説明

三次元形状測定方法および装置

【課題】三次元形状測定方法および装置において、例えば、ハレーション等の被測定物の表面の反射特性による反射光のノイズ成分を低減し、被測定物の表面の測定不能域を低減することができるようにする。
【解決手段】三次元形状測定装置100は、被測定物1にパターン光12bを投影するプロジェクタ2と、パターン光12bが投影された被測定物1を撮像して、被測定物1の表面からの反射光画像を取得するCCDカメラ3と、反射光画像から被測定物1の三次元形状を算出する演算部4と、被測定物1とCCDカメラ3との間に配置された偏光フィルタ9と、プロジェクタ2と被測定物1との間に配置された偏光フィルタ7とを備え、偏光フィルタ7、9は、透過軸の方向を調整可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状測定方法および装置に関する。例えば、被測定物に形状測定用のパターン光を投影して、被測定物の表面からの反射光による反射光画像を取得し、この反射光画像から被測定物の三次元形状を算出する三次元形状測定方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元形状測定方法および装置には、被測定物に形状測定用のパターン光を投影し、このパターン光が投影された被測定物の表面からの反射光による反射光画像を取得し、三角測量の原理に基づいてこの反射光画像から三次元形状を算出する、というものが知られている。
このような三次元形状測定方法および装置として、例えば、特許文献1には、形状測定用のパターン光としてストライプ状の光パターンたる二値化投影パターンを何種類も投影することにより、当該ストライプ状の光パターンを投影された被測定物上の一点を観察していると、その観察している一点に投影された光線が点滅して符号(コード)形成するようになり、そのコードを利用して被測定物の三次元形状を測定するという、所謂、空間コード化法に基づく三次元形状測定方法および装置が記載されている。
こうした空間コード化法においては,コードが示す値と光線の方向は一対一の関係で対応しており,被測定物上における光点の位置から観察位置の視線の方向が分かり,またその光点のコードが示す値から光線の方向が分かるので,三角測量の原理により被測定物上における全ての光点までの距離を求めることができ、これにより被測定物の三次元形状を非接触で測定することができる。
また、特許文献1には、複数の露光時間パターンで二値化投影パターンによる反射光画像を撮像して、それらの画像を合成することにより、被測定物の表面に輝度値の差が大きい色が混在する場合でもスリットパターンの輝度差が画像全域で得られるようにし、その結果、被測定物の表面色の輝度差に依存しない安定した計測結果を得ることができる三次元形状測定方法および装置も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−315864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の三次元形状測定方法および装置には、以下のような問題がある。
特許文献1に記載の技術では、被測定物の表面色の輝度差があっても安定した測定が行えるものの、表面に光沢面が存在する場合に発生するハレーションの影響を除去することはできない。このため、被測定物の光沢面での反射光画像において、十分な輝度差を有するパターン光を取得できず、結果として光沢面の三次元形状を測定することができないという問題がある。
例えば、特許文献1の図2に示された被測定物の人形の写真では、おでこ(額)付近に、光沢面の影響によるハレーションと推測される高輝度部が見受けられるが、特許文献1の図18に示された対応箇所の測定結果では三次元形状が復元されていない。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、例えば、ハレーション等の被測定物の表面の反射特性による反射光のノイズ成分を低減し、被測定物の表面の測定不能域を低減することができる三次元形状測定方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の三次元形状測定方法は、被測定物に形状測定用のパターン光を投影して、前記被測定物の表面からの反射光による反射光画像を取得し、該反射光画像から前記被測定物の三次元形状を算出する三次元形状測定方法であって、前記形状測定用のパターン光および前記被測定物の表面からの反射光の少なくともいずれかを偏光光学素子に通してから、前記反射光画像を取得する方法とする。
この発明によれば、形状測定用のパターン光および被測定物の表面からの反射光の少なくともいずれかを偏光光学素子に通してから、反射光画像を取得するので、反射光画像における被測定物の表面での反射によって偏光された成分の反射光の光量を偏光方向によって規制することができる。このため、例えば、被測定物の反射光から、被測定物の光沢面などで反射されることにより偏光された反射光を除去または低減でき、所謂ハレーション等のノイズ成分を除去または低減することができる。
【0007】
また、本発明の三次元形状測定方法では、前記形状測定用のパターン光に偏光を用い、前記偏光光学素子の透過軸の方向を、前記被測定物の表面で反射されて偏光された反射光の最も大きい光量成分を有する偏光軸の方向と交差するように調整してから、前記反射光画像を取得することが好ましい。
この場合、被測定物の表面で反射され、これにより偏光された反射光の最も大きい光量成分を有する偏光軸の方向の交差するように偏光光学素子の透過軸の方向を調整するので、偏光された反射光を低減することができ、ノイズ成分の影響が低減された反射光画像を取得することができる。
【0008】
また、本発明の偏光光学素子の透過軸の方向を調整する三次元形状測定方法では、前記偏光光学素子の透過軸の方向と前記被測定物の表面で反射された前記反射光の前記偏光軸の方向とが交差する角度を、90°に調整することが好ましい。
この場合、被測定物の表面で反射され、これにより偏光された反射光の最も大きい光量成分を有する偏光軸の方向と90°に交差するように偏光光学素子の透過軸の方向を調整するので、偏光された反射光が除去され、ノイズ成分の影響が最小化された反射光画像を取得することができる。
【0009】
本発明の三次元形状測定装置は、被測定物に形状測定用のパターン光を投影する投影部と、前記投影部により前記形状測定用のパターン光が投影された被測定物を撮像して、前記被測定物の表面からの反射光による反射光画像を取得する撮像部と、該撮像部が取得した前記反射光画像から前記被測定物の三次元形状を算出する演算部と、前記被測定物と前記撮像部との間に配置され、前記被測定物の表面からの反射光の透過率を偏光方向に応じて規制する偏光光学素子とを備え、該偏光光学素子は、透過軸の方向を調整可能に設けられている構成とする。
この発明によれば、投影部によって、被測定物に形状測定用のパターン光を投影し、被測定物の表面からの反射光を、第1の偏光光学素子の透過軸の方向を調整することによって偏光方向に応じて透過させることができる。このため、被測定物の表面で反射されて偏光された反射光の輝度を調整した状態で、撮像部によって反射光画像を取得することができる。そして、演算部によって、撮像部で取得された反射光画像から被測定物の三次元形状を算出することができる。
【0010】
また、本発明の三次元形状測定装置では、前記偏光光学素子は、表面に反射防止構造が設けられていることが好ましい。
この場合、偏光光学素子の表面に反射防止構造が設けられているため、偏光光学素子の表面で反射され被測定物側に戻る光を低減することができる。このため、被測定物の表面でノイズとなる光を低減することができる。
【0011】
本発明の他の三次元形状測定装置は、被測定物に形状測定用のパターン光を投影する投影部と、前記投影部により前記形状測定用のパターン光が投影された被測定物を撮像して、前記被測定物の表面からの反射光による反射光画像を取得する撮像部と、該撮像部が取得した前記反射光画像から前記被測定物の三次元形状を算出する演算部と、前記被測定物と前記撮像部との間に配置され、前記被測定物の表面からの反射光の透過率を偏光方向に応じて規制する第1の偏光光学素子と、前記投影部と前記被測定物との間に配置され、前記被測定物へ投影される投影光の透過率を偏光方向に応じて規制する第2の偏光光学素子とを備え、前記第1の偏光光学素子および前記第2の偏光光学素子のうち少なくともいずれかは、透過軸の方向を調整可能に設けられている構成とする。
この発明によれば、投影部によって、被測定物に向けて形状測定用のパターン光を投影すると、パターン光は第2の偏光光学素子によって偏光されてから被測定物に投影される。そして、被測定物の表面からの反射光を、第1の偏光光学素子の透過軸の方向を調整することによって偏光方向に応じて透過させることができる。このため、被測定物の表面で反射されることで偏光された反射光の輝度を調整した状態で、撮像部によって反射光画像を取得することができる。そして、演算部によって、撮像部で取得された反射光画像から被測定物の三次元形状を算出することができる。
【0012】
また、本発明の他の三次元形状測定装置では、前記第1および第2の偏光光学素子は、表面に反射防止構造が設けられていることが好ましい。
この場合、第1および第2の偏光光学素子の表面に反射防止構造が設けられているため、第1および第2の偏光光学素子の表面で反射され被測定物側に戻る光を低減することができる。このため、被測定物の表面でノイズとなる光を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の三次元形状測定方法および装置によれば、被測定物の表面での反射により偏光された反射光の影響を低減した反射光画像を取得できるので、例えば、ハレーション等の被測定物の表面の反射特性による反射光のノイズ成分を低減し、被測定物の表面の測定不能域を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置の偏光光学素子および透過軸調整機構の正面図、およびそのA−A断面図である。
【図3】被測定物の一例を示す写真である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定方法の測定原理を説明する模式図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置によって形状測定用のパターン光が照射された被測定物の一例を示す拡大写真、およびこの被測定物の三次元形状の算出結果を示す画像である。
【図6】比較例の三次元形状測定装置によって形状測定用のパターン光が照射された被測定物の一例を示す拡大写真、およびこの被測定物の三次元形状の算出結果を示す画像である。
【図7】三次元形状測定可能な反射光画像を示す模式図、および三次元形状測定ができない反射光画像を示す模式図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置および比較例の装置によって形状測定用のパターン光が照射された被測定物の他例を示す写真である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る三次元形状測定装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る三次元形状測定方法の測定原理を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0016】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置の概略構成を示す模式的な構成図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置の偏光光学素子および透過軸調整機構の正面図である。図2(b)は、図2(a)におけるA−A断面図である。
【0017】
本実施形態の三次元形状測定装置100は、被測定物に形状測定用のパターン光を投影して、被測定物からの反射光による反射光画像を取得し、この反射光画像から被測定物の三次元形状を算出するものであり、図1に示すように、被測定物1を保持するテーブル5の上方に配置されている。
被測定物1としては、種々の凹凸形状の組合せからなる三次元形状を有する適宜の部材を採用することができる。被測定物1の表面1aは、散乱面であっても光沢面であってもよい。
例えば、被測定物1として射出成形された樹脂部品を採用して、三次元形状を測定することができる。この場合、樹脂部品の三次元形状を設計に用いた三次元CADデータなどと比較して、成形不良の有無などを検査することが可能となる。樹脂部品の金型は、鏡面仕上げされている場合が多いので、多くの樹脂部品の表面は光沢面になっている。また、例えばカバーなどの外装に用いる樹脂部品は表面に塗装等を施して着色したり表面光沢を増したりする場合がある。
【0018】
三次元形状測定装置100の概略構成は、テーブル5上に保持された被測定物1に形状測定用のパターン光を投影するプロジェクタ2(投影部)と、プロジェクタ2により形状測定用のパターン光が投影された被測定物1を撮像して被測定物1からの反射光による反射光画像を取得するCCDカメラ3(撮像部)と、プロジェクタ2およびCCDカメラ3の動作を制御するとともにCCDカメラ3で撮像された反射光画像から被測定物1の三次元形状を算出する演算部4とを備える。
CCDカメラ3および演算部4には、モニタ15が電気的に接続され、CCDカメラ3で撮像された画像や、演算部4の演算結果などが表示できるようになっている。
プロジェクタ2の投影光の光軸とCCDカメラ3の撮像光軸とは、一定の角度で斜めに交差されている。
【0019】
被測定物1とCCDカメラ3との間には、被測定物1からの反射光の透過率を偏光方向に応じて規制する偏光フィルタ9(第1の偏光光学素子)が配置されている。
本実施形態の偏光フィルタ9は、図2(a)、(b)に示すように、円板状とされ、被測定物1側の表面には、反射防止構造として反射防止膜9aが設けられている。
偏光フィルタ9の外周部は、略円環状の偏光フィルタホルダ8の一端側に嵌め込まれて固定されている。偏光フィルタホルダ8の他端側は、CCDカメラ3に対してその光軸と同軸に設けられた円筒状の回転保持部11に、回転可能かつ回転位置で停止可能に摩擦嵌合されている。
これにより、例えば、偏光フィルタホルダ8の外周側を手で回すなどして、回転保持部11に対して偏光フィルタホルダ8を回転させ、適宜位置で回転を停止することできる。この結果、偏光フィルタホルダ8に固定された偏光フィルタ9の透過軸9bは、CCDカメラ3の光軸回りに回転され、偏光フィルタ9に入射する被測定物1からの反射光の偏光軸に対する角度を調整することができるようになっている。
すなわち、本実施形態では、偏光フィルタホルダ8および回転保持部11は、被測定物1からの反射光の偏光軸に対して、偏光フィルタ9の透過軸9bの方向を調整する第1の透過軸調整機構を構成している。
【0020】
また、プロジェクタ2と被測定物1との間には、プロジェクタ2から被測定物1に投影される投影光の透過率を偏光方向に応じて規制する偏光フィルタ7(第2の偏光光学素子)が配置されている。
本実施形態の偏光フィルタ7は、図2(a)、(b)に示すように、円板状とされ、被測定物1側の表面には、反射防止構造として反射防止膜7aが設けられている。
偏光フィルタ7の外周部は、略円環状の偏光フィルタホルダ6の一端側に嵌め込まれて固定されている。偏光フィルタホルダ6の他端側は、プロジェクタ2に対してその光軸と同軸に設けられた円筒状の回転保持部10に、回転可能かつ回転位置で停止可能に摩擦嵌合されている。
これにより、例えば、偏光フィルタホルダ6の外周側を手で回すなどして、回転保持部10に対して偏光フィルタホルダ6を回転させ、適宜位置で回転を停止することできる。この結果、偏光フィルタホルダ6に固定された偏光フィルタ7の透過軸7bは、プロジェクタ2の光軸回りに回転され、偏光フィルタ7に入射するプロジェクタ2からの投影光の偏光方向を透過軸7bに沿う方向に偏光させ、投影光の偏光軸の方向を調整することができるようになっている。
すなわち、本実施形態では、偏光フィルタホルダ6および回転保持部10は、偏光フィルタ7の透過軸7bの方向を調整する第2の透過軸調整機構を構成している。
【0021】
演算部4が行う動作制御としては、プロジェクタ2から投影する形状測定用のパターン光のパターン形状の制御と、このパターン光の切り換えタイミングに同期して、CCDカメラ3で撮像された反射光画像の画像データを取得する制御が挙げられる。
【0022】
例えば、プロジェクタ2が、液晶表示素子などの空間変調素子を備え、この空間変調素子によって照明光を空間変調して複数の形状測定用のパターン光を形成する場合、空間変調素子に対する複数の変調データを生成して、順次、プロジェクタ2に送出する。
形状測定用のパターン光のパターンの例としては、空間コード化法を用いる場合、被測定物1の画像領域を分割して各画像領域に空間コードを付与できるように、縞ピッチが切り換えられた格子縞パターン群を採用することができる。
なお、形状測定用には使用しないが、プロジェクタ2に変調を無効にする変調データを設定することで、空間的な輝度差のない均一照明のパターン光が生成され、被測定物1を照明することができる。
【0023】
また、演算部4が行う演算としては、公知技術である空間コード化法、位相シフト法、モアレ法などを用いて被測定物1の三次元形状を算出する演算、およびこの算出結果をモニタ15上に3D表示する画像データを生成する演算等を挙げることができる。
空間コード化法により三次元形状を算出する演算としては、公知の適宜の演算を採用することができる。例えば、特開2007−315864号公報に開示された演算等を採用することができる。
演算部4の装置構成は、本実施形態では、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などからなるコンピュータで構成される。上記の各制御動作および演算は、このコンピュータにより適宜の制御プログラム、演算プログラムを実行することで実現している。
【0024】
次に、三次元形状測定装置100の動作について、本実施形態の三次元形状測定方法とともに説明する。
図3は、被測定物の一例を示す写真である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定方法の測定原理を説明する模式図である。図5(a)は、本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置によって形状測定用のパターン光が照射された被測定物の一例を示す拡大写真である。図5(b)は、図5(a)に示す被測定物の三次元形状の算出結果を示す画像である。図6(a)は、比較例の三次元形状測定装置によって形状測定用のパターン光が照射された被測定物の一例を示す拡大写真である。図6(b)は、図6(a)に示す被測定物の三次元形状の算出結果を示す画像である。図7(a)は、三次元形状測定可能な反射光画像を示す模式図である。図7(b)は、三次元形状測定ができない反射光画像を示す模式図である。図8(a)は、本発明の第1の実施形態に係る三次元形状測定装置によって形状測定用のパターン光が照射された被測定物の他例を示す写真である。図8(b)は、比較例の三次元形状測定装置によって形状測定用のパターン光が照射された被測定物の他例を示す写真である。
【0025】
三次元形状測定装置100によって、被測定物1の三次元形状測定を行うには、まず、図1に示すように、テーブル5上に被測定物1を配置する。
次に、偏光フィルタ9の透過軸9bの方向の位置調整を行う。
このため、プロジェクタ2から変調を無効化したパターン光12bを照射し、これを照明としてCCDカメラ3で撮影する。すなわち、プロジェクタ2では、図4に示すように、演算部4からの変調を無効化する変調データに基づき、光源から投射される光を空間変調素子で変調することなく略均一照明となっているパターン光12aを、テーブル5上の被測定物1に向けて投射する。
ここで、図4は模式図のため、図示を簡略化し、表面1aを拡大して平面状に描いている。
【0026】
パターン光12aは、偏光フィルタ7を透過し、偏光フィルタ7の透過軸7bに沿う方向に偏光されたパターン光12bとして、被測定物1に投影される。
パターン光12bは、被測定物1の表面1aの反射特性に応じて、種々の方向に放射状に散乱反射され全体として無偏光の散乱反射光13aと、フレネルの法則によって反射されるため偏光された偏光反射光14とが混在したものとなる。表面1aの光沢が強いほど、偏光反射光14の割合が多くなる。
これら散乱反射光13aと偏光反射光14とは、偏光フィルタ9を透過して、偏光フィルタ9の透過軸9bに沿う方向の偏光がCCDカメラ3に入射する。CCDカメラ3に入射した光は、CCDカメラ3の撮像素子によって光電変換され、被測定物1からの反射光による反射光画像としてモニタ15に表示される。
【0027】
一例として、図3には、樹脂成形されてから表面が光沢塗装された部材を組み立てて、全体として凸曲面をなす三次元形状とされたマウスを被測定物1として配置し、プロジェクタ2から変調を無効化したパターン光12bを照射し、これを照明としてCCDカメラ3で撮影した画像を示す。
被測定物1の表面のほとんどは光沢面であるため、例えば、図3のB部に顕著に見られるように、一部に高輝度の反射光が集中してぎらつき、白っぽく見えている。このような反射光ノイズは、ハレーションと呼ばれている。
なお、被測定物1上の複数の白丸画像は、三次元形状測定とは異なる目的の実験用に設けられたもので、マウスの製品形状や以下の三次元形状測定とはまったく関係がない。
【0028】
ここで、偏光フィルタホルダ8を回転させると、透過軸9bが回転し、反射光の偏光方向に応じて、モニタ15に表示される反射光画像が変化する。散乱反射光13aは、無偏光であるため、透過軸9bが回転しても偏光フィルタ9を透過した散乱反射光13bによる反射光画像は変化しないが、偏光反射光14は偏光しているので、透過軸9bの方向によって偏光フィルタ9に対する透過率が変化する。
そこで、測定者は、モニタ15に表示される画像を見ながら偏光フィルタホルダ8を回転させ、ハレーションの領域の大きさの変化を確認し、ハレーションの領域が最小となる位置で、偏光フィルタホルダ8の回転を停止する。
特に、透過軸9bの方向が、偏光反射光14の偏光軸の方向と90°に交差する方向、すなわち、クロスニコルの状態にすると、偏光反射光14の透過率が略0%となり、偏光反射光14の影響を略完全に除去することができるため好ましい。
偏光反射光14の偏光軸の方向が予め分かっている場合には、上記の調整を行うことなく、偏光フィルタホルダ8の回転量を測って、偏光反射光14の偏光軸と透過軸9bとが90°で交差する方向に合わせておけばよい。
【0029】
この状態で、一旦、被測定物1およびテーブル5を外し、偏光フィルタホルダ6、8の位置を固定した状態で、従来の三次元形状測定装置と同様に、公知のキャリブレーションを実施する。
その後、再度テーブル5を据え付け、テーブル5の上に被測定物1を固定する。
【0030】
次に、演算部4は、プロジェクタ2によって一定の形状測定用のパターン光を形成するための変調データをプロジェクタ2に送出する。本実施形態では、ピッチw、幅w/2で、直線とスペースが一定方向に反復される格子縞パターンの変調データを送出する。
プロジェクタ2では、演算部4からの変調データに基づき、光源から投射される光を空間変調素子で変調し、図4に示すように、テーブル5上の被測定物1に向けて、格子縞パターンのパターン光12aを投射する。
パターン光12aは、偏光フィルタ7を透過し、偏光フィルタ7の透過軸7bに沿う方向に偏光された格子縞パターンのパターン光12bとして、被測定物1に投影される。
【0031】
パターン光12bは、散乱反射光13aと偏光反射光14とに分かれ、偏光フィルタ9を透過して、偏光フィルタ9の透過軸9bに沿う方向の偏光がCCDカメラ3に入射する。CCDカメラ3に入射した光は、CCDカメラ3の撮像素子によって光電変換され、被測定物1からの反射光による反射光画像としてモニタ15に表示されるとともに、演算部4に送出されて演算処理される。
【0032】
なお、本実施形態では、偏光フィルタ7、9の被測定物1側の表面には、それぞれ反射防止膜7a、9aが設けられているので、表面1aからの散乱反射光13a、偏光反射光14に対する偏光フィルタ7、9の表面の反射率は十分低くなっている。このため、偏光フィルタ7、9の表面から被測定物1側に反射される光が表面1aで再反射されることによって生じるノイズ光成分は極めて小さい。
【0033】
例えば、図5(a)に示す画像は、透過軸9bの方向を偏光反射光14の偏光軸の方向と90°に交差する方向に調整して、ハレーションが最小となるように調整したときの被測定物1の反射光画像である。ただし、見易さのため、図3のB部の範囲を、図3に示す視点とはややずらした視点から撮影した写真を示している。
このように図5(a)のC部では、ハレーションがほとんどなく、良好な輝度差を有する格子縞パターンの画像が観察される。
【0034】
演算部4では、このようにして取得された反射光画像を用いて、被測定物1の三次元形状を算出し、算出結果をモニタ15に表示する。
空間コード化法では、反射光画像を演算部4に記憶して、各画像領域の明暗を、例えば、0、1などで記録する。そして、次に、形状測定用のパターン光の格子縞ピッチwをw/2、w/4、…というように順次細分化したパターン光12bを生成して、それぞれ上記の作業を繰り返し、各画像領域に0、1の並びからなる空間コードを算出する。
そして、同一の空間コードが付与された画素の座標を調べることで、格子縞の変形を検出する。この変形量は、プロジェクタ2とCCDカメラ3との相対的な位置関係から三角測量の原理を用いて、三次元空間上の位置座標に換算される。
【0035】
このようにして、算出された被測定物1の三次元形状は、例えば、三次元CADデータなどの設計データと比較され、形状検査などに活用することができる。
また、演算部4は、三次元形状を、例えばポリゴンなどの3D表示技術を用いて、モニタ15上に表示する。
図5(b)は、三次元形状測定装置100によって測定された被測定物1の三次元形状の一例である。図示で薄い灰色の曲面が算出された三次元形状を示す。背景色と同じ部分は、パターン光による輝度差を有する反射光画像が取得されないため、三次元形状が算出されなかった箇所である。本例では、このような計算不能箇所は、溝部などの暗部が多いことが分かる。
一方、図3のB部のように、強いハレーションが発生している箇所に対応する部分(図5(b)のD部参照)では、強いハレーションがあっても良好な測定結果が得られていることが分かる。
【0036】
本実施形態の効果を評価するため、比較例として、三次元形状測定装置100から偏光フィルタ7、9を除去した装置によって、上記と同様に三次元形状測定を行った。
図5(a)、(b)にそれぞれ対応する被測定物1の反射光による反射光画像、および三次元形状測定結果を、図6(a)、(b)に示す。
図6(b)に示すように、比較例の三次元形状測定結果は、図5(b)と比べて灰色部分が格段に少なく、正確に三次元形状が測定されている部分が全体的に少なくなっている。これは、被測定物1の略全体が光沢面であることと関連している。
例えば、光沢面の影響によりハレーションが顕著な図3のB部に対応する、C部を比較すると、図5(a)のC部では、ハレーションがほとんどなく、良好な輝度差を有する格子縞パターンの画像が観察される。一方、図6(a)のC部では、ハレーションにより高輝度部が形成され、格子縞がとぎれた画像になっている。
【0037】
この違いを模式的に表すと、図5(a)のC部では、図7(a)に示すように、ほぼ散乱反射光13bのみによって、等幅w/2の明部であるライン画像L1、L2、L3、L4の間に、等幅w/2の暗部であるスペース画像S1、S2、S3、S4が形成されている。一方、図6(a)のC部では、図7(b)に示すように、ライン画像L1、L2、L3、L4の一部に偏光反射光14が重畳されて線幅が太り、この結果、スペース画像S1、S4が細り、スペース画像S2、S3はとぎれている。
【0038】
例えば、図7(a)、(b)の反射光画像上の点Pを考えると、空間コード化の際、図7(a)の点Pは暗部のため、例えば0が付与され、図7(b)の点Pは明部のため、例えば1が付与される。次に、格子縞のピッチを細分化していくと、図7(a)では、規則的に明暗が交替して任意の点が空間コード化される。
一方、図7(b)では、点Pの近傍の点は、格子縞のピッチを細分化していっても、明部のままなので正しい空間コードを付与することができなくなる。このため、比較例の反射光画像では、点Pの近傍のようにハレーションが顕著な部位では三次元形状測定が困難になる。
【0039】
なお、図5(a)、図6(a)では、貼り付けた画像の階調不足で潰れて見えるため、より明確な差異が観察できる他例を、図8(a)、(b)に示す。この被測定物は、電話機の受話部の外装体である。
本実施形態の三次元形状測定装置100による反射光画像である図8(a)では、全体にわたって、輝度差を有する格子縞パターンの画像が取得されているのに対して、比較例の装置で取得した図8(b)に示す反射光画像では、E部のように、顕著なハレーションによって、良好な輝度差を有する格子縞パターンの画像が得られていない。
【0040】
このように、三次元形状測定装置100では、偏光フィルタ7を用いて形状測定用のパターン光12bに偏光を用い、偏光フィルタ9の透過軸9bの方向を、被測定物1で反射されて偏光された偏光反射光14の偏光軸の方向と交差するように調整してから、反射光画像を取得することで、偏光反射光14の輝度を低減することができるので、ハレーション等のノイズ成分の影響が低減された反射光画像を取得することができる。これにより、反射光画像が良好な輝度差を有する画像として取得されるので、被測定物1の表面1aが光沢面であっても測定不能域を低減することができる。
【0041】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る三次元形状測定装置について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る三次元形状測定装置の概略構成を示す模式的な構成図である。図10は、本発明の第2の実施形態に係る三次元形状測定方法の測定原理を説明する模式図である。
【0042】
本実施形態の三次元形状測定装置200は、図9に示すように、被測定物21が、例えば、ノートパソコンの外装体などのように全体として多面体状で三次元形状を複数の略平面状の測定領域に分けて測定できる場合に、特に好適となるものである。
三次元形状測定装置200の構成は、上記第1の実施形態の三次元形状測定装置100の偏光フィルタ7、偏光フィルタホルダ6を削除してなる。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0043】
三次元形状測定装置200によって、被測定物21の三次元形状測定を行うには、まず、図9に示すように、テーブル5上に被測定物21を配置する。このとき、プロジェクタ2、CCDカメラ3は、被測定物21の平面状の測定領域の1つに向けて配置する。
次に、偏光フィルタ9(偏光光学素子)の透過軸9bの方向の位置調整を行う。
このため、プロジェクタ2から変調を無効化したパターン光12aを照射し、これを照明としてCCDカメラ3で撮影する。すなわち、プロジェクタ2では、図10に示すように、演算部4からの変調を無効化する変調データに基づき略均一照明となっているパターン光12aを、テーブル5上の被測定物21に向けて投射する。
【0044】
パターン光12aは、被測定物21の表面21aの反射特性に応じて、種々の方向に放射状に散乱反射され全体として無偏光の散乱反射光13aと、フレネルの法則によって反射されるため偏光された偏光反射光24aとが混在したものとなる。表面21aの光沢が強いほど、偏光反射光24aの割合が多くなる。
パターン光12aが偏光されていない場合でも、偏光された偏光反射光24aが発生するのは、光沢面のフレネル反射では、パターン光12aと表面21aとの法線ベクトルを含む平面内にあるp偏光と、p偏光に垂直な面内で振動するs偏光とで反射率が異なるためである。
これら散乱反射光13aと偏光反射光24aとは、偏光フィルタ9を透過して、偏光フィルタ9の透過軸9bに沿う方向の偏光成分である散乱反射光13bと偏光反射光24bとがCCDカメラ3に入射する。CCDカメラ3に入射した光は、CCDカメラ3の撮像素子によって光電変換され、被測定物1からの反射光による反射光画像としてモニタ15に表示される。
【0045】
ここで、上記第1の実施形態と同様に、偏光フィルタホルダ8を回転させると、透過軸9bが回転し、反射光の偏光方向に応じて、モニタ15に表示される反射光画像が変化する。散乱反射光13aは、無偏光であるため、透過軸9bが回転しても散乱反射光13bによる反射光画像は変化しないが、偏光反射光24aは偏光しているので、透過軸9bの方向によって偏光フィルタ9に対する透過率が変化し、偏光反射光24bの光量は変化する。
そこで、測定者は、モニタ15に表示される画像を見ながら偏光フィルタホルダ8を回転させ、ハレーションの領域の大きさの変化を確認し、ハレーションの領域が最小となる位置(偏光反射光24bの光量が最小となる位置)で、偏光フィルタホルダ8の回転を停止する。
ここで、偏光反射光24aに多く含まれる偏光の偏光軸と90°に交差する偏光フィルタ9の透過軸9bを調整することにより、偏光反射光24bの光量を最小化することができる。
表面21aのように略平面の場合には、偏光反射光24aの偏光成分の割合は、表面21aの反射特性とパターン光12aの入射角とによって決まる。したがって、これらから決まる偏光反射光24aに最も多く含まれる偏光成分の偏光軸が予め分かっている場合には、上記の調整を行うことなく、偏光フィルタホルダ8の回転量を測って、偏光反射光24aに最も多く含まれる偏光成分の偏光軸と透過軸9bとが90°で交差する方向に合わせておけばよい。
【0046】
この状態で、一旦、被測定物21およびテーブル5を外し、偏光フィルタホルダ8の位置を固定した状態で、従来の三次元形状測定装置と同様に、公知のキャリブレーションを実施する。
その後、再度テーブル5を据え付け、テーブル5の上に被測定物21を固定する。
【0047】
次に、演算部4は、上記第1の実施形態と同様に、プロジェクタ2によって一定の形状測定用のパターン光、例えば格子縞パターンを形成するための変調データをプロジェクタ2に送出する。
プロジェクタ2では、演算部4からの変調データに基づき、光源から投射される光を空間変調素子で変調し、図10に示すように、テーブル5上の被測定物21に向けて、格子縞パターンのパターン光12aを投射し、これにより被測定物1に格子縞パターンが投影される。
【0048】
パターン光12aは、散乱反射光13aと偏光反射光24aとに分かれ、偏光フィルタ9を透過して、偏光フィルタ9の透過軸9bに沿う方向の偏光である散乱反射光13b、偏光反射光24bがCCDカメラ3に入射する。CCDカメラ3に入射した光は、CCDカメラ3の撮像素子によって光電変換され、被測定物21からの反射光による反射光画像としてモニタ15に表示されるとともに、演算部4に送出されて演算処理される。
ここで、偏光フィルタ9の被測定物21側の表面には、それぞれ反射防止膜9aが設けられているので、表面21aからの散乱反射光13a、偏光反射光24aに対する偏光フィルタ9の表面の反射率は十分低くなっている。このため、偏光フィルタ9の表面から被測定物21側に反射される光が表面21aで再反射されることによって生じるノイズ光成分は極めて小さい。
【0049】
演算部4では、このようにして取得された反射光画像を用いて、上記第1の実施形態と同様にして、被測定物21の三次元形状を算出し、算出結果をモニタ15に表示する。
【0050】
このように、三次元形状測定装置200では、ハレーションの要因となる偏光を、偏光フィルタ9の透過軸9bの方向を、被測定物21で反射されて偏光された偏光反射光24aの偏光軸の方向と交差するように調整してから、反射光画像を取得することで、偏光反射光24bの輝度を低減することができるので、ハレーション等のノイズ成分の影響が低減された反射光画像を取得することができる。これにより、反射光画像が良好な輝度差を有する画像として取得されるので、被測定物21の表面21aが光沢面であっても測定不能域を低減することができる。
また、三次元形状測定装置200によれば、偏光光学素子が1つだけでよいので、部品点数を削減し、装置構成を簡素化することができる。
【0051】
なお、上記の説明では、偏光フィルタ9の透過軸9bの方向の位置調整を行う場合に、パターン光12aの変調を無効化して、略均一照明光として被測定物に投影する場合の例で説明したが、ハレーション等のノイズ成分を評価できれば、変調データを与えて、形状測定用のパターン光として、被測定物に投影してもよい。
【0052】
また、上記第1の実施形態の説明では、偏光フィルタ7の透過軸7bの位置を固定した状態で、偏光フィルタ9の透過軸9bの方向を調整する場合の例で説明したが、まず、偏光フィルタ9を外した状態で、被測定物の反射光画像を取得し、この反射光画像をモニタ15で見ながら偏光フィルタホルダ6を回転させて、ハレーションの領域が最小となるように偏光フィルタホルダ6の回転量を調整した後に、偏光フィルタ9の透過軸9bの方向の調整を行うようにしてもよい。
【0053】
また、上記の第1の実施形態では、三次元形状測定装置が第1および第2の偏光光学素子を備える場合、上記第2の実施形態では、三次元形状測定装置が第1の偏光光学素子を備える場合の例で説明したが、本発明の三次元形状測定装置は、第2の偏光光学素子のみを備えていてもよい。
例えば、上記第1の実施形態に記載したように、被測定物21のように略平面状の測定領域でのフレネル反射は、強い偏光を発生させるため、もっぱらこのような被測定物21を測定する場合には、上記第1の実施形態の三次元形状測定装置100において、偏光フィルタ9、偏光フィルタホルダ8を削除した構成としてもよい。この場合、偏光光学素子が1つだけでよいので、部品点数を削減し、装置構成を簡素化することができる。
【0054】
また、上記の説明では、偏光フィルタ7、9は、いずれも反射防止膜7a、9aからなる反射防止構造が設けられた場合の例で説明したが、偏光フィルタ7、9の表面での反射光が被測定物に戻る量が十分少ない場合には、反射防止膜7a、9aは省略してもよい。
【0055】
また、上記の第1の実施形態の説明では、偏光フィルタ7を用いて、被測定物1に投影するパターン光12bを偏光させた場合の例で説明したが、プロジェクタ2の光源として、直線偏光のレーザ光を用いた構成とすれば、偏光フィルタ7は省略することができる。
また、プロジェクタ2の空間変調素子として、反射型空間変調素子を用いる場合にも反射光の偏光は強くなるので、この場合にも偏光フィルタ7を省略することができる。
【0056】
また、上記の実施形態、変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、21 被測定物
1a、21a 表面
2 プロジェクタ(投影部)
3 CCDカメラ(撮像部)
4 演算部
6、8 偏光フィルタホルダ
7 偏光フィルタ(第2の偏光光学素子)
7a、9a 反射防止膜
7b、9b 透過軸
9 偏光フィルタ(第1の偏光光学素子、偏光光学素子)
10、11 回転保持部
12a、12b パターン光(形状測定用のパターン光)
13a、13b 散乱反射光
14、24a、24b 偏光反射光
15 モニタ
100、200 三次元形状測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に形状測定用のパターン光を投影して、前記被測定物の表面からの反射光による反射光画像を取得し、該反射光画像から前記被測定物の三次元形状を算出する三次元形状測定方法であって、
前記形状測定用のパターン光および前記被測定物の表面からの反射光の少なくともいずれかを偏光光学素子に通してから、前記反射光画像を取得することを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項2】
前記形状測定用のパターン光に偏光を用い、
前記偏光光学素子の透過軸の方向を、前記被測定物の表面で反射されて偏光された反射光の最も大きい光量成分を有する偏光軸の方向と交差するように調整してから、前記反射光画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の三次元形状測定方法。
【請求項3】
前記偏光光学素子の透過軸の方向と前記被測定物の表面で反射された前記反射光の前記偏光軸の方向とが交差する角度を、90°に調整することを特徴とする請求項2に記載の三次元形状測定方法。
【請求項4】
被測定物に形状測定用のパターン光を投影する投影部と、
前記投影部により前記形状測定用のパターン光が投影された被測定物を撮像して、前記被測定物の表面からの反射光による反射光画像を取得する撮像部と、
該撮像部が取得した前記反射光画像から前記被測定物の三次元形状を算出する演算部と、
前記被測定物と前記撮像部との間に配置され、前記被測定物の表面からの反射光の透過率を偏光方向に応じて規制する偏光光学素子とを備え、
該偏光光学素子は、透過軸の方向を調整可能に設けられていることを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項5】
前記偏光光学素子は、表面に反射防止構造が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の三次元形状測定装置。
【請求項6】
被測定物に形状測定用のパターン光を投影する投影部と、
前記投影部により前記形状測定用のパターン光が投影された被測定物を撮像して、前記被測定物の表面からの反射光による反射光画像を取得する撮像部と、
該撮像部が取得した前記反射光画像から前記被測定物の三次元形状を算出する演算部と、
前記被測定物と前記撮像部との間に配置され、前記被測定物の表面からの反射光の透過率を偏光方向に応じて規制する第1の偏光光学素子と、
前記投影部と前記被測定物との間に配置され、前記被測定物へ投影される投影光の透過率を偏光方向に応じて規制する第2の偏光光学素子とを備え、
前記第1の偏光光学素子および前記第2の偏光光学素子のうち少なくともいずれかは、透過軸の方向を調整可能に設けられていることを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項7】
前記第1および第2の偏光光学素子は、表面に反射防止構造が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の三次元形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−2240(P2011−2240A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143111(P2009−143111)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】