度に近くなり、溶液を基剤とするプロセスの利点が損なわれる。加えて、高い鋳型温度は、鋳型の形態に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば反応は、前駆体の還元(例えば還元剤としてHまたはHSを用いることによる)、前駆体の酸化(例えば酸化剤としてOまたはNOを用いることによる)、または前駆体の加水分解(即ちHOの添加)を伴ってもよい。加水分解の例は、チタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)などの金属アルコキシド(前駆体)を水と反応させて、TiOなどの金属酸化物構造を生成させることである。その反応は、光学輻射線によって開始してもよい(例えば紫外線による光分解)。この場合、光学輻射線からの光子が反応試薬である。
【0108】
幾つかの例において、前駆体送給物質は、反応に関与してもよい。例えば付加的な溶媒としてのNOと有機金属化合物としての金属前駆体とを含む超臨界溶液では、NOは、金属前駆体の酸化剤として働き、所望の材料として金属酸化物を生成させることができる。しかしほとんどの場合、SCF中の溶媒は化学的に不活性である。
【0109】
合成後の処理
鋳型への前駆体送給の生成物は、鋳型材料と反応生成物の複合体(例えばフィルムまたはかさ高の層)である。鋳型材料を除去して、反応生成物のメソポーラス構造を生成させてもよい。そのような場合、通常、多数の技術の1つ以上を用いて鋳型材料を分解する。例えば、ブロックコポリマー鋳型を焼成によって熱分解してもよい。ほとんどのポリマーの分解温度(例えば約400℃)がシリカ構造に影響を与えないため、シリカ−ポリマー複合体からの鋳型除去は、焼成が非常に適している。あるいは、化学的または光化学的技
術によって、鋳型が分解または溶解されてもよい。複合体層は、鋳型を分解して反応生成物を分解しない溶媒またはエッチング剤に暴露されてもよい。光化学的技術としては、適切な輻射線(例えば紫外線)に暴露することによる鋳型の分解が挙げられる。
【0110】
鋳型除去を促進する流体の存在下で、鋳型材料の分解が、実施されてもよい。幾つかの例において、前駆体送給物質によって、この機能を提供することができる。例えば、超臨界または近超臨界COまたはCO/O混合物は、メソポーラス材料中でのSCFの移送上の利点を活用して、分解された鋳型の除去を促進することができる。
【0111】
鋳型除去の後、メソポーラス材料を所望に応じて更に処理してもよい。幾つかの実施形態において、メソポーラス構造を更に処理して化学修飾する。例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンまたは(CHSiClと反応させてダングリングOH基を封鎖して疎水性表面を生成させることによって、アルコキシド縮合から得られた親水性シリカ表面を修飾することを必要としてもよい。多くの場合、これは試薬のSCF
CO溶液を用いて実行することができる。これらの反応には、C.J.ブリンカーおよびG.W.シェーレ著、ゾル−ゲル・サイエンス:ザ・フィジックス・アンド・ケミストリー・オブ・ゾル−ゲル・プロセシング、アカデミック・プレス社出版、カリフォルニア州サンディエゴ、1999年、p662(C. J. Brinker and G.
W. Scherer, Sol−Gel Science: the Physics and Chemistry of Sol−Gel Processing, Academic Press,San Diego CA, 1999, p662)に記載されたものなど、1、2、および3官能基カップリング剤をはじめとする市販のオルガノシランカップリング剤の使用を含み得る。
【0112】
前駆体送給物質の存在下、例えば超臨界または近超臨界流体混合物(例えばCOまたはCO/O)の存在下で、メソポーラス材料を更に処理し、それによってメソポーラス材料中でのSCFの移送上の利点を活用してもよい。
【0113】
更に別の実施形態において、鋳型除去の後、メソポーラスフィルムをパターン化する。例えば、上記のように光フォトリソグラフィ及び電子ビームフォトリソグラフィなどのリソグラフィ技術を用いて、メソポーラスフィルムがパターン化されてもよい。
【0114】
幾つかの実施形態において、前駆体が鋳型内に浸み込まされて、反応生成物が鋳型内に堆積され、鋳型/反応生成物複合体が鋳型除去の前に更に処理される。これらの実施形態において、鋳型の存在によって次の処理に有利な機械的性質を付与してもよい。例えば、鋳型の除去の前に鋳型/反応生成物複合体をパターン化およびエッチングして、デバイス構造を組入れてもよい。鋳型/反応生成物複合体をエッチングして、デバイスの形状を組入れてもよく、材料をそれらの形状内に堆積させてもよく、鋳型の除去の前に堆積した材料を平面化してもよい。形状内に堆積した材料は、例えば銅拡散バリア、および半導体デバイスの相互接続構造を形成するための銅を含んでいてもよい。
【0115】
用途
メソポーラス材料は、複数の特徴を有することによって、数多くの用途での魅力的な材料になる。例えば一部のメソポーラス材料は、低誘電率(例えば約2.5、2.2、2.0、1.8、1.5以下)を有しており、例えば集積回路およびマイクロエレクトロニクスデバイス内での魅力的な誘電材料となり得る。これに代わって、またはこれに加えて、メソポーラス材料は、高い硬度(例えば約0.1、0.5、0.7GPa以上の硬度)を有することによって、例えば保護的な機能性コーティングの魅力的な候補物質となり得る。硬度が高いことによって、例えば集積回路の製造など特定の製造工程への適合性がより高い材料にもなり得る。その上、一部のメソポーラス材料は、低い屈折率(例えば約1.
4、1.2以下の屈折率)を有し得るため、低い屈折率の光学用途に適することになる。したがってメソポーラス材料は、例えば低誘電体、触媒、分子分離、光学コーティング、光エレクトロニクス、フォトニクスおよびセンサーの分野に適用することができる。
【0116】
メソポーラスシリカフィルムは、マイクロエレクトロニクス業界、例えば半導体デバイス業界に関連する。特にメソポーラスフィルムは低誘電率を有し得るため、薄いメソポーラスフィルムは、半導体ウェーハへの低誘電体コーティングとして潜在的に有用である。幾つかの実施形態において、メソポーラスフィルムは、標準法を用いて作製され得る集積回路内の誘電層として用いられることができる。集積回路を作製する技術は、例えばマイケル・クワークおよびジュリアン・セルダ(2001年プレンティス・ホール)Michael Quirk and Julian Serda(Prentice Hall、2001))によるセミコンダクター・マニュファクチュアリング・テクノロジーSemiconductor Manufacturing Technology) に開示されている。
【0117】
メソポーラス材料を用いて、光ファイバーならびにその他の光学部品および装置に光コーティングを施すことができる。メソポーラス材料は、低屈折率の層を与え得るため、反射防止コーティングおよび他の光学的用途に有用になる。その上、メソ細孔材料中の細孔の容積分率を調整することによって、材料の屈折率を選択して金属酸化物の屈折率から空気の屈折率までの範囲のいずれかの値に選択し得る。あるいは細孔に流体(例えば高屈折率の流体または液状結晶)を充填して、材料の屈折率を金属酸化物の屈折率から流体の屈折率までの値の範囲に選択してもよい。したがって本明細書に開示された方法を用いて、市販の光学部品(例えばレンズ、ファイバー、集積光学部品、および電子ディスプレイ用のガラス基板などの光学基板)上にメソポーラスフィルムを形成することができる。
【0118】
メソポーラス材料は、触媒として、そして分子分離においても有用であり、多孔性膜中で用いることができる。
【実施例】
【0119】
本発明を、以下の実施例において更に説明するが、それらはクレームに記載された本明細書の範囲を限定するものではない。
化学物質
本明細書に記載されたブロックコポリマーおよび非イオン性界面活性剤は、BASF(ニュージャージー州マウントオリーブ(Mt.Olive、NJ))およびアルドリッチ(Aldrich)から市販されており、更に精製することなく入手したまま使用された。ポリ(プロピレンオキシド)センターブロックのどちらか一方の側にポリ(エチレンオキシド)ブロックを含むトリブロックコポリマーであるプルロニック(Pluronic)(登録商標)F127コポリマーを、BASFから得た。ブリジ(Brij)(登録商標)76およびブリジ(登録商標)78は、オリゴマーのアルキル−ポリ(エチレンオキシド)非イオン性界面活性剤であり、アルドリッチから得た。コポリマーの鋳型の構造は、以下のとおりである:プルロニック(登録商標)F127(Mav=12600) EO106PO70EO106(BASF);ブリジ(登録商標) 76C18EO10(アルドリッチ);ブリジ(登録商標)78 C18EO20(アルドリッチ)。ポリ(メタクリル酸)(Mav=100000)は、ポリサイエンス(Polyscience)から得た。テトラエチルオルトシリケート(TEOS)およびp−トルエンスルホン酸(PTSA)は、アクロス・ケミカルズ(Acros Chemicals)から得た。エタノールは、ファルマコ(Pharmco)から得た。メチルトリエトキシシラン(MTES)およびビス(トリエトキシシリル)エタン(BTESE)は、ゲレスト(Gelest)から得た。全ての化学物質は、更に精製することなく入手したまま使用した。二酸化炭素(コールマングレード(Coleman grade))は、メリアム・グレーブ
ス(Merriam−Graves)から得て、入手したまま使用した。社内で調製した脱イオン水を、浸透用に使用した。
【0120】
実施例1 TEOSからのメソポーラスシリカフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、水酸化アンモニウムと脱イオン水と過酸化水素との混合物(容量部6:6:1)で洗浄し、脱イオン水でリンスして、HClと脱イオン水と過酸化水素との第2の溶液(容量部6:1:1)で洗浄し、その後、脱イオン水でリンスした。プルロニック(登録商標)F127の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の4重量%溶液を用いて、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、約1500オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、高圧反応器に入れた。反応器は、金属シールリングで密閉された対向式ステンレス鋼ブラインドハブ(opposed stainless steel blind hubs)(グレーロック(Grayloc))で構成されていた。COの導入と排気のため、および反応器内部の圧力および温度をモニタリングするために、ブラインドハブ上に機械加工されたポートを設けた。反応器よりも低い圧力定格の破裂板アセンブリも、安全性のために反応器に存在した。反応器の温度は、外部バンドヒーター(ワトロー(Watlow))を用いて一定に保った。反応器を密閉し、定温水浴を用いて50℃に保持した高圧シリンジポンプ(イスコ社(ISCO Inc)を用いて、50℃、122バールで給湿した二酸化炭素中の特定量(5マイクロリットル)のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)に2時間、フィルムを暴露した。内部熱電対を用いて反応器の内部温度を測定し、外部に取付けた熱電対と、外部バンドヒーター(Watlow)を用いて外壁を加熱する温度制御装置とを一緒に用いて±2℃に保持した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、反応後に185%増量していた。
【0121】
θ−2θ配置(geometry)(2θ=0.5°〜6°、ステップサイズ0.005°、計数時間40秒)での回転陰極からのCu−Kα線を用いるフィリップ(Phillip)PW3040−MPD回折装置でのX線回折法(XRD)によって、複合体フィルムを特性付けた。
【0122】
図1(下のトレースと下の挿入図)は、50℃、122.5バールの超臨界二酸化炭素中でTEOSを浸み込ませたプルロニック(登録商標)F127の、浸み込ませただけの状態の(以下、単に「浸透後の」とする)メソ構造フィルムの典型的なX線回折(XRD)パターンを示している。0.5°〜2°の2θ値で3つの強力な反射(面間隔dが133.8Å、77.5Åおよび52Å)が存在し、その他にも弱いショルダーピークがあることを示している。
【0123】
その後、複合体フィルムを空気中で6時間かけて室温から400℃に加熱することによって、プルロニック(登録商標)F127鋳型を複合体フィルムから除去し、400℃の空気中に更に6時間、試料を保持し、最後に6時間かけて400℃から室温に冷却した。メソ構造フィルムを400℃で6時間焼成すると、XRDピークは右にシフトして2θ値がより高く、または面間隔dがより小さくなり、フィルムがわずかに収縮していることが示された(図1(上のトレースおよび上の挿入図)参照)。鋳型の除去による電子密度対比(electron density contrast)の上昇とシリカネットワークの重合度上昇とによって、XRDピークの強度は有意に上昇し、フィルムのメソ構造が熱に安定であることも示された(最大で少なくとも400℃)。焼成後のフィルムのXRDパターンは、2θ=0.5°〜2.5°に面間隔d=102.3Å、55.7Åおよび37.1Åの3つの鋭いピークを示している。
【0124】
フィルムの秩序性は、図2に示した透過電子顕微鏡像(TEM)から明白である。TEM像は、100kVで操作したJEOL 100CX電子顕微鏡で得られた。分析用の試料は、Siウェーハのメソポーラスフィルムを剥離してフィルムを小さな粒子に粉砕し、エタノール中の粒子のスラリーを利用して粒子をTEMグリッド上に分散させることによって調製した。TEM像および対応するフーリエ・ディフラクトグラムは、焼成後のフィルムの3次元近立方晶構造を示した。図2(a)および2(b)は、3次元近立方晶構造の[100]および[111]入射のTEM像および対応するフーリエ・ディフラクトグラムを示している。TEM像およびXRDパターンによって、浸透後のフィルムに3次元立方晶メソフェーズが存在し、焼成後のフィルムに3次元近立方晶メソフェーズが存在することが確認された。
【0125】
実施例2 TEOSからのメソポーラスシリカフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。プルロニック(登録商標)F127のフィルムを、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の12.5重量%溶液を用いて、1500rpmで洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、8095オングストローム厚と測定された。その後、基板を実施例1に記載されたとおり高圧反応器に入れた。
【0126】
反応器を密閉し、定温水浴を用いて60℃に保持した高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、60℃、122バールの給湿したCO中の0.01重量%TEOS溶液に4時間、フィルムを暴露した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、反応後に112%増量していた。
【0127】
θ−2θ配置(ステップ0.02°、計数時間40秒)の回転陰極からのCu−Kα線を用いるX線回折法(XRD)によって、複合体フィルムを特性付けた。2θ=0.68°の鋭いピークは、面間隔d=129.8オングストロームに対応するもので、周期的構造が生成したことを示した(図3参照)。ピークは狭く、0.1°未満の幅で強度は半分であった。その後、実施例1に記載された手順を用いて焼成することにより、ポリマー鋳型を除去した。焼成後のフィルムをXRDで検査した。図3に示すように、焼成した後には、面間隔d=119.3オングストロームに対応する0.74°にシフトした主なXRDピークによって、シリカネットワークの収縮が観察された。分析によって、このフィルムの収縮が約8.1%であることが明らかとなった。比較すると、TEOS表面構造の調和した自己集合を記載する文献報告は、メソ構造の200ピークの移動を測定することによってXRDで決定されたように、焼成による43%の収縮を示している(D.グロッソ他著、Chem. Mater.、13巻、p1848−1856(2001年)(D.
Grosso et al., Chem. Mater.,13, 1848−1856(2001)))。
【0128】
フィルムの秩序性は、図4に示した透過電子顕微鏡像から明白である。分析用の試料は、実施例1に記載された手順を用いて調製した。その像から、鋳型の秩序性がメソポーラスフィルムに保持されていることが示された。細孔は、秩序化された円柱形態を呈していた。像の面に平行かつ直交した円柱配向を有する粒子が、顕微鏡像から明白となった。
【0129】
実施例3 TEOSおよびブリジ(登録商標)76からのメソポーラスシリカフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。ブリジ(登録商標)76の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタ
ノール中の5重量%溶液を用いて、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、約1500オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたものと同様に高圧反応器に入れた。反応器を密閉し、定温水浴を用いて40℃に保持した高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、40℃、122バールの給湿した二酸化炭素中の特定量(5マイクロリットル)のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)に2時間、ブリジ(登録商標)76フィルムを暴露した。内部熱電対を用いて反応器の内部温度を測定し、外部に取付けた熱電対と外部バンドヒーター(ワトロー)を用いて反応器の外壁を加熱する温度制御装置とを一緒に用いて±2℃に保持した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、反応後に157%増量していた。
【0130】
図5は、非イオン性ブリジ(登録商標)76界面活性剤を鋳型として用いた浸透後のシリケートフィルムおよび焼成後のシリケートフィルムのX線回折パターンを示している。40℃、122.5バールの超臨界CO中でTEOSを浸み込ませた、浸透後のフィルムのXRDパターンは、1°〜3°の2θ値の間に面間隔d=65.9Å、62.7Åおよび31.2Åに対応する3つの鋭いピーク(1つは鋭いピークで2つは鋭いショルダーピーク)を有している(図5参照(下のトレースと下の挿入図))。焼成によってピークは強度を増し、面間隔d=58.6Å、45.7Åおよび24.1Åに対応するより高い2θ値にシフトした(図5(上のトレースと上の挿入図)参照)。浸透後の試料と焼成後の試料の両XRDパターンは、3次元六方晶メソフェーズを示す可能性がある。浸透後のフィルムの鋭いXRDピークは、格子定数:a=76.2Åおよびc=126Å、c/a=1.653(理想的c/a=1.632)の3次元六方晶メソフェーズの(100)、(002)および(112)回折ピークとして示された。400℃での焼成の後、単位格子のサイズは収縮している(a=59.7Åおよびc=95.5Å、c/a=1.6)。
【0131】
透過電子顕微鏡法(TEM)を用いて、焼成後のフィルムを分析した。実施例1に記載された手順を用いて、TEMの試料を作製した。図6(a)および6(b)はそれぞれ、[001]および[011]晶帯軸に沿って観察された3次元六方晶メソフェーズのTEM像を示している。これらの図の挿入図は、対応するフーリエ・ディフラクトグラムを示している。XRDパターンとTEM像とを合わせると、フィルムの3次元六方晶メソフェーズが確認された。
【0132】
実施例4 TEOSおよびブリジ(登録商標)78からのメソポーラスシリカフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。ブリジ(登録商標)78の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の5重量%溶液を用いて、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、約1700オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたものと同様に、高圧反応器に入れた。反応器を密閉し、高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中の特定量(5マイクロリットル)のテトラエチルオルトシリケートに2時間、ブリジ(登録商標)78フィルムを暴露した。高圧シリンジポンプ(イスコ社)は、定温水浴を用いて60℃に保持した。内部熱電対を用いて反応器の内部温度を測定し、外部に取付けた熱電対と外部バンドヒーター(ワトロー)を用いて反応器の外壁を加熱する温度制御装置とを一緒に用いて±2℃に保持した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、反応後に162.5%増量していた。
【0133】
図7は、60℃、122バールの給湿した超臨界二酸化炭素中でTEOSを浸み込ませ
た後の複合体フィルムのX線回折パターンを示している。焼成後の同フィルムのXRDパターンを、図8に示している。60℃、122バールの超臨界二酸化炭素中でTEOSを浸み込ませた、浸透後の複合体フィルムのXRDパターンは、面間隔d=71.3Å、49.9Å、37Åおよび24.9Åに対応する4つの鋭いピークと(プロットのスケールの関係で図7には図示せず)、他にも弱い反射を有していた。
【0134】
その後、実施例1に記載された手順を利用して、複合体フィルムを焼成した。焼成後のフィルムのXRDパターンは、面間隔d=58.7Åおよび29.9Åに対応する2つの極めて鋭いピークと(プロットのスケールの関係で図8には図示せず)、他にも弱い反射を示した。浸透後のフィルムのXRDパターンの鋭いピークは、立方晶メソフェーズ(a=101.3Å)の(110)、(200)、(220)および(400)回折ピークを示していた。焼成後のXRDピークは、立方晶メソフェーズ(a=82Å)の(110)および(220)反射を示していた。図9(a)および図9(b)は、50℃、122バールで浸み込ませて焼成した後のフィルムのTEM像を示している。TEM用の試料は、実施例1に記載された手順を利用して調製した。TEM像は、[100]および[111]方向に沿った立方晶メソフェーズを示している。
【0135】
実施例5 TEOSとメチルトリエトキシシラン(MTES)との混合物からのメソポーラスオルガノシリケートフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。ブリジ(登録商標)78の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の5重量%溶液を用いて、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、約1700オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたものと同様に、高圧反応器に入れた。反応器を密閉し、高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中の特定量(5マイクロリットル)の、TEOSとメチルトリエトキシシランとの混合物(重量で1:3)に2時間、ブリジ(登録商標)78フィルムを暴露した。高圧シリンジポンプ(イスコ社)は、定温水浴を用いて60℃に保持した。内部熱電対を用いて反応器の内部温度を測定し、外部に取付けた熱電対と外部バンドヒーター(ワトロー)を用いて反応器の外壁を加熱する温度制御装置とを一緒に用いて±2℃に保持した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、175%増量していた。
【0136】
図7は、浸透後の複合体フィルムのXRDパターンを示しており、焼成後の同フィルムのXRDパターンは、図8に示している。60℃、122バールの超臨界二酸化炭素中のMTESとTEOSとの混合物(1:3)を浸み込ませた、浸透後のフィルムのXRDパターンは、面間隔d=54Åに対応する1つの鋭いピークを有している。実施例1に記載された手順で焼成することによって、XRDは、面間隔d=41.7Åの鋭いピークを示している。焼成後の試料のTEM像を、図10(a)および10(b)に示すが、得られたメソフェーズとして2次元六方晶の円柱配列を示している。浸透後のフィルムのブラッグピークは、(100)反射として示され、焼成後のフィルムの鋭いピークは、2次元六方晶メソフェーズの(100)反射を示していた。
【0137】
実施例6 TEOSとメチルトリエトキシシラン(MTES)との混合物からのメソポーラスオルガノシリケートフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)×約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。ブリジ(登録商標)78の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の5重量%溶液を用いて、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。
乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、約1700オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたものと同様に、高圧反応器に入れた。反応器を密閉し、高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中の特定量(5マイクロリットル)の、TEOSとメチルトリエトキシシランとの混合物(重量で1:1)に2時間にわたって、ブリジ(登録商標)78フィルムを暴露した。高圧シリンジポンプ(イスコ社)は、定温水浴を用いて60℃に保持した。内部熱電対を用いて反応器の内部温度を測定し、外部に取付けた熱電対と外部バンドヒーター(ワトロー)を用いて反応器の外壁を加熱する温度制御装置とを一緒に用いて±2℃に保持した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、175%増量していた。
【0138】
図7は、浸透後の複合体フィルムのXRDパターンを示しており、焼成後の同フィルムのXRDパターンは、図8に示している。60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中のMTESとTEOSとの混合物(重量で1:1)を浸み込ませた複合体フィルムでは、XRDパターンが、面間隔d=54Åの鋭いピークを示している。実施例1に記載された手順を用いて焼成した後の同フィルムのXRDパターンは、面間隔d=47.1Åおよび24Åの一組の強力な反射を示している(スケールの関係で図8には図示せず)。焼成後の試料のTEM像を、図11(a)および11(b)に示している。焼成後の試料のTEM像は、試料の2次元六方晶無秩序型メソフェーズを示している。浸透後のフィルムのブラッグピークは、(100)反射を示しており、焼成後のフィルムのブラッグピークは、2次元六方晶無秩序型メソフェーズの(100)および(200)反射を示していた。
【0139】
実施例7 TEOSとメチルトリエトキシシラン(MTES)との混合物からのメソポーラスオルガノシリケートフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。ブリジ(登録商標)78の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の5重量%溶液を用いて、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、約1700オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたものと同様に、高圧反応器に入れた。反応器を密閉し、高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中の特定量(5マイクロリットル)の、TEOSとメチルトリエトキシシランとの混合物(重量で3:1)に2時間、ブリジ(登録商標)78フィルムを暴露した。高圧シリンジポンプ(イスコ社)は、定温水浴を用いて60℃に保持した。内部熱電対を用いて反応器の内部温度を測定し、外部に取付けた熱電対と外部バンドヒーター(ワトロー)を用いて反応器の外壁を加熱する温度制御装置とを一緒に用いて±2℃に保持した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、162.5%増量していた。
【0140】
図7は、浸透後の複合体フィルムのXRDパターンを示し、焼成後の同フィルムのXRDパターンは、図8に示している。60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中のMTESとTEOSとの混合物(重量で3:1)を用いて浸み込ませた複合体フィルムでは、浸透後のXRDパターンは、面間隔d=48.8Åの弱いショルダーピークを示している。焼成によって、焼成後のフィルムのXRDパターンは、面間隔d=〜38.4Åの唯一のショルダーピークを示している。唯一の弱いショルダーピークの存在によって、無秩序型メソフェーズが示される。
【0141】
実施例8 TEOSからのシリカメソポーラスフィルム
インターナショナル・ウェーハ・サービス(International Wafer
Service)から入手した高抵抗性100μm厚(100)シリコン基板(1cmx1cm)を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。プルロニック(登録商標)F127の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の12.5重量%溶液を用いて、1500rpmで洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、8095オングストローム厚と測定された。その後、フィルムを、一端をステンレス鋼エンドプラグ、もう一端をニードルバルブで密閉した高圧ステンレス鋼環形反応器(ハイ・プレッシャー・イクイップメント(High Pressur Equipment))に入れた。反応器を密閉し、定温水浴を用いて40℃に保持した高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、40℃、122バールの給湿したCO中の0.095重量%TEOS溶液に2時間、フィルムを暴露した。循環式定温水浴中に反応管を浸漬することによって、反応器の温度を一定に保持した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、実施例1に記載された手順を用いて焼成することによって、ポリマー鋳型を除去した。浸み込ませ工程の際と焼成工程の際にも再度、小角X線散乱法(SAXS)を用いてフィルムを特性付けた。
【0142】
図12(a)および12(b)は、ノーマルビーム配置形態(normal beam
geometry configuration)(即ち試料表面に対して法線方向の入射ビームによる)での透過様式で浸透後のフィルムおよび焼成後のフィルムで得られたSAXSプロファイルのスナップショットを示している。図13を参照すると、それは積分したSAXSプロファイルを2θの関数として示しており、SAXS像では主なピークのシフトは観察されず、無機シリカネットワークが収縮していないことが示された。双方のSAXSスキャンは、0.2°未満のピーク幅を持つほぼ同じ2θ値(2θ=0.58°)のピークを示している。これは、面間隔d=152Åに対応する。SAXSでは、より秩序性の高いピークは観察されなかった。
【0143】
実施例9 架橋シルセスキオキサン前駆体からのメソポーラスシリカ
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。プルロニック(登録商標)F127の薄膜を、実施例1に記載された溶液を用いて洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、約1500オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたとおり高圧反応器に入れた。反応器を密閉し、定温水浴を用いて60℃に保持した高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中の特定量(10マイクロリットル)の架橋シルセスキオキサン、ビス(トリエトキシシリル)エタン(BTESE)に2時間にわたって、フィルムを暴露した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、反応後に225%増量していた。
【0144】
図14(下のトレースおよび下の挿入図のトレース)に示すように、浸透後の複合体フィルムのXRSパターンは、面間隔d=131.9Å、73.6Åおよび50.2Åに対応する鋭い反射を有している。実施例1に記載された手順を用いて焼成すると、XRDパターンは、より高い2θ値、またはより小さい面間隔d=102.7Å、53.5Åおよび36.2Åの鋭い反射を示した(図14(上のトレースおよび上の挿入図のトレース)参照)。浸透後の複合体フィルムの鋭い反射は、円柱の2次元中心の矩形配列(2D centered rectangular array of cylinders)(a=146.6Å、c=264Å、c/a=1.8)の(002)、(200)および(204)反射を示していた。焼成後のフィルムのブラッグピークは、円柱の2次元中心の矩形配列(a=109Å、c=205Å、c/a=1.88)の(002)、(200)および(204)反射を示していた。図15(a
)および15(b)を参照すると、焼成した試料のTEM、および対応するフーリエ・ディフラクトグラムは、円柱の2次元中心の矩形配列を示している。
【0145】
実施例10 メチルトリエトキシシラン(MTES)とTEOSとの混合物からのメソポーラスシリカフィルム
低抵抗性のシリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。プルロニック(登録商標)F127のフィルムを、実施例1に記載された溶液を用いて、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングした。乾燥させた後、PTSAを含むフィルムは、約7000オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたとおり高圧反応器に入れた。反応器を密閉し、定温水浴を用いて60℃に保持した高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中の特定量(10マイクロリットル)の、メチルトリエトキシシランとTEOSとの混合物(重量で2:3)に2時間、フィルムを暴露した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、反応後に125%増量していた。
【0146】
鋳型を除去して、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)との反応によって、フィルム中の残留シラノールを封鎖した。得られたフィルムは、誘電率2.11で硬度0.75GPaを有していた。用いた試料の断面について、走査電子顕微鏡測定を行った。図16は、試料の断面SEM像を示しており、それによりフィルムの多孔性が示される。
【0147】
実施例11 コールドウォール式反応器の使用
シリコン基板を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄する。プルロニック(登録商標)F127の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の12.5重量%溶液を用いて、1500rpmで基板にスピンキャスティングする。その後、基板を高圧コールドウォール式反応器に入れる。反応器は、温度を測定し、COおよび試薬を移送して、安全逃し装置に連結された口を含む2つの対向式ブラインドハブで構成されている。反応器は、試料を支持する抵抗加熱台も含んでいる。台の温度は、反応器の壁とは独立して制御することができる。金属シールリングを用いて反応器を密閉し、触媒を含むプルロニック(登録商標)フィルムを、60℃、124バールの未混合の超臨界CO中でアニーリングして秩序を促し、その後、給湿したCO中の0.03重量%TEOS溶液に2時間暴露する。反応器の壁の温度を60℃に保持し、その後、台の温度を更に1時間、120℃に上昇させる。反応器を緩やかに大気圧にまで排気して、複合体フィルムを除去する。オーブンで6時間かけて室温から400℃に加熱し、その後、試料を400℃で更に6時間保持することによって焼成して、ポリマー鋳型を除去する。
【0148】
実施例12 異なる処理計画を用いるコールドウォール式反応器の使用
シリコン基板を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄する。プルロニック(登録商標)F127の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の12.5重量%溶液を用いて、1500rpmで基板にスピンキャスティングする。その後、基板を実施例4に記載された高圧コールドウォール式反応器の加熱台に載せる。金属シールリングを用いて、反応器を密閉する。台を120℃に加熱し、反応器の壁を50℃に保持する。その後、触媒を含む、基板で支持したプルロニック(登録商標)フィルムを、給湿したCO中の0.03重量%TEOS溶液に1時間暴露する。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気して、複合体フィルムをオーブンから取り出す。オーブンで6時間かけて室温から400℃に加熱し、その後、試料を400℃で更に6時間保持することによって焼成して、ポリマー鋳型を除去する。
【0149】
実施例13 鋳型をそのままの位置で除去するコールドウォール式反応器の使用
シリコン基板を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄する。プルロニック(登録商標)F127の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の12.5重量%溶液を用いて、1500rpmで基板にスピンキャスティングする。その後、基板を実施例4に記載された高圧コールドウォール式反応器の加熱台に載せる。金属シールリングを用いて反応器を密閉し、触媒を含むプルロニック(登録商標)フィルムを、60℃、124バールの給湿したCO中の0.03重量%TEOS溶液に2時間暴露する。その後、台の温度を400℃に上昇させて、ポリマー鋳型を除去する。その後、反応器を緩やかに大気圧に排気する。
【0150】
実施例14 2段階工程で鋳型をそのままの位置で除去するコールドウォール式反応器の使用
シリコン基板を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄する。プルロニック(登録商標)F127の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の12.5重量%溶液を用いて、1500rpmで基板にスピンキャスティングする。その後、基板を実施例4に詳述された高圧コールドウォール式反応器の加熱台に載せる。金属シールリングを用いて反応器を密閉し、触媒を含むプルロニック(登録商標)フィルムを、60℃、124バールの給湿したCO中の0.03重量%TEOS溶液に2時間暴露する。その後、反応器を排気して、COでパージする。その後、CO中に微量の酸素を含む混合物を反応器に充填し、60℃に加熱する。その後、台の温度を400℃に上昇させて、ポリマー鋳型を分解する。その後、反応器を緩やかに大気圧に排気する。
【0151】
実施例15 鋳型をそのままの位置で除去し、ポーラス基板を化学反応によって修飾するコールドウォール式反応器の使用
シリコン基板を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄する。プルロニック(登録商標)F127の薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含むエタノール中の12.5重量%溶液を用いて、1500rpmで基板にスピンキャスティングする。その後、基板を実施例4に記載された高圧コールドウォール式反応器の加熱台に載せる。金属シールリングを用いて反応器を密閉し、触媒を含むプルロニック(登録商標)フィルムを、60℃、124バールの給湿したCO中の0.03重量%TEOS溶液に2時間暴露する。その後、台の温度を400℃に上昇させて、ポリマー鋳型を崩壊させる。その後、反応器をCOでパージして、台を60℃に冷却する。(CHSiClおよびCOの溶液を反応器に導入して、温度を160℃に上昇させる。反応によって、細孔表面が疎水性になる。その後、反応器を緩やかに大気圧に排気する。
【0152】
実施例16 異なる鋳型の使用
シリコンウェーハを、実施例1に記載されたとおり洗浄する。PEOマトリックス中にPSの球状ドメインを生成させる組成のポリスチレン−ブロック−ポリエチレンオキシドコポリマーの薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含む溶液から、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングする。乾燥させた後、PEOドメインの融点を超える温度で、フィルムをアニーリングする。その後、フィルムを実施例1に記載されたものと同様の高圧反応器に入れる。反応器を密閉し、60℃、125バールの給湿したCO中の0.1%MTES溶液に3時間、フィルムを暴露する。その後、反応器を緩やかに大気圧に排気する。その後、複合体フィルムを反応器から取り出す。その後、400℃のオーブンで焼成することによって、ポリマー鋳型を除去する。
【0153】
実施例17 固有の酸性基(inherent acidic groups)を備えたホモポリマー鋳型を使用して生成させた多孔性シリケートフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメー
トル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄した。その後、ポリ(メタクリル酸)の薄膜を、水中の5重量%ポリ(メタクリル酸)溶液を用いてスピンキャスティングした。乾燥させた後、ポリ(メタクリル酸)の薄膜は、〜1700オングストローム厚であった。その後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたとおりに高圧反応器に入れた。反応器を密閉し、定温水浴を用いて60℃に保持した高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、60℃、122バールの給湿した二酸化炭素中の特定量(10μl)のTEOSに2時間にわたって、フィルムを暴露した。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気した。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して秤量した。フィルムの重量は、反応後に166%増量していた。その後、複合体フィルムをオーブンに入れ、その後ポリマー鋳型を除去するために、実施例1に記載された手順を用いて400℃の空気中で焼成した。その後、焼成した試料を、多入射角分光エルプソメトリー(VASE)を利用して分析した。フィルムは〜1395オングストローム厚、屈折率(μ)〜1.19を有している。焼成後のフィルムの屈折率は、ヒュームドシリカ(μ〜1.45)よりもかなり小さく、ポリ(メタクリル酸)鋳型によるシリケートフィルムの多孔性が示される。
【0154】
実施例18 固有の酸性基を備えたブロックコポリマー鋳型を使用して生成した多孔性シリケートフィルム
シリコン基板(約4.45センチメートル(1.75インチ)x約4.45センチメートル(1.75インチ))を、実施例1に記載された手順を用いて洗浄する。その後、ポリ(スチレン)−ブロック−ポリ(アクリル酸)の薄膜を、適切な溶媒中の溶液を用いてスピンキャスティングする。乾燥させた後、スピンキャストフィルムを含む基板を、実施例1に記載されたとおり高圧反応器に入れる。反応器を密閉し、高圧シリンジポンプ(イスコ社)を用いて、給湿した二酸化炭素中の特定量のTEOSに、適切な温度および圧力で適切な時間にわたって、フィルムを暴露する。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気する。その後、複合体フィルムを反応器から取り出して、実施例1に記載された手順を用いて焼成し、ポリマー鋳型を除去して、多孔性シリケートフィルムを生成する。
【0155】
実施例19 パターン化されたブロックコポリマー鋳型の使用
シリコンウェーハを、実施例1に記載されたとおりに洗浄する。PEOマトリックス中にPSの球状ドメインを生成する組成を有するポリスチレン−ブロック−ポリエチレンオキシドコポリマーの薄膜を、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含む溶液から、洗浄したシリコン基板にスピンキャスティングする。乾燥させた後、PEOドメインの融点を超える温度で、フィルムをアニーリングする。基板で支持されたブロックコポリマーフィルムに、適切なリソグラフィマスクを載せる。その後、フィルムおよびマスクを紫外線に暴露する。マスクを除去し、溶媒洗浄によって低分子量分解生成物をポリマーフィルムから抽出する。その後、パターン化されたフィルムを、実施例1に記載されたものと同様に高圧反応器に入れる。反応器を密閉し、60℃、125バールの給湿したCO中の0.1%TEOS溶液に3時間、フィルムを暴露する。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気する。その後、複合体フィルムを反応器から取り出す。その後、400℃のオーブンで焼成することによってポリマー鋳型を除去して、パターン化された多孔性シリカフィルムを生成させる。
【0156】
実施例20 鋳型としてのホモポリマーレジストの使用
シリコンウェーハを、実施例1に記載されたとおりに洗浄する。その後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンに暴露するか、または反射防止コーティングでコーティングすることによって、ウェーハを前処理する。その後、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)の薄膜を、光酸発生剤を含む溶液からウェーハ上にスピンキャスティングする。その後、適切なマスクを通し、UV光を用いてレジストを露光する。その後、適切な溶媒を用いてレジストを現像し、ウェーハ上にパターン化されたポリ(メタクリル酸)
を残す。その後、パターン化されたフィルムを、実施例1に記載されたものと同様に高圧反応器に入れる。反応器を密閉し、60℃、125バールの給湿したCO中の0.1%TEOS溶液に3時間にわたって、フィルムを暴露する。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気する。その後、複合体フィルムを反応器から取り出す。400℃のオーブンで焼成することによってポリマー鋳型を除去して、パターン化された多孔性シリカフィルムをウェーハ上に生成する。
【0157】
実施例21 鋳型としてのパターン化されたネガティブトーンブロックコポリマーレジスト(Negative Tone Block Copolymer Resist)の使用
シリコンウェーハを、実施例1に記載されたとおりに洗浄する。その後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンに暴露するか、または反射防止コーティングでコーティングすることによって、ウェーハを前処理する。ネガティブトーンブロックコポリマーフォトレジストの薄膜によって、親水性ドメインおよび疎水性ドメインを含むパターン化されたブロックコポリマーを生成させる。1つの適切な例は、オバーおよびその同僚(Chem. Mater., 12巻,p45(2000年)(Ober and co−workers(Chem. Mater., 12,45(2000))))によって現像されたポリ(テトラヒドロピラニルメタクリレート−ブロック−1H,1H,パーフルオロオクチルメタクリレート)レジストである。ポリ(テトラヒドロピラニルメタクリレート−ブロック−1H,1H,パーフルオロオクチルメタクリレート)コポリマーを、光酸発生剤を含む溶液からウェーハ上にスピンキャスティングする。その後、193nmステッパおよび適切なマスクを用いて、レジストを暴露する。暴露によって、テトラヒドロピラニルメタクリレートブロックを脱保護して、ポリ(メタクリル酸−ブロック−1H,1H,パーフルオロオクチルメタクリレート)コポリマーを生成させる。その後、適切な溶媒を用いてレジストを現像し、ウェーハ上にパターン化されたポリ(メタクリル酸−ブロック−1H,1H,パーフルオロオクチルメタクリレート)コポリマーが残る。その後、パターン化されたフィルムを、実施例1に記載されたものと同様に高圧反応器に入れる。反応器を密閉し、60℃、125バールの給湿したCO中の0.1%TEOS溶液に3時間、フィルムを暴露する。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気する。その後、複合体フィルムを反応器から取り出す。その後、400℃のオーブンで焼成することによってポリマー鋳型を除去して、パターン化された多孔性シリカフィルムをウェーハ上に生成させる。
【0158】
実施例22 中性表面を用いて生成した配向性鋳型の使用
シリコンウェーハ基板を、実施例1に記載されたとおりに洗浄する。疎水性モノマー単位および親水性モノマー単位を有するランダムコポリマーの薄膜を基板上にスピンキャスティングして、ブロックコポリマー鋳型のための中性面を生成させる。親水性マトリックス中の疎水性ブロックの球状ドメインを生成する組成を有するランダムコポリマー中で用いられたのと同様のモノマーで構成されたブロックコポリマーを、少量のp−トルエンスルホン酸(PTSA)および水を含む溶液からランダムコポリマーフィルム上にスピンキャスティングする。乾燥させた後、フィルムをアニーリングして、コポリマーの秩序と配向を促す。基板で支持されたポリマーフィルムを、実施例1に記載されたものと同様の高圧反応器に入れる。反応器を密閉し、60℃、125バールの給湿したCO中の0.1%TEOS溶液に3時間にわたって、フィルムを暴露する。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気する。その後、複合体フィルムを反応器から取り出す。その後、400℃のオーブンで焼成することによってポリマー鋳型を除去して、配向した円柱状細孔を有する多孔性シリカフィルムを生成させる。
【0159】
実施例23 電場によって生成させた配向性のある鋳型の使用
親水性マトリックス中で疎水性ブロックの球状ドメインを生成させる組成の疎水性セグメントおよび親水性セグメントを有するブロックコポリマーの薄膜を、少量のp−トルエ
ンスルホン酸(PTSA)および水を含む溶液から、電極として作用する金の薄層で覆われた基板上にスピンキャスティングする。乾燥させた後、コポリマーフィルムを、第2の電極として作用するアルミニウムでコーティングした薄いカプトン(Kapton)(登録商標)シートで覆う。その後、フィルムを電場の存在下でアニーリングして、コポリマーの配向を促す。上側の電極を除去し、その後、基板で支持されたポリマーフィルムを、実施例1に記載されたものと同様に高圧反応器に入れる。反応器を密閉し、60℃、125バールの給湿したCO中の0.1%TEOS溶液に3時間にわたって、フィルムを暴露する。その後、反応器を緩やかに大気圧にまで排気する。その後、複合体フィルムを反応器から取り出す。その後、400℃のオーブンで焼成することによってポリマー鋳型を除去して、配向性のある円柱状細孔を有する多孔性シリカフィルムを生成する。
【0160】
(その他の実施形態)
本発明を、詳細な説明と併せて記載したが、前述の説明は、例示であって本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は特許請求の範囲によって定義されることは理解されるはずである。その他の態様、利益、および修正は、特許請求の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】実施例1により製造されたメソポーラスフィルムの一組のX線回折(XRD)パターンであって、上のトレース(および上の挿入図)は焼成後のフィルムのXRDパターンを示し、下のトレース(及び下の挿入図)は浸透後のフィルムのXRDパターンを示す図。
【図2】(a)実施例1で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子像、(b)実施例1で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像。
【図3】実施例2により製造されたメソポーラスフィルムの一組のX線回折(XRD)パターン。
【図4】実施例2で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像(2箇所を拡大)。
【図5】実施例3により製造されたメソポーラスフィルムの一組のX線回折(XRD)パターンであって、上のトレース(および上の挿入図)は焼成後のフィルムのXRDパターンを示す。下のトレース(及び下の挿入図)は、浸透後のフィルムのXRDパターンを示す図。
【図6】(a)実施例3で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像、(b)実施例3で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像。
【図7】それぞれ実施例4、5、6および7により製造された浸透後のフィルムの一組のX線回折(XRD)パターン。
【図8】それぞれ実施例4、5、6および7により製造されて焼成後のフィルムの一組のX線回折(XRD)パターン。
【図9】(a)実施例4で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像、(b)実施例4で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像。
【図10】(a)実施例5で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像、(b)実施例5で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像。
【図11】(a)実施例6で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像、(b)実施例6で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像。
【図12】(a)実施例8により製造されたメソポーラスシリカフィルムのSAXSプロファイルのスナップショット、(b)実施例8により製造されたメソポーラスシリカフィルムのSAXSプロファイルのスナップショット。
【図13】実施例8により製造されたメソポーラスフィルムの一組の積分したSAXSプロファイル。
【図14】実施例2により製造されたメソポーラスフィルムの一組のX線回折(XRD)パターン。
【図15】(a)実施例9で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像、(b)実施例9で合成されたメソポーラス材料の透過型電子顕微鏡像の格子画像。
【図16】実施例10で合成されたメソポーラスフィルムの断面走査型電子顕微鏡画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型材料を含む鋳型を供給することと、
前記鋳型に前駆体を浸透させることと、
前記前駆体を前記鋳型内で反応させて堆積物を形成することと、
前記鋳型から鋳型材料を除去してメソポーラス材料を形成することとを含む方法を用いて形成されるメソポーラス材料の層を含む集積回路であって、
前記メソポーラス材料が、5オングストローム〜2500オングストロームの固有寸法の細孔を含む集積回路。
【請求項2】
前記前駆体は金属酸化物前駆体であり、前記メソポーラス材料は金属酸化物である、請求項1記載の集積回路。
【請求項3】
鋳型材料を含む鋳型層を基板上に形成することと、
前記鋳型に前駆体を浸透させることと、
前記前駆体を鋳型内で反応させて堆積物を形成することと、
前記鋳型材料を除去して、5オングストローム〜2500オングストロームの固有寸法の細孔を含むメソポーラス材料を含む誘電層を形成することと、
前記基板および誘電層の少なくともいずれかを処理して集積回路を作製することとを含む集積回路を形成する方法。
【請求項4】
前記誘電層または堆積物上に付加的な層を形成することを更に含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記付加的な層を磨くことを更に含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記付加的な層が、銅を含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記鋳型材料を除去する前に、前記付加的な層が研磨される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記鋳型材料を除去した後に、前記付加的な層が研磨される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体は金属酸化物前駆体である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
ホモポリマーからなるホモポリマー鋳型を供給することと、
前記ホモポリマー鋳型のホモポリマーに前駆体を浸透させることと、
前記前駆体をホモポリマー鋳型のホモポリマー内で反応させて前記ホモポリマー鋳型内に堆積物を形成することとを含む方法。
【請求項11】
前記前駆体をホモポリマー鋳型内で反応させることによって、ホモポリマーおよび堆積物を相分離させ、ホモポリマー鋳型内にホモポリマー相と堆積物相とを生成させる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ホモポリマーの一部を選択的に除去することを更に含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
ホモポリマー鋳型からホモポリマーを除去してメソポーラス体を形成することを更に含む、請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記前駆体は金属酸化物前駆体である、請求項10記載の方法。
【請求項15】
ホモポリマー鋳型内に反応試薬を供給して、ホモポリマー鋳型内での前駆体反応を促進することを更に含む、請求項10記載の方法。
【請求項16】
ホモポリマー相からなるホモポリマー鋳型を供給することと、
前記ホモポリマー相に前駆体を浸透させることと、
前記前駆体をホモポリマー相内で反応させて前記ホモポリマー鋳型内に堆積物を形成することとを含む方法であって、
前記前駆体をホモポリマー鋳型内で反応させることによって、ホモポリマー相および堆積物を相分離させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−267424(P2009−267424A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124595(P2009−124595)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【分割の表示】特願2003−547303(P2003−547303)の分割
【原出願日】平成14年11月21日(2002.11.21)
【出願人】(399093869)ユニバーシティー オブ マサチューセッツ (19)
【Fターム(参考)】