中空カム軸の製造方法
【課題】熱処理が容易な中空材より中空カム軸を塑性成形する。
【解決手段】肉厚中空の第1素材10の軸方向複数個所を、回転させた状態で段状部用ローラ28a,28bを押し付けて縮径変形し、この縮径部に隣接する部分を縮径による肉移動にて素材径より大径にし、ついで、この縮径部に隣接する部分を所定径の大径部7a〜7dになるよう加工して第2素材10とし、この第2素材の大径部で、かつこの大径部に成形しようとするカム2b′の頂点側とは反対側の表面に、自由回転するカム用ローラ30aを、大径部表面が塑性変形する力で押し付け、第2素材を略180°にわたって両方向に交互に回動し、この間において大径部とカム用ローラとの接触部が、上記カムの形状に沿う軌跡を通るようにカム用ローラを進退させ、カム用ローラによる押圧変形によりカムを塑性成形する。
【解決手段】肉厚中空の第1素材10の軸方向複数個所を、回転させた状態で段状部用ローラ28a,28bを押し付けて縮径変形し、この縮径部に隣接する部分を縮径による肉移動にて素材径より大径にし、ついで、この縮径部に隣接する部分を所定径の大径部7a〜7dになるよう加工して第2素材10とし、この第2素材の大径部で、かつこの大径部に成形しようとするカム2b′の頂点側とは反対側の表面に、自由回転するカム用ローラ30aを、大径部表面が塑性変形する力で押し付け、第2素材を略180°にわたって両方向に交互に回動し、この間において大径部とカム用ローラとの接触部が、上記カムの形状に沿う軌跡を通るようにカム用ローラを進退させ、カム用ローラによる押圧変形によりカムを塑性成形する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉厚中空素材を用いて塑性形成によりカム部を成形するようにした中空カム軸の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のカム軸の従来の製造方法としては、素材鋼管に塑性加工を施して最終仕上げ形状に近似した形状を有するカム軸素材を成形し、その後このカム軸素材のカム摺動面にレーザ肉盛を施すようにした製造方法(例えば、特許文献1参照)や、中子を用いての中空鋳物による製造方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−192805号公報
【特許文献2】特開平5−2007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示された製造方法にあっては、素材鋼管には電縫管のような肉薄の鋼管が用いられ、この素材鋼管のジャーナル相当部位に成形型を押し当てながら素材鋼管を回転させてジャーナル部を縮径加工し、その後この素材鋼管を膨出加工用の成形型内にセットし、軸方向に圧縮力を作用させながら中空内部に液圧をかけて所望の部分(カム部分)を膨出成形するようにしている。
【0005】
上記特許文献1による製造方法によれば、大径部であるカムの成形にバルジ加工法が用いられていることにより、大きく膨出変形されるカムの頂部の肉厚が他の部分より薄くなってしまい、強度的に問題があった。そのため、このカムの頂部に後加工でレーザ肉盛を施さなければならず、それでも熱処理時にこの部分に割れが生じる等の問題があった。
【0006】
また、特許文献2に示された製造方法にあっては、全体が鋳物成形されるため軸方向の凹凸成形が容易であるが、外周面が冷却によりチル化しており、カム部等の仕上げ加工時において、このチル部の切削あるいは研磨の後加工がやっかいであった。
また、カムの頂部等の摺動部は所定の硬度を必要とするが、鋳物材であることによりこの必要硬度を得るのが難しかった。
【0007】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、肉厚中空の鋼材を用いて中空カム軸を塑性成形により製造することにより、焼き入れ加工が容易で、かつカムの頂部の肉厚を十分厚くできるようにした中空カム軸の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る中空カム軸の製造方法は、肉厚中空の第1素材の軸方向複数個所を、この第1素材を回転させた状態で、これの軸直角方向から自由回転する段状部用ローラを押し付けて縮径変形し、この縮径部に隣接する部分を縮径による肉移動にて素材径より大径にし、ついで、この縮径部に隣接する部分を所定径の大径部になるよう切削加工して第2素材とし、この第2素材の大径部で、かつこの大径部に成形しようとするカムの頂点側とは反対側の表面に、自由回転するカム用ローラを、大径部表面が塑性変形する力で押し付け、この状態から第2素材を略180°にわたって両方向に交互に回動し、この間において大径部とカム用ローラとの接触部が、上記カムの形状に沿う軌跡を通るようにカム用ローラを進退させ、カム用ローラによる押圧変形によりカムを塑性成形する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、肉厚中空の鋼材を用いて、塑性成形によりカムを成形することにより、カム部の肉厚が薄くなることがなく成形でき、また通常の鋼材を用いることにより、浸炭処理を含むカム表面の焼き入れ加工も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明方法にて製造される中空カム軸を示す。
この中空カム軸1は、例えば4サイクル2気筒エンジン用のものであって、軸方向の2個所に吸気用と排気用で一対となるカム2a,2b,2a′,2b′が設けられている。そして各対のカム2a,2b,2a′,2b′の間には中間部ジャーナル3a,3bを、また軸方向両端部には中間部ジャーナル3a,3bより大径にした軸端部ジャーナル4a,4bを有している。そして軸心部には長手方向に貫通する孔5を有している。
【0011】
この中空カム軸1は、図2に示した第2素材6より塑性加工にて成形される。
この第2素材6は、中空カム軸1のカム2a,2b,2a′,2b′を設ける部分に第1〜第4の大径部7a,7b,7c,7dが、また対となる各組のカム2a,2b,2a′,2b′の間に位置する中間部ジャーナル3a,3bを設ける部分に第1・第2の小径部8a,8bが、また両カム対相互の間の部分及び軸端部ジャーナル4a,4bとカム対の間の部分にも第3・第4・第5の小径部8c,8d,8eが設けてある。
さらに上記軸端部ジャーナル4a,4bを設ける部分は、大径部7a〜7dより小径で、小径部8a〜8eより大径にした中径部9a,9bとなっている。
【0012】
この第2素材6は、図3に示す肉厚中空材からなる第1素材10から塑性加工にて成形する。この第1素材10は、既製の肉厚管を用いてもよいが、中実材に孔加工を施したものを用いてもよい。
【0013】
図4、図5は上記第1素材10から第2素材6を、及びこの第2素材6から中空カム軸1の仕上げ加工前の素材である第3素材を塑性形成するための転造装置を示す。
【0014】
この転造装置11はベース12と、このベース12上に設置したベッド13と、このベッド13に同一軸方向(左右方向)に移動可能に、かつ前端を対向させて設けた左右一対の主軸台14a,14bと、この両主軸台14a,14bの軸心方向と直角方向(前後方向)両側に配置され、かつ前端側を対向させて設けた前後一対の加工ヘッド装置15a,15bとからなっている。
【0015】
左右方向に対向する一対の主軸台14a,14bのそれぞれは、上記第1素材10の端部を把持するチャック16と、このチャック16を回転自在に支持するフレーム17と、チャック16に連結されてフレーム17に支持される減速機18と、この減速機18を介してチャック16を回転する素材回転用のサーボモータ19からなっている。
そして上記フレーム17がベッド13に移動自在に支持されており、かつベッド13に設けた図示しない移動装置を介して素材移動用のサーボモータ20にて両主軸台14a,14bが一体状に、及び対向方向に移動されるようになっている。
【0016】
前後方向に対向配置される前後の加工ヘッド装置15a,15bのそれぞれは、ベース12に固定されたフレーム21a,21bと、このフレーム21a,21bに設けられ、減速機24a,24b,25a,25bを介して各加工ヘッド22a,22b,23a,,23bと、フレーム21a,21bに設けられ、減速機24a,24b,25a,25bを介して各加工ヘッド22a,22b,23a,23bを対向方向に移動する成形ローラ移動用御サーボモータ26a,26b,27a,27bとからなっている。
【0017】
前後の加工ヘッド装置15a,15bのそれぞれの第1の加工ヘッド22a,22bは、上記主軸台14a,14bの軸心と直交する軸線上でもって対向されており、それぞれの対向先端部には同一径の段状部用ローラ28a,28bが支持部材29a,29bに支持されて、上記主軸台14a,14bの軸心と平行な軸心を中心にして自由回転可能に設けられている。
そして上記支持部材29a,29bは、第1の加工ヘッド22a,23aに対して交換可能になっていて、これを交換するにことにより段状部用ローラ28a,28bを、これの幅や周面形状が異なる他のローラ部材と交換できるようになっている。
【0018】
また、前後の加工ヘッド装置15a,15bのそれぞれの第2の加工ヘッド22b,23,は上記第1のものと同様に、主軸台14a,14bの軸心と直交する軸線上でもって対向されており、それぞれの対向先端部には同一径のカム用ローラ30a,30bが支持部材31a,31bに支持されて、上記主軸台14a,14bの軸心と平行な軸心を中心にして自由回転可能に設けられている。
そして上記支持部材31a,31bは、第2の加工ヘッド22b,23bに対して交換可能になっていて、これを交換することによりカム用ローラ30a,30bを、これの幅や周面形状が異なる他のローラ部材と交換できるようになっている。
【0019】
上記加工ヘッド装置15a,15bは、段状部用ローラ28a,28b及びカム用ローラ30a,30bが各サーボモータ26a,26b,27a,27bを電子制御することにより0.1〜5.0mmの範囲内で軸方向(進退方向)に反復移動を繰り返すことができる転造盤が用いられる。特にカム用ローラ30a,30bを動作する加工ヘッド22a,22bには、カム成形用CNC転造盤が用いられている。
【0020】
次に図4に示した転造装置11を用いて、第1素材10から第2素材6を形成する工程を図6を用いて説明する。
【0021】
軸方向に対向する一対の主軸台14a,14bの対向間に、孔5内にマンドレル32を挿入した第1素材10を、それぞれのチャック16,16にて把持してセットする。
そしてこの第1素材10をセットした状態で両主軸台14a,14bを軸方向に一体状に移動して、第1素材10の軸方向の所定の位置、例えば図2に示される第2素材6の第1の台形部7aと第2の台形部7bとの間の小径部8aとなる位置に前後の加工ヘッド15a,15bの第1の加工ヘッド22a、23aを対向させる。
【0022】
この状態で両主軸台14a,14bを同期回転させる。ついで前後の第1の加工ヘッド22a、23aを対向方向へ前進させて、それぞれの段状部用ローラ28a,28bを素材10に所定の加圧力にて押し付ける。このとき各ローラ28a,28bは素材10の回転に従って従動回転される。
【0023】
上記動作により段状部用ローラ28a,28bの押し付けにより第1素材10は所定の径に絞られる。そしてこの部分で絞られた肉は、ローラ28a、28bの両側の第1・第2の大径部7a,7bに盛り上げられる。このとき加工ヘッド22a,23aは、電子制御で01から5.0mmの範囲で徐々に押し込んで所定の小径部を成形する。
【0024】
このようにして各小径部8a〜8dを段状部用ローラ28a,28bにて小径に絞り成形することにより、これの両側に位置される大径部7a〜7d及び9a,9bの部分が盛り上がり大径になる。
【0025】
この時において小径部8a〜8dの幅は、段状部成形用ローラ28a,28bの幅によって決められる。したがって、幅が異なる小径部を成形するには、その幅に合わせた幅の異なるローラを用いる。このローラの交換は、これを支持する支持部材29a,29bごと加工ヘッド22a,23aに対して交換する。
【0026】
ついで、このように小径部を絞り成形した素材10を転造装置11より取り外して、旋盤等にて大径部7a〜7d,9a,9bを所定の径に切削して、図2に示す第2素材6を得る。また、このとき必要に応じてジャーナル部等の小径部をも所定の径に切削加工する。なお、上記各切削加工に代えてスピニング加工等にて所定の寸法に塑性加工するようにしても良い。
【0027】
次に、上記のようにして得られた第2素材6から図1に示す中空カム軸1に近似する第3素材を塑性加工する方法を以下に示す。
【0028】
第2素材6を再び転造装置11の両主軸台14a,14bに把持する。そしてこれの1つの、例えば第4の大径部7dに、第2素材6の軸直角方向に対向するその一方の加工ヘッド装置15aの第2の加工ヘッド22bのカム用ローラ30を対向させ、これの外周面を第4の大径部7dの周面に所定の押圧力で押し付け接触させる(図7、図8)。
【0029】
このときの第2素材6は、図8に示すように、この第4の大径部7dに形成されるカム2b′のカム頂点aと軸心を結ぶ線が、加工ヘッド22aの出没作用線と同一となるようにすると共に、カムの頂点側とは反対側にカム用ローラ30aを対向させる。なお、このときの第2素材6の回転方向の姿勢を原点姿勢とする。
【0030】
ついで図9(a)〜(d)に示すように、第2素材6をこの原点姿勢から180°を僅かに越える角度にわたって回動する。そしてこのときのカム用ローラ30aは、上記原点姿勢において、図9(a)に示すようにカム用ローラ30aにて大径部7dの周面が凹み変形する大きさの荷重を加える。この状態でカム用ローラ30aの回動に従って、カム用ローラ30aが従動回転される。そしてこのときのカム用ローラ30aを、このカム用ローラ30aと大径部7dの外周面との接触点の軌跡が鎖線で示したカム形状を描くようにカム用ローラ30aを進退させる。
【0031】
この動作により、大径部7dにおいて、図9(a)に示した状態のカム用ローラ30aによる凹み変形の回動方向下流側の肉が、図9(a)〜(d)に示すように大径部7dの回動角θに従って、回動方向下流側へ押されて回転方向下流側の外周部に増肉されていく。そしてこのときのカム用ローラ30aを、これの周面が図11に示すように、大径部7dに成形しようとするカムの形状に沿うように進退動作することにより、上記増肉部分がカム形状に成形される。
【0032】
このときの第2素材6の回動角に対するカム用ローラ30aの進退動作について図10、図11及び表1に基づいて説明する。
【0033】
図10は成形しようとするカム2b′の大きさ及び形状の一例を示しもので、カム2b′の小径部の半径Rが25mm、軸心からカム頂点までの寸法Tが25.6mm、及びカム側面の半径R1が90.9mm、頂面の半径R2が7.6mmの場合について説明する。なお、このような形状のカム2b′の厚さが10mmの場合の体積Vは21679.4mm3となる。そしてこのような体積のカム2b′を得るための素材径Dは略52.6mmとなる。
【0034】
表1は、第2素材6の大径部7dに図10に示したカム2b′が成形されているものとし、このカム2b′が上記原点姿勢から180°にわたって回動したときに、このカム2b′に摺接するカム用ローラ30aの進退方向の移動寸法を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
すなわち図11において、カム2b′が原点姿勢から90°の回転範囲及び90°〜110°の回転範囲では、カム用ローラ30aは移動せず、原点位置にて従動回転される。そして、110°〜120°の回転範囲では0.226mmだけ素材側へ移動し、その後の120°〜180°の回転範囲にわたっては、表1に示す寸法だけ順次素材から離れる方向(−)に移動し、180°の回転姿勢での素材から離れる方向への累積移動寸法は10.606mmとなり、カム2b′のカム頂点までの寸法Tとなる。
【0037】
このことを利用して図9(a)〜(d)に示した成形を行う。まず外径が52.6mmの大径部7dの半径と小径部の半径の差に相当する変形代yだけ、この場合は1.3mm凹む押圧力で、例えば第1の加工ヘッド22aのカム用ローラ30aを押し付けて原点位置とする。
【0038】
ついで大径部7dを時計回りに180°回動し、この間にカム用ローラ30aを上記原点位置から表1に示す動作を行う。
【0039】
これによりカム用ローラ30aの周面は、大径部7dの半径Rが25mmの軌跡からカム2b′の頂面に至る軌跡を移動し、この間に大径部7dの素材径から押し出された肉がカム頂部に移動して、図9(d)に示すようにカム2b′の軸心と頂部を結ぶ線の片側の形状が塑性形成される。
【0040】
その後、第1の加工ヘッド22aを後退させると共に、第2素材6の姿勢を図8に示すのと逆にして、大径部7dの最小径側を第2の加工ヘッド22bのカム用ローラ30b側へ向ける。ついで第2素材6の大径部7dにカム用ローラ30bを押し付けて第2素材6を逆方向へ180°回転して、上記した片面と同様に反対側の片面を成形する。このようにカムの両側面を交互に成形加工する。
【0041】
上記した説明においては、大径部7dからのカム2b′の成形を大径部7dの1回の180度回動により行うようにした例を示したが、これを変形代を何回かに分けて少しずつ行うようにしてもよい。
【0042】
そしてこのときにおいて、大径部7dを交互に逆方向に180°ずつ回動し、各回動ごとにカム用ローラ30a,30bを大径部に押し付け、この各回動により少しずつカム面を成形するようにする。
【0043】
また上記実施の形態では、カム2b′の両面を対向する2組の加工ヘッド装置22a,22bのそれぞれのカム用ローラ30a,30bにて行うようにしたが、一方の加工ヘッド装置による一方のカム用ローラにて成形加工を行ってもよい。
【0044】
上記した実施の形態では、カムの小径部の半径が25mmのカム形状の周面に沿う軌跡に従ってカム用ローラを進退するようにした例を示したが、小径部の半径が異なるカムの場合も、この場合のカム形状の周面に沿う軌跡を割り出し演算して上記カム用ローラを進退制御する。この場合に、加工ヘッド装置15a,15bにカム成形用CNC転送盤を用い、成形しようとするカム形状及び素材となる大径部の径に応じた動きでカム用ローラを動作するようにする。
【0045】
上記カム部の転造成形時には第2素材6の孔5内にマンドレルを挿入しておき、成形後にこれを引き抜く。その後、必要に応じてこの孔5の端部に栓を圧入して、これの一方あるいは両方を閉じる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】中空カム軸の1例を示す斜視図である。
【図2】第2素材を示す断面図である。
【図3】第1素材を示す一部破断面図である。
【図4】転造装置を概略的に示す平面図である。
【図5】一方の主軸台を省略して示す側面図である。
【図6】第1素材から第2素材を成形する作用を示す説明図である。
【図7】第2素材から第3素材を成形する作用を示す説明図である。
【図8】第2素材の大径部とカム用ローラの原点姿勢を示す説明図である。
【図9】(a),(8b),(c),(d)はカム用ローラによる塑性成形の作用順序を示す説明図である。
【図10】カム形状とこのカムを成形する大径部との寸法関係を示す説明図である。
【図11】カム表面とカム用ローラ4の接触部の軌跡を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1…中空カム軸、2a,2b,2a′,2b′…カム、3a,3b…中間部ジャーナル、4a,4b…軸端部ジャーナル、5…孔、6…第2素材、7a,7b,7c,7d…大径部、8a,8b,8c,8d…小径部、9a,9b…中径部、10…第1素材、11…転造装置、12…ベース、13…ベッド、14a,14b…主軸台、15a,15b…加工ヘッド装置、16…チャック、17…フレーム、18…減速機、19,20…サーボモータ、21a,21b…フレーム、22a,22b,23a,23b…加工ヘッド、24a,24b,25a,25b…減速機、26a,26b,27a,27b…サーボモータ、28a,28b…段状部用ローラ、29a,29b…支持部材、30a,30b…カム用ローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉厚中空素材を用いて塑性形成によりカム部を成形するようにした中空カム軸の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のカム軸の従来の製造方法としては、素材鋼管に塑性加工を施して最終仕上げ形状に近似した形状を有するカム軸素材を成形し、その後このカム軸素材のカム摺動面にレーザ肉盛を施すようにした製造方法(例えば、特許文献1参照)や、中子を用いての中空鋳物による製造方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−192805号公報
【特許文献2】特開平5−2007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示された製造方法にあっては、素材鋼管には電縫管のような肉薄の鋼管が用いられ、この素材鋼管のジャーナル相当部位に成形型を押し当てながら素材鋼管を回転させてジャーナル部を縮径加工し、その後この素材鋼管を膨出加工用の成形型内にセットし、軸方向に圧縮力を作用させながら中空内部に液圧をかけて所望の部分(カム部分)を膨出成形するようにしている。
【0005】
上記特許文献1による製造方法によれば、大径部であるカムの成形にバルジ加工法が用いられていることにより、大きく膨出変形されるカムの頂部の肉厚が他の部分より薄くなってしまい、強度的に問題があった。そのため、このカムの頂部に後加工でレーザ肉盛を施さなければならず、それでも熱処理時にこの部分に割れが生じる等の問題があった。
【0006】
また、特許文献2に示された製造方法にあっては、全体が鋳物成形されるため軸方向の凹凸成形が容易であるが、外周面が冷却によりチル化しており、カム部等の仕上げ加工時において、このチル部の切削あるいは研磨の後加工がやっかいであった。
また、カムの頂部等の摺動部は所定の硬度を必要とするが、鋳物材であることによりこの必要硬度を得るのが難しかった。
【0007】
本発明は上記のことに鑑みなされたもので、肉厚中空の鋼材を用いて中空カム軸を塑性成形により製造することにより、焼き入れ加工が容易で、かつカムの頂部の肉厚を十分厚くできるようにした中空カム軸の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る中空カム軸の製造方法は、肉厚中空の第1素材の軸方向複数個所を、この第1素材を回転させた状態で、これの軸直角方向から自由回転する段状部用ローラを押し付けて縮径変形し、この縮径部に隣接する部分を縮径による肉移動にて素材径より大径にし、ついで、この縮径部に隣接する部分を所定径の大径部になるよう切削加工して第2素材とし、この第2素材の大径部で、かつこの大径部に成形しようとするカムの頂点側とは反対側の表面に、自由回転するカム用ローラを、大径部表面が塑性変形する力で押し付け、この状態から第2素材を略180°にわたって両方向に交互に回動し、この間において大径部とカム用ローラとの接触部が、上記カムの形状に沿う軌跡を通るようにカム用ローラを進退させ、カム用ローラによる押圧変形によりカムを塑性成形する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、肉厚中空の鋼材を用いて、塑性成形によりカムを成形することにより、カム部の肉厚が薄くなることがなく成形でき、また通常の鋼材を用いることにより、浸炭処理を含むカム表面の焼き入れ加工も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明方法にて製造される中空カム軸を示す。
この中空カム軸1は、例えば4サイクル2気筒エンジン用のものであって、軸方向の2個所に吸気用と排気用で一対となるカム2a,2b,2a′,2b′が設けられている。そして各対のカム2a,2b,2a′,2b′の間には中間部ジャーナル3a,3bを、また軸方向両端部には中間部ジャーナル3a,3bより大径にした軸端部ジャーナル4a,4bを有している。そして軸心部には長手方向に貫通する孔5を有している。
【0011】
この中空カム軸1は、図2に示した第2素材6より塑性加工にて成形される。
この第2素材6は、中空カム軸1のカム2a,2b,2a′,2b′を設ける部分に第1〜第4の大径部7a,7b,7c,7dが、また対となる各組のカム2a,2b,2a′,2b′の間に位置する中間部ジャーナル3a,3bを設ける部分に第1・第2の小径部8a,8bが、また両カム対相互の間の部分及び軸端部ジャーナル4a,4bとカム対の間の部分にも第3・第4・第5の小径部8c,8d,8eが設けてある。
さらに上記軸端部ジャーナル4a,4bを設ける部分は、大径部7a〜7dより小径で、小径部8a〜8eより大径にした中径部9a,9bとなっている。
【0012】
この第2素材6は、図3に示す肉厚中空材からなる第1素材10から塑性加工にて成形する。この第1素材10は、既製の肉厚管を用いてもよいが、中実材に孔加工を施したものを用いてもよい。
【0013】
図4、図5は上記第1素材10から第2素材6を、及びこの第2素材6から中空カム軸1の仕上げ加工前の素材である第3素材を塑性形成するための転造装置を示す。
【0014】
この転造装置11はベース12と、このベース12上に設置したベッド13と、このベッド13に同一軸方向(左右方向)に移動可能に、かつ前端を対向させて設けた左右一対の主軸台14a,14bと、この両主軸台14a,14bの軸心方向と直角方向(前後方向)両側に配置され、かつ前端側を対向させて設けた前後一対の加工ヘッド装置15a,15bとからなっている。
【0015】
左右方向に対向する一対の主軸台14a,14bのそれぞれは、上記第1素材10の端部を把持するチャック16と、このチャック16を回転自在に支持するフレーム17と、チャック16に連結されてフレーム17に支持される減速機18と、この減速機18を介してチャック16を回転する素材回転用のサーボモータ19からなっている。
そして上記フレーム17がベッド13に移動自在に支持されており、かつベッド13に設けた図示しない移動装置を介して素材移動用のサーボモータ20にて両主軸台14a,14bが一体状に、及び対向方向に移動されるようになっている。
【0016】
前後方向に対向配置される前後の加工ヘッド装置15a,15bのそれぞれは、ベース12に固定されたフレーム21a,21bと、このフレーム21a,21bに設けられ、減速機24a,24b,25a,25bを介して各加工ヘッド22a,22b,23a,,23bと、フレーム21a,21bに設けられ、減速機24a,24b,25a,25bを介して各加工ヘッド22a,22b,23a,23bを対向方向に移動する成形ローラ移動用御サーボモータ26a,26b,27a,27bとからなっている。
【0017】
前後の加工ヘッド装置15a,15bのそれぞれの第1の加工ヘッド22a,22bは、上記主軸台14a,14bの軸心と直交する軸線上でもって対向されており、それぞれの対向先端部には同一径の段状部用ローラ28a,28bが支持部材29a,29bに支持されて、上記主軸台14a,14bの軸心と平行な軸心を中心にして自由回転可能に設けられている。
そして上記支持部材29a,29bは、第1の加工ヘッド22a,23aに対して交換可能になっていて、これを交換するにことにより段状部用ローラ28a,28bを、これの幅や周面形状が異なる他のローラ部材と交換できるようになっている。
【0018】
また、前後の加工ヘッド装置15a,15bのそれぞれの第2の加工ヘッド22b,23,は上記第1のものと同様に、主軸台14a,14bの軸心と直交する軸線上でもって対向されており、それぞれの対向先端部には同一径のカム用ローラ30a,30bが支持部材31a,31bに支持されて、上記主軸台14a,14bの軸心と平行な軸心を中心にして自由回転可能に設けられている。
そして上記支持部材31a,31bは、第2の加工ヘッド22b,23bに対して交換可能になっていて、これを交換することによりカム用ローラ30a,30bを、これの幅や周面形状が異なる他のローラ部材と交換できるようになっている。
【0019】
上記加工ヘッド装置15a,15bは、段状部用ローラ28a,28b及びカム用ローラ30a,30bが各サーボモータ26a,26b,27a,27bを電子制御することにより0.1〜5.0mmの範囲内で軸方向(進退方向)に反復移動を繰り返すことができる転造盤が用いられる。特にカム用ローラ30a,30bを動作する加工ヘッド22a,22bには、カム成形用CNC転造盤が用いられている。
【0020】
次に図4に示した転造装置11を用いて、第1素材10から第2素材6を形成する工程を図6を用いて説明する。
【0021】
軸方向に対向する一対の主軸台14a,14bの対向間に、孔5内にマンドレル32を挿入した第1素材10を、それぞれのチャック16,16にて把持してセットする。
そしてこの第1素材10をセットした状態で両主軸台14a,14bを軸方向に一体状に移動して、第1素材10の軸方向の所定の位置、例えば図2に示される第2素材6の第1の台形部7aと第2の台形部7bとの間の小径部8aとなる位置に前後の加工ヘッド15a,15bの第1の加工ヘッド22a、23aを対向させる。
【0022】
この状態で両主軸台14a,14bを同期回転させる。ついで前後の第1の加工ヘッド22a、23aを対向方向へ前進させて、それぞれの段状部用ローラ28a,28bを素材10に所定の加圧力にて押し付ける。このとき各ローラ28a,28bは素材10の回転に従って従動回転される。
【0023】
上記動作により段状部用ローラ28a,28bの押し付けにより第1素材10は所定の径に絞られる。そしてこの部分で絞られた肉は、ローラ28a、28bの両側の第1・第2の大径部7a,7bに盛り上げられる。このとき加工ヘッド22a,23aは、電子制御で01から5.0mmの範囲で徐々に押し込んで所定の小径部を成形する。
【0024】
このようにして各小径部8a〜8dを段状部用ローラ28a,28bにて小径に絞り成形することにより、これの両側に位置される大径部7a〜7d及び9a,9bの部分が盛り上がり大径になる。
【0025】
この時において小径部8a〜8dの幅は、段状部成形用ローラ28a,28bの幅によって決められる。したがって、幅が異なる小径部を成形するには、その幅に合わせた幅の異なるローラを用いる。このローラの交換は、これを支持する支持部材29a,29bごと加工ヘッド22a,23aに対して交換する。
【0026】
ついで、このように小径部を絞り成形した素材10を転造装置11より取り外して、旋盤等にて大径部7a〜7d,9a,9bを所定の径に切削して、図2に示す第2素材6を得る。また、このとき必要に応じてジャーナル部等の小径部をも所定の径に切削加工する。なお、上記各切削加工に代えてスピニング加工等にて所定の寸法に塑性加工するようにしても良い。
【0027】
次に、上記のようにして得られた第2素材6から図1に示す中空カム軸1に近似する第3素材を塑性加工する方法を以下に示す。
【0028】
第2素材6を再び転造装置11の両主軸台14a,14bに把持する。そしてこれの1つの、例えば第4の大径部7dに、第2素材6の軸直角方向に対向するその一方の加工ヘッド装置15aの第2の加工ヘッド22bのカム用ローラ30を対向させ、これの外周面を第4の大径部7dの周面に所定の押圧力で押し付け接触させる(図7、図8)。
【0029】
このときの第2素材6は、図8に示すように、この第4の大径部7dに形成されるカム2b′のカム頂点aと軸心を結ぶ線が、加工ヘッド22aの出没作用線と同一となるようにすると共に、カムの頂点側とは反対側にカム用ローラ30aを対向させる。なお、このときの第2素材6の回転方向の姿勢を原点姿勢とする。
【0030】
ついで図9(a)〜(d)に示すように、第2素材6をこの原点姿勢から180°を僅かに越える角度にわたって回動する。そしてこのときのカム用ローラ30aは、上記原点姿勢において、図9(a)に示すようにカム用ローラ30aにて大径部7dの周面が凹み変形する大きさの荷重を加える。この状態でカム用ローラ30aの回動に従って、カム用ローラ30aが従動回転される。そしてこのときのカム用ローラ30aを、このカム用ローラ30aと大径部7dの外周面との接触点の軌跡が鎖線で示したカム形状を描くようにカム用ローラ30aを進退させる。
【0031】
この動作により、大径部7dにおいて、図9(a)に示した状態のカム用ローラ30aによる凹み変形の回動方向下流側の肉が、図9(a)〜(d)に示すように大径部7dの回動角θに従って、回動方向下流側へ押されて回転方向下流側の外周部に増肉されていく。そしてこのときのカム用ローラ30aを、これの周面が図11に示すように、大径部7dに成形しようとするカムの形状に沿うように進退動作することにより、上記増肉部分がカム形状に成形される。
【0032】
このときの第2素材6の回動角に対するカム用ローラ30aの進退動作について図10、図11及び表1に基づいて説明する。
【0033】
図10は成形しようとするカム2b′の大きさ及び形状の一例を示しもので、カム2b′の小径部の半径Rが25mm、軸心からカム頂点までの寸法Tが25.6mm、及びカム側面の半径R1が90.9mm、頂面の半径R2が7.6mmの場合について説明する。なお、このような形状のカム2b′の厚さが10mmの場合の体積Vは21679.4mm3となる。そしてこのような体積のカム2b′を得るための素材径Dは略52.6mmとなる。
【0034】
表1は、第2素材6の大径部7dに図10に示したカム2b′が成形されているものとし、このカム2b′が上記原点姿勢から180°にわたって回動したときに、このカム2b′に摺接するカム用ローラ30aの進退方向の移動寸法を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
すなわち図11において、カム2b′が原点姿勢から90°の回転範囲及び90°〜110°の回転範囲では、カム用ローラ30aは移動せず、原点位置にて従動回転される。そして、110°〜120°の回転範囲では0.226mmだけ素材側へ移動し、その後の120°〜180°の回転範囲にわたっては、表1に示す寸法だけ順次素材から離れる方向(−)に移動し、180°の回転姿勢での素材から離れる方向への累積移動寸法は10.606mmとなり、カム2b′のカム頂点までの寸法Tとなる。
【0037】
このことを利用して図9(a)〜(d)に示した成形を行う。まず外径が52.6mmの大径部7dの半径と小径部の半径の差に相当する変形代yだけ、この場合は1.3mm凹む押圧力で、例えば第1の加工ヘッド22aのカム用ローラ30aを押し付けて原点位置とする。
【0038】
ついで大径部7dを時計回りに180°回動し、この間にカム用ローラ30aを上記原点位置から表1に示す動作を行う。
【0039】
これによりカム用ローラ30aの周面は、大径部7dの半径Rが25mmの軌跡からカム2b′の頂面に至る軌跡を移動し、この間に大径部7dの素材径から押し出された肉がカム頂部に移動して、図9(d)に示すようにカム2b′の軸心と頂部を結ぶ線の片側の形状が塑性形成される。
【0040】
その後、第1の加工ヘッド22aを後退させると共に、第2素材6の姿勢を図8に示すのと逆にして、大径部7dの最小径側を第2の加工ヘッド22bのカム用ローラ30b側へ向ける。ついで第2素材6の大径部7dにカム用ローラ30bを押し付けて第2素材6を逆方向へ180°回転して、上記した片面と同様に反対側の片面を成形する。このようにカムの両側面を交互に成形加工する。
【0041】
上記した説明においては、大径部7dからのカム2b′の成形を大径部7dの1回の180度回動により行うようにした例を示したが、これを変形代を何回かに分けて少しずつ行うようにしてもよい。
【0042】
そしてこのときにおいて、大径部7dを交互に逆方向に180°ずつ回動し、各回動ごとにカム用ローラ30a,30bを大径部に押し付け、この各回動により少しずつカム面を成形するようにする。
【0043】
また上記実施の形態では、カム2b′の両面を対向する2組の加工ヘッド装置22a,22bのそれぞれのカム用ローラ30a,30bにて行うようにしたが、一方の加工ヘッド装置による一方のカム用ローラにて成形加工を行ってもよい。
【0044】
上記した実施の形態では、カムの小径部の半径が25mmのカム形状の周面に沿う軌跡に従ってカム用ローラを進退するようにした例を示したが、小径部の半径が異なるカムの場合も、この場合のカム形状の周面に沿う軌跡を割り出し演算して上記カム用ローラを進退制御する。この場合に、加工ヘッド装置15a,15bにカム成形用CNC転送盤を用い、成形しようとするカム形状及び素材となる大径部の径に応じた動きでカム用ローラを動作するようにする。
【0045】
上記カム部の転造成形時には第2素材6の孔5内にマンドレルを挿入しておき、成形後にこれを引き抜く。その後、必要に応じてこの孔5の端部に栓を圧入して、これの一方あるいは両方を閉じる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】中空カム軸の1例を示す斜視図である。
【図2】第2素材を示す断面図である。
【図3】第1素材を示す一部破断面図である。
【図4】転造装置を概略的に示す平面図である。
【図5】一方の主軸台を省略して示す側面図である。
【図6】第1素材から第2素材を成形する作用を示す説明図である。
【図7】第2素材から第3素材を成形する作用を示す説明図である。
【図8】第2素材の大径部とカム用ローラの原点姿勢を示す説明図である。
【図9】(a),(8b),(c),(d)はカム用ローラによる塑性成形の作用順序を示す説明図である。
【図10】カム形状とこのカムを成形する大径部との寸法関係を示す説明図である。
【図11】カム表面とカム用ローラ4の接触部の軌跡を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1…中空カム軸、2a,2b,2a′,2b′…カム、3a,3b…中間部ジャーナル、4a,4b…軸端部ジャーナル、5…孔、6…第2素材、7a,7b,7c,7d…大径部、8a,8b,8c,8d…小径部、9a,9b…中径部、10…第1素材、11…転造装置、12…ベース、13…ベッド、14a,14b…主軸台、15a,15b…加工ヘッド装置、16…チャック、17…フレーム、18…減速機、19,20…サーボモータ、21a,21b…フレーム、22a,22b,23a,23b…加工ヘッド、24a,24b,25a,25b…減速機、26a,26b,27a,27b…サーボモータ、28a,28b…段状部用ローラ、29a,29b…支持部材、30a,30b…カム用ローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉厚中空の第1素材の軸方向複数個所を、この第1素材を回転させた状態で、これの軸直角方向から自由回転する段状部用ローラを押し付けて縮径変形し、この縮径部に隣接する部分を縮径による肉移動にて素材径より大径にし、
ついで、この縮径部に隣接する部分を所定径の大径部になるよう加工して第2素材とし、
この第2素材の大径部で、かつこの大径部に成形しようとするカムの頂点側とは反対側の表面に、自由回転するカム用ローラを、大径部表面が塑性変形する力で押し付け、この状態から第2素材を略180°にわたって両方向に交互に回動し、この間において大径部とカム用ローラとの接触部が、上記カムの形状に沿う軌跡を通るようにカム用ローラを進退させ、カム用ローラによる押圧変形によりカムを塑性成形することを特徴とする中空カム軸の製造方法。
【請求項1】
肉厚中空の第1素材の軸方向複数個所を、この第1素材を回転させた状態で、これの軸直角方向から自由回転する段状部用ローラを押し付けて縮径変形し、この縮径部に隣接する部分を縮径による肉移動にて素材径より大径にし、
ついで、この縮径部に隣接する部分を所定径の大径部になるよう加工して第2素材とし、
この第2素材の大径部で、かつこの大径部に成形しようとするカムの頂点側とは反対側の表面に、自由回転するカム用ローラを、大径部表面が塑性変形する力で押し付け、この状態から第2素材を略180°にわたって両方向に交互に回動し、この間において大径部とカム用ローラとの接触部が、上記カムの形状に沿う軌跡を通るようにカム用ローラを進退させ、カム用ローラによる押圧変形によりカムを塑性成形することを特徴とする中空カム軸の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−300019(P2006−300019A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126181(P2005−126181)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(392008437)株式会社久保田鉄工所 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(392008437)株式会社久保田鉄工所 (12)
【Fターム(参考)】
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