レーダ装置および類似装置
【課題】
複数のレーダアンテナから得られる探知データを正確に合成して表示するレーダ装置を提供する。
【解決手段】
レーダアンテナ11から得られた探知データは相関処理部91Aで相関処理される。レーダアンテナ21から得られた探知データは相関処理部91Bで相関処理される。レーダアンテナ21からの相関処理データと同じアドレスを指定するマスク画像は、マスク領域発生部32により設定されてマスク用画像メモリ62に書き込まれる。これら相関処理部91A,91Bの各相関処理データはレーダアンテナ11,21の設置位置に応じたアドレス設定がされており、相関処理部91Bの処理用画像メモリ902B、マスク用画像メモリ62は共通のアドレスが設定されている。表示用画像メモリ61は、マスクデータに従って入力された相関処理データを表示画面に設定されたアドレスに従って記憶するとともに表示器10に出力する。
複数のレーダアンテナから得られる探知データを正確に合成して表示するレーダ装置を提供する。
【解決手段】
レーダアンテナ11から得られた探知データは相関処理部91Aで相関処理される。レーダアンテナ21から得られた探知データは相関処理部91Bで相関処理される。レーダアンテナ21からの相関処理データと同じアドレスを指定するマスク画像は、マスク領域発生部32により設定されてマスク用画像メモリ62に書き込まれる。これら相関処理部91A,91Bの各相関処理データはレーダアンテナ11,21の設置位置に応じたアドレス設定がされており、相関処理部91Bの処理用画像メモリ902B、マスク用画像メモリ62は共通のアドレスが設定されている。表示用画像メモリ61は、マスクデータに従って入力された相関処理データを表示画面に設定されたアドレスに従って記憶するとともに表示器10に出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、探知信号に基づく探知画像データを表示器に出力するレーダ装置やソナー装置およびこれらに類似する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海面反射等の不要映像を抑圧する目的で、過去数スキャンの画像を相関処理する画像処理が実施されている。この処理を「スキャン相関処理」と称する。
【0003】
船舶のような移動体に設置するレーダ装置の場合は、針路の変化、位置の変化を安定化した上での相関処理が必要なため、船首の方向を検出するコンパスデータ、位置の変化を検出する速度または緯度、経度データを入力し、これらのデータを使用して相関処理用の画像メモリのアドレスを発生している。すなわち、スイープ方向(θ)は、船首方向を基準としたアンテナの相対方向(θr)と船首の方向(θc)を加算した値(θ=θr+θc)とし、また、スイープ始点位置は、移動体の移動量に対応して変化させて相関処理用画像メモリのアドレスを発生している。すなわち、スキャン相関処理用のアドレス始点は新運動座標となる。以下の説明では、これらのことも記載すべきであるが、これらに関する記載は、発明の説明を煩雑化するものであり既知のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0004】
図12は、従来の一般的なレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0005】
従来のレーダ装置は、レーダアンテナ101、受信部102、AD変換部103、スイープメモリ104、描画始点設定部105、描画アドレス発生部106、表示用画像メモリ107、表示器108を備える。
【0006】
レーダアンテナ101は、所定周期で水平面を回転しながら、予め設定された送信周期でパルス状電波からなる送信信号を探知領域に送信する。レーダアンテナ101は、同時に探知領域内の物標で反射した電波を受信する。受信部102は受信した信号を検波増幅して探知信号を出力する。AD変換部103は探知信号をAD変換して極座標系の探知データを生成する。スイープメモリ104は、1スイープ分の探知データを距離に基づいて実時間で記憶する。スイープメモリ104は、次の送信により得られる探知データが再び入力されるまでに、記憶されていた1スイープ分の探知データを表示用画像メモリ107に出力する。描画始点設定部105は、表示用画像メモリ107に描画する探知画像データの描画始点アドレス(Xs,Ys)を設定し、描画アドレス発生部106に与える。
【0007】
描画アドレス発生部106は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θと、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ104の読み出し位置rから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ107の画素を指定するアドレスを生成する。具体的に、描画アドレス発生部106は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xs+r・sinθ
Y=Ys+r・cosθ
ただし、X,Yは表示用画像メモリ107の画素を指定するアドレスであり、Xs,Ysは前述の描画始点アドレスであり、rはスイープの中心からの距離であり、θはスイープ角度である。
【0008】
表示用画像メモリ107は、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ107は、図示しない表示制御部により表示器108がラスター走査されるのと同期して、高速に読み出される。読み出された探知画像データは、これに応じた輝度または色が割り当てられ、表示画像データとして表示器108に出力される。表示器108は、入力された表示画像データに基づき画面上に画像を表示する。
【0009】
このようなレーダ装置を用いた物標探知システムでは、アンテナ近くに電波を反射する構造物が存在すると構造物が障害となり、アンテナから見た構造物の後方は探知できない。図13はアンテナ設置位置と障害物との位置関係による探知不可能領域を示す概略図である。例えば、図13に示すように、コンテナ201を船体200の甲板上に積載し、レーダアンテナ101を船体200の船尾側の操舵室の上方に設置した場合、レーダアンテナ101からの送信電波は、コンテナ201により遮断され所定領域210に存在する物標を探知できない。
【0010】
また、レーダの遠距離探知能力はレーダアンテナ位置が高いほど良好であるが、反面、レーダアンテナ位置が高いほど海面反射映像を広範囲で取り込んでしまう。一方、レーダの近距離探知能力はレーダの垂直ビーム幅に依存し、レーダアンテナ位置が低いほど良好である。
【0011】
このため、複数のレーダアンテナを設置し、各々のレーダアンテナによる受信映像を各々の表示器に表示して、これらの表示器から観測目的に適した表示器を選んで観測している。図14は2個のレーダアンテナ101,111を設置した場合の探知可能領域を示す概略図である。図14に示す例では、船体200の船首にレーダアンテナ111を設置することで、レーダアンテナ111が図13の領域210に対応する領域を探知して探知不可能領域をなくしている。さらに、レーダアンテナ101を高い位置に設置し、レーダアンテナ111を低い位置に設置することで、遠距離、近距離ともに探知可能としている。
【0012】
また、図15に示すように、各レーダアンテナ101,111がスイッチモジュール303を介して2つの表示器108,118に接続する装置がある。図15はスイッチモジュール303を用いて複数の探知画像を切り替えて表示するレーダ装置の概略構成を示した図である。
【0013】
また、従来のレーダ装置で、特許文献1に示すように、複数のレーダアンテナを備え、これらのレーダアンテナから得られる探知データを1つの表示器に出力するものもある。
【特許文献1】特開平4−238285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、図14に示したような従来のレーダアンテナを複数備える構成では、通常アンテナ毎に表示器が設けられているため、オペレータは状況に応じてそれぞれの表示器を個別に確認しながら探知領域の物標を観測しなければならない。
【0015】
また、図15に示したような構成では、スイッチモジュール303はそれぞれの表示器108,118に対してそれぞれ1つの受信部301,302を接続する。このため、それぞれの表示器は、1つのレーダアンテナから得られた探知画像だけしか表示できない。
【0016】
さらに、特許文献1に記載のレーダ装置では、複数のレーダアンテナで得られた探知データに対して同一(単一)の描画中心を用いている。しかしながら、アンテナ設置位置が各々離れた場所にある複数のレーダアンテナで得られた画像を単一の表示器上で合成表示する場合で、同一位置を描画中心とした場合、同じ物標の画像が表示器上で各々異なる複数の位置に表示され、間違った画像となる。このような場合、各々の受信画像の描画中心は、各々のアンテナの設置位置に対応した異なる位置とすることが必要である。そして、前述の表示位置の誤差は、各レーダアンテナの設置位置が大きく離れる場合、また、小さい探知レンジで観測する場合ほど大きくなる。
【0017】
したがって、この発明の目的は、複数のレーダアンテナから得られる探知データを単一の表示器上で正しく合成して表示するレーダ装置および類似装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに探知データを生成する探知データ生成手段と、探知データ生成手段で生成される探知データ毎の描画領域を設定する描画領域設定手段と、探知データ生成手段で生成される複数の探知データを描画領域設定手段で設定した探知データ毎の描画領域に基づいて複数のアンテナの設置位置にそれぞれ対応する描画始点位置を基準として合成する探知データ合成手段と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
この構成では、それぞれのアンテナで受信された探知信号からアンテナ毎に探知データを生成する。生成されたアンテナ毎の探知データは、描画領域設定手段により設定された描画領域毎に、探知データ合成手段で合成される。この際、探知データ合成手段は、アンテナ毎の設置位置にそれぞれ対応する描画始点位置を基準として各探知データを合成する。
【0020】
また、この発明のレーダ装置および類似装置は、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いて各アンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスを画像データ記憶手段に対して設定する複数の描画アドレス設定手段と、特定のアンテナに対応し、該特定アンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いて、特定のアンテナで得られる探知データを描画する領域を設定する特定領域設定手段と、該特定領域設定手段により設定された特定領域に対しては特定のアンテナから得られた探知データをこれに対応する描画アドレス設定手段により設定された描画アドレスで画像データ記憶手段に書き込み、他の領域に対しては特定のアンテナ以外のアンテナから得られた探知データを対応する描画アドレス設定手段により設定された描画アドレスで画像データ記憶手段に書き込こむ探知データ選択手段と、直交座標系のアドレスを備え、前記探知データ選択手段からの探知データを直交座標系の探知画像データとして記憶する画像データ記憶手段と、を備えたことを特徴としている。
【0021】
この構成では、それぞれのアンテナで受信された探知信号は、アンテナ毎に設置された探知データ生成手段に入力される。
探知データ生成手段は、入力された探知信号から極座標系の探知データを生成して1スイープ単位でバッファして出力する。
また、それぞれのアンテナから出力されたアンテナ方位情報は、アンテナ毎に設置された描画アドレス設定手段に入力される。
描画アドレス設定手段は、アンテナ方位情報と、各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、接続されたアンテナの設置位置に応じた描画始点位置情報とから、画像データ記憶手段の直交座標系の描画アドレスを生成して出力する。
特定領域設定手段は特定のアンテナに接続し、この特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、領域設定値から、特定アンテナからの探知データで描画する特定領域を出力する。
特定領域設定手段により設定された特定領域に対して、探知データ選択手段は、特定領域設定手段と同じアンテナにより得られる探知データを、画像データ記憶手段に出力する。一方、特定領域設定手段により設定されない領域に対して、探知データ選択手段は、特定領域設定手段に接続されたアンテナとは異なるアンテナから得られる探知データを画像データ記憶手段に出力する。これらの際、探知データには対応するアンテナから得られるアドレスが与えられる。
【0022】
画像データ記憶手段は、このように選択された探知データを直交座標系のアドレスからなる探知画像データとして記憶する。この際、描画アドレス設定手段でそれぞれのアンテナ位置に応じた座標変換が行われることで、画像データ記憶手段に記憶された複数のアンテナからの探知画像データの位置関係はアンテナ設置位置関係に対応する。このようにアンテナ設置位置関係に対応して記憶された探知画像データは、表示制御手段により読み出されて表示器に表示される。
【0023】
また、この発明のレーダ装置および類似装置は、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いて直交座標系の描画アドレスをそれぞれに対応する画像データ記憶手段に対して設定する複数の描画アドレス設定手段と、直交座標系のアドレスを備え、複数の探知データ生成手段からの探知データを、それぞれに対応する描画アドレス設定手段で設定されたアドレスに基づいて直交座標系の探知画像データとして記憶する複数の画像データ記憶手段と、特定のアンテナに対応し、該特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、領域設定値とを用いて特定のアンテナで得られる探知データを選択する領域を設定する特定領域設定手段と、特定領域設定手段により設定された領域に対しては特定のアンテナに対応する画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力し、他の領域に対しては特定のアンテナ以外のアンテナに対応する画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力する出力データ選択手段と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
この構成では、それぞれのアンテナで受信された探知信号は、アンテナ毎に設置された探知データ生成手段に入力される。
探知データ生成手段は、入力された探知信号から極座標系の探知データを生成して1スイープ単位でバッファして出力する。
また、それぞれのアンテナから出力されたアンテナ方位情報は、アンテナ毎に設置された描画アドレス設定手段に入力される。
描画アドレス設定手段は、アンテナ方位情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、接続されたアンテナ設置位置に対応した描画始点位置情報とから、画像データ記憶手段に対応する直交座標系のアドレスを生成して出力する。
各画像データ記憶手段は、それぞれに接続する描画アドレス設定手段で設定したアドレスによって、同様にそれぞれに接続する探知データ生成手段からの探知データに基づく直交座標系の探知画像データを記憶する。すなわち、アンテナ毎に設置された画像データ記憶手段は、対応する各アンテナから得られた探知画像データのみを記憶する。この際、全ての画像データ記憶手段のアドレスは各アンテナの設置位置に対応して設定される。
【0025】
特定領域設定手段は特定のアンテナに接続し、この特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、領域設定値とから、該特定のアンテナからの探知データを表示する特定領域を出力する。
出力データ選択手段は、特定領域設定手段で設定された特定領域に従って各画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力する。このようにアンテナ設置位置関係に対応して記憶された探知画像データは、出力データ選択手段により選択されて表示器に表示される。
【0026】
また、この発明のレーダ装置および類似装置は、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と描画始点から描画位置までの距離情報とを用いてアンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスを設定する複数のアドレス設定手段と、該複数の描画アドレス設定手段により設定される各描画アドレスを選択して、描画アドレスまたは読出アドレスとして複数の画像データ記憶手段に与えるアドレス選択手段と、それぞれに対応する探知データ生成手段からの探知データを相関処理し、アドレス選択手段で設定されたアドレスに基づいて直交座標系の相関処理データとして記憶する複数の相関処理手段と、特定のアンテナに対応し、該特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報を用いて特定のアンテナで得られる探知データを選択する領域を設定する特定領域設定手段と、予め設定された1つのアンテナから得られる描画アドレスに従って、複数の相関処理手段から出力された相関処理データに対して、特定領域設定手段により設定された領域では特定のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して表示画像データ記憶手段に出力し、他の領域では特定のアンテナ以外のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して前記表示画像データ記憶手段に出力する表示画像データ選択手段と、設定される表示座標系に応じて表示画像データを記憶する表示画像データ記憶手段と、を備えたことを特徴としている。
【0027】
この構成では、それぞれのアンテナで受信された探知信号は、アンテナ毎に設置された探知データ生成手段に入力される。
探知データ生成手段は、入力された探知信号から極座標系の探知データを生成して1スイープ単位でバッファして出力する。
また、それぞれのアンテナから出力されたアンテナ方位情報は、アンテナ毎に設置された描画アドレス設定手段に入力される。
描画アドレス設定手段は、アンテナ方位情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、接続されたアンテナ設置位置に応じた描画始点情報とから、画像データ記憶手段に対応する直交座標系のアドレスを生成して出力する。
アドレス選択手段は、複数の描画アドレス設定手段により設定された各描画アドレスを選択して、描画アドレスまたは読出アドレスとして複数の画像データ記憶手段に与える。
【0028】
各相関処理手段は、アドレス選択手段から設定されたアドレスによって、それぞれに接続する探知データ生成手段からの探知データに基づく直交座標系の探知画像データを、対応する画素毎に、アンテナ1回転に1回、所定のタイミングで相関処理をして記憶する。この際、全ての相関処理手段のアドレスは各アンテナの設置位置に対応して設定される。一方、各相関処理手段で相関処理され記憶された相関処理データは、予め設定された1つのアンテナから得られる描画アドレスにしたがって出力され、表示画像データ選択手段に与えられる。
【0029】
特定領域設定手段は特定のアンテナに接続し、この特定のアンテナからの方位情報と描画始点から描画位置までの距離情報と領域設定値とから、該特定のアンテナからの探知データを表示する特定領域を出力して、表示画像データ選択手段に与える。
表示画像データ選択手段は、複数の相関処理手段から出力された相関処理データに対し、特定領域に該当すれば特定のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して表示画像データ記憶手段に出力し、他の領域に該当すれば特定のアンテナ以外のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して表示画像データ記憶手段に出力する。
【0030】
表示画像データ記憶手段は、このように選択された相関処理データを、予め設定された表示座標系に応じて記憶する。この際、描画アドレス設定手段でそれぞれのアンテナ位置に応じた座標変換が行われることで、表示画像データ記憶手段に記憶された複数のアンテナから得られる相関処理データの位置関係はアンテナ設置位置関係に対応する。このようにアンテナ設置位置関係に対応して記憶された表示画像データは、表示制御手段により読み出されて表示器に表示される。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、各アンテナで得られる各画像を表示する領域を画像化し、画像化した各領域を参照して描画または表示することにより、設置位置の異なる複数のアンテナにより得られた複数の探知画像を互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。
【0032】
また、複数の探知画像を領域に分けて単一の表示器上で観測できるため、複数の表示器の中から適切な表示器を選んで観測する煩わしさを解消し、安全かつ取り扱い易い優れたレーダ装置および類似装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の第1の実施形態に係るレーダ装置について、図を参照して説明する。なお、以下の説明では、レーダアンテナが2個の場合について説明する。
図1は本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ装置は、それぞれに異なる位置に設置されたレーダアンテナ11,21を備える。レーダアンテナ11,21は、それぞれ所定周期で水平面を回転しながら、予め設定された送信周期でパルス状電波からなる送信信号を探知領域に送信する。また、レーダアンテナ11,21は同時に探知領域内の物標で反射した電波を受信する。
【0034】
レーダアンテナ11は受信信号を受信部12に出力するとともに描画アドレス発生部16にアンテナ方位情報を出力する。受信部12は、受信信号を検波、増幅して第1探知信号を出力する。AD変換部13は第1探知信号をAD変換して極座標系の第1探知データを生成する。スイープメモリ14は、1スイープ分の第1探知データを送信開始時刻からの経過時間、すなわち距離に基づいて実時間で記憶する。スイープメモリ14は、次の送信により得られる第1探知データが再び入力されるまでに、記憶されていた1スイープ分の第1探知データをWデータセレクタ51に出力する。これら受信部12、AD変換部13、スイープメモリ14が本発明の「探知データ生成手段」に相当する。
【0035】
描画始点設定部15は、レーダアンテナ11の設置位置と表示用画像メモリ61の表示画面の中心との位置関係から、表示用画像メモリ61に描画する第1探知画像データの描画始点アドレス(Xs1,Ys1)を設定して、描画始点アドレス発生部16に与える。
【0036】
描画アドレス発生部16は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θ1と、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ14の読み出し位置r1とから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスを生成する。生成されたアドレスはアドレスセレクタ52に出力される。具体的に、描画アドレス発生部16は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xs1+r1・sin(θ1) −(1A)
Y=Ys1+r1・cos(θ1) −(1B)
ただし、X,Yは表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスであり、Xs1,Ys1は前述の描画始点アドレスであり、r1はレーダアンテナ11に対応するスイープの始点からの距離であり、θ1はスイープ角度である。これら描画始点設定部15、描画アドレス発生部16が本発明の「描画アドレス設定手段」に相当する。
【0037】
レーダアンテナ21は受信信号を受信部22に出力するとともに描画アドレス発生部26にアンテナ方位情報を出力する。受信部22は、受信信号を検波、増幅して第2探知信号を出力する。AD変換部23は第2探知信号をAD変換して極座標系の第2探知データを生成する。スイープメモリ24は、1スイープ分の第2探知データを送信開始時刻からの経過時間、すなわち距離に基づいて実時間で記憶する。スイープメモリ24は、次の送信により得られる第2探知データが再び入力されるまでに、記憶されていた1スイープ分の第2探知データをWデータセレクタ51に出力する。これら受信部22、AD変換部23、スイープメモリ24が本発明の「探知データ生成手段」に相当する。
【0038】
描画始点設定部25は、レーダアンテナ21の設置位置と表示用画像メモリ61の表示画面の中心との位置関係から、表示用画像メモリ61に描画する第2探知画像データの描画始点アドレス(Xs2,Ys2)を設定して、描画始点アドレス発生部26に与える。
【0039】
描画アドレス発生部26は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θ2と、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ24の読み出し位置r2とから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスを生成する。生成されたアドレスはアドレスセレクタ52に出力される。具体的に、描画アドレス発生部26は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xs2+r2・sin(θ2) −(2A)
Y=Ys2+r2・cos(θ2) −(2B)
ただし、X,Yは表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスであり、Xs2,Ys2は前述の描画始点アドレスであり、r2はレーダアンテナ21に対応するスイープの始点からの距離であり、θ2はスイープ角度である。ここで、描画始点設定部25、描画アドレス発生部26が本発明の「描画アドレス設定手段」に相当する。
【0040】
図2は表示画像メモリ61上の表示画面の中心とレーダアンテナ11,21のスイープ中心(始点)との関係を示した例である。図2において、90は表示画面の中心を示し、91はレーダアンテナ11のスイープ中心(始点)を示し、92はレーダアンテナ21のスイープ中心(始点)を示す。
【0041】
マスク領域設定部31は、予め設定された表示用画像メモリ61における第2探知画像データの書き込み領域を設定するパラメータを方位方向マスク設定データ、距離方向マスク設定データとしてマスク領域発生部32に与える。この領域設定は例えば図3に示すような設定である。
【0042】
図3は、表示画像の設定、すなわち表示用画像メモリ61のレーダアンテナ別の領域分けの例を示した図である。図3において、911,912,913はそれぞれレーダアンテナ11により得られた探知画像データを書き込む領域を示し、921,922,923はそれぞれレーダアンテナ21により得られた探知画像データを書き込む領域を示す。また、図3において、91はレーダアンテナ11のスイープ中心(始点)を示し、92はレーダアンテナ21のスイープ中心(始点)を示す。図3(A)は、領域921を表示画面の上方における設定可能な2つの距離と2つの方位とで囲まれた領域に設定する場合を示す。図3(B)は、領域922を表示画面の上方における設定可能な2つの方位で囲まれた領域に設定する場合を示す。図3(C)は、領域923を表示画面の略中心を中心として設定可能な所定距離内となる領域に設定する場合を示す。マスク領域設定部31は、これら図3(A)〜(C)に応じた領域設定を、方位方向マスク設定データおよび距離方向マスク設定データを用いて設定する。
【0043】
マスク領域発生部32は、レーダアンテナ21からの方位情報と、アンテナ21の設置位置に対応した描画始点位置情報と、マスク領域設定部31からの方位方向マスク設定データ、距離方向マスク設定データと、スイープメモリ24の読み出しアドレスに対応するスイープ始点からの距離データを入力する。マスク領域発生部32は、これらのデータを用いて、レーダアンテナ21に接続する系の各部での探知データ生成タイミングに同期して、マスク領域に対応する領域に対しては有意なデータ(例えば「1」)を出力し、設定領域に対応しない領域に対しては無意なデータ(例えば「0」)を出力する。「1」の領域はレーダアンテナ21で得られる第2探知データを描画する領域、「0」の領域はレーダアンテナ11で得られる第1探知データを描画する領域となる。これら出力データはマスク用画像メモリ62と表示用W信号発生部53とに与えられる。
【0044】
選択信号発生部42は、表示用画像メモリ61に対する第1探知データの描画と第2探知データとの描画を交互に時分割に行うためのタイミング信号である選択信号を生成する。この選択信号は、例えば、「0」の場合に第1探知データの描画を実行し、「1」の場合に第2探知データの描画を実行するように設定されている。
【0045】
Wデータセレクタ51は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「0」の場合は、スイープメモリ14から入力される第1探知データを選択し、選択信号が「1」の場合は、スイープメモリ24から入力される第2探知画像データを選択して、表示用画像メモリ61に出力する。
【0046】
アドレスセレクタ52は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「0」の場合は、描画アドレス発生部16で設定されたアドレスを選択し、選択信号が「1」の場合は、描画アドレス発生部26で設定されたアドレスを選択して、表示用画像メモリ61とマスク用画像メモリ62とに与える。
【0047】
表示用W信号発生部53は、選択信号発生部42からの選択信号と、マスク領域発生部32からのマスクデータ出力と、マスク用画像メモリ62から読み出したマスクデータとにしたがい、表示用画像メモリ61の書き込み信号を発生する。具体的に、表示用W信号発生部53は、選択信号が「0」であり、且つ、マスク用画像メモリ62から読み出したマスクデータが「0」である場合、スイープメモリ14からの第1探知データを表示用画像メモリ61に書き込む。また、選択信号が「1」であり、且つ、マスク領域発生部32からの出力信号が「1」である場合、スイープメモリ24からの第2探知信号を表示用画像メモリ61に書き込む。これら、Wデータセレクタ51、アドレスセレクタ52、表示用W信号発生部53が本発明の「探知データ選択手段」に相当する。
【0048】
マスク用画像メモリ62は、後述する表示用画像メモリ61と同じアドレス数を有し、各アドレスに対して1ビットのデータ容量を備えるメモリである。マスク用画像メモリ62はマスク領域発生部32から出力された「0」、「1」のデータをマスクデータとして記憶するメモリである。そして、選択信号発生部42の選択信号が「0」の場合に、マスク用画像メモリ62の内容は読み出されて、表示用W信号発生部53に出力される。また、選択信号発生部42の選択信号が「1」の場合に、マスク用画像メモリ62には、マスク領域発生部32からのマスクデータが書き込まれる。ここで、このマスク用画像メモリ62とマスク領域設定部31とマスク領域発生部32とからなる部分が本発明の「特定領域設定手段」に相当する。
【0049】
表示用画像メモリ61は、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61は、アドレスセレクタ52からのアドレスに従い、Wデータセレクタ51から出力される探知データ(第1探知データまたは第2探知データ)を各アドレスに対応する探知画像データとして書き込む。この際、表示用画像メモリ61は、表示用W信号発生部53からの書き込み信号が「1」であれば探知画像データを書き込む。具体的には、表示用画像メモリ61は、選択信号発生部42の出力が「0」で、且つマスク用画像メモリ62から読み出されたマスクデータが「0」の場合、第1探知データを描画アドレス発生部16で設定されたアドレスで、探知画像データとして書き込む。また、選択信号発生部42の出力が「1」で、且つマスク領域発生部32のマスクデータが「1」の場合、第2探知データを描画アドレス発生部26で設定したアドレスで、探知画像データとして書き込む。
【0050】
そして、表示用画像メモリ61は、図示しない表示制御部により表示器10がラスター走査されるのと同期して、高速に読み出される。読み出された探知画像データは、これに応じた輝度または色が割り当てられ、表示画像データとして表示器10に出力される。表示器10は、入力された表示画像データに基づき画面上に画像を表示する。この表示用画像メモリ61が本発明の「画像データ記憶手段」に相当する。
【0051】
このような構成とすることで、異なる位置に設置した2つのレーダアンテナ11,21から得られる探知画像データを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。
【0052】
特に、一方のレーダアンテナの描画許可領域を示し、且つ他方のレーダアンテナの描画禁止領域を示すマスク画像(マスクデータ)を用いて、このマスク画像を参照して描画することにより、容易且つ正確に描画を実行することができる。
【0053】
これは以下の理由による。
複数のレーダアンテナで得られる探知画像データを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示する場合において、各探知データを画像メモリに書き込む時、この探知データを書き込む領域であるかどうかを判定する必要がある。画像メモリ上のスイープ始点が同一座標である場合に比べ、各アンテナの設置位置が異なるため画像メモリ上の各スイープ始点座標が異なる場合はより困難である。
【0054】
従来、探知画像データを書き込もうとする時に、その画素(アドレス)が他のレーダアンテナの書込領域でないことを、例えば、他のレーダアンテナの位置から算出して確認しなければならなかった。
【0055】
本実施形態のように、探知画像データの描画領域を他の探知データの描画禁止を示すマスク領域として設定し、マスク領域を画像化しておくことで、書き込み領域であるかどうかは、マスク画像を参照することにより容易に判定できる。
【0056】
この結果、本実施形態の構成および処理方法を用いることで、複数のレーダアンテナから得られる探知画像データを互いに重ならない領域に分けて、単一の表示器上で容易に且つ確実に合成表示できる。もちろん、この効果は以下に示す各実施形態に対しても適用されることである。
【0057】
次に、第2の実施形態に係るレーダ装置について図4を参照して説明する。
図4は本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ装置と第1の実施形態のレーダ装置とは、部分的に同じ構造を備え、第1の実施形態のレーダ装置を同じ部分(ブロック)には同じ記号を付し、説明は省略する。
【0058】
図4に示すレーダ装置は、図1に示すレーダ装置において、選択信号発生部42、Wデータセレクタ51,アドレスセレクタ52、表示用W信号発生部53を省略し、2つの表示用画像メモリ61A,61B、表示用セレクタ71を追加したものである。
【0059】
表示用画像メモリ61Aは、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61Aは、スイープメモリ14からの第1探知データを、描画アドレス発生部16で設定されたアドレスに従い、第1探知画像データとして書き込む。
【0060】
表示用画像メモリ61Bは、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61Bは、スイープメモリ24からの第2探知データを、描画アドレス発生部26で設定されたアドレスに従い、第2探知画像データとして書き込む。
【0061】
各々の探知画像データの表示許可領域、表示禁止領域を指定するマスクデータが書き込まれるマスク用画像メモリ62は、表示用画像メモリ61Bの描画と同じタイミングで描画される。
【0062】
そして、図示しない表示制御部により表示器10がラスター走査されるのと同期して、第1探知画像データ、第2探知画像データ、マスクデータは、各々表示用画像メモリ61A,61B、マスク用画像メモリ62から読み出されて、表示用セレクタ71に入力される。
【0063】
表示用セレクタ71は、マスク用画像メモリ62のマスクデータの出力に従って、入力された第1探知画像データと第2探知画像データとを選択して表示器10に出力する。具体的には、表示用セレクタ71は、マスクデータが「0」ならば表示用画像メモリ61Aからの第1探知画像データを出力し、マスクデータが「1」ならば表示用画像メモリ61Bからの第2探知画像データを出力する。この表示用セレクタ71が本発明の「出力データ選択手段」に相当する。
【0064】
表示用画像メモリ61Aの描画アドレス(描画アドレス発生部16により設定)と、表示用画像メモリ61Bおよびマスク用画像メモリ62の描画アドレス(描画アドレス発生部26により設定)との2つの描画アドレスは同じ基準で作成されている。そして、描画アドレスがアンテナ設置位置関係に対応しているので、共通の表示用読み出しアドレスで読み出して表示器に入力する。
【0065】
このような構成とすることで、異なる位置に設置された2つのレーダアンテナ11,21から得られる第1探知画像データと第2探知画像データとを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。特に、一方のレーダアンテナの描画許可領域を示し、且つ他方のレーダアンテナの描画禁止領域を示すマスク画像を用いて表示出力を選択することにより、設置位置が離れた2つのレーダアンテナからの探知画像データを単一の表示器上で容易に且つ正確に合成表示することができる。
【0066】
次に、第3の実施形態に係るレーダ装置について図を参照して説明する。
図5は本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ装置と第1の実施形態のレーダ装置とは、部分的に同じ構造を備え、第1の実施形態のレーダ装置を同じ部分(ブロック)には同じ記号を付し、説明は省略する。
【0067】
図5に示すレーダ装置は、図1に示すレーダ装置において、Wデータセレクタ51、アドレスセレクタ52、表示用W信号発生部53を省略し、2つの相関処理部91A,91B、反転器43、表示用描画データセレクタ72、処理用セレクタ73、描画始点設定部81、描画アドレス発生部82を追加したものである。
【0068】
前述の第1、第2の実施形態においては、表示用画像メモリを相関処理用のメモリとして兼用することにより、スキャン相関処理を実施することが可能であるが、本実施形態と次に記載する第4の実施形態では、専用のスキャン相関処理部を備え、スキャン相関処理部での処理結果を表示用画像メモリに描画する構成となっている。このように、相関処理部と表示用画像メモリとを区別することにより、相関処理部を真運動座標で処理しながら、表示画像は任意の表示モードで表示することができる。以下の説明では、スキャン相関処理の詳細な処理については説明を省略する。
【0069】
また、本実施形態では、選択信号発生部42が出力する選択信号が「0」の場合に、レーダアンテナ11の回転に従って表示用画像メモリを更新し、選択信号が「1」の場合に、レーダアンテナ21の回転に従ってマスクデータを発生する。
【0070】
処理用セレクタ73は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「0」の場合は、描画アドレス発生部16で設定されたアドレスを選択して、相関処理部91Bおよびマスク用画像メモリ62に、選択したアドレスを読み出しアドレスとして与える。一方、処理用セレクタ73は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「1」の場合は、描画アドレス発生部26で設定されたアドレスを選択して、相関処理部91Bおよびマスク用画像メモリ62に、選択したアドレスを書き込みアドレスとして与える。この処理用セレクタ73が本発明の「アドレス選択手段」に相当する。
【0071】
反転器43は、入力された選択信号を反転させて、切替信号として相関処理部91Aに与える。
【0072】
相関処理部91A,91Bはそれぞれ図6の構造からなる。図6は相関処理部91A,91Bの概略構成を示すブロック図である。相関処理部91A,91Bは、それぞれWデータ発生部901、処理用画像メモリ902、セレクタ903を備える。
【0073】
相関処理部91Aは、描画アドレス発生部16により与えられる書き込みアドレスに従って、選択信号が「0」の場合、すなわち切替信号が「1」の場合、処理用画像メモリ902から読み出した1回転前までの相関処理データと、スイープメモリ14から入力される新たな探知データとを用いてWデータ発生部901でスキャン相関処理を行う。そして、相関処理部91Aは、処理用画像メモリ902に新たな相関処理データを書き込むとともに、この新たな相関処理データをセレクタ903で選択して、第1相関処理データとして表示用描画データセレクタ72に出力する。
【0074】
同時に選択信号が「0」の場合、すなわち相関処理部91Bの切替信号が「0」の場合、相関処理部91Bは、処理用画像メモリ902を更新せず、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部16により与えられるアドレスに従って処理用画像メモリ902から相関処理データを読み出し、セレクタ903で選択して、第2相関処理データとして表示用描画データセレクタ72に出力する。さらに同時に、マスク用画像メモリ62にも、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部16により与えられるアドレスが与えられ、マスク用画像メモリ62のマスクデータが読み出される。
【0075】
一方、選択信号が「1」の場合、すなわち相関処理部91Bの切替信号が「1」の場合、相関処理部91Bは、描画アドレス発生部26により与えられる書き込みアドレスに従って、処理用画像メモリ902から読み出した1回転前までの相関処理データと、スイープメモリ24から入力される新たな探知データとを用いてWデータ発生部901でスキャン相関処理を行う。そして、相関処理部91Bは、処理用画像メモリ902に新たな相関処理データを書き込む。さらに同時に、マスク用画像メモリ62にも、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部26により与えられる書き込みアドレスが与えられ、マスク領域発生部32で生成されたマスクデータがマスク用画像メモリ62に書き込まれる。
【0076】
選択信号が「0」の場合、マスク用画像メモリ62から読み出されたマスクデータに従い、表示用画像データセレクタ72は、入力された第1相関処理データと第2相関処理データとを選択して表示用画像メモリ61に出力する。具体的には、表示用画像データセレクタ72は、マスクデータが「0」ならば相関処理部91Aからの第1相関処理データを出力し、マスクデータが「1」ならば相関処理部91Bからの第2相関処理データを出力する。この表示用画像データセレクタ72が本発明の「表示画像データ選択手段」に相当する。
【0077】
描画始点設定部81は、レーダアンテナ11の設置位置と表示用画像メモリ61の描画始点との位置関係から、表示用画像メモリ61に描画する表示画像データの描画始点アドレス(Xds,Yds)を設定して、描画始点アドレス発生部82に与える。
【0078】
描画アドレス発生部82は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θ1と、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ14の読み出し位置r1とから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスを生成する。生成されたアドレスは表示用画像メモリに出力される。具体的に、描画アドレス発生部82は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xds+r1・sin(θ1) −(3A)
Y=Yds+r1・cos(θ1) −(3B)
ただし、X,Yは表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスであり、Xds,Ydsは前述の描画始点アドレスであり、r1はレーダアンテナ11に対応するスイープの中心からの距離であり、θ1はスイープ角度である。
【0079】
スキャン相関処理を実行する場合には、挿嵌処理部に与えるスイープ角度は、アンテナ角度にコンパスデータを加算した北を基準とした角度とするのが通常であり、また、表示用画像メモリに与えるスイープ角度は、選択する表示モードによりアンテナ方位のみ(ヘッドアップ表示)、アンテナ方位にコンパスデータを加算(ノースアップ表示)と使用目的により変化する。ここでは、表示用画像メモリのスイープ角度は、描画アドレス発生部16に与える角度と同じθとして説明する。
【0080】
表示用画像メモリ61は、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61は、選択信号が「0」の場合、表示用画像データセレクタ72が出力する相関処理データ(第1相関処理データまたは第2相関処理データ)を、描画アドレス発生部82で設定されたアドレスに従い、表示画像データとして書き込む。そして、表示画像データは、図示しない表示制御部により表示器10がラスター走査されるのと同期して表示用画像メモリ61から読み出されて表示器10に出力される。このように、本実施形態の構成では、マスク領域を設定しないレーダアンテナ11の回転に従ったスイープにより画像メモリを更新する。すなわち、画像メモリを更新するスイープを生成するレーダアンテナ11側がマスターとなり、マスクデータに従って2つの相関処理データのいずれかを選択して表示用画像メモリに描画する。そして、この動作により図7に示すような表示画像データが得られる。
図7は第1相関処理データ910と第2相関データ920との領域関係を示した図である。図7において、910はマスターとなるレーダアンテナ11から得られる第1相関処理データを示し、920はスレーブとなるレーダアンテナ21から得られる第2相関処理データを示す。また、図7において、91は第1相関処理データの始点を示し、92は第2相関処理データの始点を示す。
【0081】
本実施形態の構成を用いることで、表示用画像メモリ61は、マスターとなるレーダアンテナ11に同期したスイープで更新され、非マスク領域(実線ハッチング部)は第1相関処理データ910が書き込まれ、マスク領域(点線ハッチング部)は第2相関処理データ920が書き込まれる。
【0082】
このような構成とすることで、異なる位置に設置された2つのレーダアンテナから得られる第1相関処理データと第2相関処理データとを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。特に、一方のレーダアンテナの描画許可領域を示し、且つ他方のレーダアンテナの描画禁止領域を示すマスクデータを用いて表示出力を選択することにより、2つのスキャン相関処理データを単一の表示器上で容易に且つ正確に合成表示することができる。
【0083】
次に、第4の実施形態に係るレーダ装置について図を参照して説明する。
図8は本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ装置と第1の実施形態のレーダ装置とは、部分的に同じ構造を備え、第1の実施形態のレーダ装置を同じ部分(ブロック)には同じ記号を付し、説明は省略する。
【0084】
図8に示すレーダ装置は、図1に示すレーダ装置において、選択信号発生部42、Wデータセレクタ51,アドレスセレクタ52、表示用W信号発生部53、マスク用画像メモリ62を省略し、2つの相関処理部91A,91B、反転器43、表示用描画データセレクタ72、処理用セレクタ73、描画始点設定部81、描画アドレス発生部82を追加したものである。同時に、図8に示すレーダ装置は、図5に示すレーダ装置において、マスク用画像メモリ62を省略したものである。また、本実施形態では、選択信号発生部42が出力する選択信号が「1」の場合に、レーダアンテナ21の回転に従って表示用画像メモリの更新とマスクデータの発生を行う。
【0085】
処理用セレクタ73は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「0」の場合は、描画アドレス発生部16で設定されたアドレスを選択して、相関処理部91Aに選択したアドレスを書き込みアドレスとして与える。一方、処理用セレクタ73は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「1」の場合は、描画アドレス発生部26で設定されたアドレスを選択して、相関処理部91Aに、選択したアドレスを読み出しアドレスとして与える。この処理用セレクタ73が本発明の「アドレス選択手段」に相当する。
【0086】
反転器43は、入力された選択信号を反転させて、切替信号として相関処理部91Aに与える。
【0087】
相関処理部91A,91Bはそれぞれ前述の図6の構造からなる。図6は相関処理部91A、91Bの概略構成を示すブロック図である。相関処理部91A,91Bは、それぞれWデータ発生部901、処理用画像メモリ902、セレクタ903を備える。
【0088】
選択信号が「0」の場合、すなわち切替信号が「1」の場合、相関処理部91Aは、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部16により与えられる書き込みアドレスに従って、処理用画像メモリ902から読み出した1回転前までの相関処理データと、スイープメモリ14から入力される新たな探知データとを用いてWデータ発生部901でスキャン相関処理を行う。そして、処理用画像メモリ902に新たな相関処理データを第1相関処理データとして書き込む。
【0089】
一方、選択信号が「1」の場合、すなわち、相関処理部91Aの切替信号が「0」の場合、相関処理部91Aは、処理用画像メモリ902を更新せず、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部26により与えられるアドレスに従って処理用画像メモリ902から相関処理データを読み出し、セレクタ903で選択して、第1相関処理データとして表示用描画データセレクタ72に出力する。
【0090】
同時に、選択信号が「1」の場合、すなわち、相関処理部91Bの切替信号が「1」の場合、相関処理部91Bは、描画アドレス発生部26により与えられる書き込みアドレスに従って、処理用画像メモリ902から読み出した1回転前までの相関処理データと、スイープメモリ24から入力される新たな探知データとを用いてWデータ発生部901でスキャン相関処理を行う。そして、相関処理部91は、処理用画像メモリ902に新たな相関処理データを書き込むとともに、この新たな相関処理データをセレクタ903で選択して、第2相関処理データとして表示用描画データセレクタ72に出力する。
【0091】
同時に、選択信号が「1」の場合、マスク領域発生部32からのマスクデータに従って、表示用画像データセレクタ72は、入力された第1相関処理データと第2相関処理データとを選択して表示用画像メモリ61に出力する。具体的には、マスクデータが「0」ならば相関処理部91Aからの第1相関処理データを出力し、マスクデータが「1」ならば相関処理部91Bからの第2相関処理データを出力する。この表示用画像データセレクタ72が本発明の「表示画像データ選択手段」に相当する。
【0092】
描画始点設定部81は、レーダアンテナ21の設置位置と表示用画像メモリ61の描画始点との位置関係から、表示用画像メモリ61に描画する表示画像データの描画始点アドレス(Xds,Yds)を設定して、描画始点アドレス発生部82に与える。
【0093】
描画アドレス発生部82は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θ2と、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ14の読み出し位置r2とから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスを生成する。生成されたアドレスは表示用画像メモリに出力される。具体的に、描画アドレス発生部82は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xds+r2・sin(θ2) −(4A)
Y=Yds+r2・cos(θ2) −(4B)
ただし、X,Yは表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスであり、Xds,Ydsは前述の描画始点アドレスであり、r2はレーダアンテナ21に対応するスイープの中心からの距離であり、θ2はスイープ角度である。
【0094】
また、実際には、相関処理部に与えるスイープ角度は、アンテナ角度にコンパスデータを加算した北を基準とした角度であるのに対し、表示用画像メモリに与えるスイープ角度は、選択する表示モードによりアンテナ方位のみ(ヘッドアップ)、アンテナ方位にコンパスデータを加算(ノースアップ)等、使用目的に応じて変化させる。ここでは、表示用画像メモリのスイープ角度は、描画アドレス発生部26に与える角度と同じθ2として説明する。
【0095】
表示用画像メモリ61は、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61は、選択信号が「1」の場合、表示用描画データセレクタ72からの相関処理データ(第1相関処理データまたは第2相関処理データ)を、描画アドレス発生部82で設定されたアドレスに従い、表示画像データとして書き込む。そして、表示画像データは、図示しない表示制御部により表示器10がラスター走査されるのと同期して表示用画像メモリ61から読み出されて表示器10に出力される。このように、本実施形態の構成では、マスク領域を設定しないレーダアンテナ11からの表示画像データ(相関処理データ)生成系がスレーブになり、マスク領域を設定するレーダアンテナ21からの表示画像データ(相関処理データ)生成系がマスターとなって動作する。そして、この動作により、図9に示すような表示画像データが得られる。
図9は第1相関処理データ910と第2相関データ920との領域関係を示した図である。図9において、910はスレーブとなるレーダアンテナ11から得られる第1相関処理データを示し、920はマスターとなるレーダアンテナ21から得られる第2相関処理データを示す。また、図9において、91は第1相関処理データの始点を示し、92は第2相関処理データの始点を示す。
【0096】
本実施形態の構成を用いることで、表示用画像メモリ61は、マスターとなるレーダアンテナ21に同期したスイープで更新され、マスク領域(実線ハッチング部)は第2相関処理データ920が書き込まれ、非マスク領域(点線ハッチング部)は第1相関処理データ910が書き込まれる。
【0097】
このような構成とすることでも、異なる位置に設置された2つのレーダアンテナから得られる第1相関処理データと第2相関処理データとを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。特に、一方のレーダアンテナの描画許可領域を示し、且つ他方のレーダアンテナの描画禁止領域を示すマスクデータを用いて表示用画像メモリに描画するデータを選択することにより、2つのスキャン相関処理データを単一の表示器上で容易に且つ正確に合成表示することができる。
【0098】
なお、本実施形態の構成のように、2つのレーダアンテナからの探知データに基づく2つの相関処理データを合成表示する場合で、表示用画像メモリを更新するスイープ(探知データ)を生成するレーダアンテナとマスク領域を生成するレーダアンテナとが同じ場合には、マスク用画像メモリを不要とすることができる。
【0099】
なお、前述の説明では、各レーダアンテナ方向の同期について特に示していないが、レーダ映像(画像)はレーダアンテナの回転に従って更新されるため、2つのレーダアンテナが非同期に回転している場合、同じ物標の反射信号が各々のレーダアンテナで異なるタイミングで受信される。ここで、更新時間差n秒とすると、アンテナ設置位置に対して相対的に移動する物標の表示位置がn秒分異なった位置に表示される。
【0100】
具体的には、アンテナ回転数が24rpmの場合の最大更新時間差は2.5秒であるから、領域の境界線上にある移動物標の映像は、領域線の両側で各々最大2.5秒異なった位置に表示されてしまう。この場合、第1、第2の実施形態の場合は、各レーダアンテナを略同期回転させて更新時間差を少なくすることにより表示位置ずれを小さくすることができる。また、第3、第4の実施形態の場合、各レーダアンテナを略同期回転させるとともに、マスター以外のレーダアンテナの回転方向をマスターとなるレーダアンテナの回転方向よりも少し進めることにより、表示位置のずれを小さくすることができる。
【0101】
また、前述の各実施形態の構成を従来のスイッチモジュールを用いた構成に適用することで、従来のスイッチングモジュールの機能に加え、単一の表示器上に複数のアンテナによる探知映像を複数の領域に分けて表示することができる。
【0102】
また、前述の各実施形態では、マスク領域は、1つのアンテナに1つだけ設定したが、1つのアンテナに対して複数設定しても良い。
【0103】
また、前述の各実施形態ではアンテナ数は2つであるが、3つ以上の複数個のアンテナを用いても良い。例えば、N個のアンテナを用いる場合、N−1個のアンテナに対してはそれぞれにマスク画像を形成する。これにより、N個のアンテナからの複数の探知画像データを互いに重ならない領域に分けて合成表示することができる。
【0104】
また、前述の各実施形態では、探知画像データの書き込みに同期してマスク画像を書き込んだが、予めマスク画像のみを書き込むようにしてもよい。そして、マスク画像が前述の例に限らず、任意の形状に設定することができる。
【0105】
次に、第5の実施形態に係る物標探知システムについて図10、図11を参照して説明する。この第5の実施形態は、前述の第1〜第4の実施形態に示したレーダ装置の応用例を示すものである。
図10は油田の発掘装置に用いる物標探知システムの概略構成を示す平面図であり、図11は各レーダアンテナの探知範囲を示す概念図である。
【0106】
発掘装置は、平面視した状態で略正方形状のオイル塔501と、このオイル塔501を平面視した中心位置に配置された原油掘削機502とを備える。オイル塔501の各コーナには、オイル塔501の中心から各コーナを通り外方に向く方向を、水平方向の探知中心とするレーダアンテナ511,512,513,514が配置されている。レーダアンテナ511、513はオイル塔501の1つの対角に配置され、レーダアンテナ512,514はオイル塔501のもう1つの対角に配置されている。そして、各レーダアンテナ511〜514は、前記水平方向の中心に対して略270°で開口する方向のみが探知可能で、オイル塔501側の90°は構造物が障害となり探知できない領域となる。
【0107】
このような構成で、レーダアンテナ511,513のみを用いた場合、図11に示すような探知画像を合成することができる。このように、アンテナ設置位置が離れているレーダ探知画像でも、オイル塔501を中心とした全周方向に対して互いに重ならない領域521,523に分けて、正確に且つ容易に単一の表示器上で合成表示することができる。これにより、オイル塔501に近づく船舶等の物標を、設置位置が離れた複数のレーダアンテナで探知し、探知した画像データを単一の表示器上で容易に且つ正確に合成表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1の実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図2】表示画像メモリ61の描画中心とレーダアンテナ11,21のスイープ中心との関係を示した図
【図3】表示画像の設定、すなわち表示用画像メモリ61のレーダアンテナ別の領域分けの例を示した図
【図4】第2の実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図5】第3の実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図6】図5に示す相関処理部91A,91Bの概略構成を示すブロック図
【図7】第1相関処理データ910と第2相関データ920との領域関係を示した図
【図8】第4の実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図9】第1相関処理データ910と第2相関データ920との領域関係を示した図
【図10】第5の実施形態の油田発掘装置に用いる物標探知システムの概略構成を示す平面図
【図11】各レーダアンテナの探知範囲を示す概念図
【図12】従来の一般的なレーダ装置の構成を示すブロック図
【図13】アンテナ設置位置と障害物との位置関係による探知不可能領域を示す概略図
【図14】2個のレーダアンテナ101,111を設置した場合の探知可能領域を示す概略図
【図15】スイッチモジュール303を用いて複数の探知画像を切り替えて表示するレーダ装置の概略構成を示した図
【符号の説明】
【0109】
11,21−レーダアンテナ、12,22−受信部、13,23−AD変換部、14,24−スイープメモリ、15,25,81−描画始点設定部、16,26,82−描画アドレス発生部、31−マスク領域設定部、32−マスク領域発生部、42−選択信号発生部、43−反転器、51−Wデータセレクタ、52−アドレスセレクタ、53−表示用Wデータパルス発生部、54−マスク用Wデータパルス発生部、61,61A,61B−表示用画像メモリ、62−マスク用画像メモリ、71−表示用セレクタ、72−表示用画像データセレクタ,73−処理用セレクタ、91A,91B−相関処理部、901A,901B−Wデータ発生部、902A,902B−処理用画像メモリ、903A,903B−セレクタ、501−オイル塔、502−原油掘削機、511〜514−レーダアンテナ
【技術分野】
【0001】
この発明は、探知信号に基づく探知画像データを表示器に出力するレーダ装置やソナー装置およびこれらに類似する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海面反射等の不要映像を抑圧する目的で、過去数スキャンの画像を相関処理する画像処理が実施されている。この処理を「スキャン相関処理」と称する。
【0003】
船舶のような移動体に設置するレーダ装置の場合は、針路の変化、位置の変化を安定化した上での相関処理が必要なため、船首の方向を検出するコンパスデータ、位置の変化を検出する速度または緯度、経度データを入力し、これらのデータを使用して相関処理用の画像メモリのアドレスを発生している。すなわち、スイープ方向(θ)は、船首方向を基準としたアンテナの相対方向(θr)と船首の方向(θc)を加算した値(θ=θr+θc)とし、また、スイープ始点位置は、移動体の移動量に対応して変化させて相関処理用画像メモリのアドレスを発生している。すなわち、スキャン相関処理用のアドレス始点は新運動座標となる。以下の説明では、これらのことも記載すべきであるが、これらに関する記載は、発明の説明を煩雑化するものであり既知のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0004】
図12は、従来の一般的なレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【0005】
従来のレーダ装置は、レーダアンテナ101、受信部102、AD変換部103、スイープメモリ104、描画始点設定部105、描画アドレス発生部106、表示用画像メモリ107、表示器108を備える。
【0006】
レーダアンテナ101は、所定周期で水平面を回転しながら、予め設定された送信周期でパルス状電波からなる送信信号を探知領域に送信する。レーダアンテナ101は、同時に探知領域内の物標で反射した電波を受信する。受信部102は受信した信号を検波増幅して探知信号を出力する。AD変換部103は探知信号をAD変換して極座標系の探知データを生成する。スイープメモリ104は、1スイープ分の探知データを距離に基づいて実時間で記憶する。スイープメモリ104は、次の送信により得られる探知データが再び入力されるまでに、記憶されていた1スイープ分の探知データを表示用画像メモリ107に出力する。描画始点設定部105は、表示用画像メモリ107に描画する探知画像データの描画始点アドレス(Xs,Ys)を設定し、描画アドレス発生部106に与える。
【0007】
描画アドレス発生部106は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θと、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ104の読み出し位置rから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ107の画素を指定するアドレスを生成する。具体的に、描画アドレス発生部106は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xs+r・sinθ
Y=Ys+r・cosθ
ただし、X,Yは表示用画像メモリ107の画素を指定するアドレスであり、Xs,Ysは前述の描画始点アドレスであり、rはスイープの中心からの距離であり、θはスイープ角度である。
【0008】
表示用画像メモリ107は、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ107は、図示しない表示制御部により表示器108がラスター走査されるのと同期して、高速に読み出される。読み出された探知画像データは、これに応じた輝度または色が割り当てられ、表示画像データとして表示器108に出力される。表示器108は、入力された表示画像データに基づき画面上に画像を表示する。
【0009】
このようなレーダ装置を用いた物標探知システムでは、アンテナ近くに電波を反射する構造物が存在すると構造物が障害となり、アンテナから見た構造物の後方は探知できない。図13はアンテナ設置位置と障害物との位置関係による探知不可能領域を示す概略図である。例えば、図13に示すように、コンテナ201を船体200の甲板上に積載し、レーダアンテナ101を船体200の船尾側の操舵室の上方に設置した場合、レーダアンテナ101からの送信電波は、コンテナ201により遮断され所定領域210に存在する物標を探知できない。
【0010】
また、レーダの遠距離探知能力はレーダアンテナ位置が高いほど良好であるが、反面、レーダアンテナ位置が高いほど海面反射映像を広範囲で取り込んでしまう。一方、レーダの近距離探知能力はレーダの垂直ビーム幅に依存し、レーダアンテナ位置が低いほど良好である。
【0011】
このため、複数のレーダアンテナを設置し、各々のレーダアンテナによる受信映像を各々の表示器に表示して、これらの表示器から観測目的に適した表示器を選んで観測している。図14は2個のレーダアンテナ101,111を設置した場合の探知可能領域を示す概略図である。図14に示す例では、船体200の船首にレーダアンテナ111を設置することで、レーダアンテナ111が図13の領域210に対応する領域を探知して探知不可能領域をなくしている。さらに、レーダアンテナ101を高い位置に設置し、レーダアンテナ111を低い位置に設置することで、遠距離、近距離ともに探知可能としている。
【0012】
また、図15に示すように、各レーダアンテナ101,111がスイッチモジュール303を介して2つの表示器108,118に接続する装置がある。図15はスイッチモジュール303を用いて複数の探知画像を切り替えて表示するレーダ装置の概略構成を示した図である。
【0013】
また、従来のレーダ装置で、特許文献1に示すように、複数のレーダアンテナを備え、これらのレーダアンテナから得られる探知データを1つの表示器に出力するものもある。
【特許文献1】特開平4−238285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、図14に示したような従来のレーダアンテナを複数備える構成では、通常アンテナ毎に表示器が設けられているため、オペレータは状況に応じてそれぞれの表示器を個別に確認しながら探知領域の物標を観測しなければならない。
【0015】
また、図15に示したような構成では、スイッチモジュール303はそれぞれの表示器108,118に対してそれぞれ1つの受信部301,302を接続する。このため、それぞれの表示器は、1つのレーダアンテナから得られた探知画像だけしか表示できない。
【0016】
さらに、特許文献1に記載のレーダ装置では、複数のレーダアンテナで得られた探知データに対して同一(単一)の描画中心を用いている。しかしながら、アンテナ設置位置が各々離れた場所にある複数のレーダアンテナで得られた画像を単一の表示器上で合成表示する場合で、同一位置を描画中心とした場合、同じ物標の画像が表示器上で各々異なる複数の位置に表示され、間違った画像となる。このような場合、各々の受信画像の描画中心は、各々のアンテナの設置位置に対応した異なる位置とすることが必要である。そして、前述の表示位置の誤差は、各レーダアンテナの設置位置が大きく離れる場合、また、小さい探知レンジで観測する場合ほど大きくなる。
【0017】
したがって、この発明の目的は、複数のレーダアンテナから得られる探知データを単一の表示器上で正しく合成して表示するレーダ装置および類似装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに探知データを生成する探知データ生成手段と、探知データ生成手段で生成される探知データ毎の描画領域を設定する描画領域設定手段と、探知データ生成手段で生成される複数の探知データを描画領域設定手段で設定した探知データ毎の描画領域に基づいて複数のアンテナの設置位置にそれぞれ対応する描画始点位置を基準として合成する探知データ合成手段と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
この構成では、それぞれのアンテナで受信された探知信号からアンテナ毎に探知データを生成する。生成されたアンテナ毎の探知データは、描画領域設定手段により設定された描画領域毎に、探知データ合成手段で合成される。この際、探知データ合成手段は、アンテナ毎の設置位置にそれぞれ対応する描画始点位置を基準として各探知データを合成する。
【0020】
また、この発明のレーダ装置および類似装置は、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いて各アンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスを画像データ記憶手段に対して設定する複数の描画アドレス設定手段と、特定のアンテナに対応し、該特定アンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いて、特定のアンテナで得られる探知データを描画する領域を設定する特定領域設定手段と、該特定領域設定手段により設定された特定領域に対しては特定のアンテナから得られた探知データをこれに対応する描画アドレス設定手段により設定された描画アドレスで画像データ記憶手段に書き込み、他の領域に対しては特定のアンテナ以外のアンテナから得られた探知データを対応する描画アドレス設定手段により設定された描画アドレスで画像データ記憶手段に書き込こむ探知データ選択手段と、直交座標系のアドレスを備え、前記探知データ選択手段からの探知データを直交座標系の探知画像データとして記憶する画像データ記憶手段と、を備えたことを特徴としている。
【0021】
この構成では、それぞれのアンテナで受信された探知信号は、アンテナ毎に設置された探知データ生成手段に入力される。
探知データ生成手段は、入力された探知信号から極座標系の探知データを生成して1スイープ単位でバッファして出力する。
また、それぞれのアンテナから出力されたアンテナ方位情報は、アンテナ毎に設置された描画アドレス設定手段に入力される。
描画アドレス設定手段は、アンテナ方位情報と、各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、接続されたアンテナの設置位置に応じた描画始点位置情報とから、画像データ記憶手段の直交座標系の描画アドレスを生成して出力する。
特定領域設定手段は特定のアンテナに接続し、この特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、領域設定値から、特定アンテナからの探知データで描画する特定領域を出力する。
特定領域設定手段により設定された特定領域に対して、探知データ選択手段は、特定領域設定手段と同じアンテナにより得られる探知データを、画像データ記憶手段に出力する。一方、特定領域設定手段により設定されない領域に対して、探知データ選択手段は、特定領域設定手段に接続されたアンテナとは異なるアンテナから得られる探知データを画像データ記憶手段に出力する。これらの際、探知データには対応するアンテナから得られるアドレスが与えられる。
【0022】
画像データ記憶手段は、このように選択された探知データを直交座標系のアドレスからなる探知画像データとして記憶する。この際、描画アドレス設定手段でそれぞれのアンテナ位置に応じた座標変換が行われることで、画像データ記憶手段に記憶された複数のアンテナからの探知画像データの位置関係はアンテナ設置位置関係に対応する。このようにアンテナ設置位置関係に対応して記憶された探知画像データは、表示制御手段により読み出されて表示器に表示される。
【0023】
また、この発明のレーダ装置および類似装置は、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いて直交座標系の描画アドレスをそれぞれに対応する画像データ記憶手段に対して設定する複数の描画アドレス設定手段と、直交座標系のアドレスを備え、複数の探知データ生成手段からの探知データを、それぞれに対応する描画アドレス設定手段で設定されたアドレスに基づいて直交座標系の探知画像データとして記憶する複数の画像データ記憶手段と、特定のアンテナに対応し、該特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、領域設定値とを用いて特定のアンテナで得られる探知データを選択する領域を設定する特定領域設定手段と、特定領域設定手段により設定された領域に対しては特定のアンテナに対応する画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力し、他の領域に対しては特定のアンテナ以外のアンテナに対応する画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力する出力データ選択手段と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
この構成では、それぞれのアンテナで受信された探知信号は、アンテナ毎に設置された探知データ生成手段に入力される。
探知データ生成手段は、入力された探知信号から極座標系の探知データを生成して1スイープ単位でバッファして出力する。
また、それぞれのアンテナから出力されたアンテナ方位情報は、アンテナ毎に設置された描画アドレス設定手段に入力される。
描画アドレス設定手段は、アンテナ方位情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、接続されたアンテナ設置位置に対応した描画始点位置情報とから、画像データ記憶手段に対応する直交座標系のアドレスを生成して出力する。
各画像データ記憶手段は、それぞれに接続する描画アドレス設定手段で設定したアドレスによって、同様にそれぞれに接続する探知データ生成手段からの探知データに基づく直交座標系の探知画像データを記憶する。すなわち、アンテナ毎に設置された画像データ記憶手段は、対応する各アンテナから得られた探知画像データのみを記憶する。この際、全ての画像データ記憶手段のアドレスは各アンテナの設置位置に対応して設定される。
【0025】
特定領域設定手段は特定のアンテナに接続し、この特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、領域設定値とから、該特定のアンテナからの探知データを表示する特定領域を出力する。
出力データ選択手段は、特定領域設定手段で設定された特定領域に従って各画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力する。このようにアンテナ設置位置関係に対応して記憶された探知画像データは、出力データ選択手段により選択されて表示器に表示される。
【0026】
また、この発明のレーダ装置および類似装置は、それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と描画始点から描画位置までの距離情報とを用いてアンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスを設定する複数のアドレス設定手段と、該複数の描画アドレス設定手段により設定される各描画アドレスを選択して、描画アドレスまたは読出アドレスとして複数の画像データ記憶手段に与えるアドレス選択手段と、それぞれに対応する探知データ生成手段からの探知データを相関処理し、アドレス選択手段で設定されたアドレスに基づいて直交座標系の相関処理データとして記憶する複数の相関処理手段と、特定のアンテナに対応し、該特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報を用いて特定のアンテナで得られる探知データを選択する領域を設定する特定領域設定手段と、予め設定された1つのアンテナから得られる描画アドレスに従って、複数の相関処理手段から出力された相関処理データに対して、特定領域設定手段により設定された領域では特定のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して表示画像データ記憶手段に出力し、他の領域では特定のアンテナ以外のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して前記表示画像データ記憶手段に出力する表示画像データ選択手段と、設定される表示座標系に応じて表示画像データを記憶する表示画像データ記憶手段と、を備えたことを特徴としている。
【0027】
この構成では、それぞれのアンテナで受信された探知信号は、アンテナ毎に設置された探知データ生成手段に入力される。
探知データ生成手段は、入力された探知信号から極座標系の探知データを生成して1スイープ単位でバッファして出力する。
また、それぞれのアンテナから出力されたアンテナ方位情報は、アンテナ毎に設置された描画アドレス設定手段に入力される。
描画アドレス設定手段は、アンテナ方位情報と、描画始点から描画位置までの距離情報と、接続されたアンテナ設置位置に応じた描画始点情報とから、画像データ記憶手段に対応する直交座標系のアドレスを生成して出力する。
アドレス選択手段は、複数の描画アドレス設定手段により設定された各描画アドレスを選択して、描画アドレスまたは読出アドレスとして複数の画像データ記憶手段に与える。
【0028】
各相関処理手段は、アドレス選択手段から設定されたアドレスによって、それぞれに接続する探知データ生成手段からの探知データに基づく直交座標系の探知画像データを、対応する画素毎に、アンテナ1回転に1回、所定のタイミングで相関処理をして記憶する。この際、全ての相関処理手段のアドレスは各アンテナの設置位置に対応して設定される。一方、各相関処理手段で相関処理され記憶された相関処理データは、予め設定された1つのアンテナから得られる描画アドレスにしたがって出力され、表示画像データ選択手段に与えられる。
【0029】
特定領域設定手段は特定のアンテナに接続し、この特定のアンテナからの方位情報と描画始点から描画位置までの距離情報と領域設定値とから、該特定のアンテナからの探知データを表示する特定領域を出力して、表示画像データ選択手段に与える。
表示画像データ選択手段は、複数の相関処理手段から出力された相関処理データに対し、特定領域に該当すれば特定のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して表示画像データ記憶手段に出力し、他の領域に該当すれば特定のアンテナ以外のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して表示画像データ記憶手段に出力する。
【0030】
表示画像データ記憶手段は、このように選択された相関処理データを、予め設定された表示座標系に応じて記憶する。この際、描画アドレス設定手段でそれぞれのアンテナ位置に応じた座標変換が行われることで、表示画像データ記憶手段に記憶された複数のアンテナから得られる相関処理データの位置関係はアンテナ設置位置関係に対応する。このようにアンテナ設置位置関係に対応して記憶された表示画像データは、表示制御手段により読み出されて表示器に表示される。
【発明の効果】
【0031】
この発明によれば、各アンテナで得られる各画像を表示する領域を画像化し、画像化した各領域を参照して描画または表示することにより、設置位置の異なる複数のアンテナにより得られた複数の探知画像を互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。
【0032】
また、複数の探知画像を領域に分けて単一の表示器上で観測できるため、複数の表示器の中から適切な表示器を選んで観測する煩わしさを解消し、安全かつ取り扱い易い優れたレーダ装置および類似装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の第1の実施形態に係るレーダ装置について、図を参照して説明する。なお、以下の説明では、レーダアンテナが2個の場合について説明する。
図1は本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ装置は、それぞれに異なる位置に設置されたレーダアンテナ11,21を備える。レーダアンテナ11,21は、それぞれ所定周期で水平面を回転しながら、予め設定された送信周期でパルス状電波からなる送信信号を探知領域に送信する。また、レーダアンテナ11,21は同時に探知領域内の物標で反射した電波を受信する。
【0034】
レーダアンテナ11は受信信号を受信部12に出力するとともに描画アドレス発生部16にアンテナ方位情報を出力する。受信部12は、受信信号を検波、増幅して第1探知信号を出力する。AD変換部13は第1探知信号をAD変換して極座標系の第1探知データを生成する。スイープメモリ14は、1スイープ分の第1探知データを送信開始時刻からの経過時間、すなわち距離に基づいて実時間で記憶する。スイープメモリ14は、次の送信により得られる第1探知データが再び入力されるまでに、記憶されていた1スイープ分の第1探知データをWデータセレクタ51に出力する。これら受信部12、AD変換部13、スイープメモリ14が本発明の「探知データ生成手段」に相当する。
【0035】
描画始点設定部15は、レーダアンテナ11の設置位置と表示用画像メモリ61の表示画面の中心との位置関係から、表示用画像メモリ61に描画する第1探知画像データの描画始点アドレス(Xs1,Ys1)を設定して、描画始点アドレス発生部16に与える。
【0036】
描画アドレス発生部16は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θ1と、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ14の読み出し位置r1とから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスを生成する。生成されたアドレスはアドレスセレクタ52に出力される。具体的に、描画アドレス発生部16は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xs1+r1・sin(θ1) −(1A)
Y=Ys1+r1・cos(θ1) −(1B)
ただし、X,Yは表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスであり、Xs1,Ys1は前述の描画始点アドレスであり、r1はレーダアンテナ11に対応するスイープの始点からの距離であり、θ1はスイープ角度である。これら描画始点設定部15、描画アドレス発生部16が本発明の「描画アドレス設定手段」に相当する。
【0037】
レーダアンテナ21は受信信号を受信部22に出力するとともに描画アドレス発生部26にアンテナ方位情報を出力する。受信部22は、受信信号を検波、増幅して第2探知信号を出力する。AD変換部23は第2探知信号をAD変換して極座標系の第2探知データを生成する。スイープメモリ24は、1スイープ分の第2探知データを送信開始時刻からの経過時間、すなわち距離に基づいて実時間で記憶する。スイープメモリ24は、次の送信により得られる第2探知データが再び入力されるまでに、記憶されていた1スイープ分の第2探知データをWデータセレクタ51に出力する。これら受信部22、AD変換部23、スイープメモリ24が本発明の「探知データ生成手段」に相当する。
【0038】
描画始点設定部25は、レーダアンテナ21の設置位置と表示用画像メモリ61の表示画面の中心との位置関係から、表示用画像メモリ61に描画する第2探知画像データの描画始点アドレス(Xs2,Ys2)を設定して、描画始点アドレス発生部26に与える。
【0039】
描画アドレス発生部26は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θ2と、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ24の読み出し位置r2とから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスを生成する。生成されたアドレスはアドレスセレクタ52に出力される。具体的に、描画アドレス発生部26は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xs2+r2・sin(θ2) −(2A)
Y=Ys2+r2・cos(θ2) −(2B)
ただし、X,Yは表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスであり、Xs2,Ys2は前述の描画始点アドレスであり、r2はレーダアンテナ21に対応するスイープの始点からの距離であり、θ2はスイープ角度である。ここで、描画始点設定部25、描画アドレス発生部26が本発明の「描画アドレス設定手段」に相当する。
【0040】
図2は表示画像メモリ61上の表示画面の中心とレーダアンテナ11,21のスイープ中心(始点)との関係を示した例である。図2において、90は表示画面の中心を示し、91はレーダアンテナ11のスイープ中心(始点)を示し、92はレーダアンテナ21のスイープ中心(始点)を示す。
【0041】
マスク領域設定部31は、予め設定された表示用画像メモリ61における第2探知画像データの書き込み領域を設定するパラメータを方位方向マスク設定データ、距離方向マスク設定データとしてマスク領域発生部32に与える。この領域設定は例えば図3に示すような設定である。
【0042】
図3は、表示画像の設定、すなわち表示用画像メモリ61のレーダアンテナ別の領域分けの例を示した図である。図3において、911,912,913はそれぞれレーダアンテナ11により得られた探知画像データを書き込む領域を示し、921,922,923はそれぞれレーダアンテナ21により得られた探知画像データを書き込む領域を示す。また、図3において、91はレーダアンテナ11のスイープ中心(始点)を示し、92はレーダアンテナ21のスイープ中心(始点)を示す。図3(A)は、領域921を表示画面の上方における設定可能な2つの距離と2つの方位とで囲まれた領域に設定する場合を示す。図3(B)は、領域922を表示画面の上方における設定可能な2つの方位で囲まれた領域に設定する場合を示す。図3(C)は、領域923を表示画面の略中心を中心として設定可能な所定距離内となる領域に設定する場合を示す。マスク領域設定部31は、これら図3(A)〜(C)に応じた領域設定を、方位方向マスク設定データおよび距離方向マスク設定データを用いて設定する。
【0043】
マスク領域発生部32は、レーダアンテナ21からの方位情報と、アンテナ21の設置位置に対応した描画始点位置情報と、マスク領域設定部31からの方位方向マスク設定データ、距離方向マスク設定データと、スイープメモリ24の読み出しアドレスに対応するスイープ始点からの距離データを入力する。マスク領域発生部32は、これらのデータを用いて、レーダアンテナ21に接続する系の各部での探知データ生成タイミングに同期して、マスク領域に対応する領域に対しては有意なデータ(例えば「1」)を出力し、設定領域に対応しない領域に対しては無意なデータ(例えば「0」)を出力する。「1」の領域はレーダアンテナ21で得られる第2探知データを描画する領域、「0」の領域はレーダアンテナ11で得られる第1探知データを描画する領域となる。これら出力データはマスク用画像メモリ62と表示用W信号発生部53とに与えられる。
【0044】
選択信号発生部42は、表示用画像メモリ61に対する第1探知データの描画と第2探知データとの描画を交互に時分割に行うためのタイミング信号である選択信号を生成する。この選択信号は、例えば、「0」の場合に第1探知データの描画を実行し、「1」の場合に第2探知データの描画を実行するように設定されている。
【0045】
Wデータセレクタ51は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「0」の場合は、スイープメモリ14から入力される第1探知データを選択し、選択信号が「1」の場合は、スイープメモリ24から入力される第2探知画像データを選択して、表示用画像メモリ61に出力する。
【0046】
アドレスセレクタ52は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「0」の場合は、描画アドレス発生部16で設定されたアドレスを選択し、選択信号が「1」の場合は、描画アドレス発生部26で設定されたアドレスを選択して、表示用画像メモリ61とマスク用画像メモリ62とに与える。
【0047】
表示用W信号発生部53は、選択信号発生部42からの選択信号と、マスク領域発生部32からのマスクデータ出力と、マスク用画像メモリ62から読み出したマスクデータとにしたがい、表示用画像メモリ61の書き込み信号を発生する。具体的に、表示用W信号発生部53は、選択信号が「0」であり、且つ、マスク用画像メモリ62から読み出したマスクデータが「0」である場合、スイープメモリ14からの第1探知データを表示用画像メモリ61に書き込む。また、選択信号が「1」であり、且つ、マスク領域発生部32からの出力信号が「1」である場合、スイープメモリ24からの第2探知信号を表示用画像メモリ61に書き込む。これら、Wデータセレクタ51、アドレスセレクタ52、表示用W信号発生部53が本発明の「探知データ選択手段」に相当する。
【0048】
マスク用画像メモリ62は、後述する表示用画像メモリ61と同じアドレス数を有し、各アドレスに対して1ビットのデータ容量を備えるメモリである。マスク用画像メモリ62はマスク領域発生部32から出力された「0」、「1」のデータをマスクデータとして記憶するメモリである。そして、選択信号発生部42の選択信号が「0」の場合に、マスク用画像メモリ62の内容は読み出されて、表示用W信号発生部53に出力される。また、選択信号発生部42の選択信号が「1」の場合に、マスク用画像メモリ62には、マスク領域発生部32からのマスクデータが書き込まれる。ここで、このマスク用画像メモリ62とマスク領域設定部31とマスク領域発生部32とからなる部分が本発明の「特定領域設定手段」に相当する。
【0049】
表示用画像メモリ61は、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61は、アドレスセレクタ52からのアドレスに従い、Wデータセレクタ51から出力される探知データ(第1探知データまたは第2探知データ)を各アドレスに対応する探知画像データとして書き込む。この際、表示用画像メモリ61は、表示用W信号発生部53からの書き込み信号が「1」であれば探知画像データを書き込む。具体的には、表示用画像メモリ61は、選択信号発生部42の出力が「0」で、且つマスク用画像メモリ62から読み出されたマスクデータが「0」の場合、第1探知データを描画アドレス発生部16で設定されたアドレスで、探知画像データとして書き込む。また、選択信号発生部42の出力が「1」で、且つマスク領域発生部32のマスクデータが「1」の場合、第2探知データを描画アドレス発生部26で設定したアドレスで、探知画像データとして書き込む。
【0050】
そして、表示用画像メモリ61は、図示しない表示制御部により表示器10がラスター走査されるのと同期して、高速に読み出される。読み出された探知画像データは、これに応じた輝度または色が割り当てられ、表示画像データとして表示器10に出力される。表示器10は、入力された表示画像データに基づき画面上に画像を表示する。この表示用画像メモリ61が本発明の「画像データ記憶手段」に相当する。
【0051】
このような構成とすることで、異なる位置に設置した2つのレーダアンテナ11,21から得られる探知画像データを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。
【0052】
特に、一方のレーダアンテナの描画許可領域を示し、且つ他方のレーダアンテナの描画禁止領域を示すマスク画像(マスクデータ)を用いて、このマスク画像を参照して描画することにより、容易且つ正確に描画を実行することができる。
【0053】
これは以下の理由による。
複数のレーダアンテナで得られる探知画像データを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示する場合において、各探知データを画像メモリに書き込む時、この探知データを書き込む領域であるかどうかを判定する必要がある。画像メモリ上のスイープ始点が同一座標である場合に比べ、各アンテナの設置位置が異なるため画像メモリ上の各スイープ始点座標が異なる場合はより困難である。
【0054】
従来、探知画像データを書き込もうとする時に、その画素(アドレス)が他のレーダアンテナの書込領域でないことを、例えば、他のレーダアンテナの位置から算出して確認しなければならなかった。
【0055】
本実施形態のように、探知画像データの描画領域を他の探知データの描画禁止を示すマスク領域として設定し、マスク領域を画像化しておくことで、書き込み領域であるかどうかは、マスク画像を参照することにより容易に判定できる。
【0056】
この結果、本実施形態の構成および処理方法を用いることで、複数のレーダアンテナから得られる探知画像データを互いに重ならない領域に分けて、単一の表示器上で容易に且つ確実に合成表示できる。もちろん、この効果は以下に示す各実施形態に対しても適用されることである。
【0057】
次に、第2の実施形態に係るレーダ装置について図4を参照して説明する。
図4は本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ装置と第1の実施形態のレーダ装置とは、部分的に同じ構造を備え、第1の実施形態のレーダ装置を同じ部分(ブロック)には同じ記号を付し、説明は省略する。
【0058】
図4に示すレーダ装置は、図1に示すレーダ装置において、選択信号発生部42、Wデータセレクタ51,アドレスセレクタ52、表示用W信号発生部53を省略し、2つの表示用画像メモリ61A,61B、表示用セレクタ71を追加したものである。
【0059】
表示用画像メモリ61Aは、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61Aは、スイープメモリ14からの第1探知データを、描画アドレス発生部16で設定されたアドレスに従い、第1探知画像データとして書き込む。
【0060】
表示用画像メモリ61Bは、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61Bは、スイープメモリ24からの第2探知データを、描画アドレス発生部26で設定されたアドレスに従い、第2探知画像データとして書き込む。
【0061】
各々の探知画像データの表示許可領域、表示禁止領域を指定するマスクデータが書き込まれるマスク用画像メモリ62は、表示用画像メモリ61Bの描画と同じタイミングで描画される。
【0062】
そして、図示しない表示制御部により表示器10がラスター走査されるのと同期して、第1探知画像データ、第2探知画像データ、マスクデータは、各々表示用画像メモリ61A,61B、マスク用画像メモリ62から読み出されて、表示用セレクタ71に入力される。
【0063】
表示用セレクタ71は、マスク用画像メモリ62のマスクデータの出力に従って、入力された第1探知画像データと第2探知画像データとを選択して表示器10に出力する。具体的には、表示用セレクタ71は、マスクデータが「0」ならば表示用画像メモリ61Aからの第1探知画像データを出力し、マスクデータが「1」ならば表示用画像メモリ61Bからの第2探知画像データを出力する。この表示用セレクタ71が本発明の「出力データ選択手段」に相当する。
【0064】
表示用画像メモリ61Aの描画アドレス(描画アドレス発生部16により設定)と、表示用画像メモリ61Bおよびマスク用画像メモリ62の描画アドレス(描画アドレス発生部26により設定)との2つの描画アドレスは同じ基準で作成されている。そして、描画アドレスがアンテナ設置位置関係に対応しているので、共通の表示用読み出しアドレスで読み出して表示器に入力する。
【0065】
このような構成とすることで、異なる位置に設置された2つのレーダアンテナ11,21から得られる第1探知画像データと第2探知画像データとを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。特に、一方のレーダアンテナの描画許可領域を示し、且つ他方のレーダアンテナの描画禁止領域を示すマスク画像を用いて表示出力を選択することにより、設置位置が離れた2つのレーダアンテナからの探知画像データを単一の表示器上で容易に且つ正確に合成表示することができる。
【0066】
次に、第3の実施形態に係るレーダ装置について図を参照して説明する。
図5は本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ装置と第1の実施形態のレーダ装置とは、部分的に同じ構造を備え、第1の実施形態のレーダ装置を同じ部分(ブロック)には同じ記号を付し、説明は省略する。
【0067】
図5に示すレーダ装置は、図1に示すレーダ装置において、Wデータセレクタ51、アドレスセレクタ52、表示用W信号発生部53を省略し、2つの相関処理部91A,91B、反転器43、表示用描画データセレクタ72、処理用セレクタ73、描画始点設定部81、描画アドレス発生部82を追加したものである。
【0068】
前述の第1、第2の実施形態においては、表示用画像メモリを相関処理用のメモリとして兼用することにより、スキャン相関処理を実施することが可能であるが、本実施形態と次に記載する第4の実施形態では、専用のスキャン相関処理部を備え、スキャン相関処理部での処理結果を表示用画像メモリに描画する構成となっている。このように、相関処理部と表示用画像メモリとを区別することにより、相関処理部を真運動座標で処理しながら、表示画像は任意の表示モードで表示することができる。以下の説明では、スキャン相関処理の詳細な処理については説明を省略する。
【0069】
また、本実施形態では、選択信号発生部42が出力する選択信号が「0」の場合に、レーダアンテナ11の回転に従って表示用画像メモリを更新し、選択信号が「1」の場合に、レーダアンテナ21の回転に従ってマスクデータを発生する。
【0070】
処理用セレクタ73は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「0」の場合は、描画アドレス発生部16で設定されたアドレスを選択して、相関処理部91Bおよびマスク用画像メモリ62に、選択したアドレスを読み出しアドレスとして与える。一方、処理用セレクタ73は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「1」の場合は、描画アドレス発生部26で設定されたアドレスを選択して、相関処理部91Bおよびマスク用画像メモリ62に、選択したアドレスを書き込みアドレスとして与える。この処理用セレクタ73が本発明の「アドレス選択手段」に相当する。
【0071】
反転器43は、入力された選択信号を反転させて、切替信号として相関処理部91Aに与える。
【0072】
相関処理部91A,91Bはそれぞれ図6の構造からなる。図6は相関処理部91A,91Bの概略構成を示すブロック図である。相関処理部91A,91Bは、それぞれWデータ発生部901、処理用画像メモリ902、セレクタ903を備える。
【0073】
相関処理部91Aは、描画アドレス発生部16により与えられる書き込みアドレスに従って、選択信号が「0」の場合、すなわち切替信号が「1」の場合、処理用画像メモリ902から読み出した1回転前までの相関処理データと、スイープメモリ14から入力される新たな探知データとを用いてWデータ発生部901でスキャン相関処理を行う。そして、相関処理部91Aは、処理用画像メモリ902に新たな相関処理データを書き込むとともに、この新たな相関処理データをセレクタ903で選択して、第1相関処理データとして表示用描画データセレクタ72に出力する。
【0074】
同時に選択信号が「0」の場合、すなわち相関処理部91Bの切替信号が「0」の場合、相関処理部91Bは、処理用画像メモリ902を更新せず、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部16により与えられるアドレスに従って処理用画像メモリ902から相関処理データを読み出し、セレクタ903で選択して、第2相関処理データとして表示用描画データセレクタ72に出力する。さらに同時に、マスク用画像メモリ62にも、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部16により与えられるアドレスが与えられ、マスク用画像メモリ62のマスクデータが読み出される。
【0075】
一方、選択信号が「1」の場合、すなわち相関処理部91Bの切替信号が「1」の場合、相関処理部91Bは、描画アドレス発生部26により与えられる書き込みアドレスに従って、処理用画像メモリ902から読み出した1回転前までの相関処理データと、スイープメモリ24から入力される新たな探知データとを用いてWデータ発生部901でスキャン相関処理を行う。そして、相関処理部91Bは、処理用画像メモリ902に新たな相関処理データを書き込む。さらに同時に、マスク用画像メモリ62にも、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部26により与えられる書き込みアドレスが与えられ、マスク領域発生部32で生成されたマスクデータがマスク用画像メモリ62に書き込まれる。
【0076】
選択信号が「0」の場合、マスク用画像メモリ62から読み出されたマスクデータに従い、表示用画像データセレクタ72は、入力された第1相関処理データと第2相関処理データとを選択して表示用画像メモリ61に出力する。具体的には、表示用画像データセレクタ72は、マスクデータが「0」ならば相関処理部91Aからの第1相関処理データを出力し、マスクデータが「1」ならば相関処理部91Bからの第2相関処理データを出力する。この表示用画像データセレクタ72が本発明の「表示画像データ選択手段」に相当する。
【0077】
描画始点設定部81は、レーダアンテナ11の設置位置と表示用画像メモリ61の描画始点との位置関係から、表示用画像メモリ61に描画する表示画像データの描画始点アドレス(Xds,Yds)を設定して、描画始点アドレス発生部82に与える。
【0078】
描画アドレス発生部82は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θ1と、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ14の読み出し位置r1とから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスを生成する。生成されたアドレスは表示用画像メモリに出力される。具体的に、描画アドレス発生部82は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xds+r1・sin(θ1) −(3A)
Y=Yds+r1・cos(θ1) −(3B)
ただし、X,Yは表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスであり、Xds,Ydsは前述の描画始点アドレスであり、r1はレーダアンテナ11に対応するスイープの中心からの距離であり、θ1はスイープ角度である。
【0079】
スキャン相関処理を実行する場合には、挿嵌処理部に与えるスイープ角度は、アンテナ角度にコンパスデータを加算した北を基準とした角度とするのが通常であり、また、表示用画像メモリに与えるスイープ角度は、選択する表示モードによりアンテナ方位のみ(ヘッドアップ表示)、アンテナ方位にコンパスデータを加算(ノースアップ表示)と使用目的により変化する。ここでは、表示用画像メモリのスイープ角度は、描画アドレス発生部16に与える角度と同じθとして説明する。
【0080】
表示用画像メモリ61は、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61は、選択信号が「0」の場合、表示用画像データセレクタ72が出力する相関処理データ(第1相関処理データまたは第2相関処理データ)を、描画アドレス発生部82で設定されたアドレスに従い、表示画像データとして書き込む。そして、表示画像データは、図示しない表示制御部により表示器10がラスター走査されるのと同期して表示用画像メモリ61から読み出されて表示器10に出力される。このように、本実施形態の構成では、マスク領域を設定しないレーダアンテナ11の回転に従ったスイープにより画像メモリを更新する。すなわち、画像メモリを更新するスイープを生成するレーダアンテナ11側がマスターとなり、マスクデータに従って2つの相関処理データのいずれかを選択して表示用画像メモリに描画する。そして、この動作により図7に示すような表示画像データが得られる。
図7は第1相関処理データ910と第2相関データ920との領域関係を示した図である。図7において、910はマスターとなるレーダアンテナ11から得られる第1相関処理データを示し、920はスレーブとなるレーダアンテナ21から得られる第2相関処理データを示す。また、図7において、91は第1相関処理データの始点を示し、92は第2相関処理データの始点を示す。
【0081】
本実施形態の構成を用いることで、表示用画像メモリ61は、マスターとなるレーダアンテナ11に同期したスイープで更新され、非マスク領域(実線ハッチング部)は第1相関処理データ910が書き込まれ、マスク領域(点線ハッチング部)は第2相関処理データ920が書き込まれる。
【0082】
このような構成とすることで、異なる位置に設置された2つのレーダアンテナから得られる第1相関処理データと第2相関処理データとを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。特に、一方のレーダアンテナの描画許可領域を示し、且つ他方のレーダアンテナの描画禁止領域を示すマスクデータを用いて表示出力を選択することにより、2つのスキャン相関処理データを単一の表示器上で容易に且つ正確に合成表示することができる。
【0083】
次に、第4の実施形態に係るレーダ装置について図を参照して説明する。
図8は本実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態のレーダ装置と第1の実施形態のレーダ装置とは、部分的に同じ構造を備え、第1の実施形態のレーダ装置を同じ部分(ブロック)には同じ記号を付し、説明は省略する。
【0084】
図8に示すレーダ装置は、図1に示すレーダ装置において、選択信号発生部42、Wデータセレクタ51,アドレスセレクタ52、表示用W信号発生部53、マスク用画像メモリ62を省略し、2つの相関処理部91A,91B、反転器43、表示用描画データセレクタ72、処理用セレクタ73、描画始点設定部81、描画アドレス発生部82を追加したものである。同時に、図8に示すレーダ装置は、図5に示すレーダ装置において、マスク用画像メモリ62を省略したものである。また、本実施形態では、選択信号発生部42が出力する選択信号が「1」の場合に、レーダアンテナ21の回転に従って表示用画像メモリの更新とマスクデータの発生を行う。
【0085】
処理用セレクタ73は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「0」の場合は、描画アドレス発生部16で設定されたアドレスを選択して、相関処理部91Aに選択したアドレスを書き込みアドレスとして与える。一方、処理用セレクタ73は、選択信号発生部42から入力された選択信号が「1」の場合は、描画アドレス発生部26で設定されたアドレスを選択して、相関処理部91Aに、選択したアドレスを読み出しアドレスとして与える。この処理用セレクタ73が本発明の「アドレス選択手段」に相当する。
【0086】
反転器43は、入力された選択信号を反転させて、切替信号として相関処理部91Aに与える。
【0087】
相関処理部91A,91Bはそれぞれ前述の図6の構造からなる。図6は相関処理部91A、91Bの概略構成を示すブロック図である。相関処理部91A,91Bは、それぞれWデータ発生部901、処理用画像メモリ902、セレクタ903を備える。
【0088】
選択信号が「0」の場合、すなわち切替信号が「1」の場合、相関処理部91Aは、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部16により与えられる書き込みアドレスに従って、処理用画像メモリ902から読み出した1回転前までの相関処理データと、スイープメモリ14から入力される新たな探知データとを用いてWデータ発生部901でスキャン相関処理を行う。そして、処理用画像メモリ902に新たな相関処理データを第1相関処理データとして書き込む。
【0089】
一方、選択信号が「1」の場合、すなわち、相関処理部91Aの切替信号が「0」の場合、相関処理部91Aは、処理用画像メモリ902を更新せず、処理用セレクタ73により選択された描画アドレス発生部26により与えられるアドレスに従って処理用画像メモリ902から相関処理データを読み出し、セレクタ903で選択して、第1相関処理データとして表示用描画データセレクタ72に出力する。
【0090】
同時に、選択信号が「1」の場合、すなわち、相関処理部91Bの切替信号が「1」の場合、相関処理部91Bは、描画アドレス発生部26により与えられる書き込みアドレスに従って、処理用画像メモリ902から読み出した1回転前までの相関処理データと、スイープメモリ24から入力される新たな探知データとを用いてWデータ発生部901でスキャン相関処理を行う。そして、相関処理部91は、処理用画像メモリ902に新たな相関処理データを書き込むとともに、この新たな相関処理データをセレクタ903で選択して、第2相関処理データとして表示用描画データセレクタ72に出力する。
【0091】
同時に、選択信号が「1」の場合、マスク領域発生部32からのマスクデータに従って、表示用画像データセレクタ72は、入力された第1相関処理データと第2相関処理データとを選択して表示用画像メモリ61に出力する。具体的には、マスクデータが「0」ならば相関処理部91Aからの第1相関処理データを出力し、マスクデータが「1」ならば相関処理部91Bからの第2相関処理データを出力する。この表示用画像データセレクタ72が本発明の「表示画像データ選択手段」に相当する。
【0092】
描画始点設定部81は、レーダアンテナ21の設置位置と表示用画像メモリ61の描画始点との位置関係から、表示用画像メモリ61に描画する表示画像データの描画始点アドレス(Xds,Yds)を設定して、描画始点アドレス発生部82に与える。
【0093】
描画アドレス発生部82は、スイープの始点を開始番地として、始点から周辺に向かって、所定方向(例えば船首方向)を基準としたアンテナ角度θ2と、距離に基づいて記憶されたスイープメモリ14の読み出し位置r2とから、対応する直交座標系で配列された表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスを生成する。生成されたアドレスは表示用画像メモリに出力される。具体的に、描画アドレス発生部82は次式を実現するハードウェアにより構成される。
X=Xds+r2・sin(θ2) −(4A)
Y=Yds+r2・cos(θ2) −(4B)
ただし、X,Yは表示用画像メモリ61の画素を指定するアドレスであり、Xds,Ydsは前述の描画始点アドレスであり、r2はレーダアンテナ21に対応するスイープの中心からの距離であり、θ2はスイープ角度である。
【0094】
また、実際には、相関処理部に与えるスイープ角度は、アンテナ角度にコンパスデータを加算した北を基準とした角度であるのに対し、表示用画像メモリに与えるスイープ角度は、選択する表示モードによりアンテナ方位のみ(ヘッドアップ)、アンテナ方位にコンパスデータを加算(ノースアップ)等、使用目的に応じて変化させる。ここでは、表示用画像メモリのスイープ角度は、描画アドレス発生部26に与える角度と同じθ2として説明する。
【0095】
表示用画像メモリ61は、アンテナ1回転分の探知画像データを記憶する容量を備えるメモリである。表示用画像メモリ61は、選択信号が「1」の場合、表示用描画データセレクタ72からの相関処理データ(第1相関処理データまたは第2相関処理データ)を、描画アドレス発生部82で設定されたアドレスに従い、表示画像データとして書き込む。そして、表示画像データは、図示しない表示制御部により表示器10がラスター走査されるのと同期して表示用画像メモリ61から読み出されて表示器10に出力される。このように、本実施形態の構成では、マスク領域を設定しないレーダアンテナ11からの表示画像データ(相関処理データ)生成系がスレーブになり、マスク領域を設定するレーダアンテナ21からの表示画像データ(相関処理データ)生成系がマスターとなって動作する。そして、この動作により、図9に示すような表示画像データが得られる。
図9は第1相関処理データ910と第2相関データ920との領域関係を示した図である。図9において、910はスレーブとなるレーダアンテナ11から得られる第1相関処理データを示し、920はマスターとなるレーダアンテナ21から得られる第2相関処理データを示す。また、図9において、91は第1相関処理データの始点を示し、92は第2相関処理データの始点を示す。
【0096】
本実施形態の構成を用いることで、表示用画像メモリ61は、マスターとなるレーダアンテナ21に同期したスイープで更新され、マスク領域(実線ハッチング部)は第2相関処理データ920が書き込まれ、非マスク領域(点線ハッチング部)は第1相関処理データ910が書き込まれる。
【0097】
このような構成とすることでも、異なる位置に設置された2つのレーダアンテナから得られる第1相関処理データと第2相関処理データとを互いに重ならない領域に分けて単一の表示器上で合成表示することができる。特に、一方のレーダアンテナの描画許可領域を示し、且つ他方のレーダアンテナの描画禁止領域を示すマスクデータを用いて表示用画像メモリに描画するデータを選択することにより、2つのスキャン相関処理データを単一の表示器上で容易に且つ正確に合成表示することができる。
【0098】
なお、本実施形態の構成のように、2つのレーダアンテナからの探知データに基づく2つの相関処理データを合成表示する場合で、表示用画像メモリを更新するスイープ(探知データ)を生成するレーダアンテナとマスク領域を生成するレーダアンテナとが同じ場合には、マスク用画像メモリを不要とすることができる。
【0099】
なお、前述の説明では、各レーダアンテナ方向の同期について特に示していないが、レーダ映像(画像)はレーダアンテナの回転に従って更新されるため、2つのレーダアンテナが非同期に回転している場合、同じ物標の反射信号が各々のレーダアンテナで異なるタイミングで受信される。ここで、更新時間差n秒とすると、アンテナ設置位置に対して相対的に移動する物標の表示位置がn秒分異なった位置に表示される。
【0100】
具体的には、アンテナ回転数が24rpmの場合の最大更新時間差は2.5秒であるから、領域の境界線上にある移動物標の映像は、領域線の両側で各々最大2.5秒異なった位置に表示されてしまう。この場合、第1、第2の実施形態の場合は、各レーダアンテナを略同期回転させて更新時間差を少なくすることにより表示位置ずれを小さくすることができる。また、第3、第4の実施形態の場合、各レーダアンテナを略同期回転させるとともに、マスター以外のレーダアンテナの回転方向をマスターとなるレーダアンテナの回転方向よりも少し進めることにより、表示位置のずれを小さくすることができる。
【0101】
また、前述の各実施形態の構成を従来のスイッチモジュールを用いた構成に適用することで、従来のスイッチングモジュールの機能に加え、単一の表示器上に複数のアンテナによる探知映像を複数の領域に分けて表示することができる。
【0102】
また、前述の各実施形態では、マスク領域は、1つのアンテナに1つだけ設定したが、1つのアンテナに対して複数設定しても良い。
【0103】
また、前述の各実施形態ではアンテナ数は2つであるが、3つ以上の複数個のアンテナを用いても良い。例えば、N個のアンテナを用いる場合、N−1個のアンテナに対してはそれぞれにマスク画像を形成する。これにより、N個のアンテナからの複数の探知画像データを互いに重ならない領域に分けて合成表示することができる。
【0104】
また、前述の各実施形態では、探知画像データの書き込みに同期してマスク画像を書き込んだが、予めマスク画像のみを書き込むようにしてもよい。そして、マスク画像が前述の例に限らず、任意の形状に設定することができる。
【0105】
次に、第5の実施形態に係る物標探知システムについて図10、図11を参照して説明する。この第5の実施形態は、前述の第1〜第4の実施形態に示したレーダ装置の応用例を示すものである。
図10は油田の発掘装置に用いる物標探知システムの概略構成を示す平面図であり、図11は各レーダアンテナの探知範囲を示す概念図である。
【0106】
発掘装置は、平面視した状態で略正方形状のオイル塔501と、このオイル塔501を平面視した中心位置に配置された原油掘削機502とを備える。オイル塔501の各コーナには、オイル塔501の中心から各コーナを通り外方に向く方向を、水平方向の探知中心とするレーダアンテナ511,512,513,514が配置されている。レーダアンテナ511、513はオイル塔501の1つの対角に配置され、レーダアンテナ512,514はオイル塔501のもう1つの対角に配置されている。そして、各レーダアンテナ511〜514は、前記水平方向の中心に対して略270°で開口する方向のみが探知可能で、オイル塔501側の90°は構造物が障害となり探知できない領域となる。
【0107】
このような構成で、レーダアンテナ511,513のみを用いた場合、図11に示すような探知画像を合成することができる。このように、アンテナ設置位置が離れているレーダ探知画像でも、オイル塔501を中心とした全周方向に対して互いに重ならない領域521,523に分けて、正確に且つ容易に単一の表示器上で合成表示することができる。これにより、オイル塔501に近づく船舶等の物標を、設置位置が離れた複数のレーダアンテナで探知し、探知した画像データを単一の表示器上で容易に且つ正確に合成表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1の実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図2】表示画像メモリ61の描画中心とレーダアンテナ11,21のスイープ中心との関係を示した図
【図3】表示画像の設定、すなわち表示用画像メモリ61のレーダアンテナ別の領域分けの例を示した図
【図4】第2の実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図5】第3の実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図6】図5に示す相関処理部91A,91Bの概略構成を示すブロック図
【図7】第1相関処理データ910と第2相関データ920との領域関係を示した図
【図8】第4の実施形態のレーダ装置の構成を示すブロック図
【図9】第1相関処理データ910と第2相関データ920との領域関係を示した図
【図10】第5の実施形態の油田発掘装置に用いる物標探知システムの概略構成を示す平面図
【図11】各レーダアンテナの探知範囲を示す概念図
【図12】従来の一般的なレーダ装置の構成を示すブロック図
【図13】アンテナ設置位置と障害物との位置関係による探知不可能領域を示す概略図
【図14】2個のレーダアンテナ101,111を設置した場合の探知可能領域を示す概略図
【図15】スイッチモジュール303を用いて複数の探知画像を切り替えて表示するレーダ装置の概略構成を示した図
【符号の説明】
【0109】
11,21−レーダアンテナ、12,22−受信部、13,23−AD変換部、14,24−スイープメモリ、15,25,81−描画始点設定部、16,26,82−描画アドレス発生部、31−マスク領域設定部、32−マスク領域発生部、42−選択信号発生部、43−反転器、51−Wデータセレクタ、52−アドレスセレクタ、53−表示用Wデータパルス発生部、54−マスク用Wデータパルス発生部、61,61A,61B−表示用画像メモリ、62−マスク用画像メモリ、71−表示用セレクタ、72−表示用画像データセレクタ,73−処理用セレクタ、91A,91B−相関処理部、901A,901B−Wデータ発生部、902A,902B−処理用画像メモリ、903A,903B−セレクタ、501−オイル塔、502−原油掘削機、511〜514−レーダアンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに探知データを生成する探知データ生成手段と、
前記探知データ生成手段で生成される探知データ毎の描画領域を設定する描画領域設定手段と、
前記探知データ生成手段で生成される複数の探知データを、前記描画領域設定手段で設定した、探知データ毎の描画領域に基づいて、前記複数のアンテナの設置位置にそれぞれ対応する描画始点位置を基準として合成する探知データ合成手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置および類似装置。
【請求項2】
それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、
前記複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、前記各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いてアンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスを画像データ記憶手段に対して設定する複数の描画アドレス設定手段と、
特定のアンテナに対応し、該特定アンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報を用いて、特定のアンテナで得られる探知データを描画する領域を設定する特定領域設定手段と、
該特定領域設定手段により設定された特定領域に対しては前記特定のアンテナから得られた探知データをこれに対応する描画アドレス設定手段により設定された描画アドレスで前記画像データ記憶手段に書き込み、他の領域に対しては特定のアンテナ以外のアンテナから得られた探知データを対応する描画アドレス設定手段により設定された描画アドレスで前記画像データ記憶手段に書き込こむ探知データ選択手段と、
直交座標系のアドレスを備え、前記探知データ選択手段からの探知データを直交座標系の探知画像データとして記憶する画像データ記憶手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置及び類似装置。
【請求項3】
それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、
前記複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、前記各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いてアンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスをそれぞれに対応する画像データ記憶手段に対して設定する複数の描画アドレス設定手段と、
直交座標系のアドレスを備え、複数の探知データ生成手段からの探知データを、それぞれに対応する描画アドレス設定手段で設定されたアドレスに基づいて直交座標系の探知画像データとして記憶する複数の画像データ記憶手段と、
特定のアンテナに対応し、該特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報を用いて特定のアンテナで得られる探知データを選択する領域を設定する特定領域設定手段と、
特定領域設定手段により設定された領域に対しては特定のアンテナに対応する画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力し、他の領域に対しては特定のアンテナ以外のアンテナに対応する画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力する出力データ選択手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置及び類似装置。
【請求項4】
それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、
前記複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、前記各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いてアンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスを設定する複数のアドレス設定手段と、
該複数の描画アドレス設定手段により設定される各描画アドレスを選択して、描画アドレスまたは読出アドレスとして複数の画像データ記憶手段に与えるアドレス選択手段と、
それぞれに対応する探知データ生成手段からの探知データを相関処理し、アドレス選択手段で設定されたアドレスに基づいて直交座標系の相関処理データとして記憶する複数の相関処理手段と、
特定のアンテナに対応し、該特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報を用いて特定のアンテナで得られる探知データを選択する領域を設定する特定領域設定手段と、
予め設定された1つのアンテナから得られる描画アドレスに従って、複数の相関処理手段から出力された相関処理データに対して、特定領域設定手段により設定された領域では特定のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して表示画像データ記憶手段に出力し、他の領域では特定のアンテナ以外のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して前記表示画像データ記憶手段に出力する表示画像データ選択手段と、
設定される表示座標系に応じて表示画像データを記憶する表示画像データ記憶手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置および類似装置。
【請求項1】
それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに探知データを生成する探知データ生成手段と、
前記探知データ生成手段で生成される探知データ毎の描画領域を設定する描画領域設定手段と、
前記探知データ生成手段で生成される複数の探知データを、前記描画領域設定手段で設定した、探知データ毎の描画領域に基づいて、前記複数のアンテナの設置位置にそれぞれ対応する描画始点位置を基準として合成する探知データ合成手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置および類似装置。
【請求項2】
それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、
前記複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、前記各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いてアンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスを画像データ記憶手段に対して設定する複数の描画アドレス設定手段と、
特定のアンテナに対応し、該特定アンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報を用いて、特定のアンテナで得られる探知データを描画する領域を設定する特定領域設定手段と、
該特定領域設定手段により設定された特定領域に対しては前記特定のアンテナから得られた探知データをこれに対応する描画アドレス設定手段により設定された描画アドレスで前記画像データ記憶手段に書き込み、他の領域に対しては特定のアンテナ以外のアンテナから得られた探知データを対応する描画アドレス設定手段により設定された描画アドレスで前記画像データ記憶手段に書き込こむ探知データ選択手段と、
直交座標系のアドレスを備え、前記探知データ選択手段からの探知データを直交座標系の探知画像データとして記憶する画像データ記憶手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置及び類似装置。
【請求項3】
それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、
前記複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、前記各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いてアンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスをそれぞれに対応する画像データ記憶手段に対して設定する複数の描画アドレス設定手段と、
直交座標系のアドレスを備え、複数の探知データ生成手段からの探知データを、それぞれに対応する描画アドレス設定手段で設定されたアドレスに基づいて直交座標系の探知画像データとして記憶する複数の画像データ記憶手段と、
特定のアンテナに対応し、該特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報を用いて特定のアンテナで得られる探知データを選択する領域を設定する特定領域設定手段と、
特定領域設定手段により設定された領域に対しては特定のアンテナに対応する画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力し、他の領域に対しては特定のアンテナ以外のアンテナに対応する画像データ記憶手段からの探知画像データを選択して出力する出力データ選択手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置及び類似装置。
【請求項4】
それぞれ異なる位置に配置された複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの探知信号を用いてそれぞれに極座標系の探知データを生成する複数の探知データ生成手段と、
前記複数のアンテナ毎に対応し、各アンテナからの方位情報と、前記各アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報とを用いてアンテナ相対位置に対応した直交座標系の描画アドレスを設定する複数のアドレス設定手段と、
該複数の描画アドレス設定手段により設定される各描画アドレスを選択して、描画アドレスまたは読出アドレスとして複数の画像データ記憶手段に与えるアドレス選択手段と、
それぞれに対応する探知データ生成手段からの探知データを相関処理し、アドレス選択手段で設定されたアドレスに基づいて直交座標系の相関処理データとして記憶する複数の相関処理手段と、
特定のアンテナに対応し、該特定のアンテナからの方位情報と、該特定アンテナの設置位置に対応した描画始点位置情報と、描画始点から描画位置までの距離情報を用いて特定のアンテナで得られる探知データを選択する領域を設定する特定領域設定手段と、
予め設定された1つのアンテナから得られる描画アドレスに従って、複数の相関処理手段から出力された相関処理データに対して、特定領域設定手段により設定された領域では特定のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して表示画像データ記憶手段に出力し、他の領域では特定のアンテナ以外のアンテナに対応する相関処理手段からの相関処理データを選択して前記表示画像データ記憶手段に出力する表示画像データ選択手段と、
設定される表示座標系に応じて表示画像データを記憶する表示画像データ記憶手段と、
を備えたことを特徴とするレーダ装置および類似装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−300722(P2006−300722A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−122683(P2005−122683)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
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