説明

三次元的動作機構構造体

【課題】小型化された構造で頭の動きを模することができるとともに製造コストを抑え、位置制御を確実でしかも容易に行うことのできる三次元的動作機構構造体を提供すること。
【解決手段】三次元的動作機構構造体は、頭部と、前記頭部の下方に位置するよう配設された胴部と、前記頭部に接続されるとともに、前記胴部に軸支された左右回動部材に連結され、前記左右回動部材を回動することにより、前記頭部を左右に揺動させる左右揺動用平行リンク機構と、前記頭部の前方または後方のいずれか一方に接続されるとともに、前記胴部に軸支された前後回動部材を回動することにより、前記頭部を前後に揺動させる前後揺動用リンク機構と、を備え、前記左右回動部材と前記前後回動部材とを回動することにより、前記頭部を三次元的に動作させるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭の動きを模した三次元的動作機構構造体であり、例えば人形玩具の内側,ロボットハンドの手首部分,またはカメラの雲台などに配設され、これらを頭の動きに模して動作させることのできる三次元的動作機構構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、頭の動きを模した三次元的動作を行う首の動作機構が開発されている。
【0003】
このような動作機構は、例えば特許文献1に開示されているように、複数のシリンダーを頭部と胴部との間に配設し、首の傾倒動作に合わせ傾倒方向に位置するシリンダーが伸縮することで、首の動作を模することができるようになっている。
【0004】
また頭部と胴部との間にボールジョイントを配設することで、首の動作を模するものも従来より開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−229871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで特許文献1に開示されているように首の動作機構を複数のシリンダーを用いて行うようにすると、コストが嵩むとともに、シリンダー自体が大きく場所を要するため小型化が難しく、例えばコストを抑えたい小型の人形玩具やロボットにこのような動作機構は不向きであった。
【0007】
また、ボールジョイントを用いた動作機構では、頭部が常に三次元的に動作可能な状態であるため、ジョイント部分がゆるくなってしまうと頭部の位置固定がし辛くなってしまう問題が生じていた。またこの場合、位置を制御しようとすると、制御用の装置が大掛かりとなり、結果として機構構造体そのものが大型化してしまう問題もあった。
【0008】
本発明はこのような現状に鑑みなされたものであって、小型化された構造で頭の動きを模することができるとともに製造コストを抑え、位置制御を確実でしかも容易に行うことのできる三次元的動作機構構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述したような従来技術における問題点を解決するために発明されたものであって、
本発明の三次元的動作機構構造体は、
頭の動きを模した三次元的動作機構構造体であって、
前記三次元的動作機構構造体は、
頭部と、
前記頭部の下方に位置するよう配設された胴部と、
前記頭部に接続されるとともに、前記胴部に軸支された左右回動部材に連結され、前記左右回動部材を回動することにより、前記頭部を左右に揺動させる左右揺動用平行リンク機構と、
前記頭部の前方または後方のいずれか一方に接続されるとともに、前記胴部に軸支され
た前後回動部材を回動することにより、前記頭部を前後に揺動させる前後揺動用リンク機構と、
を備え、
前記左右回動部材と前記前後回動部材とを回動することにより、前記頭部を三次元的に動作させるよう構成されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成されていれば、大まかに2つのリンク機構だけで頭部を三次元的に動作させることができるため、機構構造体を小型化させることができる。
【0011】
また2つの機構をそれぞれの回動部材の回動のみで動作させることができるため、頭部の位置制御を確実でしかも容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記左右揺動用平行リンク機構の左右回動部材が、
前記胴部の前後方向に軸支されていることを特徴とする。
【0013】
このように左右回動部材が胴部の前後方向に軸支されていれば、左右揺動用平行リンク機構を動かし易いため好ましい。
【0014】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記左右揺動用平行リンク機構が、
前記頭部の左右方向の軸を中心として、前記頭部が前後方向に回動できるように前記頭部に連結された上リンクと、
前記左右回動部材と連結され、前記左右回動部材と従動するよう接続された下リンクと、
前記上リンクの左側端部と下リンクの左側端部とを連結する左側リンクと、
前記上リンクの右側端部と下リンクの右側端部とを連結する右側リンクと、
前記左側リンクと右側リンクとを略垂直状に保持する垂直保持手段と、
を備え、
前記左右回動部材を回動することにより、前記下リンク,左側リンクおよび右側リンク,ならびに上リンクを伝って前記頭部を左右に揺動させるよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
このように左右揺動用平行リンク機構が構成されていれば、頭部の上下方向の軸を境にして、頭部を左右に揺動させることができる。
【0016】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記垂直保持手段が、
その両端部が前記左側リンクおよび右側リンクと連結され、前記胴部の前後方向に軸支された中間リンクであることを特徴とする。
【0017】
このように構成された中間リンクであれば、左側リンクと右側リンクを確実に略垂直状に保持することができる。
【0018】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記前後揺動用リンク機構の前後回動部材が、
前記胴部の左右方向に軸支されていることを特徴とする。
【0019】
このように前後回動部材が胴部の左右方向に軸支されていれば、左右回動部材とは90度位置ずれされて前後回動部材が設けられることとなるため、回動部材同士が互いに干渉
せず好ましい。
【0020】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記前後揺動用リンク機構が、
前記頭部の前後方向の軸を中心として回動できるように、一端側が前記頭部の前方または後方のいずれか一方に連結された第1リンクと、
前記胴部に対して接離するように上下方向に回動できるように、一端側が前記第1リンクの他端側に連結された第2リンクと、
前記第2リンクの上下方向の軸を中心として回動できるように、一端側が前記第2リンクの他端側に連結された第3リンクと、
前記第3リンクの上下方向の軸に対して略垂直な前後方向の軸を中心として回動できるように、一端側が前記第3リンクの他端側に連結された第4リンクと、
前記胴部に対して、その一端側が接離するように上下方向に回動できるように、一端側が前記第4リンクの他端側に連結されるとともに、他端側が前記前後回動部材に固着された第5リンクと、
を備え、
前記前後回動部材を回動することにより、前記第5リンク,第4リンク,第3リンク,第2リンク,第1リンクを伝って前記頭部を前後に揺動させるよう構成されていることを特徴とする。
【0021】
このように前後揺動用リンク機構が第1から第5のリンクで構成されていれば、前後回動部材の回動に合わせて、確実に頭部の前後揺動運動をすることができる。
【0022】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記第3リンクが、
前記第2リンクの他端側とその一端側が連結された第1連結部分と、
前記第1連結部分の他端側から垂下され、前記第4リンクの一端側と連結された第2連結部分と、
を有することを特徴とする。
【0023】
このように第1連結部分と第2連結部分とを有していれば、第3リンクを製造する際に加工が容易であり、また特に第2リンクとの連結がし易く好ましい。
【0024】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記第3リンクの第1連結部分の左右方向の軸が、
前記第2のリンクの上下方向の軸と直交するように構成されていることを特徴とする。
【0025】
このように構成されていれば、第2リンクの上下方向の軸を中心として第3リンクを回動させる際に、スムーズに回動させることができる。
【0026】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記第3リンクの第2連結部分の上下方向の軸が、
前記第2リンクの上下方向の軸と平行となるように構成されていることを特徴とする。
【0027】
このように構成されていれば、リンクの大きさを小さく収めることができるとともに、加工も容易であるため、製造コストを抑えることができ、好ましい。
【0028】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記第3リンクの第2連結部分の上下方向の軸が、
前記第2リンクの上下方向の軸と略同一軸上に有ることを特徴とする。
【0029】
このように構成されていれば、第2リンクと第3リンクがまっすぐに連結された状態であるため、前後回動部材を回動した際、その動きをスムーズに頭部に伝え、頭部を確実に前後に動作させることができる。
【0030】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記左右回動部材と前後回動部材が、歯車であることを特徴とする。
【0031】
このように歯車であれば、例えばここに別の歯車を噛み合わせて回動するだけで、容易に2つのリンク機構を動作させることができる。
【0032】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記左右揺動用平行リンク機構の歯車を回動する電動モータを備えることを特徴とする。
【0033】
このように電動モータを用いれば、電動モータのONおよびOFF,回動方向,モータの回転数などの制御を容易に行うことができ、頭部の左右揺動を確実でしかも容易に行うことができる。
【0034】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記前後揺動用リンク機構部の歯車を回動する電動モータを備えることを特徴とする。
【0035】
このように電動モータを用いれば、電動モータのONおよびOFF,回動方向,モータの回転数などの制御を容易に行うことができ、頭部の前後揺動を確実でしかも容易に行うことができる。
【0036】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記電動モータが、前記胴部内に配設されることを特徴とする。
【0037】
このように電動モータが胴部内に配設されていれば、三次元的動作機構構造体を小型化することに寄与することができる。
【0038】
また、本発明の三次元的動作機構構造体は、
前記三次元動作機構構造体が、
人形玩具の内側,ロボットハンドの手首部分,またはカメラの雲台に配設される構造体であることを特徴とする。
【0039】
このように人形玩具の内側,ロボットハンドの手首部分,またはカメラの雲台に配設されれば、リンク機構を構成する部品点数が少なく製造コストを抑えることができ、しかもメンテナンス性,取り扱い性も良好である。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、頭部の動作において、左右揺動用のリンク機構と前後揺動用のリンク機構を別々に設けて別々に動作させる構造であり、しかも構造が簡素化されているので小型化が容易であるとともに製造コストを抑えることができ、位置制御を確実でしかも容易に行うことのできる三次元的動作機構構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例における三次元的動作機構構造体の構成を説明するためのものであって、図1(a)は三次元的動作機構構造体を前方(手前側)から見た斜視図、図1(b)は三次元的動作機構構造体を後方(背面側)から見た斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施例における三次元的動作機構構造体の構成を説明するためのものであって、図2(a)は背面図、図2(b)は左側面図である。
【図3】図3は、本発明の三次元的動作機構構造体の頭部の左右揺動の仕組みを説明するためのものであって、図3(a)は背面図、図3(b)は左側面図、図3(c)は後方(背面側)から見た斜視図である。
【図4】図4は、本発明の三次元的動作機構構造体の頭部の三次元的動作の仕組みを説明するためのものであって、図4(a)は背面図、図4(b)は左側面図、図4(c)は後方(背面側)から見た斜視図である。
【図5】図5は、本発明の三次元的動作機構構造体の頭部の三次元的動作の仕組みを説明するためのものであって、図5(a)は背面図、図5(b)は左側面図、図5(c)は後方(背面側)から見た斜視図である。
【図6】図6は、本発明の三次元的動作機構構造体の頭部の三次元的動作の仕組みを説明するためのものであって、図6(a)は背面図、図6(b)は左側面図、図6(c)は後方(背面側)から見た斜視図である。
【図7】図7は、本発明の三次元的動作機構構造体の頭部の三次元的動作の仕組みを説明するためのものであって、図7(a)は背面図、図7(b)は左側面図、図7(c)は後方(背面側)から見た斜視図である。
【図8】図8は、本発明の三次元的動作機構構造体の頭部の三次元的動作の仕組みを説明するためのものであって、図8(a)は背面図、図8(b)は左側面図、図8(c)は後方(背面側)から見た斜視図である。
【図9】図9は、本発明の三次元的動作機構構造体の頭部の三次元的動作の仕組みを説明するためのものであって、図9(a)は背面図、図9(b)は左側面図、図9(c)は後方(背面側)から見た斜視図である。
【図10】図10は、本発明の三次元的動作機構構造体の頭部の三次元的動作の仕組みを説明するためのものであって、図10(a)は背面図、図10(b)は左側面図、図10(c)は後方(背面側)から見た斜視図である。
【図11】図11は、本発明の三次元的動作機構構造体の第2の実施例を説明するための背面図である。
【図12】図12は、本発明の三次元的動作機構構造体の第3の実施例を説明するための背面図である。
【図13】図13は、本発明の三次元的動作機構構造体の第4の実施例を説明するための背面図である。
【図14】図14は、本発明の三次元的動作機構構造体の第4の実施例において、第3リンクの他の形態を示した背面図である。
【図15】図15は、本発明の三次元的動作機構構造体の第5の実施例を説明するための左側面図である。
【図16】図16は、本発明の三次元的動作機構構造体の第6の実施例を説明するための左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいてより詳細に説明する。
【0043】
本発明の三次元的動作機構構造体は、小型化された構造で頭の動きを模することができるとともに製造コストを抑え、位置制御を確実でしかも容易に行うことのできるものである。
【0044】
なお、本明細書において、頭部,胴部との記載は、三次元的に動作させる部位と、この部位の下方に位置するとともに動作せずに固定される部位について説明の便宜上付したも
のであって、何ら使用される位置や用途を限定するものではなく、広義の意味で用いられるものである。
【0045】
また、上,下,左(左側),右(右側),前方(手前側),後方(背面側),上下,前後,左右などの位置や方向についての記載は、図1(a)に示した本発明の三次元的動作機構構造体の斜視図を基準として付したものである。
さらに略垂直および略水平との記載は、単に方向を指すものであって、略垂直は上下の方向、略水平は左右の方向であって、厳密に角度を規定したものではないものである。
【0046】
[実施例1]
図1および図2に示した本発明の第1の実施例における三次元的動作機構構造体10は、まず頭部20と、この頭部20の下方に胴部30が配設されている。そして、この胴部30に対して頭部20が三次元的に動作するよう、2つのリンク機構が備えられている。
【0047】
まず第1のリンク機構は、左右揺動用平行リンク機構40であり、これは胴部30の前方に軸支された左右回動部材52を、左右の方向に回動することで、頭部20を左右に揺動させるよう構成されたものである。
【0048】
一方、第2のリンク機構は、前後揺動用リンク機構60であり、これは胴部30の左側方に軸支された前後回動部材72を前後の方向に回動することにより、頭部20を前後に揺動させるよう構成されたものである。
【0049】
なお、上記した左右回動部材52は、胴部30の後方に軸支されていても良く、また前後回動部材72については、胴部30の右側方に軸支されていても良いものであり、特に限定されないものである。
【0050】
本発明の三次元的動作機構構造体10は、これら左右揺動用平行リンク機構40と前後揺動用リンク機構60とを、左右回動部材52と前後回動部材72とをそれぞれ回動させることにより、頭部20を三次元的に動作させることができるようになっている。
以下、左右揺動用平行リンク機構40と前後揺動用リンク機構60について詳しく説明する。
【0051】
<左右揺動用平行リンク機構40>
図1(a)に示したように、左右揺動用平行リンク機構40は、まず頭部20の左右の方向に接続された上リンク42を有している。この上リンク42は、頭部20の左右方向の軸80を中心として、頭部20が前後方向に回動できるよう構成されたものである。
【0052】
そして、この上リンク42の下方には、上リンク42と平行するように下リンク44が設けられている。このような下リンク44は、胴部30の前方に軸支された左右回動部材52と従動するよう、左右回動部材52が軸支された軸と同軸上で、胴部30に軸支されている。
【0053】
また下リンク44の左右方向の長さは、上リンク42の左右方向の長さと略同長さに設定されている。
【0054】
一方、上リンク42の左側端部と下リンク44の左側端部とは、左側リンク46で連結され、また上リンク42の右側端部と下リンク44の右側端部とは、右側リンク48で連結されている。ここで左側リンク46と右側リンク48とは、互いに平行となるよう位置決めされている。
【0055】
さらにこの左側リンク46と右側リンク48とは、略垂直状に保持されるようになっており、本実施例では、上リンク42と下リンク44の間に、左側リンク46と右側リンク48と連結され、胴部30の前方に軸支されるように構成された中間リンク50を配設することで、この左側リンク46と右側リンク48を略垂直状に保持している。
【0056】
このようにして構成される左右揺動用平行リンク機構40は、上リンク42,下リンク44,左側リンク46,右側リンク48の4つのリンクで平行四辺形が形成されるようになっている。
【0057】
そして、上リンク42と下リンク44の間に配設された中間リンク50が、この平行四辺形の左側リンク46および右側リンク48を常に略垂直に保持するようになっているため、左右回動部材52を左右の方向に回動すると、上リンク42に接続された頭部20を、頭部20の上下方向の軸78を中心として左右に揺動させることができるようになっている。
なお本実施例において中間リンク50は、上リンク42と下リンク44の間に配設されているが、例えば下リンク44の下方に平行するように設けても良いものである。
【0058】
<前後揺動用リンク機構60>
図1(b)に示したように、前後揺動用リンク機構60は、複数のリンクが連結されて構成されたものである。
【0059】
本実施例においては、第1リンクから第5リンクまでの5つのリンクが連結されて構成されている。以下、第1リンク62から第5リンク70まで順を追って説明する。
【0060】
まず第1リンク62は、頭部20の後方から、頭部20の前後方向に向かって延出されている。そして第1リンク62は、その一端側が、頭部20の前後方向の軸82を中心として360度回動自在に連結されている。
【0061】
第1リンク62の他端側には、第2リンク64の一端側が連結されている。第2リンク64は、この連結部分から略垂直方向に垂下されている。
【0062】
また第2リンク64は、第1リンク62の他端側に、胴部30に対して接離するよう上下方向に一端側が回動自在に連結されている。
【0063】
第2リンク64の他端側には、第3リンク66の一端側が連結されている。この時、第3リンク66は、第2リンク64の上下方向の軸84を中心として、一端側が回動自在に連結されている。
【0064】
次いで、第3リンク66の他端側には、第4リンク68の一端側が連結され、この時、第4リンク68は、第3リンク66の上下方向の軸86に対して、略垂直な前後方向の軸88を中心として、360度回動自在に一端側が連結されている。なお第4リンク68の他端側は、胴部30に接近する方向に略水平に延出されている。
【0065】
なお、本実施例では第3リンク66は、第2リンク64の他端側と連結された第1連結部分66aと、第1連結部分66aの端部から垂下されて後述する第4リンク68の一端側と連結する第2連結部分66bとを有しており、第1連結部分66aと第2連結部分66bとで、逆L字状の形態をなしている。
【0066】
また、第4リンク68の他端側には、第5リンク70の一端側が連結されている。第5リンク70は、その一端側が胴部30に対して接離するよう上下方向に一端側が回動自在
に連結されている。
【0067】
一方、第5リンク70の他端側は、胴部30の左側方に軸支された前後回動部材72と固着されている。
【0068】
このようにして構成される前後揺動用リンク機構60は、第1から第5までの5つのリンクが連結され、互いの連結時における動作が上記のように制限されることにより、頭部20を確実に前後方向に揺動させることができるようになっている。
【0069】
また特に頭部20と第1リンク62との接続箇所,第2リンク64と第3リンク66との接続箇所,第3リンク66と第4リンク68との接続箇所の3箇所が、360度回動自在に連結されているため、これらリンク間の動きによって、胴部30左側面に軸支された回動部材72の回動により生ずる斜め方向からの力を、確実に頭部20の前後方向への運動へ置き換えることができるようになっている。
【0070】
ここで、例えば頭部20を後方から前方に向かって傾倒させる場合には、図2(b)に示した左側面視からの左側面図において、前後回動部材72を時計回りに(後方から前方に向かって)回動させることにより、図5(b)に示したように、第5リンク70の第4リンク68と接続された側が斜め上に移動され、これにより第5リンク70と接続された第4リンク68,第4リンク68と接続された第3リンク66,第3リンク66と接続された第2リンク64,第2リンク64と接続された第1リンク62が一緒に、上方に移動され、最終的にこの第1リンク62と接続された頭部20が、前方に傾倒されるようになる。
【0071】
なお、このとき、第3リンク66と連結された第2リンク64は、第3リンク66の第1連結部分66aで回動するため、回動部材72の位置より斜めに押し上げられた力が、確実に第2リンク64を介して第1リンク62に伝えられることとなる。
【0072】
本発明の三次元動作機構構造体10では、図1(b)に示したように前後揺動用リンク機構60を構成する5つのリンクの中で、特に第3リンク66が、第2リンク64の上下方向の軸84を中心に360度回動自在に軸支されているため、前後回動部材72が頭部20の上下方向の軸78からは左右の方向に位置ずれし、これにより第2リンク64と第3リンク66とが斜めに配置されていても、前後回動部材72の回動のみで、頭部20を前後方向に揺動させることができるようになっている。
【0073】
また図2(b)に示したように、第2リンク64の第1リンク62との連結部分から、第4リンク68の第3リンク66との連結部分までの略垂直方向の距離L1は、頭部20の前後方向の軸80から前後回動部材72が軸支された軸の中心までの略垂直方向の距離L2と、略同距離に設定されることが好ましい。
【0074】
このように距離を設定すれば、前後回動部材72を左右に回動して、頭部20を前後同程度まで傾ける際に好適である。
【0075】
さらに第2リンク64と第3リンク66の長さは、略同長さに設定することが好ましいが、例えば長さを2:8に設定したり、8:2に設定するなどしても良いものである。これらの長さの設定は、リンク同士の干渉具合やリンクと胴部30との干渉具合などにより、適宜設定変更することが好ましい。
【0076】
このような前後揺動用リンク機構60は、頭部20の三次元的な動作を、二次元的に動作する複数のリンクの組み合わせで構成されており、正確な動作を可能とする点で、硬質
の材質からなることが好ましい。硬質の材料としては、例えば金属材料,樹脂成形材料,木材などを用いることができ、耐久性や加工容易性を鑑みれば金属材料から成ることがより好ましい。
【0077】
以上、説明したように、本実施例における三次元的動作機構構造体10は、上記したような構造を有する左右揺動用平行リンク機構40と前後揺動用リンク機構60を用いることで、頭部20を前後左右に三次元的に揺動させることができるようになっている。
【0078】
次いで、左右揺動用平行リンク機構40と、前後揺動用リンク機構60を動作させて、頭部20を動かした場合、各リンク機構がどのような動きをするのかについて、適当な角度を例にして説明する。
【0079】
<頭部20をX(左右方向)=20°,Y(前後方向)=0°傾けた状態>
この状態は、図3(a)〜図3(c)に示したように、左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を、右側方側から左側方側に向かって回動させることにより生ずる。
【0080】
左右回動部材52を、矢印A1のように右側方側から左側方側に向かって回動させると、左右回動部材52に接続された下リンク44が、左右回動部材52の軸を中心として、左側方側の下方向に傾き、これに合わせて左側リンク46が矢印A2のように下方に下がるとともに、右側リンク48が矢印A3のように上方に上がることとなる。
【0081】
さらに左側リンク46と右側リンク48に接続された上リンク42が左側方側の下方向に傾き、これによって頭部20が左側方側へ傾くこととなる。
この時、頭部20の傾き具合は、左右回動部材52の回動角度に依存するため、左右回動部材52の回転具合を制御することで、頭部20の左右方向への傾き具合を適宜変更することができる。
【0082】
<頭部20をX(左右方向)=−20°,Y(前後方向)=0°傾けた状態>
この状態は、図4(a)〜図4(c)に示したように、左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を、左側方側から右側方側に向かって回動させることにより生ずる。
【0083】
左右回動部材52を、矢印B1のように左側方側から右側方側に向かって回動させると、左右回動部材52に接続された下リンク44が、左右回動部材52の軸を中心として、右側方側の下方向に傾き、これに合わせて左側リンク46が矢印B2のように上方に上がるとともに、右側リンク48が矢印B3のように下方に下がることとなる。
さらに左側リンク46と右側リンク48に接続された上リンク42が右側方側の下方向に傾き、これによって頭部20が右側方側へ傾くこととなる。
【0084】
<頭部20をX(左右方向)=0°,Y(前後方向)=30°傾けた状態>
この状態は、図5(a)〜図5(c)に示したように、前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を、後方側から前方側に向かって回動させることにより生ずる。
【0085】
前後回動部材72を、矢印C1のように後方側から前方側に向かって回動させると、まず前後回動部材72に接続された第5リンク70が上方向に傾く。
【0086】
そしてこれに合わせて矢印C2のように第4リンク68,第3リンク66,第2リンク64が上方向に移動する。なお、この時、第3リンク66と連結された第2リンク64が、矢印C3のように右側方から左側方に向かって僅かに回動することとなるため、第2リンク64に連結された第1リンク62も矢印C4のように上方向に移動するようになる。
【0087】
さらにこの第1リンク62の動作に合わせて、これと連結された頭部20が矢印C5のように後方側から前方側へ傾くこととなる。
この時、頭部20の傾き具合は、前後回動部材72の回動角度に依存するため、前後回動部材72の回転具合を制御することで、頭部20の前後方向への傾き具合を適宜変更することができる。
【0088】
<頭部20をX(左右方向)=0°,Y(前後方向)=−30°傾けた状態>
この状態は、図6(a)〜図6(c)に示したように、前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を、矢印D1のように前方側から後方側に向かって回動させることにより生ずる。
【0089】
前後回動部材72を、前方側から後方側に向かって回動させると、まず前後回動部材72に接続された第5リンク70が矢印D2のように下方向に傾く。
【0090】
そしてこれに合わせて第4リンク68,第3リンク66,第2リンク64が下方向に移動する。なお、この時、第3リンク66と連結された第2リンク64が、矢印D3のように左側方から右側方に向かって僅かに回動することとなるため、第2リンク64に連結された第1リンク62も矢印D4のように下方向に移動するようになる。
さらにこの第1リンク62の動作に合わせて、これと連結された頭部20が矢印D5のように前方側から後方側へ傾くこととなる。
【0091】
<頭部20をX(左右方向)=20°,Y(前後方向)=30°傾けた状態>
この状態は、図7(a)〜図7(c)に示したように、左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を、矢印E1のように右側方側から左側方側に向かって回動させ、さらに前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を矢印E2のように後方側から前方側に向かって回動させることにより生ずる。
【0092】
まず左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を、矢印E1のように右側方側から左側方側に向かって回動させると、左右回動部材52に接続された下リンク44が、左右回動部材52の軸を中心として左側方側の下方向に傾き、これに合わせて左側リンク46が矢印E3のように下方に下がるとともに、右側リンク48が矢印E4のように上方に上がることとなる。
【0093】
さらに左側リンク46と右側リンク48に接続された上リンク42が左側方側の下方向に傾くこととなる。
【0094】
一方、前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を、矢印E2のように後方側から前方側に向かって回動させると、まず前後回動部材72に接続された第5リンク70が矢印E5のように上方向に傾く。
【0095】
そしてこれに合わせて第4リンク68,第3リンク66,第2リンク64が上方向に移動する。なお、この時、第3リンク66と連結された第2リンク64が、矢印E6のように右側方から左側方に向かって僅かに回動することとなるため、第2リンク64に連結された第1リンク62も矢印E7のように上方向に移動するようになる。
これら左右揺動用平行リンク機構40と前後揺動用リンク機構60の働きにより、これらと連結された頭部20が左側方前方へ傾くこととなる。
【0096】
<頭部20をX(左右方向)=20°,Y(前後方向)=−30°傾けた状態>
この状態は、図8(a)〜図8(c)に示したように、左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を矢印F1のように右側方側から左側方側に向かって回動させ、さら
に前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を矢印F2のように前方側から後方側に向かって回動させることにより生ずる。
【0097】
まず左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を、矢印F1のように右側方側から左側方側に向かって回動させると、左右回動部材52に接続された下リンク44が、左右回動部材52の軸を中心として左側方側の下方向に傾き、これに合わせて左側リンク46が矢印F3のように下方に下がるとともに、右側リンク48が矢印F4のように上方に上がることとなる。
【0098】
さらに左側リンク46と右側リンク48に接続された上リンク42が左側方側の下方向に傾くこととなる。
【0099】
一方、前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を、矢印F2のように前方側から後方側に向かって回動させると、まず前後回動部材72に接続された第5リンク70が矢印F5のように下方向に傾く。
【0100】
そしてこれに合わせて第4リンク68,第3リンク66,第2リンク64が下方向に移動する。なお、この時、第3リンク66と連結された第2リンク64が、矢印F6のように左側方から右側方に向かって僅かに回動することとなるため、第2リンク64に連結された第1リンク62も矢印F7のように下方向に移動するようになる。
これら左右揺動用平行リンク機構40と前後揺動用リンク機構60の働きにより、これらと連結された頭部20が左側方後方へ傾くこととなる。
【0101】
<頭部20をX(左右方向)=−20°,Y(前後方向)=30°傾けた状態>
この状態は、図9(a)〜図9(c)に示したように、左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を矢印G1のように左側方側から右側方側に向かって回動させ、さらに前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を矢印G2のように後方側から前方側に向かって回動させることにより生ずる。
【0102】
まず左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を、矢印G1のように左側方側から右側方側に向かって回動させると、左右回動部材52に接続された下リンク44が、左右回動部材52の軸を中心として右側方側の下方向に傾き、これに合わせて左側リンク46が矢印G3のように上方に上がるとともに、右側リンク48が矢印G4のように下方に下がることとなる。
【0103】
さらに左側リンク46と右側リンク48に接続された上リンク42が右側方側の下方向に傾くこととなる。
【0104】
一方、前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を、矢印G2のように後方側から前方側に向かって回動させると、まず前後回動部材72に接続された第5リンク70が矢印G5のように上方向に傾く。
【0105】
そしてこれに合わせて第4リンク68,第3リンク66,第2リンク64が上方向に移動する。なお、この時、第3リンク66と連結された第2リンク64が、矢印G6のように左側方から右側方に向かって僅かに回動することとなるため、第2リンク64に連結された第1リンク62も矢印G7のように上方向に移動するようになる。
これら左右揺動用平行リンク機構40と前後揺動用リンク機構60の働きにより、これらと連結された頭部20が右側方前方へ傾くこととなる。
【0106】
<頭部20をX(左右方向)=−20°,Y(前後方向)=−30°傾けた状態>
この状態は、図10(a)〜図10(c)に示したように、左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を矢印H1のように左側方側から右側方側に向かって回動させ、さらに前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を矢印H2のように前方側から後方側に向かって回動させることにより生ずる。
【0107】
まず左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52を、矢印H1のように左側方側から右側方側に向かって回動させると、左右回動部材52に接続された下リンク44が、左右回動部材52の軸を中心として右側方側の下方向に傾き、これに合わせて左側リンク46が矢印H3のように上方に上がるとともに、右側リンク48が矢印H4のように下方に下がることとなる。
【0108】
さらに左側リンク46と右側リンク48に接続された上リンク42が右側方側の下方向に傾くこととなる。
【0109】
一方、前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72を、矢印H2のように前方側から後方側に向かって回動させると、まず前後回動部材72に接続された第5リンク70が矢印H5のように下方向に傾く。
【0110】
そしてこれに合わせて第4リンク68,第3リンク66,第2リンク64が下方向に移動する。なお、この時、第3リンク66と連結された第2リンク64が、矢印H6のように右側方から左側方に向かって僅かに回動することとなるため、第2リンク64に連結された第1リンク62も矢印H7のように下方向に移動するようになる。
【0111】
これら左右揺動用平行リンク機構40と前後揺動用リンク機構60の働きにより、これらと連結された頭部20が右側方後方へ傾くこととなる。
【0112】
上記したように、本発明の三次元的動作機構構造体10は、左右揺動用平行リンク機構40の左右回動部材52と、前後揺動用リンク機構60の前後回動部材72とを所定量回動させることにより、頭部20を自由に三次元的に動作させることができる。
【0113】
なお、このような三次元的動作機構構造体10を制御する際には、左右回動部材52および前後回動部材72を歯車(図示せず)とし、例えばこの歯車を別の歯車を備えた電動モータ(図示せず)で回動させるよう構成し、電動モータの回転速度や回転数などを制御することで、頭部20の位置制御を行うことができる。
【0114】
ここで電動モータは、左右回動部材52および前後回動部材72のそれぞれに対して別々に用意し、各々制御することが好ましい。また、電動モータは、胴部30内に配設することが好ましく、このようにすれば、三次元的動作機構構造体10が必要以上に大型化することがない。
【0115】
また、本発明の三次元的動作機構構造体10は、機構を構成する部品点数が少ないためメンテナンス性が良好であり、取り扱いも容易であるため、特に人形玩具の内側,ロボットハンドの手首部分,またはカメラの雲台に配設される構造体として好適である。
しかしながら、このような三次元的動作機構構造体10は、他にも三次元的に動作させたい部位を有する構造体に用いることが可能であり、使用用途は特に限定されないものである。
【0116】
[実施例2]
次に、本発明の三次元的動作機構構造体10における第2の実施例について図11に示した背面図を用いて説明する。
【0117】
図11に示した三次元的動作機構構造体10は、基本的には、図1から図10に示した第1の実施例の三次元的動作機構構造体10と同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0118】
本実施例における三次元的動作機構構造体10は、前後揺動用リンク機構60の第3リンク66における第1連結部分66aの長さが、第1の実施例における第1連結部分66aの長さと比べて、長く構成されている点で異なっている。
このように第1連結部分66aの長さを長尺状としても、何ら問題なく前後揺動用リンク機構60を機能させることができる。
【0119】
[実施例3]
次に、本発明の三次元的動作機構構造体10における第3の実施例について図12に示した背面図を用いて説明する。
【0120】
図12に示した三次元的動作機構構造体10は、基本的には、図1から図10に示した第1の実施例の三次元的動作機構構造体10と同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0121】
本実施例における三次元的動作機構構造体10は、前後揺動用リンク機構60の第3リンク66における第2連結部分66bが、第1の実施例における第2連結部分66bのように第2リンク64の上下方向の軸84とは平行して設けられていない点で異なっている。
このように第2連結部分66bを、第2リンク64の上下方向の軸84とは平行せずに角度を持って構成しても、何ら問題なく前後揺動用リンク機構60を機能させることができる。
【0122】
[実施例4]
次に、本発明の三次元的動作機構構造体10における第4の実施例について図13に示した背面図を用いて説明する。
【0123】
図13に示した三次元的動作機構構造体10は、基本的には、図1から図10に示した第1の実施例の三次元的動作機構構造体10と同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0124】
本実施例における三次元的動作機構構造体10は、前後揺動用リンク機構60の第3リンク66における第1連結部分66aが逆コ字状に形成されているとともに、第2連結部分66bが第2リンク64の上下方向の軸84と略同一軸上に有る点で第1の実施例とは異なっている。
【0125】
このように第1連結部分66aを逆コ字状に形成し、第2連結部分66bを第2リンク64の上下方向の軸84と略同一軸上に有るように構成しても、何ら問題なく前後揺動用リンク機構60を機能させることができる。
【0126】
なお、第1連結部分66aを逆コ字状にしたのは、強度的に第1連結部分66aの肉厚をある程度持たせる必要が有るからであって、強度のある材質であれば、例えば図14に示したような形状であっても良いものである。
【0127】
なお、本実施形態においては、第1連結部分66aについても逆コ字状以外にコ字状,U字状など特に限定されないものである。
【0128】
要は、第2リンク64の上下方向の軸84を中心に回動自在に第1連結部分66aが連結され、この後、第2リンク64の上下方向の軸84と同一軸となるように、第2連結部分66bが第1連結部分66aに繋がってさえいれば、如何なる形態でも良いものである。
【0129】
[実施例5]
次に、本発明の三次元的動作機構構造体10における第5の実施例について図15に示した背面図を用いて説明する。
【0130】
図15に示した三次元的動作機構構造体10は、基本的には、図1から図10に示した第1の実施例の三次元的動作機構構造体10と同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0131】
本実施例における三次元的動作機構構造体10は、胴部30の後方の真ん中下方に開口部94が設けられ、前後揺動用リンク機構60の第5リンク70が、この開口部94より突出するよう構成されている点で異なっている。
【0132】
このように構成しても、何ら問題なく前後揺動用リンク機構60を機能させることができる。
【0133】
なお、この形状は、第5リンク70を胴部30内に納めることができるため、三次元的動作機構構造体10自体をより小さくすることができる。
【0134】
またこのように第5リンク70を胴部30内に納めると、前後揺動用リンク機構60が直線状に配設されることとなるため、三次元的動作機構構造体10の左右のバランスが良くなり、三次元的動作機構構造体そのものの安定性はもちろんのこと、リンク機構の動作安定性を高めることができる。
【0135】
[実施例6]
次に、本発明の三次元的動作機構構造体10における第6の実施例について図16に示した左側面図を用いて説明する。
【0136】
図16に示した三次元的動作機構構造体10は、基本的には、図1から図10に示した第1の実施例の三次元的動作機構構造体10と同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0137】
本実施例における三次元的動作機構構造体10は、前後揺動用リンク機構60の第3リンク66における第2連結部分66bが、第1の実施例における第2連結部分66bのように直線状に構成されてはおらず、階段状に構成されている点で異なっている。
【0138】
このように、第2連結部分66bを階段状に構成しても、何ら問題なく前後揺動用リンク機構60を機能させることができる。
【0139】
なお、この形状は、第3リンク66における第1連結部分66aおよび第2リンク64を略垂直状に配設するためであり、このように構成すれば、第2リンク64及び第3リンク66を胴部30により近づけることができる。このため特に小型化が望まれる構造体に本三次元的動作機構構造体10を配設する場合に好適である。
【0140】
以上、本発明における三次元的動作機構構造体の好ましい形態について説明したが、本
発明は上記の形態に限定されるものではないものである。
【0141】
例えば上記実施例では、左右回動部材52を胴部30の前後方向に設け、また前後回動部材72を胴部30の左右いずれかの側方に設けたが、これらについて左右回動部材52を胴部30の左右いずれかの側方に設け、前後回動部材72を胴部30の前後方向に設けても良いものである。また左右回動部材52と前後回動部材72とを胴部30の同じ面に設けても良いものである。このような場合には、別途歯車を追加したり、構成を多少変えることで容易に対応することができるものである。
【0142】
さらに、胴部30がある程度の大きさを有する場合には、左右回動部材52および前後回動部材72を胴部の内部に配設することも可能である。
【0143】
要は、左右回動部材52および前後回動部材72が胴部30に軸支されてさえいれば、胴部30の外側に位置していても内部に位置するようにしてもかまわないものである。
【0144】
このように、本発明の三次元的動作機構構造体は、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0145】
10・・・三次元的動作機構構造体
20・・・頭部
30・・・胴部
40・・・左右揺動用平行リンク機構
42・・・上リンク
44・・・下リンク
46・・・左側リンク
48・・・右側リンク
50・・・中間リンク
52・・・左右回動部材
60・・・前後揺動用リンク機構
62・・・第1リンク
64・・・第2リンク
66・・・第3リンク
66a・・第1連結部分
66b・・第2連結部分
68・・・第4リンク
70・・・第5リンク
72・・・前後回動部材
78・・・頭部の上下方向の軸
80・・・頭部の左右方向の軸
82・・・頭部の前後方向の軸
84・・・第2リンクの上下方向の軸
86・・・第3リンクの上下方向の軸
88・・・第3リンクの上下方向の軸に略垂直な前後方向の軸
90・・・第1リンクの前後方向の軸
94・・・開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭の動きを模した三次元的動作機構構造体であって、
前記三次元的動作機構構造体は、
頭部と、
前記頭部の下方に位置するよう配設された胴部と、
前記頭部に接続されるとともに、前記胴部に軸支された左右回動部材に連結され、前記左右回動部材を回動することにより、前記頭部を左右に揺動させる左右揺動用平行リンク機構と、
前記頭部の前方または後方のいずれか一方に接続されるとともに、前記胴部に軸支された前後回動部材を回動することにより、前記頭部を前後に揺動させる前後揺動用リンク機構と、
を備え、
前記左右回動部材と前記前後回動部材とを回動することにより、前記頭部を三次元的に動作させるよう構成されていることを特徴とする三次元的動作機構構造体。
【請求項2】
前記左右揺動用平行リンク機構の左右回動部材が、
前記胴部の前後方向に軸支されていることを特徴とする請求項1に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項3】
前記左右揺動用平行リンク機構が、
前記頭部の左右方向の軸を中心として、前記頭部が前後方向に回動できるように前記頭部に連結された上リンクと、
前記左右回動部材と連結され、前記左右回動部材と従動するよう接続された下リンクと、
前記上リンクの左側端部と下リンクの左側端部とを連結する左側リンクと、
前記上リンクの右側端部と下リンクの右側端部とを連結する右側リンクと、
前記左側リンクと右側リンクとを略垂直状に保持する垂直保持手段と、
を備え、
前記左右回動部材を回動することにより、前記下リンク,左側リンクおよび右側リンク,ならびに上リンクを伝って前記頭部を左右に揺動させるよう構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項4】
前記垂直保持手段が、
その両端部が前記左側リンクおよび右側リンクと連結され、前記胴部の前後方向に軸支された中間リンクであることを特徴とする請求項3に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項5】
前記前後揺動用リンク機構の前後回動部材が、
前記胴部の左右方向に軸支されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項6】
前記前後揺動用リンク機構が、
前記頭部の前後方向の軸を中心として回動できるように、一端側が前記頭部の前方または後方のいずれか一方に連結された第1リンクと、
前記胴部に対して接離するように上下方向に回動できるように、一端側が前記第1リンクの他端側に連結された第2リンクと、
前記第2リンクの上下方向の軸を中心として回動できるように、一端側が前記第2リンクの他端側に連結された第3リンクと、
前記第3リンクの上下方向の軸に対して略垂直な前後方向の軸を中心として回動できるように、一端側が前記第3リンクの他端側に連結された第4リンクと、
前記胴部に対して、その一端側が接離するように上下方向に回動できるように、一端側が前記第4リンクの他端側に連結されるとともに、他端側が前記前後回動部材に固着された第5リンクと、
を備え、
前記前後回動部材を回動することにより、前記第5リンク,第4リンク,第3リンク,第2リンク,第1リンクを伝って前記頭部を前後に揺動させるよう構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項7】
前記第3リンクが、
前記第2リンクの他端側とその一端側が連結された第1連結部分と、
前記第1連結部分の他端側から垂下され、前記第4リンクの一端側と連結された第2連結部分と、
を有することを特徴とする請求項6に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項8】
前記第3リンクの第1連結部分の左右方向の軸が、
前記第2のリンクの上下方向の軸と直交するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項9】
前記第3リンクの第2連結部分の上下方向の軸が、
前記第2リンクの上下方向の軸と平行となるように構成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項10】
前記第3リンクの第2連結部分の上下方向の軸が、
前記第2リンクの上下方向の軸と略同一軸上に有ることを特徴とする請求項7または8に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項11】
前記左右回動部材と前後回動部材が、歯車であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項12】
前記左右揺動用平行リンク機構の歯車を回動する電動モータを備えることを特徴とする請求項10に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項13】
前記前後揺動用リンク機構部の歯車を回動する電動モータを備えることを特徴とする請求項11または12に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項14】
前記電動モータが、前記胴部内に配設されることを特徴とする請求項12または13に記載の三次元的動作機構構造体。
【請求項15】
前記三次元動作機構構造体が、
人形玩具の内側,ロボットハンドの手首部分,またはカメラの雲台に配設される構造体であることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の三次元的動作機構構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−169393(P2011−169393A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33468(P2010−33468)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(508052042)株式会社小野電機製作所 (2)
【Fターム(参考)】