説明

ローラ式ロッカーアーム構造

【課題】カムローラを備えたローラ式ロッカーアームの構造において、ロッカーアームの剛性を向上させると共に軽量化を図る。
【解決手段】ローラ式ロッカーアーム17におけるカムローラ17cを回転自在に支持する支持壁41,42は、前記カムローラ17cを挟んで支持するように一対で構成され、これら各支持壁41,42の下部はバルブ押圧部17dを介して互いに連結され、該バルブ押圧部17dと前記カムローラ17cとの間には前記各支持壁41,42を互いに連結する補強部45が設けられ、前記アーム部17bは、前記各支持壁41,42の何れか一方(支持壁42)と前記基部17aとを互いに連結するように単一で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内燃機関のローラ式ロッカーアーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スライド式ロッカーアームを用いた可変動弁機構において、前記ロッカーアームにおけるカムローラのシャフトを支持する左右一対の支持部を、吸排気弁を押圧するバルブ押圧部にて相互に連結し、これら左右支持部をロッカーアームシャフトへ回転自在に支持する支持ボス部にそれぞれ連結したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、特にこのような動弁機構においては、ロッカーアームについてシャフト軸方向での幅寸法が大きくなるが、動弁機構をコンパクトにしたいという要求から前記幅寸法についても小型化の必要があり、その解決手段の一つとして、例えば特許文献2に開示されるように、カムローラを支持する一対の支持部の内、一方の支持部を廃止して小型化を図ったものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−20710号公報
【特許文献2】特許第4148608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記後者の場合、ロッカーアームの剛性が低下する虞があることから、強度不足を解決する工夫が必要であり、小型化と剛性確保の両立が課題であった。
【0005】
そこでこの発明は、カムローラを備えたローラ式ロッカーアームの構造において、当該ロッカーアームの剛性を向上させると共に軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、カムローラ(例えば実施例のカムローラ17c)を回転自在に支持する支持部(例えば実施例の支持壁41,42)を備えたアーム部(例えば実施例のアーム部17b)と、該アーム部をロッカーアームシャフト(例えば実施例のロッカーアームシャフト14)に対して揺動自在に支持する支持ボス部(例えば実施例の基部17a)とを備えたローラ式ロッカーアーム(例えば実施例のロッカーアーム17)の構造において、前記支持部は、前記カムローラを挟んで支持するように一対で構成されると共に、これら各支持部の下部を互いに連結するバルブ押圧部(例えば実施例のバルブ押圧部17d)を備え、かつ該バルブ押圧部と前記カムローラとの間には前記各支持部を互いに連結する補強部(例えば実施例の補強部45)を備え、前記アーム部は、前記各支持部の何れか一方(例えば実施例の支持壁42)と前記支持ボス部とを互いに連結するように単一で構成されることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記補強部は、前記バルブ押圧部と一体形成されることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記バルブ押圧部の上面(例えば実施例の上面44)は、前記アーム部の延出方向に沿う平面(例えば実施例の平面S)と略平行となるように配置され、前記補強部は、前記カムローラの軸線(例えば実施例の軸線C5)と直交する断面視で、前記バルブ押圧部の上面と前記カムローラの外周面(例えば実施例の外周面19c)とで囲まれる領域に合わせて略三角形状に形成されることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記カムローラの軸線との直交方向から見た平面視で、前記アーム部の幅(例えば実施例の幅h4)が、該アーム部に連結される前記支持部の幅(例えば実施例の幅h3)よりも大きくされることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記カムローラの軸線(例えば実施例の軸線C5)との直交方向から見た平面視で、前記アーム部の両端部の内、前記支持ボス部に連結される側の端部の幅(例えば実施例の幅h4)が、前記支持部に連結される側の端部の幅(例えば実施例の幅h5)よりも大きくされることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、当該ローラ式ロッカーアームは、断面形状の異なる複数のカム間(例えば実施例の左右第一カム15a,16aと左右第二カム15b,16bとの間)でスライド移動することによりバルブリフト量を異ならせる可変動弁機構(例えば実施例の動弁機構5)に用いられるものであって、前記バルブ押圧部の前記カムローラの軸方向に関する長さ(例えば実施例の幅h1)は、前記各支持部の外側面(例えば実施例の外側面41a,42a)間の幅(例えば実施例の幅h2)よりも大きく、該各支持部の外側面から前記バルブ押圧部の端部が突出することを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、カムローラ(例えば実施例のカムローラ117c)を回転自在に支持する支持部(例えば実施例の支持壁141)を備えたアーム部(例えば実施例のアーム部117b)と、該アーム部をロッカーアームシャフト(例えば実施例のロッカーアームシャフト14)に対して揺動自在に支持する支持ボス部(例えば実施例の基部117a)とを備えたローラ式ロッカーアーム(例えば実施例のロッカーアーム117)の構造において、前記支持部は、前記カムローラの一側方から該カムローラの下方に延出するバルブ押圧部(例えば実施例のバルブ押圧部117d)を一体に有し、該バルブ押圧部の少なくとも一部が、平面視で前記カムローラの下方に重なって配置され、前記アーム部は、前記支持部と前記支持ボスとを互いに連結するように単一で構成されることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、前記ローラ式ロッカーアームは、エンジン搭載状態における平面視で、バルブ(例えば実施例の吸気バルブ6)のステム先端(例えば実施例の先端面6f)の少なくとも一部が前記カムローラに重なるように、該カムローラの下方に前記バルブ押圧部を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、バルブ押圧部とカムローラとの間に一対の支持部を互いに連結する補強部を設けることで、当該ローラ式ロッカーアームの剛性を向上させると共に、ロッカーアーム全体の剛性を確保しながらカムローラを片持ち構造とすることができ、ローラ式ロッカーアームの軽量化を図ることができる。
請求項2に記載した発明によれば、補強部をバルブ押圧部に一体形成することで、補強部及びバルブ押圧部の剛性を相互に高め、ひいてはロッカーアーム全体の剛性を高めることができる。
請求項3に記載した発明によれば、バルブ押圧部とカムローラとの間の空きスペースを利用して補強部を可能な限り大きくすることができ、ローラ式ロッカーアームの剛性をより高めることができる。
請求項4に記載した発明によれば、アーム部を支持部よりも肉厚に形成することとなり、単一で構成されるアーム部の曲げ及びねじれに対する剛性を高めることができる。
請求項5に記載した発明によれば、アーム部の基端側を幅広(肉厚)に形成することとなり、アーム部の剛性を高め、支持部の剛性アップだけでなくアーム部全体ひいてはロッカーアーム全体の剛性アップを図ることができる。
請求項6に記載した発明によれば、バルブ押圧部の長さを一対の支持部間の幅よりも大きく形成することにより、バルブ押圧部の剛性を高めて一対の支持部間の結合強度を高めることができ、ロッカーアーム全体としての強度を向上できる。
請求項7に記載した発明によれば、カムローラの下方にバルブ押圧部が重なるようにこれらを近接配置することにより、ロッカーアームの剛性を確保しながら片持ち構造を実現できると共に軽量化を図ることができる。
請求項8に記載した発明によれば、バルブのステム先端がカムローラに重なるように該カムローラとバルブ押圧部とをより近接させることにより、ロッカーアームのさらなる剛性向上及び軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施例におけるエンジンの要部の左側面図である。
【図2】上記エンジンの動弁機構の平面図(ロッカーアームシャフトの軸線に沿う断面を含む)であり、(a)はエンジンの低速回転域での運転時を、(b)はエンジンの高速回転域での運転時をそれぞれ示す。
【図3】上記動弁機構のロッカーアームの左側面図である。
【図4】図3の前面図である。
【図5】図3のS5−S5断面図である。
【図6】この発明の第二実施例における図3に相当する側面図である。
【図7】図6のS7−S7断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、説明都合上、図中矢印FRは前方を、矢印LHは左方を、矢印UPは上方をそれぞれ示すものとする。
【実施例1】
【0010】
図1は、例えば自動二輪車等の車両の原動機に用いられる四ストロークDOHC並列四気筒エンジン1のシリンダヘッド2の左側面図である。シリンダヘッド2上にはヘッドカバー3が取り付けられ、これらが形成する動弁室4内には、吸排気バルブ6,7駆動用の動弁機構5が収容される。なお、図中符号C1はシリンダヘッド2下(基端側)に連なるシリンダ本体2a内のシリンダボアの中心軸線(シリンダ軸線)を示す。
【0011】
シリンダヘッド2には気筒毎に吸排気ポート8,9が形成され、該各吸排気ポート8,9の燃料室側開口がそれぞれ前記吸排気バルブ6,7により開閉される。各バルブ6,7は、前記燃焼室側開口に整合する傘状の弁体6a,7aから棒状のステム6b,7bを動弁室4側に延出してなり、該ステム6b,7bが筒状のバルブガイド6c,7cを介してシリンダヘッド2に往復動可能に保持される。
【0012】
各バルブ6,7のステム6b,7b先端部にはリテーナ6d,7dが取り付けられ、該リテーナ6d,7dとシリンダヘッド2との間に縮設されたバルブスプリング6e,7eのバネ力により、各バルブ6,7が上方に付勢されてその弁体6a,7aが前記燃焼室側開口を閉塞する。一方、前記バルブスプリング6e,7eの付勢力に抗して各バルブ6,7を下方にストロークさせることで、該各バルブ6,7の弁体6a,7aが燃焼室側開口から離間してこれを開放する。
【0013】
各バルブ6,7のステム6b,7bは、側面視V字状をなすようにシリンダ軸線C1に対して傾斜して設けられる。各ステム6b,7bの上方には、左右方向に沿う吸気側カムシャフト11及び排気側カムシャフト12がそれぞれ配設される。各カムシャフト11,12は、その軸回りに回転可能となるようにシリンダヘッド2に支持され、エンジン1の運転時には例えばチェーン式の伝動機構を介してクランクシャフトと連係して回転駆動する(何れも不図示)。なお、図中符号C2,C3は各カムシャフト11,12の中心軸線(カム軸線)を示す。
【0014】
ここで、エンジン1は四バルブ式であり、気筒毎にそれぞれ左右一対の吸排気バルブ6,7を有する。
各吸気バルブ6は、気筒毎に設けられたロッカーアーム13を介して吸気側カムシャフト11のカム11Aに押圧されて開閉作動する。一方、各排気バルブ7は、ステム7b先端部に装着されたバルブリフタ7fを介して排気側カムシャフト12のカム12Aにより直接的に押圧されて開閉作動する。前記ロッカーアーム13は、吸気バルブ6のステム6b先端部の後方において吸気側カムシャフト11と平行に配設されたロッカーアームシャフト14にその軸回りに揺動可能に支持される。なお、図中符号C4はロッカーアームシャフト14の中心軸線(ロッカー軸線)を示す。
【0015】
ロッカーアーム13におけるロッカーアームシャフト14を挿通する円筒状の基部(支持ボス部)13aからは、吸気バルブ6のステム6b先端部に向けてアーム部13bが延出する。アーム部13bの先端側には、吸気側カムシャフト11のカム11Aに転接するカムローラ13cが支持される。すなわち、ロッカーアーム13はカム11A外周にカムローラ13cを転接させるローラ式とされる。また、アーム部13bの先端下側には、ステム6b先端に当接してこれを下方に押圧するバルブ押圧部13dが設けられる。
【0016】
そして、エンジン1の運転時に吸気側カムシャフト11が回転駆動すると、そのカム11Aがカムローラ13cに転接してロッカーアーム13を適宜揺動させ、該ロッカーアーム13のバルブ押圧部13dが吸気バルブ6のステム6b先端を押圧し、該吸気バルブ6をそのステム6bに沿って適宜往復動させて燃料室側開口を開閉させる。
【0017】
ここで、エンジン1の動弁機構5の吸気側は、各吸気バルブ6のバルブ開閉タイミングやリフト量を変化させる可変動弁機構として構成される。動弁機構5は、例えばエンジン回転数が9000rpm(Revolutions Per Minute)未満の低速回転域では吸気側カムシャフト11における低速回転用のカムを用いて各吸気バルブ6を開閉作動させると共に、エンジン回転数が9000rpm以上の高速回転域では吸気側カムシャフト11における高速回転用のカムを用いて各吸気バルブ6を開閉作動させる。
【0018】
以下、動弁機構5の一気筒分の吸気側について説明するが、他の気筒も同様の構成を有するものとする。
図2を併せて参照し、吸気側カムシャフト11のカム11Aは、左右吸気バルブ6に対応する前記低速回転域用の左右第一カム15a,16a及び高速回転域用の左右第二カム15b,16bからなる。すなわち、吸気側カムシャフト11は、一気筒当たりに左右吸気バルブ6のそれぞれに対応する左右第一カム15a,16a及び左右第二カム15b,16bの計四つのカムを有する。
【0019】
ロッカーアーム13は、ロッカーアームシャフト14にその軸回り(ロッカー軸線C4中心)に揺動可能かつ軸方向(ロッカー軸線C4に沿う方向、以下、軸C4方向ということがある)で移動可能に支持される。また、ロッカーアーム13は、互いに相対運動可能な(前記軸回りに相対揺動可能かつ軸方向で相対移動可能な)左右ロッカーアーム17,18に分割構成される。左右ロッカーアーム17,18はそれぞれ左右吸気バルブ6に対応して設けられ、これら左右ロッカーアーム17,18が左右第一カム15a,16a又は第二カム15b,16bにより個別に揺動して左右吸気バルブ6を開閉作動させる。
【0020】
以下、左右ロッカーアーム17,18の基部(支持ボス部)を符号17a,18a、アーム部を符号17b,18b、カムローラを符号17c,18c、バルブ押圧部を符号17d,18dとする。左右アーム部17b,18b、カムローラ17c,18c及びバルブ押圧部17d,18dは、左右基部17a,18aに対してそれぞれシリンダ左右外側にオフセットするように設けられている。
【0021】
左右ロッカーアーム17,18は、それぞれ後述の第一及び第二ロッカーアーム移動機構21,22によりシリンダ左右内側に向けて付勢され、互いの基部17a,18aをセンターカラー37を介してロッカーアームシャフト14の軸方向で突き当てた状態で、該ロッカーアームシャフト14にその軸方向で一体的に移動可能に支持される。
【0022】
左右ロッカーアーム17,18は、エンジン1の運転停止時及び低速回転域での運転時には前記軸C4方向での左方への移動限界位置にあり(図2(a)参照)、この状態において、左右ロッカーアーム17,18のカムローラ17c,18cは、それぞれ第一カム15a,16aの下方においてその外周面(カム面)に転接可能な位置に配置される。
【0023】
左右ロッカーアーム17,18のバルブ押圧部17d,18dは、カムローラ17c,18cよりも左右に幅広に設けられ、左右ロッカーアーム17,18が前記左方への移動限界位置にある場合において、その右端部が左右吸気バルブ6のステム6b先端を押圧可能な位置にある。このときの左右ロッカーアーム17,18の前記軸C4方向での位置を第一作動位置とする。
【0024】
一方、図3を併せて参照し、左右ロッカーアーム17,18は、エンジン1の高速回転域での運転時には前記軸C4方向での右方への移動限界位置にあり(図2(b)参照)、この状態において、左右ロッカーアーム17,18のカムローラ17c,18cは、それぞれ第二カム15b,16bの下方においてその外周面(カム面)に転接可能な位置に配置される。
【0025】
左右ロッカーアーム17,18のバルブ押圧部17d,18dは、左右ロッカーアーム17,18が前記右方への移動限界位置にある場合において、その左端部が左右吸気バルブ6のステム6b先端を押圧可能な位置にある。このときの左右ロッカーアーム17,18の前記軸C4方向での位置を第二作動位置とする。バルブ作動の切り換え時(ロッカーアーム17,18のスライド時)には、バルブ押圧部17dの下面の左右端部間をステム6b先端が摺動することとなる。
【0026】
図2を参照し、動弁機構5は、エンジン回転数に応じて第一及び第二ロッカーアーム移動機構21,22を作動させ、左右ロッカーアーム17,18をロッカーアームシャフト14の軸方向で前記第一作動位置及び第二作動位置の何れかに移動させることで、左右吸気バルブ6の開閉作動に各カム15a,16a,15b,16bの何れかを選択的に用いることを可能とする。なお、第一カム15a,16aは第二カム15b,16bと比べて吸気バルブ6のリフト量を小さくした低回転用カム(低速カム)であるが、これを吸気バルブ6のリフト量を0とした休止カム(停止カム)としてもよい。
【0027】
なお、各ロッカーアーム移動機構21,22において、符号23,24は左右ロッカーアーム17,18の基部17a,18aの左方又は右方に位置して該基部17a,18aに前記各作動位置の一方から他方への力を付与するスプリングを、符号25,26は各スプリング23,24の左方又は右方に位置してロッカーアームシャフト14にその軸方向で移動不能に支持されるスプリング受けカラーをそれぞれ示す。
【0028】
ここで、ロッカーアームシャフト14は、その軸方向で移動可能かつ軸回りに回動可能にシリンダヘッド2に支持されている。
ロッカーアームシャフト14及び各スプリング受けカラー25,26は、エンジン1の運転停止時及び低速回転域での運転時にはその軸方向での左方への移動限界位置にある(図2(a)参照)。このとき、左右ロッカーアーム17,18は前記第一作動位置に保持される。
一方、ロッカーアームシャフト14及び各スプリング受けカラー25,26は、エンジン1の高速回転域での運転時にはその軸方向での右方への移動限界位置にある(図2(b)参照)。このとき、左右ロッカーアーム17,18は前記第二作動位置に保持される。
【0029】
そして、後述するロッカーアーム移動規制機構31により、左右ロッカーアーム17,18のシリンダヘッド2に対する前記軸C4方向での移動を規制した状態で、ロッカーアームシャフト14及び各スプリング受けカラー25,26をシリンダヘッド2に対して前記軸C4方向で一体的に移動させることで、各スプリング23,24間に所定の弾性力差が生じ、この弾性力差(各スプリング23,24の何れかに蓄力した弾性力)を用いて、左右ロッカーアーム17,18が前記各作動位置の一方から他方への移動がなされる。
【0030】
図1,2を参照し、ロッカーアーム移動規制機構31は、各スプリング23,24の何れかに所定の弾性力が蓄力されるまで左右ロッカーアーム17,18の前記軸C4方向での移動を規制するもので、シリンダヘッド2にロッカーアームシャフト14と平行な支持軸32を介してその軸回りに揺動可能かつ軸方向で移動不能に支持されるトリガーアーム33と、左右ロッカーアーム17,18の基部17a,18a間においてロッカーアームシャフト14にその軸回りに相対回動不能かつ軸方向で相対移動可能に支持される前記センターカラー37とを有してなる。
【0031】
トリガーアーム33はロッカーアームシャフト14の後方に位置し、その基部33aに支持軸32を挿通する。支持軸32はロッカーアームシャフト14の斜め後上方に位置し、これを挿通する基部33aからは、断面コ字状のアーム部33bが下方に向けて延出する。アーム部33bの左右側壁部は所定形状に切り欠かれ、これらがそれぞれ左右トリガー側キー部34,35を構成する。トリガーアーム33は、基部33a後側のストッパ部33c及びスプリング33dの作用により、図1における右回り(時計回り、CW)に付勢された状態でその回動(揺動)が規制される。このとき、トリガーアーム33はそのアーム部33bをロッカーアームシャフト14にその後方から近接させた状態に保持される。このときのトリガーアーム33の状態を揺動前状態とする。
【0032】
左右ロッカーアーム17,18の基部17a,18aの後側には、所定形状を有して後方に突出する左右ロッカー側キー部38,39が設けられる。
左ロッカー側キー部38は、左右ロッカーアーム17,18が第一作動位置にあるときには、トリガーアーム33の左トリガー側キー部34の左方に隣接して重なり(図2(a)参照)、左右ロッカーアーム17,18が第二作動位置にあるときには、左トリガー側キー部34の右方に隣接して重なる(図2(b)参照)。
一方、右ロッカー側キー部39は、左右ロッカーアーム17,18が第一作動位置にあるときには、トリガーアーム33の右トリガー側キー部35の左方に隣接して重なり(図2(a)参照)、左右ロッカーアーム17,18が第二作動位置にあるときには、右トリガー側キー部35の右方に隣接して重なる(図2(b)参照)。
【0033】
センターカラー37は、左右ロッカーアーム17,18の基部17a,18aと略同径のリング状をなし、その上部後側には後方に突出するセンターカム部37aが設けられる(図1参照)。センターカラー37は、ロッカーアームシャフト14の所定位置において、その軸回りに回動不能かつ軸方向で所定長さだけ移動可能に支持される。
【0034】
センターカム部37aは、左右ロッカーアーム17,18が前記第一作動位置にあるときには、トリガーアーム33の左トリガー側キー部34の内周に近接させる(図2(a)参照)。一方、センターカム部37aは、左右ロッカーアーム17,18が前記第二作動位置にあるときには、トリガーアーム33の右トリガー側キー部35の内周に近接させる(図2(b)参照)。
【0035】
ここで、ロッカーアームシャフト14は、不図示のシャフト駆動装置の作動により、シリンダヘッド2に対して軸C4方向で移動すると共に、該移動に伴い軸回りに回動可能とされる。そして、このロッカーアームシャフト14の回動に伴い、センターカラー37も一体的に回動可能とされる。
【0036】
いま、左右ロッカーアーム17,18が前記第一作動位置にあり、これを第二作動位置に移動させるべく第一ロッカーアーム移動機構21に所定の力を蓄える際には、まず、前記シャフト駆動装置を作動させ、前記左方への移動限界位置にあるロッカーアームシャフト14を各スプリング受けカラー25,26と共に右方へ移動させる。
【0037】
このとき、左ロッカーアーム17の左ロッカー側キー部38とトリガーアーム33の左トリガー側キー部34とが前記軸線C4に沿う矢視で所定量重なっていることから、当該部位において左右ロッカーアーム17,18のトリガーアーム33(シリンダヘッド2)に対する右方への移動が規制される。
【0038】
ロッカーアームシャフト14は、前記右方への移動に伴い、その軸回りで図1における右回りに回動する。このロッカーアームシャフト14の回動に伴いセンターカラー37が前記右回りに回動すると、そのセンターカム部37aが前記揺動前状態にあるトリガーアーム33の左トリガー側キー部34の内周に摺接し、該トリガーアーム33を前記スプリング33dの付勢力に抗して図1における左回りに回動させる。これにより、トリガーアーム33とロッカーアーム13との係合が解除され、左右ロッカーアーム17,18が右方へ移動可能となる。
【0039】
また、ロッカーアームシャフト14及び各スプリング受けカラー25,26が前記右方への移動限界位置に移動した時点で、第一スプリング23には左右ロッカーアーム17,18を第一作動位置から第二作動位置に移動させるだけの弾性力が蓄力される。この状態で、前述の如く左右ロッカーアーム17,18が右方へ移動可能となることで、第一スプリング23に蓄力された弾性力により左右ロッカーアーム17,18が第二作動位置に移動する。この移動後には、トリガーアーム33が前記揺動前状態に戻り、左右トリガー側キー部34,35と左右ロッカー側キー部38,39とが軸C4方向視で重なって左右ロッカーアーム17,18の軸C4方向での移動を規制する。
【0040】
次に、左右ロッカーアーム17,18が前記第二作動位置にあり、これを第一作動位置に移動させるべく第二ロッカーアーム移動機構22に所定の力を蓄える際には、同じく前記シャフト駆動装置を作動させ、前記右方への移動限界位置にあるロッカーアームシャフト14を各スプリング受けカラー25,26と共に左方へ移動させる。
【0041】
このとき、左ロッカーアーム17の左ロッカー側キー部38とトリガーアーム33の左トリガー側キー部34とが前記軸C4方向視で所定量重なっていることから、当該部位において左右ロッカーアーム17,18のトリガーアーム33(シリンダヘッド2)に対する右方への移動が規制される。
【0042】
ロッカーアームシャフト14は、前記左方への移動に伴い、その軸回りで図1における左回りに回動する。このロッカーアームシャフト14の回動に伴いセンターカラー37が前記左回りに回動すると、そのセンターカム部37aが前記揺動前状態にあるトリガーアーム33の右トリガー側キー部35の内周に摺接し、該トリガーアーム33を前記スプリング33dの付勢力に抗して図1における左回りに回動させる。これにより、トリガーアーム33とロッカーアーム13との係合が解除され、左右ロッカーアーム17,18が左方へ移動可能となる。
【0043】
また、ロッカーアームシャフト14及び各スプリング受けカラー25,26が前記左方への移動限界位置に移動した時点で、第二スプリング24には左右ロッカーアーム17,18を第二作動位置から第一作動位置に移動させるだけの弾性力が蓄力される。この状態で、前述の如く左右ロッカーアーム17,18が左方へ移動可能となることで、第二スプリング24に蓄力された弾性力により左右ロッカーアーム17,18が第一作動位置に移動する。この移動後には、トリガーアーム33が前記揺動前状態に戻り、左右トリガー側キー部34,35と左右ロッカー側キー部38,39とが軸C4方向視で重なって左右ロッカーアーム17,18の軸C4方向での移動を規制する。
【0044】
このように、エンジン1の回転数(クランクシャフトの回転数)が停止又は低速回転域にある場合と高速回転域にある場合とで、吸気バルブ6の開閉タイミングやバルブリフト量を適宜変化させる(可変にする)ことで、エンジン1の低速回転域ではバルブオーバーラップを少なくすると共にリフト量を抑える一方、エンジン1の高速回転域ではバルブオーバーラップを増やすと共にリフト量を増加させることが可能となる。
【0045】
ここで、図3〜5を参照して左ロッカーアーム17について説明するが、右ロッカーアーム18も同様の構成を有するものとする。
ロッカーアーム17は、ロッカーアームシャフト14を挿通する円筒状の基部17aと、該基部17aから吸気バルブ6側に延びるアーム部17bと、該アーム部17bの先端側にロッカーアームシャフト14と平行なシャフト19を介して回転自在に支持されるカムローラ17cと、アーム部17bの先端下側に設けられるバルブ押圧部17dとを有してなる。
【0046】
アーム部17bは、基部17a右前の外周面から前方に延出した後、基部17aの直ぐ前方においてクランク状をなして左方に変位するように延びる。なお、図中符号Kはアーム部17bの延出方向に沿う基準線を、符号C5はローラの中心軸線をそれぞれ示す。基準線K(アーム部17b)は、軸線C4,C5を含む平面Sに沿って延びる。以下、基準線K(平面S)と直交する方向から見た上面視(軸線C5との直交方向から見た矢視に相当)をロッカーアーム17の平面視という。
【0047】
アーム部17bの先端側には、カムローラ17cを貫通するシャフト19の両端部をカムローラ17cを挟んで支持する左右一対の支持壁41,42が設けられる。各支持壁41,42はアーム部17bの基端側に対して左方に偏倚(オフセット)した位置にあり、これらの内の右側の支持壁42にのみ、その斜め後右方からアーム本体46の先端側が接続される。一方、左側の支持壁41にはアーム本体46が接続されず、左右支持壁41,42の下端同士を一体に連結するバルブ押圧部17dを介して、左支持壁41が右支持壁42ひいてはアーム本体46に支持される。
【0048】
バルブ押圧部17dは、軸C4方向に長い長辺とこれと直交する短辺とを有する略長方形状の厚板状とされる。バルブ押圧部17dは、アーム部17bの延出方向に沿う前記平面Sよりも下方に離間して配置される。バルブ押圧部17dの上面44は前記平面Sと略平行に設けられる。バルブ押圧部17dの前記長辺幅h1は、左右支持壁41,42の外側面41a,42a間の幅よりも大きくされる。すなわち、バルブ押圧部17dの左右端部は、前記平面視(軸線C5との直交方向から見た矢視)で、左右支持壁41,42の外側面41a,42aよりも左右外側に突出している。この幅広のバルブ押圧部17dにより、ロッカーアーム17の前記各位置において吸気バルブ6のステム6b先端を押圧可能である。
【0049】
バルブ押圧部17dの上面側における左右支持壁41,42の内側面41b,42b間には、当該部位をアーム部17b先端側ほど上方に向けて肉厚とする補強部45が設けられる。補強部45は、バルブ押圧部17d上方に位置するカムローラ17cを避けるべく、アーム部17b先端側に偏って設けられる。補強部45は、その側面視(軸線C5に沿う方向から見た矢視、軸線C5と直交する断面視)において、バルブ押圧部17dの上面44に沿う下面47、アーム先端面に沿う前面48、及びカムローラ17cの外周面19cに隙間を空けて沿う湾曲面49からなる略三角形状に形成される。
【0050】
前記平面視において、アーム本体46の前記軸線C5に沿う方向に関する幅(軸方向幅)h4は、該アーム本体46が支持する右支持壁42の軸方向幅h3よりも大きくされる。なお、前記軸線C4,C5に沿う方向において、アーム本体46の左側面と右支持壁42の左側面(内側面42b)とはほぼ同位置にあり(詳細にはアーム本体46の左側面に対して右支持壁42の左側面が僅かに左方に変位した位置にあり)、右支持壁42の左側面(外側面42a)はアーム本体46の右側面に対して比較的大きく左方に変位した位置にある。
【0051】
また、前記平面視において、アーム本体46の基端側(基部17aに連結される側)における前記延出方向との直交幅(前記軸方向幅h4に相当)は、アーム本体46の先端側(右支持壁42に連結される側)における前記延出方向との直交幅h5よりも大きくされる。
これにより、アーム部17bの基端側の剛性が高まり、その重量を抑えた上でアーム部17b先端側の支持壁42の剛性を高め、もってロッカーアーム全体の剛性を効率よく高めることができる。
【0052】
以上説明したように、上記実施例におけるローラ式ロッカーアーム構造は、カムローラ17cを回転自在に支持する支持壁41,42を備えたアーム部17bと、該アーム部17bをロッカーアームシャフト14に対して揺動自在に支持する基部17aとを備えたローラ式ロッカーアーム17の構造において、前記支持壁41,42は、前記カムローラ17cを挟んで支持するように一対で構成されると共に、これら各支持壁41,42の下部を互いに連結するバルブ押圧部17dを備え、かつ該バルブ押圧部17dと前記カムローラ17cとの間には前記各支持壁41,42を互いに連結する補強部45を備え、前記アーム部17bは、前記各支持壁41,42の何れか一方(支持壁42)と前記基部17aとを互いに連結するように単一で構成されるものである。
この構成によれば、バルブ押圧部17dとカムローラ17cとの間に一対の支持壁41,42を互いに連結する補強部45を設けることで、当該ローラ式ロッカーアーム17の剛性を向上させると共に、ロッカーアーム全体の剛性を確保しながらカムローラ17cを片持ち構造とすることができ、ローラ式ロッカーアーム17の軽量化を図ることができる。
【0053】
また、上記ローラ式ロッカーアーム構造は、前記補強部45が、前記バルブ押圧部17dと一体形成されることで、補強部45及びバルブ押圧部17dの剛性を相互に高め、ひいてはロッカーアーム全体の剛性を高めることができる。
【0054】
また、上記ローラ式ロッカーアーム構造は、前記バルブ押圧部17dの上面44が、前記アーム部17bの延出方向に沿う平面Sと略平行となるように配置され、前記補強部45が、前記カムローラ17cの軸線C5と直交する断面視で、前記バルブ押圧部17dの上面44と前記カムローラ17cの外周面19cとで囲まれる領域に合わせて略三角形状に形成されることで、バルブ押圧部17dとカムローラ17cとの間の空きスペースを利用して補強部45を可能な限り大きくすることができ、ローラ式ロッカーアーム17の剛性をより高めることができる。
【0055】
また、上記ローラ式ロッカーアーム構造は、前記カムローラ17cの軸線C5との直交方向から見た平面視で、前記アーム部17bの幅h4が、該アーム部17bに連結される前記支持壁42の幅h3よりも大きくされることで、アーム部17bを支持壁42よりも肉厚に形成することとなり、単一で構成されるアーム部17bの曲げ及びねじれに対する剛性を高めることができる。
【0056】
また、上記ローラ式ロッカーアーム構造は、前記カムローラ17cの軸線C5との直交方向から見た平面視で、前記アーム部17bの両端部の内、前記基部17aに連結される側の端部の幅h4が、前記支持壁42に連結される側の端部の幅h5よりも大きくされることで、アーム部17bの基端側を幅広(肉厚)に形成することとなり、アーム部17bの剛性を高め、支持壁42の剛性アップだけでなくアーム部17b全体ひいてはロッカーアーム全体の剛性アップを図ることができる。
【0057】
また、上記ローラ式ロッカーアーム構造は、当該ローラ式ロッカーアーム17が、断面形状の異なる左右第一カム15a,16aと左右第二カム15b,16bとの間でスライド移動することによりバルブリフト量を異ならせる可変動弁機構5に用いられるものであって、前記バルブ押圧部17dの前記カムローラ17cの軸方向に関する長さ(幅h1)が、前記各支持壁41,42の外側面41a,42a間の幅h2よりも大きく、該各支持壁41,42の外側面41a,42aから前記バルブ押圧部17dの端部が突出することで、バルブ押圧部17dの剛性を高めて一対の支持壁41,42間の結合強度を高めることができ、ロッカーアーム全体としての強度を向上できる。
【実施例2】
【0058】
次に、この発明の第二実施例について図6,7を参照して説明する。
この実施例は、前記第一実施例に対して、ロッカーアーム17に代わるロッカーアーム117を用いる点を主に異なり、前記実施例と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
ロッカーアーム117は、カムローラ117cを回転自在に支持する支持壁141を備えたアーム部117bと、該アーム部117bを前記ロッカーアームシャフト14に対して揺動自在に支持する基部117aとを備えてなる。前記カムローラ117cは、ラジアルボールベアリングのアウタレースにより構成される。前記支持壁141の左方には支持軸119が突設され、該支持軸119が前記ラジアルボールベアリングのインナレース内に挿通されて前記カムローラ117cを支持する。
【0060】
前記支持壁141は、前記カムローラ117cの右方から斜め下前方に延出した後に左方に屈曲してカムローラ117cの下方に回り込むバルブ押圧部117dを一体に有する。このバルブ押圧部117dの一部(後部左側)が、図7に示す平面視で前記カムローラ117cの前部右側と重なるように配置される。そして、前記アーム部117bは、前記支持壁141と基部117aとを互いに連結するように単一で構成される。
【0061】
このロッカーアーム117は、エンジン搭載状態における平面視(図7参照)で、吸気バルブ6のステム6bの先端面(シム先端面)6fの少なくとも一部が前記カムローラ117cと重なるように、前記カムローラ117cの下方にバルブ押圧部117dを配置するのである。
【0062】
以上説明したように、上記実施例におけるローラ式ロッカーアーム構造は、カムローラ117cを回転自在に支持する支持壁141を備えたアーム部117bと、該アーム部117bをロッカーアームシャフト14に対して揺動自在に支持する基部117aとを備えたローラ式ロッカーアーム117の構造において、前記支持壁141は、前記カムローラ117cの一側方から該カムローラ117cの下方に延出するバルブ押圧部117dを一体に有し、該バルブ押圧部117dの少なくとも一部が、平面視で前記カムローラ117cの下方に重なって配置され、前記アーム部117bは、前記支持壁141と前記基部117aとを互いに連結するように単一で構成されるものである。
この構成によれば、カムローラ117cの下方にバルブ押圧部117dが重なるようにこれらを近接配置することにより、ロッカーアーム117の剛性を確保しながら片持ち構造を実現できると共に軽量化を図ることができる。
【0063】
前記ローラ式ロッカーアーム117は、エンジン搭載状態における平面視で、バルブ6のステム先端面6fの少なくとも一部が前記カムローラ117cに重なるように、該カムローラ117cの下方に前記バルブ押圧部117dを配置するものである。
この構成によれば、バルブ6のステム先端面6fがカムローラ117cに重なるように該カムローラ117cとバルブ押圧部117dとをより近接させることにより、ロッカーアーム117のさらなる剛性向上及び軽量化を図ることができる。
【0064】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、四気筒以外の並列複数気筒エンジン、V型又は水平対向等の複数気筒エンジン、単気筒エンジン、クランク軸を車両前後方向に沿わせた縦置きエンジン等、各種形式のレシプロエンジンに適用してもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0065】
5 動弁機構
6 吸気バルブ(バルブ)
6f ステム先端面(ステム先端)
14 ロッカーアームシャフト
15a,16a 左右第一カム
15b,16b 左右第二カム
17,117 ロッカーアーム(ローラ式ロッカーアーム)
17a,117a 基部(支持ボス部)
17b,117b アーム部
17c,117c カムローラ
17d,117d バルブ押圧部
19c 外周面
41 左支持壁(支持部)
42 右支持壁(支持部)
41a,42a 外側面
hi,h2,h3,h4,h5 幅
44 上面
45 補強部
S 平面
C5 軸線
141 支持壁(支持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムローラを回転自在に支持する支持部を備えたアーム部と、該アーム部をロッカーアームシャフトに対して揺動自在に支持する支持ボス部とを備えたローラ式ロッカーアームの構造において、
前記支持部は、前記カムローラを挟んで支持するように一対で構成されると共に、これら各支持部の下部を互いに連結するバルブ押圧部を備え、かつ該バルブ押圧部と前記カムローラとの間には前記各支持部を互いに連結する補強部を備え、
前記アーム部は、前記各支持部の何れか一方と前記支持ボス部とを互いに連結するように単一で構成されることを特徴とするローラ式ロッカーアーム構造。
【請求項2】
前記補強部は、前記バルブ押圧部と一体形成されることを特徴とする請求項1に記載のローラ式ロッカーアーム構造。
【請求項3】
前記バルブ押圧部の上面は、前記アーム部の延出方向に沿う平面と略平行となるように配置され、前記補強部は、前記カムローラの軸線と直交する断面視で、前記バルブ押圧部の上面と前記カムローラの外周面とで囲まれる領域に合わせて略三角形状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラ式ロッカーアーム構造。
【請求項4】
前記カムローラの軸線との直交方向から見た平面視で、前記アーム部の幅が、該アーム部に連結される前記支持部の幅よりも大きくされることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のローラ式ロッカーアーム構造。
【請求項5】
前記カムローラの軸線との直交方向から見た平面視で、前記アーム部の両端部の内、前記支持ボス部に連結される側の端部の幅が、前記支持部に連結される側の端部の幅よりも大きくされることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のローラ式ロッカーアーム構造。
【請求項6】
当該ローラ式ロッカーアームは、断面形状の異なる複数のカム間でスライド移動することによりバルブリフト量を異ならせる可変動弁機構に用いられるものであって、
前記バルブ押圧部の前記カムローラの軸方向に関する長さは、前記各支持部の外側面間の幅よりも大きく、該各支持部の外側面から前記バルブ押圧部の端部が突出することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のローラ式ロッカーアーム構造。
【請求項7】
カムローラを回転自在に支持する支持部を備えたアーム部と、該アーム部をロッカーアームシャフトに対して揺動自在に支持する支持ボス部とを備えたローラ式ロッカーアームの構造において、
前記支持部は、前記カムローラの一側方から該カムローラの下方に延出するバルブ押圧部を一体に有し、該バルブ押圧部の少なくとも一部が、平面視で前記カムローラの下方に重なって配置され、前記アーム部は、前記支持部と前記支持ボスとを互いに連結するように単一で構成されることを特徴とするローラ式ロッカーアーム構造。
【請求項8】
前記ローラ式ロッカーアームは、エンジン搭載状態における平面視で、バルブのステム先端の少なくとも一部が前記カムローラに重なるように、該カムローラの下方に前記バルブ押圧部を配置することを特徴とする請求項7に記載のローラ式ロッカーアーム構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−229879(P2010−229879A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77593(P2009−77593)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】