説明

リフト装置及びそれを備えた車両盗難防止システム

【課題】利便性の高い車両を昇降可能なリフト装置を提供すること。
【解決手段】リフト装置30は、車両20を昇降することが可能ものである。そして、車両ドア錠車両ドア錠22を施解錠することが可能な電子キー10により、昇降駆動を可能としたことを特徴としている。これにより、車両ドア錠22の施解錠を行うキーとリフト装置30の昇降を行うキーを別々に所持する必要がなくなり、煩わしさが解消され、利便性をが高めることができる。また、車両ドア錠22を施錠するとともに、リフト装置30で車両20を上昇させることができる。これにより、二重のセキュリティ対策を施すことが可能であり、防犯性も高めることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の盗難を防止するためのリフト装置及びそれを備えた車両盗難防止システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両盗難防止を図るべく、車両所有者の携帯機の有する携帯機側IDコードと車両側に予め登録された車両側IDコードとの照合を行い、両コードが一致する場合に盗難防止機能を解除してエンジンの始動等を許可する車両盗難防止システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、車両所有者によらない不正なエンジン始動を抑制することが可能になる。
【0003】
ところで、近年、住宅の停電時等に、ガレージに駐車したエンジン駆動自動車やハイブリッド電気自動車(EHV)から住宅に電力を供給するシステムが考えられている。この技術は、車両搭載エンジンにより車両搭載発電機を駆動し、その発電電力を住宅に供給しようとするものである。
【0004】
このような、住宅に電力を供給する車両を含むシステムでは、住宅への電力供給時には、車両のエンジンは起動状態にある。そのため、特許文献1に記載の技術では車両の盗難を十分に抑止できない。
【0005】
車両の盗難を防止するための他の手法として、所定の場所に駐車した車両をリフトアップし、車両の移動を抑制するリフト装置が考えられる。しかし、通常車両をリフトアップするためには、車両キーとは別のキーやリフト用リモコンを用いなければならず、車両キーの他にこれらを所持するのは煩わしい。
【特許文献1】特開2005−297919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、利便性の高いリフト装置及びそれを備えた車両盗難防止システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.本発明のリフト装置(リフト装置30)は、車両(車両20)を昇降することが可能ものである。そして、車両のドア錠(車両ドア錠22)を施解錠することが可能なキー(電子キー10)により、昇降駆動を可能としたことを特徴としている。これにより、車両ドア錠の施解錠を行うキーとリフト装置の昇降を行うキーを別々に所持する必要がなくなり、煩わしさが解消され、利便性をが高めることができる。また、車両のドア錠を施錠するとともに、リフト装置で車両を上昇させることができる。これにより、二重のセキュリティ対策を施すことが可能であり、防犯性も高めることが可能となる。
【0009】
手段2.前記キーから送信される信号を受信可能な受信手段(受信回路132,受信アンテナ133)と、前記車両を支持する支持部(昇降台31)を昇降駆動するリフト駆動部(リフト駆動部136)と、前記受信手段で受信した前記キーからの信号に基づいて前記リフト駆動部に昇降信号を出力する昇降制御部(リフト側マイコン137)とを有することが望ましい。これによると、キーの所持者はキーを鍵穴に差し込んで回す等の行為をしなくても、車両を昇降させることができる。その結果、高い利便性を確保することができる。
【0010】
手段3.前記キーから送信される前記キーに固有の識別情報を受信可能な受信手段(受信回路132,受信アンテナ133)と、前記車両を支持する支持部(昇降台31)を昇降駆動するリフト駆動部(リフト駆動部136)と、前記受信手段で受信した識別情報と予め記憶された登録情報とを照合し、前記識別情報と前記登録情報との照合結果に基づいて前記リフト駆動部に昇降信号を出力する昇降制御部(リフト側マイコン137)とを有することが望ましい。これにより、登録されていないキーでは車両を昇降させることができないので、高い防犯性を確保することができる。
【0011】
手段4.前記キーに固有の識別情報の送信を要求するリクエスト信号を前記リフト装置周辺の所定領域に送信する送信手段(送信回路138,送信アンテナ139)と、前記リクエスト信号に対して前記キーが送信した識別情報を受信する受信手段(受信回路132,受信アンテナ133)と、前記車両を支持する支持部(昇降台31)を昇降駆動するリフト駆動部(リフト駆動部136)と、前記受信手段が受信した識別情報と予め記憶された登録情報とを照合し、当該識別情報が認証された場合は前記リフト駆動部に前記車両を移動可能な高さ位置に駆動する駆動信号を出力し、当該識別情報が認証されない場合は前記リフト駆動部に前記車両を移動不可能な高さ位置に駆動する駆動信号を出力する昇降制御部(リフト側マイコン137)とを有することが望ましい。
【0012】
これによると、予めリフト装置の昇降制御部に識別情報が記憶されているキーがリフト装置周辺の所定領域内に入ると、リフト装置の支持部が昇降駆動され、車両が移動可能な状態となる。また、このキーがリフト装置周辺の所定領域外に出ると、リフト装置の支持部が昇降駆動され、車両が移動できない状態となる。このため、キーの所持者は特別な操作をすることなく、車両に近づいたり、離れたりするだけで、車両を昇降させることができ、高い利便性を確保することが可能になる。
【0013】
手段5.前記キーから送信される識別情報を、登録情報として前記昇降制御部に登録可能な登録手段を設けることが望ましい。これにより、前記リフト駆動部に昇降信号が出力されうるキーの識別情報を追加して登録することが可能になる。その結果、例えば、複数台車両を所有している場合においても、そのすべての車両のキーを追加登録することができ、どのキーでもリフト装置を昇降させることが可能となり、利便性が高まる。
【0014】
手段6.前記車両の停止位置を検出する位置センサ(位置センサ134)を設け、前記昇降制御部は、前記位置センサにより車両が所定の許可範囲内に停止されていないことが検出された場合には、前記リフト駆動部による車両の昇降を禁止することが望ましい。これにより、車両が昇降に不適切であるような不安定な位置でのリフト装置の昇降を禁止することができ、安全を確保することができる。
【0015】
手段7.当該リフト装置周辺の所定エリアにおける人又は物等の存在を検出するエリアセンサを設け、前記昇降制御部は、前記エリアセンサにより前記リフト装置周辺の所定エリアにおける人又は物等の存在を検出された場合には、前記リフト駆動部による車両の昇降を禁止することが望ましい。これにより、リフト装置周辺に障害物等がある場合等にリフト装置の昇降を禁止することができ、安全を確保することができる。
【0016】
手段8.前記車両の重量を計測する重量センサを設け、前記昇降制御部は、前記重量センサにより、前記車両の重量が所定値以上であることが検出された場合には、前記リフト駆動部による車両の昇降を禁止することが望ましい。これにより、例えば車両に人が残されている場合のように、車両の重量が規定のものより大きいことが検出された場合におけるリフト装置の昇降を抑制でき、安全を確保することができる。
【0017】
手段9.建物に付随して設けた駐車スペースに、前記リフト装置を設置することが望ましい。これにより、建物に付随した駐車スペースで防犯性を高めることができる。特に、車両から住宅等の建物に電力を供給する場合のように、建物に付随して設けた駐車スペースにおいてエンジン起動状態で駐車するような場合の防犯性を高めることが可能となる。
【0018】
手段10.本発明の車両盗難防止システムでは、車両のドア錠を施解錠することか可能なキーにより車両を昇降することが可能なリフト装置と、前記キーから送信される信号に基づいて、車両のドア錠を施解錠可能な車両制御ユニット(車両制御ユニット21)とを備えるものである。そして、前記車両制御ユニットは、前記キーから送信される信号を受信可能な受信手段(受信回路25,受信アンテナ26)と、前記リフト装置に信号を送信可能な送信手段(送信回路23,送信アンテナ24)と、前記受信手段で受信した前記キーからの信号に基づいて前記車両のドア錠に施解錠信号を出力するとともに、前記送信手段から前記リフト装置に向けてリフト駆動信号を送信させる車両制御部(車両側マイコン27)とを有し、前記リフト装置は、前記車両制御ユニットの送信手段から送信されるリフト駆動信号を受信可能な受信手段(受信回路32,受信アンテナ33)と、前記車両を支持する支持部(昇降台31)を昇降駆動するリフト駆動部(リフト駆動部36)と、前記受信手段で受信したリフト駆動信号に基づいて前記リフト駆動部に昇降信号を出力する昇降制御部(リフト側マイコン37)とを有する。
【0019】
これによると、キーの所持者はキーを鍵穴に差し込んで回す等の行為をしなくても、車両を昇降させることができる。その結果、高い利便性を確保することができる。また、車両制御ユニットを介することにより、車両のドア錠とリフト装置の昇降とを連動させることが可能となる。これにより、車両のドア錠の施解錠と連動しない車両の昇降を抑止することができ、安全性を高めることが可能となる。
【0020】
手段11.前記車両制御ユニット(車両制御ユニット21)は、前記キーから送信される前記キーに固有の識別情報を受信可能な受信手段(受信回路25,受信アンテナ26)と、前記リフト装置に信号を送信可能な送信手段(送信回路23,送信アンテナ24)と、前記受信手段で受信した識別情報と予め記憶された登録情報とを照合し、前記識別情報と前記登録情報との照合結果に基づいて前記車両のドア錠に施解錠信号を出力するとともに、前記送信手段から前記リフト装置に向けてリフト駆動信号を送信させる車両制御部(車両側マイコン27)とを有し、前記リフト装置は、前記車両の送信手段から送信されるリフト駆動信号を受信可能な受信手段(受信回路32,受信アンテナ33)と、前記車両を支持する支持部(昇降台31)を昇降駆動するリフト駆動部(リフト駆動部36)と、前記受信手段で受信したリフト駆動信号に基づいて前記リフト駆動部に昇降信号を出力する昇降制御部(リフト側マイコン37)とを有することが望ましい。これにより、登録されていないキーでは車両を昇降させることができないので、高い防犯性を確保することができる。
【0021】
手段12.前記車両制御ユニット(車両制御ユニット21)は、前記キーに固有の識別情報の送信を要求するリクエスト信号を前記車両周辺の所定領域に送信するとともに、前記リフト装置に信号を送信可能な送信手段(送信回路23,送信アンテナ24)と、前記リクエスト信号に対して前記キーが送信した識別情報を受信する受信手段(受信回路25,受信アンテナ26)と、前記受信手段が受信した識別情報と予め記憶された登録情報とを照合し、前記識別情報が認証された場合は前記車両のドア錠を解錠状態とするとともに、前記車両の送信手段から前記リフト装置に向けて前記車両を移動可能な高さ位置に駆動する駆動信号を送信し、前記識別情報が認証されない場合は前記車両のドア錠を施錠状態とするとともに、前記車両の送信手段から前記リフト装置に向けて前記車両を移動不可能な高さ位置に駆動する駆動信号を送信をする車両制御部(車両側マイコン27)とを有し、前記リフト装置は、前記車両の送信手段から送信されるリフト上昇信号又はリフト下降信号を受信可能な受信手段(受信回路32,受信アンテナ33)と、前記車両を支持する支持部(昇降台31)を昇降駆動するリフト駆動部(リフト駆動部36)と、前記受信手段で受信したリフト上昇信号又はリフト下降信号に基づいて前記リフト駆動部(リフト側マイコン37)にリフト上昇信号又はリフト下降信号を出力する昇降制御部とを有することが望ましい。
【0022】
これによると、予め車両制御ユニットの制御部に識別情報が記憶されているキーが車両周辺の所定領域内に入ると、車両のドア錠が解錠状態とされるとともに、リフト装置の支持部が昇降駆動され、車両が移動可能な状態となる。また、このキーが車両周辺の所定領域外に出ると、車両のドア錠が施錠状態とされるとともに、リフト装置の支持部が昇降駆動され、車両が移動できない状態となる。このため、キーの所持者は特別な操作をすることなく、車両に近づいたり、離れたりするだけで、車両ドア錠の施解錠及び車両の昇降をさせることができ、高い利便性を確保することが可能になる。
【0023】
手段13.前記車両制御ユニットに、前記キーから送信される識別情報を、登録情報として前記車両制御部に登録可能な登録手段を設けることが望ましい。これにより、前記リフト装置に向けてリフト駆動信号が出力されうるキーの識別情報を追加して登録することが可能になる。その結果、例えば、複数台車両を所有している場合においても、そのすべての車両のキーを追加登録することができ、どのキーでもリフト装置を昇降させることが可能となり、利便性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る車両盗難防止システムの概略構成図である。図2は本発明の車両盗難防止システムの構成を示すブロック図である。図3は車両制御ユニットにおける制御の流れを示すフローチャートである。また、図4はリフト装置における制御の流れを示すフローチャートである。
【0025】
図1に示すように、車両盗難防止システムは、車両20の所有者によって所持される電子キー10と、車両制御ユニット21を搭載した車両20と、リフト装置30とから構成されている。リフト装置30は、住宅の駐車場等に設置されるものである。そして、リフト装置30の昇降台31に車両20が載った状態で車両20を昇降又は下降させることが可能となっている。電子キー10は遠隔操作により、車両20のドア錠の施解錠を指示するものである。また、車両制御ユニット21は、電子キー10からのドア錠の施解錠指示を受けてドア錠の施解錠を行うとともに、リフト装置30に昇降を指示するものである。
【0026】
以下、図2に基づいて、本車両盗難防止システムの詳細について説明する。
【0027】
<電子キー10の構成>
図2に示すように、電子キー10は、送信回路11、送信アンテナ12、受信回路13、受信アンテナ14及び電子キー側マイコン15を含んで構成されている。送信回路11には送信アンテナ12が電気的に接続され、受信回路13には受信アンテナ14が電気的に接続されている。受信回路13は、受信アンテナ14によって受信した車両制御ユニット21から送信されるリクエスト信号を電子キー側マイコン15に出力する。
【0028】
電子キー側マイコン15には、IDコード(固有の識別情報)が予め記憶されている。そして、電子キー側マイコン15は、受信回路13からリクエスト信号が入力された場合には、所定のIDコードを含む送信信号(IDコード信号)を送信回路11に出力する。送信回路11は、このIDコード信号を所定周波数の電波に変調して送信アンテナ12から送信する。
【0029】
<車両20の構成>
図2に示すように、車両20は、車両制御ユニット21と車両ドア錠22とを含んで構成されている。車両制御ユニット21は、送信回路23、送信アンテナ24、受信回路25、受信アンテナ26及び車両側マイコン27を含んで構成されている。送信回路23には送信アンテナ24が電気的に接続され、受信回路25には受信アンテナ26が電気的に接続されている。
【0030】
送信回路23は、車両側マイコン27から出力されるリクエスト信号を所定周波数の電波に変調し、送信アンテナ24から送信する。したがって、リクエスト信号は、送信アンテナ24を介して車両20周辺の所定領域に出力される。すなわち、これらの所定領域において、電子キー10はリクエスト信号を受信可能となる。また、送信回路23は、車両側マイコン27から出力されるリフト駆動信号を所定周波数の電波に変調し、送信アンテナ24から送信する。
【0031】
受信回路25は、受信アンテナ26によって受信された電子キー10からのIDコード信号をパルス信号に復調して受信信号を生成し、車両側マイコン27に出力する。
【0032】
車両20の各ドアには、車両ドア錠22が配設されている。車両ドア錠22は、車両側マイコン27と電気的に接続されている。そして、車両側マイコン27から施解錠信号が入力されると、この施解錠信号に基づいて車両ドア錠22が電気的駆動力により施解錠されるようになっている。
【0033】
車両側マイコン27は、具体的にはCPU,ROM,RAMからなるCPUユニットである。そして、車両側マイコン27には、車両ドア錠22を施解錠可能な電子キー10のIDコードが予め記憶されている。車両側マイコン27には、リクエスト情報も記憶されている。そして、車両側マイコン27は、リクエスト信号を送信回路23へと出力する。また、車両側マイコン27には、電子キー10からのIDコード信号をパルス信号に復調した受信信号が受信回路25から入力される。
【0034】
車両側マイコン27では、電子キー10から入力されたIDコードと予め記憶(登録)されたIDコードとが比較(照合)される。そして、両者が一致する場合には、車両側マイコン27はこれを認証して車両ドア錠22に解錠信号を出力する。そのため、車両ドア錠22が解錠状態とされる。一方、両者が一致しない場合には、車両側マイコン27はこれを認証しない。そして、車両側マイコン27は車両ドア錠22に施錠信号を出力する。そのため、車両ドア錠22が施錠状態とされる。また、車両側マイコン27にIDコードが入力されていない場合には、車両側マイコン27は照合が行えない。したがって、この場合にも認証はしない。そのため、車両側マイコン27は、車両ドア錠22に施錠信号を出力する。その結果、この場合にも、車両ドア錠22が施錠状態とされる。
【0035】
車両側マイコン27は、送信回路23にリフト駆動信号を出力する。具体的には、車両側マイコン27は、IDコードを認証しない場合に、送信回路23にリフト上昇信号を出力する。また、IDコードを認証した場合に、送信回路23にリフト下降信号を出力する。すなわち、予め車両側マイコン27に登録されたIDコードを有する電子キー10が車両20周辺の所定領域内から所定領域外へ出た場合に、車両側マイコン27は送信回路23にリフト上昇信号を出力する。一方、このIDコードを有する電子キー10が車両20周辺の所定領域外から所定領域内に入った場合に、車両側マイコン27は送信回路23にリフト下降信号を出力する。
【0036】
<リフト装置30の構成>
図2に示すように、リフト装置30は、受信回路32、受信アンテナ33、位置センサ34、表示部35、リフト駆動部36及びリフト側マイコン37を含んで構成されている。
【0037】
受信回路32には受信アンテナ33が電気的に接続されている。受信回路32は、受信アンテナ33によって受信された車両20からのリフト駆動信号をパルス信号に復調して受信信号を生成し、リフト側マイコン37に出力する。
【0038】
位置センサ34は、車両20がリフト装置30の昇降台31における所定の許可範囲内に停車しているか否かを検出する。具体的には、車両20の車輪がリフト装置30の昇降台31における所定範囲内に載っているか否かを検出する。そして、その検出結果をリフト側マイコン37に出力する。
【0039】
リフト側マイコン37は、具体的にはCPU,ROM,RAMからなるCPUユニットである。リフト側マイコン37には、車両制御ユニット21からのリフト駆動信号をパルス信号に復調した受信信号が受信回路32から入力される。また、リフト側マイコン37には、位置センサ34による検出結果が入力される。
【0040】
リフト側マイコン37は、位置センサ34の検出結果に基づく表示信号を表示部35に出力し、表示部35に車両20が所定の許可範囲内に停車しているか否かを表示させる。また、リフト側マイコン37は、受信回路32からのリフト駆動信号に基づき、リフト駆動部36にリフト駆動信号を出力する。具体的には、リフト側マイコン37は、位置センサ34により車両20が所定の許可範囲内に停車していることが入力されている場合であり、かつ、受信回路32からリフト上昇信号が入力されている場合に、リフト駆動部36に対してリフト上昇信号を出力する。また、リフト側マイコン37は、位置センサ34により車両20が所定の許可範囲内に停車していることが入力されている場合であり、かつ、受信回路32からリフト下降信号が入力されている場合に、リフト駆動部36に対してリフト下降信号を出力する。一方、位置センサ34により車両20が所定の許可範囲内に停車していないことが入力されている場合には、リフト側マイコン37は、リフト駆動部36に対するリフト駆動信号の出力をせず、リフト駆動が禁止される。
【0041】
表示部35には、リフト側マイコン37からの表示信号に基づき、位置センサ34の検出結果が表示される。本実施形態では、表示部35は青及び赤の2色のLEDを含んで構成されている。車両20が所定の許可範囲内に停車していることが検出された場合には青のLEDが点灯され、リフト装置30が昇降認可状態にあることが表示される。一方、車両20が所定の許可範囲内に停車していないことが検出された場合には赤のLEDが点灯され、リフト装置30が昇降禁止状態にあることが表示される。
【0042】
リフト駆動部36は、リフト側マイコン37からのリフト駆動信号に基づいて、リフト装置30の昇降台31を上昇又は下降させるものである。
【0043】
次に、図3及び図4のフローチャートを参照しつつ、本実施形態の車両盗難防止システムの制御の流れについて説明する。
【0044】
まず、図3に基づいて車両制御ユニット21における制御の流れについて説明する。ステップS101では、電子キー10が検知範囲内(リクエスト信号の到達圏内)にあるか否かを判定する。電子キー10がリクエスト信号の到達圏内にある間は、車両制御ユニット21の送信アンテナ24から送信されたリクエスト信号が電子キー10の受信アンテナ14に受信される。このため、電子キー10の送信アンテナ12からIDコード信号が送信される。このIDコード信号が車両制御ユニット21の受信アンテナ26に受信されると、受信回路25から車両側マイコン27にIDコード信号が入力される。車両側マイコン27にIDコード信号が入力されると、車両側マイコン27は電子キー10が検知範囲内にあると判断する。ステップS101で、電子キー10が検知範囲内にあると判断されるとステップS102に進み、検知範囲内にないと判断されるとステップS105に進む。
【0045】
ステップS102では、車両側マイコン27に入力されたIDコードと予め登録されているIDコードとが一致するか否かを判定する。一致していると判定された場合には、入力されたIDコードを認証し、ステップS103に進む。一方、一致していないと判定された場合には、入力されたIDコードを認証せず、ステップS105に進む。
【0046】
ステップS103では、車両側マイコン27は車両ドア錠22に解錠信号を出力する。これにより、車両ドア錠22が解錠状態とされる。その後、ステップS104に進み、送信回路23にリフト下降信号を出力する。リフト下降信号が送信回路23に入力されると、送信回路23はリフト下降信号を送信アンテナ24から送信する。
【0047】
一方、ステップS105では、車両側マイコン27は車両ドア錠22に施錠信号を出力する。これにより、車両ドア錠22が施錠状態とされる。その後、ステップS106に進み、送信回路23にリフト上昇信号を出力する。リフト上昇信号が送信回路23に入力されると、送信回路23はリフト上昇信号を送信アンテナ24から送信する。
【0048】
次に、図4に基づいてリフト装置30における制御の流れについて説明する。ステップS201では、リフト側マイコン37にリフト駆動信号が入力されているか否かを判定する。すなわち、車両制御ユニット21から送信されたリフト駆動信号をリフト装置の受信回路32が受信し、そこリフト駆動信号がリフト側マイコン37に入力されているか否かを判定する。リフト駆動信号が入力されていればステップS202に進み、入力されていなければステップS201の判定を繰り返し実行する。
【0049】
ステップS202では、車両20がリフト装置30の昇降台31における所定の許可範囲内に停車しているか否かを判定する。車両20が所定の許可範囲内に停車していないと判定された場合には、ステップS203に進む。そして、ステップS203で表示部35に赤のLEDを点灯し、リフト装置30が昇降禁止状態にあることを表示する。その後、ステップS202の判定を繰り返し実行する。一方、ステップS202で車両20が所定の許可範囲内に停車していると判定された場合には、ステップS204に進む。そして、表示部35に青のLEDを点灯し、リフト装置30が昇降認可状態にあることを表示する。
【0050】
ステップS205では、リフト側マイコン37に入力されたリフト駆動信号がリフト上昇信号かリフト下降信号かを判定する。入力されたリフト駆動信号がリフト上昇信号であると判定された場合にはステップS204に進む。そして、ステップS204では、リフト側マイコン37はリフト駆動部36にリフト上昇信号を出力する。リフト側マイコン37からリフト上昇信号が入力されると、リフト駆動部36は昇降台31を上昇させる。これにより、車両20がリフトアップされる。
【0051】
一方、ステップS203において、リフト側マイコン37に入力されたリフト駆動信号がリフト下降信号であると判定された場合には、ステップS205に進む。そして、ステップS205では、リフト側マイコン37はリフト駆動部36にリフト下降信号を出力する。リフト側マイコン37からリフト下降信号が入力されると、リフト駆動部36は昇降台31を下降させる。これにより、車両20がリフトダウンされる。
【0052】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0053】
本実施形態では、車両ドア錠22の施解錠及びリフト装置30の昇降が一つの電子キー10により行われている。これにより、車両ドア錠22の施解錠を行うキーとリフト装置30の昇降台31の昇降を行うキーを別々に所持する必要がなくなり、煩わしさが解消されるとともに利便性が高まる。
【0054】
本実施形態では、電子キー10の所持人が車両20から離れ、リクエスト信号の到達圏外に出た場合、車両ドア錠22が施錠されるとともに、車両20がリフトアップされる。これにより、車両ドア錠22の施錠と車両20のリフトアップという二重のセキュリティ対策により防犯性を向上することができる。特に、本実施形態では、車両20をリフトアップしているので、エンジン駆動自動車やハイブリッド電気自動車の車両搭載発電機での発電電力を住宅に供給する場合等、エンジン起動状態で車両20を駐車している場合においても、車両20の盗難を抑制することが可能となる。
【0055】
本実施形態では、リフト装置30における昇降台31の昇降は、車両制御ユニット21を介して行われている。そして、車両制御ユニット21からのリフト駆動信号は、車両ドア錠22の施解錠信号と連動して送信されている。これにより、車両ドア錠22の施解錠と連動しないリフトの昇降を抑止することができ、安全性を高めることが可能となる。
【0056】
本実施形態では、電子キー10は、リクエスト信号の到達圏内においては、車両側マイコン27にIDコード信号を送信している。そして、車両側マイコン27は、受信したIDコード信号と予め記憶されているIDコードとを比較し、それらが一致した場合に車両ドア錠22を解錠状態とするとともに、リフト装置30の昇降台31を下降させ、車両20を利用可能な状態としている。このため、電子キー10の所持者は特別な操作をすることなく、車両20に近づくだけで車両ドア錠22を解錠することができるとともに、車両20をリフトダウンさせることができる。これにより、高い利便性を確保することが可能となる。
【0057】
また、電子キー10の所持者がリクエスト信号の到達圏外にいる場合には、電子キー10はリクエスト信号を受信できないので、それに対するIDコード信号の送信も行わない。その場合、車両側マイコン27では、IDコードの認証が行えないため、車両ドア錠22を施錠状態とするとともに、リフト装置30の昇降台31を上昇させ、車両20を利用不可能な状態としている。このため、電子キー10の所持者は特別な操作をすることなく、車両20から離れるだけで車両ドア錠22を施錠することができるとともに、車両20をリフトアップさせることができる。これにより、高い利便性を確保することが可能となるとともに、セキュリティを向上させることが可能となる。
【0058】
上記実施形態では、車両ドア錠22の施解錠及びリフト装置30における昇降台31の昇降は電子キーにより行われている。そのため、キーの所有者がキーを鍵穴に差し込んで回す等の行為をしなくても、車両ドア錠22の施解錠及びリフト装置30における昇降台31の昇降を行うことができる。これにより、高い利便性を確保することが可能となる。
【0059】
上記実施形態では、車両制御ユニット21が受信したIDコードと予め登録された登録情報とが一致した場合に、車両ドア錠22を解錠状態とするとともに、車両20をリフトダウンして車両20を利用可能な状態とした。一方、車両制御ユニット21が受信したIDコードと予め登録された登録情報とが一致しない場合には、車両ドア錠22を施錠状態とするとともに、車両20をリフトアップして車両20を利用不可能な状態とした。これにより、登録されていない電子キー10では、車両ドア錠22の解錠及びリフト装置30における昇降台31の下降を行えないので、高い防犯性を確保することが可能となる。
【0060】
上記実施形態では、リフト装置30に位置センサ34を設け、所定の許可範囲内に車両20が停止しているか否かを検知している。そして、所定の許可範囲内に車両20が停止していない場合には、リフト駆動を禁止することとしている。これにより、車両20が昇降台31の適切な位置に載っていない不安定な状態でのリフト装置30の昇降を禁止することができ、安全を確保することができる。
【0061】
上記実施形態では、位置センサ34の検出結果が表示部35で表示されるようになっている。これにより、車両20が昇降台31の適正な位置に停車されているかを、電子キー10の所持者が視覚的に容易に確認することができる。
【0062】
[第2実施形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図5に基づいて説明する。図5は第2実施形態に係る車両盗難防止システムを示すブロック図である。
【0063】
<電子キー110の構成>
図5に示すように、電子キー110は、送信回路111、送信アンテナ112、受信回路113、受信アンテナ114及び電子キー側マイコン115を含んで構成される。この電子キー110の構成及び機能とも第1実施形態の電子キー10と同様のものである。
【0064】
<車両120の構成>
図5に示すように、車両120は、車両制御ユニット121と車両ドア錠122とを含んで構成されている。車両制御ユニット121は、送信回路123、送信アンテナ124、受信回路125、受信アンテナ126及び車両側マイコン127を含んで構成されている。車両120の構成も第1実施形態と同様である。ただし、本実施形態においては、車両側マイコン127は、リフト駆動信号を送信回路123に出力しない。そのため、送信回路123からも、リフト駆動信号は送信されない。
【0065】
<リフト装置130の構成>
図5に示すように、リフト装置130は、受信回路132、受信アンテナ133、送信回路138、送信アンテナ139、位置センサ134、表示部135、リフト駆動部136及びリフト側マイコン137を含んで構成されている。位置センサ134、表示部135及びリフト駆動部136は、第1実施形態と同様のものである。
【0066】
送信回路138には送信アンテナ139が電気的に接続され、受信回路132には受信アンテナ133が電気的に接続されている。送信回路138は、リフト側マイコン137から出力されるリクエスト信号を所定周波数の電波に変調し、送信アンテナ139から送信する。したがって、リクエスト信号は、送信アンテナ139を介してリフト装置130周辺の所定領域に出力される。すなわち、これらの所定領域において、電子キー110はリクエスト信号を受信可能となる。受信回路132は、受信アンテナ133によって受信された電子キー110からのIDコード信号をパルス信号に復調して受信信号を生成し、リフト側マイコン137に出力する。送信回路138及び受信回路132は、車両制御ユニット121の送信回路123及び受信回路125と同様に動作するようになっている。したがって、送信回路138からは、車両制御ユニット121の送信回路123から出力されるリクエスト信号と同じ周波数のリクエスト信号が出力される。
【0067】
リフト側マイコン137は、具体的にはCPU,ROM,RAMからなるCPUユニットである。リフト側マイコン137には、リフト装置130の昇降台31を昇降可能な電子キー110のIDコードが予め記憶されている。また、リフト側マイコン137には、リクエスト情報も記憶されている。そして、リフト側マイコン137は、リクエスト信号を送信回路138へと出力する。また、リフト側マイコン137には、電子キー110からのIDコード信号をパルス信号に復調した受信信号が受信回路132から入力される。予め記憶されている電子キー110のIDコード及びリクエスト情報は、車両制御ユニット121の車両側マイコン127に予め記憶されている電子キー110のIDコードと同じものである。
【0068】
リフト側マイコン137は、位置センサ134の検出結果に基づく表示信号を表示部135に出力し、表示部135に車両20が所定の許可範囲内に停車しているか否かを表示させる。
【0069】
リフト側マイコン137では、電子キー110から入力されたIDコードと予め記憶(登録)されたIDコードとが比較(照合)される。そして、両者が一致する場合には、リフト側マイコン137はこれを認証する。一方、両者が一致しない場合には、リフト側マイコン137はこれを認証しない。また、リフト側マイコン137にIDコードが入力されていない場合には、リフト側マイコン137で予め記憶(登録)されたIDコードとの照合が行えない。したがって、この場合にも認証はしない。
【0070】
リフト側マイコン137は、位置センサ134の検出結果及びIDコードの認証結果に基づいてリフト駆動部136にリフト駆動信号を出力する。具体的には、位置センサ134により車両120が所定の許可範囲内に停車していることが入力されている場合であり、かつ、IDコードを認証しない場合に、リフト駆動部136にリフト上昇信号を出力する。また、位置センサ134により車両120が所定の許可範囲内に停車していることが入力されている場合であり、かつ、IDコードを認証した場合に、リフト側マイコン137はリフト駆動部136にリフト下降信号を出力する。一方、位置センサ134により車両20が所定の許可範囲内に停車していないことが入力されている場合には、リフト側マイコン137は、リフト駆動部136に対するリフト駆動信号の出力をせず、リフト駆動が禁止される。
【0071】
すなわち、車両120が所定の許可範囲内に停車している場合であり、かつ、予めリフト側マイコン137に登録されたIDコードを有する電子キー110がリフト装置130周辺の所定領域内から所定領域外へ出た場合に、リフト側マイコン137はリフト駆動部136にリフト上昇信号を出力する。一方、車両20が所定の許可範囲内に停車している場合であり、かつ、このIDコードを有する電子キー110が車両120周辺の所定領域外から所定領域内に入った場合に、リフト側マイコン137はリフト駆動部136にリフト下降信号を出力する。
【0072】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0073】
本実施形態でも、電子キー110の所持者が車両120から離れ、車両制御ユニット121からのリクエスト信号の到達圏外に出ると、車両ドア錠122が施錠される。また、電子キー110の所持者が車両120に近づき車両制御ユニット121からのリクエスト信号の到達圏内に入ると、車両ドア錠122が解錠される。
【0074】
本実施形態では、リフト装置130の送信手段からもリクエスト信号が送信され、また、電子キー110からのIDコード信号が受信手段により受信される構成となっている。そして、車両20が所定の許可範囲内に停車している場合に、電子キー110の所持者がリフト装置130からのリクエスト信号の到達圏外に出ると、リフト装置130の昇降台31が上昇する。また、車両120が所定の許可範囲内に停車している場合に、電子キー110の所持者がリフト装置130からのリクエスト信号の到達圏内に出ると、リフト装置130の昇降台31が下降する。
【0075】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0076】
本実施形態においても、1本の電子キー110により、車両ドア錠122の施解錠及びリフト装置130の昇降の両方を行うことができる。そのため、車両ドア錠122の施解錠に用いるキーとリフト装置130の昇降台31の昇降を行うキーを別々に所持する必要がなくなり、煩わしさが解消されるとともに利便性を高めることができる。
【0077】
本実施形態の車両盗難防止システムでは、車両120を所定の許可範囲内の位置に停車した後、電子キー110の所持人がリフト装置130周辺の所定領域内から所定領域外へ出た場合に、リフト装置130の昇降台31が上昇する。このため、車両120をリフト装置130の所定位置に停車後、電子キー110の所持人がリフト装置130から離れれば、特別な操作をしなくても自動的に車両120をリフトアップさせることができる。また、電子キー110の所持人がリフト装置130の所定領域外から所定領域内に入った場合には、リフト装置130の昇降台31が下降する。このため、電子キー110の所持人がリフト装置130に近づけば、特別な操作をしなくても自動的に車両120をリフトダウンさせることができる。これにより、本実施形態に係る車両盗難防止システムにおいても、高い利便性を確保することが可能となる。
【0078】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
【0079】
第1実施形態における車両制御ユニット21の車両側マイコン27に、認証されうるIDコードを追加して登録できる構成としてもよい。具体的には、車両制御ユニット21に登録スイッチを設け、この登録スイッチを押した後に受信したIDコード信号が車両側マイコン27に登録されるように構成する。これにより、例えば、複数台の車両20を所有している場合においても、そのすべての車両20の電子キー10を車両側マイコン27追加登録することができ、どの電子キー10でもリフト装置30を昇降させることが可能となる。また、同様に、第2実施形態におけるリフト側マイコン37に、認証されうるIDコードを追加して登録できる構成としてもよい。
【0080】
上記各実施形態では、リフト装置30,130に位置センサ34,134を設け、所定の許可範囲内に車両20,120が停止しているか否かを検知した。そして、所定の許可範囲内に車両20,120が停止していない場合には、リフト駆動を禁止することで安全を確保した。この安全を確保する手段は、位置センサ34,134のみに限るものではない。すなわち、他のセンサに変更もしくは他のセンサを併用してもよい。他のセンサとしては、例えば、昇降台31上に載っている物の重量を計測する重量センサや昇降台31の周辺における人や物の存在を検知するエリアセンサをリフト装置30に設けることが可能である。重量センサを設けることにより、予め登録された重量より重い場合には、車両20,120に人が残されているおそれがあると判断してリフト駆動を禁止することができる。また、人感センサやビームセンサ等のエリアセンサを設けるにより、リフト装置30,130の周辺に人や物が存在する場合にリフト駆動を禁止することができる。これにより、安全性を高めることが可能となる。
【0081】
上記実施形態では、電子キー10,110として双方向通信によるハンドフリーシステム(いわゆるスマートキーシステム)を採用した。しかし、電子キー10,110の形態はこれに限らず、ボタン操作等により施解錠を行うもの等でもよい。また、電子キー10,110は、腕時計や携帯電話に送受信回路11,13,111,113を組み込んだものを用いることも可能である。
【0082】
上記各実施形態では、車両ドア錠22,122を施解錠し、リフト装置30,130を昇降駆動するキーとして電子キー10,110を用いた。しかし、キーは電子キー10,110に限定されるものではなく、キーを鍵穴に挿入・回転等することにより車両ドア錠22,122を施解錠し、リフト装置30,130を昇降駆動するものであってもよい。
【0083】
上記実施形態では、車両20,120を利用可能な位置からリフトアップすることで、車両20,120を移動不可能な状態とし、防犯性を高めた。しかし、リフト装置30,130を地面から掘り下げた位置に設置し、車両20,120をリフトダウンすることで、車両20,120を移動不可能な状態としてもよい。すなわち、リフト装置30,130の昇降台31が上昇した状態で、昇降台31が地面と同じ高さにあるようにリフト装置30,130を設置する。そして、その位置から昇降台31を下降し、車両20,120の車輪を地面より下げることで車両20,120を移動不可能な状態としてもよい。
【0084】
上記各実施形態におけるリフト駆動信号を出すタイミングを、所定時間遅らせるようにしてもよい。例えば、第1実施形態において、車両側マイコン27が送信回路23にリフト駆動信号を出すタイミングを、車両ドア錠22に施解錠信号を出力した後所定時間経過後としてもよい。これにより、電子キー10の所持者が車両20から離れる時間的猶予を与えることができ、安全性を高めることが可能となる。
【0085】
上記実施形態に係るリフト装置30,130をシャッターが設けられているガレージに設置することも可能である。そして、リフト装置30,130の昇降台31の駆動とシャッターの施解錠とを組み合わせることも可能である。具体的には、シャッターの施解錠装置の施解錠とリフト装置30,130の昇降とを連動させ、リフト装置30,130の昇降台31が上昇した位置にある場合にはシャッターを施錠し、昇降台31が下降した位置にある場合にはシャッターを解錠することも可能である。これにより、昇降台31が上昇した位置にある場合のセキュリティをより向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両盗難防止システムの概略構成図。
【図2】第1実施形態に係る車両盗難防止システムの構成を示すブロック図。
【図3】車両制御ユニットにおける制御の流れを示すフローチャート。
【図4】リフト装置における制御の流れを示すフローチャート。
【図5】第2実施形態に係る車両盗難防止システムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0087】
10…電子キー、11…送信回路、12…送信アンテナ、13…受信回路、14…受信アンテナ、15…電子キー側マイコン、20…車両、21…車両制御ユニット、22…車両ドア錠、23…送信回路、24…送信アンテナ、25…受信回路、26…受信アンテナ、30…リフト装置、31…昇降台、32…受信回路、33…受信アンテナ、34…位置センサ、35…表示部、36…リフト駆動部、37…リフト側マイコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を昇降することが可能なリフト装置であって、
車両のドア錠を施解錠することが可能なキーにより、昇降駆動を可能としたことを特徴とするリフト装置。
【請求項2】
前記キーから送信される信号を受信可能な受信手段と、
前記車両を支持する支持部を昇降駆動するリフト駆動部と、
前記受信手段で受信した前記キーからの信号に基づいて前記リフト駆動部に昇降信号を出力する昇降制御部と
を有することを特徴とする請求項1に記載のリフト装置。
【請求項3】
前記キーから送信される前記キーに固有の識別情報を受信可能な受信手段と、
前記車両を支持する支持部を昇降駆動するリフト駆動部と、
前記受信手段で受信した識別情報と予め記憶された登録情報とを照合し、前記識別情報と前記登録情報との照合結果に基づいて前記リフト駆動部に昇降信号を出力する昇降制御部と
を有することを特徴とする請求項1に記載のリフト装置。
【請求項4】
前記キーに固有の識別情報の送信を要求するリクエスト信号を前記リフト装置周辺の所定領域に送信する送信手段と、
前記リクエスト信号に対して前記キーが送信した識別情報を受信する受信手段と、
前記車両を支持する支持部を昇降駆動するリフト駆動部と、
前記受信手段が受信した識別情報と予め記憶された登録情報とを照合し、当該識別情報が認証された場合は前記リフト駆動部に前記車両を移動可能な高さ位置に駆動する駆動信号を出力し、当該識別情報が認証されない場合は前記リフト駆動部に前記車両を移動不可能な高さ位置に駆動する駆動信号を出力する昇降制御部と
を有することを特徴とする請求項1に記載のリフト装置。
【請求項5】
前記キーから送信される識別情報を、登録情報として前記昇降制御部に登録可能な登録手段を設けたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のリフト装置。
【請求項6】
前記車両の停止位置を検出する位置センサを設け、
前記昇降制御部は、前記位置センサにより車両が所定の許可範囲内に停止されていないことが検出された場合には、前記リフト駆動部による車両の昇降を禁止することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載のリフト装置。
【請求項7】
当該リフト装置周辺の所定エリアにおける人又は物等の存在を検出するエリアセンサを設け、
前記昇降制御部は、前記エリアセンサにより前記リフト装置周辺の所定エリアにおける人又は物等の存在を検出された場合には、前記リフト駆動部による車両の昇降を禁止することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載のリフト装置。
【請求項8】
前記車両の重量を計測する重量センサを設け、
前記昇降制御部は、前記重量センサにより、前記車両の重量が所定値以上であることが検出された場合には、前記リフト駆動部による車両の昇降を禁止することを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載のリフト装置。
【請求項9】
建物に付随して設けた駐車スペースに、前記リフト装置を設置したことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の建物。
【請求項10】
請求項1に記載のリフト装置と、前記キーから送信される信号に基づいて車両のドア錠を施解錠可能な車両制御ユニットとを備えた車両盗難防止システムであって、
前記車両制御ユニットは、前記キーから送信される信号を受信可能な受信手段と、前記リフト装置に信号を送信可能な送信手段と、前記受信手段で受信した前記キーからの信号に基づいて前記車両のドア錠に施解錠信号を出力するとともに、前記送信手段から前記リフト装置に向けてリフト駆動信号を送信させる車両制御部とを有し、
前記リフト装置は、前記車両制御ユニットの送信手段から送信されるリフト駆動信号を受信可能な受信手段と、前記車両を支持する支持部を昇降駆動するリフト駆動部と、前記受信手段で受信したリフト駆動信号に基づいて前記リフト駆動部に昇降信号を出力する昇降制御部とを有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項11】
請求項1に記載のリフト装置と、前記キーから送信される信号に基づいて車両のドア錠を施解錠可能な車両制御ユニットとを備えた車両盗難防止システムであって、
前記車両制御ユニットは、前記キーから送信される前記キーに固有の識別情報を受信可能な受信手段と、前記リフト装置に信号を送信可能な送信手段と、前記受信手段で受信した識別情報と予め記憶された登録情報とを照合し、前記識別情報と前記登録情報との照合結果に基づいて前記車両のドア錠に施解錠信号を出力するとともに、前記送信手段から前記リフト装置に向けてリフト駆動信号を送信させる車両制御部とを有し、
前記リフト装置は、前記車両の送信手段から送信されるリフト駆動信号を受信可能な受信手段と、前記車両を支持する支持部を昇降駆動するリフト駆動部と、前記受信手段で受信したリフト駆動信号に基づいて前記リフト駆動部に昇降信号を出力する昇降制御部とを有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項12】
請求項1に記載のリフト装置と、前記キーから送信される信号に基づいて車両のドア錠を施解錠可能な車両制御ユニットとを備えた車両盗難防止システムであって、
前記車両制御ユニットは、前記キーに固有の識別情報の送信を要求するリクエスト信号を前記車両周辺の所定領域に送信するとともに、前記リフト装置に信号を送信可能な送信手段と、前記リクエスト信号に対して前記キーが送信した識別情報を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した識別情報と予め記憶された登録情報とを照合し、前記識別情報が認証された場合は前記車両のドア錠を解錠状態とするとともに、前記車両の送信手段から前記リフト装置に向けて前記車両を移動可能な高さ位置に駆動する駆動信号を送信し、前記識別情報が認証されない場合は前記車両のドア錠を施錠状態とするとともに、前記車両の送信手段から前記リフト装置に向けて前記車両を移動不可能な高さ位置に駆動する駆動信号を送信をする車両制御部とを有し、
前記リフト装置は、前記車両の送信手段から送信されるリフト上昇信号又はリフト下降信号を受信可能な受信手段と、前記車両を支持する支持部を昇降駆動するリフト駆動部と、前記受信手段で受信したリフト上昇信号又はリフト下降信号に基づいて前記リフト駆動部にリフト上昇信号又はリフト下降信号を出力する昇降制御部とを有することを特徴とする車両盗難防止システム。
【請求項13】
前記車両制御ユニットに、前記キーから送信される識別情報を、登録情報として前記車両制御部に登録可能な登録手段を設けたことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の車両盗難防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−277820(P2007−277820A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101813(P2006−101813)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】