説明

レジストパターンの形成方法

【課題】 下層に密パターンを形成し、上層にパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、ミキシングを抑制できるレジストパターンの形成方法を提供する。
【解決手段】 次の(i)〜(ii)の工程;(i)基板上に第1のネガ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光する工程;(ii)該第1のレジスト層の上に第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記第1のレジスト層の未露光部の一部を露出させる工程;を含むレジストパターンの形成方法であって、前記第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したものを用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレジストパターンの形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、極紫外線やX線などについても検討が行われている。
また、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性の条件を満たすレジスト材料の1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が知られている。化学増幅型レジスト組成物には、アルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と架橋剤とを含有するネガ型と、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂と酸発生剤とを含有するポジ型とがある。
【0003】
例えばArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸から誘導される構成単位等を有する樹脂(アクリル系樹脂)が主流となっている(特許文献1等)。
【0004】
そして、この様な化学増幅型レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成する際には、例えばレジスト組成物を用いて基板上にレジスト層を形成する工程、前記レジスト層を選択的露光する工程、露光後加熱処理(PEB処理)する工程、前記レジスト層を現像してレジストパターンを形成する工程を行う。
また、レジストパターンの形成においては、例えばひとつの基板上にライン状、ホール状などのパターンを形成する際に、隣接するパターンの間隔が狭い密パターンと、隣接するパターンの間隔が広い疎パターンとを形成する場合がある。
【0005】
近年、デバイスの複雑化、高密度化に伴い、この様に異なるパターンをひとつの基板上に精度よく形成することが求められている。
しかし、従来のレジストパターンの形成においては疎パターンを形成する際の焦点深度幅(DOF)が、密パターンを形成する際のDOFに対して、狭くなる傾向があるという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献2には、例えば密パターンを形成した第1のレジスト層(下層)の上に、第2のレジスト層(上層)を積層して前記密パターンを埋め込み、ついで、この上層に前記密パターンとは異なるパターンを形成して、下層の密パターンの一部を露出させ、かつ残りの密パターンを埋め込んだ状態とする技術が開示されている。すなわち、上層のパターンは、下層に形成された一部のパターンを埋め込む様に形成する。
例えば上層のパターンは下層に形成されたパターンよりも大きなサイズで形成する。より具体的には、例えば上下層にホールパターンを形成する場合、上層には、下層の密パターンに形成されるホールの直径より大きいパターンを形成し、かつこれら上下層のホールパターンが連結する様に形成する。すると、上層のホールパターンが形成された範囲においては、下層の密パターンを露出させることができる。そして、上層を除去しない範囲においては、下層の密パターンの一部が埋め込まれた状態となる。
この様にすると、基板の上の一部には、下層に形成されたパターンと、これに連続する上層に形成されたパターンとからなる疎パターンが形成される。すなわち、このパターンにおいては、その下層に形成された密パターンを利用しているため、基板に接触する下層のパターンが所望のサイズで形成され、かつDOF特性を満足した疎パターンが得られる。
この様にしてひとつの基板の上に、密パターンと疎パターンとが混在するレジストパターンを形成できる。
その結果、密パターンと疎パターンのDOF特性のばらつきによる問題を抑制することができる。
【特許文献1】特開2003−167347号公報
【特許文献2】米国公開公報US2003−0104319A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の下層に密パターンを形成し、上層に下層と異なるパターンを形成するレジストパターンの形成方法においては、上下層の界面でミキシングが生じるという問題がある。ミキシングとは、両方のレジスト層が溶解し合う現象をいう。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、下層に密パターンを形成し、上層に下層と異なるパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、ミキシングを抑制できるレジストパターンの形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
第1の態様は、下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のネガ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、密パターンを形成する為に選択的に露光する工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記第1のレジスト層の未露光部の一部を露出させる工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
第2の態様は、下記(i’)〜(ii’)の工程
(i’)基板上にネガ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して該第1のレジスト層に密パターンを形成する工程
(ii’)該第1のレジスト層の密パターン上に第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して前記密パターンの一部を埋め込む工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
【0010】
なお、「露光」とは光の照射のみならず、電子線の照射等の放射線の照射全体を包括する概念とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、下層に密パターンを形成し、上層にパターンを形成するレジストパターンの形成方法において、ミキシングを抑制できるレジストパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の態様]
第1の態様は、下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のネガ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、密パターンを形成する為に選択的に露光する工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記第1のレジスト層の未露光部の一部を露出させる工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
【0013】
ここで、密パターンとは、ライン状、ホール状などのパターンを形成する際に、隣接するパターンの間隔が狭いことを示す。具体的には、例えばパターンの断面において、パターンの幅に対する、隣接するパターンまでの間隔の比が、好ましくは1以下、特に好ましくは0.9以下、さらには0.8以下であるものである。下限値は実質的には0.5以上である。なお、ホール状パターンにおけるパターンの幅とは、レジスト層が除去される範囲を示すものとし、例えばホールパターンのホールの直径を示す。ライン状パターンにおけるパターン幅とは、ラインの幅を示す。
疎パターンは、密パターンよりも隣接するパターンの間隔が広いものである。具体的には、例えばパターンの断面において、パターンの幅に対する、隣接するパターンどうしの間隔の比が、好ましくは2以上、特に好ましくは3以上、さらには5以上であるものである。上限値は実質的には10以下である。
なお、パターンの幅や間隔は、基板とレジスト層との界面付近のサイズを示す。
【0014】
図1(a)は第1の態様の手順の例(以下、プロセス1という)のフローを示したものである。図2はプロセス1の説明図(断面図)である。図4はプロセスを経て密パターンと疎パターンを形成した後の状態を示した平面図である。
【0015】
プロセス1においては、以下の工程を順次行う。
【0016】
(i−1)第1のネガ型レジスト組成物塗布工程
塗布装置を用いて、基板1上に、露光により酸を発生する酸発生剤成分(以下、「酸発生剤」ということがある)を含む化学増幅型のネガ型レジスト組成物(第1のネガ型レジスト組成物)を塗布する(図2(a)参照)。
【0017】
(i−2)PAB(プレベーク)工程
塗布したレジスト膜を加熱処理して、第1のレジスト層2を形成する(図2(a)参照)。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第1のレジスト層2の厚さは例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0018】
(i−3)露光工程
第1のレジスト層2を密パターンを形成する為に選択的に露光する。(図2(a)参照)。
なお、「露光部」とは露光された範囲をいうものとする。「未露光部」とは露光されていない範囲をいうものとする。
すなわち、密パターン用のマスク(レチクル)3を用いて、第1のレジスト層2を選択的露光することで、露光部2a’、未露光部2bが形成される。
なお、図2(a)は、ホールパターンが、パターンの幅Dと間隔Lとが約1:1のサイズで形成された密パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、図4に示す様に、第1のレジスト層2には、パターンの幅Dの未露光部2bが現像(溶解)して形成される複数のホール2aが間隔Lで密に配置された密パターンを形成するように選択的露光が施される。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができるが、ArFエキシマレーザーが好適である(以下の露光工程についても同様である)。
【0019】
(i−4)PEB(露光後加熱処理)工程
選択的露光を行った第1のレジスト層2を加熱処理して、第1のレジスト層2中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させ、露光部2a’をネガ化させる。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
【0020】
(ii−1)第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物の塗布工程
塗布装置を用いて、第1のレジスト層2の上に酸発生剤を含む化学増幅型のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を塗布する(図2(b)参照)。
この例においては、ネガ型レジスト組成物を塗布する。
なお、第1のネガ型レジスト組成物、第2のネガ型レジスト組成物とは、第1のレジスト層2を形成するネガ型レジスト組成物と、第2のレジスト層12を形成するネガ型レジスト組成物とを便宜上区別するために用いる用語である。
【0021】
(ii−2)PAB(プレベーク)工程
塗布したレジスト膜を加熱処理して、第2のレジスト層12を形成する(図2(b)参照)。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第2のレジスト層12の厚さは例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0022】
(ii−3)露光工程
第2のレジスト層12に露光を施す。
すなわち、所望のマスク(レチクル)13を用いて、第2のレジスト層12を選択的露光すると、露光部12a’、未露光部12bが形成される(図2(b)参照)。
なお、図2(b)は、ホールパターンが、パターンの幅Dと間隔Lとが約1:2のサイズで形成された疎パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、図4に示す様に、図面中、左右の端部に位置する領域21は露光されず、かつこれらに挟まれた領域22においては、第2のレジスト層12に、パターンの幅Dの未露光部12bが現像(溶解)して形成されるホール12aが、間隔Lで配置される様なマスク13を用いて選択的露光を施す。
なお、図2(b)、図2(c)、図4に示す様に、疎パターンのホール12aの直径(パターンの幅)Dは、第1のレジスト層2に形成されるホール2aの直径(パターンの幅)Dより大きく設計されている。そして、ホール12aはその直下に形成されるホール2aを含む範囲に形成される。
【0023】
(ii−4)PEB(露光後加熱処理)工程
選択的露光を行った第2のレジスト層12を、加熱処理して第2のレジスト層12中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させ、露光部12a’をネガ化させる(図2(b)参照)。
加熱条件は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
【0024】
(ii−5)第1のレジスト層と第2のレジスト層の現像工程
第1のレジスト層2と第2のレジスト層12の積層体を現像処理する。現像処理には、例えば0.1〜10質量%(好ましくは0.5〜5質量%)濃度のTMHA水溶液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)が用いられる。
現像処理を行うと、図4に示す領域22では、図2(c)に示す様に、まず第2のレジスト層12の未露光部12bが除去されて疎パターンのホール12aが形成される。そして、このホール12aから侵入した現像液が、ホール12aの底面を構成している第1のレジスト層2に接触することにより、第1のレジスト層2の未露光部2bが現像され、除去されて露出する。これによりホール12aの直下のホール2aが形成される。そして、その結果、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンが形成される。
また、領域21では、選択的露光の際に光を当てていない為、第2のレジスト層12が現像液で現像され、第1のレジスト層2に形成された密パターンの未露光部2bが現像されて、ホール2aが形成される。
【0025】
すなわち、領域22において、ホール2aは、広いDOF特性を確保できる密パターンで形成されているため、所望のサイズで正確に形成することができる。そして、疎のホール12aは、第1のレジスト層2に形成された密パターンの一部のホール2a上に形成される。
すなわち、この方法は、現像により下層の第1のレジスト層2で形成した広いDOFの密パターンの一部を露出させてパターニングし、疎のパターンとして利用するものである。
下層の第1のレジスト層2に初めから疎のパターンを形成しても、広いDOF特性を確保することができないが、上述の工程を経ることにより、広いDOF特性を有する疎パターンを得ることができる。
なお、上層の第2のレジスト層12のDOF特性については、下層(第1のレジスト層2)に形成されるパターン程、高い特性は要求されない。これは、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンにおいて重要となるのは、下層2のホール2aであるからである。なぜなら、基板をエッチングする際には、下層2のパターンが転写される為である(基板に転写する際は、下層2のパターンに依存する)。
【0026】
この様にしてひとつの基板上に同じDOF特性を有する密パターンの領域21と疎パターンの領域22とが両方形成された、いわゆる疎密混在パターンが得ることができる。
【0027】
なお、第2のレジスト層12を形成する際に、ポジ型レジスト組成物を用いた場合と、上述の第2のネガ型レジスト組成物の例と異なるのは、第2のレジスト層12を露光する際に用いるマスクの光の透過部分(露光部分)と光の遮断部分(未露光部分)を反転させ、露光部分を現像液により除去する点であり、その他は同様である。
【0028】
本発明の方法においては、第2のレジスト層12を形成するために用いるレジスト組成物として、特定のネガ型レジスト組成物またはポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とする。これらの材料については、第2の態様と共通であるので、第2の態様の工程例を説明した後にまとめて説明する。
【0029】
[第2の態様]
第2の態様は、下記(i’)〜(ii’)の工程
(i’)基板上にネガ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して該第1のレジスト層に密パターンを形成する工程
(ii’)該第1のレジスト層の密パターン上に第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して前記密パターンの一部を埋め込む工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法である。
【0030】
図1(b)は第2の態様の手順の例(以下、プロセス2という)のフローを示したものである。図3はプロセス2の説明図(断面図)である。図4はプロセスを経て密パターンと疎パターンを形成した後の状態を示した平面図である。
【0031】
プロセス2においては、以下の工程を順次行う。
(i’−1)第1のネガ型レジスト組成物塗布工程
第1の態様の(i−1)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−2)PAB(プレベーク)工程
第1の態様の(i−2)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−3)露光工程
第1の態様の(i−3)と同様である(図3(a)参照)。
(i’−4)PEB(露光後加熱処理)工程
第1の態様の(i−4)と同様である(図3(a)参照)。
【0032】
(i’−5)第1のレジスト層の現像工程
第1のレジスト層2を現像処理する。現像処理には、例えば0.1〜10質量%(好ましくは0.5〜5質量%)濃度のTMHA水溶液(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)が用いられる。
現像処理を行うと、図3(b)に示す様に未露光部2bが除去されて、第1のレジスト層2には、パターンの幅Dと間隔Lとが約1:1のサイズで設計された複数のホール2aを有する密パターンが得られる。
すなわち、図4に示す様に、第1のレジスト層2の全面に、パターンの幅Dのホール2aが、間隔Lで密に配置された密パターンが形成される。
【0033】
(ii’−1)第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物の塗布工程
図3(c)に示す様に、塗布装置を用いて、密パターンが形成された第1のレジスト層2の上に酸発生剤を含む化学増幅型の第2のネガ型レジスト組成物またはポジ型レジスト組成物を塗布する。
この例においては、ネガ型レジスト組成物を塗布する。
なお、第1のネガ型レジスト組成物、第2のネガ型レジスト組成物とは、第1のレジスト層2を形成するネガ型レジスト組成物と、第2のレジスト層12を形成するネガ型レジスト組成物とを便宜上区別するために用いる用語である。
すると、ホール2aの中にネガ型レジスト組成物が充填され、ホール2aが埋め込まれ、その上にレジスト膜が形成され、第1のレジストパターン層2に形成されたレジストパターンはレジスト膜によって被覆される。
【0034】
(ii’−2)PAB(プレベーク)工程
塗布したレジスト膜を加熱処理して、第2のレジスト層12を形成する(図3(c)参照)。
加熱温度は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
第2のレジスト層12の厚さ(第1のレジスト層2の表面から第2のレジスト層12の表面までの長さ)は例えば0.05〜1.0μm程度であり、好ましくは0.1〜0.5μm程度である。
【0035】
(ii’−3)露光工程
第2のレジスト層12に露光を施す。
すなわち、所望ののマスク(レチクル)13を用いて、第2のレジスト層12を選択的露光する。
なお、図3(c)は、ホールパターンが、パターンの幅Dと間隔Lとが約1:2のサイズで形成された疎パターンを形成する露光を施す例である。
すなわち、この例においても、第1の態様と同じマスクを用いて同じ範囲を露光し、図4に示す様に、領域21は露光せず、領域22において、第2のレジスト層12を、パターンの幅Dのホール12aが間隔Lで配置される様に選択的露光すると、露光部12a’、未露光部12bが形成される。
なお、図3(c)、図4に示す様に、疎パターンのホール12aの直径(パターンの幅)Dは、第1のレジスト層2に形成されるホール2aの直径(パターンの幅)Dより大きく設計されている。そして、ホール12aはその直下に形成されているホール2aを含む範囲に形成される。
【0036】
(ii’−4)PEB(露光後加熱処理)工程
選択的露光を行った第2のレジスト層12を、加熱処理して第2のレジスト層12中の酸発生剤から発生する酸成分を適度に拡散させつつ、ネガ化させる(図3(c)参照)。
加熱温度は例えば80〜150℃、40〜120秒(好ましくは60〜90秒)程度である。
【0037】
(ii’−5)第2のレジスト層の現像工程
第1のレジスト層2と第2のレジスト層12の積層体を現像処理すると、図4に示す領域22では、図3(d)に示す様に、第2のレジスト層12の未露光部12bが除去されて疎パターンのホール12aが形成される。
これにより、領域22では、ホール12aとその直下のホール2aとが連続する疎のホールパターンが形成される。また、領域21では、選択的露光の際に光を当てていない為、第2のレジスト層12が現像液で現像され、第1のレジスト層2の密パターンを埋め込んでいた第2のネガ型レジスト組成物も同時に除去され、ホール2aが形成される。
すなわち、この方法は第1のレジスト層2に形成した広いDOFの密パターンを、第2のレジスト層12で埋め込み、選択的に露光して現像し、第2レジスト層12の一部を除去して、密パターンの一部を露出させることにより、この密パターンを疎のパターンとして利用するものである。なお、密パターンにおいて、第2のレジスト層12を除去しない部分は、第2のレジスト層12で埋め込まれた状態となる。
下層の第1のレジスト層2に初めから疎のパターンを形成しても広いDOF特性を確保することができないが、上述の工程を経ることにより、広いDOFの疎パターンを得ることができる。
【0038】
なお、上層の第2のレジスト層12のDOF特性については、第1のレジスト層(下層)2に形成されるパターン程、高い特性は要求されない。これは、ホール2aとホール12aとが連続する疎のホールパターンにおいて重要となるのは、下層2のホール2aであるからである。なぜなら、基板をエッチングする際には、下層2のパターンが転写される為である(基板に転写する際は、下層のパターンに依存する)。
この様にして図4に示す様に、ひとつの基板上に密パターンの領域21と疎パターンの領域22とが両方形成されたいわゆる疎密混在パターンが得られる。
【0039】
また、プロセス2においては、現像後のスカムがより発生しにくいという利点がある。
また、第1のレジスト層を一旦現像処理してから、第2のレジスト層を形成するので、第2のレジスト層が第1のレジスト層中の酸発生剤の影響を受けず、より高精度のパターンを形成できるという利点もある。
【0040】
なお、第2のレジスト層12を形成するにおいて、ポジ型レジスト組成物を用いた場合において、上述の例と異なるのは、第2のレジスト層12を露光する際に用いるマスクの光の透過部分(露光部分)と光の遮断部分(未露光部分)を反転させ、露光部分を現像液により除去する点であり、その他は同様である。
【0041】
本発明の方法においては、第2のレジスト層12を形成するレジスト組成物として、特定の第2のネガ型レジスト組成物またはポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とする。これらの材料については、第1の態様と共通であるので、以下にまとめて説明する。
【0042】
[第2のネガ型レジスト組成物]
本発明に用いる第2のネガ型レジスト組成物は、基材成分、露光により酸を発生する酸発生剤成分などの材料を特定の有機溶剤に溶解してなることを特徴とする。
【0043】
有機溶剤
本発明においては第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤を用いる。これによりミキシングを抑制することができる。
この様な有機溶剤としては、第1のレジスト層と相溶性を有さない溶剤であればいずれも使用可能である。
第1のレジスト層を溶解しないとは、好ましくは、例えば23℃条件下、膜厚0.2μmの第1のレジスト層を形成し、これを有機溶剤に浸漬したときに、60分後においても膜厚の変動が生じないことを示す。
【0044】
このような溶剤としてはアルコール系溶剤、フッ素系溶剤等が挙げられる。これらは1種または2種以上混合して用いることができる。
その中でも、塗布性、樹脂成分などの材料の溶解性の点から、アルコール系溶剤が好ましい。よって、有機溶剤は、アルコール系溶剤を含むことが好ましい。
そして、アルコール系溶剤としては、1価アルコールがさらに好ましく、その中でも、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、中でも1級の1価アルコールが最も好ましい。
沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、およびPAB工程やPEB工程の加熱温度の観点から最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、アルコール分子に含まれるヒドロキシ基の数が1個の場合を意味するものであり、2価アルコール、又は3価アルコール及びその誘導体は含まれない。
【0045】
アルコール系溶剤の具体例としては、n−アミルアルコール(沸点138.0℃)、s−アミルアルコール(沸点119.3℃)、t−アミルアルコール(101.8℃)、イソアミルアルコール(沸点130.8℃)、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも呼ぶ)(沸点107.9℃)、イソプロピルアルコール(沸点82.3℃)、2−エチルブタノール(沸点147℃)、ネオペンチルアルコール(沸点114℃)、n−ブタノール(沸点117.7℃)、s−ブタノール(沸点99.5℃)、t−ブタノール(沸点82.5℃)、1−プロパノール(沸点97.2℃)、n−ヘキサノール(沸点157.1℃)、2−ヘプタノール(沸点160.4℃)、3−ヘプタノール(沸点156.2℃)、2−メチル−1−ブタノール(沸点128.0℃)、2−メチル−2−ブタノール(沸点112.0℃)、4−メチル−2−ペンタノール(沸点131.8℃)等が挙げられる。特にはイソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノール、n−ブタノール等が好適である。中でもイソブタノール、n−ブタノールが好ましい。
【0046】
なお、フッ素系溶剤としてはパーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0047】
有機溶剤は、第1のレジスト層を溶解しない限り、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤等以外の有機溶剤を用いてもよいが、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤等の好ましい溶剤を80質量%以上、好ましくは100質量%用いることが好ましい。
他の有機溶剤としては、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
【0048】
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0049】
第2のネガ型レジスト組成物の他の組成
第2のネガ型レジスト組成物は、(A0−0)アルカリ可溶性樹脂、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、および(C)架橋剤成分を含有する化学増幅型であることが好ましい。
(A0−0)アルカリ可溶性樹脂、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、(C)架橋剤成分、その他添加可能な任意成分などについては、特に限定するものではなく、従来ネガ型レジスト組成物の材料として提案されているものを適宜用いることができる。
なお、第2のネガ型レジスト組成物が第1のレジスト層に接触することに関する影響を考慮すると、第2のネガ型レジスト組成物としては、感度の高いものが望ましい。
好ましいものとしては、以下の様なものが挙げられる。
【0050】
以下のネガ型レジスト組成物の例の説明において、用語の意義は以下の通りである。
「構成単位」とは、重合体(樹脂)を構成するモノマー単位を示す。
「アクリル酸から誘導される構成単位」とは、アクリル酸のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレ性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」は、α位の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。なお、「アクリル酸から誘導される構成単位」、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」において、「α位(α位の炭素原子)」という場合は、特に断りがない限り、カルボキシ基が結合している炭素原子のことである。
また、「アクリル酸から誘導される構成単位」は、α位の炭素原子に結合する水素原子がハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換された構成単位や、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルから誘導される構成単位等も含む概念とする。
また、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、環状または分岐鎖状のアルキル基を包含するものとする。「ハロゲン」は、特に断りがない限り、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子であることが好ましいものとする。
【0051】
(A0−0)樹脂成分
(A0−0)成分としては、(A0)少なくともフッ素化されたヒドロキシアルキル基と、脂環式基とを含有する樹脂成分が好ましい。
その中でも、(A0)成分としては、(A)フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a1)と、アクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、水酸基含有脂環式基を含む構成単位(a2)とを有する樹脂成分が好ましい。
【0052】
・フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a1)
構成単位(a1)を有することにより、ネガ型レジスト組成物において問題になりやすい膨潤抑制の効果が得られる。
【0053】
・・フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基
構成単位(a1)において、脂環式基はフッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシ基を有するアルキル基において、当該アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素によって置換されているものである。当該基においては、フッ素化によって水酸基の水素原子が遊離しやすくなっている。
フッ素化されたヒドロキシアルキル基において、アルキル基は直鎖または分岐鎖状であり、炭素数は特に限定するものではないが、例えば1〜20、好ましくは4〜16とされる。水酸基の数は特に限定するものではないが、通常は1つとされる。
中でも、当該アルキル基において、ヒドロキシ基が結合したα位の炭素原子(ここではヒドロキシアルキル基のα位の炭素原子を指す)に、フッ素化されたアルキル基及び/またはフッ素原子が結合しているものが好ましい。そして、当該α位に結合するフッ素化されたアルキル基は、アルキル基の水素原子の全部がフッ素で置換されていることが好ましい。
【0054】
脂環式基は単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基が好ましい。また、飽和であることが好ましい。また、脂環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
【0055】
脂環式基の具体例としては以下のものが挙げられる。
すなわち、単環式基としてはシクロアルカンから1個水素原子を除いた基などが挙げられる。多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個又は2個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
そして、さらに具体的には、単環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサンから1個又は2個の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキサンから2個の水素原子を除いたが好ましい。
多環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個又は2個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な多環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のポジ型ホトレジスト組成物用樹脂において、酸解離性溶解抑制基を構成するものとして多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でもシクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、テトラシクロドデカンから2個の水素原子を除いた基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、特にノルボルナンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
【0056】
構成単位(a1)は、アクリル酸から誘導される構成単位であることが好ましく、アクリル酸エステルのエステル基[−C(O)O−]に上記脂環式基が結合した構造(カルボキシ基の水素原子が上記脂環式基で置換されている構造)が好ましい。
【0057】
構成単位(a1)として、より具体的には以下の一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0058】
【化1】

(式中、Rは水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基またはフッ素原子であり、m、n、pはそれぞれ独立して1〜5の整数である。)
【0059】
Rは、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基またはフッ素原子である。
アルキル基としては、炭素数5以下の低級アルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
フッ素化アルキル基は、好ましくは炭素数5以下の低級アルキル基の水素原子の1つ以上がフッ素原子で置換された基である。アルキル基の具体例は上記の説明と同様である。フッ素原子で置換される水素原子は、アルキル基を構成する水素原子の一部でもよいし、全部でもよい。
Rにおいて、好ましいのは水素原子またはアルキル基であり、特に水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
また、n、m、pはそれぞれ1であることが好ましい。
【0060】
一般式(1)で表されるものの中でも、α,α’−ビス−(トリフルオロメチル)−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−5−エン−2−エタノールアクリレートから誘導される構成単位は、効果の点、及び合成が容易で、かつ高エッチング耐性が得られる点からも好ましい。
【0061】
構成単位(a1)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0062】
・アクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、水酸基含有脂環式基を含む構成単位(a2)
(A)成分においては、構成単位(a2)を含むことにより、膨潤抑制の効果が向上する。また、エッチング耐性向上の効果が得られる。
(A)成分をネガ型レジスト組成物に配合すると、当該構成単位(a2)の水酸基(アルコール性水酸基)が、(B)酸発生剤から発生する酸の作用によって、(C)架橋剤と反応し、これにより当該(A)成分がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化し、ネガ化する。
【0063】
構成単位(a2)において、水酸基含有脂環式基は、アクリル酸エステルのエステル基(−C(O)O−)に結合していることが好ましい。
【0064】
なお、構成単位(a2)において、α位(α位の炭素原子)には、水素原子にかわって、他の置換基が結合していてもよい。置換基としては、好ましくはアルキル基、フッ素化アルキル基、またはフッ素原子が挙げられる。
これらの説明は上記構成単位(a1)の一般式(1)中のRの説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいのは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましく、最も好ましいのは水素原子である。
【0065】
また、水酸基含有脂環式基とは、脂環式基に水酸基が結合している基である。
水酸基は例えば1〜3個結合していることが好ましく、さらに好ましくは1個である。
また、脂環式基には炭素数1〜4のアルキル基が結合していてもよい。
【0066】
ここで、脂環式基は単環でも多環でもよいが、多環式基であることが好ましい。また、脂環式炭化水素基が好ましい。また、飽和であることが好ましい。また、脂環式基の炭素数は5〜15であることが好ましい。
【0067】
脂環式基の具体例としては以下のものが挙げられる。
すなわち、単環式基としてはシクロアルカンから1個水素原子を除いた基などが挙げられる。多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
そして、さらに具体的には、単環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサンから1個の水素原子を除いた基が挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
多環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
なお、この様な多環式基は、例えばArFエキシマレーザープロセス用のポジ型ホトレジスト組成物用樹脂において、酸解離性溶解抑制基を構成するものとして多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
これらの中でもシクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上入手しやすく、好ましい。
これら例示した単環式基、多環式基の中でも、シクロヘキシル基、アダマンチル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
【0068】
構成単位(a2)の具体例として、例えば下記一般式(2)で表される構成単位が好ましい。
【0069】
【化2】

(Rは水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基またはフッ素原子であり、qは1〜3の整数である。)
【0070】
Rは、α位に結合する水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、またはフッ素原子であり、上記一般式(1)の説明と同様である。一般式(2)において、Rは水素原子であることが最も好ましい。
また、qは1〜3の整数であるが、1であることが好ましい。
また、水酸基の結合位置は特に限定しないが、アダマンチル基の3位の位置に結合していることが好ましい。
【0071】
構成単位(a2)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0072】
・アクリル酸から誘導され、かつ環式構造を有しない構成単位であって、側鎖にアルコール性水酸基を有する構成単位(a3)
(A)成分においては、構成単位(a1)、構成単位(a2)に加えて、構成単位(a3)を有することが好ましい。
構成単位(a3)を有することにより、解像性向上の効果が得られる。また、膜減りが抑制できる。また、パターン形成時の架橋反応の制御性が良好となる。さらに、膜密度が向上する傾向がある。これにより、耐熱性が向上する傾向がある。さらにはエッチング耐性も向上する。
【0073】
「環式構造を有しない」とは、脂環式基や芳香族基を有しないことを意味する。
構成単位(a3)は、環式構造を有しないことにより、構成単位(a2)と明らかに区別される。構成単位(a3)を有する(A)成分をネガ型レジスト組成物に配合すると、上述の構成単位(a2)の水酸基とともに、当該構成単位(a3)のヒドロキシアルキル基の水酸基が、(B)酸発生剤から発生する酸の作用によって、(C)架橋剤と反応し、これにより当該(A)成分がアルカリ現像液に対して可溶性の性質から不溶性の性質に変化しネガ化する。
【0074】
「側鎖にアルコール性水酸基を有する」とは、例えばヒドロキシアルキル基が結合している構成単位が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基は、例えば主鎖(アクリル酸のエチレン性2重結合が開裂した部分)のα位の炭素原子に結合していてもよいし、アクリル酸のカルボキシ基の水素原子と置換してエステルを構成していてもよく、構成単位(a3)において、これらのうち少なくとも1方あるいは両方が存在していることが好ましい。
【0075】
なお、α位にヒドロキシアルキル基が結合していない場合、α位の炭素原子には、水素原子にかわって、アルキル基、フッ素化アルキル基、またはフッ素原子が結合していてもよい。これらについては一般式(1)中のRの説明と同様である。
【0076】
また、構成単位(a3)は、下記一般式(3)で表されるものであると好ましい。
【0077】
【化3】

(式中、Rは水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、フッ素原子またはヒドロキシアルキル基であり、Rは、水素原子、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基であり、かつR、Rの少なくとも一方はヒドロキシアルキル基である。)
【0078】
において、ヒドロキシアルキル基は、好ましくは炭素数が10以下の低級ヒドロキシアルキル基であり、更に好ましくは炭素数2〜8の低級ヒドロキシアルキル基であり、最も好ましくはヒドロキシメチル基又はヒドロキシエチル基である。水酸基の数、結合位置は特に限定するものではないが、通常は1つであり、また、アルキル基の末端に結合していることが好ましい。
において、アルキル基は、好ましくは炭素数が10以下の低級アルキル基であり、更に好ましくは炭素数2〜8の低級アルキル基であり、最も好ましくはエチル基、メチル基である。
において、フッ素化アルキル基は、好ましくは炭素数が5以下の低級アルキル基(好ましくはエチル基、メチル基)において、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換された基である。
において、アルキル基、ヒドロキシアルキル基は、Rと同様である。
【0079】
具体的には、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸から誘導される構成単位、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位が挙げられる。
中でも、構成単位(a3)が、効果向上の点及び膜密度が向上の点から、(α−ヒドロキシアルキル)アクリル酸アルキルエステルから誘導される構成単位を含むと好ましい。そして、中でも(α−ヒドロキシメチル)−アクリル酸エチルエステル又はα−(ヒドロキシメチル)−アクリル酸メチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a3)が、(α−アルキル)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルから誘導される構成単位を含むと好ましい。そして、中でも、α−メチル−アクリル酸ヒドロキシエチルエステル又はα−メチル−アクリル酸ヒドロキシメチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
【0080】
構成単位(a3)は1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0081】
・ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)
(A)成分は、構成単位(a1)、及び構成単位(a2)に加えて、さらに、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)を有することが好ましい。
また、構成単位(a1)、構成単位(a2)、及び構成単位(a4)に加えて、さらに構成単位(a3)を組み合せて用いても良い。
【0082】
構成単位(a4)のラクトン含有単環または多環式基は、レジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりするうえで有効なものである。また、膨潤抑制の効果が向上する。
【0083】
なお、ここでのラクトンとは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環を示し、これをひとつの目の環として数える。したがって、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
【0084】
構成単位(a4)としては、このようなエステルの構造(−O−C(O)−)と環構造とを共に有するラクトン環を持てば、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
【0085】
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
特に、以下のような構造式を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
【0086】
【化4】

【0087】
また、構成単位(a4)においては、ラクトン含有多環式基であるものが好ましく、中でもノルボルナンラクトンを有するものが好ましい。
【0088】
構成単位(a4)において、α位(α位の炭素原子)には、水素原子にかわって、他の置換基が結合していてもよい。置換基としては、好ましくはアルキル基、フッ素化アルキル基、またはフッ素原子が挙げられる。
これらの説明は上記構成単位(a1)の一般式(1)中のRの説明と同様であって、α位に結合可能なもののうち、好ましいのは水素原子またはアルキル基であって、特に水素原子またはメチル基が好ましく、最も好ましいのは水素原子である。
【0089】
構成単位(a4)の例として、より具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構成単位が挙げられる。
【0090】
【化5】

(式中、Rは前記と同じである。R’はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基であり、mは0または1の整数である。)
【0091】
一般式(a4−1)〜(a4−5)におけるR’のアルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRのアルキル基と同じである。一般式(a4−1)〜(a4−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
【0092】
そして、構成単位(a4)としては、一般式(a4−2)〜(a4−3)で表される単位が最も好ましい。
【0093】
構成単位(a4)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
・構成単位(a1)乃至構成単位(a4)の組み合わせ
(A)成分において、構成単位(a1)乃至構成単位(a4)は、例えば以下の様に4種類の組み合わせを選択する様にすると好ましい。
【0095】
(イ)構成単位(a1)と構成単位(a2)の組み合わせを含む様に選択する。
このとき、構成単位(a1)が一般式(1)で表される構成単位であり、かつ一般式(1)中のRが水素原子であることが好ましい。そして、これと同時に、構成単位(a2)のα位(カルボキシ基が結合した炭素原子)に水素原子が結合していることが好ましい。その理由は、溶解コントラストが良好となるためである。
【0096】
(ロ)構成単位(a1)、構成単位(a2)、及び構成単位(a3)の組み合わせを含む様に選択する。
このとき、構成単位(a1)が一般式(1)で表される構成単位であり、かつ一般式(1)中のRが水素原子であることが好ましい。そして、これと同時に、構成単位(a2)のα位に水素原子が結合していることが好ましい。その理由は、溶解コントラストが良好となるためである。
【0097】
(ハ)構成単位(a1)、構成単位(a2)、及び構成単位(a4)の組み合わせを含む様に選択する。
このとき、構成単位(a1)が一般式(1)で表される構成単位であり、かつ一般式(1)中のRが水素原子であることが好ましい。そして、これと同時に、構成単位(a2)のα位に水素原子が結合しており、かつ構成単位(a4)のα位に水素原子が結合していることが好ましい。
その理由は、溶解コントラストが良好となるためである。
【0098】
(ニ)構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、及び構成単位(a4)の組み合わせを含む様に選択する。
このとき、構成単位(a1)が一般式(1)で表される構成単位であり、かつ一般式(1)中のRが水素原子であることが好ましい。そして、これと同時に、構成単位(a2)のα位に水素原子が結合しており、かつ構成単位(a4)のα位に水素原子が結合していることが好ましい。
その理由は、溶解コントラストが良好となるためである。
【0099】
・構成単位(a1)〜構成単位(a4)の割合
(A)成分にて構成単位(a1)乃至構成単位(a4)を組み合わせるにおいて、上述の様に(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)に分類される4種類の組み合わせを選択する様にすると好ましい。そこで、これらについて、以下にそれぞれ好ましい各構成単位の割合を示す。
(イ) 構成単位(a1)と構成単位(a2)の組み合わせ
少なくとも構成単位(a1)と構成単位(a2)の2つを必須とし、好ましくはこれら2つの構成単位からなる樹脂である場合、樹脂中の各構成単位の割合は以下の数値範囲を
満足することが好ましい。
すなわち、構成単位(a1)の割合は好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは
30〜70モル%であり、最も好ましくは35〜55モル%である。
構成単位(a2)の割合は、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましくは30〜7
0モル%であり、最も好ましくは45〜65モル%である。
これらの範囲を満足することにより膨潤抑制の効果が向上する。
【0100】
(ロ)構成単位(a1)、構成単位(a2)、及び構成単位(a3)の組み合わせ
構成単位(a1)、構成単位(a2)、及び構成単位(a3)を有する樹脂であり、好ましくはこれらの構成単位からなる樹脂である場合、樹脂中の各構成単位の割合は以下の数値範囲を満足することが好ましい。
すなわち、構成単位(a1)の割合は、好ましくは20〜80モル%、さらに好ましく
は30〜70モル%であり、最も好ましくは35〜55モル%である。
構成単位(a2)の割合は好ましくは10〜70モル%、さらに好ましくは10〜50
モル%、さらに好ましくは20〜40モル%である。
構成単位(a3)の割合は、好ましくは10〜70モル%、さらに好ましくは10〜4
0モル%、最も好ましくは15〜35モル%である。
これらの範囲を満足することにより膨潤抑制の効果が向上する。そして、特に構成単位(a2)と構成単位(a3)とをバランスよく配合することによって、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。また、エッチング耐性が向上する。さらに良好な露光余裕度が得られる。
【0101】
(ハ)構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a4)の組み合わせ
構成単位(a1)、(a2)、(a4)を有する樹脂であり、好ましくはこれらの構成単位からなる樹脂である場合、樹脂中の各構成単位の割合は以下の数値範囲を満足することが好ましい。
すなわち、構成単位(a1)の割合は、好ましくは20〜85モル%、さらに好ましく
は30〜70モル%であり、最も好ましくは35〜50モル%である。
構成単位(a2)の割合は好ましくは14〜70モル%、さらに好ましくは15〜50
モル%であり、最も好ましくは30〜50モル%である。
構成単位(a4)の割合は、好ましくは1〜70モル%、さらに好ましくは3〜50モル%であり、最も好ましくは5〜20モル%である。
これらの範囲を満足することにより膨潤抑制の効果が向上する。また、レジストパターン形状が良好となる。
また、(a1)、(a2)及び(a4)をバランスよく配合することによって、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。また、エッチング耐性が向上する。さらに良好な露光余裕度が得られる。
【0102】
(ニ)構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)、及び構成単位(a4)の組み合わせ
構成単位(a1)乃至構成単位(a4)を全て有する樹脂であり、好ましくはこれらの構成単位からなる樹脂である場合、樹脂中の各構成単位の割合は以下の数値範囲を満足することが好ましい。
すなわち、構成単位(a1)の割合は、好ましくは10〜85モル%、さらに好ましくは20〜70モル%であり、最も好ましくは25〜50モル%である。
構成単位(a2)の割合は好ましくは10〜80モル%、さらに好ましくは20〜70モル%であり、最も好ましくは30〜50モル%である。
構成単位(a3)の割合は、好ましくは4〜70モル%、さらに好ましくは7〜50モル%であり、最も好ましくは10〜30モル%である。
構成単位(a4)の割合は、好ましくは1〜70モル%、さらに好ましくは3〜50モル%であり、最も好ましくは5〜20モル%である。
これらの範囲を満足することにより膨潤抑制の効果がさらに向上する。また、レジストパターン形状が良好となる。
また、構成単位(a1)乃至構成単位(a4)をバランスよく配合することによって、適度なコントラストが得られ、解像性が向上する。また、エッチング耐性が向上する。さらに良好な露光余裕度が得られる。
【0103】
なお、(A)成分は、構成単位(a1)乃至(a4)から選択される以外の他の共重合可能な構成単位を有していてもよいが、構成単位(a1)乃至構成単位(a4)から選択される構成単位を主成分とする樹脂であることが好ましい。
ここで主成分とは好ましくはこれらから選択される構成単位の合計が70モル%以上、好ましくは80モル%以上であり、中でも好ましいのは、100%である。
【0104】
なお、(A)成分において、特に好ましいのは、構成単位(a1)及び構成単位(a2)からなる樹脂、または構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)からなる樹脂、または構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a4)からなる樹脂、または構成単位(a1)乃至構成単位(a4)からなる樹脂であり、より好ましくは構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)からなる樹脂である。
【0105】
・質量平均分子量
(A)成分の質量平均分子量(Mw;ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算質量平均分子量)は、好ましくは2000〜30000、さらに好ましくは2000〜10000、最も好ましくは3000〜8000とされる。この範囲とすることにより、膨潤の抑制、これによるマイクロブリッジの抑制の点から好ましい。また、高解像性の点から好ましい。分子量は低い方が良好な特性が得られる傾向がある。
【0106】
(A)成分は、例えば各構成単位を誘導するモノマーを常法によりラジカル重合することによって得ることができる。
(A)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0107】
また、(A0−0)成分、(A0)成分の好ましい質量平均分子量は(A)成分と同様である。
(A0−0)成分、(A0)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。そして、(A0−0)成分、(A0)成分は(A)成分以外の樹脂を用いることもできる。
(A0−0)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
【0108】
(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分
(B)成分は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知の酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
【0109】
オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
【0110】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。これらの中で、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルが好ましい。
【0111】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H)などを挙げることができる。
【0112】
【化6】

【0113】
また、(B)成分としては、下記一般式(b−1)または(b−2)
【0114】
【化7】

[式中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y、Zは、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表し;R11〜R13は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し、R11〜R13のうち少なくとも1つはアリール基を表す]で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも1種のスルホニウム化合物も好ましい。
【0115】
式(b−1)、(b−2)中、Xは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は例えば2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y、Zは、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は例えば1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
Xのアルキレン基の炭素数またはY、Zのアルキル基の炭素数が小さいほどレジスト溶媒への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xのアルキレン基またはY、Zのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
【0116】
11〜R13はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。
11〜R13のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R11〜R13のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R11〜R13のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
11〜R13のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
11〜R13のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R11〜R13はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
【0117】
これらのスルホニウム化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0118】
中でも、(A0−0)成分と(C)成分との反応性の点から、(B)成分としてフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
なお、後述するポジ型レジスト組成物においても、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩を用いることが好ましい。
(B)成分としては、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0119】
(B)成分の含有量は、(A0−0)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることで、パターン形成が十分に行うことできる。また、均一なレジスト溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0120】
(C)架橋剤成分
(C)成分は、特に限定されず、これまでに知られている化学増幅型のネガ型レジスト組成物に用いられている架橋剤成分の中から任意に選択して用いることができる。
【0121】
具体的には、例えば2,3−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルノルボルナン、2−ヒドロキシ−5,6−ビス(ヒドロキシメチル)ノルボルナン、シクロヘキサンジメタノール、3,4,8(又は9)−トリヒドロキシトリシクロデカン、2−メチル−2−アダマンタノール、1,4−ジオキサン−2,3−ジオール、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンなどのヒドロキシル基又はヒドロキシアルキル基あるいはその両方を有する脂肪族環状炭化水素又はその含酸素誘導体が挙げられる。
また、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、尿素、エチレン尿素、グリコールウリルなどのアミノ基含有化合物にホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドと低級アルコールを反応させ、該アミノ基の水素原子をヒドロキシメチル基又は低級アルコキシメチル基で置換した化合物が挙げられる。
これらのうち、メラミンを用いたものをメラミン系架橋剤、尿素を用いたものを尿素系架橋剤、エチレン尿素を用いたものをエチレン尿素系架橋剤、グリコールウリルを用いたものをグリコールウリル系架橋剤という。
具体的にはヘキサメトキシメチルメラミン、ビスメトキシメチル尿素、ビスメトキシメチルビスメトキシエチレン尿素、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリルなどを挙げることができる。
【0122】
(C)成分として、特に好ましくは、メラミン系架橋剤、尿素系架橋剤、エチレン尿素系架橋剤、プロピレン尿素系架橋剤及びグリコールウリル系架橋剤から選ばれる少なくとも1種である。特に好ましくはグリコールウリル系架橋剤である。
【0123】
グリコールウリル系架橋剤としては、N位が、架橋形成基であるヒドロキシアルキル基および/または低級アルコキシアルキル基で置換されたグリコールウリルが好ましい。
グリコールウリル系架橋剤としては、さらに具体的には例えばモノ,ジ,トリ又はテトラヒドロキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラエトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラプロポキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルなどがある。なお、「モノ,ジ,トリ及び/又はテトラ・・・」とはモノ体、ジ体、トリ体、及びテトラ体の1種または2種以上が含まれてればよいことを示し、特には、トリ体やテトラ体が好ましい。
また、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリル、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラブトキシメチル化グリコールウリルも好ましい。
そして、コントラスト、解像性の点から、モノ,ジ,トリ及び/又はテトラメトキシメチル化グリコールウリルが最も好ましい。この架橋剤は、例えば市販品「Mx270」(製品名、三和ケミカル社製)として入手することができる。このものはトリ体、テトラ体がほとんどであり、また、単量体、二量体、三量体の混合物である。
【0124】
(C)成分の配合量は、(A0−0)成分100質量部に対して3〜15質量部、好ましくは5〜10質量部とされる。下限値以上とすることにより、(A0−0)成分をアルカリ不溶性とすることができる。上限値以下とすることにより、解像性の低下を防ぐことができる。架橋剤の添加量が少ない方が解像性が向上する傾向がある。
【0125】
(D)含窒素有機化合物
ネガ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A0−0)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンのようなアルキルアルコールアミンが最も好ましい。
【0126】
(E)成分
前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A0−0)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0127】
その他の任意成分
ネガ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0128】
[ポジ型レジスト組成物]
第2のレジスト層12を形成するポジ型レジスト組成物においては、上記第2のネガ型レジスト組成物と同様に、第1のレジスト層2を溶解しない有機溶剤を用いる。有機溶剤についての説明は上記第2のネガ型レジスト組成物と同様である。
【0129】
以下のポジ型レジスト組成物の説明において、用語の意義は以下の通りである。
「(α−低級アルキル)アクリル酸エステル」とは、メタクリル酸エステル等のα−低級アルキルアクリル酸エステルと、アクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。ここで、「α−低級アルキルアクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルのα炭素原子に結合した水素原子が低級アルキル基で置換されたものを意味する。
「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「α−低級アルキルアクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、α−低級アルキルアクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
【0130】
ポジ型レジスト組成物は、(A0’)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、及び(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分を含有するレジスト組成物であって、
前記(A0’)成分が、(A’)(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有し、かつ酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分であると好ましい。
さらには、(A’)成分が、酸解離性溶解抑制基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)と、極性基含有多環式基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3’)を有することが好ましい。
【0131】
・構成単位(a1’)
構成単位(a1’)において、α炭素原子に結合しているのは、水素原子または低級アルキル基である。
低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。
そして、中でも水素原子またはメチル基が好ましい。
【0132】
構成単位(a1’)の酸解離性溶解抑制基は、露光前の(A’)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有すると同時に、露光後に酸発生剤(B)から発生した酸の作用により解離し、この(A’)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させる基である。
酸解離性溶解抑制基としては、例えばArFエキシマレーザーのレジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。一般的には、アクリル酸のカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基、及び環状又は鎖状のアルコキシアルキルを形成する基が広く知られている。
【0133】
環状または鎖状のアルコキシアルキルエステルとは、カルボキシ基の水素原子がアルコキシアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(O)−O―)の末端の酸素原子に前記アルコキシアルキル基が結合している構造を示し、このアルコキシアルキルエステル基は酸が作用すると酸素原子とアルコキシアルキル基との間で結合が切断される。このような環状または鎖状のアルコキシアルキル基としては、1−メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−イソプロポキシエチル、1−シクロヘキシルオキシエチル基、2−アダマントキシメチル基、1−メチルアダマントキシメチル基、4−オキソ−2−アダマントキシメチル基等が挙げられる。
鎖状の第3級アルキルエステルを形成する酸解離性溶解抑制基としては、例えばt−ブチル基、tert−アミル基等が挙げられる。
なお、構成単位(a1’)としては、環状、特に、「脂環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」を含む構成単位が好ましい。脂環式基としては、単環、または多環のいずれでもよく、例えばArFレジスト等において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができるが、エッチング耐性の点からは多環の脂環式基が好ましい。また、脂環式基は炭化水素基が好ましく、飽和であることが好ましい。
単環の脂環式基としては、例えば、シクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。多環の脂環式基としては、例えばビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。
具体的には、単環のものとしては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。多環のものとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもアダマンタンから1個の水素原子を除いたアダマンチル基、ノルボルナンから1個の水素原子を除いたノルボルニル基、トリシクロデカンからの1個の水素原子を除いたトリシクロデカニル基、テトラシクロドデカンから1個の水素原子を除いたテトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
【0134】
より具体的には、構成単位(a1’)は、下記一般式(I’)〜(III’)から選ばれる少なくとも1種であると好ましい。
【0135】
【化8】

[式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、R21は低級アルキル基である。]
【0136】
【化9】

[式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、R22及びR23はそれぞれ独立に低級アルキル基である。]
【0137】
【化10】

[式中、R24は第3級アルキル基である。]
【0138】
は水素原子または低級アルキル基である。低級アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。工業的にはメチル基が好ましい。そして、中でも水素原子またはメチル基が好ましい。
前記R21としては、炭素数1〜5の低級の直鎖又は分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。その中でも、メチル基、エチル基であることが工業的に入手が容易であることから好ましい。
【0139】
前記R22及びR23は、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1〜5の直鎖または分岐の低級アルキル基である。中でも、R22、R23が共にメチル基である場合が工業的に好ましく、具体的には、2−(1−アダマンチル)−2−プロピルアクリレートから誘導される構成単位を挙げることができる。
【0140】
また、前記R24は鎖状の第3級アルキル基または環状の第3級アルキル基であることが好ましい。鎖状の第3級アルキル基としては、例えばtert−ブチル基やtert−アミル基であり、tert−ブチル基である場合が工業的に好ましい。なお、第3級アルキル基とは、第3級炭素原子を有するアルキル基である。
環状の第3級アルキル基としては、前述の「脂環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」で例示したものと同じであり、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基等を挙げることができる。
また、基−COOR24は、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3または4の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。また、アクリレート構成単位のカルボキシ基残基も同様に式中に示した8または9の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。
【0141】
構成単位(a1’)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
構成単位(a1’)は、(A’)成分中の全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%であり、35〜45モル%であることが最も好ましい。下限値以上とすることによってパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0142】
・構成単位(a3’)
構成単位(a3’)により、(A’)成分全体の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
構成単位(a3’)において、α炭素原子に結合するのは、低級アルキル基、水素原子のうち、いずれでもよい。低級アルキル基については、上記と同様である。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アミノ基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
多環式基としては、多環式の脂環式炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、構成単位(a1’)において例示したものと同様の多数の多環式基から適宜選択して用いることができる。
【0143】
構成単位(a3)としては、下記一般式(VIII’)〜(IX’)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0144】
【化11】

[式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、n’は1〜3の整数である。]
【0145】
は上記と同様である。
これらの中でも、n’が1であり、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
【0146】
【化12】

[式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、kは1〜3の整数である。]
【0147】
は上記と同様である。
これらの中でも、kが1であるものが好ましい。また、シアノ基がノルボルニル基の5位又は6位に結合していることが好ましい。
また、前記第2のネガ型レジスト組成物の「フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基」で示した構成単位(a1)を用いることもでき、具体的には前記一般式(1)が、アルコール系溶剤への溶解性の点から最も好ましい。
【0148】
構成単位(a3’)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
構成単位(a3’)は、(A’)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜50モル%、好ましくは15〜40モル%含まれていると好ましく、20〜30モル%が最も好ましい。
下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0149】
・その他の構成単位
(A’)成分は、前記構成単位(a1’)、(a3’)以外の構成単位を含んでいてもよいが、好適にはこれらの構成単位の合計が全構成単位中70モル%以上、好ましくは80モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
前記構成単位(a1’)、(a3’)以外の構成単位としては、前記第2のネガ型レジスト組成物で示した、「ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)」と同様の構成単位(a2’)が挙げられる。
構成単位(a2’)の説明は、構成単位(a4)の説明と同じである。
構成単位(a2’)は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
構成単位(a2’)は、(A’)成分中の全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは20〜50モル%含まれていると好ましく、30〜45モル%であることが最も好ましい。下限値以上とすることによりリソグラフィー特性が向上し、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0150】
また、構成単位(a1’)、構成単位(a3’)および構成単位(a2’)以外の他の構成単位(a4’)を用いることもできる。この構成単位(a4’)としては、上述の構成単位(a1’)〜(a3’)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではない。
【0151】
例えば多環の脂環式炭化水素基を含み、かつ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該多環の脂環式炭化水素基は、例えば、前記の構成単位(a1’)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、イソボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易い等の点で好ましい。
構成単位(a4’)として、具体的には、下記(X)〜(XII)の構造のものを例示することができる。
【0152】
【化13】

(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基である)
この構成単位は、通常、5位又は6位の結合位置の異性体の混合物として得られる。
【0153】
【化14】

(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基である)
【0154】
【化15】

(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基である)
【0155】
は上記と同様である。
構成単位(a4’)を有する場合、構成単位(a4’)は、(A’)成分中、全構成単位の合計に対して1〜25モル%、好ましくは5〜20モル%の範囲で含まれていると好ましい。
【0156】
(A’)成分は1種または2種以上の樹脂から構成することができる。
そして、(A’)成分は、例えば各構成単位に係るモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
【0157】
(A’)成分の質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算質量平均分子量、以下同様。)は、例えば30000以下であり、20000以下であることが好ましく、12000以下であることがさらに好ましく、最も好ましくは10000以下とされる。
下限値は特に限定するものではないが、パターン倒れの抑制、解像性向上等の点で、好ましくは4000以上、さらに好ましくは5000以上とされる。
【0158】
また、(A0’)成分の好ましい質量平均分子量は(A’)成分と同様である。
(A0’)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。そして、(A0’)成分は(A’)成分以外の樹脂を用いることもできる。
(A0’)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
【0159】
(B)成分
第2のネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
【0160】
(D)成分
第2のネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
(E)成分
第2のネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
【0161】
その他任意成分
第2のネガ型レジスト組成物の説明と同様である。
【0162】
[第1のネガ型レジスト組成物]
第1のネガ型レジスト組成物は、例えば第2のネガ型レジスト組成物と同様のものが用い得る。ただし、第1のネガ型レジスト組成物においては、第2のネガ型レジスト組成物の様に、第1のレジスト層2を溶解しない有機溶剤を用いるという制約がない。
そのため、上記第2のネガ型レジスト組成物にて説明したアルコール系溶剤、フッ素系有機溶剤等以外の有機溶剤を用いることも可能である。しかし、好ましくは第2のネガ型レジスト組成物に用いる有機溶剤を用いることが好ましく、第2のネガ型レジスト組成物の有機溶剤と同様、特に好ましくはアルコール系有機溶剤を用いることであり、さらに好ましくはイソブタノールおよび/またはn−ブタノールを用いることである。
上記第2のネガ型レジスト組成物にて説明したアルコール系溶剤、フッ素系有機溶剤等以外の有機溶剤としては、例えば、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
【0163】
また、これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは2:8〜8:2、より好ましくは3:7〜7:3であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
【0164】
本発明のレジストパターンの形成方法においては、上述の様に第2のレジスト層を形成するものとして、特定の有機溶媒に溶解した第2のネガ型レジスト組成物またはポジ型レジスト組成物を用いることにより、下層に密パターンを形成し、上層に疎パターンを形成するレジストパターンの形成方法において、ミキシングを抑制でき、良好な形状のレジストパターンの形成方法を提供することができる。
【実施例】
【0165】
[参考例]
(第2のレジスト層に用いるポジ型レジスト組成物の調整)
樹脂成分として、下記化学式で表される樹脂1を100質量部、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートを5.0質量部、含窒素有機化合物としてトリエタノールアミンを0.45質量部を有機溶剤としてイソブタノールに溶解して固形分濃度6質量%のポジ型レジスト組成物とした。
【0166】
【化16】

樹脂1(質量平均分子量9800、分散度(質量平均分子量/数平均分子量)1.4、l/m=/48/52(モル比))
【0167】
(第1又は第2のレジスト層に用いるネガ型レジスト組成物の調整)
樹脂成分として、下記化学式で表される樹脂2を100質量部、酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートを2.0質量部、及び含窒素有機化合物としてトリエタノールアミンを0.1質量部を有機溶剤としてイソブタノールに溶解して固形分濃度6質量%のネガ型レジスト組成物とした。
【0168】
【化17】

樹脂2(質量平均分子量5400、分散度(質量平均分子量/数平均分子量)2.0、l/m/n=50/17/33(モル比))
【0169】
[実施例1]
有機系反射防止膜組成物「ARC−29」(商品名、ブリューワサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、参考例で調整したネガ型レジスト組成物をスピンナーを用いて塗布した後、ホットプレート上で80℃で60秒間でプレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚200nmレジスト層を形成した。ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、100℃で60秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥することで、140nmの1:1のデンス(密)コンタクトホールパターンを形成した。
次に、形成した前記デンスホールパターン上に、前記参考例で調整したポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で115℃で60秒間でプレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚200nmレジスト層を形成した。その際に、下層のレジスト層とミキシングは発生していなかった。ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,σ=0.75)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、100℃で60秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥して140nmの1:1のデンス(密)コンタクトホールパターンと、ホールの幅が140nmの疎パターンとを共に有する疎密混在パターンを形成することができた。
【0170】
[実施例2]
有機系反射防止膜組成物「ARC−29」(商品名、ブリューワサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、参考例で調整したネガ型レジスト組成物をスピンナーを用いて塗布した後、ホットプレート上で80℃で60秒間でプレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚200nmレジスト層を形成した。ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、100℃で60秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥することで、140nmの1:1のデンス(密)コンタクトホールパターンを形成した。
次に、形成した前記デンスホールパターン上に、前記参考例で調整したネガ型レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布した後、ホットプレート上で80℃で60秒間でプレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚200nmレジスト層を形成した。その際に、下層のレジスト層とミキシングは発生していなかった。ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、100℃で60秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥することで、140nmの1:1のデンス(密)コンタクトホールパターンと、ホールの幅が140nmの疎パターンとを共に有する疎密混在パターンを形成することができた。
【0171】
この様に、本発明に係る実施例ではミキシングを防ぐことができ、実用的なレジストパターンを形成することができた。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】図1(a)は第1の態様の手順の例(プロセス1)のフローを示した説明図、図1(b)は第2の態様の手順の例(プロセス2)のフローを示した説明図。
【図2】プロセス1の説明図(断面図)。
【図3】プロセス2の説明図(断面図)。
【図4】プロセス1または2を経て密パターンと疎パターンを形成した後の状態を示した平面図。
【符号の説明】
【0173】
1・・・基板、2・・・第1のレジスト層(下層)、2a・・・ホール、2a’・・・露光部、12・・・第2のレジスト層(上層)、12a・・・ホール、12a’・・・露光部、3、13・・・マスク、2b・・・未露光部、12b・・・未露光部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(i)〜(ii)の工程
(i)基板上に第1のネガ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、密パターンを形成する為に選択的に露光する工程
(ii)該第1のレジスト層の上に第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、第1のレジスト層と第2のレジスト層を同時に現像して、前記第1のレジスト層の未露光部の一部を露出させる工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項2】
下記(i’)〜(ii’)の工程
(i’)基板上にネガ型レジスト組成物を用いて第1のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して該第1のレジスト層に密パターンを形成する工程
(ii’)該第1のレジスト層の密パターン上に第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いて第2のレジスト層を形成し、選択的に露光した後、現像して前記密パターンの一部を埋め込む工程
を含むレジストパターンの形成方法であって、
前記第2のネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物として、第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤に溶解したネガ型レジスト組成物又はポジ型レジスト組成物を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレジストパターンの形成方法において、前記第1のレジスト層を溶解しない有機溶剤がアルコール系溶剤を含むレジストパターンの形成方法。
【請求項4】
請求項3に記載のレジストパターンの形成方法において、前記アルコール系溶剤がイソブタノールおよび/またはn−ブタノールであるレジストパターンの形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジストパターンの形成方法において、
第1のネガ型レジスト組成物と第2のネガ型レジスト組成物の一方あるいは両方が、(A0−0)アルカリ可溶性樹脂、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分、および(C)架橋剤成分を含有するネガ型レジスト組成物であるレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
前記(A0−0)成分が、(A0)少なくともフッ素化されたヒドロキシアルキル基と、脂環式基とを含有する樹脂成分である請求項5記載のレジストパターン形成方法。
【請求項7】
前記(A0)成分が、(A)フッ素化されたヒドロキシアルキル基を有する脂環式基を含有する構成単位(a1)と、アクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、水酸基含有脂環式基を含む構成単位(a2)とを有する樹脂成分である請求項6記載のレジストパターン形成方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載のレジストパターンの形成方法において、
前記ポジ型レジスト組成物が、(A’)(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有し、かつ酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分と、(B)露光により酸を発生する酸発生剤成分を含むポジ型レジスト組成物であるレジストパターンの形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−165328(P2006−165328A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355696(P2004−355696)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】