ワイヤハーネス用の仮置き部品
【課題】パネルにワイヤハーネスを仮置きできる部品を提供する。
【解決手段】ワイヤハーネスに粘着テープで巻き付けるテープ巻き部あるいはバンドを巻き付けて締結するタイバンド部からなるワイヤハーネス取付部分と、該ワイヤハーネス取付部分と連続して設けられるパネル仮止め部分とを備え、該パネル仮止め部分は先端に係止爪を設けた支持片または中間部に屈曲させた弾性押圧部を設けた支持片を備え、該支持片を前記パネルの空いた穴または溝に挿入して仮取付できる構成としている。
【解決手段】ワイヤハーネスに粘着テープで巻き付けるテープ巻き部あるいはバンドを巻き付けて締結するタイバンド部からなるワイヤハーネス取付部分と、該ワイヤハーネス取付部分と連続して設けられるパネル仮止め部分とを備え、該パネル仮止め部分は先端に係止爪を設けた支持片または中間部に屈曲させた弾性押圧部を設けた支持片を備え、該支持片を前記パネルの空いた穴または溝に挿入して仮取付できる構成としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤハーネス用の仮置き部品に関し、詳しくは、自動車に配索するワイヤハーネスを予め配索箇所に仮置きする際に、該配索箇所に着脱自在に係止してワイヤハーネスを仮置きできるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索するワイヤハーネスのうち、インストルメントパネルやコンソールパネル等の大型パネルに配索するワイヤハーネスは、前記大型パネルと共に搬送車で自動車組立ラインへ搬送される場合がある。該搬送時に、搬送車の荷台等にワイヤハーネスが巻き込まれる可能性があり、また、ワイヤハーネスが垂れ下がっているとワイヤハーネスの電線に接続したコネクタを作業員が踏み潰す恐れがあるため、大型パネル上に仮置きしてワイヤハーネスやコネクタが垂れ下がらないようにしている。自動車組立ラインでワイヤハーネスの大型パネルから仮置きを解き、前記インパネ等のパネルおよび車体パネルのクリップ穴に、ワイヤハーネスに取り付けているクリップを順次挿入係止してワイヤハーネスをパネルに本固定している。
【0003】
例えば、インストルメントパネル等の大型パネルへのワイヤハーネスの仮置きは、図11に示すように、ワイヤハーネスW/Hで輪W/H−Kをつくり、該輪をパネルPの適宜な突出部分Paに引っ掛け、該突出部分PaからワイヤハーネスW/Hが抜け出にくいように、荷姿止めテープTをワイヤハーネスW/Hに巻き付けて、前記輪W/H−Kが解けないようにし、ワイヤハーネスW/HのコネクタCを吊り上げて保持している。ワイヤハーネスの仮置き箇所に応じて、前記荷姿止めテープTの代わりに紐を巻き付けて結んだり、面ファスナーテープを用いる場合もある。あるいは、洗濯バサミを用いてワイヤハーネスとパネルとを挟持する場合もある。
【0004】
前記ワイヤハーネスの仮置き部品として用いられている粘着テープや紐は、伸びてワイヤハーネスが垂れ下がり、仮置き位置にしっかりと保持できない場合がある。また、粘着テープや紐等はワイヤハーネスがパネルに本固定される際に取り外す必要があり、取り外し作業が必要となり、かつ、これらがゴミとして自動車内に残留する場合もあり、管理、回収作業が必要となる問題がある。
【0005】
また、ワイヤハーネスを仮置きできるものとして、実公平4−28255号公報で、インストルメントパネルに取り付ける電子機器に接続されるワイヤハーネスを、インストルメントパネルに設けた溝に挿通し、該溝の形状でワイヤハーネスの余長部分を弛ませて仮保持するインストルメントパネルが提案されている。
しかしながら、インストルメントパネル等にワイヤハーネスを仮置きできる仮置き部分を設ける必要がある。該仮置き部分が無い既存のパネルにワイヤハーネスを仮置きする場合には、図11に示すようにテープや紐を用いなければならない。
【0006】
なお、インストルメントパネルやコンソールパネル等の自動車内に設置される大型パネルにワイヤハーネスを配索する場合に限らず、自動車の車体パネルのフロアパネルに沿って配索するフロアハーネスや、エンジンルーム内に配索するエンジンルームハーネス(所謂フロントハーネス)等のワイヤハーネスを、自動車組立ラインで車体パネルにクリップを介して固定して直接配索する場合にも、配索工程でワイヤハーネスが車体パネルからぶら下がら無いように車体パネル等にワイヤハーネスを仮置きすることが好ましい場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平4−28255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、パネル側にワイヤハーネスの仮置き部を設ける必要はなく、かつ、ワイヤハーネスを仮置き箇所にテープ、紐等を用いて仮置きせず、ワイヤハーネスをパネルにワンタッチで仮置き及び仮置き箇所から取り外しができる仮置き部品を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、車両に配索されるワイヤハーネスを、該車両に設置されるパネルあるいは車体パネルに仮置きするための樹脂成形品からなる仮置き部品であって、
前記ワイヤハーネスに粘着テープで巻き付けるテープ巻き部あるいはバンドを巻き付けて締結するタイバンド部からなるワイヤハーネス取付部分と、該ワイヤハーネス取付部分と連続して設けられるパネル仮止め部分とを備え、該パネル仮止め部分は先端に係止爪を設けた支持片または中間部に屈曲させた弾性押圧部を設けた支持片を備え、該支持片を前記パネルの空いた穴または溝に挿入して仮取付できる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用の仮置き部品を提供している。
【0010】
前記パネル仮止め部分は、車両に設置されるパネルまたは車体パネルの空いている適宜の穴または溝を利用して取り付けられるようにしている。
【0011】
前記パネル仮止め部分は、一対の支持片を対向して備え、
前記一対の支持片の一方は前記先端に係止爪を設けた支持片とし、
または、一対の支持片を弾性支持片とし、その中間部に互いに近接する方向へ屈曲させた前記弾性押圧部を設け、
前記一方の支持片を前記パネルの空きの穴または溝に挿入して、該穴周縁に前記係止爪を係止し、または前記穴または溝の内周面に前記弾性支持片の弾性押圧部を圧接し、
他方の前記支持片を前記パネルの空きの穴または溝と周辺部を挟んで位置するパネルの端面に沿って配置して、該周辺部を挟持する構成としている。
【0012】
即ち、前記一対の支持片の一方は前記先端に係止爪を設けた支持片とし、該支持片を前記パネルの空きの穴または溝に挿入して、該穴周縁に前記係止爪を係止する一方、他方の支持片を前記パネルの空きの穴または溝と周辺部を挟んで位置するパネルの端面に沿って配置して、該周辺部を挟持する構成としている。
または、一対の支持片の中間部に互いに近接する方向へ屈曲させた弾性押圧部を設けて、これら一対の支持片を弾性支持片とし、一方の弾性支持片の弾性押圧部で前記パネルの空いた穴または溝の内周面を圧接すると共に、他方の弾性支持片の弾性押圧部で前記パネルの空きの穴または溝と周辺部を挟んで位置するパネルの端面に沿って圧接させ、該周辺部を弾性押圧部で弾性挟持する構成としている。
ワイヤハーネス取付部分をタイバンド部とし、バンド締結用の本体部と該本体部から突出するバンドを備えた形状とする場合、前記本体部を前記パネル仮止め部分の一方の支持片として利用してもよい。
【0013】
パネル側にはクリップ取付穴、ボルト穴、他部材の挿通穴など他の目的で多数の穴や溝が設けられている。ワイヤハーネスの仮置き時に、これらの穴または溝は本来の用途にまだ用いられておらず、空き状態となっている場合が多い。よって、これらの空いた穴または溝があればワイヤハーネスの仮置き箇所として利用できる。
即ち、ワイヤハーネスは仮置きしておくだけであるため、ワイヤハーネスの仮置き位置は限定されず、パネルの穴があいている位置や溝がある位置にパネル仮止め部分を係止して取り付けることができる。
【0014】
本発明の仮置き部品は、ワイヤハーネスをパネルに本固定する際には、パネル仮止め部分はパネルの穴や溝から取り外される。仮置き位置から取り外された後に、仮置き部品をワイヤハーネスから取り外して回収し再利用しても良いが、ワイヤハーネスに取り付けたままにしておくと取り外し作業を不要にできる。いずれの場合も、ワイヤハーネスから外れたテープやバンドだけが車両内にゴミとして残留することはない。
かつ、粘着テープあるいはバンドを用いてワイヤハーネスに取り付けるため、ワイヤハーネス径が大小相違しても共用することができる。
【0015】
本発明の仮置き部品は、仮置きの目的のみに用いられる形状としてもよいし、パネルのクリップ取付穴に挿入係止してワイヤハーネスをパネルに本固定するクリップヘッドを一体に設けてもよい。この場合、言い換えれば、バンドクリップあるいはテープ巻きの基板型クリップに前記パネル仮止め部分が一体に設けられた構成となる。
該クリップ一体型とする場合、クリップ取付位置にバンドあるいは粘着テープを用いて仮置き部品を固定しており、仮置き時には、パネル仮止め部分を用いてパネルの適宜な空いた穴や溝に係止しておき、ワイヤハーネスをパネルに本固定する時には仮置き箇所から外して、本固定位置のクリップ穴に挿入係止するものとしている。
【0016】
さらに、前記ワイヤハーネス取付部分を延長して、ワイヤハーネスの保護および経路規制を行うプロテクタ部分を設けてもよい。具体的には、ワイヤハーネス取付部分に連続させてワイヤハーネスを挿通するプロテクタ部を設け、該プロテクタの側壁外面からL形状のパネル仮止め部分を突設し、前記プロテクタの側壁と平行となる前記パネル仮止め部分の突出側部を前記支持片とし、先端に係止爪を設けている。
言い換えれば、ワイヤハーネス用のプロテクタにパネル仮止め部分を設けている。
なお、プロテクタに限らず、ワイヤハーネスに組つけられるコネクタホルダー、コネクタカバー、小型電気接続箱のケース等の外面から前記パネル仮止め部分を突設してもよい。
【発明の効果】
【0017】
前述したように、本発明に係わるワイヤハーネス用の仮置き部品は、パネルの空いている穴あるいは溝があれば、どこにでもワンタッチで取り付けることができる。よって、パネル側にワイヤハーネスの仮置き用の部分を設ける必要はない。
また、本発明の仮置き部品のパネル仮止め部分は穴や溝にワンタッチで取り付けることが出来ると共に、仮置き状態でしっかりと保持でき、粘着テープで仮置き位置に保持している場合に粘着テープの伸びで発生するワイヤハーネスの垂れ下がりを防止できる。かつ、仮止め位置からワンタッチで取り外すこともできる。
さらに、ワイヤハーネスには粘着テープやバンドで取り付けるワイヤハーネス取付部分を設けているため、ワイヤハーネス径が相違しても共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の仮置き部品をインストルメントパネルハーネスに取り付けた状態を示す概略図である。
【図2】(A)は仮置き部品の斜視図、(B)は仮置き部品をワイヤハーネスに取り付けた状態の部分拡大斜視図である。
【図3】(A)は仮置き部品をパネルの穴に取り付けた状態を示す斜視図、(B)は縦断面図、(C)はパネルの穴と仮置き部品の仮止め部分との位置関係を示す図面である。
【図4】第2実施形態の仮置き部品を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図である。
【図5】第2実施形態の仮置き部品をワイヤハーネスに取り付けてパネルの穴に取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】第3実施形態の仮置き部品の断面図である。
【図7】第4実施形態の仮置き部品の斜視図である。
【図8】(A)は第4実施形態の仮置き部品をワイヤハーネスに取り付けた状態の斜視図、(B)は断面図である。
【図9】第4実施形態の変形例の仮置き部品をワイヤハーネスに取り付けた状態の斜視図である。
【図10】第5実施形態の仮置き部品の斜視図である。
【図11】従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3に第1実施形態のワイヤハーネス用の仮置き部品を示す。
第1実施形態のワイヤハーネス1は自動車のインストルメントパネル(以下、パネルと略称する)2に配索するインパネハーネスである。該インパネハーネスからなるワイヤハーネス1は多数の電線群からなり、幹線3から多数の支線4Aが分岐し、該支線4Aから枝線4Bが分岐し、各支線4Aや枝線4Bの端末にコネクタ5が接続されると共に、所要間隔をあけてパネル固定用のクリップ6が取り付けられている。該インパネハーネスは自動車に配索されるワイヤハーネスのうちでも大型のワイヤハーネスである。
【0020】
本実施形態のインパネハーネスからなるワイヤハーネス1は、パネル2に仮置きした状態で自動車組立ラインへと搬送される。仮置き状態において、自動車組立ラインでワイヤハーネス1をパネル2の本固定位置から移動させる必要が無い位置では、パネル2に設けたクリップ穴にワイヤハーネス1に取り付けたクリップ6を挿入係止して固定している。自動車組立ラインでワイヤハーネス1を移動させる必要がある領域ではワイヤハーネス1をパネル2に本固定しておらず、パネル2から簡単に取り外せる仮置き状態としている。
【0021】
ワイヤハーネス1には、パネル2に本固定されない比較的長い領域で且つパネルからワイヤハーネスがぶら下がり状態となる領域に、図2および図3に示す仮置き部品10をワイヤハーネス1に取り付けている。
該仮置き部品10は樹脂成形品からなり、L形状の基板15の一側部をワイヤハーネス取付部分11とし、他側部をパネル仮止め部分12としている。
ワイヤハーネス取付部分11の長方形状の平板部分をテープ巻き部分11aとし、その先端にテープ止めリブ11bを突設している。
他側部のパネル仮止め部分12では基板15から一対の支持片12a、12bを対向して突設している。外側の支持片12bの先端に係止爪12cを突設し、他方の支持片12aの根元に補強部12dを設けている。
【0022】
前記仮置き部品10は図2(B)に示すように、ワイヤハーネス取付部分11のテープ巻き部分11aをワイヤハーネス1の上面に乗せ、粘着テープTを巻き付けて固着している。
【0023】
仮置き部品10を所要位置に取り付けたワイヤハーネス1をパネル2に仮置きする際、係止爪12cを設けた一方の支持片12bをパネル2の空いている穴2hに挿入し、該穴2hの周縁に係止爪12cを係止する。他方の支持片12aを穴2hの周辺部2sを挟んでパネル2の端面2eに当接させる。これにより、支持片12aと12bで穴2hの周辺部2sを挟持すると共に、係止爪12cで穴2hに係止することで、パネル2に仮置き部品10を介してワイヤハーネス1が仮置きされる。
即ち、支持片12aと12bで丁度挟まれる周辺部2sを有する空いた穴2hがあれば、どこの穴でも仮置き部品10を取り付ける事ができる。
【0024】
搬送してきたパネル2を自動車内に設置した後、ワイヤハーネス1に取り付けたクリップ6をパネル2および車体パネルのクリップ穴に挿入係止して本固定していく。其の際、仮置き部品10のパネル仮止め部分12の係止爪12cを穴2hの周縁から外し、支持片12bを穴2hから抜き出すだけで、ワイヤハーネス1をパネル2の仮置き位置からワンタッチで外すことができる。
【0025】
パネル2の仮置き位置から取り外した仮置き部品10はワイヤハーネス1から取り外さずにつけたままにしておくことが好ましい。これは、取り外すためには粘着テープTを剥がす必要があり、作業工程が増えると共に、剥がされた粘着テープTがゴミとなって自動車内に残留して異音発生の要因になる恐れがあることによる。なお、粘着テープを剥がしてワイヤハーネスから取り外し、再利用しても良い事は言うまでもない。
【0026】
図4及び図5に第2実施形態の仮置き部品を示す。
第2実施形態の仮置き部品20はワイヤハーネス取付部分21をタイバンド部としている点が第1実施形態と相違する。
ワイヤハーネス取付部分21は、バンド締結用の四角筒状の本体部24と、該本体部24から突出するバンド25を備えたタイバンド部としている。ワイヤハーネス1に巻き付けたバンド25を挿通する貫通穴24aを本体部24内に設け、かつ、該貫通穴24aに向けて係止片(図示せず)を突設し、バンド25の係止溝25aに係止するようにしている。
【0027】
前記四角筒状の本体部24の左右側壁24cと24dを下向きに屈折させて基板26とし、該基板26の下端間を底板27で連結し、該底板27の前端よりパネル仮止め部分22となる支持片28を突設している。該支持片28の先端に係止爪29を突設すると共に、該支持片28を本体部24の下壁24fと平行配置している。即ち、本体部24は支持片28の対向する挟持部を構成するものとしている。
【0028】
前記仮置き部品20は図5に示すように、ワイヤハーネス1の下側に本体部24を配置し、バンド25をワイヤハーネス1に巻き付けた後に、本体部24の貫通穴に通して係止し、ワイヤハーネス1に固定している。
パネル2への仮置きは、係止爪29を設けた支持片28をパネル2の空いている穴2hに挿入し、該穴2hの周縁に係止爪29を係止する。他方の支持片に相当する本体部24を穴2hの周辺部2sを挟んでパネル2の端面2eに当接させる。これにより、支持片28と本体部24で穴2hの周辺部2sを挟持すると共に、係止爪29で穴2hに係止することで、パネル2に仮置き部品20を介してワイヤハーネス1は仮置きすることができる。
仮置き部品20の取り外し等は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
図6に第3実施形態を示す。
第3実施形態は、第2実施形態の仮置き部品20にパネル2に本固定するためのクリップヘッド30を一体に設けている。
即ち、前記基板26に背面板部32を設け、該背面板部32から車体係止用のクリップヘッド30を突設している。該クリップヘッド30は皿部34を背面板部32から突設し、皿部34の中央から軸部35を突設し、軸部35の先端から折り返し状に一対の羽根部36を突設し、羽根部36の先端に係止段部37を設けている。
仮置き部品20の他の構成は第2実施形態と同様でパネル仮止め部分22を備え、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
前記仮置き部品20は、ワイヤハーネス1のクリップ取付位置に予め前記バンド25を用いて締結して固定している。ワイヤハーネス1のパネル2への仮置き時には、ワイヤハーネス1にぶら下がりが発生しない位置で且つ空いた穴2hに支持片28を挿入して第2実施形態と同様に仮置きしている。仮置き位置から外して、ワイヤハーネス1をパネル2に本固定する際に、クリップヘッド30を所定の本固定用のクリップ穴に挿入係止している。
【0031】
なお、第1実施形態のテープ巻きタイプの仮置き部品にもクリップを突設してもよい。
また、クリップを予め一体成形して突設する代わりに、クリップ取付穴を設けておき、後付けでクリップをクリップ取付穴に取り付けてもよい。
【0032】
図7及び図8に第4実施形態を示す。
第4実施形態の仮置き部品20は第2実施形態と同様にワイヤハーネス取付部分21はタイバンド部としているが、パネル仮止め部分22の構成を変えている。
即ち、ワイヤハーネス取付部分21のバンド締結用の本体部24から一対の弾性支持片33、34を突設している。該弾性支持片33、34は対称的に湾曲した形状とすると共に中間部に互いに近接する方向に屈曲させた弾性押圧部33a、34aを設け、該弾性押圧部33a、34aの間で挟持するようにしている。
【0033】
該仮置き部品20のパネル2への取り付けは、パネル2の溝2mに一方の弾性支持片33を挿入して、弾性押圧部33aを溝2mの内周面に圧接し、他方の弾性支持片34を溝2mと周辺部2sを挟んで対向するパネル2の端面2eに沿って配置すると共に弾性押圧部34aを圧接し、弾性支持片33、34の弾性押圧部33a、34aで弾性挟持している。なお、他の実施形態と同様にパネル2の空いた穴に取り付けてもよい。
【0034】
図9に第4実施形態の変形例を示す。
変形例では図示のように、ワイヤハーネス取付部分11を第1実施形態と同様に粘着テープで巻き付けるテープ巻き部とし、該ワイヤハーネス取付部分11から第4実施形態と同様な一対の弾性支持片33、34を突設したパネル仮止め部分22を設けている。前記弾性支持片33、34には互いに近接する方向に屈曲させた弾性押圧部33a、34aを設けている。
他の構成および作用は第4実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
図10に第5実施形態を示す。
第5実施形態では、仮置き部品40は粘着テープTでワイヤハーネス1に巻き付けて取り付けるタイプとし、かつ、テープ巻き部分とするワイヤハーネス取付部分41を延在させてワイヤハーネス1を囲む樋形状としたプロテクタ部43を設けている。該プロテクタ部43の一方の側壁43aからL形状に支持片42を突設し、該支持片42の突出側部42aを側壁43aと平行配置すると共に、先端に係止爪42bを設け、該支持片42との間にパネル仮止め部44を形成している。また、プロテクタ部43の他方の側壁43bからは車体係止用クリップ(図示せず)を突設したブラケット部45を設けている。さらに、ワイヤハーネス1を挿通した後にプロテクタ部43にかぶせる蓋48を設けている。
該第5実施形態は、言わば、プロテクタの側壁にL形状の支持片42からなるパネル仮止め部分44を突設した形状としている。
【0036】
この第5実施形態の仮置き部品40はワイヤハーネス1のプロテクタで保護および経路規制する必要がある領域にテープ巻きで取り付けている。パネル2に仮置きする際には空いている穴2hに支持片42を挿入して仮止めしている。パネル2にワイヤハーネス1を本固定する際には穴2hから支持片42を取り出して、プロテクタ部43で保護した部分を本来の配索領域に配索している。
【0037】
このように、ワイヤハーネス1に取り付ける必要があるプロテクタで、かつ、新規に金型を製作して製造する場合には、プロテクタに仮止め部分を設けておくことが好ましい。
【0038】
前記プロテクタに限定されず、ワイヤハーネスに取り付ける新規部品である場合、該部品の外面に前記第1〜第5実施形態のパネル仮止め部分を突設すると、パネルに簡単かつ確実に仮置きすることができる。
【0039】
また、前記実施形態では、いずれもインパネにインパネハーネスを仮置きしているが、ワイヤハーネスを自動車組み立てラインで車体パネルに直接に固定して配索する場合にも適用できる。即ち、該ワイヤハーネスに前記仮置き部品を取り付けておくと、ワイヤハーネスを車体パネルに沿ってクリップを介して固定していく配索時に、ワイヤハーネスの全体を車体パネルや車体パネルに沿って設置される大型部品の空いている穴や溝に前記仮置き部品のパネル仮止め部分を挿入して垂直面に仮置きしておくことができる。これにより、作業員が下方に垂れたワイヤハーネスを踏みつけて損傷が生じるのを防止できる。
【符号の説明】
【0040】
1 ワイヤハーネス
2 パネル(インストルメントパネル)
2h 穴
2s 周辺部
2e 端面
3 幹線
4A 支線
4B 枝線
6 クリップ
10、20、40 仮置き部品
11 ワイヤハーネス取付部分
12 パネル仮止め部分
12a、12b 支持片
12c 係止爪
30 クリップヘッド
33、34 弾性支持片
33a、34a 弾性押圧部
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤハーネス用の仮置き部品に関し、詳しくは、自動車に配索するワイヤハーネスを予め配索箇所に仮置きする際に、該配索箇所に着脱自在に係止してワイヤハーネスを仮置きできるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索するワイヤハーネスのうち、インストルメントパネルやコンソールパネル等の大型パネルに配索するワイヤハーネスは、前記大型パネルと共に搬送車で自動車組立ラインへ搬送される場合がある。該搬送時に、搬送車の荷台等にワイヤハーネスが巻き込まれる可能性があり、また、ワイヤハーネスが垂れ下がっているとワイヤハーネスの電線に接続したコネクタを作業員が踏み潰す恐れがあるため、大型パネル上に仮置きしてワイヤハーネスやコネクタが垂れ下がらないようにしている。自動車組立ラインでワイヤハーネスの大型パネルから仮置きを解き、前記インパネ等のパネルおよび車体パネルのクリップ穴に、ワイヤハーネスに取り付けているクリップを順次挿入係止してワイヤハーネスをパネルに本固定している。
【0003】
例えば、インストルメントパネル等の大型パネルへのワイヤハーネスの仮置きは、図11に示すように、ワイヤハーネスW/Hで輪W/H−Kをつくり、該輪をパネルPの適宜な突出部分Paに引っ掛け、該突出部分PaからワイヤハーネスW/Hが抜け出にくいように、荷姿止めテープTをワイヤハーネスW/Hに巻き付けて、前記輪W/H−Kが解けないようにし、ワイヤハーネスW/HのコネクタCを吊り上げて保持している。ワイヤハーネスの仮置き箇所に応じて、前記荷姿止めテープTの代わりに紐を巻き付けて結んだり、面ファスナーテープを用いる場合もある。あるいは、洗濯バサミを用いてワイヤハーネスとパネルとを挟持する場合もある。
【0004】
前記ワイヤハーネスの仮置き部品として用いられている粘着テープや紐は、伸びてワイヤハーネスが垂れ下がり、仮置き位置にしっかりと保持できない場合がある。また、粘着テープや紐等はワイヤハーネスがパネルに本固定される際に取り外す必要があり、取り外し作業が必要となり、かつ、これらがゴミとして自動車内に残留する場合もあり、管理、回収作業が必要となる問題がある。
【0005】
また、ワイヤハーネスを仮置きできるものとして、実公平4−28255号公報で、インストルメントパネルに取り付ける電子機器に接続されるワイヤハーネスを、インストルメントパネルに設けた溝に挿通し、該溝の形状でワイヤハーネスの余長部分を弛ませて仮保持するインストルメントパネルが提案されている。
しかしながら、インストルメントパネル等にワイヤハーネスを仮置きできる仮置き部分を設ける必要がある。該仮置き部分が無い既存のパネルにワイヤハーネスを仮置きする場合には、図11に示すようにテープや紐を用いなければならない。
【0006】
なお、インストルメントパネルやコンソールパネル等の自動車内に設置される大型パネルにワイヤハーネスを配索する場合に限らず、自動車の車体パネルのフロアパネルに沿って配索するフロアハーネスや、エンジンルーム内に配索するエンジンルームハーネス(所謂フロントハーネス)等のワイヤハーネスを、自動車組立ラインで車体パネルにクリップを介して固定して直接配索する場合にも、配索工程でワイヤハーネスが車体パネルからぶら下がら無いように車体パネル等にワイヤハーネスを仮置きすることが好ましい場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平4−28255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、パネル側にワイヤハーネスの仮置き部を設ける必要はなく、かつ、ワイヤハーネスを仮置き箇所にテープ、紐等を用いて仮置きせず、ワイヤハーネスをパネルにワンタッチで仮置き及び仮置き箇所から取り外しができる仮置き部品を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、車両に配索されるワイヤハーネスを、該車両に設置されるパネルあるいは車体パネルに仮置きするための樹脂成形品からなる仮置き部品であって、
前記ワイヤハーネスに粘着テープで巻き付けるテープ巻き部あるいはバンドを巻き付けて締結するタイバンド部からなるワイヤハーネス取付部分と、該ワイヤハーネス取付部分と連続して設けられるパネル仮止め部分とを備え、該パネル仮止め部分は先端に係止爪を設けた支持片または中間部に屈曲させた弾性押圧部を設けた支持片を備え、該支持片を前記パネルの空いた穴または溝に挿入して仮取付できる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用の仮置き部品を提供している。
【0010】
前記パネル仮止め部分は、車両に設置されるパネルまたは車体パネルの空いている適宜の穴または溝を利用して取り付けられるようにしている。
【0011】
前記パネル仮止め部分は、一対の支持片を対向して備え、
前記一対の支持片の一方は前記先端に係止爪を設けた支持片とし、
または、一対の支持片を弾性支持片とし、その中間部に互いに近接する方向へ屈曲させた前記弾性押圧部を設け、
前記一方の支持片を前記パネルの空きの穴または溝に挿入して、該穴周縁に前記係止爪を係止し、または前記穴または溝の内周面に前記弾性支持片の弾性押圧部を圧接し、
他方の前記支持片を前記パネルの空きの穴または溝と周辺部を挟んで位置するパネルの端面に沿って配置して、該周辺部を挟持する構成としている。
【0012】
即ち、前記一対の支持片の一方は前記先端に係止爪を設けた支持片とし、該支持片を前記パネルの空きの穴または溝に挿入して、該穴周縁に前記係止爪を係止する一方、他方の支持片を前記パネルの空きの穴または溝と周辺部を挟んで位置するパネルの端面に沿って配置して、該周辺部を挟持する構成としている。
または、一対の支持片の中間部に互いに近接する方向へ屈曲させた弾性押圧部を設けて、これら一対の支持片を弾性支持片とし、一方の弾性支持片の弾性押圧部で前記パネルの空いた穴または溝の内周面を圧接すると共に、他方の弾性支持片の弾性押圧部で前記パネルの空きの穴または溝と周辺部を挟んで位置するパネルの端面に沿って圧接させ、該周辺部を弾性押圧部で弾性挟持する構成としている。
ワイヤハーネス取付部分をタイバンド部とし、バンド締結用の本体部と該本体部から突出するバンドを備えた形状とする場合、前記本体部を前記パネル仮止め部分の一方の支持片として利用してもよい。
【0013】
パネル側にはクリップ取付穴、ボルト穴、他部材の挿通穴など他の目的で多数の穴や溝が設けられている。ワイヤハーネスの仮置き時に、これらの穴または溝は本来の用途にまだ用いられておらず、空き状態となっている場合が多い。よって、これらの空いた穴または溝があればワイヤハーネスの仮置き箇所として利用できる。
即ち、ワイヤハーネスは仮置きしておくだけであるため、ワイヤハーネスの仮置き位置は限定されず、パネルの穴があいている位置や溝がある位置にパネル仮止め部分を係止して取り付けることができる。
【0014】
本発明の仮置き部品は、ワイヤハーネスをパネルに本固定する際には、パネル仮止め部分はパネルの穴や溝から取り外される。仮置き位置から取り外された後に、仮置き部品をワイヤハーネスから取り外して回収し再利用しても良いが、ワイヤハーネスに取り付けたままにしておくと取り外し作業を不要にできる。いずれの場合も、ワイヤハーネスから外れたテープやバンドだけが車両内にゴミとして残留することはない。
かつ、粘着テープあるいはバンドを用いてワイヤハーネスに取り付けるため、ワイヤハーネス径が大小相違しても共用することができる。
【0015】
本発明の仮置き部品は、仮置きの目的のみに用いられる形状としてもよいし、パネルのクリップ取付穴に挿入係止してワイヤハーネスをパネルに本固定するクリップヘッドを一体に設けてもよい。この場合、言い換えれば、バンドクリップあるいはテープ巻きの基板型クリップに前記パネル仮止め部分が一体に設けられた構成となる。
該クリップ一体型とする場合、クリップ取付位置にバンドあるいは粘着テープを用いて仮置き部品を固定しており、仮置き時には、パネル仮止め部分を用いてパネルの適宜な空いた穴や溝に係止しておき、ワイヤハーネスをパネルに本固定する時には仮置き箇所から外して、本固定位置のクリップ穴に挿入係止するものとしている。
【0016】
さらに、前記ワイヤハーネス取付部分を延長して、ワイヤハーネスの保護および経路規制を行うプロテクタ部分を設けてもよい。具体的には、ワイヤハーネス取付部分に連続させてワイヤハーネスを挿通するプロテクタ部を設け、該プロテクタの側壁外面からL形状のパネル仮止め部分を突設し、前記プロテクタの側壁と平行となる前記パネル仮止め部分の突出側部を前記支持片とし、先端に係止爪を設けている。
言い換えれば、ワイヤハーネス用のプロテクタにパネル仮止め部分を設けている。
なお、プロテクタに限らず、ワイヤハーネスに組つけられるコネクタホルダー、コネクタカバー、小型電気接続箱のケース等の外面から前記パネル仮止め部分を突設してもよい。
【発明の効果】
【0017】
前述したように、本発明に係わるワイヤハーネス用の仮置き部品は、パネルの空いている穴あるいは溝があれば、どこにでもワンタッチで取り付けることができる。よって、パネル側にワイヤハーネスの仮置き用の部分を設ける必要はない。
また、本発明の仮置き部品のパネル仮止め部分は穴や溝にワンタッチで取り付けることが出来ると共に、仮置き状態でしっかりと保持でき、粘着テープで仮置き位置に保持している場合に粘着テープの伸びで発生するワイヤハーネスの垂れ下がりを防止できる。かつ、仮止め位置からワンタッチで取り外すこともできる。
さらに、ワイヤハーネスには粘着テープやバンドで取り付けるワイヤハーネス取付部分を設けているため、ワイヤハーネス径が相違しても共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の仮置き部品をインストルメントパネルハーネスに取り付けた状態を示す概略図である。
【図2】(A)は仮置き部品の斜視図、(B)は仮置き部品をワイヤハーネスに取り付けた状態の部分拡大斜視図である。
【図3】(A)は仮置き部品をパネルの穴に取り付けた状態を示す斜視図、(B)は縦断面図、(C)はパネルの穴と仮置き部品の仮止め部分との位置関係を示す図面である。
【図4】第2実施形態の仮置き部品を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図である。
【図5】第2実施形態の仮置き部品をワイヤハーネスに取り付けてパネルの穴に取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】第3実施形態の仮置き部品の断面図である。
【図7】第4実施形態の仮置き部品の斜視図である。
【図8】(A)は第4実施形態の仮置き部品をワイヤハーネスに取り付けた状態の斜視図、(B)は断面図である。
【図9】第4実施形態の変形例の仮置き部品をワイヤハーネスに取り付けた状態の斜視図である。
【図10】第5実施形態の仮置き部品の斜視図である。
【図11】従来例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3に第1実施形態のワイヤハーネス用の仮置き部品を示す。
第1実施形態のワイヤハーネス1は自動車のインストルメントパネル(以下、パネルと略称する)2に配索するインパネハーネスである。該インパネハーネスからなるワイヤハーネス1は多数の電線群からなり、幹線3から多数の支線4Aが分岐し、該支線4Aから枝線4Bが分岐し、各支線4Aや枝線4Bの端末にコネクタ5が接続されると共に、所要間隔をあけてパネル固定用のクリップ6が取り付けられている。該インパネハーネスは自動車に配索されるワイヤハーネスのうちでも大型のワイヤハーネスである。
【0020】
本実施形態のインパネハーネスからなるワイヤハーネス1は、パネル2に仮置きした状態で自動車組立ラインへと搬送される。仮置き状態において、自動車組立ラインでワイヤハーネス1をパネル2の本固定位置から移動させる必要が無い位置では、パネル2に設けたクリップ穴にワイヤハーネス1に取り付けたクリップ6を挿入係止して固定している。自動車組立ラインでワイヤハーネス1を移動させる必要がある領域ではワイヤハーネス1をパネル2に本固定しておらず、パネル2から簡単に取り外せる仮置き状態としている。
【0021】
ワイヤハーネス1には、パネル2に本固定されない比較的長い領域で且つパネルからワイヤハーネスがぶら下がり状態となる領域に、図2および図3に示す仮置き部品10をワイヤハーネス1に取り付けている。
該仮置き部品10は樹脂成形品からなり、L形状の基板15の一側部をワイヤハーネス取付部分11とし、他側部をパネル仮止め部分12としている。
ワイヤハーネス取付部分11の長方形状の平板部分をテープ巻き部分11aとし、その先端にテープ止めリブ11bを突設している。
他側部のパネル仮止め部分12では基板15から一対の支持片12a、12bを対向して突設している。外側の支持片12bの先端に係止爪12cを突設し、他方の支持片12aの根元に補強部12dを設けている。
【0022】
前記仮置き部品10は図2(B)に示すように、ワイヤハーネス取付部分11のテープ巻き部分11aをワイヤハーネス1の上面に乗せ、粘着テープTを巻き付けて固着している。
【0023】
仮置き部品10を所要位置に取り付けたワイヤハーネス1をパネル2に仮置きする際、係止爪12cを設けた一方の支持片12bをパネル2の空いている穴2hに挿入し、該穴2hの周縁に係止爪12cを係止する。他方の支持片12aを穴2hの周辺部2sを挟んでパネル2の端面2eに当接させる。これにより、支持片12aと12bで穴2hの周辺部2sを挟持すると共に、係止爪12cで穴2hに係止することで、パネル2に仮置き部品10を介してワイヤハーネス1が仮置きされる。
即ち、支持片12aと12bで丁度挟まれる周辺部2sを有する空いた穴2hがあれば、どこの穴でも仮置き部品10を取り付ける事ができる。
【0024】
搬送してきたパネル2を自動車内に設置した後、ワイヤハーネス1に取り付けたクリップ6をパネル2および車体パネルのクリップ穴に挿入係止して本固定していく。其の際、仮置き部品10のパネル仮止め部分12の係止爪12cを穴2hの周縁から外し、支持片12bを穴2hから抜き出すだけで、ワイヤハーネス1をパネル2の仮置き位置からワンタッチで外すことができる。
【0025】
パネル2の仮置き位置から取り外した仮置き部品10はワイヤハーネス1から取り外さずにつけたままにしておくことが好ましい。これは、取り外すためには粘着テープTを剥がす必要があり、作業工程が増えると共に、剥がされた粘着テープTがゴミとなって自動車内に残留して異音発生の要因になる恐れがあることによる。なお、粘着テープを剥がしてワイヤハーネスから取り外し、再利用しても良い事は言うまでもない。
【0026】
図4及び図5に第2実施形態の仮置き部品を示す。
第2実施形態の仮置き部品20はワイヤハーネス取付部分21をタイバンド部としている点が第1実施形態と相違する。
ワイヤハーネス取付部分21は、バンド締結用の四角筒状の本体部24と、該本体部24から突出するバンド25を備えたタイバンド部としている。ワイヤハーネス1に巻き付けたバンド25を挿通する貫通穴24aを本体部24内に設け、かつ、該貫通穴24aに向けて係止片(図示せず)を突設し、バンド25の係止溝25aに係止するようにしている。
【0027】
前記四角筒状の本体部24の左右側壁24cと24dを下向きに屈折させて基板26とし、該基板26の下端間を底板27で連結し、該底板27の前端よりパネル仮止め部分22となる支持片28を突設している。該支持片28の先端に係止爪29を突設すると共に、該支持片28を本体部24の下壁24fと平行配置している。即ち、本体部24は支持片28の対向する挟持部を構成するものとしている。
【0028】
前記仮置き部品20は図5に示すように、ワイヤハーネス1の下側に本体部24を配置し、バンド25をワイヤハーネス1に巻き付けた後に、本体部24の貫通穴に通して係止し、ワイヤハーネス1に固定している。
パネル2への仮置きは、係止爪29を設けた支持片28をパネル2の空いている穴2hに挿入し、該穴2hの周縁に係止爪29を係止する。他方の支持片に相当する本体部24を穴2hの周辺部2sを挟んでパネル2の端面2eに当接させる。これにより、支持片28と本体部24で穴2hの周辺部2sを挟持すると共に、係止爪29で穴2hに係止することで、パネル2に仮置き部品20を介してワイヤハーネス1は仮置きすることができる。
仮置き部品20の取り外し等は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
図6に第3実施形態を示す。
第3実施形態は、第2実施形態の仮置き部品20にパネル2に本固定するためのクリップヘッド30を一体に設けている。
即ち、前記基板26に背面板部32を設け、該背面板部32から車体係止用のクリップヘッド30を突設している。該クリップヘッド30は皿部34を背面板部32から突設し、皿部34の中央から軸部35を突設し、軸部35の先端から折り返し状に一対の羽根部36を突設し、羽根部36の先端に係止段部37を設けている。
仮置き部品20の他の構成は第2実施形態と同様でパネル仮止め部分22を備え、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
前記仮置き部品20は、ワイヤハーネス1のクリップ取付位置に予め前記バンド25を用いて締結して固定している。ワイヤハーネス1のパネル2への仮置き時には、ワイヤハーネス1にぶら下がりが発生しない位置で且つ空いた穴2hに支持片28を挿入して第2実施形態と同様に仮置きしている。仮置き位置から外して、ワイヤハーネス1をパネル2に本固定する際に、クリップヘッド30を所定の本固定用のクリップ穴に挿入係止している。
【0031】
なお、第1実施形態のテープ巻きタイプの仮置き部品にもクリップを突設してもよい。
また、クリップを予め一体成形して突設する代わりに、クリップ取付穴を設けておき、後付けでクリップをクリップ取付穴に取り付けてもよい。
【0032】
図7及び図8に第4実施形態を示す。
第4実施形態の仮置き部品20は第2実施形態と同様にワイヤハーネス取付部分21はタイバンド部としているが、パネル仮止め部分22の構成を変えている。
即ち、ワイヤハーネス取付部分21のバンド締結用の本体部24から一対の弾性支持片33、34を突設している。該弾性支持片33、34は対称的に湾曲した形状とすると共に中間部に互いに近接する方向に屈曲させた弾性押圧部33a、34aを設け、該弾性押圧部33a、34aの間で挟持するようにしている。
【0033】
該仮置き部品20のパネル2への取り付けは、パネル2の溝2mに一方の弾性支持片33を挿入して、弾性押圧部33aを溝2mの内周面に圧接し、他方の弾性支持片34を溝2mと周辺部2sを挟んで対向するパネル2の端面2eに沿って配置すると共に弾性押圧部34aを圧接し、弾性支持片33、34の弾性押圧部33a、34aで弾性挟持している。なお、他の実施形態と同様にパネル2の空いた穴に取り付けてもよい。
【0034】
図9に第4実施形態の変形例を示す。
変形例では図示のように、ワイヤハーネス取付部分11を第1実施形態と同様に粘着テープで巻き付けるテープ巻き部とし、該ワイヤハーネス取付部分11から第4実施形態と同様な一対の弾性支持片33、34を突設したパネル仮止め部分22を設けている。前記弾性支持片33、34には互いに近接する方向に屈曲させた弾性押圧部33a、34aを設けている。
他の構成および作用は第4実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
図10に第5実施形態を示す。
第5実施形態では、仮置き部品40は粘着テープTでワイヤハーネス1に巻き付けて取り付けるタイプとし、かつ、テープ巻き部分とするワイヤハーネス取付部分41を延在させてワイヤハーネス1を囲む樋形状としたプロテクタ部43を設けている。該プロテクタ部43の一方の側壁43aからL形状に支持片42を突設し、該支持片42の突出側部42aを側壁43aと平行配置すると共に、先端に係止爪42bを設け、該支持片42との間にパネル仮止め部44を形成している。また、プロテクタ部43の他方の側壁43bからは車体係止用クリップ(図示せず)を突設したブラケット部45を設けている。さらに、ワイヤハーネス1を挿通した後にプロテクタ部43にかぶせる蓋48を設けている。
該第5実施形態は、言わば、プロテクタの側壁にL形状の支持片42からなるパネル仮止め部分44を突設した形状としている。
【0036】
この第5実施形態の仮置き部品40はワイヤハーネス1のプロテクタで保護および経路規制する必要がある領域にテープ巻きで取り付けている。パネル2に仮置きする際には空いている穴2hに支持片42を挿入して仮止めしている。パネル2にワイヤハーネス1を本固定する際には穴2hから支持片42を取り出して、プロテクタ部43で保護した部分を本来の配索領域に配索している。
【0037】
このように、ワイヤハーネス1に取り付ける必要があるプロテクタで、かつ、新規に金型を製作して製造する場合には、プロテクタに仮止め部分を設けておくことが好ましい。
【0038】
前記プロテクタに限定されず、ワイヤハーネスに取り付ける新規部品である場合、該部品の外面に前記第1〜第5実施形態のパネル仮止め部分を突設すると、パネルに簡単かつ確実に仮置きすることができる。
【0039】
また、前記実施形態では、いずれもインパネにインパネハーネスを仮置きしているが、ワイヤハーネスを自動車組み立てラインで車体パネルに直接に固定して配索する場合にも適用できる。即ち、該ワイヤハーネスに前記仮置き部品を取り付けておくと、ワイヤハーネスを車体パネルに沿ってクリップを介して固定していく配索時に、ワイヤハーネスの全体を車体パネルや車体パネルに沿って設置される大型部品の空いている穴や溝に前記仮置き部品のパネル仮止め部分を挿入して垂直面に仮置きしておくことができる。これにより、作業員が下方に垂れたワイヤハーネスを踏みつけて損傷が生じるのを防止できる。
【符号の説明】
【0040】
1 ワイヤハーネス
2 パネル(インストルメントパネル)
2h 穴
2s 周辺部
2e 端面
3 幹線
4A 支線
4B 枝線
6 クリップ
10、20、40 仮置き部品
11 ワイヤハーネス取付部分
12 パネル仮止め部分
12a、12b 支持片
12c 係止爪
30 クリップヘッド
33、34 弾性支持片
33a、34a 弾性押圧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配索されるワイヤハーネスを、該車両に設置されるパネルあるいは車体パネルに仮置きするための樹脂成形品からなる仮置き部品であって、
前記ワイヤハーネスに粘着テープで巻き付けるテープ巻き部あるいはバンドを巻き付けて締結するタイバンド部からなるワイヤハーネス取付部分と、該ワイヤハーネス取付部分と連続して設けられるパネル仮止め部分とを備え、
前記パネル仮止め部分は、先端に係止爪を設けた支持片または中間部に屈曲させた弾性押圧部を設けた支持片を備え、該支持片を前記パネルの空いた穴または溝に挿入して仮取付できる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用の仮置き部品。
【請求項2】
前記パネル仮止め部分は、一対の支持片を対向して備え、
前記一対の支持片の一方は前記先端に係止爪を設けた支持片とし、
または、一対の支持片を弾性支持片とし、その中間部に互いに近接する方向へ屈曲させた前記弾性押圧部を設け、
前記一方の支持片を前記パネルの空きの穴または溝に挿入して、該穴周縁に前記係止爪を係止し、または前記穴または溝の内周面に前記弾性支持片の弾性押圧部を圧接し、
他方の前記支持片を前記パネルの空きの穴または溝と周辺部を挟んで位置するパネルの端面に沿って配置して、該周辺部を挟持する構成としている請求項1に記載のワイヤハーネス用の仮置き部品。
【請求項3】
前記ワイヤハーネス取付部分または該ワイヤハーネス取付部分と前記パネル仮止め部分の連結部分から突設される本固定用のクリップヘッドを備えている請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス用の仮置き部品。
【請求項4】
前記ワイヤハーネス取付部分に連続させてワイヤハーネスを挿通するプロテクタ部を設け、該プロテクタの側壁外面からL形状のパネル仮止め部分を突設し、前記プロテクタの側壁と平行となる前記パネル仮止め部分の突出側部を前記支持片とし、先端に係止爪を設けている請求項1に記載のワイヤハーネス用の仮置き部品。
【請求項1】
車両に配索されるワイヤハーネスを、該車両に設置されるパネルあるいは車体パネルに仮置きするための樹脂成形品からなる仮置き部品であって、
前記ワイヤハーネスに粘着テープで巻き付けるテープ巻き部あるいはバンドを巻き付けて締結するタイバンド部からなるワイヤハーネス取付部分と、該ワイヤハーネス取付部分と連続して設けられるパネル仮止め部分とを備え、
前記パネル仮止め部分は、先端に係止爪を設けた支持片または中間部に屈曲させた弾性押圧部を設けた支持片を備え、該支持片を前記パネルの空いた穴または溝に挿入して仮取付できる構成としていることを特徴とするワイヤハーネス用の仮置き部品。
【請求項2】
前記パネル仮止め部分は、一対の支持片を対向して備え、
前記一対の支持片の一方は前記先端に係止爪を設けた支持片とし、
または、一対の支持片を弾性支持片とし、その中間部に互いに近接する方向へ屈曲させた前記弾性押圧部を設け、
前記一方の支持片を前記パネルの空きの穴または溝に挿入して、該穴周縁に前記係止爪を係止し、または前記穴または溝の内周面に前記弾性支持片の弾性押圧部を圧接し、
他方の前記支持片を前記パネルの空きの穴または溝と周辺部を挟んで位置するパネルの端面に沿って配置して、該周辺部を挟持する構成としている請求項1に記載のワイヤハーネス用の仮置き部品。
【請求項3】
前記ワイヤハーネス取付部分または該ワイヤハーネス取付部分と前記パネル仮止め部分の連結部分から突設される本固定用のクリップヘッドを備えている請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス用の仮置き部品。
【請求項4】
前記ワイヤハーネス取付部分に連続させてワイヤハーネスを挿通するプロテクタ部を設け、該プロテクタの側壁外面からL形状のパネル仮止め部分を突設し、前記プロテクタの側壁と平行となる前記パネル仮止め部分の突出側部を前記支持片とし、先端に係止爪を設けている請求項1に記載のワイヤハーネス用の仮置き部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−245974(P2011−245974A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121011(P2010−121011)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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