説明

不飽和フッ素化炭化水素類を含む溶媒組成物

本発明は、不飽和フッ素化炭化水素類を含む清浄組成物に関する。本発明はさらに、清浄、脱脂、脱フラックス、脱水、およびフッ素系潤滑剤を被着する方法における前記清浄組成物の使用に関する。本発明はさらに、新規不飽和フッ素化炭化水素類、および上記に列挙する方法における清浄組成物としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和フッ素化炭化水素類を含む清浄組成物に関する。本発明はさらに、清浄、脱脂、脱フラックス、脱水、およびフッ素系潤滑剤を被着する方法における前記清浄組成物の使用に関する。本発明はさらに、新規不飽和フッ素化炭化水素類、および上記に列挙される方法における清浄組成物としてのその使用に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2005年11月1日出願の米国特許公報(特許文献1)の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
クロロフルオロカーボン(CFC)化合物は、半導体製造分野で磁気ディスク媒体などの表面を清浄するために広範に使用されている。しかしながら、CFC化合物などの塩素含有化合物は、地球のオゾン層に有害であるとみなされる。さらに、CFC化合物と置換するために使用されるヒドロフルオロカーボンの多くは、地球温暖化の一因であることがわかっている。したがって、残存磁束、潤滑剤または油汚染物質、および粒子の除去など、清浄用途向けの環境に安全な新規溶媒を同定する必要がある。フッ素系潤滑剤の被着用、および水溶液で処理された基板の乾燥または脱水用の新規溶媒を同定する必要もある。
【0004】
本発明は、不飽和フッ素化炭化水素類を含む新規組成物を提供する。これらの組成物は、以前にはCFC化合物が貢献した用途の多くで利用されている。本発明の化合物は、環境影響がほとんどまたは全くない所望の特性の一部または全部;油脂類、または潤滑剤類(具体的には、フッ素含有潤滑剤)を溶解する能力;非引火性、および乾燥または脱水する方法で使用される界面活性剤化合物を溶解する能力を有する。
【0005】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/732,771号明細書
【特許文献2】米国特許仮出願第60/732,396号明細書
【特許文献3】米国特許仮出願第60/732,090号明細書
【特許文献4】米国特許仮出願第60/732,292号明細書
【特許文献5】米国特許仮出願第60/732,581号明細書
【特許文献6】米国特許第5,908,822号明細書
【特許文献7】米国特許第3,085,918号明細書
【非特許文献1】Jeanneauxら著、Journal of Fluorine Chemistry、4巻、261〜270頁(1974年)
【非特許文献2】Zapevalovら、Russian Journal of Organic Chemistry、24巻、1466〜1472頁 (1988年)
【非特許文献3】The Scientific Assessment of Ozone Depletion、2002年、a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project
【非特許文献4】「Dip−Coating of Ultra−Thin Liquid Lubricant and its Control for Thin−Film Magnetic Hard Disks」、IEEE Transactions on Magnetics、31巻、6号、1995年11月
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に、下記からなる群:式E−またはZ−RCH=CHRを有する化合物(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)と、(CFCFCH=CH、CFCFCFCH=CH、CH=CFCFCFCHF、CF=CHCFCHCF、CFCF=C(CF)(CH)、CH=CFCH(CF、CHF=CHCH(CF、CHFCH=C(CF、CHCF=C(CF、(CFC=CHCH、CHFCFCF=CFCH、CCF=CHCH、CFC(CH)=CHCF、CH=CHCFCHFCF、CH=C(CF)CHCF、CFCH=CFCHCH、CFCH=C(CH、CF(CFCF=CF、CFCFCF=CFCFCF、(CFC=C(CF、(CFCFCF=CFCF、(CFC=CHC、(CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCH=CH、CH=CHC(CF、(CFC=C(CH)(CF)、CH=CFCFCH(CF、CFCF=C(CH)CFCF、CFCH=CHCH(CF、(CFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCH、CH=CHCFCFCFCHF、(CFC=CHCFCH、CH=C(CF)CH、CFCFCFC(CH)=CH、CFCFCFCH=CHCH、CH=CHCHCF、CFCFCF=CFC、CH=CHCHCF(CF、CFCF=CHCH(CF)(CH)、(CFC=CFC、(CHC=CFCFCF、(CFC=C(CH、CFCF=CFCFCF、CFCFCF=CFCF、CFCH=CFCFCF、CFCF=CHCFCF、CFCFCH=CFCF、CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCHCH、(CHC=CFCFCFCF、シクロ−CFCH=CHCFCFCF−、シクロ−CFCF=CFCFCFCF−、CF=CHCFBr、CF=CFCBrH、CHF=CBrCF、CHF=CHCBrF、CHF=CBrCHF、CHBr=CFCF、CHBr=CHCF、CH2=CBrCF、CHCFCBrF、CFBr=CHCF、CFBr=CFCF、CH=CBrCFCF、CHBr=CHCFCF、CH=CHCFCFBr、CH=CHCBrFCF、CFCBr=CFCF、CHCBr=CHCF、CFCBr=CHCH、(CFC=CHBr、CFCF=CBrCFCF、CHFCBr=CFC、CF=CBrCHFC、CHBr=CF(CFCHF、CH=CBrCF、CF=CHCFCHCBrF、(CFCFCBr=CH、CF=C(CHBr)CF、CH=C(CBrF)CF、(CFCHCH=CHBr、(CFC=CHCHBr、CH=CHCF(CF)CBrF、CFCFCFCBr=CH、CF(CFCBr=CH、CHCl=CFCClF、CHCl=CClCF、CHCl=CHCHF、CHCl=CFCH、CH=CClCHF、CHF=CClCH、CH=CClCClF、CH=CFCClF、CHCl=CClCHF、CHCl=CHCClF、CHF=CClCHClF、CCl=CFCH、CH=CClCHClF、CH=C(CHF)CClF2、CH=CHCFCHClF、CHCl=C(CH)CF、CH=CHCHClCF、CHCF=CHCClF、CH=CClCFCF、CHCl=CHCFCF、CH=CHCFCFCl、CH=CHCClFCF、CHCCl=CHCF、CFCCl=CHCH、CH=CHCClFCHCl、CH=CClCClFCClF、CH=CClCHCClF、CH=CHCFCHCl、CH=CHCClFCClF、CCl=C(CH)CF、CCl=CHCHCF、CH=CFCClFCClF、CClF=CHC、CHCl=CHCFCH、CH=CClCFCH、CHCH=CHCClF、(CFC=CHCl、CFCH=C(CClF)CF、CHCl=CHCFCClFCF、CHCl=CHCF(CClF)CF、CFCF=CClCFCF、CHCl=CF(CFCHF、CH=CClCF、CF=CHCFCHCClF、(CFCFCCl=CH、(CFCHCH=CHCl、(CFC=CHCHCl、CH=CHCF(CF)CClF、CH=CClCFCF、およびCHCl=CHCFCFからなる群から選択される不飽和フッ素化炭化水素類から選択される少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む組成物を使用する新規の方法が開示される。
【0007】
一実施形態では、本明細書に開示される方法は、物品または基板を清浄するために式E−またはZ−RCH=CHR(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)を有する化合物を使用する方法である。
【0008】
別の実施形態は、フッ素系潤滑剤を表面に被着させる方法であって、
(a)フッ素系潤滑剤と、下記からなる群から選択される不飽和フッ素化炭化水素を含む溶媒とを組み合わせて、潤滑剤−溶媒の組合せを形成するステップと:
(i)式E−またはZ−RCH=CHRを有する不飽和フッ素化炭化水素類(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)、ならびに
(ii)(CFCFCH=CH、CFCFCFCH=CH、CH=CFCFCFCHF、CF=CHCFCHCF、CFCF=C(CF)(CH)、CH=CFCH(CF、CHF=CHCH(CF、CHFCH=C(CF、CHCF=C(CF、(CFC=CHCH、CHFCFCF=CFCH、CCF=CHCH、CFC(CH)=CHCF、CH=CHCFCHFCF、CH=C(CF)CHCF、CFCH=CFCHCH、CFCH=C(CH、CF(CFCF=CF、CFCFCF=CFCFCF、(CFC=C(CF、(CFCFCF=CFCF、(CFC=CHC、(CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCH=CH、CH=CHC(CF、(CFC=C(CH)(CF)、CH=CFCFCH(CF、CFCF=C(CH)CFCF、CFCH=CHCH(CF、(CFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCH、CH=CHCFCFCFCHF、(CFC=CHCFCH、CH=C(CF)CH、CFCFCFC(CH)=CH、CFCFCFCH=CHCH、CH=CHCHCF、CFCFCF=CFC、CH=CHCHCF(CF、CFCF=CHCH(CF)(CH)、(CFC=CFC、(CHC=CFCFCF、(CFC=C(CH、CFCF=CFCFCF、CFCFCF=CFCF、CFCH=CFCFCF、CFCF=CHCFCF、CFCFCH=CFCF、CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCHCH、(CHC=CFCFCFCF、シクロ−CFCH=CHCFCFCF−、シクロ−CFCF=CFCFCFCF−、CF=CHCFBr、CF=CFCBrH、CHF=CBrCF、CHF=CHCBrF、CHF=CBrCHF、CHBr=CFCF、CHBr=CHCF、CH2=CBrCF、CHCFCBrF、CFBr=CHCF、CFBr=CFCF、CH=CBrCFCF、CHBr=CHCFCF、CH=CHCFCFBr、CH=CHCBrFCF、CFCBr=CFCF、CHCBr=CHCF、CFCBr=CHCH、(CFC=CHBr、CFCF=CBrCFCF、CHFCBr=CFC、CF=CBrCHFC、CHBr=CF(CFCHF、CH=CBrCF、CF=CHCFCHCBrF、(CFCFCBr=CH、CF=C(CHBr)CF、CH=C(CBrF)CF、(CFCHCH=CHBr、(CFC=CHCHBr、CH=CHCF(CF)CBrF、CFCFCFCBr=CH、CF(CFCBr=CH、CHCl=CFCClF、CHCl=CClCF、CHCl=CHCHF、CHCl=CFCH、CH=CClCHF、CHF=CClCH、CH=CClCClF、CH=CFCClF、CHCl=CClCHF、CHCl=CHCClF、CHF=CClCHClF、CCl=CFCH、CH=CClCHClF、CH=C(CHF)CClF2、CH=CHCFCHClF、CHCl=C(CH)CF、CH=CHCHClCF、CHCF=CHCClF、CH=CClCFCF、CHCl=CHCFCF、CH=CHCFCFCl、CH=CHCClFCF、CHCCl=CHCF、CFCCl=CHCH、CH=CHCClFCHCl、CH=CClCClFCClF、CH=CClCHCClF、CH=CHCFCHCl、CH=CHCClFCClF、CCl=C(CH)CF、CCl=CHCHCF、CH=CFCClFCClF、CClF=CHC、CHCl=CHCFCH、CH=CClCFCH、CHCH=CHCClF、(CFC=CHCl、CFCH=C(CClF)CF、CHCl=CHCFCClFCF、CHCl=CHCF(CClF)CF、CFCF=CClCFCF、CHCl=CF(CFCHF、CH=CClCF、CF=CHCFCHCClF、(CFCFCCl=CH、(CFCHCH=CHCl、(CFC=CHCHCl、CH=CHCF(CF)CClF、CH=CClCFCF、およびCHCl=CHCFCFからなる群から選択される不飽和フッ素化炭化水素類;
(b)潤滑剤−溶媒の組合せを表面と接触させるステップと、
(c)溶媒を表面から蒸発させて、フッ素系潤滑剤コーティングを表面に形成するステップとを含む方法である。
【0009】
さらに別の実施形態は、濡れた基板の表面から少なくとも水の一部分を除去する方法であって、
(a)界面活性剤をさらに含む本発明の組成物と基板を接触させるステップと、次いで
(b)基板を前記組成物との接触から取り外すステップとを含む方法である。
【0010】
さらに別の実施形態は、式RCH=CHRを有する不飽和フッ素化炭化水素類(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)を含む組成物である。
【0011】
さらに別の実施形態は、CH=CClCFCF、CHCl=CHCFCF、CHCl=CHCFCF、およびCHBr=CHCFCFからなる群から選択される不飽和フッ素化炭化水素を含む組成物である。
【0012】
本発明の他の目的および利点は、以降の詳細な説明によって当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
多くの態様および実施形態を上述するが、例示するものであって、限定するものではない。当業者は、本明細書を読むと、本発明の範囲から逸脱することなく、他の態様および実施形態が可能であることを理解する。実施形態のいずれか1つまたは複数の他の特徴および利点は、下記の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0014】
後述する実施形態の詳細を説明する前に、いくつかの用語を定義または明確にする。
【0015】
本明細書では、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、またはその任意の他の変形は、包括的包含をカバーするよう意図されている。例えば、列挙する要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、列挙されていない、またはこのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を包含することができる。さらに、別段の明白な記載のない限り、「または」は、包含的なまたはを意味し、排他的なまたはを意味しない。例えば、条件AまたはBは、下記のいずれか1つで満足される。Aは真であり(または存在する)かつBは偽であり(または存在しない)、Aは偽であり(または存在しない)かつBは真であり(または存在する)、ならびにAとBが共に真である(または存在する)。
【0016】
または、「a」または「an」の使用は、本明細書に記載する要素および成分を記述するために使用される。これは、便宜上、および本発明の範囲の一般的意味を与えるために行われているにすぎない。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別段の意味であることがはっきりしていない限り、その複数も含む。
【0017】
別段の定義のない限り、本明細書で使用される科学技術用語はすべて、本発明が属する技術分野の技術者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載するものに類似または匹敵する方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験で使用することができるが、適切な方法および材料を後述する。本明細書に記載の刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、個別の一節が引用されていない限り、その全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて、本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は、例示にすぎず、限定するものではない。
【0018】
出願者らは、具体的には本開示に引用されたすべての文献の内容全体を組み込む。出願者らは、共有されている2005年11月1日出願の米国特許公報(特許文献2)、2005年11月1日出願の米国特許公報(特許文献3)、2005年11月1日出願の米国特許公報(特許文献4)、および2005年11月1日出願の米国特許公報(特許文献5)も参照により組み込む。
【0019】
さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、または上方の好ましい値および下方の好ましい値のリストとして記載されている場合、これは、範囲が別々に開示されているか否かに関わらず、任意の上方範囲限界または好ましい値と任意の下方範囲限界または好ましい値の任意の対で構成される範囲をすべて、具体的に開示するものと理解されるべきである。数値範囲が本明細書に記載されている場合、別段の記述のない限り、範囲は、その両端、ならびに範囲内のすべての整数および分数を包含するよう意図されている。範囲を定義する場合、本発明の範囲を記載する特定の値に限定するものではない。
【0020】
一実施形態では、本発明は、式E−またはZ−RCH=CHR(式I)を有する化合物(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)を提供する。R基およびR基としては例えば、CF、C5、CFCFCF、CF(CF、CFCFCFCF、CF(CF)CFCF、CFCF(CF、C(CF、CFCFCFCFCF、CFCFCF(CF、C(CF、CFCFCFCFCFCF、CF(CF)CFCF、およびC(CFCFが挙げられるが、これらに限定されない。式Iの化合物の非限定的例を表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
一実施形態では、式Iの化合物は、式RIのパーフルオロアルキルヨージドを式RCH=CHのパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンと接触させて、式RCHCHIRのトリヒドロヨードパーフルオロアルカンを生成することによって、調製することができる。次いで、このトリヒドロヨードパーフルオロアルカンを脱ヒドロヨウ素化して、RCH=CHRを生成することができる。別の実施形態では、RCH=CHRのオレフィンは、式RIのパーフルオロアルキルヨージドを式RCH=CHのパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンと反応させることによって生成された式RCHICHのトリヒドロヨードパーフルオロアルカンの脱ヒドロヨウ素化によって、調製することができる。
【0024】
一実施形態では、前記パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの接触は、反応温度にて反応物質および生成物の自己圧力下で操作することができる適切な反応容器中で、反応物質を組み合わせることによって、回分式モードで行うことができる。適切な反応容器としては、ステンレス鋼、具体的にはオーステナイト型ステンレス鋼から作製されたもの、ならびにモネル(Monel)(登録商標)ニッケル−銅合金、ハステロイ(Hastelloy)(登録商標)ニッケル系合金、およびインコネル(Inconel)(登録商標)ニッケル−クロム合金などの周知の高ニッケル合金が挙げられる。
【0025】
別の実施形態では、反応は、パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィン反応物質を、反応温度で、ポンプなどの適切な添加装置によってパーフルオロアルキルヨージド反応物質に添加する半回分式モードで実施することができる。
【0026】
一実施形態では、パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの比は、約1:1〜約4:1である。別の実施形態では、パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの比は、約1.5:1〜約2.5:1である。1.5:1未満の比の場合、(非特許文献1)によって報告されているように、多量の2:1付加物を生じる傾向がある。
【0027】
一実施形態では、前記パーフルオロアルキルヨージドと前記パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの接触温度は、約150℃〜約300℃の範囲内である。別の実施形態では、温度は、約170℃〜約250℃である。さらに別の実施形態では、温度は、約180℃〜約230℃である。
【0028】
一実施形態では、パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの反応の接触時間は、約0.5時間〜約18時間である。別の実施形態では、接触時間は、約4時間〜約12時間である。
【0029】
さらに別の実施形態では、パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの接触は、触媒の存在下で行われる。一実施形態では、適切な触媒は、第VIII族遷移金属錯体である。代表的な第VIII族遷移金属錯体としては、0価のNiL複合体(式中、リガンドLは、ホスフィンリガンド、ホスフィットリガンド、カルボニルリガンド、イソニトリルリガンド、アルケンリガンド、またはその組合せとすることができる)が挙げられるが、これに限定されない。このような一実施形態では、Ni(0)L複合体は、NiL(CO)複合体である。特定の一実施形態では、第VIII族遷移金属錯体は、ビス(トリフェニルホスピン)ニッケル(0)ジカルボニルである。一実施形態では、パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの比は、約3:1〜約8:1である。一実施形態では、触媒の存在下での前記パーフルオロアルキルヨージドと前記パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの接触温度は、約80℃〜約130℃の範囲内である。別の実施形態では、温度は、約90℃〜約120℃である。
【0030】
一実施形態では、触媒の存在下でのパーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの反応の接触時間は、約0.5時間〜約18時間である。別の実施形態では、接触時間は、約4時間〜約12時間である。
【0031】
一実施形態では、パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの反応によって調製されたトリヒドロヨードパーフルオロアルカンは、脱ヒドロヨウ素化ステップで直接使用することができる。別の実施形態では、脱ヒドロヨウ素化ステップの前に、蒸留によってトリヒドロパーフルオロアルカンを回収し、精製する。
【0032】
一実施形態では、トリヒドロヨードパーフルオロアルカンを塩基性物質と接触させることによって、脱ヒドロヨウ素化ステップを実施する。一実施形態では、塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)、アルカリ金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム)、アルカリ土類金属酸化物(例えば、酸化カルシウム)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシド)、アンモニア水、ナトリウムアミド、またはソーダ石灰などの塩基性物質の混合物が挙げられる。別の実施形態では、塩基性物質は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
【0033】
一実施形態では、トリヒドロヨードパーフルオロアルカンと塩基性物質の接触を液相で行うことができる。別の実施形態では、液相での接触はさらに、両方の反応物質の少なくとも一部分を溶解することができる溶媒の存在下で行われる。一実施形態では、脱ヒドロヨウ素化ステップに適した溶媒としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、および第三級ブタノール)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、またはアジポニトリル)、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、またはスルホランなど、1つまたは複数の極性有機溶媒が挙げられる。一実施形態では、溶媒は、生成物の沸点、および精製中、生成物からの微量の溶媒の分離の容易さに基づいて選択される。一実施形態では、エタノールまたはイソプロパノールが、反応によい溶媒である。
【0034】
一実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応は、反応物質の一方(塩基性物質またはトリヒドロヨードパーフルオロアルカン)を適切な反応容器中の他方の反応物質に添加することによって実施される。前記反応容器をガラス、セラミック、または金属から作製することができ、好ましくはインペラーまたは撹拌機構で撹拌する。
【0035】
一実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応の温度は、約10℃〜約100℃である。別の実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応の温度は、約20℃〜約70℃である。一実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応を周囲圧力で実施する。別の実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応を減圧または高圧で実施する。脱ヒドロヨウ素化反応の一実施形態では、式Iの化合物が生成するとき、反応容器から蒸留する。
【0036】
別の実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応は、前記塩基性物質の水溶液を、相間移動触媒の存在下で、アルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタン、またはオクタン)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、またはペルクロロエチレン)、またはエーテル(例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリム、またはテトラグリム)など、1つまたは複数のより低い極性の有機溶媒中トリヒドロヨードパーフルオロアルカン溶液と接触させることによって実施することができる。このような一実施形態では、相間移動触媒としては、第四級アンモニウムハリド類(例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、およびトリカプリリルメチルアンモニウムクロリド)、第四級ホスホニウムハリド類(例えば、トリフェニルメチルホスホニウムブロミドおよびテトラフェニルホスホニウムクロリド)、または当技術分野でクラウンエーテルとして知られている環状ポリエーテル化合物(例えば、18−クラウン−6および15−クラウン−5)が挙げられる。
【0037】
さらに別の実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応は、トリヒドロヨードパーフルオロアルカンを固体または液体の塩基性物質に添加することによって、溶媒の非存在下に実施される。
【0038】
一実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応の反応時間は、反応物質の溶解性に応じて、約15分〜約6時間以上である。別の実施形態では、脱ヒドロヨウ素化反応は、完了するのに約30分〜約3時間を要する。
【0039】
一実施形態では、式Iの化合物は、水を添加した後、相分離によって脱ヒドロヨウ素化反応混合物から回収する。別の実施形態では、式Iの化合物を、蒸留によって脱ヒドロヨウ素化反応混合物から回収する。さらに別の実施形態では、式Iの化合物は、水を添加した後の相分離と蒸留の組合せによって、脱ヒドロヨウ素化反応混合物から回収する。
【0040】
一実施形態では、本発明の組成物は、式Iの単一化合物、例えば表1の化合物の1つを含むことができる。別の実施形態では、組成物は、式Iの化合物の組合せを含むことができる。
【0041】
式Iの化合物の多くは、異なる立体配置異性体または立体異性体として存在する。具体的な異性体が指定されていない場合、本発明は、単一の立体配置異性体、単一の立体異性体、またはその任意の組合せをすべて包含するよう意図されている。例えば、F11Eは、E−異性体、Z−異性体、または両異性体の任意の比での任意の組合せもしくは混合物を表すという意味である。別の例は、F33Eであり、E−異性体、Z−異性体、または両異性体の任意の比での任意の組合せもしくは混合物を表す。
【0042】
上述の本発明の化合物に加えて、表2に示す不飽和フッ素化炭化水素類を、表面または基板を清浄するための清浄組成物として、または清浄剤としても使用することができる。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
【表5】

【0046】
表2に列挙される化合物は市販されており、あるいは当技術分野で知られている方法で、または本明細書に記載する通りに調製することができる。
【0047】
一実施形態では、清浄組成物は、例えば表2に列挙される単一の化合物を含むことができる。別の実施形態では、清浄組成物は、表2からの化合物の組合せを含むことができる。さらに別の実施形態では、清浄組成物は、表2からの化合物と式Iの1つまたは複数の化合物との組合せを含むことができる。
【0048】
表2の化合物の多くは、異なる立体配置異性体または立体異性体として存在する。具体的な異性体が指定されていない場合、本発明は、単一の立体配置異性体、単一の立体異性体、またはその任意の組合せをすべて包含するよう意図されている。例えば、3,4,4,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2−ヘキセン(HFC−1558szy)は、E−異性体、Z−異性体、または両異性体の任意の比での任意の組合せもしくは混合物を表すものである。別の例は、1,1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロ−3−ヘプテン(HFC−162−13mczy)であり、E−異性体、Z−異性体、または両異性体の任意の比での任意の組合せもしくは混合物を表す。
【0049】
上述の本発明の化合物に加えて、表3に示す臭素含有不飽和フッ素化炭化水素類を、表面または基板を清浄するための清浄組成物として使用することができる。
【0050】
【表6】

【0051】
表3に列挙される化合物は市販されており、あるいは当技術分野で知られている方法で調製することができる。
【0052】
1−ブロモ−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンを、三臭化リンと3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブタノールの反応で始まって、4−ブロモ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタンが得られる3ステップシーケンスによって調製することができる。350〜400℃で4−ブロモ−1,1,2,2−ペンタフルオロブタンを熱臭素化することによって、4,4−ジブロモ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタンが得られ、これを水酸化カリウム粉末と共に加熱して、所望のブロモブテンを得る。
【0053】
2−ブロモ−3,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテンは、臭素を3,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテンに添加し、続いて得られたジブロミド体を水酸化カリウムエタノール溶液で処理することによって調製することができる。
【0054】
上述の本発明の化合物に加えて、表4に示す塩素含有不飽和フッ素化炭化水素類を、表面または基板を清浄するための清浄組成物として使用することができる。
【0055】
【表7】

【0056】
【表8】

【0057】
表4に列挙される化合物は市販されており、あるいは当技術分野で知られている方法で調製することができる。
【0058】
2−クロロ−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンは、3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンを塩素化して、3,4−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−ブタンを得、続いてこのジクロロ体と水酸化カリウムエタノール溶液を反応させることによって調製することができる。
【0059】
1−クロロ−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンは、まず1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタンを光塩素化して、末端が塩素化されたペンタフルオロブタン類の混合物を得ることによって調製することができる。4,4−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロブタンを蒸留によって分離した後、ジクロロ誘導体を水酸化カリウム粉末と共に還流して、所望の1−クロロ−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−1−ブテンを得る。
【0060】
1−クロロ−2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテンは、(非特許文献2)によって報告されているように、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノールとジクロロトリフェニルホスホランの反応、続いて得られたクロロメチル誘導体と塩基の反応によって調製することができる。
【0061】
2−クロロ−3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテンは、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテンを塩素化し、続いて得られたジクロロ体を水酸化カリウムエタノール溶液で処理することによって調製することができる。
【0062】
2−クロロ−3,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテンは、3,4,4,4−テトラフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−1−ブテンを塩素化し、続いて得られたジクロロ体を水酸化カリウムエタノール溶液で処理することによって調製することができる。
【0063】
2−クロロ−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセンは、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセンを塩素化し、続いて得られたジクロロ体を水酸化カリウムエタノール溶液で処理することによって調製することができる。
【0064】
1−クロロ−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセンは、まず1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサンを光塩素化して、末端が塩素化されたペンタフルオロヘキサン類の混合物を得ることによって調製することができる。6,6−ジクロロ−1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキサンを蒸留によって分離した後、ジクロロ誘導体を水酸化カリウム粉末と共に還流して、所望の1−クロロ−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキセンを得る。清浄組成物は、例えば表3もしくは4に列挙される単一の不飽和フッ素化炭化水素類をふくむことができ、あるいは表3からの化合物の組合せ、表4からの化合物の組合せ、または表2、3、もしくは4の化合物のいずれかからの化合物の組合せ、および式Iの化合物を含むことができる。不飽和フッ素化炭化水素類のこのような組合せを利用して、特定の溶質の溶媒組成物の溶解力を最適化することができる。
【0065】
表3および表4の化合物の多くは、異なる立体配置異性体または立体異性体として存在する。具体的な異性体が指定されていない場合、本発明は、単一の立体配置異性体、単一の立体異性体、またはその任意の組合せをすべて包含するよう意図されている。例えば、2−ブロモ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CHF=CBrCF)は、E−異性体、Z−異性体、または両異性体の任意の比での任意の組合せもしくは混合物を表すものである。別の例は、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFCl=CHCF)であり、E−異性体、Z−異性体、または両異性体の任意の比での任意の組合せもしくは混合物を表す。
【0066】
一実施形態では、開示される組成物は、地球温暖化係数(GWP)が1000以下である。別の実施形態では、開示される組成物は、地球温暖化係数(GWP)が500以下である。さらに別の実施形態では、開示される組成物は、地球温暖化係数(GWP)が150以下である。さらに別の実施形態では、開示される組成物は、地球温暖化係数(GWP)が100以下である。さらに別の実施形態では、開示される組成物は、地球温暖化係数(GWP)が50以下である。本明細書では、「GWP」は、参照により本明細書に組み込まれる(非特許文献3)に定義されるように、100年の時間軸にわたって二酸化炭素のGWPと比較して測定される。
【0067】
一実施形態では、本組成物は、オゾン層破壊係数(ODP)が0.05以下である。別の実施形態では、本組成物は、オゾン層破壊係数(ODP)が0.02以下である。さらに別の実施形態では、本組成物は、オゾン層破壊係数(ODP)が約0である。本明細書では、「ODP」は、参照により本明細書に組み込まれる(非特許文献3)に定義される。
【0068】
(例えば、式I、および表2、3、または4から)本組成物に含まれている不飽和フッ素化炭化水素類の量は、個別の用途に応じて広範に変わることができ、微量より多く100%より少ない化合物を含む組成物は、本発明の広い範囲内である。
【0069】
一実施形態では、本組成物はさらに、エアロゾル噴射剤を含むことができる。エアロゾル噴射剤は、エアロゾルの形で本組成物を貯蔵容器から表面に送達する助けとなり得る。エアロゾル噴射剤は、本組成物に全組成物の約25重量パーセントまでの量で場合によっては含まれる。代表的なエアロゾル噴射剤は、空気、窒素、二酸化炭素、ジフルオロメタン(CF、HFC−32)、トリフルオロメタン(CFH、HFC−23)、ジフルオロエタン(CHFCH、HFC−152a)、トリフルオロエタン(CHCF、HFC−143a;またはCHFCHF、HFC−143)、テトラフルオロエタン(CFCHF、HFC−134a;またはCFHCFH、HFC−134)、ペンタフルオロエタン(CFCFH、HFC−125)、およびプロパン、ブタン類、もしくはペンタン類などの炭化水素類、またはジメチルエーテルを含む。
【0070】
別の実施形態では、本組成物はさらに、少なくとも1つの界面活性剤を含むことができる。本発明の界面活性剤としては、当技術分野で基板を脱水または乾燥することで知られているすべての界面活性剤が挙げられる。代表的な界面活性剤としては、アルキルホスファートアミン塩類(2−エチルヘキシルアミンとイソオクチルホスファートの1:1塩など);エトキシ化アルコール類、メルカプタン類、またはアルキルフェノール類;アルキルホスファートの第四級アンモニウム塩(アンモニウム基またはホスファート基上にフルオロアルキル基を有する)、およびフッ素化アミンのモノ−またはジ−アルキルホスファートが挙げられる。追加のフッ素化界面活性剤化合物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公報(特許文献6)に記載されている。
【0071】
本発明の脱水組成物に含まれる界面活性剤の量は、前記組成物が使用される個別の乾燥用途に応じて広範に変わることができるが、当業者には容易に明らかである。一実施形態では、不飽和フッ素化炭化水素溶媒に溶解している界面活性剤の量は、界面活性剤/溶媒組成物の全重量に対して約1重量パーセント以下である。別の実施形態では、組成物で処理した後、乾燥される基板をその後、界面活性剤を全く含有しないまたは最小限しか含有しない溶媒で処理する場合は、多量の界面活性剤を使用することができる。一実施形態では、界面活性剤の量は、少なくとも約50部/100万部(ppm(重量単位))である。別の実施形態では、界面活性剤の量は、約100〜約5000ppmである。さらに別の実施形態では、界面活性剤の使用量は、脱水組成物の全重量に対して約200〜約2000ppmである。
【0072】
場合によっては、脱水に使用するための溶媒および界面活性剤を含む本組成物に、他の添加剤を含めることができる。このような添加剤としては、静電荷をガラスやシリカなどの非導電性基板から消散させる能力である帯電防止性を有する化合物が挙げられる。静電防止添加剤の本発明の脱水組成物での使用は、ガラスレンズや鏡などの非導電性部分から水または水溶液を乾燥させる場合に、斑点および汚点を防止するために必要であり得る。本発明のハロカーボン溶媒の大半は、誘電性流体としての有用性も有する。すなわち、これらは、不良な電流導体であり、静電荷を容易には消散しない。通常の乾燥および清浄装置での脱水組成物の沸騰および大循環によって、静電荷が、具体的には水の大部分が基板から除去される乾燥プロセスの後半段階で生じることがある。このような静電荷は、基板の非導電性表面に集まり、表面から水が放出されるのを妨げる。残存水は定位置で乾燥し、基板上に望ましくない斑点および汚点が生じる。基板に残っている静電荷は、清浄プロセスからの不純物を生じる恐れがあり、または空気からのリントなどの不純物を引き付ける恐れがあり、許容できない清浄性能となる。一実施形態では、望ましい静電防止添加剤は、本不飽和フッ素化炭化水素溶媒にやや溶けやすく、不飽和フッ素化炭化水素溶媒の伝導率の増大を生じ、静電荷の基板からの消散を起こす極性化合物である。別の実施形態では、静電防止添加剤は、標準沸点が不飽和フッ素化炭化水素溶媒の沸点付近であり、水での溶解性が最小限から皆無である。さらに別の実施形態では、静電防止添加剤は、水での溶解性が約0.5重量パーセント未満である。一実施形態では、帯電防止剤の溶解性が、不飽和フッ素化炭化水素溶媒中では少なくとも0.5重量パーセントである。一実施形態では、静電防止添加剤は、ニトロメタン(CHNO)である。
【0073】
一実施形態では、静電防止添加剤を含有する本脱水組成物は、後述の基板を脱水または乾燥する方法の脱水および乾燥ステップとリンスステップとで有効である。
【0074】
別の実施形態は、基板を脱水または乾燥する方法であって、
a)基板を、界面活性剤を含有する本発明の組成物と接触させ、それによって前記基板を脱水するステップと、
b)脱水された基板を組成物から回収するステップとを含む方法に関する。
【0075】
多くの産業では、金属、セラミック、ガラス、およびプラスチックの表面処理に水性組成物が使用されている。コーティングの清浄、めっき、および被着は、水性媒体で実施されることが多く、通常は続いて残存水が除去されるステップが行われる。熱風乾燥、遠心乾燥、および溶媒系水置換が、このような残存水を除去するために使用される方法である。
【0076】
ヒドロフルオロカーボン(HFC)は、乾燥または脱水用途において以前に使用されているCFC溶媒に代わるものとして提案されているものの、多くのHFCは、水に対する溶解力が限定されている。水の基板からの除去に役立つ界面活性剤の使用は、したがって多くの乾燥または脱水方法において必要である。疎水性界面活性剤が、水を基板から排除するために、脱水または乾燥溶媒に添加されている。
【0077】
脱水または乾燥組成物中の脱水または乾燥溶媒(不飽和フッ素化炭化水素溶媒)の主要な機能は、乾燥される基板の表面上の水の量を減少させることがである。界面活性剤の主要な機能は、残っている水を基板の表面から排除することである。不飽和フッ素化炭化水素溶媒と界面活性剤を組み合わせると、非常に有効な置換乾燥組成物が達成される。
【0078】
一実施形態では、開示の乾燥または脱水溶媒としては、表1および表2に列挙される不飽和フッ素化炭化水素化合物が挙げられる。
【0079】
一実施形態では、表1および表2からの基板を脱水または乾燥するためのフッ素化オレフィン類は、標準沸点が約25℃〜約120℃である。
【0080】
一実施形態では、脱水および乾燥するための界面活性剤は、溶媒/界面活性剤組成物の全重量に対して少なくとも1重量パーセントでやや溶けやすい。
【0081】
一実施形態では、本開示の脱水または乾燥方法は、タングステン、銅、金、ベリリウム、ステンレス鋼、アルミニウム合金類、黄銅などの金属を含めて広範囲の基板から;ガラス、サファイア、ホウケイ酸ガラス、アルミナ、電子回路で使用されるシリコンウェハなどのシリカ、焼成アルミナなどのガラスおよびセラミック表面から;ならびにポリオレフィン(「アラトン(Alathon)」、ライナイト(Rynite)(登録商標)、「テニット(Tenite)」)、ポリビニルクロリド、ポリスチレン(スタイロン(Styron))、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(Teflon)(登録商標))、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー類(テフゼル(Tefzel)(登録商標))、ポリビニリデンフルオリド(「カイナー(Kynar)」)、アイオノマー類(サーリン(Surlyn)(登録商標))、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー類(クララック(Kralac)(登録商標))、フェノール−ホルムアルデヒドコポリマー類、セルロース誘導体(「エソセル(Ethocel)」)、エポキシ樹脂類、ポリアセタール(デルリン(Delrin)(登録商標))、ポリ(p−フェニレンオキシド)(ノリル(Noryl)(登録商標))、ポリエーテルケトン(「ウルトラペック(Ultrapek)」)、ポリエーテルエーテルケトン(「ビクトレックス(Victrex)」)、ポリ(ブチレンテレフタラート)(「バロックス(Valox)」)、ポリアクリラート(アリロン(Arylon)(登録商標))、液晶ポリマー、ポリイミド(ベスペル(Vespel)(登録商標))、ポリエーテルイミド類(「ウルテム(Ultem)」)、ポリアミドイミド類(「トーロン(Torlon)」)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)(「リソン(Rython)」)、ポリスルホン(「ユーデル(Udel)」)、およびポリアリールスルホン(「リデル(Rydel)」)などのプラスチックから水を排除するのに非常に有効である。別の実施形態では、本脱水または乾燥方法に使用するための組成物は、エラストマー類と相溶性がある。
【0082】
一実施形態では、開示は、濡れた基板の表面から水の少なくとも一部分を除去する、すなわち脱水する方法であって、基板を上記の脱水組成物と接触させるステップと、次いで基板を脱水組成物との接触から取り外すステップとを含む方法を対象とする。一実施形態では、基板の表面に本来結合している水は、溶媒および/または界面活性剤で置換され、脱水組成物と共に離れる。「水の少なくとも一部分」は、1浸漬サイクル当たり、基板の表面にある水の少なくとも約75重量パーセントが除去されることを意味する。「浸漬サイクル」は、基板が本脱水組成物に浸漬される少なくとも1ステップか関与する1サイクルを意味する。場合によっては、基板に付着して残っている界面活性剤の最小量は、界面活性剤を含まないハロカーボン溶媒と基板を接触させることによってさらに除去することができる。溶媒蒸気または還流溶媒中に物品を保持することによって、さらに基板に残っている界面活性剤の存在が低減される。基板の表面に付着している溶媒の除去は、蒸発によって行われる。大気圧または準大気圧での溶媒の蒸発を用いることができ、ハロカーボン溶媒の沸点の上下の温度を用いることができる。
【0083】
基板を脱水組成物と接触させる方法はクリティカルでなく、広範囲に変わり得る。例えば、基板を組成物に浸漬することができ、または通常の装置を用いて、基板に組成物を吹き付けることができる。基板の完全浸漬は、組成物と基板のすべての曝露面との接触を確実にするので好ましい。しかしながら、このような完全浸漬を容易に提供することができる任意の他の方法を、使用することができる。
【0084】
基板と脱水組成物が接触している時間は、広範囲に変わり得る。通常、接触時間は最高約5分間であるが、望むなら、より長い時間とすることができる。脱水プロセスの一実施形態では、接触時間は約1秒〜約5分間である。別の実施形態では、脱水プロセスの接触時間は、接触時間は約15秒〜約4分間である。
【0085】
接触温度も、組成物の沸点に応じて広範囲に変わり得る。一般に、接触温度は組成物の標準沸点以下である。
【0086】
一実施形態では、本開示の組成物はさらに、共溶媒を含むことができる。このような共溶媒は、本組成物が、通常のプロセス残渣を基板から清浄する、例えば半田付け用フラックスを除去し、本発明の基板を含む機械的構成要素を脱脂する際に使用される場合に望ましい。このような共溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、メチル第三級ブチルエーテルなど)、ケトン類(アセトンなど)、エステル類(酢酸エチル、ドデカン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、およびコハク酸、グルタル酸、もしくはアジピン酸のジメチルもしくはジイソブチルエステル類、またはその混合物など)、エーテルアルコール類(プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、および炭化水素類(ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、ならびにヒドロクロロカーボン類(トランス−1,2−ジクロロエチレンなど)が挙げられる。このような共溶媒を基板脱水または清浄のために本組成物と共に使用する場合、共溶媒は、組成物全体の重量に対して約1重量パーセント〜約50重量パーセントの量で存在することができる。
【0087】
蒸気脱脂および蒸気脱フラックス装置を含めて、清浄装置では、組成物は、軸封、ホース接続部、半田接続部、および壊れたラインでの漏れによって操作中に失われる可能性がある。さらに、装置のメンテナンス手順中に、使用組成物が大気に放出されることがある。組成物が純粋な成分でない場合、組成物は、装置から大気に漏れるまたは放出される場合に変化することがあり、装置中に残っている組成物が許容できない性能を示す恐れがある。したがって、単一の不飽和フッ素化炭化水素を含む清浄組成物として使用することが望ましい。
【0088】
一実施形態では、本開示の組成物は、清浄組成物、清浄剤、被着溶媒、および脱水または乾燥溶媒として有用である。使用する際に適切に操作するには、マイクロエレクトロニクス構成要素から、フラックス残渣、油脂類、および製造完了後に表面を汚染する恐れがある粒状物質を清浄しなければならない。別の実施形態では、本開示は、残渣を表面または基板から除去する方法であって、表面または基板を本発明の清浄組成物または清浄剤と接触させるステップと、場合によっては残渣を実質的に含まない表面または基板を清浄組成物または清浄剤から回収するステップとを含む方法に関する。
【0089】
さらに別の実施形態では、本開示は、汚染物質を表面から除去することによって、表面を清浄する方法に関する。汚染物質を表面から除去する方法は、汚染物質を有する表面を本発明の清浄組成物と接触させて、汚染物質を溶解するステップと、場合によっては表面を清浄組成物から回収するステップとを含む。そのとき、表面は汚染物質を実質的に含まない。
【0090】
先に記載したように、本方法で除去することができる汚染物質または残渣としては、油脂類、フラックス残渣、および粒状汚染物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
本方法の一実施形態では、清浄組成物がその中または上に組み込まれた基材、例えば塗りつけ布または紙を用いて、吹き付け、フラッシュ、塗りつけることによって、接触を行うことができる。本方法の別の実施形態では、清浄組成物浴にディスクを部分的または完全に浸漬することによって、接触を行うことができる。
【0092】
本方法の一実施形態では、回収は、接触させた表面を清浄組成物浴から(後述するフッ素系潤滑剤を表面に被着する方法について記述されているのと同様な方式で)取り出すことによるものである。本方法の別の実施形態では、回収は、ディスクに吹き付け、フラッシュ、または塗りつけた清浄組成物の排出が可能になることによる。さらに、事前のステップの完了後に残されていることがある残存清浄組成物も、被着方法の場合と同様な方式で蒸発させることができる。
【0093】
表面を清浄する方法は、後述する被着方法と同じタイプの表面に適用することができる。シリカ、ガラス、金属もしくは金属酸化物、または炭素の半導体表面または磁気媒体ディスクには、本方法で除去される汚染物質が存在する場合がある。上述する方法では、ディスクを清浄組成物と接触させ、ディスクを清浄組成物から回収することによって、ディスクから汚染物質を除去することができる。
【0094】
さらに別の実施形態では、本方法は、物品を本発明の清浄組成物と接触させることによって、生成物、部品、構成要素、基板、または任意の他の物品もしくはその部分から汚染物質を除去する方法も提供する。便宜上、本明細書では、「物品」という用語は、このような生成物、部品、構成要素、基板などをすべて意味するために使用され、さらに任意の表面またはその部分を意味するよう意図されている。さらに、「汚染物質」という用語は、このような物質が意図的に物品に配置されている場合でさえ、物品に存在する任意の望ましくない材料または物質を意味するよう意図されている。例えば、半導体デバイスの製造においては、フォトレジスト材料を基板に被着させて、エッチング操作のためのマスクを形成し、続いてフォトレジスト材料を基板から除去することが一般的である。本明細書では、「汚染物質」という用語は、このようなフォトレジスト材料をカバーし包含するよう意図されている。炭化水素系油脂およびジオクチルフタラートは、炭素で被覆されたディスク上に認めることができる汚染物質の例である。
【0095】
一実施形態では、本方法は、蒸気脱脂溶媒清浄方法において、物品を本発明の清浄組成物と接触させるステップを含む。このような一実施形態では、蒸気脱脂溶媒清浄方法は、物品を、好ましくは室温で沸騰清浄組成物の蒸気に曝露するステップからなる。物体上で凝縮する蒸気は、蒸留した比較的清浄な清浄組成物を生じて、グリースまたは他の汚染を洗い流す利点を有する。したがって、このような方法は、本清浄組成物が物体から最終的に蒸発すると、物体を液体清浄組成物で洗浄するだけの場合に比べて、比較的に少ない残渣しか残らないという点で追加の利点を有する。
【0096】
別の実施形態では、物品に除去することが困難である汚染物質が含まれる用途の場合、本方法は、清浄組成物の温度を、周囲温度より高く、またはこのような用途で清浄組成物の清浄作用を実質的に改善するのに有効である任意の他の温度に上げるものである。このような一実施形態では、このような方法は、一般に物品、具体的には金属部品および組立品の清浄を効率的および迅速に行わなければならない大量組立てライン操作にも使用される。
【0097】
一実施形態では、本発明の清浄方法は、清浄対象の物品を液体清浄組成物に高温で浸漬するステップを含む。別の実施形態では、本発明の清浄方法は、清浄対象の物品を清浄組成物の沸点で浸漬するステップを含む。このような一実施形態では、このステップによって、相当量の標的汚染物質が物品から除去される。さらに別の実施形態では、このステップによって、大部分の標的汚染物質が物品から除去される。一実施形態では、このステップに続いて、新たに蒸留した清浄組成物に物品を、直前の浸漬ステップの液体清浄組成物の温度を下回る温度で浸漬する。このような一実施形態では、新たに蒸留した清浄組成物は、ほぼ周囲温度または室温である。さらに別の実施形態では、方法は、次いで第1に記載の浸漬ステップと関連する熱/沸騰清浄組成物から上昇する蒸気に物品を曝露することによって、物品を清浄組成物の比較的熱い蒸気と接触させるステップも含む。このような一実施形態では、これによって、清浄組成物蒸気が物品上で凝縮する。いくつかの好ましい実施形態では、最終的にリンスする前に、物品に蒸留した清浄組成物を吹き付けることができる。
【0098】
多数の種類およびタイプの蒸気脱脂装置を、本方法に関連した使用に適用できることが考えられる。このような装置およびその操作の一例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公報(特許文献7)に開示されている。その特許に開示されている装置としては、清浄組成物を含むための沸騰サンプ、蒸留した清浄組成物を含むための清浄サンプ、水分離器、および他の付属的装置が挙げられる。
【0099】
本清浄方法は、汚染された物品を、周囲温度または室温の条件下で本発明の流体清浄組成物に浸漬し、あるいは清浄組成物に浸した布切れまたは同様な物体を用いて、このような条件下で塗りつける冷清浄するステップも含むことができる。
【0100】
本発明は、発明のフッ素系潤滑剤を表面に被着させる方法であって、フッ素系潤滑剤と、本発明の不飽和フッ素化炭化水素を含む溶媒とを組み合わせるステップと、フッ素系潤滑剤および溶媒の前記組合せを表面と接触させるステップと、溶媒を蒸発させて、フッ素系潤滑剤コーティングを表面に形成するステップとを含む方法にも関する。
【0101】
デジタル情報を保存する最先端の最高記録密度および最低コストの方法は、磁性材料で被覆した回転ディスクからの磁束パターンを記録再生するものである。情報がビットの形で保存される磁気層を、金属支持構造物にスパッタリングする。次に、保護のため、オーバーコート、通常は炭素系材料を磁気層の上に設け、最後に潤滑剤をオーバーコートに塗布する。記録再生ヘッドは潤滑剤上を飛行し、ヘッドと磁気層の間で情報が交換される。ハードドライブ製造業者は、絶え間なく情報転送の効率を上昇させようとして、ヘッドと磁気層の間の距離、または飛行高さを100オングストローム未満に低減してきた。
【0102】
ノーマルディスクドライブを利用中、ヘッドとディスク表面は必ず接触する。すべり接触と飛行接触とによってディスクが摩耗するのを低減するために、ディスクを潤滑しなければならない。
【0103】
フッ素系潤滑剤は、ヘッドとディスクの間の摩擦を低減する、すなわち磨耗を低減し、したがってディスク障害の可能性を最小限に抑制するために、磁気ディスクドライブ産業において潤滑剤として広く使用されている。
【0104】
当業界では、フッ素系潤滑剤の被着の改善方法が求められている。CFC−113やPFC−5060など、いくつかの溶媒の使用は、その環境への影響のため規制されている。したがって、この用途で使用される溶媒は、環境影響を考慮すべきである。また、このような溶媒は、フッ素系潤滑剤を溶解し、フッ素系潤滑剤の実質的に均一なまたは均一なコーティングを形成しなければならない。さらに、既存の溶媒は、所与の厚さのコーティングを生成するにはより高いフッ素系潤滑剤濃度を必要とし、フッ素系潤滑剤コーティングの均一性について凹凸を生じることがわかった。
【0105】
一実施形態では、本開示のフッ素系潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル(PFPE)化合物、またはホスファゼン含有ディスク潤滑剤であるX−1P(登録商標)を含む潤滑剤を含む。これらのパーフルオロポリエーテル化合物は、パーフルオロアルキルエーテル(PFAE)またはパーフルオロポリアルキルエーテル類(PFPAE)と呼ばれることもある。これらのPFPE化合物は、単一ペルフッ素化エーテルポリマーから官能化ペルフッ素化エーテルポリマーに及ぶ。本発明でフッ素系潤滑剤として有用であり得る異なる種類のPFPE化合物は、複数の供給業者から入手可能である。別の実施形態では、本発明の方法に有用なフッ素系潤滑剤としては、クライトックス(Krytox)(登録商標)GLP 100、GLP 105、またはGLP 160(本願特許出願人、フルオロプロダクツ(Fluoroproducts)、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington, DE, 19898, USA)); フォムブリン(Fomblin)(登録商標)Z−Dol 2000、2500、もしくは4000、Z−Tetraol、またはフォムブリン(Fomblin)(登録商標)AM 2001もしくはAM 3001(ソルベイ・ソレクシス(Solvay Solexis S.p.A.)によって販売、イタリア ミラン(Milan, Italy));デムナム(Demnum)(商標)LR−200もしくはS−65(ダイキン・アメリカ(Daikin America, Inc.)によって提供、日本 大阪);X−1P(登録商標)。(部分フッ素化ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼンディスク潤滑剤、キクストール・テクノロジーズ・コーポレーション(Quixtor Technologies Corporation)、ダウケミカル(Dow Chemical Co)の子会社、米国ミシガン州ミッドランド(Midland, MI)から入手可能);およびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。クライトックス(登録商標)(Krytox)潤滑剤は、一般構造F(CF(CF)CFO)−CFCF(式中、nは10〜60である)を有するパーフルオロアルキルポリエーテル類である。フォムブリン(Fomblin)(登録商標)潤滑剤は、分子量が500〜4000の原子質量単位であり、一般式X−CF−O(CF−CF−O)−(CFO)−CF−X(式中、Xは、−CHOH、CH(O−CH−CHOH、CHOCHCH(OH)CHOH、または−CHO−CH−ピペロニルとすることができる)を有する官能化パーフルオロポリエーテル類である。デムナム(Demnum)(商標)油は、分子量が2700〜8400の原子質量単位のパーフルオロポリエーテル系油である。さらに、モレスコ(Moresco (Thailand)) Co., Ltd,)製のものなど、本発明の方法に有用であり得る新規潤滑剤が開発中である。
【0106】
本発明のフッ素系潤滑剤はさらに、フッ素系潤滑剤の特性を改善するための添加剤を含むことができる。それ自体潤滑剤として働くことができるX−1P(登録商標)は、PFPE分解の原因となるディスク表面上のルイス酸部位を不動態化することによってディスクドライブの耐久性を増大させるために、他のより低いコストのフッ素系潤滑剤に添加されることが多い。
【0107】
他の一般的な潤滑油添加剤を、本発明の方法のフッ素系潤滑剤で使用することができる。
【0108】
本発明のフッ素系潤滑剤はさらに、ジアルキルアミン末端基で終結させたPFPEであるZ−DPA(日立グローバル・ストレージ・テクノロジーズ、米国カリフォルニア州サンホセ(Hitachi Global Storage Technologies, San Jose, CA))を含む。求核性末端基は、X1P(登録商標)と同じ目的のために働き、したがって添加剤なしに同じ安定性をもたらす。
【0109】
フッ素系潤滑剤を被着させることができる表面は、潤滑から利益を得ることができる任意の固体表面である。シリカディスクなどの半導体材料、金属もしくは金属酸化物表面、炭素蒸着表面、またはガラス表面は、本発明の方法が有用である表面の代表的タイプである。本発明の方法は、コンピュータデバイスハードディスクなどの磁気媒体を被覆するのに特に有用である。コンピュータディスクの製造において、表面は、蒸着によって非晶質水素化または窒素化炭素の薄層(10〜50オングストローム)でも被覆されている、磁気媒体層を有するガラス、またはアルミニウム基板とすることができる。フッ素系潤滑剤をディスクの炭素層に塗布することによって、フッ素系潤滑剤を間接的に表面ディスク上に被着することができる。
【0110】
フッ素系潤滑剤と溶媒を組み合わせる第1のステップは、被着方法用の浴として使用することができるビーカーまたは他の容器など、適切な容器中で混合するなど、任意の適切な方式で行うことができる。不飽和フッ素化炭化水素溶媒中のフッ素系潤滑剤濃度は、約0.010パーセント(重量/重量)〜約0.50パーセント(重量/重量)とすることができる。
【0111】
フッ素系潤滑剤と溶媒の前記組合せを表面と接触させるステップは、(表面のサイズおよび形状を考慮して)前記表面に適した任意の方式で行うことができる。ハードドライブディスクを、ディスクの中心の孔によって適合することができるマンドレルまたは何らかの他の支持体など何らかの方式で支持しなければならない。したがって、ディスクは、ディスク面が溶媒浴に対して垂直になるように垂直に保持される。マンドレルは、様々な形状を有することができ、その形状としては、円柱状棒またはV字状棒が挙げられるが、これらに限定されない。マンドレル形状によって、ディスクとの接触面積が決まる。マンドレルは、ディスクを保持するのに十分な程度に強い任意の材料で構築することができる。その材料としては、金属、合金、プラスチック、またはガラスが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、ディスクを、織物バスケット中で上向きに垂直に支持することができ、あるいは外縁の1つまたは複数のクランプで垂直位置に固定することができる。支持体は、金属、合金、プラスチック、またはガラスなど、ディスクを保持する強度を有する任意の材料で構築することができる。ディスクがいかに支持されようと、フッ素系潤滑剤/溶媒の組合せの浴を保持する容器までディスクを下げる。浴は室温で保持してもよく、あるいは約0℃〜約50℃の温度に加熱または冷却してもよい。
【0112】
あるいは、ディスクを上述のように支持し、ディスクを浸漬するために浴を上げてもよい。いずれの場合も、次いで(浴を下げるかまたはディスクを上げることによって)ディスクを浴から取り出すことができる。過剰のフッ素系潤滑剤/溶媒の組合せを浴中に排出することができる。
【0113】
ディスクを浴に下げるかまたは浴を上げて、ディスクを浸漬して、フッ素系潤滑剤/溶媒の組合せをディスク表面と接触させる方法はどちらも、一般に部分的コーティング(dip coating)と呼ばれる。吹き付けまたはスピンコーティングを含めて、ディスクをフッ素系潤滑剤/溶媒の組合せと接触させる他の方法を、本発明で使用することができる。
【0114】
ディスクを浴から取り出したとき、ディスクには、その表面にフッ素系潤滑剤と若干の残存溶媒(不飽和フッ素化炭化水素)のコーティングがある。残存溶媒は蒸発する場合がある。蒸発は、通常、室温で行われる。しかしながら、室温より高いまた低い他の温度も、蒸発ステップに使用することができる。約0℃〜約100℃の温度を蒸発に使用することができる。
【0115】
表面、または表面がディスクである場合にはディスクには、被覆方法の完了後に、溶媒を実質的に含まない実質的に均一なまたは均一なフッ素系潤滑剤コーティングが残される。フッ素系潤滑剤を、厚さ約300nm未満、あるいは厚さ約100〜約300nmに塗布することができる。
【0116】
均一のフッ素系潤滑剤コーティングは、ディスクの適正な機能に望ましく、可変のフッ素系潤滑剤厚さの領域がディスクの表面に存在するのは望ましくない。同じサイズのディスクに保存される情報がますます増加するにつれて、記録/再生ヘッドは、適正に機能するためにディスクにますます接近しなければならない。コーティング厚さのバラツキによる凹凸がディスクの表面に存在する場合、ヘッドとディスクのこのような領域の接触の可能性が大幅に増大する。ヘッド接触または他の手段によって除去される可能性がある領域に流れ込むのに十分なフッ素系潤滑剤をディスク上に有することが望ましいが、厚過ぎるコーティングは過剰のフッ素系潤滑剤を捕捉する記録/再生ヘッドに関連する問題である「汚れ」を引き起こす恐れがある。
【0117】
当業界で観察される1つの特定のコーティング厚さの凹凸は、「ラビットイヤー」効果と呼ばれるものである。これらの凹凸は、既存の溶媒系を使用してフッ素系潤滑剤を被着した後ディスクの表面で視覚的に検出される。ディスクを溶媒中フッ素系潤滑剤の溶液と接触させ、次いで溶液から取り出す場合、溶液が蓄積して容易に排出されない任意の点で、容易には排出されない溶液の液滴を生じる。液滴形成の1つのこのような点は、マンドレルまたは他の支持体デバイスとディスクとの接触点である。V字状マンドレルを使用する場合、マンドレルがディスクの内縁と接触する接触点が2つある。フッ素系潤滑剤の溶液がこれらの位置に、浴から除去されたとき排出されない液滴を形成する場合、溶媒が蒸発するフッ素系潤滑剤の厚みのより厚い領域が生成する。ディスクとの2つの接触点は、「ラビットイヤー」効果と呼ばれるものを生じる。というのは、フッ素系潤滑剤の厚みのより厚い領域が、ディスク表面で視覚的に検出できるラビットイヤーに似ているパターンを生じるからである。
【0118】
部分的コーティングを使用して、フッ素系潤滑剤を表面に被着する場合、引上げ速度(ディスクを浴から取り出す速度)、ならびにフッ素系潤滑剤の密度および表面張力は、フッ素系潤滑剤の得られたフィルム厚さを決定する上で関係がある。所望のフィルム厚さを得るためのこれらのパラメータを認識する必要がある。これらのパラメータがコーティングをもたらす機構の詳細は、(非特許文献4)に記載されている。
【0119】
本開示を考慮に入れて、本明細書に開示および特許請求する組成物および方法はすべて、過度の実験なしに作製し、実施することができる。本発明の組成物および方法は、好ましい実施形態によって説明してきたが、本発明の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、様々な変形を、本明細書に記載する組成物および方法、ならびに方法のステップまたはステップ順序に適用できることは、当業者には明らかとなる。さらに詳細には、化学的に関連するいくつかの清浄組成物または清浄剤を、本明細書に記載する組成物の代わりに使用してもよく、同じまたは同様な結果が実現されるはずであることは明らかとなる。当業者に明らかなこのような同様の置換形態および修正形態は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨、範囲、および概念内であると見なされる。
【実施例】
【0120】
本発明はさらに、下記の実施例に定義される。本発明の好ましい実施形態を示すこれらの実施例は、例として挙げられているだけのものであると理解されたい。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の好ましい特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を様々な使用および条件に適応させるために本発明の様々な変更および修正を行うことができる。
【0121】
(実施例1)
(1,1,1,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ドデカフルオロヘプタ−2−エン(F14E)の合成)
(CCHCHICFの合成)
パーフルオロ−n−ブチルヨージド(180.1gm、0.52モル)および2,2,2−トリフルオロプロペン(25.0gm、0.26モル)を、400mlのハステロイ(Hastelloy)(商標)シェーカーチューブに添加し、自己圧力下で200℃に8時間加熱し、圧力は最大428psig(3.05Mpa)に上昇した。生成物を室温で回収した。上記の反応を、これらの条件で再度実施し、生成物を合わせた。次いで、同じ400mlの反応器で、パーフルオロ−n−ブチルヨージドおよび2,2,2−トリフルオロプロペンの量を2倍にして繰り返した。この場合、圧力は573psig(3.85Mpa)に上昇した。3回の反応の生成物を合わせ、蒸留して、322.4gmのCCHCHICF(52.2°/35mm)を収率70%で得た。
【0122】
(CCHCHICFのF14Eへの変換)
撹拌棒を装備し、充填した蒸留塔および蒸留ヘッドに連結させた2Lの丸底フラスコに、CCHCHICF(322.4gm、0.73モル)を滴下漏斗で滴下した。フラスコには、イソプロピルアルコール(95ml)、KOH(303.7gm、0.54モル)、および水(303ml)が入っていた。生成物を回収し、メタ重亜硫酸ナトリウム、水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ガラスヘリックスを充填した6インチの塔/カラムを用いて蒸留した。生成物F14E(173.4gm、76%)は78.2℃で沸騰する。19F NMR(δ −66.7(CF, m, 3F), −81.7(CF, m 3F), −124.8 (CF, m, 2F), −126.4 (CF, m, 2F)、および−114.9ppm(CF, m, 2F))、H NMR(δ 6.45)で特徴付けた(クロロホルム−d溶液)。
【0123】
(実施例2)
(1,1,1,2,2,5,5,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロオクタ−3−エン(F24E)の合成)
(CCHICHの合成)
パーフルオロエチルヨージド(220gm、0.895モル)および3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサ−1−エン(123gm、0.50モル)を、400mlのハステロイ(Hastelloy)シェーカーチューブに添加し、自己圧力下で200℃に10時間加熱した。これからの生成物と、同様な条件下で実施された2つの他の生成物を組み合わせ、10重量%の重亜硫酸ナトリウム水溶液200mLで2回洗浄した。有機相を塩化カルシウムで乾燥し、次いで蒸留して、277.4gmのCCHCHICF(79〜81℃/67〜68mmHg)を収率37%で得た。
【0124】
(CCHICHのF24Eへの変換)
メカニカルスターラ、滴下漏斗、冷却器、および熱電対を装備した1Lの丸底フラスコに、CCHICH(277.4gm、0.56モル)およびイソプロパノール(217.8g)を加えた。滴下漏斗に、83.8gの水に溶解させた水酸化カリウム(74.5g、1.13モル)溶液を入れた。フラスコに、KOH溶液を、急速に撹拌しながら約1時間かけて滴下したとき、温度は徐々に21℃から42℃に上昇した。反応塊を水で希釈し、生成物を相分離によって回収した。生成物を50mLの10重量%の重亜硫酸ナトリウム水溶液および50mLの水で洗浄し、塩化カルシウムで乾燥し、次いで大気圧で蒸留した。生成物F24E(128.7gm、63%)は95.5℃で沸騰する。19F NMR (δ −81.6 (CF, m, 3F), −85.4(CF, m 3F), −114.7 (CF, m, 2F), −118.1 (CF, m, 2F), −124.8 ppm (CF, m, 2F), −126.3 ppm (CF, m, 2F))、およびH NMR(δ6.48)で特徴付けた(クロロホルム−d溶液)。
【0125】
(実施例3)
(CFCH=CHCF(CF(F13iE)の合成)
(CFCHICHCF(CFの合成)
(CFCFI(265gm、0.9モル)および2,2,2−トリフルオロプロペン(44.0gm、0.45モル)を、400mlのハステロイ(Hastelloy)シェーカーチューブに添加し、自己圧力下で200℃に8時間加熱した(最大585psig(4.14MPa))。生成物を室温で回収して、110gmの(CFCFCHCHICF(76−77℃/200mm)を収率62%で得た。
【0126】
((CFCFCHCHICFのF13iEへの変換)
500mlの丸底フラスコに撹拌棒および滴下漏斗を装備し、短いパスの蒸留塔およびドライアイスのトラップに連結させた。フラスコに、イソプロピルアルコール(50ml)、水酸化カリウム(109gm、1.96モル)、および水(109ml)を加えた。(CFCFCHCHICF(109gm、0.28モル)を、42℃において、滴下漏斗で徐々に滴下した。滴下中、温度は42から55℃に上昇し、生成物をフラスコから留出させた。30分間還流した後、フラスコ内の温度は62℃に上昇した。生成物を回収し、水で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸留した。生成物F13iE(41gm、55%)は48〜50℃で沸騰し、19F NMR(δ −187.6 (CF, m 1F), −77.1 (CF3, m 6F), − 66.3 (CF3, m 3F)で特徴付けた(クロロホルム−d溶液)。
【0127】
(実施例4)
(C4F9CHICH2C2F5の合成)
3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサ−1−エン(20.5gm、0.0833モル)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)ジカルボニル(0.53g、0.0008モル)、およびパーフルオロエチルヨージド(153.6gm、0.625モル)を、210mlのハステロイ(Hastelloy)シェーカーチューブに添加し、自己圧力下で100℃において8時間加熱した。生成物のGC−MS分析によって、C4F9CHICH2C2F5(64.3 GC面積%)およびジ付加物(3.3 GC面積%)の存在が示唆された。3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサ−1−エンの変換は80.1%であった。
【0128】
(実施例5)
不飽和フルオロオレフィン化合物に、所与の量の油を混合物が濁りまたは2相に分離するまで添加することによって、不飽和フルオロオレフィン化合物のフッ素化油を溶解する能力を決定した。表1の結果から、不飽和フルオロオレフィン化合物のフッ素化油を溶解する能力が高いことがわかる。さらに、不飽和フルオロオレフィン化合物中0.5重量%の油の溶液を調製した。この実施例では、不飽和フルオロオレフィンは1,1,1,2,2,5,5,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロオクタ−3−エン(F24E)であった。予め計量した金属試片を溶液中に部分的に浸漬し、溶媒を蒸発させ、試片を再計量した。表5に、この部分的コーティング方法で得られた平均的コーティングを示す。したがって、不飽和フルオロオレフィン化合物を、フッ素化油を基板に被着させるための担体流体として使用することができる。
【0129】
【表9】

【0130】
(実施例6)
クライトックス(Krytox)GPL 106油を、スワブで重量既知の清浄な金属試片に塗りつけた。試片を再度計量し、次いで室温で1,1,1,2,2,5,5,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロオクタ−3−エン(F24E)に浸漬することによって清浄した。試片を1分間浸漬し、次いで風乾した。次いで、試片を再計量し、除去された油のパーセントを決定した。表6のこれらの結果から、溶媒は、フッ素化油を清浄する際に優れた効率を示すことがわかる。
【0131】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
残渣を表面から除去する方法であって、
(a)表面を、下記のiおよびiiからなる群から選択される少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含む組成物と接触させるステップと:
i. 式E−またはZ−RCH=CHRを有する化合物(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)、ならびに
ii. (CFCFCH=CH、CFCFCFCH=CH、CH=CFCFCFCHF、CF=CHCFCHCF、CFCF=C(CF)(CH)、CH=CFCH(CF、CHF=CHCH(CF、CHFCH=C(CF、CHCF=C(CF、(CFC=CHCH、CHFCFCF=CFCH、CCF=CHCH、CFC(CH)=CHCF、CH=CHCFCHFCF、CH=C(CF)CHCF、CFCH=CFCHCH、CFCH=C(CH、CF(CFCF=CF、CFCFCF=CFCFCF、(CFC=C(CF、(CFCFCF=CFCF、(CFC=CHC、(CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCH=CH、CH=CHC(CF、(CFC=C(CH)(CF)、CH=CFCFCH(CF、CFCF=C(CH)CFCF、CFCH=CHCH(CF、(CFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCH、CH=CHCFCFCFCHF、(CFC=CHCFCH、CH=C(CF)CH、CFCFCFC(CH)=CH、CFCFCFCH=CHCH、CH=CHCHCF、CFCFCF=CFC、CH=CHCHCF(CF、CFCF=CHCH(CF)(CH)、(CFC=CFC、(CHC=CFCFCF、(CFC=C(CH、CFCF=CFCFCF、CFCFCF=CFCF、CFCH=CFCFCF、CFCF=CHCFCF、CFCFCH=CFCF、CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCHCH、(CHC=CFCFCFCF、シクロ−CFCH=CHCFCFCF−、シクロ−CFCF=CFCFCFCF−、CF=CHCFBr、CF=CFCBrH、CHF=CBrCF、CHF=CHCBrF、CHF=CBrCHF、CHBr=CFCF、CHBr=CHCF、CH2=CBrCF、CHCFCBrF、CFBr=CHCF、CFBr=CFCF、CH=CBrCFCF、CHBr=CHCFCF、CH=CHCFCFBr、CH=CHCBrFCF、CFCBr=CFCF、CHCBr=CHCF、CFCBr=CHCH、(CFC=CHBr、CFCF=CBrCFCF、CHFCBr=CFC、CF=CBrCHFC、CHBr=CF(CFCHF、CH=CBrCF、CF=CHCFCHCBrF、(CFCFCBr=CH、CF=C(CHBr)CF、CH=C(CBrF)CF、(CFCHCH=CHBr、(CFC=CHCHBr、CH=CHCF(CF)CBrF、CFCFCFCBr=CH、CF(CFCBr=CH、CHCl=CFCClF、CHCl=CClCF、CHCl=CHCHF、CHCl=CFCH、CH=CClCHF、CHF=CClCH、CH=CClCClF、CH=CFCClF、CHCl=CClCHF、CHCl=CHCClF、CHF=CClCHClF、CCl=CFCH、CH=CClCHClF、CH=C(CHF)CClF2、CH=CHCFCHClF、CHCl=C(CH)CF、CH=CHCHClCF、CHCF=CHCClF、CH=CClCFCF、CHCl=CHCFCF、CH=CHCFCFCl、CH=CHCClFCF、CHCCl=CHCF、CFCCl=CHCH、CH=CHCClFCHCl、CH=CClCClFCClF、CH=CClCHCClF、CH=CHCFCHCl、CH=CHCClFCClF、CCl=C(CH)CF、CCl=CHCHCF、CH=CFCClFCClF、CClF=CHC、CHCl=CHCFCH、CH=CClCFCH、CHCH=CHCClF、(CFC=CHCl、CFCH=C(CClF)CF、CHCl=CHCFCClFCF、CHCl=CHCF(CClF)CF、CFCF=CClCFCF、CHCl=CF(CFCHF、CH=CClCF、CF=CHCFCHCClF、(CFCFCCl=CH、(CFCHCH=CHCl、(CFC=CHCHCl、CH=CHCF(CF)CClF、CH=CClCFCF、およびCHCl=CHCFCFからなる群から選択される不飽和フッ素化炭化水素類;
(b)前記表面を前記組成物から回収するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素化合物が、式E−またはZ−RCH=CHRを有する少なくとも1つの化合物(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
およびRが独立に、CF、C5、CFCFCF、CF(CF、CFCFCFCF、CF(CF)CFCF、CFCF(CF、C(CF、CFCFCFCFCF、CFCFCF(CF、C(CF、CFCFCFCFCFCF、CF(CF)CFCF、またはC(CFCFであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素が、CFCH=CHCF、CFCH=CHC、CFCH=CHCF、CFCH=CHCF(CF、CCH=CHC、CFCH=CH(CFCF、CFCH=CHCFCF(CF、CFCH=CHCF(CF)C、CFCH=CHC(CF、CCH=CHCF、CCH=CHCF(CF、CFCH=CH(CFCF、CFCH=CHCFCFCF(CF、CFCH=CHC(CF、CCH=CH(CFCF、CCH=CHCFCF(CF、CCH=CHCF(CF)C、CCH=CHC(CF、CCFCH=CHCF、(CFCFCH=CHCF(CF、CCFCH=CHCF(CF、CFCH=CH(CFCF、CFCH=CHCF(CF)(CF、CFCH=CHC(CFCF、CCH=CH(CFCF、CCH=CHCFCFCF(CF、CCH=CHC(CF、CCFCH=CH(CFCF、CCFCH=CHCFCF(CF、CCFCH=CHCF(CF)C、CCFCH=CHC(CF、(CFCFCH=CH(CFCF、(CFCFCH=CHCFCF(CF、(CFCFCH=CHCF(CF)C、(CFCFCH=CHC(CF、CCH=CH(CFCF、CCH=CHCF(CF)(CF、CCH=CHC(CFCF、CCFCH=CH(CFCF、CCFCH=CHCFCFCF(CF、CCFCH=CHC(CF、(CFCFCH=CH(CFCF、(CFCFCH=CHCFCFCF(CF、(CFCFCH=CHC(CF、CF(CFCH=CH(CFCF、CF(CFCH=CHCFCF(CF、CF(CFCH=CHCF(CF)C、CF(CFCH=CHC(CF、(CFCFCFCH=CHCFCF(CF、(CFCFCFCH=CHCF(CF)C、(CFCFCFCH=CHC(CF、CCF(CF)CH=CHCF(CF)C、CCF(CF)CH=CHC(CF、または(CFCCH=CHC(CFの少なくとも1つであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素が、(CFCFCH=CH、CFCFCFCH=CH、CH=CFCFCFCHF、CF=CHCFCHCF、CFCF=C(CF)(CH)、CH=CFCH(CF、CHF=CHCH(CF、CHFCH=C(CF、CHCF=C(CF、(CFC=CHCH、CHFCFCF=CFCH、CCF=CHCH、CFC(CH)=CHCF、CH=CHCFCHFCF、CH=C(CF)CHCF、CFCH=CFCHCH、CFCH=C(CH、CF(CFCF=CF、CFCFCF=CFCFCF、(CFC=C(CF、(CFCFCF=CFCF、(CFC=CHC、(CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCH=CH、CH=CHC(CF、(CFC=C(CH)(CF)、CH=CFCFCH(CF、CFCF=C(CH)CFCF、CFCH=CHCH(CF、(CFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCH、CH=CHCFCFCFCHF、(CFC=CHCFCH、CH=C(CF)CH、CFCFCFC(CH)=CH、CFCFCFCH=CHCH、CH=CHCHCF、CFCFCF=CFC、CH=CHCHCF(CF、CFCF=CHCH(CF)(CH)、(CFC=CFC、(CHC=CFCFCF、(CFC=C(CH、CFCF=CFCFCF、CFCFCF=CFCF、CFCH=CFCFCF、CFCF=CHCFCF、CFCFCH=CFCF、CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCHCH、(CHC=CFCFCFCF、シクロ−CFCH=CHCFCFCF−、シクロ−CFCF=CFCFCFCF−、CF=CHCFBr、CF=CFCBrH、CHF=CBrCF、CHF=CHCBrF、CHF=CBrCHF、CHBr=CFCF、CHBr=CHCF、CH=CBrCF、CHCFCBrF、CFBr=CHCF、CFBr=CFCF、CH=CBrCFCF、CHBr=CHCFCF、CH=CHCFCFBr、CH=CHCBrFCF、CFCBr=CFCF、CHCBr=CHCF、CFCBr=CHCH、(CFC=CHBr、CFCF=CBrCFCF、CHFCBr=CFC、CF=CBrCHFC、CHBr=CF(CFCHF、CH=CBrCF、CF=CHCFCHCBrF、(CFCFCBr=CH、CF=C(CHBr)CF、CH=C(CBrF)CF、(CFCHCH=CHBr、(CFC=CHCHBr、CH=CHCF(CF)CBrF、CFCFCFCBr=CH、CF(CFCBr=CH、CHCl=CFCClF、CHCl=CClCF、CHCl=CHCHF、CHCl=CFCH、CH=CClCHF、CHF=CClCH、CH=CClCClF、CH=CFCClF、CHCl=CClCHF、CHCl=CHCClF、CHF=CClCHClF、CCl=CFCH、CH=CClCHClF、CH=C(CHF)CClF2、CH=CHCFCHClF、CHCl=C(CH)CF、CH=CHCHClCF、CHCF=CHCClF、CH=CClCFCF、CHCl=CHCFCF、CH=CHCFCFCl、CH=CHCClFCF、CHCCl=CHCF、CFCCl=CHCH、CH=CHCClFCHCl、CH=CClCClFCClF、CH=CClCHCClF、CH=CHCFCHCl、CH=CHCClFCClF、CCl=C(CH)CF、CCl=CHCHCF、CH=CFCClFCClF、CClF=CHC、CHCl=CHCFCH、CH=CClCFCH、CHCH=CHCClF、(CFC=CHCl、CFCH=C(CClF)CF、CHCl=CHCFCClFCF、CHCl=CHCF(CClF)CF、CFCF=CClCFCF、CHCl=CF(CFCHF、CH=CClCF、CF=CHCFCHCClF、(CFCFCCl=CH、(CFCHCH=CHCl、(CFC=CHCHCl、CH=CHCF(CF)CClF、CH=CClCFCF、およびCHCl=CHCFCFからなる群から選択される少なくとも1つの不飽和フッ素化炭化水素を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記不飽和フッ素化炭化水素が、式E−またはZ−RCH=CHRを有する不飽和フッ素化炭化水素(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物がエアロゾル噴射剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が共溶媒をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記接触が蒸気脱脂によって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記蒸気脱脂が
(i)前記組成物を沸騰させること、および
(ii)物品を、沸騰している該清浄組成物の蒸気に曝露すること
によって行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記接触が物品を前記組成物に浸漬することによって行われ、前記組成物が周囲温度または室温より高い温度であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物の温度が、前記組成物の沸点付近であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記物品を前記組成物に浸漬した後、前記物品を前記組成物に浸漬するさらなるステップを含み、その際、前記組成物が第1の浸漬ステップの温度より低い温度であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
第2の浸漬ステップの前記組成物が、周囲温度または室温であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第2の浸漬ステップの後、前記組成物を沸騰させるステップと、前記物品を該沸騰組成物の蒸気に曝露するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が周囲温度または室温であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物に浸した物体を用いて物品に塗りつけることによって前記接触が行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
フッ素系潤滑剤を表面に被着させる方法であって、
(a)フッ素系潤滑剤と溶媒を組み合わせて、潤滑剤−溶媒の組合せを形成するステップであって、前記溶媒が下記の(i)および(ii)からなる群から選択される不飽和フッ素化炭化水素を含むステップと、
(i)式E−またはZ−RCH=CHRを有する不飽和フッ素化炭化水素類(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)、および
(ii)(CFCFCH=CH、CFCFCFCH=CH、CH=CFCFCFCHF、CF=CHCFCHCF、CFCF=C(CF)(CH)、CH=CFCH(CF、CHF=CHCH(CF、CHFCH=C(CF、CHCF=C(CF、(CFC=CHCH、CHFCFCF=CFCH、CCF=CHCH、CFC(CH)=CHCF、CH=CHCFCHFCF、CH=C(CF)CHCF、CFCH=CFCHCH、CFCH=C(CH、CF(CFCF=CF、CFCFCF=CFCFCF、(CFC=C(CF、(CFCFCF=CFCF、(CFC=CHC、(CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCH=CH、CH=CHC(CF、(CFC=C(CH)(CF)、CH=CFCFCH(CF、CFCF=C(CH)CFCF、CFCH=CHCH(CF、(CFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCH、CH=CHCFCFCFCHF、(CFC=CHCFCH、CH=C(CF)CH、CFCFCFC(CH)=CH、CFCFCFCH=CHCH、CH=CHCHCF、CFCFCF=CFC、CH=CHCHCF(CF、CFCF=CHCH(CF)(CH)、(CFC=CFC、(CHC=CFCFCF、(CFC=C(CH、CFCF=CFCFCF、CFCFCF=CFCF、CFCH=CFCFCF、CFCF=CHCFCF、CFCFCH=CFCF、CFCFCF=CHCF、CFCFCFCFCF=CHCH、CFCFCFCF=CHCHCH、(CHC=CFCFCFCF、シクロ−CFCH=CHCFCFCF−、シクロ−CFCF=CFCFCFCF−、CF=CHCFBr、CF=CFCBrH、CHF=CBrCF、CHF=CHCBrF、CHF=CBrCHF、CHBr=CFCF、CHBr=CHCF、CH2=CBrCF、CHCFCBrF、CFBr=CHCF、CFBr=CFCF、CH=CBrCFCF、CHBr=CHCFCF、CH=CHCFCFBr、CH=CHCBrFCF、CFCBr=CFCF、CHCBr=CHCF、CFCBr=CHCH、(CFC=CHBr、CFCF=CBrCFCF、CHFCBr=CFC、CF=CBrCHFC、CHBr=CF(CFCHF、CH=CBrCF、CF=CHCFCHCBrF、(CFCFCBr=CH、CF=C(CHBr)CF、CH=C(CBrF)CF、(CFCHCH=CHBr、(CFC=CHCHBr、CH=CHCF(CF)CBrF、CFCFCFCBr=CH、CF(CFCBr=CH、CHCl=CFCClF、CHCl=CClCF、CHCl=CHCHF、CHCl=CFCH、CH=CClCHF、CHF=CClCH、CH=CClCClF、CH=CFCClF、CHCl=CClCHF、CHCl=CHCClF、CHF=CClCHClF、CCl=CFCH、CH=CClCHClF、CH=C(CHF)CClF2、CH=CHCFCHClF、CHCl=C(CH)CF、CH=CHCHClCF、CHCF=CHCClF、CH=CClCFCF、CHCl=CHCFCF、CH=CHCFCFCl、CH=CHCClFCF、CHCCl=CHCF、CFCCl=CHCH、CH=CHCClFCHCl、CH=CClCClFCClF、CH=CClCHCClF、CH=CHCFCHCl、CH=CHCClFCClF、CCl=C(CH)CF、CCl=CHCHCF、CH=CFCClFCClF、CClF=CHC、CHCl=CHCFCH、CH=CClCFCH、CHCH=CHCClF、(CFC=CHCl、CFCH=C(CClF)CF、CHCl=CHCFCClFCF、CHCl=CHCF(CClF)CF、CFCF=CClCFCF、CHCl=CF(CFCHF、CH=CClCF、CF=CHCFCHCClF、(CFCFCCl=CH、(CFCHCH=CHCl、(CFC=CHCHCl、CH=CHCF(CF)CClF、CH=CClCFCF、およびCHCl=CHCFCF
からなる群から選択される不飽和フッ素化炭化水素類;
(b)潤滑剤−溶媒の前記組合せを前記表面と接触させるステップと、
(c)前記溶媒を前記表面から蒸発させて、フッ素系潤滑剤コーティングを前記表面に形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記表面が、半導体材料、金属、金属酸化物、蒸着炭素、またはガラスの表面であることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記表面が磁気媒体の表面であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記磁気媒体がコンピュータディスクであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記接触ステップが、前記フッ素系潤滑剤を含む浴に前記表面を部分的または完全に浸漬する(dipping or immersing)ことによって行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記接触ステップが、前記表面に前記フッ素系潤滑剤を吹き付ける、またはスピンコーティングすることによって行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記潤滑剤−溶媒の組合せのフッ素系潤滑剤濃度が、約0.02重量パーセント〜0.5重量パーセントであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記蒸発ステップが、約10℃〜約40℃の温度で行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記フッ素系潤滑剤がパーフルオロポリエーテルを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記フッ素系潤滑剤が、パーフルオロポリエーテル類およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項29】
濡れた基板の表面から、少なくとも水の一部分を除去する方法であって、
a)界面活性剤をさらに含む請求項1に記載の組成物と前記基板を接触させるステップと、次いで
b)前記基材を前記組成物との接触から外すステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
式RCH=CHRを有する不飽和フッ素化炭化水素(式中、RおよびRは独立に、C〜Cパーフルオロアルキル基である)から本質的に構成されることを特徴とする溶媒組成物。
【請求項31】
およびRが独立に、CF、C5、CFCFCF、CF(CF、CFCFCFCF、CF(CF)CFCF、CFCF(CF、C(CF、CFCFCFCFCF、CFCFCF(CF、C(CF、CFCFCFCFCFCF、CF(CF)CFCF、またはC(CFCFであることを特徴とする請求項30に記載の溶媒組成物。
【請求項32】
前記不飽和フッ素化炭化水素が、CFCH=CHCF、CFCH=CHC、CFCH=CHCF、CFCH=CHCF(CF、CCH=CHC、CFCH=CH(CFCF、CFCH=CHCFCF(CF、CFCH=CHCF(CF)C、CFCH=CHC(CF、CCH=CHCF、CCH=CHCF(CF、CFCH=CH(CFCF、CFCH=CHCFCFCF(CF、CFCH=CHC(CF、CCH=CH(CFCF、CCH=CHCFCF(CF、CCH=CHCF(CF)C、CCH=CHC(CF、CCFCH=CHCF、(CFCFCH=CHCF(CF、CCFCH=CHCF(CF、CFCH=CH(CFCF、CFCH=CHCF(CF)(CF、CFCH=CHC(CFCF、CCH=CH(CFCF、CCH=CHCFCFCF(CF、CCH=CHC(CF、CCFCH=CH(CFCF、CCFCH=CHCFCF(CF、CCFCH=CHCF(CF)C、CCFCH=CHC(CF、(CFCFCH=CH(CFCF、(CFCFCH=CHCFCF(CF、(CFCFCH=CHCF(CF)C、(CFCFCH=CHC(CF、CCH=CH(CFCF、CCH=CHCF(CF)(CF、CCH=CHC(CFCF、CCFCH=CH(CFCF、CCFCH=CHCFCFCF(CF、CCFCH=CHC(CF、(CFCFCH=CH(CFCF、(CFCFCH=CHCFCFCF(CF、(CFCFCH=CHC(CF、CF(CFCH=CH(CFCF、CF(CFCH=CHCFCF(CF、CF(CFCH=CHCF(CF)C、CF(CFCH=CHC(CF、(CFCFCFCH=CHCFCF(CF、(CFCFCFCH=CHCF(CF)C、(CFCFCFCH=CHC(CF、CCF(CF)CH=CHCF(CF)C、CCF(CF)CH=CHC(CF、または(CFCCH=CHC(CFの少なくとも1つであることを特徴とする請求項30に記載の溶媒組成物。
【請求項33】
CH=CClCFCF、CHCl=CHCFCF、CHCl=CHCFCF、およびCHBr=CHCFCFからなる群から選択されることを特徴とする不飽和フッ素化炭化水素。

【公表番号】特表2009−514251(P2009−514251A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538991(P2008−538991)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/042634
【国際公開番号】WO2007/053673
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】