ユビキチン関連の酵素との相互作用を破壊するための阻害剤及びその応用
【課題】本発明は、ユビキチン-タンパクリガーゼE3の疎水結合ポケットを開示し、前記結合ポケットを用いて阻害剤をデザインすることによって、ユビキチン結合酵素E2とE3の相互作用を破壊する。また前記結合ポケットを用いることによって、四種類の阻害剤がデザインされ、これらはがんの治療に応用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユビキチンルートに対して構造に基づくドラッグデザイン、また、これらの化合物をがん治療に応用することに関する。特に、本発明は、E2-E3阻害剤類の鑑定、タンパク-タンパク表面の相互作用を精確に調節することに関する。本発明に記載したこれらの種類の化合物及びその類似物は、特許で保護される。
【0002】
本発明は、哺乳動物中のがん症及びその他の疾患の治療に応用することができる。本書に引用する人類の生化学指標は理解の便宜のためだけであり、これに限られない。また、文中で引用する用語、患者、人体又は人類は、いずれも記載の便宜のためであり、実際上全ての哺乳動物の病体又は身体を含む。
【背景技術】
【0003】
ユビキチン介在性分解は、翻訳後のレベルでタンパク質存在量を制御するタンパク質調節メカニズムである。それは、リン酸化作用に相当する調節メカニズムである。該ルートは、DNA修復、細胞周期調節、I類抗原プロセッシング、染色体組成、信号伝送、受容体介在性エンドサイトーシス、及び細胞アポトーシスに重要な役割を果たす(Hochstrasser,M.1996)。もし以上の過程における調節に問題が発生すれば、細胞成長の調節ができなくなり、或いは、結腸がん、乳がん、肺がん、白血病、リンバ腫や骨髄腫(Konstantinopoulos PA.等、2006starita LM等、Montagut C.等、Pulczynski,S、Keating, M.J.、Hall, E.J.、Magrath, I、Voutsadakis, I.A.)を含むがんになる。
【0004】
ユビキチンカスケードは、E1、E2及びE3の活性が連続的に作用を発揮する(Scheffner, M.等、1998)。E1(ユビキチン活性化酵素)は、ATPが存在する反応において、その活性サイトのシステインとユビキチンの末端がチオエステル結合を形成してユビキチンを活性化する。続いて、活性化されたユビキチンをE2(ユビキチン結合酵素)のシステインの活性サイトに転移し、チオエステル結合を同様に形成する。E3は、ユビキチン-タンパクリガーゼであり、少なくとも付加のタンパク質又はタンパク質複合体として定義され、特異性基質の認識及びユビキチン化に対して必要である。まず、E3はユビキチンをE2から基質のリシンの側鎖に転移させ、続いてユビキチンのリシン側鎖に引き続きユビキチンを転移し、最終的に形成したポリユビキチン化基質がプロテアソームによって認識されてから分解される。E3は二種類に分けられ、一つは、チオエステルをユビキチンと形成することを呈しないRINGfinger型E3ファミリー(Scheffner,M.等)であり、もう一つは、Hectドメイン型 E3リガーゼファミリーである(Schwarz,S.E.等)。Hectドメインとは、E6結合タンパク質(E6AP)のC末端ドメインとホモロジーすることを指す。E3タンパクのHect類は、ユビキチンのチオエステル結合中間体を形成することができ、基質のポリユビキチン化を促進する。
【0005】
RINGfinger E3もHect E3もE2(全てのE2が同一の構造を有する)と相互的に作用する類似の構造を有する(Huang,L等、Zheng,N.等)。これらの結合ポケットの微細な差異を図1に示す。従って、該表面の阻害剤は、二種類のE3リガーゼの基質に対するユビキチン化作用に、選択的に影響することができる。このような阻害剤は、多種の疾患治療に応用することができる。タンパク質とタンパク質の間の相互作用は通常破壊されにくいが、E2-E3の相互作用は特別である。発明者は、生化学上の研究において次のことを見出した。E2(UbcH7)とE3(E6AP's Hectドメイン)の結合作用が非常に弱く、その相互作用力がゲルろ過に抵抗できず、この結合は未変性ゲル電気泳動又は共結晶化のみによって測定される。発明者はE2-E3複合物の相互作用の界面を更に分析し、E2-E3の相互作用に対して重要な役割を果たし境界線がきれいな疎水性ポケットを見つかった。疎水性ポケットの大きさ、形状及びその他の性質によって、このポケットは小分子の標的と結合することが最適である。よって、E2とE3の相互作用のサイトは、小分子化合物によって破壊されやすく、これも本発明の論理基礎となる。
【0006】
ユビキチンルートの一つの有名な基質は「ゲノムの守護者」と言われる腫瘍抑制因子p53である。腫瘍抑制因子P53の失活の発生率はがん細胞に一番高い。遺伝毒性物質で処理した後、活性化された転写因子p53が細胞周期をG1/Sチェックポイントに留まらせたり、標的がダメージ細胞をアポトーシスすることによって、破壊されたDNAの複写を阻止する(Oren,M.)。50%以上の人類がん細胞においてはp53の失活が発生した。例えば、35%のBurkittリンパ腫及び60%のL3型 B細胞性急性リンパ性白血病においては、p53の誤制御が発生した(Soussi,T. &Jonveaux,P.)。p53異変の原因を除いて、ユビキチンを介在したp53の分解もp53失活の一つルートであって、このルートはリンパ腫及び白血病に主に発生する(Masdehors,P.等、Bueso-Ramos,C.E.等、Teoh,G.等;Pan,Y.&Haines,D.S.、Gustafsson,B.&Stal,O.)。異なる細胞環境において、二種類のE3リガーゼは、共に、p53の分解を媒介することができる。正常の細胞において、RINGFinger E3リガーゼMDM2は、p53の分解によって、p53のレベルを調節する(Fuchs,S.Y,等、Honda,R.)。ヒトパピローマウイルス(HPV)感染細胞において、E6APは、ウイルスタンパク質E6によってハイジャックされ、更にp53をユビキチン化する。よって、E2-E3結合を阻止することにより、腫瘍抑制因子P53のユビキチン化を防止し、腫瘍の生成を抑制することが可能になる。
【0007】
糖尿病や神経変性疾患のようなその他の疾患も、ユビキチン化ルートのミスと関係がある。試験性の糖尿病において、インシュリン受容体基質(IRS-1とIRS-2)のようなインシュリンシグナル分子の分解ミスは、証明されている(Balasubramanyam M.等)。近年のある報道によれば、ラットの試験でプロテアソーム阻害剤MLN519の局部失血の治療/再灌流脳損傷の治療での治療効果を評価することを報道した(Williams AJ,等)。
本発明は、構造に基づくドラッグデザインを利用し、E2-E3複合物の結晶構造を基礎とし、新たな化合物を見出した。E2及びE3は、タンパク質分解中に重要且つ必須の二つの酵素である。タンパク質の分解ミスは、多数の重大な疾患を導く。またタンパク質のユビキチン化はタンパク質のリン酸化と同様に重要であり、よってE2とE3はキナーゼと同様に重要である。キナーゼの各種阻害剤は新たな薬物として既に販売されている。我々は、これらの新化合物とその類似物が、例えば、乳がん、結腸がん、子宮がん、肺がん、肝がん及び脳腫瘍のがんの治療に応用できると見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一つの目的は、E2-E3結合界面の特定ポケット構造を定義し、該構造は小分子治療剤との結合に適合し、E2-E3複合物の形成を有効的に破壊し、E2-E3のシグナルルートによって治療効果を果たすことを提供することである(図1及び図2を参照)。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、E3のE2結合ポケットと相応する化合物種類の鑑定方法を提供することである。
【0010】
また、本発明の目的はこれらの化合物の組成物を提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、これらの化合物が腫瘍細胞の生成を抑制することを証明し、それにより、これらの化合物又は類似物を単独的に、或いはこれらの化合物とその他の化学治療薬又は薬物担体を組み合わせて用いて、対象の腫瘍を治療することである。
【0012】
従って、本発明の第1の態様は、SEQ ID No.1に基づくVal657、Leu658、Ser661、Leu662、Leu665、Met676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713、Tyr717を含む、E2阻害剤をデザインするためのタンパク質結合ポケットを提供する。
【0013】
本発明の第2の態様は、前記タンパク質結合ポケットを使用することを含む、E2阻害剤をデザインするための方法を提供する。
【0014】
本発明の第3の態様は、以下の化合物群から選ばれる化合物を含むE2阻害剤を提供する。
【化1】
X1=N、C
R1=ハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて遊離原子に一置換又は多置換を行う。
X2=その中の一つ又はその中の複数がC又はNである。
Ring=5環又は6環、且つ図面に明確に示す芳香族環と結合し、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、フラン、オキサゾールを含む。
【化2】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行う。
Ring=置換又は未置換の5環又は6環の芳香族環、複素環式化合物を含み、例えば、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールである。
【化3】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行う。
R2=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基、フェニル基やピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールを含む小芳香族複素環及び/又は
【化4】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行う。
X=C又はNの可能な組み合わせ。
Ring=未置換と置換の5環又は6環。ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールを含む。
【0015】
本発明の第4の態様は、前記化合物の少なくとも一種類及び薬物担体を含有する薬物組成物を提供する。
【0016】
本発明の第5の態様は、前記阻害剤のがん治療における応用を提供する。該がんは、脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮頚癌、結腸がん、乳癌及び前立腺癌であることが好ましい。
【0017】
本発明の第6の態様は、患者のがんを治療する方法を提供し、該方法は、必要とする患者に治療有効量の少なくとも一種類の前記化合物を与えることを含む。
【0018】
本発明の第7の態様は、前記いずれかの化合物をイメージング剤として腫瘍診断方法に応用する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】RING-Finger E3及びHect E3のE2結合ドメインの類似点と差異点との比較を示す。
【図2】拡大後のE2(E3と接触する特異性残基)及びE3のE2結合ポケットを示す。
【図3】合成される化合物Mol 11の水素核磁気共鳴1H NMRデータを示す。
【図4】合成される化合物Mol 21の水素核磁気共鳴1H NMRデータを示す。
【図5】合成される化合物Mol 44の水素核磁気共鳴1H NMRデータを示す。
【図6】合成される化合物Mol 640の水素核磁気共鳴1H NMRデータを示す。
【図7】Mol 11の可能な誘導物についての説明である。
【図8】Mol 21の可能な誘導物についての説明である。
【図9】Mol 44の可能な誘導物についての説明である。
【図10】Mol 640の可能な誘導物についての説明である。
【図11】NCBIデータベースからのE6AP全長配列についての説明であり、アンダーラインで標記したのはE2-E3の結合ポケット領域である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
文書の「E2阻害剤」とは、「E2とE3の相互作用を破壊する阻害剤」を指す。
【0021】
1)小分子阻害剤に対する重要な結合サイトの鑑定
タンパク質及びタンパク質の間の相互作用が、小分子化合物によって破壊されにくいことは、公知常識である。しかし、E2-E3の相互作用のマッピング分析及びE2-E3界面に分子表面の分析によって、E3においては、E2-E3複合物の形成に対して重要な、小分子との相互作用に適合する一つの結合サイトを鑑定した。E3でのこの結合ポケットは、E2のPhe63によって占められる。E3における該結合サイトを組成するアミノ酸は、Val657、Leu658、Ser661、Leu662、Leu665、Met 676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713及びTyr717である。
【0022】
親油性の電位解析は、E3の結合ポケットが高度な疎水性であることを明らかにし、主に、Leu658、Leu662、Leu665、Met 676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713及びTyr717のE3疎水側鎖によるからである。
【0023】
この小さい疎水結合ポケットをターゲットとすることで、一種の小分子が、E2-E3のシグナルカスケードとその後のユビキチン化ルートを破壊するのに充分な能力を有することを証明した。この種の小分子の分子量は約500ドルトンであって、薬物効果、安定性(体内及び対外)、有効性及び安全性を含む、薬物としての良好な特徴を有する。
【0024】
該疎水ポケットを結合すれば、一定の薬物効果を果たすが、E2-E3の界面の相互作用が図6に示す第二結合ポケットまでに拡大してから、希望しないターゲットを選択的に抑制することができる。第二結合ポケットが第一の疎水区域に近いが、前者の疎水性がより弱く、極性化学部分及び/又は複素環式化合物と結合することに最適である。第二ポケットの特異性残基との水素結合作用が薬物効果と選択性を更に増加させる。二つの結合ポケットの間に適切なリンカーをデザインすることによって、単一の化学実体は互いに補い合うように二つの結合ポケットを結合できることが証明された。E2-E3界面に幅広く最適化することを経て、デザインされた化学実体は、作用の有効期間中、暴露可能なその他の生化学ターゲットを高選択的に抑制することが期待できるので、潜在的な副作用を減少させる。
【0025】
2)構造に基づくドラッグデザイン
あるコンピュータ技術はE2とE3の相互作用を判断することができ、タンパク表面の生成及び比較、水素結合分析、疎水性分析や静電電位分析及び二元複合体界面の総形状の相補性分析を含む特性マッピングを含む。本研究では、E2-E3の界面に明確な小疎水ポケットを見つけ、該領域はE2-E3複合物の相互作用に対して重要である。よって、該疎水ポケットをターゲットとすることで、E2-E3複合物の形成を破壊し、ユビキチン化ルートに干渉し、上記言及した治療効果を果たすことに期待できる。
【0026】
疎水ポケットと結合できる適切な阻害剤のデザインには、ライブラリーデザイン、類似性検索、バーチャルスクリーニング及びデノボデザインを必要とする。商品化の試薬を用いて、依頼性がある合成案を基礎とし、いくつかのバーチャル化合物ライブラリーをデザインする。これらのバーチャル化合物といくつか既にある商品のコレクションを合わせて、より大きい化合物データベースを構成する。多数の薬物の特徴によって、これらの化合物を選び、全ての選別過程を通過した化合物を候補薬物とし、更に、候補薬物とE3疎水ポケットの結合力を分析する。自由エネルギーカットオフが-20kJ/molである場合、数十個の可能な結合分子が選び出され、また両者の正確な結合を保証するため、たんぱく質の環境下において、これらの分子とタンパク質を結合する時の構造を目測でチェックする。シリーズの異変操作技術を利用して結合サイト内のこれらの化合物を最適化し、同時に、エネルギー評価法でこれらの化合物とE3の相互作用を更に最適化し、また新たな構造を鋳型に導入する。
【0027】
3)抗腫瘍用途の請求項
本発明は、がん患者に対するがん治療方法を提供し、該方法は、薬物治療有効量の本発明に開示するこの類の化合物及び類似物を患者に与えることを含み、薬物担体を用いてもよい。該方法は、固形腫瘍又は白血病に適用することができる。特に、該方法は、脳腫瘍、肺がん、乳がん、前立腺癌、卵巣がん又は結腸直腸がんのようながんに適用することができる。
【0028】
また、本発明はがん治療用の薬物組成物を提供し、該組成物は、活性成分の物質を含有し、自由に選択するが、通常は適切な薬物担体を組み合わせて使用する。本薬物組成物は、その他の活性組成物、例えば、既に存在する化学療法治療薬を添加して併用療法に用いてもよい。
【0029】
本発明の化合物の治療分量は、患者の特徴及び病状の重さの程度、化合物種類及び投薬ルートによって変化する。本文に開示する有効な投薬分量の薬物に対しては、いかなる適切な投薬ルートを用いてもよく、薬物を哺乳動物、特に人に与えることに用いられる。例えば、投薬ルートとして、経口、直腸、局部、非経口、眼部、肺、鼻部の投薬等が挙げられる。薬物の剤型として、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液剤、カプセル、クリーム、軟膏、噴霧剤等が挙げられる。
【0030】
本発明の組成物は、経口、直腸、局部の投薬(皮膚を経て、噴霧剤、クリーム、軟膏、ローション剤とパウダーを含む)、非経口的な投薬(皮下、筋肉内、動脈内、静脈内を含む)、眼部投薬(眼を経る)、肺の投薬(鼻部又は口腔の吸入)又は鼻部の投薬を含む各種の投薬ルートに適応する。いかなる状況下でも最適切な投薬ルートは、治療疾患の類別、病状の厳重程度、薬物の活性成分と非常に関連しているが、簡単な使用のため、薬物の組成物を単一薬物剤型にし、また薬学領域の各種の常用方法を用いて製造する。
【0031】
経口製剤を製造する場合、いくつかの薬物でない媒質を用いることができ、このような薬物媒質として、例えば、経口液剤(例えば、懸濁液、エリキシール剤及び溶液)を製造する場合に用いられる水、グリコール、油、アルコール、矯味剤、防腐剤、着色剤等、又は経口液体製剤よりも経口固体製剤のパウダー、カプセル、錠剤のほうが好ましい場合に用いられる澱粉、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体を挙げることができる。また、必要に応じて、カプセルを、標準の水系又は非水系の方法を用いて被膜することができる。前記の剤型を除いて、本発明の化合物は、本分野の常識に基づいてコントロールドリリース手段又は方策によって、投薬することができる。
【0032】
経口投薬に適応する本発明の薬物組成物は、カプセルやオブラート又は錠剤それぞれは、粉末又は顆粒形式の所定量の活性成分を含有するのような離散型の製剤を製造してもよく、溶液又は懸濁液水系或は非水系液体中の又は水中油又は油中水の乳剤の中のを製造してもよい。以上の組成物は、薬学領域に知られるいかなる方法を用いても製造することができる。また、通常、組成物は、活性成分と液体担体及び又は細分した固体担体とを均一にして十分に混合し、その後、必要であれば製品を必要な形状にすることで、製造することができる。例えば、錠剤は、圧縮又は成型によってを製造することができ、一種又は多種の補助成分を選択的に添加してもよい。圧縮による錠剤は、フリーフロー形式の活性成分例えば、粉末又は顆粒を適当な機械で圧縮することで得られ、該活性成分が結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、又は界面活性剤又は分散剤と混合することができる。成型による錠剤は、不活性希釈剤で潤された粉状化合物の混合物を適切な機械で成型によって製造することができる。
【0033】
次の具体的な実験の細部を通して、本発明をより理解する。但し、当業者は、次の実施例が課題をよく説明するために用いられるものであって、本発明の保護範囲をこれらの実施例に限定しないことを理解しなければならない。
【実施例】
【0034】
実施例1
上記記載の方法によって、新たな化合物(NCE)Mol11を得た。その化学構造は次のとおりである。
【化5】
Mol11
【0035】
合成ルートを次のように示す。質量分析によって測定された分子量が294である。水素核磁気共鳴の結果を図3に示す。
【化6】
【0036】
実施例2
前記に記載の方法によって、新たな化合物(NCE)Mol21を得た。その化学構造は次のとおりである。
【化7】
Mol21
【0037】
合成ルートを次のように示す。質量分析によって測定された分子量が403である。水素核磁気共鳴の結果を図4に示す。
【化8】
【0038】
実施例3
前記に記載の方法によって、新たな化合物(NCE)Mol44を得た。その化学構造は次のとおりである。
【化9】
Mol44
【0039】
合成ルートを次のように示す。質量分析によって測定された分子量が402である。水素核磁気共鳴の結果を図5に示す。
【化10】
【0040】
実施例4
前記に記載の方法によって、新たな化合物(NCE)Mol640を得た。その化学構造は次のとおりである。
【化11】
Mol640
【0041】
合成ルートを次のように示す。質量分析によって測定された分子量が448である。水素核磁気共鳴の結果を図6に示す。
【化12】
【0042】
実施例5
以上に鑑定した化合物の抗腫瘍活性効果は、人のがん細胞において、MTT生存実験を用いて分析を行った。MTT実験は、通常の細胞生存評価の方法であって、その原理は、活力のある細胞が、可溶性のテトラゾリウム塩〔3-(4,5-ジメチル-チアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド〕、つまりMTT(MTT,Σ,Cat No. 044K5307)を不溶性のホルマザン沈殿物に変化し、該沈殿物をジメチル基スルホキシド(DMSO)で溶解した後、分光光度法で定量化できることである。
【0043】
簡単に纏めると、96ウエルの組織培養板において、異なる腫瘍細胞はネガティブコントロール、異なる濃度の各測定項目及びポジティブコントロール(DDP)を用いて処理し、各測定項目は、異なる濃度でいずれも三回繰り返した。
【0044】
異なる腫瘍細胞は、10%FBS及びRMPl640又はMEM培養液で3-5×104個細胞/ml懸濁液まで希釈した。96ウエル組織培養板において、各ウエルに100マイクロリットルの細胞懸濁液を添加し、37℃で一日を培養した。二日目、上澄み液を捨て、各ウエルに異なる濃度の測定項目を含む培養液を(それぞれ100マイクロリットル)添加する。共に、三つのネガティブコントロールウエルと三つのポジティブコントロールウエル(DDP)を設置し、37℃にて引き続き68時間インキュベートした。68時間後、培養の上澄み液を捨て、各ウエルにPBSで希釈した1mg/ml MTT 100マイクロリットルを添加した。37℃にて4時間インキュベートした後、上澄み液を捨てた。各ウエルに150マイクロリットルのDMSOを添加し、均一に混合した後、10分間静置、Bio-Rad会社のマイクロプレートリーダーModel550を用いて、波長が570nm時の吸光度を測定した。IR(細胞増殖抑制率)%=(ネガティブコントロールOD570-測定項目OD570)/ネガティブコントロールOD570。Bliss方法を用いて細胞のIC50(50%抑制濃度)の95%信頼度を計算した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
【表11】
【0056】
参考のため、本発明に参考の全ての特許、特許明細書及び文献が全て本文書に引用される。本発明の具体的な説明の示唆下において、当業者からすれば、本発明のいくつかの変化を暗示し、このような明確な変化は、請求項の完全の範囲内に該当する。
【0057】
備考:E3結合ポケットの周囲を囲むアミノ酸残基は、Val634、Leu635、Ser638、Leu639、Leu642、Met 653、Ile655、Ile659、Ile682、Phe690、Tyr694があり、E6AP三次元構造をHuang等参考にする。全長E6AP(或いはUBE3A_人)において、これらのアミノ酸残基は、Val657、Leu658、Ser661、Leu662、Leu665、Met 676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713、Tyr717である。
【0058】
参考文献
Balasubramanyam M. et al. Mol. Cell Biochem. 275(1-2), 117-25 (2005)
Bueso-Ramos, C.E. et al. Blood 82, 2617-2623 (1993).
Fuchs, S.Y., Adler, V., Buschmann, T., Wu, X. & Ronai, Z. Oncogene 17, 2543-2547 (1998).
Gustafsson, B. & Stal, O. Pediatr Hematol Oncol 15, 519-526 (1998).
Hall, E.J. Int J Radiat Oncol Biol Phys 30, 1019-1028 (1994).
Hochstrasser, M. Annu Rev Genet 30, 405-439 (1996).
Honda, R., Tanaka, H. & Yasuda, H. FEBS Lett 420, 25-27 (1997).
Huang, L. et al. Science 286, 1321-1326 (1999).
Keating, M.J. Clin Cancer Res 3, 2598-2604 (1997).
Konstantinopoulos PA et al. Expert Opin Investig Drugs 15(9), 1067-75 (2006)
Magrath, I. Cancer Res 52, 5529s-5540s (1992).
Masdehors, P. et al. Blood 96, 269-274 (2000).
Montagut C. et al. Clin Transl Oncol. 8(5): 313-7 (2006)
Oren, M. Semin Cancer Biol 5, 221-227 (1994).
Pan, Y. & Haines, D.S. Cancer Res 59, 2064-2067 (1999).
Pulczynski, S. Leuk Lymphoma 15, 243-252 (1994).
Scheffner, M., Smith, S. & Jentsch, S. in Ubiquitin and the Biology of the Cell, Plenum, NY,
Peters, J.-M., Harris, J. R., and Finley, D. , 65-98 (1998).
Schwarz, S.E., Rosa, J.L. & Scheffner, M. J Biol Chem 273, 12148-12154 (1998).
Soussi, T. & Jonveaux, P. Nouv Rev Fr Hematol 33, 477-480 (1991).
Starita LM. et al. Cancer Biol Ther 5(2), 137-141 (2006)
Teoh, G. et al. Blood 90, 1982-1992 (1997).
Voutsadakis, I.A. Acta Oncol 39, 151-156 (2000).
Williams AJ et al. Neurochem Int. 49(2), 106-12 (2006)
Zheng, N. et al. Cell 102, 533-539 (2000)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユビキチンルートに対して構造に基づくドラッグデザイン、また、これらの化合物をがん治療に応用することに関する。特に、本発明は、E2-E3阻害剤類の鑑定、タンパク-タンパク表面の相互作用を精確に調節することに関する。本発明に記載したこれらの種類の化合物及びその類似物は、特許で保護される。
【0002】
本発明は、哺乳動物中のがん症及びその他の疾患の治療に応用することができる。本書に引用する人類の生化学指標は理解の便宜のためだけであり、これに限られない。また、文中で引用する用語、患者、人体又は人類は、いずれも記載の便宜のためであり、実際上全ての哺乳動物の病体又は身体を含む。
【背景技術】
【0003】
ユビキチン介在性分解は、翻訳後のレベルでタンパク質存在量を制御するタンパク質調節メカニズムである。それは、リン酸化作用に相当する調節メカニズムである。該ルートは、DNA修復、細胞周期調節、I類抗原プロセッシング、染色体組成、信号伝送、受容体介在性エンドサイトーシス、及び細胞アポトーシスに重要な役割を果たす(Hochstrasser,M.1996)。もし以上の過程における調節に問題が発生すれば、細胞成長の調節ができなくなり、或いは、結腸がん、乳がん、肺がん、白血病、リンバ腫や骨髄腫(Konstantinopoulos PA.等、2006starita LM等、Montagut C.等、Pulczynski,S、Keating, M.J.、Hall, E.J.、Magrath, I、Voutsadakis, I.A.)を含むがんになる。
【0004】
ユビキチンカスケードは、E1、E2及びE3の活性が連続的に作用を発揮する(Scheffner, M.等、1998)。E1(ユビキチン活性化酵素)は、ATPが存在する反応において、その活性サイトのシステインとユビキチンの末端がチオエステル結合を形成してユビキチンを活性化する。続いて、活性化されたユビキチンをE2(ユビキチン結合酵素)のシステインの活性サイトに転移し、チオエステル結合を同様に形成する。E3は、ユビキチン-タンパクリガーゼであり、少なくとも付加のタンパク質又はタンパク質複合体として定義され、特異性基質の認識及びユビキチン化に対して必要である。まず、E3はユビキチンをE2から基質のリシンの側鎖に転移させ、続いてユビキチンのリシン側鎖に引き続きユビキチンを転移し、最終的に形成したポリユビキチン化基質がプロテアソームによって認識されてから分解される。E3は二種類に分けられ、一つは、チオエステルをユビキチンと形成することを呈しないRINGfinger型E3ファミリー(Scheffner,M.等)であり、もう一つは、Hectドメイン型 E3リガーゼファミリーである(Schwarz,S.E.等)。Hectドメインとは、E6結合タンパク質(E6AP)のC末端ドメインとホモロジーすることを指す。E3タンパクのHect類は、ユビキチンのチオエステル結合中間体を形成することができ、基質のポリユビキチン化を促進する。
【0005】
RINGfinger E3もHect E3もE2(全てのE2が同一の構造を有する)と相互的に作用する類似の構造を有する(Huang,L等、Zheng,N.等)。これらの結合ポケットの微細な差異を図1に示す。従って、該表面の阻害剤は、二種類のE3リガーゼの基質に対するユビキチン化作用に、選択的に影響することができる。このような阻害剤は、多種の疾患治療に応用することができる。タンパク質とタンパク質の間の相互作用は通常破壊されにくいが、E2-E3の相互作用は特別である。発明者は、生化学上の研究において次のことを見出した。E2(UbcH7)とE3(E6AP's Hectドメイン)の結合作用が非常に弱く、その相互作用力がゲルろ過に抵抗できず、この結合は未変性ゲル電気泳動又は共結晶化のみによって測定される。発明者はE2-E3複合物の相互作用の界面を更に分析し、E2-E3の相互作用に対して重要な役割を果たし境界線がきれいな疎水性ポケットを見つかった。疎水性ポケットの大きさ、形状及びその他の性質によって、このポケットは小分子の標的と結合することが最適である。よって、E2とE3の相互作用のサイトは、小分子化合物によって破壊されやすく、これも本発明の論理基礎となる。
【0006】
ユビキチンルートの一つの有名な基質は「ゲノムの守護者」と言われる腫瘍抑制因子p53である。腫瘍抑制因子P53の失活の発生率はがん細胞に一番高い。遺伝毒性物質で処理した後、活性化された転写因子p53が細胞周期をG1/Sチェックポイントに留まらせたり、標的がダメージ細胞をアポトーシスすることによって、破壊されたDNAの複写を阻止する(Oren,M.)。50%以上の人類がん細胞においてはp53の失活が発生した。例えば、35%のBurkittリンパ腫及び60%のL3型 B細胞性急性リンパ性白血病においては、p53の誤制御が発生した(Soussi,T. &Jonveaux,P.)。p53異変の原因を除いて、ユビキチンを介在したp53の分解もp53失活の一つルートであって、このルートはリンパ腫及び白血病に主に発生する(Masdehors,P.等、Bueso-Ramos,C.E.等、Teoh,G.等;Pan,Y.&Haines,D.S.、Gustafsson,B.&Stal,O.)。異なる細胞環境において、二種類のE3リガーゼは、共に、p53の分解を媒介することができる。正常の細胞において、RINGFinger E3リガーゼMDM2は、p53の分解によって、p53のレベルを調節する(Fuchs,S.Y,等、Honda,R.)。ヒトパピローマウイルス(HPV)感染細胞において、E6APは、ウイルスタンパク質E6によってハイジャックされ、更にp53をユビキチン化する。よって、E2-E3結合を阻止することにより、腫瘍抑制因子P53のユビキチン化を防止し、腫瘍の生成を抑制することが可能になる。
【0007】
糖尿病や神経変性疾患のようなその他の疾患も、ユビキチン化ルートのミスと関係がある。試験性の糖尿病において、インシュリン受容体基質(IRS-1とIRS-2)のようなインシュリンシグナル分子の分解ミスは、証明されている(Balasubramanyam M.等)。近年のある報道によれば、ラットの試験でプロテアソーム阻害剤MLN519の局部失血の治療/再灌流脳損傷の治療での治療効果を評価することを報道した(Williams AJ,等)。
本発明は、構造に基づくドラッグデザインを利用し、E2-E3複合物の結晶構造を基礎とし、新たな化合物を見出した。E2及びE3は、タンパク質分解中に重要且つ必須の二つの酵素である。タンパク質の分解ミスは、多数の重大な疾患を導く。またタンパク質のユビキチン化はタンパク質のリン酸化と同様に重要であり、よってE2とE3はキナーゼと同様に重要である。キナーゼの各種阻害剤は新たな薬物として既に販売されている。我々は、これらの新化合物とその類似物が、例えば、乳がん、結腸がん、子宮がん、肺がん、肝がん及び脳腫瘍のがんの治療に応用できると見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一つの目的は、E2-E3結合界面の特定ポケット構造を定義し、該構造は小分子治療剤との結合に適合し、E2-E3複合物の形成を有効的に破壊し、E2-E3のシグナルルートによって治療効果を果たすことを提供することである(図1及び図2を参照)。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、E3のE2結合ポケットと相応する化合物種類の鑑定方法を提供することである。
【0010】
また、本発明の目的はこれらの化合物の組成物を提供することである。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、これらの化合物が腫瘍細胞の生成を抑制することを証明し、それにより、これらの化合物又は類似物を単独的に、或いはこれらの化合物とその他の化学治療薬又は薬物担体を組み合わせて用いて、対象の腫瘍を治療することである。
【0012】
従って、本発明の第1の態様は、SEQ ID No.1に基づくVal657、Leu658、Ser661、Leu662、Leu665、Met676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713、Tyr717を含む、E2阻害剤をデザインするためのタンパク質結合ポケットを提供する。
【0013】
本発明の第2の態様は、前記タンパク質結合ポケットを使用することを含む、E2阻害剤をデザインするための方法を提供する。
【0014】
本発明の第3の態様は、以下の化合物群から選ばれる化合物を含むE2阻害剤を提供する。
【化1】
X1=N、C
R1=ハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて遊離原子に一置換又は多置換を行う。
X2=その中の一つ又はその中の複数がC又はNである。
Ring=5環又は6環、且つ図面に明確に示す芳香族環と結合し、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、フラン、オキサゾールを含む。
【化2】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行う。
Ring=置換又は未置換の5環又は6環の芳香族環、複素環式化合物を含み、例えば、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールである。
【化3】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行う。
R2=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基、フェニル基やピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールを含む小芳香族複素環及び/又は
【化4】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行う。
X=C又はNの可能な組み合わせ。
Ring=未置換と置換の5環又は6環。ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールを含む。
【0015】
本発明の第4の態様は、前記化合物の少なくとも一種類及び薬物担体を含有する薬物組成物を提供する。
【0016】
本発明の第5の態様は、前記阻害剤のがん治療における応用を提供する。該がんは、脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮頚癌、結腸がん、乳癌及び前立腺癌であることが好ましい。
【0017】
本発明の第6の態様は、患者のがんを治療する方法を提供し、該方法は、必要とする患者に治療有効量の少なくとも一種類の前記化合物を与えることを含む。
【0018】
本発明の第7の態様は、前記いずれかの化合物をイメージング剤として腫瘍診断方法に応用する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】RING-Finger E3及びHect E3のE2結合ドメインの類似点と差異点との比較を示す。
【図2】拡大後のE2(E3と接触する特異性残基)及びE3のE2結合ポケットを示す。
【図3】合成される化合物Mol 11の水素核磁気共鳴1H NMRデータを示す。
【図4】合成される化合物Mol 21の水素核磁気共鳴1H NMRデータを示す。
【図5】合成される化合物Mol 44の水素核磁気共鳴1H NMRデータを示す。
【図6】合成される化合物Mol 640の水素核磁気共鳴1H NMRデータを示す。
【図7】Mol 11の可能な誘導物についての説明である。
【図8】Mol 21の可能な誘導物についての説明である。
【図9】Mol 44の可能な誘導物についての説明である。
【図10】Mol 640の可能な誘導物についての説明である。
【図11】NCBIデータベースからのE6AP全長配列についての説明であり、アンダーラインで標記したのはE2-E3の結合ポケット領域である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
文書の「E2阻害剤」とは、「E2とE3の相互作用を破壊する阻害剤」を指す。
【0021】
1)小分子阻害剤に対する重要な結合サイトの鑑定
タンパク質及びタンパク質の間の相互作用が、小分子化合物によって破壊されにくいことは、公知常識である。しかし、E2-E3の相互作用のマッピング分析及びE2-E3界面に分子表面の分析によって、E3においては、E2-E3複合物の形成に対して重要な、小分子との相互作用に適合する一つの結合サイトを鑑定した。E3でのこの結合ポケットは、E2のPhe63によって占められる。E3における該結合サイトを組成するアミノ酸は、Val657、Leu658、Ser661、Leu662、Leu665、Met 676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713及びTyr717である。
【0022】
親油性の電位解析は、E3の結合ポケットが高度な疎水性であることを明らかにし、主に、Leu658、Leu662、Leu665、Met 676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713及びTyr717のE3疎水側鎖によるからである。
【0023】
この小さい疎水結合ポケットをターゲットとすることで、一種の小分子が、E2-E3のシグナルカスケードとその後のユビキチン化ルートを破壊するのに充分な能力を有することを証明した。この種の小分子の分子量は約500ドルトンであって、薬物効果、安定性(体内及び対外)、有効性及び安全性を含む、薬物としての良好な特徴を有する。
【0024】
該疎水ポケットを結合すれば、一定の薬物効果を果たすが、E2-E3の界面の相互作用が図6に示す第二結合ポケットまでに拡大してから、希望しないターゲットを選択的に抑制することができる。第二結合ポケットが第一の疎水区域に近いが、前者の疎水性がより弱く、極性化学部分及び/又は複素環式化合物と結合することに最適である。第二ポケットの特異性残基との水素結合作用が薬物効果と選択性を更に増加させる。二つの結合ポケットの間に適切なリンカーをデザインすることによって、単一の化学実体は互いに補い合うように二つの結合ポケットを結合できることが証明された。E2-E3界面に幅広く最適化することを経て、デザインされた化学実体は、作用の有効期間中、暴露可能なその他の生化学ターゲットを高選択的に抑制することが期待できるので、潜在的な副作用を減少させる。
【0025】
2)構造に基づくドラッグデザイン
あるコンピュータ技術はE2とE3の相互作用を判断することができ、タンパク表面の生成及び比較、水素結合分析、疎水性分析や静電電位分析及び二元複合体界面の総形状の相補性分析を含む特性マッピングを含む。本研究では、E2-E3の界面に明確な小疎水ポケットを見つけ、該領域はE2-E3複合物の相互作用に対して重要である。よって、該疎水ポケットをターゲットとすることで、E2-E3複合物の形成を破壊し、ユビキチン化ルートに干渉し、上記言及した治療効果を果たすことに期待できる。
【0026】
疎水ポケットと結合できる適切な阻害剤のデザインには、ライブラリーデザイン、類似性検索、バーチャルスクリーニング及びデノボデザインを必要とする。商品化の試薬を用いて、依頼性がある合成案を基礎とし、いくつかのバーチャル化合物ライブラリーをデザインする。これらのバーチャル化合物といくつか既にある商品のコレクションを合わせて、より大きい化合物データベースを構成する。多数の薬物の特徴によって、これらの化合物を選び、全ての選別過程を通過した化合物を候補薬物とし、更に、候補薬物とE3疎水ポケットの結合力を分析する。自由エネルギーカットオフが-20kJ/molである場合、数十個の可能な結合分子が選び出され、また両者の正確な結合を保証するため、たんぱく質の環境下において、これらの分子とタンパク質を結合する時の構造を目測でチェックする。シリーズの異変操作技術を利用して結合サイト内のこれらの化合物を最適化し、同時に、エネルギー評価法でこれらの化合物とE3の相互作用を更に最適化し、また新たな構造を鋳型に導入する。
【0027】
3)抗腫瘍用途の請求項
本発明は、がん患者に対するがん治療方法を提供し、該方法は、薬物治療有効量の本発明に開示するこの類の化合物及び類似物を患者に与えることを含み、薬物担体を用いてもよい。該方法は、固形腫瘍又は白血病に適用することができる。特に、該方法は、脳腫瘍、肺がん、乳がん、前立腺癌、卵巣がん又は結腸直腸がんのようながんに適用することができる。
【0028】
また、本発明はがん治療用の薬物組成物を提供し、該組成物は、活性成分の物質を含有し、自由に選択するが、通常は適切な薬物担体を組み合わせて使用する。本薬物組成物は、その他の活性組成物、例えば、既に存在する化学療法治療薬を添加して併用療法に用いてもよい。
【0029】
本発明の化合物の治療分量は、患者の特徴及び病状の重さの程度、化合物種類及び投薬ルートによって変化する。本文に開示する有効な投薬分量の薬物に対しては、いかなる適切な投薬ルートを用いてもよく、薬物を哺乳動物、特に人に与えることに用いられる。例えば、投薬ルートとして、経口、直腸、局部、非経口、眼部、肺、鼻部の投薬等が挙げられる。薬物の剤型として、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液剤、カプセル、クリーム、軟膏、噴霧剤等が挙げられる。
【0030】
本発明の組成物は、経口、直腸、局部の投薬(皮膚を経て、噴霧剤、クリーム、軟膏、ローション剤とパウダーを含む)、非経口的な投薬(皮下、筋肉内、動脈内、静脈内を含む)、眼部投薬(眼を経る)、肺の投薬(鼻部又は口腔の吸入)又は鼻部の投薬を含む各種の投薬ルートに適応する。いかなる状況下でも最適切な投薬ルートは、治療疾患の類別、病状の厳重程度、薬物の活性成分と非常に関連しているが、簡単な使用のため、薬物の組成物を単一薬物剤型にし、また薬学領域の各種の常用方法を用いて製造する。
【0031】
経口製剤を製造する場合、いくつかの薬物でない媒質を用いることができ、このような薬物媒質として、例えば、経口液剤(例えば、懸濁液、エリキシール剤及び溶液)を製造する場合に用いられる水、グリコール、油、アルコール、矯味剤、防腐剤、着色剤等、又は経口液体製剤よりも経口固体製剤のパウダー、カプセル、錠剤のほうが好ましい場合に用いられる澱粉、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体を挙げることができる。また、必要に応じて、カプセルを、標準の水系又は非水系の方法を用いて被膜することができる。前記の剤型を除いて、本発明の化合物は、本分野の常識に基づいてコントロールドリリース手段又は方策によって、投薬することができる。
【0032】
経口投薬に適応する本発明の薬物組成物は、カプセルやオブラート又は錠剤それぞれは、粉末又は顆粒形式の所定量の活性成分を含有するのような離散型の製剤を製造してもよく、溶液又は懸濁液水系或は非水系液体中の又は水中油又は油中水の乳剤の中のを製造してもよい。以上の組成物は、薬学領域に知られるいかなる方法を用いても製造することができる。また、通常、組成物は、活性成分と液体担体及び又は細分した固体担体とを均一にして十分に混合し、その後、必要であれば製品を必要な形状にすることで、製造することができる。例えば、錠剤は、圧縮又は成型によってを製造することができ、一種又は多種の補助成分を選択的に添加してもよい。圧縮による錠剤は、フリーフロー形式の活性成分例えば、粉末又は顆粒を適当な機械で圧縮することで得られ、該活性成分が結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、又は界面活性剤又は分散剤と混合することができる。成型による錠剤は、不活性希釈剤で潤された粉状化合物の混合物を適切な機械で成型によって製造することができる。
【0033】
次の具体的な実験の細部を通して、本発明をより理解する。但し、当業者は、次の実施例が課題をよく説明するために用いられるものであって、本発明の保護範囲をこれらの実施例に限定しないことを理解しなければならない。
【実施例】
【0034】
実施例1
上記記載の方法によって、新たな化合物(NCE)Mol11を得た。その化学構造は次のとおりである。
【化5】
Mol11
【0035】
合成ルートを次のように示す。質量分析によって測定された分子量が294である。水素核磁気共鳴の結果を図3に示す。
【化6】
【0036】
実施例2
前記に記載の方法によって、新たな化合物(NCE)Mol21を得た。その化学構造は次のとおりである。
【化7】
Mol21
【0037】
合成ルートを次のように示す。質量分析によって測定された分子量が403である。水素核磁気共鳴の結果を図4に示す。
【化8】
【0038】
実施例3
前記に記載の方法によって、新たな化合物(NCE)Mol44を得た。その化学構造は次のとおりである。
【化9】
Mol44
【0039】
合成ルートを次のように示す。質量分析によって測定された分子量が402である。水素核磁気共鳴の結果を図5に示す。
【化10】
【0040】
実施例4
前記に記載の方法によって、新たな化合物(NCE)Mol640を得た。その化学構造は次のとおりである。
【化11】
Mol640
【0041】
合成ルートを次のように示す。質量分析によって測定された分子量が448である。水素核磁気共鳴の結果を図6に示す。
【化12】
【0042】
実施例5
以上に鑑定した化合物の抗腫瘍活性効果は、人のがん細胞において、MTT生存実験を用いて分析を行った。MTT実験は、通常の細胞生存評価の方法であって、その原理は、活力のある細胞が、可溶性のテトラゾリウム塩〔3-(4,5-ジメチル-チアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド〕、つまりMTT(MTT,Σ,Cat No. 044K5307)を不溶性のホルマザン沈殿物に変化し、該沈殿物をジメチル基スルホキシド(DMSO)で溶解した後、分光光度法で定量化できることである。
【0043】
簡単に纏めると、96ウエルの組織培養板において、異なる腫瘍細胞はネガティブコントロール、異なる濃度の各測定項目及びポジティブコントロール(DDP)を用いて処理し、各測定項目は、異なる濃度でいずれも三回繰り返した。
【0044】
異なる腫瘍細胞は、10%FBS及びRMPl640又はMEM培養液で3-5×104個細胞/ml懸濁液まで希釈した。96ウエル組織培養板において、各ウエルに100マイクロリットルの細胞懸濁液を添加し、37℃で一日を培養した。二日目、上澄み液を捨て、各ウエルに異なる濃度の測定項目を含む培養液を(それぞれ100マイクロリットル)添加する。共に、三つのネガティブコントロールウエルと三つのポジティブコントロールウエル(DDP)を設置し、37℃にて引き続き68時間インキュベートした。68時間後、培養の上澄み液を捨て、各ウエルにPBSで希釈した1mg/ml MTT 100マイクロリットルを添加した。37℃にて4時間インキュベートした後、上澄み液を捨てた。各ウエルに150マイクロリットルのDMSOを添加し、均一に混合した後、10分間静置、Bio-Rad会社のマイクロプレートリーダーModel550を用いて、波長が570nm時の吸光度を測定した。IR(細胞増殖抑制率)%=(ネガティブコントロールOD570-測定項目OD570)/ネガティブコントロールOD570。Bliss方法を用いて細胞のIC50(50%抑制濃度)の95%信頼度を計算した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
【表11】
【0056】
参考のため、本発明に参考の全ての特許、特許明細書及び文献が全て本文書に引用される。本発明の具体的な説明の示唆下において、当業者からすれば、本発明のいくつかの変化を暗示し、このような明確な変化は、請求項の完全の範囲内に該当する。
【0057】
備考:E3結合ポケットの周囲を囲むアミノ酸残基は、Val634、Leu635、Ser638、Leu639、Leu642、Met 653、Ile655、Ile659、Ile682、Phe690、Tyr694があり、E6AP三次元構造をHuang等参考にする。全長E6AP(或いはUBE3A_人)において、これらのアミノ酸残基は、Val657、Leu658、Ser661、Leu662、Leu665、Met 676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713、Tyr717である。
【0058】
参考文献
Balasubramanyam M. et al. Mol. Cell Biochem. 275(1-2), 117-25 (2005)
Bueso-Ramos, C.E. et al. Blood 82, 2617-2623 (1993).
Fuchs, S.Y., Adler, V., Buschmann, T., Wu, X. & Ronai, Z. Oncogene 17, 2543-2547 (1998).
Gustafsson, B. & Stal, O. Pediatr Hematol Oncol 15, 519-526 (1998).
Hall, E.J. Int J Radiat Oncol Biol Phys 30, 1019-1028 (1994).
Hochstrasser, M. Annu Rev Genet 30, 405-439 (1996).
Honda, R., Tanaka, H. & Yasuda, H. FEBS Lett 420, 25-27 (1997).
Huang, L. et al. Science 286, 1321-1326 (1999).
Keating, M.J. Clin Cancer Res 3, 2598-2604 (1997).
Konstantinopoulos PA et al. Expert Opin Investig Drugs 15(9), 1067-75 (2006)
Magrath, I. Cancer Res 52, 5529s-5540s (1992).
Masdehors, P. et al. Blood 96, 269-274 (2000).
Montagut C. et al. Clin Transl Oncol. 8(5): 313-7 (2006)
Oren, M. Semin Cancer Biol 5, 221-227 (1994).
Pan, Y. & Haines, D.S. Cancer Res 59, 2064-2067 (1999).
Pulczynski, S. Leuk Lymphoma 15, 243-252 (1994).
Scheffner, M., Smith, S. & Jentsch, S. in Ubiquitin and the Biology of the Cell, Plenum, NY,
Peters, J.-M., Harris, J. R., and Finley, D. , 65-98 (1998).
Schwarz, S.E., Rosa, J.L. & Scheffner, M. J Biol Chem 273, 12148-12154 (1998).
Soussi, T. & Jonveaux, P. Nouv Rev Fr Hematol 33, 477-480 (1991).
Starita LM. et al. Cancer Biol Ther 5(2), 137-141 (2006)
Teoh, G. et al. Blood 90, 1982-1992 (1997).
Voutsadakis, I.A. Acta Oncol 39, 151-156 (2000).
Williams AJ et al. Neurochem Int. 49(2), 106-12 (2006)
Zheng, N. et al. Cell 102, 533-539 (2000)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID No.1に基づくVal657、Leu658、Ser661、Leu662、Leu665、Met676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713、Tyr717を含む、E2阻害剤をデザインするためのタンパク質結合ポケット。
【請求項2】
請求項1に記載のタンパク質結合ポケットを用いることを含む、E2阻害剤をデザインする方法。
【請求項3】
【化1】
X1=N、C、
R1=ハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて遊離原子に一置換又は多置換を行い、
X2=その中の一つ又はその中の複数がC又はNであり、
Ring=5環又は6環、且つ図面に明確に示す芳香族環と結合し、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、フラン、オキサゾールを含み、
【化2】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行い、
Ring=置換又は未置換の5環又は6環の芳香族環、複素環式化合物を含み、例えば、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールであり、
【化3】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行い、
R2=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基、フェニル基やピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールを含む小芳香族複素環、
及び/又は
【化4】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行い、
X=C又はNの可能な組み合わせ、
Ring=未置換と置換の5環又は6環、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールを含む、
からなる群から選ばれる化合物を含有するE2阻害剤。
【請求項4】
請求項3に記載の少なくとも一種の化合物と薬物担体を含有する薬物組成物。
【請求項5】
請求項3の阻害剤のがん治療における応用。
【請求項6】
前記がんは脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮頚癌、結腸がん、乳癌及び前立腺癌である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
治療有効量の請求項1記載の化合物の少なくとも一種を、必要とする対象に与える、対象がんの治療方法。
【請求項8】
脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮頚癌、結腸がん、乳癌及び前立腺癌からなる群より選ばれるがん症の過程中において、化学療法治療薬が患者に対して改善の治療効果を達成するように、治療濃度内での治療有効量の化学療法治療薬を投与する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮頚癌、結腸がん、乳癌及び前立腺癌からなる群より選ばれるがん症の過程中において、放射線療法治療薬が改善の治療効果を患者に与えるように、治療濃度内での治療量の放射線療法治療薬を投与する請求項7に記載の方法。
【請求項10】
がん治療のために、請求項1に記載の化合物とその他の化学療法治療薬を組み合わせ用いることを含む、請求項7乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項3に記載の少なくとも一種の化合物をイメージング剤として腫瘍診断に応用する方法。
【請求項1】
SEQ ID No.1に基づくVal657、Leu658、Ser661、Leu662、Leu665、Met676、Ile678、Ile682、Ile705、Phe713、Tyr717を含む、E2阻害剤をデザインするためのタンパク質結合ポケット。
【請求項2】
請求項1に記載のタンパク質結合ポケットを用いることを含む、E2阻害剤をデザインする方法。
【請求項3】
【化1】
X1=N、C、
R1=ハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて遊離原子に一置換又は多置換を行い、
X2=その中の一つ又はその中の複数がC又はNであり、
Ring=5環又は6環、且つ図面に明確に示す芳香族環と結合し、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、イミダゾール、フラン、オキサゾールを含み、
【化2】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行い、
Ring=置換又は未置換の5環又は6環の芳香族環、複素環式化合物を含み、例えば、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールであり、
【化3】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行い、
R2=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基、フェニル基やピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールを含む小芳香族複素環、
及び/又は
【化4】
R1=オルト、メタ又はパラで置換のハロゲン(F、Cl、Br)、メチル基、オキシメチル基、ヒドロキシル基であり、前記官能基の組み合わせを用いて一置換又は多置換を行い、
X=C又はNの可能な組み合わせ、
Ring=未置換と置換の5環又は6環、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、フラン、オキサゾール、オキサジアゾールを含む、
からなる群から選ばれる化合物を含有するE2阻害剤。
【請求項4】
請求項3に記載の少なくとも一種の化合物と薬物担体を含有する薬物組成物。
【請求項5】
請求項3の阻害剤のがん治療における応用。
【請求項6】
前記がんは脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮頚癌、結腸がん、乳癌及び前立腺癌である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
治療有効量の請求項1記載の化合物の少なくとも一種を、必要とする対象に与える、対象がんの治療方法。
【請求項8】
脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮頚癌、結腸がん、乳癌及び前立腺癌からなる群より選ばれるがん症の過程中において、化学療法治療薬が患者に対して改善の治療効果を達成するように、治療濃度内での治療有効量の化学療法治療薬を投与する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
脳腫瘍、肺がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮頚癌、結腸がん、乳癌及び前立腺癌からなる群より選ばれるがん症の過程中において、放射線療法治療薬が改善の治療効果を患者に与えるように、治療濃度内での治療量の放射線療法治療薬を投与する請求項7に記載の方法。
【請求項10】
がん治療のために、請求項1に記載の化合物とその他の化学療法治療薬を組み合わせ用いることを含む、請求項7乃至9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項3に記載の少なくとも一種の化合物をイメージング剤として腫瘍診断に応用する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−516227(P2010−516227A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534976(P2009−534976)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003105
【国際公開番号】WO2008/052441
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(509125534)
【氏名又は名称原語表記】HUANG,Lan
【住所又は居所原語表記】2500 Johnson Ave.,Suite 8J,Bronx,NY 10463(US).
【出願人】(509125545)
【氏名又は名称原語表記】XING,Li
【住所又は居所原語表記】15739 Tambour Court,Chesterfield,MO 63017(US).
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際出願番号】PCT/CN2007/003105
【国際公開番号】WO2008/052441
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(509125534)
【氏名又は名称原語表記】HUANG,Lan
【住所又は居所原語表記】2500 Johnson Ave.,Suite 8J,Bronx,NY 10463(US).
【出願人】(509125545)
【氏名又は名称原語表記】XING,Li
【住所又は居所原語表記】15739 Tambour Court,Chesterfield,MO 63017(US).
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]