説明

レジスト付き基体の製造方法、レジストパターン付き基体の製造方法、パターン付き基体の製造方法及びレジスト処理方法

【課題】化学増幅レジストの性能を引き出すことにより、高い解像性能と良好なパターン品質を有するレジストパターンが得られるレジスト付き基体の製造方法、レジストパターン付き基体の製造方法、パターン付き基体の製造方法及びレジスト処理方法を提供する。
【解決手段】基体上に化学増幅レジストを塗布するレジスト塗布工程と、前記レジスト塗布工程後、レジスト塗布基体に対してベークを行うパターン露光前ベーク工程と、を有し、前記パターン露光前ベーク工程後に形成されることになるパターン未露光のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行うとすると前記レジスト層の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、前記パターン露光前ベーク工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト付き基体の製造方法、レジストパターン付き基体の製造方法、パターン付き基体の製造方法及びレジスト処理方法に関し、特に、レジストにベークを施す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスク等で用いられる磁気メディアにおいては、磁性粒子を微細化し、磁気ヘッド幅を極小化し、情報が記録されるデータトラック間を狭めて高密度化を図るという手法が用いられてきた。その一方で、この磁気メディアは高密度化がますます進み、隣接する記録トラックあるいは記録ビット間の磁気的影響が無視できなくなっている。そのため、従来手法では高密度化に限界がきている。
【0003】
近年、新しくパターンドメディアと呼ばれる磁気メディアが提案されている。このパターンドメディアとは、隣接する記録トラックまたは記録ビットを溝または非磁性体からなるガードバンドで磁気的に分離し、磁気的干渉を低減して信号品質を改善し、より高い記録密度を達成しようとするものである。
【0004】
このパターンドメディアを量産する技術として、マスターモールド(原盤とも言う。)が有するパターンを、被転写材に転写してパターンドメディアを作製するインプリント技術(ナノインプリント技術とも言う。)が知られている。上記以外にも、マスターモールドを元のモールドとして一回又は複数回転写して複製したコピーモールド(ワーキングレプリカとも言う。)が有するパターンを、被転写材に転写してパターンドメディアを作製する場合もある。
【0005】
インプリント技術は、マスターモールドに形成された凹凸パターンを、被転写体に一回または複数回転写し、最終的な被転写体(生産物)に複製して量産する技術である。
なお、これ以降、最終的な被転写体(生産物)へのインプリントに用いられるか否かに関わらず、マスターモールド、コピーモールドをまとめて単に「モールド」や「パターン付き基体」ともいう。
【0006】
ここで、例えばパターン付き基体の製造方法としては、化学増幅レジストを用いてレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにしてエッチングを行うことにより、パターン付き基体に凹凸パターンを形成する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
概要を掻い摘んで言うと、化学増幅レジストの薬液を基板上に塗布し、レジスト塗布基板に対してパターン露光前ベーク(PAB:Post Apply Bake 以降、PABとも言う。)を行うことによりレジスト層を基板上に形成する。その後、レジスト層付き基板に対して所定のパターン形状の露光を行い、その後、パターン露光後ベーク(PEB:Post Exposure Bake 以降、PEBとも言う。)を行う。そして、レジスト層を現像することにより所定のレジストパターンを有する基板を作製するという方法である。
なお以降、PABやPEB、そして基体やレジスト付き基体に対して行われる加熱処理のことを単にベークとも言う。
【0008】
ここで挙げた化学増幅レジストを用いることにより、少ない露光量でレジストパターンの形成が可能となる。そのため、露光工程における生産性の観点からは、化学増幅レジストを用いることが望まれている。
【0009】
化学増幅レジストは、露光あるいは描画(以降、単に露光ともいう)による化学反応により触媒作用のある物質を生成させ、引き続き行う加熱処理工程(即ちPEB)中にこの物質と高分子中の官能基あるいは官能物質とを反応させ、この反応に伴い発現する物質変化を利用して、レジストパターン形成を行う。化学増幅レジストは、感光剤として酸発生剤を用い、露光(描画)により発生した酸を化学反応の触媒として用いる方式である。
【0010】
ポジ型の化学増幅レジストでは、露光により発生した酸は、加熱処理により多数回の化学反応を引き起こす触媒として働く。ポリマーにはアルカリ水溶液(現像液)に対して溶解できないような官能基(保護基)があり、この官能基は酸触媒反応によりアルカリ不溶からアルカリ可溶へと化学変化が起こるように設計されている。触媒の採用により、数多くの官能基がアルカリ不溶からアルカリ可溶へと変化する。そして、露光部はアルカリ現像液に溶解するようになる。
【0011】
なお、化学増幅レジストの中でも、近年、高感度型の化学増幅レジストが開発されるに至っている。詳しく言うと、仮に、露光により発生する酸の量子収率が1以下であっても、溶解性の変化を起こす反応を多数引き起こすよう、高感度型の化学増幅レジストは設計されている。そのため、パターン形成のための実効的な反応の量子収率は1よりずっと大きくなる。これが、化学増幅レジストにおける高感度化の機構である。
【0012】
ただその一方で、極微細なレジストパターンを形成するための解像性能そしてパターン品質(即ち、Line Edge Roughness(LERとも言う。)やLine Width Roughnes(LWRとも言う。))については、そのレジストパターン形成の機構に起因して、一般に、化学増幅レジストは非化学増幅レジストに劣る。
【0013】
そのため、化学増幅レジストを用いてレジストパターンを形成する場合、高い解像性能と良好なパターン品質(即ち、低いLERや低いLWR)を両立して得ることが重要である。
【0014】
ところで、ここで挙げた化学増幅レジストとしては、上記のように高い解像性能と良好なパターン品質が得られるようにするために、化学的な組成の観点からアプローチを行い、従来から相当数の組成物が開発されている。このように開発された化学増幅レジストとしては、例えば特許文献2や3に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−181605号公報
【特許文献2】特開2008−233613号公報
【特許文献3】特開2008−276045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
確かに、上記のように種々の化学増幅レジストが開発されている一方、レジストパターンの微細化に対する要請は、更に強くなっている。その結果、化学増幅レジストの組成を変更するという観点からのみの研究では、微細化に対する要請に対し、次第に対応できなくなっている。つまり、レジストパターンの微細化を実現できない、また、仮に実現できたとしても、高い解像性能、及び低いLERや低いLWRを有する良好なパターン品質を満足に両立できないというのが現状である。
【0017】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、既存の化学増幅レジストにおいて、より優れた性能を引き出すことを可能とし、高い解像性能と良好なパターン品質を有するレジストパターンが得られるレジスト層付き基体の製造方法、レジストパターン付き基体の製造方法、パターン付き基体の製造方法及びレジスト処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、高い解像性能と良好なパターン品質を両立する手段について種々検討した。その検討に際し、本発明者は、化学増幅レジストの組成を変更し、化学増幅レジストの性能そのものを向上させるという観点ではなく、既に存在している化学増幅レジストの潜在的な性能を最大限引き出すという観点から、上記手段について検討した。
【0019】
その検討の際、本発明者は、化学増幅レジストの性能を最大限引き出す要因として、レジスト塗布後のパターン露光前ベーク(PAB)を行う際の条件設定に着目した。具体的に言うと、PAB(更にはパターン露光後ベーク(PEB))の時間及び温度条件が、化学増幅レジストの潜在的な性能を引き出す鍵になっているのではないかと推察した。
【0020】
ただ、ベーク条件の中でも時間条件に関しては、主に生産性の観点から、化学増幅レジストの種類に応じて決定されていた。つまり、化学増幅レジストのメーカーは、品質ではなく生産性の観点から、PABやPEBの時間条件を決定していた。そのため、メーカー推奨のベーク時間は、レジストの種類に拘わらず、どこのメーカー製の物もほぼ一律となっているのが現状であった。
【0021】
そして、そのベーク時間にて製品を作製するための温度が、メーカー推奨のベーク温度となっていた。つまり、メーカー推奨のベーク温度は、ベーク時間条件を守りながら一定品質の製品を作製可能とするためのものであり、ベーク時間と同様、主に生産性の観点から決定されたものであった。
【0022】
このことについての一例を挙げると、特許文献2には、PAB及びPEBの時間条件を60秒に一律に固定し、温度条件は共に115℃又は120℃とする場合について記載されているに過ぎない。また、特許文献3には、PAB及びPEBの時間条件を4分に一律に固定し、PABの温度条件は一律に110℃、PEBの温度条件は一律に120℃とする場合について記載されているに過ぎない。
【0023】
これに対し本発明者は、上述の通り、化学増幅レジスト自体を改良すると言うよりも、化学増幅レジストの性能を最大限引き出すべく、PABを行う際の条件設定に着目した。その結果、化学増幅レジストにおいて高い解像性能や良好なパターン品質が得られるか否かは、パターン露光する前のPABにおいて、レジスト層をいかに緻密にするかが鍵となっており、PABの時間及び温度条件の兼ね合い如何によって、後に形成されるレジストパターンの良否に大きな影響を与えるという知見を得た([知見1])。本発明者は、この[知見1]に基づき、PABの時間及び温度条件と化学増幅レジストの性能との関係について調査を行った。
【0024】
上記の[知見1]は、先にも述べた通り、化学増幅レジストの性能を最大限引き出すというものである。具体的には、レジスト層を緻密化することにより、露光後に発生した酸の拡散距離を小さくすることができ、その結果、高い解像性能と良好なパターン品質を有するレジストパターンが得られることになる。
ところが、良好なレジストパターンが得られる条件を獲得するためには、わざわざ試験用基体を別途準備する必要がある。しかも、PABの時間及び温度条件ごとに、その試験用基体を複数準備する必要がある。それに加え、今度は、所定のPABの時間及び温度条件の試験用基体に対し、パターン露光条件更にはPEB条件(時間及び温度)ごとに、更に別途基体を複数準備する必要がある。
そうなると、[知見1]が想到できたとしても、それを実現するためには相当な手間を要することになり、[知見1]を現実化しようとしても経済活動を行うという面から見ると現実味を失ってしまう。
【0025】
そのような状況下で本発明者は、[知見1]に想到したのみならず、現実味を失うことなく[知見1]を実現するための手法にまで踏み込んで検討を行った。その結果、本発明者は、パターン露光やPEBの有無にも拘わらず、レジスト性能の発揮度合いを調べることができる手法を想到した。
【0026】
この手法において、高い解像性能や良好なパターン品質が得られるか否かの指標には、レジスト層に対する残膜率を採用した。なぜなら、レジスト層の緻密化の度合いは、減膜処理を行ったときのレジスト層の残膜率に現れるからである。そして、レジスト層の解像性能やパターン品質(低いLERや低いLWR)は、ポジ型の化学増幅レジストの場合、パターン露光後に発生した酸の拡散の度合いや、現像剤による減膜処理を行った際、レジスト層の露光部と未露光部との間の溶解度の差が大きな要因となるためである。つまり、PABでレジスト層を緻密化させることで、PEBによって未露光部まで酸が拡散されることを防止し、レジスト層の露光部が現像剤により溶解している間に、未露光部は現像剤によって溶解しないことにより、レジストパターンにおける凹凸のコントラストが鮮明になり、ひいては低いLERや低いLWR、最終的には高い解像性能や良好なパターン品質を実現することができる。そしてこれを示す指標としては、未露光のレジスト層、又は、パターン露光を経た後の未露光部におけるレジスト層の残膜率が最適であり、この残膜率ならば、化学増幅レジストがレジストパターンとなったときの「高い解像性能」と「良好なパターン品質」の良し悪しを一括して表現できると、本発明者は考えた。言い換えると、将来的に得られる「高い解像性能」と「良好なパターン品質」を「残膜率」という指標に収斂させるという知見を得た([知見2])。
【0027】
なお、本明細書における残膜率(%)とは、レジスト層を減膜処理(後述)した後、レジスト層の膜厚(残膜量)を測定し、その値を、減膜処理前のレジスト層の膜厚で除して、更に100倍した値である。
また、パターン未露光(又は、単に未露光)とは、所望のパターン露光が行われていない状態を指す。
【0028】
その結果、上記の[知見1]及び[知見2]に基づき本発明者は、PAB後に基体上に形成されたレジスト層に対し、所定のパターン形状の露光前にもかかわらず、現像剤にて減膜処理を行うという手法を想到した。その際に、PABの時間及び温度条件ごとに試験用のレジスト層の残膜率を調べ、残膜率が95%以上の際のPABの時間及び温度条件を抽出し、その条件にて、製品用のレジスト塗布基体に対しPABを行うという手法を想到した。
【0029】
以上の知見に基づいて成された本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の第1の態様は、
基体上に化学増幅レジストを塗布するレジスト塗布工程と、
前記レジスト塗布工程後、レジスト塗布基体に対してベークを行うパターン露光前ベーク工程と、
を有し、
前記パターン露光前ベーク工程後に形成されることになるパターン未露光のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行うとすると前記レジスト層の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、前記パターン露光前ベーク工程を行うことを特徴とするレジスト層付き基体の製造方法である。
なお、前記パターン未露光とは、所望のパターン露光が行われていない状態を指す。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の態様であって、
前記レジスト層付き基体に対して所望のパターン露光を行うパターン露光工程と、
前記パターン露光工程後、レジスト層付き基体に対してベークを行うパターン露光後ベーク工程と、
を更に有し、
前記パターン露光後ベーク工程後のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行うとすると、前記レジスト層の未露光部の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、前記パターン露光後ベーク工程を行うことを特徴とする。
本発明の第3の態様は、
所望のパターン露光及びパターン露光後ベークが行われた後の、第1又は第2の態様に記載のレジスト層付き基体に対して現像処理を行い、前記基体上にレジストパターンを形成する現像工程と、
を更に有することを特徴とするレジストパターン付き基体の製造方法である。
本発明の第4の態様は、
基体上に化学増幅レジストを塗布するレジスト塗布工程と、
前記レジスト塗布工程後、レジスト塗布基体に対してベークを行い、前記基体上にレジスト層を形成するパターン露光前ベーク工程と、
前記パターン露光前ベーク工程後、レジスト層付き基体に対して所望のパターンを形成するために露光を行うパターン露光工程と、
前記パターン露光工程後、前記レジスト層付き基体に対して現像処理を行い、前記基体上にレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンに対応する凹凸パターンをエッチングにより前記基体に形成するエッチング工程と、
を有し、
前記パターン露光前ベーク工程後に形成されることになるレジスト層に対して現像剤による減膜処理を前記パターン露光工程前に行うとすると前記レジスト層の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、前記パターン露光前ベーク工程を行うことを特徴とするパターン付き基体の製造方法である。
本発明の第5の態様は、
第1基体上に化学増幅レジストを塗布するレジスト塗布工程と、
前記レジスト塗布工程後、レジスト塗布第1基体に対してベークを行う第1の条件獲得用ベーク工程と、
前記第1の条件獲得用ベーク工程後に形成されることになるパターン未露光のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行い、前記レジスト層の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件を得る第1の条件獲得工程と、
前記レジスト塗布工程が行われた別のレジスト塗布第2基体に対し、所望のパターン露光を行うパターン露光工程前に、前記第1の条件獲得工程で得られた時間及び温度条件にてベークを行うパターン露光前ベーク工程と、
を有することを特徴とするレジスト処理方法である。
なお、前記パターン未露光とは、所望のパターン露光が行われていない状態を指す。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、既存の化学増幅レジストにおいて、より優れた性能を引き出すことが可能となり、高い解像性能と良好なパターン品質を有するレジストパターンが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係るパターン付き基体の製造工程を説明するための断面概略図である。
【図2】別の実施形態に係るパターン付き基体の製造工程を説明するための断面概略図である。
【図3】本実施形態の第1の条件獲得工程で得られた図であって、試験用レジスト層における、温度(縦軸)及び時間(横軸)と残膜率との関係を記載した図である。
【図4】本実施形態に係る、製品用のレジストパターン付き基板における、縦軸を残膜率、横軸を露光量としたレジスト感度曲線を記載した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下においては、パターン付き基体の製造工程を例に説明する。
まず、<実施の形態1>においては、パターン付き基体を製造する前に、レジスト塗布後のパターン露光前ベーク(PAB)における適切な条件を求めるために、試験用レジスト層に対して減膜処理を行う。
<実施の形態2>においては、PABにより形成されたレジスト層にパターン露光を行った後且つ現像処理前に行うパターン露光後ベーク(PEB)における適切な条件を求めるために、適切な条件でPABが行われた後の試験用レジスト層に対して減膜処理を行う。
以下、上記の各実施の形態における、試験用レジスト層に対する減膜処理について詳述する。
その後、<実施の形態3>及び<実施の形態4>において、所望の凹凸パターンが主表面に形成されたパターン付き基体であって、製品となるパターン付き基体の製造工程を説明する。なお、<実施の形態3>は、基板上にレジスト層が形成された場合についての例であり、<実施の形態4>は、基板上にハードマスクが形成され、その上にレジスト層が形成された場合についての例である。
最後に、<実施の形態5>において種々の変形例について述べる。
【0033】
また、レジスト塗布前後やPAB前後における基体の呼び名について、初めに述べておく。
まず、「基体」に対してレジストを塗布した直後のものは「レジスト塗布基体」と言う。
その後、PABによりレジストが基体上で膜化して、基体主表面にレジスト層が形成されたものは「レジスト層付き基体」と言う。
その後、レジスト層に対してパターン露光及び現像処理が行われたものは「レジストパターン付き基体」と言う。
【0034】
<実施の形態1>
(試験用基体の準備)
製品としてのレジスト層付き基体、レジストパターン付き基体、更にはパターン付き基体を製造する前に、レジストの性能を最大限に引き出すことのできるベーク条件を獲得することが必要となる。その獲得に際し、試験用基体(第1基体とも言う。)を使用する。この試験用基体上に試験用レジスト層を形成することになる。なお、試験用基体の種類としては、先にも述べたように、主表面にレジスト層が形成できるものならば良い。ただ、この試験の結果を本実施形態におけるパターン付き基体の製造に用いることから、可能な限りパターン付き基体の形状や材料をパターン付き基体の製造用基板と同一にするのがよい。この試験用基体としては、シリコンウエハ、石英基板などのガラス基板などが挙げられる。
【0035】
なお、「基体」とは、本明細書に示すような基板、その基板の上にハードマスクが設けられたものを含む。まとめると、基板を含む物質であって、レジスト層が設けられるべき対象となる物質そのものを指すものとする。更に言うと、レジスト層を設け、ベーク処理を行うことができる物質であれば、本発明における基体として使用することができる。
【0036】
一方、試験用基体の形状についてであるが、円盤形状であるのが好ましい。レジストを塗布する際、円盤基板を回転させながらレジストを均一に塗布することができるためである。なお、円盤形状以外であっても良く、矩形、多角形、半円形状であっても良い。
本実施形態においては、円盤形状の石英からなる試験用基体を用いて説明する。以降、このような形状の石英基板を単に「試験用基体」ともいう。
【0037】
(試験用基体に対するレジスト塗布)
この試験用基体に対して必要に応じ適宜洗浄・ベーク処理を行った後、本実施形態においては、化学増幅レジストを試験用基体の主表面に対して塗布する。塗布方法としては、本実施形態においては所定の回転数にて回転させつつ試験用基体上方からレジストを塗布するスピンコート法を用いる。
【0038】
なお、この化学増幅レジストとしては、公知のものでよい。エネルギビームを照射したときに反応性を有するものであればよい。具体的には、現像処理を行う必要のあるレジストであればよい。本実施形態においては、電子線描画によるパターン露光が行われる際に用いるポジ型レジストの化学増幅レジストを用いる場合について述べる。
【0039】
なお、試験用レジスト層がポジ型レジストであるならば、後述する電子線による描画にてパターン露光を行った箇所の現像剤に対する溶解度が向上し、現像処理後に形成される凹凸からなるレジストパターンの凹部となり、ひいてはその箇所が基体上に形成される凹凸からなるパターンにおける凹の位置に対応する。
【0040】
本実施形態における化学増幅レジストは公知のものを用いて良いが、その組成物の一例を挙げれば、重合性不飽和単量体、光重合開始剤、などの光酸発生剤(アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等のオニウム塩、ジアゾジスルホン系、トリフェニルスルホニウム系など)、界面活性剤(フッ素系、ノニオン系、シリコーン系など)、離型剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、可塑剤、密着促進剤、熱重合開始剤、着色剤、無機粒子、エラストマー粒子、酸化防止剤、光酸増殖剤、光塩基発生剤、塩基性化合物、流動調整剤、消泡剤、分散剤、有機溶剤、水などが挙げられる。
【0041】
(レジスト塗布試験用基体に対する第1の条件獲得用ベーク工程)
上述のように化学増幅レジストを試験用基体(第1基体)に塗布してレジスト塗布試験用基体(レジスト塗布第1基体)を得た後、本実施形態においては、このレジスト塗布試験用基体に対してPABを行う第1の条件獲得用ベーク工程を行う。具体的に言うと、レジスト塗布試験用基体に対してベークを行い、試験用レジスト層を試験用基体上に形成する。
そして、図3に示すように、PAB条件を示す時間軸及び温度軸からなるグラフにおける第1の残膜率良好領域(95%以上の残膜率)を得る工程(即ち第1の条件獲得工程)を行う。
【0042】
以降、この試験用基体上に形成された試験用レジスト層のことを、単に「試験用レジスト層」ともいう。なお、試験用レジスト層を設ける前に、試験用基体上に密着層を設け、その上に試験用レジスト層を設けても良い。
【0043】
このPABにより、レジスト塗布試験用基体に残存している溶媒を除去して化学増幅レジストを膜化し、試験用基体上に試験用レジスト層を形成することができる。このPABの方法としては、公知の手法を適宜選択できるが、本実施形態においてはホットプレートまたはオーブンを用いてベークを行う。
【0044】
また、本実施形態においては、レジスト塗布試験用基体を複数用意する。そして、各レジスト塗布試験用基体に対し、異なる時間及び温度条件でPABを行う。そして作製された複数のレジスト層付き試験用基体に対し、パターン露光を行わない状態で、減膜処理を行う。先にも述べたように、この減膜処理は現像剤による処理であり、試験用レジスト層の厚さが減少するような処理である。
【0045】
なお、ここで試験用レジスト層に対し「現像処理」ではなく「減膜処理」とした理由は以下の通りである。
本実施形態においては、そもそも残膜率が判別できれば良い。そのため、試験用レジスト層に対してパターン露光を行うか否かに拘わらず、パターン未露光の部分の残膜率さえ分かれば良い。本実施形態の場合、試験用レジスト層を現像剤により処理した際、少なくとも試験用レジスト層のパターン未露光の部分の厚さがどれだけ小さくなっているかが分かれば良いため、パターン露光は行わない。そのため、「減膜処理」は現像処理のように像形成に至る処理ではなく、いわば本番となる製品用のレジストパターン形成に用いられる現像剤(又はそれと同等の現像剤)によって、試験用レジスト層を処理した際に試験用レジスト層が減膜する処理である。この減膜処理には、現像処理の条件を用いる。
なお、製品用の基体にレジストパターンを形成する場合は、当然のことながら「現像処理」と言う。
【0046】
なお、現像剤としては公知のもの(液現像やドライ現像)を用いても構わない。一例を挙げるとするならば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いた現像液が挙げられる。
【0047】
そして、この減膜処理により各試験用レジスト層の厚さがどの程度減少したかを調べ、各試験用レジスト層の残膜率の結果をグラフにまとめる。このグラフは、X軸を時間軸、Y軸を温度軸としたグラフである。このグラフ上に各試験用レジスト層に対し行われたPABの時間及び温度条件に対応する位置にプロットを行い、そして各プロットに残膜率の結果を記載する。
【0048】
こうすることにより、図3に示すように、X軸を時間軸、Y軸を温度軸としたグラフに、残膜率ごとに等高線が記載され、残膜率ごとの領域が形成される。そして、このグラフにおける残膜率が95%以上となる領域を、第1の残膜率良好領域とする。なお、95%を基準値とした理由は、残膜率がこの値以上ならば、ハードマスクや基板に対するエッチングの際に、パターンの途切れ等の欠陥がほとんど発生しないためである。
【0049】
(本実施形態の効果についての説明)
本実施形態の効果は、製品となる基体を製造する際のPABに、第1の条件獲得工程で得られた第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度条件を採用することにより発揮される。本実施形態ならば、試験用レジスト層に対してパターン露光を行うか否かに拘わらず、最終的な製品用におけるレジストパターンの残膜率が高い場合の条件、つまり、レジスト層を最も緻密化できる条件を知ることができる。
【0050】
また、所定のPABの時間及び温度条件の試験用基体に対し、パターン露光条件更にはPEB条件及び時間ごとに、更に別途基体を複数準備する必要があるとしても、少なくとも第1の残膜率良好領域に属するPABの時間及び温度条件ごとでのみ、試験用基体を準備しさえすれば良い。
【0051】
そして、このように限られた範囲内の時間及び温度条件でPABを行った試験用基体に対してのみ、第2の条件獲得用ベーク工程(後述)を行えば良いことになり、作製すべき試験用レジスト層の数を大幅に減らすことができる。その結果、試験用基体の準備の手間を相当軽減することができ、ひいてはコストの削減、工程全体としての効率化を図ることができる。
【0052】
更に、第1の条件獲得工程にて求めた第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度条件にて、製品用となるレジスト塗布基体に対してPABを行うことにより、製品用となるレジスト層を緻密とすることができる。こうすることにより、製品用となるレジスト層付き基体に対してパターン露光を行った上でPEBを行った場合、レジスト層が緻密であるが故に、パターン露光した際のレジスト層の露光部と非露光部との性質(露光部においては酸が発生してレジスト層がアルカリ可溶となる一方、非露光部では酸が発生せずレジスト層がアルカリ不溶)を際立たせて相違させることができる。ひいては現像処理を行った際の露光部と非露光部との境界を明瞭に形成することができる。
【0053】
つまり、化学増幅レジストの組成は従来と同じであったとしても、PABの適切な時間及び温度条件を予め調べておくことにより、化学増幅レジストの潜在的な性能を充分引き出すことができる。その結果、高い解像性能と良好なパターン品質とを両立可能な製品用のレジスト層付き基体が得られる。
【0054】
<実施の形態2>
先にも述べたように、実施の形態2においては、PABにより形成されたレジスト層にパターン露光を行った後且つ現像処理前のPEBにおける適切な条件を獲得する(第2の条件獲得工程)。この第2の条件獲得工程を行うために、試験用レジスト層に対する第2の条件獲得用ベーク工程を行う。その後、この試験用レジスト層に対して減膜処理を行う。そして、第2の残膜率良好領域を獲得するという第2の条件獲得工程を行う。なお、特記が無い部分は、実施の形態1と同様である。
【0055】
(試験用レジスト層に対する第2の条件獲得用ベーク工程)
まず、実施の形態1の通り、試験用基体を用い、第1の条件獲得用ベーク工程にて第1の残膜率良好領域を得る。そして、別の試験用基体(第2基体とも言う。)に対し、第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度にてPABを行う。この別の試験用基体に対し、更に、第2の条件獲得用ベーク工程を行う。
【0056】
この第2の条件獲得用ベーク工程は、製品用のレジスト層付き基体に対するPEBの最適条件を調べるための工程である。詳しく言うと、適切条件におけるPABが既に行われた試験用レジスト層付き第2基体に対し、第2の条件獲得用ベーク工程を行い、時間軸及び温度軸からなるグラフにおける第2の残膜率良好領域(95%以上の残膜率)を得る工程を行う。
以下、記載のない部分(具体的なベーク手法や現像剤等)は、実施の形態1で記載した第1の条件獲得用ベーク工程の内容と同じである。
【0057】
なお、第2の条件獲得工程が行われない場合(<実施の形態5>の変形例に記載のような場合)、「第2基体」は「製品用の基体」を指す。
その一方、実施の形態2のように第2の条件獲得工程が行われる場合、「第2基体」は「製品用のレジスト層付き基体に対するPEBの適切条件を調べるために用いられる試験用基体であって、第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度でPABが既に行われている基体」である。そして、「第3基体」は「製品用の基体」を指す。
【0058】
なお、このPEBによって、パターン露光により発生した酸が、ポリマーの保護基をアルカリ不溶からアルカリ可溶へと変化させることが可能な状態にできる。
【0059】
また、本実施形態においては、レジスト塗布第2基体を複数用意する。そして、各レジスト塗布第2基体に対し、異なる時間及び温度条件で第2の条件獲得用ベーク工程を行う。そして作製された複数の、試験用レジスト層付き第2基体に対し、減膜処理を行う。なおこの際、試験用レジスト層付き第2基体に対してパターン露光を行った状態で第2の条件獲得用ベーク工程を行っても良い。ただ、本実施形態においては、パターン露光を行ったとしても、減膜処理を行って残膜率を調べる対象は未露光部である。その結果、パターン露光を行っても行わなくても残膜率を調べる対象は試験用レジスト層における未露光部に変わりはない。それ故、第2の条件獲得用ベーク工程における手間を省くという点から考えるとパターン露光を行わない方が好ましい。
【0060】
そして、この減膜処理により各試験用レジスト層の厚さがどの程度減少したかを調べ、各試験用レジスト層の残膜率の結果をグラフにまとめる。このグラフは、X軸を時間軸、Y軸を温度軸としたグラフである。このグラフ上に各試験用レジスト層に対し行われたPABの時間及び温度条件に対応する位置にプロットを行い、そして各プロットに残膜率の結果を記載する。
【0061】
こうすることにより、X軸を時間軸、Y軸を温度軸としたグラフに、残膜率ごとに等高線が記載され、残膜率ごとの領域が形成される。そして、このグラフにおける残膜率が95%以上となる領域を、第2の残膜率良好領域とする。
【0062】
(本実施形態の効果についての説明)
本実施形態の効果は、製品となる基体を製造する際のPABに対して第1の条件獲得工程で得られた第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度条件を採用し、その上で更に、製品となる基体を製造する際のPEBに対して第2の条件獲得工程で得られた第2の残膜率良好領域に属する時間及び温度条件を採用することにより発揮される。PABに加えてPEBにおいても予め調べておいた適切な条件で行われているので、化学増幅レジストの性能を最大限に引き出すことができる。
【0063】
具体的に言うと、PABによって、レジスト層を緻密に作製することができている上、行われたPAB条件に応じ、適切な条件にてPEBを行うことができる。その結果、緻密となったレジスト層において、パターン露光及びPABによって、酸を適度に発生及び拡散させることができる。その結果、露光部と非露光部との境界を更に明瞭に形成することができる。その結果、化学増幅レジストの性能を最大限に発揮することができ、化学増幅レジストがレジストパターンとなったときの「高い解像性能」と「良好なパターン品質」とを両立することが可能となる。
【0064】
また、所定のPABの時間及び温度条件の試験用基体に対し、PEB条件ごとに、更に別途基体を複数準備する必要があるとしても、少なくとも第1の残膜率良好領域に属するPABの時間及び温度条件ごとにのみ、PEBの条件出しのために第2の条件獲得用ベーク工程を行うための別の試験用基体(第2基体)を準備しさえすれば良い。
【0065】
そして、このように限られた範囲内の時間及び温度条件のみでPEBについての試験を行うことにより、作製すべき試験用レジスト層の数を大幅に減らすことができる。その結果、試験用基体の準備の手間を相当軽減することができ、ひいてはコストの削減、工程全体としての効率化を図ることができる。
【0066】
<実施の形態3>
実施の形態1においては、製品作製の際のPABの適切条件を獲得するための手法について述べた。更に、実施の形態2においては、製品作製の際のPEBの適切条件を獲得するための手法について述べた。以下、こうして獲得された条件にてPAB及びPEBを行い、製品となるレジスト層付き基体、レジストパターン付き基体、そしてパターン付き基体を製造する方法について、図1を用いて説明する。
なお、基体の種類やベークの具体的な手法等、実施の形態1〜2と重複する部分については、特記しない限り実施の形態1〜2と同様である。
【0067】
(基板の準備)
まず、本実施形態においてはインプリントモールドとなるパターン付き基体であるところのマスターモールド20製造のための基板1(本実施形態においては「第3基体」とも言う。)を用意する(図1(a))。
この基板1は、マスターモールド20として用いることができるのならば構わない。そして、先に述べた試験用レジスト層が設けられる基体に用いられるものでよい。
本実施形態においては、円盤形状の石英基板1を用いて説明する。以降、この石英基板1を単に基板1ともいう。
【0068】
(レジストの塗布)
この基板1に対して必要に応じ適宜洗浄・ベーク処理を行った後、本実施形態においては、化学増幅レジストを基板1に対して塗布する。
なお、化学増幅レジストの種類については、試験用基体に対する化学増幅レジストと、マスターモールド製造用の化学増幅レジスト(いわゆる本番処理用の化学増幅レジスト)とを同組成とするのが極めて好ましい。同組成でなくとも、性能がほぼ同等であれば採用することは可能である。
また、この化学増幅レジストの塗布方法については、試験用基体に対する化学増幅レジストの塗布と同様で良い。
【0069】
(PAB)
化学増幅レジストを基板1上に塗布してレジスト塗布基板を形成した後、第1の残膜率良好領域に属する温度及び時間条件にてレジスト塗布基板に対しPABを行い、図1(b)に示すように、レジスト層4付き基板1を形成する。別の言い方をすると、パターン露光前ベーク工程後に形成されることになるパターン未露光(所望のパターン露光が行われていない状態)のレジスト層4に対して現像剤による減膜処理を行うとすると、レジスト層4の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、PABを行う。
【0070】
この時のレジスト層4の厚さは、基板1へのエッチングが完了するまで残存する程度の厚さであることが好ましい。エッチングする際、基板1のみならずレジスト層4も少なからず除去されていくためである。
【0071】
なお、レジスト層4は複数層設けても良い。例えば、レジスト層4における下層レジストを非化学増幅レジストとし、上層レジストを化学増幅レジストとしても良い。
【0072】
(パターン露光)
本実施形態におけるパターン露光は、公知のパターン露光であればよい。また、パターンの形状についても限定はなく、線状・点状(ドットパターン)・それらの混合等形状等であっても良い。一例を挙げるとすれば、電子線描画機を用いて、レジスト層4に対して、ビットパターンドメディア(BPM)製造用の所望の微細パターンを描画することが挙げられる。この微細パターンはミクロンオーダーであっても良いが、近年の電子機器の性能という観点からはナノオーダーであっても良いし、パターン付き基体などにより作製される最終製品の性能を考えると、その方が好ましい。
【0073】
(PEB)
レジスト層4付き基板1に対してパターン露光を行った後、本実施形態においては、第2の残膜率良好領域に属する温度条件にてレジスト塗布基板に対しPABを行う。別の言い方をすると、PEB後のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行うとすると、レジスト層における未露光部の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、PEBを行う。
【0074】
(現像)
また、本実施形態における現像処理についても、公知のやり方であればよい。一例を挙げるとすれば、微細パターン描画後、図1(c)に示すように、レジスト層4を現像し、レジスト層4における電子線描画した部分を除去し、所定のパターンに対応する凹凸からなるレジストパターン4’を形成する。
【0075】
(リンス処理・乾燥)
レジストパターン4’を有する基板1に対し、必要に応じてリンス処理を行った後、乾燥処理を行う。
【0076】
(基板へのエッチング)
続いて、ドライエッチング装置を用い、フッ素系ガスを用いた第2のエッチングを、石英基板1に対して行う。この際、上記レジストパターン4’をマスクとして基板1をエッチング加工し、図1(d)に示すように、微細パターンに対応した溝を基板1に施す。
【0077】
ここで用いられるフッ素系ガスとしては、C(例えば、CF、C、C)、CHF、これらの混合ガス又はこれらに添加ガスとして希ガス(He、Ar、Xeなど)を含むもの等が挙げられる。なお、基板1へのエッチングにおいては、基板1が石英であって、形成すべきパターンがマイクロオーダーの場合、フッ酸を用いたウェットエッチングを行っても良い。
【0078】
こうして図1(d)に示すように、レジストパターン4’に対応する溝加工が石英基板1に施され、レジストパターン4’が石英基板1の溝以外の部分上に形成されたままとなる。その後、硫酸過水などの酸溶液を用い、残存したレジストパターン4’を除去する。
【0079】
以上の工程を経た後、必要があれば基板1の洗浄等を行う。このようにして、図1(e)に示すようなマスターモールド20を完成させる。
【0080】
(本実施形態の効果についての説明)
以上のような本実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
即ち、PAB及びPEBにおいて、適切な時間及び温度条件を、比較的簡素な方法で得ることができる。その結果、製品用のレジスト層付き基体を作製する際に、レジスト層4におけるパターン未露光部については高残膜率を維持でき、かつ、露光部については現像処理後に充分取り除くことができる。その結果、パターン未露光部とパターン露光部との間で、高いパターンコントラストを有するレジストパターンが得られる。
【0081】
<実施の形態4>
先に述べた実施の形態3においては、基板1の上に直接レジスト層4を設けた場合について述べたが、本実施形態においては、基板1上にハードマスクを設け、その上にレジスト層4を設けた場合について説明する。なお、以下の説明において特筆しない部分については、実施の形態3と同様である。
【0082】
(基板上へのハードマスクの形成)
まず、図2(a)の石英基板1をスパッタリング装置に導入する。そして本実施形態においては、タンタル(Ta)とハフニウム(Hf)の合金からなるターゲットをアルゴンガスでスパッタリングし、タンタル−ハフニウム合金からなる導電層2を成膜し、基板1上に形成される溝に対応する微細パターンを有するハードマスクの内の下層(導電層2)とする(図2(b))。
【0083】
なお、導電層2の材料としては、導電層として用いられるものであっても良い。一例を挙げれば、Taを主成分とする化合物が挙げられる。この場合、TaHf、TaZr、TaHfZrなどのTa化合物やその合金が好適である。一方、ハフニウム(Hf)とジルコニウム(Zr)の少なくとも一方の元素又はその化合物(例えばHfZrなど)を選択することもでき、さらにこれらの材料をベース材料として、例えばB、Ge、Nb、Si、C、N等の副材料を加えた材料を選択することもできる。本実施形態においては、タンタル−ハフニウム(TaHf)合金からなる導電層2について説明する。
【0084】
次に、本実施形態においては、酸化防止の観点から上記導電層2に対して大気暴露は行わず、クロムターゲットをアルゴンと窒素の混合ガスでスパッタリングして窒化クロム層3を成膜し、微細パターンを有するハードマスクの内の上層(導電層用酸化防止層3)とする(図2(b))。
【0085】
なお、酸化防止層3の材料としては、成膜の際のスパッタリングにおいて酸素を用いなくて済む点からも窒化クロム(CrN)が好ましいが、それ以外でも酸化防止層として使用できる化合物であればよい。例えばモリブデン化合物、酸化クロム(CrO)、SiC、アモルファスカーボン、Alを用いても良い。本実施形態においては、窒化クロム(CrN)からなる酸化防止層3について説明する。
【0086】
なお、本実施形態における「ハードマスク」は、単一または複数の層からなり、パターンに対応する溝が形成される予定の部分を保護することができ、基板上への溝のエッチングに用いられる層状のもののことを指すものとする。ただし、ハードマスクにおける酸化防止層3は、導電層2を兼ねても良い。その場合はTaHfのような導電層は省略可能である。
このように、基板上にハードマスクを設けたものを、本実施形態においてはマスクブランクスという。
【0087】
(ハードマスク上へのレジスト層の形成)
次に、上記マスクブランクスにおけるハードマスクに対して電子線描画用のレジストを塗布する。そして、実施の形態3と同様の手法で、レジスト塗布後かつパターン露光前に、第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度でPABを行う。そして、図2(c)に示すように、基板1上にレジスト層4を形成する。
【0088】
(パターン描画・現像)
その後、電子線にて微細パターンをレジスト層4に描画する。レジスト層4への微細パターン描画後、実施の形態3と同様の手法でPEBを行う。その後、レジスト層4を現像し、レジストにおける電子線描画した部分を除去し、図2(d)に示すような所望の微細パターンに対応するレジストパターン4’を形成する。
【0089】
(第1のエッチング)
その後、基板1上にレジストパターン4’が形成された基板1を、ドライエッチング装置に導入する。そして、実質的に酸素を含まない塩素ガスによる第1のエッチングを行い、レジスト層4のパターン露光部が除去された部分の下部に位置する、導電層2および酸化防止層3を除去する(図2(e))。この際、導電層2の酸化防止という観点から、還元性ガスを導入しながら第1のエッチングを行っても良い。なお、この時のエッチング終点は、反射光学式の終点検出器を用いることで判別する。
【0090】
(第2のエッチング)
続いて、第1のエッチングで用いられたガスを真空排気した後、実施の形態1と同様の手法で、フッ素系ガスを用いた第2のエッチングを石英基板1に対して行う。その後、アルカリ溶液や酸溶液にてレジストを除去する。
【0091】
こうして図2(f)に示すように、レジストパターン4’に対応する溝加工が石英基板1に施され、微細パターンを有するハードマスクが石英基板1の溝以外の部分上に形成され、マスターモールド20のための残存ハードマスク除去前モールド10が作製される。
【0092】
(残存ハードマスクの除去)
このように作製された残存ハードマスク除去前モールド10に対し、第1のエッチングと同様の手法で、引き続いて残存ハードマスク除去前モールド10上に残存するハードマスクをドライエッチングにて除去する工程が行われ、それによりマスターモールド20が作製される(図2(g))。
【0093】
<実施の形態5>
以下、その他の変形例について以下に記載する。
【0094】
(ネガ型の化学増幅レジスト)
化学増幅レジストがネガ型レジストであるならば、電子線描画した箇所の溶解度が低下し、ひいてはその箇所が基体上の凸の位置に対応する。ネガ型の化学増幅レジストを用いる場合、パターン露光を行った部分がレジストパターンとして基体上に残存することになり、その逆にレジスト層における未露光部は現像剤により除去されることになる。よって、ネガ型レジストを用いた場合であって、全くの未露光の場合だと、本実施形態を適用することができない。そのため、ネガ型レジストを用いる場合、試験用レジスト層に対する減膜処理から残膜率を求める際に、試験用レジスト層に対して予め、残膜率獲得用の露光を行っていても良い。なお、繰り返しになるが、本実施形態において「パターン未露光」とは、所望の形状(最終的に必要となるレジストパターン形状に対応する形状)のパターン露光が行われていない状態を指す。つまり、上記のようにネガ型レジストの試験用レジスト層から残膜率を得るための露光を行っていてもパターン露光を行っていなければ「パターン未露光」とする。
【0095】
こうして、ネガ型レジストの試験用レジスト層から残膜率を得、ひいては第1の残膜率良好領域を得る。そして、この第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度条件にて、製品となるレジスト塗布基体に対し、本番となるPABを行う。
【0096】
(PEB条件)
実施の形態3〜4においては、適切なPAB条件を求めるための第1の条件獲得工程に加え、適切なPEB条件を求めるための第2の条件獲得工程を行い、そして第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度でPABを行い、第2の残膜率良好領域に属する時間及び温度でPEBを行った場合について述べた。一方、第2の条件獲得工程を行わずに、所定の時間及び温度条件(例えばレジストメーカー推奨条件)にて、製品用のレジスト付き基体に対してPEBを行っても良い。
【0097】
本発明の特徴の一つは、レジスト性能を充分発揮できるPAB条件がパターン露光前に把握できるということにある。そのため、少なくとも第1の条件獲得工程により第1の残膜率良好領域を得ていれば、製品用のレジスト層の緻密化は少なくとも達成することができ、レジスト性能を充分発揮させることができる。
もちろん、上記の第2の条件獲得工程で第2の残膜率良好領域を得ていれば、適切な条件でPABに加えPEBを行うことができ、レジスト性能を最大限に発揮することができる。
【0098】
(エッチングの種類)
なお、いずれかのエッチングのみをウェットエッチングとし、他のエッチングにおいてはドライエッチングを行っても良いし、全てのエッチングにおいてウェットエッチングまたはドライエッチングを行っても良い。また、パターンサイズがミクロンオーダーである場合など、ミクロンオーダー段階ではウェットエッチングを行い、ナノオーダー段階ではドライエッチングを行うというように、パターンサイズに応じてウェットエッチングを導入しても良い。
【0099】
(適用用途)
なお、実施の形態1における化学増幅レジストの処理方法及びレジスト付き基板、並びに本実施形態におけるレジスト付きマスクブランクスは、インプリントモールド作製用以外にも以下の用途に好適に適用でき、例えば、半導体装置用フォトマスク、半導体製造、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、光ディスク、回折格子や偏光素子等の光学部品、ナノデバイス、有機トランジスタ、カラーフィルター、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルター、フォトニック結晶等の作製にも幅広く適用できる。
【0100】
以上、本発明に係る実施の形態を挙げたが、上記の開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。本発明の範囲は、上記の例示的な実施形態に限定されるものではない。本明細書中に明示的に記載されている又は示唆されているか否かに関わらず、当業者であれば、本明細書の開示内容に基づいて本発明の実施形態に種々の改変を加えて実施し得る。
【実施例】
【0101】
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。もちろんこの発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0102】
<実施例>
本実施例においては、まず、第1の残膜率良好領域を求めるために、基板1として円盤状シリコンウエハ(外径150mm、厚み0.7mm)を用いた(図1(a))。この基板1に対して、ホットプレートにて200℃で10分間ベークを行い、基板1上の脱水処理を行った。その後、基板1を冷却プレート上に載置して、基板1を冷却した。
【0103】
次に、ハードマスクを形成した基板1をレジストコーターにセットした。そして東京応化製の光酸発生剤含有レジスト溶液を用意した。このレジスト溶液を基板1上に3ml程滴下し、次いで、4000rpmで45秒間基板1を回転させた。
【0104】
レジスト液の塗布後、この基板1に対して、ホットプレートにて120℃〜130℃かつ60秒間〜180秒間の条件でPABを行い、レジスト液における不要な溶媒を除去した。こうして、各々の時間及び温度条件に応じた数の試験用レジスト層を作製した。
【0105】
そしてそれぞれの試験用レジスト層に対して減膜処理を行った。減膜処理の条件としては、現像剤として2.38%のTMAH水溶液を用いた。また、減膜処理の時間は60秒間とした。減膜処理後、基板1を回転させ続け、基板1の乾燥処理を行った。こうして、図3に示すように、PABの時間及び温度と残膜率との関係を示すグラフを得た。
【0106】
なお、減膜処理前後のレジスト層及び試験用レジスト層に対し、膜厚測定を行った。なお、膜厚測定においては、分光反射曲線から光学的膜厚を計測する方法を用いた分光干渉式膜厚測定装置(CANON製TM−005)を用いて測定(基板中央4.2インチ角領域内の441点(21点×21点))を行い、減膜処理前後のレジスト層及び試験用レジスト層の平均膜厚を算出した。
【0107】
なお、本実施例においては上記のPABの時間及び温度では残膜率が極めて良好であったため、図3のグラフ全体が残膜率95%以上(即ち第1の残膜率良好領域)となっている。
【0108】
そして、第1の残膜率良好領域に属する時間及び温度条件にてPABを行い形成された製品用のレジスト層4付き基板1に対し、100keVの電子線描画機を用い、電子線描画部と電子線未描画部との幅比を1対1としたライン・アンド・スペース・パターンを描画した。
【0109】
描画後、この基板1に対して、ホットプレートにて110℃で30秒間、PEBを行った。
【0110】
そして、各々の時間及び温度条件に従って作製されたレジスト層4に対して現像を行い、図4に示すレジスト感度曲線を求めた。
なお、レジスト感度曲線の求め方としては、各PAB条件で作製したレジスト層4付き基板1ごとに、ある露光量のパターン露光を行った上で、上記の条件にてPEBを行った。その後、2.38%TMAH水溶液を用いて現像を行った。そして、この処理を露光量ごとに行い、パターン未露光部の残膜率を調べた。そして、各PAB条件で作製したレジスト層4付き基板1に対し、同様に残膜率を調べた。そしてその結果をまとめ、縦軸を残膜率および横軸を露光量とした図4のレジスト感度曲線を得た。
【0111】
<評価>
図3が、試験用レジスト層における残膜率を示す図である。そして、図4が、製品用のレジストパターン4’付き基板1におけるレジスト感度曲線を示す図である。
【0112】
図3及び図4を評価する前に、レジスト感度曲線の意義について説明する。
最初に述べたように、ポジ型レジストの場合、レジスト層4のパターン露光部が現像剤により溶解している間に、パターン未露光部は現像剤によって溶解しないことにより、レジストパターン4’における凹凸が形成される。つまり、ある露光量を閾値として、閾値未満だと残膜率が高く、ある閾値以上になると一気に残膜率が低下し、レジスト層4からレジストパターン4’が形成される。残膜率が低下する際、露光量に対する残膜率のプロットが大きな傾きを有しているほど凹凸のコントラストが鮮明になる。その結果、レジスト層4において、現像剤により溶解する部分と残存する部分とが、明確に分かれ、ひいては低いLERや低いLWR、最終的には高い解像性能や良好なパターン品質を実現することができる。
【0113】
上記の内容を踏まえた上で、図3(試験用レジスト層)と図4(製品用のレジストパターン)を見比べると、図3にて残膜率が良好となっている領域の時間及び温度ほど、図4のレジスト感度曲線において露光量を増加させるにつれて残膜率が低下する際に、プロットが大きな傾きを有している(即ち、閾値となる露光量以上になるか否かで、現像剤により溶解するか否かが明確に分かれている)。ひいては、レジストパターン4’における凹凸のコントラストが鮮明になっていることがわかる。
【0114】
その結果、本実施例のように、パターン未露光の試験用レジスト層に対して現像剤による減膜処理を行い、試験用レジスト層の残膜率から適切なPAB条件を求め、それを製品用のレジスト層の作製に適用することにより、高い解像性能と良好なパターン品質を有するレジストパターン4’が形成可能となることがわかった。
【0115】
(付記)
以下、本実施の好ましい態様についての態様を付記する。
[付記1](「レジスト処理方法」を「レジスト層付き基体」に応用した場合)
第1基体上に化学増幅レジストを塗布するレジスト塗布工程と、
前記レジスト塗布工程後、レジスト塗布第1基体に対してベークを行う第1の条件獲得用ベーク工程と、
前記第1の条件獲得用ベーク工程後に形成されることになる未露光のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行い、前記レジスト層の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件を得る第1の条件獲得工程と、
前記レジスト塗布工程が行われた別のレジスト塗布第2基体に対し、所望のパターン露光を行うパターン露光工程前に、前記第1の条件獲得工程で得られた時間及び温度条件にてベークを行うパターン露光前ベーク工程と、
を有することを特徴とするレジスト層付き基体の製造方法。
なお、前記未露光とは、所望のパターン露光が行われていない状態を指す。
[付記2](パターン付き基体の製造方法のPEB)
前記パターン露光工程後且つ前記現像工程前、前記レジスト層付き基体に対してベークを行うパターン露光後ベーク工程と、
を更に有し、
前記パターン露光後ベーク工程後の前記レジスト層に対して現像剤による減膜処理を行うとするとレジスト層の未露光部の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、前記パターン露光後ベーク工程を行うことを特徴とするパターン付き基体の製造方法。
[付記3](レジスト処理方法のPEB)
前記パターン露光前ベーク工程後のレジスト層付き第2基体に対してベークを行う第2の条件獲得用ベーク工程と、
前記第2の条件獲得用ベーク工程後、レジスト層付き第2基体のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行い、前記レジスト層の未露光部の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件を得る第2の条件獲得工程と、
前記レジスト塗布工程及び前記パターン露光前ベーク工程が行われた別のレジスト層付き第3基体に対し、前記パターン露光工程後に、前記第2の条件獲得工程で得られた時間及び温度条件にてベークを行うパターン露光後ベーク工程と、
を更に有することを特徴とするレジスト処理方法。
[付記4](レジスト処理方法のPEB後の現像)
前記パターン露光後ベーク工程後、前記レジスト層付き第3基体に対して現像処理を行い、前記第3基体上にレジストパターンを形成する現像工程と、
を更に有することを特徴とするレジスト処理方法。
【符号の説明】
【0116】
1 基板
2 導電層
3 酸化防止層
4 レジスト層
4’ レジストパターン
10 残存ハードマスク除去前モールド
20 マスターモールド(パターン付き基体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に化学増幅レジストを塗布するレジスト塗布工程と、
前記レジスト塗布工程後、レジスト塗布基体に対してベークを行うパターン露光前ベーク工程と、
を有し、
前記パターン露光前ベーク工程後に形成されることになるパターン未露光のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行うとすると前記レジスト層の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、前記パターン露光前ベーク工程を行うことを特徴とするレジスト層付き基体の製造方法。
なお、前記パターン未露光とは、所望のパターン露光が行われていない状態を指す。
【請求項2】
前記レジスト層付き基体に対して所望のパターン露光を行うパターン露光工程と、
前記パターン露光工程後、レジスト層付き基体に対してベークを行うパターン露光後ベーク工程と、
を更に有し、
前記パターン露光後ベーク工程後のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行うとすると、前記レジスト層の未露光部の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、前記パターン露光後ベーク工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のレジスト層付き基体の製造方法。
【請求項3】
所望のパターン露光及びパターン露光後ベークが行われた後の、請求項1又は2に記載のレジスト層付き基体に対して現像処理を行い、前記基体上にレジストパターンを形成する現像工程と、
を更に有することを特徴とするレジストパターン付き基体の製造方法。
【請求項4】
基体上に化学増幅レジストを塗布するレジスト塗布工程と、
前記レジスト塗布工程後、レジスト塗布基体に対してベークを行い、前記基体上にレジスト層を形成するパターン露光前ベーク工程と、
前記パターン露光前ベーク工程後、レジスト層付き基体に対して所望のパターンを形成するために露光を行うパターン露光工程と、
前記パターン露光工程後、前記レジスト層付き基体に対して現像処理を行い、前記基体上にレジストパターンを形成する現像工程と、
前記レジストパターンに対応する凹凸パターンをエッチングにより前記基体に形成するエッチング工程と、
を有し、
前記パターン露光前ベーク工程後に形成されることになるレジスト層に対して現像剤による減膜処理を前記パターン露光工程前に行うとすると前記レジスト層の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件にて、前記パターン露光前ベーク工程を行うことを特徴とするパターン付き基体の製造方法。
【請求項5】
第1基体上に化学増幅レジストを塗布するレジスト塗布工程と、
前記レジスト塗布工程後、レジスト塗布第1基体に対してベークを行う第1の条件獲得用ベーク工程と、
前記第1の条件獲得用ベーク工程後に形成されることになるパターン未露光のレジスト層に対して現像剤による減膜処理を行い、前記レジスト層の残膜率が95%以上となる時間及び温度条件を得る第1の条件獲得工程と、
前記レジスト塗布工程が行われた別のレジスト塗布第2基体に対し、所望のパターン露光を行うパターン露光工程前に、前記第1の条件獲得工程で得られた時間及び温度条件にてベークを行うパターン露光前ベーク工程と、
を有することを特徴とするレジスト処理方法。
なお、前記パターン未露光とは、所望のパターン露光が行われていない状態を指す。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−69232(P2012−69232A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181981(P2011−181981)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】