説明

ロータリ直列型弾性アクチュエータ

【課題】器用な人間型ロボット用の上腕アセンブリを作動させるためのロータリアクチュエータアセンブリを提供すること。
【解決手段】人間型ロボットのための上腕アセンブリは、それぞれが軸を画定する複数の腕サポートフレームを備える。複数のロータリアクチュエータアセンブリがそれぞれ、各軸を中心として複数の腕サポートフレームの中の1つに設置される。各ロータリアクチュエータアセンブリは、各軸を中心として設置されたモータと、モータに回転可能に連結されたギアドライブと、ねじりばねとを備える。ねじりばねは、ギアドライブの出力部に回転可能に連結されたばね入力部と、関節のための出力部に連結されたばね出力部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府の支援を受けた研究または開発に関する陳述)
[0001] 本発明は、NASA宇宙活動協定(NASA Space Act Agreement)第SAA−AT−07−003号の下において政府支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
【0002】
[0002] 本発明は、人間型ロボットの動作制御に関し、より詳細には、人間型ロボットの上腕のための作動システムおよびパッケージングに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] ロボットは、関節部またはモータ駆動型ロボット関節を介して相互連結される一連の剛体リンクを使用して、物体を操作することが可能な、自動型デバイスである。典型的なロボットにおける各関節は、自由度(DOF: degree of freedom)とも呼ばれる、独立した制御変数を呈する。エンドエフェクタは、例えば作業工具または物体を把持するなど、手元の作業を実施するために使用される特定のリンクである。したがって、ロボットの正確な動作制御は、タスクレベルの指定により調整され得て、すなわち、物体レベル制御(すなわちロボットの片手または両手の中に保持された物体の挙動を制御する能力)、エンドエフェクタ制御、および関節レベル制御によって、調整され得る。集合的に、種々の制御レベルが協働して、所要のロボット動作性、器用さ、および作業タスク関連機能性を達成する。
【0004】
[0004] 人間型ロボットは、とりわけ、全身、胴部、および/または付属物であるか否かに関わらず、ほぼ人間の構造または外観を有するロボットであり、人間型ロボットの構造的複雑さは、実施される作業タスクの性質に大きく左右される。人間型ロボットの使用は、特に人間が使用するように作製されたデバイスまたはシステムと直接的に相互にやり取りすることが必要な場合に、好ましい場合がある。幅広い範囲の作業タスクが人間型ロボットに期待され得ることにより、異なる制御モードが、同時に必要とされる場合がある。例えば、正確な制御が、加えられるトルクまたは力、動作、および種々の把持タイプに対する制御と並び、上述の様々な空間内において与えられなければならない。
【0005】
[0005] 人間の動作に近づけるために、ロボット内の各関節は、DOFごとに少なくとも1つのアクチュエータを要する。さらに、これらのアクチュエータは、人間の構造および外観にほぼ相当する構成体の中にパッケージングされなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] したがって、本明細書においては、器用な人間型ロボット用の上腕アセンブリを作動させるためのロータリアクチュエータアセンブリが、提示される。このロータリアクチュエータアセンブリは、軸を画定するサポートフレームと、サポートフレーム内においてこの軸を中心として設置されるモータとを備える。ギアドライブが、モータに回転可能に連結され、さらに、軸を中心としてサポートフレーム内に設置される。ねじりばねが、ばね入力部とばね出力部とを備える。ばね入力部は、ギアドライブの出力部に回転可能に連結され、ばね出力部は、関節出力部に連結される。ねじりばねは、サポートフレーム内に設置される。
【0007】
[0007] 人間型ロボットのための上腕アセンブリは、それぞれが軸を画定する複数の腕サポートフレームを備える。複数のロータリアクチュエータアセンブリがそれぞれ、各軸を中心として複数の腕サポートフレームの中の1つに設置される。各ロータリアクチュエータアセンブリは、モータと、モータに回転可能に連結されたギアドライブと、ねじりばねとを備える。ねじりばねは、ギアドライブの出力部に回転可能に連結されたばね入力部と、アクチュエータアセンブリのための出力部に連結されたばね出力部とを有する。
【0008】
[0008] 添付の図面と関連させて理解することにより、本発明を実施するための最良の形態の以下の詳細な説明から、本発明の上述の特徴および利点ならびに他の特徴および利点が、容易に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
[0009]
【図1】本発明による器用な人間型ロボットの概略斜視図である。 [0010]
【図2】図1の器用な人間型ロボット用の上腕の概略斜視図である。 [0011]
【図3】図1および図2の器用な人間型ロボット用の上腕の1つの関節のためのサポートフレームおよびロータリアクチュエータアセンブリの概略斜視図である。 [0012]
【図4】図1から図3の器用な人間型ロボットの上腕のためのロータリアクチュエータアセンブリの概略斜視図である。 [0013]
【図5】図1から図4の器用な人間型ロボットのためのロータリ直列型弾性アクチュエータアセンブリの概略断面図である。 [0014]
【図6】図1から図5の器用な人間型ロボット用のロータリアクチュエータアセンブリのためのモータおよびブレーキの概略断面図である。 [0015]
【図7】図1から図6の器用な人間型ロボット用のロータリアクチュエータアセンブリのための回転位置センサの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016] 同様の参照番号が複数の図面にわたって同一または類似の構成要素を指す図面を参照すると、図1は、多自由度(DOF)により1つまたは複数のタスクを実施するように適合化された器用な人間型ロボット10を示す。
【0011】
[0017] この人間型ロボット10は、頭部12、胴部14、腰部15、腕16、手18、指19、および親指21を備えてよく、それらの中またはそれらの間に、多様な関節が配設される。さらに、ロボット10は、脚部、トレッド、または、ロボットの特定の用途もしくは意図される用途に応じた別の可動式または固定式ベースなどの、タスクに適した固定具またはベース(図示せず)を備えてもよい。例えば胴部14の背の上に担持または着用される再充電式電池パックまたは別の適切なエネルギー供給部などの電源部13が、様々な関節を作動させるように様々な関節に十分な電気エネルギーを供給するために、ロボット10に一体的に設置されてよい。
【0012】
[0018] 一実施形態によれば、ロボット10は、肩関節アセンブリ(矢印A)、肘関節アセンブリ(矢印B)、手首関節アセンブリ(矢印C)、首関節アセンブリ(矢印D)、および腰部関節アセンブリ(矢印E)、さらには各ロボット指19の指骨間に位置する様々な指関節アセンブリ(番号を付されず)などの(それらに限定されない)、複数の独立的に可動なロボット関節および相互依存的に可動なロボット関節によって、構成される。
【0013】
[0019] 各ロボット関節は、1つまたは複数のDOFを有し得る。例えば、肩関節アセンブリ(矢印A)および肘関節アセンブリ(矢印B)などのいくつかの関節は、ピッチおよびロールの形式の少なくとも2つのDOFを有し得る。同様に、首関節アセンブリ(矢印D)は、少なくとも3つのDOFを有することができ、腰部アセンブリおよび手首アセンブリ(それぞれ矢印EおよびC)は、1つまたは複数のDOFを有し得る。タスクの複雑性に応じて、ロボット10は、40以上のDOFによる動作が可能である。単純化のため図1には図示されないが、各ロボット関節は、例えば関節モータ、リニアアクチュエータ、およびロータリアクチュエータ等々の、1つまたは複数のアクチュエータを含み、この1つまたは複数のアクチュエータにより駆動される。
【0014】
[0020] 腕16は、上腕22および下腕(または前腕)24に区分される。上腕22は、肩関節アセンブリ(矢印A)から肘関節アセンブリ(矢印B)まで延在する。肘関節アセンブリ(矢印B)から延在するのは、下腕24、手18、指19、および親指21である。単純化のため、本明細書において説明されるように、上方は頭部12の方向であり、下方は腰部15の方向である。ロボット10は、人間の形を模するように意図されるため、例えば上腕22、下腕24、および手18等々を含む腕16などの様々な四肢は、対称的であり、左側および右側の両側に同一の対称的な骨格構造を基本的に備えることが、当業者には理解されよう。したがって、図1のように正面から見た場合に、右腕16および右手18は、実際には図面の左側に位置することになる。
【0015】
[0021] 図2を参照すると、上腕22が図示されている。複数の腕16に対して一方の上腕22のみが図示されているが、左腕および右腕16は共に、以下に説明するように同一の態様で作動する。上腕22は、第1のDOFを実現する第1の肩関節S1、第2のDOFを実現する第2の肩関節S2、および第3の自由度を実現する第3の肩関節S3を含む、肩関節アセンブリ(矢印A)を有する。第1から第3の肩関節S1、S2、S3は共に、人間の肩が行なうことが可能な動作に相当する動作を行なう。具体的には、第1の肩軸A1を中心とした第1の肩関節S1の回転により、第2の肩関節S2に関する第2の肩軸A2が、所望の位置へと移動する。第1の肩関節S1の位置に基づき、次いで、第2の肩軸A2を中心とする第2の肩関節S2の回転により、腕16が、胴部14に対して上下に、または胴部14もしくはそのある組合せに対して前後に移動する。第3の肩関節S3は、第3の肩軸A3を中心として上腕22を回転させる。第3の肩関節S3の回転により、上腕22は、軸方向に回転し、すなわち、第3の肩関節S3の回転により、肘関節アセンブリ(矢印B)が回転されて、上方または下方に向けられる。したがって、第1の肩関節S1、第2の肩関節S2、および第3の肩関節S3が共に、肩関節アセンブリ(矢印A)の動作を形成する。
【0016】
[0022] さらに、上腕22は、第1の肘関節L1および第2の肘関節L2を含む肘関節アセンブリ(矢印B)を備える。第1の肘関節L1および第2の肘関節L2はそれぞれ、1自由度を実現する。第1の肘関節L1および第2の肘関節L2が共に、人間の肘および前腕が行なうことが可能な動作に相当する動作を行なう。第1の肘軸B1を中心とする第1の肘関節L1の回転により、肘関節アセンブリ(矢印B)の下方の上腕22が、屈曲する、および直線状になる。さらに、第2の肘軸B2を中心とする第2の肘関節L2の回転により、肘関節アセンブリ(矢印B)の下方の上腕22が、軸方向に回転し、すなわち、第2の肘軸B2を中心とする第2の肘関節L2の回転により、下腕24および手18(図1)が回転されて、手のひらが上方または下方に向けられる。
【0017】
[0023] 上腕関節S1、S2、S3、L1、L2はそれぞれ、同様の態様にて作動するが、図示されるように異なる方向に配向されて、それぞれそれらの特定の軸A1、A2、A3、B1、B2を中心として回転する。上腕関節S1、S2、S3、L1、L2はそれぞれ、ロータリ直列型弾性アクチュエータアセンブリ26を備える。上腕関節S1、S2、S3、L1、L2のそれぞれのためのロータリ直列型弾性アクチュエータアセンブリ26は、その関節におけるパッケージング、トルク、および動力要件にしたがって寸法設定され得る。図示される実施形態においては、第1の肩関節S1および第2の肩関節S2は、互いに同一のサイズおよび性能であり、第3の肩関節S3および第1の肘関節L1は、互いに同一のサイズおよび性能であり、第2の肘関節L2は、別のサイズおよび性能である。アクチュエータアセンブリ26を含む腕16のためのパッケージングは、腕の重量全体が、腕が対応し得るペイロード未満となるようなものとなされる。
【0018】
[0024] 以下において説明されるように、上腕関節S1、S2、S3、L1、L2はそれぞれ、それらの各軸A1、A2、A3、B1、B2を中心として時計回り方向または反時計回り方向のいずれかの方向に回転することによって、作動することが可能である。さらに、腰部関節アセンブリ(矢印E)が、ロータリ直列型弾性アクチュエータアセンブリ26を備えてもよく、本明細書において説明されるのと同一の態様において作動してよい。
【0019】
[0025] 図3および図4を参照すると、第3の肩関節S3のためのアクチュエータアセンブリ26が、図示されている。アクチュエータ26の作動が、第3の肩関節S3に関連して説明されるが、他の上腕関節S1、S2、L1、L2のそれぞれおよび腰部関節アセンブリ(矢印E)のためのアクチュエータ26が、同様の態様において作動する。
【0020】
[0026] アクチュエータアセンブリ26は、モータ28、ギアドライブ30、およびばね32を備える。第1の絶対位置センサ(APS: absolute position sensor)34および第2のAPS36が、ギアドライブ30とばね32との間に配置される。アクチュエータアセンブリ26は、第1の腕サポートフレーム40の上に支持される。トルクは、アクチュエータアセンブリ26を介していずれかの方向に伝達され得る。したがって、説明のために、関節「出力部」を、アクチュエータアセンブリ26のばね32の端部と呼ぶ。第1の腕サポートフレーム40が、関節の「固定」部分として説明され、ばね32における関節「出力部」が、アクチュエータアセンブリ26の「回転」部分として説明される。しかし、実際には、関節「出力部」を固定的に保持することが可能であり、アクチュエータアセンブリ26による相対回転により関節「入力部」を回転させることが可能である。図示される実施形態においては、第3の肩関節について関節「出力部」を固定的に保持することにより、第1の腕サポートフレーム40は、肘関節アセンブリ(矢印B)を回転および移動させて、上方または下方に向かせる。
【0021】
[0027] 第1の腕サポートフレーム40は、アクチュエータアセンブリ26の入力部側38に対して剛体的に固定される。第2の腕サポートフレーム44は、アクチュエータアセンブリ26の出力部側42に対して回転可能に連結される。第1の腕サポートフレーム40および第2の腕サポートフレーム44は、第3の肩関節S3が作動する際に互いに対して回転する。第3の肩関節S3のための入力部側38を支持することに加えて、第1の腕サポートフレーム40は、さらに、第1の肘関節L1のための入力部46を支持し、回転可能な第2の腕フレーム部分44は、第2の肩関節S2のための出力部48に連結される。
【0022】
[0028] 空洞部50が、第1の腕サポートフレーム40によって画成される。この空洞部50は、回路基板と、第3の肩関節S3および第1の肘関節L1のための配線(図示せず)とのために使用される。トルクは、いずれかの方向(入力部から出力部へ、または出力部から入力部へ)にアクチュエータ26を介して伝達され得るため、アクチュエータアセンブリ26の配向は、いずれかの方向になされ得る。したがって、隣同士に配置される関節(図示される実施形態においては、第3の肩関節S3および第1の肘関節L1)は、対向する関節入力部38および46を有するように構成されてよい。この態様においては、回路、および多数の関節(第3の肩関節S3および第1の肘関節L1)のための配線は、1つの空洞部50内に容易に配置され得る。同様に、第2の肩関節S2は、第3の肩関節S3に対向する出力部分(すなわち関節のばね32端部)と、第1の肩関節S1に対向する入力部分とを有することになる。回路と、第1の肩関節S1および第2の肩関節S2のための配線とは、第2の腕サポートフレーム44(図2に図示される)によって画成される空洞部51内に配置される。
【0023】
[0029] ばね32は、少なくとも1つのハードストップ33を含む平坦状ねじりばねである。ハードストップ33は、ばね32の可能な反りを制限して、ばね32の塑性変形を防ぐ。図示される実施形態においては、ハードストップ33により最大で5度のばねの反りが可能となる。ばねの反りは、腕16の重量、または環境内の物体20(図1に図示される)から入力される力によって、生じ得る。ばね入力部76が、ばね32のための内方ボルト穴に位置し、ばね出力部78が、ばね32のための外方ボルト穴に位置する。
【0024】
[0030] 図5は、アクチュエータアセンブリ26の断面概略図である。アクチュエータアセンブリ26は、第3の肩軸A3の周囲に設置される。チューブ53が、第3の肩軸A3を中心として同心状に配置される内部ワイヤチャネル52を画成する。内部ワイヤチャネル52により、肩関節S3およびそれに続く関節のための配線が、アクチュエータアセンブリ26を貫通して空洞部50(図3に図示される)内に送られることが可能となる。
【0025】
[0031] 上述のように、アクチュエータアセンブリ26は、モータ28、ギアドライブ30、およびばね32を備える。モータ28は、アクチュエータアセンブリ26およびモータ28のために必要なパッケージング区域を縮小するためにモータ28内に配置されたブレーキ54を有する。モータ28は、ステータ56およびロータ58を備える。ステータは、固定式モータサポート60により第1の腕サポートフレーム40に固定される。ロータ58は、ロータサポート62により回転可能に支持され、中心に配置される。モータ出力部64は、ロータ58を、ギアドライブ30のためのギアドライブ入力部66に連結させる。複数のモータ軸受68が、第1の腕サポートフレーム40に対するロータ58、ロータサポート62、モータ出力部64、およびギアドライブ入力部66の回転を補助する。
【0026】
[0032] ギアドライブ30は、好ましくは、ハーモニックドライブギアセットである。ギアドライブ30は、ギアドライブ入力部66、ギアドライブ出力部70、および固定スプライン72を備える。ギアドライブの固定スプライン72は、第1の腕サポートフレーム40に剛体的に固定される。ギアドライブ出力部70は、ばね入力部76に固定されるギアドライブ出力シャフト74に固定される。ギアドライブ出力シャフト74からのトルクは、ばね入力部76を介してばね出力部78に伝達される。ばね出力部78は、関節出力部80に装着される。関節出力部80は、第2の肩関節S2のための出力部48に連結されて(図示せず)、第3の肩関節S3から第2の肩関節S2にトルクを伝達する。
【0027】
[0033] 出力部軸受82が、関節出力部80と第1の腕サポートフレーム40との間に配置されて、関節出力部80と第1の腕サポートフレーム40との間の相対回転を可能にする。軸受保持具84が、第1の腕サポートフレーム40にクランプ留めされてよく、それにより、第1の腕サポートフレーム40に対する軸受82の固定が補助される。
【0028】
[0034] 図5に戻って参照すると、第1のAPS34および第2のAPS36が、アクチュエータアセンブリ26の相対移動を感知する。第1のAPS34は、第1の固定部分86および第1の回転部分88を含む。第1の固定部分86は、サポート90により第1の腕サポートフレーム40に装着され、第1の回転部分88は、ギアドライブ出力シャフト74に装着される。第1のAPS34は、第1の固定部分86と第1の回転部分88との相対位置に基づいて、ギアドライブ30の位置を感知する。
【0029】
[0035] 同様に、第2のAPS36は、第2の固定部分92および第2の回転部分94を含む。第2の固定部分94は、サポート90を介して第1の腕サポートフレーム40に装着される。第2の回転部分94は、関節出力部80に装着される。第2のAPS36は、第2の固定部分92と第2の回転部分94との相対位置に基づいて第3の肩関節S3の出力部の位置を感知する。さらに、第1のAPS34と第2のAPS36との間の差を計算することにより、ばね32の反りを判定することが可能となる。ばね32の反りにばね定数を乗じることにより、第3の肩関節S3が被るトルクを算出することが可能となる。第1のAPS34および第2のAPS36により、アクチュエータアセンブリ26のトルク測定値を厳密に判定するための高い測定分解能が実現される。さらに、トルク測定値を出すために2つのAPSを使用することにより、アクチュエータアセンブリ26は、所望の位置にアクチュエータ出力部を移動させる際に、ばね32の反りに対応することが可能となる。
【0030】
[0036] 図6は、モータ28の概略断面図である。モータ28は、ステータ56およびロータ58を含む。ブレーキ54は、ブレーキコイル96およびブレーキパッド98を含む。モータ28は、概して環状形状を有し、第3の肩軸A3の周囲に設置される。モータステータ56およびロータ58は、モータ28とワイヤチャネル52との間にブレーキ54が配置可能となるのに十分な大きさの内径を有する。
【0031】
[0037] さらに、モータ28は、第1の温度センサ100を備え、ブレーキ54は、第2の温度センサ102を備え、それにより、モータ28およびブレーキ54の過熱を防ぐように、モータ28およびブレーキ54の温度条件が検出される。
【0032】
[0038] 図7は、回転位置センサ104を図示する。この回転位置センサ104は、好ましくは、モータ28およびブレーキ54に隣接して、第3の肩軸A3を中心として同心状に配置された位置エンコーダである。回転位置センサ104は、第1の腕サポートフレーム40に設置される第1の固定部分106と、ロータ58と共に回転する第2の回転部分108とを含む。第1の固定部分106は、相対的な第2の回転部分108の移動を測定する。このような態様において、回転位置センサ104は、第3の肩関節S3のロータ58の回転位置を判定する役割を果たす。これにより、ギアドライブ30、またはロータ58と第1のAPS34との間の他のドライブ列構成要素において観察される、反りの測定および補償が可能となる。第1のAPS34(図4および図5に図示される)、第2のAPS36(図4および図5に図示される)、および回転位置センサ104からの情報は、追加的な安全対策として、互いに比較することが可能である。第1のAPS34、第2のAPS36、および回転位置センサ104の予期値間において不一致が検出される場合には、関節は、第3の肩関節S3を損傷から守るために、移動を防止することができる。
【0033】
[0039] したがって、第1のAPS34、第2のAPS36、第1の温度センサ100、第2の温度センサ102、および回転位置センサ104を含む5つのセンサが、アクチュエータアセンブリ26内にパッケージングされ、アクチュエータアセンブリ26によって利用される。
【0034】
[0040] 本発明を実施するための最良の実施形態を詳細に説明したが、この発明が関係する技術の当業者には、添付の特許請求の範囲内において本発明を実施するための様々な代替の設計および実施形態が認識されよう。
【符号の説明】
【0035】
10 人間型ロボット
12 頭部
13 電源部
14 胴部
15 腰部
16 腕
18 手
19 指
20 物体
21 親指
22 上腕
24 下腕
A 肩関節アセンブリ
B 肘関節アセンブリ
C 手首関節アセンブリ
D 首関節アセンブリ
E 腰部関節アセンブリ
F 指関節アセンブリ
A1 第1の肩軸
A2 第2の肩軸
A3 第3の肩軸
S1 第1の肩関節
S2 第2の肩関節
S3 第3の肩関節
B1 第1の肘軸
B2 第2の肘軸
L1 第1の肘関節
L2 第2の肘関節
26 ロータリ直列型弾性アクチュエータアセンブリ
28 モータ
30 ギアドライブ
32 ばね
33 ハードストップ
34 第1の絶対位置センサ
36 第2の絶対位置センサ
38 入力部側
40 第1の腕サポートフレーム
42 出力部側
44 第2の腕サポートフレーム
46 入力部
48 出力部
50 空洞部
51 空洞部
52 内部ワイヤチャネル
53 チューブ
54 ブレーキ
56 ステータ
58 ロータ
60 固定式ロータサポート
62 ロータサポート
64 モータ出力部
66 ギアドライブ入力部
68 モータ軸受
70 ギアドライブ出力部
72 固定スプライン
74 ギアドライブ出力シャフト
76 ばね入力部
78 ばね出力部
80 関節出力部
82 出力部軸受
84 軸受保持具
86 第1の固定部分
88 第1の回転部分
90 サポート
92 第2の固定部分
94 第2の回転部分
96 ブレーキコイル
98 ブレーキパッド
100 第1の温度センサ
102 第2の温度センサ
104 回転位置センサ
106 第1の固定部分
108 第2の回転部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を画定する概して円形のサポートフレームと、
前記サポートフレーム内において前記軸を中心として設置されるモータと、
前記モータに回転可能に連結され、前記軸を中心として前記サポートフレーム内に設置される、ギアドライブと、
ばね入力部およびばね出力部を有するねじりばねであって、前記ばね入力部は、前記ギアドライブの出力部に回転可能に連結され、前記ねじりばねは、前記サポートフレーム内に設置される、ねじりばねと、
前記ばね出力部に連結される関節出力部と
を備える、ロータリアクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
第1の固定部分および第1の回転部分を有する第1の絶対位置センサと、
第2の固定部分および第2の回転部分を有する第2の絶対位置センサと
をさらに備え、
前記第1の固定部分および前記第2の固定部分は、前記サポートフレームに固定され、
前記第1の回転部分は、前記サポートフレームに対する前記ギアドライブ出力部の回転位置を感知するように、前記ギアドライブの前記出力部に固定され、
前記第2の回転部分は、前記サポートフレームに対する前記関節出力部の回転位置を感知するように、前記ばね出力部に固定され、
前記第1の回転部分と前記第2の回転部分との位置における差が、前記ねじりばねの反りの量である、請求項1に記載のロータリアクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
前記サポートフレーム内において前記軸を中心として設置されるブレーキ
をさらに備え、
前記モータは、概して環状形状を有し、
前記ブレーキの少なくとも一部分が、前記モータと前記軸との間の環状開口部内に位置決めされる、請求項1に記載のロータリアクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
チューブが、前記軸に沿って前記サポートフレーム内に設置され、前記チューブは、前記サポートフレーム内に中央に配置されたワイヤチャネルを画成する、請求項1に記載のロータリアクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記モータ内に配置される第1の温度センサと、
前記ブレーキ内に配置される第2の温度センサと、
前記モータ出力部の回転位置を測定するために前記フレームサポートに設置された回転センサと
をさらに備える、請求項1に記載のロータリアクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記ねじりばねは、前記回転アクチュエータアセンブリの回転反りを制限する少なくとも1つのハードストップを備える、請求項1に記載のロータリアクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
人間型ロボットのためのロータリジョイントアセンブリであって、
軸を画定する概して円形の腕サポートフレームと、
前記軸を中心として前記サポートフレーム内に設置されるロータリアクチュエータアセンブリとを備え、前記ロータリアクチュエータアセンブリは、
前記軸を中心として設置されたモータと、
前記モータに回転可能に連結されたギアドライブと、
ばね入力部およびばね出力部を有するねじりばねであって、前記ばね入力部は、前記ギアドライブの出力部に回転可能に連結される、ねじりばねと
を備える、ロータリジョイントアセンブリ。
【請求項8】
第1の固定部分および第1の回転部分を有する第1の絶対位置センサと、
第2の固定部分および第2の回転部分を有する第2の絶対位置センサと
をさらに備え、
前記第1の固定部分および前記第2の固定部分は、前記腕サポートフレームに固定され、
前記第1の回転部分は、前記腕サポートフレームに対する前記ギアドライブ出力部の回転位置を感知するように、前記ギアドライブの前記出力部に固定され、
前記第2の回転部分は、前記腕サポートフレームに対する前記関節出力部の回転位置を感知するように、前記ばね出力部に固定され、
前記第1の回転部分と前記第2の回転部分との位置における差が、前記ねじりばねの反りの量である、請求項7に記載のロータリジョイントアセンブリ。
【請求項9】
前記サポートフレーム内において前記軸を中心として設置されるブレーキ
をさらに備え、
前記モータは、概して環状形状を有し、
前記ブレーキの少なくとも一部分が、前記モータと前記軸との間の環状開口部内に位置決めされる、請求項7に記載のロータリジョイントアセンブリ。
【請求項10】
チューブが、前記軸に沿って前記サポートフレーム内に設置され、前記チューブは、前記サポートフレーム内に中央に配置されたワイヤチャネルを画成する、請求項7に記載のロータリジョイントアセンブリ。
【請求項11】
前記モータ内に配置される第1の温度センサと、
前記ブレーキ内に配置される第2の温度センサと、
前記モータ出力の回転位置を測定するために前記フレームサポートに設置される回転センサと
をさらに備える、請求項7に記載のロータリジョイントアセンブリ。
【請求項12】
前記ねじりばねは、前記ロータリアクチュエータアセンブリの回転反りを制限するための少なくとも1つのハードストップを備える、請求項7に記載のロータリジョイントアセンブリ。
【請求項13】
人間型ロボットのための上腕アセンブリであって、
それぞれが軸を画定する複数の円形腕サポートフレームと、
それぞれが前記各軸を中心として前記複数の腕サポートフレームの中の1つに設置される、複数のロータリアクチュエータアセンブリと
を備え、各ロータリアクチュエータアセンブリは、
前記各軸を中心として設置されるモータと、
前記モータに回転可能に連結されるギアドライブと、
ばね入力部およびばね出力部を有するねじりばねと
を備え、前記ばね入力部は、前記ギアドライブの出力部に回転可能に連結され、前記ばね出力部は、前記関節の出力部に連結される、上腕アセンブリ。
【請求項14】
前記複数のロータリアクチュエータアセンブリはそれぞれ、前記ロータアクチュエータアセンブリのモータ側のアクチュエータ入力部と、前記ロータアクチュエータアセンブリのばね側のアクチュエータ出力部とを画成し、前記複数のロータリアクチュエータアセンブリはそれぞれ、前記アクチュエータ入力部から前記アクチュエータ出力部に、および前記アクチュエータ出力部から前記アクチュエータ入力部に、トルクを伝達することが可能である、請求項13に記載の上腕アセンブリ。
【請求項15】
前記複数のロータリアクチュエータアセンブリは、
第1の入力部および第1の出力部を有する第1のロータリアクチュエータアセンブリと、
第2の入力部および第2の出力部を有する第2のロータリアクチュエータアセンブリであって、前記第1の入力部は、前記第2の入力部に連結される、第2のロータリアクチュエータアセンブリと、
第3の入力部および第3の出力部を有する第3のロータリアクチュエータアセンブリであって、前記第3の出力部は、前記第2の出力部に連結される、第3のロータリアクチュエータアセンブリと、
第4の入力部および第4の出力部を有する第4のロータリアクチュエータアセンブリであって、前記第4の入力部は、前記第3の入力部に連結される、第4のロータリアクチュエータアセンブリと、
第5の入力部および第5の出力部を有する第5のロータリアクチュエータアセンブリであって、第5の入力部は、第4の出力部に連結される、第5のロータリアクチュエータアセンブリと
をさらに備える、請求項14に記載の上腕アセンブリ。
【請求項16】
前記第1のロータリアクチュエータアセンブリおよび前記第2のロータリアクチュエータアセンブリを支持するための、第1の腕サポートフレームと、
前記第3のロータリアクチュエータアセンブリおよび前記第4のロータリアクチュエータアセンブリを支持するための、第2の腕サポートフレームと、
前記第4のロータリアクチュエータアセンブリを支持するための、第3の腕サポートフレームと
をさらに備える、請求項15に記載の上腕アセンブリ。
【請求項17】
前記第1の腕フレームサポートは、第1の空洞部を画成し、前記第1のロータリアクチュエータアセンブリのための少なくとも1つの配線構成要素と、前記第2のロータリアクチュエータアセンブリのための少なくとも1つの配線構成要素とが、前記第1の空洞部内に配置され、前記第2の腕フレームサポートは、第2の空洞部を画成し、前記第3のロータリアクチュエータアセンブリのための少なくとも1つの配線構成要素と、前記第4のロータリアクチュエータアセンブリのための少なくとも1つの配線構成要素とが、前記第2の空洞部内に配置される、請求項15に記載の上腕アセンブリ。
【請求項18】
複数のロータリアクチュエータアセンブリのそれぞれが、
第1の固定部分および第1の回転部分を有する第1の絶対位置センサと、
第2の固定部分および第2の回転部分を有する第2の絶対位置センサと
をさらに備え、
前記第1の固定部分および前記第2の固定部分は、前記腕サポートフレームに固定され、
前記代1の回転部分は、前記腕サポートフレームに対する前記ギアドライブ出力部の回転位置を感知するように、前記ギアドライブの出力部に固定され、
前記第2の回転部分は、前記腕サポートフレームに対する前記関節出力部の回転位置を感知するように、前記ばね出力部に固定され、
前記第1の回転部分と前記第2の回転部分との位置における差が、前記ねじりばねの反りの量である、請求項13に記載の上腕アセンブリ。
【請求項19】
前記上腕アセンブリの重量は、前記上腕アセンブリが対応し得る重量未満である、請求項13に記載の上腕アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−72186(P2011−72186A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−209094(P2010−209094)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(505212049)ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・インコーポレーテッド (221)
【出願人】(510149563)ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ・アズ・リプレゼンテッド・バイ・ジ・アドミニストレーター・オブ・ザ・ナショナル・エアロノーティクス・アンド・スペース・アドミニストレーション (27)
【Fターム(参考)】