説明

リソグラフィ用基板被覆方法、及び該方法に用いられる感活性光線または感放射線性樹脂組成物

【課題】超微細領域での、特に、電子線、X線またはEUV光リソグラフィにおいて、現像前のレジスト表面が親水性と疎水性の凸凹構造を持つことによる撥水化を抑制し、ムラなく均一に現像が進行するようにすることで、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネスを与え、かつアウトガス低減を同時に実現するパターン形成を可能とするリソグラフィ用基板被覆方法、およびこれに好適な感活性光線または感放射線性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いて基板上に膜を被覆する工程と、該膜上に、トップコート組成物を用いてトップコート層を形成する工程を含むリソグラフィ用基板被覆方法であって、前記感活性光線または感放射線性樹脂組成物として、(B)活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物を、該組成物中の全固形分に対し少なくとも10質量%含有する感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いることを特徴とするリソグラフィ用基板被覆方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられるリソグラフィ用基板被覆方法、及び該方法に用い得る感活性光線または感放射線性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、電子線、X線又はEUVリソグラフィ用基板被覆方法、及びその方法に用い得るポジ型レジスト組成物に関するものである。
【0002】
なお、本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、電子線等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
【背景技術】
【0003】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。さらには、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線、あるいはEUV光を用いたリソグラフィも開発が進んでいる。
【0004】
化学増幅型のレジストにおいて微細パターンを形成するためには、露光によって発生した酸の拡散距離を制御する必要がある。特に超微細領域の電子線、X線、EUVリソグラフィにおいては酸拡散距離を十分に短くする必要がある。酸拡散距離を制御する方法としては、アミン等の酸クエンチャーを用いる方法や発生酸のサイズによる制御、プロセス温度の制御などの方法が考えられている。
【0005】
一方、集積回路のリソグラフィにおいて、パターン形成は露光部と未露光部のアルカリ溶解速度の差を利用して行うことが一般的である。ポジ型化学増幅レジストの場合、露光部は膜収縮しつつ親水化・アルカリ可溶化する。したがって、現像前のレジスト表面は親水面と疎水面で凸凹の構造を有する。パターンが微細化するにつれ現像前のレジスト表面の親疎水凸凹バターンも微細化されていくことになる。微細なパターンをムラなく均一に現像するためには、現像液がレジスト表面にムラなく均一に広がることが必要である。一方で、微細な凸凹面は撥水的な性質をしめすことが一般的に知られており、パターンの微細化に伴いアルカリ現像液の濡れにムラが生じやすい状態になってきていた。アルカリ現像液の濡れムラは、例えばラインウィズラフネス(LWR)や線幅均一性の悪化、露光部の現像液に対する溶解性の悪化による、パターンの抜け性の悪化(アンダー露光マージンの悪化)をもたらす。特に露光部の抜け性は、パターンが密集パターン(デンスパターン)やトレンチパターンである場合に重要である。
【0006】
レジスト表面の親疎水性を制御する方法として、液浸ArFパターニングではレジスト層の上面に疎水的なトップコート層を設ける方法が知られている(特許文献1を参照)。該トップコートはレジストから液浸水へのレジスト内容物の溶出を防ぐ機能を持ち、また表面を疎水化することによって液浸水の追随性を向上させる効果を持つが、現像液の濡れムラを改良する効果はなかった。
【0007】
また、EUVリソグラフィにおいて、露光時に発生するアウトガスを低減することが重要な課題となっており、レジストの上面に感光層以外の層を設けることでレジストからのアウトガスの低減する効果を狙う技術が開示されている。例えば、EUVリソグラフィ用トップコートとして、硼素を具備するグループを含有するポリマーからなるトップコート層を形成する方法(特許文献2を参照)や、活性炭等のアウトガスを吸収する物質を含有するトップコートを設ける方法(特許文献3を参照)などが開示されている。
【特許文献1】特開2006−58404号公報
【特許文献2】特許第4036849号公報
【特許文献3】特開2004−117609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、超微細領域での、特に、電子線、X線またはEUV光リソグラフィにおいて、現像前のレジスト表面が親水性と疎水性の凸凹構造を持つことによる撥水化を抑制し、ムラなく均一に現像が進行するようにすることで、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネスを与え、かつアウトガス低減を同時に実現するパターン形成を可能とするリソグラフィ用基板被覆方法、およびこれに好適な感活性光線または感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記に示す本発明に到達したものである。
(1) 感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いて基板上に膜を被覆する工程と、
該膜上に、トップコート組成物を用いてトップコート層を形成する工程を含むリソグラフィ用基板被覆方法であって、前記感活性光線または感放射線性樹脂組成物として、(A)活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物を、該組成物中の全固形分に対し少なくとも10質量%含有する感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いることを特徴とするリソグラフィ用基板被覆方法。
【0010】
(2) 前記トップコート組成物が、溶媒として水を含むことを特徴とする、(1)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0011】
(3) 前記トップコート組成物が、水溶性樹脂を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0012】
(4) 前記トップコート組成物のpHが1〜10の範囲であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0013】
(5) 前記感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いて形成された膜の膜厚が10〜100nmであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0014】
(6) 前記感活性光線または感放射線性樹脂組成物が、更に、
(B)酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂、
(C)塩基性化合物、及び、
(D)有機溶剤
を含有することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0015】
(7) (C)塩基性化合物の分子量が250〜1000の範囲であり、かつ該塩基性化合物の感活性光線または感放射線性樹脂組成物中の全固形分に対する割合が1.0〜8.0質量%の範囲であることを特徴とする、(6)に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0016】
(8) (A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物として、少なくとも下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化1】

【0017】
一般式(I)において、
1〜R13は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。
Zは単結合または2価の連結基を表す。
-は対アニオンを表す。
【0018】
(9) (B)酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂が、一般式(II)で表される繰り返し単位および一般式(III)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする、(6)〜(8)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化2】

【0019】
一般式(II)及び(III)において、
01は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、または置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
1及びL2は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアラルキル基、又は置換又は無置換のアリール基を表す。
Mは、単結合または2価の連結基を表す。
Qは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリールオキシ基、若しくは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、置換又は無置換の脂環基または芳香環基を表す。
Q、M、L1の少なくとも2つが結合して5員または6員環を形成してもよい。
Aは、複数ある場合は各々独立に、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアシルオキシ基、または置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
m及びnは、各々独立に0〜4の整数を表す。
【0020】
(10) (D)有機溶剤の50質量%以上がプロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする、(6)〜(9)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【0021】
(11) (1)〜(10)のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法に用いられることを特徴とする、(1)〜(10)のいずれかに記載の感活性光線または感放射線性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、超微細領域での、特に、電子線、X線またはEUV光リソグラフィにおいて、特にアンダー露光マージンを拡大して高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネスを満たし、かつアウトガス低減を同時に満足するリソグラフィ用基板被覆方法およびこれに好適な感活性光線または感放射線性樹脂組成物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0024】
<ポジ型レジスト組成物>
〔1〕活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(酸発生剤)(A)
本発明のポジ型レジスト組成物に含有される、活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0025】
酸発生剤として、たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0026】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号公報、特開昭55−164824号公報、特開昭62−69263号公報、特開昭63−146038号公報、特開昭63−163452号公報、特開昭62−153853号公報、特開昭63−146029号公報等に記載の化合物を用いることができる。
【0027】
さらに米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0028】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【化3】

【0029】
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表す。
【0030】
-としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸ア
ニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン等を挙げることができる。
【0031】
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
【0032】
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
【0033】
脂肪族スルホン酸アニオンおよび脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
芳香族スルホン酸アニオン及び芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0034】
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基としてさらにアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0035】
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。これら基はさらに置換基を有していてもよく、その例としては、前記の脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が有していてもよい置換基が挙げられる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
【0036】
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
【0037】
-の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族
スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
【0038】
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
尚、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般
式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0039】
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
【0040】
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
【0041】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0043】
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0044】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
【0045】
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
【0046】
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
【0047】
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0048】
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【化4】

【0049】
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
【0050】
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
【0051】
一般式(ZI−3)で表される化合物の具体例としては、化合物(ZI−3)の好適な具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0047,0048や、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物、等を挙げることができる。
【0052】
一般式(ZII)、(ZIII)中、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアリール基、アルキル基又はシクロアルキル基の具体例、および、これら基が更に有してもよい置換基の具体例に関しては、前記説明した一般式(ZI−1)のR201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基と同様である。
【0053】
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
使用することができる活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【化5】

【0054】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
【0055】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。
【0056】
また、活性光線又は放射線の放射により酸を発生する化合物として、スルホン酸基又はイミド基を1つ有する酸を発生する化合物が好ましく、さらに好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、または1価のフッ素原子またはフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、または1価のフッ素原子またはフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更により好ましくは、フッ化置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸又はフッ素置換イミド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaがpKa=−1以下のフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸、フッ化置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
【化6】

【0057】
【化7】

【0058】
【化8】

【0059】
【化9】

【0060】
【化10】

【0061】
【化11】

【0062】
【化12】

【0063】
酸発生剤として、一般式(I)で表される化合物(酸発生剤A1)が特に好ましい。
【化13】

【0064】
一般式(I)中、
1〜R13は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。
Zは単結合または2価の連結基である。
-は対アニオンを表す。
【0065】
一般式(I)において、R1〜R13の少なくとも1つがアルコール性水酸基を含む置換基であることが好ましい。ここで、アルコール性水酸基とは、アルキル基の炭素原子に結合した水酸基を表す。R1〜R13の少なくとも1つがアルコール性水酸基を含む置換基である場合、R1〜R13は−W−Yで表される。ただし、Yは水酸基で置換されたアルキル基であり、Wは単結合または2価の連結基である。
【0066】
Yのアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができ、好ましくはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基であり、更に好ましくはエチル基、プロピル基、イソプロピル基である。Yは特に好ましくは-CH2CH2OH構造を含有する。
【0067】
Wで表される2価の連結基としては、特に制限は無いが、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などの一価の基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基を挙げることができる。
【0068】
Wとして好ましくは単結合、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基であり、更に好ましくは単結合、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた二価の基である。
【0069】
1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、含まれる炭素数は好ましくは2〜10個であり、更に好ましくは2〜6個であり、特に好ましくは2〜4個である。
1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基は、アルコール性水酸基を2つ以上有してもよい。R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基の有するアルコール性水酸基の数としては1個から6個であり、好ましくは1個から3個であり、更に好ましくは1個である。
一般式(I)で表される化合物の有するアルコール性水酸基の数は、R1〜R13すべてあわせて好ましくは1個から10個であり、より好ましくは1個から6個であり、更に好ましくは1個から3個である。
【0070】
1〜R13における、アルコール性水酸基を含有する置換基以外の置換基としては、いかなるものでもよく、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言っても良い)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基(−B(OH)2)、ホスファト基(−OPO(OH)2)、スルファト基(−OSO3H)、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
【0071】
また、R1〜R13のうちの隣接する2つが共同して環(芳香族、又は非芳香族の炭化水素環、又は複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)を形成することもできる。
【0072】
1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は好ましくは水素原子又はハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、シリル基、ウレイド基である。
【0073】
1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は更に好ましくは水素原子又はハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基である。
【0074】
更に、R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は特に好ましくは水素原子又はアルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、トリシクロアルキル基を含む)、ハロゲン原子、アルコキシ基である。
一般式(I)中、好ましくは、R1〜R13のうち少なくとも1つはアルコール性水酸基を含み、より好ましくは、R9〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含む。
【0075】
Zは単結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては例えば、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、ジスルフィド基、アシル基、アルキルスルホニル基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基、アミノスルホニルアミノ基、等であり、置換基を有してもよい。これらの置換基としては上のR1〜R13に示した置換基と同様である。Zとして好ましくは単結合、アルキレン基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基、アミノスルホニルアミノ基など電子求引性を持たない置換基であり、更に好ましくは単結合、エーテル基、チオエーテル基であり、特に好ましくは単結合である。
【0076】
一般式(I)で表される化合物は、対アニオンX-を有する。対アニオンX-としては、前記一般式(ZI)におけるZ-として説明したアニオンと同様のものが挙げられる。
【0077】
一般式(I)で表される化合物の対アニオンX-としてはスルホン酸アニオンが好ましく、更に好ましくはアリールスルホン酸アニオンである。
対アニオンX-として具体的には、メタンスルホン酸アニオン、トリフロロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフロロプロパンスルホン酸アニオン、パーフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロヘキサンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビストリフロロメチルベンゼンスルホ酸アニオン、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホン酸アニオン、パーフロロエトキシエタンスルホン酸アニオン、2,3,5,6−テトラフロロ−4−ドデシルオキシベンゼンスルホン酸アニオン、p-トルエンスルホン酸アニオン、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸アニオンなどが挙げられる。
【0078】
一般式(I)で表される化合物の分子量は、200〜2000が好ましく、特に好ましくは400〜1000である。
一般式(I)で表される化合物の合成方法については、例えば、米国特許公開公報:US2007/0184384Aの5ページ、段落[0090]以降に記載されている合成方法を参照されたい。
【0079】
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【化14】

【0080】
【化15】

【0081】
【化16】

【0082】
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、酸発生剤の含有量は、組成物の全固形分に対して少なくとも10質量%以上である。好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは20〜50質量%、更に好ましくは22〜50質量%、特に好ましくは25〜50質量%、最も好ましくは25〜40質量%である。この濃度範囲は、従来のArFやKrF用のレジストでは光の透過率などの観点で懸念される濃度範囲である。一方、電子線やEUVでは放射線照射〜酸発生のメカニズムが相違するため、このような濃度範囲でも実用に供することができる。
【0083】
〔2〕酸の作用により分解し、アルカリ水溶液に対する溶解度が増大する樹脂(B)
本発明のポジ型レジスト組成物に用い得る酸により分解し、アルカリ水溶液に対する溶解度が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」又は「樹脂(B)」ともいう)は、樹脂の主鎖又は側鎖、或いは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(酸分解性基)を有する樹脂である。この内、酸分解性基を側鎖に有する樹脂がより好ましい。
【0084】
酸分解性基として好ましい基は、−COOH基、−OH基などのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
本発明においては、酸分解性基は、アセタール基又は3級エステル基が好ましい。
【0085】
これら酸分解性基が側鎖として結合する場合の母体樹脂(B)は、側鎖に−OHもしくは−COOH基を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
【0086】
これらアルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度は、レジスト膜として形成した場合、0.261Nテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)で測定(23℃)して8nm/秒以上が好ましい。特に好ましくは16nm/秒以上である。
【0087】
酸分解性樹脂は、芳香族基を有する繰り返し単位を含有することが好ましく、特に、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有する酸分解性樹脂(以下、「樹脂(B1)」ともいう)であることが好ましい。更に好ましくはヒドロキシスチレン/酸で脱離する基で保護されたヒドロキシスチレン共重合体、ヒドロキシスチレン/(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル共重合体が好ましい。
【0088】
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂中の酸分解性基の数(B)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)をもって、B/(B+S)で表される。樹脂(B1)中の酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.50、更に好ましくは0.05〜0.40である。
【0089】
樹脂(B1)として、特に下記一般式(II)で表される繰り返し単位及び一般式(III)で表される繰り返し単位を有する樹脂が好ましい。
【化17】

【0090】
一般式(II)及び(III)に於いて、
01は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、または置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
1及びL2は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアラルキル基、または置換又は無置換のアリール基を表す。
Mは、単結合または2価の連結基を表す。
Qは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリールオキシ基、もしくはヘテロ原子を含んでいてもよい、置換又は無置換の脂環基または芳香環基を表す。
Q、M、L1の少なくとも2つが結合して5員または6員環を形成しても良い。
Aは、複数ある場合は各々独立に、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアシルオキシ基、または置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
m及びnは各々独立に0〜4の整数を表す。但し、mとnは同時に0でないことが好ましい。
【0091】
また、樹脂(B1)として、一般式(II)で表される繰り返し単位、一般式(III)で表される繰り返し単位、及び一般式(IV)で表される繰り返し単位を有する樹脂であってもよい。なお、この場合は、m=n=0であってもよい。
【化18】

【0092】
一般式(IV)に於いて、
01は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、または置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
Bは、複数ある場合は各々独立に、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアシルオキシ基または置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
pは0〜5の整数を表す。
【0093】
一般式(II)で表される繰り返し単位におけるベンゼン環が有する、−OC(L1)(L2)O−M−Qとしての置換基は、酸の作用により分解し、水酸基(アルカリ可溶性基)を生じる基(酸分解性基)であり、酸により分解し、ヒドロキシスチレン単位を生じ、当該樹脂をアルカリ現像液中での溶解度が増大する樹脂とする。
【0094】
一般式(II)及び(III)に於ける、R01は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはアルコキシカルボニル基を表し、好ましくは炭素数20以下である。
【0095】
01におけるアルキル基またはシクロアルキル基としては、炭素数20個以下が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などである。これらの基は置換基を有していてもよく、例えばアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、チオフェンカルボニルオキシ基、チオフェンメチルカルボニルオキシ基、ピロリドン残基等のヘテロ環残基などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。シクロアルキル基については、置換基としてさらにアルキル基を挙げることができる。R01におけるアルキル基又はシクロアルキル基としては、CF3基、アルコキシカルボニルメチル基、アルキルカルボニルオキシメチル基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基等がさらに好ましい。
【0096】
01におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
01におけるアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基としては、上記R01におけるアルキル基と同様のものが好ましい。
1及びL2としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
【0097】
1及びL2としてのシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15個のシクロアルキル基であって、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基を好ましく挙げることができる。
1及びL2としてアリール基は、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。
1及びL2としてのアラルキル基は、例えば、炭素数6〜20であって、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
また、L1、L2の何れか一方が水素原子であることが好ましい。
【0098】
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−OCO−、−COO−、または−CON(R0)−、およびこれらのうちの複数を含有する連結基である。R0は、水素原子またはアルキル基である。
【0099】
Qとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、上述のL1及びL2としての各基と同様である。
Qとしてのアリールオキシ基は、フェノキシ基、ナフトキシ基、ターフェニルオキシ基等が挙げられる。
Qとしてのヘテロ原子を含んでいてもよい、脂環基もしくは芳香環基としては、上述のL1及びL2としてのシクロアルキル基、アリール基などが挙げられ、好ましくは、炭素数3〜15である。
【0100】
ヘテロ原子を含む脂環基もしくは芳香環基としては、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール、ピロリドン等が挙げられるが、一般にヘテロ環と呼ばれる構造(炭素とヘテロ原子で形成される環、あるいはヘテロ原子にて形成される環)であれば、これらに限定されない。
【0101】
Q、M、L1の少なくとも2つが結合して形成してもよい5員または6員環としては、Q、M、L1の少なくとも2つが結合して、例えば、プロピレン基、ブチレン基を形成して、酸素原子を含有する5員または6員環を形成する場合が挙げられる。
−M−Qで表される基として、炭素数1〜30が好ましく、炭素数5〜20がより好ましく、例えば、−OC(L1)(L2)O−M−Qで表される基として、以下のものが挙げられる。
【化19】

【0102】
【化20】

【0103】
Aとしてのアシル基は、例えば炭素数2〜8個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
【0104】
Aとしてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。
【0105】
Aとしてのアルコキシ基は、例えば炭素数1〜8の上記アルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
【0106】
Aとしてのアシルオキシ基またはアルコキシカルボニル基は、上記アシル基、アルコキシ基に対応する基を挙げることができる。
【0107】
上記各基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。環状構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を挙げることができる。
【0108】
m及びnは独立に0〜4の整数を表す。m及びnは、それぞれ0〜2が好ましく、更に好ましくは1である。
一般式(II)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化21】

【0109】
【化22】

【0110】
一般式(III)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定され
るものではない。
【化23】

【0111】
一般式(IV)におけるR01は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、またはアルコキシカルボニル基を表し、好ましくは炭素数20以下であり、前述の一般式(II)または(III)におけるR01と同様である。
【0112】
一般式(IV)におけるBとしてのアシル基、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基またはアルコキシカルボニル基は、一般式(II)におけるAとしての各基と同様のものが挙げられるが、Bとしては、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アシルオキシ基がより好ましい。また、アシルオキシ基(一般式−O−CO−Rで表される。Rはアルキル基)の中でも、Rの炭素数が1〜6のものが好ましく、Rの炭素数1〜3のものがより好ましく、Rの炭素数が1のもの(即ち、アセトキシ基)が特に好ましい。
pは0〜5の整数を表し、0〜2が好ましく、1〜2がより好ましく、1が更に好ましい。
【0113】
上記各基は置換基を有していてもよく、好ましい置換基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等を挙げることができる。環状構造については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を挙げることができる。
一般式(IV)で表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【化24】

【0114】
樹脂(B1)は、下記一般式(V)で示される繰り返し単位を有していてもよい。
【化25】

【0115】
一般式(V)に於いて、
a〜Rcは、各々独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基またはアルキル基を表す。
1は、水素原子または有機基を表す。
【0116】
一般式(V)に於ける、Ra〜Rcとしてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5個のアルキル基であって、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基を挙げることができる。
【0117】
1としての有機基は、好ましくは炭素数1〜40であり、酸分解性基であっても非酸分解性基であってもよい。
1により表される非酸分解性基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。但し、アルキル基およびシクロアルキル基として、エステル結合の酸素原子と結合している部分が3級炭素であるものは除く。
【0118】
非酸分解性基において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基の様な炭素数1〜4個のものが好ましく、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基の様な炭素数3〜10個のものが好ましく、アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基の様な炭素数2〜4個のものが好ましく、アリール基としてはフェニル基、キシリル基、トルイル基、クメニル基、ナフチル基、アントラセニル基の様な炭素数6〜14個のものが好ましい。
【0119】
1により表される酸分解性基の有機基としては、例えば、−C(R11a)(R12a)(R13a)、−C(R14a)(R15a)(OR16a)、−CO−OC(R11a)(R12a)(R13a)を挙げることができる。
11a〜R13aは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。R14aおよびR15aは、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基を表す。R16aは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。尚、R11a、R12a、R13aのうちの2つ、またはR14a、R15a、R16aのうちの2つが結合して環を形成してもよい。
【0120】
なお、X1には、酸分解性基を有する基を変性により導入することもできる。このようにして、酸分解性基を導入したX1は、例えば、以下のようになる。
−〔C(R17a)(R18a)〕p−CO−OC(R11a)(R12a)(R13a
17aおよびR18aは、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基を表す。pは1〜4の整数である。
【0121】
1としての有機基は、脂環式、芳香環式、有橋脂環式から選ばれる少なくとも1つの環状構造を有する酸分解性基であることが好ましく、芳香族基(特にフェニル基)を含む構造、又は下記一般式(pI)〜(pVI)で表される脂環式又は有橋脂環式構造を含む構造であることが好ましい。
【化26】

【0122】
式中、R11は、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、Zは、炭素原子とともに脂環式炭化水素基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかは脂環式炭化水素基を表す。
【0123】
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又は脂環式炭化水素基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の直鎖もしくは分岐のアルキル基、又は脂環式炭化水素基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つは脂環式炭化水素基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0124】
一般式(pI)〜(pVI)において、R11〜R25におけるアルキル基としては、置換もしくは非置換のいずれであってもよい、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。そのアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0125】
また、上記アルキル基の更なる置換基としては、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アシル基、アシルオキシ基、シアノ基、水酸基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基等を挙げることができる。
【0126】
12〜R25における脂環式炭化水素基、あるいはZと炭素原子が形成する脂環式炭化水素基としては、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
【0127】
本発明においては、上記脂環構造としての好ましいものとしては、アダマンチル構造、ノルアダマンチル構造、デカリン構造、トリシクロデカニル構造、テトラシクロドデカニル構造、ノルボルニル構造、セドロール構造、シクロペンタン構造、シクロヘキシル構造、シクロヘプチル構造、シクロオクチル基構造、シクロデカニル構造、シクロドデカニル構造を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル構造、デカリン構造、ノルボルニル構造、セドロール構造、シクロヘキシル構造、シクロヘプチル構造、シクロオクチル構造、シクロデカニル構造、シクロドデカニル構造である。
【0128】
脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基が挙げられる。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
【0129】
また、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基は、更に置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキルカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルカルボニルオキシ基基(好ましくは炭素数2〜5)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)等を挙げることができる。
また、X1の酸分解性基としては、特開2008−096951号公報等に記載の、−CH(Rn)−ARで表される原子団も好ましい。ここで、Rnはアルキル基又はアリール基、ARはアリール基を表す。
【0130】
なお、樹脂(B1)は、アルカリ現像液に対する良好な現像性を維持するために、アルカリ可溶性基、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、ヘキサフルオロイソプロパノール基(−C(CF3)2OH)が導入され得るように適切な他の重合性モノマーが共重合されていてもよいし、膜質向上のためにアルキルアクリレートやアルキルメタクリレートのような疎水性の他の重合性モノマーが共重合されてもよい。
【0131】
一般式(II)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(B1)を構成する全繰り返し単位中、好ましくは5〜60モル%、より好ましくは10〜50モル%、特に好ましくは10〜40モル%である。
一般式(III)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(B1)を構成する全繰り返し単位中、好ましくは40〜90モル%、より好ましくは45〜80モル%、特に好ましくは50〜75モル%である。
【0132】
一般式(IV)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(B1)を構成する全繰り返し単位中、好ましくは0〜50モル%、より好ましくは10〜40モル%、特に好ましくは15〜30モル%である。
一般式(V)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(B1)を構成する全繰り返し単位中、好ましくは0〜30モル%、より好ましくは0〜20モル%、特に好ましくは0〜10モル%である。
【0133】
水酸基以外の、カルボキシ基、スルホン酸基などのアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂を構成する全繰り返し単位中、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは1〜8モル%、特に好ましくは2〜6モル%である。
樹脂(B1)の合成は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合のいずれの方法を用いても重合することが出来る。共重合反応制御の観点からラジカル重合法が好ましい。また分子量、分子量分布制御の観点からリビングラジカル重合法が好ましい。具体的にはニトロキシド化合物、原子移動重合法系、RAFT剤から選ばれる化合物とラジカル重合開始剤(アゾ系、過酸化物系)とを併用する方法が挙げられる。酸分解性保護基の導入は、酸分解性保護基をもつモノマーを共重合する方法、フェノール性水酸基等のアルカリ可溶性水酸基もしくはカルボキシル基を持つ樹脂に対して保護基を導入する方法のいずれでも可能である。また、欧州特許第254853号明細書、特開平2−258500号公報、同3−223860号公報、同4−251259号公報に記載されているような、アルカリ可溶性樹脂に酸で分解しうる基の前駆体を反応させる方法、もしくは、酸で分解しうる基を有するモノマーを種々のモノマーと共重合する方法など公知の合成法により合成することができる。
【0134】
合成された樹脂は、通常、高分子合成で一般的な再沈・洗浄等の方法により、所望の性能に悪影響を与えうる未反応モノマー等の不純物を精製した上でレジスト組成物に用いられる。
【0135】
樹脂(B1)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、15000以下が好ましく、より好ましくは1,000〜10,000、更に好ましくは3,000〜8,000であり、特に好ましくは、4,000〜6,000である。
樹脂(B1)の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜3.0が好ましく、より好ましくは1.05〜2.0であり、更により好ましくは1.1〜1.7である。
また、樹脂(B1)は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
樹脂(B1)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【化27】

【0136】
【化28】

【0137】
本発明のポジ型レジスト組成物において、酸分解性樹脂の組成物中の配合量は、組成物の全固形分中、45〜90質量%が好ましく、より好ましくは55〜85質量%、更により好ましくは60〜80質量%である。
なお、上記では一般式(II)、(III)で表される繰り返し単位を有する樹脂を中心に説明したが、本発明の酸分解性樹脂においてこれ以外の樹脂を排除するものではない。
【0138】
〔3〕塩基性化合物(C)
本発明のレジスト組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。塩基性化合物は、露光により発生した酸による脱保護反応をクエンチする役割を果たし、その拡散性や塩基性度が実質的な酸拡散性に影響する。
好ましい構造として、下記式(A)〜(E)で示される構造を有する塩基性化合物を挙げることができる。
【化29】

【0139】
ここでR250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜20)であり、ここでR250とR251は互いに結合して環を形成してもよい。
【0140】
これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
【0141】
式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)又はシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6)を示す。
【0142】
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
【0143】
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等があげられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンなどがあげられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドなどがあげられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等があげられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
【0144】
更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の含窒素化合物を挙げることができる。 前記フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合していることが好ましい。また、前記アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でも−CH2CH2O−、−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−の構造が好ましい。
【0145】
前記フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物の具体例としては、US2007/0224539Aの段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。
塩基性化合物の分子量は、250〜1000であることが好ましく、より好ましくは250〜800、更に好ましくは400〜800である。
塩基性化合物の含有量は、該組成物の全固形分に対して、1.0〜8.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜5.0質量%、更に好ましくは2.0〜4.0質量%である。
【0147】
〔4〕固形分濃度および有機溶剤(D)
本発明のレジスト組成物は、上記の成分を溶剤に溶解して、調製する。
組成物の全固形分濃度は、特に限定されないが、微細なパターンを形成する場合には、薄膜のレジスト膜を形成する必要があるため、1.0〜4.5質量%に調整することが好ましい。
なお、本発明においては、上記濃度範囲に調製することで、経時による感度変動を抑制することも可能である。
レジスト組成物中の全固形分濃度は、更に好ましくは2.0〜4.0質量%、特に好ましくは2.0〜3.0質量%である。
全固形分とは、組成物から溶剤を除いたものに相当し、組成物から形成される、乾燥後の塗膜の質量に相当する。
【0148】
レジスト組成物の調製のための有機溶剤(D)としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等などの有機溶剤が好ましく、更に好ましくは、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルであり、特に好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
【0149】
溶剤は、1種単独でも2種以上を混合した混合溶剤であってもよい。
全有機溶剤量のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルを50質量%以上含有することが特に好ましく、50〜80質量%含有することが最も好ましい。プロピレングリコールモノメチルエーテルと併用する溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、乳酸エチルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが最も好ましい。
本発明のレジスト組成物には、上記成分のほかに、以下のような成分を含有してもよい。
【0150】
〔5〕フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(E)
本発明のレジスト組成物は、更に、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
【0151】
本発明のレジスト組成物がフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤とを含有することにより、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
【0152】
これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0153】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0154】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0155】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オ
キシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有
するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(
オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を
有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0156】
フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、レジスト組成物の全固形分に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0157】
〔6〕酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(F)
(F)酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「(F)成分」或いは「溶解阻止化合物」ともいう。)としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceedingof SPIE, 2724, 355 (1996)に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体の様な、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
【0158】
本発明のレジスト組成物を、電子線で照射する場合には、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含有するものが好ましい。フェノール化合物としてはフェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、さらに好ましくは2〜6個含有するものである。
【0159】
本発明における溶解阻止化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
溶解阻止化合物の添加量は、レジスト組成物の全固形分に対し、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に溶解阻止化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【化30】

【0160】
〔7〕その他の添加剤
本発明のレジスト組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、上記(E)成分以外の界面活性剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
【0161】
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
【0162】
これら溶解促進性化合物の好ましい添加量は、(A)成分の樹脂に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。現像残渣抑制、現像時パターン変形防止の点で50質量%以下が好ましい。
【0163】
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号公報、特開平2−28531号公報、米国特許第4916210号明細書、欧州特許第219294号明細書等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
【0164】
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0165】
本発明においては、上記(E)フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を加えることもできる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪族エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類等のノニオン系界面活性剤を挙げることができる。
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0166】
<トップコート組成物>
本発明のリソグラフィ用基板被覆方法において、トップコート層の形成に用いられるトップコート組成物について説明する。
本発明のトップコート組成物は溶媒が水または有機溶剤であることが好ましい。より好ましくは水である。
溶媒が有機溶剤である場合、レジスト膜を溶解しない溶剤であることが好ましい。使用しうる溶剤としては、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤、炭化水素系溶剤を用いることが好ましく、非フッ素系のアルコール系溶剤を用いることが更に好ましい。アルコール系溶剤としては、塗布性の観点からは1級のアルコールが好ましく、更に好ましくは炭素数4〜8の1級アルコールである。炭素数4〜8の1級アルコールとしては、直鎖状、分岐状、環状のアルコールを用いることができるが、直鎖状、分岐状のアルコールが好ましい。具体的には、例えば1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−ペンタノールおよび3−メチル−1−ブタノールなどが挙げられる。
【0167】
本発明のトップコート組成物の溶媒が水である場合、水溶性樹脂を含有することが好ましい。このような選択を行うことにより、現像液の濡れ性の均一性をより高めることができると考えられる。好ましい水溶性樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリアクリルイミド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール、多糖類、等が挙げられる。特に好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールである。なお、水溶性樹脂としてはホモポリマーのみに限定されず、共重合体であっても構わない。例えば、上記で挙げたホモポリマーの繰り返し単位に相当するモノマーと、それ以外のモノマー単位を有する共重合体であってもよい。具体的には、アクリル酸―メタクリル酸共重合体、アクリル酸−ヒドロキシスチレン共重合体なども本発明に用いることができる。
【0168】
水溶性樹脂の重量平均分子量は、特に制限はないが、2000から100万が好ましく、更に好ましくは5000から50万、特に好ましくは1万から10万である。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(キャリア:THFあるいはN−メチル−2−ピロリドン(NMP))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
【0169】
トップコート組成物のpHは、特に制限はないが、好ましくは1から10、更に好ましくは2から8、特に好ましくは3から7である。
トップコート組成物の溶剤が有機溶媒である場合、トップコート組成物は疎水性樹脂を含有することが好ましい。疎水性樹脂としては、特開2008−209889号公報に記載の疎水性樹脂を用いることが好ましい。
トップコート組成物中の樹脂の濃度は、好ましくは0.1から10質量%、さらに好ましくは0.2から5質量%、特に好ましくは0.3から3質量%である。
【0170】
トップコート材料には樹脂以外の成分を含んでもよいが、トップコート組成物の固形分に占める樹脂の割合は、好ましくは80から100質量%であり、更に好ましくは90から100質量%、特に好ましくは95から100質量%である。トップコート材料に添加する樹脂以外の成分としては、光酸発生剤や塩基性化合物が好ましい成分として挙げられる。これらの具体的化合物としては、レジスト組成物で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0171】
トップコート材料に添加し得る樹脂以外の成分としては、界面活性剤、光酸発生剤、塩基性化合物などが挙げられる。光酸発生剤及び塩基性化合物の具体例としては、上述した酸発生剤及び塩基性化合物と同様の化合物が挙げられる。
【0172】
界面活性剤を使用する場合、界面活性剤の使用量は、トップコート組成物の全量に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
処理剤に界面活性剤を添加することによって、処理剤を塗布する場合の塗布性が向上する。界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性および両性界面活性剤が挙げられる。
【0173】
ノニオン性界面活性剤としては、BASF社製のPlufaracシリーズ、青木油脂工業社製のELEBASEシリーズ、ファインサーフシリーズ、ブラウノンシリーズ、旭電化工業社製のアデカプルロニック P-103、花王ケミカル社製のエマルゲンシリーズ、アミートシリーズ、アミノーン PK-02S、エマノーン CH-25、レオドールシリーズ、AGCセイミケミカル社製のサーフロン S-141、第一工業製薬社製のノイゲンシリーズ、竹本油脂社製のニューカルゲンシリーズ、日信化学工業社製のDYNOL604、エンバイロジェムAD01、オルフィンEXPシリーズ、サーフィノールシリーズ、菱江化学社製のフタージェント 300、等を用いることができる。
【0174】
アニオン性界面活性剤として、花王ケミカル社製のエマール20T、ポイズ 532A、TOHO社製のフォスファノール ML-200、クラリアントジャパン社製のEMULSOGENシリーズ、AGCセイミケミカル社製のサーフロンS-111N、サーフロンS-211、第一工業製薬社製のプライサーフシリーズ、竹本油脂社製のパイオニンシリーズ、日信化学工業社製のオルフィンPD-201、オルフィンPD-202、日本サーファクタント工業社製のAKYPO RLM45、ECT-3、ライオン社製のライポン、等を用いる事ができる。
【0175】
カチオン性界面活性剤として、花王ケミカル社製のアセタミン24、アセタミン86等を用いる事ができる。
両性界面活性剤として、サーフロンS-131(AGCセイミケミカル社製)、エナジコールC-40H、リポミン LA (以上 花王ケミカル社製)等を用いる事ができる。
またこれらの界面活性剤を混合して用いることもできる。
【0176】
<リソグラフィ用基板被覆方法、およびパターン形成方法>
本発明のリソグラフィ用基板被覆方法では、基板上に上記ポジ型レジスト組成物を用いてフォトレジスト層が形成され、該フォトレジスト層上に上記トップコート組成物を用いてトップコート層が形成される。このレジスト層の膜厚は、好ましくは10〜100nmであり、トップコート層の膜厚は、好ましくは10〜200nm、更に好ましくは20〜100nm、特に好ましくは40〜80nmである。
【0177】
基板上にポジ型レジスト組成物を塗布する方法としては、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。
【0178】
例えば、ポジ型レジスト組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、レジスト膜を形成する。なお、予め公知の反射防止膜を塗設することもできる。また、トップコート層の形成前にレジスト膜を乾燥することが好ましい。
【0179】
次いで、得られたレジスト層上に、上記レジスト層の形成方法と同様の手段によりトップコート組成物を塗布、乾燥し、トップコート層を形成する。
【0180】
トップコート層を上層に有するレジスト膜に、通常はマスクを通して、電子線(EB)、X線又はEUV光を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像する。これにより良好なパターンを得ることができる。
【0181】
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。レジスト組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
【0182】
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
【実施例】
【0183】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
<樹脂(R−1)の合成>
p−tert−ブトキシスチレンをアニオン重合した後、酸により脱保護することで、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)を得た。GPC(キャリア:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)から求めた重量平均分子量(Mw)は、Mw=3300、分散度(Pd)は1.2であった。
【0184】
十分に脱水したポリ(p−ヒドロキシスチレン)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合溶液(固形分20.0質量%)50.0質量部に、シクロヘキシルエチルビニルエーテル3.21質量部を加えた。続いて、p−トルエンスルホン酸とPGMEAの混合溶液(固形分1.0質量%)1.58質量部を加え、室温、攪拌下で1時間反応させた。
【0185】
ピリジン0.99質量部を加えた後、無水酢酸0.85質量部を加えて、室温、攪拌下で更に2時間反応させた。
【0186】
反応終了後、水洗、濃縮を行い、多量のヘキサンで再沈、ろ過、乾燥させることで、ポリマー(R−1)の粉体11.9質量部を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、Mw=5000、Pd=1.2であった。
【0187】
<樹脂(R−2)〜(R−5)、(R−9)〜(R−11)の合成>
樹脂(R−1)と同様の合成方法により、樹脂(R−2)〜(R−5)及び(R−9)〜(R−11)を合成した。
【0188】
以下、本発明の樹脂(R−1)〜(R−5)及び(R−9)〜(R−11)について、それぞれの構造、組成比、重量平均分子量(Mw)、分散度(Pd)を示す。
【化31】

【0189】
〔実施例1〜19及び比較例1〜3〕
<レジスト調製>
下記表1に示した成分を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=60/40(質量比)混合溶剤に溶解させ、これを0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して全固形分濃度1.8質量%の組成物を調製した。
【0190】
表1に記載した各成分の割合(質量%)は、全固形分を基準とする。界面活性剤(W−1)の割合は、全固形分に対し0.05質量%であり、樹脂(A)の割合(質量%)は、全固形分(100質量%)から光酸発生剤、塩気性化合物及び界面活性剤の割合(質量%)を差し引いた値である。
【0191】
<トップコート組成物調製>
下記表1に示した成分を、表1に示した溶媒に溶解させ、これを0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して全固形分濃度1質量%の組成物を調製した。水溶液のトップコート組成物の場合は、1N硫酸水溶液および4%アンモニア水を用いて表1に示すpHに調整した。
【0192】
<レジスト評価(EB)>
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレートにて加熱乾燥を行い、膜厚60nmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜上に表1に記載のトップコート材料をスピンコートで均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレートにて加熱乾燥を行い、レジスト層とトップコート層合計膜厚が100nmの膜を形成した。
【0193】
この膜を、電子線照射装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50keV)を用いて電子線照射を行った。照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上にて加熱した。更に濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥し、ラインアンドスペースパターンを形成し、得られたパターンを下記方法で評価した。
【0194】
〔アンダー露光最大ライン幅評価〕
150nmラインアンドスペースパターン(1:1)を、電子照射量を変化させて形成した際、ラインが繋がらずに解像した最大のライン幅をアンダー露光最大ライン幅とした。本ライン幅が大きいほどアンダー露光マージンが広い。
【0195】
〔アウトガス評価〕
電子線照射装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50keV)を用いて全面露光を行い、現像にて完全溶解するのに必要な最小の照射エネルギーをEthとしたとき、Ethの1.5倍の照射エネルギーを与えた後の露光後の膜厚減少幅(シュリンク膜厚)からアウトガス量を簡易評価した。シュリンク膜厚は、露光によってレジスト膜から揮発した成分の量と相関があるため、シュリンク膜厚が小さいほどアウトガス特性に優れることがわかる。
【表1】

【0196】
実施例、比較例で用いた樹脂(A)以外の素材を以下に示す。
【0197】
<塩基性化合物>
【化32】

【0198】
<トップコート材料に使用した樹脂>
T−1: ポリアクリル酸 ジュリマーAC−10L(日本純薬(株)製)
T−2: ポリ(N−ビニルピロリドン) Luviskol K90 (BASFジャパン(株)製)
T−3: (ビニルアルコール60/酢酸ビニル40)共重合体 SMR-8M (信越化学工業(株)製)
T−4: プルラン PI−20 ((株)林原製)
(以上、水溶性樹脂)
【化33】

【0199】
実施例、比較例で用いた界面活性剤、溶剤を以下に示す。
【0200】
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製、フッ素系)
〔レジスト溶剤〕
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
S1/S2=60/40(質量比)
〔トップコート材料の溶剤〕
SL−1:1−ブタノール
SL−2:パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン
表1の結果からわかるように、本発明の基板被覆方法を用いることにより、アンダー露光での抜け性が良化し、かつアウトガスも低減できる。
【0201】
EB露光における実施例1、10および17の組成物について、EUV露光を行い、同様の評価を行ったところ、同様の良好な効果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いて基板上に膜を被覆する工程と、
該膜上に、トップコート組成物を用いてトップコート層を形成する工程を含むリソグラフィ用基板被覆方法であって、
前記感活性光線または感放射線性樹脂組成物として、(A)活性光線または放射線の照射により分解して酸を発生する化合物を、該組成物中の全固形分に対し少なくとも10質量%含有する感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いることを特徴とするリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項2】
前記トップコート組成物が、溶媒として水を含むことを特徴とする、請求項1に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項3】
前記トップコート組成物が、水溶性樹脂を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項4】
前記トップコート組成物のpHが1〜10の範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項5】
前記感活性光線または感放射線性樹脂組成物を用いて形成された膜の膜厚が10〜100nmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項6】
前記感活性光線または感放射線性樹脂組成物が、更に、
(B)酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂、
(C)塩基性化合物、及び、
(D)有機溶剤
を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法
【請求項7】
(C)塩基性化合物の分子量が250〜1000の範囲であり、かつ該塩基性化合物の感活性光線または感放射線性樹脂組成物中の全固形分に対する割合が1.0〜8.0質量%の範囲であることを特徴とする、請求項6に記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項8】
(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物として、少なくとも下記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化1】

一般式(I)において、
1〜R13は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。
Zは単結合または2価の連結基を表す。
-は対アニオンを表す。
【請求項9】
(B)酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂が、一般式(II)で表される繰り返し単位および一般式(III)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【化2】

一般式(II)及び(III)において、
01は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、または置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
1及びL2は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアラルキル基、又は置換又は無置換のアリール基を表す。
Mは、単結合または2価の連結基を表す。
Qは、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリールオキシ基、若しくは、ヘテロ原子を含んでいてもよい、置換又は無置換の脂環基または芳香環基を表す。
Q、M、L1の少なくとも2つが結合して5員または6員環を形成してもよい。
Aは、複数ある場合は各々独立に、ハロゲン原子、シアノ基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のアシルオキシ基、または置換又は無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
m及びnは、各々独立に0〜4の整数を表す。
【請求項10】
(D)有機溶剤の50質量%以上がプロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のリソグラフィ用基板被覆方法に用いられることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の感活性光線または感放射線性樹脂組成物。

【公開番号】特開2010−160283(P2010−160283A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1954(P2009−1954)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】