説明

ヨードニウム塩のフッ素化におけるラジカル捕捉剤

ラジカル法によるヨードニウム塩の分解が、ヨードニウム塩を用いたフッ素化反応で観察された収率のバラツキにおいて、重要な1つの要因であると確認された。従って、反応混合物中にラジカル捕促剤を含めることは、ヨードニウム塩に対するラジカル連鎖分解経路を遮断して、フッ素化に導く反応だけが起こり得るので、フッ素化アリールの収率が高くかつ再現性のあるものになる。この反応は、固相でも実施できる。溶液中、固相中の双方において、本発明の好ましい方法は、放射性フッ素化である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射化学の分野、特に放射性フッ素化に関する。具体的には、本発明は、反応混合物にラジカル捕捉剤を配合した、ヨードニウム塩の新規放射性フッ素化法に関する。本発明のもう一つの実施形態は、固相反応を用いたヨードニウム塩の放射性フッ素化である。
【背景技術】
【0002】
18F]フッ素アニオンを用いて電子欠乏性芳香族環から適当な脱離基を置換する芳香族求核置換反応は、[18F]フルオロアレーンの製造方法として公知である。この求核置換反応を以下に例示する。
【0003】
【化1】

【0004】
式中、Xは1〜4個の電子吸引性基であり、Lは適当な脱離基、例えばフルオロ、ブロモ、ニトロ、第三アミノ又はヨードである。
【0005】
この放射化学は、[18F]フッ化セシウム又は[18F]フッ化カリウムのような求核放射性フッ素化剤用いて実施される。放射性フッ素化剤が[18F]フッ化カリウムである場合、好ましくはKryptofix(商標)のような相間移動試薬が使用される。こうした放射性フッ素化剤は、Aigbirhio他,1995,J.Fluorine Chem.70,p279に記載されているように、サイクロトロンで生成したキャリヤー無添加(NCA;no carrier added)[18F]フッ素化物から調製される。
【0006】
ヨードニウム塩の放射性フッ素化におけるこの反応の使用は、Pike他の[1995,J.Chem.Soc.Chem.Comm.pp.2215−16]に報告されているが、放射化学収率(RCY)にバラツキがある。RCYのバラツキの理由は明らかでなかった。同グループのその後の報告[Shah他,1998,J.Chem.Soc.(Perkin Trans 1)pp.2043−6及びMartin−Santamaria他,2000,Chem.Comm.pp.649−50]でも、RCYのバラツキに関するそれ以上の説明は記載されていない。最近、Wust他の[2001,J.Labelled Cpd.Radiopharm.44,pS 12−3]には、Kryptofix(商標)存在下でのフェニルヨードニウムトシレートと[18F]フッ化カリウムとの反応では、所望[18F]コルチコステロイドはごく少量しか生成しないと報告されている。また、本願出願人は、上述の諸方法によるヨードニウム塩の放射性フッ素化では、所望[18F]フッ素化アリール生成物のRCYが大きく変動する(<5%〜40%)ことを見出した。このように再現性に欠けるため、[18F]フッ化アリールの合成にヨードニウム塩を使用することには問題があった。
【非特許文献1】Aigbirhio et al.,1995,J.Fluorine Chem.70,p279.
【非特許文献2】Pike et al.,1995,J.Chem.Soc.Chem.Comm.pp.2215−16.
【非特許文献3】Shah et al.,1998,J.Chem.Soc.(Perkin Trans 1)pp.2043−6.
【非特許文献4】Martin−Santamaria et al.,2000,Chem.Comm.pp.649−50.
【非特許文献5】Wust et al.,2001,J.Labelled Cpd.Radiopharm.44,pS 12−3.
【非特許文献6】Protecting Groups in Organic Synthesis,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts,published by John Wiley & Sons Inc.
【非特許文献7】J.Org.Chem.,1997,Vol.62(7),Ochiai et al.,pp.2130−2138.
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
今回、ラジカル連鎖反応法によるヨードニウム塩の分解が、ヨードニウム塩を用いたフッ素化反応で観察される収率のバラツキの重要な一因であることが感銘した。従って、反応混合物にラジカル捕促剤を配合すると、ヨードニウム塩に対するラジカル連鎖分解経路がブロックされ、フッ素化に向かう反応だけが起こり、フッ素化アリールの収率が再現性のあるものになる。この反応は、固相でも実施できる。溶液又は固相中のいずれにおいても、本発明の好ましい方法は放射性フッ素化である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第一の態様では、本発明は、フッ素イオン源によるヨードニウム塩のフッ素化を含むフッ素標識芳香族化合物の製造方法であって、反応混合物がラジカル捕捉剤を含有することを特徴とする方法に関する。
【0009】
本発明の「フッ素イオン源」は、好適にはフッ化カリウム、フッ化カルシウム及びフッ化テトラアルキルアンモニウムから選択される。本発明の好ましいフッ素イオン源は、フッ化カリウムであり、最も好ましくは相間移動試薬、例えばKryptofix(商標)を用いて活性化される。
【0010】
「ラジカル捕捉剤」という用語は、ラジカルと相互作用してそれらを不活性化する物質と定義される。本発明の好適なラジカル捕捉剤は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド(TEMPO)、1,2−ジフェニルエチレン(DPE)、アスコルビン酸塩、パラアミノ安息香酸(PABA)、α−トコフェロール、ヒドロキノン、ジ−t−ブチルフェノール、β−カロテン及びゲンチシン酸から選択される。本発明の好ましいラジカル捕捉剤は、TEMPO及びDPEであり、TEMPOが最も好ましい。
【0011】
反応混合物は、通常1モル%以上、好ましくは約2〜500モル%のラジカルスカベンジャーを含有する。さらに好ましい範囲は、反応混合物中約10〜400モル%のラジカルスカベンジャーである。
【0012】
「ヨードニウム塩」という用語は、本発明ではY形のイオンを含む化合物と定義される。好ましくは、本発明のヨードニウム塩は次の式Iの形である。
【0013】
【化2】

【0014】
式中、
Qはフッ素標識化合物の前駆体であり、
〜Rは独立に水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、C1〜10ヒドロキシアルキル、C2〜10カルボキシアルキル、C1〜10アルキル、C2〜10アルコキシアルキル、C1〜10ヒドロキシアルキル、C1〜10アミノアルキル、C1〜10ハロアルキル、C6〜14アリール、C3〜12ヘテロアリール、C3〜20アルキルアリール、C5〜12アリーレン、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10アシル、C7〜10アロイル、C2〜10カルボアルコキシ、C2〜10カルバモイル、C2〜10カルバミル、C1〜10アルキスルフィニル又はこれらの基の保護型から選択されるか、或いは隣接R基と共に四〜六員環又はその保護型を形成するものであり、
はトリフレート、ノナフレート、メシレート及びヘキサフレートから選択されるアニオンである。
【0015】
単独で又は他の基の一部として用いられる「アルキル」という用語は、本明細書では直鎖、枝分れ又は環状の飽和又は不飽和C2n+1基と定義され、特記しない限りnは1〜6の整数である。
【0016】
単独で又は他の基の一部として用いられる「アリール」は、本明細書ではC6〜14分子断片又は基であって、単環又は多環式芳香族炭化水素、或いは単環又は多環式ヘテロ芳香族炭化水素から誘導されるものと定義される。
【0017】
「ハロゲン」という用語は、各同位体を含めたフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される基を意味する。
【0018】
及びRの適切な保護は、保護基化学の常法を用いて達成し得る。フッ素化完了後、保護基も同じく当技術分野の常法で順によって脱離させることができる。適切な保護及び脱保護法は、例えばProtecting Groups in Organic Synthesis,Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts,published by John Wiley & Sons Inc.に記載されている。
【0019】
本発明のヨードニウム塩は、好ましくは式IIのように固体担体に結合している。
【0020】
【化3】

【0021】
式中、Qはフッ素標識化合物の前駆体であり、
〜R及びYは式Iで定義した通りである。
【0022】
式IIの化合物において、「固体担体」は、本プロセスに使用する溶媒には不溶性であるが、リンカーを共有結合することのできる担体であればどんなものでもよい。好適な固体担体の例としては、ポリスチレン(ポリエチレングリコールなどでブロックグラフトしたものであってもよい)、ポリアクリルアミド又はポリプロピレン或いはかかるポリマーで被覆したガラス又はシリコンがある。固体担体は、ビーズ又はピンなどの離散粒子の形態であっても、或いはカートリッジ内面又はミクロ加工容器の被覆であってもよい。
【0023】
式IIの化合物において、「リンカー」は、固体担体構造から反応部位を十分に離隔して反応性を最大限に高めるのに役立つ有機基であればよい。好適には、リンカーは0〜4個のアリール基及び/又はC1〜20アルキル、C2〜20アルコキシアルキル若しくはC1〜20ハロアルキル、並びに適宜1又は2個以上の酸素、ハロゲン、アミド又はスルホンアミドなどの追加の基を含む。リンカーは、好適にはポリエチレングリコール(PEG)リンカーであってもよい。かかるリンカーの例は、固相化学の当業者には周知である。
【0024】
式I及びIIの前駆体Qは、好ましくはアリール基であり、適宜ニトロ、シアノ、ハロゲン、C1〜10ヒドロキシアルキル、C2〜10カルボキシアルキル、C1〜10アルキル、C2〜10アルコキシアルキル、C1〜10ヒドロキシアルキル、C1〜10アミノアルキル、C1〜10ハロアルキル、C6〜14アリール、C3〜12ヘテロアリール、C3〜20アルキルアリール、C5〜12アリーレン、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10アシル、C7〜10アロイル、C2〜10カルボアルコキシ、C2〜10カルバモイル、C2〜10カルバミル、C1〜10アルキスルフィニル又はこれらの基の保護型から選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよい。或いは、前駆体Qは隣接R基と共に四〜六員環又はその保護型を形成するものである。
【0025】
特に好ましい前駆体Qを、表1に例示する。
【0026】
溶液中又は固相のいずれで本発明の方法を実施する場合も、本発明のフッ素標識化合物は好ましくは[18F]標識化合物であり、イオン源は好ましくは18である。最も好ましくは、[18F]標識化合物は[18F]標識放射性トレーサー、すなわち被験体内の特定の生体標的のPETイメージングによる検出に適した[18F]標識化合物である。
【0027】
18F]標識トレーサーは、好ましくは表1の1欄に列挙した化合物から選択される。これらの[18F]標識トレーサーに対応する前駆体は、表1の2欄にあり、表中、P〜Pは各々独立に水素又は保護基である。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

【0032】
最も好ましい本発明の[18F]標識化合物は、[18F]DOPA、[18F]ドーパミン及び[18F]フルオロウラシルであり、[18F]DOPAが特に好ましい。
【0033】
第2の態様では、本発明は本発明の方法で合成した[18F]標識化合物に関する。
【実施例】
【0034】
実施例の簡単な説明
比較例1は、フッ化カリウムを用いたジフェニルヨードニウムトリフレートのフッ素化試験について記載する。
【0035】
実施例2は、2モル%のTEMPOの存在下で実施した比較例1のフッ素化方法について記載する。
【0036】
比較例3は、収率の変動の大きいジフェニルヨードニウムトリフレートの公知の放射性フッ素化法について記載する。
【0037】
実施例4は、70モル%のTEMPOの存在下で実施した比較例3の方法について記載する。得られた放射化学収率は、ラジカルスカベンジャー非存在下で得られた収率に比して格段に一貫性があり、比較例1の方法で観察されたバラツキが少なくとも部分的にはラジカルの存在に起因することを示す。
【0038】
実施例5は、50モル%の1,2−ジフェニルエチレン(1,2−DPE)存在下で実施した比較例3の方法について記載する。放射化学収率はTEMPOを用いて得られたものと同様であり、この代替ラジカル捕捉剤も使用できることを示す。
【0039】
実施例6〜10は、様々な量のTEMPOの存在下での各種ヨードニウム塩の放射性フッ素化について記載する。TEMPO存在下でのジフェニルヨードニウムトリフレートの放射性フッ素化について、実施例4で得られたものと同様の放射化学収率が得られ、本発明の方法で他のヨードニウム塩も放射性フッ素化することができることを実証する。
【0040】
実施例11は、固相に固定化したヨードニウム塩で放射性フッ素化反応を如何に実施するかについて記載する。液相で実施する方法で実証された通り、この方法を用いても一貫性のある放射化学収率を得られると期待される。
【0041】
実施例12〜15は、本発明の方法でフッ素化又は放射性フッ素化し得る各種固相に結合したヨードニウム塩の調製について記載する。
【0042】
比較例1
ラジカルスカベンジャー非存在下でのジフェニルヨードニウムトリフレートのフッ素化
【0043】
【表5】

【0044】
実験法
NMR管中で、Dアセトニトリル(0.5mL)中のフッ化カリウム(5.8mg、0.1mmol)、2,2,2−Kryptofix(37.6mg、0.1mmol)の溶液を調製した。これに、Dアセトニトリル(0.5mL)中のジフェニルヨードニウムトリフレート(43mg、0.1mmol)を加えた。混合物のNMRを測定し(H、13C及び19F NMR)て、各出発成分の(適当な)H、13C及び19F NMRと比較した。その結果、成分混合直後にヨードニウムトリフレートのフッ化物への転化反応が起こることが判明した。次に、反応混合物を油浴中80℃で60分間加熱した。試料を油浴から取り出し、冷水に浸漬して室温に冷却し、H、13C及び19F NMRを測定した。Dアセトニトリル中のフルオロベンゼン、ヨードベンゼン及びベンゼンの(適当な)H、13C及び19F NMRも測定した。
【0045】
結果
これらのNMR実験から、フッ素イオンがヨードニウム塩と直ちに反応して、トリフルオロメタン塩とは全く異なる化合物を生じることが明らかとなった。この化合物は、室温では比較的安定であったが、徐々に反応した。反応を加熱すると、混合時に生じた錯体がベンゼンとヨードベンゼンの混合物に転化した。
【0046】
結論
NMRデータは、反応の第1段階が室温で速く、ヨードニウムイオンが直ちに消滅することを示していた。得られた中間体(フッ化物と推定される)は、加熱すると、間違いなく還元反応と思われる反応でヨードベンゼンとベンゼンに転化した。
【0047】
実施例2
2モル%のTEMPO存在下でのジフェニルヨードニウムトリフレートのフッ素化
【0048】
【表6】

【0049】
実験法
反応混合物にTEMPO(3.12mg、0.002mmol)を添加して、実施例5の方法を繰り返した。
【0050】
結果
これらのNMR実験から、フッ素イオンがヨードニウム塩と直ちに反応して、トリフルオロメタン塩とは全く異なる化合物を生じることが明らかとなった。これは、上述のTEMPOを用いない反応と全く同じであった。この化合物は、室温では比較的安定であったが、徐々に反応した。反応を加熱すると、混合時に生じた錯体がフルオロベンゼンとヨードベンゼンの混合物に転化した。
【0051】
結論
NMRデータは、反応の第1段階が室温で速く、ヨードニウムイオンが直ちに消滅することを示していた。得られた中間体は、加熱すると、ヨードベンゼンとフルオロベンゼンに転化した。TEMPOを添加したときの反応経路が全く異なることことは、ヨードニウム塩からベンゼンとヨードベンゼンへの転化反応がラジカル停止剤の存在によって抑制されることを示している。
【0052】
比較例3
ラジカルスカベンジャー非存在下でのジフェニルヨードニウムトリフレートの放射性フッ素化
反応容器に18O濃縮水(約0.3mL)中の[18F]フッ化物を入れ、これにKryptofix 222(11.4mg)及びアセトニトリル中の炭酸カリウム(0.1M溶液0.2mL)を加えた。フッ化物は共沸乾燥によって乾燥した。乾燥処理の完了に続いて、ジフェニルヨードニウムトリフレート(22.5mg、Sigma−Aldrich Chemicalsから入手)の乾燥アセトニトリル(1mL)溶液を乾燥フッ化物に加えた。混合物を95℃で15分間加熱した後、圧縮空気流中で冷却した。生成物は密封回収バイアルに移して反応をHPLCによって解析した。
【0053】
得られた放射化学的純度(RCP)及びRCYの値を下表に示す。
【0054】
【表7】

【0055】
実施例4
70モル%のTEMPO存在下でのジフェニルヨードニウムトリフレートの放射性フッ素化
比較例3で記載したものと同じ反応を70モル%のTEMPOの存在下で実施した。
【0056】
得られたRCP及びRCYの値を下表に示す。
【0057】
【表8】

【0058】
実施例3
1,2−DPE 50モル%存在下でのジフェニルヨードニウムトリフレートの放射性フッ素化
比較例3で記載したものと同じ反応を1,2−DPE 50モル%の存在下で実施した。
【0059】
得られたRCP及びRCYの値を下表に示す。
【0060】
【表9】

【0061】
実施例4
93モル%のTEMPO存在下での(2−メチル−4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロ酢酸の放射性フッ素化
反応容器に18O濃縮水(約0.4mL)中の[18F]フッ化物を入れ、これにアセトニトリル(1mL)中のKryptofix(17.9mg、Sigma−Aldrich Chemicalsから入手)の溶液及び炭酸カリウム(0.1M水溶液0.2mL)の混合物を加えた。フッ化物は共沸乾燥によって乾燥した。乾燥処理の完了に続いて、(2−メチル−4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロ酢酸(21.2mg)及びTEMPO(Sigma−Aldrich Chemicalsから入手)(7.8mg)のアセトニトリル(1mL)溶液を乾燥フッ化物に加えた。混合物を95℃で15分間加熱した後、圧縮空気流中で冷却した。生成物は密封回収バイアルに移して反応をHPLCによって解析した。
【0062】
得られたRCP及びRCYの値を下表に示す。
【0063】
【表10】

【0064】
実施例5
100モル%のTEMPO存在下での2−メトキシフェニル4’メトキシ−2’メチルヨードニウムトリフルオロ酢酸の放射性フッ素化
用いた方法は、(2−メチル−4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロ酢酸に代えて2−メトキシフェニル4’メトキシ−2’メチルヨードニウムトリフルオロ酢酸を使用した点以外は、実施例6に記載した通りであった。
【0065】
得られたRCP及びRCYの値を下表に示す。
【0066】
【表11】

【0067】
実施例8
100モル%のTEMPO存在下での2−メトキシフェニル5’−ベンゾイルオキシ−4−メトキシ−2−メチルトリフルオロ酢酸の放射性フッ素化
用いた方法は、(2−メチル−4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロ酢酸に代えて2−メトキシフェニル5’−ベンゾイルオキシ−4−メトキシ−2−メチルトリフルオロ酢酸を使用した点以外は、実施例6に記載した通りであった。
【0068】
【表12】

【0069】
実施例9
324モル%のTEMPO存在下でのフェニル5−ベンゾイルオキシ−4−メトキシ−2−メチルヨードニウムトリフルオロ酢酸の放射性フッ素化
用いた方法は、(2−メチル−4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロ酢酸に代えてフェニル5−ベンゾイルオキシ−4−メトキシ−2−メチルヨードニウムトリフルオロ酢酸を使用した点以外は、実施例6に記載した通りであった。
【0070】
【表13】

【0071】
実施例10
50モル%のTEMPO存在下での(1−メトキシピラゾール)(2−メトキシフェニル)ヨードニウムトリフルオロ酢酸の放射性フッ素化
用いた方法は、(2−メチル−4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロ酢酸に代えて(1−メトキシピラゾール)(2−メトキシフェニル)ヨードニウムトリフルオロ酢酸を使用した点以外は、実施例6に記載した通りであった。
【0072】
【表14】

【0073】
実施例11
50モル%のTEMPO存在下での樹脂結合ヨードニウム塩の放射性フッ素化
アセトニトリル(0.5mL)中のTEMPO(Sigma−Aldrich Chemicalsから入手)(7.8mg)をヨードニウム樹脂(98.3mg)に加え、次に100℃に加熱し、常温まで放冷した。18O濃縮水中の[18F]フッ化物を別の反応容器に入れ、これにKryptofix(17.9mg、Sigma−Aldrich Chemicalsから入手)のアセトニトリル(1mL)溶液及び炭酸カリウム(0.1M水溶液0.2mL)の混合物を加えた。フッ化物は共沸乾燥で乾燥した。乾燥工程の終了後、乾燥アセトニトリル(1.5mL)中のTEMPO(9.6mg)を加えて、混合物を80℃で10分間加熱し、次に圧縮空気流で冷却した。次に溶液を樹脂に加え、反応系を80℃で10分間加熱した。容器を30℃まで冷却し、生成物を生成物バイアルに移した。反応をHPLCで解析した。
【0074】
実施例12
6−(4−フェニルヨードニウムフェノキシ)ヘキサン酸−アミノメチルポリスチレンアミドトリフルオロ酢酸塩の調製
合成経路を以下に記載する。
【0075】
【化4】

【0076】
(a)6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸エチルの調製(3)
アセトン(100mL)中の6−ブロモヘキサン酸エチル(5.55g、25mmol)を4−ヨードフェノール(5.55g、25mmol)及び炭酸カリウム(6.9g、50mmol)で処理した。攪拌反応系を60時間加熱還流した。次に反応系を放冷し、真空下で樹脂状になるまで濃縮した。次に反応系を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)の間で分配させた。酢酸エチル層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で濃縮して無色樹脂(8.71g、24.1mmol、96%)を得た。δ(CDCl)1.26(3H,t,COCHCH)、1.46〜1.81(6H,m,3,4,5−CH)、2.33(2H,t,2−CH)、3.91(2H,t,6−CH)、4.13(2H,q,COCHCH)、6.66(2H,dd,2,6−ArH)、7.53(2H,dd,3,5−ArH)、δ(CDCl)14.20、24.60、25.53、28.75、34.14、60.20、67.67、82.44、116.83、138.09、158.84、及び173.52。
【0077】
(b)6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸の調製(4)
エタノール(30mL)、水(30mL)中の6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸エチル(3.62g、10mmol)を水酸化ナトリウム(1g、25mmol)で処理し、反応系を還流下で3時間撹拌した。次に反応系を放冷し、真空下で濃縮して固化させた。次にこの固体を酢酸エチル(100mL)及び1N塩酸(100mL)で注意深く処理し、反応系を室温で10分間撹拌した。酢酸エチル層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して淡黄色固体(3.11g、9.3mmol、93%)を得た。δ(CDCl)1.48〜1.82(6H,m,3,4,5−CH)、2.40(2H,t,2−CH)、3.91(2H,t,6−CHO)、6.67(2H,dd,2,6−ArH)、7.53(2H,dd,3,5−ArH)、δ(CDCl)24.31、25.50、38.75、33.89、82.54、116.87、138.14、158.83及び179.97。
【0078】
(c)6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸−アミノメチルポリスチレン樹脂アミドの調製(5)
ジクロロメタン(30mL)中のアミノメチルポリスチレン樹脂(4.28g、6mmol)を6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸(2.672g、8mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(2.322g、18mmol)及びジフェニルホスホリルクロライド(1.888g、8mmol)で処理した。反応系を血液振盪装置上に置き、18時間撹拌し続けた。次に反応系を濾過し、樹脂をジクロロメタン(100mL)で洗浄した。次に樹脂を真空下で乾燥して所望のヨウ化アリールで置換された樹脂(6.3039g)を得た。Cは75.36%、Hは6.62%、Nは1.52%、Iは11.12%であった。
【0079】
(d)6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸−アミノメチルポリスチレン樹脂アミドの過酢酸による酸化(6)
ジクロロメタン(15mL)中の6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸アミノメチルポリスチレン樹脂(1g、1mmol)を過酢酸(5mL)で処理した。反応系を、オーバーヘッドスターラーを用いて室温で18時間撹拌した。反応系を濾過し、樹脂をジクロロメタン(100mL)で洗浄した。樹脂を真空下で乾燥して黄色の固体を得た。
【0080】
(e)6−(4−ジアセトキシヨードフェノキシ)ヘキサン酸−アミノメチルポリスチレンアミドのトリ−n−ブチルフェニルスズ及びトリフルオロ酢酸との6−(4−フェニルヨードニウムフェノキシ)ヘキサン酸−アミノメチルポリスチレンアミドトリフルオロ酢酸塩(樹脂結合ヨードニウム塩1)合成反応(7)
ジクロロメタン(10mL)中の6−(4−ジアセトキシヨードフェノキシ)ヘキサン酸−アミノメチルポリスチレンアミド(1g、0.5mmol)を−40℃まで冷却し、トリ−n−ブチルフェニルスズ(367mg、1mmol)で処理した。攪拌反応系を次にトリフルオロ酢酸(288mg、2.0mmol)で処理し、2時間かけて室温に加温した。樹脂はジクロロメタンで完全に洗浄した。Cは70.47%、Hは5.81%、Nは1.53%、Iは11.59%、Fは3.78%、δ(CDCl)−78であった。
【0081】
実施例13
6−(2−((S)3−メトキシカルボニル−3−N−t−ブトキシカルバミル−4,5−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)フェン−6−イル)フェノキシ)ヘキサン酸−アミノメチルポリスチレンアミドトリフルオロ酢酸塩の調製
合成経路を以下に例示する。
【0082】
【化5】

【0083】
ジクロロメタン中の6−(4−ジアセトキシヨードフェノキシ)ヘキサン酸―アミノメチルポリスチレンアミドを−40℃まで冷却し、N−t−ブトキシカルボニル−3,4−ジ(t−ブトキシカルボニルオキシ)−6−トリメチルスタニルフェニルアラニンメチルで処理する。次に攪拌反応系をトリフルオロ酢酸で処理し、2時間かけて室温に加温した。反応系をジクロロメタンで完全に洗浄する。
【0084】
実施例14
6−(4−フェニルヨードニウムーフェノキシ)ウンデカン酸−アミノメチルポリスチレンアミドトリフルオロ酢酸塩の調製
合成経路を以下に例示する。
【0085】
【化6】

【0086】
(a)11−(4−ヨードフェノキシ)ウンデカン酸メチルの調製(10)
アセトン(150mL)中の11−ブロモウンデカン酸メチル(10g、35.8mmol)を4−ヨードフェノール(7.88g、35.8mmol)及び炭酸カリウム(9.88g、71.6mmol)で処理した。攪拌反応系を還流下で48時間加熱した。次に反応系を放冷し、真空下で樹脂になるまで濃縮した。次に反応系を酢酸エチル(150mL)と水(150mL)の間で分配させた。酢酸エチル層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮固化させた。この固体をジエチルエーテル(100mL)に溶解し、石油エーテル60〜80℃(100mL)を加えた。溶液を真空下で容積100mLまで濃縮した。溶液を放置して結晶化させた。生成物を濾過で回収し、真空下で乾燥して固体12.22gを得た。母液を約20mLまで濃縮し、結晶化させた。濾過によってさらに0.81gの固体を回収した。2つの固体を合わせて所望の生成物(13.03g、86%)を得た。δ(CDCl)1.29〜1.78(16H,m,3,4,5,6,7,8,9,10−CH)、2.30(2H,t,2−CH)、3.86(3H,s,COCH)、3.90(2H,t,11−CH)、6.66(2H,dd,2,6−ArH)、7.53(2H,dd,3,5−ArH)、δ(CDCl)24.90、25.93、29.09、29.18、29.30、29.42、34.07、51.42、68.06、82.35、116.90、138.11、158.98、及び174.33。
【0087】
(b)11−(4−ヨードフェノキシ)ウンデカン酸メチルの加水分解(11)
メタノール(100mL)中の11−(4−ヨードフェノキシ)ウンデカン酸メチルを水酸化ナトリウム(2.4g、60mmol)で処理した。攪拌反応系を40℃で60時間加熱した。反応系は反応の終わりには重い白色の沈殿を含んでいた。次に反応系を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。次に得られた固体を1N塩酸(250mL)及び酢酸エチル(250mL)で処理し、固体が溶解するまで激しく撹拌した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して11−(4−ヨードフェノキシ)−ウンデカン酸(9.55g、23.6mmol、98%)を得た。δ(CDCl)1.29〜1.78(16H,m,3,4,5,6,7,8,9,10−CH)、2.35(2H,t,2−CH)、3.90(2H,t,11−CH)、6.66(2H,dd,2,6−ArH)、7.53(2H,dd,3,5,−ArH)、δ(CDCl)24.61、25.92、28.98、29.08、29.16、29.27、29.41、34.02、68.08、82.37、116.90、138.11、158.97、及び180.18。
【0088】
(c)11−(4−ヨードフェノキシ)ウンデカン酸−アミノメチルポリスチレン樹脂アミドの調製(12)
ジクロロメタン(30mL)中のアミノメチルポリスチレン樹脂(4.28g、6mmol)を11−(4−ヨードフェノキシ)ウンデカン酸(3.12g、8mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(2.32g、18mmol)及びジフェニルホスホリルクロライド(1.89g、8mmol)で処理した。反応系を血液振盪装置上に置き、18時間撹拌し続けた。次に反応系を濾過し、樹脂をジクロロメタン(100mL)で洗浄した。次に樹脂を真空下で乾燥して所望のヨウ化アリール置換樹脂(6.30g)を得た。
【0089】
(d)11−(4−ヨードフェノキシ)ウンデカン酸−アミノメチルポリスチレン樹脂アミドの過酢酸を用いる酸化(13)
ジクロロメタン(15mL)中の11−(4−ヨードフェノキシ)ウンデカン酸−アミノメチルポリスチレン樹脂(1g、1mmol)を過酢酸(5mL)で処理した。反応系を、オーバーヘッドスターラーを用いて室温で18時間撹拌した。次に反応系を濾過し、樹脂をジクロロメタン(500mL)で洗浄した。次に樹脂を真空下で乾燥して黄色の固体(990mg)を得た。
【0090】
(e)6−(4−ジアセトキシヨード−フェノキシ)ウンデカン酸−アミノメチルポリスチレンアミドのトリ−n−ブチルフェニルスズ及びトリフルオロ酢酸との反応による6−(4−フェニルヨードニウムーフェノキシ)ウンデカン酸−アミノメチルポリスチレンアミドトリフルオロ酢酸塩の生成(14)
ジクロロメタン中の6−(4−ジアセトキシヨードフェノキシ)ウンデカン酸−アミノメチルポリスチレンアミドを−40℃まで冷却し、トリ−n−ブチルフェニルスズで処理する。次に攪拌反応系をトリフルオロ酢酸で処理し、2時間で室温に加温した。樹脂をジクロロメタンで完全に洗浄する。
【0091】
実施例15
6−(4−(フェニルヨードニウム)フェノキシ)ヘキサン酸−アミノメチルアミドポリスチレントリフルオロ酢酸塩の調製
合成経路を以下に例示する。
【0092】
【化7】

【0093】
(a)6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸エチルの過酢酸による酸化(15)
6−(4−ヨードフェノキシ)ヘキサン酸エチル(3.62g、10mmol)を過酢酸(39%)(5mL)及びジクロロメタン(15mL)で、氷浴上で撹拌しながら処理した。反応系を撹拌しながら2時間かけて室温に加温した。反応系は当初濃い色がついたが30分後には淡い黄色になった。次に反応系をジクロロメタン(30mL)と水(30mL)の間で分配させた。ジクロロメタン層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下で樹脂状になるまで濃縮した(4.53g、9.4mmol、94%)。δ(CDCl)1.26(3H,t,COCHCH)、1.51〜1.85(6H,m,3,4,5−CH)、2.00(6H,s,2×CHCO)、2.34(2H,t,2−CH)、4.01(2H,t,6−CH)、4.14(2H,q,COCHCH)、6.94(2H,dd,2,6−ArH)、8.00(2H,dd,3,5−ArH);δ(CDCl)14.18、20.31、24.52、25.47、28.61、34.10、60.24、68.27、111.34、116.98、137.07、161.63、173.67、及び176.32。
【0094】
(b)6−(4−ジアセトキシヨードフェノキシ)ヘキサン酸エチルとトリ−n−ブチルフェニルスズの反応(16)
ジクロロメタン(10mL)中の6−(4−ジアセトキシヨードフェノキシ)ヘキサン酸エチル(905mg、2.5mmol)を−40℃まで冷却し、トリ−n−ブチルフェニルスズ(954mg、2.6mmol)及びトリフルオロ酢酸(592mg、5.2mmol)で処理した。反応系を1時間撹拌し、その間に室温まで温めた。反応系を真空下で濃縮して生成物とトリ−n−ブチルトリフルオロ酢酸を含む樹脂(2.4g)を得た。
【0095】
(c)6−(4−フェニルヨードニウムフェノキシ)ヘキサン酸エチルトリフルオロ酢酸塩のトリフルオロ酢酸水溶液を用いる加水分解(17)
水/トリフルオロ酢酸1:1(10mL)中の6−(4−フェニルヨードニウムフェノキシ)ヘキサン酸エチル(350mg、0.792mmol)を80℃で18時間撹拌した。次に反応系を高真空下で濃縮して生成物を樹脂として得た。こ樹脂を石油エーテルと共に撹拌し、上澄み溶液をデカンテーションで捨てて、このヨードニウム塩から前段階からのトリ−n−ブチルスズトリフルオロ酢酸溶液を取り除いた。
【0096】
(d)6−(4−(フェニルヨードニウム)フェノキシ)ヘキサン酸トリフルオロ酢酸塩とアミノメチルポリスチレン樹脂のカップリング(18)
ジクロロメタン(15mL)中のアミノメチルポリスチレン樹脂(714mg)に粗製の6−(4−(フェニルヨードニウム)フェノキシ)ヘキサン酸トリフルオロ酢酸塩(1.2g、1.25mmol)、ジフェニルホスフィン酸クロライド(295mg、1.25mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(387mg、3.0mmol)を加えた。反応系を血液振盪装置上で一晩振盪し、次にメタノール/ジクロロメタン(100mL)で洗浄し、続いてジクロロメタン(100mL)で洗浄した。次に樹脂を真空下で乾燥して樹脂を固体(0.95g)として得た。
【0097】
Cは72.85%、Hは62.6%、Nは1.53%、Fは1.67%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素イオン源によるヨードニウム塩のフッ素化を含むフッ素標識芳香族化合物の製造方法であって、反応混合物がラジカル捕捉剤を含有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ラジカル捕捉剤が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド、1,2−ジフェニルエチレン、アスコルビン酸塩、パラアミノ安息香酸、α−トコフェロール、ヒドロキノン、ジ−t−ブチルフェノール、β−カロテン及びゲンチシン酸から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ラジカル捕捉剤が2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド又は1,2−ジフェニルエチレンである、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記フッ素イオン源がフッ化カリウム、フッ化セシウム及びフッ化テトラアルキルアンモニウムから選択される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記フッ素イオン源がフッ化カリウムであり、フッ素イオンの活性化にKryptofix(商標)を使用する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ヨードニウム塩が次の式Iのものである、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【化1】

式中、Qはフッ素標識化合物の前駆体であり、
〜Rは独立に水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、C1〜10ヒドロキシアルキル、C2〜10カルボキシアルキル、C1〜10アルキル、C2〜10アルコキシアルキル、C1〜10ヒドロキシアルキル、C1〜10アミノアルキル、C1〜10ハロアルキル、C6〜14アリール、C3〜12ヘテロアリール、C3〜20アルキルアリール、C5〜12アリーレン、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10アシル、C7〜10アロイル、C2〜10カルボアルコキシ、C2〜10カルバモイル、C2〜10カルバミル、C1〜10アルキスルフィニル又はこれらの基の保護型から選択されるか、或いは隣接R基と共に四〜六員環又はその保護型を形成するものであり、
はトリフレート、ノナフレート、メシレート及びヘキサフレートから選択されるアニオンである。
【請求項7】
前記ヨードニウム塩が次の式IIの通り固体担体に結合している、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
【化2】

式中、Qはフッ素標識化合物の前駆体であり、
〜R及びYは請求項6の式Iで定義した通りである。
【請求項8】
Qが、適宜ニトロ、シアノ、ハロゲン、C1〜10ヒドロキシアルキル、C2〜10カルボキシアルキル、C1〜10アルキル、C2〜10アルコキシアルキル、C1〜10ヒドロキシアルキル、C1〜10アミノアルキル、C1〜10ハロアルキル、C6〜14アリール、C3〜12ヘテロアリール、C3〜20アルキルアリール、C5〜12アリーレン、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、C1〜10アシル、C7〜10アロイル、C2〜10カルボアルコキシ、C2〜10カルバモイル、C2〜10カルバミル、C1〜10アルキスルフィニル又はこれらの基の保護型から選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよいアリール基であるか、或いは隣接R基と共に四〜六員環又はその保護型を形成するものである、請求項6又は請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記フッ素標識化合物が[18F]標識化合物であり、前記フッ素イオン源が18源である、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
18F]標識化合物が[18F]FDOPAである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前駆体が以下の式Iaのものであり、当該方法で製造される標識化合物が以下の式IIaのものである、請求項6乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
【化3】

式中、P、P、P、及びPは各々独立に水素又は保護基である。
【化4】

式中、P、P、P、及びPは各々独立に水素又は保護基であり、Yはアニオン、好ましくはトリフルオロメチルスルホネート(トリフレート)アニオンである。
【請求項12】
18F]標識化合物が[18F]ドーパミンである、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前駆体が次の式Ibのものであり、当該方法で製造される標識化合物が以下の式IIbのものである、請求項6乃至請求項10及び請求項12のいずれか1項記載の方法。
【化5】

式中、P、P、及びPは各々独立に水素又は保護基である。
【化6】

式中、P、P、及びPは各々独立に水素又は保護基であり、Yはアニオン、好ましくはトリフルオロメチルスルホネート(トリフレート)アニオンである。
の製造方法。
【請求項14】
18F]標識化合物が[18F]ウラシルである、請求項9記載の方法。
【請求項15】
前駆体が次の式Icのものであり、当該方法で製造される標識化合物が以下の式IIcのものである、請求項6乃至請求項10及び請求項14のいずれか1項記載の方法。
【化7】

式中、P及びPは各々独立に水素又は保護基である。
【化8】

式中、P及びPは各々独立に水素又は保護基であり、Yはアニオン、好ましくはトリフルオロメチルスルホネート(トリフレート)アニオンである。
【請求項16】
さらに、
(i)例えばイオン交換クロマトグラフィーによって過剰の18を除去すること、及び/又は
(ii)保護基を除去すること、及び/又は
(iii)有機溶媒を除去すること、及び/又は
(iv)得られた化合物を水溶液として調製すること
を含む、請求項9乃至請求項15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれか1項記載の方法で製造される[18F]標識化合物。

【公表番号】特表2007−515465(P2007−515465A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546303(P2006−546303)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005304
【国際公開番号】WO2005/061415
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(305040710)ジーイー・ヘルスケア・リミテッド (99)
【Fターム(参考)】